(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】個人の眼を検査するためのフォロプタ及び視力測定デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 3/028 20060101AFI20230725BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20230725BHJP
A61B 3/11 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A61B3/028 300
A61B3/113
A61B3/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580350
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021067236
(87)【国際公開番号】W WO2022002729
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598142955
【氏名又は名称】エシロール アンテルナショナル
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL
【住所又は居所原語表記】147,rue de Paris,F-94277 Charenton-le-Pont,France
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】レオナール アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ ブタノン
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール ブルシュミエ
(72)【発明者】
【氏名】アルノー メスニエ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316AA27
4C316FA01
4C316FA03
4C316FA06
4C316FB11
4C316FB26
4C316FC01
4C316FY01
4C316FY04
4C316FY05
(57)【要約】
本発明は、ターゲットを観察している際の個人の眼を検査するためのフォロプタ(100)に関し、フォロプタ(100)は、 - 個人の両眼用の2つの光学ユニット(110、120)であって、各々がターゲット側上の入口と、個人側上の出口開口と、個人の対応する眼に異なる視力補正度数を提供するための光学系とを有する、2つの光学ユニット(110、120)、 - 2つの光学ユニットの相対位置を調整するように適合された移動手段、 - 光学ユニットとターゲットとの間に配置された部分反射ミラー(27)、 - 2つの光学ユニットを通してターゲットを見ている個人の眼の画像を取得するために、部分反射ミラーに向かって方向付けられた画像取得デバイス、及び - 取得された画像を表示するのに適した画像表示デバイス、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路に沿ってターゲットを観察している際の個人の眼を検査するためのフォロプタ(100)であって、
- 前記個人の両眼用の2つの光学ユニット(110、120)であって、各々が前記ターゲット側上の入口(120A)と、前記個人側上の出口開口(120B)と、前記個人の対応する眼に異なる視力補正度数を提供するための光学系とを有する、2つの光学ユニット(110、120)、及び
- 前記2つの光学ユニットの相対位置を調整するように適合された移動手段、
を備える、フォロプタ(100)において、
- 前記光路に沿って配置された部分反射ミラー(27)、及び
- 前記2つの光学ユニット(110、120)を通して前記ターゲットを見ている前記個人の前記眼の画像を取得するために、前記部分反射ミラー(27)に向かって方向付けられた画像取得デバイス、
をさらに備えることを特徴とする、フォロプタ(100)。
【請求項2】
前記画像取得デバイスが、2つのカメラ(132)を備え、各カメラ(132)が、前記光学ユニット(110、120)のうちの1つを通して前記ターゲットを見ている前記個人の前記眼のうちの1つの画像を取得するために、前記部分反射ミラー(27)に向かって方向付けられている、請求項1に記載のフォロプタ(100)。
【請求項3】
前記移動手段が、前記2つの光学ユニットの前記相対位置を手動で調整するためのレバーを備える、請求項1及び2に記載のフォロプタ(100)。
【請求項4】
前記フォロプタがまた、前記個人の前記頭部を受容して所定の位置に保持するように設計された支持要素(122)を備え、前記移動手段が、前記支持要素(122)に対する前記2つの光学ユニットの前記位置を手動で調整するための2つのレバーを備える、請求項3に記載のフォロプタ(100)。
【請求項5】
前記移動手段が、前記2つの光学ユニット(110、120)の前記相対位置を調整するのに適した少なくとも1つのモータと、前記画像取得デバイス(132)によって取得された前記画像を処理して、前記画像上の前記個人の瞳孔の前記位置を検出し、前記個人の瞳孔の前記検出された位置の関数として前記モータを制御するようにプログラムされたコントローラと、を備える、請求項1又は2に記載のフォロプタ(100)。
【請求項6】
前記フォロプタがまた、前記個人の前記頭部を受容して所定の位置に保持するように設計された支持要素(122)を備え、前記移動手段が2つのモータを備え、前記コントローラが、前記2つの個人の瞳孔の軸における前記支持要素(122)に対する前記2つの光学ユニット(110、120)の前記位置を調整するために、前記モータを自動的に制御するようにプログラムされている、請求項5に記載のフォロプタ(100)。
【請求項7】
前記部分反射ミラー(27)が、ミラー支持体(200)のフレーム(270)のリム上のそのエッジ全体に沿って寄りかかり、前記フレーム(270)が、前記部分反射ミラー(27)を前記リムに対して保持する3つ又は4つの舌部(276)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォロプタ(100)。
【請求項8】
個人の眼を検査するための視力測定デバイス(10)であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォロプタ(100)と、ターゲットを生成するように適合された表示ユニット(20)と、を備え、前記ターゲットが、前記フォロプタ(100)の前記2つの光学ユニット(110、120)の出口開口(120B)を通して見ることができ、この表示ユニット(20)が、
- 前記視覚ターゲットを生成する際に使用される検査像を表示するように適合された第1のスクリーン(21)、及び
- 光学度数を有する少なくとも1つの光学要素(30)、
を備え、
前記光学要素(30)が、前記第1のスクリーン(21)により発せられて前記出口開口(120B)を通って前記デバイスから出る前記光の光路上に前記光学要素(30)が配置される動作位置と、前記ターゲットが前記出口開口(120B)から可変距離において生成されるように、前記光学要素(30)が前記光路から外れたままである後退位置との間で移動可能である、視力測定デバイス(10)。
【請求項9】
第2の像を表示するように適合された第2のスクリーン(22)を備え、この第2の像の画像が、主部分反射ミラー(26)を用いて前記出口開口(120B)において前記ターゲットと重畳されている、請求項8に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項10】
単一のミラー支持体(200)が、前記フォロプタ(100)の前記主部分反射ミラー(26)及び前記部分反射ミラー(27)を保持している、請求項9に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項11】
前記主部分反射ミラー(26)が、ミラー支持体(200)のフレーム(260;280)のリム上に寄りかかっている、請求項9又は10に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項12】
前記主部分反射ミラー(26)が、そのエッジ全体に沿って前記リム上に寄りかかり、圧縮可能な材料が、前記主部分反射ミラー(26)と前記リムとの間に挟まれている、請求項11に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項13】
前記主部分反射ミラー(26)が、前記リムから突出する3つ又は4つの領域上に直接寄りかかっている、請求項11に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項14】
前記主部分反射ミラー(26)の前記エッジが、それを挟む3つ又は4つのピン(283)によってブロックされている、請求項11~13のいずれか一項に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項15】
前記主部分反射ミラー(26)及び前記部分反射ミラー(27)を支持するケーシングを備える、請求項9~14のいずれか一項に記載の視力測定デバイス(10)のミラー支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人の眼を検査するためのフォロプタ及び視力測定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の視力測定の文脈では、例えば屈折計(フォロプタとも呼ばれる)を用いて、提供されるべき視覚的補償をシミュレートすることが既に提案されている。
【0003】
そのようなフォロプタは、個人の頭部を受容してフォロプタの屈折ヘッドに対して所定の位置に保持するように設計された支持要素を備える。
【0004】
この屈折ヘッドは、異なる補正を提供する試用レンズを収容し、試用レンズは、適切な補正値が見つかるまで個人の眼の前に連続的に配置され得る。
【0005】
屈折ヘッドにおいて、試用レンズは、自由に回転できるように取り付けられた2つのディスク上に配置されている。回転は、手動で制御される。各ディスクは、ディスクのうちの1つが回転するときに、このディスクの試用レンズが対応する患者の眼の前に連続的に位置決めされ得るように、患者の各眼に対して相対的に配置されなければならない。
【0006】
患者の形態は同じではないため、提供されるべき視覚的補償をシミュレートしようとする前に、患者の各眼に対する各ディスクの位置を調整する必要がある。
【0007】
この目的のために、ディスクの位置決めは、手動で調整可能である。更に、各ディスクの試用レンズのうちの1つは、検眼士がこのレンズを対応する患者の眼の軸に配置するのを助けるレチクルを含んでおり、それによって患者の眼の位置に対するディスクの位置の良好な調整を確実にする。
【0008】
そのようなデバイスの主な欠点は、検眼士が患者を対面で観察する必要があることであるが、これは常に可能であるとは限らない。更に、提供されるべき視覚的補償のシミュレーションが開始されると、検眼士は、調整が依然として正しいかどうかをチェックすることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この文脈では、本発明は、光路に沿ってターゲットを観察している際の個人の眼を検査するためのフォロプタを提供し、フォロプタは、
- 個人の両眼用の2つの光学ユニットであって、各々がターゲット側上の入口と、個人側上の出口開口と、個人の対応する眼に異なる視力補正度数を提供するための光学系とを有する、2つの光学ユニット、
- 前記2つの光学ユニットの相対位置を調整するように適合された移動手段、
- 光路に沿って(光学ユニットとターゲットとの間に)配置された部分反射ミラー、
- 2つの光学ユニットを通してターゲットを見ている個人の眼の画像を取得するために、部分反射ミラーに向かって方向付けられた画像取得デバイス(例えば、1つ又は2つのカメラ)、及び好ましくは、
- 取得された画像を表示するのに適した画像表示デバイス、
を備える。
【0010】
本発明のおかげで、カメラは、提供されるべき視覚的補償のシミュレーションの前に又はこのシミュレーションの間に、個人の眼の画像を取得することができる。その結果、2つの個人の眼の前にある2つの光学ユニットの調整は、あらゆる瞬間に行うことができる。
【0011】
更に、検眼士がこの調整を行うために患者を対面で観察する必要がないため、この調整中に患者がターゲットを見ることが可能になり、それによって光学ユニットの位置決めの際の精度が向上する。
【0012】
本発明の装置の更なる非限定的な特徴によれば、
- 画像取得デバイスは、2つのカメラを備え、
- 各カメラは、光学ユニットのうちの1つを通してターゲットを見ている個人の眼のうちの1つの画像を取得するために、部分反射ミラーに向かって方向付けられ、
- 移動手段は、2つの光学ユニットの相対位置を手動で調整するためのレバーを備え、
- フォロプタはまた、個人の頭部を受容して所定の位置に保持するように設計された支持要素を備え、
- 移動手段は、支持要素に対する2つの光学ユニットの位置を手動で調整するための2つのレバーを備え、
- 移動手段は、2つの光学ユニットの相対位置を調整するのに適した少なくとも1つのモータと、画像取得デバイスによって取得され、且つ個人の瞳孔の位置を検出するために処理された画像の関数として、モータを制御するようにプログラムされたコントローラと、を備え、
- 移動手段は2つのモータを備え、コントローラは、2つの個人の瞳孔の軸における支持要素に対する2つの光学ユニットの位置を調整するためにモータを自動的に制御するようにプログラムされ、
- 光学系は、可変球面度数及び可変円柱度数を生成するように設計され、
- 部分反射ミラーは、ミラー支持体のフレームのリム上のそのエッジ全体に沿って寄りかかり、フレームは、部分反射ミラーをリムに対して保持する3つ又は4つの舌部を備える。
【0013】
本発明はまた、個人の眼を検査するための視力測定デバイスを提供し、視力測定デバイスは、ここで上述したようなフォロプタと、ターゲットを生成するように適合された表示ユニットとを備え、ターゲットは、フォロプタの2つの光学ユニットの出口開口を通して見ることができ、この表示ユニットは、
- 視覚ターゲットを生成する際に使用される検査像を表示するように適合された第1のスクリーン、及び
- 光学度数を有する少なくとも1つの光学要素、
を備え、
光学要素は、前記第1のスクリーンにより発せられて出口開口を通ってデバイスから出る光の光路上に光学要素が配置される動作位置と、ターゲットが出口開口から可変距離において生成されるように、光学要素が前記光路から外れたままである後退位置との間で移動可能である。
【0014】
本発明の視力測定デバイスの更なる非限定的な特徴によれば、
- デバイスは、第2の像を表示するように適合された第2のスクリーンを備え、この第2の像の画像は、主部分反射ミラーを用いて出口開口においてターゲットと重畳され、
- 単一のミラー支持体は、フォロプタの主部分反射ミラーと部分反射ミラーとを保持し、
- 主部分反射ミラーは、ミラー支持体のフレームのリム上に寄りかかり、
- 主部分反射ミラーは、そのエッジ全体に沿ってリム上に寄りかかり、圧縮可能な材料が主部分反射ミラーとリムとの間に挟まれ、
- 主部分反射ミラーは、リムから突出した3つ又は4つの領域に直接寄りかかり、
- 主部分反射ミラーのエッジは、それを挟む3つ又は4つのピンによってブロックされ、
- フレームは、主部分反射ミラーをリムに対して保持する少なくとも2つの柔軟ストリップを備え、
- フレームは、ミラー支持体のケーシングの第1の部分上にあり、ケーシングは、第1の部分に固定された第2の部分を備え、且つフレームから距離をおいて配置された橋台を有し、橋台とフレームとの間にクリアランス又は圧縮可能な材料が提供されている。
【0015】
本発明はまた、主部分反射ミラー及び部分反射ミラーを支持するケーシングを備えるミラー支持体(光ビーム分離ボックスとも呼ばれる)に関する。
【0016】
例の詳細な説明
非限定的な例として示される添付の図面を参照する以下の説明は、本発明がどのようなものを含み、及びそれをどのように実施することができるのかを明白にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による視力測定デバイスを表す図である。
【
図2】本発明による視力測定デバイスを表す図である。
【
図3】
図1及び
図2に示される視力測定デバイスのフォロプタの側面図である。
【
図4】
図3に示されるフォロプタのカメラによって取得された画像である。
【
図5】
図1及び
図2に示される視力測定デバイスの光ビーム分離ボックスの斜視図である。
【
図8】
図5のボックスのミラーの1つの分解図である。
【
図9】第1の実施形態による、
図5のボックスの別のミラーの分解図である。
【
図10】第2の実施形態による、
図5のボックスの他のミラーの分解図である。
【
図11】
図2のフォロプタの内部構成要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、主に、個人の眼の近くで異なる視力補正度数を提供するように設計されたフォロプタ(「屈折計」とも呼ばれる)に関する。このフォロプタは、フォロプタから6mの位置に配置された視力検査表と共に使用され得る。しかしながら、記載された実施形態では、このフォロプタは、フォロプタ100を通して見られるべき検査像を表示するのに適した表示ユニット20を有する視力測定デバイスに属する。ディスプレイユニット20については、本レポートの前半で説明する。フォロプタ100については、その後に説明する。
【0019】
図1及び
図2では、光の光路は破線で表されており、伝搬方向は矢印で示されている。
【0020】
光学構成要素の可動性は、傍に配置された二重矢印で示されている。
【0021】
視力測定デバイス10の目的は、個人の眼を検査することである。
【0022】
フォロプタ100は、表示ユニット20と個人の眼との間に介在している。フォロプタ100は、それを通して見ている個人の眼に対して可変光学補正を提供するように適合されている。
【0023】
ディスプレイユニット20を出る光ビームは、フォロプタ100を通して個人の眼に方向付けられる。
【0024】
示された実施形態では、表示ユニット20は、
- 視覚検査像を生成する際に使用される検査像(「ターゲット」)を表示するように適合されたスクリーン21、及び
- 光学度数を有する少なくとも1つの光学要素30、
を備える。
【0025】
前記光学要素30は、前記スクリーンにより発せられて前記出口開口を通ってデバイスから出る光の光路上に光学要素30が配置される動作位置と、視覚検査像が前記出口開口120Bから可変距離をおいて生成されるように、光学要素30が前記光路から外れたままである後退位置との間で移動可能である。
【0026】
光路は、スクリーン21により表示された像の中心においてスクリーン21により発せられた光ビームが、患者に面しているフォロプタ100の出口開口120Bに達するために表示ユニット20を横切る際に取る経路である。
【0027】
光学要素30が後退位置にあるとき(
図2)、視覚検査像は、前記スクリーン21により表示された検査像を含む。次に、視覚検査像とフォロプタ100の出口開口との間の距離は、出口開口とスクリーン21との間の前記光路に沿って測定された距離である。
【0028】
光学要素が動作位置にあるとき(
図1)、視覚検査像は、光学要素30を通して見たスクリーン21により表示された前記検査像の像(又は投影)を含む。この像は通常、虚像である。この画像は、光学位置に位置する。この光学位置は、例えば無限遠にあり得る。
【0029】
次に、視覚検査像とフォロプタ100の出口開口との間の距離は、出口開口と視覚検査像の光学位置との間の距離である。前記光学要素30は、例えば、ここで説明する例に見られるような、光学レンズ31を含み得る。
【0030】
光学要素30が光学レンズ31を含む場合、検査像の像は、レンズ31を通して見た検査像の像である。
【0031】
前記視覚検査像と前記出口開口との間の距離は、少なくとも遠見視距離と、異なる近見視距離又は中間視距離との間で変化させられる。遠見視距離は、典型的には、無限遠から65~70センチメートルの間に含まれる。中間視距離は、典型的には、65~70センチメートル~40センチメートルの間に含まれる。近見視距離は、典型的には、40センチメートル~33センチメートルの間に含まれる。
【0032】
好ましくは、スクリーン21と光学要素30と出口開口120Bとの相対位置は、生成された視覚検査像と出口開口との間の前記距離を無限遠~近見視距離の1つ又はいくつかの光学距離範囲で連続的に変化させるために変化させられるように適合される。
【0033】
視力測定デバイス10は、例えばテーブル上に配置されるように適合された、又はテーブル若しくは床の上に配置されるスタンドに取り付けられるように適合された、主ケーシング2を含む。
【0034】
主ケーシング2はここで、表示ユニット20を包含している。フォロプタ100は、主ケーシング2上に取り付けられている。
【0035】
表示ユニット20はここでは、明瞭度モジュール20Aと、情景モジュール20Bとを含む。
【0036】
明瞭度モジュール20Aは、スクリーン21と光学要素30とを含む。
【0037】
スクリーン21は、スクリーン21の平均平面に対して直交するスクリーン軸Sに沿って光ビームを生成する。この光ビームは、視力測定デバイスを用いる個人に対する、視標などの、対象物の像を生成するように意図されている。
【0038】
ここで説明する例では、スクリーン21は平面である。
【0039】
光学要素30はここでは、例えば、70センチメートル~1メートルの、好ましくは約80センチメートルの有効焦点距離を有する、色消しレンズを含む。
【0040】
好ましくは、光学要素30及びスクリーン21は、スクリーン21が光学レンズ31から距離をおいて配置される、光学レンズ31とスクリーン21との少なくとも1つの相対位置が前記レンズ31の後方焦点距離に等しくなるように、互いに対して配置されている。
【0041】
それゆえ、遠見視構成では、レンズ31が光の光路上に配置されたままで、前記スクリーン21と前記レンズ31との相対位置は、スクリーン21が前記レンズ31から後方焦点距離をおいて位置するように調整され得る。
【0042】
このように、表示モジュール20により生成された視覚検査像は、出口開口に対して、したがって個人の眼に対して無限遠に配置され得る。そして、生成された視覚検査像と出口開口との間の距離は、無限遠として設定される。
【0043】
光学要素30は、レンズ31を含み、且つケーシング2の一部に枢動可能に取り付けられた支持体32上に固定されている。
【0044】
図1に示される、レンズ31の支持体32の第1の角度位置では、支持体32は、光の光路に対して平行であり、レンズ31を光軸と交差させる:そして、スクリーンにより発せられた光はレンズ31を通過する。光の光路は、レンズ31の光軸Lを少なくとも部分的に辿る。
【0045】
図2に示される、レンズ31の支持体32の第2の角度位置では、支持体32は、光の光路に対して傾斜しており、レンズ31をこの光路の外に出す:そして、スクリーン21により発せられた光ビームはレンズ31を通過しない。
【0046】
スクリーン21は、前記スクリーン21を視力測定デバイス10の他の光学構成要素に対して、特に前記レンズ31の動作位置での前記レンズ31の光軸Lに対して中心出しするために、直交する2方向に沿って平行移動可能である。
【0047】
この中心出しステップは、スクリーンの中心において発せられた光が出口開口の中心で視力測定デバイスから出ることを確実にする。
【0048】
いくつかの実施形態では、スクリーン21はまた、視覚検査像と出口開口との間の距離を更に変化させるために、特にスクリーン軸Sに沿って、移動可能であり得る。
【0049】
ディスプレイユニット20の明瞭度モジュール20Aはまた、光路を出口開口120Bに方向付けるために、少なくとも1つの反射面を備える。
【0050】
前記反射面は、表示モジュールのサイズを制限するために、スクリーンにより発せられる光ビームの光路を折り曲げることを可能にする。
【0051】
実際には、反射面は、3つのミラー41、42、43を含み、そのうちの第1のミラーは、視力検査像と出口開口との間の距離を更に変化させるように移動可能である。
【0052】
この第1のミラー41は、光路上に配置され、スクリーン軸Sに対して選択的に45°又は135°の角度で配置されるように、光ビームの光路に対して直交する回転軸を中心に枢動するように取り付けられる。
【0053】
第2のミラー42と第3のミラー43とは、互いに対して直角に配置される。加えて、第2のミラー42及び第3のミラー43は、スクリーン軸Sに対して、45°及び135°の角度で配置される。
【0054】
この配置のおかげで、第1のミラー41が第1の位置にある間に、スクリーン21により生成された光ビームは、第1のミラー41により第2のミラー42に向けて順に反射され得る。次いで、光ビームは、第2のミラー42により第3のミラー43に向けて反射され、その後、光ビームがレンズ31の光軸Lに沿ってレンズ31に方向付けられるように、第3のミラー43により反射される。ここでは、スクリーン軸Sと光軸Lの主方向とは、互いに直交する。
【0055】
光ビームは、(光学要素30が第1の動作位置にあるときに)レンズ31を通過して、第1のビームスプリッタ26に達し、その後個人の眼に向けて反射される。
【0056】
図2に示される構成では、光学要素30は、その第2の後退位置にあり、第1のミラーは、光ビームがスクリーン21から第1のビームスプリッタ26に直接進むように回転される。
【0057】
情景モジュール20Bは、追加のスクリーン22と追加のミラー24とを含む。追加のスクリーン22は、背景画像を表示するために使用される。この背景画像は、好ましくは、個人になじみの深い環境、例えば、都市、風景、部屋などの自然環境、外部又は内部環境の画像である。追加のミラー24はここでは、凹面ミラーである。ミラー24の光軸は、凹面ミラーの頂点を通過し、ここでは、表示ユニットからの出口において明瞭度モジュール20Aのレンズ31の光軸Lと重ね合わされる。
【0058】
第1のビームスプリッタ26は、明瞭度モジュール20Aのスクリーン21により発せられた光と、情景モジュール20Bの追加のスクリーン22により発せられた光とを重畳させるために、明瞭度モジュール20Aと情景モジュール20Bとの間に配置されている。ビームスプリッタ26は、明瞭度モジュール20Aのスクリーン21から到来する光をフォロプタ100に向けて、そして最終的には個人の眼に向けて反射するように位置決めされる。ビームスプリッタ26はまた、追加のスクリーン22により発せられた光を追加のミラー24に向けて反射し、この第1のビームスプリッタ26により反射された光を個人の眼に向けてビームスプリッタ26を通して直進させる。明瞭度モジュール及び情景モジュールから到来する、両方の光ビームは、第2のビームスプリッタ27により閉鎖された開口部を通って表示モジュールのケーシング2から出る。
【0059】
ビームスプリッタ26、27の両方は、以下に説明する光ビーム分離ボックス200に属する。
【0060】
説明のこのステップでは、フォロプタ100がより詳細に説明され得る。
【0061】
【0062】
フォロプタ100は、個人の両眼用の2つの光学ユニット(又は「フォロプタのハーフヘッド」)110、120を含む(
図3では1つの光学ユニット120のみが見えている)。
【0063】
これらの2つの光学ユニット110、120は、ここでは同一である。
【0064】
各光学ユニット110、120は、2つの開口部、すなわち、情景モジュール20Bの側に位置する入口120Aと患者の側に位置する出口開口120Bと、を含むハウジング121を有する。これらの開口部は、光軸Y(各光学ユニット110、120に対して同じ基準Yを有する光軸が定義される)を中心とする。
【0065】
各光学ユニット110、120の出口開口120Bは、患者の対応する眼の軸に配置されるように設計されている。
【0066】
ハウジング121は、患者の対応する眼に異なる視力補正度数を提供するための光学系又はモジュール(図示せず)を収容する。
【0067】
この光学系は、任意の種類であってもよい。特に、光学系は、個人の各眼の前に提示される、異なる屈折度数を有する異なるレンズを含み得る。この実施形態では、異なる度数を有するレンズは、手動又は好ましくは電動式コマンドによって交換される。これらの異なる度数は、近くに配置された個人の眼に対する視力補正度数である。
【0068】
図示の実施形態では、光学系は、好ましくは、可変球面屈折度数を有する液体レンズなど、屈折度数が調整可能な2つのレンズを備える。
【0069】
前記可変球面度数レンズは、例えば、変形可能な表面を有する。この表面の形状(特にこの表面の曲率半径、したがってレンズにより提供される球面度数)は、機械的に(例えば、モータにより駆動される機械部品に取り付けられたリングのおかげで)、又は別の方法で制御することができる。
【0070】
フォロプタ100はまた、各々が円柱度数を有する独立して回転可能な一対のレンズを含み得る。それらは各々、フォロプタ100の他のモータの動作によって回転され得る。
【0071】
モータは、文献である国際公開第2015/1007303号パンフレットで説明されるように、可変球面度数レンズと2つの円柱度数レンズとの組み合わせが所望の球面補正及び所望の円柱補正を患者の眼に対して提供するように、制御ユニットにより制御される。
【0072】
フォロプタ100はまた、個人の頭部を受容し、且つフォロプタ100に対して所定の位置に保持するように設計された1つ以上の支持要素122を備える。この支持要素122は、例えば個人の額を受容することができる。代替的又は追加的に、フォロプタは、個人の顎を受容する要素を含むことができる。
【0073】
この実施形態では、額支持要素122は、患者の眼と光学ユニット110、120の液体レンズとの間の距離が手動で調節可能であるように、光軸Yに対して平行な軸に沿ってフォロプタ100のシャーシ(前記シャーシ140は主ケーシング2にねじ込まれている)上にスライド可能に取り付けられている。このスライド軸に沿った支持要素122の位置を調整する際に検眼士を助けるために、光学ユニット110、120のうちの少なくとも1つは、患者の対応する眼及び液体レンズの両方を示す側面画像を取得することができるように、ハウジング121の側面上に位置する画像センサ180を備える。計算ユニットは、この画像上で患者の眼と対応する液体レンズとの間の距離を測定し、且つこの測定の結果を検眼士によって見ることができるスクリーン151上に表示するようにプログラムされている。
【0074】
本発明によれば、フォロプタ100は更に、
- 2つの光学ユニット110、120の互いに対する位置を調整するように適合された移動手段、
- 光路に沿って光学ユニット110、120とスクリーン21との間に位置する部分反射ミラー(第2のビームスプリッタ27)、
- 2つの光学ユニット110、120を通して視標を見ている個人の眼の画像を取得するように、第2のビームスプリッタ27に向かって方向付けられた画像取得デバイス、及び
- 取得された画像を表示するのに適した画像表示デバイス、
を備える。
【0075】
図1及び
図2に示されるように、第2のビームスプリッタ27は、明瞭度モジュール20A及び情景モジュール20Bのスクリーン21、22によって発せられた光ビームを患者の眼に到達させ、これらの眼を観察する画像取得デバイスに到達させるために、第1のビームスプリッタ26と、画像取得デバイスと光学ユニット110、120との間に配置される。
【0076】
言い換えれば、この第2のビームスプリッタ27は、光学ユニット110、120から画像取得デバイスに向かって到来する光を反射し、明瞭度モジュール20A及び情景モジュール20Bのスクリーン21、22により発せられる光ビームを通過させるように配置される。
【0077】
移動手段は、異なる個人の眼の距離に適合するように、2つの光学ユニット110、120が第2のビームスプリッタ27の平面に対して平行である軸Xに沿って互いに近づく又は遠ざかることができるように設計されている。2つの光学ユニット110、120は、2つの極端な位置、すなわち、2つの光学ユニットがX軸に沿って互いに接触している最も近い位置と、中間位置を介して、このX軸に沿って最大距離だけ離れている最も遠い位置との間で移動させることができる。これらの中間位置のうち、光学ユニット110、120の2つのカメラが成人の平均瞳孔間距離、例えば64~66mmの間で離間するように、前記「平均位置」が設定される。この軸Xは、ここでは、液体レンズの光軸Yと直交している。
【0078】
図11に示されるように、移動手段は、フォロプタ100のシャーシ140上に固定されたスライダを備え、その上で、各光学ユニット110、120が単一の軸(X軸)に沿ってスライドすることができる。
【0079】
このスライダは、シャーシ140に固定された円筒形ロッド141を備える。スライダはまた、X軸に沿って円筒形ロッド141に沿って自由にスライドできる2つのスリーブ142を備える。
【0080】
図示されていない第1の実施形態では、移動手段は、手動で作動するように設計されている。
【0081】
この実施形態では、光学ユニット110、120のハウジング121は、2つのスリーブ142にそれぞれ取り付けられている(好ましくは、Z軸を中心に回転可動性を有する)。移動手段は、光学ユニット110、120のうちの一方の他方に対する相対位置を検眼士が手動で調整することを可能にする、少なくとも1つのハンドルを更に備える。
【0082】
より具体的には、移動手段は、支持要素122に対する2つの光学ユニットの位置を手動で調整するための2つのハンドルを備えることができる。ハンドルは、光学ユニット110、120の把持を容易にする形状であれば、光学ユニット110、120のハウジング121によって形成することができる。
【0083】
図11に示される好ましい実施形態では、移動手段は電動式である。
【0084】
この目的のために、光学ユニット110、120の1つを保持するキャリッジ143が、各スリーブ142上に取り付けられる。
【0085】
移動手段は、2つの光学ユニット110、102の相対位置を調整するのに適した少なくとも1つのモータと、患者の瞳孔の位置を検出するために取得及び処理されるときの画像の関数としてモータを制御するようにプログラムされたコントローラ(ここではコンピュータ150)と、を備える。
【0086】
より具体的には、この好ましい実施形態では、移動手段は、2つのキャリッジ143をX軸に沿ってスライドさせることができる4つのモータ144を備える。
【0087】
各モータ144とキャリッジ143の1つとの間に、ウォームギアが提供される。言い換えれば、各キャリッジ143は、以下の理由により、一対のモータ144によって駆動される。
【0088】
各対のモータにより2つのモータの回転が同期されている場合、対応するキャリッジ143がロッドに沿って(X軸に沿って)スライドすることが可能になる。
【0089】
この一対のモータにより2つのモータの回転が同期されていない場合、このキャリッジ143がZ軸を中心に枢動することが可能になる(同じ基準Zを有する軸が各光学ユニット110、120に対して定義されている)。より具体的には、キャリッジ143をX軸に沿ってスライドさせることなく、Z軸を中心に枢動させるために、2つのモータを同じ速度であるが反対方向に制御しなければならない。
【0090】
この目的のために、各キャリッジは、対応するスリーブ142上に固定された第1の上部と、Z軸の周りで回転可能性を有する第1の部分に取り付けられた第2の下部と、を備える。
【0091】
この第2の部分は、対応する光学ユニット110、120のハウジング121上にねじ止めされ、モータねじと係合する歯車を備える。
【0092】
Z軸を中心とする回転可動性のおかげで、液体レンズの光軸Yを互いに対して傾斜させて、各患者の眼の視線方向に配向することができる。この可動性は、(患者が視標を見ているときに眼を細める必要がある)患者の近見視を検査する際に有用である。
【0093】
X軸に沿ってスライドする可動性のおかげで、液体レンズを患者の眼の軸に、すなわち、患者の瞳孔間距離に依存する互いからの距離に配置することができる。液体レンズの光軸Y間の距離は、これらの軸が平行である場合にのみ、瞳孔間距離と等しくなることに留意されたい。
【0094】
2つの光学ユニット110、120の間の距離を自動で又は手動で調整するために、画像取得デバイス及び画像表示デバイスが使用される。
【0095】
図示の実施形態では、画像取得デバイスは、光学ユニット110、120のうちの1つを通して視標を見ている患者の眼のうちの1つの画像を取得するように、第2のビームスプリッタ27に向かって各々が方向付けられた2つのカメラ132を備える。
【0096】
図示されていない実施形態では、各カメラ132は、対応する光学ユニット110、120のキャリッジ143上に固定され、したがって対応する光学ユニット110、120と平行移動で一体となり得る。この変形例では、各カメラの光軸は、2つの光学ユニット110、120をX軸に沿って分離する距離に関係なく、ビームスプリッタ27上の対応する光学ユニット110、120の液体レンズのY光軸に対して垂直のままである(2つの軸がビームスプリッタ27上で互いに交差している)。垂直とは、2つの軸が直交し、且つ互いに交差していることを意味する。
【0097】
しかし、図示の実施形態では(
図3を参照)、2つのカメラは、対応する光学ユニット11、120とX軸に沿った平行移動で一体とならないように、主ケーシング2に固定されているため、その光軸は静止している。この構成では、各カメラの光軸がビームスプリッタ27上の光学ユニット110、120の液体レンズの光軸Yと直交したままである光学ユニット110、120の位置は1つのみである。このX軸に沿った光学ユニットの1つのみの位置を、上述した平均値として設定することができる。
【0098】
この実施形態では、2つの光学ユニット110、120の液体レンズの光軸が平均位置にあるとき、これらの軸においてカメラの中心が良好に一致する(言い換えれば、各液体レンズの光軸Yは、対応するカメラの光軸と交差する)。しかし、光学ユニット110、120をX軸に沿った平均位置から遠ざけたためにこれらの光軸間の距離Yが変化すると、各液体レンズの光軸Yが、対応するカメラの光軸ともはや交差しなくなり、視差現象が現れる。以下に説明するように、これらの現象は、相殺されるべきである。
【0099】
別の実施形態では、2つのカメラは、2つの光学ユニット110、120によってそれぞれ保持され、したがって対応する光学ユニット110、120と平行移動及び回転において一体である。この実施形態では、各カメラの光軸は、X軸に沿って2つの光学ユニット110、120を分離する距離に関係なく、且つ光学ユニット110、120の間の角度に関係なく、ビームスプリッタ27上の対応する光学ユニット110、120の液体レンズのY光軸に対して垂直のままである(2つの軸はビームスプリッタ27上で互いに交差する)(これは、患者の近見視が検査されるときに、前記照準が視標を見ている際に患者が眼を細める必要がある場合に有用である)。
【0100】
好ましくは、各カメラ132は、患者から見えないように、小さな保護ブラックボックスに収容される。
【0101】
カメラ132によって取得された画像を表示するのに適した画像表示デバイスは、例えば、LED又はOLED又はLCD又はTFTスクリーン151である。それは、検眼士に見えるように配置されている。
【0102】
図3に示される実施形態では、このスクリーン151は、別のヒューマンマシンインターフェース152(キーボード及び/又はマウス)を有するコンピュータ150に属する。
【0103】
コンピュータ150は、これらのカメラによって取得された画像を含む画像アセンブリImgをリアルタイムで表示することができるように、カメラ132に接続されている(
図4を参照)。
【0104】
コンピュータは、検眼士が光学ユニット110、120間の距離を調整するのを助けるようにプログラムされている。
【0105】
移動手段が手動式である場合、コンピュータ150は、各液体レンズのZ光軸の位置において、各取得画像に中心出しされた中心を有する照準153を表示するようにプログラムされている。この照準153は、透明な内面を伴う、十字形状又は円形状又は四角形状を有し得る。
【0106】
上記で説明したように、カメラ123が主ケーシング2に固定されている実施形態では、平均位置は、異なる光学ユニット110、120の位置に対して生じる視差現象を打ち消すように、これらの照準153の位置を計算する必要がある。この計算は、光学ユニットの各位置と表示されるべき照準の位置とを関連付ける所定の設定のおかげで、X軸に沿った光学ユニット110、120の位置に基づいて行われる。
【0107】
光学ユニットの位置を判定するために、コンピュータは、(もしあれば)4つのモータの角度位置を取得し、及び/又はキャリッジに結合された位置センサを使用することができる。
【0108】
次いで、光学ユニット110、120を患者の眼の前に位置決めするために、検眼士は、ハンドルを使用して、患者の瞳孔が照準153内の中心(十字、円、四角の中心)になるまで、これらのユニットをロッド141に沿ってスライドするように強制することができる。
【0109】
移動手段が電動式である場合、コンピュータ150は、2つの患者の瞳孔の軸における2つの光学ユニット110、120の位置を調整するために、4つのモータを自動的に制御するようにプログラムされる。
【0110】
この目的のために、コンピュータ150は、ここでは、
- 取得された画像に重畳された照準153を表示し、
- 取得された画像Img上で、照準153に対する患者の瞳孔の位置を判定し(この目的のために、コンピュータ150は、画像内の完全な黒丸、及びX軸に沿ったその画像上のその位置を認識することが可能な画像処理機能を備えている)、且つ
- そこから、少なくとも対象者の瞳孔(又は黒眼の対象者の虹彩)を表す検出された完全な黒丸を照準153の中心に位置付けるための各モータ用の駆動命令を推測する、
ようにプログラムされている。
【0111】
この段階において、
図5~
図7に示された光ビーム分離ボックス200について、より詳細に説明することができる。
【0112】
このボックスは、3つの部分、すなわち、上部210、中間部211(「ミラー支持体」とも呼ばれる)、及び下部212(
図6を参照)からなるケーシングを備える。
【0113】
下部212は、本体ケーシング2上に取り付けられ、ねじ止めされるように設計されている。下部212は、スクリーン21によって発せられた光を光ビーム分離ボックス200に入るようにする大きな開口部213を有する。
【0114】
中間部211は、下部212に取り付けられ、ねじ止めされている。中間部211は、前記開口部213に向かって開放された底面と、ビームスプリッタ26、27が取り付けられる2つの主面とを有する、ダハプリズム形状を有する。
【0115】
上部210は、中間部211に取り付けられ、ねじ止めされている。上部210は、平行六面体の形状を有し、一端において、凸面ミラー24を収容する。その他方の端部は開放しており、第1のビームスプリッタ26のエッジに沿って、中間部211上に適合するように成形されている。スクリーン22は、この上部210の上面上に固定されている。
【0116】
凸状ミラー24は、上部210へのその固定が、様々な方法で、例えばそのエッジを上部210の内面に接着することによって行えるように、大きな厚みを有している。
【0117】
反対に、ビームスプリッタ26、27は、5mm未満の小さい厚さを有する。
【0118】
この実施形態では、第1のビームスプリッタ26は1mmの厚さを有し、第2のビームスプリッタ27は2mmの厚さを有する。
【0119】
これらのビームスプリッタの固定は、これらのスプリッタに過度の応力が発生しないように実行する必要があり、そうでなければ、これらのスプリッタを変形させて測定値を歪める結果となる。
【0120】
そのような変形を回避するために、各ビームスプリッタ26、27は、特別なフレームを用いて中間部211上でブロックされる。
【0121】
図8に示されるように、第2のビームスプリッタ27は、長方形の形状を有する。そのフレーム270は、このスプリッタのエッジの形状と同様の形状を有する。
【0122】
このフレーム270は、4つのリムと、このフレームを中間部211に固定する手段とを備える。
【0123】
これらの固定手段は、第1のリムの外面から突出する2つの舌部271を含む。これらの舌部271は、中間部211に設けられた受容キャビティと係合するように設計されている。
【0124】
それらはまた、第1の肢に対向する第2の肢において、ワッシャ274に係合し中間部211内にねじ込まれるねじ273を受容する小さな開口部を含む。
【0125】
フレーム270は、任意の剛性材料(プラスチック、鋼、アルミニウムなど)で作成され得る。それは好ましくは、一体成形される。
【0126】
第2のビームスプリッタ27をブロックするために、フレーム270の上面は、その内面の輪郭全体に沿って凹んでいる。この凹部のおかげで、フレーム270は、平面であり、且つフレームの外部によって境界付けられた支持面275を提供する。第2のビームスプリッタ27は、支持面275上のそのエッジ全体に沿って傾斜するように、この凹部内に収容される。
【0127】
第2のビームスプリッタ27を支持面275に対して保持するために、フレーム270は、第2のビームスプリッタ27を支持面275で挟むように、フレームの上面から突出する少なくとも3つの舌部276を備える。ここで、フレーム270は、第1及び第2のリムに沿って分配された4つの舌276を備える。
【0128】
第1のビームスプリッタ26及びそのフレーム260;280の2つの実施形態をそれぞれ、
図9及び
図10に示す。
【0129】
両方の実施形態では、第1のビームスプリッタ26は、角が面取りされた長方形形状を有する。フレーム260;280は、このスプリッタの端部の形状と同様の形状を有する。
【0130】
これらの実施形態では、フレームは、光ビーム分離ボックス200の上部と中間部との間に挟まれるように設計されている。
【0131】
この目的のために、
図7に示されるように、フレーム260が、中間部211に設けられたフランジ上に載置され、ピン214の形態の4つの橋台が、フレーム260に対して又はそれから少し距離をおいて配置されるように、上部の内面上に設けられる。ピン214とフレーム260との間に、圧縮可能な材料を挟むことができる。圧縮可能な材料が使用されない変形例では、ピン214とフレーム260との間に0.3~1mmからなる少しのクリアランスが設けられて、上部210と中間部211が一緒にねじ止めされるときに後者が変形しないことを確実にする。
【0132】
両方の実施形態では、フレーム260;280の上面は、その内面の輪郭全体に沿って凹んでいる。この凹部のおかげで、フレーム260;280は、平坦で、フレームの外側によって境界付けられている、支持面265;285を有する内部(「リム」)を提供する。第1のビームスプリッタ26は、支持面265;285上のそのエッジ全体に沿って傾き、且つこの平坦面上を移動できないように、この凹部内に収容される。
【0133】
第1のビームスプリッタ26を支持面265;285に対してブロックする手段は、第1の実施形態と第2の実施形態とで異なる。
【0134】
第1の実施形態では、第1のビームスプリッタ26は、フレーム260の支持面265に直接寄りかかることはない。逆に、圧縮可能な材料が、この第1のビームスプリッタ26と支持面265との間に挟まれている。この圧縮可能な材料は、支持面265の形状を有するエラストマフォームテープである。
【0135】
第1のビームスプリッタ26をフォームテープに対して保持するために、フレーム260は、少なくとも2つの柔軟ストリップ261を備える。各ストリップはプロファイルされ、フレーム260のリムに固定(例えば接着)されるように設計された第1のリブと、リブの内面から突出し、第1のビームスプリッタ26の上面に対して押し付けるリップと、を備える。ここで、各ストリップ261は、エラストマで作成されている。
【0136】
第2の実施形態では、第1のビームスプリッタ26は、この第1のビームスプリッタ26と支持面285との間に挟まれた4つのフォーム片のおかげで、フレーム280の支持面285上に直接寄りかかることはない。
【0137】
この第2の実施形態では、フレーム280は、支承面265から突出している、いくつかの接着剤を受容するように設計された3つの小さなリングを備える。
【0138】
フレーム280はまた、支持面285に対して平行で、これら2つのリムの長手方向軸に対して垂直な軸を有する、2つの対向するリム上に位置する4つの開口部282と、また、これらの4つの開口部282に接着される4つのピン283と、を備える。各ピン283の端部は、第1のビームスプリッタ26を挟むように長手方向に2分割され、そこに接着されている。
【0139】
この接着剤のおかげで、第1のビームスプリッタ26は、過度の機械的ストレスを受けることなく、そのフレームに良好に取り付けられている。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路に沿ってターゲットを観察している際の個人の眼を検査するためのフォロプタ(100)であって、
- 前記個人の両眼用の2つの光学ユニット(110、120)であって、各々が前記ターゲット側上の入口(120A)と、前記個人側上の出口開口(120B)と、前記個人の対応する眼に異なる視力補正度数を提供するための光学系とを有する、2つの光学ユニット(110、120)、及び
- 前記2つの光学ユニットの相対位置を調整するように適合された移動手段、
を備え
、
前記フォロプタ(100)は、
- 前記光路に沿って配置された部分反射ミラー(27)、及び
- 前記2つの光学ユニット(110、120)を通して前記ターゲットを見ている前記個人の前記眼の画像を取得するために、前記部分反射ミラー(27)に向かって方向付けられた画像取得デバイス、
をさらに備えることを特徴とする、フォロプタ(100)。
【請求項2】
前記画像取得デバイスが、2つのカメラ(132)を備え、各カメラ(132)が、前記光学ユニット(110、120)のうちの1つを通して前記ターゲットを見ている前記個人の前記眼のうちの1つの画像を取得するために、前記部分反射ミラー(27)に向かって方向付けられている、請求項1に記載のフォロプタ(100)。
【請求項3】
前記移動手段が、前記2つの光学ユニットの前記相対位置を手動で調整するためのレバーを備える、請求項
1に記載のフォロプタ(100)。
【請求項4】
前記フォロプタがまた、前記個人
の頭部を受容して所定の位置に保持するように設計された支持要素(122)を備え、前記移動手段が、前記支持要素(122)に対する前記2つの光学ユニットの前記位置を手動で調整するための2つのレバーを備える、請求項3に記載のフォロプタ(100)。
【請求項5】
前記移動手段が、前記2つの光学ユニット(110、120)の前記相対位置を調整するのに適した少なくとも1つのモータと、
前記画像上の前記個人の瞳孔の位置を検出するために前記画像取得デバイス(132)によって取得された前記画像を処理し
、前記個人の瞳孔の前記検出された位置の関数として前記モータを制御するようにプログラムされたコントローラと、を備える、請求項
1に記載のフォロプタ(100)。
【請求項6】
前記フォロプタがまた、前記個人
の頭部を受容して所定の位置に保持するように設計された支持要素(122)を備え、前記移動手段が2つのモータを備え、前記コントローラが
、2つの
前記個人の瞳孔の軸における前記支持要素(122)に対する前記2つの光学ユニット(110、120)の前記位置を調整するために、前記モータを自動的に制御するようにプログラムされている、請求項5に記載のフォロプタ(100)。
【請求項7】
前記部分反射ミラー(27)が、ミラー支持体(200)のフレーム(270)のリム上のそのエッジ全体に沿って寄りかかり、前記フレーム(270)が、前記部分反射ミラー(27)を前記リムに対して保持する3つ又は4つの舌部(276)を備える、請求項
1に記載のフォロプタ(100)。
【請求項8】
個人の眼を検査するための視力測定デバイス(10)であって、請求項
1に記載のフォロプタ(100)と、
視覚ターゲットを生成するように適合された表示ユニット(20)と、を備え、前記
視覚ターゲットが、前記フォロプタ(100)の前記2つの光学ユニット(110、120)の
前記出口開口(120B)を通して見ることができ、この表示ユニット(20)が、
- 前記視覚ターゲットを生成する際に使用される検査像を表示するように適合された第1のスクリーン(21)、及び
- 光学度数を有する少なくとも1つの光学要素(30)、
を備え、
前記ターゲットが前記出口開口(120B)から可変距離において生成されるために、前記光学要素(30)が、前記第1のスクリーン(21)により発せられて前記出口開口(120B)を通って前記
視力測定デバイスから出
る光の光路上に前記光学要素(30)が配置される動作位置と
、前記光路から
前記光学要素(30)が外れたままである後退位置との間で移動可能である、視力測定デバイス(10)。
【請求項9】
第2の像を表示するように適合された第2のスクリーン(22)を備え、この第2の像の画像が、主部分反射ミラー(26)を用いて前記出口開口(120B)において前記ターゲットと重畳されている、請求項8に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項10】
単一のミラー支持体(200)が、前記フォロプタ(100)の前記主部分反射ミラー(26)及び前記部分反射ミラー(27)を保持している、請求項9に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項11】
前記主部分反射ミラー(26)が、ミラー支持体(200)のフレーム(260;280)のリム上に寄りかかっている、請求項
9に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項12】
前記主部分反射ミラー(26)が、そのエッジ全体に沿って前記リム上に寄りかかり、圧縮可能な材料が、前記主部分反射ミラー(26)と前記リムとの間に挟まれている、請求項11に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項13】
前記主部分反射ミラー(26)が、前記リムから突出する3つ又は4つの領域上に直接寄りかかっている、請求項11に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項14】
前記主部分反射ミラー(26)
のエッジが、それを挟む3つ又は4つのピン(283)によってブロックされている、請求項1
1に記載の視力測定デバイス(10)。
【請求項15】
請求項9に記載の視力測定デバイス(10)のミラー支持体であって、前記主部分反射ミラー(26)及び前記部分反射ミラー(27)を支持するケーシングを備える
、ミラー支持体。
【国際調査報告】