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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ウェハ接合
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20230725BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20230725BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230725BHJP
   H04N 25/79 20230101ALI20230725BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L25/08 B
H01L23/12 501B
H04N25/79
H04N25/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580397
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2021064819
(87)【国際公開番号】W WO2021259607
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】102020116671.0
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519323089
【氏名又は名称】ナノワイヤード ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケドナウ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルステイエ,ファラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシンガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ビヨレム,オラフ
【テーマコード(参考)】
5C024
5F044
【Fターム(参考)】
5C024CY47
5C024EX25
5C024GY31
5F044KK05
5F044KK17
5F044LL15
5F044QQ01
5F044QQ06
5F044RR02
(57)【要約】
第1のウェハ要素(1)を第2のウェハ要素(2)に接続する方法である。第1のウェハ要素(1)は複数の第1のデバイス領域(3)を備え、複数の第1のデバイス領域(3)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有する。第2のウェハ要素(2)は複数の第2のデバイス領域(4)を備え、複数の第2のデバイス領域(4)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有する。ウェハ要素(1、2)は、該2つのウェハ要素(1、2)の導体パッド(6)によって互いに接続される。導体パッド(6)は対になって、複数のナノワイヤ(7)を介して互いに接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェハ要素(1)を第2のウェハ要素(2)に接続する方法であって、
前記第1のウェハ要素(1)は、複数の第1のデバイス領域(3)を備え、
前記複数の第1のデバイス領域(3)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有し、
前記第2のウェハ要素(2)は、複数の第2のデバイス領域(4)を備え、
前記複数の第2のデバイス領域(4)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有し、
前記ウェハ要素(1、2)は、該2つのウェハ要素(1、2)の前記導体パッド(6)によって互いに接続され、
前記導体パッド(6)は対になって、複数のナノワイヤ(7)を介して、互いに接続される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のウェハ要素(1)は、一体的なウェハとして実施され、
前記第2のウェハ要素(2)は、一体的なウェハとして実施される、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ウェハ要素(1)の少なくとも1つは、複数のウェハ小片(13、14)から組立てられる、
方法。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の方法であって、
前記第1のウェハ要素(1)は、一体的な様式で実施され、
前記第2のウェハ要素(2)は、複数のウェハ小片(13、14)をそれぞれ複数のナノワイヤ(7)を介して前記第1のウェハ要素(1)に接続することによって、前記複数のウェハ小片(13、14)から組立てられる、
方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、
前記2つのウェハ要素(1、2)は、
a)前記第1のウェハ要素(1)の前記導体パッド(6)上にのみ、複数のナノワイヤ(7)を設けるステップと、
b)前記ナノワイヤ(7)が前記第2のウェハ要素(2)の前記導体パッド(6)と接触するように、前記2つのウェハ要素(1、2)をくっつけるステップと、
c)前記2つのウェハ要素(1、2)を加熱するステップと
によって互いに接続される、
方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、
前記2つのウェハ要素(1、2)は、
A)前記第1のウェハ要素(1)の前記導体パッド(6)上と、前記第2のウェハ要素(2)の前記導体パッド(6)上とに、複数のナノワイヤ(7)を設けるステップと、
B)前記2つのウェハ要素(1、2)の前記ナノワイヤ(7)が互いに接触するように、前記2つのウェハ要素(1、2)をくっつけるステップと
によって互いに接続される、
方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の方法であって、
前記各第1のデバイス領域(3)は、互いに同一となるように実施されるか、又は、
前記各第2のデバイス領域(4)は、互いに同一となるように実施されるか、又は、
その両方である、
方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の方法であって、
前記各第1のデバイス領域(3)は、前記第1のウェハ要素(1)上に格子状に配置されるか、又は、
前記各第2のデバイス領域(4)は、前記第2のウェハ要素(2)上に格子状に配置されるか、又は、
その両方である、
方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の方法であって、
互いに接続された前記ウェハ要素(1、2)は、前記第1のデバイス領域(3)の1つと前記第2のデバイス領域(4)の1つとを有するデバイス(8)が得られるように、分割される、
方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法であって、
前記各第1のデバイス領域(3)はそれぞれ、DRAMとして実施されるか、又は、
前記各第2のデバイス領域(4)はそれぞれ、DRAMとして実施されるか、又は、
その両方である、
方法。
【請求項11】
第1のウェハ要素(1)と、第2のウェハ要素(2)とを備える装置(9)であって、
前記第1のウェハ要素(1)は、複数の第1のデバイス領域(3)を備え、
前記複数の第1のデバイス領域(3)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有し、
前記第2のウェハ要素(2)は、複数の第2のデバイス領域(4)を備え、
前記複数の第2のデバイス領域(4)はそれぞれ、電子構造(5)と、導体パッド(6)とを有し、
前記ウェハ要素(1、2)は、該2つのウェハ要素(1、2)の前記導体パッド(6)によって互いに接続されており、
前記導体パッド(6)は対になって、複数のナノワイヤ(7)を介して、互いに接続されている、
装置(9)。
【請求項12】
複数の撮像モジュール(10)を製造する方法であって、
複数の画像センサ(11)を有する第1のウェハ要素(1)が設けられ、
前記複数の画像センサ(11)はそれぞれ、電子構造(5)と、複数の導体パッド(6)とを有し、
複数の信号処理要素(12)を有する第2のウェハ要素(2)が設けられ、
前記複数の信号処理要素(12)はそれぞれ、電子構造(5)と、複数の導体パッド(6)とを有し、
前記ウェハ要素(1、2)は、前記2つのウェハ要素(1、2)の前記導体パッド(6)によって互いに接続され、
前記導体パッド(6)は対になって、複数のナノワイヤ(7)を介して、互いに接続され、
互いに接続された前記ウェハ要素(1、2)は、前記画像センサ(11)の1つと前記信号処理要素(12)の1つとを有する前記撮像モジュール(10)が得られるように、分割される、
方法。
【請求項13】
撮像モジュール(10)であって、
電子構造(5)と複数の導体パッド(6)とを有する画像センサ(11)を備え、且つ
電子構造(5)と複数の導体パッド(6)とを有する信号処理要素(12)を備え、
前記画像センサ(11)の前記各導体パッド(6)は、複数のナノワイヤ(7)を介して、前記信号処理要素(12)の前記各導体パッド(6)に対になって接続される、
撮像モジュール(10)。
【請求項14】
電子デバイス(15)を製造する方法であって、
a)複数の導体パッド(17)を有する基板(16)を設けることと、
b)複数の電子部品(18)を設けることと、
c)前記電子部品(18)をそれぞれ、複数のナノワイヤ(19)を介して、前記基板(16)の前記導体パッド(17)の少なくとも1つに接続することと
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はいわゆるウェハの接合又はウェハ対ウェハ(wafer-to-wafer)の接合に関し、すなわち2つのウェハを接続すること、特に半導体デバイスを製造するために2つのウェハを接続することに関する。特に、本発明は、第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法と、それによって得られる装置と、複数の撮像モジュールを製造する方法と、それによって得られる撮像モジュールとに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、写真用カメラ、携帯電話、及び多くのその他の電子機器は、写真撮影又は映像録画又はその両方が可能である。この目的のために、こうした機器は画像センサを備える。しかし、画像センサのサイズを小さくすることは、画像センサがさらに少ない量の光をしか捕捉できなくなることを意味する。それに伴って、取得される電子信号は弱くなる。したがって増幅が必要となる。信号が弱いため、このような増幅は画像センサに特に近接して行う必要がある。したがって、画像センサと増幅器とを備える撮像モジュールが知られている。画像センサの個々の画素の信号をそれぞれ個別に増幅できるように、増幅器はそれに対応した多数の増幅要素を有する。増幅器は、それに対応する多数の、個別の接続を介して、画像センサに接続される。画像センサの解像度がメガピクセルのオーダーである場合、画素数、増幅要素の数、及び、個別の接続の数がそれぞれ百万のオーダーになる。こうした撮像モジュールを、コストを抑えて製造するために、複数の画像センサを有するウェハと、複数の増幅器を有するウェハとを互いに接続することが知られている。互いに接続されたこれらのウェハを、続けて分割し、これにより、個々の撮像モジュールが得られる。このいわゆるウェハ接合又はウェハ対ウェハ接合(略して「W2W接合」)によって、複数の撮像モジュールを同時に製造できる。ウェハ対ウェハ接合は、他の用途にも使用される。
【0003】
ウェハ対ウェハ接合用の方法で公知のものは、非常に複雑で高価である。さらに、公知の方法は、ウェハ上の電子構造に損傷をもたらしかねない温度が工程中に生じるという欠点を有する。加えて、公知の方法は非常に時間がかかる。さらに、公知の方法は小さい構造に適さない。これに関して、接続対象である電気接点同士は、十分なサイズ及び互いからの十分な距離を有することが必要である。構造の小型化が進むにつれて、導体パッド(contact pad)間の接続の電気伝導度又は熱伝導度又はその両方に対する要件も増えていく。これに関して、これらの接続は、非常に小さい空間内で、隣接する接続を相互に妨げることなく弱い電気信号を立て続けに確実に伝送する必要がある。先行技術においては、他の用途においても対応する問題が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の先行技術から生じる本発明の目的は、特に簡易、高速且つ丁寧に、第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法を提供することであり、互いに近くに置かれた特に小さい導体パッドが、電気又は熱又はその両方を伝導する態様で、特に良好に互いに接続可能となる方法を提供することである。さらに、これに対応する方法であって、複数の撮像モジュールを製造する方法を提供することを意図している。加えて、それぞれの方法によって得られる装置及び撮像モジュールを提供することを意図している。
【0005】
これらの目的は、独立請求項による方法、装置、及び撮像モジュールによって達成される。さらに有利な構成は、従属請求項において規定される。請求項及び明細書において呈示された特徴は、任意の、望ましく技術的に好適な方法で互いに組み合わせることができる。
【0006】
本発明は、第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法を提示する。第1のウェハ要素は複数の第1のデバイス領域を備え、この複数の第1のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。第2のウェハ要素は複数の第2のデバイス領域を備え、この複数の第2のデバイス領域それぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。ウェハ要素は、2つのウェハ要素の導体パッドによって互いに接続され、導体パッドは対になって、複数のナノワイヤを介して互いに接続される。
【0007】
上述の方法によって、複数のデバイスを同時に製造できる。各デバイスはそれぞれ、第1のデバイス領域と、第2のデバイス領域とを備える。各第1のデバイス領域は、第1のウェハ要素上に設けられ、各第2のデバイス領域は第2のウェハ要素上に設けられる。複数のデバイス領域を有する、特に同一であるデバイス領域を有するウェハ要素の製造は、比較的簡易な態様で可能である。第1のウェハ要素及び第2のウェハ要素が互いに接続されることによって、各第1のデバイス領域と各第2のデバイス領域とが互いに接続される。その後、互いに接続されたウェハ要素を分割することによって、デバイスを得ることができる。
【0008】
好ましくは、本方法によって少なくとも100個のデバイスが同時に製造され、特に少なくとも500個が製造される。これに関して、例えば、5000~20000個のデバイスを同時に製造することができる。ここで同時にというのは、第1のデバイス領域とそれに対応する第2のデバイス領域との接続が同時に形成されることを意味する。
【0009】
ウェハ要素という用語は一般的な用語である。ウェハ要素は、一方では、一体的な態様で実施されたウェハであってもよい。他方では、ウェハ要素は、複数のウェハ小片から組立てられてもよい。
【0010】
一体的なウェハは、通常単にウェハとも呼ばれる。ウェハは、電子デバイス製造の出発点としての役割を果たすスライスを意味するものと理解されるべきである。ウェハは特に、例えばコンピュータチップなどの集積回路の製造に使用される。第1のウェハ要素又は第2のウェハ要素又はその両方が、例えば半導体の成長したブランクなどから一体的なウェハとしてスライスされてもよい。ウェハは、特に円形又は矩形の断面を有してもよい。使用した第1のウェハ要素又は使用した第2のウェハ要素又はその両方は、ウェハの一部が無傷であれば、それぞれ損傷したウェハでもよい。損傷したウェハは、任意の所望の断面を有してもよい。
【0011】
一体的なウェハの代わりに、複数のウェハ小片から組立てられたウェハ要素を使用することも可能である。電子デバイスの製造においては使用不可能なデバイスに関して一定のレベルの不良品が通常は発生するため、組立てられたウェハ要素を使用するのは好適である。ウェハ上に複数のデバイス領域が製造される場合は、通常はそれらのデバイス領域の一部のみが使用可能となる。上述の方法において、使用可能な第1のデバイス領域が欠陥のある第2のデバイス領域に接続される場合は、その結果得られるデバイス全体が欠陥品となり、除外されなければならなくなる。第1のデバイス領域と第2のデバイス領域の両方が、欠陥がない場合のみ、対応するデバイスが使用可能となる。複数のウェハ小片から組立てられたウェハ要素によって、不合格率を低減することができる。これについては、接続する前に、各第1のデバイス領域又は各第2のデバイス領域又はその両方をそれぞれ個別に検査できる。次いで1つ又は複数のウェハを分割してウェハ小片にすることができ、これにより、特に多数の使用可能なデバイスが得られるウェハ要素を、前記ウェハ小片から形成できる。これに関して、使用可能な第1のデバイス領域と使用可能な第2のデバイス領域とを、意図した態様で組み合わせることができる。
【0012】
ウェハ小片を接着剤等で基板に固定することによって、ウェハ小片を組立てることができる。その場合、基板は、導体パッドに対して、ウェハ小片がある側とは反対側に位置する。例えば、2~10のウェハ小片が組立てられてもよい。これに対応する大きなウェハ小片を良好に取り扱うことが可能である。各ウェハ小片はそれぞれ、デバイス領域を複数有することが好ましい。個々のデバイス領域がウェハ小片を形成することが好ましい。特に好ましくは、個々のウェハ小片として組立てられる第1のデバイス領域の全てが第1のウェハ要素を形成するか、又は、個々のウェハ小片として組立てられる第2のデバイス領域の全てが第2のウェハ要素を形成するか、又は、その両方である。
【0013】
上述の方法は、以下の3つのやり方で実行されてもよい。第1の実施形態においては、両方のウェハ要素はそれぞれ、一体的なウェハとして実施されている。これは特に簡易であるが、その代わりにそれに合わせて不合格率が高くなる。第2の実施形態においては、第1のウェハ要素は一体的なウェハとして実施され、第2のウェハ要素は複数のウェハ小片から組立てられている。意図した態様で第2のウェハ要素を組立てるためにさらにコストをかけることで、不合格率が低減される。第3の実施形態においては、両方のウェハ要素がそれぞれ、複数のウェハ小片から組立てられている。意図した態様で両方のウェハ要素を組立てるためにさらにコストをかけることで、第2の実施形態の場合よりもさらに不合格率が低減される。
【0014】
好ましくは、第1のウェハ要素が半導体材料から形成されるか、又は、第2のウェハ要素が半導体材料から形成される、又は、その両方である。第1のウェハ要素及び第2のウェハ要素の少なくとも一方は、好ましくは、円形の断面を有する。第1のウェハ要素及び第2のウェハ要素の少なくとも一方は、好ましくは、50~300mm[ミリメートル]の範囲の直径を有する。特に好ましくは、第1のウェハ要素及び第2のウェハ要素の少なくとも一方として、8インチウェハが使用される。2つのウェハ要素は、必須ではないが好ましくは、同じサイズである。円形のディスクとして成形されたウェハ要素の代わりに、異なる形状を有するウェハ要素も使用可能である。これに関して、第1のウェハ要素及び第2のウェハ要素の少なくとも一方は、矩形の様式で、特に正方形の様式で実施されていてもよい。
【0015】
第1のウェハ要素は、複数の第1のデバイス領域を有する。第2のウェハ要素は、複数の第2のデバイス領域を有する。デバイス領域とは、製造されるデバイスの一部となることが意図されたウェハ要素それぞれの領域を意味するものと理解されるべきである。これに関して、第1のデバイス領域の1つと第2のデバイス領域の1つとを有する各デバイスを、互いに接続されたウェハ要素から得ることができる。
【0016】
各第1のデバイス領域及び各第2のデバイス領域は、好ましくはそれぞれの機能を実現する働きをする。これらの機能は、製造されたデバイスにおいて互いを補完する。それぞれの機能を実現するために、各デバイス領域は電子構造を有する。電子構造は、特にリソグラフィ工程によって得られる任意の構造であって、少なくとも1つの電気伝導部分を有するものと解釈されるべきである。好ましくは、電子構造は、少なくとも1つのそれぞれの電子要素を有する。特にトランジスタ、抵抗器、インダクタ、及びコンデンサは電子要素と考えられる。各電子構造はそれぞれ、好ましくは、電子回路であり、特に集積回路である。各電子構造は、好ましくは、半導体構造である。
【0017】
各電子構造はそれぞれ、好ましくは、のウェハ要素上にリソグラフィ法によって製造される。その結果、ウェハ要素上にマイクロメートル又はサブマイクロメートルのオーダーの多数の電子構造を製造することが容易に可能となる。好ましくは、第1のウェハ要素が有する第1のデバイス領域の数は、第2のウェハ要素が有する第2のデバイス領域の数と同じである。そして、第1のデバイス領域はそれぞれ、ちょうど1つの第2のデバイス領域に割り当てられており、逆も同様である。しかし、第1のデバイス領域の数と第2のデバイス領域の数とは、異なっていてもよい。例えば、第1のウェハ要素の一部分が損傷したとき、この部分を残りの第1のウェハ要素から分離できる。そして、残りの第1のウェハ要素を無傷の第2のウェハ要素に接続することができ、ここで第2のウェハ要素の第2のデバイス領域の一部分は未使用のままであるか、又は、異なるやり方で使用することが可能である。
【0018】
この方法によって、各第1のデバイス領域の電子構造が各第2のデバイス領域の電子構造に接続されるように、ウェハ要素を互いに接続できる。この目的のために、各デバイス領域はそれぞれ、少なくとも1つの導体パッドを有する。導体パッドはリソグラフィ法によって得ることができる。各導体パッドは、電子構造の他の部分と物理的に区別可能である必要はない。むしろ、各導体パッドは、導体パッド同士の間に形成される接続によって定義される。言い換えると、導体パッドは接続が形成されるときのみ導体パッドとしても認識できるようになってもよい。例えば、導体パッドは、それぞれのウェハ要素上にリソグラフィによって製造された電線の端部であってもよい。電線の端部を拡げて、特に大きい面積が導体パッドとして働くようにしてもよい。こうした導体パッドは、特にパッドと呼ばれることもある。
【0019】
デバイス領域はそれぞれ、1つの導体パッドを有すれば十分である。しかし、第1のウェハ要素は複数の第1のデバイス領域を備え、この複数の第1のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と複数の導体パッドを有することが好ましく、第2のウェハ要素は複数の第2のデバイス領域を備え、この複数の第2のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と複数の導体パッドを有することが好ましい。好ましくは、各第1のデバイス領域それぞれは、各第2のデバイス領域それぞれと同数の導体パッドを有する。そして、第1のデバイス領域の導体パッドそれぞれは、関連付けられた第2のデバイス領域のちょうど1つの導体パッドに割り当てられ、逆も同様である。第1のデバイス領域と第2のデバイス領域が有する導体パッドの数が異なる場合は、個々の導体パッドは未使用のままであってもよい。
【0020】
ウェハ要素は、導体パッドによって互いに接続されており、導体パッドは対になって複数のナノワイヤを介して互いに接続される。言い換えると、1つの第1のデバイス領域の1つの導体パッドと1つの第2のデバイス領域の1つの導体パッドとを有する対同士が、互いに接続される。れは、1つの第1のデバイス領域の1つの導体パッドと1つの第2のデバイス領域の1つの導体パッドとに関する複数のナノワイヤ接続を生じさせる。
【0021】
本明細書におけるナノワイヤとは、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲のサイズを有するワイヤ状の任意の材料体を意味するものと理解される。ナノワイヤは、例えば円形状、楕円形状、多角形状の底面を有してもよい。特に、ナノワイヤは六角形状の底面を有してもよい。
【0022】
使用されるナノワイヤは、100nm[ナノメートル]~100μm[マイクロメートル]の範囲の長さ、特に1μm~40μmの範囲の長さを有することが好ましい。さらに、ナノワイヤは、10nm~10μmの範囲の直径、特に30nm~2μmの範囲の直径を有することが好ましい。この場合、直径という語は円形の底面に関するものであり、これから逸脱する底面の場合には、それに相当する直径の定義を用いるものとする。使用される全てのナノワイヤが同じ長さ及び同じ直径を有することが特に好ましい。
【0023】
特に良好な電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を有する接続のために、ナノワイヤを電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を有する材料から形成することが好ましい。ここでは、銅、銀、ニッケル、金を用いることが特に好ましい。導体パッドも、好ましくは、電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を有する材料から、特に銅、銀、ニッケル、又は金を含む材料から形成される。特に好ましくは、導体パッドとナノワイヤは、同じ材料から形成される。その結果、接続は特に安定となる。
【0024】
ここで用いられる意味における電気伝導性や熱伝導性は、特に金属(銅など)に存在するものであり、一般に「電気伝導性の」又は同義語として「電気を伝導する」、及び「熱伝導性の」又は「熱を伝導する」とも言われる。特に、一般に絶縁性又は断熱性又はその両方であるとみなされる材料は、ここでは、電気伝導性であるか又は熱伝導性であるか又はその両方であるとみなされないものとする。
【0025】
接続が形成されると、各ナノワイヤは、それぞれの端部によって、接続に関与する2つの導体パッドにつながれる。各ナノワイヤは、よって、接続に関与する2つの導体パッドに対して垂直である。だし、2つの導体パッドが必ず厳密に互いに平行であり、且つ、各ナノワイヤが導体パッドの間で直線を形成するものとして理解されるべきではない。むしろ、導体パッド上に置かれた任意の向きのナノワイヤを区別しているものとして理解されるべきである。上述の方法において、各ナノワイヤは、その代わりに、導体パッド上に設けられており、これにより、導体パッドはそれぞれのウェハ要素の表面上の芝と言ってもよい状態になる。
【0026】
導体パッド間の各接続には多数のナノワイヤが関与している。たがって、特に大きい表面積にわたって接続が形成される。その接続は、結果として、特に機械的に安定であり且つ電気伝導性又は熱伝導性又はその両方を有する。ナノワイヤ接続を介して、デバイス領域間で、特に確実に且つ損失なく、電気信号が通信可能となる。さらに、デバイス領域の1つから熱を放散させることができる。さらに、ナノワイヤ接続の他に、デバイス領域同士を互いに機械的に接続するためのさらなる接続は必要ない。しかし、例えば接着剤などによって、ウェハ要素をさらに機械的に接続することも可能である。のように、接続を機械的に強化するためにナノワイヤ間の隙間を充填することが可能である。
【0027】
ナノワイヤ同士を互いに接触させるか、又は各ナノワイヤと導体パッドとを接触させることによって、接続が形成される。これは実質的に瞬時に行うことができる。したがって、上述の方法は、速やかに行われる。この点では、ウェハ要素は60秒未満の間に互いに接続することができる。さらに、特に小さい導体パッドを有するか又は特に導体パッドに近接して置かれているか又はその両方であるウェハ要素は、上述の方法によって互いに接続されてもよい。ウェハ対ウェハ接合法の性能を評価するために、最小限必要な「パッドサイズ」及び最小限必要な「ピッチ」が通常規定されている。パッドサイズは、導体パッドの範囲を規定している。ピッチは、隣接するパッドの中心間の距離を規定している。これらの仕様は、特に規則正しいパターンに配置された導体パッドに関係する。上述の方法は、0.5μm[マイクロメートル]から始まるパッドサイズ及び1.5μmから始まるピッチによって、確実に実行可能である。パッドサイズは好ましくは0.5~150μmである。ピッチは好ましくは1.5~300μmである。上述の方法によって達成可能な小さいパッドサイズ及びピッチは、先行技術から知られている任意の技術を用いた場合は複雑性を比較的低くし且つ信頼性を比較的高くして実現することは不可能である。特に、ナノワイヤ接続を形成することは特に簡単であることが、これに寄与している。そのことは、特に以下にさらに記載する実施形態によって示される。特に、加熱なしで又は比較的わずかな加熱で、ナノワイヤ接続を形成することができる。これに対し、先行技術から知られているウェハ対ウェハ接合法は、非常に大きな加熱を必要としており、ウェハ及び特にその上の電子構造に損傷をもたらしかねない。
【0028】
本方法の好ましい実施形態の1つにおいて、第1のウェハ要素は一体的なウェハとして実施され、第2のウェハ要素は一体的なウェハとして実施される。この実施形態は、第1の実施形態として上に記載されている。
【0029】
さらに好ましい実施形態において、ウェハ要素の少なくとも1つは、複数のウェハ小片から組立てられる。この実施形態は、上記において第1及び第2の実施形態と呼ばれた実施形態を包含する。
よって、ここでは以下が設けられる。
・一体的なウェハとして実施される第1のウェハ要素と、複数のウェハ小片から組立てられる第2のウェハ要素、若しくはその逆、又は
・複数のウェハ小片からそれぞれ組立てられる両方のウェハ要素。
【0030】
この実施形態により、使用可能なデバイス領域を意図した態様で互いに組み合わせるという記載された利点を利用できるようになる。この利点は、2つのウェハ要素の少なくとも一方が複数のウェハ小片から組立てられるときに存在する。この場合、他方のウェハ要素は一体的なウェハとして実施されてもよく、又は、複数のウェハ小片から組立てられてもよい。
【0031】
さらに好ましい実施形態において、第1のウェハ要素は一体的な様式で実施され、第2のウェハ要素は、複数のウェハ小片をそれぞれ複数のナノワイヤを介して第1のウェハ要素に接続することによって、複数のウェハ小片から組立てられる。
【0032】
したがってこの実施形態においては、第2のウェハ要素は、1つの部品として第1のウェハ要素に接続されない。代わりに、第2のウェハ要素は、第1のウェハ要素上で組立てられて、これにより得られる。よって、ウェハ小片を基板上に接着剤で接合することによってウェハ要素を組立てるという上述のステップを省略できる。第2のウェハ要素を構成するウェハ小片は、互いに接する態様で又は互いから離間した態様で、第1のウェハ要素に固定することができる。
【0033】
本実施形態において、第2のウェハ要素となる各ウェハ小片として電子部品を提供し第1のウェハ要素に接続することによって、電子デバイスを製造することができる。第1のウェハ要素は、電子部品が互いに接続されて回路を形成する相互接続を有することが好ましい。この実施形態において、互いに接続されたウェハ要素を、別個のデバイスに分ける必要はない。
【0034】
本実施形態において、この方法は、互いに接続された状態の第1のウェハ要素と第2のウェハ要素とを得る方法として記載することも可能である。第1のウェハ要素は、一体的な様式で実施され、複数の第1のデバイス領域を備え、複数の第1のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。第2のウェハ要素は、複数の第2のデバイス領域を備え、複数の第2のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。これらのウェハ要素は互いに接続された状態で得られる。2つのウェハ要素の導体パッドは対になって、複数のナノワイヤを介して互いに接続されることにより、第2のウェハ要素が複数のウェハ小片から組立てられる。
【0035】
これの代わりに、第1のウェハ要素と第2のウェハ要素とが互いに接続される前において、第1のウェハ要素と第2のウェハ要素はそれぞれすでにそうしたものとして存在することが好ましい。
【0036】
ナノワイヤ接続を形成する好ましい可能性の2つを以下に説明する。
【0037】
これに関して、本方法の好ましい実施形態の1つにおいて、2つのウェハ要素は以下の方法ステップによって互いに接続される。
a)第1のウェハ要素の導体パッド上にのみ、複数のナノワイヤを設けるステップと、
b)ナノワイヤが第2のウェハ要素の導体パッドと接触するように、2つのウェハ要素をくっつけるステップと、
c)2つのウェハ要素を加熱するステップ。
【0038】
ステップa)において、ナノワイヤは一方のウェハ要素の導体パッドにのみ設けられるものであり、すなわち両方のウェハ要素の導体パッドには設けられない。ナノワイヤが両方のウェハ要素の導体パッドに設けられるという代替的な構成は、後述する実施形態の主題である。
【0039】
ナノワイヤは特に電解によって成長させることができ、これに関連して第1のウェハ要素の表面上に設けられてもよい。ナノワイヤを導体パッドの外側にも設けることについても、これを除外しない。しかし、ナノワイヤは導体パッド上にのみ設けられることが好ましい。これは、第1のウェハ要素の表面のリソグラフィパターン形成によって可能である。導体パッドに限定することによって、個々の対となった導体パッド同士の間の接続は、特に良好に、互いから電気的に絶縁される。結果的に、隣接する画素の相互作用を低減させることができる。
【0040】
ステップb)において、2つのウェハ要素はくっつけられる。この目的のために、2つのウェハ要素は、好ましくは、互いに平行になるように位置決めされ且つ整列され、これにより、2つのウェハ要素上の各導体パッドが互いに対向して配置される。その後、2つのウェハ要素は、互いに面接触するまで、互いに向かって移動される。2つのウェハ要素は、好ましくは共に押しつけられる。特に好ましくは、2つのウェハ要素は、1MPa~200MPaの範囲の圧力で、特に2MPa~20MPaの範囲の圧力で、共に押し付けられる。
【0041】
ステップc)において、ウェハ要素は加熱される。ウェハ要素が共に押し付けられる場合は、加熱はその最中又はその後又はその両方で行うことができる。この加熱によって、各ナノワイヤは、第2のウェハ要素の導体パッドと結合される。好ましくは、ステップc)において、2つのウェハ要素は、最低90℃、特に最低150℃に加熱される。好ましくは、ステップc)において、2つのウェハ要素は、最高270℃、特に最大240℃に加熱される。特に好ましくは、ステップc)において、2つのウェハ要素は、90℃~270℃の範囲、特に150℃~240℃の範囲の温度に加熱される。これらの温度は、公知のウェハ対ウェハ接合法で生じる温度よりもかなり低い。
【0042】
接続を形成するためには、前述の最低温度に、少なくとも短時間、一回達すれば十分であろう。その温度を維持する必要はない。しかし、ステップc)による加熱によって達成された温度が少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも30秒間維持されることが好ましい。このように、所望のとおりの接続を確実に形成することができる。温度をより長い時間維持することは、原則として、有害ではない。
【0043】
方法のさらに好ましい実施形態において、2つのウェハ要素は、以下の方法ステップによって互いに接続される。
A)第1のウェハ要素の導体パッド上と、第2のウェハ要素の導体パッド上とに、複数のナノワイヤを設けるステップと、
B)2つのウェハ要素のナノワイヤが互いに接触するように、2つのウェハ要素をくっつけるステップ。
【0044】
この実施形態において、ナノワイヤは、接続に関与する両方の導体パッドに設けられる。この場合、接続は、ナノワイヤが互いに噛み合い且つ互いに連結することによって実現する。
【0045】
ステップA)は、ステップa)と同様に行われる。ステップB)は、ステップb)と同様に行われる。この実施形態においては加熱が必要ない。これは、ナノワイヤ同士の接続の方が、表面積が大きいために、ナノワイヤ同士の接続はナノワイヤと導体パッドとの接続よりも容易に形成されるからである。しかし、本実施形態においても、この方法が以下をさらに含むことが好ましい。
C)2つのウェハ要素を加熱するステップ。
【0046】
ステップc)に関する上述の記載は、ステップC)に適用可能である。
【0047】
ステップa)からc)を含む実施形態又はステップA)からB)を含む実施形態又はステップC)を含む実施形態の代わりに、さらに好ましい実施形態によって接続を得ることもできる。この場合は、接続要素の2つの互いに反対側の表面に複数のナノワイヤが設けられる。この接続要素が2つのウェハ要素の間に配置され、それによってこれらのウェハ要素は接続要素を介して互いに接続される。これは、ステップb)及びc)と同様に行うことができる。その場合、ウェハ要素の導体パッドにはナノワイヤは設けられない。その代わりに、第1のウェハ要素の導体パッド上と第2のウェハ要素の導体パッド上とに、複数のナノワイヤが追加で設けられる。その場合、接続は、ステップB)及び任意選択のC)と同様に行われる。さらに、これら2つの代替例は互いと組み合わせることができる。これに関して、接続要素は、ステップb)及びc)と同様に第1のウェハ要素に接続され、且つ、ステップB)及び任意選択のC)と同様に第2のウェハ要素に接続されてもよい。接続要素は、好ましくは、箔として実施される。接続要素は、接続テープとも呼ばれることがある。ナノワイヤは、導体パッドの配置及び範囲のみに従って、接続要素に設けることが好ましい。そうすると、導体パッドの外側でウェハ要素間の接続が形成されないため、結果として接続間の短絡が回避される。
【0048】
本方法のさらに好ましい実施形態において、各第1のデバイス領域が互いに同一となるように実施されるか、又は、各第2のデバイス領域が互いに同一となるように実施されるか、又は、その両方である。
【0049】
各第1のデバイス領域が互いに同一となるように実施されることと、各第2のデバイス領域が互いに同一となるように実施されることとの組み合わせが好ましい。各第1のデバイス領域は、好ましくは、各第2のデバイス領域とは異なる。しかしながら、これの代わりに、各第1のデバイス領域が各第2のデバイス領域と同一となるように実施されてもよい。
【0050】
本方法のさらに好ましい実施形態において、各第1のデバイス領域が第1のウェハ要素上に格子状に配置されるか、又は、各第2のデバイス領域が第2のウェハ要素上に格子状に配置されるか、又は、その両方である。
【0051】
各第1のデバイス領域が第1のウェハ要素上に格子状に配置されることと、各第2のデバイス領域が第2のウェハ要素上に格子状に配置されることとの組み合わせが好ましい。
【0052】
格子状とは、各デバイス領域がそれぞれ、列及び行を有する規則正しいパターンに従って配置されることを意味する。こうした規則正しい配置は、特にウェハ小片を組立ててウェハ要素を形成することを容易にする。
【0053】
本方法のさらに好ましい実施形態において、互いに接続されたウェハ要素は、第1のデバイス領域の1つと、第2のデバイス領域の1つと有するデバイスが得られるように、分割される。
【0054】
この分割は、例えば互いに接続されたウェハ要素を切り分けることによって、実現してもよい。これは特に、2つのウェハ要素の各々が一体的なウェハとして実施される場合に当てはまる。複数のウェハ小片から組立てられたウェハが用いられる場合、分割は、個々のウェハ小片を再び互いから分離することによっても実現してもよい。これに関して、例えばウェハ小片と基板との間の接着剤をはがしてもよい。ウェハ小片の分離と切り分けとを組み合わせることも可能である。
【0055】
本方法のさらに好ましい実施形態において、各第1のデバイス領域はそれぞれ、DRAMとして実施されるか、又は、各第2のデバイス領域はそれぞれ、DRAMとして実施されるか、又は、その両方である。
【0056】
各第1のデバイス領域のそれぞれがDRAMとして実施されることと、各第2のデバイス領域のそれぞれがDRAMとして実施されることとの組み合わせが好ましい。
【0057】
本実施形態において、上述の方法は、DRAMを積層するために使用されてもよい。これはDRAMの積層とも呼ばれることがある。各第1のデバイス領域及び各第2のデバイス領域は、好ましくは互いに同一となるように実施される。よって、同一タイプのDRAMの積層を得ることができる。
【0058】
本発明のさらなる態様として、第1のウェハ要素と第2のウェハ要素とを備える装置を提示する。第1のウェハ要素は、複数の第1のデバイス領域を備え、複数の第1のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。第2のウェハ要素は、複数の第2のデバイス領域を備え、複数の第2のデバイス領域はそれぞれ、電子構造と、導体パッドとを有する。各ウェハ要素は、2つのウェハ要素の導体パッドによって互いに接続されており、導体パッドは対になって、複数のナノワイヤを介して互いに接続されている。
【0059】
本方法の前述の利点及び特徴は、本装置にも適用可能且つ移行可能であり、逆も同様である。本装置は、好ましくは、上述の方法によって製造される。上述の方法は、好ましくは、本装置が得られるように実施される。
【0060】
本発明のさらなる態様として、複数の撮像モジュールを製造する方法を提示する。複数の画像センサを有する第1のウェハ要素が設けられ、この複数の画像センサはそれぞれ、電子構造と、複数の導体パッドとを有する。複数の信号処理要素を有する第2のウェハ要素が設けられ、この複数の信号処理要素はそれぞれ、電子構造と、複数の導体パッドとを有する。各ウェハ要素は、2つのウェハ要素の導体パッドによって、互いに接続され、導体パッドは対になって、複数のナノワイヤを介して互いに接続される。互いに接続されたウェハ要素は、画像センサの1つと信号処理要素の1つとを有する撮像モジュールが得られるように、分割される。
【0061】
第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法及び装置の前述の利点及び特徴は、複数の撮像モジュールを製造する方法にも適用可能且つ移行可能であり、逆も同様である。この点において、上述の装置は、撮像モジュール用の中間製造物と解釈されるべきである。本装置を分割することによって撮像モジュールを得ることができる。したがって、本事例に記載の方法によって、複数の撮像モジュールを同時に製造できる。数の撮像モジュールを製造する方法において、好ましくは、第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する上述の方法に従って、ウェハ要素が互いに接続される。
【0062】
撮像モジュールは、画像信号を記録してそれらを処理後に出力できるモジュールを意味すると理解される。この目的のために、撮像モジュールのそれぞれは、画像センサと、信号処理要素とを備える。画像センサの各画素はそれぞれ、信号を生成し、その信号は信号処理要素において個別に処理される。この場合、画素と信号処理要素との距離を小さくすることによって、特に弱い電気信号であっても信号処理要素で処理できるようにし得る。信号処理要素は、好ましくは、少なくとも信号増幅用に設計されている。画素と信号処理要素との距離が小さいことにより、特に高い解像度と特に高い信号品質を有する特に小さい画像センサを可能となる。撮像モジュールは、好ましくは、写真用カメラやビデオカメラ用の撮像モジュールである。撮像モジュールは、ビデオモジュールとも呼ばれることがある。この用語は、静止画像も記録するビデオモジュールを除外しない。この点において、写真用カメラもビデオモジュールを含み得る。
【0063】
画像センサは、好ましくは、CMOSセンサ又はCCDセンサである。画像センサは、第1のデバイス領域を構成する。画像センサの画素は、フォトダイオードによって実現されてもよい。この場合、電子構造として複数のフォトダイオードが設けられてもよい。画像センサは、ビデオセンサ又はフォトセンサとも呼ばれることがある。信号処理要素は、第2のデバイス領域を構成する。この場合、電子構造として複数の電子デバイスが設けられてもよい。前述の電子デバイスは、画素の信号を処理するように設計されている。信号処理要素は、好ましくは、増幅器である。その代りとしては、信号処理要素として、マイクロコントローラ、フィルタ、シグナルコンディショナ、信号処理知能が好ましい。さらに、信号処理要素が前述の要素のうちの1つ以上を組み合わせることによって形成されることが好ましい。
【0064】
第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法の前述の利点は、特に撮像モジュールに適用する場合に利用できる。これに関して、各画像センサは、少なくとも百万の画素を有することが好ましい。その場合には、いわゆるメガピクセルセンサが関与する。形成すべきナノワイヤ接続の数は、これに対応して多くなる。特に高い解像度を有する特に小型の画像センサを製造可能にするために、これに対応して導体パッドを小さくし互いに近接して配置する必要がある。第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する上述の方法によって、1.5μmのピッチで0.5μm[マイクロメートル]のパッドサイズを確実に処理できる。これは撮像モジュールの製造における主要な利点である。
【0065】
本発明のさらなる態様として、撮像モジュールを提示する。この撮像モジュールは、電子構造と複数の導体パッドとを有する画像センサを備え、且つ、電子構造と複数の導体パッドとを有する信号処理要素を備える。画像センサの導体パッドは、複数のナノワイヤを介して信号処理要素の導体パッドに対になって接続される。
【0066】
第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法、装置、及び複数の撮像モジュールを製造する方法の、前述の利点及び特徴は、撮像モジュールにも適用可能且つ移行可能であり、逆も同様である。好ましくは、撮像モジュールは、複数の撮像モジュールを製造する方法によって製造された撮像モジュールのうちの1つである。複数の撮像モジュールを製造する方法は、好ましくは、前述の複数の撮像モジュールが得られるように実施される。
【0067】
本発明のさらなる態様として、電子デバイスを製造する方法を提示する。本方法は、
a)複数の導体パッドを有する基板を設けることと、
b)複数の電子部品を設けることと、
c)電子部品をそれぞれ、複数のナノワイヤを介して、基板の導体パッドの少なくとも1つに接続することと、を含む。
【0068】
第1のウェハ要素を第2のウェハ要素に接続する方法、装置、複数の撮像モジュールを製造する方法、及び撮像モジュールの前述の利点及び特徴は、本事例に記載の方法にも適用可能且つ移行可能であり、逆も同様である。
【0069】
本事例に記載の方法によって、電子デバイスを製造できる。電子デバイスは基板と複数の電子部品とを有し、各電子部品は基板に固定されている。基板は、好ましくは、ウェハ又はウェハ小片として実施されている。基板は、好ましくは、各電子部品を互いに接続し電子回路を形成する相互接続を有する。好適な電子部品は、特に、メモリデバイス又はプロセッサ等の集積回路である。特に、各電子部品の1つ又は複数が、DRAMであり得る。各電子部品はそれぞれ、好ましくは、ウェハ小片を有する。集積回路は、リソグラフィ法によってウェハ小片上に設けられてもよい。
【0070】
ステップa)及びb)において、基板とそれに接続される電子部品とが設けられた後、ステップc)において電子部品は基板に接続される。それは各電子部品のそれぞれに対して連続的に行うこともでき、又は、一部又は全ての電子部品に対して同時に行うこともできる。好ましくは、各電子部品は、グリッパによって、特に自動グリッパによって、基板上のそれぞれが設けられる位置に連続的に運ばれる。これに関して、電子デバイスを構築キット形式で製造することができる。
【0071】
基板は複数の導体パッドを有する。各電子部品に対して1つ又は複数の導体パッドが設けられる。ステップc)において、各電子部品は、各電子部品それぞれが対応する導体パッド又は対応する複数の導体パッドに接続されるように、基板に接続される。各電子部品もそれぞれ、1つ又は複数の導体パッドを含む。
【0072】
基板と電子部品との接続は、複数のナノワイヤを介して形成される。よって、特に良好な電気伝導性及び熱伝導性を有する機械的に安定な接続が、簡易な方式で得られる。さらに、電子部品を特に正確に位置決めできる。
【0073】
複数のナノワイヤそれぞれを、基板の対応する導体パッドに設けることによって、又は、対応する電子部品の1つ又は複数の導体パッドに設けることによって、又は、その両方によって、ナノワイヤによる接続を得ることができる。「両方による」場合、電子部品と基板とを簡単にくっつけた結果として接続が生じる。原則として、ナノワイヤが基板の導体パッド上のみに設けられるか、又は、電子部品の導体パッド上のみに設けられるかすれば十分である。しかし、特にこれら2つの場合には、基板又は電子部品又はその両方の導体パッドをくっつけた後に、特に最低90℃に、特に好ましくは、最低150℃に加熱することが好ましい。この場合の温度は、好ましくは最高270℃、特に最高240℃である。さらに、例えば接着剤などによって、さらに、一部又は全ての電子部品を基板に機械的に接続することが可能である。よって、接続を機械的に強化するためにナノワイヤ間の隙間を充填することが可能である。
【0074】
以下で、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。図面は特に好適な例示的実施形態を示すが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。図面及びそれに示す大小関係は、模式的なものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明によって利用可能な第1のウェハ要素を示す平面図である。
図2図1の第1のウェハ要素と、第2のウェハ要素とを備える、本発明による装置を示す側方断面図である。
図3図2の装置から得ることができる、本発明による撮像モジュールを示す側方断面図である。
図4】本発明によって利用可能な第1のウェハ要素の代替的な構成を示す平面図である。
図5】本発明によって製造される電子デバイスを示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1はウェハ要素1を示し、これは図2に示される第2のウェハ要素2と区別して第1のウェハ要素1と呼ばれる。第1のウェハ要素1は、一体的なウェハとして実施されている。第1のウェハ要素1は、複数の第1のデバイス領域3を有する。図説のために、4つの第1のデバイス領域3が示されている。実際には、第1のデバイス領域3をこれよりもはるかに多く設けることも可能である。第1のデバイス領域3はそれぞれ、電子構造5と、4個の導体パッド6とを有する。実際には、1つの第1のデバイス領域3に対して導体パッド6を4個よりもはるかに多く設けることも可能である。明瞭にするために、参照符号は1つの第1のデバイス領域3と、その電子構造5と、1つの導体パッド6とのみに対して示されている。各第1のデバイス領域3は、第1のウェハ要素1上に格子状に配置されている。各第1のデバイス領域3は、互いに同一となるように実施されている。
【0077】
図2は、図1の第1のウェハ要素1と、第2のウェハ要素2とを備える装置9の側方断面図を示す。第2のウェハ要素2は、第1のウェハ要素1と同様に実施されている。この点において、第2のウェハ要素2の概略平面図は、特に図1に示される第1のウェハ要素1の平面図とまさに同じように見え得る。第1のウェハ要素1と第2のウェハ要素2は、同じ基本構造を有する。しかし、第2のウェハ要素2は、第1のデバイス領域3の代わりに第2のデバイス領域4を有する。第2のデバイス領域4は、第1のデバイス領域3と異なっていてもよく、よってウェハ要素1、2も特にこの点で互いに異なっていてもよい。各第2のデバイス領域4は、第2のウェハ要素2上に格子状に配置されている。各第2のデバイス領域4は、互いに同一となるように実施されている。
【0078】
ウェハ要素1、2は、2つのウェハ要素1、2の導体パッド6によって互いに接続されており、これらの導体パッド6は対になって、複数のナノワイヤ7を介して、互いに接続されている。これは、第1のウェハ要素1の導体パッド6それぞれが、第2のウェハ要素2の導体パッド6のそれぞれ1つに接続されており、逆も同様であることを意味する。この点において、第1のウェハ要素1のまさに1つの導体パッド6と、第2のウェハ要素2のまさに1つの導体パッド6とからなる対が形成される。
【0079】
2つのウェハ要素1、2は、以下の方法ステップによって互いに接続されてもよい。
a)第1のウェハ要素1の導体パッド6上にのみ、複数のナノワイヤ7を設けるステップ、
b)ナノワイヤ7が第2のウェハ要素2の導体パッド6と接触するように、2つのウェハ要素1、2をくっつけるステップ、
c)2つのウェハ要素1、2を加熱するステップ。
【0080】
これの代わりに、2つのウェハ要素1、2は、以下の方法ステップによって互いに接続されてもよい。
A)第1のウェハ要素1の導体パッド6上と、第2のウェハ要素2の導体パッド6上に、複数のナノワイヤ7を設けるステップ、
B)2つのウェハ要素1、2のナノワイヤ7が互いに接触するように、2つのウェハ要素1、2をくっつけるステップ。
【0081】
互いに接続されたウェハ要素1、2は、第1のデバイス領域3の1つと第2のデバイス領域4の1つとを有するデバイス8が得られるように、分割することができる。
【0082】
図3は、こうしたデバイス8の一例として、図2の装置9から得ることができる撮像モジュール10を示す。撮像モジュール10は、第1のデバイス領域3としての画像センサ11と、第2のデバイス領域4としての信号処理要素12とを備える。信号処理要素12は、特に増幅器であってもよい。画像センサ11及び信号処理要素12はそれぞれ、電子構造5と、複数の導体パッド6とを有する。画像センサ11の各導体パッド6は、複数のナノワイヤ7を介して、信号処理要素12の各導体パッド6に対になって接続される。
【0083】
図4は、本発明によって使用可能な第1のウェハ要素1の代替的な構成を示す。第2のウェハ要素2も、図4に示されるように実施されてもよい。図1による構成とは対照的に、図4における第1のウェハ要素1は一体的な態様で実施されておらず、代わりに2つのウェハ小片13、14から組立てられている。第1のウェハ小片13は、図1に示されるように実施された第1のウェハ要素1の3/4に相当する。第1のウェハ小片13の上に、3つの第1のデバイス領域3が配置されている。第1のウェハ小片13は、第2のウェハ小片14と区別するために、斜線を付して示されている。第2のウェハ小片14は、図1に示されるように実施された第1のウェハ要素1の1/4に相当し、使用不可能な円形部分を伴わない。
【0084】
図5は、本発明によって製造される電子デバイス15の側方断面図を示す。この電子デバイス15は、基板16と、例として3つの電子部品17とを備える。各電子部品17はそれぞれ、対応する複数のナノワイヤ19を介して、基板16の1つ又は複数の導体パッド18に接続される。電子部品17は同様に対応する導体パッド18を有する。例えば、左に示される電子部品17は基板16の2つの導体パッド18に接続されており、他の2つの電子部品17はそれぞれ、1つの導体パッド18に接続されている。
【符号の説明】
【0085】
参照符号のリスト
1 第1のウェハ要素
2 第2のウェハ要素
3 第1のデバイス領域
4 第2のデバイス領域
5 電子構造
6 導体パッド
7 ナノワイヤ
8 デバイス
9 装置
10 撮像モジュール
11 画像センサ
12 信号処理要素
13 第1のウェハ小片
14 第2のウェハ小片
15 電子デバイス
16 基板
17 電子部品
18 導体パッド
19 ナノワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】