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特表2023-532848寄生虫防除のための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】寄生虫防除のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20230725BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20230725BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230725BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20230725BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 453/00 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20230725BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230725BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230725BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230725BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20230725BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A01P7/02
A01P7/04
A01P17/00
A01N43/40 101N
A61K31/444
C07D453/00
A61K31/4995
C07D401/14
C07D401/12
A61P33/14
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/14
A61K9/12
A61K9/20
A61K9/70 401
A61K8/49
A61Q5/02
A61Q19/10
A01M29/12
A01N43/90 102
C07D487/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577651
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021067190
(87)【国際公開番号】W WO2021260029
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】20182044.6
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ホエング ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】イヴァノフ ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキー カツペル
(72)【発明者】
【氏名】マズロフ アナトリー
(72)【発明者】
【氏名】ショルデレット ヴェーバー サンドラ
【テーマコード(参考)】
2B121
4C050
4C063
4C076
4C083
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121AA16
2B121CC02
2B121CC21
2B121FA13
4C050AA03
4C050BB04
4C050CC04
4C050DD02
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB08
4C063CC12
4C063DD11
4C063EE01
4C063EE03
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA13
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC34
4C076FF70
4C083AC851
4C083BB60
4C083CC23
4C083CC38
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB17
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA34
4C086MA43
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZB37
4H011AC02
4H011AC04
4H011AC06
4H011BB09
(57)【要約】
この発明は、その最も広い態様において、本願明細書において提供するような式Iの化合物、当該化合物を含む製剤、および対応するそれらの使用であって、外部寄生虫、特にノミおよび蚊をはじめとする昆虫類の外部寄生虫、ならびに/またはマダニおよびダニ類等をはじめとするクモ類の外部寄生虫の、侵入を減少させるための当該使用に関する。また、この発明の製剤を調製するための方法、ならびに本願明細書において提供する化合物および/または製剤を使用して外部寄生虫を制御するための方法も本明細書で提供する。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物であってそれらの塩および溶媒和化合物を含めていずれかから選択される、化合物:
2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
3-エチニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン
3-[(2S)-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン
3-[(2S)-2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-3-(2-フェニル-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン
2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、および
7-(2-エトキシピリジン-5-イル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。
【請求項2】
好ましくは蚊またはマダニである外部寄生虫の侵入を減少させるための以下の式(I)の化合物またはその塩もしくは結晶の使用:
式中、
X は、Xに結合する
が二重結合である場合、C-R7およびNから選択され、または
Xに結合する
が単結合である場合、C(R72およびN-R7から選択され、
Y は、Yに結合する
のうちの一つが二重結合である場合、C-R8およびNから選択され、または
Yに結合する
のうちのいずれもが二重結合でない場合、C(R82およびN-R8から選択され、
1およびR2 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、
3、R4、R5 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、または
式中、任意でR1およびR4、または任意でR3およびR5は一緒になって、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、および-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択される基Zを形成するものであり、式中各R9は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、
は、それぞれ独立して、単結合または二重結合を示し、
A は、結合および-L1-L2-L3-L4-から選択され、式中、L1は、XおよびYを含有する環に結合され、式中、
L1 は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、および/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L2 は、結合、-O-、ならびにハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L3 は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
L4 は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
7およびR8 は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択され、また
任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールの任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択される。
【請求項3】
好ましくは蚊またはマダニである外部寄生虫の侵入の治療に使用するための、以下の式(I)の化合物もしくはその塩もしくは結晶、または前記以下の式(I)の化合物もしくはその塩もしくは結晶および担体を含む製剤:
式中、
X は、Xに結合する
が二重結合である場合、C-R7およびNから選択され、または
Xに結合する
が単結合である場合、C(R72およびN-R7から選択され、
Y は、Yに結合する
のうちの一つが二重結合である場合、C-R8およびNから選択され、または
Yに結合する
のうちのいずれもが二重結合でない場合、C(R82およびN-R8から選択され、
1およびR2 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、
3、R4、R5 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、または
式中、任意でR1およびR4、または任意でR3およびR5は一緒になって、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、および-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択される基Zを形成するものであり、式中各R9は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、
は、それぞれ独立して、単結合または二重結合を示し、
A は、結合および-L1-L2-L3-L4-から選択され、式中、L1は、XおよびYを含有する環に結合され、式中、
L1 は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、および/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L2 は、結合、-O-、ならびにハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L3 は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
L4 は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
7およびR8 は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択され、また
任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールの任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択される。
【請求項4】
XおよびYを含有する前記環は、一または二つのみの二重結合、好ましくは一つの二重結合を含有する、請求項2に記載の使用または請求項3に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項5】
前記式(I)の化合物が、以下の式(Ig)で表される、請求項2もしくは4に記載の使用または請求項3もしくは4に記載の使用のための化合物もしくは製剤:
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、請求項2に規定するとおりである。
【請求項6】
前記式(I)の化合物が、以下の式(Il)で表される、請求項2、4および5のいずれか一項に記載の使用または請求項3から5のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤:
式中、
1、R2、R3、R4、R5、R8、AおよびXは、請求項2に規定するとおりである。
【請求項7】
1は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、およびアリールから、好ましくは水素、ハロゲン、ヘテロアルキル、およびアリールから、より好ましくは水素、ハロゲン、-O-アルキル、およびフェニルから選択される、請求項2および4から6のいずれか一項に記載の使用または請求項3から6のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項8】
2は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、およびアリールから、好ましくは水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロヘテロアルキルから、より好ましくは水素、ハロゲン、アルキニル、およびシクロヘテロアルキルから選択される、請求項2および4から7のいずれか一項に記載の使用または請求項3から7のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項9】
Zは、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から、好ましくは-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、および-NR9-CH2-から、より好ましくは-CH2-CH2-、および-CH=CH-から選択される、請求項2および4から8のいずれか一項に記載の使用または請求項3から8のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項10】
L1は、ハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から、好ましくはハロゲンおよび/またはメチルで任意で置換されたメチレン基から、より好ましくはメチレン基から選択される、請求項2および4から9のいずれか一項に記載の使用または請求項3から9のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項11】
L2は、結合、-O-、ならびにハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から、好ましくは結合、および-O-から、より好ましくは結合から選択される、請求項2および4から10のいずれか一項に記載の使用または請求項3から10のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項12】
L3およびL4がそれぞれ結合である、請求項2および4から11のいずれか一項に記載の使用または請求項3から11のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項13】
7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから、好ましくは水素、アルキルおよびハロアルキルから、より好ましくは水素およびメチルから選択される、請求項2および4から12のいずれか一項に記載の使用または請求項3から12のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項14】
製剤が、駆除剤として使用するためのものであり、および/または哺乳類に、特にヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、もしくはヒツジに、または物体もしくは布地に塗布される、請求項2および4から13のいずれか一項に記載の使用または請求項3から13のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【請求項15】
製剤または化合物が、局所用製剤、洗髪用組成物、洗浄用組成物、または治療組成物の形態で塗布されるものであり、前記局所用製剤、前記洗髪用組成物、前記洗浄用組成物、または前記治療組成物が、好ましくはローション、クリーム、軟膏、ゲル、泡沫、パッチ、粉末、固形物、スポンジ、テープ、蒸気、ペースト、チンキ、またはスプレーの形態である、請求項2および4から13のいずれか一項に記載の使用または請求項3から13のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その最も広い態様において、本明細書に提供される式Iの化合物、そのような化合物を含む製剤、ならびに外部寄生虫、特に昆虫、好ましくは蚊による寄生を低減させるためのその対応する使用に関する。また、この発明の製剤を調製するための方法、ならびに本願明細書において提供する化合物および/または製剤を使用して外部寄生虫を制御するための方法も本明細書で提供する。
【背景技術】
【0002】
動物またはヒトに寄生虫が寄生することは、非常に望ましくない。ヒトまたは動物、例えば、ウマ、イヌ、およびネコはすべて、多数の内部および外部寄生虫の宿主としての役目を果たすことができる。寄生虫の存在は、不快感、健康と遂行能力の低下、さらには死にさえもつながりうる。例えば、米国で毎年数百万匹のイヌやネコがノミ、マダニ、ダニの治療を受けている。ノミ、マダニ、およびダニの寄生は、ペットおよびヒトに大きな不快感を与え、病気を媒介する。
【0003】
蚊は病気の媒介者として重要である。それらは例えば、マラリア、寄生虫(フィラリア症)、ウイルス(例えば、黄熱病、デング熱、ウエストナイル熱、チクングニヤ熱、リフトバレー熱)、または細菌(野兎病)を媒介する。蚊から動物に感染する病気としては、ベネズエラウマ脳炎、粘液腫症やウサギペスト、家庭犬に寄生するディロフィラリア・レペンスやディロフィラリア・イミティスなどがある。
【0004】
また、蚊は大量に発生すると、それらは屋外に留まることができなくなるため、人間や動物の生活の質に大きな影響を与える。その結果、観光業や畜産業に経済的な打撃を与える可能性がある。
【0005】
いくつかの種類の殺虫剤は、寄生虫の駆除に有効である。例えば、ピレスロイド、有機リン酸エステル、有機カルバミン酸塩、およびフェニルピラゾールは、動物の寄生虫寄生を治療するために使用される。新たに発見されたイソキサゾリンクラスは、イヌおよびネコの外部寄生虫防除のために最近発売された。抗寄生虫剤を製剤化する様々な方法が当技術分野で公知である。これらの製剤には、経口治療薬、栄養補助食品、粉末、スプレー、局所用治療薬(例えば、浸すおよび注ぐ)、およびシャンプーが含まれる。これらの製剤の各々は、寄生虫の駆除にいくらかの効力を有するが、製剤は概して、合成殺虫剤または防虫剤を含む。合成殺虫剤は、ヒトおよび動物に有害な環境影響を引き起こすことが知られている。同様に、ピレスリンは、キクの花から抽出されるが、加工および規格化は困難である。
【0006】
天然殺虫剤、すなわち、天然植物精油を活性成分として含む殺虫剤は、スプレー、粉末、または液体の形態で、天然殺虫剤を保護したい場所または領域に塗布することで、アリ、ゴキブリ、およびノミなどの家に寄生する虫を殺すことが知られ、米国特許第5,439,690号、第5,693,344号、第6,114,384号、および第6,531,163号に開示されているとおりである。
【0007】
天然化合物または抽出物も、当技術分野で説明され、例えば、Jufri et al.(2016)International Journal of PharmTech Research 9,No.7,pp.140-145がある。
【0008】
さらに、たばこ(ニコチアナ属種)の葉、粉末、抽出物、または燻蒸剤は、医療的および獣医的に重要な農業害虫または寄生虫を防除するために、何世紀にもわたって使用されてきた。しかし、たばこの主要なアルカロイドであるニコチンに関する安全性の懸念と、より特異的で強力な合成殺虫剤の発見により、ニコチン系製品は現在市販されていない。合成ネオニコチノイドは、ニコチンと構造的に関連があり、農業用および獣医用殺虫剤として広く使用されている。しかし、たばこ関連のアルカロイドとは異なり、合成ネオニコチノイドは、昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に対する選択性が高く、脊椎動物のニコチン性受容体への結合は低い。その独自の物理化学的特徴(光安定性、非揮発性、および親水性)は、殺虫剤としての成功だけでなく、環境の広範囲な汚染につながる過剰な使用も説明する。ネオニコチノイドは、現在、生態系の存続にとって主要な懸念となっている。花粉を運ぶ動物、水中生物および土壌生物への影響が実証され、毒性プロファイルもかつて認識されていたよりも問題が多いことから、農業におけるその使用を制限または全面的に禁止し、世界的な合成殺虫剤の使用から脱却するための取り組みが推し進められている。
【0009】
たばこの主要アルカロイドであるニコチンまたは構造的に関連する合成ネオニコチノイドの使用に関連する懸念を考慮すると、異なる作用機序のためニコチンまたは合成ネオニコチノイドよりも安全性プロファイルが良好であり、より環境に優しい解決策を提供する、ヒトおよび/または動物の外部寄生虫の防除に使用するためのより有効な化合物および組成物に対するニーズは依然として存在する。公知の殺虫剤の多くは、特にイソオキサゾリン系などの全身に作用する殺虫剤では、完全には防除できず、外部寄生虫の咬傷を防げないため、媒介性疾患の感染リスクが高くなる。したがって、特に、外部寄生虫に対する忌避剤として活性を有する新規化合物および製剤を提供することが望ましい。したがって、外部寄生虫を死滅させるのではなく、このような化合物は、保護すべき領域または対象から外部寄生虫を遠ざけることができる。
【発明の概要】
【0010】
上記の技術的課題の解決策は、本明細書に提供される実施形態および特許請求の範囲において特徴付けられる。
【0011】
したがって、本発明は特に、以下の実施形態に関する。
【0012】
1.以下の化合物であってそれらの塩および溶媒和化合物を含めていずれかから選択される、化合物:
2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
3-エチニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン
3-[(2S)-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン
3-[(2S)-2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-3-(2-フェニル-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン
2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、および
7-(2-エトキシピリジン-5-イル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。
2.外部寄生虫の侵入を減少させるための以下の式(I)の化合物またはその塩もしくは結晶の使用:
【化1】
式中、
Xは、Xに結合する
が二重結合である場合、C-R7およびNから選択され、または
Xに結合する
が単結合である場合、C(R72およびN-R7から選択され、
Yは、Yに結合する
のうちの一つが二重結合である場合、C-R8およびNから選択され、または
Yに結合する
のうちのいずれもが二重結合でない場合、C(R82およびN-R8から選択され、
1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、
3、R4、R5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、または
式中、任意でR1およびR4、または任意でR3およびR5は一緒になって、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、および-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択される基Zを形成するものであり、式中各R9は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、
【化2】
は、それぞれ独立して、単結合または二重結合を示し、
Aは、結合および-L1-L2-L3-L4-から選択され、式中、L1は、XおよびYを含有する環に結合され、式中、
L1は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、および/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L2は、結合、-O-、ならびにハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L3は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
L4は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
7およびR8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択され、また
任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールの任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択される。
3.以下の化合物が除外される、項目2に記載の使用:
【化3】
式中、
Rは、水素またはC1-C5アルキルを表し、
【化4】
は、単結合または二重結合を表す。
4.XおよびYを含有する環は、一または二つのみの二重結合、好ましくは一つの二重結合を含有する、項目2または3に記載の使用。
5.式(I)の化合物が、以下の式(Ia)で表される、項目2から4のいずれか一つに記載の使用:
【化5】
式中、
1、R2、R4、A、X、YおよびZは、項目2に規定するとおりであり、また
は、単結合または二重結合を示す。
6.式(I)の化合物が、以下の式(Ib)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化6】
式中、
1、R2、R4、A、X、YおよびZは、項目2に規定するとおりであり、また
【化7】
は、単結合または二重結合を示す。
7.式(I)の化合物が、以下の式(Ic)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化8】
式中、
1、R2、R4、A、X、YおよびZは、項目2に規定するとおりであり、また
【化9】
は、単結合または二重結合を示す。
8.式(I)の化合物が、以下の式(Id)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化10】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
9.式(I)の化合物が、以下の式(Ie)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化11】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
10.式(I)の化合物が、以下の式(If)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化12】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
11.式(I)の化合物が、以下の式(Ig)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化13】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
12.式(I)の化合物が、以下の式(Ih)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化14】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
13.式(I)の化合物が、以下の式(Ii)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化15】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
14.式(I)の化合物が、以下の式(Ij)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化16】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
15.式(I)の化合物が、以下の式(Ik)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化17】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
16.式(I)の化合物が、以下の式(Il)で表される、項目1または2に記載の使用:
【化18】
式中、
1、R2、R3、R4、R5、R8、AおよびXは、項目2に規定するとおりである。
17.式(I)の化合物が、以下の式(Im)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化19】
式中、
1、R2、R3、R4、R5、R8、AおよびXは、項目2に規定するとおりである。
18.式(I)の化合物が、以下の式(In)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化20】
式中、
1、R2、R3、R4、R5、R8、AおよびXは、項目2に規定するとおりである。
19.式(I)の化合物が、以下の式(Io)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化21】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
20.式(I)の化合物が、以下の式(Ip)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化22】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
21.式(I)の化合物が、以下の式(Iq)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化23】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
22.式(I)の化合物が、以下の式(Ir)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化24】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
23.式(I)の化合物が、以下の式(Is)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化25】
式中、
1、R2、R4、R7、A、YおよびZは、項目2に規定するとおりである。
24.式(I)の化合物が、以下の式(It)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化26】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
25.式(I)の化合物が、以下の式(Iu)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化27】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
26.式(I)の化合物が、以下の式(Iv)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化28】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
27.式(I)の化合物が、以下の式(Iw)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化29】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
28.式(I)の化合物が、以下の式(Ix)で表される、項目1から3のいずれか一つに記載の使用:
【化30】
式中、
1、R2、R4、R8、A、XおよびZは、項目2に規定するとおりである。
29.R1は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、および任意で置換されたアリールから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
30.R1は、水素、ハロゲン、ヘテロアルキル、および任意で置換されたアリールから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
31.R1は、水素、ハロゲン、-O-アルキル、およびフェニルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
32.R2は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、および任意で置換されたアリールから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
33.R2は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、および任意で置換されたシクロヘテロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
34.R2は、水素、ハロゲン、アルキニル、および任意で置換されたシクロヘテロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
35.Zは、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
36.Zは、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9および-NR9-CH2-から選択され、好ましくはZが-CH2-CH2-または-CH=CH-であり、より好ましくはZが-CH2-CH2-である、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
37.L1は、ハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
38.L1は、ハロゲンおよび/またはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
39.L1はメチレン基である、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
40.L2は、結合、-O-、ならびにハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
41.L2は、結合、および-O-から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
42.L2は、結合である、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
43.L3は、結合、またはハロゲンおよび/もしくはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
44.L3は、結合である、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
45.L4は、結合、またはハロゲンおよび/もしくはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
46.L4は、結合である、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
47.R7は、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
48.R7は、水素、アルキル、およびハロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
49.R7は、水素またはメチルである、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
50.R8は、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
51.R8は、水素、アルキル、およびハロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
52.R8は、水素またはメチルである、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
53.各R9は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
54.各R9は、独立して、水素、アルキル、およびハロアルキルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
55.各R9は、独立して、水素およびメチルから選択される、項目2から27のいずれか一つに記載の化合物の使用。
56.化合物が、項目1に規定するとおりである、項目2に記載の化合物の使用。
57.式(I)の化合物は、exo-3-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、endo-3-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、2-メチル-3-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン、2-メチル-3-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン、3-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)ピリジン二塩酸塩、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル)ピリジン二塩酸塩、2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩、2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩、2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩、3-エチニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩、2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン二塩酸塩、3-[(2S)-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン二塩酸塩、3-[(2S)-2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン二塩酸塩、2-メチル-3-(3-ピリジニル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、3-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、3-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン、2-メチル-3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン塩酸塩、5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、2-メチル-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、5-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン塩酸塩、5-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、7-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、3-(2-ピペリジルメトキシ)ピリジン、3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン、2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン、2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、7-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、7-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、およびその塩または結晶から選択される、項目2に記載の化合物の使用。
58.好ましくは外部寄生虫の侵入の治療のための外部寄生虫撲滅薬として、外部寄生虫の侵入の治療に使用するための、項目2から57のいずれかに規定する化合物もしくはその塩もしくは結晶、または項目2から57のいずれかに規定する化合物もしくはその塩もしくは結晶を含む製剤。
59.化合物または製剤が、外部寄生虫撲滅薬として使用するためのものである、項目2から57のいずれか一つに記載の使用、または項目58に記載の使用のための化合物もしくは使用のための製剤。
60.化合物または製剤が、駆除剤として使用するためのものである、項目2から57のいずれか一つに記載の使用、または項目58に記載の使用のための化合物もしくは使用のための製剤。
61.製剤または化合物が、局所用製剤、洗髪用組成物、洗浄用組成物、または治療組成物の形態で塗布される、項目2から57のいずれか一つに記載の使用、または項目58に記載の使用のための化合物もしくは使用のための製剤。
62.局所用製剤、洗髪用組成物、洗浄用組成物、または治療組成物が、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、泡沫、パッチ、粉末、固形物、スポンジ、テープ、蒸気、ペースト、チンキ、またはスプレーの形態である、項目61に記載の使用または使用のための化合物または使用のための製剤。
63.製剤または化合物が、哺乳類に、特にヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、またはヒツジに塗布される、項目61または62に記載の使用または使用のための化合物または使用のための製剤。
64.製剤または化合物が、物体または布地に塗布される、項目61または62に記載の使用または使用のための化合物または使用のための製剤。
【0013】
式(I)の化合物がその使用の文脈で説明されてきたが、本開示はまた、この化合物それ自体、ならびに式(1a)~(1x)などの式(I)の任意の特定の化合物それ自体に関することが理解されよう。
【0014】
本発明は、特に、その塩および溶媒和物を含む化合物に関するものである:
2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
3-エチニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン
2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン
3-[(2S)-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン
3-[(2S)-2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-3-(2-フェニル-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン
2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、および
7-(2-エトキシピリジン-5-イル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。
【0015】
これらの化合物は、より具体的には、以下から選択される:
2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩
2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩
3-エチニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジンジ二塩酸塩
2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン二塩酸塩
3-[(2S)-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]ピリジン二塩酸塩
3-[(2S)-2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン二塩酸塩
2-メチル-3-(2-フェニル-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン塩酸塩
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン塩酸塩
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン
2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン
2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン、および
7-(2-エトキシピリジン-5-イル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。
【0016】
本発明はまた、外部寄生虫の侵入を減少させるための以下の式(I)の化合物またはその塩もしくは結晶の使用に関する:
【化31】
式中、
Xは、Xに結合する
【化32】
が二重結合である場合、C-R7およびNから選択され、または
Xに結合する
【化33】
が単結合である場合、C(R72およびN-R7から選択され、
Yは、Yに結合する
【化34】
のうちの一つが二重結合である場合、C-R8およびNから選択され、または
Yに結合する
【化35】
のうちのいずれもが二重結合でない場合、C(R82およびN-R8から選択され、
1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、
3、R4、R5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールから選択され、または
式中、任意でR1およびR4、または任意でR3およびR5は一緒になって、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、および-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択される基Zを形成するものであり、式中各R9は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、
【化36】
は、それぞれ独立して、単結合または二重結合を示し、
Aは、結合および-L1-L2-L3-L4-から選択され、式中、L1は、XおよびYを含有する環に結合され、式中、
L1は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、および/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L2は、結合、-O-、ならびにハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/またはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択され、
L3は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
L4は、結合、またはハロゲン、アルキル、ハロアルキルおよび/もしくはヘテロアルキルで任意で置換されたメチレン基であり、
7およびR8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択され、また
任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール、および任意で置換されたヘテロアリールの任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択される。
【0017】
別段の示唆がない限り、以下の定義が本明細書全体に適用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「任意」、「任意に」および「してもよい」は、示された特徴が存在してもよいが、存在しないこともあり得ることを表す。「任意」、「任意に」、または「してもよい」という用語が使用されている場合、本発明は、対応する特徴が存在する、または代替的に対応する特徴が存在しないという両方の可能性に特に関連する。例えば、「XはYで任意に置換されている」(または「XはYで置換されていてもよい」)という表現は、XがYで置換されているか、または置換されていないことを意味する。同様に、組成物の成分が「任意」であると示されている場合、本発明は、対応する成分が存在する(組成物に含まれる)こと、または対応する成分が組成物から欠落していることの両方の可能性に具体的に関連するものである。
【0019】
本明細書では、様々な基が「任意に置換されている」ことを指す。一般に、これらの基は、例えば、一つ、二つ、三つまたは四つの置換基のような一つ以上の置換基を担持し得る。置換基の最大数は、置換部位で利用可能な付着部位の数によって制限されることが理解されるであろう。別途定義されない限り、本明細書において言及される「任意に置換された」基は、好ましくは二つ以下の置換基を担持し、特に、一つの置換基のみを担持してもよい。さらに、別段の定義がない限り、任意の置換基が存在しない、すなわち、対応する基が非置換であることが好ましい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、またはヨード(-I)を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖状または分枝状でありうる一価の飽和非環式(すなわち、非環式)炭化水素基を指す。したがって、「アルキル」基は、いかなる炭素間二重結合もいかなる炭素間三重結合も含まない。用語「アルキル」は、好ましくは、C1-6アルキルを指す。「C1-6 アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。好ましい例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピルまたはイソプロピル)、またはブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチル)である。別途定義されない限り、用語「アルキル」は、C1-4アルキルを指し、より好ましくはメチルまたはエチル、さらにより好ましくはメチルを指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから独立して選択され、好ましくはすべてのフルオロ原子である一つ以上の(好ましくは1~6、より好ましくは1~3の)ハロゲン原子で置換されるアルキル基を指す。ハロゲン原子の最大数は、利用可能な付着部位の数によって制限され、したがって、ハロアルキル基のアルキル部分に含まれる炭素原子の数に依存することが理解されよう。「ハロアルキル」は、例えば、-CF3、-CHF2、-CH2F、-CF2-CH3、-CH2-CF3、-CH2-CHF2、-CH2-CF2-CH3、-CH2-CF2-CF3、または-CH(CF32 を指し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、-CH2-基のうちの一つまたは二つが、それぞれ独立して、-O-、-S-、および-N(C1-6アルキル)-から選択される基で置換されたアルキル基を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、直鎖状または分枝状であってもよく、一つ以上の(例えば、一つまたは二つの)炭素間二重結合を含む一方、炭素間三重結合を含まない一価不飽和非環式炭化水素基を指す。「C2-6アルケニル」という用語は、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基を指す。好ましい例示的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル(例えば、プロプ-1-エン-1-イル、プロプ-1-エン-2-イル、またはプロプ-2-エン-1-イル)、ブテニル、ブタジエニル(例えば、ブタ-1,3-ジエン-1-イルまたはブタ-1,3-ジエン-2-イル)、ペンテニル、またはペンタジエニル(例えば、イソプレニル)である。別途定義されない限り、用語「アルケニル」は、好ましくは、C2-6アルケニル、より好ましくはC2-4アルケニルを指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、直鎖状または分枝状であってもよく、一つ以上の(例えば、一つまたは二つの)炭素間三重結合、または任意に一つ以上の炭素間二重結合を含む一価不飽和非環式炭化水素基を指す。「C2-6アルキニル」という用語は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基を指す。好ましい例示的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、またはブチニルである。別途定義されない限り、用語「アルキニル」は、好ましくは、C2-6アルキニル、より好ましくはC2-4アルキニルを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、単環式芳香族環ならびに少なくとも一つの芳香族環を含有する架橋環および/または融合環系(例えば、二つまたは三つの融合環からなる環系であって、これらの融合環のうちの少なくとも一つが芳香族である、または二つまたは三つの環からなる架橋環系であって、これらの架橋環のうちの少なくとも一つが芳香族である)を含む、芳香族炭化水素環基を指す。「アリール」は、例えば、フェニル、ナフチル、ジアリニル(すなわち、1,2-ジヒドロナフチル)、テトラリニル(すなわち、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル)、アントラセニル、またはフェナントレニルを指し得る。別途定義されない限り、「アリール」は、好ましくは6~14個の環原子、より好ましくは6~10個の環原子を有し、最も好ましくはフェニルを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、芳香族環基を指し、単環式芳香族環、ならびに少なくとも一つの芳香環を含む架橋環および/または融合環系(例えば、二つまたは三つの融合環からなる環系であって、これらの融合環の少なくとも一つは芳香族である、または二つまたは三つの環からなる架橋環系であって、これらの架橋環のうちの少なくとも一つは芳香族である)を含み、前述の芳香環基が、一つ以上の(例えば、例えば、一つ、二つ、三つ、または四つの)、O、SおよびNから独立して選択される環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素原子であり、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は、任意に酸化されてもよく、さらに、一つ以上の炭素環原子が任意に酸化されてもよい(すなわち、オキソ基を形成する)。「ヘテロアリール」は、例えば、チエニル(すなわち、チオフェニル)、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル(すなわち、フラニル)、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンセニル、フェノキサチニル、ピロリル(例えば、2H-ピロリル)、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル(すなわち、ピリジニル;例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、または4-ピリジル)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル(例えば、3H-インドリル)、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、ベータカルボリニル、フェナンスリジニル、アクリジニル、パーミジニル、フェナンスロリジニル(例えば、[1,10]フェナントロリニル、[1,7]フェナントロリニル、または[4,7]フェナントロリニル)、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)、1,2-ベンゾイソキサゾール-3-イル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリル、クマリンまたはクロモニルを指し得る。別段の定義がない限り、「ヘテロアリール」は、好ましくは、O、SおよびNから独立に選択される一つ以上(例えば、一つ、二つ、三つまたは四つの)環ヘテロ原子を含む5~14員(より好ましくは5~10員)の単環式または融合環系を指し、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は任意に酸化され、一つ以上の炭素環原子は任意に酸化され、さらに好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、SおよびNから独立して選択される一つ以上の(例えば、一つ、二つまたは三つの)環ヘテロ原子を含む5または6員の単環式環を指し、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は任意に酸化され、一つ以上の炭素環原子は任意に酸化される。用語「ヘテロアリール」の特に好ましい例は、ピリジルである。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、単環式環ならびに架橋環、スピロ環、および/または融合環系(例えば、二つまたは三つの環からなる場合もある、例えば、二つまたは三つの融合環からなる融合環系)を含む、飽和炭化水素環基を指す。「シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはアダマンチルを指し得る。別途定義されない限り、「シクロアルキル」は、好ましくはC3-11シクロアルキルを指し、より好ましくはC3-8シクロアルキルを指す。特に好ましい「シクロアルキル」は、3~8個の環員を有する単環式飽和炭化水素環である。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「シクロヘテロアルキル」(「ヘテロシクロアルキル」としても称され得る)は、飽和環状基を指し、単環式環、ならびに架橋環、スピロ環および/または融合環系(例えば、二つまたは三つの融合環からなる融合環系などの二つまたは三つの環からなり得る)を含み、前述の環状基が、O、SおよびNから独立して選択される一つ以上の(例えば、例えば、一つ、二つ、三つ、または四つの)環ヘテロ原子を含み、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は、任意に酸化されてもよく、さらに、一つ以上の炭素環原子が任意に酸化されてもよい(すなわち、オキソ基を形成する)。「シクロヘテロアルキル」は、例えば、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル(例えば、モルホリン-4-イル)、ピラゾリジニル、テトラヒドロチエニル、オクタヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニルまたは2-オキサ-5-アザビシクロ[2・2・1]ヘプト-5-イルを指し得る。別段の定義がない限り、「シクロヘテロアルキル」は、好ましくは、単環式環または融合環系(例えば、二つの融合環からなる融合環系)である、3~11員飽和環状基を指し、当該環状基が、O、SおよびNから独立して選択される一つ以上(例えば、一つ、二つ、三つまたは四つの)環ヘテロ原子を含み、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は任意に酸化され、一つ以上の炭素環原子は任意に酸化され、さらに好ましくは、「シクロヘテロアルキル」は、O、SおよびNから独立して選択される一つ以上の(例えば、一つ、二つまたは三つの)環ヘテロ原子を含む5~8員の単飽和単環式環基を指し、一つ以上のS環原子(存在する場合)および/または一つ以上のN環原子(存在する場合)は任意に酸化され、一つ以上の炭素環原子は任意に酸化される。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「一緒になる」は、二つの基が結合して単一の基をなることを意味する。当然のことながら、この単一の基は二価基である。したがって、用語「R3およびR5は、一緒になって基Zを形成する」は、好ましくは、R3およびR5が(理論上)連結して二価基(-R3-R5-)を形成することを示し、ここで、(理論上)二価基(-R3-R5-)は次にZで置換される。言い換えれば、二価基Zは、R3が結合していた炭素に一方の結合で結合し、R5が結合していた炭素に他方の結合で結合している。
【0031】
本発明はさらに、外部寄生虫寄生の治療に使用するための、そのような化合物および、そのような化合物を含有する製剤に関する。
【0032】
外部寄生虫は、好ましくは、ノミ、蚊などの昆虫類、および/またはマダニやダニ類を含むクモ類であることが好ましい。好ましくは、昆虫類、より好ましくはノミおよび蚊、さらにより好ましくは蚊である。
【0033】
任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール(任意で置換されたフェニルを含む)、および任意で置換されたヘテロアリール(任意で置換されたピリジルを含む)の任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択される。好ましくは、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキル、任意で置換されたアリール(任意で置換されたフェニルを含む)、および任意で置換されたヘテロアリール(任意で置換されたピリジルを含む)の任意の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキルおよびヘテロアルキル、より好ましくは、ハロゲン、メチル、メトキシおよびエチル、さらにより好ましくは、ハロゲンから選択される。
【0034】
以下の化合物は、好ましくは除外される:
【化37】
式中、
Rは、水素またはC1-C5アルキルを表し、
【化38】
は、単結合または二重結合を表す。
【0035】
好ましくは、XおよびYを含有する環は、一または二つのみの二重結合、好ましくは一つの二重結合を含有する。当然のことながら、Zに存在し得る二重結合は、この二重結合の数には考慮されない。
【0036】
Xに結合した
【化39】
が二重結合である場合、Xは、C-R7から選択されることが好ましい。同様に、Yに結合した
【化40】
の一つが二重結合である場合、Yは、C-R8から選択されることが好ましい。
【0037】
式(I)の化合物の具体的な例は、以下の式(Ia)~(Ix)によって表され、式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、A、X、YおよびZは上記に定義されるとおりであり、
【化41】
は、単結合または二重結合を示す。
【化42-1】
【化42-2】
【0038】
これらの化合物に関して、明示的に言及されていない任意の置換基は、式(I)の化合物に関して上記に記載されるように、および以下の好ましい実施形態に記載されるように定義されるとみなされることが理解されるべきである。
【0039】
1は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキルおよび任意で置換されたアリールから選択されることが好ましい。より好ましくは、R1は、水素、ハロゲン、ヘテロアルキルおよびアリールから選択される。さらにより好ましくは、R1は、水素、ハロゲン、-O-アルキルおよびフェニルから選択される。
【0040】
2は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキル、任意で置換されたシクロヘテロアルキルおよび任意で置換されたアリールから選択されることが好ましい。より好ましくは、R2は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルキニル、任意で置換されたシクロアルキルおよび任意で置換されたシクロヘテロアルキルから選択される。さらにより好ましくは、R2は、水素、ハロゲン、アルキニル、および任意で置換されたシクロヘテロアルキルから選択される。
【0041】
Zは、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、-NR9-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NR9-、-NR9-CH2-CH2-、および-CH2-NR9-CH2-から選択されることが好ましい。より好ましくは、Zは、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH2-NR9、および-NR9-CH2-から選択される。さらにより好ましくは、Zは-CH2-CH2-である。他の実施形態では、特に、YがNまたはNR9である場合、Zが-CH=CH-であることが好ましい。
【0042】
L1は、ハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択されることが好ましい。より好ましくは、L1は、ハロゲンおよび/またはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択される。さらにより好ましくは、L1はメチレン基である。
【0043】
さらに、L1はカルボニル基であってもよいことが企図される。
【0044】
L2は、結合、-O-、ならびにハロゲンおよび/またはアルキルで任意で置換されたメチレン基から選択される、メチレン基から選択されることが好ましい。より好ましくは、L2は、結合および-O-から選択される。さらにより好ましくは、L2は結合である。
【0045】
L2は、-N(H)-基または-N(C1-6アルキル)-基であってもよいことがさらに企図される。
【0046】
L3は、結合またはハロゲンおよび/もしくはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択されることが好ましい。より好ましくは、L3は結合である。
【0047】
L4は、結合またはハロゲンおよび/もしくはメチルで任意で置換されたメチレン基から選択されることが好ましい。より好ましくは、L4は結合である。
【0048】
L3およびL4はそれぞれ結合であることが好ましい。言い換えれば、Aが-L1-L2-に対応することが好ましい。
【0049】
Aが結合または-CH2-O-であり、式(I)に示されるように、-CH2基がXおよびYを含有する環に結合することが特に好ましい。
【0050】
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、およびヘテロアルキルから選択されることが好ましい。より好ましくは、R7は、水素、アルキルおよびヘテロアルキルから選択される。さらにより好ましくは、R7は水素またはメチルである。
【0051】
8は、好ましくは、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから選択される。より好ましくは、R8は、水素、アルキルおよびハロアルキルから選択される。さらにより好ましくは、R8は水素またはメチルである。
【0052】
各R9は、水素、アルキル、ハロアルキルおよびヘテロアルキルから独立して選択されることが好ましい。より好ましくは、各R9は、水素、アルキルおよびハロアルキルから独立して選択される。さらにより好ましくは、各R9は、水素およびメチルから独立して選択される。
【0053】
発明者らは、驚くべきことに、式Iの化合物が、外部寄生虫、特にノミおよび蚊を含む昆虫類、ならびに/または特にマダニ、およびダニを含むクモ類からの外部寄生虫による寄生の低減、特に蚊およびダニによる寄生の低減において改善された効果を有することを、予想外に発見した。添付の実施例に示されるように、式Iの化合物の効果は、たばこ抽出物中に含まれる最も効果的な防虫剤として先行技術で考えられているニコチンの効果よりも特に改善されている。また、外部寄生虫からの保護に用いられる殺虫剤よりも毒性が低く、特に皮膚に対する刺激性が低いことが想定される。
【0054】
本発明において、外部寄生虫の寄生を減少させることは、本発明の製剤もしくは化合物の防虫活性、および/または本発明の製剤もしくは化合物の殺傷活性を介して達成され得る。したがって、本発明の製剤または化合物は、ノミおよび蚊を含む昆虫ならびに/またはクモ類、特にマダニおよびダニなどの外部寄生虫に対する防虫活性および殺傷活性の両方、または防虫活性もしくは殺傷活性を有し得る。防虫および/または殺傷活性は、本明細書に提供される方法、特に本明細書の以下の実施例のセクションで採用される方法を使用して決定され得る。本発明内では、好ましくは、活性成分を含まず、かつ同一のアッセイ方法を適用する対照と比較した場合、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の寄生減少が達成されることが好ましい。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明は、外部寄生虫、特にノミおよび蚊を含む昆虫類ならびに/またはマダニおよびダニ、特にマダニを含むクモ類などの制御のための、しかし好ましくは昆虫の制御のための、より好ましくはマダニおよび蚊の制御のための、式Iの化合物またはその塩もしくは結晶の使用に関する。
【0056】
本明細書で使用される化合物、または本発明の製剤に含まれる化合物は、純粋な形態であるか、または例えば、好適な賦形剤もしくは添加剤と組み合わされ得る。
【0057】
本発明のより特に好ましい実施形態では、化合物は、ラセミ体であるか、または一つのエナンチオマー形態がエナンチオマー過剰で存在し得る。したがって、本発明に存在する化合物は、S-もしくはR-であってもよく、または両方のエナンチオマー形態の間の任意の比率で存在してもよい。
【0058】
本発明では、式Iの化合物または本発明の製剤は、局所用製剤の形態で適用し得る。
【0059】
当業者は、様々な局所用製剤を認識する。しかしながら、本発明では、局所用製剤は、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、発泡体、パッチ、粉末、固体、スポンジ、テープ、蒸気、ペースト、またはチンキの形態であることが好ましい。局所用製剤はさらに、注ぐ、塗る、および吹きかける製剤などの液体製剤から選択され得ることが好ましい。
【0060】
したがって、本発明の一実施形態では、化合物は、哺乳類、特にヒト、イヌ、ネコ、ウシ、またはウマの皮膚に塗布される。
【0061】
本発明の化合物または製剤は、広範な寄生虫に対して有効であるが、本発明内では、寄生虫は、特に節足動物門の外部寄生虫であることが好ましく、より具体的には、ノミおよび蚊を含む昆虫類、ならびに/または、特にマダニおよびダニなどのクモ類からの外部寄生虫であるが、外部寄生虫はマダニまたは蚊であることが好ましい。
【0062】
したがって、本発明の一実施形態では、本発明の化合物または製剤を、殺虫剤または外部寄生虫撲滅薬として使用することが提供される。
【0063】
本発明のさらなる実施形態では、本発明の化合物または製剤を、昆虫防虫剤、マダニ防虫剤、または外部寄生虫防虫剤として使用することが提供される。
【0064】
本発明のさらなる態様および実施形態は、この説明が続くにつれて明らかになるであろう。
【0065】
別途定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。
【0066】
エナンチオマー過剰を特徴付けるのに使用される用語「約」は、別途指示がない場合、所与の数値に対して±4%を意味する。各々の発明の実施形態において、「約」は削除することができる。
【0067】
「好ましくは」という用語は、本発明に必須ではないが、改善された技術的効果をもたらす可能性があり、したがって望ましいが必須ではない特徴または実施形態を記述するために使用される。
【0068】
本明細書に記載の数値に関しては、別段の明白な記載がない限り、数値の小数点第二位は、その精度の度合いを示すことが好ましい。したがって、他の誤差マージンが与えられない限り、最大マージンは、小数点第二位を四捨五入することによって確認することが好ましい。したがって、2.5の値は、好ましくは、2.45~2.54の誤差マージンを有する。
【0069】
以下において、別段の記載がない限り、式Iの化合物に関する言及は、式Ia、Ibの化合物などにも関連する言及であるとみなされる。しかしながら、本発明による使用の文脈では、式Iの化合物に関する文献は、その塩または結晶を含む式Iの化合物全般、好ましくは式Ia、Ibなどの化合物に関するものとして理解されるべきである。
【0070】
当業者が認識するように、式(I)の化合物は、SおよびRでの二つのエナンチオマー形態で存在することができる。本発明の式Iの化合物は、RおよびSの任意の全体的な比で存在してもよく、代替的に、(R)のエナンチオマー過剰としてとして表され、これは驚くべきことにSよりもさらに有効であることが示された。
【0071】
本明細書で使用される場合、RおよびSの「比」は、別段の明示的な記載がない限り、RおよびS-の重量比を指すことが理解されるべきである。Rおよび/またはSの溶媒和化合物を使用する場合、溶媒はこの計算では無視される。言い換えれば、RとSの比は、以下のように計算される。
【数1】
【0072】
当業者に公知のように、キラリティーのみが異なる化合物の比は、RおよびSの場合のように、当該技術分野で公知のいくつかの方法で決定することができ、限定されるものではないが、キラル支持体を使用するクロマトグラフィー、偏光の回転の偏光測定、キラルシフト試薬を使用する核磁気共鳴分光法、またはモッシャー酸などのキラル化合物を使用する化合物の誘導体化とそれに続くクロマトグラフィーまたは核磁気共鳴分光法が含まれる。エナンチオマーは、当業者に公知の方法によって混合物からさらに単離することができ、この方法には、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、および共結晶中に存在する特定の水素結合相互作用の形成を利用する、キラル共結晶化技術による、ラセミ体、すなわち直接分別結晶化が含まれる(Springuel GR,et al.,2012;および米国特許第6,570,036号を参照)。有用な共結晶化パートナーには、マンデル酸、リンゴ酸、酒石酸、およびその誘導体のエナンチオマーが含まれる。またはエナンチオマーは、不斉合成によって調製することができる。例えば、Eliel and Wilen,1994を参照のこと。
【0073】
本発明の組成物のRおよびS(キラル純度とも呼ぶことができる)の比はまた、そのエナンチオマー過剰(ee)として表すこともでき、典型的かつ好ましくは、キラルHPLCで決定され、以下の式で計算される:
ee=(AR-AS)/(AR+AS)×100%、
式中、試料溶液のHPLCクロマトグラムにおいて、ARは、Rのピーク面積であり、ASは、Sのピーク面積である。
【0074】
式Iaの化合物、特にアナタビンは、本発明の製剤中、または溶媒和化合物もしくは共結晶として本明細書に提供される使用中に存在し得る。
【0075】
この点で、本発明において、「溶媒和化合物」とは、一つ以上の溶媒分子と、RまたはSのいずれかの会合または複合体を指す。溶媒和化合物を形成する溶媒の例としては、以下に限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが挙げられる。用語「水和物」は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0076】
「共結晶」は、周囲条件下で、その純粋な形態で固体である、少なくとも二つの異なる化合物を含有する結晶構造を指す。少なくとも二つの異なる化合物は、Rおよび/またはS、および/または本明細書に提供される組成物または製剤の任意のさらなる成分を含み得る。共結晶は、中性の分子種から作られ、すべての種は結晶化後も中性のままである。さらに、典型的には、それらは二つ以上の構築化合物が定義された化学量論比で存在する、結晶性均質相材料であることが好ましい。これに関して、Wang Y and Chen A,2013;およびSpringuel GR,et al.,2012;および米国特許第6,570,036号を参照されたい。RおよびSは、任意の多形の形態であってもよいことが理解されるべきである。このような共結晶を調製するための様々な共結晶および技術が、王立化学会が2012年に発行し、Johan WoutersおよびLuc Quereによって編集されたRSC Drug Discovery、Pharmaceutical Salts and Co-crystalsの特に15章および16章に記載されている。共結晶形成剤の好ましい例は、本参照の表16.1に開示されているものである。さらにより好ましい共結晶には、α-ヒドロキシ酸、α-ケト酸、および/またはα-ケトアミドと、本明細書に開示される(R)対(S)比のエナンチオマーとの共結晶が含まれる。α-ヒドロキシ酸の例としては、アトロラクチン酸、ベンジル酸、4-クロロマンデル酸、クエン酸、3,4-ジヒドロキシマンデル酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、グリコール酸、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシオクタン(hydroxyactanoic)酸、2-ヒドロキシノナン酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシウンデカン酸、4-ヒドロキシマンデル酸、3-ヒドロキシ-4-メトキシマンデル酸、4-ヒドロキシ-3-メトキシマンデル酸、α-ヒドロキシアラキドン酸、α-ヒドロキシ酪酸、α-ヒドロキシイソ酪酸、α-ヒドロキシラウリン酸、α-ヒドロキシミリスチン酸、α-ヒドロキシパルミチン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、3-(2’-ヒドロキシフェニル)乳酸、3-(4’-ヒドロキシフェニル)乳酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、メチル乳酸、ピルビン酸メチル、ムチン酸、α-フェニル酢酸、α-フェニルピルビン酸、ピルビン酸、サッカリン酸、酒石酸およびタルトロン酸が挙げられる。ケト酸の例としては、2-ケトエタン酸(グリオキシル酸)、2-ケトエタン酸メチル、2-ケトプロパン酸(ピルビン酸)、2-ケトプロパン酸メチル(ピルビン酸メチル)、2-ケトプロパン酸エチル(ピルビン酸エチル)、2-ケトプロパン酸プロピル(ピルビン酸プロピル)、2-フェニル-2-ケトエタン酸(ベンゾイルギ酸)、2-フェニル-2-ケトエタン酸メチル(ベンゾイルギ酸メチル)、2-フェニル-2-ケトエタン酸エチル(ベンゾイルギ酸エチル)、3-フェニル-2-ケトプロパン酸(フェニルピルビン酸)、3-フェニル-2-ケトプロパン酸メチル(フェニルピルビン酸メチル)、3-フェニル-2-ケトプロパン酸エチル(フェニルピルビン酸エチル)、2-ケトブタン酸、2-ケトペンタン酸、2-ケトヘキサン酸、2-ケトヘプタン酸、2-ケトオクタン酸、2-ケトドデカン酸および2-ケトオクタン酸メチルが挙げられる。α-ケトアミドの例としては、上述の実施例のいずれか一つを、一級アミンまたは二級アミンと反応させることによって得られる任意の化合物が挙げられる。
【0077】
また、本発明の化合物または製剤は、寄生虫である昆虫および/またはクモ類の防除における使用のため、特に外部寄生虫である昆虫および/クモ類の防除での使用のため、特にその寄生を減少させるために提供される。したがって、本発明は、特に、外部寄生虫、特に節足動物門由来の外部寄生虫、より具体的には、ノミおよび蚊を含む昆虫類、ならびに/またはマダニ、特にダニを含むクモ類由来の外部寄生虫の寄生を減少させるため、好ましくは蚊による寄生を減少させるための、本明細書に提供される化合物または製剤の使用に関する。
【0078】
本発明の文脈において、昆虫は特に蚊であり得る。特に、この蚊という用語には、Anophelinae亜科およびCulicinae亜科を含む、Culicidae科のメンバーが含まれると理解される。しかしながら、本発明では、用語「昆虫」は、以下の目の昆虫を含む: チョウ目、甲虫目、同翅目、異翅目、双翅目、アザミウマ目、バッタ目、シラミ目、ノミ目、ハジラミ目、シミ目、等翅目、チャタテムシ目、およびハチ目。しかし、本発明は、特に、ヒトまたは動物を悩ませ、病原体を運ぶもの、例えば、イエバエ、オーストラリアブッシュフライ、秋のイエバエ、ヒメイエバエ、ニクバエ、ヒツジキンバエ、ウシバエ、キスジウシバエ、クロバエ(Chrysomyia chloropyga)、ヒトヒフバエ、ラセンウジバエ、ウマバエ、ヒツジバエ、サシバエ、ノサシバエなどのハエ、および長角亜目、例えば、ユスリカ、ヌカカ科、ブユ科、フレボトマ(Phlebotoma)属およびルツォミヤ属を含むチョウバエ科、例えばネコノミおよびイヌノミ(ネコおよびイヌのノミ)、ケオピスネズミノミ、ヒトノミ、デルマトフィルスペネトランス(Dermatophilus penetrans)などのノミ(ノミ目)、ヘマトピナス属、ソレノポテス属、ケモノホソジラミ属、ヒトジラミなどの吸血シラミ(シラミ目)、ヒツジ(ダマリナ)ハジラミおよびウシハジラミなどのハジラミ(ハジラミ目)、サシバエおよびウシアブ(アブ科)、ゴマフアブなどのゴマフアブ(Haematopota)属、タバヌス・ニグロビタツス(Tabanus nigrovittatus)などのアブ属、クリソプス・カエキュチエンス(Chrysops caecutiens)などのメクラアブ属、ツェツェバエ属などのツェツェバエ、迷惑な昆虫、特に、チャバネゴキブリ、コバネゴキブリ、およびワモンゴキブリなどのゴキブリに関する。
【0079】
本発明の文脈では、クモ類の外部寄生虫は、特にダニおよびマダニを含む、ダニ目の外部寄生虫であってもよい。ダニの代表は、例えば、ニワトリダニ、ヒゼンダニ、ヒツジキュウセンヒゼンダニ、およびヒツジツメダニ属である。代表的な公知のマダニは、例えばウシマダニ属、キララマダニ属、カクマダニ属(Anocentor)、カクマダニ属(Dermacentor)、チマダニ属、イボマダニ属、マダニ属、リピセンター属(Rhipicentor)、マルガロプス属、コイタマダニ属、ナガヒメダニ属、オトビウス属、およびヒメダニ属などであり、好ましくは、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの家畜を含む温血動物、ニワトリ、七面鳥、ガチョウなどの家禽、ミンク、キツネ、チンチラ、ウサギなどの毛皮を有する動物、ならびにイヌおよびネコなどのコンパニオン動物に寄生するが、ヒトにも寄生する。
【0080】
マダニは、硬いマダニと柔らかいマダニに分けられ得る。硬いマダニは、一匹、二匹、または三匹の宿主動物に寄生することによって特徴付けられる。それらは、通りかかった宿主動物に付着し、血液または体液を吸う。満腹になったメスのマダニは、宿主動物から落下し、幼虫がふ化する床またはその他の保護された場所の適切なひび割れに大量の卵(2000~3000)を産む。これらはまた、宿主動物を探して、そこから血液を吸う。一匹の宿主動物にのみ寄生するマダニの幼虫は、二回脱皮して若虫となり、選択した宿主から離れることなく、最終的には成虫となる。二匹または三匹の宿主動物に寄生するマダニの幼虫は、血液を摂食した後、局所環境で脱皮し、マダニの若虫または成虫として第二または第三の宿主を探して、その血液を吸う。
【0081】
マダニは、世界中で多くのヒトおよび動物の疾患を媒介し、広めている。その経済的影響から、最も重要なマダニの属は、ウシマダニ属、コイタマダニ属、マダニ属、イボマダニ属、キララマダニ属、およびカクマダニ属である。これらはウイルス性、細菌性(リケッチアおよびスピロヘータ(Spyrochete)を含む)、および原生動物疾患の媒介体であり、マダニ麻痺症およびマダニ中毒症を引き起こす。一匹のマダニでさえ、その唾液が摂取中に宿主動物に入り込むと、麻痺を引き起こす可能性がある。マダニによって引き起こされる疾患は、通常、いくつかの宿主動物に寄生するマダニによって媒介される。このような疾患、例えば、アナプラズマ症、エーリキア症、バベシア症、タイレリア症、および心水病は、世界中の多数の飼育動物および家畜の死亡または障害の原因となっている。温暖な気候の多くの国では、マダニ属のマダニが、慢性的に有害なライム病の病原体を、野生動物からヒトに感染させる。疾患の感染以外にも、マダニは家畜生産における大きな経済的損失の原因となっている。損失は宿主動物の死に限定されるものではなく、毛皮の損傷、成長の低下、乳量の減少、および肉の価値の低下も含まれる。動物に対するマダニ寄生の有害な影響は長年知られており、マダニ防除プログラムを使用して大きな進歩を遂げてきたが、これまで、これらの寄生虫を防除または排除する完全に満足のいく方法は発見されておらず、さらにマダニはしばしば化学活性成分に対する耐性を発達させてきた。
【0082】
家畜およびペットへのノミの寄生も同様に、十分に解決されていないか、または相当な費用でしか解決できない問題を、所有者に依然として示している。マダニと同様に、ノミはやっかいなだけでなく、疾患の媒介体でもある。例えば、ここでは、治療が困難なイヌの重篤な皮膚疾患であるノミアトピー性皮膚炎(FAD)について言及する。ノミは、宿主動物から宿主動物へ、および動物飼育係へ、特に、例えば、地中海、米国南部などの暖かく湿った気候地域で、様々な真菌性疾患を伝染させる可能性がある。特にリスクが高いのは、免疫システムが弱まっている人や、免疫システムがまだ完全には発達していない子供である。それらの複雑なライフサイクルのために、ノミの防除のための公知の方法のいずれも完全に満足のいくものではなく、特に、ほとんどの公知の方法は、基本的に、毛皮の中のノミの成虫の防除を目的としているため、動物の毛皮の中だけでなく、床、カーペット、動物の寝具、椅子、庭、および感染した動物が接触するその他のすべての場所に存在する、ノミの様々な若年期には全く手つかずである。ノミの治療は高価であり、長期間継続しなければならない。
【0083】
蚊は、世界の多くの地域で厄介者であるだけでなく、ヒトおよび動物の疾患の最も重要な致命的な媒介動物であるウイルス(すなわち、ジカ熱、デング熱、チクングニヤ熱、ウエストナイル熱、黄熱病)、原虫(マラリア原虫)、およびフィラリア線虫(犬糸状虫、ヒトリンパ系フィラリア症)である。したがって、蚊が媒介する病気を防ぐには、ヒト、動物、家庭を殺虫剤または防虫剤を用いて処理し、蚊に刺されないようにすることが最善の方法である。蚊の防除には大規模なプログラムが実施されているが、現在使用されている殺虫剤に対する耐性が蚊の個体群に広く蔓延しているため、最近では効率が悪くなっている。
【0084】
蚊は、動物やヒトの感染症の媒介者として知られている。
【0085】
蚊が媒介する疾患生物としては、例えば、アメリカのウエストナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、東部馬脳炎ウイルス、エバーグレイズウイルス、ハイランドJウイルス、ラクロス脳炎ウイルス;アメリカの熱帯地域のデング熱、黄熱病、イルヘウスウィルス、マラリア、ジカウイルス、フィラリア症、アフリカやアジアのリフトバレー熱、バンクロフト糸状虫、日本脳炎、チクングニヤ熱、フィラリア症、オーストラリアのマレーバレー脳炎などがある。
【0086】
状況に応じて、発生源の減少、生物防除、幼虫駆除(幼虫殺虫)、または成虫駆除(成虫殺虫)を用いて、蚊の個体群を管理することができる。これらの技術は、生息地の改良、殺虫剤、生物学的防除剤、およびトラップを用いて達成される。
【0087】
成功するには、通常、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどの感染した動物だけでなく、感染した動物が頻繁に出入りするすべての場所を同時に処理することにかかっている。
【0088】
このような複雑な手順は、考察中の式Iの化合物の特定の利点が、それらが非常に有効であると同時に、温血動物に対して毒性が非常に低いために、本発明の式(I)の化合物では不要である。
【0089】
本発明による式(I)の化合物は、同じ活性範囲を有する他の物質、もしくは寄生虫駆除剤、または他の活性改善物質と混合されて、さらに改善されたまたはより長続きする作用を達成し、その後塗布され得る。
【0090】
活性成分は、多くの場合、温血動物に塗布され、もちろん皮膚と接触するため、適切な製剤賦形剤は、化粧品で公知の賦形剤および投与形態である。これらは、溶液、エマルション、軟膏、クリーム、ペースト、粉末、スプレーなどの形態で投与され得る。
【0091】
本発明による式(I)の化合物は、吹きかける、浸す、または注ぐ技術を含む、局所用投与に適した任意の技術によって動物への塗布用に製剤化され得る。さらなる好ましい塗布技術としては、外部寄生虫に対する長期にわたる保護を提供することを目的とした、ブレスレット、カラー、または耳標(ウシ用)などの徐放装置が挙げられる。
【0092】
本発明による式(I)の化合物は、好ましくは、ガン、スプレーなどのアプリケータ装置を使用して動物の皮膚の外部に塗布されるか、または動物が浸漬製剤の浴槽に浸漬される。
【0093】
特に、適切な製剤は、液体形態またはエアロゾル形態で塗布され得る。エアロゾル形態は、液体またはガスを噴霧剤として使用してもよい。これらには、例えば、プロパン、ブタン、ジメチルエーテル、CO2、またはハロゲン化低級アルキルガス(例えば、ハロゲン化C1-C4アルキル)、およびそれらの二つ以上の混合物などのスプレー缶に必要な従来の噴霧剤ガスが含まれる。
【0094】
特に、本発明による式(I)の化合物は、寄生領域に直接的に噴霧したり、または固体支持体に結合されたり、または徐放性材料に封入したりされ得るように製剤化される。
【0095】
固体支持体は、コンパニオン動物上の一般的な外部寄生虫と戦うように設計されたカラーの形態で提供されてもよい。これらのカラーは、通常、活性物質の5~40%を含有するプラスチック材料のマトリクスからなり、長期間にわたって活性成分の放出を可能にする。したがって、これらのカラーは、外部寄生虫に対する長期的な保護を保証する。
【0096】
ウシ、ウマ、ロバ、ラクダ、イヌ、ネコ、家禽、ヒツジ、ヤギなどの家畜またはペットへの投与については、いわゆる「注ぐ」または「塗る」製剤も適しており、これらの液体または半液体の製剤は、毛皮または羽毛の小さな領域にのみ塗布するだけでよく、拡散オイルまたは他の拡散添加剤の割合により、他に何もしなくても毛皮や羽毛全体で自ら分散し、領域全体で活性化するという利点を有する。
【0097】
もちろん、無生物の材料、例えば、衣類またはイヌおよびネコのバスケット、厩舎、カーペット、カーテン、居住区、温室などは、前述の製剤で処理されてもよく、したがって寄生虫の寄生から保護され得る。
【0098】
ヒトへの塗布については、例えば香水などの心地よい香りのエッセンスを加えて、塗布をより魅力的にすることができる。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物または本発明の製剤は、局所用製剤の形態で塗布される。
【0100】
したがって、本発明によれば、式Iの化合物を含む製剤が提供される。
【0101】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、リポソームに配置されてもよい。本発明によれば、リゾリン脂質などの任意のリン脂質および/またはリン脂質誘導体を利用して、式Iの化合物を封入するためのリポソームを形成してもよい。適切なリン脂質および/またはリン脂質誘導体には、これらに限定されないが、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、その組み合わせなどが挙げられる。
【0102】
一部の実施形態では、卵またはダイズに由来するレシチンは、リン脂質として利用され得る。かかるレシチンには、American Lecithin Company、Oxford、CTのPHOSPHOLIPON(登録商標)85G、PHOSPHOLIPON(登録商標)90G、およびPHOSPHOLIPON(登録商標)90H(PHOSPHOLIPON(登録商標)90Gの完全水素化バージョン)として市販されているものが含まれる。他の適切なレシチンには、日興化学のLECINOL S-10(登録商標)レシチンが含まれる。
【0103】
上記のリン脂質またはその誘導体は、式Iの化合物または式Iを含む代替的製剤を含有するリポソームを形成するために利用され得る。実施形態では、高いホスファチジルコリン含量を有するレシチンを利用して、リポソームを形成し得る。一部の実施形態では、利用され得る高ホスファチジルコリンレシチンは、リノール酸ベースのホスファチジルコリンを最低約85%含有する大豆由来レシチンであるPHOSPHOLIPON(登録商標)85Gを含む。このレシチンは使いやすく、他の特別な添加剤を添加することなく、低いプロセス温度(約20℃~約55℃)でサブミクロンのリポソームを生成することができる。PHOSPHOLIPON(登録商標)85Gは、ホスファチジルコリンに加えて、およそ5~7%のホスファチジン酸を含有する。ホスファチジン酸は、結果として生じる製剤に負の表面電荷を与え、処理時間および処理エネルギーを減少させ、安定した形態の形成を助ける。
【0104】
一部の実施形態では、追加の成分を製剤と組み合わせて、全体的なレオロジー特性および加工特性を改善し、保存中の微生物学的完全性を保証することができる。かかる構成要素には、限定されるものではないが、吸収剤、消泡剤、酸性化剤、アルカリ剤、緩衝液、抗菌剤、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、BHT、ポリフェノール、フィチン酸)結合剤、生物学的添加剤、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、等)、変性剤、防腐剤(例えば、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、等)還元剤、可溶化剤、溶媒、粘度調整剤、湿潤剤、増粘剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。これらの追加成分は、分散液の約0.001重量%~約10重量%、実施形態では分散液の約0.1重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0105】
製剤に添加され得る好適な湿潤剤の例としては、ポリオールおよびポリオール誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール(本明細書では、1,2-ペンタンジオールと呼ばれることもある)、イソプレングリコール(1,4-ペンタンジオール)、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、エリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20、その組み合わせ、糖および糖誘導体(フルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビチルシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸およびその塩)、エトキシ化ソルビトール(ソルベス-6、ソルベス-20、ソルベス-30、ソルベス-40 およびそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、HYDROLITE-5(登録商標)ペンチレングリコール(Symrise GmbHから市販)などの市販の1,2-ペンタンジオールが利用されてもよい。他の実施形態では、プロピレングリコールを利用してもよい。利用する場合、かかる湿潤剤は、分散液の約0.1重量%~約20重量%、実施形態では分散液の約3重量%~約10重量%の量で存在し得る。
【0106】
一部の実施形態では、フェノキシエタノールなどの防腐剤、およびブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、および/またはプロピレングリコールなどの湿潤剤の両方が、製剤に添加されてもよい。実施形態では、ペンチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールは、湿潤性を提供し、フェノキシエタノールと組み合わせた時に濃縮物の保存を補助し得る。フェノキシエタノールおよびペンチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール混合物は、水溶性および非揮発性であるべきである。
【0107】
式Iの化合物は、濃縮物の約10重量%~濃縮物の約30重量%、実施形態では濃縮物の約18%重量%~濃縮物の約26重量%、一部の実施形態では濃縮物の約21%重量%~濃縮物の約22%の量で、得られた濃縮物中に存在し得る。濃縮物中のリン脂質の量は、濃縮物の約1重量%~濃縮物の約20重量%、実施形態では、濃縮物の約4重量%~濃縮物の約12重量%であり得、残りは、溶媒、湿潤剤、および防腐剤である。
【0108】
得られた製剤は、直接的に投与されてもよく、または実施形態では、任意の許容可能な担体と組み合わされてもよい。本明細書で使用される場合、用語「許容可能な担体」および「複数の許容可能な担体」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに、合理的な利益/リスク比に見合って、ヒトまたは動物の組織と接触して使用するのに好適であり、その意図される使用に有効である化合物、ならびにそれらの化合物の塩および生体適合性誘導体を指す。本明細書で使用される場合、薬学的に許容可能な担体には、水を含む任意のすべての溶媒、分散液媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、安定化賦形剤、吸収促進剤または遅延剤、ポリマー結合剤およびポリマー接着剤を含むポリマー、それらの組み合わせなどが含まれる。かかる材料は、使用される用量および濃度において、レシピエントにとって非毒性であるべきであり、TRIS-HCI、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩およびその他の有機酸塩などの緩衝剤、アスコルビン酸などの抗酸化剤、ポリアルギニンなどの低分子量(約10残基未満)のペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリジノンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸、セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの対イオン、および/またはTWEEN、PLURONICSおよび/またはポリエチレングリコールなどの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0109】
こうした媒体および薬剤の使用は、当業者の範囲内である。追加的な活性成分も組成物に組み込むことができる。
【0110】
実施形態では、上記担体は、単独でまたは組み合わせて利用されて、担体システムを形成してもよい。好適な担体システムは、当業者の用途の範囲内であり、限定されるものではないが、ローション、クリーム、ゲル、エマルション、分散液、固体、固体スティック、半固体、エアロゾルまたは非エアロゾル発泡体、スプレー、セラム、経皮接着剤パッチシステム、それらの組み合わせなどを含み得る。実施形態では、リポソームは、リポソーム濃縮物中にあってもよく、上述の透過促進剤と共に導入されてもよい。実施形態では、透過促進剤は、本開示の組成物を形成するためにリポソーム濃縮物に添加される水相中に存在し得る。実施形態では、製剤は、経皮送達に使用できる。
【0111】
式Iの化合物は、最終組成物、実施形態では、ローション、クリーム、または上述の任意の他の適切な形態中に、組成物の約0.2重量%~約50重量%、好ましくは組成物の約5重量%~約50重量%、実施形態では、組成物の約10重量%~約50重量%の量で存在してもよい。
【0112】
例えば、一部の実施形態では、ローションまたはクリームは、油相を含んでもよく、油相は、次に、エモリエント、脂肪アルコール、乳化剤、それらの組み合わせなどを含んでもよい。例えば、油相は、C12-15安息香酸アルキル(Finetex Inc.(Edison,NJ)からFINSOLV(商標)TNとして市販されている)、カプリン酸-カプリル酸トリグリセリド(HulsからMIGLYOL(商標)812として市販されている)などのエモリエントを含み得る。利用され得る他の適切なエモリエントには、植物由来のオイル(コーンオイル、紅花油、オリーブオイル、マカダミアンナッツオイルなど)、カプリン酸塩、リノール酸塩、ジリノール酸塩、イソステアリン酸塩、フマル酸塩、セバシン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩などの各種合成エステル類、合成中鎖トリグリセリド、シリコーンオイルまたはポリマー、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ラウリルアルコール、およびそれらの組み合わせなどの脂肪アルコール類、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などの脂肪酸の中和物または部分中和物を含む乳化剤、脂肪酸を含む植物油抽出物、セテアレス-20、セテス-20、PEG-150ステアレート、PEG-8ラウレート、PEG-8オレエート、PEG-8ステアレート、PEG-20ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-150ジステアレート、PEG-8ジステアレート、それらの組み合わせなど、または当業者の範囲内で皮膚のエモリエント効果のために使用される他の非極性の化粧品または薬学的に許容される材料、それらの組み合わせなどが含まれる。
【0113】
エモリエント、C12-15安息香酸アルキルは、エモリエント性および展延性のために含まれてもよい。存在する場合、エモリエントは、総組成物の約0.2重量%~約15重量%、実施形態では、総組成物の約2重量%~約6重量%の量で存在し得る。セチルアルコールおよびステアリルアルコールなどのアルコールを添加して、クリームにボディまたはテクスチャを付与してもよい。セチルアルコールとステアリルアルコールの両方が利用される場合、セチルアルコールとステアリルアルコールとの比は、約2:1~約1:2であり得、ワックス状アルコールが、全組成物の約1~約6重量パーセントを占め、実施形態では、全組成物の約2重量%~約4重量%を占める。
【0114】
上述のように、この油相はまた、乳化剤を含んでもよい。適切な乳化剤としては、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸グリセリルSE、ステアリン酸グリセリルクエン酸塩、それらの組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。実施形態では、ステアリン酸の組み合わせは、乳化剤として油相で利用されてもよい。例えば、ステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG-100混合物(実施形態では、ICI AmericasからARLACEL(登録商標)165として市販されているステアリン酸グリセリルおよびポリエチレングリコール100ステアリン酸の混合物)を、乳化剤として用いて、水中油(o/w)エマルションを形成してもよい。こうした組み合わせでは、ステアリン酸PEG-100は、一次乳化剤として作用し、ステアリン酸グリセリルは、共乳化剤として作用する場合がある。乳化剤は、総組成物の約2重量%~約8重量%、実施形態では総組成物の約3重量%~約5重量%の量で存在し得る。
【0115】
この油相で上述した乳化剤とエモリエントとの重量比は、約10:1~約1:2、一部の実施形態では約2:1~約1:1であり得る。
【0116】
存在する場合、油相は、約5重量%~約20重量%のローションまたはクリーム、実施形態では、約8重量%~約15重量%のローションまたはクリームの量で存在してもよい。上述のリポソームで形成されたローションまたはクリームは、水相も含み得、これは実施形態では、上述の透過促進剤、ならびに、湿潤剤および防腐剤を含む、上述の第二の相を形成するために組み合わされた品目を含み得る。したがって、実施形態では、本明細書に記載のリポソームを有するローションまたはクリームの形成に利用される水相は、上述の第二の相を含み得る。さらに、実施形態では、本明細書では粘度剤と称される場合もある、粘度調整剤を加えて、ローションおよび/またはクリームに所望の粘度を提供することが望ましい場合がある。
【0117】
水相に添加され得る適切な粘度剤は、アニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーを含む水溶性ポリマーを含む。有用なポリマーには、CTFA名がCARBOMERの架橋アクリル酸ポリマーなどのビニルポリマー、プルラン、マンナン、スクレログルカン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、トラガカント、ガラクタン、カロブガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、カラゲニン、ペクチン、アミロペクチン、寒天、クインスシード(マルメロミル)、デンプン(米、コム、ジャガイモ、小麦)、藻類コロイド(藻類抽出物)、デキストラン、サクシノグルカンなどの微生物ポリマー、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系ポリマー、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンなどのアクリレートポリマー、ならびにベントナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ラポナイト、ヘクトナイト、および無水ケイ酸などの無機水溶性物質が含まれる。前述の組み合わせは、実施形態で使用されてもよい。一部の実施形態では、CARBOMER 940などのCARBOMERを粘度剤として添加して、クリーム配合物のレオロジー特性を制御し、一次エマルションに安定性を加えてもよい。
【0118】
利用される場合、粘度剤は、組成物の約0.1重量%~約2重量%、実施形態では、組成物の約0.25重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。
【0119】
あるいは、水相は、グリコール、ポリオール、乳酸塩、アミノ酸、ペプチド、糖類、尿素、PCAナトリウム、ヒアルロン酸、もしくはそれらの塩などの他の可溶性湿潤剤、または当業者の範囲内で、任意の他の適切な湿潤剤、または水溶性もしくは水分散性の保湿剤を含有してもよい。湿潤剤と透過促進剤と防腐剤と粘度剤との重量比は、約20:10:1:1~約10:20:1:1、一部の実施形態では、約15:10:2:1~約10:15:1:1とすることができる。
【0120】
したがって、上述のように、本開示のローションおよび/またはクリームを形成するために利用される水相は、水、湿潤剤、防腐剤、粘度剤、および透過促進剤を含み得る。例えば、実施形態では、適切な水相は、グリセリン、ペンチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール、エトキシジグリコール、フェノキシエタノール、水、およびCARBOMER 940の組み合わせを含み得る。
【0121】
一部の実施形態では、粘度剤は、上述の湿潤剤中で分散液として水相に、任意選択的に水との組み合わせで、任意選択的に上述の防腐剤との組み合わせで添加されてもよい。例えば、実施形態では、CARBOMER 940は、水、プロピレングリコール、およびフェノキシエタノールの混合物中に分散された、CARBOMER940を含有する2%の分散液などの分散液として添加されてもよい。このCARBOMER 940分散液は、バッチ製造工程で別々に作製されてもよい。CARBOMER940などの粘度剤が別個の分散液として水相に加えられる場合、湿潤剤と防腐剤と水との重量比は、約0.3:2:0.05:10~約0.5:1:0.2:10、一部の実施形態では約0.1:0.5:0.05:9~約0.2:1:0.1:9であり得る。
【0122】
存在する場合、水相は、約60重量%~約80重量%のローションまたはクリーム、実施形態では、約63重量%~約71重量%のローションまたはクリームの量で存在してもよい。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書では中和相または緩衝相と称され得る第三の相も、クリームまたはローションの形成に添加されてもよい。こうした相の成分は、これらに限定されないが、水;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2メチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、2-アミノブタノールを含むアミン;水酸化ナトリウム;水酸化カリウム;乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ナトリウムまたはカリウム一、二、もしくは三リン酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどの塩;乳酸、クエン酸、リン酸、ホウ酸などの酸;その組み合わせなどを含み得る。水は、この相における他の成分の溶媒および希釈剤として作用し得る。トリエタノールアミンなどのアミンは、CARBOMERアクリル酸コポリマーなどの水相における酸成分の中和剤として作用する場合があり、乳酸ナトリウム溶液(水中60%w/w)などの追加の塩、および乳酸などの追加の酸を緩衝系として添加して、クリームの最終pHを約4.8~約6、一部の実施形態では約5~約5.5(皮膚の自然なpH範囲内)に調整および維持することができる。実施形態では、水相のCARBOMER 940アクリルコポリマーまたは類似の材料が完全に中和され、その粘度の可能性を十分に発揮する必要があるため、約5以上のpHが有用であり得る。
【0124】
実施形態では、トリエタノールアミンなどのアミンの適量は、最終組成物の約0.5重量%~約2重量%、実施形態では、最終組成物の約1重量%~約1.5重量%の量で存在するように添加され得る。乳酸ナトリウムなどの適切な量の塩は、最終組成物の約0.5重量%~約3重量%、実施形態では、最終組成物の約1重量%~約1.5重量%の量で存在するように添加されてもよい。実施形態では、乳酸などの適切な量の酸は、最終組成物の約0重量%~約1重量%、一部の実施形態では、最終組成物の約0.25重量%~約0.75重量%、一部の実施形態では、最終組成物の約0.5重量%の量で存在するように添加されてもよい。中和剤および/または緩衝剤は、最終組成物の約0.01重量%~約10重量%、実施形態では、最終組成物の約2重量%~約4重量%の量で存在するように添加されてもよい。
【0125】
存在する場合、中和相は、約0.1重量%~約15重量%のローションまたはクリーム、実施形態では、約5重量%~約8重量%のローションまたはクリームの量で存在してもよい。
【0126】
実施形態では、pH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレイン酸塩などを含むがこれに限定されない、他の可溶性成分も添加されてもよい。添加され得る他の緩衝剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、クエン酸、酢酸、乳酸、および乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸銀、乳酸銅、乳酸鉄、乳酸マンガン、乳酸アンモニウムを含む乳酸の塩、それらの組み合わせなどが挙げられる。これらの添加剤は、油相、水相、中和相、色素、それらの組み合わせなどを含む、クリームまたはローションを形成する際に利用される上述の任意の相に添加され得る。
【0127】
実施形態では、上述の製剤の使用は、様々な濃度で式Iの化合物を有する様々な組成物の製造を調整することを可能にし得る。例えば、実施形態では、投与のための最終組成物中の式Iの化合物の量よりも約10倍~約15倍高い濃度で式Iの化合物を有してもよい。製造については、濃縮物の大きなバッチが製造されてもよく、その後、濃縮物の複数の部分を利用して、様々な濃度で生物活性剤を有する複数の組成物を製造してもよい。これは、本発明の組成物中の式Iの化合物の濃度を調整する際に大きな柔軟性を可能にする。
【0128】
得られたクリーム、ローションなどは、長い保存寿命を有することができ、すなわち、少なくとも約2年間、実施形態では、約2~約10年の保存中、安定であり続けることができる。
【0129】
本発明の特定の実施形態によれば、洗浄組成物またはシャンプー組成物、特に、式Iの化合物を含む、ヒトを含む動物用の洗浄剤またはシャンプーが提供される。組成物は、任意で、少なくとも一つの湿潤剤または保湿剤、少なくとも一つの界面活性剤、少なくとも一つの皮膚コンディショナー、少なくとも一つのヘアコンディショナー、少なくとも一つの洗浄剤、少なくとも一つのスクラブ剤、少なくとも一つの油、少なくとも一つの抗酸化剤、少なくとも一つの防腐剤、少なくとも一つのエモリエント(無痛化剤)、少なくとも一つの収斂剤、芳香剤、および水を含み得る。
【0130】
シャンプーで使用できる一部の湿潤剤はまた、ヘアコンディショナーおよび/または皮膚コンディショナーとして機能することができる。使用できるいくつかの界面活性剤はまた、ヘアコンディショナーとして、および/または起泡力増進剤として、および/または洗浄剤として機能することができる。使用できる一部のヘアコンディショナーは、皮膚コンディショナーとしても機能し得る。使用できる油の中には、皮膚コンディショナーとして機能するものもある。使用できるエモリエントの中には、皮膚コンディショナーとして機能するものもある。使用できる抗酸化剤の中には、皮膚コンディショナーとして機能するものもある。使用できる収斂剤の中には、皮膚コンディショナーとして機能するものもある。
【0131】
任意で、組成物は、粘度調整剤、例えば塩化ナトリウムを使用して製剤化されてもよい。任意で、一定レベルのpHを維持する必要がある場合、組成物は、任意の一般的に使用される緩衝系を使用して製剤化されてもよい。例えば、クエン酸を使用してpHを調節することができる。
【0132】
組成物中の保湿剤の総濃度は、組成物全体の約1~10質量%とすることができる。使用できる保湿剤の一部の非限定的な例には、グリセリン、ハチミツ、および藻類抽出物が含まれる。使用できる保湿剤のその他の非限定的な例には、尿素、乳酸ナトリウム、およびグリシンまたはヒスチジンなどの一部のアミノ酸が含まれる。
【0133】
組成物中の洗浄剤の総濃度は、組成物全体の約25~40質量%とすることができる。使用できる洗浄剤のいくつかの非限定的な例としては、ラウレート硫酸ナトリウム、およびPEG-80ソルビタンラウレートが挙げられる。
【0134】
組成物中の界面活性剤の総濃度は、組成物全体の約10~20質量%とすることができる。使用できる界面活性剤のいくつかの非限定的な例には、オレフィンC14-16スルホン酸ナトリウム、コカンホジ酢酸二ナトリウム、およびPEG-80ソルビタンラウレートが含まれる。
【0135】
組成物中の皮膚コンディショナーの総濃度は、組成物全体の約2~15質量%とすることができる。使用できる皮膚コンディショナーのいくつかの非限定的な例には、グリセリン、小麦アミノ酸、ラヴァンデュラ・アンガスティフォリア(ラベンダー)抽出物、トリオレイン酸PEG-120メチルグルコース、ハチミツ、ペニーロイヤルミント抽出物、キューカミス・サティヴァス(キュウリ)果実抽出物、チャノキ葉抽出物、カモミール・エキス(カミツレ)花抽出物、ロスマリナス・オフィシナリス(ローズマリー)葉抽出物、トコフェロール酢酸エステル、藻類抽出物、およびハマメリス(マンサク)が含まれる。
【0136】
組成物中のヘアコンディショナーの総濃度は、組成物全体の約2~10質量%とすることができる。使用できるヘアコンディショナーのいくつかの非限定的な例には、グリセリン、コカンホジ酢酸二ナトリウム、および小麦アミノ酸が含まれる。
【0137】
組成物中のスクラブ剤の総濃度は、組成物全体の約0.1~1質量%とすることができる。使用できるスクラブ剤の一つの非限定的な例は、ブロメラインである。
【0138】
組成物中の油の総濃度は、組成物全体の約0.1~2質量%とすることができる。使用できる油のいくつかの非限定的な例には、Lavandula angustifolia(ラベンダー)抽出物およびCedrus atlantica(シダーウッド)樹皮油が含まれる。
【0139】
組成物中の抗酸化剤の総濃度は、組成物全体の約0.1~3質量%とすることができる。使用できる抗酸化剤のいくつかの非限定的な例としては、メラレウカ・アルテルニフォリア(ティーツリー)葉油、チャノキ葉抽出物、およびトコフェロール酢酸エステルが挙げられる。
【0140】
組成物中の防腐剤の総濃度は、組成物全体の約0.1~1質量%とすることができる。使用できる防腐剤の一部の非限定的な例としては、メチルイソチアゾリノン、およびメチルクロロイソチアゾリノンが挙げられる。
【0141】
組成物中のエモリエントの総濃度は、組成物全体の約0.1~2質量%とすることができる。使用できるエモリエントのいくつかの非限定的な例には、トリオレイン酸PEG-120メチルグルコース、およびキューカミス・サティヴァス(キュウリ)果実抽出物が含まれる。
【0142】
組成物中の収斂剤の総濃度は、組成物全体の約0.1~1質量%とすることができる。使用できる収斂剤の非限定的な一例が、ハマメリス(マンサク)である。
【0143】
上述の要件を満たす任意の組成物は、当業者に公知の一般的な配合技術を使用して調製することができる。例えば、上述の成分は、互いに混合され、続いて水が加えられ、例えば、急速攪拌を用いることによって、水性組成物を形成することができる。あるいは、別個の容器中の各成分は、水に予備的に溶解されるか、そうでなければ、水と混合して、それぞれが別個の容器に収容される複数の水性システムを得ることができる。次いで、すべての容器の内容物を、例えば、攪拌または振とうすることによって組み合わせて、最終組成物を形成することができる。
【0144】
所望される場合、当業者は、組成物を形成する成分を混合する他の方法を設計することができる。選択される混合方法にかかわらず、当業者であれば、組成物中の各成分の濃度が上述の限界を満たすように、かかる量の各成分を提供するであろう。
【0145】
動物の治療のための方法がさらに提供される。組成物は、上述の手順に従って調製することができ、任意選択で動物を洗浄する。次いで、組成物は、外部寄生虫に対する保護を必要とする動物の皮膚に局所的に塗布することができる。組成物の動物の皮膚への塗布には、様々な方法を使用できる。例えば、組成物は、従来の手動ポンプを使用して噴霧することができる。あるいは、組成物は、エアロゾル調製のための一般的に公知の方法を使用してエアロゾルを形成するように製剤化されてもよい。当業者であれば、組成物を塗布するための他の方法を考案することができる。
【0146】
本発明はまた、寄生、特に、外部寄生虫である昆虫またはクモ類を含む、昆虫またはクモ類による寄生から対象を保護する方法を提供する。方法は、一実施形態では、式Iの化合物を含む治療組成物と、対象の表面と接触させること、またはこれを被覆することを含み得る。対象の表面と接触させるか、またはこれを覆うことは、例えば、本発明の治療組成物を含む噴霧装置を使用することによって達成され得る。そのため、本発明はまた、例えば、布地または衣服などの、昆虫忌避物体またはクモ類忌避物体を提供する。布地は、布地の繊維に吸収された昆虫忌避分子を有する。布地は、衣服での使用に適しており、より具体的には、昆虫、特に外部寄生虫への曝露のリスクがある個人によって着用されるように設計された保護衣での使用に適している。本発明の防虫剤化合物は、限定されるものではないが、式Iの化合物を含有する浴槽に繊維または布地を浸漬すること、繊維または布地にスプレーを提供すること、または繊維もしくは布地を洗浄することを含む様々な方法で、布地に組み込まれてもよい。本発明では、外部寄生虫による寄生を減少させるという所望の効果を達成するために、繊維または布地に対する本発明の製剤の量は、当業者によって変化させられ得る。本発明では、繊維または布地上の本発明の製剤または化合物の少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、または100μmol/m2の濃度を達成するのに十分な量を使用することが好ましい。さらに、本発明では、繊維または布地上の本発明の製剤または化合物の最大300μmol/m2の量を使用することが好ましい。特に、0.1日間~30日間、具体的には1時間~48時間、最も具体的には4時間~8時間、外部寄生虫に対する保護を達成するのに十分な量を使用することが好ましい。
【0147】
さらなる実施形態では、式Iの化合物を含む本発明の局所用製剤は、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、発泡体、パッチ、粉末、固体、スポンジ、テープ、蒸気、ペースト、またはチンキの形態であってもよい。さらなる例は、溶液などの液体の形態の式Iの化合物である。
【0148】
以下の実施例は、本発明を実施例の内容に限定することなく、本発明をさらに説明する。
【実施例
【0149】
実施例1:アナタビン誘導体の蚊防虫性アッセイ
本発明の他の化合物からの結果を表1に示し、DEETと比較して、同様に以下のように試験した。
【0150】
本発明の化合物をエタノールと混合して、ある面に塗布し、乾燥させることができる組成物を作製する。当該面を本発明の化合物で処理し、乾燥させた後、ヒトの体温まで加熱し、成虫のネッタイシマカ(Aedes aegypti)により、加温した面上への当該蚊の着地数および総滞在時間を自動的に機械視覚によって記録して、各化合物の防虫性を測定する。
【0151】
(加温した面への個体の着地数に基づく)防虫性は、対照の減少率として表され、ここでビヒクル溶媒のみで処理された当該加温面に着地する蚊の平均数がカウントされる。100%は、加温した面上に蚊が着地していないことを意味する。
【0152】
加温面上にいまだ着地している蚊については、加温面上での滞在時間も記録され、ビヒクル溶媒のみで処理されたとき場合の同一の加温面上での蚊の平均滞在時間に対応する、対照の割合として表される。100%は、蚊が、処理した加温面上で、ビヒクル溶媒のみで処理された加温面上と同じ時間を過ごしたことを意味する。
【0153】
各化合物/用量を、132.7cm2の予め油で被覆したガラス面を使用し、化合物を含まない溶液(プラセボ)または化合物の希釈物を360マイクロリットルの溶液で当該面に広げ、試験前に乾燥させるようにして、三つ組で試験した。三つ組の平均誤差および標準誤差を計算する。対照(ビヒクル溶媒のみを使用)は、エタノール/1%(w/w)フィメチルスルホキシドで実行される。同じ蚊の集団が、最初にビヒクル溶媒で処理された加温面に、次いで化合物で処理された面に曝露される。試験化合物を含む溶液の濃度を調整して、化合物の処理用量が表中の表面単位面積当たりの最終濃度範囲に従うことを確実にした。
【表1-1】


【表1-2】


【表1-3】
【0154】
実施例2:アナタビン誘導体のマダニ防虫性アッセイおよび殺ダニ活性
化合物のマダニに対する防虫性の試験は、マダニの探索行動に依存する。マダニは、適切な宿主探索部位を見つけるために生息地を探索するので、防虫剤または刺激物質で処理された領域を回避しようとすることとなる。本発明の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、次いでエタノールで希釈して、最大1%(w/w)のDMSOを含有する組成物を作製するが、これは塗布する面上の単位面積当たりの記載の濃度を達成するのに適している。組成物または対照を処理領域に塗布し、乾燥させる。マダニが逃れることができない8.96cm2の円形の活動領域を、アッセイに使用する。四分円(2.25cm2)を一つのみ、試験化合物または対照で処理するが、残りは未処理のままである。30~60匹のクリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)の幼虫を円形の活動領域の未処理領域に堆積させる。1分後、処理領域および未処理領域におけるマダニの位置の変化を、2分間測定する。カメラなどの視覚的記録装置で試験領域を記録し、それから処置領域および未処理領域内の移動数を数えて、マダニ移動数として報告することができる。化合物が、防虫活性を示すなら、マダニは、処置された四分円を歩くことを避けることとなる。防虫性は以下のとおり表す:1- MT/MU)x 100、式中、MTは、処置領域内のマダニ移動数であり、またMUは、未処理領域内のマダニ移動数である。100%は、全てのマダニが処置面を完全に回避したことを意味する。試験化合物の潜在的な殺ダニ活性を、同じセットアップで8分間にわたって測定し、またノックダウン活性を、開始と8分後の終了時との間の運動性の減少率%で表す。
【表2-1】


【表2-2】


【表2-3】
【0155】
以下の表は、合成について以下で説明される化合物の概要を提供する。
【表3-1】


【表3-2】


【表3-3】


【表3-4】

【0156】
化合物1~3はSpiroChemによって合成され、化合物5はEnamine社から購入し、化合物4、7~29はWuXi Apptec Co.,Ltd.社より取得し、N,N-ジエチル-3-メチル-ベンズアミドはSigma-Aldrich社から購入した。
【0157】
化合物1および2
【化43】
ジエチル(ピリジン-3-イルメチレンジ)ジカルバメート。p-トルエンスルホン酸(5.00g、26.3mmol)を、ベンゼン(400mL)中のカルバミン酸エチル(33.27g、373.4mmol)およびニコチンアルデヒド(17.53mL、186.7mmol)の溶液に加えた。溶液を、Dean Stark装置で強還流で攪拌した(一晩)。反応中に沈殿物が形成された。反応混合物を0℃に冷却し、材料を濾過した。これをさらにジエチルエーテルで二回洗浄して、無色固体(6.2g、88%)を得た。
【0158】
エチル 3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。シクロヘキサ-1,3-ジエン(1.57mL、16.46mmol)を、酢酸(30mL)中のジエチル(ピリジン-3-イルメチレンジ)ジカルバメート(4.00g、14.97mmol)の溶液に加えた。三フッ化ホウ素酢酸錯体(17.04mL、122.7mmol)を加え、管を密封し、80℃で3時間加熱した。次いで、混合物を0℃で水酸化ナトリウム溶液(6M)中に注いで、pH=14に達した。次いで、水層をジクロロメタンで抽出(3回)した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を、50~100%の酢酸エチル/シクロヘキサン勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーで精製して、exo/endo異性体の混合物として橙色から褐色の油状物を得た(0.650g、17%)。1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.47-8.55(m,2H),7.52-7.60(m,1H),7.20-7.26(m,1H),6.38-6.40(m,0.45H),6.24-6.30(m,0.55H),4.76(s,0.55H),4.68(s,0.45H),4.44(t,J=5.2Hz,0.45H),4.34(t,J=5.2Hz,0.55H),3.91-4.12(m,2H),2.50-2.60(m,1H)2.40-2.45(m,2H),2.08-2.20(m,1H),1.70-1.76(m,1H),1.27(t,J=7.1Hz,2H),0.95(t,J=7.1Hz,1H)。
【0159】
3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン KOH(3.30g、59.00mmol)を、diglyme(10mL)中のエチル3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレートに加えた。管を密封し、溶液を160℃で30分間マイクロ波照射で加熱した。揮発性物質を蒸発させた。残渣に水およびジクロロメタンを加え、pHを2M塩酸を用いて8~9に調整した。層を分離し、水層をジクロロメタンで洗浄した。各有機層をまとめて、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン-メタノール勾配1:0~4:1を使用したクロマトグラフィーカラムにより精製した。
【0160】
化合物1:1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.53(d,J=1.8Hz,1H),8.40(d,J=5.0Hz,1H),7.70(dt,J=8.05,1.80,1H),7.16-7.20,(m,1H),5.95-5.99(m,1H),5.55-5.59(m,1H),4.15(s,1H),3.68(t,J=5.0Hz,1H),2.95-3.05(br s,2H),2.47-2.18(m,3H),1.99-2.02(m,1H),1.73(d,J=8.0Hz,1H)。
【0161】
化合物2:1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.64(d,J=1.8Hz,1H),8.45(d,J=5.0Hz,1H),7.75(dt,J=8.05,1.80,1H),7.16-7.20,(m,1H),6.22-6.18(m,1H),5.58-5.62(m,1H),4.56(s,1H),3.78(t,J=5.0Hz,1H),2.23-2.53(m,2H),1.84-2.10(m,4H),1.60(d,J=8.0Hz,1H)。
【0162】
化合物3
【化44】
2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。エチル3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレートのエーテル溶液を、水素化アルミニウムリチウムのエーテル溶液に加えた。溶液を還流で攪拌した(6時間)。水を加え、有機層をジクロロメタンで抽出(3×)した。各有機層をまとめて、Na2SO4上で真空下で乾燥した。残渣を、0~10%のジクロロメタン-メタノール勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーで精製して、exo/endo異性体混合物として褐色油状物を得た(0.150g、48%)。1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.59(d,J=1.8Hz,1H),8.40(d,J=5.0Hz,1H),7.67(dt,J=8.05,1.80,1H),7.17,(dd,J=7.8,4.6Hz,1H),5.84-5.91(m,1H),5.68-5.74(m,1H),3.35(t,J=4.8Hz,1H),3.07(s,1H),2.29-2.39(m,1H),2.25(s,3H),2.17-2.23(m,1H),2.06-2.16(m,2H),1.65(m,1H)。
【0163】
2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。パラジウム炭素(Pd/C)(10重量%担持、8mg)を、2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(80mg、0.04mmol)の酢酸エチル溶液に加えた。溶液を、水素雰囲気下(1気圧)で5時間攪拌した。Pd/Cを濾過し、セライトパッドを酢酸エチルで洗浄した。当該溶液にPd/C(8mg)を加え、混合物を水素雰囲気下(1気圧)で16時間撹拌した。Pd/Cを濾過し、セライトパッドを酢酸エチルで洗浄した。揮発性物質を蒸発させて、2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(78mg、定量的)を得た。
【0164】
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.32-8.37(m,2H),7.37-7.42(m,1H),7.12-7.22(m,1H),2.40-2.55(m,1H),2.31(s,3H),2.17-2.28(m,1H),1.80-1.45(m,7H),1.10-1.20(m,1H)0.75-0.95(m,2H)。
【0165】
化合物4
【化45】
1,1-ジフェニル-N-(3-ピリジルメチル)メタンイミン。トルエン(2000mL)中の3-(アミノメチル)ピリジン(500g、2.74mol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(47.2g、274mmol)およびベンゾフェノン(374g、3.46mol、350mL)を加えた。混合物を、110℃で12時間攪拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により、3-(アミノメチル)ピリジン(Rf=0.8)が消費されて、新しい主要スポット(Rf=0.5)が形成されたことがわかった。反応混合物を、減圧下で濃縮して、トルエンを除去した。残渣を、酢酸エチル(500mL)で希釈し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、1.5kgのSepaFlash(登録商標)Silica Flashカラム、0~30%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量200mL/分)により精製した。1,1-ジフェニル-N-(3-ピリジルメチル)メタンイミン(500g、1.80mol、収率65.6%、純度98.1%を、黄色油状物として得た。TLC(石油エーテル:酢酸エチル、3:1、生成物Rf=0.5、m/z=273.3(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.48-8.47(m,1H),8.43-8.42(m,1H),7.65-7.60(m,3H),7.43-7.41(m,1H),7.33-7.29(m,2H),7.27-7.14(m,1H),7.14-7.12(m,2H),4.53(s,2H)。
【0166】
3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(1.00L)中の1,1-ジフェニル-N-(3-ピリジルメチル)メタンイミン(500g、1.84mol)の混合物に、-78℃でジイソプロピルアミドリチウム(2M、1.00L)を加えた。添加後、混合物を-60℃で30分間攪拌した。次いで混合物に、-60℃でシス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(364g、2.91mol、305mL)を加えた。添加後、混合物を-60℃で1時間攪拌した。混合物を、2NのHCl(300mL)でクエンチし、25℃で30分間攪拌した。次いで混合物を、メチル tert-ブチルエーテルで抽出(500mL×3)した。次いで、水溶性の水相を、固体K2CO3でpH=12に塩基性化した。この水相を、25℃で2時間攪拌した。次いで水相を、ジクロロメタンで抽出(1L×5)した。まとめたジクロロメタン相を、塩水(2L)で洗浄し、減圧下で濃縮して、油状残渣を得た。TLC(酢酸エチル-メタノール=10:1)により、新しい主要スポット(Rf=0.2)があることがわかった。当該油状物を、クロマトグラフィーカラム(シリカゲル、石油エーテル-酢酸エチル1:0、および酢酸エチル-メタノール10:1、Rf=0.2)で精製した。得られた粗製物質を、逆相クロマトグラフィー(NH4ON、CH3CN)で精製し、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(52.0g、318mmol、収率17.3%、純度98.1%)を得た。m/z(M+H)+=161、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.55(d,J=2.0Hz,1H),8.44(dd,J=1.6,4.8Hz,1H),7.66(td,J=1.6,7.6Hz,1H),7.30-7.11(m,1H),5.89-5.60(m,2H),3.83(t,J=7.2Hz,1H),3.64-3.33(m,2H),2.28-2.14(m,2H)。
【0167】
化合物6
【化46】
トリメチルシリルブタ-3-イン-1-オール。テトラヒドロフラン(100mL)中のブタ-3-イン-1-オール(10.0g、142mmol、10.8mL、1.00当量)の溶液に、tert-ブチルリチウム(2.5M、85.5mL、1.50当量)を-60℃で添加し、混合物を1時間攪拌した。次いで、トリメチルシリルクロリド(20.1g、185mmol、23.4mL、1.30当量)を-60℃で加えた。この混合物を、0℃で2時間攪拌した。反応混合物を、0℃でのNH4Cl(10mL)の飽和水溶液の添加によってクエンチし、次いで水(50mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(100mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(100mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、120gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~30%の酢酸エチル/石油エーテル勾配である溶離液、流量60mL/分)で精製し、無色油状物として4-トリメチルシリルブタ-3-イン-1-オール(9.40g、66.0mmol、収率46.3%)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ3.71(m,2H),2.51(m,2H),0.16(s,9H)。
【0168】
4-トリメチルシリルブタ-3-エン-1-オール。メチル tert-ブチルエーテル(100mL)中の4-トリメチルシリルブタ-3-イン-1-オールの溶液に、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(1M、189mL、3.00当量)を0℃で加えた。この混合物を、0℃で30分間攪拌した。反応物を60℃で12時間加熱した。反応混合物を、0℃でH2SO4(2M、100ml)を添加することによってクエンチし、次いで混合物をセライトを通して濾過し、水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(100mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(100mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色油状物として4-トリメチルシリルブタ-3-エン-1-オール(7.00g、粗製)を得た。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ6.33-6.26(m,1H),5.71-5.68(d,J=12Hz,1H),3.70-3.67(m,2H),2.43-2.41(m,2H),0.14(s,9H)。
【0169】
4-トリメチルシリルブタ-3-エニル 4-メチルベンゼンスルホネート ジクロロメタン(80mL)中の4-トリメチルシリルブタ-3-エン-1-オール(7.00g、48.5mmol、1.00当量)の溶液に、4-ジメチルアミノピリジン(3.50g、28.6mmol、0.591当量)および4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(11.1g、58.2mmol、1.20当量)、トリエチルアミン(4.90g、48.4mmol、6.74mL、0.998当量)を加えた。この混合物を、0℃で2時間攪拌した。残渣を、水(40mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(20mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(40mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=80/1)により精製し、無色油状物として4-トリメチルシリルブタ-3-エニル 4-メチルベンゼンスルホネート(11.3g、37.8mmol、収率78.0%)を得た。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.78-7.76(d,J=8.2Hz,2H),7.49-7.47(m,2H),6.14-6.07(m,1H),5.59-5.55(d,J=14.0Hz,1H),4.06-4.02(m,2H),2.50-2.42(s,2H),0.05(s,9H)。
【0170】
1-アジド-4-トリメチルシリルブタ-3-エン。N,N-ジメチルホルムアミド(120mL)中の4-トリメチルシリルブタ-3-エニル 4-メチルベンゼンスルホネート(11.3g、37.8mmol、1.00当量)の溶液に、NaN3(5.66g、87.0mmol、2.50当量)を25℃で加えた。この混合物を、60℃で2時間攪拌した。反応混合物を、水(60mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(100mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(100mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、無色油状物として1-アジド-4-トリメチルシリルブタ-3-エン(5.30g、粗製)を得た。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ6.31-6.24(m,1H),5.64-5.60(d,J=14.5Hz,1H),3.37(t,J=6.78Hz,1H),2.40-2.35(m,2H),0.12(s,9H)。
【0171】
1-アミノ-4-トリメチルシリルブタ-3-エン。メチル tert-ブチルエーテル(50mL)中の1-アジド-4-トリメチルシリルブタ-3-エン(4.50g、26.5mmol、1.00当量)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(1.21g、31.9mmol、1.20当量)を0℃で加えた。この混合物を、0℃で2時間攪拌した。混合物に、水(1ml)を加え、次いで0℃でNaOH(15%、1ml)および水(3ml)を加え、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濾液を次のステップで使用した。1-アミノ-4-トリメチルシリルブタ-3-エン(3.00g、粗製)を黄色油状物として得た。
【0172】
1-(3-ピリジル)-N-(4-トリメチルシリルブタ-3-エニル)メタンイミン。メチル tert-ブチルエーテル(5mL)中の1-アミノ-4-トリメチルシリルブタ-3-エン(3.00g、20.9mmol、1.00当量)の溶液に、MgSO4(17.6g、146mmol、7.00当量)および3-ピリジンカルボキシアルデヒド(2.24g、20.9mmol、1.97mL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で0.5時間攪拌した。次いで反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィー(塩基条件)で精製して、1-(3-ピリジル)-N-(4-トリメチルシリルブタ-3-エニル)メタンイミン(2.00g、8.61mmol、収率41.0%)を黄色油状物として得た。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ8.86-8.85(m,1H),8.65-8.64(m,1H),8.31-8.30(m,1H),8.12-8.10(m,1H),7.36-7.27(m,1H),6.34-6.29(m,1H),5.63-5.59(m,1H),3.73-3.70(m,2H),2.56-2.53(m,2H),0.12(m,9H)。
【0173】
3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル)ピリジン。アセトニトリル(5mL)中の1-(3-ピリジル)-N-(4-トリメチルシリルブタ-3-エニル)メタンイミン(2.00g、8.61mmol、1.00当量)の溶液に、Sc(OTf)3(8.47g、17.21mmol、2.00当量)を加えた。この混合物を、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を、pH9~11に調整した。残渣を、水(10mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(20mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(10mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件、カラム:Waters社 Xブリッジ C18 150x50mm、10μm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-アセトニトリル]、B%:5%~30%、11分)で精製し、3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル)ピリジン(102mg、収率7.25%、純度98.7%)を黄色油状物として得た。m/z=161.2(M+1)+1HNMR(400MHz,CDCl3)δ8.60-8.59(d,J=2.1Hz,1H),8.53-8.52(dd,J=4.7Hz,1H),7.72-7.70(m,1H),7.28-7.25(m,1H),6.02-5.99(ddt,J=7.6Hz 1H),5.73-5.70(dd,J=10.1Hz,1H),4.52-4.51(s,1H),3.09-3.00(m,2H),2.26-2.24(m,1H),2.13-2.05(m,1H)。3-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル)ピリジンを、ジエチルエーテル中の塩化水素溶液で処理することによって、二塩酸塩に変換した。
【0174】
化合物7
【化47】
N-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン。トルエン(20mL)中の(6-クロロ-3-ピリジル)メタンアミン(2.00g、11.0mmol、1.00当量)、ベンゾフェノン(1.57g、11.0mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(418mg、2.20mmol、0.200当量)を添加した。この混合物を、110℃で10時間攪拌した。混合物を濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~5/1)で精製して、スポット(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.5)を得た。N-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(1.20g、粗製)を無色油状物として得た。m/z=307.0(M+1)+
【0175】
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(10mL)中のN-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(982mg、3.20mmol、1.00当量)の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(2M、3.20mL、2.00当量)を-70℃で加えた。この混合物を、-70℃で0.5時間攪拌し、次いでシス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(0.400g、3.20mmol、336uL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で3時間攪拌した。混合物を、HCl(1M)(50mL)でクエンチし、0.5時間攪拌した。次に、NaOH溶液(40%)を用いてpHを12に調整し、ジクロロメタンで抽出(20mL×3)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、逆相(HCl条件、ISCO(登録商標);40gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%アセトニトリル/水の溶離液、流量40mL/分)で精製し、白色固体として2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(100.48mg、373umol、収率11.7%、純度99.4%)を得た。m/z=195.3(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)8.56-8.55(d,J=2.8,1H),8.05-8.02(m,1H),7.62-7.60(d,J=8.4,1H),6.11-5.89(m,2H),4.66-4.54(m,1H),3.99-3.78(m,2H),2.80-2.64(m,2H)。
【0176】
N-tert-ブチルオキシカルボニル-2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。ジクロロメタン(5mL)中の2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(100mg、513umol、1.00当量)およびトリエチルアミン(104mg、1.03mmol、143uL、2.00当量)の溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(135mg、616umol、142uL、1.20当量)を添加した。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を、水(20mL)、塩水(20mL)で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~5/1)で精製し、黄色油状物として生成物(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.6)を得た。m/z=295.3(M+1)+
【0177】
N-tert-ブチルオキシカルボニル 2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。トルエン(5mL)およびエタノール(1mL)中のN-tert-ブチルオキシカルボニル-2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(160mg、543umol、1.00当量)、フェニルボロン酸(80mg、656umol、1.21当量)、およびNa2CO3(2M、542uL、2.00当量)の溶液に、Pd(PPh34(314mg、271umol、0.0500当量)を加えた。この混合物を、N2下、90℃で3時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を水(20mL)中に注いで、酢酸エチルで抽出(10mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1~5/1)で精製し、無色油状物として生成物(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.65)(170mg、505umol、収率93.1%)を得た。m/z=337.4(M+1)+
【0178】
2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。酢酸エチル(5mL)中の、N-tert-ブチルオキシカルボニル 2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(170mg、505umol、1.00当量)、酢酸エチル中の塩化水素溶液(4M、2mL、15.8当量)の混合物を、25℃で1時間攪拌した。混合物を濾過し、濾過ケーキを、EtOAc(20mL)で洗浄し、回収し、濃縮して、2-フェニル-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(67.86mg、218umol、収率43.1%、純度99.3%)を灰白色固体として得た。m/z=237.2(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)9.01-9.00(d,J=2.0,1H),8.67-8.65(m,1H),8.43-8.41(m,1H),8.03-8.07(m,2H),7.72-7.67(m,3H),6.15-5.94(m,2H),4.05-3.86(m,2H),2.92-2.73(m,2H)。
【0179】
化合物8
【化48】
N-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン。トルエン(20mL)中の(6-クロロ-3-ピリジル)メタンアミン(2.00g、11.0mmol、1.00当量)、ベンゾフェノン(1.57g、11.0mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(418mg、2.20mmol、0.200当量)を添加した。この混合物を、110℃で10時間攪拌した。混合物を濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~5/1)で精製して、スポット(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.5)を得た。N-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(1.20g、粗製)を無色油状物として得た。m/z=307.0(M+1)+
【0180】
2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(10mL)中のN-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(982mg、3.20mmol、1.00当量)の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(2M、3.20mL、2.00当量)を-70℃で加えた。この混合物を、-70℃で0.5時間攪拌し、次いでシス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(0.400g、3.20mmol、336uL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で3時間攪拌した。混合物を、HCl(1M)(50mL)でクエンチし、0.5時間攪拌した。次に、NaOH溶液(40%)を用いてpHを12に調整し、ジクロロメタンで抽出(20mL×3)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、逆相(HCl条件、ISCO(登録商標);40gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%アセトニトリル/水の溶離液、流量40mL/分)で精製し、白色固体として2-クロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(100.48mg、373umol、収率11.7%、純度99.4%)を得た。m/z=195.3(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)8.56-8.55(d,J=2.8,1H),8.05-8.02(m,1H),7.62-7.60(d,J=8.4,1H),6.11-5.89(m,2H),4.66-4.54(m,1H),3.99-3.78(m,2H),2.80-2.64(m,2H)。
【0181】
化合物9
【化49】
2-[(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン。テトラヒドロフラン(50mL)中の、(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メタノール(5.00g、28.1mmol、1.00当量)、フタルイミド(4.13g、28.1mmol、1.00当量)およびPPh3(11.1g、42.1mmol、1.50当量)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(7.34g、42.1mmol、7.66mL、1.50当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を水(200mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(200mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~5/1)で精製し、黄色固体として2-[(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(石油エーテル/酢酸エチル=3/1、Rf=0.6)、(6.00g、17.6mmol、収率62.6%、純度90%)を得た。m/z=307.0(M+1)+
【0182】
(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メタンアミン。エタノール(60mL)中の2-[(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(6.00g、19.5mmol、1.00当量)およびヒドラジン水和物(4.89g、97.7mmol、4.75mL、5.00当量)の溶液を、3時間で70℃に加熱した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、精製することなく次のステップで使用した。(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メタンアミン(3.00g、粗製)を、淡黄色固体として得た。m/z=177.2(M+1)+。
【0183】
N-[(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン。トルエン(30mL)中の(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メタンアミン(3.00g、16.5mmol、1.00当量)およびベンゾフェノン(2.91g、16.5mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(567mg、3.29mmol、0.200当量)を加えた。この混合物を、110℃で10時間攪拌した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~20/1)で精製し、黄色油状物として生成物(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.6)(1.50g、粗製)を得た。m/z=341.4(M+1)+
【0184】
2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(10mL)中のN-[(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(1.36g、4.00mmol、1.00当量)の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(2M、4mL、2.00当量)を-70℃で加え、30分間攪拌した。次いでこの混合物に、シス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(500mg、4.00mmol、420uL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃に加温して8時間攪拌した。混合物を、HCl(1M)(50mL)でクエンチし、0.5時間攪拌した。次に、NaOH溶液(40%)を用いてpHを12に調整し、ジクロロメタンで抽出(20mL×3)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、逆相(HCl条件、ISCO(登録商標);40gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%アセトニトリル/水の溶離液、流量40mL/分)で精製し、淡黄色固体として2,3-ジクロロ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(108.21mg、357umol、収率8.93%、純度99.7%)を得た。m/z=229.1(M+1)+。1H NMR(400MHz,MeOD)8.49-8.48(d,J=2.4,1H),8.19-8.18(d,J=2.0,1H),6.12-5.90(m,2H),4.67-4.63(m,1H),4.01-3.80(m,2H),2.75-2.68(m,2H)。
【0185】
化合物10
【化50】
2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン。テトラヒドロフラン(100mL)中の、(5-ブロモ-3-ピリジル)メタノール(10.0g、53.2mmol、1.00当量)およびフタルイミド(7.83g、53.2mmol、1.00当量)、PPh3(20.9g、79.8mmol、1.50当量)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(13.9g、79.8mmol、14.5mL、1.50当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を水(200mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(200mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~5/1)で精製し、黄色固体として2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(14.0g、43.7mmol、収率82.2%、純度99%)を得た。m/z=317.0(M+1)+
【0186】
(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン。エタノール(100mL)中の2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(13.0g、40.9mmol、1.00当量)およびヒドラジン水和物(10.3g、205mmol、9.96mL、5.00当量)の混合物を、70℃で3時間加熱した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、精製することなく次のステップで使用した。(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン(10.0g、粗製)を、黄色固体として得た。m/z=189.2(M+1)+
【0187】
N-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン。トルエン(100mL)中の(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン(10.0g、54.9mmol、1.00当量)およびベンゾフェノン(10.3g、54.9mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(1.89g、11.0mmol、0.20当量)を添加した。この混合物を、110℃で10時間攪拌した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~10/1)により精製し、黄色油状物としてN-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(15.0g、粗製)を得た。
【0188】
3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(50mL)中のN-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(14.1g、40.0mmol、1.00当量)の溶液に、-70℃でジイソプロピルアミドリチウム(2M、40mL、2.00当量)を加え、30分間攪拌した。次いでこの混合物に、シス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(5.00g、40.0mmol、4.2mL、1.00当量)を加えた。この混合物を、8時間で25℃に加温した。混合物を、HCl(1M)(100mL)でクエンチし、0.5時間攪拌した。次に、NaOH溶液(40%)を用いてpHを12に調整し、ジクロロメタンで抽出(50mL×3)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、逆相(塩基条件、ISCO(登録商標)、40gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%のアセトニトリル/水の溶離液、流量40mL/分)で精製し、黄色油状物として3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(1.10g、4.57mmol、収率11.4%、純度99.4%)を得た。m/z=239.2(M+1)+
【0189】
N-tert-ブチルオキシカルボニル-3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。ジクロロメタン(10mL)中の3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(1.10g、4.57mmol、1.00当量)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(56mg、457umol、0.100当量)の溶液に、トリエチルアミン(1.39g、13.7mmol、1.91mL、3.00当量)および二炭酸ジ-tert-ブチル(998mg、4.57mmol、1.05mL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を、塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1~10/1)で精製し、生成物(1.10g、3.15mmol、収率68.9%、純度97.2%)を淡黄色油状物として得た。m/z=339.2(M+1)+
【0190】
tert-ブチル 2-[5-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1-カルボキシレート。N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中のN-tert-ブチルオキシカルボニル-3-ブロモ-5(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(300mg、884umol、1.00当量)、CuI(17mg、88.4umol、0.100当量)、Pd(PPh32 Cl2(62mg、88.4umol、0.10当量)の溶液に、トリエチルアミン(358mg、3.54mmol、492uL、4.00当量)を加えた。次いで混合物に、エチニル(トリメチル)シラン(104mg、1.06mmol、147uL、1.20当量)を加え、混合物を25℃で3時間攪拌した。混合物を水(30mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(15mL)した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1)で精製し、tert-ブチル 2-[5-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1-カルボキシレート(300mg、粗製)を褐色油状物として得た。m/z=357.4(M+1)+
【0191】
tert-ブチル2-(5-エチニル-3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1-カルボキシレート。メタノール(3mL)およびジクロロメタン(6mL)中のtert-ブチル2-[5-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1-カルボキシレート(300mg、841umol、1.00当量)の溶液に、K2CO3(348mg、2.52mmol、2.99当量)を加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、溶媒を除去した。次いで残渣を、水(10mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(10mL×2)した。まとめた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取TLC(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=2/1)で精製し、生成物(Rf=0.60)(140mg、492umol、収率58.5%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.58-8.51(m,2H),7.68(s,1H),5.92-5.89(m,2H),5.71-5.54(m,1H),4.26-4.22(m,1H),3.36-3.32(m,1H),3.21(s,1H),2.77-2.47(m,2H),1.49(s,9H)。
【0192】
2-(5-エチニル-3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン。酢酸エチル(5mL)中のtert-ブチル 2-(5-エチニル-3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-1-カルボキシレート(140mg、492umol、1.00当量)の溶液に、酢酸エチル中の塩化水素(4M、3mL、24.4当量)の溶液を加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、酢酸エチル(20mL)中で0.5時間攪拌し、濾過し、当該固体を回収して、目的である2-(5-エチル-3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン二塩酸塩(77.64mg、282umol、収率57.3%、純度93.4%)を褐色固体として得た。m/z=185.3(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)9.01-8.88(m,2H),8.58(s,1H),6.13-5.92(m,2H),4.82-4.77(m,1H),4.32(s,1H),4.25-4.03(m,1H),4.00-3.99(m,1H),2.86-2.73(m,2H)。
【0193】
化合物11
【化51】
2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン。テトラヒドロフラン(100mL)中の、(5-ブロモ-3-ピリジル)メタノール(10.0g、53.2mmol、1.00当量)およびフタルイミド(7.83g、53.2mmol、1.00当量)、PPh3(20.9g、79.8mmol、1.50当量)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(13.9g、79.8mmol、14.5mL、1.50当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を水(200mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(200mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~5/1)で精製し、黄色固体として2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(14.0g、43.7mmol、収率82.2%、純度99%)を得た。m/z=317.0(M+1)+
【0194】
(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン。エタノール(100mL)中の2-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]イソインドリン-1,3-ジオン(13.0g、40.9mmol、1.00当量)およびヒドラジン水和物(10.3g、205mmol、9.96mL、5.00当量)の混合物を、70℃で3時間加熱した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、精製することなく次のステップで使用した。(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン(10.0g、粗製)を、黄色固体として得た。m/z=189.2(M+1)+
【0195】
N-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン。トルエン(100mL)中の(5-ブロモ-3-ピリジル)メタンアミン(10.0g、54.9mmol、1.00当量)およびベンゾフェノン(10.3g、54.9mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(1.89g、11.0mmol、0.20当量)を添加した。この混合物を、110℃で10時間攪拌した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~10/1)により精製し、黄色油状物としてN-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(15.0g、粗製)を得た。
【0196】
3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。テトラヒドロフラン(50mL)中のN-[(5-ブロモ-3-ピリジル)メチル]-1,1-ジフェニル-メタンイミン(14.1g、40.0mmol、1.00当量)の溶液に、-70℃でジイソプロピルアミドリチウム(2M、40mL、2.00当量)を加え、30分間攪拌した。次いでこの混合物に、シス-1,4-ジクロロ-2-ブテン(5.00g、40.0mmol、4.2mL、1.00当量)を加えた。この混合物を、8時間で25℃に加温した。混合物を、HCl(1M)(100mL)でクエンチし、0.5時間攪拌した。次に、NaOH溶液(40%)を用いてpHを12に調整し、ジクロロメタンで抽出(50mL×3)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、逆相(塩基条件、ISCO(登録商標)、40gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%のアセトニトリル/水の溶離液、流量40mL/分)で精製し、黄色油状物として3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(1.10g、4.57mmol、収率11.4%、純度99.4%)を得た。m/z=239.2(M+1)+
【0197】
N-tert-ブチルオキシカルボニル-3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。ジクロロメタン(10mL)中の3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(1.10g、4.57mmol、1.00当量)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(56mg、457umol、0.100当量)の溶液に、トリエチルアミン(1.39g、13.7mmol、1.91mL、3.00当量)および二炭酸ジ-tert-ブチル(998mg、4.57mmol、1.05mL、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。混合物を、塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1~10/1)で精製し、生成物(1.10g、3.15mmol、収率68.9%、純度97.2%)を淡黄色油状物として得た。m/z=339.2(M+1)+
【0198】
tert-ブチル5-[5-(1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート。トルエン(10mL)中のN-tert-ブチルオキシカルボニル-3-ブロモ-5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン(200mg、589umol、1.00当量)の溶液に、tert-ブチル2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(117mg、590umol、1.0当量)、t-BuONa(85mg、884umol、1.50当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(54mg、58.9umol、0.100当量)およびキサントホス(34mg、58.9umol、0.1当量)を加えた。この混合物を、N2下、100℃で3時間攪拌した。混合物を水(30mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(15mL)した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1~5/1)で精製し、黄色油状物として生成物(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、Rf=0.25)、120mg、244umol、41.5%収率、93.0%、を得た。m/z=457.4(M+1)+
【0199】
2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン。酢酸エチル(5mL)中のtert-ブチル5-[5-(1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキシレート(120mg、263umol、1.00当量)の溶液に、酢酸エチル中の塩化水素(4M、3.00mL、45.6当量)の溶液を加えた。この混合物を、25℃で1時間攪拌した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(HCl条件、カラム:Phenomenex社Synergi C18 150*25*10um、移動相:[水(0.05%HCl)-アセトニトリル]、B%:0%~10%、5分)で精製し、2-[5-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)-3-ピリジル]-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン二塩酸塩(48.94mg、130umol、収率49.6%、純度97.4%)を黄色ゴム状物として得た。m/z=257.0(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)8.35-8.25(m,2H),8.21-8.18(m,1H),6.13-5.91(m,2H),5.02(s,1H),4.77-4.67(m,2H),4.02-3.84(m,4H),3.77-3.45(m,2H),2.89-2.68(m,2H),2.38-2.19(m,2H)。
【0200】
化合物12
【化52】
N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン。2-プロパノール(250mL)中のピリジン-3-カルバルデヒド(13.7g、100mmol、12.9mL、1.00当量)の溶液に、p-メトキシベンジルアミン(16.1g、150mmol、14.1mL、1.50当量)および酢酸(1.50g、25.0mmol、1.43mL、0.25当量)を添加した。この反応混合物を、25℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、次いで酢酸エチル(150mL)で希釈した。得られた溶液を、飽和NaHCO3溶液(50mL×2)および塩水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(28.1g、粗製)を褐色油状物として得、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0201】
1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン。乾燥テトラヒドロフラン(450mL)中のN-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(19.5g、86.2mmol、1.00当量)の溶液に、-78℃で、テトラヒドロフラン(50mL)およびジクロロメタン(50mL)中のZnCl2(12.9g、94.8mmol、4.44mL、1.10当量)の溶液を加え、10分間攪拌した。次いで1-メトキシ-3-[(トリメチルシリル)オキシ]-1,3-ブタジエン(18.6g、108mmol、21.0mL、1.25当量)を混合物に加え、30分間攪拌した後、混合物を-20℃まで自然昇温させ、20分間攪拌した。次いで、反応混合物を、25℃に自然昇温させ、12時間攪拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3(400mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、1MのHCl(400mL)で酸性化した。得られた水相を分離し、酢酸エチル(400mL)でさらに洗浄した。次いで、水相を、飽和NaHCO3(400mL)で中和し、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);330gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~80%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量100mL/分)で精製し、1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(13.4g、45.4mmol、収率52.6%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.59-8.45(m,2H),7.66-7.63(m,1H),7.27-7.05(m,2H),7.05-7.03(m,2H),6.89-6.87(m,2H),5.11-5.09(m,1H),4.53-4.49(m,1H),4.36-4.31(m,1H),4.09-3.81(m,1H),3.80(s,3H),2.91-2.85(m,1H),2.63-2.56(m,1H)。
【0202】
[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート。テトラヒドロフラン(50mL)中の1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(11.0g、37.4mmol、1.00当量)およびN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(14.7g、41.1mmol、1.10当量)の溶液に、L-selectride(1M、41.1mL、1.10当量)を-78℃で滴下により加えた。1時間後、溶液を25℃まで自然昇温させ、さらに1時間攪拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(500mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(300mL×2)した。まとめた有機相を、塩水(500mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色の残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=30/1~3/1)で精製し、[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(石油エーテル/酢酸エチル=3/1、Rf=0.6)(5.20g、12.1mmol、収率32.5%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.65-8.57(m,2H),7.79-7.77(m,1H),7.36-7.33(m,1H),7.27-7.18(m,2H),6.87-6.84(m,2H),6.01-5.55(m,1H),3.94-3.91(m,1H),3.80(s,3H),3.62-3.58(m,1H),3.26-3.17(m,1H),3.14-3.06(m,2H),2.73-2.71(m,2H)。
【0203】
3-[4-フェニル-1-(p-トリルメチル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-イル]ピリジン。ジオキサン(10mL)およびH2O(2mL)中の、[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(500mg、1.17mmol、1.00当量)、フェニルボロン酸(427mg、3.50mmol、3.00当量)の溶液に、K2CO3(484mg、3.50mmol、700uL、3.00当量)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(85mg、116umol、0.100当量)を加えた。この混合物を、80℃で2時間攪拌した。混合物を水(30mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(15mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=20/1~5/1)で精製し、3-[4-フェニル-1-(p-トリルメチル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-イル]ピリジン(石油エーテル/酢酸エチル=1/1、Rf=0.4)(0.400g、粗製)を黄色固体として得た。m/z=357.4(M+1)+
【0204】
3-(4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル)ピリジン。3-[4-フェニル-1-(p-トリルメチル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-イル]ピリジン(400mg、1.12mmol、1.00当量)およびトリフルオロ酢酸(7.70g、67.5mmol、5mL、60.2当量)をマイクロ波試験管に取り込んだ。密封した管を、100℃で2時間、マイクロ波下で加熱した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、逆相(0.1% HCl)で精製して、3-(4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピラジン-2-イル)ピリジン二塩酸塩(94.15mg)を得た。m/z=237.1(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)9.24-9.16(m,1H),9.03.-9.01(m,1H),8.97-8.95(m,1H),8.29-8.26(m,1H),7.60-7.54(m,2H),7.43-7.38(m,3H),6.31-6.29(m,1H),5.72-5.71(m,0.4H),5.09-5.05(m,0.6H),4.19-4.11(m,1H),3.62-3.61(m,1H),3.28-2.99(m,2H)。
【0205】
化合物13
【化53】
N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン。2-プロパノール(250mL)中のピリジン-3-カルバルデヒド(13.7g、100mmol、12.9mL、1.00当量)の溶液に、p-メトキシベンジルアミン(16.1g、150mmol、14.1mL、1.50当量)および酢酸(1.50g、25.0mmol、1.43mL、0.25当量)を添加した。この反応混合物を、25℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、次いで酢酸エチル(150mL)で希釈した。得られた溶液を、飽和NaHCO3溶液(50mL×2)および塩水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(28.1g、粗製)を褐色油状物として得、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0206】
1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン。乾燥テトラヒドロフラン(450mL)中のN-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(19.5g、86.2mmol、1.00当量)の溶液に、-78℃で、テトラヒドロフラン(50mL)およびジクロロメタン(50mL)中のZnCl2(12.9g、94.8mmol、4.44mL、1.10当量)の溶液を加え、10分間攪拌した。次いで1-メトキシ-3-[(トリメチルシリル)オキシ]-1,3-ブタジエン(18.6g、108mmol、21.0mL、1.25当量)を混合物に加え、30分間攪拌した後、混合物を-20℃まで自然昇温させ、20分間攪拌した。次いで、反応混合物を、25℃に自然昇温させ、12時間攪拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3(400mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、1MのHCl(400mL)で酸性化した。得られた水相を分離し、酢酸エチル(400mL)でさらに洗浄した。次いで、水相を、飽和NaHCO3(400mL)で中和し、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);330gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~80%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量100mL/分)で精製し、1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(13.4g、45.4mmol、収率52.6%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.59-8.45(m,2H),7.66-7.63(m,1H),7.27-7.05(m,2H),7.05-7.03(m,2H),6.89-6.87(m,2H),5.11-5.09(m,1H),4.53-4.49(m,1H),4.36-4.31(m,1H),4.09-3.81(m,1H),3.80(s,3H),2.91-2.85(m,1H),2.63-2.56(m,1H)。
【0207】
[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]トリフルオロメタンスルホネート。テトラヒドロフラン(50mL)中の1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(11.0g、37.4mmol、1.00当量)およびN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(14.7g、41.1mmol、1.10当量)の溶液に、L-selectride(1M、41.1mL、1.10当量)を-78℃で滴下により加えた。1時間後、溶液を25℃まで自然昇温させ、さらに1時間攪拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(500mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(300mL×2)した。まとめた有機相を、塩水(500mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色の残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=30/1~3/1)で精製し、[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(石油エーテル/酢酸エチル=3/1、Rf=0.6)(5.20g、12.1mmol、収率32.5%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.65-8.57(m,2H),7.79-7.77(m,1H),7.36-7.33(m,1H),7.27-7.18(m,2H),6.87-6.84(m,2H),6.01-5.55(m,1H),3.94-3.91(m,1H),3.80(s,3H),3.62-3.58(m,1H),3.26-3.17(m,1H),3.14-3.06(m,2H),2.73-2.71(m,2H)。
【0208】
3-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]ピリジン。水(2mL)およびジオキサン(8mL)中の、[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(500mg、1.17mmol、1.00当量)および3-ピリジニルボロン酸(430mg、3.50mmol、3.00当量)の溶液に、K2CO3(2M、1.75mL、3.00当量)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(85mg、117umol、0.100当量)を加えた。この混合物を、80℃で2時間攪拌した。混合物を水(30mL)中に注いで、次いで酢酸エチルで抽出(15mL×2)した。まとめた有機層を、塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~2/1)で精製し、3-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]ピリジン(TLC:石油エーテル/酢酸エチル=0/1、Rf=0.3)(0.330g、粗製)を黄色油状物として得た。m/z=358.3(M+1)+
【0209】
3-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン。3-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]ピリジン(0.330g、923umol、1.00当量)およびトリフルオロ酢酸(7.70g、67.5mmol、5mL、73.2当量)をマイクロ波試験管に取り込んだ。密封した管を、100℃で2時間、マイクロ波下で加熱した。混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、逆相(0.1% HCl)で精製し、3-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン二塩酸塩(177mg、555umol、収率60.1%、純度97.2%)を淡黄色固体として得た。m/z=238.2(M+1)+1H NMR(400MHz,DMSO-d6)11.03(s,1H),10.49(s,1H),9.17-9.06(m,1H),9.06-8.91(m,1H),8.90-8.84(m,1H),8.82-8.76(m,1H),8.76-8.65(m,1H),8.65-8.50(m,1H),8.03-7.99(m,2H),6.75(s,1H),4.86(s,1H),4.10-3.97(m,2H),3.30-3.23(m,1H),3.14-3.09(m,1H)。
【0210】
化合物14
【化54】
ジエチル(ピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート。トルエン(20.0mL)中のニコチンアルデヒド(10.0g 93.4mmol、8.77mL、1.00当量)およびカルバミン酸エチル(18.3g、205mmol、2.20当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(804mg、4.67mmol、0.05当量)を加えた。この混合物を、120℃で12時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却した。残渣を濾過し、トルエン(100mL×3)で洗浄して、ジエチル(ピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(10.0g、37.4mmol、収率40.1%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.67-8.66(m,1H),8.54-8.52(m,1H),7.76-7.73(m,1H),7.30-7.28(m,1H),6.21(s,3H),4.17-4.11(m,4H),1.27-1.23(m,6H)。
【0211】
エチル 3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。クロロホルム(40.0mL)中のジエチル(ピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(8.00g、29.9mmol、1.00当量)の溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(21.2g、149mmol、18.5mL、5.00当量)およびシクロヘキサ-1,3-ジエン(4.80g、59.9mmol、5.70mL、2.00当量)を加えた。この混合物を、70℃で3時間攪拌した。反応混合物を、25℃で飽和NaHCO3溶液(100mL)を添加することによってクエンチし、次いで水(100mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(100mL×3)した。まとめた有機層を、水(100mL×2)および塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル 3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(10.0g、粗製)を黄色油状物として得た。m/z=259(M+1)+
【0212】
2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。0℃の乾燥テトラヒドロフラン(25.0mL)中の水素化アルミニウムリチウム(2.35g、61.9mmol、8.00当量)の溶液に、テトラヒドロフラン(25.0mL)中のエチル 3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(2.00g、7.74mmol、1.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で10時間攪拌した。反応混合物を、水(2.00mL)、15% NaOH(水溶液、2.00mL)、および水(6.00mL)でクエンチした。次いで、反応混合物をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(中性条件、カラム:Phenomenex社Gemini 150*25mm*10um、移動相:[水(0.04%NH4OH+10mM NH4HCO3)-アセトニトリル]、B%:40%~67%、10分)で精製し、2-メチル-3-(ピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(12.9mg、63.4μmol、収率0.819%、純度97.9%)を黄色油状物として得た。m/z=201(M+1)+1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.65(m,1H),8.40(m,1H),8.02-7.93(m,1H),7.47-7.35(m,1H),6.62-6.57(m,1H),6.43-6.32(m,1H),3.49-3.41(m,1H),3.12-3.05(m,1H),2.53-2.44(m,1H),2.17(s,3H),2.06-1.94(m,1H),1.39-1.19(m,2H),0.95-0.86(m,1H)。
【0213】
化合物15
【化55】
ジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート。トルエン(50.0mL)中の6-クロロピリジン-3-カルバルデヒド(10.0g、70.7mmol、1.00当量)およびカルバミン酸エチル(14.0g、157mmol、2.22当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(608mg、3.53mmol、0.05当量)を加えた。この混合物を、120℃で24時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却した。残渣を濾過し、固体を収集した。ジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(20.0g、粗製)は白色固体であった。m/z=302(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.45-8.44(m,1H),7.73-7.70(m,1H),7.33-7.31(m,1H),6.18-6.14(m,1H),6.05-6.04(m,1H),4.19-4.12(m,4H),1.28-1.24(m,6H)。
【0214】
エチル3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。クロロホルム(50.0mL)中のジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(10.0g、33.1mmol、1.00当量)の溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(23.5g、165mmol、20.5mL、5.00当量)およびシクロヘキサ-1,3-ジエン(5.31g、66.3mmol、6.31mL、2.00当量)を加えた。この混合物を、70℃で12時間攪拌した。反応混合物を、25℃で飽和NaHCO3溶液(100mL)を添加することによってクエンチし、次いで水(100mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(100mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(9.00g、粗製)を黄色油状物として得た。m/z=293(M+1)+
【0215】
3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。エタノール(60.0mL)中のエチル3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(7.00g、23.9mmol、1.00当量)の溶液に、NaOH(12.0g、300mmol、12.6当量)を加えた。この反応混合物を、90℃で12時間攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。次いで、残渣をpH=1(1M HCl)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)した。まとめた水層をpH=10(NaOH)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(2.00g、8.68mmol、収率36.3%)を黄色油状物として得た。m/z=231(M+1)+
【0216】
2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ギ酸(10.0mL)中の3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(2.00g、8.68mmol、1.00当量)の溶液に、ホルムアルデヒド(6.54g、80.6mmol、6.00mL、純度37.0%、9.28当量)を加えた。この混合物を、100℃で2時間攪拌した。混合物を、NaOHの40%(w/v)溶液(pH=9)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出(20.0mL×2)した。まとめた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.10%NH4OH移動相)で精製した。2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(500mg、2.05mmol、収率23.5%)を黄色油状物として得た。m/z=245(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.16-8.13(m,1H),7.74-7.68(m,1H),6.74-6.68(m,1H),6.59-6.53(m,1H),6.32-6.26(m,1H),4.26-4.21(m,2H),3.41-3.39(m,1H),2.39-2.34(m,1H),2.13(s,3H),1.99-1.90(m,1H),1.36-1.28(m,5H),0.93-0.81(m,1H)。
【0217】
2-メチル-3-(6-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。塩酸(3M、5.00mL、14.1当量)中の2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン8(260mg、1.06mmol、1.00当量)の溶液を、100℃で12時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.10%HCl条件)で精製した。2-メチル-3-(6-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(100mg、462μmol、収率43.5%)を黄色油状物として得た。m/z=217(M+1)+
【0218】
2-メチル-3-(6-クロロキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。POCl3(8.27g、53.9mmol、5.01mL、116当量)中の2-メチル-3-(6-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン9(100mg、462mmol、1.00当量)の溶液を、70℃で12時間攪拌した。反応混合物を水(10.0mL)中に注いで、次いで混合物をpH=10に調整し、ジクロロメタンで抽出(20.0mL×2)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件;カラム:Waters社Xbridge 150*25 5u、移動相:[水(0.05%アンモニアヒドロキシド(ammonia hydroxide)v/v)-ACN]、B%:48%~78%、10分)で精製した。2-メチル-3-(6-クロロオキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(17.6mg、73.7umol、収率15.9%、純度98.2%)を、黄色固体として得た。m/z=235(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.46-8.53(m,1H),7.83-7.79(m,1H),7.31-7.27(m,1H),6.59-6.53(m,1H),6.37-6.32(m,1H),3.44-3.38(m,1H),3.02-2.98(m,1H),2.46-2.41(m,1H),2.16(s,3H),2.01-1.92(m,1H),1.36-1.21(m,2H),0.96-0.86(m,2H)。
【0219】
化合物16
【化56】
ジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート。トルエン(50.0mL)中の6-クロロピリジン-3-カルバルデヒド(10.0g、70.7mmol、1.00当量)およびカルバミン酸エチル(14.0g、157mmol、2.22当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(608mg、3.53mmol、0.05当量)を加えた。この混合物を、120℃で24時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却した。残渣を濾過し、固体を収集した。ジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(20.0g、粗製)は白色固体であった。m/z=302(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.45-8.44(m,1H),7.73-7.70(m,1H),7.33-7.31(m,1H),6.18-6.14(m,1H),6.05-6.04(m,1H),4.19-4.12(m,4H),1.28-1.24(m,6H)。
【0220】
エチル3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。クロロホルム(50.0mL)中のジエチル(6-クロロピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(10.0g、33.1mmol、1.00当量)の溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(23.5g、165mmol、20.5mL、5.00当量)およびシクロヘキサ-1,3-ジエン(5.31g、66.3mmol、6.31mL、2.00当量)を加えた。この混合物を、70℃で12時間攪拌した。反応混合物を、25℃で飽和NaHCO3溶液(100mL)を添加することによってクエンチし、次いで水(100mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(100mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル 3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(9.00g、粗製)を黄色油状物として得た。m/z=293(M+1)+
【0221】
3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。エタノール(60.0mL)中のエチル3-(6-クロロピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(7.00g、23.9mmol、1.00当量)の溶液に、NaOH(12.0g、300mmol、12.6当量)を加えた。この反応混合物を、90℃で12時間攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。次いで、残渣をpH=1(1M HCl)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)した。まとめた水層をpH=10(NaOH)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(2.00g、8.68mmol、収率36.3%)を黄色油状物として得た。m/z=231(M+1)+
【0222】
2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ギ酸(10.0mL)中の3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(2.00g、8.68mmol、1.00当量)の溶液に、ホルムアルデヒド(6.54g、80.6mmol、6.00mL、純度37.0%、9.28当量)を加えた。この混合物を、100℃で2時間攪拌した。混合物を、NaOHの40%(w/v)溶液(pH=9)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出(20.0mL×2)した。まとめた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.10%NH4OH移動相)で精製した。2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(500mg、2.05mmol、収率23.5%)を黄色油状物として得た。m/z=245(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.16-8.13(m,1H),7.74-7.68(m,1H),6.74-6.68(m,1H),6.59-6.53(m,1H),6.32-6.26(m,1H),4.26-4.21(m,2H),3.41-3.39(m,1H),2.39-2.34(m,1H),2.13(s,3H),1.99-1.90(m,1H),1.36-1.28(m,5H),0.93-0.81(m,1H)。
【0223】
3-(6-エトキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。エタノール(5.00mL)中の2-メチル-3-(6-エトキシピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(250mg、1.02mmol、1.00当量)の溶液に、N2下でPd/C(100mg、1.02mmol、10.0%、1.00当量)を加えた。懸濁液を真空下で脱気し、H2で数回パージした。この混合物を、H2下(15psi)、25℃で10時間攪拌した。混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。3-(6-エトキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(150mg、608umol、収率59.5%)を無色油状物として得た。m/z=247(M+1)+
【0224】
3-(6-ヒドロキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。塩酸(3M、25.0mL、73.9当量)中の3-(6-エトキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(250mg、1.01mmol、1.00当量)の溶液を、100℃で24時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.10%HCl条件)で精製した。3-(6-ヒドロキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン塩酸塩(230mg、902umol、収率88.9%)を白色固体として得た。m/z=219(M+1)+
【0225】
3-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。POCl3(8.10g、52.8mmol、4.91mL、50.1当量)中の3-(6-ヒドロキシ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン塩酸塩(230mg、1.05mmol、1.00当量)の溶液を、70℃で12時間攪拌した。反応混合物を水(10.0mL)中に注いで、次いで当該溶液のpHを10に調整し(NaHCO3、水溶液)、そしてジクロロメタンで抽出(20.0mL×2)した。まとめた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件、カラム:Xtimate C18 150*25mm*5um、移動相:[水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-アセトニトリル]、B%:60%~90%、10分)で精製し、3-(6-クロロ-3-ピリジル)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(87.9mg、369umol、収率35.1%、純度99.4%)が、灰白色固体として得られた。m/z=237(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.41-8.38(m,1H),7.54-7.51(m,1H),7.26-7.23(m,1H),3.38-3.35(m,1H),2.63-2.59(m,1H),2.44(s,3H),2.09-1.99(m,1H),1.94-1.75(m,2H),1.69-1.61(m,1H),1.56-1.31(m,4H),1.24-1.19(m,1H)。
【0226】
化合物17
【化57】
6-フェニルピリジン-3-カルバルデヒド。トルエン(70.0mL)およびエタノール(70.0mL)中の6-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(24.5g、132mmol、1.00当量)、フェニルボロン酸(24.1g、198mmol、1.50当量)の溶液に、Na2CO3(2M、35.0mL、5.31e-1.00当量)の溶液を加え、次いでPd(PPh34(15.2g、13.1mmol、0.10当量)をN2下で加えた。この混合物を、80℃で3時間攪拌した。反応混合物を、水(200mL)の添加によりクエンチし、酢酸エチルで抽出(150mL×3)した。まとめた有機層を、NaCl水溶液(100mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1:0~5:1)で精製した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=5/1、P1のRfは0.50であった)。6-フェニルピリジン-3-カルバルデヒド(18.0g、94.4mmol、収率71.7%、純度96.1%)を、淡黄色固体として得た。m/z=184(M+1)+
【0227】
ジエチル(6-フェニルピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート。トルエン(200mL)中の6-フェニルピリジン-3-カルバルデヒド(18.0g、98.3mmol、1.00当量)の溶液に、p-トルエンスルホン酸(845mg、4.91mmol、0.05当量)およびカルバミン酸エチル(21.9g、245mmol、2.50当量)を加えた。この混合物を、120℃で12時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、濾過した。粗生成物を、トルエン(50.0mL)で25℃で30分間粉砕した。ジエチル(6-フェニルピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(25.0g、72.8mmol、収率74.1%)を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.81-8.74(m,1H),8.03-7.93(m,2H),7.86-7.78(m,1H),7.71-7.62(m,1H),7.52-7.38(m,3H),6.32-6.16(m,1H),6.11-5.76(m,2H),4.22-4.09(m,4H),1.35-1.20(m,6H)。
【0228】
3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。クロロホルム(50.0mL)中のジエチル(6-フェニルピリジン-3-イルメチレン)ジカルバメート(5.00g、14.5mmol、1.00当量)の溶液に、シクロヘキサ-1,3-ジエン(2.33g、29.1mmol、2.77mL、2.00当量)および三フッ化ジエチルエーテラート(10.3g、72.8mmol、8.99mL、5.00当量)を加えた。この混合物を、70℃で10時間攪拌した。混合物を、飽和NaHCO3溶液(100mL)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出(50.0mL×2)した。まとめた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(4.00g、粗製)を黄色油状物として得た。m/z=335(M+1)+
【0229】
3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(1.00g、2.99mmol、1.00当量)を、無水エタノール(50.0mL)中のNaOH(10.0g、250mmol、83.6当量)20パーセント(w/v)溶液に溶解し、この混合物を、100℃で12時間攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。次いで残渣を、水(50.0mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)した。まとめた有機層をpH=2(1M HCl)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)した。まとめた水層をpH=10(NaHCO3)に調整し、次いで混合物を酢酸エチルで抽出(50.0mL×2)し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(中性条件、カラム:Waters社Xbridge 150*25 5u、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、B%:35%~65%、10分)で精製し、3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(51.4mg、191umol、収率6.41%、純度97.8%)を灰白色固体として得た。m/z=263(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.81-8.76(m,1H),8.05-7.95(m,3H),7.76-7.69(m,1H),7.51-7.48(m,3H),6.64-6.57(m,1H),6.51-6.44(m,1H),3.97-3.87(m,1H),3.74-3.64(m,1H),2.66-2.55(m,1H),2.07-1.93(m,1H),1.44-1.24(m,3H),1.04-0.93(m,1H)。
【0230】
3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。エタノール(10.0mL)中の3-(6-フェニルピリジン-3-イル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(300mg、1.14mmol、1.00当量)の溶液に、N2下でPd/C(100mg、1.14mmol、10.0%、1.00当量)を加えた。懸濁液を真空下で脱気し、H2で数回パージした。この混合物を、H2下(15psi)、25℃で10時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件、カラム:Xtimate C18 150*25mm*5um、移動相:[水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-アセトニトリル]、B%:47%~77%)で精製した。3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(250mg、945μmol、収率82.7%、純度100%)を、灰白色固体として得た。m/z=265(M+1)+、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.76-8.71(m,1H),8.04-7.47(m,3H),7.76-7.63(m,1H),7.51-7.39(m,3H),4.41-4.32(m,1H),3.07-2.96(m,1H),2.07-1.72(m,7H),1.54-1.23(m,3H)。
【0231】
2-メチル-3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。ギ酸(5.00mL)中の3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(170mg、643μmol、1.00当量)の溶液に、ホルムアルデヒド(545mg、6.72mmol、0.50mL、純度37.0%、10.4当量)を加えた。この混合物を、100℃で10時間攪拌した。混合物を、NaOHの40%(w/v)溶液(pH=9)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出(20.0mL×2)した。まとめた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(HCl条件、カラム:Phenomenex社Synergi C18 150*25*10um、移動相:[水(0.05% HCl)-アセトニトリル]、B%:8%~28%、9分)で精製した。2-メチル-3-(6-フェニル-3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(87.5mg、276μmol、収率42.9%、純度99.3%、HCl)を灰白色固体として得た。m/z=279(M+1)+、1H NMR(400MHz,MeOD)δ9.26-9.18(m,1H),9.03-8.92(m,1H),8.54-8.49(m,1H),8.06-7.97(m,2H),7.79-7.66(m,3H),3.66-3.62(m,1H),3.04(s,3H),2.66-2.52(m,1H),2.46-2.34(m,1H),2.24-1.81(m,8H)。
【0232】
化合物18
【化58】
tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート。テトラヒドロフラン(5mL)中の3-ヨードピリジン(682mg、3.33mmol、1.50当量)の溶液に、n-ブチルリチウム(2.50M、1.33mL、1.50当量)を-78℃で加えた。この混合物を-78℃で0.5時間攪拌した。次いでテトラヒドロフラン(5mL)中のtert-ブチル5-オキソ-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(0.500g、2.22mmol、1.00当量)を加えた。この混合物を、-78℃で2時間攪拌した。反応混合物を、-78℃で飽和NH4Cl水溶液(3mL)を添加することによってクエンチし、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~1/1)で精製した。tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(0.224g、736umol、収率33.2%)を黄色油状物として得た。m/z=305(M+1)+
【0233】
tert-ブチル5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。ジクロロメタン(10mL)中のtert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(224mg、736umol、1.00当量)の溶液に、トリエチルアミン(744mg、7.36mmol、1.02mL、10.0当量)および塩化メタンスルホニル(421mg、3.68mmol、284umL、5.00当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。反応混合物を、0℃で水2mLを添加することによってクエンチし、次いで減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%NH4OH)で精製した。tert-ブチル5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.150g、523umol、収率71.2%)を黄色油状物として得た。m/z=287(M+1)+
【0234】
5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ジオキサン(5mL)中のtert-ブチル 5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.150g、523umol、1.00当量)の溶液に、HCl/ジオキサン(4M、131uL、1当量)を加えた。この混合物を、25℃で0.5時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取TLC(SiO2、DCM/MeOH=10/1)で精製した。TLC(ジクロロメタン/メタノール=10/1)により、一つの主要なスポット(Rf=0.35)が検出されたことがわかった。5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(11.7mg、62.6umol、収率11.9%、純度99.7%)を、黄色固体として得た。m/z=205(M+19)+1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.72(s,1H),8.48(m,1H),8.00(m,1H),7.46(m,1H),6.85(m,1H),4.15(m,1H),3.41(s,1H),3.22-3.18(m,1H),2.80-2.70(m,1H),2.19-2.13(m,1H),1.94-1.89(m,1H),1.60-1.49(m,2H)。
【0235】
化合物19
【化59】
tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート。テトラヒドロフラン(5mL)中の3-ヨードピリジン(682mg、3.33mmol、1.50当量)の溶液に、n-ブチルリチウム(2.50M、1.33mL、1.50当量)を-78℃で加えた。この混合物を-78℃で0.5時間攪拌した。次いでテトラヒドロフラン(5mL)中のtert-ブチル5-オキソ-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(0.500g、2.22mmol、1.00当量)を加えた。この混合物を、-78℃で2時間攪拌した。反応混合物を、-78℃で飽和NH4Cl水溶液(3mL)を添加することによってクエンチし、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~1/1)で精製した。tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(0.224g、736umol、収率33.2%)を黄色油状物として得た。m/z=305(M+1)+
【0236】
tert-ブチル5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。ジクロロメタン(10mL)中のtert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(224mg、736umol、1.00当量)の溶液に、トリエチルアミン(744mg、7.36mmol、1.02mL、10.0当量)および塩化メタンスルホニル(421mg、3.68mmol、284umL、5.00当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。反応混合物を、0℃で水2mLを添加することによってクエンチし、次いで減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%NH4OH)で精製した。tert-ブチル5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.150g、523umol、収率71.2%)を黄色油状物として得た。m/z=287(M+1)+
【0237】
5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ジオキサン(5mL)中のtert-ブチル5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.150g、523umol、1.00当量)の溶液に、HCl/ジオキサン(4M、131uL、1当量)を加えた。この混合物を、25℃で0.5時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取TLC(SiO2、DCM/MeOH=10/1)で精製した。TLC(ジクロロメタン/メタノール=10/1)により、一つの主要なスポット(Rf=0.35)が検出されたことがわかった。5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(11.7mg、62.6umol、収率11.9%、純度99.7%)を、黄色固体として得た。m/z=205(M+19)+1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.72(s,1H),8.48(m,1H),8.00(m,1H),7.46(m,1H),6.85(m,1H),4.15(m,1H),3.41(s,1H),3.22-3.18(m,1H),2.80-2.70(m,1H),2.19-2.13(m,1H),1.94-1.89(m,1H),1.60-1.49(m,2H)。
【0238】
2-メチル-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ギ酸(5mL)中の5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エンの溶液に、ホルムアルデヒド(545mg、6.72mmol、0.5mL、純度37.0%、17.8当量)を加えた。この混合物を、100℃で2時間攪拌した。混合物を、NaOHの40%(w/v)溶液(pH=9)でクエンチし、ジクロロメタンで抽出(20mL×2)した。まとめた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取TLC(SiO2、DCM/MeOH=10/1)で精製した。TLC(DCM/MeOH=10/1)により、一つの主要なスポット(Rf=0.25)が検出されたことがわかった。2-メチル-5-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(24.0mg、118μmol、収率31.5%、純度98.7%)が褐色ゴム状物として得られた。m/z=201(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.73(m,1H),8.57(m,1H),7.78-7.73(m,1H),7.35-7.32(m,1H),6.73-6.67(m,1H),4.28(m,1H),4.07-3.99(m,1H),3.67(m,1H),3.31(m,1H),2.58(s,3H),2.36-2.32(m,1H),1.95-1.91(m,1H),1.54-1.42(m,2H)。
【0239】
化合物20
【化60】
tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート。テトラヒドロフラン(15.0mL)中の2-クロロ-5-ヨードピリジン(1.28g、5.33mmol、1.20当量)の溶液に、n-ブチルリチウム(2.50M、2.2mL、1.24当量)を-60℃で滴下により加えた。この混合物を、-60℃で0.5時間攪拌した。次いでテトラヒドロフラン(15.0mL)中のtert-ブチル5-オキソ-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(1.00g、4.44mmol、1.00当量)を滴下により加えた。得られた混合物を、-60℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(30mL)でクエンチし、水(50mL)で希釈して、酢酸エチルで抽出(30mL×3)した。まとめた有機相を、塩水(60mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~2:1)で精製し、tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(750mg、2.05mmol、収率46.3%、純度92.8%)を黄色油状物として得た。m/z=339.1(M+H)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.57-8.46(m,1H),7.88-7.67(m,1H),7.37-7.29(m,1H),4.37-4.17(m,1H),3.31-3.11(m,1H),3.01-2.92(m,1H),2.79-2.61(m,1H),2.50-2.30(m,2H),2.27-2.20(m,1H),2.18-2.06(m,1H),1.92-1.82(m,2H),1.63-1.57(m,1H)。
【0240】
tert-ブチル5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。ジクロロメタン(10.0mL)中のtert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(500mg、1.48mmol、1.00当量)およびトリエチルアミン(900mg、8.89mmol、1.24mL、6.03当量)の溶液に、塩化メタンスルホニル(845mg、7.38mmol、570μL、5.00当量)を0℃で加えた。次いでこの混合物を、30℃で2時間攪拌した。反応混合物を、水(30mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(15mL×2)した。まとめた有機相を、塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~5/1)で精製し、スポット(Rf=0.8)であり、tert-ブチル5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(363mg、1.06mmol、収率71.6%、純度93.4%)を無色油状物として得た。m/z=321.1(M+H)+
【0241】
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2。酢酸エチル(8.00mL)中の5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(363mg、1.13mmol、1.00当量)の溶液に、HCl/酢酸エチル(4.00M、6.13mL、21.7当量)を加えた。次いでこの混合物を、30℃で1時間攪拌した。反応混合物を、真空下で濃縮して、5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2二塩酸塩(310mg、粗製)を淡黄色油状物として得た。m/z=192.1(M-28)+1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ8.57(d,J=2.4Hz,1H),8.60-8.54(m,1H),8.04-7.98(m,1H),7.53-7.48(m,1H),6.83(dd,J=2.0,6.0Hz,1H),4.50-4.39(m,1H),3.53(br d,J=2.4Hz,1H),3.34(s,1H),2.91(br d,J=11.6Hz,1H),2.24-2.14(m,1H),2.01-1.91(m,1H),1.70-1.53(m,2H)。
【0242】
化合物21
【化61】
tert-ブチル 5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート。テトラヒドロフラン(15.0mL)中の2-クロロ-5-ヨードピリジン(1.28g、5.33mmol、1.20当量)の溶液に、n-ブチルリチウム(2.50M、2.2mL、1.24当量)を-60℃で滴下により加えた。この混合物を、-60℃で0.5時間攪拌した。次いでテトラヒドロフラン(15.0mL)中のtert-ブチル5-オキソ-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(1.00g、4.44mmol、1.00当量)を滴下により加えた。得られた混合物を、-60℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(30mL)でクエンチし、水(50mL)で希釈して、酢酸エチルで抽出(30mL×3)した。まとめた有機相を、塩水(60mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~2:1)で精製し、tert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(750mg、2.05mmol、収率46.3%、純度92.8%)を黄色油状物として得た。m/z=339.1(M+H)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.57-8.46(m,1H),7.88-7.67(m,1H),7.37-7.29(m,1H),4.37-4.17(m,1H),3.31-3.11(m,1H),3.01-2.92(m,1H),2.79-2.61(m,1H),2.50-2.30(m,2H),2.27-2.20(m,1H),2.18-2.06(m,1H),1.92-1.82(m,2H),1.63-1.57(m,1H)。
【0243】
tert-ブチル5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。ジクロロメタン(10.0mL)中のtert-ブチル5-ヒドロキシ-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(500mg、1.48mmol、1.00当量)およびトリエチルアミン(900mg、8.89mmol、1.24mL、6.03当量)の溶液に、塩化メタンスルホニル(845mg、7.38mmol、570μL、5.00当量)を0℃で加えた。次いでこの混合物を、30℃で2時間攪拌した。反応混合物を、水(30mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出(15mL×2)した。まとめた有機相を、塩水(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~5/1)で精製し、スポット(Rf=0.8)であり、tert-ブチル5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(363mg、1.06mmol、収率71.6%、純度93.4%)を無色油状物として得た。m/z=321.1(M+H)+
【0244】
5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2。酢酸エチル(8.00mL)中の5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(363mg、1.13mmol、1.00当量)の溶液に、HCl/酢酸エチル(4.00M、6.13mL、21.7当量)を加えた。次いでこの混合物を、30℃で1時間攪拌した。反応混合物を、真空下で濃縮して、5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2二塩酸塩(310mg、粗製)を淡黄色油状物として得た。m/z=192.1(M-28)+1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ8.57(d,J=2.4Hz,1H),8.60-8.54(m,1H),8.04-7.98(m,1H),7.53-7.48(m,1H),6.83(dd,J=2.0,6.0Hz,1H),4.50-4.39(m,1H),3.53(br d,J=2.4Hz,1H),3.34(s,1H),2.91(br d,J=11.6Hz,1H),2.24-2.14(m,1H),2.01-1.91(m,1H),1.70-1.53(m,2H)。
【0245】
2-メチル-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2。ギ酸(4.00mL)中の5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2塩酸塩(210mg、951.53umol、1当量)およびホルムアルデヒド(1.64g、20.1mmol、1.50mL、21.2当量)の溶液を、95~100℃で10時間攪拌した。反応混合物を、水(10mL)で希釈し、飽和 NaHCO3でpHを8に調整し、酢酸エチルで抽出(20mL×4)した。まとめた有機相を、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、2-メチル-5-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2(20mg、72.43umol、収率7.61%、純度85%)を淡黄色油状物として得た。m/z=235.1(M+H)+、1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ8.58(d,J=2.0Hz,1H),8.01(dd,J=2.4,8.4Hz,1H),7.50(d,J=8.8Hz,1H),6.83(d,J=6.0Hz,1H),4.56(s,2H),3.51-3.37(m,2H),2.72(s,3H),2.22(br d,J=7.2Hz,1H),1.93-1.84(m,1H),1.70-1.53(m,2H)。
【0246】
化合物22
【化62】
3-ビニルピリジン。2-プロパノール(160mL)中の、3-ヨードピリジン(16.0g、78.1mmol、1.00当量)、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(14.6g、109mmol、1.40当量)、トリエチルアミン(23.7g、234mmol、32.6mL、3.00当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.86g、3.90mmol、0.05当量)、および水(50.0g、2.77mol、50mL、35.5当量)の混合物を、脱気し、N2で3回パージし、次いでこの混合物をN2雰囲気下、80℃で3時間攪拌した。反応混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(50mL×3)した。有機層を、塩水(50mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、濃縮して、残渣を得た。生成物を、石油エーテル:酢酸エチルで溶離されるシリカゲルでのクロマトグラフィー(100:1~2:1、石油エーテル/酢酸エチル=5/1、生成物Rf=0.4)で精製して、黄色液体を得た。3-ビニルピリジン(3.91g、36.8mmol、収率47.2%、純度99.1%)を黄色液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.62(d,1H),8.48(dd,1H),7.73(dt,1H),7.23-7.27(m,1H),6.71(dd,1H),5.83(d,1H),5.38(d,1H)。
【0247】
エチル2H-ピリジン-1-カルボキシレート。メタノール(200mL)中のピリジン(10.0g、126mmol、10.2mL、1.00当量)の溶液に、NaBH4(6.00g、158mmol、1.25当量)を-78°Cで加えた。次いで、クロロギ酸エチル(13.0g、120mmol、11.4mL、0.952当量)を-78℃で滴下により加えた。この混合物を、-78℃で1時間攪拌した。反応混合物を、0℃での水(100mL)の添加によってクエンチし、次いで水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(200mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(150mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、330gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、100mL/分での0~20%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液)で精製した。エチル 2H-ピリジン-1-カルボキシレート(10.0g、65.3mmol、収率51.6%)を、黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.84-6.67(m,1H),5.86-5.82(m,1H),5.53-5.52(m,1H),5.13-5.11(m,1H),4.38-4.36(m,2H),4.24-4.20(m,2H),1.32-1.30(m,3H)。
【0248】
エチル7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。デカリン(5mL)中のエチル 2H-ピリジン-1-カルボキシレート(0.800g、5.22mmol、2.00当量)の溶液に、3-ビニルピリジン(274mg、2.61mmol、1.00当量)を加えた。混合物を、マイクロ波照射下で250℃で1時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%NH4OH)で精製した。エチル 7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(100mg、387μmol、収率7.41%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.65-8.43(m,2H),7.57-7.42(m,1H),7.22-7.15(m,1H),6.63-6.57(m,1H),6.32-6.26(m,1H),4.82-4.79(m,1H),4.26-4.11(m,2H),3.47-3.43(m,2H),3.38-3.35(m,1H),2.92(s,1H),2.22-2.16(m,2H),1.30-1.24(m,3H)。
【0249】
7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。エタノール(10mL)中のエチル7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.100g、387umol、1.00当量)の溶液に、NaOH(774mg、19.3mmol、50.0当量)を加えた。混合物を、100℃で3時間攪拌した。NaOH(619.35mg、15.48mmol、40.0当量)を加え、混合物を、100℃で12時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%NH4OH)で精製した。7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(39.0mg、182umol、収率47.1%、純度87.0%)を黄色固体として得た。m/z=187(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.48-8.45(m,1H),8.43-8.41(m,1H),7.47-7.44(m,1H),7.18-7.15(m,1H),6.56(t,J=7.4Hz,1H),6.37-6.34(m,1H),3.53-3.52(m,1H),3.52-3.51(m,1H),3.02-2.99(m,1H),2.79-2.77(m,1H),2.51-2.49(m,1H),2.21-2.12(m,1H),1.51-1.44(m,2H)。
【0250】
化合物23
【化63】
7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エンを、2-クロロ-5-ヨードピリジンおよび化合物22に記載の手順によるエチル 2H-ピリジルン-1-カルボキシレートから得た。m/z=221(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.33-8.32(m,1H),7.81-7.80(m,1H),7.31-7.29(m,1H),6.62-6.59(m,1H),6.44-6.41(m,1H),3.32-3.30(m,1H),3.06-3.03(m,1H),2.77-2.73(m,2H),2.59-2.56(m,1H),1.86-1.79(m,1H),1.29-1.27(m,1H)。
【0251】
化合物24
【化64】
2-ピペリジルメタノール。ジクロロメタン(20mL)中のN-tert-ブトキシカルボニル-2-ピペリジルメタノール(500mg、27.9mmol、1.00当量)の溶液に、ジオキサン(4M、13.9mL、2.00当量)中の塩化水素の溶液を加え、混合物を、25℃で0.5時間攪拌した。反応物を濃縮して、白色固体として2-ピペリジルメタノール塩酸塩(350mg、27.9mmol、収率100%)を得た。
【0252】
3-(2-ピペリジルメトキシ)ピリジン。ジメチルスルホキシド(10mL)中の2-ピペリジルメタノール塩酸塩(350mg、27.9mmol、1.00当量、HCl)の溶液に、t-BuOK(1.71g、139mmol、5.00当量)および3-フルオロピリジン(443mg、41.8mmol、390uL、1.50当量)を加え、この混合物を、100℃で8時間攪拌した。反応物を水(100mL)で希釈し、K3PO4(3.00g)を加え、酢酸エチルで抽出(100mL×2)し、まとめた有機相をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/酢酸エチル=0/1~1/1、TLC:MeOH/酢酸エチル=1/0、P1:Rf=0.27)で精製し、3-(2-ピペリジルメトキシ)ピリジン(200.53mg、20.8mmol、収率74.6%)を黄色ゴムとして得た。m/z=193.2(M+1)+1H NMR(400MHz,DMSO-d6)8.29-8.27(m,1H),8.17-8.15(m,1H),7.39-7.37(m,1H),7.33-7.30(m,1H),3.95-3.91(m,1H),3.85-3.81(m,1H),2.96-2.94(m,1H),2.84-2.80(m,1H),2.43-2.16(m,1H),1.76-1.74(m,1H),1.66-1.63(m,1H),1.53-1.51(m,1H),1.34-1.31(m,2H),1.29-1.21(m,1H)。
【0253】
化合物25
【化65】
ベンジル(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-カルボキシレート。DMF(5mL)中の(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-カルボン酸(500mg、2.20mmol、1.00当量)の溶液に、NaHCO3(400mg、4.76mmol、185uL、2.16当量)および臭化ベンジル(576mg、3.37mmol、400uL、1.53当量)を加えた。この混合物を、25℃で12時間攪拌した。反応混合物を、水(100mL)と酢酸エチル80(mL)との間で分配した。まとめた有機層を、水80mL(40mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、12gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~20%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量60mL/分)で精製し、ベンジル(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-カルボキシレート(600mg、1.89mmol、収率85.9%)を無色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)7.37-7.32(m,5H),5.75-5.65(m,2H),5.17-5.11(m,3H),4.08-4.03(m,1H),3.82-3.74(m,1H),2.73-2.65(m,1H),2.53-2.48(m,1H),1.47-1.41(m,9H)。
【0254】
[(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メタノール。THF(5mL)中のベンジル(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-2-カルボキシレート(600mg、1.89mmol、1.00当量)の溶液に、LiBH4(250mg、11.5mmol、6.07当量)を加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。反応混合物を、25℃でのNH4Cl(20mL)の添加によってクエンチし、次いで水(20mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(20mL×3)した。まとめた有機層を、塩水930 mL0で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、12gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~30%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量60mL/分)で精製し(360mg、1.69mmol、収率89.3%)、[(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]を無色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)5.74-5.72(m,1H),5.71-5.68(m,1H),4.48(s,1H),4.19(s,1H),3.66-3.49(m,3H),2.43-2.37(m,1H),2.05-1.99(m,1H),1.49(s,9H)。
【0255】
[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メタノール。ジクロロメタン(10mL)中の[(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メタノール(300mg、1.41mmol、1.00当量)の溶液に、ジオキサン中の塩化水素(4M、2mL、5.69当量)の溶液を加えた。この混合物を、25℃で0.5時間攪拌した。混合物を濃縮して、[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メタノール塩酸塩(210mg、1.41mmol、収率100.00%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0256】
3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン。ジメチルスルホキシド(5mL)中の[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メタノール塩酸塩(210mg、1.41mmol、1.00当量)の溶液に、t-BuOK(789mg、7.03mmol、5.00当量)および3-フルオロピリジン(205mg、2.11mmol、180uL、1.50当量)を加えた。この混合物を、100℃で8時間攪拌した。混合物を、分取HPLC(塩基条件)で、3-[[(2S)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル]メトキシ]ピリジン(114.58mg、586umol、収率41.7%、純度97.3%)を、黄色油状物として得た。m/z=191.2(M+1)+1H NMR )400MHz,DMSO-d6)8.30-8.17(m,1H),8.16-8.15(m,1H),7.41-7.39(m,1H),7.33-7.31(m,1H),5.72(s,2H),4.03-3.99(m,1H),3.94-3.89(m,1H),3.29-3.21(m,2H),3.05-3.04(m,1H),2.04-2.01(m,1H),1.89-1.85(m,1H)。
【0257】
化合物26
【化66】
2-(5-ブロモ-2-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン。2,5-ジブロモピリジン(5.00g、21.1mmol、1.00当量)、トリエチルアミン(8.54g、84.4mmol、11.7mL、4.00当量)、CuI(200mg、1.06mmol、0.0500当量)、Pd(PPh32Cl2(740mg、1.06mmol、0.0500当量)およびジメチルホルムアミド(25mL)の混合物を撹拌した。次いで、エチニル(トリメチル)シラン(2.49g、25.3mmol、3.51mL、1.20当量)を加え、混合物を25℃で2時間攪拌した。混合物を濾過し、水(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出(50mL×3)し、塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~10/1)で精製した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=10/1、P1のRfは0.5であった)。2-(5-ブロモ-2-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(3.00g、10.8mmol、収率51.5%、純度92.1%)を、淡黄色油状物として得た。m/z=254(M+1)+
【0258】
[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル〕ボロン酸。2-(5-ブロモ-2-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(3.00g、11.8mmol、1.00当量)、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.60g、14.1mmol、1.20当量)、KOAc(3.47g、35.4mmol、3.00当量)、Pd(PPh32 Cl2(431mg、590umol、0.0500当量)およびジオキサン(30mL)の混合物を脱気し、85℃で2時間撹拌した。混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出(50mL×3)し、塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、分取HPLC(HCl)で精製した。[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル]ボロン酸(1.40g、4.89mmol、収率41.4%、純度76.6%)を暗褐色油状物として得た。m/z=220(M+1)+
【0259】
N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン。2-プロパノール(250mL)中のピリジン-3-カルバルデヒド(13.7g、100mmol、12.9mL、1.00当量)の溶液に、p-メトキシベンジルアミン(16.1g、150mmol、14.1mL、1.50当量)および酢酸(1.50g、25.0mmol、1.43mL、0.25当量)を添加した。この反応混合物を、25℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、次いで酢酸エチル(150mL)で希釈した。得られた溶液を、飽和NaHCO3溶液(50mL×2)および塩水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。N-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(28.1g、粗製)を褐色油状物として得、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0260】
1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン。乾燥テトラヒドロフラン(450mL)中のN-(p-トリルメチル)-1-(3-ピリジル)メタンイミン(19.5g、86.2mmol、1.00当量)の溶液に、-78℃で、テトラヒドロフラン(50mL)およびジクロロメタン(50mL)中のZnCl2(12.9g、94.8mmol、4.44mL、1.10当量)の溶液を加え、10分間攪拌した。次いで1-メトキシ-3-[(トリメチルシリル)オキシ]-1,3-ブタジエン(18.6g、108mmol、21.0mL、1.25当量)を混合物に加え、30分間攪拌した後、混合物を-20℃まで自然昇温させ、20分間攪拌した。次いで、反応混合物を、25℃に自然昇温させ、12時間攪拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3(400mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、1MのHCl(400mL)で酸性化した。得られた水相を分離し、酢酸エチル(400mL)でさらに洗浄した。次いで、水相を、飽和NaHCO3(400mL)で中和し、酢酸エチルで抽出(150mL×2)した。まとめた有機相を、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);330gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~80%の酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液、流量100mL/分)で精製し、1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(13.4g、45.4mmol、収率52.6%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.59-8.45(m,2H),7.66-7.63(m,1H),7.27-7.05(m,2H),7.05-7.03(m,2H),6.89-6.87(m,2H),5.11-5.09(m,1H),4.53-4.49(m,1H),4.36-4.31(m,1H),4.09-3.81(m,1H),3.80(s,3H),2.91-2.85(m,1H),2.63-2.56(m,1H)。
【0261】
[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート。テトラヒドロフラン(50mL)中の1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-2,3-ジヒドロピリジン-4-オン(11.0g、37.4mmol、1.00当量)およびN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(14.7g、41.1mmol、1.10当量)の溶液に、L-selectride(1M、41.1mL、1.10当量)を-78℃で滴下により加えた。1時間後、溶液を25℃まで自然昇温させ、さらに1時間攪拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(500mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出(300mL×2)した。まとめた有機相を、塩水(500mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色の残渣を得た。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=30/1~3/1)で精製し、[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(石油エーテル/酢酸エチル=3/1、Rf=0.6)(5.20g、12.1mmol、収率32.5%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.65-8.57(m,2H),7.79-7.77(m,1H),7.36-7.33(m,1H),7.27-7.18(m,2H),6.87-6.84(m,2H),6.01-5.55(m,1H),3.94-3.91(m,1H),3.80(s,3H),3.62-3.58(m,1H),3.26-3.17(m,1H),3.14-3.06(m,2H),2.73-2.71(m,2H)。
【0262】
トリメチル-[2-[5-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン。[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル] トリフルオロメタンスルホネート(500mg、1.17mmol、1.00当量)、[6-(2-トリメチルシリルエチニル)-3-ピリジル]ボロン酸(400mg、1.40mmol、1.20当量)、LiCl(49mg、1.17mmol、23.9uL、1.00当量)、Pd(PPh32Cl2(170mg、233umol、0.200当量)、K3PO4(2M、1.75mL、3.00当量)およびジオキサン(10 mL)の混合物を脱気し、80℃で2時間攪拌した。混合物を濾過し、水(10mL)を加え、酢酸エチルで抽出(5mL×3)し、塩水(10mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、分取HPLC(HCl)で精製した。トリメチル-[2-[5-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン(0.300g、552umol、収率47.3%、純度83.5%)を暗褐色油状物として得た。m/z=454(M+1)+
【0263】
トリメチル-[2-[5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン。トリメチル-[2-[5-[1-(p-トリルメチル)-2-(3-ピリジル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン(0.250g、551umol、1.00当量)およびトリフルオロ酢酸(2mL)をマイクロ波試験管に取り込んだ。密封した管を、100℃で2時間、マイクロ波下で加熱した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%TFA条件)で精製した。トリメチル-[2-[5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン(0.120g、359umol、収率65.3%)を暗褐色油状物として得た。m/z=334(M+1)+
【0264】
2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン。メタノール(1mL)およびジクロロメタン(3mL)中のトリメチル-[2-[5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]-2-ピリジル]エチニル]シラン(0.100g、299umol、1.00当量)の溶液に、K2CO3(124mg、899umol、3.00当量)を加えた。この混合物を、25℃で1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件、カラム:Xtimate C18 150 * 25 mm * 5 um、移動相:[水(0.05%アンモニアヒドロキシド(ammonia hydroxide)v/v)-ACN]、B%:12%~42%、10分)で精製した。2-エチニル-5-[2-(3-ピリジル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル]ピリジン(15.8mg、58.5umol、収率19.5%、純度96.7%)を黄色固体として得た。m/z=262(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)8.69-8.65(m,2H),8.58-8.56(m,1H),7.79-7.78(m,1H),7.65-7.63(m,1H),7.45-7.43(m,1H),7.44-7.33(m,1H),6.35-6.33(m,1H),4.06-4.02(m,1H),3.82-3.74(m,2H), 3.18(s,1H),2.64-2.67(m,2H)。
【0265】
化合物27
【化67】
3-ビニルピリジン。2-プロパノール(160mL)中の、3-ヨードピリジン(16.0g、78.1mmol、1.00当量)、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(14.6g、109mmol、1.40当量)、トリエチルアミン(23.7g、234mmol、32.6mL、3.00当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.86g、3.90mmol、0.05当量)、および水(50.0g、2.77mol、50mL、35.5当量)の混合物を、脱気し、N2で3回パージし、次いでこの混合物をN2雰囲気下、80℃で3時間攪拌した。反応混合物を、水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(50mL×3)した。有機層を、塩水(50mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過して、濃縮して、残渣を得た。生成物を、石油エーテル:酢酸エチルで溶離されるシリカゲルでのクロマトグラフィー(100:1~2:1、石油エーテル/酢酸エチル=5/1、生成物Rf=0.4)で精製して、黄色液体を得た。3-ビニルピリジン(3.91g、36.8mmol、収率47.2%、純度99.1%)を黄色液体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.62(d,1H),8.48(dd,1H),7.73(dt,1H),7.23-7.27(m,1H),6.71(dd,1H),5.83(d,1H),5.38(d,1H)。
【0266】
エチル 2H-ピリジン-1-カルボキシレート。メタノール(200mL)中のピリジン(10.0g、126mmol、10.2mL、1.00当量)の溶液に、NaBH4(6.00g、158mmol、1.25当量)を-78°Cで加えた。次いで、クロロギ酸エチル(13.0g、120mmol、11.4mL、0.952当量)を-78℃で滴下により加えた。この混合物を、-78℃で1時間攪拌した。反応混合物を、0℃での水(100mL)の添加によってクエンチし、次いで水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(200mL×3)した。まとめた有機層を、塩水(150mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標)、330gのSepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、100mL/分での0~20%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶離液)で精製した。エチル 2H-ピリジン-1-カルボキシレート(10.0g、65.3mmol、収率51.6%)を、黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.84-6.67(m,1H),5.86-5.82(m,1H),5.53-5.52(m,1H),5.13-5.11(m,1H),4.38-4.36(m,2H),4.24-4.20(m,2H),1.32-1.30(m,3H)。
【0267】
エチル 7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート。デカリン(5mL)中のエチル 2H-ピリジン-1-カルボキシレート(0.800g、5.22mmol、2.00当量)の溶液に、3-ビニルピリジン(274mg、2.61mmol、1.00当量)を加えた。混合物を、マイクロ波照射下で250℃で1時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%NH4OH)で精製した。エチル 7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(100mg、387μmol、収率7.41%)を黄色油状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.65-8.43(m,2H),7.57-7.42(m,1H),7.22-7.15(m,1H),6.63-6.57(m,1H),6.32-6.26(m,1H),4.82-4.79(m,1H),4.26-4.11(m,2H),3.47-3.43(m,2H),3.38-3.35(m,1H),2.92(s,1H),2.22-2.16(m,2H),1.30-1.24(m,3H)。
【0268】
2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。テトラヒドロフラン(5mL)中のエチル 7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(0.100g、387umol、1.00当量)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(117mg、3.10mmol、8.00当量)を0℃で加えた。この混合物を、25℃で2時間攪拌した。反応混合物を、0℃で水5mLを添加することによってクエンチし、次いで減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取TLC(SiO2、DCM/MeOH=10/1)で精製した。TLC(DCM/MeOH=10/1)により、一つの主要なスポット(Rf=0.3)が検出されたことがわかった。2-メチル-7-(3-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(15.9mg、78.7μmol、収率20.3%、純度98.7%)を白色固体として得た。m/z=201(M+1)+1H NMR:(400MHz,MeOD)δ8.45-8.42(m,2H),7.71-7.68(m,1H),7.41-7.38(m,1H),6.93-6.89(m,1H),6.30-6.27(m,1H),4.00(m,1H),3.69-3.65(m,1H),3.42-3.39(m,1H),3.04(m,1H),2.67(s,3H),2.53-2.50(m,1H),2.30-2.27(m,1H),1.68-1.64(m,1H)。
【0269】
化合物28
【化68】
2-メチル-7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン。ギ酸(3mL)中の7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(0.100g、453umol、1.00当量)の溶液に、ホルムアルデヒド(327mg、4.03mmol、0.3mL、純度37.0%、8.89当量)を加えた。この混合物を、100℃で1時間攪拌した。この反応混合物を、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、分取HPLC(塩基条件、カラム:Xtimate C18 150*25mm*5um、移動相:[水(0.05%アンモニアヒドロキシド(ammonia hydroxide)v/v)-アセトニトリル]、B%:32%~62%、10分)で精製した。2-メチル-7-(2-クロロ-5-ピリジル)-2-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン(10.0mg、40.3umol、収率8.9%、純度94.5%)を、黄色油状物として得た。m/z=235(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.20(s,1H),7.45-7.43(m,1H),7.20-7.18(m,1H),6.68-6.65(m,1H),6.17-6.13(m,1H),3.55-3.53(m,1H),3.41(d,J=2.6Hz,1H),3.23-3.20(m,1H),2.76-2.74(m,1H),2.33-2.13(m,3H),2.13-2.01(m,1H),1.99-1.97(m,1H),1.47-1.43(m,1H)。
【0270】
化合物29は、化合物28の合成中に副生成物として単離された。m/z=245(M+1)+1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.95(s,1H),7.43-7.36(m,1H),6.68-6.64(m,1H),6.61-6.59(m,1H),6.19-6.14(m,1H),4.33-4.28(m,2H),3.58-3.56(m,1H),3.45-3.44(m,1H),3.29-3.27(m,1H),2.76-2.75(m,1H),2.37(s,3H),2.16-2.12(m,1H),2.03-1.99(m,1H),1.47-1.43(m,1H),1.39-1.35(m,3H)。
【国際調査報告】