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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】排気ガス排出削減システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20230725BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20230725BHJP
   B01J 23/656 20060101ALI20230725BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20230725BHJP
   B01J 27/232 20060101ALI20230725BHJP
   B01J 23/58 20060101ALI20230725BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20230725BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20230725BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B01D53/94 280
B01J23/46 311A
B01J23/656 A ZAB
B01J23/89 A
B01J27/232 A
B01J23/58 A
F01N3/10 Z
F01N3/28 301P
B01D53/92 100
B01D53/92 213
B01D53/92 352
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580039
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020059941
(87)【国際公開番号】W WO2021262219
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/044,002
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タネフ,ピーター・タネフ
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソオールホルツ,マリオ
【テーマコード(参考)】
3G091
4D002
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA19
3G091AA21
3G091AB02
3G091BA11
3G091GA16
3G091GB01W
3G091GB01X
3G091GB03X
3G091GB04W
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091GB10X
4D002AA02
4D002AA26
4D002AA27
4D002AA28
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA05
4D002CA07
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA11
4D002DA16
4D002DA21
4D002DA23
4D002DA24
4D002DA46
4D002EA03
4D002GA01
4D002GB12
4D002HA10
4D148AA18
4D148AB01
4D148BA03Y
4D148BA07Y
4D148BA08Y
4D148BA15Y
4D148BA18Y
4D148BA19Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA32Y
4D148BA33Y
4D148BA34Y
4D148BA41Y
4D148BC01
4D148BC02
4D148BC03
4D148CD01
4G169AA01
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA05B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB16A
4G169BB16B
4G169BC03B
4G169BC09A
4G169BC09B
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC29A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC35B
4G169BC43B
4G169BC54A
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC68B
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA12
4G169CA15
4G169DA06
4G169EA19
4G169ED07
4G169FB67
4G169FC08
(57)【要約】
メタン(CH)及びMOC毒を有する排気ガスを受け入れることができるメタン削減ユニットを含む排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去するためのシステム。メタン削減ユニットは、排気ガスからのMOC毒を除去することができ、CHを有し、MOC毒を含まない中間排気ガスを発生することができるガード床を含む。ガード床は、第1の遷移金属酸化物を有するMOC毒捕捉成分、酸化アルミニウム(Al)担体材料、及びドロマイト由来担体材料を含む。メタン削減ユニットはまた、ガード床に流体結合され、ガード床の下流に位置付けられたMOC床を含む。MOC床は、MOCを含み、中間排気ガスからCHを除去して、約200体積パーツパーミリオン(ppmv)未満のCHを有する処理済み排気ガスを発生することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去するためのシステムであって、
メタン(CH)及び前記MOC毒を含む前記排気ガスを受け取るように構成されたメタン削減ユニットであって、
前記排気ガスから前記MOC毒を除去し、前記CHを含み前記MOC毒を含まない中間排気ガスを発生するように構成されたガード床であって、前記ガード床が、第1の遷移金属酸化物、酸化アルミニウム(Al)担体材料、及びドロマイト由来担体材料を含むMOC毒捕捉成分を含む、ガード床と、
前記ガード床に流体結合され、前記ガード床の下流に位置付けられたMOC床であって、前記MOC床が、MOCを含み、前記中間排気ガスからCHを除去して、約200体積パーツパーミリオン(ppmv)未満のCHを有する処理済み排気ガスを発生するように構成される、MOC床と、を備える、メタン削減ユニットを備える、システム。
【請求項2】
前記MOC毒捕捉成分が、前記第1の遷移金属酸化物及び前記Al担体材料を含む第1の成分、並びに第2の遷移金属酸化物及び前記ドロマイト由来担体材料を含む第2の成分の物理的混合物であり、前記第2の遷移金属酸化物が、前記第1の遷移金属酸化物と同じであるか又は異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記物理的混合物中の前記第1の成分と前記第2の成分との比が2:1~1:2である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記MOC毒捕捉成分が、前記MOC捕捉成分が単一成分であるように、前記第1の遷移金属酸化物、前記Al担体材料、及び前記ドロマイト由来担体材料の共押出物である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガード床が単層床である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガード床が、前記第1の遷移金属酸化物及び前記Al担体材料を含む第1の層並びに第2の遷移金属酸化物及び前記ドロマイト由来担体材料を含む第2の層を有する多層床であって、前記第2の遷移金属が前記第1の遷移金属と同じであるか又は異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記MOC毒捕捉材料中の前記第1の遷移金属酸化物濃度が、約3~20重量%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドロマイト由来担体材料が、ドロマイト(CaMg(CO)、カルシウムマグネシウム酸化物(CaMgO)、石灰(CaO)及びMgOの混合物、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の遷移金属酸化物が、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、銅(Cu)、及びこれらの組み合わせの酸化物である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去する方法であって、
メタン(CH)及び前記MOC毒を含む前記排気ガスを、ガード床と前記ガード床に流体結合され、前記ガード床の下流のMOC床とを備えるメタン削減ユニットに供給することと、
前記排気ガスを前記ガード床内に配置されたMOC毒捕捉成分と接触させることであって、前記MOC毒捕捉成分が、第1の遷移金属酸化物、酸化アルミニウム(Al)担体材料、及びドロマイト由来担体材料を含む、接触させることと、
前記排気ガスから前記MOC毒を除去して、MOC毒を含まず、前記CHを含む中間排気ガスを発生させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記接触させるステップが、前記排気ガスに前記MOC毒捕捉成分の単一層を通過させることを含み、前記MOC毒捕捉成分が、前記第1の遷移金属酸化物、前記Al担体材料、及び前記ドロマイト由来担体材料の共押出物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触させるステップが、前記排気ガスに前記MOC毒捕捉成分の単一層を通過させることを含み、前記MOC毒捕捉成分が、前記第1の遷移金属酸化物及び前記Al担体材料を含む第1の成分と、第2の遷移金属酸化物及び前記ドロマイト由来担体材料を含む第2の成分との物理的混合物であり、前記第2の遷移金属酸化物が、前記第1の遷移金属酸化物と同じであるか又は異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記接触させるステップが、前記排気ガスに前記MOC毒の第1の部分を除去し、中間ガス流を発生するように構成された第1のMOC捕捉成分層を通過させることと、前記中間ガス流に、前記MOC毒の第2の部分を除去し、前記中間排気ガスを発生するように構成された第2のMOC毒捕捉成分層を通過させることと、を含み、前記第1のMOC毒捕捉層が、前記第1の遷移金属酸化物及び前記Al担体材料を有する第1の成分を含み、前記第2のMOC毒捕捉層が、第2の遷移金属酸化物及び前記ドロマイト由来担体材料を有する第2の成分を含み、前記第2の遷移金属酸化物が、前記第1の遷移金属酸化物と同じであるか又は異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記中間ガスをMOCを有する前記MOC床に供給することと、前記中間ガスから前記CHを除去して、約200体積パーツパーミリオン(ppmv)未満のCHを有する処理済み排気ガスを発生させることとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去するためのMOC毒捕捉成分であって、
第1の多孔度を有する酸化アルミニウム(Al)担体材料と、
前記第1の多孔度未満である第2の多孔度を有するドロマイト由来担体材料と
前記Al担体材料、前記ドロマイト由来担体材料、又はその両方の上に担持された第1の遷移金属酸化物であって、前記第1の遷移金属酸化物の濃度が約1~25重量%である、第1の遷移金属酸化物と、を備え、
前記MOC毒捕捉成分が、二酸化硫黄(SO)、リン(P)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、及び灰を除去する、MOC毒捕捉成分。
【請求項16】
前記MOC毒捕捉成分が、前記第1の遷移金属酸化物及び前記Al担体材料を含む第1の成分並びに第2の遷移金属酸化物及び前記ドロマイト由来担体材料を含む第2の成分の物理的混合物であり、前記第2の遷移金属酸化物が、前記第1の遷移金属と同じであるか又は異なる、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項17】
前記物理的混合物中の前記第1の成分と前記第2の成分との比が2:1~1:2である、請求項16に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項18】
前記MOC捕捉成分が単一成分であるように、前記MOC毒捕捉成分が、前記第1の遷移金属酸化物、前記Al担体材料、及び前記ドロマイト由来担体材料の共押出物である、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項19】
前記ドロマイト由来担体材料が、ドロマイト(CaMg(CO)、カルシウムマグネシウム酸化物(CaMgO)、石灰(CaO)とMgOとの混合物、又はこれらの組み合わせである、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項20】
前記遷移金属酸化物が、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、銅(Cu)、及びこれらの組み合わせの酸化物である、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項21】
前記第1の多孔度が約2.0ミリリットル(mL)/グラム(g)より大きい、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【請求項22】
前記第2の多孔度が約0.2mL/g未満である、請求項15に記載のMOC毒捕捉成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月25日出願の「EXHAUST GAS EMISSIONS ABATEMENT SYSTEM」と題する米国仮特許出願第63/044,002号の優先権の利益を享受し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、排気ガス排出を低減する分野に関し、詳細には、天然ガス燃料エンジンからのメタン排出を低減することに関する。より詳細には、本開示は、天然ガス燃料エンジンから発生される排気ガスからメタン酸化触媒毒を変換、捕捉、又はそうでなければ除去するためのガード床と、排気ガス中のメタン排出を変換及び削減するためのメタン酸化触媒(MOC)床とを有する二重床メタン排出削減システムに関する。
【0003】
天然ガスは、ガソリン、灯油及びディーゼルなどの石油由来燃料の豊富で経済的な代替物である。したがって、文房具及び輸送用途/サービスで使用されるエンジンの製造業者は、燃料として、石油由来燃料から圧縮天然ガス(CNG)又は液化天然ガス(LNG)に注目及び努力を移している。CNG及びLNGの両方は、石油由来燃料よりも安価であり、よりクリーンに燃焼する。例えば、特定の石油由来燃料と比較して、CNG及びLNGは、燃焼時に、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NO)などの温室効果ガスの排出が約75%少ない。更に、CNG及びLNGは、石油由来燃料と比較して微粒子の生成が著しく少ない。CNG及びLNGは、主にメタン(CH)で構成される(>90%)。CHは、COよりも強力な温室効果ガスである。したがって、CNG及びLNGを使用することは、石油由来燃料と比較して全体的な排出を低減するが、CNG及びLNGの不完全燃焼は、CHの望ましくない排出、すなわち高いCO相当量をもたらす可能性がある。したがって、排気ガスをシステムから放出する前に望ましくないCH排出を除去又は削減するために、CNG又はLNG燃料の燃焼から発生されるエンジン排気ガスを処理することが現在必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
第1の実施形態では、排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去するためのシステムは、メタン(CH)及びMOC毒を有する排気ガスを受けることができるメタン削減ユニットを含む。メタン削減ユニットは、排気ガスからMOC毒を除去することができ、CHを有し、MOC毒を含まない中間排気ガスを発生することができるガード床を含む。ガード床は、第1の遷移金属酸化物を有するMOC毒捕捉成分、酸化アルミニウム(Al)担体材料、及びドロマイト由来担体材料を含む。メタン削減ユニットはまた、ガード床に流体結合され、ガード床の下流に位置付けられたMOC床を含む。MOC床は、MOCを含み、中間排気ガスからCHを除去して、約200体積パーツパーミリオン(ppmv)未満のCHを有する処理済み排気ガスを発生させることができる。
【0005】
別の実施形態では、排気ガスからメタン酸化触媒(MOC)毒を除去するための方法は、メタン(CH)及びMOC毒を有する排気ガスを、ガード床及びガード床に流体結合されガード床の下流のMOC床を含むメタン削減ユニットに供給することと、排気ガスをガード床内に配置されたMOC毒捕捉成分と接触させることとを含む。MOC毒捕捉成分は、第1の遷移金属酸化物、酸化アルミニウム(Al)担体材料、及びドロマイト由来担体材料を含む。方法はまた、排気ガスからMOC毒を除去して、MOC毒を欠き、CHを含む中間排気ガスを発生することを含む。
【0006】
別の実施形態では、排気ガスからMOC毒を除去するためのメタン酸化触媒(MOC)毒捕捉成分は、第1の多孔度を有する酸化アルミニウム(Al)担体材料と、第1の多孔度よりも低い第2の多孔度を有するドロマイト由来担体材料と、Al担体材料、ドロマイト由来担体材料、又はその両方に担持された第1の遷移金属酸化物と、を含む。第1の遷移金属酸化物の濃度は、約1~25重量%であり、MOC毒捕捉成分は、二酸化硫黄(SO)、リン(P)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)及び灰を除去する。
【0007】
本開示の例示的な実装形態の追加の特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになるか、又はそのような例示的な実装形態の実施によって習得され得る。そのような実装形態の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される手段及び組み合わせによって実現され、取得され得る。これら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、又は以下に記載されるような例示的な実装形態の実施によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになり得る。
図1】本開示の一実施形態による、排気ガスを発生する天然ガス燃料エンジンと、メタン酸化触媒(MOC)毒捕捉成分を有する二重床メタン削減ユニットを有する排気ガス削減システムとを含むシステムのブロック図である。
図2】本開示の一実施形態による、図1のシステムと共に使用することができる、MOC床の上流に位置付けられたMOC毒捕捉成分を有するガード床を含む、二重床メタン削減ユニットのブロック図である。
図3】本開示の一実施形態による、図2の二重床メタン削減ユニットで使用することができる、第1のMOC毒捕捉成分を有する第1の層と、第2のMOC毒捕捉成分を有する第2の層とを含む多層ガード床のブロック図である。
図4】本開示の一実施形態による、少なくとも1つのMOC毒捕捉成分を含み、図2の二重床メタン削減ユニットで使用することができる単層ガード床のブロック図である。
図5】本開示の一実施形態による、図1のガード床(GB)及びMOCシステムについてのタイムオンストリーム(time on stream)(TOS)の関数としてのCH変換率の例示的なプロットである。
図6】本開示の一実施形態による、ガード床長さの関数としてのMOC触媒毒濃度分布プロファイルの例示的なプロットである。
図7】本開示の一実施形態による、MOCモノリス長さの関数としてのMOC触媒毒濃度分布プロファイルの例示的なプロットである。
図8】本開示の一実施形態による、MOCの上流に位置付けられた様々なガード床配合物について、425℃の温度で得られたタイムオンストリームの関数としてのメタン変換率の例示的なプロットである。
図9】本開示の一実施形態による、MOCの上流に位置付けられた様々なガード床配合物について470℃の温度で得られたタイムオンストリームの関数としてのメタン変換率の例示的なプロットである。
図10】本開示の一実施形態による、図1のシステムを使用して、メタン及びMOC毒を有する、天然ガス燃料エンジンによって生成される排気ガスを処理するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の1つ以上の特定の実施形態が以下に説明される。これらの記載された実施形態は、本開示の技術の例であり、システム、ガード床、及びシステムによって発生された排気ガスを処理して天然ガス燃料エンジンからのメタン排出を削減するためのシステムの使用方法を含む。更に、これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装形態の全ての特徴を本明細書に記載しなくてもよい。任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装形態の開発において、実装形態ごとに異なり得る、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装形態固有の決定が行われることを理解されたい。更に、そのような開発努力は、複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって、設計、製作、及び製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0010】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するとき、の冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、要素の1つ以上が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。加えて、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図しないことを理解されたい。
【0011】
本明細書で使用される「およそ(approximately)」、「約(about)」、及び「実質的に(substantially)」という用語は、依然として所望の機能を果たすか、又は所望の結果を達成する、述べられた量に近い量を表す。例えば、用語「およそ」、「約」、及び「実質的に」は、述べられた値の10%未満内、5%未満内、1%未満内、0.1%未満内、及び0.01%未満内である量を指し得る。
【0012】
天然ガスは、約70%~約95%のメタン(CH)を含有する。天然ガスは、圧縮天然ガス(CNG)及び/又は液化天然ガス(LNG)の形態で、定置(動力、掘削等)及び輸送(船舶、鉄道、及び他の路上)用途におけるエンジン用の石油由来燃料(例えば、ガソリン、石炭等)の代わりに又はそれと並行して、燃料としてますます利用されている。例えば、内燃機関は、天然ガス(例えば、CNG及びLNG)を燃焼させて、システムに動力を提供するためにエンジン構成要素(例えば、ピストン、タービンなど)によって抽出されるエネルギーを含む燃焼ガスを生成することができる。燃焼ガスは、未燃焼メタン、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素((CO)、窒素酸化物(NO)、水(HO)、窒素(N)、及び排気ガスとしてシステムを出る他のガスを含み得る。天然ガスエンジンからの燃焼ガスはまた、少量の二酸化硫黄(SO)を含有する。燃焼ガス中のSOは、天然ガス中に存在する、並びにディーゼルパイロット(例えば、二元燃料エンジン用)及び潤滑油中に存在する、少量(約0.1~約8パーツパーミリオン(ppm))の硫黄(S)から生じる。例えば、火花点火式天然ガスエンジンの場合、燃焼ガス中のSOのレベルは、天然ガス燃料中のSのレベル及び油中のSのレベル、並びに燃料及び油の消費速度に依存する。SOに加えて、天然ガスエンジンからの燃焼ガスはまた、リン(P)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)などを有する化学種などの少量(約3000ppm未満)の他の化学種を含有する。これらの後者の種は、典型的には、油添加剤中に存在する。したがって、燃焼ガス中のそれらの存在及び濃度は、それぞれ油の消費及び油の消費速度に起因する。天然ガスの燃焼から発生される排気ガス中に存在する残留非メタン炭化水素(NMHC)、粒子状物質(灰)、CO、及び他の排出物の量は、石油由来燃料の燃焼から発生される排気ガス中に存在するNMHC、PM、及びCOの量よりも著しく少ない。したがって、発電のための天然ガスの使用は、石油由来燃料と比較して、これらの特定の排出物を減少させる。
【0013】
しかしながら、特定の動作条件下では、天然ガス燃料エンジンは、CHを完全に燃焼しない場合がある。したがって、未燃焼CHが排気ガス中に入り込みシステムから放出されるおそれがある。例えば、希薄燃料(例えば、酸素富化燃料)レジーム下で動作する天然ガスエンジンは、約200体積パーツパーミリオン(ppmv)~約3000ppmvのCHを有する排気ガスを発生し得る。CHは、COと比較してより強力な温室効果ガスであることが認識されている(例えば、1モルのCH≧25モル相当量のCO)。したがって、排気ガス中のCHレベルが規制排出レベル以下(例えば、約150~200ppmv未満)になるように、CH入り込みの量を除去又は減少させることができる排気ガス排出削減システムを開発及び配備することが望ましい。
【0014】
CH削減のための1つの技術は、メタン酸化触媒(MOC)の存在下でのメタンの酸化を含む。メタン酸化技術において、高温のCH含有排気ガスは、Oの存在下でCHをCO及びHOに触媒的に変換するMOCに接触する。CH削減のために一般に使用されるMOCは、多孔質無機酸化物担体上に担持された少なくとも1種の活性金属酸化物を含む。非限定的な例として、CH酸化又は削減に使用され得るMOCは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)及び金(Au)などの貴金属酸化物、卑金属(例えば、バリウム(Ba)、セシウム(Cs)など)、並びに希土類元素(セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)など)を含み得る。特定の実施形態において、MOCは、ドーパント又は促進剤として他の元素を含んでもよい。更に、MOCは、担体として様々な多孔質無機酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrOなど)及びそれらの混合物を含有してもよい。当業者によって理解されるように、Pd(PdOの形態で)ベースのMOCは、メタン酸化において最も高い活性、すなわち、反応温度>300℃でメタン排出を有利に変換及び削減する能力を示す。しかしながら、貴金属酸化物触媒、特にPdO系MOCは、排気ガス中に一般に存在するSO、P、Zn、Ca、及びSiなどの化学種に対して非常に敏感である。したがって、メタン酸化のためのMOCの性能は、これらの化学種の一部によって悪影響を受ける。以下、特に、化学種SO、P、Zn、Ca、及びSiをMOC毒と呼ぶ。これらの毒は、メタン酸化のためのMOCの活性、すなわちCHを変換/削減するMOCの能力、並びにその性能安定性及び有効寿命に悪影響を及ぼす。触媒毒は、MOCの活性中心と化学的に反応するか、又はMOCの活性中心上に物理的に被覆若しくは吸着することによってMOCに悪影響を及ぼし、したがってMOCがそのメタン酸化活性を十分に発揮することを妨げる。PdO系MOC上の主な活性部位は、PdO上の酸素空孔である。メタン酸化反応は、これらの酸素空孔と排気ガス中のCH分子との間で形成される中間錯体を介して進行する。前述の触媒毒は、Pd上の酸素空孔と化学的に反応するか、又は活性部位を物理的に覆う。したがって、触媒毒は、活性部位がメタンによってアクセスされ、メタンと反応することを効果的に防止し、したがって、活性部位をメタン酸化に対して不活性にする。
【0015】
例えば、最適なメタン酸化排気ガス温度(例えば、約300℃~600℃、より具体的には400℃~530℃)で、PdO中の酸素空孔は、排気ガス中に存在するSO又はその酸化形態SOと反応して、安定した硫酸パラジウム(PdSO)を形成する。硫酸パラジウムは、CH酸化に対して不活性である。更に、PdSOは、典型的なCH酸化条件下及び最適なメタン酸化排気ガス温度では分解することができない。したがって、排気ガス中のSOの存在下でのPdO系MOCの触媒活性及び全体的な触媒性能安定性/寿命は、PdSOの形成によって悪影響を受ける。P、Zn、Ca、Si、及び灰などの他の触媒毒もまた、MOC中の活性部位と反応するか、又は物理的にそれを覆う可能性があり、したがって、メタン酸化活性の全体的な低下及びMOCの失活に更に寄与する可能性がある。したがって、触媒毒を除去し、触媒毒捕捉装置の下流に配置されたMOCの触媒性能をそのピークレベルに維持することを可能にするために、天然ガスエンジンと併せて、硫黄及び他の触媒毒捕捉装置及び技術を開発及び配備することが望ましい場合がある。
【0016】
本開示は、排気ガス排出削減システム及び使用方法の実施形態を提供し、排気ガス排出削減システムは、MOC触媒毒を効果的に除去し、天然ガス燃料エンジンからのCH排出を削減するガード床及びMOCを有する二重床メタン削減ユニットを含む。加えて、本開示は、MOC触媒毒の除去のための改善されたガード床配合物の実施形態を提供する。以下で更に詳細に論じるように、ガード床は、MOC床の上流に位置付けられ、排気ガスからMOC触媒毒を大幅に変換、捕捉、又は除去する1つ以上の成分の1つ以上の層を含むことができる。このようにして、排気ガス中の触媒毒は、排気ガスをMOCに供給する前に除去される。これは、MOC触媒が、メタン酸化/削減におけるそのピーク活性及び性能を完全に発揮することを可能にし、したがって、定置又は輸送サービスにおける天然ガスエンジンからのメタン排出を削減するための商業的に採算の合う排気ガス排出削減システムの道を開くことができる。
【0017】
上記を念頭に置くと、図1は、本開示による、排気ガス排出削減システムを含むことができる発電システム10の一実施形態のブロック図である。動作において、システム10は、天然ガスを受け取り、消費して、電力及び副産物としての排気ガスを発生する。以下で更に詳細に論じるように、排気ガス排出削減システムは、メタン削減ユニット内で排気ガスを処理して、処理済み排気ガスを生成する。図示の実施形態では、システム10は、天然ガスエンジン12と、天然ガスエンジン12の下流にある排気ガス排出削減システム14とを含む。天然ガスエンジン12は、火花点火式エンジン又は二元燃料エンジンであってもよい。例えば、天然ガスエンジン12は、定置用途(例えば、圧縮機、掘削、及び発電)で使用される高馬力エンジン、又は輸送用途(例えば、路上、鉱業、海洋、及び鉄道)で使用されるものであってもよい。
【0018】
動作中、天然ガスエンジン12は、天然ガス燃料18及び空気20を受け取り、空気燃料混合物を燃焼させて電力24及び排気ガス28を発生させる。火花点火式天然ガスエンジンでは、空気燃料混合物がシリンダ内で圧縮され、次いで点火プラグの助けを借りてスパークされて混合物の燃焼を提供する。二元燃料エンジンでは、天然ガスエンジン12は、天然ガス燃料18に加えて第2の燃料(例えば、ディーゼル)を受け取ることができる。第2の燃料(ディーゼル)の量は、天然ガス燃料の量に対して著しく少ない(一般に、全燃料の約5~10%)。この特定の例では、第2の燃料(ディーゼル)は、主天然ガス燃料を点火するためのパイロットとして使用される。
【0019】
天然ガスエンジン12は、燃料希薄燃焼モード又は燃料富化燃焼モードのいずれかで動作することができる。燃料希薄燃焼モードでは、天然ガスエンジン12は、過剰量の空気20(例えば、酸素)を用いて燃料18を燃焼させる。例えば、空気20及び燃料18は、異なる比で天然ガスエンジン12に供給することができる。空気中の酸素の量(及び空気の総量)が、燃料を完全に燃焼させるのに必要な量に十分であるか、必要な量より多いか又は少ないかに応じて、エンジン動作レジームのタイプは、化学量論的、燃料希薄(又は希薄)、又は燃料富化(又は富化)として定義される。通常、燃焼?タイプは、空気対燃料(AFR)比によって定義される。AFR比は、エンジン内に存在する空気の質量対燃料の質量として表すことができる。天然ガスの化学量論的燃焼に対するAFR値は、約17.2:1である。これは、化学量論的燃焼を有するために、17.2の割合の空気及び1の割合の燃料が必要とされることを意味する。したがって、AFR<17.2は燃料富化燃焼に対応し、AFR>17.2は燃料希薄燃焼に対応する。
【0020】
燃料希薄燃焼モードで天然ガスエンジン12を動作させることによって、空気燃料混合物の空気20中の酸素(O)の少なくとも一部分は、未反応のままであり、排気ガス28と共に天然ガスエンジン12から出る。排気ガス28中の未反応Oは、排気ガス28中に存在する未燃焼CHを酸化するためにMOCによって使用することができる。
【0021】
本開示によれば、燃料18は、圧縮天然ガス(CNG)、液化天然ガス(LNG)、又はその両方の形態の天然ガスである。ある実施形態では、燃料18は、天然ガスと、限定されないが、ガソリン、灯油、ディーゼル、又は軽油等の1つ以上の炭化水素燃料との混合物であってもよい。本明細書で使用される場合、「天然ガス」は、C~C炭化水素の総量よりも多くのC炭化水素(例えば、メタン(CH))を含有する、1~6の範囲の炭素数を有する炭化水素(C~C6炭化水素)の混合物を示すことが意図される。1~6の炭素数を有する炭化水素としては、CH、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ペンタン(C12)、及びヘキサン(C14)が挙げられるが、これらに限定されない。本実施形態によれば、天然ガスは、約50体積パーセント(%)~約95体積%以上のCHを有することができる。例えば、天然ガスは、少なくとも70体積%、少なくとも90体積%、又は少なくとも95体積%のCHを有してもよい。
【0022】
燃焼に続いて、天然ガスエンジン12は、排気ガス28を排気ガス排出削減システム14に向ける。排気ガス排出削減システム14は、システム10から排気ガス28を放出する前に、排気ガス28を処理して、様々な触媒毒(SO、P、Zn、Ca、Siなど)及びCH、NO、並びに排気ガス28からの他の燃焼副生成物などの望ましくない化学種を変換、捕捉、及び大幅に除去するメタン削減ユニット30を含む。例えば、上述したように、排気ガス28は、未燃焼CH、酸素(O)、並びに窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、及びシステム10から排気ガス28を放出する前に除去する必要があり得る他の燃焼副生成物などの他の望ましくないガスを含み得る。特定の実施形態では、排気ガス28は、約100体積パーツパーミリオン(ppmv)~約5,000ppmvのCH、より具体的には200~3500ppmv、更により具体的には400~2500ppmvのCHを含むことができる。しかしながら、メタン排出レベルの低減(典型的には70~90%の低減の範囲)が、特定の動作基準を満たすために必要であることが現在認識されている。例えば、天然ガス作動システムから放出される排気ガス中のCHのレベルは、約150~200ppmv未満であることが望ましい。したがって、排気ガス28は、システム10から排気ガス28を放出する前に、排気ガス28から未燃焼CH及び他の燃焼副生成物を低減し、非常に大幅に実質的に除去するために、排気ガス排出削減システム14内で処理されなければならない。例えば、動作において、本明細書に開示される排気ガス排出削減システム14は、最初に、ガード床36内で排気ガス28を処理して、MOC触媒毒(SO、Zn、P、Ca、Si、灰、及びその他など)を変換、捕捉、及び実質的に除去し、それによって、処理された中間排気ガス42を発生させる。触媒毒の除去に続いて、処理された中間排気ガス42は、MOC床40に供給され、MOC床は、それを酸化し、排気ガス28、42中のCHレベルを実質的に低減し、その後、それをシステム10から放出する。
【0023】
上述したように、排気ガス28からCHを除去するための1つの技術は、MOC上でのCHの触媒酸化である。MOCは、Oの存在下及び関与を伴う酸化を介してCHをCO及び水(HO)に変換する。MOCの組成物は、一般に、多孔質無機酸化物担体上に担持された少なくとも1種の貴金属酸化物を含む。より具体的には、MOCの化学組成物は、(i)白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)及び金(Au)並びにそれらの組み合わせの貴金属酸化物、(ii)いくつかの卑金属(Ba、Csなど)、(iii)希土類元素(Ce、Y、La、Ndなど)、(iv)ドーパント又は促進剤としての少量の他の元素、並びに(v)担体としての様々な多孔質無機酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、希土類酸化物など)及びそれらの混合物を含むことができる。
【0024】
Pd及び他の貴金属系MOCの触媒活性及び全体的な触媒寿命は、排気ガス28中に存在する様々な化学種によって悪影響を受ける。例えば、とりわけ、SO、P、Zn、Ca、Si、灰などの化学種は、メタン酸化におけるMOCの触媒活性及びメタン酸化/排出削減のためのその有用寿命に悪影響を及ぼす。したがって、これらの種は、MOCに対する触媒毒として作用する。天然ガスエンジンに由来する排気ガス中の触媒毒の源及びレベルは、(i)エンジンの燃料源中のそれらのレベル、すなわち天然ガス燃料又は天然ガス及びディーゼル燃料、潤滑油中のそれらのレベル、並びに(ii)燃料及び潤滑油の消費速度に依存する。ある種の触媒毒(例えば、Sなど)が1種以上の燃料18中に存在し、他の触媒毒(Sに加えて、P、Zn、Caなど)が潤滑油中に存在する。硫黄に関して、LNGガス中の総硫黄レベルは、一般に非常に低く(例えば、約1ppmv未満)、CNG及びパイプラインNGでは、総硫黄レベルは、一般に約5ppmv未満である。ディーゼルパイロット中の硫黄レベルは、硫黄レベル規制に従う場合、約0.1~0.5重量%である。潤滑油中の硫黄レベルは、約0.2重量%~約2重量%の範囲である。したがって、排気ガス28などの排気ガス中の硫黄の主な供給源は、CNG燃料エンジン用の燃料及び潤滑油、並びにLNG燃料エンジン用の潤滑油に由来する。
【0025】
MOCに対する触媒毒の影響を軽減するために、排気ガス排出削減システム14は、MOC床40の上流に位置付けられた触媒毒捕捉ガード床36、以下「ガード床」を有する二重床メタン削減ユニット30を含む。図示の実施形態では、ガード床36及びMOC床40は、単一のメタン削減ユニット内に収容される。しかしながら、特定の実施形態では、ガード床36及びMOC床40は、別個のハウジング内にあってもよい。ガード床36及びMOC床40は、中間排気ガス42をガード床36からMOC床40に向けて供給する適切なハードウェア(例えば、配管、弁、フランジなど)を介して接続される。ガード床36は、排気ガス28の流れ方向の方向に応じて、メタン削減ユニット30内のMOC床40の上部又は底部に位置付けられることができる。例えば、排気ガス28がメタン削減ユニット30の上部から底部への方向に流れる実施形態では、ガード床36は、排気ガス28がMOC床40を通って流れる前にガード床36を通って流れるように、MOC床40の上方に位置付けられる。排気ガス28がメタン削減ユニット30の底部から上部への方向に流れる実施形態では、ガード床36はMOC床40の下方に位置付けられる。他の実施形態では、ガード床36は、MOC床40に隣接して水平に位置付けられる。メタン削減ユニット30は、既存のシステムに後付けすることもできる。
【0026】
ガード床36は、排気ガス28から触媒毒を変換、捕捉、及び除去する1つ以上のMOC毒捕捉成分46の1つ以上の層を含み、プロセスにおいて、排気ガス28(例えば、未処理排気ガス)と比較して触媒毒(複数可)の量が実質的に排除された又は大幅に低減された中間排気ガス42を発生する。本開示の実施形態によれば、ガード床36は、排気ガス28から触媒毒の約50%~約100%を除去することができる。例えば、ガード床36は、触媒毒の50%、60%、70%、75%、80%、90%、又は100%を除去することができる。排気ガス28から触媒毒を捕捉及び除去するために使用され得る1つ以上の層及び成分46としては、限定されないが、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、及び炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム又は酸化カルシウム若しくは酸化マグネシウム、あるいは酸化物及び炭酸塩材料の混合物等の種々の高(例えば、約0.2cc/g超)又は低(例えば、約0.2cc/g未満)多孔性無機酸化物上に担持されるか、又はそれらと混合される遷移金属(例えば、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、銅(Cu))酸化物が挙げられる。ガード床36の1つ以上の成分46は、排気ガス28中の触媒毒の少なくとも一部分と触媒的に反応して、ガード床36の他の成分によって反応及び捕捉される、より反応性の高い種、又はMOC及びその触媒性能に著しい有害影響を及ぼさない化学種に変換される風袋に変換し、それによって中間排気ガス42を発生することができる。次いで、中間排気ガス42は、ガード床36を出て、MOC床40に流入し、メタン削減ユニット30中でMOCにさらされる。特定の実施形態では、ガード床36の1つ以上の層及び成分46は、排気ガス28中の触媒毒と化学的に反応して、ガード床36の表面上に残る安定的な化学種を生成することができる。別の実施形態では、ガード床36の1つ以上の成分46は、排気ガス28中の触媒毒を物理的に吸着させ得、それによってそれらをガード床36中に閉じ込める。ガード床36から出力された中間排気ガス42は、中間排気ガス流42中のCHが酸化される、すなわち、CO及びHOに変換されて、約150~500ppmv未満のCHを有する処理済み排気ガス48を発生する、MOC床40に供給される。このようにして、本明細書に開示される排気ガス排出削減システム14は、排出規制基準を満たし、システム10からの放出に好適であり得る処理済み排気ガスを発生する。
【0027】
上述したように、ガード床36は、排気ガス28から触媒毒を除去して、MOC床40中のMOCの被毒を軽減する。ガード床36は、1つ以上の成分46の単一層又は複数の成分46の複数層を含むことができる。各層における単一又は複数の成分46は、排気ガス中に存在する1つ以上の触媒毒を変換又は捕捉する。
【0028】
図2は、本開示の一実施形態による、MOC床40の上流に位置付けられた多層ガード床50を有するメタン削減ユニット30のブロック図である。図示された実施形態では、多層ガード床50は、第1の触媒毒変換及び/又は捕捉成分56(MOC毒捕捉成分)を有する第1の層54と、第1の層54の下流に第2の触媒毒変換及び/又は捕捉成分60(MOC毒捕捉成分)を有する第2の層58とを含む。それぞれの層54、58における触媒毒変換及び/又は捕捉成分56、60は、排気ガス28から触媒毒を変換及び/又は捕捉/閉じ込め、少なくとも部分的に除去するように選択及び構成された1つ以上の化学種(元素、金属水酸化物又は金属酸化物)を含むことができる。層54、58は、連続又は積層構成で配置される。注目すべきことに、本開示の特定の実施形態は、多層ガード床50ではなく単層ガード床を含む。単層ガード床は、成分56、成分60、又は両方の混合物を含む。
【0029】
上述したように、成分56、60は、排気ガス28から触媒毒を除去する。例えば、成分56、60は、SOと容易に反応して排気ガス中のSOを(酸素の存在下で)酸化し、それによってSOを形成する化学種を含むことができる。SOをSOに変換することによって、硫黄種は、成分56、60の表面とより反応する。したがって、排気ガス(例えば、排気ガス28)から硫黄種を除去するための成分56、60の能力/程度は、成分56、60を含まないシステムと比較して改善される。例えば、成分56、60は、安定的かつ不活性な金属硫酸塩、例えば、硫酸マンガン(MnSO)、硫酸アルミニウム(Al(SO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)などの形成を容易にする。これらの硫酸塩は安定的であり、一旦形成されると、ガード床50に留まる。その結果、貴金属酸化物相上の活性中心、より具体的には、MOC床36中のMOCのこの相内の酸素空孔は、硫黄種によって影響されないままである。したがって、MOCの貴金属酸化物相内の酸素空孔は、排気ガス28中のCHを触媒的に酸化するために利用可能である。SOをSO及び硫酸塩に変換する化学種に加えて、成分56、60は、とりわけZn、Ca、Mg、P、灰などの排気ガス28中の他の触媒毒と反応又は吸着、及び/又は安定的な錯体を形成する他の化学種を含む。すなわち、成分56、60は、触媒毒が中間排気ガス42と共にガード床50から出ないように、ガード床50内でこれらの他の触媒毒を反応及び変換又は吸着させ、本質的に閉じ込める。
【0030】
本開示によれば、排気ガス(例えば、排気ガス28)中の触媒毒を除去するために使用することができる触媒毒捕捉成分としては、遷移金属(マンガン(Mn)、バナジウム(V)、銅(Cu))及びその他)酸化物、石灰(CaO)、カルシウムマグネシウム酸化物((CaMgO)、ドロマイト(CaMg(CO))又はこれらの混合物、金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al))及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属酸化物部位の一部は、排気ガス28中のSO及びOと反応して、SOを生成する。得られたSO及び残留Oはまた、残りの利用可能な遷移金属酸化物部位と反応して、それぞれの遷移金属硫酸塩を生成する。更に、SOは、ガード床中の多孔質無機酸化物、例えば酸化アルミニウム及び/又はドロマイト由来材料と容易に反応して、安定的なアルミニウム及びカルシウムあるいはカルシウム及び/又はマグネシウム硫酸塩を形成することができる。これらの安定的な硫酸塩は不活性であり、ガード床50の層54、58及び成分56、60内に留まる。したがって、このようにして、排気ガス28中に存在する硫黄種は、安定的な硫酸塩に変換され、もはやMOCの貴金属酸化物相(複数可)上の活性中心に望ましくない影響を及ぼすことができない。したがって、MOCの貴金属酸化物相(複数可)の活性中心は、システム10の動作中にメタン酸化に完全に利用可能なままである。
【0031】
ガード床50のAl及び他の無機酸化物成分などの高多孔性材料はまた、ドロマイト由来材料などの低多孔性(約0.2立方センチメートル/グラム(cc/g)未満の水孔体積)材料によって除去され得ないP、Zn、Ca、Mg、Si、灰などの排気ガス中に存在する他の触媒毒と反応又は吸着し、本質的に除去することができる。多孔質材料は、前述の触媒毒と反応、結合又は吸着し、それによってそれらをガード床に閉じ込めて排気ガスから除去することができる。特定の実施形態では、ガード床50の第1の層54中の成分56は、Alなどの高多孔性(約0.2cc/gより大きい水孔体積)材料上に堆積された、又はそれと混合された遷移金属酸化物又は任意の他の適切な金属酸化物であり、ガード床50の第2の層58中の成分60は、比較的低多孔性(約0.2cc/g未満の水孔体積)のドロマイト由来材料上に堆積されるか、又はそれと混合された遷移金属酸化物又は他の適切な酸化物である。ガード床50の第1の層54は、排気ガス28中の触媒毒の一部分を変換及び/又は閉じ込める部分であってもよく、その後、排気ガスは、残りの毒を最終的に閉じ込めるためにガード床50の第2の層58に流入する。例えば、第1の層54は、排気ガス28中の触媒毒の約5%~90%又は30~70%を除去することができる。特定の実施形態では、第1の層54は特定の触媒毒に対して選択的であってもよく、第2の層58は他の触媒毒に対して選択的であってもよい。特に、第1の層54中の成分56は、SOのSOへの酸化及び特定の元素及び灰に対して選択的であってもよく、第2の層58中の成分60は、SOのSOへの酸化を完了し、これらの硫黄種の結合及び硫酸塩の形成に対してより選択的であってもよい。本開示の一実施形態によれば、成分56、60は、高多孔性(約0.2cc/gより大きい水孔体積)の金属酸化物及び比較的低多孔性(約0.2cc/g未満の水孔体積)のドロマイト由来材料上に堆積されるか、又はそれと混合される遷移金属(例えば、Mn、V、Cu)酸化物を含んでもよい。更に、それぞれの成分56、60中の遷移金属のレベルは、約1重量%~25重量%であり、より具体的には約5重量%~15重量%である。
【0032】
図3は、本開示による、排気ガス28から触媒毒を捕捉し除去するために使用することができる多層ガード床50の一実施形態を示す。図3に示すように、多層ガード床50は、上流端64から下流端68に延在する全長62と、長さ62に対して実質的に直交し、ガード床36の第1の側面72と第2の側面74との間に延在する幅70(すなわち、厚さ)と、長さ62及び幅70に対して実質的に直交し、多層ガード床50の上面80と底面82との間に延在する高さ78とを有する。長さ62、幅70、及び高さ78は、多層ガード床50の体積86(例えば、総ガード床体積)を画定する。図示の実施形態では、多層ガード床50は長方形形状を有するが、多床ガード床50は、任意の他の幾何学的形状(例えば、正方形、円筒形、楕円形など)を有してもよい。理解されるように、多層ガード床50中の層54、58及び成分56、60は、固定又は移動又は移動床構成において配置されてもよい。後者は、エンジン及び排気ガス排出削減システムの動作を中断することなく、毒で飽和された層54、58の交換又は補充を可能にし得る。
【0033】
図3に示すように、体積86は、第1の層54と第2の層58とに分割される。第1の層54内の体積86は、第1の毒捕捉成分56を含み、第2の層58は、第2の毒捕捉成分60を含む。第1の層54は、第1の層54が、ガード床全体積86の約1%~約99%を占めるように、長さ62の第1の部分90に沿って延在する。同様に、第2の層58は、第2の層58が、体積86の約1%~約99%を占めるように、長さ62の第2の部分92に沿って延在する。一部分90、92の寸法は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、層54、58は、多層ガード床50の長さ62に沿って均等に分配されてもよい。したがって、それぞれの層54、58の各部分90、92は、多層ガード床50の全長62の約50%であり、それぞれの毒捕捉成分56、60は、ガード床全体積86の約50%を占める。他の実施形態では、第1の層54の一部分90の寸法は、第2の層58の一部分92の寸法より大きくても小さくてもよい。したがって、第1の毒捕捉成分56は、第2の毒捕捉成分60と比較して、より大きい体積86又はより小さい体積を占める。例えば、第1の毒捕捉成分56は、体積86の約1%~約49%を占めてもよく、第2の毒捕捉成分60は、体積86の約51%~約99%を占めてもよく、逆もまた可能である。
【0034】
特定の実施形態では、第1の層54中の第1の毒捕捉成分56は、SOをSOに部分的に酸化し、SOを硫酸塩の形態で部分的に反応させて捕捉すると同時に、非硫黄触媒毒と反応、吸着させ、捕捉、除去することができる。第2の層58中の第2の毒捕捉成分60は、主に酸化を完了し、第1の層54中の残りの未変換SOを捕捉する(すなわち、残りの硫黄毒を除去する)ことができる一方で、第1の層54を通過した可能性がある任意の残りの非硫黄毒も捕捉及び除去することができる。例えば、図3に示す実施形態では、第1の毒捕捉成分56は、SOがSOに部分的に酸化され、硫酸塩の形態で捕捉されるように選択される。層54はまた、Zn、P、Ca、Mg、Si、灰などの非硫黄触媒毒と大いに反応、吸着し、又はそれらを捕捉する。第2のガード床層58中の第2の毒捕捉成分60は、第1の床58を通過した可能性がある任意のSOのSOへの変換を完了し、それ(すなわち、硫黄毒の全ての残り)を硫酸塩として反応及び捕捉し、同時に第1のガード床層54を通過した可能性がある特定の残りの非硫黄毒の捕捉を完了するように選択される。
【0035】
したがって、上述した方法で硫黄及び触媒毒を除去するために、第1の毒捕捉成分56は、第1の層54を通過する排気ガス中の硫黄及び非硫黄触媒毒と反応、変換、吸着、又はそうでなければ結合することができる、酸化アルミニウム(Al)、結晶性又は非晶質アルミノシリケート、酸化チタン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、又は任意の他の適切な高多孔性材料若しくはそれらの混合物などであるが、これらに限定されない、少なくとも1つの好ましくは高多孔性(約0.2ミリリットル(mL)/グラム(g)より大きい水孔体積)の無機酸化物材料上に堆積されるか、又はそれと混合された少なくとも1つの遷移金属酸化物を含むことができる。この特定の場合において、遷移金属酸化物官能基は、SOのSOへの酸化及び硫酸塩としてのその部分的捕捉を提供し、一方、高多孔性無機酸化物材料は、硫黄及び非硫黄毒を結合、吸着及び/又は捕捉するために必要とされる、必要な高表面積及び化学官能性を提供する。第2の毒捕捉成分60は、酸化カルシウム(石灰)、カルシウムマグネシウム酸化物(、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム(ドロマイト)及びこれらの混合物から選択されるがこれらに限定されない、比較的低多孔性(約0.2mL/g未満の水孔体積)であるが硫黄取り込み能力が高い材料上に堆積された又はそれと混合された少なくとも1つの遷移金属酸化物を含む。第2の毒捕捉成分60については、遷移金属酸化物官能基はまた、排気ガス中の任意の残留SOをSOに変換し、遷移金属硫酸塩の形態でSOを部分的に結合する。比較的低多孔性(例えば、ドロマイト由来、<0.2mL/g)材料は、硫酸塩を形成することによってSOの捕捉を完了する一方で、残りの非硫黄毒の除去を完了するのを助ける。
【0036】
一実施形態では、成分56及び/又は成分60は、高多孔性(例えば、Alなど)及び低多孔性(例えば、ドロマイト由来)の無機材料に適切な遷移金属前駆体を含浸させて、それぞれの毒捕捉成分58、60中の約1%~25%の最終遷移金属濃度を達成することによって調製することができる。より好ましくは、含浸は、全毒捕捉成分58、60中の遷移金属濃度が約5~20重量%となるように行うことができる。成分56、60の高多孔性材料及び低多孔性材料に遷移金属前駆体を含浸させることによって、SOの酸化及び除去のための毒捕捉成分56、60の効率は、遷移金属前駆体を含浸させていない材料/成分と比較して増加する。他の実施形態では、遷移金属前駆体は、成分56、60中の高多孔性材料又は比較的低多孔性材料の合成段階中に添加され得るか、又は共混練(物理的混合)によって調製中に成分56、60と混合され得、その後、成分56、60の成形が行われ得る。遷移金属(M)は、遷移金属前駆体(例えば、M(NO,MClなど)、遷移金属水酸化物(M(OH)x)又は遷移金属酸化物(M)の形態で上記のステップにおいて添加され得る。全ての場合において、最終的な毒捕捉成分56、60中の遷移金属は、遷移金属酸化物の形態である。
【0037】
特定の実施形態では、ガード床の体積86は、多層ガード床50におけるように、多層ではなく単一層であってもよい。例えば、単層ガード床は、第1の毒捕捉成分56と第2の毒捕捉成分60との物理的混合物を含むことを含んでもよい。例えば、図4は、排気ガス28から触媒毒を除去するためにメタン削減ユニット30において使用され得る単層ガード床96の一実施形態を示す。図示の実施形態では、単層ガード床96の体積86には、毒捕捉成分56、60の物理的混合物である捕捉材料98が均一に充填されている。捕捉材料98中の成分56、60の比は、1:1、1:2、1:3、1:4、2:3、2;1、3:1、4:1、3:2、又は任意の他の適切な比であってもよい。特定の実施形態では、混合物98は、第1の毒捕捉成分56の個々のペレットと、第2の毒捕捉成分60の個々のペレットとを含む。他の実施形態では、捕捉材料98は、両方の成分56、60の物理的混合物を共押出しすることによって形成された捕捉成分の成形粒子(例えば、ペレット)を含む。
【0038】
ガード床50、96をメタン削減ユニット30に組み込むことによって、メタン酸化における触媒性能及びMOCの有効寿命を大幅に改善/延長することができる。例えば、図2に戻ると、動作において、メタン削減ユニット30は、天然ガスエンジン(例えば、天然ガスエンジン12)によって出力された排気ガス28を受け取る。一方、メタン削減ユニット30において、排気ガス28は、ガード床50、96に流入し、毒捕捉成分56、60、98に直接接触する。成分56、60、98は、触媒毒を反応させる、変換する、吸着させる、又はそうでなければ捕捉することによって、及び中間排気ガス42を発生するプロセスにおいて、排気ガス28中の触媒毒を除去する。中間排気ガス42の発生に続いて、ガード床50、96は、中間排気ガス42を、メタン酸化触媒(MOC)94を含むMOC床40に向ける。
【0039】
上述したように、MOC94は、任意の貴金属酸化物触媒であってよい。例えば、MOC94は、無機酸化物(例えば、酸化ジルコニウム)含有担体上のPdO系触媒であってもよい。MOC床40において、中間排気ガス42は、MOC94に直接接触する。MOC94は、中間排気ガス42中のCHと反応し、排気ガス中の酸素の存在に部分的に起因してCHを酸化してCO及びHOを形成する少なくとも1つの活性貴金属酸化物相を含む。ガード床50、96は、排気ガス28から触媒毒を除去するので、MOC94の活性貴金属酸化物相は、毒によって悪影響を受けず、したがって、中間ガス42中のCHを酸化/削減するために完全に利用可能である。上記により、MOC94は、そのメタン酸化活性を完全に発揮することができ、ガード床50、96の下流に位置付けられていないMOCと比較して、著しく長い期間(例えば、稼働時間数万時間)にわたってそれを持続させることができる。したがって、メタン削減ユニット30によって発生された処理済み排気ガス48中のCHレベルは、約150~200ppmvであり得る。約150~200ppmvのCHレベルは、許容CH排出レベル以下である。
【0040】
実施例
本明細書に開示されるガード床の性能を示す実験を以下に記載する。以下の実験の各々は、概して、MOC床の上流に位置付けられ、SOで意図的に被毒されたか、又はエージングされた様々な粉末ガード床配合物を使用して実行された。実験を通して使用されたMOC配合物は、ジルコニウムZrO担体上の(Pd(4重量%)Pt(0.5重量%)Rh(0.125重量%)であった。各粉末ガード床は、表1に示すような、所望の化学組成物を得るために、当技術分野で既知の任意の適切な技術を使用して調製された。参考のために、ガード床なしでMOCの性能試験を、行った(実施例1及び15)。
【0041】
実験は、高処理量粉末触媒試験ユニットで実行された。高処理量粉末触媒試験ユニットの各反応器に、装填ガード床/MOCの比が50/50体積%となるように装填された。触媒毒を除去する粉末ガード床の能力を、それぞれの粉末ガード床/MOC試料において、モデル(例えば、模倣)排気ガス供給組成物中に存在するメタンを酸化又は変換するそれぞれの粉末ガード床の下流に位置付けられたMOCの性能(又は能力)を比較することによって評価した。種々の粉末ガード床/MOC試料の触媒活性を比較するために、性能試験中に得られた50%のメタン変換(T50CH4)のための温度要件を決定した(表1参照)。実施例1を除く全ての場合において、性能試験は2段階で実行された。第1段階(実施例2~17)では、粉末ガード床/MOC試料を高処理SOエージング試験リグに配置し、5ppmのSO、500ppmのCH、及び10体積%のHOを含有するガス供給物、L/時間単位の体積ガス流量をL単位の触媒の体積で割ることによって計算される10,000 h-1ガス毎時空間速度(GHSV)、並びに470℃の入口ガス温度を使用して、24時間の期間にわたってSOエージングに供した。SOエージングに続いて、粉末ガード床/MOC試料をSO試験リグから取り出し、「清浄な」高処理試験装置に再装填し、2000ppmのCH、1000ppmのCO、7.5体積%のCO、6体積%のO、150ppmのNO、及び15%のHOを含有する排気ガス模倣供給物を使用して試験した。本明細書で使用される場合、「清浄な」高処理試験リグは、硫黄を含まない高処理試験リグを示すことが意図される。試験の第2段階では、ガス供給物にSOを添加せずに性能試験を実行した。実施例1の粉末ガード床/MOC試料を、SOエージングに供さず、むしろ試験の第2の段階(清浄、供給物中にSOを含まない)に直接供した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1のデータの分析は、SOエージング後に、カルシウム-マグネシウム(すなわち、ドロマイト)由来及び酸化カルシウム(石灰)系ガード床配合物を含有する粉末ガード床/MOC試料(例えば、実施例2~6)が、最も低いT50CH4値(392~395℃)を示したことを示す。実施例2~6で観察されたT50CH4値は、ドロマイト由来及び石灰系ガード床配合物が、試験された他の粉末ガード床/MOC組み合わせと比較して最良のメタン酸化活性を有することを所望のレベルで示している。更に、実施例2~6からの特定のSOエージングされた粉末ガード床/MOC試料は、SOエージング(T50CH4=391℃)に供されなかった参照/対照MOCと非常に類似した触媒活性(すなわち、T50CH4値)を提供した。ガード床なしでSOエージングに供されたMOC試料(実施例15)は、458℃のそのT50CH4値によって証明されるように著しく低いメタン酸化活性を示し、これは、SOエージングに供されなかったMOC(実施例1)よりも67℃高いことに留意されたい。したがって、表1のデータから決定されるように、カルシウム、マグネシウム又はカルシウム配合物を有する粉末ガード床は、さもなければMOCの触媒活性及び活性安定性に悪影響を及ぼし、著しく低下させたであろうSOMOC触媒毒を効果的に除去する。Alと共に酸化カルシウム及び酸化マグネシウム(例えば、CaMgO)を含有する担体上に堆積された遷移金属酸化物を有するガード床配合物(例えば、実施例2)は、試験された他の粉末ガード床/MOC試料と比較して最良のSO捕捉性能を与えたことに留意すべきである。これは、試験された全てのSOエージング粉末ガード床/MOC試料に対して、このガード床配合物(実施例2)によって示される最も低いT50CH4値(392℃)すなわち最も高いメタン酸化活性によって証明される。注目すべきことに、実施例2の特定の遷移金属酸化物並びにCaMgO及びAl粉末ガード床配合物は、SOエージング後に、SOでエージングされず、ガード床の非存在下で試験された参照MOC試料(実施例1)(最活性試料、T50CH4=391℃)と本質的に同じT50CH4値、すなわちメタン酸化活性を与えた。
【0044】
ガード床配合物中の遷移金属(Mn又はCu)酸化物は、酸素の存在下にあるとき、SOのSOへの迅速な酸化をもたらす。ガード床配合物中のカルシウムマグネシウム系担体は、主に、硫酸塩の形態でSOと反応及び捕捉するが、これに対して、Alは主に、排気ガス中に存在し得る他の非硫黄毒の一部を吸着、反応又は捕捉するのに有益である、より高表面積及び化学官能性を提供する。更に、Alは、硫黄含有毒を反応させて硫酸アルミニウムに変換することによって、硫黄含有毒の更なる除去に少なくとも部分的に寄与することもできる。実施例2~6及びそれらのそれぞれのデータは、MOC床の上流で本明細書に開示されるガード床配合物中に遷移金属酸化物、カルシウム、マグネシウム、及びアルミナを有することの有益な効果を明確に示す。例えば、開示された遷移金属酸化物、カルシウム、マグネシウム、及びアルミナガード床配合物は、天然ガス燃焼エンジンに由来する排気ガスからS含有触媒毒を除去するのに有効であり、したがって、その下流に配置されたMOC触媒がそのメタン酸化活性及び性能安定性を十分に発揮し、維持することを可能にする。したがって、本開示の遷移金属酸化物、カルシウム、マグネシウム、及びアルミナガード床配合物は、定置及び輸送サービスにおける天然ガス燃料エンジンからの未燃焼メタンを削減するためのメタン排出削減システムにおける使用に適している。
【0045】
二重層ガード床
上述のように、本開示のガード床は、異なるガード床配合物の複数の層を有してもよい。二重層ガード床配合物を調製し、硫黄及び他の触媒毒の除去について試験した(実施例18)。二重層ガード床の第1の層は、遷移金属酸化物及びAl成分を含む。二重層ガード床の第2の層は、遷移金属酸化物及び炭酸カルシウムマグネシウム(ドロマイト)由来成分を含む。これらの2つの層及び成分は、積層構成で(次々に)配置され、MOC床の上流に位置付けられる。
【0046】
第1の層の調製-Alガード床の成分:
二重層ガード床の第1の層は、成形(押出)アルミナ凝集体(例えば、アルミナペレット)に遷移金属前駆体の水溶液を含浸させることによって調製することができる。遷移金属前駆体は、押出の前又は後にアルミナ凝集体配合物に添加することができる。例えば、遷移金属前駆体は、アルミナペレットを調製するために使用される押出混合物に添加されてもよい。押出混合物は、アルミナ(又は水酸化アルミニウム)粉末と解膠剤とを混合することによって調製される。代替で、遷移金属前駆体の水溶液は、当該技術分野において既知の含浸方法のいずれか1つによって、調製されたアルミナペレット(例えば、押出物)に添加されてもよい。例えば、アルミナペレットは、細孔体積含浸を介して、又は含浸溶液を循環させることによって含浸され得る。アルミナペレットは、任意の適切な幾何学的形状であってよい。非限定的な例として、アルミナペレットは、円筒形、多葉形(例えば、三葉形)、球体、リング形、又はタブレット形であってもよい。アルミナペレットの寸法は、直径約1.2~10mm、長さ約4~10mmの範囲である。
【0047】
実施例18で使用されたAl成分/担体は、米国特許第4,579,729号に記載の方法に従って調製された。簡単に述べると、654gの広細孔アルミナ粉末(LOI=23.5重量%)をマラーミキサーボウルに入れ、マラーミキサーボウルを作動させながら硝酸解膠剤の溶液を添加し、それによってアルミナ/解膠剤溶液混合物を形成することによって、押出混合物(担体用)を調製した。アルミナ/解膠剤溶液混合物をマラー中で約15分間混練して、解膠剤を広細孔アルミナ粉末と反応させた。代替で、無機水酸化物ゾル(例えば、水酸化アルミニウムゾル)結合剤を、広細孔アルミナ粉末と約10~30分間混合して、広細孔アルミナ粉末の解膠又は結合を可能にしてもよい。例えば、とりわけクエン酸、Superfloc、及び/又はMethocellなどの押出助剤をアルミナ/解膠剤溶液混合物に添加して、押出の容易さを改善し、必要な場合には部分的に更なる多孔性を生じさせてもよい。
【0048】
1つ以上の押出助剤の添加後、約130gのDI水をマラーに添加し、マラーを再始動した。DI水の添加が完了したら、押出混合物を約15分間混練し、ステンレス鋼トレイに移し、ダイプレートを使用して約2.5mmの直径を有する三葉(TL)ペレットストランドに押し出した。TLペレットストランドを回収し、乾燥対流式オーブンに移し、120℃で一晩乾燥させた。乾燥したら、TLペレットストランドを粉砕し、篩にかけて、長さ約4~6mmのTLペレットを得た。乾燥及びサイズ設定されたTLペレットストランドを、40L/時間の乾燥空気流中、600℃まで2℃/分の加熱速度で焼成し、600℃で6時間保持した。
【0049】
焼成後、細孔体積含浸法を用いてTLペレットストランドを含浸させて、TLペレットストランド上のMn濃度を10%とした。含浸溶液は、約6460gのMn(NO・4.85HOを6914mLのDI水に溶解して、約25重量%~約75重量%のMn(NOを有する硝酸マンガン(Mn(NO・4HO)溶液を生成することによって調製した。次いで、調製された含浸溶液の体積に追加のDI水を加えて、含浸される押出物量の細孔体積(8680mL)を満たすのに必要な総体積を調整した。例えば、細孔体積含浸法では、使用される含浸溶液の体積は、TLペレットストランドの細孔体積と実質的に同じである。この特定の実施例において、AlTLペレットストランドの全水孔体積は、0.868mL/gであった。したがって、Mn(NO含浸溶液の体積を8680mLに調整し、回転含浸容器中で10kgのAlTLペレットストランドを含浸するために使用した。含浸容器を回転させながら、Mn(NO含浸溶液の一部分を、容器中のTLペレットストランドに小ストリーム様モードで添加した。TLペレットストランド及びMn(NO含浸溶液を数分間均質化させた。TLペレットストランド及びMn(NO含浸溶液の一部分の均質化に続いて、Mn(NO含浸溶液の残りの部分を回転含浸容器にゆっくり添加し、それによって含浸ペレットを形成した。
【0050】
含浸ペレットを回転含浸機中で約10分間回転させ、その後、含浸ペレットをトレイに移し、一晩空気乾燥させ、続いて40L/時間の乾燥空気流中、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した含浸ペレットを、600℃まで2℃/分の加熱速度を使用し、600℃で6時間保持して焼成した。
【0051】
ガード床の第2の層-第2の成分の調製
二重層ガード床の第2の層は、第1の層と同様の方法で調製することができる。上述したように、第2の層は、二重層ガード床において第1の層の下流に位置付けられる。第2の層は、遷移金属酸化物と、約5ミクロン(μm)~約15μmの平均粒径を有する25kgのドロマイト(CaMg(CO)粉末粒子と40重量%のシリカ固形分を有する6476.5gのLUDOX AS-40シリカゾル結合剤とをミックスマラー中で混合して押出混合物を形成することによって調製されたドロマイト由来成分とを含む。LUDOX AS-40シリカゾルを結合剤として使用して、個々のドロマイト粉末粒子を一緒に結合させ、ドロマイト粒子を押出によって所望の直径の成形凝集体(例えば、ペレット、球体、リング、タブレットなど)に成形するのを助けた。
【0052】
押出混合物をミックスマラー中で約10分間混練した。ミックスマラー中で、約294gのMethocelを押出混合物に約2分で添加し、続いて約126.5gのSuperflocを混練開始から約6分で添加した。押出混合物を更に10分間混練し、得られた混合物を直径2.5mmのTL押出ストランドに押し出した。TL押出物ストランドを周囲温度で一晩空気乾燥し、続いて対流乾燥オーブン中で100℃で一晩乾燥した。乾燥したTL押出物ストランドを粉砕して約4mm~約8mmの長さを有するペレットを形成し、40L/時間の乾燥空気流中で2℃/分の加熱速度を用いて600℃まで焼成し、6時間保持して、焼成ドロマイト由来TL押出物を形成した。焼成ドロマイト由来TL押出物を遷移金属前駆体による含浸に供して、二重層ガード床のMn含浸ドロマイト由来TLペレット(例えば、第2の成分)を形成した。焼成ドロマイト由来のTL押出物を、二重層ガード床の第1の層のAl成分に関して上述したMn(NO含浸溶液を使用して含浸した。ドロマイト由来成分上のMnの目標最終濃度は8重量%であった。Mn含浸ドロマイト由来TLペレットを一晩空気乾燥させた後、対流式オーブン中、約120℃で少なくとも2時間乾燥させた。乾燥後、含浸ドロマイト由来TLペレットを40L/時間の乾燥空気流に供し、2℃/分のランプ速度で加熱し、600℃で約6時間焼成した。
【0053】
実施例19-二重層ガード床
実施例18の上述の二重層ガード床が、燃料としてLNGを用いて運転されるエンジンによって発生され、エンジンから出力される排気ガスから硫黄含有触媒毒及び他の触媒毒を捕捉する能力を示すために、二重層ガード床をMOC床の上流に位置付け、MOC床におけるMOCのCH削減活性を評価した。例えば、この試験中に測定されたメタン変換は、排気ガス中の毒を捕捉するガード床の有効性の尺度として使用された。試験は、希薄燃料レジーム下で動作する12L 6気筒LNG燃料火花点火式エンジンを使用して行われた。試験は約50,000h-1のGHSVで行われた。天然ガスエンジンを動作させるために使用された燃料は、約98体積%のCH、2体積%のC2+、及び0.1ppm未満のSを有するLNGであった。天然ガスエンジンによって発生された排気ガスの組成物は、1600ppmv CH、450ppm CO、7.3%volCO、8.4%volO、140ppmv NO、12.5%volHO、0.15ppm SOであり、天然ガスエンジンを出る排気ガスの温度は約470℃であった。二重層ガード床に、1.03kgの10%Mn/Al直径2.5mmTLペレット(実施例18)及び3.6kgの8%w Mn/ドロマイト2.5mmTLペレット(実施例18)の第1(上流)層を装填した。MOCは、MOC触媒成分を含有するスラリーを、400cpsi(平方インチ当たりの細孔チャネル)を有する直径4.16インチ×長さ3.5インチのセラミックモノリス基材上にウォッシュコーティングすることによって調製した。ウォッシュコーティングされたMOC触媒の組成物は、ZrO上の4重量%Pd、0.5重量%Pt、0.125重量%Rhであった。
【0054】
実施例18の二重層ガード床配合物の上記試験の結果を図5に示す。図5は、時間での時間の関数としてのパーセントCH変換のプロット100である。示されるように、データ102は、本開示の二重層ガード床/MOCシステムが、試験の持続期間にわたって100%のCH変換を維持したことを明確に示す。したがって、この試験に使用した実施例18の二重層ガード床配合物は、エンジン排気ガス中に存在するS及び他の毒を効果的に変換、吸着、又は捕捉し、したがって、PdO系MOCが試験の持続期間にわたってメタン酸化/削減活性を完全に発揮することを可能にした。
【0055】
図6及び図7は、それぞれガード床長及びMOC床長の関数としての触媒毒分布プロファイル/濃度を重量パーセント(%wt)で示すプロット130及び132である。図6及び図7に示される毒分布プロファイルは、誘導結合プラズマ(ICP)技術を使用して上記のエンジン試験から採取された使用済みガード床及びMOCモノリス試料の化学組成物分析によって得られた。使用済みガード床及びMOCモノリス試料を、それぞれのガード床層(図6)及びMOCモノリス(図7)の長さに沿った異なる部分から採取した。上述のように、二重層ガード床及びMOC床は、1000時間の持続期間の間排気ガス流に供した。したがって、二重層ガード床配合物及びMOC床中のMOCは、天然ガスエンジンの運転に使用されるLNG燃料及び潤滑油に由来する触媒毒に曝露された。図6に示されるように、第1のガード床層中のMn/Al成分は、排気ガス中の硫黄(S)、ケイ素(Si)、及びリン(P)触媒毒の濃度を効果的に捕捉及び低減したが、第2のガード床層のMn/ドロマイト由来成分は、排気ガス中のS及びPの残留濃度を捕捉及び低減した。なお、ドロマイト由来のペレットを結合剤としてシリカゾルと共に押し出したので、第2のガード床層中のSi濃度は、測定しなかった。したがって、第2のガード床層中のSi濃度は、第2のガード床層によって排気ガスから除去されたSiの量を表さない。Znが、ガード床の広い表面積に分布されると、Znの量が比較的少ない(検出限界未満)ため、二重層ガード床の長さに沿って検出されない。
【0056】
図7に示されるように、MOCモノリス床の長さに沿った触媒毒の濃度は非常に低い(<0.05重量%)。具体的には、データは、Sの濃度が0.025重量%と低く、MOCの長さに沿って約0.01重量%まで減少したことを示す。加えて、使用済みMOC上のPのレベルは、MOC床の長さにわたって検出可能なレベル未満であった。Siの濃度は、MOCモノリス担体材料中のシリカの存在のために測定されなかった。上記の触媒毒プロファイル及び触媒性能データは、本明細書に開示される二重層ガード床が、排気ガスからS及び非S含有MOC毒を効果的に除去することを実証する。その結果、MOC触媒は、開示されたガード床を含まないシステムと比較して、CH酸化/変換及びCH排出削減活性を十分に発揮することができる(図8及び図9を参照されたい)。
【0057】
単層ガード床
二重層ガード床試験に加えて、MOCのCH変換活性も、単層ガード床を使用して試験された。単層ガード床の層は、例えば、遷移金属(M)/Al又はM/ドロマイト由来材料などの単一成分を含む。しかしながら、特定の実施形態では、単層ガード床の層は、以下で更に詳細に説明するように、2つ以上の成分の物理的混合物を含む。単層ガード床の単一成分は、適切なサイズのAl及びMn/ドロマイト粉末粒子を物理的に混合し、解膠剤又は結合剤を添加して所望の成形粘稠度を有する押出又は成形混合物を調製し、これらの粒子の混合物を押出又は他の方法で成形して均一に混合したAl及びドロマイト由来凝集体(例えば、ペレット、タブレット、球体、又はリング)を生成することによって調製され得る。この特定の実施形態では、Al及びドロマイト由来粒子は化学的に結合している。遷移金属M(例えば、Mn)の添加は、押出混合物調製中又は混合物予備成形段階中のいずれかの遷移金属前駆体の添加によって達成することができる。他の実施形態において、遷移金属Mは、遷移金属前駆体による含浸を介して、Al及びドロマイト由来凝集体に組み込まれてもよい。全ての場合において、押出混合物は、注意深く選択された解膠剤で解膠されなければならないか、又は結合剤の添加に供される必要がある。
【0058】
成形混合物への解膠剤又は結合剤などの添加剤の添加は、粒子の適切な結合を提供し、焼成ペレット、タブレット、リング又は球体の十分な構造的完全性を確実にする。解膠剤は、粒子(例えば、Al又はドロマイト由来材料)の表面を、より反応性にすることによって改質し、これにより、粒子と他の粒子の表面との結合を容易にする。特定の解膠剤は、粒子の表面反応性(すなわち、結合に対する感受性)を改善するだけでなく、焼成凝集体の最終的な孔径及び多孔性を増加させるのに十分な大きさ又は嵩(例えば、クエン酸-Cなどの大きな分子サイズの)であり得る。孔径の増加は、より小さいサイズの解膠剤(例えば、硝酸HNO)で処理された粒子と比較して頑丈であり得る。単一成分の成形され焼成された凝集体のこれらの増加した孔径又は総多孔度は、触媒毒によるそれらの表面へのより良好なアクセスを提供し、より大量の触媒毒と反応する、及び/又はより大量の触媒毒の収容を可能にし得る。非限定的な例として、解膠剤には、硝酸、酢酸、クエン酸、又は任意の他の適切な解膠剤が含まれる。解膠剤に加えて、他の押出助剤(Methocel、Superflocなど)を成形又は押出混合物に添加して、成形プロセスを改善することができる。これらはまた、更なる孔径の改変及び総多孔度の増加を与え得る。
【0059】
他の実施形態では、単層ガード床の層は、2つの成分の物理的混合物である。例えば、層は、実施例18に関して上述したものなどの、M/AlとM/ドロマイト由来成分との物理的混合物であってもよい。物理的混合物は、予備成形されたAl粒子(ペレット、タブレット、リング又は球体として)を予備成形されたドロマイト由来粒子(ペレット、タブレット、リング又は球体として)と混合することによって発生され得る。特定の実施形態では、予備成形されたAl及びドロマイト由来粒子は、M前駆体を含浸させる前に混合される。他の実施形態では、予備成形されたAl及びドロマイト由来粒子は、M前駆体を含浸させた後に混合される。Alとドロマイト由来粒子との物理的混合物において、Al成分とドロマイト由来成分との間に化学結合は存在しない。
【0060】
実施例20及び21-単層ガード床
実施例20及び21で使用された単一成分は、654gの広細孔アルミナ(LOI=23.5重量%)をマラーミキサーボウルに添加し、マラーを始動させ、硝酸(実施例20)又は酢酸(実施例21)解膠剤の溶液をマラーに添加することによって調製された。それぞれの解膠剤溶液は、10.8gの69.4重量%硝酸を687gのDI水に添加するか、又は10.8gの氷酢酸(100%)を724gの(DI)水に添加することによって調製された。アルミナ/解膠剤溶液混合物を15分間混練して、解膠剤をアルミナ粉末と反応させた。アルミナ粉末の解膠に続いて、マラーを停止し、500gのドロマイト、10gのSuperfloc、6gのMethocell及び130gの40重量%固体Ludox AS-40シリカゾル結合剤(実施例20)又は130gのDI水(実施例21)の混合物をマラーに加え、マラーを再始動した。得られた50重量%Al50重量%ドロマイト押出混合物を15分間混練し、その後、ダイプレートを用いて直径2.5mmの長いAl-ドロマイトTLペレットストランドに押し出した。Al-ドロマイトTLペレットスタンドを、対流式オーブン中120℃で一晩乾燥させた。乾燥後、Al-ドロマイトTLペレットストランドを粉砕し、長さ約4~6mmのAl-ドロマイトTLペレットストランドのサイズに篩い分けした。サイズ決定されたAl-ドロマイトTLペレットストランドを、600℃まで2℃/分の加熱速度を使用し、600℃で6時間保持する40L/時間の乾燥空気流中の焼成に供した。
【0061】
焼成後、Al-ドロマイトTLペレットストランドを、実施例18を参照して上述した細孔体積含浸法によって含浸した。簡単に説明すると、実施例20(硝酸解膠溶液)及び実施例21(酢酸解膠溶液)における焼成Al-ドロマイトTLペレットストランドの全水孔体積は、それぞれ0.50mL/g及び0.55mL/gであった。実施例21におけるAl-ドロマイトTLペレットの含浸のために、397.3gのMn(NO・4HOを、含浸される押出物の量の全細孔体積を飽和させるのに必要な60~70%の全DI水(330mL)で溶解することによって、遷移金属含浸溶液を調製した。含浸溶液の体積を追加のDI水で調整して、含浸される押出物量の細孔体積(550mL)を満たすのに必要な総体積を達成した。実施例21からの約1kgの焼成Al-ドロマイトTLペレットを回転含浸容器に入れた。容器を回転させながら、約半分のMn(NO)2含浸溶液を、Al-ドロマイトTLペレットに小ストリーム様モードで添加した。混合物を均質化させた後、含浸溶液の残りの部分を回転している押出物にゆっくりと添加した。含浸溶液の添加に続いて、含浸されたペレットを回転含浸容器中で約10分間回転させた。得られた湿潤含浸Al-ドロマイトTLペレットを一晩空気乾燥し、続いて40L/時間の乾燥空気流中、120℃で12時間乾燥し、600℃まで2℃/分の加熱速度を使用し、600℃で6時間保持することによって焼成した。
【0062】
図8は、MOCの前に配置された異なるガード床材料についての、425℃の温度でのタイム(時間)オンストリームの関数としてのメタン変換率のプロット140である。データ142は、16反応器高処理試験リグにおいて粉末(315~500μm画分)ガード床/MOC試料を試験することによって得られた。各ガード床/MOCランについて、合計2mLのガード床/MOC試料を試験リグの各反応器に装填した。それぞれの反応器に装填されたガード床粉末対MOC粉末の重量比は、約1.9:1に維持された。ガード床及びMOC粉末を不活性炭化ケイ素(SiC)、315~500μ画分、粒子で希釈して、それぞれのガード床及びMOC粉末について1mLの体積を達成した。以下の表2は、それぞれの実行に使用されたガード床配合物を列挙している。動作条件、GSHV=100,000h-1、反応器温度(RxT)=425℃を使用した。排気ガス供給組成物は、2000ppmのCH、350ppmのCO、4.5%のCO、10.5%のO、150ppmのNO、12体積パーセント(%vol)のHO、及び残りの100%までのNであった。使用したMOCは、ZrO上に4重量%のPd、0.5重量%のPt、0.125重量%のRhを有するウォッシュコーティングされたMOC触媒であった。排気ガス供給物への1.5ppmのSOの添加を、25時間オンストリームで開始し、試験の持続期間の間維持した。
【0063】
【表2】
【0064】
図8に示されるように、データ142は、SO(1.5ppm)の添加前に、全ての試料が約92~97%のCH変換を有したことを示す。注目すべきことに、CH変換/酸化活性は、SOの添加まで全ての試料について安定的であった。稼働25時間でのSOの添加後、CH変換/ガード床が存在しないMOCの酸化活性(実行1)は、急速に減少した。例えば、SOの添加後5時間以内に、MOCのCH変換/酸化活性は、20%未満のCH変換であった。対照的に、開示されたガード床を有する試験運転では、MOCは、ガード床を有さない実行1よりも長い期間にわたってCH変換を維持した。例えば、MOCのCH変換は、低多孔性8重量%Mn/ドロマイト由来ガード床(実行2)及び高多孔性8重量%Mn/Alガード床試料(実行3)を有するガード床を使用した場合に改善された。データ142によって示されるように、高多孔性8重量%Mn/Alガード床組成物は、MOCのCH変換/メタン酸化活性の改善において、低多孔性8重量%Mn/ドロマイト由来ガード床配合物と比較して良好であった。理論に束縛されるものではないが、MOCの改善されたCHメタン変換/酸化活性は、開示されたガード床配合物の活性MnO中心及びAl又はドロマイト担体表面によるSO変換及び捕捉に起因し得る。更に、図8に示されるように、Al系ガード床と組み合わせて使用されたMOCは、ドロマイト由来系ガード床と比較して、より良好なCH変換/酸化活性を有した。これは、部分的には、ドロマイト由来系ガード床のより低い細孔体積(例えば、0.17mL/g)と比較して、Al系ガード床のより高い細孔体積(例えば、0.868mL/g)のより高いSOの取り込み能力に起因し得る。例えば、Al系ガード床のより高い多孔度(例えば、細孔体積)は、低多孔性ドロマイト由来系ガード床と比較して、より大きなMnO分散及びアクセス可能性、結果として、より大きなSO/SO堆積並びにAl(Al(SO)3の形態で)との反応性及びその中での保持を提供する。
【0065】
実験4のように高多孔性Alペレットと低多孔性ドロマイト由来ペレットとの物理的混合物を使用した場合、ガード床において高多孔性Alペレット(実行3)及びドロマイト由来ペレット(実行2)のいずれかを単独で使用した実験と比較して、ガード床がSOを捕捉する能力が改善され、MOCのCH変換/メタン酸化活性がより長い期間維持された。しかしながら、共押出高多孔性Al及びドロマイト由来ペレットがガード床において使用された実行(例えば、実行5~7)において、MOCは、Mn/Al成分の個別のペレットを有する実行(実行3)、Mn/ドロマイト由来成分を有する実行(実行2)、又はMn/Al及びMn/ドロマイト由来成分の物理的混合物を有する実行(実行4)と比較して、予想外に著しく高いCH変換/メタン酸化安定性を示した。例えば、データ142によって示されるように、共押出Al及びドロマイト由来ペレットを有するガード床と組み合わせて使用されたMOC実行5~7)は、SOの添加後40時間を超えてCH変換/酸化活性を維持した。理論に束縛されるものではないが、共押出Al/ドロマイト由来ペレットと共に使用される場合のMOCの予想外のCH変換/酸化は、小さなAl及びドロマイト由来粒子の共押出並びにそれらの間のその後の化学結合が、所望の化学官能性(触媒毒除去部位用のAl由来及びドロマイト由来活性物質の両方)、ドロマイト粒子単独よりも高い多孔性(硝酸及び酢酸についてそれぞれ0.50~0.55mL/gの水孔体積)、並びに比較的低い多孔性(0.17cc/gの水孔体積)のドロマイト由来粒子へのアクセス可能性が、SO及び他の排気ガス毒分子との反応性を促進するという事実に部分的に起因し得る。実行7において、8重量%/酢酸解膠され共押出Al及びドロマイト由来粒子)を有するガード床と共に使用されたMOCは、硝酸解膠類似体と比較して、CH変換/酸化活性安定性が著しく良好であった(実行5及び6)ことに留意すべきである。これは、部分的には、硝酸分子と比較して、より嵩高い酢酸分子のより大きな細孔形成能力に起因し得る。
【0066】
本明細書に開示されるガード床配合物を425℃で試験することに加えて、ガード床配合物を、より高い温度(例えば、470℃で排気ガスからMOC毒を除去するそれらの能力について試験した。図10は、MOCの前に配置された異なるガード床材料についての、470℃でのタイム(時間)オンストリームの関数としてのメタン変換率のプロット146である。図8を参照して上述した試料と同様に、試験リグの各反応器に合計2mLのガード床/MOCを装填した。それぞれの反応器に装填されたガード床粉末対MOC粉末は、約1.9:1の重量比を有していた。不活性SiCを使用してガード床及びMOC粉末を希釈し、それぞれの粉末について1mLの体積を得た。以下の表3は、それぞれの実行に使用したガード床配合物を列挙している。動作条件は、GSHV=100,000h-1及びRxT=470℃であった。排気ガス供給組成物は、2000ppmのCH、350ppmのCO、4.5%のCO、10.5%のO、150ppmのNO、12体積パーセント(%vol)のHO及び残りのNであった。使用したMOCは、ZrO上に4重量%のPd、0.5重量%のPt、0.125重量%のRhを有するウォッシュコーティングされたMOC触媒であった。排気ガス供給物への1.5ppmのSOの添加を、稼働25時間で開始し、試験の期間中維持した。
【0067】
【表3】
【0068】
図9に示すように、データ148は、SOの添加前に、全ての試料が約99~100%のCH変換をもたらしたことを示す。しかしながら、稼働25時間でSOを添加すると、ガード床なしの対照MOC試料(実行8)のCH変換/酸化活性が急速に低下した。対照的に、MOC床の前に位置付けられた開示されたガード床成分を有する試験実行(実行9~11)は、SOの添加後10時間超にわたってMOCが所望のCH変換/酸化活性を維持することを可能にした。図8のデータ142と同様に、高多孔性Al及び低多孔性ドロマイト由来粉末の両方を有する試料のデータ148は、MOCの改善されたCH変換/酸化活性をもたらした。しかしながら、予想外なことに、470℃のより高い動作温度で、硝酸解膠された共押出Al及びドロマイトガード床上の8重量%Mn(実行11)は、対照MOC試料及び他のガード床配合物と比較して著しく高いCH変換/酸化活性を有した。したがって、図5図9に示される性能データは、天然ガス燃料エンジンによって発生される排気ガスからのSO及び他のMOC毒の効率的な除去のための本明細書に開示されるガード床配合物の実質的な利益及び性能利点を明確に示す。
【0069】
本技術はまた、天然ガス作動エンジンシステムにおいて発生される排気ガス中のメタン排出削減のための方法を含む。図10は、排気ガス排出削減システム(例えば、上述の排気ガス排出削減システム14)が、メタン及びメタン酸化触媒(MOC)毒を有する排気ガス(例えば、排気ガス28)を処理することができる方法200の一実施形態のフロー図である。方法200は、図1図4を参照して上述したように、CH及び触媒毒を有する排気ガス(例えば、排気ガス28)をガード床(例えば、ガード床36、50、96)を有する排気ガス排出削減システム(例えば、排気ガス排出削減システム14)に供給すること(ブロック204)を含む。方法200はまた、排気ガスをガード床(例えば、ガード床36、50、96)に通過させること(ブロック206)を含む。上述したように、ガード床は、MOC毒捕捉成分の単一層又は複数層を有することができる。更に、MOC毒捕捉成分は、Al担体材料、ドロマイト由来担体材料、又はその両方に担持された遷移金属酸化物を有する単一成分又は多成分材料であってもよい。
【0070】
方法200はまた、排気ガスから触媒毒を除去して(ブロック208)、中間排気ガス(例えば、中間排気ガス42)を発生させることを含む。例えば、上述したように、遷移金属酸化物及びAl及びドロマイト由来材料を含有するガード床は、触媒毒を反応、変換、吸着、及び捕捉して、それらがガード床を通過し、MOCの性能及び触媒寿命に悪影響を及ぼすことができないようにすることができる。ガード床を出る中間排気ガスは、MOCの触媒性能/活性及び全体的な有効寿命に悪影響を及ぼし得る触媒毒を実質的に含まない。
【0071】
方法200は、中間排気ガスにMOCの床(例えば、MOC床40)を通過させ(ブロック210)、中間排気ガス中のメタンを酸化及び削除して(ブロック212)、約150~200ppmv未満のメタンを有する処理済み排気ガス(例えば、処理済み排気ガス50)を発生させることを更に含む。MOC床の上流で触媒毒を除去することによって、本開示のガード床は、MOCがそのメタン酸化活性を十分に発揮できるようにする。すなわち、MOCは、中間排気ガス中のメタンの約80%超を効率的かつ効果的に変換することができる。したがって、本明細書に開示されるガード床/MOCシステムは、システムから放出された処理済み排気ガスが、所望の又は規制された排出レベル以下のメタン排出レベルを有するようにする。
【0072】
上述したように、本明細書に開示されるシステム及び方法の特定の実施形態は、メタン酸化触媒(MOC)床の上流に位置付けられた触媒毒捕捉ガード床を含むことができる。ガード床は、反応、変換、吸着し、それによって、さもなければメタン削減ユニット内のMOCの性能に悪影響を及ぼすであろう、とりわけ二酸化硫黄SO、リン(P)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)などの触媒毒を除去及び/又は捕捉する1つ以上の成分を含む。ガード床は、単一のMOC毒捕捉成分又は連続若しくは混合構成で配置された複数のMOC毒捕捉成分を有する単一又は複数の層を含むことができる。ガード床中のMOC毒捕捉成分は、遷移金属(酸化物形態で)、酸化アルミニウム(Al)、ドロマイト由来材料、又はその両方を含むことができる。本開示の排気ガス排出削減システムを利用することによって、希薄燃焼天然ガスエンジンにおいて発生された排気ガス中に存在するメタンは、効果的かつ効率的にメタン酸化触媒によって除去され得る。したがって、本明細書に開示されるメタン削減ユニットを有する排気ガス排出削減システムを装備した天然ガスエンジンから放出される排気ガスは、所望の又は規制された排出レベル以下のメタン排出レベルを有することができる。
【0073】
本開示は、その趣旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。説明された実施形態は、全ての点で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと考えられるべきである。したがって、本開示の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入る全ての変更は、にその範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】