(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】シリコーンエラストマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20230725BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230725BHJP
C08K 5/5435 20060101ALI20230725BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/013
C08K5/5435
C08K5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579087
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021038651
(87)【国際公開番号】W WO2021262830
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サントス、エリザベス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョフル、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン、デビン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ベルター、スコット ディ.
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP121
4J002DJ016
4J002EK008
4J002EX037
4J002FD016
4J002FD148
4J002FD207
4J002GQ00
(57)【要約】
多種多様な基材に対して強化された接着特性を有する硬化性シリコーンエラストマー組成物が提供される。本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物は、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、及び1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの無水物官能基を含む、フェニルメチルポリシロキサン系添加剤が提供される。上記フェニルメチルポリシロキサン系添加剤は、結果として得られたエラストマーに、改善された熱-湿度安定化をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック/熱可塑性/樹脂材料基材に対して接着を達成できる硬化性シリコーンエラストマー組成物であって、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有し、25℃で1000mPa.s~500,000mPa.sの範囲の粘度を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物と、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強性充填剤及び任意選択的に1つ以上の非補強性充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、及び1分子当たり少なくとも2つの無水物官能基を含むオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサン系添加剤系の添加剤(D)が、以下の式のものであり得、
D-O-[Y]-D
式中、各D基は、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基は、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xは、無水物含有基であり、式中、mが少なくとも1あるいは少なくとも2の整数であり、aが少なくとも1の整数であり、
[Y]は、構造[SiPhR
3O]
n又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phはフェニル基であり、nは2~20の整数である、請求項1に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン系添加剤(D)は、mが2であり、aが1である化合物であるか、又はそれを含み、
nの平均値が4~10である、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
成分(D)が、前記組成物に、他の成分の全組成物の0.5~5重量%の量で添加される、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多種多様な基材に対して強化された接着特性を有する硬化性シリコーンエラストマー組成物(以下、「硬化性シリコーンエラストマー組成物」と称される)に関する。本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物は、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、及び1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの無水物官能基を含む、オルガノポリシロキサン系添加剤の系統の添加剤が提供される。上記オルガノポリシロキサン系添加剤は、結果として得られるエラストマーに他の材料の基板に関する熱-湿度安定化を提供し、すなわち、上記硬化性シリコーンエラストマー組成物から作製されたエラストマーは、エージング後の改善された接着性を提供する。前述の組成物を硬化させることによって作製されたエラストマー、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性樹脂から形成されるものなどのポリマー系の基材及び複合物を含む、上記エラストマー及び有機樹脂を含む複合物、並びに上記組成物を有機樹脂系基材に接着するためのプロセスも提供される。
【0002】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、硬化して、シリコーンエラストマー材料(あるいはシリコーンゴムと呼ばれる)を提供する。1つの好適な硬化プロセスは、付加硬化機構を介し、他の方法としては、白金族触媒を使用するヒドロシリル化プロセスとして記載される。
【0003】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、それらが、硬化プロセスの前又はその間に、熱可塑性材料、有機樹脂系材料、又は熱可塑性材料及び有機樹脂系材料の両方から作製された基材と直接接触して配置され、硬化中に、その基材に接着することができる、硬化性シリコーンエラストマー組成物であり得る。場合によっては、上記硬化性シリコーンエラストマー組成物は、基材に対する「選択的接着」を有するものとして業界で言及されるものであると考えられ得る。誤解を避けるために、本明細書における選択的接着性という用語は、硬化時に、金型などの金属基材に対して非接着性である一方で、例えば、プライマーなどを基材表面に適用する必要なしに、熱可塑性又は樹脂基材上への直接接着結合を提供することができることを意味することが意図される。そのような場合、それらは選択的接着を有すると見なされる。「直接接触」という用語は、硬化性シリコーンエラストマー組成物の接着特性が、接着を生成するために熱可塑性材料、有機樹脂系材料、又は熱可塑性材料及び有機樹脂系材料の両方から作製された基材の表面にプライマーを適用する必要がないほどのものであるということを意味すると理解されることが意図される。シリコーンエラストマーが基材表面上で硬化したときには、シリコーンエラストマー及び有機基材の界面間に接着がある。
【0004】
シリコーンエラストマーは、特に耐熱性、耐候性、及び電気絶縁性に関して非常に信頼性の高い特性を有することから、多種多様な用途、例えば、電気及び電子、ヘルスケア、台所用品、及び自動車用途で使用される。自動車用コネクタシール用途では、シリコーンエラストマーは、特に過酷な環境において、多くのプラスチックと比較して信頼性の高いシール性能を提供することができる。これらは、自動車電子制御システムの安全な実行に使用するための信頼性の高いシールを提供し、ドライバー及び乗員の両方の安全かつ快適な体験を向上させる。シリコーンのシール及びコーティングは、スマートフォン及びウェアラブルデバイス内のシリコーンエラストマー製パーツの防水及びシールにも重要である。しかしながら、ポリカーボネートなどのプラスチック及び熱可塑性基材と十分に強い接着結合を形成することができないため、特定の用途では、その使用が制限されてきた。シリコーンエラストマー組成物はまた、織物、自動車用エアバッグコーティング、及びパラシュートに使用されるものなどのテキスタイルコーティングにも使用され、基材への接着は性能を高めるために重要である。自己接着性シリコーンエラストマーもまた、電子モジュールのための蓋シール、民生用及び自動車用の電子機器、キュアインプレースガスケット、ヘッドランプ、及び機器のためのカプセル化材、ポッティングゲル及びコーティングなど、様々な高度なアセンブリ用途のための接着剤、シーラント、及び、コーティングとして有用である。加えて、熱可塑性フィルム状基材への自己接着を有するシリコーンエラストマーもまた、剥離ライナー及び剥離コーティングとして有用である。
【0005】
この問題を克服するために、基材表面へのプライマーの適用を最初に利用した。しかしながら、いくつかの問題は、接着のために表面を活性化するための、プラズマ、コロナ、火炎、UV、又はUV-オゾン源への曝露による照射など、プライマー又は高エネルギー表面前処理を必要とする方法を使用して発生している。
【0006】
プライマー法は、特に製造されているパーツ/物品に対して信頼できない生産性、品質管理の問題、及び実際の信頼性の問題をもたらす可能性があることから、厄介である。プライマーの選択、保存、使用、及び加工もまた、接着レベルに大きく影響する可能性があり、その結果、使用前の保管中にプライマーに細心の注意を払う必要がある。そのため、良好な接着を達成するためにプライマーの使用を十分に制御する必要があり、そのようなプロセスは、多くの場合、時間のかかるものであり、低い生産性及びシール品質のばらつきをもたらし得る。したがって、可能な場合、プライマーの使用を回避することが望ましく、これは、プライマー処理した表面を必要とすることなく満足のいく接着を有する自己接着性シリコーンエラストマー材料を使用することによって最近達成されている。
【0007】
高エネルギー処理は、湿式化学プライマーを硬化させる必要性を排除することができるが、典型的には、前処理を安全に行うために特別な資本設備及び組み立てプロセスを必要とする。
【0008】
例えば、硬化性シリコーンエラストマー組成物が、異なる材料又は同じ材料で作製された他のパーツ(又は基材)上にオーバーモールド、コーティング、印刷、分配、又は別様に塗布されることが望ましい場合がある。多くの場合、これらの基材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリル、スチレン、ポリフタルアミド、ポリカーボネートなどの有機ポリマー系熱可塑物を含む。他の場合、基材は、エポキシ若しくはウレタン若しくは尿素系ポリマーなどの熱硬化性樹脂、又はFR-4基材などの複合材料を含む(FR-4は、耐火性であるエポキシ樹脂バインダーとのガラス繊維織布の複合材料である)。例えば、シリコーンガスケットは、ポリアミド又はポリエステルから作製された熱可塑性ハウジング上へ成形することができる。別の例では、ウェアラブル電子デバイスは、ポリカーボネートなどの硬質熱可塑性材料を、液状シリコーンゴムから作製された軟質の層又はパーツでオーバーモールドすることによって得ることができる。更なる例としては、シリコーンエラストマーでコーティングされたポリアミド又はポリエステルなどのエアバッグ用布地が挙げられる。自己接着性シリコーンゴム組成物を上に硬化させられ得る有機基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ナイロン6,6(PA66)及びナイロン6,10などのポリアミド(PA)、ビスフェノールAポリカーボネートなどのポリカーボネート(PC)が挙げられるが、射出成形中に金属型からの良好な脱離を可能にする。他の実施形態では、硬化性シリコーン組成物は、金属、ガラス、又はセラミックなどの無機基材に適用され得、以前に列挙された熱可塑物及び樹脂などの有機基材に、並びに紙、木材、又はそれらの任意の組み合わせなどのセルロース系基材に、単一の基材内に、又は任意の組み合わせの複数の基材の間に表される複合物として適用されて、結合された物品を形成し得る。ポリアミド又はポリエステル布地への結合の場合、更に自己接着性シリコーン組成物は、典型的には、良好な接着及び耐スクラブ性を示すために、布地がプラズマ又はコロナ処理されることを必要とする。
【0009】
更なる代替的な提案では、ヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー架橋剤、例えばオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、ポリカーボネート基材中に組み込むことが示唆されている。しかしながら、このようなプロセスは、ポリカーボネート自体の物理的特性に悪影響を及ぼし、樹脂がそれ自体の特性を発揮するのを妨げることが見出されている。物理的係合方法は、2つのセグメントが物理的力によって係合解除され得る可能性を残す。
【0010】
自己接着性シリコーンエラストマーなどのシリコーンエラストマーの使用は、プライマー又は表面前処理の使用の必要性をなくすことにより、少なくとも部分的にパーツ/物品の生産性、品質管理、及び信頼性を向上できることから好ましい代替案である。
【0011】
しかしながら、これらは、様々な基材上で良好な初期接着を提供することができる一方で、熱及び湿度への長期曝露下での接着結合の耐久性が、プラズマ前処理された基材の場合でさえも、課題を示すことが見出されている。
【0012】
自己接着性シリコーン材料と熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材との間の接着の耐久性は、組み合わせの使用が成功するために非常に重要であるが、未処理の熱可塑物への良好な接着を複合物に提供すること及び様々な基材上での接着のエージング(熱/湿度)が、技術的な課題として残っている。
【0013】
本開示は、プラスチック/熱可塑性/樹脂材料基材に対して接着を達成できる硬化性シリコーンエラストマー組成物に関するものであり、本硬化性シリコーンエラストマー組成物は、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有し、25℃で1000mPa.s~500,000mPa.sの範囲の粘度を有する1つ以上の有機ケイ素化合物と、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物と、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強性充填剤及び任意選択的に1つ以上の非補強性充填剤と、
(D)ジフェニルポリシロキサン系添加剤又はフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいは1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基及び1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの無水物官能基を含むフェニルメチルポリシロキサン系添加剤から選択され得る、オルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む。
【0014】
1つ以上のオルガノポリシロキサン(A)の各々は、1分子当たり、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を含み、Brookfield(登録商標)回転粘度計を使用してスピンドル(LV1-LV-4)を用いポリマーの粘度に応じて速度(せん断速度)を調節して、25℃で1000mPa.s~500,000mPa.s、あるいは25℃で1000mPa.s~150,000mPa.s、あるいは25℃で1000mPa.s~100,000mPa.s、あるいは25℃で1000mPa.s~75,000mPa.sの粘度wp有し、全ての粘度測定値は、特に明示されない限り、25℃で取得した。
【0015】
アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びヘキセニル基が挙げられる。それらの基は、ペンダント部分若しくは末端部分であってもよく、又はそれらの両方の部分であってもよく、すなわち、かかる基は、オルガノポリシロキサン(A)のシロキシ単位のいずれに存在していてもよい。成分(A)は、式(1)の単位を複数含む直鎖及び/又は分枝状オルガノポリシロキサンを含む。
R’aSiO4-a/2 (1)
式中、各R’は、同一でも異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を有する炭化水素基、1~18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は最大18個の炭素原子を有する炭化水素オキシ基を示し、平均して1~3、好ましくは1.8~2.2のa値を有する。
【0016】
本出願の目的で、「置換」とは炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置換されていることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子;クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、及びノナフルオロヘキシル基などのハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル基及びカルボキシル基などの酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
シロキシ単位は、Rが、通常は特に明示されない限りアルキル基、例えばメチル基であるとき、短縮形(略記)、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」で記述されてよい(シリコーン命名法についての更なる教示は、Walter Noll,Chemistry and Technology of Silicones,dated 1962,Chapter I,pages 1-9に見ることができる)。M単位は、式中、a=3であるシロキシ単位、すなわち、R3SiO1/2に相当し、D単位は、式中、a=2であるシロキシ単位、すなわち、R2SiO2/2に相当し、T単位は、式中、a=1であるシロキシ単位、すなわち、R1SiO3/2に相当し、Q単位は、式中、a=0であるシロキシ単位、すなわち、SiO4/2に相当する。
【0018】
原料(成分)(A)の例は、2つの末端にアルケニル基又はアルキニル基、典型的にはアルケニル基、を含有するポリジオルガノシロキサンであり、一般式(I)によって表される。
R’R”R’’’SiO-(R”R’’’SiO)m-SiR’’’R”R’ (I)
【0019】
式(I)において、それぞれのR’は、ビニル、アリル、及び5-ヘキセニルなどの、典型的に2~10の炭素原子を含有する、アルケニル基又はアルキニル基、典型的にはアルケニル基である。
【0020】
R”はエチレン性不飽和を含有しない。各R’’は同一でも、異なってもよく、一般的に1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基及び一般的に6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から個別に選択される。R”は、非置換でもよく、又は、本発明の組成物の硬化を妨げることのない1つ以上の基(ハロゲン原子など)によって置換されていてもよい。R’’’は、R’又はR”であり、mは、以下に論じられる範囲内の粘度を有するように、原料(成分)(A)に適した重合度を表す。
【0021】
典型的に、式(I)に従った化合物に含有される全てのR’’及びR’’’基はメチル基である。あるいは、式(I)に従った化合物の少なくとも1つのR’’及び/又はR’’’基がメチル基であり、その他はフェニル基又は3,3,3-トリフルオロプロピル基である。この選択は、ポリジオルガノシロキサン(原料(成分)(A))を調製するために典型的に使用される反応物質が利用可能かどうか、及びこのようなポリジオルガノシロキサンを含む組成物から調製される硬化エラストマーに対して所望される特性に基づくものである。
【0022】
基R’の特に好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、塩素又はフッ素で置換されたプロピル基、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、β-(ペルフルオロブチル)エチル基若しくはクロロシクロヘキシル基が挙げられる。好ましくは、基R’のうちの少なくともいくつか、より好ましくは実質的に全てが、メチルである。いくつかのR’基は、フェニル基又はフルオロ基であり得る。1つの代替例では、ポリジオルガノシロキサンは、主として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジアルキルシロキサン及び/又はポリジアルキルアルキルフェニルシロキサンである。更なる代替例では、ポリジオルガノシロキサンは、主として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジメチルシロキサンである。これらは、好ましくは、式R”3SiO1/2[式中、各R”は同一又は異なっている]のシロキサン基で末端封鎖された実質的に直鎖状の材料である。硬化性組成物の硬化速度及び物理的特性は、成分(A)の機能性の構造及び程度によって影響を受けることが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、成分(A)の一部又は全部としてペンダントのアルケニル基又はアルキニル基を有する分枝状、樹脂状、又は環状含有オルガノポリシロキサンを利用することが有利であり得る。
【0023】
25℃でのオルガノポリシロキサン(A)の粘度は、典型的には、Brookfield(登録商標)回転粘度計を使用してスピンドル(LV-4)を用いポリマーの粘度に応じて速度を調節しており、全ての粘度測定値は、特に明示されない限り、25℃で取得した。
【0024】
使用され得るオルガノポリシロキサン(A)の例としては、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-ビニルメチルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサン、ビニルメチルヒドロキシシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-ビニルメチルシロキサンコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
オルガノポリシロキサン(A)は、単一のポリマー、又は2つ以上の異なるポリマーの組み合わせ、のいずれであってもよい。
【0026】
オルガノポリシロキサン(A)は、組成物の総重量に基づいて10~85重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~75重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて30~65重量%の濃度で組成物中に存在する。
【0027】
B)硬化剤
本明細書に記載の組成物は、有機過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)又は異なる種類の過酸化物触媒の混合物で硬化され得る。
【0028】
過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)は、シリコーン及び/又はフルオロシリコーンエラストマー組成物を硬化させるために使用される公知の任意の市販の過酸化物であってもよい。使用される有機過酸化物の量は、硬化プロセスの性質、使用される有機過酸化物、及び使用される組成物によって決定される。典型的には、本明細書に記載の組成物中で用いられる過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)の量は、いずれの場合も組成物の重量に基づいて、0.2~3重量%、あるいは0.2~2重量%である。
【0029】
好適な有機過酸化物は、置換又は非置換のジアルキル-、アルキルアロイル-、ジアロイル-ペルオキシドであり、例えば、ベンゾイルペルオキシド及び2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジターシャリーブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシドビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン、2,4-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルペルオキシド及び2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0030】
あるいは、組成物は、以下の形態のヒドロシリル化触媒パッケージ(B)(ii)を使用して硬化され得る。
(B)(ii)(a)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
(B)(ii)(b).ヒドロシリル化触媒。
【0031】
成分(B)(ii)(a)は、1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物の形態の架橋剤である。通常、成分(B)(ii)(a)は3個以上のケイ素結合水素原子を含有し、それにより、その水素原子がポリマー(A)中の不飽和のアルケニル基又はアルキニル基と反応して、それらとネットワーク構造を形成することにより組成物を硬化させることができる。あるいは、ポリマー(A)が1分子当たり2個超(>2)のアルケニル基又はアルキニル基を有する場合、成分(B)(ii)(a)の一部又は全てが1分子当たり2個のケイ素結合水素原子を有していてもよい。
【0032】
有機ケイ素化合物の構造は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性とすることができる。シクロシラン及びシクロシロキサンは、3~12個のケイ素原子、あるいは3~10個のケイ素原子、あるいは3~4個のケイ素原子を有し得る。非環状ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合水素原子は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置され得る。
【0033】
好適なオルガノシランの例としては、ジフェニルシラン、2-クロロエチルシラン、ビス[(p-ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4-ジメチルジシリルエタン、1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレンを挙げることができる。いくつかの例では、オルガノハイドロジェンシランは、式HR1
2Si-R2-SiR1
2Hを有することができ、式中、R1は、C1~C10ヒドロカルビル又はC1~C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、両者とも脂肪族不飽和を含まず、R2は、1,4-若しくは1,3-二置換フェニル、4,4’-若しくは3,3’-二置換-1,1’-ビフェニル、又はパラ-若しくはメタ-二置換Ph(CgH2g)Phから選択される式を有する脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビレン基である。
【0034】
1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)の分子構成は、特に制限されず、直鎖、一部の分枝を有する直鎖、環状又はシリコーン樹脂系とすることができる。この成分の分子量は特には制限されないが、粘度は一般的に、ポリマー(A)との良好な混和性を得るために、ASTM D1084 Method Bのカップ/スピンドル法で、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVの範囲のスピンドルを使用して、25℃で0.001~50Pa.sである。
【0035】
成分(B)(ii)(a)で使用されるケイ素結合有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブテニル、ペンテニル、ヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基;3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示され得、好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0036】
1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)は、典型的には、ポリマー(A)中のアルケニル及び/又はアルキニル基の総数に対する成分(B)(ii)(a)中のケイ素結合水素原子の総数のモル比が0.5:1~20:1になる量で添加される。この比が0.5:1未満である場合、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1を超える場合、加熱されたときに、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0037】
1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
(a’)トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、
(b’)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン、
(c’)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンのコポリマー、
(d’)ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンの環状コポリマー、
(e’)(CH3)2HSiO1/2単位、(CH3)3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(f’)(CH3)2HSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(g’)(CH3)2HSiO1/2単位、SiO4/2単位及び(C6H5)3SiO1/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、並びにメチルがフェニル基又は他のアルキル基によって置換されたその代替物。
【0038】
あるいは、成分(B)(ii)(a)架橋剤は、充填剤、例えば、上記の1つで処理されたシリカであってもよい。
【0039】
成分(B)(ii)(a)は、以下の化合物によって例示され得る:分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンポリシロキサン;分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖ジメチルシロキサン;分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;分子鎖両末端がジメチルフェニルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー;環式メチルハイドロジェンポリシロキサン;(CH3)2HSiO1/2シロキサン単位とSiO4/2単位とからなるコポリマー;(CH3)2HSiO1/2シロキサン単位、(CH3)3SiO1/2シロキサン単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー、上記オルガノポリシロキサンの一部又は全てのメチル基が、エチル、プロピルなどのアルキル基で置換されたもの;フェニル、トリルなどのアリール基で置換されたもの;3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基で置換されたもの;又は上記オルガノポリシロキサンのうちの2つ以上の混合物。
【0040】
有機ケイ素化合物架橋剤(B)(ii)(a)は、概ね、成分(B)(ii)(a)のケイ素結合水素原子のモル数の、成分(A)のアルケニル基のモル数に対する比が(0.7:1.0)~(5.0:1.0)、好ましくは(0.9:1.0)~(2.5:1.0)、最も好ましくは(0.9:1.0)~(2.0:1.0)の範囲となる量で硬化性シリコーンエラストマー組成物中に存在する。
【0041】
成分(B)(ii)(a)のケイ素結合水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して求められる。本発明において、ケイ素結合水素のアルケニル(ビニル)及び/又はアルキニルに対する比は、ヒドロシリル化硬化プロセスに依存する場合に重要である。概ね、これは、組成物中のアルケニル基の総重量%、例えば、ビニル[V]と、組成物中のケイ素結合水素[H]の総重量%とを計算することによって決定され、ここで、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27として、ビニルに対するケイ素結合水素のモル比は27[H]/[V]である。
【0042】
典型的には、成分(A)中の不飽和基の数及び成分成分(B)(ii)(a)中のSi-H基の数に応じて、成分(B)(ii)(a)は、全組成物の0.1~40重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、更にあるいは全組成物の1重量%~5重量%の量で存在することとなる。
【0043】
成分(B)(ii)(b)は、少なくとも1つのヒドロシリル化(付加)反応触媒である。通常、白金金属族(白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム)、又はそのような金属のうちの1つ以上の化合物の触媒から選択される。白金及びロジウム化合物が、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性レベルの高さから、好ましい。成分(B)(ii)(b)は、成分(A)のアルケニル基(例えば、ビニル基)と、成分(B)(ii)(a)のSi-H基との間の反応を触媒し、硬化性シリコーンエラストマー組成物がその対応のエラストマーへと硬化したときに架橋ネットワークをもたらす。
【0044】
触媒(B)(ii)(b)は、白金族金属、活性炭、金属酸化物(酸化アルミニウム又は二酸化ケイ素など)、シリカゲル若しくは粉末木炭などの担体に堆積させた白金族金属、又は白金族金属の化合物若しくは錯体であってもよい。
【0045】
好ましいヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)の例は、白金系触媒、例えば、白金黒、様々な固体担体上の白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、並びにオレフィンなどのエチレン性不飽和化合物及びケイ素に結合したエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの塩化白金酸の錯体である。使用可能な可溶性白金化合物としては、例えば、式(PtCl2(オレフィン)2及びH(PtCl3.オレフィン)の白金-オレフィン錯体を挙げることができ、この文脈では、エチレン、プロピレンなど、2~8個の炭素原子を有するアルケン、ブテンの及びオクテンの異性体、又はシクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロヘプテンなど、5~7個の炭素原子を有するシクロアルカンの使用が優先される。他の可溶性白金触媒は、例えば、式(PtCl2C3H6)2の白金-シクロプロパン錯体であり、アルコール、エーテル、及びアルデヒド若しくはそれらの混合物とのヘキサクロロ白金酸の反応生成物、又はエタノール溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下でのメチルビニルシクロテトラシロキサンとのヘキサクロロ白金酸の反応生成物である。リン、硫黄、及びアミン配位子を有する白金触媒、例えば、(Ph3P)2PtCl2、及びsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンなど、ビニルシロキサンとの白金の錯体も、使用することができる。
【0046】
したがって、好適な白金系触媒の具体的な例としては、
(i)米国特許第3,419,593号に記載されている、塩化白金酸のエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体;
(ii)六水和物形態又は無水形態のいずれかの塩化白金酸;
(iii)塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む、方法によって得られる白金含有触媒;
(iv)(COD)Pt(SiMeCl2)2(式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである)などの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体;及び/又は
(v)典型的には溶媒中に、例えばトルエンを使用してもよい、約1重量%の白金を含有する白金とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体であるKarstedt触媒が挙げられる。これらは、US3,715,334及びUS3,814,730に記載されている。
【0047】
ヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物のヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)は、全組成物中に、触媒量、すなわち、付加/ヒドロシリル化反応を触媒し、所望の条件下で組成物をエラストマー材料に硬化させるために十分な量又は分量で存在する。様々なレベルのヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)を使用して、反応速度及び硬化反応速度を調整することができる。ヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)の触媒量は、概ね、組成物のポリマー(A)及び充填剤(C)の重量に基づいた百万部当たりの白金属金属の重量部(ppm)で、0.01ppm~10,000ppm、あるいは0.01~5000ppm、あるいは0.01~3,000ppm、あるいは0.01~1,000ppmである。特定の実施形態において、触媒の触媒量は、組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、あるいは0.01~750ppm、あるいは0.01~500ppm、あるいは0.01~100ppmの範囲の金属であってもよい。範囲は、指定されたように、触媒内の金属含有量のみ、又は触媒全体(その配位子を含む)に関連し得るが、典型的には、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関連する。触媒は、単一種として、又は2種以上の異なる種の混合物として添加してよい。典型的には、触媒パッケージが提供される形態/濃度に依存して、存在する触媒の量は組成物の0.001~3.0重量%の範囲である。
【0048】
成分(C)は、任意追加的に1つ以上と組み合わせた、1つ以上の超微粒子状の補強性充填剤、及び/又は非補強性充填剤である。
【0049】
成分(C)の補強性充填剤は、超微粒子状のヒュームドシリカ及び/又は超微粒子状の沈降性シリカ、コロイダルシリカ及び/又は好適なシリコーン樹脂によって例示され得る。
【0050】
沈降性シリカヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカが、一般的に少なくとも50m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)というそれらの比較的高い表面積から特に好ましい。一般的には、50~450m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、あるいは50~300m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)の表面積を有する充填剤を使用する。これらの種類のシリカは全て市販されている。
【0051】
補強性充填剤(C)がもともと親水性である場合(例えば、未処理のシリカ充填剤)、典型的にはそれを処理剤で処理してそれを疎水性にする。これらの表面改質された補強性充填剤(C)は凝集せず、表面処理により充填剤がポリジオルガノシロキサンポリマー(A)によって容易に湿潤することから、以下に記載のポリジオルガノシロキサンポリマー(A)に均質に組み込むことができる。
【0052】
典型的には、補強性充填剤(C)は、加工中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防ぐために適用可能な当技術分野で開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物で表面処理され得る。例えば、充填剤を疎水性にして、ひいては取り扱いをより容易にし、他の原料(成分)との均質な混合物を得るようにするオルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、又はヘキサアルキルジシラザンなどのオルガノシラザン、短鎖シロキサンジオールである。具体的な例としては、限定されるものではないが、シラノール末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、シラノール末端ビニルメチル(ViMe)シロキサン、シラノール末端MePhシロキサン、各分子中にジオルガノシロキサンの平均2~20個の繰り返し単位を含有する液状ヒドロキシルジメチル末端ポリジオルガノシロキサン、ヒドロキシルジメチル末端フェニルメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン及びテトラメチルジ(トリフルオロプロピル)ジシラザンなどのヘキサオルガノジシラザン、ヒドロキシルジメチル末端ポリジメチルメチルビニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、並びに限定されないが、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシランを含むシランが挙げられる。少量の水を、加工助剤としてシリカ処理剤と一緒に添加することができる。
【0053】
表面処理は、組成物に導入する前に、又はその場で(すなわち、充填剤が完全に処理されるまで、これらの原料(成分)を室温以上で一緒にブレンドすることにより、本明細書の組成物の他の原料(成分)のうちの少なくとも一部の存在下で行うことができる。典型的には、未処理の補強性充填剤(C)を、ポリジオルガノシロキサンポリマー(A)の存在下、その場で、処理剤で処理し、それにより、後で他の原料(成分)と混合することができるシリコーンエラストマーのベース材料を調製する。
【0054】
補強性充填剤(C)は、組成物の固形分含有量の5.0~40wt%、あるいは、組成物の固形分含有量の7.5~35wt%、あるいは、組成物の固形分含有量の重量%に基づいて、10.0~35wt%の量で存在する。このことから、本明細書の補強性充填剤(C)、例えば微粉化シリカ及び/又はシリコーン樹脂の量は、したがって、例えば、全組成物の2.0~20wt%、あるいは全組成物の2.5~15wt%であり得る。場合によっては、補強性充填剤の量は、全組成物の重量に基づいて5.0~15wt%であってもよい。
【0055】
非補強性充填剤は、任意選択的に、本明細書の成分(C)に含まれ得る。これらは、例えば、破砕された水晶、炭酸カルシウム、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、珪灰石、アルミナイト、硫酸カルシウム(硬石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンなどの粘土、アルミニウムトリハイドロオキシド、水酸化マグネシウム(水滑石)、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト、炭酸バリウム、例えば毒重石、並びに/又は 炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアナイトを含み得る。
【0056】
その他の非補強性充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族;ざくろ石族;アルミノシリケート;環状アルミノシリケート;鎖状シリケート;及び層状シリケートからなる群からのシリケートが挙げられ得る。かんらん石族は、ケイ酸塩鉱物、例えばフォルステライト及びMg2SiO4を含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石;Mg3Al2Si3O12;緑ざくろ石;及びCa2Al2Si3O12などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩は、ケイ線石;Al2SiO5;ムライト;3Al2O3.2SiO2;カイヤナイト;及びAl2SiO5などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。環状ケイ酸塩は、非補強性充填剤として利用されてもよく、これは、コージェライト及びAl3(Mg,Fe)2[Si4AlO18]などのケイ酸塩鉱物を含むがこれらに限定されない。鎖状ケイ酸塩族は、粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO3]を含むが、これらに限定されない。層状ケイ酸塩は、代替的に又は追加的に、非補強性充填剤として使用されてもよく、適切な群は、ケイ酸塩鉱物、例えば、雲母、K2AI14[Si6Al2O20](OH)4;葉蝋石;Al4[Si8O20](OH)4;タルク、Mg6[Si8O20](OH)4;蛇絞石、例えばアスベスト;カオリナイト;Al4[Si4O10](OH)8;及びバーミキュライトなどのケイ酸塩鉱物が挙げられるが、これらに限定されない。1つの代替例では、充填剤は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、炭酸カルシウム、タルク、雲母、石英、及び酸化アルミニウムのうちの1つ以上から選択される。
【0057】
以前に示されたように、上記の成分(D)は、オルガノポリシロキサン系添加剤である。オルガノポリシロキサン系添加剤は、ジフェニルポリシロキサン系添加剤又はフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいは1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基及び1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの無水物官能基を含むフェニルメチルポリシロキサン系添加剤から選択され得る。
【0058】
一実施形態では、ジフェニルポリシロキサン系添加剤又はフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルメチルポリシロキサン系添加剤(D)から選択され得るオルガノポリシロキサン系添加剤は、以下の式のものであり得る。
D-O-[Y]-D
式中、各D基は、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R3)(OSiR3H)m(OSiR3X)a]
式中、各R3基は、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xは、無水物官能基を含有する基であり、式中、mは、少なくとも1又はあるいは少なくとも2、あるいは1~20、あるいは1~10、あるいは1~6の整数であり、aは、少なくとも1、あるいは1~20、あるいは1~10、あるいは1~6の整数であり、好ましくはm+aは、2~20、あるいは2~10、あるいは2~6であり、
[Y]は、構造[SiPhR3O]n又は[SiPh2O]n、あるいは[SiPhR3O]nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phはフェニル基であり、nは2~20、あるいは4~10、あるいは5~10の整数である。
【0059】
後者では、環状シロキサン基D中の[(O-Si(-)R3)基中のSiは、酸素を介して直鎖状シロキサン基に結合している。各R3基は、同じでも異なっていてもよく、1~6個の炭素を含有するアルキル基又は置換アルキル基であり、あるいは各R3基は同じでも異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロプロピル又はノナフルオロヘキシル、あるいはメチル基又はエチル基から選択されるアルキル基又は置換アルキル基である。
【0060】
無水物官能基という用語により、各Xが以下の構造を含むことが意味される:-C(=O)-O-C(=O)-。無水物官能基は、例えば、不飽和無水物を上記の環状シロキサンのSi-H基と反応させることに由来し得る。不飽和無水物としては、無水マレイン酸、アルケニルコハク酸無水物、ポリイソブチレニルコハク酸無水物、シトラコン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、クロトン酸無水物、ジフェン酸無水物、イサト酸無水物、イタコン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、ナディック酸無水物、3-(ブタ-3-エニル)-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、並びにシス-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物及びフェニルコハク酸無水物が挙げられる。無水物官能基はまた、CAS 6708-37-8、カルブ酸無水物(CAS 129-64-6)などのビシクロオクテンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(CAS 1719-83-1)などのビシクロオクテンテトラジカルボン酸無水物、CAS 55054-47-2などのエテノシクロブタベンゾフラン-トリオン、CAS 5650-01-1などのエテノシクロヘプタフラン-ジオン及びそれらの異性体バリアントなど、架橋複素環式構造を特徴とする不飽和無水物によって例示され得る。
【0061】
例えば、無水物官能基は、環状無水物とすることができ、望ましくは環状無水物であり(すなわち、5員環又は6員環内である)、単結合した酸素及びカルボニル炭素は、無水マレイン酸中などの結合した原子の環の一部である。本発明の1つの望ましいポリオルガノシロキサンは、無水マレイン酸残部(すなわち、炭素-炭素二重結合を反応させた後に残る無水マレイン酸分子の成分)を含む。
【0062】
【0063】
Xが、上に示す、アルキレン基を介して環状シロキサン中の(OSiR3X)単位のケイ素に連結された無水物官能基である例であり、アリルコハク酸無水物などのアルケニルコハク酸無水物を、上記の環状シロキサンに対して中間にあるSi-H基と反応させることによって達成することができる。各環状シロキサンDは、同じ又は異なる環員数、例えば、6~20の環員数、あるいは6~16の環員数、あるいは6~14の環員数、あるいは8~12の環員数、例えば以下の式[2]を有し得、
【0064】
【化2】
式中、上記の各pは独立して、1、2、又は3以上であり得、あるいは1、2、又は3であり、実際の成分(D)は、1分子当たりの各pが1、2、又は3以上である上記の1つ又は他の混合物を含み得る。混合物が存在する場合、最も多くの分子が好ましくはpが1であることが好ましい。成分/添加剤(D)が混合物である場合、混合物は、例えば、環状シロキサンDが10員環(例えばpが2)、又は12員環(pが3)などであるが、上記のものと類似する構造を追加的に含み得る。一実施形態では、混合物は、pが1である約50~80%の分子、pが2である20~49%の分子を含み得、残り(存在する場合)は、pが3以上である分子である。
【0065】
したがって、例えば、m=2及びa=1である場合、添加剤(D)は、以下の構造を有し得、式中、環状シロキサンDは、例えばpが1である、8員環であるが、無水物基は、任意のSi-H基の位置で環状部分に結合し得、したがって、以下のものは単に参考用であることを理解されたい。
【0066】
【化3】
成分/添加剤(D)が、上記のものを含む、混合物である場合、混合物は、例えば、環状シロキサンDが、例えばpが2である(式[2])10員環、又はpが3である(式[2]など)12員環であるものなど、上記のものと類似する構造を追加的に含み得る。
【0067】
ジフェニルポリシロキサン系添加剤又はフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤から選択され得る、オルガノポリシロキサン系添加剤(D)、あるいはフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤(D)、あるいは上記のように1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基及び1分子当たり少なくとも2つの無水物官能基を含むフェニルメチルポリシロキサン系添加剤(D)は、本出願人の名前で国際出願第PCT/US19/064350号に記載されているプロセスに従って調製され得る。
【0068】
オルガノポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルアルキルポリシロキサン系添加剤、あるいはフェニルメチルポリシロキサン系添加剤(D)の量は、典型的には、組成物の総重量に基づいて0.01~25重量パーセント、又は組成物の総重量に基づいて0.05~5、最も典型的には0.25~4重量パーセントである。成分(D)が1分子当たり2個を超えるSiH基を担持するいくつかの場合では、成分(D)はまた、成分(B)のSiH成分の役割を部分的に果たすのに役立ち得る。そのような場合、当業者は、成分(D)のより大きなパーセンテージが利用され得ることを理解するであろう。
【0069】
硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用目的に応じて、任意による添加剤が組成物中に存在してもよい。例としては、1つ以上の硬化抑制剤、ビニル化シリコーンガム、25℃で10~750mPa.sの粘度を有するジメチルビニルポリジオルガノシロキサン、離型剤、接着触媒、過酸化物及び/又は顔料が挙げられる。他の添加剤としては、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、鎖延長剤、圧縮永久歪み添加剤、及び可塑剤などが挙げられる。
【0070】
硬化阻害剤は、必要に応じて、特に保管中に付加反応硬化プロセスを防止又は遅延するために使用される。白金系触媒の任意選択の付加反応抑制剤は当該技術分野において周知であり、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、シリル化アセチレンアルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エン-イン、ヒドロパーオキシド、ニトリル、並びにジアジリジンが挙げられる。米国特許第3989667号に記載されているようなアルケニル置換シロキサンを使用してもよく、その環状メチルビニルシロキサンが好ましい。
【0071】
公知のヒドロシリル化反応抑制剤の一分類としては、米国特許第3445420号に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコールは、25℃で白金含有触媒の活性を抑制する好ましい分類の抑制剤である。典型的には、これらの抑制剤を含有する組成物は、実用的な速度で硬化させるために、70℃以上の温度に加熱する必要がある。
【0072】
アセチレンアルコール及びその誘導体の例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物が挙げられる。アセチレンアルコールの誘導体としては、少なくとも1個のケイ素原子を有するこれらの化合物を挙げてもよい。
【0073】
場合によっては、存在するとき、触媒の金属1モル当たり抑制剤1モル程度の低い抑制剤濃度は、満足な保管安定性および硬化速度を付与するであろう。他の場合では、触媒の金属1モル当たり最大500モルの抑制剤という抑制剤濃度が必要である。所与の組成物における、所与の抑制剤に対する最適な濃度は、通常の実験で容易に決定される。選択された抑制剤が商業的に提供/市販されている濃度及び形態に応じて、組成物中に存在する場合、抑制剤は、一般的には、組成物の0.0125~10重量%の量で存在する。
【0074】
必要と見なされる場合、組成物は、ビニル化シリコーンガムを追加的に含有し得る。そのようなガムは、典型的には、ポリジメチルシロキサンポリマー鎖にジメチルビニル末端基を有する、成分Aと類似する構造を有するが、潜在的には、ポリマー鎖の長さに沿っていくらかのビニルメチル基の組み合わせが存在し得る。これらのポリマーの場合、主な違いは、成分(A)とは対照的に鎖長及び結果として生じる粘度であり、典型的には、このタイプのガムは、25℃で少なくとも1,000,000mPa.sの粘度を有し、多くの場合、有意により高い粘度を有する。しかし、これらの値を超える粘度を測定するのは困難であるので、ガムは、粘度ではなく、ASTM D-926-08に従ったWilliams可塑度値で記述される傾向がある。本明細書に記載のタイプのガムは、典型的には、ASTM D-926-08に従って、30mm/100、あるいは少なくとも50mm/100、あるいは少なくとも100mm/100、あるいは100mm/100~350mm/100の範囲のWilliamの可塑度を有する。
【0075】
25℃で10~750mPa.sの粘度を有するジメチルビニルポリジオルガノシロキサン。そのようなジメチルビニルポリジオルガノシロキサンは、典型的には、ポリジメチルシロキサンポリマー鎖にジメチルビニル末端基を有する、成分(A)と類似する構造を有するが、潜在的には、ポリマー鎖の長さに沿っていくらかのビニルメチル基の組み合わせが存在し得る。これらのポリマーの場合、主な違いは、成分(A)とは対照的に鎖長及び結果として生じる粘度であり、このタイプのポリマーは、25℃で10~750mPa.sのゼロせん断粘度を有する。ゼロせん断粘度は、粘度-せん断速度曲線が速度に依存しない低せん断速度で取得された値をゼロに外挿することによって得られ、これは、試験方法に依存しない値である。25℃での物質のゼロせん断粘度は、典型的には、Brookfield(登録商標)回転粘度計などのレオメーター又は粘度計を使用してスピンドル(LV-1-LV-4)を用いポリマーの粘度に応じて速度(せん断速度)を調節して得られる。
【0076】
導電性充填剤の例としては、金属粒子、金属酸化物粒子、金属コーティング金属粒子(銀メッキニッケルなど)、金属コーティング非金属コア粒子(銀コーティングタルク、又はマイカ、又は石英など)及びこれらの組み合わせが挙げられる。金属粒子は、粉末、フレーク又はフィラメントの形態であってもよく、それらの混合物又は誘導体であってよい。
【0077】
熱伝導性充填剤の例としては、窒化ホウ素、アルミナ、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び酸化アルミニウムなど)、黒鉛、ダイヤモンド、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0078】
鎖延長剤の例としては、末端位にケイ素結合水素基を2つ含有する直鎖オルガノポリシロキサンが挙げられる。そのような鎖延長剤は、1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物の形態の架橋剤である成分(B)(ii)(a)とは異なる。典型的には、鎖延長剤は、2つのSi-H基を有し、架橋剤は、少なくとも3つのSi-H基を有するであろう。鎖延長剤の例としては、限定はされないが、末端位置にケイ素に結合した水素原子2つを含有するジシロキサン又は低分子量ポリオルガノシロキサンが挙げられる。連鎖延長剤は通常、ポリマー(A)のアルケニル基と反応し、それによりポリマー(A)の2つ以上の分子を一緒に結合させ、その有効分子量と潜在的な架橋部位間の距離を増加させる。
【0079】
ジシロキサンは、典型的には、一般式(HRa
2Si)2Oで表される。鎖延長剤がポリオルガノシロキサンである場合、それは、一般式HRa
2SiO1/2の末端単位及び式Rb
2SiOの非末端単位を有する。これらの式において、Ra及びRbは独立して、エチレン性不飽和及びフッ素の含有量を有さない非置換又は置換の一価の炭化水素基を表し、限定はされないが、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基、クロロメチルなどの1~10個の炭素原子を含有する置換アルキル基、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、6~10個の炭素原子を含有するアリール、トリル及びキシリルなどの7~10個の炭素原子を含有するアルカリール基、及びベンジル基などの7~10個の炭素原子を含有するアラルキル基が含まれる。
【0080】
鎖延長剤の更なる例としては、テトラメチルジハイドロジェンジシロキサン又はジメチルハイドロジェン末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0081】
鎖延長剤は、ポリマー(A)の重量に基づいて1~10重量部、典型的には、ポリマー(A)の組み合わせの100部当たり1~10部の量で添加してよい。
【0082】
任意選択的に、接着促進剤が組成物中に存在し得る。任意の好適な接着促進剤が利用され得る。これらは、メタクリル基若しくはアクリル基を含有する1つ以上のアルコキシシラン、及び/又はエポキシ基を含有する1つ以上のアルコキシシラン、並びに任意選択的には、存在する場合、接着促進剤の反応を活性化及び/又は加速するために使用される1つ以上の縮合触媒を含み得るか、又はそれらからなり得る。
【0083】
メタクリルオキシメチル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-ジメチルメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシイソブチル-トリメトキシシラン、又は類似のメタクリルオキシ置換アルコキシシラン;3-アクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-ジメチル-メトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、又は類似のアクリルオキシ置換アルキル含有アルコキシシランなど、メタクリル基又はアクリル基を含有するアルコキシシランの例。
【0084】
接着促進剤として使用され得るエポキシ含有アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0085】
接着触媒、すなわち、上記の接着促進剤の反応を活性化及び/又は加速するために使用される縮合触媒も利用され得る。そのような縮合触媒は、チタネート(例えばテトラプロポキシチタネート)、ジルコネート、有機アルミニウムキレート、チタンキレート及び/又はジルコニウムキレートを含む有機金属触媒から選択され得る。
【0086】
例えば、チタネート系触媒及びジルコネート系触媒は、一般式Ti[OR5]4又はZr[OR5]4[式中、各R5は同じでも異なっていてもよく、1~20個の炭素原子、あるいは1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状であってもよい一価の、第一級、第二級、又は第三級脂肪族炭化水素基を表す]による化合物を含んでもよい。任意選択的に、チタネート又はジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。R5の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三級ブチル基及び分岐状第二級アルキル基、例えば2,4-ジメチル-3-ペンチル基が挙げられるが、これらに限定されない。各R5が同じである場合、好ましくは、R5は、イソプロピル基、分岐状第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に第三級ブチル基である。具体的な例としては、限定されるものではないが、ジルコニウムテトラプロピレート及びジルコニウムテトラブチレート、テトラ-イソプロピルジルコネート、ジルコニウム(IV)テトラアセチルアセトネート(ジルコニウムAcAcと呼ばれることもある)、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ジブトキシビス(エチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、又は配位子として使用されるβ-ジケトン(それらのアルキル置換及びフッ素置換された形態を含む)を有する類似のジルコニウム錯体が挙げられる。上記ジルコネートのチタネート等価物も含まれる。
【0087】
好適なアルミニウム系縮合触媒としては、Al(OC3H7)3、Al(OC3H7)2(CH3COCH2COC12H25)、Al(OC3H7)2(OCOCH3)、アルミニウムアセチルアセトネート及びAl(OC3H7)2(OCOC12H25)のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0088】
必要及び/又は有益と見なされる場合、接着促進剤はまた、他のシランカップリング剤、2つ以上のアクリレート基を含有する有機化合物及び/又は反応性シロキサンなどの他の原料を含み得る。
【0089】
接着促進剤の例としては、シランカップリング剤、例えばメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び1,6-ビス(トリメチルシリル)ヘキサン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はグリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0090】
2つ以上のアクリレート基を含有する有機化合物の例としては、例えば、ヘキサンジオールジアクリレートヘプタンジオールジアクリレートオクタンジオールジアクリレートノナンジオールジアクリレート及び若しくはウンデカンジオールなどのC4~20アルカンジオールジアクリレートなどのジアクリレート、並びに/又はペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
【0091】
反応性シロキサンの例としては、いずれの場合も任意選択的にトリフルオロプロピル側鎖又はペルフルオロブチルエチル側鎖などの1つ以上のペルフルオロアルキル鎖を含有する、ヒドロキシ末端ジメチル-メチルビニルシロキサン トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンシロキサンなどのシロキサンが挙げられる。典型的には、そのようなシロキサンは、25℃で0.001~0.1Pa.s、あるいは25℃で0.001~0.05Pa.sの粘度を有する。
【0092】
存在する場合、接着促進剤は、典型的には、組成物の約0.1~6重量%あるいは、組成物の0.1~4重量%の量で組成物中に存在する。
【0093】
難燃剤の例としては、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、塩素化パラフィン、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0094】
顔料の例としては、酸化鉄、カーボンブラック、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0095】
潤滑剤の例としては、テトラフルオロエチレン、樹脂粉末、黒鉛、フッ素化黒鉛、タルク、窒化ホウ素、フッ素オイル、シリコーンオイル、二硫化モリブデン、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0096】
更なる添加剤としては、トリメチルシリル又はOH末端シロキサンなどのシリコーン流体が挙げられる。このようなトリメチルシロキシ又はOH末端ポリジメチルシロキサンは、典型的には25℃で150mPa.s未満の粘度を有する。かかるシリコーン流体は、存在する場合、硬化性シリコーンエラストマー組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0097】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、
熱可塑性基材上で、有機樹脂基材上で、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材表面上で有意な接着を達成することができる硬化性シリコーンエラストマー組成物を含み得、これは、以下の成分を含む。
【0098】
成分A
組成物の総重量に基づいて10~85重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~75重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて30~65重量%の量で、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、25℃で1000mPa.s~500,000mPa.sの範囲の粘度を有する1つ以上のオルガノポリシロキサン、
【0099】
成分B
成分(B)が(B)(i)である場合、有機過酸化物は、いずれの場合も組成物の重量に基づいて0.2~3重量%、あるいは0.2~2重量%の量で存在し得る。
【0100】
あるいは、成分(B)(ii)(a)として、全組成物の0.1~40重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、更にあるいは全組成物の1重量%~5重量%の量で、1分子当たり少なくとも2又は3個のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン、
成分(B)(ii)(b)として、全組成物の0.01~10重量%、あるいは全組成物の0.01重量%~5重量%、更にあるいは全組成物の0.05重量%~2重量の量で存在する、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒、
成分(C)として、組成物の総重量に基づいて1~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて1~50重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて5~50重量%、更にあるいは組成物の総重量に基づいて8~30重量%の量で、少なくとも1つの補強性充填剤及び任意選択的に1つ以上の非補強性充填剤、
本開示は、組成物の100重量%を構成する成分(A)~(D)及び任意選択の添加剤の全組成物%を提供する上記の組み合わせのいずれかを含むことが意図される。成分(D)を除外する上記の組成物は、100重量%である。
【0101】
ヒドロシリル化によって硬化される場合、触媒(B)(ii)(b)は、保管中の早期硬化を防ぐために、架橋剤(B)(ii)(a)とは別個に保管されることが重要である。典型的には、触媒(B)(ii)(b)はA部組成物に含まれ、架橋剤(B)(ii)(a)及び任意選択の抑制剤は、B部組成物中に保管される。同様に、所与の成分(D)は、ヒドロシリル化硬化性成分Dが触媒(B)(ii)(b)とは別個に保管されるべきである場合、複数のSi-H基を含有する。したがって、ヒドロシリル化硬化性組成物の場合、典型的には、架橋剤(B)(ii)(a)、成分D、及び使用される任意の抑制剤は全て、B部組成物に含まれる。
【0102】
任意選択の添加剤(抑制剤を除く)は、部(A)若しくは部(B)のいずれかに、又は両方の部にあり得る。それらはまた、部(A)又は部(B)が組み合わされた後に最終混合物に添加され得る。
【0103】
一実施形態では、物品又は物品の複合パーツを調製するためのプロセスであって、
a)本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の混合物を形成する工程と、
b)任意選択に、基材が、例えば、プラズマ、コロナ、及び/又はUV-Cによって表面処理された後に、基材の表面上に混合物を適用する工程と、
c)混合物を80~250℃の温度で硬化させる工程と、
を含む、方法を提供する。
【0104】
工程(a)において、組成物が使用前に複数のパーツに保管される場合、異なるパーツを一緒に組み合わせて均質に混合し、任意による後続の工程で、組成物の最終用途に求められ得る任意の追加の添加剤を添加する。
【0105】
基材は、任意の好適な熱可塑性又は有機樹脂基材であり得る。基材の例としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリフェニレン/スチレンブレンド、ポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、スチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ナイロン、ポリアミド(PA)、シンジオタクチックポリスチレンとのポリアミド樹脂のブレンド、ポリアミド、ポリイミド、フルオロポリマー、及び液晶樹脂、非樹脂含有ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン修飾ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、又はポリフタルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の基材は、例えば、コットン又は他の天然繊維衣服及び合成繊維衣服上に、例えば、セルロース及び布地/織物を含み得る。上記のいずれも、必要に応じて、活性化、例えば、プラズマ、コロナ、又はUV-Cで活性化され得る。典型的には、組成物が自己接着型ではない場合、本明細書の組成物は、金属基材、例えば、ケイ素、アルミニウム、ステンレス鋼合金、チタン、銅、ニッケル、銀、金、及びそれらの組み合わせに被着され得る。
【0106】
本硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分の均質な混合は、ニーダーミキサー、Z-ブレードミキサー、2本ロールミル(オープンミル)、3本ロールミル、Haake(登録商標)Rheomix OS Labミキサー、スクリュー押出機又は二軸押出機などの好適な混合手段を用いて行うことができる。例えば、Hauschericで販売されているような速度ミキサー、DC150.1FV、DAC400FVZ、又はDAC600FVZは、代替的に使用され得る。
【0107】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、射出成形、プレス成形、押出成形、トランスファー成形、プレス加硫、カレンダー加工によって加工(又は硬化)されてもよい。
【0108】
硬化は、例えば、成形型内で行い、例えば、ポリカーボネート基材に被着された、型成形されたシリコーン物品を作製することができる。硬化性シリコーンエラストマー組成物は、例えば、ポリカーボネート材料に被着された物品を形成するように射出成形されてもよく、又は組成物は、熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材若しくは物品の周り、又は熱可塑性基材、有機樹脂基材、若しくは熱可塑性かつ有機樹脂基材上の射出成形によってオーバーモールドされてもよい。感熱基材の存在下で硬化させる場合、本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物は、感熱基材などとの機械的接着の発現を可能にする条件下で、より具体的には、感熱基材が変形、溶融、又は変性されない温度及び硬化時間を用いて硬化される。
【0109】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、製造業者のサイズ規格に従って、熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材に被着されたシリコーンエラストマー物品、例えば、チューブ、ストリップ、金剛打ひも(solid cord)又は特注の形状(custom profiles)などへと硬化させることができる。
【0110】
本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物は、ロール塗り、展着、3Dプリンティングなどの任意の好適な手段によって基材の表面に適用し、上記のとおりに硬化させることができる。硬化性シリコーンエラストマー組成物を基材上に適用した後、組成物は、80℃~250℃の範囲の硬化温度で硬化される。このような温度は、概ね、関与する材料によって決定される。3Dプリンティングの場合、3Dプリンターは、熱融解フィラメント製造プリンター(a fused filament fabrication printer)、選択的レーザー焼結プリンター(a selective laser sintering printer)、選択的レーザー溶融プリンター(a selective laser melting printer)、ステレオリソグラフィプリンター、粉末層(バインダージェット)プリンター(a powder bed (binder jet)printer)、マテリアルジェットプリンター(a material jet printer)、直接金属レーザー焼結プリンター(a direct metal laser sintering printer)、電子線溶融プリンター(an electron beam melting printer)、積層対象物製造積層プリンター(a laminated object manufacturing deposition printer)、指向性エネルギー積層プリンター(a directed energy deposition printer)、レーザー粉末形成プリンター(a laser powder forming printer)、ポリジェットプリンター(a polyjet printer)、インクジェッッティングプリンター(an ink-jetting printer)、マテリアルジェッティングプリンター(a material jetting printer)、及びシリンジ押出成形プリンター(a syringe extrusion printer)から選択され得る。
【0111】
本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物に関する主要な利点は、以下である。
■接着の熱-湿度安定化(初期接着だけではない)
■広範な適用範囲(PBT、ポリカーボネート、ポリアミド上で機能する)
■硬化特性及び物理的特性に影響を与えない
【0112】
本明細書の一実施形態において、本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーからなる物品、又は上に記載のタイプなどの剛性若しくは可撓性基材上で硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーからなる物品が提供される。
【0113】
別の実施形態では、上記のように本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーを剛性又は可撓性基材上に含む、複合パーツが提供される。このような複合パーツは、基材及びシリコーンエラストマーのいずれかが一体コンポーネントとして物品に使用される構造を含むことを理解されたい。上記のような基材の例。
【0114】
一実施形態では、上記のものなどの熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材に被着された上記の硬化性シリコーンエラストマー組成物から生成されたエラストマー材料を含む、物品又は複合パーツが提供される。
【0115】
別の実施形態では、本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物は、3Dプリンティング法を使用して処理される基材の表面に適用され得る。3次元(3D)物品を形成する典型的な方法は複数の工程を含み得る。例えば、方法は、(i)熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材を提供する工程を含み得る。方法は、(ii)基材を加熱する工程を更に含み得る。また、方法は、(iii)本明細書で上に記載したような硬化性シリコーンエラストマー組成物を基材上に3Dプリンターでプリンティングして後続の層を形成する工程を含み得る。任意選択的に、後者の工程は、1つ以上の更なる層を適用するために、必要に応じて繰り返され得る。
【0116】
かかる物品又は複合パーツの例は、上記の全ての場合で、自動車用途、医療用途、民生及び産業用途、電子用途を含むがこれらに限定されない様々な産業で見出すことができる。自動車用途では、これは、シリコーンシール又はガスケット、プラグ及びコネクタ、各種センサーのコンポーネント、膜、隔壁、気候換気コンポーネントなどを有するハウジングを含むことができる。電子用途としては、携帯電話カバーシール、携帯電話付属品、精密電子機器、電気スイッチ及びスイッチカバー、腕時計及びリストバンド、ウェアラブル器具、例えば、フェースマスク、ウェアラブル電子デバイスなどが挙げられる。
【0117】
複合パーツはまた、携帯電話、モバイル通信機器、ゲーム機、時計、画像受信機、DVD機器、モバイルデバイス、メディアデバイス及びミニディスク(MD)機器、CD機器、及び他の精密電子機器、電子レンジ、冷蔵庫、電気炊飯器、テレビ、液晶テレビ及びプラズマテレビの薄型ディスプレイ、各種家電製品、複写機、プリンター、ファクシミリ機、及び他のオフィスオートメーション(OA)機器、コネクタシール、スパークプラグキャップ、各種センサーのコンポーネント、及び他の自動車コンポーネントのパーツからも選択され得る。
【実施例】
【0118】
以下の実施例では、全ての粘度は、Brookfield(登録商標)回転粘度計を使用してスピンドル(LV-4)を用いポリマーの粘度に応じて速度(せん断速度)を調節して測定した。全ての粘度測定値は、特に明示されない限り、25℃で取得した。
【0119】
【0120】
マスターバッチ1は、68.7%のジメチルビニル末端ジメチルシロキサン、約57,000mPa.sの粘度と、31.3%の処理済みシリカとを含む。
【0121】
3つの代替添加剤を試験した。
【0122】
添加剤1(Add.1)は、本明細書の開示によるものであり、国際出願第PCT/US19/064350号に記載されているプロセスに従って調製された成分(D)構造の混合物であったが、それが含む過半数の分子(約51~55%)において、[Y]はポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eは1であり、dはゼロであり、mは2であり、aは1であり、nの値は平均6~7であり、各環状シロキサンは8員環であり、X基は、環内にもともと位置するSi-H基のいずれかを置換することができるので、以下の構造であり得るが、必ずしもそうであるとは限らないことを理解されたい。添加剤1の主原料に対する可能な構造は、以下のものであり得る。
【0123】
【0124】
残りは、構造中の環状シロキサンDが10員環であり(約40~45%)、かつ残部(約>0~5%)が、12員環で作製された環状シロキサンDを有する、類似分子の混合物であった。総量は合計100%となる
【0125】
以下の比較添加剤1(Comp.Add.1)は、直鎖内のケイ素原子の数(上記の構造におけるn+2)が平均約7であり、かつ各環状シロキサンが8員環である過半数の分子(例えば約57.5~62%)を含む、米国特許第7429636号に記載の方法に従って調製されたオリゴマーの比較混合物である。エポキシド基は、環状シロキサンの一部を形成するケイ素原子のいずれかに直接連結され得、以下のものは、単にComp.Add.1の主原料の選択肢のうちの1つの表現であることを理解されたい。
【0126】
【0127】
残りは、各環状シロキサン環状シロキサンが10員環であり(約35~40%)、かつ残部(約>0~5%)が、12員環で作製された環状シロキサンを有する、類似分子の混合物であった。総量は合計100%となる
【0128】
比較添加剤2は、Add.1と同様の混合物であり、国際出願第PCT/US19/064350号に記載されているプロセスに従って調製したが、無水物基とは対照的に末端エポキシ基を有するものであり、[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均6~7である構造を有する過半数の分子(約51~55%)を含み、X基は、各環状シロキサンの環内にもともと位置するSi-H基のいずれかを置換することができるので、比較添加剤2の主原料は、以下の構造であり得るが、必ずしもそうであるとは限らないことを理解されたい。
【0129】
【0130】
残りは、構造中の環状シロキサンが10員環(約40~45%)及び残部(約>0~5%)である、類似分子の混合物であった。総量は合計100%となる。
【0131】
上記の表1に示される組成物のそれぞれのA部及びB部を、速度ミキサーを使用して1:1の重量比で混合した各試料のスラブを調製し、次いで150℃で5分間硬化させた。次いで、以下の表2に示されるように物理的特性を決定した。DIN S2ダイ及びショアA硬度を使用した硬化試験片の伸び及び弾性率結果(ASTM D412-98A)を、(ASTM D2240-97)に従って決定した。
【0132】
【0133】
接着試験
470dtexのポリエステル及びナイロン66の積層体(420デニール、46×46のスレッドカウント)を、積層体を180度剥がすことによる引き裂きを伴うピーク接着強度を評価する工程を参照して上述した添加剤を含む本明細書の表1に記載したような組成物を使用して調製した。ピーク接着強度と同様に、試験の完了時に新たに露出した表面を検査し、凝集破壊パーセントを推定することによって決定された凝集破壊パーセントの推定を報告した。使用した方法論は、以下の機械率の差分、試料幅、及び試料厚さを用いるASTM D 413-98に基づいた。
【0134】
布地を横糸方向(約12インチ)、次いで縦糸方向(約16インチ)に沿って切断して、基材シート(寸法12インチ(30.48cm)×16インチ(40.64cm))を得た。使用される全ての基材をオーブン内で1分間、150℃で予備乾燥させた。次いで、布地を取り出し、ワークベンチ上に置いた。チェイスモールドを、横糸方向で布地を横切って真っ直ぐに位置付けられるように位置合わせした(この研究で使用されたチェイスは、1.16mmの深さを有し[約1mm厚の接着ラインをもたらす]、全ての内部寸法は10mm×10インチである)。A部及びB部組成物を、速度ミキサーで1:1の重量比で混合した。
【0135】
プラスチックスパチュラを使用して、チェイスに接着剤を充填した。チェイスを取り外し、それぞれの基材の第2のピースを試料ビードの上に置いた。次いで、スタイロフォームローラを使用してビードを穏やかに湿潤させた。次いで、試料を150℃のオーブン内で5分間硬化させた。
【0136】
下で見られるように、いくつかの基材試料は、使用前にプラズマ処理した。基材シートをオーブン処理した後に、プラズマ処理を行った。プラズマ処理した試料には、布地上でプラズマ処理ラインの中心にマークを作成し、接着剤が適用されることになるマークは作成しなかった。布地の底部ピースを、PlasmatrеatのFG3001プラズマ発生機を使用してプラズマ処理し、速度を125mm/sに設定した。ロボット座標を、x=82.24mm、y=13.76mm、z=117mmで設定し、これらの座標は、プラズマ処理ヘッドから布地までの7mmのギャップをもたらす)。処理後、上記のプロセスに従って試料を適用した。第2の基材シートをプラズマ処理し、プラズマ処理した表面でシーラントビードに向かって適用した。次いで、試料を上に記載されるように硬化させた。
【0137】
分析が実施されるまで、試料を室温で約20時間静置した。4つの試料を各試験片から切断し、これは、10インチのシームからなった。試験片の外側1インチ(2.54cm)を廃棄し、4つの2インチ(5.08cm)の試料を切断した。次いで、各試料に対して布地の長さを約6インチ(15.24cm)に切断した。各試料の厚さを測定した。これは、試料構造全体の幅から2つの布地ピースの幅を差し引くことによって行った。
【0138】
積層体を180度剥がすことによる引き裂きを伴うピーク接着強度。ピーク接着強度と同様に、試験の完了時に新たに露出した表面を検査し、凝集破壊パーセントを推定することによって決定された凝集破壊パーセントの推定を報告した。これらは、上述のような硬化の直後に行われ、相対湿度95%の70℃での17日間の熱及び湿度(H&H)エージング後も行われた。
【0139】
ピーク荷重/幅の場合、試料は、MTS Alliance RF/100引張試験機を使用して試験した。接着試験片を試料ホルダー内に置き、クロスヘッド速度を8インチ/分(200mm/分)に設定し、ピーク荷重/幅を決定した。以下の表に提供する結果は、4つのデータポイントを平均したものである。
【0140】
凝集破壊測定の場合、これは、凝集破壊パーセントについて試料を引っ張ったピーク荷重/幅を分析することによって達成した。2×10グリッド(4mm×4mmの正方形)を含有したテンプレートを、引っ張られたシームの中心に配置し、各側で約5mm、並びにシームの上部及び底部で2mmを無視した。各正方形は、5%の面積を表す。各試料に対して凝集破壊パーセントを決定し、次いで、4つの複製の各々から平均を取得した。
【0141】
470dtexのポリエステル基材及びナイロン66基材に対するそれぞれの結果を、それぞれ、表3a~d及び表4a~cに示す。
【0142】
【0143】
添加剤はなくても、プラズマ処理されると、最小の接着が達成されることが分かるであろう。結果はエージングを実施しないくらい悪かった。
【0144】
【0145】
基材表面をプラズマ処理した後であっても、比較添加剤1を使用してエージング後に接着が達成されなかったことが分かる。
【0146】
【0147】
同様に、プラズマ処理されていない場合、又は基材表面をプラズマ処理した後である場合のいずれでも、比較添加剤2を使用してエージング後に接着が達成されなかったことが分かる。
【0148】
【0149】
プラズマ処理なしの添加剤1で接着が達成されたが、エージングプロセス後に接着が失われたことが分かる。しかしながら、上記の比較例とは異なり、基材表面をプラズマ処理した後に、接着が基材に対して保持された。
【0150】
【0151】
添加剤はなくても、プラズマ処理されると、最小の接着が達成されることが分かるであろう。結果はエージングを実施しないくらい悪かった。
【0152】
【0153】
プラズマ処理したナイロン66基材に対して良好なレベルの接着を保持した。
【0154】
【0155】
プラズマ処理なしの添加剤1で接着が達成されたが、エージング後でさえも接着が実質的に保持されたことが分かる。しかしながら、上記の比較例とは異なり、基材表面をプラズマ処理した後に、接着が基材に対して保持された。
【0156】
接着方法及び分析
表5a及び表5bに示される以下の実施例では、利用されるそれぞれの基材をイソプロピルアルコール(IPA)で拭き、次いで硬化性シリコーンエラストマー組成物の塗布前に風乾した。硬化性シリコーンエラストマー組成物を25ミル(0.635mm)の厚さで塗布した。続いて、硬化性シリコーンエラストマー組成物を、150℃の強制空気オーブン内で1時間硬化させた。かみそり刃を使用して、ほぼスパチュラ刃の幅によって分離された2つの垂直線を、基材の幅にわたって、かつ基材表面までの硬化材料の深さを通してエッチングした。基材表面から約30°の角度で下に押さえつけられたスパチュラによってカット間の硬化エラストマー材料に手動で力を加えた。次いで、接着(又は接着の欠如)を主観的に評価した。結果を、以下の記述を利用して表5a及び表5bに示す。
(-)接着不良=接着破壊(基材からの分離)
(+)中程度から良好である接着=混合モード破壊[凝集破壊(エラストマー中の断裂)及び接着破壊]
【0157】
【0158】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック/熱可塑性/樹脂材料基材に対して接着を達成できる硬化性シリコーンエラストマー組成物であって、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有し、25℃で1000mPa.s~500,000mPa.sの範囲の粘度を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物と、
b.ヒドロシリル化触媒と、を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強性充填剤及び任意選択的に1つ以上の非補強性充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、及び1分子当たり少なくとも2つの無水物官能基を含むオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサン系添加剤系の添加剤(D)が、以下の式のものであり得、
D-O-[Y]-D
式中、各D基は、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基は、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xは、無水物含有基であり、式中、mが少なくとも1あるいは少なくとも2の整数であり、aが少なくとも1の整数であり、
[Y]は、構造[SiPhR
3O]
n又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phはフェニル基であり、nは2~20の整数である、請求項1に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン系添加剤(D)は、mが2であり、aが1である化合物であるか、又はそれを含み、
nの平均値が4~10である、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
成分(D)が、前記組成物に、他の成分の全組成物の0.5~5重量%の量で添加される、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項5】
前記組成物が硬化抑制剤を含む、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項6】
使用前に少なくとも2つの別個のパーツで保管される、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物。
【請求項7】
物品又は物品の複合パーツを調製するためのプロセスであって、
a)請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の混合物を形成することと、
b)前記混合物を基材の表面上に適用することと、
c)前記混合物を80~250℃の温度で硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項8】
前記基材がポリカーボネートである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化された物品。
【請求項10】
プラスチック基材に被着された請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーを含有する、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材上に被着された請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーを含有する、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
シリコーンシール又はガスケット、プラグ及びコネクタ、各種センサーのコンポーネント、膜、隔壁、気候換気コンポーネントを有するハウジング、携帯電話カバーシール、携帯電話付属品、精密電子機器、電気スイッチ及びスイッチカバー、腕時計及びリストバンド、又はウェアラブル電子デバイスなどのパーソナル電子機器から選択される、請求項9~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物から硬化されたシリコーンエラストマーを、プラスチック/熱可塑性/樹脂材料基材、特にポリカーボネート材料基材上に含む、複合パーツ。
【請求項14】
シリコーンシール又はガスケット、プラグ及びコネクタ、各種センサーのコンポーネント、膜、隔壁、気候換気コンポーネントを有するハウジング、携帯電話カバーシール、携帯電話付属品、精密電子機器、電気スイッチ及びスイッチカバー、腕時計及びリストバンド、ウェアラブル器具及び/又はウェアラブル電子デバイスなどのパーソナル電子機器、携帯電話、モバイル通信機器、ゲーム機、時計、画像受信機、DVD機器、MD機器、CD機器、及び他の精密電子機器、電子レンジ、冷蔵庫、電気炊飯器、陰極線テレビ、液晶テレビ及びプラズマテレビの薄型ディスプレイ、各種家電製品、複写機、プリンター、ファクシミリ機、及び他のOA機器、コネクタシール、スパークプラグキャップ、各種センサーのコンポーネント、及び他の自動車コンポーネントのパーツから選択される、請求項13に記載の複合物。
【請求項15】
熱可塑性基材、有機樹脂基材、又は熱可塑性かつ有機樹脂基材に被着された前記組成物から作製された硬化エラストマー材料を含む物品を作製するための請求項1又は2に記載の組成物、並びに改善された熱-湿度安定化を有する前記熱可塑性又は有機樹脂系基材に前記組成物を接着するためのプロセスの使用。
【国際調査報告】