(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】フローストリーム中の試料を照射するためのデュアル励起ビーム、及びそれを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230725BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230725BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G01N15/14 P
G01N15/14 C
G01N21/64 F
G01N21/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580532
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021026552
(87)【国際公開番号】W WO2021262285
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ジズオ
(72)【発明者】
【氏名】マンザラガ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ディボールド,エリック ディー.
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA14
2G043FA03
2G043FA06
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA09
2G043LA02
2G057AA02
2G057AA03
2G057AA04
2G057AB01
2G057AB08
2G057AC01
2G057BA05
2G057CA01
(57)【要約】
本開示の態様は、フローストリーム中の試料を照射するための角度偏向レーザービームを生成するための方法を含む。特定の実施形態による方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光路に沿って伝播することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを角度偏向レーザービームの第2のセットと組み合わせ、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料上に導くことと、試料からの光を検出することとを含む。レーザーと、音響光学デバイスと、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された光学調節構成要素とを有するシステムもまた記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローストリーム中の試料を照射するためのシステムであって、
レーザーと、
前記レーザーによる照射に応答して、複数の角度偏向レーザービームを含む出力レーザービームを生成するように構成された音響光学デバイスと、
前記出力レーザービームから、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された第1の光学調節構成要素と、
角度偏向レーザービームの前記第1のセット及び角度偏向レーザービームの前記第2のセットを前記フローストリーム中の前記試料上に導くように構成された第2の光学調節構成要素と
を有する光ビーム生成器、並びに、
前記試料からの光を検出するための光検出構成要素
を備える、システム。
【請求項2】
前記音響光学デバイスは、音響光学偏向器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光ビーム生成器は、単一のレーザーを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の光学調節構成要素は、ビームスプリッタを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの前記第1のセットを、角度偏向レーザービームの前記第2のセットとは異なる光学平面に沿って伝播するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の光学調節構成要素は、望遠レンズ系を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記光検出構成要素は、
角度偏向レーザービームの前記第1のセットによって照射された前記試料からの光を検出するように構成された光検出器の第1のセットと、
角度偏向レーザービームの前記第2のセットによって照射された前記試料からの光を検出するように構成された光検出器の第2のセットと
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
光検出器の前記第1のセットは、角度偏向レーザービームの前記第1のセットによって照射された前記試料中の粒子からの光に応答して、時間領域蛍光放出信号を生成するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
プロセッサを含むコントローラを更に備え、
前記プロセッサは、前記プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、前記メモリは、前記メモリに記憶された命令を含み、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、複数の時間領域蛍光放出信号に基づいて、前記試料中の粒子の画像を生成させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
光検出器の前記第2のセットは、角度偏向レーザービームの前記第1のセットによって照射された前記試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定するように構成されている、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、粒子分析器である、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記粒子分析器は、フローサイトメータの一部である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
フローストリーム中の試料を照射するための方法であって、
角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することと、
角度偏向レーザービームの前記第1のセットを、角度偏向レーザービームの前記第2のセットとは異なる光路に沿って伝播することと、
角度偏向レーザービームの前記第1のセットを角度偏向レーザービームの前記第2のセットと組み合わせ、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料上に導くことと、
前記試料からの光を検出することと
を含む、方法。
【請求項14】
角度偏向レーザービームの前記第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、各々、局部発振器(LO)ビーム及び複数の高周波コムビームを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
音響光学デバイスをレーザーで照射して、前記局部発振器ビーム及び前記複数の高周波コムビームを生成することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光検出は、例えば、試料(例えば、生体試料)が疾患又は病態の診断に使用されるとき、試料の構成要素を特徴付けるためにしばしば使用される。試料が照射されると、光は、試料によって散乱され、試料を通して伝達されるだけでなく、試料によって(例えば、蛍光によって)放出され得る。形態、吸収率、及び蛍光標識の存在などの試料構成要素の変動は、試料によって散乱され、伝達され、又は放出される光の変動を引き起こし得る。これらの変動を定量化するために、光が集められ、検出器の表面に導かれる。
【0002】
試料内の構成要素を特徴付けるために光検出を利用する1つの技術は、フローサイトメトリーである。検出された光から生成されたデータを使用して、構成要素の特性を記録することができ、所望の材料を選別することができる。フローサイトメータは、血液試料などの流体試料を受容するための試料リザーバ、及びシース流体を含有するシースリザーバを典型的には含む。フローサイトメータは、シース流体をフローセルに方向付けながら、流体試料中の粒子(細胞を含む)をセルストリームとしてフローセルに移送する。
【0003】
フローセル内では、セルストリームの周りに液体シースが形成されて、セルストリームに実質的に均一な速度を付与する。フローセルは、ストリーム内の細胞を、フローセル内の光源の中心を通過するように流体力学的に絞り込む。光源からの光は、散乱として、若しくは透過分光法によって検出され得るか、又は試料内の1つ以上の構成要素によって吸収され、発光として再放出され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、フローストリーム中の試料を照射するための角度偏向レーザービームを生成するための方法を含む。特定の実施形態による方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光路に沿って伝播することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを角度偏向レーザービームの第2のセットと組み合わせ、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料上に導くことと、試料からの光を検出することとを含む。レーザーと、音響光学デバイスと、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された光学調節構成要素とを有するシステムもまた記載される。
【0005】
主題の方法の実施形態の実践では、フローストリーム中の試料を照射するための複数の角度偏向レーザービームが生成される。いくつかの実施形態では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射することによって、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを生成することを含む。いくつかの事例では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器である。特定の事例では、レーザーは、連続波レーザーである。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームのセットは、単一のレーザーから生成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の局部発振器(LO)ビーム及び第1の複数の高周波コムビームを含む角度偏向レーザービームの第1のセット、並びに第2の局部発振器ビーム及び第2の複数の高周波コムビームを含む角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することを含む。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、入力された局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを2つの異なる出力ビームセットに分割することによって生成され、各々が、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを有する。いくつかの実施形態では、各局部発振器ビームは、水平軸(例えば、以下により詳細に記載されるように、フローストリームの縦軸に直交する軸)に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する。いくつかの事例では、局部発振器ビームは、水平軸に沿ってトップハット強度プロファイルを有する。特定の例では、方法は、一定の強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成することと、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットが、各々、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する局部発振器ビームを含むように、(例えば、ビームスプリッタを用いて)局部発振器ビームを角度偏向レーザービームの各セットとともに伝播することとを含む。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、垂直軸に沿ってガウス強度プロファイルを有する。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、垂直軸に沿って超ガウス強度プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの高周波コムビームは、実質的に同じ強度を有する。いくつかの事例では、方法は、各高周波コムビームを同じ強度を有するように変調することを含む。実施形態では、水平軸に沿った角度偏向レーザービームの各々は、空間的に分離される。いくつかの事例では、各角度偏向レーザービームは、各出力レーザービームセット内の1つの他の角度偏向レーザービームと少なくとも部分的に重複する。
【0007】
実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットは、異なる光路に沿って伝播され、フローストリーム上に導かれる。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームのセットは、平行な光路に沿ってフローストリーム上に伝播される。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光学平面は、所定の距離で、角度偏向レーザービームの第2のセットの光学平面から空間的に分離されている。特定の事例では、方法は、例えば、角度偏向レーザービームの2つのセットがフローストリームの異なる垂直位置を照射する場合など、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の空間位置に導くことを含む。
【0008】
光は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットによる照射に応答して、フローストリーム中の試料から検出される。いくつかの実施形態では、光信号の第1のセットは、角度偏向レーザービームの第1のセットによる試料の照射に応答して生成され、光信号の第2のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットによる試料の照射に応答して生成される。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光は、複数の光電子倍増管によって検出され、光信号の第1のセットが、光電子倍増管によって生成され、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光は、複数のフォトダイオード(例えば、アバランシェフォトダイオードのアレイ)によって検出され、光信号の第2のセットが、フォトダイオードによって生成される。いくつかの事例では、光信号の第1のセットは、時間領域蛍光放出信号を含む。特定の事例では、方法は、時間領域蛍光放出信号に基づいて、試料中の粒子の画像を生成することを含む。特定の実施形態による画像を生成することは、蛍光信号のフーリエ変換を取得することによってなど、各蛍光放出信号を周波数非多重化することを含む。特定の実施形態では、光信号の第2のセットは、試料中の粒子からの光のスペクトルを含み、方法は、光信号の第2のセットに基づいて、試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定することを含む。
【0009】
本開示の態様は、また、フローストリーム中の試料を照射するためのシステムも含み、対象のシステム(例えば、粒子分析器)は、フローストリーム中の試料を照射するための光ビーム生成器構成要素と、照射された試料からの光を検出するための検出構成要素とを含む。実施形態では、光ビーム生成器は、レーザーと、レーザーによる照射に応答して、複数の角度偏向レーザービームを含む出力レーザービームを生成するように構成された音響光学デバイスと、角度偏向レーザービームの2つ以上のセットを生成するように構成された第1の光学調節構成要素と、角度偏向レーザービームの各セットをフローストリーム中の試料上に導くように構成された第2の光学調節構成要素とを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器(AOD)である。他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学周波数シフタ(AOFS)である。更に他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学変調器(AOM)である。いくつかの事例では、光ビーム生成器は、単一のレーザーを含み、角度偏向レーザービームの2つ以上のセットは、光ビーム生成器の単一のレーザーから生成される。いくつかの事例では、レーザーは、488nm連続波レーザーなどの連続波レーザーである。いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを生成するように構成されている。いくつかの事例では、光ビーム生成器は、水平軸(例えば、フローストリームの縦軸と直交する軸)に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成するように構成されている。特定の事例では、局部発振器ビームは、水平軸に沿ってトップハット強度プロファイルを有する。他の事例では、光ビーム生成器は、垂直軸に沿ってガウス強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成するように構成されている。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、垂直軸に沿って超ガウス強度プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、各々が実質的に同じ強度を有する複数の高周波コムビームを生成するように構成されている。実施形態では、光ビーム生成器によって生成される角度偏向レーザービームの各々は、水平軸に沿って空間的に分離されている。いくつかの事例では、各角度偏向レーザービームは、各出力レーザービームセット内の1つの他の角度偏向レーザービームと少なくとも部分的に重複する。
【0011】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、レーザーが照射された音響光学デバイスからの出力から、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された光学調節構成要素を含む。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの生成された第1のセットは、第1の局部発振器(LO)ビーム及び第1の複数の高周波コムビームを含み、角度偏向レーザービームの生成された第2のセットは、第2の局部発振器ビーム及び第2の複数の高周波コムビームを含む。いくつかの実施形態では、光学調節構成要素は、入力された局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを2つの異なる出力ビームセットに分割するように構成されたビームスプリッタであり、各々が、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを有する。いくつかの実施形態では、各局部発振器ビームは、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、垂直軸に沿ってガウス強度プロファイルを有する。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、垂直軸に沿って超ガウス強度プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの高周波コムビームは、実質的に同じ強度を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットをフローストリーム中の試料上に導くように構成された光学調節構成要素を含む。いくつかの事例では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光学平面に沿って伝播するように構成されている。特定の事例では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームのセットを、フローストリーム上の異なる垂直位置など、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の空間位置に導くように構成されている。特定の実施形態では、光学調節構成要素は、望遠レンズ系である。
【0013】
本開示のシステムは、フローストリーム中の照射された試料からの光を検出するための光検出構成要素を含む。いくつかの実施形態では、光検出構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器の第1のセットと、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器の第2のセットとを含む。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器は、複数の光電子倍増管を含む。特定の事例では、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器は、複数のフォトダイオードを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付の図面と併せて読み取るときに、以下の詳細な説明から最もよく理解することができる。図面には、以下の図が含まれる。
【0015】
【
図1】特定の実施形態による、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで試料を照射するためのフローチャートを示す。
【
図2】特定の実施形態による、複数の角度偏向レーザービームでフローストリーム中の試料を照射するためのシステムを示す。
【
図3】特定の実施形態による、角度偏向レーザービームの2つのセットでのフローセル内のフローストリームの照射を示す。
【
図4A】特定の実施形態による、計算ベースの試料分析及び粒子特徴付けのための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。
【
図4B】特定の実施形態によるフローサイトメータを示す。
【
図5】特定の実施形態による粒子分析器制御システムの一実施例のための機能ブロック図を示す。
【
図6】特定の実施形態によるコンピューティングシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の態様は、フローストリーム中の試料を照射するための角度偏向レーザービームを生成するための方法を含む。特定の実施形態による方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光路に沿って伝播することと、角度偏向レーザービームの第1のセットを角度偏向レーザービームの第2のセットと組み合わせ、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料上に導くことと、試料からの光を検出することとを含む。
【0017】
レーザーと、音響光学デバイスと、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された光学調節構成要素とを有するシステムもまた記載される。
【0018】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0019】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びこの記載の範囲内の任意の他の記載される値又は中間値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、個別により小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0020】
本明細書では、数値の前に「約」という用語が付けられて、特定の範囲が提示される。本明細書では、「約」という用語は、それが先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近い、又は近似する数について文字通りの支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか、又は近似するか否かを判定するとき、その近い又は近似する列挙されない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0021】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本発明の実践又は試験にも使用され得るが、代表的で例示的な方法及び材料が、以下に記載される。
【0022】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が参照によって組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれ、参照によって本明細書に組み込まれることによって、それらの刊行物が引用される関連した方法及び/又は材料を開示及び記載する。いかなる刊行物の引用も、出願日以前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、個別に確認される必要がある場合がある。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的要素を除外するように起草され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙に関連した「もっぱら(solely)」及び「のみ(only)」などの排他的用語の使用のための、又は「消極的な」限定の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0024】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0025】
装置及び方法は、機能的な説明を伴う文法的流動性のために記載されている、又は記載されるが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明示的に策定されない限り、「手段」又は「ステップ」制限の構築によって必ずしも制限されるものと解釈されるべきではなく、同等物の法制定基礎原則の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び同等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条下で明示的に策定される場合、米国特許法第112条下で完全な法定同等物が付与されるべきであることを明示的に理解されたい。
【0026】
上記で要約したように、本開示は、レーザー光の角度偏向ビームでフローストリーム中の試料を照射するための方法を提供する。本開示の実施形態の更なる記載において、レーザー光の角度偏向ビームでフローストリームを照射するための方法が、最初に、より詳細に記載される。次に、レーザー、音響光学デバイス、及び角度偏向レーザービームのセットを生成するための光学調節構成要素を有する光ビーム生成器構成要素と、フローストリーム中の照射された試料からの光を検出するための光検出構成要素とを有する、主題の方法を実践するためのシステムもまた記載される。主題のシステムの1つ以上の構成要素を有するキットもまた提供される。
【0027】
レーザー光の角度偏向ビームでフローストリームを照射するための方法
本開示の態様は、フローストリーム中の試料を照射するための角度偏向レーザービームを生成するための方法を含む。特定の実施形態による方法を実践する際に、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットが生成され、2つの異なる光路に沿って伝播される。「角度偏向レーザービーム」という用語は、本明細書では、印加された高周波駆動信号によって生成される、音響光学デバイス内の音響波の相互作用を介して生成されるレーザービームを指すために、その従来の意味で使用され、レーザーからの光ビームは、光学周波数のシフト及び伝播角の偏向を有する1つ以上のビームレットを生成する。角度偏向レーザービームの各セットは、例えば、3つ以上のビームレット、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、12個以上、例えば、16個以上、例えば、24個以上、及び48個以上のビームレットを含む、複数のレーザービームレットを含む。
【0028】
実施形態では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含む。対象のレーザーには、パルスレーザー又は連続波レーザーが含まれ得る。主題の方法で使用されるレーザーのタイプ及び数は、相違し得、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、CO2レーザー、COレーザー、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザー、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザー、又はそれらの組み合わせなどのガスレーザーであり得る。他の事例では、方法は、スチルベン、クマリン、又はローダミンレーザーなどの色素レーザーで音響光学デバイスを照射することを含む。更に他の事例では、方法は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザー、又は金レーザー、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザーで音響光学デバイスを照射することを含む。更に他の事例では、方法は、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVO4レーザー、Nd:YCa4O(BO3)3レーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウムYAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Yb2O3レーザー、又はセリウムドープレーザー、及びそれらの組み合わせなどの固体レーザーで音響光学デバイスを照射することを含む。更に他の事例では、方法は、半導体ダイオードレーザー、光励起半導体レーザー(OPSL)、又は上述のレーザーのいずれかの周波数2倍若しくは周波数3倍実装を含む。
【0029】
出力レーザービームで生成される光の所望の波長(例えば、フローストリーム中の試料を照射する際に使用するための)に応じて、レーザーは、例えば、250nm~1250nm、例えば、300nm~1000nm、例えば、350nm~900nm、及び400nm~800nmを含めて、200nm~1500nmで相違する特定の波長を有し得る。音響光学デバイスは、例えば、2つ以上のレーザー、例えば、3つ以上のレーザー、例えば、4つ以上のレーザー、例えば、5つ以上のレーザー、及び10個以上のレーザーを含めて、1つ以上のレーザーで照射され得る。レーザーは、いくつかのタイプのレーザーの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、音響光学デバイスを、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザー、及び1つ以上の固体レーザーを有するアレイなどの、レーザーアレイで照射することを含む。
【0030】
2つ以上のレーザーが採用される場合、音響光学デバイスは、同時に若しくは順次に、又はそれらの組み合わせでレーザーで照射され得る。例えば、音響光学デバイスは、レーザーの各々で同時に照射され得る。他の実施形態では、音響光学デバイスは、レーザーの各々で順次に照射される。音響光学デバイスを順次に照射するための2つ以上のレーザーが採用される場合、各レーザーが音響光学デバイスを照射する時間は、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上、例えば、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上を含めて、個別に0.001マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、例えば、0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の持続時間の間、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含み得る。音響光学デバイスが2つ以上のレーザーで順次に照射される実施形態では、音響光学デバイスが各レーザーによって照射される持続時間は、同じであっても異なってもよい。
【0031】
各レーザーによる照射間の期間もまた、所望に応じて、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上まで、例えば、15マイクロ秒以上まで、例えば、30マイクロ秒以上まで、及び60マイクロ秒以上を含めて、0.001マイクロ秒以上の遅延によって個別に分離して、相違し得る。例えば、各光源による照射間の期間は、例えば、0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各レーザーによる照射間の期間は、10マイクロ秒である。音響光学デバイスが2つを超える(すなわち、3つ以上の)レーザーによって順次に照射される実施形態では、各レーザーによる照射間の遅延は、同じであっても異なってもよい。特定の実施形態では、音響光学デバイスは、単一のレーザーで照射され、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、単一のレーザーで生成される。
【0032】
音響光学デバイスは、連続的に、又は離散的な間隔で照射され得る。いくつかの事例では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで連続的に照射することを含む。他の事例では、音響光学デバイスは、例えば、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎の照射を含めて、離散的な間隔で、又は何らかの他の間隔で、レーザーで照射される。
【0033】
レーザーに応じて、音響光学デバイスは、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、2.5mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、15mm以上、例えば、25mm以上、及び50mm以上を含めて、相違する距離から照射され得る。また、角度又は照射もまた、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び、例えば、90°の角度で、30°~60°を含めて、10°~90°の範囲で相違し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射することと、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビーム生成することとを含み、例えば、生成された角度偏向レーザービームは、局部発振器ビームと、例えば、3つ以上の高周波コムビーム、例えば、4つ以上の高周波コムビーム、例えば、5つ以上の高周波コムビーム、例えば、6つ以上の高周波コムビーム、例えば、7つ以上の高周波コムビーム、例えば、8つ以上の高周波コムビーム、例えば、9つ以上の高周波コムビーム、例えば、10個以上の高周波コムビーム、例えば、12個以上の高周波コムビーム、例えば、16個以上の高周波コムビーム、例えば、24個以上の高周波コムビームである2つ以上の高周波コムビームとを、局部発振器ビームと、48個以上の高周波コムビームとを含めて、含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、レーザーが照射される音響光学デバイスは、音響光学偏向器(AOD)である。他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学周波数シフタ(AOFS)である。更に他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学変調器(AOM)である。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、音響光学デバイスを照射しながら、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、角度偏向レーザービームを生成することを含む。2つ以上の高周波駆動信号は、音響光学デバイスに印加されて、例えば、3つ以上の高周波駆動信号、例えば、4つ以上の高周波駆動信号、例えば、5つ以上の高周波駆動信号、例えば、6つ以上の高周波駆動信号、例えば、7つ以上の高周波動信号、例えば、8つ以上の高周波駆動信号、例えば、9つ以上の高周波駆動信号、例えば、10個以上の高周波駆動信号、例えば、15個以上の高周波駆動信号、例えば、25個以上の高周波駆動信号、例えば、50個以上の高周波駆動信号、及び100個以上の高周波駆動信号を含めて、所望の数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成することができる。
【0037】
特定の実施形態では、高周波駆動信号によって生成された角度偏向レーザービームは、各々、印加された高周波駆動信号の振幅に基づいた強度を有する。実施形態では、方法は、所望の強度で角度偏向レーザービームを生成するために十分な振幅を有する高周波駆動信号を印加することを含む。いくつかの実施形態では、それぞれの印加された高周波駆動信号は、独立して、例えば、約0.005V~約400V、例えば、約0.01V~約300V、例えば、約0.05V~約200V、例えば、約0.1V~約100V、例えば、約0.5V~約75V、例えば、約1V~約50V、例えば、約2V~40V、例えば、3V~約30V、及び約5V~約25Vを含めて、約0.001V~約500Vの振幅を有する。いくつかの実施形態では、印加される各高周波駆動信号は、例えば、約0.005MHz~約400MHz、例えば、約0.01MHz~約300MHz、例えば、約0.05MHz~約200MHz、例えば、約0.1MHz~約100MHz、例えば、約0.5MHz~約90MHz、例えば、約1MHz~約75MHz、例えば、約2MHz~約70MHz、例えば、約3MHz~約65MHz、例えば、約4MHz~約60MHz、及び約5MHz~約50MHzを含めて、約0.001MHz~約500MHzの周波数を有する。
【0038】
特定の事例では、方法は、Diebold,et al.Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)に記載されるもの、並びに米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号、同第9,983,132号、同第10,006,852号、同第10,078,045号、同第10,036,699号、同第10,222,316号、同第10,288,546号、同第10,324,019号、同第10,408,758号、同第10,451,538号、同第10,620,111号、並びに米国特許公開第2017/0133857号、同第2017/0328826号、同第2017/0350803号、同第2018/0275042号、同第2019/0376895号、及び同第2019/0376894号に記載されるものなどの音響光学デバイスを照射することによって、周波数シフトされた光の複数の角度偏向ビームを生成することを含み、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
主題の方法を実践する際に、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを有する出力レーザービームから生成される。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することは、音響光学デバイスからの出力レーザービームを、角度偏向レーザービームの2つの異なるセットに光学的に分割することを含む。局部発振器ビーム及び複数の高周波数コムビームを有する音響光学デバイスからの出力レーザービームは、ビームスプリッタを用いてなど、任意の便利な光学調節プロトコルを使用して分割され得る。「ビームスプリッタ」という用語は、本明細書では、光の所定の部分が各光路に沿って伝播されるように、2つ以上の異なる、かつ空間的に分離された光路に沿って光ビームを伝播するように構成される光学構成要素を指すために、その従来の意味で使用される。他のタイプのビームスプリッタの中でも、三角形プリズム、銀めっきされたミラープリズム、二色性ミラープリズムを用いてなど、任意の便利な光ビーム分割プロトコルを採用してもよい。ビームスプリッタは、ビームスプリッタが各光路に沿って所望の量及び波長の光を伝播することができる限り、任意の好適な材料から形成され得る。例えば、対象のビームスプリッタは、ガラス(例えば、N-SF10、N-SF11、N-SF57、N-BK7、N-LAK21、又はN-LAF35ガラス)、シリカ(例えば、溶融シリカ)、クォーツ、結晶(例えば、CaF2結晶)、セレン化亜鉛(ZnSe)、F2、ゲルマニウム(Ge)チタン酸塩(例えば、S-TIH11)、ホウケイ酸塩(例えば、BK7)から形成され得る。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、例えば、これらに限定されないが、他の高分子プラスチック材料の中でも、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、又はこれらの熱可塑性プラスチックのコポリマー、例えば、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)などの高分子材料から形成される。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、ポリエステルから形成され、対象のポリエステルは、これらに限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ボトルグレードPET(モノエチレングリコール、テレフタリン酸、並びにイソフタル酸、シクロヘキセンジメタノールなどの他のコモノマーに基づいて作製されたコポリマー)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、及びポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)などのポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート)、及びポリ(ヘキサメチレンアジペート)などのポリ(アルキレンアジペート)、ポリ(エチレンスベレート)などのポリ(アルキレンスベレート)、ポリ(セバシン酸エチレン)などのポリ(アルキレンセバケート)、ポリ(ε-カプロラクトン)及びポリ(β-プロピオラクトン)、ポリ(エチレンイソフタレート)などのポリ(アルキレンイソフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート)などのポリ(アルキレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(エチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)などのポリ(アルキレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(p-フェニレンエチレンジカルボキシレートなどのポリ(p-フェニレンアルキレンジカルボキシレート)、ポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルエチレンジカルボキシレート)などのポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルアルキレンジカルボキシレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、ポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、(S)-ポリルアクチド、(R,S)-ポリルアクチド、ポリ(テトラメチルグリコリド)、及びポリ(ラクチド-co-グリコリド)などの乳酸ポリマー及びコポリマー、並びにビスフェノールAのポリカーボネート、3,3’-ジメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラメチルフェノールA、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(例えばMylar(商標)ポリエチレンテレフタレート)、これらの組み合わせなどを含み得る。
【0040】
特定の実施形態では、光学調節構成要素は、楔形ビームスプリッタである。これらの実施形態では、ビームスプリッタは、楔形ビームスプリッタを介して収集された光の伝播が、光散乱検出器及び明視野光検出器のうちの1つ以上に伝播される光の角度のわずかな変化をもたらすように、非共線的後方反射を生成する楔角度を有するビームスプリッタである。本開示の実施形態による楔形ビームスプリッタは、収集された光の入射角の変化が伝播された光の角度に、例えば、0.005%以上、例えば、0.01%以上、例えば、0.05%以上、例えば、0.1%以上、例えば、0.5%以上、例えば、1%以上、例えば、2%以上、例えば、3%以上、例えば、5%以上、及び10%以上を含めて、0.001%以上で偏差をもたらす楔角度を有する。いくつかの実施形態では、楔形ビームスプリッタは、例えば、10アーク分~115アーク分、例えば、15アーク分~110アーク分、例えば、20アーク分~105アーク分、例えば、25アーク分~100アーク分、例えば、30アーク分~105アーク分、例えば、35アーク分~100アーク分、例えば、40アーク分~95アーク分、及び45アーク分~90アーク分を含めて、5アーク分~120アーク分の楔角度を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、楔形ビームスプリッタは、150nm~5μm、180nm~8μm、185nm~2.1μm、200nm~6μm、200nm~11μm、250nm~1.6μm、350nm~2μm、600nm~16μm、1.2μm~8μm、2μm~16μm、又はいくつかの他の波長範囲の透過性ウィンドウを有する。
【0042】
対象のビームスプリッタは、音響光学デバイスから出力された角度偏向レーザービームを、角度偏向レーザービームの2つの異なるセットに分割するように構成されている。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、例えば、5:95~95:5、例えば、10:90~90:10、例えば、20:80~80:20、例えば、25:75~75:25、及び50:50のビーム分割比を含めて、1:99~99:1の角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとのビーム分割光比を有し得る。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、50:50のビームスプリッタであり、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットと同一である(例えば、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットと同じ振幅及び周波数を有する)。
【0043】
いくつかの実施形態では、生成された角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットの各々は、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを含む。例えば、生成された角度偏向レーザービームの各セットは、局部発振器ビームと、例えば、3つ以上の高周波コムビーム、例えば、4つ以上の高周波コムビーム、例えば、5つ以上の高周波コムビーム、例えば、6つ以上の高周波コムビーム、例えば、7つ以上の高周波コムビーム、例えば、8つ以上の高周波コムビーム、例えば、9つ以上の高周波コムビーム、例えば、10個以上の高周波コムビーム、例えば、12個以上の高周波コムビーム、例えば、16個以上の高周波コムビーム、例えば、24個以上の高周波コムビームである2つ以上の高周波コムビームとを、局部発振器ビームと、48個以上の高周波コムビームとを含めて、含み得る。
【0044】
実施形態では、生成された角度偏向レーザービームの各セット内の高周波コムビームは、空間的に分離されている。音響光学デバイスに印加された高周波駆動信号に応じて、角度偏向レーザービームは、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、5μm以上、例えば、10μm以上、例えば、100μm以上、例えば、500μm以上、例えば、1000μm以上、及び5000μm以上を含めて、0.001μm以上で分離され得る。いくつかの実施形態では、高周波コムビームのうちの1つ以上は、角度偏向レーザービームの各セットの水平軸に沿って、例えば、隣接するレーザービームと重複する。隣接する角度偏向レーザービーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、例えば、0.005μm以上の重複、例えば、0.01μm以上の重複、例えば、0.05μm以上の重複、例えば、0.1μm以上の重複、例えば、0.5μm以上の重複、例えば、1μm以上の重複、例えば、5μm以上の重複、例えば、10μm以上の重複、及び100μm以上の重複を含めて、0.001μm以上の重複であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、各縁部から中心への実質的に一定の強度を有するビームプロファイルを有し、例えば、ビームプロファイルの水平軸にわたる強度が、例えば、9%以下、例えば、8%以下、例えば、7%以下、例えば、6%以下、例えば、5%以下、例えば、4%以下、例えば、3%以下、例えば、2%以下、例えば、1%以下、例えば、0.5%以下、例えば、0.1%以下、例えば、0.05%以下、例えば、0.01%以下、及びビームプロファイルの水平軸にわたる強度が0.001%以下で変化することを含めて、10%以下で変化する。いくつかの実施形態では、各角度偏向レーザービームの局部発振器ビームは、水平軸に沿ってトップハット強度プロファイルを有する。「トップハット」という用語は、本明細書では、照射のビームの光軸に直交する1つ以上の軸に沿ってほぼ均一なフルエンス(エネルギー密度)を有する照射のビームを指すために、その従来の意味で使用される。実施形態では、トップハット強度プロファイルを有する出力光ビームは、水平軸に沿って各縁部から中心への相対強度における偏差がほとんど又は全く呈されず、対象のトップハット強度プロファイルを有する光ビームは、水平軸に沿った縁部における強度の95%~99.9%である、中心における強度を有し、例えば、水平軸に沿った縁部における強度の98%~99%を含む、96%~99.5%である。
【0046】
他の実施形態では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、水平軸に沿って超ガウス強度プロファイルを有するビームプロファイルを有する。「超ガウス」という用語は、本明細書では、照射ビームの光軸に直交する1つ以上の軸に沿ったビームプロファイルの中心で、わずかに大きいエネルギー密度を有する照射ビームを指すために、その従来の意味で使用される。実施形態では、超ガウス強度プロファイルを有する局部発振器ビームは、対応するガウス強度プロファイルよりも、水平軸に沿ってビームの縁部においてより大きなフルエンスを呈する。一例では、超ガウス強度プロファイルを有する光ビームは、水平軸に沿ってビームの中心における強度の70%~90%である、縁部における強度を有し、例えば、水平軸に沿ってビームの中心における強度の80%~90%である縁部における強度を含む、75%~85%である。
【0047】
いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの各セット内の複数の高周波コムビームのうちの2つ以上は、水平軸に沿って実質的に同じ強度を有する。角度偏向レーザービームの各セット内の高周波コムビームの数に応じて、例えば、3つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、4つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、5つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、6つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、7つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、8つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、9つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、10個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、12個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、16個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、24個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、及び48個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合を含めて、高周波コムビームのうちの2つ以上が同じ強度を有し得る。
【0048】
他の実施形態では、異なる強度を有する角度偏向レーザービームの各セット内の高周波コムビームの数は、例えば、2つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、3つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、4つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、5つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、6つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、7つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、8つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、9つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、10個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、12個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、16個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、24個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、及び48個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合を含めて、異なり得る。
【0049】
特定の実施形態では、方法は、また、例えば、水平軸又は垂直軸に沿ってなど、角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットのうちの1つ以上の高周波数コムビームの強度プロファイルを判定することを含む。高周波数コムビームの強度プロファイルは、他の光検出器のタイプの中でも、走査スリットプロファイラ、電荷結合素子(CCD、例えば、増感型電荷結合素子(ICCD))、位置決めセンサ、電力センサ(例えば、サーモパイル電力センサ)、光学電力センサ、エネルギーメータ、デジタルレーザー光度計、レーザーダイオード検出器を含むがこれらに限定されない、任意の便利なプロトコルで測定され得る。いくつかの事例では、高周波コムビームの強度プロファイルを判定するために、各高周波コムビームの相対強度は、出力光ビームの(直交する水平軸に沿って)光軸からの距離の関数としてプロットされて、照射点における強度プロファイルを判定する。特定の実施形態では、光軸から所定の距離での相対強度の偏差は、出力光ビームのビームプロファイルが、水平軸に沿って各縁部から中心に実質的に一定の強度を呈するか否かを判定するために計算される。他の実施形態では、相対強度の偏差は、出力光ビームのビームプロファイルの水平軸全体にわたって計算されて、出力光ビームが縁部から中心に実質的に一定の強度を呈するか否かを判定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、光の角度偏向ビームの各セットの高周波コムビームの強度プロファイルは、出力レーザービームの画像をキャプチャすることによって判定される。例えば、方法は、出力レーザービームの、例えば、3つ以上の画像、例えば、4つ以上の画像、例えば、5つ以上の画像、例えば、6つ以上の画像、例えば、7つ以上の画像、例えば、8つ以上の画像、例えば、9つ以上の画像、例えば、10個以上の画像、例えば、25個以上の画像、例えば、50個以上の画像、及び100個以上の画像をキャプチャして、水平軸に沿って出力レーザービームの強度プロファイルを判定することを含めて、出力レーザービームの2つ以上の画像をキャプチャして、水平軸に沿って出力レーザービームの強度プロファイルを判定することを含み得る。2つ以上の画像がキャプチャされる場合、複数の画像が、デジタル画像処理アルゴリズムを有するプロセッサによってまとめて自動的にスティッチングされてもよい。
【0051】
角度偏向レーザービームの各セットの高周波コムビームからの出力レーザービームの画像は、電荷結合素子、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、又はN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサを含むが、これらに限定されない、光学画像をキャプチャし、電子データ信号に変換することが可能な任意の好適なデバイスでキャプチャされてもよい。いくつかの実施形態では、撮像センサは、CCDカメラである。例えば、カメラは、CCD(EMCCD)カメラ又は増感型CCD(ICCD)カメラであってもよい。他の実施形態では、撮像センサは、CMOS型カメラである。
【0052】
特定の実施形態では、方法は、2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,080号に記載されているような、角度偏向レーザービームの各セットの高周波コムビームのビームプロファイルを判定及び調節することを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
主題の方法を実践する際に、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、光学的に組み合わされる。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットからの1つ以上の光ビームが重複するように、単一の光路に沿って組み合わされ、伝播される。例えば、角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットのうちの角度偏向レーザービーム(例えば、高周波コムビーム)のうちの、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、12個以上、例えば、16個以上、例えば、24個以上、並びに角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットのうちの角度偏向レーザービームのうちの48個以上が重複し得ることを含めて、2つ以上が重複し得る。
【0054】
他の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットからの任意の光ビーム間の重複がないように、2つの平行な光路に沿って組み合わされ、伝播される。この実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光路は、角度偏向レーザービームの第2のセットから空間的に分離されている。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光路は、角度偏向レーザービームの第2のセットから、例えば、0.00005mm以上、例えば、0.0001mm以上、例えば、0.005mm以上、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、及び2mm以上を含めて、0.00001mm以上で分離される。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる平行な光学平面に沿って組み合わされ、伝播される。特定の事例では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光学平面は、角度偏向レーザービームの第2のセットの光学平面から、例えば、0.00005mm以上、例えば、0.0001mm以上、例えば、0.005mm以上、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、及び2mm以上を含めて、0.00001mm以上で空間的に分離される。
【0055】
実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、フローストリームを照射するように導かれる。いくつかの実施形態では、方法は、フローストリーム上の同じ位置を、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射することを含む。他の実施形態では、方法は、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されるフローストリーム上の位置と重複するフローストリーム上の位置を角度偏向レーザービームの第1のセットで照射することを含む。例えば、角度偏向レーザービームの第1のセットで照射されるフローストリーム上の位置は、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されるフローストリーム上の位置と、例えば、0.00005μm以上、例えば、0.0001μm以上、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、10μm以上、例えば、50μm以上、例えば、100μm以上、及び1000μm以上を含めて、0.00001μm以上で重複し得る。
【0056】
他の実施形態では、方法は、フローストリーム上の第1の位置を、角度偏向レーザービームの第1のセットで照射することと、フローストリーム上の第2の位置を、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射することとを含む。例えば、方法は、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の垂直位置を、角度偏向レーザービームの第1のセットで照射することを含み得る。フローストリームの流量に応じて、方法は、フローストリームを、角度偏向レーザービームの第2のセットで、角度偏向光ビームの第1のセットによる照射の位置から、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、5μm以上、例えば、10μm以上、例えば、100μm以上、例えば、250μm以上、例えば、500μm以上、及びフローストリームを、角度偏向レーザービームの第2のセットで、角度偏向光ビームの第1のセットによる照射の位置から1000μm以上下流の位置において照射することを含めて、0.001μm以上下流の位置において照射することを含み得る。
【0057】
本開示の方法は、また、フローストリーム中の照射された試料からの光を検出することも含む。好適な光検出プロトコルは、これらに限定されないが、他の光検出器の中でも、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、増感型電荷結合素子(ICCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ又はN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサ、発光ダイオード、フォトンカウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体又はフォトダイオード、並びにこれらの組み合わせなどの光学センサ又は光検出器を含む。
【0058】
フローストリームからの光信号は、例えば2つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長、及び400個以上の異なる波長でフローストリームからの光を測定することを含む、1つ以上の波長で測定され得る。いくつかの実施形態では、方法は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって光を測定することを含む。例えば、方法は、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって、光のスペクトルを収集することを含み得る。更に他の実施形態では、方法は、1つ以上の特定の波長でフローストリームから光を測定することを含む。例えば、光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で測定され得る。特定の実施形態では、方法は、特定のフルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応する光の波長を測定することを含む。
【0059】
フローストリームからの光は、連続的に、又は別個の間隔で測定され得る。場合によっては、方法は、光の測定を連続的に行うことを含む。他の事例では、その光は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎を含めて、光を測定するなどの離散的な間隔で、又は何らかの他の間隔で測定される。光の測定は、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば5回以上、及び10回以上を含む、主題の方法中に1回以上行われ得る。特定の実施形態では、光伝播は、2回以上測定され、特定の事例では、データは平均化される。
【0060】
いくつかの実施形態では、方法は、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第1のセットで検出することと、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第2のセットで検出することとを含む。いくつかの事例では、光検出器の第1のセットは、例えば、2つ以上の光電子倍増管、例えば、3つ以上の光電子倍増管、例えば、4つ以上の光電子倍増管、例えば、5つ以上の光電子倍増管、例えば、6つ以上の光電子倍増管、例えば、7つ以上の光電子倍増管、例えば、8つ以上の光電子倍増管、例えば、9つ以上の光電子倍増管、例えば、10個以上の光電子倍増管、例えば、12個以上の光電子倍増管、及び16個以上の光電子倍増管を含めて、複数の光電子倍増管を含む。他の事例では、光検出器の第1のセットは、例えば、2つ以上のフォトダイオード、例えば、3つ以上のフォトダイオード、例えば、4つ以上のフォトダイオード、例えば、5つ以上のフォトダイオード、例えば、6つ以上のフォトダイオード、例えば、7つ以上のフォトダイオード、例えば、8つ以上のフォトダイオード、例えば、9つ以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、例えば、12個以上のフォトダイオード、及び16個以上のフォトダイオードを含めて、複数のフォトダイオードを含む。
【0061】
実施形態では、方法は、光検出器の第1のセットで光信号を生成することと、光検出器の第2のセットで光信号を生成することとを含む。いくつかの事例では、生成された光信号は、フローストリーム中の粒子(例えば、細胞)からの周波数符号化された蛍光データを含む。特定の事例では、フローストリーム中の粒子からの周波数符号化された蛍光データは、粒子の空間データを与えるように変換される。いくつかの実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子構成要素の比率サイズ(例えば、細胞の細胞質の水平寸法に対する核の水平寸法の比率)を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、周波数符号化された蛍光データは、周波数符号化された蛍光データのフーリエ変換によって変換される。いくつかの事例では、周波数符号化された蛍光データは、周波数符号化された蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)によって変換される。他の事例では、空間データは、周波数符号化された蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって計算される。更に他の事例では、空間データは、周波数符号化された蛍光データをヘテロダイン及び非多重化するために、デジタルロックイン増幅器を用いて計算される。特定の実施形態では、方法は、また、2020年5月29日に出願された米国特許出願第16/887,538号に記載されるような、位相補正構成要素を用いて周波数符号化された蛍光データの変換を実行することによって空間データを計算することを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、周波数符号化された蛍光データからフローストリーム中の粒子の画像を生成することを含む。いくつかの実施形態では、粒子の画像は、検出された光吸収、検出された光散乱、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化された蛍光から生成され得る。特定の事例では、粒子の画像は、周波数符号化された蛍光データのみから生成される。他の事例では、オブジェクトの画像は、周波数符号化された蛍光データと、例えば、明視野光検出器からなど、試料から検出された光吸収とから生成される。更に他の事例では、粒子の画像は、側方散乱検出器、前方散乱検出器、又は側方散乱検出器と前方散乱検出器との組み合わせからなど、試料から検出される光散乱とともに周波数符号化された蛍光データから生成される。更に他の事例では、粒子の画像は、周波数符号化された蛍光データと、検出された光吸収、検出された光散乱、及び検出された光放出の組み合わせとから生成される。更に他の事例では、粒子の画像は、以下でより詳細に記載されるように、周波数符号化された蛍光データと、光検出器の第2のセットからのスペクトル分解された光とから生成される。
【0064】
粒子の1個以上の画像は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上から検出される光信号に基づいて生成され得る。いくつかの実施形態では、粒子の単一画像が生成される。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上から検出される光信号に基づいて、粒子の2つ以上の画像が生成され、10個以上を含む、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上の画像が、生成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光は、光検出器の第2のセットによって検出される。いくつかの事例では、光検出器の第2のセットは、複数のアバランシェフォトダイオードなどの複数のフォトダイオードを含む。例えば、光検出器の第2のセットは、例えば、3つ以上のフォトダイオード、例えば、4つ以上のフォトダイオード、例えば、5つ以上のフォトダイオード、例えば、6つ以上のフォトダイオード、例えば、7つ以上のフォトダイオード、例えば、8つ以上のフォトダイオード、例えば、9つ以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、例えば、12個以上のフォトダイオード、及び16個以上のフォトダイオードを含めて、2つ以上のフォトダイオードを含み得る。他の事例では、光検出器の第2のセットは、例えば、2つ以上の光電子倍増管、例えば、3つ以上の光電子倍増管、例えば、4つ以上の光電子倍増管、例えば、5つ以上の光電子倍増管、例えば、6つ以上の光電子倍増管、例えば、7つ以上の光電子倍増管、例えば、8つ以上の光電子倍増管、例えば、9つ以上の光電子倍増管、例えば、10個以上の光電子倍増管、例えば、12個以上の光電子倍増管、及び16個以上の光電子倍増管を含めて、複数の光電子倍増管を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上で照射されたフローストリーム中の試料からの光を、試料からの光を複数の所定のスペクトル範囲に区分するための波長セパレータを有するクラスタ化された波長分割光検出システムで検出することを含む。いくつかの事例では、方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上で照射されたフローストリームからの光の異なる波長が、複数の光検出器(例えば、複数のアバランシェフォトダイオード)によって検出される波長分割多重化を含む。例えば、光検出器のセット内の各光検出器は、フローストリーム中の試料からの光の波長の1つ以上の所定のセットを検出するように構成され得る。これらの実施形態では、複数の光検出器からの光の波長の所定のセットによって生成されたデータ信号が多重化され、波長分割多重化されたデータ信号がプロセッサに出力される。例えば、波長分割多重化されたデータ信号は、光の波長の2つ以上の異なる所定のセット、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、11個以上の異なる所定のセットから生成されたデータ信号を含み得、光の波長の12個以上の所定のセットから生成されたデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を含む。特定の実施形態では、方法は、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、11個以上、及び、光検出器によって検出された12個以上の異なる光のスペクトルからのデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を生成することを含めて、光検出器によって検出された2つ以上の異なる光のスペクトルからのデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を生成することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上でのフローストリーム中の試料の照射から検出された光をスペクトル分解することを含む。特定の実施形態では、光の重複するスペクトル構成要素が、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって判定される。いくつかの実施形態では、各光検出器によって検出された光のスペクトルは、複数の光検出器のうちの少なくとも1つの他の検出器によって検出された光のスペクトルと重複する。いくつかの事例では、光検出器によって検出された光のスペクトルは、少なくとも1つの他の検出器の光のスペクトルと、例えば、10nm以上、例えば、25nm以上、及び50nm以上を含めて、5nm以上で重複する。特定の事例では、光検出器によって検出された光のスペクトルは、各重複が、例えば、10nm以上、例えば、25nm以上、及び50nm以上を含めて、5nm以上であるといったように、2つ以上の他の光検出器のスペクトルと重複する。他の実施形態では、光検出器によって検出された光のスペクトルは、非重複スペクトルを有する。これらの実施形態では、各光検出器によって検出された光のスペクトルは、例えば、9nm以下、例えば、8nm以下、例えば、7nm以下、例えば、6nm以下、例えば、5nm以下、例えば、4nm以下、例えば、3nm以下、例えば、2nm以下、及び1nm以下を含めて、10nm以下の範囲内で、光検出器の第2のセットにおける少なくとも1つの他の光検出器のスペクトルに隣接する。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法は、フローストリームから光のスペクトルの重複を判定し、重複する検出された光スペクトルに対する各々の寄与を計算することを含む。いくつかの実施形態では、光をスペクトル分解することは、スペクトル非混合マトリックスを計算することを含む。特定の実施形態では、方法は、スペクトル非混合マトリックスを計算して、光検出器による検出された光信号への各寄与の存在量を推定することを含む。
【0069】
いくつかの事例では、スペクトル非混合マトリックスを計算することは、フローストリーム中の粒子に関連付けられたフルオロフォアの存在量を判定することを含む。粒子に関連付けられた各フルオロフォアの存在量は、粒子の識別及び分類に使用され得る。いくつかの事例では、識別又は分類された粒子は、試料内の対象の粒子(例えば、細胞)を選別するために使用され得る。特定の実施形態では、スペクトル非混合マトリックスを計算することは、光検出システムによる検出後に粒子をリアルタイムで選別するために選別が十分高速に行われる。
【0070】
特定の実施形態では、方法は、例えば、2019年12月23日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/068395号、2020年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/971,840号、及び2020年4月16日に出願された米国仮特許出願第63/010,890号に記載されたような複数の光検出器によって検出された光をスペクトル分解することを含み、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例えば、複数の光検出器によって検出された光をスペクトル分解することは、1)重み付き最小二乗アルゴリズム、2)シャーマン-モリソン反復逆アップデータ、3)マトリックスが下三角(L)マトリックスと上三角(U)マトリックスとの積に分解される場合など、LUマトリックス分解、4)修正コレスキー分解、5)QR因数分解によるもの、及び6)特異値分解による重み付き最小二乗アルゴリズムの計算、のうちの1つ以上を使用してスペクトル非混合マトリックスを解くことを含み得る。
【0071】
図1は、特定の実施形態による、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで試料を照射するためのフローチャートを示す。ステップ101において、音響光学デバイス(例えば、音響光学偏向器)をレーザーで照射して、局部発振器ビームと、複数の高周波コムビームとを有する出力レーザービームを生成する。複数の角度偏向レーザービームを生成するために、角度偏向レーザービームの各々の波形が、波形生成器から音響光学デバイスに入力される。出力レーザービームは、ステップ102において、(例えば、ビームスプリッタを用いて)角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとに分割され、ステップ103において、角度偏向レーザービームの各セットは、異なる光路に沿って伝播される。ステップ104において、レーザービームのセットは、(例えば、ミラー及び望遠レンズ系を用いて)組み合わされ、フローストリームを照射するように導かれる。角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の位置(例えば、フローストリームの縦軸に沿って異なる垂直位置にある)を照射するように構成される。ステップ105において、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された粒子からの光が、複数の光電子増倍管などの光検出器の第1のセットで検出される。ステップ105aにおいて、光検出器の第1のセットによって生成されるデータ信号に基づいて、粒子の画像が生成される。ステップ106において、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された粒子からの光が、光検出器の第2のセット(例えば、複数のフォトダイオード)で検出され、ステップ106aにおいて、粒子からの光は、光検出器の第2のセットからのデータ信号に基づいてスペクトル分解される。
【0072】
上記で要約したように、方法は、(例えば、フローサイトメータの粒子分析器内で)フローストリーム中の試料を、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射することを含む。いくつかの実施形態では、試料は、生体試料である。「生体試料」という用語は、全生物、植物、菌類、又は、特定の事例では、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液、及び精液中に見られ得る動物の組織、細胞、又は構成要素のサブセットを指すために、その従来の意味で使用される。したがって、「生体試料」は、天然生物又はその組織のサブセットの両方、並びに、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の切片、呼吸管、胃腸管、心血管、及び泌尿器管、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない、生物又はその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、又は抽出物を指す。生体試料は、健康組織及び疾患組織(例えば、がん性、悪性、壊死性など)の両方を含む、任意のタイプの生体組織であり得る。特定の実施形態では、生体試料は、血液又はその誘導体、例えば、血漿、又は他の生物学的液体試料、例えば、涙液、尿、精液などの液体試料であり、いくつかの事例では、試料は、静脈穿刺又は指先から取得された血液など、全血を含む血液試料である(血液は、防腐剤、抗凝固剤などのアッセイの前に任意の試薬と組み合わされてもよく、組み合わされなくてもよい)。
【0073】
特定の実施形態では、試料源は、「哺乳類」又は「哺乳類の動物」であり、これらの用語は、肉食類(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳類内の生物を記載するために広く使用される。場合によっては、被験者はヒトである。方法は、両方の性別のヒト被験体から、発達の任意の段階(すなわち、新生児、乳幼児、年少者、青年、成人)で取得された試料に適用され得、特定の実施形態では、ヒト被験体は、年少者、青年、又は成人である。本開示の実施形態は、ヒト被験体からの試料に適用され得るが、以下に限定されるものではないが、鳥、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、及びウマなどの他の動物被験体からの(すなわち、「非ヒト被験体」の)試料に対しても実施され得ることを理解されたい。
【0074】
特定の実施形態では、生体試料は、細胞を含有する。試料中に存在し得る細胞は、真核細胞(例えば、哺乳類細胞)及び/又は原核細胞(例えば、細菌細胞又は古細菌細胞)を含む。試料は、インビトロソース(例えば、培養して成長した実験室細胞由来の細胞の懸濁液)又はインビボソース(例えば、哺乳類対象、ヒト対象など)から得られ得る。いくつかの実施形態では、細胞試料は、インビトロソースから得られる。インビトロソースは、限定されるものではないが、原核(例えば、細菌、考古学的)細胞培養物、原核及び/又は真核(例えば、哺乳類、抗議、真菌など)細胞を含む環境試料、真核細胞培養物(例えば、確立された細胞株の培養物、既知又は購入された細胞株の培養物、不死化細胞株の培養物、初代細胞の培養物、実験酵母の培養物など)、組織培養物などを含む。
【0075】
生体試料が細胞を含む場合、本開示の方法は、細胞断片、断片化細胞膜、器官、死細胞又は溶解細胞など、細胞の特徴付け構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、細胞の細胞外小胞を特徴付けることを含む。細胞の細胞外小胞を特徴付けることは、細胞内の細胞外小胞のタイプを識別すること、又は細胞内の細胞外小胞のサイズを判定することを含み得る。
【0076】
フローストリーム中の試料は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上を連続的に、又は離散的な間隔で照射され得る。いくつかの事例では、方法は、フローストリーム中の試料を、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上で連続的に照射することを含む。他の事例では、フローストリーム中の試料は、例えば、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎を含めて照射するといった離散的な間隔で、又は他の何らかの間隔で、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上で照射される。
【0077】
フローストリーム中の試料は、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、2.5mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、15mm以上、例えば、25mm以上、及び50mm以上を含めて、変化する距離から角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射され得る。また、角度又は照射もまた、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び、例えば、90°の角度で、30°~60°を含めて、10°~90°の範囲で相違し得る。
【0078】
フローストリームの流量は、例えば、光の強度に応じて変化してもよく、例えば、2μL/分以上、例えば、3μL/分以上、例えば、5μL/分以上、例えば、10μL/分以上、例えば、25μL/分以上、例えば、50μL/分以上、例えば、75μL/分以上、例えば、100μL/分以上、例えば、250μL/分以上、例えば、500μL/分以上、例えば、750μL/分以上、及び1000μL/分以上を含めて、1μL/分以上であり得る。特定の実施形態では、主題の方法におけるフローストリームの流量は、例えば、1μL/分~250μL/分、例えば、1μL/分~100μL/分、例えば、2μL/分~90μL/分、例えば、3μL/分~80μL/分、例えば、4μL/分~70μL/分、例えば、5μL/分~60μL/分、及び10μL/分~50μL/分を含めて、1μL/分~500μL/分の範囲である。特定の実施形態では、フローストリームの流量は、5μL/分~6μL/分である。
【0079】
特定の実施形態における方法は、また、コンピュータなどによるデータ取得、分析、及び記録を含み、複数のデータチャネルは、試料がシステムの検出領域を通過する際に試料からデータを記録する。これらの実施形態では、分析は、各構成要素がデジタル化されたパラメータ値のセットとして存在するように、細胞又は細胞の構成要素(細胞外小胞)を分類し、計数することを含み得る。主題のシステムは、対象の粒子を背景及びノイズから区別するために、選択されたパラメータ上でトリガするように設定され得る。「トリガ」は、パラメータを検出するための事前設定された閾値を指し、検出領域を通る対象の構成要素の通過を検出するための手段として使用され得る。選択されたパラメータの閾値を超えるイベントの検出は、試料構成要素のデータ取得をトリガする。化学分析される媒体内の構成要素に関して、閾値未満の応答を引き起こすデータは取得されない。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法は、試料の1つ以上の粒子(例えば、細胞)を選別することを更に含む。「選別する」という用語は、本明細書では、試料の構成要素(例えば、細胞、生体高分子などの非細胞粒子)を分離すること、場合によっては、その分離された構成要素を1つ以上の試料収集容器に送達することを指すために、その従来の意味で使用される。例えば、方法は、例えば、3つ以上の構成要素、例えば、4つ以上の構成要素、例えば、5つ以上の構成要素、例えば、10個以上の構成要素、例えば、15個以上の構成要素、及び25個以上の構成要素を有する試料を選別することを含めて、2つ以上の構成要素を有する試料を選別することを含み得る。試料構成要素のうちの1つ以上、例えば、2つ以上の試料構成要素、例えば、3つ以上の試料構成要素、例えば、4つ以上の試料構成要素、例えば、5つ以上の試料構成要素、例えば、10個以上の試料構成要素が、試料から分離され得、試料収集容器に送達され得、また、15個以上の試料構成要素が、その試料から分離され得、試料収集容器に送達され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、試料の構成要素を選別するための方法は、米国特許第3,960,449号、同第4,347,935号、同第4,667,830号、同第5,245,318号、同第5,464,581号、同第5,483,469号、同第5,602,039号、同第5,643,796号、同第5,700,692号、同第6,372,506号、及び同第6,809,804号などに記載された粒子(例えば、生体試料中の細胞)を選別することを含み、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、方法は、米国特許第9,551,643号及び同第10,324,019号、米国特許公開第2017/0299493号、並びに国際特許公開第WO/2017/040151号に記載されたものなどの粒子選別モジュールを用いて試料の構成要素を選別することを含み、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、試料の細胞は、2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/725,756号に記載されたものなどの、複数の選別判定ユニットを有する選別判定モジュールを使用して選別され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
レーザー光の角度偏向ビームでフローストリームを照射するためのシステム
上記に要約されるように、本開示の態様は、フローストリーム中の試料を照射するための角度偏向レーザービームを生成するためのシステムを含む。特定の実施形態によるシステムは、レーザーを有する光ビーム生成器と、レーザーによる照射に応答して、複数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成するように構成された音響光学デバイスと、出力レーザービームから角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された第1の光学調節構成要素と、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットをフローストリーム中の試料上に導くように構成された第2の光学調節構成要素とを含む。上述したように、本明細書に記載されるシステムによって生成される角度偏向レーザービームとは、印加された高周波駆動信号によって生成される、音響光学デバイス内の音響波の、レーザーからの光のビームとの相互作用を介して生成されて、光学周波数のシフト及び伝播角の偏向を有する1つ以上のビームレットを生成するレーザービームである。角度偏向レーザービームの各セットは、例えば、3つ以上のビームレット、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、12個以上、例えば、16個以上、例えば、24個以上、及び48個以上のビームレットを含む、複数のレーザービームレットを含む。
【0083】
実施形態では、光ビーム生成器は、1つ以上のレーザーを含む。特定の実施形態では、対象の光ビーム生成器は、単一のレーザーを含み、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、同じレーザーから生成される。対象のレーザーには、パルスレーザー又は連続波レーザーが含まれ得る。主題の方法で使用されるレーザーのタイプ及び数は、相違し得、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、CO2レーザー、COレーザー、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザー、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザー、又はそれらの組み合わせなどのガスレーザーであり得る。他の事例では、光ビーム生成器は、スチルベン、クマリン、又はローダミンレーザーなどの色素レーザーを含む。更に他の事例では、光ビーム生成器は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザー、又は金レーザー、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザーを含む。更に他の事例では、光ビーム生成器は、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVO4レーザー、Nd:YCa4O(BO3)3レーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウムYAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Yb2O3レーザー、又はセリウムドープレーザー、及びそれらの組み合わせなどの固体レーザーを含む。更に他の事例では、光ビーム生成器は、半導体ダイオードレーザー、光学的にポンプされた半導体レーザー(OPSL)、又は上述のレーザーのいずれかの周波数2倍若しくは周波数3倍の実施態様を含む。
【0084】
出力レーザービームで生成される光の所望の波長(例えば、フローストリーム中の試料を照射する際に使用するための)に応じて、レーザーは、例えば、250nm~1250nm、例えば、300nm~1000nm、例えば、350nm~900nm、及び400nm~800nmを含めて、200nm~1500nmで相違する特定の波長を有し得る。光ビーム生成器は、例えば、2つ以上のレーザー、例えば、3つ以上のレーザー、例えば、4つ以上のレーザー、例えば、5つ以上のレーザー、及び10個以上のレーザーを含めて、1つ以上のレーザーを含み得る。レーザーは、いくつかのタイプのレーザーの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザー、及び1つ以上の固体レーザーを有するアレイなど、レーザーのアレイを含み得る。
【0085】
レーザーは、同時に若しくは順次に、又はそれらの組み合わせで音響光学デバイスを照射するように構成され得る。例えば、レーザーは、同時に音響光学デバイスの照射のために構成され得る。他の実施形態では、レーザーは、順次照射のために構成される。光ビーム生成器が、音響光学デバイスを順次に照射するように構成された2つ以上のレーザーを含む場合、各レーザーが音響光学デバイスを照射する時間は、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上、例えば、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上を含めて、個別に0.001マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、例えば、0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の持続時間の間、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含み得る。
【0086】
各レーザーによる照射間の期間もまた、所望に応じて、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上まで、例えば、15マイクロ秒以上まで、例えば、30マイクロ秒以上まで、及び60マイクロ秒以上を含めて、0.001マイクロ秒以上の遅延によって個別に分離して、相違し得る。例えば、各光源による照射間の期間は、例えば、0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各レーザーによる照射間の期間は、10マイクロ秒である。音響光学デバイスが2つを超える(すなわち、3つ以上の)レーザーによって順次に照射される実施形態では、各レーザーによる照射間の遅延は、同じであっても異なってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器のレーザーは、音響光学デバイスを連続的に、又は離散的な間隔で照射するように構成される。いくつかの事例では、レーザーは、音響光学デバイスを連続的に照射するように構成される。他の事例では、レーザーは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎を含めて照射するといった離散的な間隔で、又は他の何らかの間隔で、音響光学デバイスを照射するために構成されている。
【0088】
レーザーは、音響光学デバイスから、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、2.5mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、15mm以上、例えば、25mm以上、及び50mm以上を含む、相違する距離に動作可能に位置決めされ得る。また、レーザーは、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び、30°~60°を含む、10°~90°の範囲の照射の角度に、例えば、90°の角度に、動作可能に位置決めされ得る。
【0089】
実施形態では、光ビーム生成器は、音響光学デバイスをレーザーで照射することによって、複数の角度偏向レーザービームを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを有する出力レーザービームを生成するように構成され、例えば、生成された角度偏向レーザービームは、局部発振器ビームと、例えば、3つ以上の高周波コムビーム、例えば、4つ以上の高周波コムビーム、例えば、5つ以上の高周波コムビーム、例えば、6つ以上の高周波コムビーム、例えば、7つ以上の高周波コムビーム、例えば、8つ以上の高周波コムビーム、例えば、9つ以上の高周波コムビーム、例えば、10個以上の高周波コムビーム、例えば、12個以上の高周波コムビーム、例えば、16個以上の高周波コムビーム、例えば、24個以上の高周波コムビームである2つ以上の高周波コムビームとを、局部発振器ビームと、48個以上の高周波コムビームとを含めて、含む。
【0090】
音響光学デバイスは、印加された音響波を使用してレーザー光を周波数シフトするように構成された任意の簡便な音響光学プロトコルであり得る。特定の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器である。他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学周波数シフタである。更に他の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学変調器である。主題のシステム内の音響光学デバイスは、レーザーからの光から、及び波形生成器からの波形から、角度偏向レーザービームを生成するように構成されている。
【0091】
いくつかの実施形態では、主題のシステム内の音響光学デバイスは、レーザーからの光、及び印加された高周波駆動信号から、角度偏向レーザービームを生成するように構成されている。この高周波駆動信号は、ダイレクトデジタルシンセサイザー(DDS)、任意の波形生成器(AWG)、又は電気パルス生成器などの、任意の適切な高周波駆動信号源で、音響光学デバイスに印加され得る。複数の実施形態では、コントローラは、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、出力レーザービーム内に、所望の数の角度偏向レーザービームを生成するように構成されており、そのコントローラは、例えば、3つ以上の高周波駆動信号、例えば、4つ以上の高周波駆動信号、例えば、5つ以上の高周波駆動信号、例えば、6つ以上高周波駆動信号、例えば、7つ以上の高周波駆動信号、例えば、8つ以上の高周波駆動信号、例えば、9つ以上の高周波駆動信号、例えば、10個以上の高周波駆動信号、例えば、15個以上の高周波駆動信号、例えば、25個以上の高周波駆動信号、例えば、50個以上の高周波駆動信号を印加するように構成されており、また100個以上の高周波駆動信号を印加するように構成されていることを含む。
【0092】
特定の実施形態では、高周波駆動信号は、音響光学デバイスへの各角度偏向レーザービームについて音響光学デバイスに波形を生成し、波形を入力するように構成された波形生成器を用いて生成される。波形生成器は、例えば、2つ以上、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、例えば、15個以上、例えば、25個以上、例えば、50個以上、及び100個以上の波形を含む、出力ビーム中の各角度偏向レーザービームについて1つ以上の波形を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、入力される波形は、例えば、2つ以上のトーン、例えば、3つ以上のトーン、例えば、4つ以上のトーン、例えば、5つ以上のトーン、及び10個以上のトーンを含む、1つ以上のトーンを含む。各トーンは、特定の事例では、各トーンが、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、例えば、25個以上、例えば、100個以上、及び500個以上の別異の正弦波の和である場合を含めて、2つ以上の別異の正弦波の和などの別異の正弦波の和である。
【0093】
出力レーザービーム内に、角度偏向レーザービームの強度プロファイルを生成するために、そのコントローラは、例えば、約0.001V~約500V、例えば、約0.005V~約400V、例えば、約0.01V~約300V、例えば、約0.05V~約200V、例えば、約0.1V~約100V、例えば、約0.5V~約75V、例えば、約1V~50V、例えば、約2V~40V、例えば、3V~約30V、及び約5V~約25Vで変化する振幅を有する高周波駆動信号を印加するように構成されている。いくつかの実施形態では、各印加される高周波駆動信号は、例えば、約0.005MHz~約400MHz、例えば、約0.01MHz~約300MHz、例えば、約0.05MHz~約200MHz、例えば、約0.1MHz~約100MHz、例えば、約0.5MHz~約90MHz、例えば、約1MHz~約75MHz、例えば、約2MHz~約70MHz、例えば、約3MHz~約65MHz、例えば、約4MHz~約60MHz、及び約5MHz~約50MHzを含むなど、約0.001MHz~約500MHzの周波数を有する。
【0094】
特定の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するそのプロセッサを有し、そのメモリは、そのメモリ上に記憶された命令を含み、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、所望の強度プロファイルを有する角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成させる。例えば、メモリは、同じ強度、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、例えば50個以上を有する2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を含んでよく、メモリを含むことは、同じ強度を有する100個以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を含んでよい。他の実施形態では、メモリは、異なる強度、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば10個以上、例えば25個以上、例えば50個以上を有する2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を含んでよく、メモリを含むことは、異なる強度を有する100個以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を含んでよい。
【0095】
特定の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するそのプロセッサを有し、そのメモリは、そのメモリ上に記憶された命令を含み、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿って、出力レーザービームの縁端部からその中心まで強度が増加する出力レーザービームを生成させる。これらの事例では、出力ビームの中心における角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%の範囲にわたり得、その範囲は、例えば、0.5%~約95%、例えば、1%~約90%、例えば、約2%~約85%、例えば、約3%~約80%、例えば、約4%~約75%、例えば、約5%~約70%、例えば、約6%~約65%、例えば、約7%~約60%、例えば、約8%~約55%であり、また水平軸に沿った出力レーザービームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%を含む。他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するそのプロセッサを有し、そのメモリは、そのメモリ上に記憶された命令を含み、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿って、出力レーザービームの縁端部からその中心まで強度が増加する出力レーザービームを生成させる。これらの事例では、出力ビームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームの中心における角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%の範囲にわたり得、その範囲は、例えば、0.5%~約95%、例えば、1%~約90%、例えば、約2%~約85%、例えば、約3%~約80%、例えば、約4%~約75%、例えば、約5%~約70%、例えば、約6%~約65%、例えば、約7%~約60%、例えば、約8%~約55%であり、また水平軸に沿った出力レーザービームの中心における角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%を含む。更に他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するそのプロセッサを有し、そのメモリは、そのメモリ上に記憶された命令を含み、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿ったガウス分布を有する強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。更に他の実施形態では、コントローラは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有するそのプロセッサを有し、そのメモリは、そのメモリ上に記憶された命令を含み、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿ってシルクハット型の強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。
【0096】
実施形態では、システムは、空間的に分離されている、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームを生成するように構成される。出力レーザービームの印加された高周波駆動信号及び所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向レーザービームは、例えば、0.005μm以上によって、例えば、0.01μm以上によって、例えば、0.05μm以上によって、例えば、0.1μm以上によって、例えば、0.5μm以上によって、例えば、1μm以上によって、例えば、5μm以上によって、例えば、10μm以上によって、例えば、100μm以上によって、例えば、500μm以上によって、例えば、1000μm以上によって、及び5000μm以上によってを含む、0.001μm以上によって分離され得る。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、出力レーザービームの水平軸に沿った隣接する角度偏向レーザービームと部分的に重複する、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームを生成するように構成される。隣接する角度偏向レーザービーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、例えば、0.005μm以上の重複、例えば、0.01μm以上の重複、例えば、0.05μm以上の重複、例えば、0.1μm以上の重複、例えば、0.5μm以上の重複、例えば、1μm以上の重複、例えば、5μm以上の重複、例えば、10μm以上の重複、及び100μm以上の重複を含めて、0.001μm以上の重複であり得る。
【0097】
特定の事例では、音響光学デバイスを照射することによって、周波数シフトされた光の複数の角度偏向ビームを生成する対象の光ビーム生成器は、以下に限定されないが、Diebold,et al.Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)に記載されるものだけでなく、米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号、同第9,983,132号、同第10,006,852号、同第10,078,045号、同第10,036,699号、同第10,222,316号、同第10,288,546号、同第10,324,019号、同第10,408,758号、同第10,451,538号、同第10,620,111号、並びに米国特許公開第2017/0133857号、同第2017/0328826号、同第2017/0350803号、同第2018/0275042号、同第2019/0376895号、及び同第2019/0376894号、並びに2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,080号に記載されるものを含み、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
実施形態では、システムは、音響光学デバイスからの出力ビームから角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、音響光学デバイスからの出力レーザービームを、角度偏向レーザービームの2つの異なるセットに分割するように構成された光学調節構成要素を含む。特定の実施形態では、光学調節構成要素は、ビームスプリッタである。上述したように、ビームスプリッタは、光の所定の部分が各光路に沿って伝播されるように、2つ以上の異なる、かつ空間的に分離された光路に沿って光ビームを伝播するように構成された任意の光学構成要素であり得る。ビームスプリッタは、他のタイプのビームスプリッタの中でも、三角形プリズム、銀めっきされたミラープリズム、二色性ミラープリズムを用いてなど、任意の便利な光ビーム分割プロトコルであり得る。ビームスプリッタは、ビームスプリッタが各光路に沿って所望の量及び波長の光を伝播することができる限り、任意の好適な材料から形成され得る。例えば、対象のビームスプリッタは、ガラス(例えば、N-SF10、N-SF11、N-SF57、N-BK7、N-LAK21、又はN-LAF35ガラス)、シリカ(例えば、溶融シリカ)、クォーツ、結晶(例えば、CaF2結晶)、セレン化亜鉛(ZnSe)、F2、ゲルマニウム(Ge)チタン酸塩(例えば、S-TIH11)、ホウケイ酸塩(例えば、BK7)から形成され得る。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、例えば、これらに限定されないが、他の高分子プラスチック材料の中でも、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、又はこれらの熱可塑性プラスチックのコポリマー、例えば、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)などの高分子材料から形成される。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、ポリエステルから形成され、対象のポリエステルは、これらに限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ボトルグレードPET(モノエチレングリコール、テレフタリン酸、並びにイソフタル酸、シクロヘキセンジメタノールなどの他のコモノマーに基づいて作製されたコポリマー)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、及びポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)などのポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4-ブチレンアジペート)、及びポリ(ヘキサメチレンアジペート)などのポリ(アルキレンアジペート)、ポリ(エチレンスベレート)などのポリ(アルキレンスベレート)、ポリ(セバシン酸エチレン)などのポリ(アルキレンセバケート)、ポリ(ε-カプロラクトン)及びポリ(β-プロピオラクトン)、ポリ(エチレンイソフタレート)などのポリ(アルキレンイソフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート)などのポリ(アルキレン2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(エチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)などのポリ(アルキレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(p-フェニレンエチレンジカルボキシレートなどのポリ(p-フェニレンアルキレンジカルボキシレート)、ポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルエチレンジカルボキシレート)などのポリ(トランス-1,4-シクロヘキサンジイルアルキレンジカルボキシレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、ポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンエチレンジカルボキシレート)などのポリ([2.2.2]-ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンアルキレンジカルボキシレート)、(S)-ポリルアクチド、(R,S)-ポリルアクチド、ポリ(テトラメチルグリコリド)、及びポリ(ラクチド-co-グリコリド)などの乳酸ポリマー及びコポリマー、並びにビスフェノールAのポリカーボネート、3,3’-ジメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラメチルフェノールA、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(例えばMylar(商標)ポリエチレンテレフタレート)、これらの組み合わせなどを含み得る。
【0099】
特定の実施形態では、光学調節構成要素は、楔形ビームスプリッタである。これらの実施形態では、ビームスプリッタは、楔形ビームスプリッタを介して収集された光の伝播が、光散乱検出器及び明視野光検出器のうちの1つ以上に伝播される光の角度のわずかな変化をもたらすように、非共線的後方反射を生成する楔角度を有するビームスプリッタである。本開示の実施形態による楔形ビームスプリッタは、収集された光の入射角の変化が伝播された光の角度に、例えば、0.005%以上、例えば、0.01%以上、例えば、0.05%以上、例えば、0.1%以上、例えば、0.5%以上、例えば、1%以上、例えば、2%以上、例えば、3%以上、例えば、5%以上、及び10%以上を含めて、0.001%以上で偏差をもたらす楔角度を有する。いくつかの実施形態では、楔形ビームスプリッタは、例えば、10アーク分~115アーク分、例えば、15アーク分~110アーク分、例えば、20アーク分~105アーク分、例えば、25アーク分~100アーク分、例えば、30アーク分~105アーク分、例えば、35アーク分~100アーク分、例えば、40アーク分~95アーク分、及び45アーク分~90アーク分を含めて、5アーク分~120アーク分の楔角度を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、楔形ビームスプリッタは、150nm~5μm、180nm~8μm、185nm~2.1μm、200nm~6μm、200nm~11μm、250nm~1.6μm、350nm~2μm、600nm~16μm、1.2μm~8μm、2μm~16μm、又はいくつかの他の波長範囲の透過性ウィンドウを有する。
【0101】
対象のビームスプリッタは、音響光学デバイスから出力された角度偏向レーザービームを、角度偏向レーザービームの2つの異なるセットに分割するように構成されている。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、例えば、5:95~95:5、例えば、10:90~90:10、例えば、20:80~80:20、例えば、25:75~75:25、及び50:50のビーム分割比を含めて、1:99~99:1の角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとのビーム分割光比を有し得る。特定の実施形態では、ビームスプリッタは、50:50のビームスプリッタであり、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットと同一である(例えば、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットと同じ振幅及び周波数を有する)。
【0102】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを含む角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットを生成するように構成されている。いくつかの事例では、光ビーム生成器は、局部発振器ビームと、例えば、3つ以上の高周波コムビーム、例えば、4つ以上の高周波コムビーム、例えば、5つ以上の高周波コムビーム、例えば、6つ以上の高周波コムビーム、例えば、7つ以上の高周波コムビーム、例えば、8つ以上の高周波コムビーム、例えば、9つ以上の高周波コムビーム、例えば、10個以上の高周波コムビーム、例えば、12個以上の高周波コムビーム、例えば、16個以上の高周波コムビーム、例えば、24個以上の高周波コムビームである2つ以上の高周波コムビームとを、局部発振器ビームと、48個以上の高周波コムビームとを含めて、含む角度偏向レーザービームのセットを生成するように構成されている。
【0103】
実施形態では、生成された角度偏向レーザービームの各セット内の高周波コムビームは、空間的に分離されている。音響光学デバイスに印加された高周波駆動信号に応じて、角度偏向レーザービームは、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、5μm以上、例えば、10μm以上、例えば、100μm以上、例えば、500μm以上、例えば、1000μm以上、及び5000μm以上を含めて、0.001μm以上で分離され得る。いくつかの実施形態では、高周波コムビームのうちの1つ以上は、角度偏向レーザービームの各セットの水平軸に沿って、例えば、隣接するレーザービームと重複する。隣接する角度偏向レーザービーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、例えば、0.005μm以上の重複、例えば、0.01μm以上の重複、例えば、0.05μm以上の重複、例えば、0.1μm以上の重複、例えば、0.5μm以上の重複、例えば、1μm以上の重複、例えば、5μm以上の重複、例えば、10μm以上の重複、及び100μm以上の重複を含めて、0.001μm以上の重複であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの各セット内に、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成するように構成されている。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの各セットの局部発振器ビームは、各縁部から中心への実質的に一定の強度を有するビームプロファイルを有し、例えば、ビームプロファイルの水平軸にわたる強度が、例えば、9%以下、例えば、8%以下、例えば、7%以下、例えば、6%以下、例えば、5%以下、例えば、4%以下、例えば、3%以下、例えば、2%以下、例えば、1%以下、例えば、0.5%以下、例えば、0.1%以下、例えば、0.05%以下、例えば、0.01%以下、及びビームプロファイルの水平軸にわたる強度が0.001%以下で変化することを含めて、10%以下で変化する。いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの各セット内に、水平軸に沿ってトップハット強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成するように構成されている。実施形態では、トップハット強度プロファイルを有する、角度偏向レーザービームの各セット内の局部発振器ビームは、水平軸に沿って各縁部から中心への相対強度における偏差がほとんど又は全く呈されず、対象のトップハット強度プロファイルを有する光ビームは、水平軸に沿った縁部における強度の95%~99.9%である、中心における強度を有し、例えば、水平軸に沿った縁部における強度の98%~99%を含む、96%~99.5%である。
【0105】
特定の実施形態による光ビーム生成器は、水平軸に沿って所望の強度プロファイルを有する局部発振器ビームを生成するためのビーム成形構成要素を含む。これらの実施形態では、ビーム成形構成要素は、回折光学系、屈折光学系、又は円筒形レンズアレイなどのレンズアレイを含み得る。いくつかの実施形態では、ビーム成形構成要素は、レーザラインジェネレータレンズ(例えば、パウエルレンズ)など、直角に配向される円筒軸を有する非球面円筒レンズである。レーザラインジェネレータレンズの実施例は、これらに限定されるものではないが、米国特許第4,826,299号、同第5,283,694号、同第7,400,457号、及び同第7,329,860号に記載されるものを含み、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
対象となるビーム成形構成要素(例えば、円筒形レンズ、レーザラインジェネレータレンズ、パウエルレンズ)は、限定されるものではないが、ガラス(例えば、N-SF10、N-SF11、N-SF57、N-BK7、N-LAK21、又はN-LAF35ガラス)、シリカ(例えば、縮合シリカ)、クォーツ、結晶(例えば、CaF2結晶)、セレン化亜鉛(ZnSe)、F2、ゲルマニウム(Ge)チタン酸塩(例えば、S-TIH11)、ホウケイ酸塩(例えば、BK7)を含む、任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ビーム成形構成要素は、150nm~5μm、180nm~8μm、185nm~2.1μm、200nm~6μm、200nm~11μm、250nm~1.6μm、350nm~2μm、600nm~16μm、1.2μm~8μm、2μm~16μm、又はいくつかの他の波長範囲の透過性ウィンドウを有する。対象となるビーム成形構成要素の屈折率は、1~3、例えば1.1~2.9、例えば1.2~2.8、例えば1.3~2.7、例えば1.4~2.6、例えば1.5~2.7、例えば1.6~2.6、例えば1.7~2.5、例えば1.8~2.4、及び1.9~2.3を含む範囲で変わり得る。
【0107】
いくつかの事例では、ビーム成形構成要素は、異なる入射角の実質的に同じ位置で、2つ以上の異なる光ビームを受容し、水平軸に沿った縁部における強度の75%~99.9%である、中心におけるビームプロファイル強度を有する出力光ビームを生成するように位置決めされる。主題のシステム内のレーザーに応じて、パウエルレンズは、2mm~15mm、例えば2.5mm~14.5mm、例えば3mm~14mm、例えば3.5mm~13.5mm、例えば4mm~13mm、例えば4.5mm~12.5mm、例えば5mm~12mm、例えば5.5mm~11.5mm、例えば6mm~11mm、及び7mm~10mmを含む、範囲で変化する直径を有し得る。パウエルレンズのファン角度は、また、0.1°~90°、例えば0.5°~85°、例えば1°~80°、例えば5°~75°、例えば10°~70°、例えば15°~65°の範囲であり、及び20°~60°のファン角度を有するパウエルレンズを含み、変化し得る。特定の実施形態では、主題の光ビーム生成器は、単一のビーム成形光学構成要素(例えば、単一のパウエルレンズ)のみを含み、異なる入射角の実質的に同じ位置で2つ以上の異なる光ビームを受容し、水平軸に沿って所定のビーム強度プロファイル(例えば、トップハットビーム強度プロファイル)を有する出力光ビームを生成するように構成される。
【0108】
実施形態では、出力光ビームは、ビーム成形構成要素によって受容された電力強度光を保持し、その結果、電力が、例えば、9%以下、例えば、8%以下、例えば、7%以下、例えば、6%以下、例えば、5%以下、例えば、4%以下、例えば、3%以下、例えば、2%以下、例えば、1%以下、例えば、0.5%以下、例えば、0.1%以下、例えば、0.01%以下、例えば、0.001%以下、及び0.0001%以下を含めて、10%以下だけ低減される。生成された出力電力は、以下に限定されないが、他のタイプの光検出器の中でも、電力センサ(例えば、熱電対電力センサ)、光学電力センサ、エネルギーメータ、デジタルレーザー光検出器、レーザーダイオード検出器、CCD又はCMOS光検出器で入射及び出力電力を測定することを含む、任意の便利なプロトコルによって判定され得る。生成された出力光ビームの電力の変化を判定するために、ビーム成形構成要素上の入射光は、ハンドヘルド光学パワーメータ又は熱電対パワーメータなどの前述のパワーメータのうちの1つ以上で測定され得、ビーム成形構成要素を通して伝播されたレーザー光電力(すなわち、生成された出力光ビームの電力)と比較され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの各セット内の複数の高周波コムビームのうちの2つ以上が、水平軸に沿って実質的に同じ強度を有するように構成される。例えば、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成され得、この場合、個別に、例えば、3つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、4つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、5つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、6つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、7つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、8つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、9つ以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、10個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、12個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、16個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、例えば、24個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合、及び48個以上の高周波コムビームが同じ強度を有する場合を含めて、高周波コムビームのうちの2つ以上が同じ強度を有し得る。
【0110】
他の実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成され、この場合、個別に、例えば、3つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、4つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、5つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、6つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、7つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、8つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、9つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、10個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、12個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、16個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、例えば、24個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合、及び48個以上の高周波コムビームが異なる強度を有する場合を含めて、角度偏向レーザービームの各セット内の2つ以上の高周波コムビームが異なる強度を有する。
【0111】
特定の実施形態によるシステムは、水平軸に沿った、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットのうちの1つ以上のレーザービームの強度プロファイルを判定するための光検出器を含む。角度偏向レーザービームの各セットの強度プロファイルを判定するための光検出器は、他のタイプの光検出器のタイプの中でも、走査スリットプロファイラ、電荷結合素子(CCD、例えば、増感型電荷結合素子(ICCD))、位置決めセンサ、電力センサ(例えば、サーモパイル電力センサ)、光学電力センサ、エネルギーメータ、デジタルレーザー光度計、レーザーダイオード検出器を含むが、これらに限定されない、任意の便利な光検出器プロトコルであり得る。
【0112】
上述したように、いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの各セットの強度プロファイルは、画像をキャプチャすることによって判定される。これらの実施形態では、システムは、電荷結合素子、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、又はN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサを含むが、これらに限定されない、光学画像をキャプチャし、電子データ信号に変換することが可能な任意の好適なデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、撮像センサは、CCDカメラである。例えば、カメラは、CCD(EMCCD)カメラ又は増感型CCD(ICCD)カメラであってもよい。他の実施形態では、撮像センサは、CMOS型カメラである。
【0113】
特定の実施形態では、システムは、1つ以上の光検出器と、2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,080号に記載されているような、角度偏向レーザービームのビームプロファイルを判定及び調節するための命令が記憶されたメモリを有するプロセッサとを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとを光学的に組み合わせるための光学調節構成要素を含む。光学調節構成要素は、複数の光ビームを組み合わせるために適した任意の便利な光学調節プロトコルであり得、ミラー、レンズ、及び他のタイプの自由空間光リレーデバイス、並びに光ファイバ光組み合わせ構成要素を含み得る。特定の実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとを組み合わせるミラーを含む。他の実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとを組み合わせる、望遠レンズ系などのレンズシステムを含む。更に他の実施形態では、光ビーム生成器は、角度偏向レーザービームの第1のセットと角度偏向レーザービームの第2のセットとを組み合わせるミラー及びレンズシステムを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットからの1つ以上の光ビームが重複するように、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを単一の光路に沿って組み合わせ、伝播するように構成されている。例えば、角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットのうちの角度偏向レーザービーム(例えば、高周波コムビーム)のうちの、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、12個以上、例えば、16個以上、例えば、24個以上、並びに角度偏向レーザービームの第1のセット及び第2のセットのうちの角度偏向レーザービームのうちの48個以上が重複し得ることを含めて、2つ以上が重複し得る。
【0116】
他の実施形態では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットからの任意の光ビーム間の重複がないように、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを2つの平行な光路に沿って組み合わせ、伝播するように構成されている。この実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光路は、角度偏向レーザービームの第2のセットから空間的に分離されている。いくつかの事例では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光路は、角度偏向レーザービームの第2のセットから、例えば、0.00005mm以上、例えば、0.001mm以上、例えば、0.005mm以上、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、及び2mm以上を含めて、0.00001mm以上で分離される。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる平行な光学平面に沿って組み合わされ、伝播される。特定の事例では、角度偏向レーザービームの第1のセットの光学平面は、角度偏向レーザービームの第2のセットの光学平面から、例えば、0.00005mm以上、例えば、0.0001mm以上、例えば、0.005mm以上、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、及び2mm以上を含めて、0.00001mm以上で空間的に分離される。
【0117】
いくつかの実施形態では、光学調節構成要素は、フローストリーム中の試料の粒子を照射するように、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットをフローストリーム上に伝播するように構成される。いくつかの実施形態では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを、フローストリーム上の同じ位置に伝播するように構成される。他の実施形態では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されたフローストリーム上の位置と重複するフローストリーム上の位置に伝播するように構成される。例えば、角度偏向レーザービームの第1のセットで照射されるフローストリーム上の位置は、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されるフローストリーム上の位置と、例えば、0.00005μm以上、例えば、0.0001μm以上、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、10μm以上、例えば、50μm以上、例えば、100μm以上、及び1000μm以上を含めて、0.00001μm以上で重複し得る。
【0118】
他の実施形態では、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットをフローストリーム上の第1の位置に伝播し、角度偏向レーザービームの第2のセットをフローストリーム上の第2の位置に伝播するように構成される。例えば、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の垂直位置に伝播するように構成され得る。フローストリームの流量に応じて、光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第2のセットを、角度偏向光ビームの第1のセットによる照射の位置から、例えば、0.005μm以上、例えば、0.01μm以上、例えば、0.05μm以上、例えば、0.1μm以上、例えば、0.5μm以上、例えば、1μm以上、例えば、5μm以上、例えば、10μm以上、例えば、100μm以上、例えば、250μm以上、例えば、500μm以上、及び角度偏向光ビームの第1のセットによる照射の位置から1000μm以上下流の位置を含めて、0.001μm以上下流の位置に伝播するように構成され得る。
【0119】
システムは、また、(例えば、フローサイトメータ内の)フローストリーム中の試料からの光を検出するための1つ以上の検出器を含む。好適な光検出プロトコルは、これらに限定されないが、他の光検出器の中でも、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、増感型電荷結合素子(ICCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ又はN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサ、発光ダイオード、フォトンカウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体又はフォトダイオード、並びにこれらの組み合わせなどの光学センサ又は光検出器を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、システムは、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を検出するための光検出器の第1のセットと、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を検出する光検出器の第2のセットとを含む。いくつかの事例では、光検出器の第1のセットは、例えば、2つ以上の光電子倍増管、例えば、3つ以上の光電子倍増管、例えば、4つ以上の光電子倍増管、例えば、5つ以上の光電子倍増管、例えば、6つ以上の光電子倍増管、例えば、7つ以上の光電子倍増管、例えば、8つ以上の光電子倍増管、例えば、9つ以上の光電子倍増管、例えば、10個以上の光電子倍増管、例えば、12個以上の光電子倍増管、及び16個以上の光電子倍増管を含めて、複数の光電子倍増管を含む。他の事例では、光検出器の第1のセットは、例えば、2つ以上のフォトダイオード、例えば、3つ以上のフォトダイオード、例えば、4つ以上のフォトダイオード、例えば、5つ以上のフォトダイオード、例えば、6つ以上のフォトダイオード、例えば、7つ以上のフォトダイオード、例えば、8つ以上のフォトダイオード、例えば、9つ以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、例えば、12個以上のフォトダイオード、及び16個以上のフォトダイオードを含めて、複数のフォトダイオードを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、光検出器の各セットは、角度偏向レーザービームの各それぞれのセットによって照射されたフローストリーム中の粒子からの光に応答して光信号を生成するように構成されている。いくつかの事例では、生成された光信号は、粒子からの周波数符号化された蛍光データを含む。特定の事例では、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、粒子からの周波数符号化された蛍光データを変換させて、粒子の空間データを与える。いくつかの実施形態では、空間データは、粒子の水平サイズ寸法、粒子の垂直サイズ寸法、2つの異なる寸法に沿った粒子サイズの比率、粒子構成要素の比率サイズを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、フーリエ変換によって、周波数符号化された蛍光データを空間データに変換させる。いくつかの事例では、メモリは、離散フーリエ変換(DFT)によって周波数符号化された蛍光データを変換するための命令を含む。他の事例では、メモリは、周波数符号化された蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって空間データを計算するための命令を含む。更に他の事例では、メモリは、周波数符号化された蛍光データをヘテロダイン及び非多重化するために、デジタルロックイン増幅器を用いて空間データを計算するための命令を含む。特定の実施形態では、システムは、2020年5月29日に出願された米国特許出願第16/887,538号に記載されているような、空間データを計算するためのメモリを有するプロセッサを有するコントローラを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、周波数符号化された蛍光データからフローストリーム中の粒子の画像を生成させる。いくつかの実施形態では、メモリは、検出された光吸収、検出された光散乱、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化された蛍光データから粒子の画像を生成するための命令を含む。特定の事例では、メモリは、周波数符号化された蛍光データのみから粒子の画像を生成するための命令を含む。他の事例では、メモリは、周波数符号化された蛍光データと、例えば、明視野光検出器からなど、試料から検出された光吸収とからオブジェクトの画像を生成するための命令を含む。他の事例では、メモリは、側方散乱検出器、前方散乱検出器、又は側方散乱検出器と前方散乱検出器との組み合わせからなど、試料から検出される光散乱とともに周波数符号化された蛍光データから粒子の画像を生成するための命令を含む。更に他の事例では、メモリは、周波数符号化された蛍光データと、検出された光吸収、検出された光散乱、及び検出された光放出の組み合わせとから粒子の画像を生成するための命令を含む。更に他の事例では、メモリは、以下でより詳細に記載されるように、周波数符号化された蛍光データと、光検出器の第2のセットからのスペクトル分解された光とから粒子の画像を生成するための命令を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、メモリは、粒子の単一画像を生成するための命令を含む。他の実施形態では、メモリは、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、及び10個以上の画像を含めて、2つ以上の粒子の画像を生成するための命令を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、システムは、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器の第2のセットを含む。いくつかの事例では、光検出器の第2のセットは、複数のアバランシェフォトダイオードなどの複数のフォトダイオードを含む。例えば、光検出器の第2のセットは、例えば、3つ以上のフォトダイオード、例えば、4つ以上のフォトダイオード、例えば、5つ以上のフォトダイオード、例えば、6つ以上のフォトダイオード、例えば、7つ以上のフォトダイオード、例えば、8つ以上のフォトダイオード、例えば、9つ以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、例えば、12個以上のフォトダイオード、及び16個以上のフォトダイオードを含めて、2つ以上のフォトダイオードを含み得る。他の事例では、光検出器の第2のセットは、例えば、2つ以上の光電子倍増管、例えば、3つ以上の光電子倍増管、例えば、4つ以上の光電子倍増管、例えば、5つ以上の光電子倍増管、例えば、6つ以上の光電子倍増管、例えば、7つ以上の光電子倍増管、例えば、8つ以上の光電子倍増管、例えば、9つ以上の光電子倍増管、例えば、10個以上の光電子倍増管、例えば、12個以上の光電子倍増管、及び16個以上の光電子倍増管を含めて、複数の光電子倍増管を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、システムは、試料からの光を複数の所定のスペクトル範囲に区分するための波長セパレータを有するクラスタ化された波長分割光検出システムを含む。いくつかの事例では、光検出器の第1のセット及び光検出器の第2のセットうちの1つ以上は、フローストリームからの光の異なる波長波長分割多重化のために構成される。例えば、光検出器のセット内の各光検出器は、フローストリーム中の試料からの光の波長の1つ以上の所定のセットを検出するように構成され得る。これらの実施形態では、複数の光検出器からの光の波長の所定のセットによって生成されたデータ信号が多重化され、波長分割多重化されたデータ信号がプロセッサに出力される。例えば、波長分割多重化されたデータ信号は、光の波長の2つ以上の異なる所定のセット、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、11個以上の異なる所定のセットから生成されたデータ信号を含み得、光の波長の12個以上の所定のセットから生成されたデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を含む。特定の実施形態では、複数の光検出器は、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、6つ以上、例えば、7つ以上、例えば、8つ以上、例えば、9つ以上、例えば、10個以上、例えば、11個以上、及び、光検出器によって検出された12個以上の異なる光のスペクトルからのデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を含めて、光検出器によって検出された2つ以上の異なる光のスペクトルからのデータ信号を含む波長分割多重化されたデータ信号を生成するように構成されている。
【0127】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、フローストリーム中の試料の照射から検出される光をスペクトル分解させる。特定の実施形態では、メモリは、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光の重複するスペクトル構成要素を判定するための命令を含む。いくつかの実施形態では、各光検出器によって検出された光のスペクトルは、光検出器のセットにおける少なくとも1つの他の光検出器によって検出された光のスペクトルと重複する。いくつかの事例では、光検出器によって検出された光のスペクトルは、光検出器のセットにおける少なくとも1つの他の光検出器の光のスペクトルと、例えば、10nm以上、例えば、25nm以上、及び50nm以上を含めて、5nm以上で重複する。特定の事例では、光検出器によって検出された光のスペクトルは、各重複が、例えば、10nm以上、例えば、25nm以上、及び50nm以上を含めて、5nm以上であるといったように、光検出器のセットにおける2つ以上の他の光検出器のスペクトルと重複する。他の実施形態では、光検出器のセットにおける光検出器によって検出された光のスペクトルは、非重複スペクトルを有する。これらの実施形態では、各光検出器によって検出された光のスペクトルは、例えば、9nm以下、例えば、8nm以下、例えば、7nm以下、例えば、6nm以下、例えば、5nm以下、例えば、4nm以下、例えば、3nm以下、例えば、2nm以下、及び1nm以下を含めて、10nm以下の範囲内で、光検出器のセットにおける少なくとも1つの他の光検出器のスペクトルに隣接する。
【0128】
いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、角度偏向レーザービームのセットで照射されたフローストリームからの光のスペクトルの重複を判定させ、かつ重複する検出された光スペクトルに対する各々の寄与を計算させる。いくつかの実施形態では、メモリは、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光をスペクトル分解するための命令を含む。特定の実施形態では、メモリは、スペクトル非混合マトリックスを計算して、光検出器のセットにおける光検出器による検出された光信号への各寄与の存在量を推定するための命令を含む。
【0129】
いくつかの事例では、メモリは、フローストリーム中の粒子に関連付けられたフルオロフォアの存在量を判定することによってスペクトル非混合マトリックスを計算するための命令を含む。メモリは、粒子に関連付けられた各フルオロフォアの存在量を識別するための命令を含み得る。メモリは、粒子を分類するための命令を更に含み得る。いくつかの事例では、識別又は分類された粒子は、試料内の対象の粒子(例えば、細胞)を選別するために使用され得る。
【0130】
特定の実施形態では、システムは、例えば、2019年12月23日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/068395号、2020年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/971,840号、及び2020年4月16日に出願された米国仮特許出願第63/010,890号に記載されたような、光をスペクトル分解するための光検出システムを含み得、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例えば、システムは、プロセッサを有するコントローラを含み、プロセッサは、そのプロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、そのメモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、1)重み付き最小二乗アルゴリズム、2)シャーマン-モリソン反復逆アップデータ、3)マトリックスが下三角(L)マトリックスと上三角(U)マトリックスとの積に分解される場合など、LUマトリックス分解、4)修正コレスキー分解、5)QR因数分解によるもの、及び6)特異値分解による重み付き最小二乗アルゴリズムの計算、のうちの1つ以上を使用してスペクトル非混合マトリックスを解かせる。
【0131】
図2は、特定の実施形態による、複数の角度偏向レーザービームでフローストリーム中の試料を照射するためのシステムを示す。システム200は、音響光学デバイス(例えば、音響光学偏向器)202を照射するように構成されているレーザー201を含む。複数の角度偏向レーザービームは、ピックオフミラー(ピックオフミラー1)でシステム200内で分離された、局部発振器ビーム(LOビーム)及び複数の高周波シフトされたコムビーム(コム)を含む。局部発振器ビームは、トップハットレンズ(例えば、パウエルレンズ)を通過して、一定のビームプロファイルを生成し、かつビームスプリッタ(BS)でコムビームと再結合される。角度偏向レーザービームの第1のセット203は、第1の光路に沿ってビームスプリッタから伝播され、角度偏向レーザービームの第2のセット204は、第2の光路に沿ってビームスプリッタから伝播される。特定の実施形態では、角度偏向レーザービームの第2のセット204は、垂直ビームサイズを変更するために使用され得るビーム成形光学素子208(例えば、プリズム対)を通過され得る。角度偏向レーザービームのセット203及び204は、組み合わされ、フローセル205に導かれる。この実施形態では、ピックオフミラー2は、レンズ(L4)及び(L7)の焦点面の近くに設置され、ここで2つの集束ビームは、基準平面に垂直な方向に分離される。ピックオフミラーは、一次ビームを通過させる間に、二次ビームを反射する。小さな集束ビームサイズに起因するピックオフミラー2のコーティングに対するレーザー誘発損傷を回避するために、ピックオフミラー2は、レンズ(L4)及び(L7)の焦点面(S1)からわずかにδの量だけシフトされる。いくつかの事例では、δは、2つのビームの分離と、ピックオフミラー上の電力密度との間の妥協である。照射された試料からの光は、収集レンズ206で収集され、光検出システム207で検出される。光検出システム207は、光検出器の第1のセット(例えば、複数の光電子増倍管)及び光検出器の第2のセット(例えば、複数のフォトダイオード)を含み得る。
【0132】
図3は、特定の実施形態による、角度偏向レーザービームの2つのセットでのフローセル内のフローストリームの照射を示す。
図3に示されるように、角度偏向レーザービームの第1のセット301は、角度偏向レーザービームの第2のセット302と組み合わされ、フローストリーム中の試料を照射するためにフローセルに伝播される。角度偏向レーザービームの第1のセットは、レンズL4を通って伝播され、ピックオフミラー2からの角度偏向レーザービームの第2のセットと組み合わされる。角度偏向レーザービームの組み合わされたセットは、L5及びL6を組み合わせた望遠レンズ系を介して異なる光学平面に沿って伝播され、フローセルの縦軸に沿って2つの異なる位置に集束される(すなわち、垂直分離を示す)。この実施形態では、焦点面S1及びS2は互いに共役し、望遠鏡の倍率(f2/f1の比)は、S2及びS1でのビームの分離の比率によって決定され得る。
【0133】
特定の実施形態では、光検出器の第1のセット及び光検出器の第2のセットうちの1つ以上は、フローストリームから離れた空間に位置決めされ、照射されたフローストリームからの光は、光ファイバ又は自由空間光リレーシステムなどの光学リレーシステムを通して光検出器に伝播される。例えば、光学リレーシステムは、光ファイバ光リレー束であってよく、光は、光ファイバ光リレー束を通して光検出器に伝達される。フローストリームから光検出器に光を伝播するために、任意の光ファイバ光リレーシステムを採用してもよい。特定の実施形態では、光を検出器に伝播するための好適な光ファイバ光リレーシステムは、限定されるものではないが、米国特許第6,809,804号に記載されるものなどの光ファイバ光リレーシステムを含み、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
他の実施形態では、光学リレーシステムは、自由空間光リレーシステムを含む。「自由空間光リレー」という語句は、本明細書では、1つ以上の光学構成要素の構成を採用して、照射されたフローストリームからの光を自由空間を通って光検出器に導く光伝播を指すために、その従来の意味で使用される。特定の実施形態では、自由空間光リレーシステムは、近位端及び遠位端を有するハウジングを含む。自由空間リレーシステムは、レンズ、ミラー、スリット、ピンホール、波長セパレータ、又はそれらの組み合わせ、のうちの1つ以上などの、異なる光学調節構成要素の任意の組み合わせを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、対象の自由空間光リレーシステムは、1つ以上の集束レンズを含む。他の実施形態では、主題の自由空間光リレーシステムは、1つ以上のミラーを含む。更に他の実施形態では、自由空間光リレーシステムは、コリメーティングレンズを含む。特定の実施形態では、自由空間光リレーシステムは、例えば、米国特許第7,643,142号、同第7,728,974号、及び同第8,223,445号に記載されたような光リレーシステムを含むが、これらに限定されず、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
いくつかの実施形態では、システムは、フローストリーム中の試料を伝播させるように構成されたフローセルを含む。流体試料を試料検査領域に伝播させる任意の便利なフローセルが採用されてもよく、いくつかの実施形態では、フローセルは、縦軸を画定する近位円筒形部分と、縦軸に対して横断するオリフィスを有する平坦な表面で終端する遠位円錐台状部分とを含む。近位円筒形部分の長さ(縦軸に沿って測定される)は、例えば、1.5mm~12.5mm、例えば、2mm~10mm、例えば、3mm~9mm、及び4mm~8mmを含む、1mm~15mmの範囲で相違し得る。遠位円錐台状部分の長さ(縦軸に沿って測定される)は、また、例えば、2mm~9mm、例えば、3mm~8mm、及び4mm~7mmを含む、1mm~10mmの範囲で相違し得る。フローセルノズルチャンバの直径は、いくつかの実施形態では、例えば、2mm~9mm、例えば、3mm~8mm、及び4mm~7mmを含む、1mm~10mmの範囲で相違し得る。
【0136】
特定の事例では、フローセルは、円筒形部分を含まず、フローセル内側チャンバ全体が円錐台形状である。これらの実施形態では、円錐台状内側チャンバの長さ(ノズルオリフィスに対して横断する縦軸に沿って測定される)は、例えば、1.5mm~12.5mm、例えば、2mm~10mm、例えば、3mm~9mm、及び4mm~8mmを含む、1mm~15mmの範囲であり得る。円錐台状内側チャンバの近位部分の直径は、例えば、2mm~9mm、例えば、3mm~8mm、及び4mm~7mmを含む、1mm~10mmの範囲であり得る。
【0137】
実施形態では、試料フローストリームは、フローセルの遠位縁部でオリフィスから発せられる。フローストリームの所望の特性に応じて、フローセルオリフィスは、任意の好適な形状であってもよく、対象の断面形状は、これらに限定されないが、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線断面形状、例えば、円形、楕円形などの曲線断面形状、並びに、例えば、平面上部に結合された放物線底部などの不規則形状を含む。特定の実施形態では、対象のフローセルは、円形オリフィスを有する。ノズルオリフィスのサイズは、いくつかの実施形態では、例えば、2μm~17500μm、例えば、5μm~15000μm、例えば、10μm~12500μm、例えば、15μm~10000μm、例えば、25μm~7500μm、例えば、50μm~5000μm、例えば、75μm~1000μm、例えば、100μm~750μm、及び150μm~500μmを含む、1μm~20000μmの範囲で相違し得る。特定の実施形態では、ノズルオリフィスは、100μmである。
【0138】
いくつかの実施形態では、フローセルは、試料をフローセルに提供するように構成された試料注入ポートを含む。実施形態では、試料注入システムは、フローセル内部チャンバに試料の好適なフローを提供するように構成される。フローストリームの所望の特性に応じて、試料注入ポートによってフローセルチャンバに伝達される試料の速度は、例えば、2μL/分以上、例えば、3μL/分以上、例えば、5μL/分以上、例えば、10μL/分以上、例えば、15μL/分以上、例えば、25μL/分以上、例えば、50μL/分以上、及び100μL/分以上を含む、1μL/分以上であってもよく、いくつかの事例では、例えば、2μL/秒以上、例えば、3μL/秒以上、例えば、5μL/秒以上、例えば、10μL/秒以上、例えば、15μL/秒以上、例えば、25μL/秒以上、例えば、50μL/秒以上、及び100μL/秒以上を含む、試料注入ポートによってフローセルチャンバに伝達される試料の速度が1μL/秒以上である。
【0139】
試料注入ポートは、内部チャンバの壁に位置決めされたオリフィスであってもよく、又は、内部チャンバの近位端に位置決めされた導管であってもよい。試料注入ポートが内部チャンバの壁に位置決めされたオリフィスである場合、試料注入ポートオリフィスは、任意の好適な形状であってもよく、対象の断面形状は、限定されるものではないが、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線断面形状、例えば、円形、楕円形などの曲線断面形状、並びに、例えば、平面上部に結合された放物線底部などの不規則形状を含む。特定の実施形態では、試料注入ポートは、円形オリフィスを有する。試料注入ポートオリフィスのサイズは、形状に応じて相違し得、いくつかの事例では、例えば、0.2~3.0mm、例えば、0.5mm~2.5mm、例えば、0.75mm~2.25mm、例えば、1mm~2mm、及び例えば、1.5mmなど1.25mm~1.75mmを含む、0.1mm~5.0mmの範囲の開口部を有する。
【0140】
特定の事例では、試料注入ポートは、フローセル内部チャンバの近位端に位置決めされた導管である。例えば、試料注入ポートは、フローセルオリフィスに沿った試料注入ポートのオリフィスを有するように配置された導管であってもよい。試料注入ポートが、フローセルオリフィスに沿って配置された導管である場合、試料注入チューブの断面形状は、任意の好適な形状であってもよく、対象の断面形状は、これらに限定されないが、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線断面形状、例えば、円形、楕円形などの曲線断面形状、並びに、例えば、平面上部に結合された放物線底部などの不規則形状を含む。導管のオリフィスは、形状に応じて相違し得、いくつかの事例では、例えば、0.2~3.0mm、例えば、0.5mm~2.5mm、例えば、0.75mm~2.25mm、例えば、1mm~2mm、及び例えば、1.5mmなど1.25mm~1.75mmを含む、0.1mm~5.0mmの範囲の開口部を有する。試料注入ポートの先縁部の形状は、試料注入チューブの断面形状と同じであっても異なっていてもよい。例えば、試料注入ポートのオリフィスは、例えば、2°~9°、例えば、3°~8°、例えば、4°~7°、及び5°のベベル角を含む、1°~10°の範囲のベベル角を有するベベル先端部を含み得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、フローセルは、また、フローセルにシース流体を提供するように構成されたシース流体注入ポートも含む。実施形態では、シース流体注入システムは、例えば、試料と併せて、フローセル内部チャンバにシース流体のフローを提供して、試料フローストリームを取り囲むシース流体の積層フローストリームを生成するように構成される。フローストリームの所望の特性に応じて、フローセルチャンバに伝達されるシース流体の速度は、例えば、50μL/秒以上、例えば、75μL/秒以上、例えば、100μL/秒以上、例えば、250μL/秒以上、例えば、500μL/秒以上、例えば、750μL/秒以上、例えば、1000μL/秒以上、及び2500μL/秒以上を含む、25μL/秒以上であり得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、シース流体注入ポートは、内部チャンバの壁に位置決めされたオリフィスである。シース流体注入ポートオリフィスは、任意の好適な形状であってもよく、対象の断面形状は、これらに限定されないが、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線断面形状、例えば、円形、楕円形などの曲線断面形状、並びに、例えば、平面上部に結合された放物線底部などの不規則形状を含む。試料注入ポートオリフィスのサイズは、形状に応じて相違し得、いくつかの事例では、例えば、0.2~3.0mm、例えば、0.5mm~2.5mm、例えば、0.75mm~2.25mm、例えば、1mm~2mm、及び例えば、1.5mmなど1.25mm~1.75mmを含む、0.1mm~5.0mmの範囲の開口部を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、システムは、フローセルを通じてフローストリームを伝播させるためにフローセルと流体連通するポンプを更に含む。フローセルを通るフローストリームのフローを制御するために、任意の便利な流体ポンププロトコルが、採用されてもよい。特定の事例では、システムは、パルスダンパを有する蠕動ポンプなどの、蠕動ポンプを含む。主題のシステム内のポンプは、フローストリーム中の試料からの光を検出するために好適な速度でフローセルを通して流体を伝達するように構成されている。いくつかの事例では、フローセル中の試料フローの速度は、例えば、2μL/分以上、例えば、3μL/分以上、例えば、5μL/分以上、例えば、10μL/分以上、例えば、25μL/分以上、例えば、50μL/分以上、例えば、75μL/分以上、例えば、100μL/分以上、例えば、250μL/分以上、例えば、500μL/分以上、例えば、750μL/分以上、及び1000μL/分以上を含む、1μL/分(マイクロリットル毎分)以上である。例えば、システムは、例えば、1μL/分~250μL/分、例えば、1μL/分~100μL/分、例えば、2μL/分~90μL/分、例えば、3μL/分~80μL/分、例えば、4μL/分~70μL/分、例えば、5μL/分~60μL/分、及び10μL/分~50μL/分を含む、1μL/分~500μL/分の範囲の速度でフローセルを通して試料を流すように構成されているポンプを含み得る。特定の実施形態では、フローストリームの流量は、5μL/分~6μL/分である。
【0144】
特定の実施形態では、主題のシステムは、上述の光ビーム生成器及び光検出システムを採用する粒子分析器である。特定の実施形態では、主題のシステムは、フローサイトメトリックシステムである。好適なフローサイトメトリーシステムは、これらに限定されないが、Ormerod(ed.)、Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1997)、Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997)、Practical Flow Cytometry,3rd ed.,Wiley-Liss(1995)、Virgo,et al.(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt1):17-28、Linden,et.al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11、Alison,et al.J Pathol,2010 Dec;222(4):335-344;及びHerbig,et al.(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載されているものを含んでもよく、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。特定の事例では、対象のフローサイトメトリーシステムは、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSCanto(商標)IIフローサイトメータ、BD Accuri(商標)フローサイトメータ、BD Accuri(商標)C6 Plusフローサイトメータ、BD Biosciences FACSCelesta(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSLyric(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSymphony(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)X-20フローサイトメータ、BD Biosciences FACSPresto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVia(商標)フローサイトメータ、及びBD Biosciences FACSCalibur(商標)細胞選別機、a BD Biosciences FACSCount(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSLyric(商標)細胞選別機、及びBD Biosciences Via(商標)細胞選別機BD Biosciences Influx(商標)細胞選別機、BD Biosciences Jazz(商標)細胞選別機、BD Biosciences Aria(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)II細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)III細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)Fusion細胞選別機、及びBD Biosciences FACSMelody(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSymphony(商標)S6細胞選別機などを含む。
【0145】
特定の実施形態では、主題のシステムは、試料の粒子(例えば、細胞)のうちの1つ以上を選別するように構成されている。「選別する」という用語は、本明細書では、その従来の意味で使用され、試料の構成要素(例えば、細胞、生体高分子などの非細胞粒子)を分離すること、場合によっては、その分離された構成要素を1つ以上の試料収集容器に送達することを指す。例えば、主題のシステムは、例えば、3つ以上の構成要素、例えば、4つ以上の構成要素、例えば、5つ以上の構成要素、例えば、10個以上の構成要素、例えば、15個以上の構成要素、及び25個以上の構成要素を有する試料をソーティングすることを含む、2つ以上の構成要素を有する試料を選別するために構成され得る。試料構成要素のうちの1つ以上、例えば、2つ以上の試料構成要素、例えば、3つ以上の試料構成要素、例えば、4つ以上の試料構成要素、例えば、5つ以上の試料構成要素、例えば、10個以上の試料構成要素が、試料から分離され得、試料収集容器に送達され得、また、15個以上の試料構成要素が、その試料から分離され得、試料収集容器に送達され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、対象の粒子選別システムは、2017年3月28日に出願された米国特許公開第2017/0299493号に記載されているものなどの、密閉された粒子選別モジュールを用いて、粒子を選別するように構成されており、その開示は、参照により、本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、試料の粒子(例えば、細胞)は、2019年12月23日に出願された米国特許出願第16/725,756号に記載されたものなどの、複数の選別判定ユニットを有する選別判定モジュールを使用して選別され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、主題の粒子選別システムは、例えば、米国特許第10,663,476号、同第10,620,111号、同第10,613,017号、同第10,605,713号、同第10,585,031号、同第10,578,542号、同第10,578,469号、同第10,481,074号、同第10,302,545号、同第10,145,793号、同第10,113,967号、同第10,006,852号、同第9,952,076号、同第9,933,341号、同第9,726,527号、同第9,453,789号、同第9,200,334号、同第9,097,640号、同第9,095,494号、同第9,092,034号、同第8,975,595号、同第8,753,573号、同第8,233,146号、同第8,140,300号、同第7,544,326号、同第7,201,875号、同第7,129,505号、同第6,821,740号、同第6,813,017号、同第6,809,804号、同第6,372,506号、同第5,700,692号、同第5,643,796号、同第5,627,040号、同第5,620,842号、同第5,602,039号、同第4,987,086号、同第4,498,766号に記載されるものなどのフローサイトメトリックシステムであり、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0147】
いくつかの実施形態では、システムは、粒子分析システム401(
図4A)を使用して、粒子を収集容器中に物理的に選別することの有無にかかわらず、粒子を分析及び特性評価することができる、粒子分析器である。
図4Aは、計算ベースの試料分析及び粒子特性評価のための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。いくつかの実施形態では、粒子分析システム401は、フローシステムである。
図4Aに示される粒子分析システム401は、全体的又は部分的に、本明細書に記載の方法を実行するように構成され得る。粒子分析システム401は、流体工学システム402を含む。流体工学システム402は、試料チューブ405及び試料の粒子403(例えば、細胞)が共通の試料経路409に沿って移動する試料チューブ内の移動流体カラムを含み得るか、又はそれと結合され得る。
【0148】
粒子分析システム401は、各粒子が共通試料経路に沿って1つ以上の検出ステーションを通過するときに、各粒子から信号を収集するように構成された検出システム404を含む。検出ステーション408は、概して、共通試料経路の監視エリア407を指す。いくつかの実施態様では、検出は、粒子403が監視エリア407を通過するときに、それらの粒子の光、又は1つ以上の他の特性を検出することを含み得る。
図4Aでは、1つの監視エリア407を有する1つの検出ステーション408が示されている。粒子分析システム401のいくつかの実施態様は、複数の検出ステーションを含むことができる。更に、いくつかの検出ステーションは、2つ以上の領域を監視することができる。
【0149】
各信号には、各粒子に対してデータポイントを形成するための信号値が割り当てられる。上述したように、このデータは、事象データと称され得る。データポイントは、粒子に対して測定されたそれぞれの特性の値を含む多次元データポイントであり得る。検出システム404は、一連のそのようなデータポイントを第1の時間間隔で収集するように構成されている。
【0150】
粒子分析システム401は、また、制御システム306も含むことができる。制御システム406は、1つ以上のプロセッサ、振幅制御回路、及び/又は周波数制御回路を含むことができる。示された制御システムは、流体工学システム402に動作可能に関連付けられ得る。制御システムは、ポアソン分布、及び第1の期間中に検出システム404によって収集されたデータポイントの数に基づいて、第1の期間の少なくとも一部分について計算された信号周波数を生成するように構成され得る。制御システム406は、第1の期間の一部分におけるデータポイントの数に基づいて、実験的な信号周波数を生成するように更に構成され得る。制御システム406は、追加的に、実験的な信号周波数を、計算された信号周波数又は所定の信号周波数のそれと比較することができる。
【0151】
図4Bは、本発明の例示的な実施形態による、フローサイトメトリーのためのシステム400を示す。このシステム400は、フローサイトメータ410、コントローラ/プロセッサ490、及びメモリ495を含む。このフローサイトメータ410は、1つ以上の励起レーザー415a~415c、集束レンズ420、フローチャンバ425、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、蛍光集束レンズ440、1つ以上のビームスプリッタ445a~445g、1つ以上のバンドパスフィルタ450a~450e、1つ以上のロングパス(「LP」)フィルタ455a~455b、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fを含む。
【0152】
励起レーザー415a~415cは、レーザービームの形態の光を放出する。励起レーザー415a~415cから放出されたレーザービームの波長は、
図4Bの例示的なシステムにおいて、それぞれ、488nm、633nm、及び325nmである。レーザービームは、最初、ビームスプリッタ445a及び445bのうちの1つ以上を通って導かれる。ビームスプリッタ445aは、488nmで光を透過し、633nmで光を反射する。ビームスプリッタ445bは、UV光(10~400nmの範囲の波長を有する光)を透過し、488nm及び633nmで光を反射する。
【0153】
次いで、レーザービームは、集束レンズ420に導かれ、その集束レンズは、試料の粒子がフローチャンバ425内に配置されている流体ストリームの部分上にビームを集束させる。フローチャンバは、調査のために、通常一度に1つ、ストリーム中の粒子を集束レーザービームに誘導する流体工学システムの一部である。フローチャンバは、ベンチトップフローサイトメータ内にフローセルを、又はストリームインエアサイトメータ内にノズル先端部を備えることができる。
【0154】
レーザービームからの光は、粒子のサイズ、内部構造、及び粒子の上若しくは中に付属されるか若しくは自然に存在する1つ以上の蛍光分子の存在などの粒子の特性に応じて、様々な異なる波長での再放出を伴う回折、屈折、反射、散乱、及び吸収によって、試料内の粒子と相互作用する。蛍光放出、並びに回折光、屈折光、反射光、及び散乱光は、ビームスプリッタ445a~445g、バンドパスフィルタ450a~450e、ロングパスフィルタ455a~455b、及び蛍光集束レンズ440のうちの1つ以上を通って、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fのうちの1つ以上に経路設定され得る。
【0155】
蛍光集束レンズ440は、粒子レーザービーム間の相互作用から放出された光を収集し、1つ以上のビームスプリッタ及びフィルタに向けてその光を経路設定する。バンドパスフィルタ450a~450eなどのバンドパスフィルタは、狭い波長範囲がフィルタを通過することを可能にする。例えば、バンドパスフィルタ450aは、510/20フィルタである。第1番目の数字は、スペクトル帯域の中心を表す。第2番目の数字は、スペクトル帯域の範囲を提供する。したがって、510/20フィルタは、スペクトル帯域の中心の各側面上に10nm、すなわち500nm~520nmに広がる。ショートパスフィルタは、指定された波長以下の光の波長を透過する。ロングパスフィルタ455a~455bなどのロングパスフィルタは、指定された波長以上の光の波長を透過する。例えば、670nmのロングパスフィルタであるロングパスフィルタ455aは、670nm以上の光の波長を透過する。フィルタは、特定の蛍光色素に対する検出器の特異性を最適化するために選択される場合が多い。それらのフィルタは、検出器に透過された光のスペクトル帯域が蛍光色素の放出ピークに近くなるように構成され得る。
【0156】
ビームスプリッタは、異なる波長の光を、異なる方向に導く。ビームスプリッタは、ショートパス及びロングパスなどのフィルタ特性によって特徴付けられ得る。例えば、ビームスプリッタ445gは、620SPビームスプリッタであり、このビームスプリッタ445gは、620nm以下の短い波長の光を透過し、620nmよりも長い波長の光を異なる方向に反射させることを意味する。一実施形態では、ビームスプリッタ445a~445gは、二色性ミラーなどの光学ミラーを備えることができる。
【0157】
前方散乱検出器430は、フローセルを通る直接ビームから軸外にわずかに離れて位置決めされ、回折光、粒子を通って又はその周りをほとんど前方方向に移動する励起光を検出するように構成される。前方散乱検出器によって検出された光の強度は、粒子のサイズ全体に依存する。前方散乱検出器は、フォトダイオードを含むことができる。側方散乱検出器435は、粒子の表面及び内部構造からの回折光及び反射光を検出するように構成され、粒子構造が複雑になるにつれて増加する傾向がある。粒子に関連付けられた蛍光分子からの蛍光放出は、1つ以上の蛍光検出器460a~460fによって検出され得る。側方散乱検出器435及び蛍光検出器は、光電子増倍管を含むことができる。前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、及び蛍光検出器で検出された信号は、検出器によって電子信号(電圧)に変換され得る。このデータは、試料に関する情報を提供することができる。
【0158】
当業者は、本発明の一実施形態によるフローサイトメータが、
図4Bに示されるフローサイトメータに限定されず、当技術分野で既知の任意のフローサイトメータを含み得ることを認識する。例えば、フローサイトメータは、様々な波長で、かつ様々な異なる構成で、任意の数のレーザー、ビームスプリッタ、フィルタ、及び検出器を有してもよい。
【0159】
動作中、フローサイトメータの動作は、コントローラ/プロセッサ490によって制御され、検出器からの測定データは、メモリ495内に記憶されて、コントローラ/プロセッサ490によって処理され得る。明示的には示されていないが、コントローラ/プロセッサ490は、検出器に結合されて、その検出器から出力信号を受信し、また、フローサイトメータ400の電気構成要素及び電気機械構成要素に結合されて、レーザー、流体フローパラメータなどを制御することができる。入力/出力(I/O)機能部497は、システム内にも提供され得る。メモリ495、コントローラ/プロセッサ490、及びI/O497は、全体的に、フローサイトメータ410の不可欠な部分として提供され得る。そのような実施形態では、ディスプレイは、また、フローサイトメータ400のユーザに実験的なデータを提示するための、I/O機能部497の一部も形成し得る。あるいは、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490及びI/O機能部の一部又は全ては、汎用コンピュータなどの1つ以上の外部デバイスの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490の一部又は全ては、フローサイトメータ410と無線又は有線で通信することができる。メモリ495及びI/O497と併せて、コントローラ/プロセッサ490は、フローサイトメータ実験の調製及び分析に関連する様々な機能を実行するように構成され得る。
【0160】
図4Bに例示されるシステムは、フローセル425から各検出器へのビーム経路におけるフィルタ及び/又はスプリッタの構成によって画定されるように、6つの異なる波長帯域(本明細書では、所与の検出器についての「フィルタウィンドウ」と称され得る)内の蛍光を検出する6つの異なる検出器を含む。フローサイトメータ実験に使用される異なる蛍光分子は、それら独自の特性波長帯域の光を放出する。実験に使用される特定の蛍光標識、及びそれらの関連する蛍光放出帯域は、検出器のフィルタウィンドウと概ね一致するように、選択され得る。ただし、より多くの検出器が提供され、かつより多くの標識が利用されるため、フィルタウィンドウと蛍光放出スペクトルとの間の完全な対応は、不可能である。特定の蛍光分子の放出スペクトルのピークは、1つの特定の検出器のフィルタウィンドウ内に存在する場合があるが、その標識の発光スペクトルの一部がまた、1つ以上の他の検出器のフィルタウィンドウとも重複することは、一般的に正しい。これは、こぼれ信号と称され得る。I/O497は、蛍光標識のパネルを有するフローサイトメータ実験、及び複数のマーカーを有する複数の細胞母集団に関係するデータを受信するように構成され得、各細胞母集団は、複数のマーカーのサブセットを有する。I/O497は、また、1つ以上のマーカーを1つ以上の細胞母集団に割り当てる生体データ、マーカー濃度データ、発光スペクトルデータ、1つ以上のマーカーに標識を割り当てるデータ、及びサイトメータ構成データも受信するように構成され得る。標識スペクトル特性及びフローサイトメータ構成データなどのフローサイトメータ実験データもまた、メモリ495内に記憶され得る。コントローラ/プロセッサ490は、マーカーに対する標識の1つ以上の割り当てを評価するように構成され得る。
【0161】
図5は、生体事象を分析及び表示するための、分析コントローラ500などの、粒子分析器制御システムの一実施例の機能ブロック図を示す。分析コントローラ500は、生体事象のグラフィック表示を制御するための様々なプロセスを実施するように構成され得る。
【0162】
粒子分析器502は、生体事象データを取得するように構成され得る。例えば、フローサイトメータは、フローサイトメトリック事象データを生成することができる。粒子分析器502は、生体事象データを分析コントローラ500に提供するように構成され得る。データ通信チャネルが、粒子分析器502と分析コントローラ500との間に含まれ得る。生体事象データは、データ通信チャネルを介して、分析コントローラ500に提供され得る。
【0163】
分析コントローラ500は、粒子分析器502から生体事象データを受信するように構成され得る。粒子分析器502から受信した生体事象データは、フローサイトメトリック事象データを含むことができる。分析コントローラ500は、生体事象データの第1のプロットを含むグラフィカル表示を表示デバイス506に提供するように構成され得る。分析コントローラ500は、対象の領域を、表示デバイス506によって示される生体事象データの母集団の周辺のゲートとして、例えば、第1のプロット上に重ねられて、レンダリングするように更に構成され得る。いくつかの実施形態では、そのゲートは、単一パラメータのヒストグラム又は二変量プロット上に描かれる、対象の1つ以上の画像領域の論理結合であり得る。いくつかの実施形態では、そのディスプレイを使用して、粒子パラメータ又は飽和した検出器データを表示することができる。
【0164】
分析コントローラ500は、ゲート内の表示デバイス506上に生体事象データを、ゲートの外側の生体事象データ内の他の事象とは異なって表示するように更に構成され得る。例えば、分析コントローラ500は、ゲート内に含まれる生体事象データの色を、ゲートの外側の生体事象データの色とは区別するようレンダリングするように構成され得る。表示デバイス506は、モニタ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又はグラフィカルインターフェースを提示するように構成された他の電子デバイスとして、実装され得る。
【0165】
分析コントローラ500は、第1の入力デバイスからゲートを識別するゲート選択信号を受信するように構成され得る。例えば、第1の入力デバイスは、マウス510として実装され得る。このマウス510は、表示デバイス506を介して表示又は操作されるゲートを識別する分析コントローラ500に対して、(例えば、カーソルをそこに位置決めするときに、所望のゲートをクリックすることによって)ゲート選択信号を始動させることができる。いくつかの実施態様では、第1のデバイスは、キーボード508、又はタッチスクリーン、入力用ペン、光検出器、若しくは音声認識システムなどの、入力信号を分析コントローラ500に提供するための他の手段として実装され得る。いくつかの入力デバイスは、複数の入力機能を含み得る。そのような実施態様では、入力機能は、それぞれ、入力デバイスとみなされ得る。例えば、
図5に示されるように、マウス510は、右マウスボタン及び左マウスボタンを含み得、それらの各々は、起動事象を生成し得る。
【0166】
この起動事象は、分析コントローラ500に、データが表示される方法、データのどの部分が実際に表示デバイス506上に表示されるかを変更させ、かつ/又は粒子選別の対象の母集団の選択などの更なる処理への入力を提供させ得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、分析コントローラ500は、ゲート選択がマウス510によっていつ始動されたかを検出するように構成され得る。分析コントローラ500は、プロットの視覚化を自動的に修正して、ゲート制御プロセスを容易にするように更に構成され得る。この修正は、分析コントローラ500によって受信された生体事象データの特定の分布に基づき得る。
【0168】
分析コントローラ500は、記憶デバイス504に接続され得る。この記憶デバイス504は、分析コントローラ500から生体事象データを受信及び記憶するように構成され得る。記憶デバイス504は、また、分析コントローラ500からフローサイトメトリック事象データも受信及び記憶するように構成され得る。記憶デバイス504は、分析コントローラ500によって、フローサイトメトリック事象データなどの生体事象データの検索を可能にするように更に構成され得る。
【0169】
表示デバイス506は、分析コントローラ500から表示データを受信するように構成され得る。表示データは、生体事象データのプロット、及びそのプロットの区画の輪郭を描くゲートを含み得る。表示デバイス506は、粒子分析器502、記憶デバイス504、キーボード508、及び/又はマウス510からの入力と併せて、分析コントローラ500から受信した入力に従って提示された情報を変更するように更に構成され得る。
【0170】
いくつかの実施態様では、分析コントローラ500は、ユーザインターフェースを生成して、選別のための例示的な事象を受信することができる。例えば、このユーザインターフェースは、例示的な事象又は例示的な画像を受信するための制御を含むことができる。例示的な事象若しくは画像、又は例示的ゲートは、試料についてのイベントデータの収集前に、又は試料の一部分についてのイベントの初期セットに基づいて提供され得る。
【0171】
コンピュータ制御システム
本開示の態様は、主題の方法を実践するためのコンピュータ制御システムを更に含み、システムは、本明細書に記載される方法を実践するためのシステムの完全な自動化又は部分的な自動化のための1つ以上のコンピュータを更に含む。いくつかの実施形態では、システムは、コンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを含み、そのコンピュータ可読記憶媒体は、そのコンピュータ可読記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶され、そのコンピュータプログラムは、コンピュータ上にロードされたときに、音響光学デバイスをレーザーで照射して、複数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成し、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するための命令と、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射した試料からの光を検出するための命令とを含む。実施形態では、システムは、入力モジュール、処理モジュール、及び出力モジュールを含む。いくつかの実施形態では、主題のシステムは、音響光学デバイス(例えば、音響光学偏向器)、レーザー、高周波駆動源(例えば、波形生成器)、適用された光源の試料、強度、及び波長(離散的又は範囲)、フローセル直径、光チャネルの数、検出領域の数、光源による照射の持続時間、異なる光源の数、光源からフローチャネルまでの距離、任意の光学調節構成要素の焦点距離、フローチャネル媒体(例えば、シース流体)の屈折率、任意の波長セパレータの存在、バンドパス幅、不透明度、格子間隔を含む波長セパレータの特性、並びに光検出器の特性及び感度に関するパラメータ又は情報を入力するための入力モジュールを含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、対象のコンピュータ可読記憶媒体は、そのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータ上にロードされたときに、音響光学デバイスをレーザーで照射して、複数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成し、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するためのアルゴリズムを有する命令と、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射した試料からの光を検出するための命令とを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第1のセットで検出するためのアルゴリズムと、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第2のセットで検出するための命令とを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、光検出器の第1のセットから光信号を生成するための命令を含む。いくつかの事例では、生成された光信号は、フローストリーム中の粒子(例えば、細胞)からの周波数符号化された蛍光データを含む。特定の事例では、コンピュータプログラムは、粒子からの周波数符号化された蛍光データを変換して、粒子の空間データを与えるための命令を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、周波数符号化された蛍光データのフーリエ変換によって、周波数符号化された蛍光データを変換するための命令を含む。いくつかの事例では、コンピュータプログラムは、周波数符号化された蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)によって、周波数符号化された蛍光データを変換するための命令を含む。他の事例では、コンピュータプログラムは、周波数符号化された蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって、空間データを計算するための命令を含む。更に他の事例では、コンピュータプログラムは、周波数符号化された蛍光データをヘテロダイン及び非多重化するために、デジタルロックイン増幅器を用いて空間データを計算するための命令を含む。
【0174】
特定の実施形態では、コンピュータプログラムは、2020年5月29日に出願された米国特許出願第16/887,538号に記載されるような、位相補正構成要素を用いて周波数符号化された蛍光データの変換を実行することによって空間データを計算するための命令を含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、周波数符号化された蛍データ光からフローストリーム中の粒子の画像を生成するための命令を含む。いくつかの事例では、コンピュータプログラムは、検出された光吸収、検出された光散乱、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化された蛍光データから画像を生成するための命令を含む。コンピュータプログラムは、角度偏向レーザービームの第1のセットから検出される光信号に基づいて生成され得る粒子の1個以上の画像を生成するための命令を含み得る。いくつかの実施形態では、粒子の単一画像が生成される。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料から検出される光信号に基づいて、粒子の2つ以上の画像が生成され、10個以上を含む、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上の画像が、生成される。
【0176】
他の実施形態では、コンピュータプログラムは、光検出器の第2のセットから光信号を生成するための命令を含む。いくつかの事例では、コンピュータプログラムは、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されたフローストリームからの光の異なる波長の波長分割多重化のための命令を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、角度偏向レーザービームの第2のセットでのフローストリーム中の試料の照射から検出された光をスペクトル分解するための命令を含む。特定の実施形態では、コンピュータプログラムは、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光の重複するスペクトル構成要素を判定するための命令を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されたフローストリームからの光のスペクトルの重複を判定するための命令と、重複する検出された光スペクトルへの各々の寄与を計算するためのアルゴリズムとを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光をスペクトル分解するための命令を含む。特定の実施形態では、コンピュータプログラムは、スペクトル非混合マトリックスを計算して、光検出器の第2のセットにおける光検出器による検出された光信号への各寄与の存在量を推定するための命令を含む。
【0177】
いくつかの事例では、コンピュータプログラムは、スペクトル非混合マトリックスを計算して、フローストリーム中の粒子に関連付けられたフルオロフォアの存在量を判定するための命令を含む。特定の事例では、コンピュータプログラムは、粒子に関連付けられた各フルオロフォアの存在量に基づいて粒子を識別及び分類するための命令を含む。特定の実施形態では、コンピュータプログラムは、光検出器の第2のセットのうちの複数の光検出器によって検出された光を、1)重み付き最小二乗アルゴリズム、2)シャーマン-モリソン反復逆アップデータ、3)マトリックスが下三角(L)マトリックスと上三角(U)マトリックスとの積に分解される場合など、LUマトリックス分解、4)修正コレスキー分解、5)QR因数分解によるもの、及び6)特異値分解による重み付き最小二乗アルゴリズムの計算、のうちの1つ以上を使用してスペクトル非混合マトリックスを解くことによって、スペクトル分解するための命令を含む。
【0178】
処理モジュールが主題の方法のステップのうちの1つ以上を実行した後、出力モジュールは、例えば、モニタ上に表示することによって、又はレポートを印刷することによって、結果をユーザに伝える。
【0179】
主題のシステムは、ハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との両方を含んでもよく、ハードウェア構成要素は、例えば、サーバの形態で1つ以上のプラットフォームの形態をとってもよく、その結果、システムの機能要素、すなわち、特定のタスク(情報の入出力の管理、情報の処理など)を実行するシステムのそれらの要素は、システムに表される1つ以上のコンピュータプラットフォーム上で及びそれにわたってソフトウェアアプリケーションの実行によって実行されてもよい。
【0180】
システムは、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを含んでもよい。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成し、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料に導き、並びに角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射された試料からの光を検出するなど、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリへのアクセスを有するプロセッサを含む。
【0181】
処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得るか、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の方法でファームウェア及びハードウェアとインターフェース接続し、当技術分野で既知であるように、Java、Perl、C++、他の高級言語又は低級言語、並びにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で記述され得る様々なコンピュータプログラムの機能を、プロセッサが連携及び実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。プロセッサは、任意の好適なアナログ又はデジタルシステムであり得る。
【0182】
システムメモリは、様々な既知又は将来のメモリ記憶デバイスのいずれかであり得る。例としては、任意の一般的に入手可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、常駐ハードディスク若しくはテープなどの磁気媒体、読み取り及び書き込みコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリデバイス、又は他のメモリ記憶デバイスが挙げられる。メモリ記憶デバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、又はディスクドライブを含む、様々な既知又は将来のデバイスのいずれかであり得る。そのようなタイプのメモリ記憶デバイスは、通常、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、又は磁気ディスクなどのプログラム記憶媒体(図示せず)から読み出し、及び/又はプログラム記憶媒体に書き込む。これらのプログラム記憶媒体のいずれか、又は現在使用されている、若しくは後に開発され得る他のものは、コンピュータプログラム製品とみなされ得る。理解されるように、これらのプログラム記憶媒体は、通常、コンピュータソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶する。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータソフトウェアプログラムは、通常、システムメモリ、及び/又はメモリ記憶デバイスと併せて使用されるプログラム記憶デバイスに記憶される。
【0183】
いくつかの実施形態では、内部に記憶された制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)を有するコンピュータ使用可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品が説明される。制御ロジックは、コンピュータ、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載の機能を実行させる。他の実施形態では、いくつかの機能は、例えば、ハードウェアステートマシンを使用して、主にハードウェア内に実装される。本明細書に記載される機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実装は、関連技術分野の当業者には明らかである。
【0184】
メモリは、プロセッサがデータを記憶し、検索することができる、例えば、磁気、光学、又は固体記憶デバイス(磁気若しくは光学ディスク、若しくはテープ若しくはRAM、又は固定又はポータブルのいずれかの任意の他の好適なデバイスを含む)などの任意の好適なデバイスであってもよい。プロセッサは、必要なプログラムコードを搬送するコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含んでもよい。プログラミングは、通信チャネルを介してプロセッサにリモートで提供され得るか、又はメモリに関連してそれらのデバイスのいずれかを使用して、メモリ又は何らかの他のポータブル若しくは固定コンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品にあらかじめ保存され得る。例えば、磁気ディスク又は光学ディスクは、プログラミングを担持し得、ディスクライタ/リーダによって読み取ることができる。本発明のシステムは、例えば、コンピュータプログラム製品の形態のプログラミング、上記の方法を実施する際に使用するためのアルゴリズムも含む。本発明によるプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによって直接読み取り及びアクセスすることができる任意の媒体に記録され得る。そのような媒体としては、以下に限定されないが、磁気ディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光学記憶媒体、RAM及びROMなどの電気記憶媒体、ポータブルフラッシュドライブ、並びに磁気/光学記憶媒体などのこれらのカテゴリのハイブリッドが挙げられる。
【0185】
プロセッサは、また、リモート位置でユーザと通信するための通信チャネルへのアクセスを有し得る。リモート位置とは、ユーザがシステムと直接接触せず、広域ネットワーク(「WAN」)、電話ネットワーク、衛星ネットワーク、又は携帯電話(すなわち、スマートフォン)を含む任意の他の好適な通信チャネルに接続されたコンピュータなど、外部デバイスから入力マネージャに入力情報を中継することを意味する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステムは、通信インターフェースを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、ネットワーク及び/又は別のデバイスと通信するための受信機及び/又は送信機を含む。通信インターフェースは、無線周波数(RF)通信(例えば、無線周波数特定(RFID)、ジグビー通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、超広帯域(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、及び符号分割多元接続(CDMA)又はモバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)などのセルラー通信を含むが、これらに限定されない、有線又は無線通信のために構成され得る。
【0187】
一実施形態では、通信インターフェースは、主題のシステムと、同様の補完的データ通信のために構成される(例えば、診療所又は病院環境における)コンピュータ端末などの他の外部デバイスとの間のデータ通信を可能にするために、例えば、USBポート、RS-232ポート、又は任意の他の好適な電気接続ポートなどの物理ポート又はインターフェースなど、1つ以上の通信ポートを含むように構成される。
【0188】
一実施形態では、通信インターフェースは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、又は任意の他の適切な無線通信プロトコルのために構成され、これにより、主題のシステムが、コンピュータ端末及び/若しくはネットワーク、通信可能モバイル電話、携帯情報端末、又はユーザが併せて使用することができる任意の他の通信デバイスなどの他のデバイスと通信することが可能になる。
【0189】
一実施形態では、通信インターフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されているローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、又はWiFiホットスポットでのインターネットへのWiFi接続を介して、インターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送のための接続を提供するように構成されている。
【0190】
一実施形態では、主題のシステムは、例えば、802.11若しくはBluetooth(登録商標)RFプロトコル、又はIrDA赤外線プロトコルなどの共通の標準規格を使用して、通信インターフェースを介してサーバデバイスと無線で通信するように構成される。サーバデバイスは、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)若しくはノートブックコンピュータなどの別のポータブルデバイス、又はデスクトップコンピュータ、アプライアンスなどのより大きなデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、サーバデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、並びにボタン、キーボード、マウス、又はタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。
【0191】
いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、上記の通信プロトコル及び/又は機構のうちの1つ以上を使用して、主題のシステム内、例えば、任意選択可能なデータ記憶ユニット内に記憶されたデータをネットワーク又はサーバデバイスと、自動的又は半自動的に伝達するように構成される。
【0192】
出力コントローラは、人間であろうと機械であろうと、ローカルであろうとリモートであろうと、ユーザに情報を提示するための様々な既知の表示デバイスのいずれかのためのコントローラを含み得る。表示デバイスのうちの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、通常、画素の配列として、論理的にかつ/又は物理的に編成され得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間にグラフィカル入力及び出力インターフェースを提供するための、及びユーザ入力を処理するための、様々な既知又は将来のソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能要素は、システムバスを介して互いに通信し得る。これらの通信のいくつかは、ネットワーク又は他のタイプのリモート通信を使用して代替の実施形態で達成され得る。出力マネージャは、また、既知の技術に従って、例えば、インターネット、電話、又は衛星ネットワークを介して、リモート位置でユーザに、処理モジュールによって生成された情報を提供し得る。出力マネージャによるデータの提示は、様々な既知の技術に従って実施され得る。いくつかの例として、データは、SQL、HTML、若しくはXMLドキュメント、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形態のデータを含み得る。データは、ユーザが追加のSQL、HTML、XML、又は他のドキュメント若しくはデータをリモートソースから取り出すことができるように、インターネットURLアドレスを含み得る。主題のシステム内に存在する1つ以上のプラットフォームは、通常、一般的にサーバと称されるコンピュータのクラスのものであるが、任意のタイプの既知のコンピュータプラットフォーム又は将来開発されるタイプであってもよい。また一方、それらは、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、又は他のコンピュータタイプであってもよい。それらは、任意の既知若しくは将来のタイプのケーブル配線、又はネットワーク化されているか、若しくはされていないかのいずれかの無線システムを含む、他の通信システムを介して接続されてもよい。それらは、同じ場所にある場合もあれば、物理的に離れている場合もある。場合により、選択されたコンピュータプラットフォームのタイプ及び/又は構成に応じて、様々なオペレーティングシステムが、コンピュータプラットフォームのいずれかで採用されてもよい。適切なオペレーティングシステムとしては、Windows NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OSなどが挙げられる。
【0193】
図6は、特定の実施形態による、例示的なコンピューティングデバイス600の一般的なアーキテクチャを示す。
図6に示されるコンピューティングデバイス600の一般的なアーキテクチャは、コンピュータハードウェア及びソフトウェア構成要素の配置を含む。コンピューティングデバイス600は、
図6に示される要素よりも多くの(又はよりも少ない)要素を含み得る。ただし、有効な開示を提供するためには、これらの一般的に伝統的な要素の全てが、必ずしも示される必要はない。図示してあるように、コンピューティングデバイス600は、処理ユニット610、ネットワークインターフェース620、コンピュータ可読媒体ドライブ630、入力/出力デバイスインターフェース640、ディスプレイ650、及び入力デバイス660を含み、それらの全ては、通信バスを経由して互いに通信することができる。ネットワークインターフェース620は、1つ以上のネットワーク又はコンピューティングシステムへの接続を提供することができる。したがって、処理ユニット610は、ネットワークを介して、他のコンピューティングシステム又はサービスから情報及び命令を受信することができる。処理ユニット610は、また、メモリ670との間でも通信することができ、入力/出力デバイスインターフェース640を介して、任意選択可能なディスプレイ650のための出力情報を更に提供することができる。入力/出力デバイスインターフェース840は、また、キーボード、マウス、デジタルペン、マイクロフォン、タッチスクリーン、ジェスチャー認識システム、音声認識システム、ゲームパッド、加速度計、ジャイロスコープ、又は他の入力デバイスなどの、任意選択可能な入力デバイス660から入力を受信することもできる。
【0194】
メモリ670は、処理ユニット610が順番に実行して1つ以上の実施形態を実施するコンピュータプログラム命令(いくつかの実施形態では、モジュール又はコンポーネントとしてグループ化される)を含むことができる。メモリ670は、一般的に、RAM、ROM、及び/又は他の永続的、補助的、又は非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。メモリ670は、コンピューティングデバイス600の一般的な管理及び動作において、処理ユニット610によって使用されるためのコンピュータプログラム命令を提供するオペレーティングシステム672を記憶することができる。メモリ670は、本開示の態様を実装するためのコンピュータプログラム命令及び他の情報を更に含むことができる。
【0195】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体
本開示の態様は、主題の方法を実践するための命令を有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を更に含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法を実践するためのシステムの完全な自動化又は部分的な自動化のために、1つ以上のコンピュータの上で採用され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法による命令は、「プログラミング」の形態でコンピュータ可読媒体にコード化され得、この場合、「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、実行及び処理のために命令及びデータをコンピュータに提供することに関与する任意の非一時的記憶媒体を指す。好適な非一時的記憶媒体の例としては、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、ソリッドステートディスク、及びネットワークアタッチド記憶装置(NAS)が挙げられるが、このようなデバイスは、コンピュータの内部にあるか、又は外部にあるかを問わない。情報を含むファイルは、コンピュータ可読媒体に「記憶される」ことができ、ここで、「記憶する」とは、その情報がコンピュータによって後日アクセス可能及び検索可能であるように、その情報を記録することを意味する。本明細書に記載のコンピュータ実施方法は、任意の数のコンピュータプログラミング言語のうちの1つ以上で記述することができるプログラミングを使用して、実行され得る。そのような言語としては、例えば、Java(Sun Microsystems,Inc.,Santa Clara,CA)、Visual Basic(Microsoft Corp.,Redmond,WA)、及びC++(AT&T Corp.,Bedminster,NJ)、並びに任意の多くの他の言語が挙げられる。
【0196】
いくつかの実施形態では、対象のコンピュータ可読記憶媒体は、そのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータ上にロードされたときに、音響光学デバイスをレーザーで照射して、複数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成し、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するためのアルゴリズムを有する命令と、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットで照射した試料からの光を検出するための命令とを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第1のセットで検出するためのアルゴリズムと、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を光検出器の第2のセットで検出するための命令とを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、光検出器の第1のセットから光信号を生成するためのアルゴリズムを含む。いくつかの事例では、生成された光信号は、フローストリーム中の粒子(例えば、細胞)からの周波数符号化された蛍光データを含む。特定の事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、粒子からの周波数符号化された蛍光データを変換して、粒子の空間データを与えるためのアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、周波数符号化された蛍光データのフーリエ変換によって、周波数符号化された蛍光データを変換するためのアルゴリズムを含む。いくつかの事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、周波数符号化された蛍光データの離散フーリエ変換(DFT)によって、周波数符号化された蛍光データを変換するためのアルゴリズムを含む。他の事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、周波数符号化された蛍光データの短時間フーリエ変換(STFT)を実行することによって、空間データを計算するためのアルゴリズムを含む。更に他の事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、周波数符号化された蛍光データをヘテロダイン及び非多重化するために、デジタルロックイン増幅器を用いて空間データを計算するためのアルゴリズムを含む。
【0198】
特定の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、また、2020年5月29日に出願された米国特許出願第16/887,538号に記載されるような、位相補正構成要素を用いて周波数符号化された蛍光データの変換を実行することによって空間データを計算するためのアルゴリズムを含み、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、周波数符号化された蛍光データからフローストリーム中の粒子の画像を生成するためのアルゴリズムを含む。いくつかの事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、検出された光吸収、検出された光散乱、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、周波数符号化された蛍光データから画像を生成するためのアルゴリズムを含む。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第1のセットから検出される光信号に基づいて生成され得る粒子の1つ以上の画像を生成するためのアルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態では、粒子の単一画像が生成される。他の実施形態では、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料から検出される光信号に基づいて、粒子の2つ以上の画像が生成され、10個以上を含む、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上の画像が生成される。
【0200】
他の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、光検出器の第2のセットから光信号を生成するためのアルゴリズムを含む。いくつかの事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されたフローストリームからの光の異なる波長の波長分割多重化のためのアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第2のセットでのフローストリーム中の試料の照射から検出された光をスペクトル分解するためのアルゴリズムを含む。特定の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光の重複するスペクトル構成要素を判定するためのアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、角度偏向レーザービームの第2のセットで照射されたフローストリームからの光のスペクトルの重複を判定するためのアルゴリズムと、重複する検出された光スペクトルへの各々の寄与を計算するためのアルゴリズムとを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、スペクトル非混合マトリックスを計算することによって光をスペクトル分解するためのアルゴリズムを含む。特定の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、スペクトル非混合マトリックスを計算して、光検出器の第2のセットにおける光検出器による検出された光信号への各寄与の存在量を推定するためのアルゴリズムを含む。
【0201】
いくつかの事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、スペクトル非混合マトリックスを計算して、フローストリーム中の粒子に関連付けられたフルオロフォアの存在量を判定するためのアルゴリズムを含む。特定の事例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、粒子に関連付けられた各フルオロフォアの存在量に基づいて粒子を識別及び分類するためのアルゴリズムを含む。特定の実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、光検出器の第2のセットのうちの複数の光検出器によって検出された光を、1)重み付き最小二乗アルゴリズム、2)シャーマン-モリソン反復逆アップデータ、3)マトリックスが下三角(L)マトリックスと上三角(U)マトリックスとの積に分解される場合など、LUマトリックス分解、4)修正コレスキー分解、5)QR因数分解によるもの、及び6)特異値分解による重み付き最小二乗アルゴリズムの計算、のうちの1つ以上を使用してスペクトル非混合マトリックスを解くことによって、スペクトル分解するためのアルゴリズムを含む。
【0202】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを有する1つ以上のコンピュータシステム上で採用され得る。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得るか、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の方法でファームウェア及びハードウェアとインターフェース接続し、当技術分野で既知であるように、Java、Perl、C++、他の高級言語又は低級言語、並びにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で記述され得る様々なコンピュータプログラムの機能を、プロセッサが連携及び実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。
【0203】
キット
本発明の態様は、キットを更に含み、キットは、レーザー、音響光学デバイス(例えば、音響光学偏向器)、ビームスプリッタ、及び望遠レンズ系を含む。いくつかの実施形態では、レーザーは、連続波レーザーである。いくつかの事例では、ビームスプリッタは、50:50のビームスプリッタである。キットは、1つ以上のミラー、本明細書に記載されるパウエルレンズなどのビームシェーパなどの1つ以上の追加の光学調節構成要素を更に含み得る。
【0204】
キットの様々なアッセイ構成要素は、別々の容器中に存在してもよく、又はそれらの一部若しくは全部を事前に組み合わせてもよい。例えば、いくつかの事例では、キットの1つ以上の構成要素、例えば、音響光学デバイス、ビームスプリッタ、及び望遠レンズ系構成要素は、例えば、無菌ホイルパウチ又はエンベロープなどの分離密封されたパウチ内に存在する。
【0205】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、主題の方法を実践するための命令を(特定の実施形態では)更に含み得る。これらの命令は、様々な形態でキット中に存在し得、そのうちの1つ以上は、キット中に存在し得る。これらの命令が存在し得る1つの形態は、好適な媒体又は基板、例えば、情報が印刷される1枚以上の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印刷される情報としてである。これらの命令の更に別の形態は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得るこれらの命令の更に別の形態は、削除されたサイトで情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0206】
ユーティリティ
主題のシステム、方法、及びコンピュータシステムは、生体試料など、流体培地中の試料内の粒子構成要素を分析し、選別することが望ましい、様々な用途での使用を見出す。本開示は、また、フローサイトメトリーにおける使用も見出され、ここでは改善された細胞選別精度、強化された粒子収集、低減されたエネルギー消費、粒子充電効率、より正確な粒子充電、及び細胞選別中の強化された粒子偏向を有するフローサイトメータを提供することが望ましい。実施形態では、本開示は、フローサイトメータによる試料分析中のユーザ入力又は手動調節の必要性を低減させる。特定の実施形態では、主題のシステムは、完全に自動化されたプロトコルを提供し、その結果、使用中のフローサイトメータへの調節が、任意のヒト入力があっても、ほとんど必要としない。
【0207】
本開示は、また、生物学的試料から調製された細胞が研究、実験室試験、又は治療で使用するために望まれ得る用途での使用も見出す。いくつかの実施形態では、主題の方法及びデバイスは、目的の流体又は組織生体試料から調製された個々の細胞の取得を促進し得る。例えば、主題の方法及びシステムは、がんなどの疾患の研究又は診断用標本として使用される、流体又は組織試料から細胞を取得することを容易にする。同様に、主題の方法及びシステムは、治療で使用される流体又は組織試料から細胞を取得することを容易にする。本開示の方法及びデバイスは、従来のフローサイトメトリーシステムと比較して、向上した効率及び低コストの生体試料(例えば、臓器、組織、組織断片、体液)から細胞を分離し、収集することを可能にする。
【0208】
添付の特許請求の範囲にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.フローストリーム中の試料を照射するための方法であって、
角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成することと、
角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光路に沿って伝播することと、
角度偏向レーザービームの第1のセットを角度偏向レーザービームの第2のセットと組み合わせ、レーザービームの組み合わせたセットをフローストリーム中の試料上に導くことと、
試料からの光を検出することと
を含む、方法。
2.角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、各々、局部発振器(LO)ビーム及び複数の高周波コムビームを含む、付記1に記載の方法。
3.方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射して、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを生成することを含む、付記2に記載の方法。
4.局部発振器ビームは、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを含む、付記2又は3に記載の方法。
5.局部発振器ビームは、垂直軸に沿ってガウス強度プロファイルを有する、付記4に記載の方法。
【0209】
6.複数の高周波コムビームは、各々、実質的に同じ強度を有する、付記2~5のいずれか一つに記載の方法。
7.角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、単一のレーザーから生成される、付記1~6のいずれか一つに記載の方法。
8.レーザーが、連続波レーザーである、付記7に記載の方法。
9.角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットに平行な光学平面に沿ってフローストリームに伝播される、付記1~8のいずれか一つに記載の方法。
10.角度偏向レーザービームの第1のセットの光学平面は、所定の距離で、角度偏向レーザービームの第2のセットの光学平面から空間的に分離されている、付記9に記載の方法。
【0210】
11.方法は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の空間位置に導くことを含む、付記1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.角度偏向レーザービームの第1のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の垂直位置に導かれる、付記11に記載の方法。
13.方法は、角度偏向レーザービームの第1のセットによる試料の照射に応答して、光信号の第1のセットと、角度偏向レーザービームの第2のセットによる試料の照射に応答して、光信号の第2のセットとを生成することを更に含む、付記1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.光信号の第1のセットは、時間領域蛍光放出信号を含む、付記13に記載の方法。
15.複数の時間領域蛍光放出信号に基づいて、試料中の粒子の画像を生成することを更に含む、付記14に記載の方法。
【0211】
16.画像を生成することは、各蛍光放出信号を周波数非多重化することを含む、付記15に記載の方法。
17.周波数非多重化することは、蛍光信号のフーリエ変換を取得することを含む、付記16に記載の方法。
18.方法は、試料からの光信号の第1のセットに基づいて、試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定することを含む、付記13~17のいずれか一つに記載の方法。
19.光信号の第2のセットは、時間領域蛍光放出信号を含む、付記13~18のいずれか一つに記載の方法。
20.複数の時間領域蛍光放出信号に基づいて、試料中の粒子の画像を生成することを更に含む、付記19に記載の方法。
【0212】
21.画像を生成することは、各蛍光放出信号を周波数非多重化することを含む、付記20に記載の方法。
22.周波数非多重化することは、蛍光信号のフーリエ変換を取得することを含む、付記21に記載の方法。
23.方法は、試料からの光信号の第2のセットに基づいて、試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定することを含む、付記13~22のいずれか一つに記載の方法。
24.方法は、
光検出器の第1のセットで光信号の第1のセットを生成することと、
光検出器の第2のセットで光信号の第2のセットを生成することと
を含む、付記13~23のいずれか一つに記載の方法。
25.光検出器の第1のセットは、複数の光電子増倍管を含み、光検出器の第2のセットは、複数のフォトダイオードを含む、又は
光検出器の第1のセットは、複数のフォトダイオードを含み、光検出器の第2のセットは、複数の光電子増倍管を含む、付記24に記載の方法。
26.フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードである、付記25に記載の方法。
【0213】
27.フローストリーム中の試料を照射するためのシステムであって、
レーザーと、
レーザーによる照射に応答して、複数の角度偏向レーザービームを含む出力レーザービームを生成するように構成された音響光学デバイスと、
出力レーザービームから、角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットを生成するように構成された第1の光学調節構成要素と、
角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットをフローストリーム中の試料上に導くように構成された第2の光学調節構成要素と
を有する、光ビーム生成器と、
試料からの光を検出するための光検出構成要素と
を備える、システム。
28.音響光学デバイスは、音響光学偏向器を含む、付記27に記載のシステム。
【0214】
29.光ビーム生成器は、単一のレーザーを含む、付記27又は28に記載のシステム。
30.第1の光学調節構成要素は、ビームスプリッタを含む、付記27~29のいずれか一つに記載のシステム。
31.ビームスプリッタは、50:50のビームスプリッタである、付記30に記載のシステム。
【0215】
32.第2の光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる光学平面に沿って伝播するように構成されている、付記27~31のいずれか一つに記載のシステム。
33.角度偏向レーザービームの第1のセットの光学平面は、所定の距離で、角度偏向レーザービームの第2のセットの光学平面から空間的に分離されている、付記32に記載のシステム。
34.第2の光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の空間位置に導くように構成されている、付記32又は33に記載のシステム。
35.第2の光学調節構成要素は、角度偏向レーザービームの第1のセットを、角度偏向レーザービームの第2のセットとは異なる、フローストリーム上の垂直位置に導くように構成されている、付記34に記載のシステム。
36.第2の光学調節構成要素は、望遠レンズ系を含む、付記27~35のいずれか一つに記載のシステム。
【0216】
37.光検出構成要素は、
角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器の第1のセットと、
角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料からの光を検出するように構成された光検出器の第2のセットと
を含む、付記27~36のいずれか一つに記載のシステム。
38.光検出器の第1のセットは、複数の光電増倍管を含む、付記37に記載のシステム。
39.光検出器の第1のセットは、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料中の粒子からの光に応答して、時間領域蛍光放出信号を生成するように構成されている、付記37に記載のシステム。
40.プロセッサを含むコントローラを更に備え、プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、メモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、複数の時間領域蛍光放出信号に基づいて、試料中の粒子の画像を生成させる、付記39に記載のシステム。
41.光検出器の第1のセットは、角度偏向レーザービームの第1のセットによって照射された試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定するように構成されている、付記37~40のいずれか一つに記載のシステム。
【0217】
42.光検出器の第2のセットは、複数のフォトダイオードを含む、付記37~41のいずれか一つに記載のシステム。
43.フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードである、付記35に記載のシステム。
44.光検出器の第2のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料中の粒子からの光に応答して、時間領域蛍光放出信号を生成するように構成されている、付記37~43のいずれか一つに記載のシステム。
45.プロセッサを含むコントローラを更に備え、プロセッサは、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは、メモリに記憶された命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、複数の時間領域蛍光放出信号に基づいて、試料中の粒子の画像を生成させる、付記44に記載のシステム。
46.光検出器の第2のセットは、角度偏向レーザービームの第2のセットによって照射された試料中の粒子からのスペクトル存在量を判定するように構成されている、付記37~45のいずれか一つに記載のシステム。
【0218】
47.出力レーザービームは、局部発振器(LO)ビーム及び複数の高周波コムビームを含む、付記27~46のいずれか一つに記載のシステム。
48.角度偏向レーザービームの第1のセット及び角度偏向レーザービームの第2のセットは、各々、局部発振器ビーム及び複数の高周波コムビームを含む、付記27~47のいずれか一つに記載のシステム。
49.局部発振器ビームは、水平軸に沿って実質的に一定の強度プロファイルを含む、付記47又は48に記載のシステム。
50.局部発振器ビームは、垂直軸に沿ってガウス強度プロファイルを有する、付記49に記載のシステム。
51.複数の高周波コムビームは、各々、実質的に同じ強度を有する、付記47~50のいずれか一つに記載のシステム。
52.システムは、粒子分析器である、付記27~51のいずれか一つに記載のシステム。
53.粒子分析器は、フローサイトメータの一部である、付記52に記載のシステム。
【0219】
54.キットであって、
レーザーと、
音響光学デバイスと、
ビームスプリッタと、
望遠レンズ系と
を備える、キット。
55.レーザーは、連続波レーザーである、付記54に記載のキット。
56.音響光学デバイスは、音響光学偏向器である、付記54又は55に記載のキット。
57.ビームスプリッタは、50:50のビームスプリッタである、付記54~56のいずれか一つに記載のキット。
58.トップハットビームシェーパを更に備える、付記54~57のいずれか一つに記載のキット。
【0220】
59.トップハットビームシェーパは、パウエルレンズを備える、付記58に記載のキット。
60.複数の光電子増幅管と、複数のフォトダイオードとを含む、光検出システムを更に備える、付記54~59のいずれか一つに記載のキット。
61.フォトダイオードは、アバランシェフォトダイオードである、付記60に記載のキット。
【0221】
上記の発明は、明確な理解のために例示及び例によって多少詳しく説明されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それらの発明に対して特定の変更及び修正が行われ得ることは、容易に明らかである。
【0222】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。更に、本明細書に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、読者が本発明の原理及び当該技術を更に進めるために発明者が寄与する概念を理解することを助ける点を意図しており、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態を記載する、本明細書の全ての記述、並びにそれらの具体例は、それらの構造的及び機能的等価物の両方を包含することが意図されている。更に、そのような等価物は、構造に関係なく、現在知られている等価物と、将来開発される等価物との両方、すなわち、同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図される。更に、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に記載されているか否かにかかわらず、公に献呈するように意図されない。
【0223】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明された例示的な実施形態に限定されることを意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲におけるそのような制限の開始時に正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されるときにのみ、特許請求の範囲における制限のために引用されるものとして明示的に定義され、そのような正確な語句が特許請求の範囲における制限で使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は引用されない。
【0224】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に基づいて、本出願は、2020年6月26日に出願された米国仮特許出願第63/044,601号の出願日の優先権を主張するものであり、その出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】