(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ケーブルカー車両のための扉制御装置
(51)【国際特許分類】
B61B 12/00 20060101AFI20230725BHJP
B61B 7/00 20060101ALI20230725BHJP
E05F 15/77 20150101ALI20230725BHJP
【FI】
B61B12/00 A
B61B7/00
E05F15/77
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022579023
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2021068435
(87)【国際公開番号】W WO2022008399
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ドゥール
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・シャウエルテ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヘマール
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA04
2E052CA05
2E052EB01
2E052EC01
(57)【要約】
ケーブルカー駅(2)におけるケーブルカー車両(5)の入口バリア(8)のより信頼性のある作動を可能にするために、本発明は、入口バリア(8)を作動させるための少なくとも1つの機械的に作動可能なバリア作動要素(24)がケーブルカー車両(5)に設けられ、少なくとも1つの可動作動構成要素(28、30)がバリア作動装置(10)に設けられ、作動構成要素(28、30)が、バリア作動装置(10)の稼働時に、バリア作動要素(24)に対し作動力を加えるためにリモート制御ユニット(11)によって動かされ、バリア作動要素(24)が、入口バリア(8)を作動させるために作動力によって動かされることを提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケーブルカー駅(2)を含み、少なくとも1つのケーブルカー車両(5)を含むケーブルカー(1)であって、少なくとも1つの作動可能な入口バリア(8)が前記ケーブルカー車両(5)上に設けられ、前記バリアは、作動時に、開位置と閉位置との間を移動させることができ、前記ケーブルカー車両(5)の前記入口バリア(8)を作動させるための少なくとも1つのリモート制御可能なバリア作動装置(10)が前記ケーブルカー駅(2)に設けられ、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記バリア作動装置(10)の領域内に位置しているとき、前記入口バリア(8)を前記閉位置から前記開位置におよび/またはその逆に変位させるために、リモート制御ユニット(11)によって作動可能である、ケーブルカー(1)において、前記入口バリア(8)を作動させるための少なくとも1つの機械的に作動可能なバリア作動装置(24)が前記ケーブルカー車両(5)上に設けられ、少なくとも1つの可動作動構成要素(28、30)が前記バリア作動装置(10)に設けられ、前記作動構成要素(28、30)は、前記バリア作動装置(10)が作動されるとき、バリア作動要素(24)に対し作動力を加えるために、前記リモート制御ユニット(11)によって変位され、前記バリア作動要素(24)は、前記入口バリア(8)を作動させるために前記作動力によって変位されることを特徴とする、ケーブルカー(1)。
【請求項2】
前記バリア作動装置(10)は、開放作動ユニット(29)によって、開放休止位置と開放動作位置との間で変位することができる少なくとも1つの開放要素(28)を有し、前記開放要素(28)は、前記開放休止位置から前記開放動作位置に変位されるとき、前記入口バリア(8)を前記開位置に変位させるために、前記バリア作動要素(24)に対する開放力を生成することを特徴とする、請求項1に記載のケーブルカー(1)。
【請求項3】
前記開放力を生成するための前記開放作動ユニット(29)は、前記リモート制御ユニット(11)によって作動させることができる少なくとも1つの電気的に作動可能な開放要素アクチュエータ(29a)を有することを特徴とする、請求項2に記載のケーブルカー(1)。
【請求項4】
前記バリア作動装置(10)は、閉鎖作動ユニット(31)によって、閉鎖休止位置および閉鎖動作位置との間で変位することができる少なくとも1つの閉鎖要素(30)を有し、前記閉鎖要素は、前記閉鎖休止位置から前記閉鎖動作位置への変位中に、前記入口バリア(8)を前記閉位置に変位させるために、前記バリア作動要素(24)に対する閉鎖力を生成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項5】
前記閉鎖作動ユニット(31)は、前記閉鎖要素(30)を前記閉鎖動作位置から前記閉鎖休止位置に変位させるために、少なくとも1つの電気的に作動可能な閉鎖要素アクチュエータ(31a)を有し、前記閉鎖要素アクチュエータ(31a)は前記リモート制御ユニット(11)によって制御可能であることを特徴とする、請求項4に記載のケーブルカー(1)。
【請求項6】
前記閉鎖要素(29)は、前記閉鎖力を生成するために、前記閉鎖休止位置から前記閉鎖動作位置へ重力によって変位させることができ、好ましくは、特定の閉鎖力を生成するために、少なくとも1つの重り要素(32)が前記閉鎖要素(30)上に設けられることを特徴とする、請求項4または5に記載のケーブルカー(1)。
【請求項7】
前記開放要素(28)は、前記ケーブルカー車両(5)の前記移動方向における所定の開放領域にわたって延びる開放レールとして設計され、および/または前記閉鎖要素(30)は、前記ケーブルカー車両(5)の前記移動方向における所定の閉鎖領域にわたって延びる係止レールとして設計されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項8】
前記ケーブルカー車両(5)の前記バリア作動要素(24)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記バリア作動装置(10)の前記領域内に位置するとき、前記開放要素(28)の垂直方向に上方に、および/または前記閉鎖要素(30)の下方に位置することを特徴とする、請求項7に記載のケーブルカー(1)。
【請求項9】
前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー駅(2)からの前記ケーブルカー車両(5)の進出のために設けられた前記ケーブルカー駅(2)の進出エリア(A)の上側エリアに配置されること、および/または前記バリア作動装置(10)は、ケーブルカー駅(2)への前記ケーブルカー車両(5)の進入のために設けられた前記ケーブルカー駅(2)の進入エリア(E)の上側エリアに配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項10】
前記ケーブルカー駅(2)の前記進出エリア(A)において、前記入口バリア(8)を前記閉位置に変位させるために前記入口バリア(8)を作動させるための機械的ポジティブ制御装置(9)が設けられ、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)の前記進出移動方向(BR)において前記機械的ポジティブ制御装置(9)の下流に搭載されること、および/または前記ケーブルカー駅(2)の前記進入エリア(E)において、前記入口バリア(8)を前記開位置に変位させるための機械的ポジティブ制御装置(9)が設けられ、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)の進入移動方向(BR)において前記機械的ポジティブ制御装置(9)の上流に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のケーブルカー(1)。
【請求項11】
前記リモート制御ユニット(11)は、好ましくは前記ケーブルカー駅(2)の制御室(12)内にもしくは前記ケーブルカー駅(2)の外に配置された静止リモート制御ユニット(11a)として設計されること、ならびに/または、前記バリア作動装置(10)は、ポータブルリモート制御ユニット(11b)、好ましくは携帯電話もしくはポータブルコンピュータによって作動させることができ、前記リモート制御ユニット(11)からの制御信号が無線でおよび/もしくは有線方式で前記バリア作動装置(10)に送信されることが可能であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項12】
前記ケーブルカー車両(5)はキャビンを有し、前記入口バリア(8)は扉であり、または前記ケーブルカー車両(5)はチェアを有し、前記入口バリア(8)は安全バーまたはカバーであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項13】
少なくとも1つのケーブルカー駅(2)を含み、少なくとも1つのケーブルカー車両(5)を含むケーブルカー(1)を動作させるための方法であって、少なくとも1つの作動可能な入口バリア(8)が前記ケーブルカー車両(5)上に設けられ、前記バリアは、作動時に、開位置と閉位置との間を移動させることができ、前記ケーブルカー車両(5)は、前記ケーブルカー駅(2)において、リモート制御されたバリア作動装置(10)の領域内に移動され、前記入口バリア(8)は、リモート制御ユニット(11)によって前記バリア作動装置(10)を稼働させることによって、前記閉位置から前記開位置にまたはその逆に変位される、方法において、前記入口バリア(8)は、前記バリア作動装置(10)が稼働されるときに作動され、前記バリア作動装置(10)の可動作動構成要素が変位され、前記ケーブルカー車両(5)の機械的に作動可能なバリア作動要素(24)上に作動力を加えることを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー駅(2)の中もしくは外に配置された静止リモート制御ユニット(11a)を用いて作動されること、または、前記バリア作動装置(10)は、ポータブルリモート制御ユニット(11b)、好ましくは携帯電話もしくはポータブルコンピュータを用いて作動され、制御信号は、前記リモート制御ユニット(11a、11b)によって無線でもしくは有線方式で前記バリア作動装置(10)に送信されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ケーブルカー車両(5)の前記入口バリア(8)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記リモート制御可能なバリア作動装置(10)の前記領域内に移動される前または後に、前記開位置から前記閉位置に、またはその逆に前記入口バリア(8)を変位させるために前記ケーブルカー駅(2)に設けられる機械的ポジティブ制御装置(9)によって作動されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記入口バリア(8)は、前記閉位置から前記開位置に変位され、前記バリア作動装置(10)の少なくとも1つの開放要素(28)によって前記バリア作動要素(24)に対し開放力が生成され、前記開放要素(28)は、少なくとも1つの電気的に作動可能な開放要素アクチュエータ(29a)によって、開放休止位置と開放動作位置との間で変位されることを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記入口バリア(8)は、前記開位置から前記閉位置に変位され、前記バリア作動装置(10)の少なくとも1つの閉鎖要素(30)によって前記バリア作動要素(24)に対し閉鎖力が生成され、前記閉鎖要素(30)は、重力によって、閉鎖休止位置と閉鎖動作位置との間で変位されることを特徴とする、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
開位置と閉位置との間で変位可能な、ケーブルカーのケーブルカー車両(5)の入口バリア(8)を作動させるための、前記ケーブルカー(1)のケーブルカー駅(2)内に配置するためのバリア作動装置(10)であって、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記ケーブルカー駅(2)において前記バリア作動装置(10)の領域内に位置しているとき、前記入口バリア(8)を前記閉位置から前記開位置におよび/またはその逆に変位させるために、リモート制御ユニット(11)によって作動可能である、バリア作動装置(10)において、少なくとも1つの可動作動構成要素が前記バリア作動装置(10)に設けられ、前記構成要素は、前記バリア作動装置(10)が、前記入口バリア(8)を作動させるために設けられた前記ケーブルカー車両(5)の機械的に作動可能なバリア作動要素(24)に作動力を加えるために稼働されるとき、前記リモート制御ユニット(11)によって変位され、前記バリア作動要素(24)は、前記入口バリア(8)を作動させるために前記作動力によって変位されることを特徴とする、バリア作動装置(10)。
【請求項19】
前記バリア作動装置(10)は、好ましくは開放レールとして設計された少なくとも1つの開放要素(28)を有し、前記開放要素は、開放作動ユニット(29)によって開放休止位置と開放動作位置との間で変位させることができ、前記開放要素(28)は、前記開放休止位置から前記開放動作位置に変位されるとき、前記入口バリア(8)を前記開位置に変位させるために、前記ケーブルカー車両(5)の前記バリア作動要素(24)に対し開放力を生成するように設計されること、および/または、前記バリア作動装置(10)は、好ましくは閉鎖レールとして設計された少なくとも1つの閉鎖要素(30)を有し、この係止要素は、閉鎖作動ユニット(31)によって閉鎖休止位置と閉鎖動作位置との間で変位させることができ、前記閉鎖要素(30)は、前記閉鎖休止位置から前記閉鎖動作位置への変位時に、前記入口バリア(8)を前記閉位置に変位させるために、前記バリア作動要素(24)に対し閉鎖力を生成するように設計されることを特徴とする、請求項18に記載のバリア作動装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのケーブルカー駅および少なくとも1つのケーブルカー車両を含むケーブルカーに関し、少なくとも1つの作動可能な入口バリアがケーブルカー車両上に設けられ、このバリアは、作動時に、開位置と閉位置との間を移動させることができ、ケーブルカー車両の入口バリアを作動させるための少なくとも1つのリモート制御可能なバリア作動装置がケーブルカー駅に設けられ、バリア作動装置は、ケーブルカー車両がバリア作動装置の領域内に位置しているとき、入口バリアを閉位置から開位置におよび/またはその逆に変位させるために、遠隔制御ユニットによって作動可能である。本発明は、少なくとも1つのケーブルカー駅および少なくとも1つのケーブルカー車両を含むケーブルカーを動作させるための方法にも関し、少なくとも1つの作動可能な入口バリアがケーブルカー車両上に設けられ、このバリアは、作動時に、開位置と閉位置との間を移動させることができ、ケーブルカー車両は、ケーブルカー駅において、リモート制御されたバリア作動装置の領域内に移動され、入口バリアは、リモート制御ユニットによってバリア作動装置を作動させることによって、閉位置から開位置におよび/またはその逆に変位される。更に、本発明は、開位置と閉位置との間で変位可能な、ケーブルカーのケーブルカー車両の入口バリアを作動させるための、ケーブルカーのケーブルカー駅内に配置するためのバリア作動装置に関し、バリア作動装置は、ケーブルカー車両がケーブルカー駅においてバリア作動装置の領域内に位置しているとき、入口バリアを閉位置から開位置におよび/またはその逆に変位させるために、リモート制御ユニットによって作動可能である。
【背景技術】
【0002】
2つ以上のケーブルカー駅間で人および物品を輸送するために、ケーブルカー設備が用いられる。この目的で、チェアまたはキャビン等の複数のケーブルカー車両が、循環方式で、または交走することによってケーブルカー駅間で移動される。ケーブルカー車両は、少なくとも1つの牽引ケーブルによってケーブルカー駅間を移動される。ケーブルカー車両は、少なくとも1つの支持ケーブル、または更には牽引ケーブルによって懸架することができるか(架空索道)、または移動を可能にする方式でレール上もしくは地上に配置することができ(交走式)、少なくとも1つの牽引ケーブルによって移動させることができる。しかしながら、ケーブルカー車両は、取外し可能にまたは固定して牽引ケーブルに締め付け、牽引ケーブルによって移動させることもできる。循環型ケーブルカーの場合、ケーブルカー車両は、多くの場合、例えば、取外し可能なケーブルクランプによってケーブルカー駅において牽引ケーブルから連結解除され、人の乗降をより容易にするために、または物品の積み下ろしをより容易にするために、より低速でケーブルカー駅を通って移動される。
【0003】
機械的ポジティブ制御装置、特にリンク制御装置によって、ケーブルカーの一定の機能、例えば、ケーブルクランプの開閉、チェアの安全バーもしくは天候保護フードの上げ下げ、またはケーブルカー駅のキャビンもしくはゴンドラの扉の開閉を作動させることが既知である。この目的で、リンクが駅に永久的に配置され、ケーブルカー車両上のセンサ要素は、駅を通過するときにこのリンクを検知する。センサ要素は、検知時に枢動される回転可能に装着されたレバー上に配置される。次に、当該機能が、ボーデンケーブルまたはレバーに作用するロッドの配置により実行される。扉の開閉機能の例を米国特許第3,742,864(A)号に見ることができ、EP1671867B1は、安全バーが上げ下げされる例を示している。
【0004】
しかしながら、リンク制御により、扉制御装置の柔軟性が制限される。特に、ケーブルカー駅内でキャビンの扉が開閉される時点または位置は、ケーブルカー駅におけるリンクガイドの特定の実施形態および配置に依拠し、したがって固定的に指定される。この事例において、開閉位置の変更は可能でないか、または非常に多大な労力でのみ可能である。なぜなら、ケーブルカー駅において固定配置されたリンクガイドの位置が、この目的のために変更されなくてはならないためである。しかしながら、一定の状況下では、扉が開閉される位置または時点が変更可能であることが望ましい場合がある。例えば、これは、ケーブルカー車両が既にリンクガイドの外側に位置するケーブルカー駅における緊急の事例であり得る。例えば、ケーブルカー車両は、扉がリンクガイドによって予め閉鎖されたため、扉が既に閉じた状態でケーブルカー駅の進出エリアで停止する可能性がある。同様に、ケーブルカー車両は、扉がリンクガイドによってまだ開放されていないため、扉がまだ閉じた状態でケーブルカー駅の進入エリアで停止する可能性がある。そのような緊急の事例では、これまで、扉を手動で開ける、特に押し開ける必要があり、これには技能および多大な力の消費が必要である。しかしながら、例えば、リンク制御装置の動作不良が存在する場合もあり、この理由から、扉が望む通りにまたは意図される位置に開かない場合がある。
【0005】
EP2708434A1は、ケーブルカーの複数の機能を、制御ユニットを介して制御することができるケーブルカー駅を開示している。これは、扉の開閉も含む。制御ユニットは、制御室またはリモート制御部の静止ユーザインタフェースにより作動させることができる。しかしながら、扉制御装置の特定の実施形態の詳細はEP2708434A1に開示されていない。
【0006】
米国特許第3742864(A)号は、ケーブルカー車両の扉を開閉するための受動的な機械的ポジティブ制御装置を開示している。扉は、ケーブルカー車両が移動しているとき、静止制御レールにより制御レバーの制御ピンが変位されることにより開放される。
【0007】
EP1671867A1は、チェアリフトのチェアのカバーを開放するための受動的な機械的ポジティブ制御装置を開示している。カバーは、駅の静止タラップ(ramp)により、懸架取付部上に配置されたレバーが動かされることにより開放することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来技術から進展して、本発明の目的は、ケーブルカー駅内のケーブルカー車両の入口バリアのより信頼性の高い作動を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、入口バリアを作動させるための少なくとも1つの機械的に作動可能なバリア作動要素がケーブルカー車両上に設けられ、少なくとも1つの可動作動構成要素がバリア作動装置に設けられ、作動構成要素が、バリア作動装置が作動されるとき、バリア作動要素に対し作動力を加えるために、リモート制御ユニットによって変位され、バリア作動要素が、入口バリアを作動させるために、作動力によって変位されることにおいて達成される。結果として、ケーブルカー駅内のケーブルカー車両の入口バリアを、機械的ポジティブ制御装置と無関係に単純な方式で作動させることが可能である。
【0010】
バリア作動装置は、好ましくは、開放作動ユニットによって、開放休止位置と開放動作位置との間で変位することができる少なくとも1つの開放要素を有し、開放要素は、開放休止位置から開放動作位置への変位中、入口バリアを開位置に変位させるために、バリア作動要素に対する開放力を生成する。結果として、ケーブルカー車両の入口バリアは、リモート制御ユニットによって、遠隔から容易に開放することができる。
【0011】
開放力を生成するための開放作動ユニットは、好ましくは、リモート制御ユニットによって作動させることができる少なくとも1つの電気的に制御可能な開放要素アクチュエータを有する。結果として、既知のアクチュエータ、例えば電磁、空気圧または油圧アクチュエータを用いて開放力を生成することができる。
【0012】
有利には、バリア作動装置は、閉鎖作動ユニットによって、閉鎖休止位置および係止動作位置との間で変位することができる少なくとも1つの閉鎖要素を有し、閉鎖要素は、閉鎖休止位置から閉鎖動作位置に移動している間、入口バリアを閉位置に変位させるために、バリア作動要素に対する閉鎖力を生成する。結果として、ケーブルカー車両の入口バリアは、リモート制御ユニットによって、遠隔から容易に閉鎖することができる。
【0013】
閉鎖作動ユニットは、好ましくは、閉鎖要素を閉鎖動作位置から閉鎖休止位置に変位させるために、少なくとも1つの電気的に作動可能な閉鎖要素アクチュエータを有し、閉鎖要素アクチュエータはリモート制御ユニットによって作動可能である。閉鎖力を生成するために、閉鎖要素は、好ましくは、閉鎖休止位置から閉鎖動作位置へ重力によって変位可能であり、好ましくは、特定の閉鎖力を生成するために、少なくとも1つの重り要素が閉鎖要素上に設けられる。そして、これにより、閉鎖要素を作動後に閉鎖休止位置に戻すために、既知のアクチュエータ、例えば電磁、空気圧または油圧アクチュエータを用いることができる。重力による開放力の生成により、入口バリアに対し、特に、挟まった人または物体に対し、許容不可能なほどの強力な力が生成されることが確実に回避されるため、安全性が増大する。
【0014】
開放要素は、有利には、ケーブルカー車両の移動方向における所定の開放領域にわたって延びる開放レールとして設計され、および/または閉鎖要素は、ケーブルカー車両の移動方向における所定の閉鎖領域にわたって延びる閉鎖レールとして設計される。結果として、入口バリアは、長手方向における比較的大きな領域において作動させることができる。
【0015】
ケーブルカー車両のバリア作動要素は、好ましくは、ケーブルカー車両がバリア作動装置の領域内に位置するとき、開放要素の垂直方向に上方に、および/または閉鎖要素の下方に位置し、バリア作動装置は、好ましくは、ケーブルカー駅からのケーブルカー車両の進出のために設けられたケーブルカー駅の進出エリアの上側エリアに配置され、および/またはケーブルカー駅へのケーブルカー車両の進入のために設けられたケーブルカー駅の進入エリアの上側エリアに配置される。結果として、入口バリアは、人がアクセスするのが困難な領域において作動させることができる。進出エリアにおける配置は、ケーブルカー車両がケーブルカー駅から出る前に、単純な方式で入口バリアを閉鎖するのに有利である。進入エリアにおける配置は、ケーブルカー車両がケーブルカー駅に入った後に、単純な方式で入口バリアを開放するのに有利である。
【0016】
好ましくは、入口バリアを閉位置に変位させるために入口バリアを作動させるための機械的ポジティブ制御装置が設けられ、バリア作動装置は、ケーブルカー車両の進出移動方向において機械的ポジティブ制御装置の下流に搭載され、および/またはケーブルカー駅の進入エリアにおいて、入口バリアを開位置に変位させるための機械的ポジティブ制御装置が設けられ、バリア作動装置は、ケーブルカー車両の進入移動方向において機械的ポジティブ制御装置の上流に配置される。結果として、例えば緊急時に、進入領域における機械的ポジティブ制御装置の上流の依然として閉鎖されている入口バリアを、バリア作動装置によって開放することができ、および/または機械的ポジティブ制御装置の後ろの進出エリアにおける既に閉鎖されている入口バリアを、バリア作動装置によって開放することができる。
【0017】
リモート制御ユニットは、好ましくはケーブルカー駅の制御室内またはケーブルカー駅の外に配置された静止リモート制御ユニットとして好ましくは設計され、および/またはバリア作動装置は、ポータブルリモートユニット、好ましくは携帯電話またはポータブルコンピュータにより作動可能であり、制御信号は、リモート制御ユニットからバリア作動装置に無線でおよび/または有線方式で送信される。結果として、ケーブルカー駅の中および/または外からの入口バリアの局所的な非常に柔軟性のある作動を行うことができる。
【0018】
有利には、ケーブルカー車両はキャビンを有し、入口バリアは扉であり、またはケーブルカー車両はチェアを有し、入口バリアは安全バーまたはカバーである。結果として、バリア作動装置を既知のケーブルカーにおいて用いることができる。
【0019】
目的は、請求項13に記載の方法、および請求項18に記載のバリア作動装置によって更に達成される。
【0020】
本発明は、例として、本発明の有利な実施形態を概略的な非限定的方式で示す
図1~
図5dを参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ケーブルカーのケーブルカー駅の平面図である。
【
図2】ケーブルカー駅の進出エリアに配置されたバリア作動装置の側面図である。
【
図4a】入口バリアを開放するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図4b】入口バリアを開放するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図4c】入口バリアを開放するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図4d】入口バリアを開放するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図5a】入口バリアを閉鎖するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図5b】入口バリアを閉鎖するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図5c】入口バリアを閉鎖するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【
図5d】入口バリアを閉鎖するための様々な作動段階におけるバリア作動装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ケーブルカーシステムの構造および機能は既知であるため、循環型架空索道を例にとり、
図1および
図2を参照して簡単にのみ説明する。
図1は、循環型ケーブルカーとして設計されるケーブルカー1のケーブルカー駅2(例えば、山または谷の駅)を示す。ケーブルカー1の循環型牽引ケーブル4の曲がり(deflection)を誘導する滑車輪3がケーブルカー駅2内に配置される。ケーブルカー1の駅のうちの少なくとも1つにおける滑車輪3は、牽引ケーブル4が更なる駅の滑車輪の周りをループ状に循環することを可能にするために、既知の方式で駆動部によって駆動される。牽引ケーブル4が滑車輪3に作用する張力装置によって張力をかけられることも既知である。ケーブルカー1は、適切なハードウェアおよびソフトウェアの形態でケーブルカー制御ユニットSEによって制御される。
【0023】
明確性の理由で、および本発明に無関係であるために、それ自体既知である装置、特に、滑車輪、駆動部、張力装置を有する第2の駅については示さない。ケーブルカー制御ユニットSEは、単に概略的に示され、当然ながら、ケーブルカー駅2の任意の他のポイントに配置することもできる。複数のケーブルカー車両5が牽引ケーブル4に固定してまたは解放可能に締結される。ケーブルカー1は、当然ながら、牽引ケーブル4と同時に非常に多数のケーブルカー車両5(通常は、数十または数百のケーブルカー車両5であるが、単純にするためにいくつかのみが示される)を動かすことができる。輸送される人の乗降、または一般的にはケーブルカー車両5への積み下ろしを可能または容易にするためにプラットフォーム6をケーブルカー駅2に設けることもできる。
【0024】
ケーブルカー1が牽引ケーブル4上に取外し可能な方式で検出可能な方式で締め付けられたケーブルカー車両5を有する場合、ケーブルカー駅2内に進行しているケーブルカー1のケーブルカー車両5は、通常、ケーブルカー車両5上に設けられた取外し可能なケーブルクランプ16(
図3)によって牽引ケーブル4から連結解除される。ケーブルカー駅2の中で、通例、ケーブルカー車両5は、通常、ケーブルカー駅2間の経路上よりも大幅に低い速度で、ケーブルカー駅2を通ってガイドレール7に沿って動かされる。結果として、これにより、ケーブルカー駅2内でのケーブルカー5へのより快適な乗降が可能になり、それにもかかわらず、牽引ケーブル4の変更されていない高い速度によって高い搬送能力を達成することができる。ガイドレール7に沿ってコンベア(図示せず)が設けられ、このコンベアによって、ケーブルカー車両5は、ケーブルカー駅2を通じて前方へ動かされる。コンベアは、例えば、ケーブルカー駅2に配置される駆動されたコンベアホイール23の形態で設計され、これらのコンベアホイール23は、
図3に示すように、ケーブルカー駅2内のケーブルカー車両5上の摩擦ライニング22と協働する。ケーブルカー車両5が進行してケーブルカー駅2を出て、進出エリアの領域Aに入ると、ケーブルカー車両5はコンベアを介して加速され、ケーブルクランプ16によって再び牽引ケーブル4に連結される。ケーブルクランプ16を作動させるために、各事例において、既知の方式で、例えば機械的リンクガイドの形態で適切なケーブル-クランプ作動ユニットを提供することができる。
【0025】
ケーブルカー1は、例えば、ケーブルカー車両5がプラットフォーム6に沿って誘導されるキャビンを有する架空索道として設計することができる。乗客は、ケーブルカー駅2におけるプラットフォーム6を介してケーブルカー車両5に乗降することができる。ケーブルカー車両5は、当然ながら、輸送される物体、例えばウィンタースポーツ用具、自転車、バギー等を積み下ろしするためにも用いられ得る。乗降する人のために、または通常、積み下ろしのために、通常、積み下ろしエリアがプラットフォーム6の固定部分に沿って設けられる。積み下ろしエリアには、例えば、特別な標識を与えることができ、積み下ろしエリアは、例えば、権限のない人物がアクセスを許可されないケーブルカー駅2のエリアの残りの部分からバリアによって分離することができる。当然ながら、他のケーブルカー車両5が提供されてもよく、例えば、ケーブルカーがチェアリフトとして設計される場合にはチェアである。また、ケーブルカーは、円形トラックとして設計されなくてもよく、既知のシャトルトラックとして設計することもできる。
【0026】
ケーブルカー車両5の上に少なくとも1つの入口バリア8を設けることができ、このバリアは、開位置と閉位置との間で変位させることができる。開位置において、ケーブルカー車両5へのアクセスが可能であり、閉位置において、ケーブルカー車両5へのアクセスがブロックされる。示されている架空索道の事例では、入口バリア8は、例えば、キャビンの扉である。入口バリア8の動作モードは既知であり、この理由から、入口バリア8は単に
図1に示される。ケーブルカー1の設計に依拠して、複数の入口バリア8または扉も、当然ながらケーブルカー車両5上に設けることができる。シャトルトラックのキャビンの事例では、例えば、キャビンには、多くの場合、2つの対向する扉が設けられる。ケーブルカーが、例えばチェアリフトとして設計される場合、入口バリア8は、安全バーまたは天候からの保護のためのカバーとすることができる。
【0027】
示されるように、入口バリア8の作動は、多くの場合、ケーブルカー駅2に静止形式で設けられる既知の機械的ポジティブ制御装置9によって行われ、
図1には概略的にのみ示される。入口バリア8は、通例、開閉のために作動され、ポジティブ制御装置9の本質的に静止した受動構成要素が、ポジティブ制御装置9に対しケーブルカー車両5が移動する間に、ケーブルカー車両5上に配置された可動バリア作動要素24(
図2および
図3)と機械的に相互作用する。この場合、「受動」とは、ポジティブ制御装置の構成要素が、例えばアクチュエータによって能動的に作動され得ないことを意味するように理解される。バリア作動要素24は、例えば、入口バリア8を開閉するための連動機構またはボーデンケーブルを介して適切な方式で入口バリア8に作動的に接続される。機械的ポジティブ制御装置9の構成要素によるケーブルカー車両5の移動中、作動力がバリア作動要素24に対し加えられ、この力によって、可動バリア作動要素24の位置が変更され、入口バリア8が開位置から閉位置に、またはその逆に変位される。
【0028】
機械的ポジティブ制御装置9は、多くの場合、既知のリンク制御装置として設計される。この場合、バリア作動要素24は、適切な方式で入口バリア8において関節接合されるレバーとして設計され、このレバーを介して、入口バリア8を開閉のために作動させることができる。例えば、バリア作動要素24は、ケーブルカー車両5の懸架取付部上に配置することができ、これによって、
図3に見てとることができるように、ケーブルカー車両5は、牽引ケーブル4上に懸架される。この事例において、入口バリア8は、適切な連動機構またはボーデンケーブル26を介してバリア作動要素24によって作動させることができる。リンク制御装置のガイドリンクに接触する作動ロータもバリア作動要素24上に配置することができる。
【0029】
ガイドリンクは、例えば、ガイドレールの形態で、入口バリア8の開閉が行われるケーブルカー車両5の移動方向においてケーブルカー駅2の或る特定の部分にわたって延びることができる。機械的ポジティブ制御装置9またはリンク制御装置は、例えば、ケーブルカー駅2の進入エリアE内に、移動方向において、
図1の矢印によって示されるようなプラットフォーム6上の降車エリアABの前に配置することができる。結果として、入口バリア8は、降車エリアABの始端において閉位置から開位置に移動され、それによって乗客がケーブルカー車両5から降りることができる。更なる機械的ポジティブ制御装置9またはリンク制御装置は、例えば、ケーブルカー駅2の進出エリアA内に、移動方向において、
図1の矢印によって示されるようなプラットフォーム6上の搭乗エリアEBの後に配置することができる。結果として、入口バリア8が搭乗エリアEBの終端において開位置から閉位置まで移動された後、ケーブルカー車両5が再び牽引ケーブル4の速度まで加速され、それによって乗客がケーブルカー車両5に乗ることができる。降車エリアABの始端と搭乗エリアEBの終端との間のエリアにおいて、入口バリア8は好ましくは開いたままであり、それによって乗客がケーブルカー車両5に乗降することができる。
【0030】
特定の実施形態、および機械的ポジティブ制御装置9またはリンクガイドの配置に依拠して、ケーブルカー駅2内の入口バリア8の開閉時間または開閉位置は、固定して予め定められ、変更することができないか、または多大な労力でのみ変更することができる。したがって、機械的ポジティブ制御装置9によって指定される位置の外での入口バリア8の開閉は、通常可能でない。ケーブルカー車両5が、機械的ポジティブ制御装置9の後に、ケーブルカー駅2の進出エリアA内に既に位置している場合、例えば、移動方向において見るとき、入口バリア8は既に閉位置にある。しかしながら、この位置において、例えば緊急状況が発生し、ケーブルカー1の運転が停止する場合があり得る。
【0031】
これは、例えば、入口バリア8の閉鎖中に、ケーブルカー車両5から突出する物体が捉えられた場合の、または人がケーブルカー車両5に沿って引きずられ、物体または人によって既知の輪郭制御がトリガされることに起因した事例である可能性があり、これによって通常、安全性の理由によりケーブルカー1の緊急停止がトリガされる。この事例において、物体を取り除くか、または人を救助するために、次にケーブルカー1の運転を継続するために、入口バリア8を開くことが望ましい場合がある。従来、これは手動でのみ可能であり、一方で、必要な技能を要し、他方で、比較的大きな力消費を要した。なぜなら、入口バリア8は、多くの場合、安全性の理由から比較的動かすことが困難であり、場合によっては先行載荷装置によって閉位置に先行載荷されている場合もあるためである。したがって、入口バリア8がケーブルカー駅2内で開放されるとき、以前に用いられていた機械的ポジティブ制御装置9は大幅に制限されることが明らかである。
【0032】
したがって、本発明によれば、ケーブルカー車両5の入口バリア8を作動させるための少なくとも1つのリモート制御可能なバリア作動装置10がケーブルカー駅2に設けられ、ケーブルカー車両5がバリア作動装置10の領域内に位置しているとき、バリア作動装置10は、入口バリア8をリモートで閉位置から開位置に、および/またはその逆に移動させるために、リモート制御ユニット11によって作動可能である。バリア作動装置10に、少なくとも1つの可動作動構成要素、例えば開放要素28および/または閉鎖要素30が設けられ、これは、バリア作動装置10が稼働されるとき、ケーブルカー車両5のバリア作動要素24に対し作動力を加えるために、リモート制御ユニット11によって変位される。バリア作動要素24は、入口バリア8を作動させるために作動力によって変位させることができる。「リモート制御」または「遠隔」からとは、この文脈において、特に、この目的で現場で入口バリア8に作業スタッフの一員が配置される必要なく、バリア作動装置10の可動作動構成要素によって入口バリア8に能動的に影響を及ぼすことが可能であることを意味する。
【0033】
結果として、入口バリア8は、例えば、任意の可能な機械的ポジティブ制御装置9から局所的に独立して、ケーブルカー駅2におけるバリア作動装置10によってリモートで開閉することができる。しかしながら、機械的ポジティブ制御装置9の代わりにバリア作動装置10がケーブルカー駅2に設けられることも考えられる。この事例では、可動作動構成要素は、例えば、バリア作動要素24を継続的に変位させるために、ケーブルカー車両5の移動中にバリア作動装置10に対し動かすことができる。結果として、入口バリア8は、ケーブルカー車両5の移動中に開閉することができる。
【0034】
しかしながら、バリア作動装置10および機械的ポジティブ制御装置9は、構造的に組み合わせることもできる。例えば、機械的ポジティブ制御装置9のガイドリンク(通常動作において静止している)が、同時にバリア作動装置10の可動作動構成要素を形成することができる。ケーブルカー車両5が、例えばガイドリンクの領域において静止し、結果として、入口バリア8が開閉しないかまたは不十分にのみ開閉する場合、バリア作動要素24を変位させ、それによって入口バリア8を開位置または閉位置に変位させるために、リモート制御ユニット11を介した稼働によりガイドリンクを動かすことができる。しかしながら、当然ながら、バリア作動装置10は、例えば移動方向BRにおいて見たとき、ケーブルカー駅2において機械的ポジティブ制御装置9と同じ位置に、例えば横方向に隣り合って配置することもできる。この事例では、機械的ポジティブ制御装置9の領域において、ケーブルカー車両5の停止事象中に不完全に開閉する入口バリア8を、バリア作動装置10によって完全に開閉することができる。
【0035】
リモート制御ユニット11は、例えば、好ましくはケーブルカー駅2内の制御室12に配置することができる静止リモート制御ユニット11aとして設計することができる。結果として、入口バリア8は、例えば、制御室12から担当作業員によって制御することができ、この制御室から、通常、ケーブルカー1の制御が任意の形で行われる。しかしながら、更にまたは代替的に、静止リモート制御ユニット11aは、例えば、(バリア作動装置10が設けられている)ケーブルカー駅2の外、例えば別のケーブルカー駅2内、複数のケーブルカーを担当する中央制御センタ内等に配置することもできる。結果として、例えば、1つのケーブルカー駅2の作業人員が、別のケーブルカー駅2のバリア作動装置10を制御することができる。しかしながら、代替的にまたは更に、バリア作動装置10は、有利には、ポータブルリモート制御ユニット11b、好ましくは携帯電話またはポータブルコンピュータを介して制御することもできる。結果として、作業人員は、局所的に独立した方式で入口バリア8を開閉することができるため、制御の柔軟性を高めることができる。
【0036】
ここで、「局所的に独立した」とは、モバイルリモート制御ユニット11bによるバリア作動装置10の制御が、静止リモート制御ユニット11aと対照的に、(バリア作動装置10が配置される)ケーブルカー駅2内のポイントからのみからではなく、それぞれのケーブルカー駅2の外から、例えば、ここでも別のケーブルカー駅2から、複数のケーブルカーを担当する中央制御センタ等からも行うことができることを意味するように理解される。静止リモート制御ユニット11aが用いられるか、またはモバイルリモート制御ユニット11bが用いられるかと無関係に、リモート制御ユニット11からの制御信号は、無線でおよび/または有線方式でバリア作動装置10に送信することができる。
図1にモバイルリモート制御ユニット11b上に示すように、例として、WLAN、無線、Bluetoothまたは近距離通信(NFC)を無線制御部として用いることができる。有線送信は、例えば、例としてデータ通信バスの形態で送電線を介して既知の方式で行うことができる。
【0037】
バリア作動装置10の制御は、リモート制御ユニット11からバリア作動装置10に直接送信される制御信号によって直接行うことができる。しかしながら、好ましくは、
図1に示すように、制御は、ケーブルカー制御ユニットSEによって間接的に行われる。この事例において、リモート制御ユニット11は、バリア作動装置10を制御するための制御信号をケーブルカー制御ユニットSEに送信し、ケーブルカー制御ユニットSEは、制御信号を処理し、受信した制御信号に依拠してバリア作動装置10を動作させる。バリア作動装置10の有利な実施形態が、
図2および
図3を参照して以下でより詳細に説明される。
【0038】
図2は、ケーブルカー駅2の進出エリアAに配置されたバリア作動装置10の有利な実施形態の側面図を示す。
図3は、
図2の切断線A-Aに沿ったバリア作動装置10の断面図である。ケーブルカー車両5は、例えば停止時に、バリア作動装置10の領域内に位置し、ケーブルカー車両5の上側部分のみが示されている。示される例示的な実施形態において、ケーブルカー車両5は牽引ケーブル4から連結解除され、ケーブルカー駅2内のガイドレール7上で誘導される。ケーブルカー車両5は、乗客および/または物体を受けるための搬送体(図示せず)、例えばキャビンまたはチェアを有する。搬送体は、ケーブルカー車両5の懸架取付部15に締結される。搬送体上に少なくとも1つの入口バリア8(図示せず)が設けられる。キャビンの事例では、入口バリア8は、例えば、キャビンの扉とすることができる。
【0039】
ケーブルカー車両5は、懸架取付部15を介して牽引ケーブル4に接続することができる。この目的で、ケーブルクランプ16を懸架取付部15上に配置することができ、ケーブルクランプ16は、牽引ケーブル4を1つまたは複数のクランプスプリング17の作用下で締め付けることができ、連結ローラ18およびクランプレバー19を介して機械的に作動させることができる。クランプレバー19は作動され、ケーブルクランプ16は、ケーブルカー駅2におけるガイドリンク(図示せず)を介して開かれ、これが、ケーブルカー車両5の移動の結果として連結ローラ18に接触する。閉じる場合、ケーブルクランプ16は、例えば更なるガイドリンクによって稼働され、クランプスプリング17の作用によって牽引ケーブル4上に締め付けられる。1つ以上のローラ20を懸架取付部15上に設けることができ、このローラによって、ケーブルカー車両5は、牽引ケーブル4から連結解除されたとき、ケーブルカー駅2内でガイドレール7上を転がる。
【0040】
加えて、ケーブルカー車両5を安定化させるためにケーブルカー駅2において(
図3において破線で示す)更なるガイドレールと相互作用する横方向のガイドローラ21も配置することができる。ケーブルカー駅2を通ってガイドレール7に沿って連結解除されたケーブルカー車両5を動かすために、コンベア、例えば回転コンベアホイール23(
図3に示す)と協働することができる摩擦ライニング22も含めることができる。当然ながら、ケーブルカー1および/またはケーブルカー車両5の他の実施形態、例えば、牽引ケーブル4に固定して締め付けられたケーブルカー車両5を含むか、または親綱を含み、この親綱上にケーブルカー車両5が走行装置を介して懸架され、少なくとも1つの牽引ケーブル4によって動かされるケーブルカー1も考えられる。同様に、ケーブルカー1は、親綱を有するかまたは有しないシャトルトラック、すなわち、循環型牽引ケーブル4ではなく、交走する牽引ケーブル4を含むシャトルトラックとして設計することができる。しかしながら、ケーブルカー1の特殊な設計は本発明と無関係である。
【0041】
バリア作動装置10は、ケーブルカー車両5の移動方向BRにおいてケーブルカー駅2の上側領域に延びる、ケーブルカーの静止構成要素上に、例えばガイドレール7上に配置される。バリア作動装置10は、例えば、適切な保持要素13によってガイドレール7に締め付けることができる。ガイドレール7は、ひいては、例えば適切な保持装置14によって、ケーブルカー駅2の静止構造に締め付けることができる。示す例において、ケーブルカー車両5の移動方向BRにおいてバリア作動装置10の上流に配置される追加の機械的ポジティブ制御装置9も提供される。この事例において、機械的ポジティブ制御装置9は、開位置から閉位置にケーブルカー車両5の入口バリア8を変位させる役割を果たす。機械的ポジティブ制御装置9は受動装置であり、すなわち、バリア作動装置10と対照的に、能動的に作動させることができない。これは、機械的ポジティブ制御装置9の事例において、入口バリア8を開閉するための作動力が、外部エネルギー供給なしで、(可動)ケーブルカー車両5と(静止)ポジティブ制御装置9との間の相対的移動のみによって生成されることを意味する。
【0042】
ここで、機械的ポジティブ制御装置9は、リンクガイドとして設計され、ケーブルカー車両5の移動方向BRにおいて或る特定の領域にわたって延びるレールの形態のガイドリンク9aを有する。移動方向において下方に下がる斜面の形態の接触面が、ガイドリンク9aの下側に設けられる。機械的ポジティブ制御装置9は、バリア作動要素24に対し作動力を加えるために、入口バリア8を作動させるためのバリア作動要素24と機械的に相互作用するように設計される。ここで、バリア作動要素24は、垂直方向において搬送体とケーブルクランプ16との間のケーブルカー車両5の懸架取付部15上に配置され、作動ローラを含む。
【0043】
作動ローラは、作動レバー25上に回転可能に装着される。作動レバー25は、入口バリアを作動させるために、ボーデンケーブル26を介して入口バリア8に作動的に接続される。ケーブルカー車両5が移動方向BRにおいて機械的ポジティブ制御装置9を通過するとき、バリア作動要素24、特に作動ローラが接触面ガイドリンク9aと接触し、その結果として、下方に向けられた作動力が作動ローラに加えられる。作動力の結果として、
図2において破線の作動ローラによって示されるように、作動ローラが、垂直方向において、(入口バリア8が開位置にある)第1の位置P1から、入口バリア8が閉位置にある第2の位置P2まで下方に押される。作動レバー25は作動力によって枢動し、その結果として、ボーデンケーブル26を介して入口バリア8が作動される。
【0044】
安全性の理由から、機械的ポジティブ制御装置9上に接合部27を設けることもできる。結果として、バリア作動要素24の抵抗が特定の抵抗を超える場合、ガイドリンク9aを上方に曲げることができる。これは、例えば、入口バリア8が物体または人物によってブロックされ、完全に閉じることができないときの事例とすることができる。結果として、物体または人物に対し入口バリア8によって加わる力が許容不可能なほど強力になることを防ぐことが可能であり、その結果として、損傷または怪我のリスクが低減される。当然ながら、これは、単なる例として理解され、機械的ポジティブ制御装置9の他の構造的設計も考えられる。ケーブルカー車両5が機械的ポジティブ制御装置9を好ましくは問題なく通過した後、入口バリア8は閉位置にあり、バリア作動要素24は、
図2に示すように垂直方向における閉位置に対応する第2の位置P2にある。
【0045】
バリア作動装置10は、好ましくは(可動作動構成要素としての)少なくとも1つの開放要素28を有し、これは、開放作動ユニット29によって開放休止位置と開放動作位置との間で変位させることができる。開放要素28は、好ましくは、バリア作動装置10の有効範囲を拡張するために、ケーブルカー車両5の移動方向BRにおいて或る特定の長さにわたって延びる。開放休止位置から開放動作位置への変位時に、開放要素28は、入口バリア8を開位置に変位させるために、バリア作動要素24に対する開放力を生成する。開放力を生成するために、開放作動ユニット29は、リモート制御ユニット11によって制御することができる、少なくとも1つの電気的に制御可能な開放要素アクチュエータ29aを有する。説明されるように、作動は、ケーブルカー制御ユニットSE(
図1)によって直接または間接的に行うことができる。
図2に示すように、開放要素28は、好ましくは、ケーブルカー車両5の移動方向において所定の開放領域にわたって延びる開放レールとして設計され、ここでは、機械的ポジティブ制御装置9と独立して、入口バリア8のリモート制御される開放が望ましい。
【0046】
示される例において、2つの開放要素アクチュエータ29aは開放要素28において係合し、これらのアクチュエータは、開放要素28を垂直方向において、示された開放休止位置から開放動作位置に(およびその逆に)動かすために、好ましくは、リモート制御ユニット11によって同時に制御される。ここで、開放要素アクチュエータ29aは、電気駆動部、例えばリニア駆動部、特に電気スピンドルモータとして設計される。当然ながら、空気圧、油圧、電磁アクチュエータ等の、十分大きな作動力を生成するのに適した他の電気的に作動可能なアクチュエータが用いられてもよい。例えば、開放要素作動要素29aの固定部分29b(ここでは上側部分)を、バリア作動装置10の静止構成要素上に、例えば保持要素13のうちの1つの上に配置することができる。開放要素アクチュエータ29aの可動部分29c(ここでは下側部分)は、開放要素28に対し直接作用することができる。開放要素アクチュエータ29aが作動されるとき、各事例における可動部分29cは、静止部29bに対し線形に動かされ、開放要素28に対し力を生成し、これによって、開放要素28が(ここでは下側の)開放休止位置から(ここでは上側の)開放動作位置に、およびその逆に変位され得る。
【0047】
図2において、開放要素28は開放休止位置に示され、ケーブルカー車両5は、バリア作動装置10の中央領域への移動方向BRに位置する。ケーブルカー車両5の入口バリア8は閉位置にある。ケーブルカー車両5のバリア作動要素24は、垂直方向において開放要素28の真上に位置し、好ましくは、開放要素28から離間される。結果として、ケーブルカー車両5は、バリア作動要素24が開放要素28と接触することなく、通常動作において妨げられずにバリア作動装置10を越えて通過することができる。しかしながら、図示するように、例えば緊急事態に起因してケーブルカー車両5がバリア作動装置10の領域内で静止する場合、入口バリア8を開くことが望ましい場合がある。
【0048】
この目的で、例えば、作業人員の一員が、示される開放休止位置から開放動作位置に開放要素28を移動させるために、リモート制御ユニット11によって、開放作動ユニット29、ここでは2つの開放要素アクチュエータ29aを制御することができる。2つの開放要素アクチュエータ29aは、バリア作動要素24を垂直方向に上方に(例えば、第1の位置P1の高さまで)押すために、開放要素28を介してバリア作動要素24に対し十分に強力な開放力を生成し、それによって入口バリア8が(ここではボーデンケーブル26を介して)開位置に変位される。この後、開放要素28は、開放動作位置から開放休止位置に戻るように下げることができ、入口バリア8は開位置に留まる。開放プロセスのシーケンスについて、以下で
図4a~
図4dを参照してより詳細に説明する。
【0049】
代替的に、または開放要素28に加えて、バリア作動装置10は、(可動作動構成要素としての)少なくとも1つの閉鎖要素30も有し、これは、閉鎖作動ユニット31によって閉鎖休止位置と閉鎖動作位置との間で変位させることができる。閉鎖休止位置から閉鎖動作位置への変位時に、閉鎖要素は、入口バリア8を閉位置に変位させるために、バリア作動要素24に対する閉鎖力を生成する。開放要素28と同様に、閉鎖要素30も、好ましくは、バリア作動装置10の有効範囲を拡張するために、ケーブルカー車両5の移動方向BRにおいて或る特定の長さにわたって延びる。示される実施例において説明されるように、閉鎖要素30も、有利には、ケーブルカー車両5の移動方向において所定の閉鎖領域にわたって延びる閉鎖レールとして設計され、ここでは、機械的ポジティブ制御装置9と独立した入口バリア8の閉鎖が望ましい。閉鎖作動ユニット31は、好ましくは、閉鎖要素を閉鎖動作位置から閉鎖休止位置に変位させるために、少なくとも1つの電気的に作動可能な閉鎖要素アクチュエータ31aを有し、閉鎖要素アクチュエータはリモート制御ユニット11によって作動可能である。
図2は、(上側)閉鎖休止位置における閉鎖要素30を示す。
【0050】
示す例において、閉鎖作動ユニット31は、電気駆動部、好ましくはリニア駆動部の形態の、特に電気スピンドルモータの形態の閉鎖要素アクチュエータ31aを有する。しかしながら、当然ながら、十分に強力な作動力を生成するのに適した他の電気的に作動可能なアクチュエータ、例えば、油圧、空気圧、電磁アクチュエータ等も用いることができる。
図2に示すように、閉鎖要素アクチュエータ31aの固定部分31b(ここでは下側部分)を、バリア作動装置10の静止構成要素33上に配置することができ、例えば、閉鎖要素アクチュエータ31aの可動部分31c(ここでは上側部分)が制御アーム34上に作用することができる。ここで、制御アーム34は、一端がバリア作動装置10の静止構成要素上に関節接合方式で装着される。制御アーム34の他端は閉鎖要素30上に関節接合される。
【0051】
閉鎖要素アクチュエータ31aが作動されるとき、可動部分31cは、静止部分31bに対し好ましくは線形に動かされ、制御アーム34に対し力を生成し、これによって、閉鎖要素30が(ここでは下側の)閉鎖動作位置から(ここでは上部の)閉鎖静止位置に戻るように移動され得る。示される例において、2つの制御アーム34が設けられ、閉鎖要素アクチュエータ31aは、
図2の右側に示す制御アーム34に対してのみ作用する。閉鎖要素30の下方の移動を減衰させるために、任意選択の減衰要素35が左側の制御アーム34上に作用する。これは、制御された、可能な限り均一な入口バリア8の閉鎖を達成するために有利とすることができる。
【0052】
閉鎖力を生成するために、閉鎖要素30は、好ましくは、閉鎖休止位置から閉鎖動作位置まで、ここでは垂直方向に下方に重力によって変位可能である。結果として、機械的ポジティブ制御装置9に類似して、(例えば、挟まった物体の事例のように)入口バリア8によって或る特定の抵抗に達するかまたはこれを超えるとき、安全性の理由から、閉鎖プロセスが、挟まった物体または人物に対し許容不可能なほど強力な力を加えることなく停止されることを確実にすることができる。好ましくは、或る特定の大きさの閉鎖力を生成することを可能にするために、少なくとも1つの重り要素32が閉鎖要素30に設けられる。所望の閉鎖力に応じて、特定の質量の1つ以上の重り要素32を配置することができる。
図2に見てとることができるように、ケーブルカー車両5の作動要素24は、ケーブルカー車両5がバリア作動装置10の領域内に位置するとき、開放要素28の垂直方向に上方に、かつ閉鎖要素30の下方に位置する。
【0053】
当然ながら、閉鎖力を生成するための適切な電気的に制御可能なアクチュエータ、例えば、ここでも、電気リニア駆動部等を提供することもできる。閉鎖力を制限するために、例えば、適切なセンサシステムを提供することができる。例えば、適切な方式でアクチュエータと通信する、閉鎖力を測定するための力センサを提供することができる。次に、アクチュエータは、或る特定の最大許容可能力に達するかまたはこれを超えると、閉鎖プロセスを停止することができる。当然ながら、これは単なる例であり、他のセンサも用いることができる。例えば、代替的にまたは更に、適切なカメラシステムによって入口バリア8を監視することができる。自動画像認識によって、通常状態から逸脱した入口バリア8の状態、例えば、不完全に閉じた扉または挟まった物体もしくは挟まった人物を検出することができる。画像認識に基づいて、アクチュエータは、例えば閉鎖プロセスを停止することができる。
【0054】
図2において、バリア作動装置10は、ケーブルカー駅2の進出エリアAの上側エリアに配置され、ケーブルカー車両5の移動方向において(閉鎖)ポジティブ制御装置9の下流に装着される。類似の方式で、バリア作動装置10は、当然ながら、
図1に示すように、ケーブルカー駅2の進入エリアEの上側エリアに、好ましくはケーブルカー車両5の移動方向BRにおける機械的(開放)ポジティブ制御装置9の上流に配置することができる。動作モードは、当然ながら、示される例示的な実施形態に類似する。
【0055】
図4a~
図4dは、入口バリア8を開放するための作動中の様々な段階における、
図2および
図3からのバリア作動装置10を示す。
図4aにおいて、ケーブルカー車両5は、移動方向BRにおいて機械的ポジティブ制御装置9の前に位置し、入口バリア8は開位置にある。
図4bにおいて、
図2と類似して、ケーブルカー車両5は、バリア作動装置10の領域内に位置し、入口バリア8は、機械的ポジティブ制御装置9によって開位置から閉位置に予め変位されている。したがって、懸架取付部15上に配置されたバリア作動要素24は、好ましくは、開放要素28に触れることなく、垂直方向において開放要素28の真上に位置する。開放要素28は、(下側の)開放休止位置に位置し、すなわち非作動状態にある。
【0056】
図4cにおいて、バリア作動装置10は、リモート制御ユニット11によって、例えば、ケーブルカーの従業員により静止またはモバイルリモート制御ユニット11a、11b(
図1)によって作動された。入口バリア8を開放するためにリモート制御ユニット11が作動されるとき、対応する制御信号が開放作動ユニット29に、この事例では2つの開放要素アクチュエータ29aに送信される。開放要素アクチュエータ29aは、開放要素28を(下側)開放休止位置(
図4b)から(上側)開放動作位置(
図4c)に変位させ、その結果として、バリア作動要素24に対し開放力が生成され、入口バリア8が開放される。
図4dに示すように、好ましくは、開放要素アクチュエータ29aは、開放要素28が開放動作位置に達すると自動的に停止され、好ましくは、一定の時間、例えば2秒が経過した後に、自動的に開放休止位置に戻るように移動される。開放動作位置への到達は、例えば、開放要素アクチュエータ29aにおいて実施される適切な位置センサまたは移動制限器によって検出することができる。
【0057】
図5a~
図5dは、入口バリア8を閉鎖するための作動中の様々な段階における、
図2および
図3からのバリア作動装置10を示す。
図5aは、ケーブルカー車両5が位置する
図4dに示す状態に対応し、開放入口バリア8がバリア作動装置10の領域内にある。開放要素28は、(下側)開放休止位置に位置し、閉鎖要素30は、(上側)閉鎖休止位置に位置し、この位置において、閉鎖要素アクチュエータ31aによって保持される。バリア作動要素24は、閉鎖要素30の直下に位置する。ここで、閉鎖要素30は、リモート制御ユニット11によって、例えば、ケーブルカーの従業員により静止またはモバイルリモート制御ユニット11a、11b(
図1)によって作動させることができる。入口バリア8を閉鎖するためにリモート制御ユニット11が作動されるとき、対応する制御信号が閉鎖作動ユニット31に、ここでは閉鎖要素アクチュエータ31aに送信される。結果として、閉鎖要素30は、重り要素32によって補助された重力に起因して、(上側)閉鎖休止位置から閉鎖動作位置に下方に変位される。
【0058】
この事例において、閉鎖要素アクチュエータ31aは、アイドルストロークを実行するように動作し、すなわち、閉鎖要素アクチュエータ31aによって閉鎖要素30に張力が加わらない。したがって、
図5bに示すように、閉鎖要素30は、重力によってのみ下方に変位され、閉鎖要素アクチュエータ31aは、閉鎖要素30の動きを辿る。閉鎖要素30および任意選択で重り要素32の質量によって、ケーブルカー車両5のバリア作動要素24に閉鎖力が加わり、入口バリア8が閉位置に移動する。閉鎖要素30が開放動作位置へ到達するとき、これは好ましくは、例えば、閉鎖要素アクチュエータ31aにおいて実施される適切なセンサまたは移動制限器によって検出される。
図5cに示すように、一定の時間、例えば2秒が経過した後、閉鎖要素30は、好ましくは、閉鎖要素アクチュエータ3aによって(上側)閉鎖休止位置に戻るように自動的に移動される。ケーブルカー1が再始動すると、次にケーブルカー車両5は、入口バリア8が閉じた状態で、移動方向BRにおいてバリア作動装置10の領域から出るように移動させることができる。
【0059】
例えば、閉鎖プロセス中に物体または人物が入口バリア8に挟まった場合、閉鎖要素30は意図した閉鎖動作位置に到達しない。これは、例えば適切なセンサによって、または記載のように画像認識を含む適切なカメラシステムによって検出することができる。しかしながら、閉鎖作動ユニット31の作動と、閉鎖要素30の閉鎖動作位置への到達との間の閉鎖プロセスの一定の最大許容可能持続時間も、例えばケーブルカー制御ユニットSEにおいて所定とすることができる。最大持続時間を超えた場合、これは、不完全に閉鎖された入口バリア8として解釈することができる。
【0060】
この事例において、閉鎖要素30は、例えば、閉鎖要素アクチュエータ31aによって、閉鎖休止位置に戻るように自動的に移動させることができる。任意選択で、1つまたは複数の更なる閉鎖試行を自動的に行うことができるか、またはケーブルカーのオペレータが、リモート制御ユニット11を介して更なる閉鎖試行を手動で行うことができる。閉鎖プロセスを反復的に行った後であっても閉鎖動作位置に達することが可能でなく、結果的に入口バリア8の閉位置にも達することができない場合、作業人員の一員が任意選択で現場の目視検査を行い、必要な場合、例えば、入口バリア8から挟まった物体を取り除くことによって、エラー状態を修復することができる。
【0061】
このように、ケーブルカー駅2内のケーブルカー車両5の入口バリア8を開閉するときの柔軟性を、本発明によって大幅に改善することができる。このようにして、例えば、ケーブルカー1の部分的に自動化された動作または更には完全に自動化された、実質的にオペレータなしの動作を達成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルカー(1)のケーブルカー車両(5)の入口バリア(8)を作動させるために前記ケーブルカーのケーブルカー駅(2)に配置するためのバリア作動装置(10)であって、前記バリアは、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記ケーブルカー駅(2)において前記バリア作動装置(10)の領域内に位置しているとき、前記入口バリア(8)を前記閉位置から前記開位置におよび/またはその逆に変位させるために、リモート制御ユニット(11)によって作動可能であり、少なくとも1つの可動作動構成要素(28、30)が前記バリア作動装置(10)に設けられ、前記作動構成要素は、前記バリア作動装置(10)が、前記入口バリア(8)を作動させるために設けられた前記ケーブルカー車両(5)の機械的に作動可能なバリア作動要素(24)に対し作動力を加えるために稼働されるとき、前記リモート制御ユニット(11)によって変位され、前記バリア作動要素(24)は、前記入口バリア(8)を作動させるために前記作動力によって変位される、バリア作動装置(10)において、少なくとも1つの開放要素(28)が前記作動構成要素(28、30)として設けられ、前記開放要素(28)は、開放作動ユニット(29)によって開放休止位置と開放動作位置との間で変位させることができ、前記開放要素(28)は、前記開放休止位置から前記開放動作位置に変位されるとき、前記入口バリア(8)を前記開位置に変位させるために前記バリア作動要素(24)に対し開放力を生成すること、および/または少なくとも1つの閉鎖要素(30)が前記作動構成要素(28、30)として設けられ、前記閉鎖要素(30)は、閉鎖作動ユニット(31)によって閉鎖休止位置と閉鎖動作位置との間で変位させることができ、前記閉鎖要素(30)は、前記閉鎖休止位置から前記閉鎖動作位置に変位されるとき、前記入口バリア(8)を前記閉位置に変位させるために前記バリア作動要素(24)に対し閉鎖力を生成することを特徴とする、バリア作動装置(10)。
【請求項2】
前記開放作動ユニット(29)は、前記開放力を生成するために、前記リモート制御ユニット(11)によって作動させることができる少なくとも1つの電気的に作動可能な開放要素アクチュエータ(29a)を有することを特徴とする、請求項1に記載のバリア作動装置(10)。
【請求項3】
前記閉鎖作動ユニット(31)は、前記閉鎖要素(30)を前記閉鎖動作位置から前記閉鎖休止位置に変位させるために、少なくとも1つの電気的に作動可能な閉鎖要素アクチュエータ(31a)を有し、前記閉鎖要素アクチュエータ(31a)は前記リモート制御ユニット(11)によって制御可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のバリア作動装置(10)。
【請求項4】
前記閉鎖要素(30)は、前記閉鎖力を生成するために、前記閉鎖休止位置から前記閉鎖動作位置へ重力によって変位可能であり、好ましくは、特定の閉鎖力を生成するために、少なくとも1つの重り要素(32)が前記閉鎖要素(30)上に設けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のバリア作動装置(10)。
【請求項5】
少なくとも1つのケーブルカー駅(2)を含み、少なくとも1つのケーブルカー車両(5)を含むケーブルカー(1)であって、少なくとも1つの作動可能な入口バリア(8)が前記ケーブルカー車両(5)上に設けられ、前記バリアは、作動時に、開位置と閉位置との間で変位可能であり、前記入口バリア(8)を作動させるための少なくとも1つの機械的に制御可能なバリア作動要素(24)が前記ケーブルカー車両(5)に設けられる、ケーブルカー(1)において、ケーブルカー車両(5)の前記入口バリア(8)を作動させるための請求項1~4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリモート制御可能なバリア作動装置(10)が前記ケーブルカー駅(2)に設けられ、前記バリア作動装置(10)の前記少なくとも1つの可動作動構成要素(28、30)は、前記バリア作動装置(10)が、前記バリア作動要素(24)に作動力を加えるために稼働されるとき、前記リモート制御ユニット(11)によって変位され、前記バリア作動要素(24)は、前記入口バリア(8)を作動させるために前記作動力によって変位されることを特徴とする、ケーブルカー(1)。
【請求項6】
前記開放要素(28)は、前記ケーブルカー車両(5)の前記移動方向における所定の開放領域にわたって延びる開放レールとして設計され、および/または前記閉鎖要素(30)は、前記ケーブルカー車両(5)の前記移動方向における所定の閉鎖領域にわたって延びる閉鎖レールとして設計されることを特徴とする、請求項5に記載のケーブルカー(1)。
【請求項7】
前記ケーブルカー車両(5)の前記バリア作動要素(24)は、前記ケーブルカー車両(5)が前記バリア作動装置(10)の前記領域内に位置するとき、前記開放要素(28)の垂直方向に上方に、および/または前記閉鎖要素(30)の下方に位置することを特徴とする、請求項6に記載のケーブルカー(1)。
【請求項8】
前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー駅(2)からの前記ケーブルカー車両(5)の進出のために設けられた前記ケーブルカー駅(2)の進出エリア(A)の上側エリアに配置されること、および/または前記バリア作動装置(10)は、ケーブルカー駅(2)への前記ケーブルカー車両(5)の進入のために設けられた前記ケーブルカー駅(2)の前記進入エリア(E)の上側エリアに配置されることを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項9】
前記ケーブルカー駅(2)の前記進出エリア(A)において、前記入口バリア(8)を前記閉位置に変位させるために前記入口バリア(8)を作動させるための機械的ポジティブ制御装置(9)が設けられ、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)の進出移動方向(BR)において前記機械的ポジティブ制御装置(9)の下流に搭載されること、および/または前記ケーブルカー駅(2)の前記進入エリア(E)において、前記入口バリア(8)を前記開位置に変位させるための機械的ポジティブ制御装置(9)が設けられ、前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー車両(5)の進入移動方向(BR)において前記機械的ポジティブ制御装置(9)の上流に配置されることを特徴とする、請求項8に記載のケーブルカー(1)。
【請求項10】
前記リモート制御ユニット(11)は、好ましくは前記ケーブルカー駅(2)の制御室(12)内にもしくは前記ケーブルカー駅(2)の外に配置された静止リモート制御ユニット(11a)として設計されること、または、前記バリア作動装置(10)は、ポータブルリモート制御ユニット(11b)、好ましくは携帯電話もしくはポータブルコンピュータによって作動させることができ、前記リモート制御ユニット(11)からの制御信号が無線でもしくは有線方式で前記バリア作動装置(10)に送信されることが可能であることを特徴とする、請求項5~9のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項11】
前記ケーブルカー車両(5)はキャビンを含み、前記入口バリア(8)は扉であり、または前記ケーブルカー車両(5)はチェアを含み、前記入口バリア(8)は安全バーまたはカバーであることを特徴とする、請求項5~10のいずれか1項に記載のケーブルカー(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのケーブルカー駅(2)を含み、少なくとも1つのケーブルカー車両(5)を含むケーブルカー(1)を動作させるための方法であって、少なくとも1つの作動可能な入口バリア(8)が前記ケーブルカー車両(5)上に設けられ、前記バリアは、作動時に、開位置と閉位置との間を移動させることができ、前記ケーブルカー車両(5)は、前記ケーブルカー駅(2)において、バリア作動装置(10)の領域内に移動され、前記バリア作動装置(10)はリモート制御可能であり、前記入口バリア(8)は、リモート制御ユニット(11)によって前記バリア作動装置(10)を稼働させることによって、前記閉位置から前記開位置におよび/またはその逆に変位され、前記入口バリア(8)は、前記バリア作動装置(10)が作動されるときに作動され、前記バリア作動装置(10)の可動作動構成要素(28、30)が変位され、前記ケーブルカー車両(5)の機械的に作動可能なバリア作動要素(24)上に作動力を加える、方法において、前記入口バリア(8)は前記閉位置から前記開位置に変位され、前記バリア作動装置(10)の少なくとも1つの開放要素(28)によって前記バリア作動要素(24)に対し開放力が生成され、前記開放要素(28)は、少なくとも1つの電気的に作動可能な開放要素アクチュエータ(29a)によって開放休止位置と開放動作位置との間で変位されること、および/または前記入口バリア(8)は前記開位置から前記閉位置に変位され、前記バリア作動装置(10)の少なくとも1つの閉鎖要素(30)によって前記バリア作動要素(24)上に閉鎖力が生成され、前記閉鎖要素(30)は、閉鎖休止位置と閉鎖動作位置との間で重力によって変位されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記バリア作動装置(10)は、前記ケーブルカー駅(2)の中もしくは外に配置された静止リモート制御ユニット(11a)を用いて作動されること、または、前記バリア作動装置(10)は、ポータブルリモート制御ユニット(11b)、好ましくは携帯電話もしくはポータブルコンピュータを用いて操作され、制御信号は、リモート制御ユニット(11a、11b)によって無線でもしくは有線方式で前記バリア作動装置(10)に送信されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ケーブルカー車両(5)の前記入口バリア(8)は、前記入口バリア(8)を開位置から閉位置にまたはその逆に変位させるために、前記リモート制御可能なバリア作動装置(10)の領域内に前記ケーブルカー車両(5)が動かされる前または後に前記ケーブルカー駅(2)に提供される機械的ポジティブ制御装置(9)によって作動されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【国際調査報告】