(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】治療用粉末アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230725BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A61B17/00 400
A61M11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580723
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021039467
(87)【国際公開番号】W WO2022006022
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507084844
【氏名又は名称】デボル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】トレクスラー,ジョナサン,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】サワビー,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】マクレラン,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ハード,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロウンズ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャミン,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM18
4C160MM22
(57)【要約】
治療用粉末アプリケータ及びその動作方法が記載されている。いくつかの実施形態では、第1のガス流は、治療用粉末を収容するチャンバの遠位側多孔質部分を通って流れることができる。このガスは、治療用粉末を流動化して同伴し、同伴された粉末をチャンバと流体連通する出口を通して流すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用粉末を収容するように構成されたチャンバであって、前記チャンバの少なくとも遠位部分は複数の孔を含む、チャンバと、
前記チャンバの前記遠位部分の前記複数の孔を介して前記チャンバと流体連通する第1の加圧ガス源と、
前記チャンバと流体連通する出口と、
を含む、治療用粉末アプリケータ。
【請求項2】
前記チャンバ内に配置された前記治療用粉末を更に含む、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項3】
前記治療用粉末は止血粉末である、請求項2に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項4】
前記第1の加圧ガス源及び前記チャンバは、前記第1の加圧ガス源からの第1のガス流が前記複数の孔を通って前記チャンバに流入し、前記第1のガス流中に前記治療用粉末を同伴するように構成されており、前記同伴された治療用粉末は前記出口を通って流れる、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項5】
前記第1の加圧ガス源及び前記出口は、前記第1の加圧ガス源からの第2のガス流が前記チャンバを流れることなく前記出口を通って流れるように構成されている、請求項4に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項6】
前記第1のガス流と前記第2のガス流の相対流量は調整可能である、請求項5に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項7】
第2の加圧ガス源を更に含み、前記第2の加圧ガス源及び前記出口は、前記第2の加圧ガス源からの第2のガス流が前記チャンバを流れることなく前記出口を通って流れるように構成されている、請求項4に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項8】
前記チャンバは少なくとも部分的に多孔質膜から形成されている、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項9】
前記第1の加圧ガス源はベローズである、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項10】
前記チャンバの長手方向軸線は前記出口を通る軸線と平行である、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項11】
前記チャンバの長手方向軸線は前記出口を通る軸線に対して角度をなしている、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項12】
前記チャンバに対して回転するように構成されたハンドルを更に含む、請求項1に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項13】
前記ハンドルは、前記出口を通る軸線に平行な回転軸線の周りを回転するように構成されている、請求項12に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項14】
前記ハンドルが前記チャンバに対して回転すると、前記第1の加圧ガス源は前記ハンドルとともに回転するように構成されている、請求項12に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項15】
前記ハンドルは、前記第1の加圧ガス源に対して回転するように構成されている、請求項12に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項16】
前記ベローズが拡張するときに前記出口への逆流を防ぐように構成された第1の一方向弁を更に含む、請求項9に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項17】
前記ベローズが拡張するときに前記ベローズを外部環境と流体的に接続するように構成された弁を更に含む、請求項16に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項18】
治療用粉末を収容するように構成されたチャンバであって、前記チャンバの少なくとも遠位部分は複数の孔を含む、チャンバと、
第1のガス入口と、
前記チャンバと流体連通する出口と、
を含み、
前記第1のガス入口は、前記チャンバの前記遠位部分の前記複数の孔を介して前記出口と流体連通する、
治療用粉末アプリケータ。
【請求項19】
前記チャンバ内に配置された前記治療用粉末を更に含む、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項20】
前記治療用粉末は止血粉末である、請求項19に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項21】
前記第1のガス入口と前記チャンバとの間に延びる第1の導管を更に含む、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項22】
第2のガス流が前記チャンバを流れることなく前記出口を通って流れるように前記第1のガス入口と前記出口との間に延びる第2の導管を更に含む、請求項21に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項23】
前記第1の導管及び/又は前記第2の導管に沿って配置された可変流れ抵抗を更に含む、請求項22に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項24】
第2のガス入口を更に含み、前記第2のガス入口からの第2のガス流が前記チャンバを流れることなく前記出口を通って流れるように、前記第2のガス入口と前記出口は流体連通する、請求項21に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項25】
前記チャンバは少なくとも部分的に多孔質膜から形成されている、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項26】
前記第1のガス入口と流体連通するベローズを更に含む、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項27】
前記チャンバの長手方向軸線は前記出口を通る軸線と平行である、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項28】
前記チャンバの長手方向軸線は前記出口を通る軸線に対して角度をなしている、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項29】
前記チャンバに対して回転するように構成されたハンドルを更に含む、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項30】
前記ハンドルは、前記出口を通る軸線に平行な回転軸線の周りを回転するように構成されている、請求項29に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項31】
前記ハンドルが前記チャンバに対して回転すると、前記第1のガス入口は前記ハンドルとともに回転するように構成されている、請求項29に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項32】
前記ハンドルは、前記第1のガス入口に対して回転するように構成されている、請求項29に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項33】
前記第1のガス入口に結合されたベローズを更に含み、前記ベローズが拡張するときに前記出口への逆流を防ぐように構成された第1の一方向弁を更に含む、請求項18に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項34】
前記ベローズが拡張するときに前記ベローズを外部環境と流体的に接続するように構成された第2の一方向弁を更に含む、請求項33に記載の治療用粉末アプリケータ。
【請求項35】
治療用粉末を適用する方法であって、
前記治療用粉末を収容するチャンバの遠位部分の複数の孔を通して第1のガス流れを流すことと、
前記第1のガス流れ中に前記治療用粉末を同伴させることと、
前記同伴された治療用粉末を前記チャンバと流体連通する出口を通して流すことと、
を含む、方法。
【請求項36】
第2のガス流れを前記チャンバの前記複数の孔を通して流すことなく前記出口を通して流すことを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のガス流れと前記第2のガス流れの相対流量を調整することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記治療用粉末が前記出口から分与される際の前記治療用粉末の広がりを調整することを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
第1の加圧ガス源から前記第1のガス流れを供給することと、第2の加圧ガス源から前記第2のガス流れを供給することとを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のガス流れを供給するためにベローズを圧縮することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のガス流れを供給するために前記ベローズを圧縮することは、前記ベローズが拡張するときに前記出口への逆流を防ぐように構成された第1の一方向弁を通して前記第1のガス流れを流すことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
外部環境から第2の一方向弁を通して第2のガス流れを流すことにより、前記ベローズを解放して前記ベローズを再拡張させることを更に含む、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示の全体が参照によって本明細書に組み込まれる2020年6月30日に出願された米国特許仮出願第63/046,176号の優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
[0002] 開示される実施形態は、治療用粉末アプリケータ及びその関連の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 粉末アプリケータは、治療目的での対象者の所望の位置への治療用粉末の送達を含め、様々な種類の粉末を所望の表面に適用するために多くの様々な用途で使用されている。これらのアプリケータを使用して送達される粉末は、ハウスナー比が1.00~1.18の軽量低密度の粉末である傾向がある。一部のアプリケータは、動作中に適用されるガス流(flow of gas)の垂直下方にバルクの全部が配置された状態で粉末の上部自由表面上に、又は粉末を収容したチャンバの開口部の反対側などから粒子の塊のバルク全体中に流れガス(a flow a gas)を案内することにより粉末を流動化する。しかしながら、これらのタイプの構造は、上記の粉末に比べて流動化がより困難な粉末を適切に流動化できないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 一実施形態では、治療用粉末アプリケータは、治療用粉末を収容するように構成されたチャンバであって、チャンバの少なくとも遠位部分は複数の孔を含む、チャンバと、チャンバの遠位部分の複数の孔を介してチャンバと流体連通する第1の加圧ガス源と、チャンバと流体連通する出口とを含む。
【0005】
[0005] 一実施形態では、治療用粉末アプリケータは、治療用粉末を収容するように構成されたチャンバであって、チャンバの少なくとも遠位部分は複数の孔を含む、チャンバと、第1のガス入口と、チャンバと流体連通する出口とを含み、第1のガス入口は、チャンバの遠位部分の複数の孔を介して出口と流体連通する。
【0006】
[0006] 一実施形態では、治療用粉末を適用する方法は、治療用粉末を収容するチャンバの遠位部分の複数の孔を通して第1のガス流れ(gas flow)を流すことと、第1のガス流れ中に治療用粉末を同伴させることと、同伴された治療用粉末をチャンバと流体連通する出口を通して流すこととを含む。
【0007】
[0007] 本開示はこの点で限定されないため、前述の概念及び以下に記載する更なる概念は任意の適切な組み合わせで構成され得ることを認識されたい。更に、本開示の他の利点及び新規な特徴が、添付の図と併せて考慮される場合に、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
[0008] 添付の図面は縮尺通りに描かれることを意図していない。図面において、様々な図に示されているそれぞれ同一の又はほぼ同一の構成要素は同様の番号で表される場合がある。明確にするために、全ての図面の全ての構成要素に符号が付されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図2】[0010]粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図3】[0011]粉末アプリケータノズルの一実施形態の断面図である。
【
図4A】[0012]異なる向きの2つの流路を含む粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図4B】[0012]異なる向きの2つの流路を含む粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図4C】[0012]異なる向きの2つの流路を含む粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図5】[0013]2つの流路と弁とを含む粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図6】[0014]粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図7】[0015]2つのガス源を有する粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図8】[0016]異なる大きさの領域に粉末を適用するために使用される粉末アプリケータの一実施形態の写真である。
【
図9A】[0017]ハンドルが第1の位置にある粉末アプリケータの一実施形態の斜視図である。
【
図9B】[0018]ハンドルが第2の位置にある
図9Bの粉末アプリケータの斜視図である。
【
図10】[0019]回転可能なハンドルを有する粉末アプリケータの一実施形態の断面図である。
【
図11】[0020]回転可能なハンドルを有する粉末アプリケータの別の実施形態の断面図である。
【
図12A】[0021]粉末アプリケータハンドルの一実施形態の斜視図である。
【
図12B】[0022]弁を有する粉末アプリケータの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0023] 異なる用途に使用される治療用粉末は粒度及び密度の両方において異なり得る。これらの性質は、粉末の流れの特性、すなわち流動性に影響を及ぼす。ハウスナー比を使用して粉末の流動性を評価することができ、ハウスナー比は測定した粉末のタップ密度をそのかさ密度で割ることにより計算される。一般に、ハウスナー比が低いほど流動性は良い。例えば、ハウスナー比が1.00~1.18の粉末は優から良の流れ特性を示すと考えられる一方で、ハウスナー比が1.18を超える粉末は可から劣の流れ特性を示すと考えられる。粒子形態、基本流動性エネルギー(BFE)(mJ)、通気エネルギー(AE)(mJ)、通気指標(AE)、壁面摩擦角(WFA)、圧縮率、静電荷、含水率、及び粉末の全体的な流動性の低下をもたらす可能性のある他の適切なパラメータなどの他の粉末特性も存在し得る。流動性が劣る粒子は流動化が比較的困難であり、特定の適用方法には適さない。
【0011】
[0024] 止血粉末は、出血を管理又は停止するために使用される治療用粉末である。これらの粉末は、ガスのストリームを使用し出血部位に向けて及びその上に粉末を案内することができるアプリケータによって一般に適用される。既存のアプリケータは比較的高圧の及び/又は高速のガスを使用し、一般に、比較的小粒度及び/又は比較的低密度の止血粉末の流動化及び適用に効果的である。このような止血粉末は、1.00~1.18のハウスナー比を示すことがある。しかしながら、これらの小粒度及び/又は低密度の止血粉末は流動する血液の表面張力を壊すのには効果的でないことがあるため、流動する血液下の所望の位置に到達しないことがある。したがって、特定の用途においては、流動する血液の表面張力を壊すことができるより大きな及び/又はより高密度の粉末を使用すると有利な場合がある。粒度、密度、及びハウスナー比に加えて、粒子形態、基本流動性エネルギー(BFE)(mJ)、通気エネルギー(AE)(mJ)、通気指標(AE)、壁面摩擦角(WFA)、圧縮率、静電荷、及び含水率が挙げられるがこれらに限定されない他の粒子特性も止血粉末の血液を貫通する能力を向上させることができるが、既存の高い圧力及び/又は速度のアプリケータで効果的に流動化される粉末の能力は低下する。しかしながら、本発明者らは、既存の高圧のアプリケータは、一般に、血液を貫通するその能力を向上させることができる上記の特性の1つ以上を有する粉末の流動化及び適用に効果的でないと認識している。
【0012】
[0025] 上記に鑑み、本発明者らは、様々な異なる種類の粉末を扱うことができる改良された治療用粉末アプリケータの利点を認識した。このようなアプリケータは、既存のアプリケータで使用されている比較的高い圧力及び/又は速度から既存のアプリケータのものを下回る比較的低い圧力及び/又は速度までの範囲の様々な圧力及び/又は速度で治療用粉末を効果的に流動化し、適用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、このようなアプリケータはまた、治療用粉末を様々な広がりを持って適用することを可能にすることができ、例えば、狭い面積及び/又は広い面積の両方への狙いを定めた適用を可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、広い面積から狭い面積まで大きさが異なり得る標的位置に所望の精度及び/又は制御で止血粉末を効果的に分与するようにアプリケータの動作を変更することができる。これに対し、一般的なアプリケータは、止血粉末を広い標的面積に対して流動化及び適用するのに一般に効果的な比較的高い圧力及び/又は高い速度のガスを使用する。
【0013】
[0026] 上記に鑑み、本発明者らは、様々な異なる種類の粉末を制御可能な状態で送達することができる改良された治療用粉末アプリケータの利点を認識した。場合によっては、これにより、広い標的面積及び/又は狭い標的面積のいずれかへの送達を可能にし得る。このような実施形態では、アプリケータは、場合によっては一般的なアプリケータと比べると比較的低い圧力及び/又は速度であり得る、粒子を同伴させるために使用されるガスの圧力及び/又は速度を制御することにより送達面積を効果的に制御するように構成され得る。
【0014】
[0027] 特定の実施形態において、治療用粉末アプリケータは、治療用粉末(例えば止血粉末)などの粉末を収容するように構成されたチャンバを含む。チャンバの一部分又は全体が多孔質材料で作られていてもよい。第1の加圧ガス源は、チャンバの多孔質材料を介してチャンバと流体連通してもよい。更に、チャンバの出口はチャンバの内容積と流体連通してもよい。このような実施形態では、第1の加圧ガス源からの第1のガス流は、多孔質材料を通ってチャンバに流入してもよい。チャンバに入ると、ガス流は、チャンバの出口から流出してアプリケータから粉末を分与する前に粉末を流動化して同伴してもよい。特定の実施形態によっては、ガス流は、ガス流及び同伴された粒子がチャンバから出る方向に対して角度をなす方向にある及び/又は開口部と開口部の反対側にあるチャンバの基端部との間に配置されたチャンバの静止遠位部分の近傍の位置にあるチャンバの一部分を形成している多孔質材料を通ってチャンバに流入するようにチャンバに送達されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、チャンバのこの遠位部分は、デバイスが動作するときにチャンバの遠位部分及び開口部を重力の局所方向に対して少なくとも部分的に垂直下向きに方向付け、粉末をガスが流れるチャンバの開口部及び多孔質部分に隣接した状態に維持することができるように構成されてもよい。
【0015】
[0028] いくつかの実施形態では、チャンバに入るガス流の乱流、すなわちチャンバ内でのガスと微粒子との混合を更に増大させることが望ましい場合がある。このような実施形態では、アプリケータは、チャンバの開口部に隣接して配置された渦チャンバを含んでもよい。渦チャンバは、出口位置の近辺のチャンバの一部分を形成している多孔質材料を通って入ってくるガス流れを濃縮するように構成されてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、これにより、出口の近辺の粉末の通気及び流動化(fluidation)を向上させることができ、作動あたりの送達材料量を増大させることができる。
【0016】
[0029] 特定の実施形態では、流動化した粉末を別々のガス流中に同伴することが望ましい場合がある。このような構成は、流動化した粉末をアプリケータの出口から所望の分散パターンで分与するのに役立ち得る。このようなアプリケータでは、上述のようにアプリケータのチャンバを通りチャンバ内に収容された粉末を流動化する第1のガス流とは別の少なくとも第2のガス流を含んでもよい。動作中に、同伴された粉末を有する第1のガス流は、チャンバから下流の地点で第2のガス流と組み合わされてもよい。したがって、同伴された粉末は、第1のガス流と第2のガス流との組み合わされた流れによりアプリケータの出口を通して分与されてもよい。この第2の流路の圧力源は、粉末を流動化するために使用される圧力源と同じであっても異なっていてもよいことは理解されたい。
【0017】
[0030] 適用中に、アプリケータにより適用される粉末の広がり又は被覆範囲を調整することが望ましい場合がある。例えば、粉末が第1の小さな面積上に分与され得るように小さな広がりから、及び粉末が第2のより大きな面積上に分与され得る大きな広がりから始めることが望ましい場合がある。更に、場合によっては、より多量の粉末を分与することが望ましい場合がある一方で、他の例では、より少量の粉末を分与することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、上記の分与パラメータは、上述のアプリケータの第1の流路と第2の流路を通るガスの相対流量を調整することによって調整されてもよい。これは、1つ又は両方の流路(例えば可変流れ抵抗弁)の相対的な流れ抵抗を変更すること、関連圧力源からのガスの流量を変更すること、及び/又は異なる流路間のガスの相対流量を制御する任意の他の適切な方法によって達成されてもよい。例えば、一例示的実施形態では、可変抵抗弁は、第1の動作モードでは最大の流れを第2の流路に通すために完全に開放されてもよく、第2の動作モードでは減少した流れを第2の流路に通すために部分的に閉鎖されてもよく、第3の動作モードではガス流が第2の流路を通ることを阻止するために完全に閉鎖されてもよい。
【0018】
[0031] 上記のように、チャンバの少なくとも一部分は多孔質材料から作られていてもよい。いくつかの実施形態では、多孔質材料は、多孔質材料が第1の加圧ガス源からのガスを透過させ、所定の粒度範囲の粉末を透過させないように構成され得る。したがって、多孔質材料は、チャンバ内に粉末を保持し、粉末が関連加圧ガス源に向けて逆流することを阻止することができる。アプリケータは、アプリケータが動作していないときには(例えば、第1の加圧ガス源がチャンバにガスを送達するために動作していないときには)粉末がチャンバ内にあるように構成され得る。多孔質材料は、材料の一方の側から材料の別の反対側まで延びる複数の開気孔を含む任意の適切な材料及び/又は構造に相当し得る。いくつかの実施形態では、穿孔、成形、レーザアブレーションによって、又は任意の他の適切な製造技術を使用して材料内に複数の穴が形成され得る。他の実施形態では、多孔質材料は、織、不織、又は他の適切な膜構造に相当し得る多孔質膜であり得る。更に、場合によっては、多孔質膜を焼結することにより多孔質膜の拡散特性を変化させてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、多孔質材料は焼結多孔質膜を含み得る。本開示はこの点で限定されないため、上記に鑑み、適切な孔密度及び孔径を有する任意の適切な種類の多孔質材料が本明細書中に記載される様々な実施形態で使用され得ることは理解されたい。
【0019】
[0032] 上述のように、チャンバ全体又はチャンバの一部分のみが多孔質材料で構築され得る。チャンバの一部分のみが多孔質の実施形態では、チャンバの残り部分は、プラスチック、ガラス、金属などを含む任意の適切な非多孔質材料で構築されてもよい。チャンバの多孔質部分及び非多孔質部分は接続面を有してもよい。ある実施形態では、チャンバの多孔質部分と非多孔質部分は接続面において選択的に結合可能であってもよい。この構成は、チャンバを選択的に開閉することを可能にすることができ、治療用粉末を所望のとおりに追加又は除去することを可能にする。このような実施形態は再利用用に構成されてもよい。他の実施形態では、チャンバの様々な部分は互いに一体形成されていてもよい及び/又は永久接続されていてもよい。このような実施形態では、チャンバに特定量又は用量の所望の治療用粉末が提供されてもよく、その用量がなくなると、チャンバはアプリケータから取り外され、廃棄され、任意選択的に、治療用粉末の新たな用量を含む新たなチャンバと交換されてもよい。したがって、本開示はこの様式に限定されないため、アプリケータは単回使用又は複数回使用のいずれかで構成され得る。
【0020】
[0033] 本明細書に開示されるアプリケータは、様々な粒度及び密度の広範な治療用粉末を流動化及び分与するために使用され得る。本発明者らは、本明細書に記載される特定の実施形態によって提供されるより低い圧力及び/又は速度により、比較的大きなサイズ及び/又は高い密度の粉末の使用を可能にできることを試験で示している。例えば、アプリケータは、100μm以上、200μm以上、300μm以上及び/又は任意の他の適切なサイズ以上の粒度を有する粉末を流動化するように構成されてもよい。粉末はまた、700μm以下、600μm以下、500μm以下及び/又は任意の他の適切なサイズ以下の粒度を有してもよい。例えば、100μm~700μmの粉末の粒度を含む上記の範囲の組み合わせも考えられる。上記に加えて、いくつかの実施形態では、開示されるアプリケータは、それぞれが同様の又は異なる粒子特性、すなわち粒度、密度などからなる複数の種類の粉末粒子の組み合わせの使用を可能にし得る。上記に加えて、いくつかの実施形態では、粉末は、1.18を超えるハウスナー比を有し得るが、アプリケータはハウスナー比が1.18以下の粉末も流動化して分与するように構成され得ることは認識されたい。例えば、アプリケータ内に収容される1種以上の粉末のハウスナー比は、1.18以上、1.2以上、1.3以上及び/又は任意の他の適切な比以上であってもよい。同様に、ハウスナー比は、1.4以下、1.3以下、1.2以下及び/又は任意の他の適切な比以下であってもよい。例えば、1.18~1.4のハウスナー比を含む前述の組み合わせも考えられるが、上記比を上回る比と下回る比の両方も考えられる。更に、特定の粒度を上記したが、本開示はそのようには限定されないため、上記粒度を上回る粒度と下回る粒度の両方の粒子も考えられる。
【0021】
[0034] 上記のように、いくつかの実施形態では、アプリケータは、標準的なアプリケータの圧力よりも低い圧力を利用するように構成されてもよい。圧力源からチャンバ及び/又はアプリケータの他の部分に提供され得る適切な圧力は、2ミリバール(mbar)以上、3mbar以上、5mbar以上、10mbar以上、20mbar以上及び/又は任意の他の適切な圧力以上であり得る。圧力源によって供給される圧力はまた、40mbar以下、30mbar以下、20mbar以下、2mbar以下及び/又は任意の他の適切な圧力以下であり得る。例えば、ガス流を2mbar~40mbarの圧力で提供するように構成された圧力源を含む前述の組み合わせも考えられる。当然ながら、本開示はそのようには限定されないため、上記範囲並びに上記圧力の範囲を上回る圧力の範囲と下回る圧力の範囲の両方の異なる組み合わせも考えられる。
【0022】
[0035] 本明細書に記載される圧力源は、粉末アプリケータの1つ以上の部分に加圧ガス流を提供することができる任意の適切な種類の圧力源に相当し得る。適切な圧力源としては、圧縮可能なベローズ、ガスキャニスタ、加圧ガスポートなどの中央圧力源、ポンプ、及び/又は加圧ガスをアプリケータに提供することができる任意の他の適切な圧力源が挙げられ得るがこれらに限定されない。圧力源は、大気、CO2、ハイドロフルオロアルカン、及び/又は任意の他の適切なガスの流れを提供してもよい。特定の実施形態によっては、圧力源は、アプリケータの一部分に直接結合されてもよく、ホースを介してアプリケータに接続されてもよく、及び/又はアプリケータの所望の部分と1つ以上の圧力源との間に流体連通を提供するための任意の他の適切な方法に取り付けられてもよい。1つ以上の圧力源はまた、以下で更に詳述するような所望の用途に応じて連続的なガス流又は所定量のガスを提供するように構成されてもよい。
【0023】
[0036] いくつかの用途においては、アプリケータがアプリケータ内に収容された粉末をいくつかの異なる向きで流動化できることが望ましい場合がある。一般に、治療用粉末は、ガスが流れるチャンバの多孔質部分と接触するときにより容易に流動化される。したがって、使用中に粉末がチャンバの多孔質部分と接触したままであるようにアプリケータのチャンバを方向付けることが望ましい場合がある。粉末のこの配置を容易にするために、いくつかの実施形態では、チャンバの長手方向軸線が、出口から出る流れと平行であり得るアプリケーションの出口を通る軸線に対して角度をなすことができるように、チャンバの長手方向軸線に角度を付けることが有利な場合がある。チャンバを出口に対して傾斜させると、粉末をチャンバの所望の部分に維持するのに役立ち得る。出口の軸線とチャンバの長手方向軸線との間の適切な角度は、15°以上、20°以上、30°以上、45°以上、60°以上、70°以上、90°以上、120°以上及び/又は任意の他の適切な角度以上であり得る。出口の軸線に対するチャンバの長手方向軸線の角度はまた、165°以下、150°以下、135°以下、120°以下、90°以下、70°以下、60°以下及び/又は任意の他の適切な角度以下であり得る。例えば、20°~70°のチャンバの長手方向軸線と出口の軸線との間の角度を含む前述の組み合わせも考えられる。チャンバの長手方向軸線を出口の軸線に対して傾斜させると、下向きの重力に対してアプリケータの向きが異なるチャンバ内の粉末の効果的な流動化を促進することができるが、本開示はそのようには限定されないため、チャンバの長手方向軸線とアプリケータの関連出口を通る軸線とが互いに平行な及び/又は同軸の実施形態も考えられる。
【0024】
[0037] いくつかの実施形態では、アプリケータはハンドルを含んでもよい。ハンドルは、異なる保持位置及び/又は向きに適応するためにアプリケータの別の部分に対して回転するように構成され得る。例えば、ハンドルは、使用中に粉末がチャンバの多孔質部分と接触したままとなるようにチャンバが直立したまま又は他の方向に向けられたままであり得るように、アプリケータのチャンバに対して回転するように構成され得る。例えば、使用者は、ハンドルを垂直の向きから水平の向きに回転させることができるが、重力に対するチャンバの向きが変化することはない。いくつかの実施形態では、ハンドルは、アプリケータの長手方向軸線の周りを回転するように構成されてもよく、これにより、ハンドルがアプリケータの別の部分に対して「回る」ことを可能にすることができる。例えば、ハンドルは、出口を通る軸線に平行な回転軸線の周りを回転するように構成されてもよい。
【0025】
[0038] 本開示はこの点に関して限定されないため、アプリケータのハンドルは任意の適切な角度だけ回転するように構成されてもよいことを認識されたい。例えば、ハンドルは、初期構成に対して、-180°以上、-135°以上、-90°以上、-45°以上、-30°以上、-15°以上、0°以上、15°以上、30°以上、45°以上、90°以上、135°以上及び/又は任意の他の適切な角度以上の角度だけ回転するように構成されてもよい。ハンドルは、-135°以下、-90°以下、-45°以下、-30°以下、-15°以下、0°以下、15°以下、30°以下、45°以下、90°以下、135°以下、180°以下及び/又は任意の他の適切な角度以下の角度だけ回転するように構成されてもよい。前述の組み合わせも考えられる。いくつかの実施形態では、ハンドルは360°を超えて回転するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドルは1つ以上の方向に回転するように構成され得るがこれに限定されない。
【0026】
[0039] いくつかの実施形態では、ハンドルは、不連続な刻みで回転するように構成されてもよい。例えば、ハンドルは、定義された刻み(例えば、5°、10°、15°、30°の刻み、又は任意の他の適切な刻み)で分離されている事前設定された角度位置に付勢され得る。不連続な回転刻みは、移動止め、タブ、及びスロット構成、ラチェット機構、又は不連続な角度配置を可能にするように構成された任意の他の適切な構成を使用して実現され得る。いくつかの実施形態では、ハンドルは連続的に回転するように構成されてもよい。例えば、ハンドルは、ハンドルとアプリケータの外部ハウジングとの間に配置されたブシュ又は軸受の周りを回転してもよい。ハンドルが連続的に回転するように構成されているいくつかの実施形態では、ハンドルは任意の所望の回転角度でロックされてもよい。ハンドルは、摩擦カラー、蝶ねじ、ボタン、又は任意の他の適切なロック機構を使用してロックされてもよい。
【0027】
[0040] いくつかの実施形態では、アプリケータの基端部分は、ハンドルがチャンバに対して回転するとハンドルとともに回転してもよく、アプリケータの遠位部分はチャンバに対して静止したままであってもよい。例えば、基端部分は、加圧ガス源(例えばベローズ)及びハンドルを含んでもよく、遠位部分はチャンバ及び出口を含んでもよい。ハンドルがチャンバに対して回転すると、基端部分全体が遠位部分全体に対して回転してもよい。したがって、このような実施形態では、加圧ガス源は、ハンドルがチャンバに対して回転するとハンドルとともに回転してもよい。このような実施形態では、加圧ガス源から出口までの全体的な流路の第1の部分(例えば、アプリケータの基端部分内の流路の部分)は、全体的な流路の第2の部分(例えば、アプリケータの遠位部分内の流路の部分)に対して回転してもよい。アプリケータの基端部分と遠位部分(及び/又は全体的な流路の第1の部分と第2の部分)は、相対回転を可能にするように構成された任意の適切なカップリングを使用して回転自在に結合され得る。例えば、アプリケータの基端部分又は遠位部分のいずれか一方がフランジを含んでもよく、アプリケータの基端部分又は遠位部分のもう一方がフランジに係合するように構成されたシェルフ及び/又は棚状部を含んでもよい。アプリケータの基端部分と遠位部分との間のインターフェースは、ガスケット、Oリング、又は全体的な流路の第1の部分と第2の部分との間のインターフェースを封止して加圧ガスの漏れを防ぐ若しくは最小限にするように構成された他の構成要素を含んでもよい。
【0028】
[0041] いくつかの実施形態では、ハンドルは、ハンドルがチャンバに対して回転すると回転する唯一の構成要素であってもよい。例えば、ハンドルがチャンバに対して回転するとハンドルが加圧ガス源に対して回転するように構成されるように、加圧ガス源はチャンバに対して固定されていてもよい。このような実施形態では、ハンドルが全体的な流路の周りを回転することができるため、加圧ガス源から出口までの全体的な流路は互いに回転する部分を含まなくてもよい。したがって、このような実施形態は、ガスケット、Oリング、又は他の封止構成要素を含まなくてもよい。
【0029】
[0042] アプリケータは、流体の流れを制御するように構成された任意の適切な数、種類、及び/又は構成の弁を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータは、出口への流体の逆流を防ぐように構成された1つ以上の一方向弁(逆止弁又は逆流防止弁とも呼ばれる)を含んでもよい。例えば、アプリケータが加圧ガス源としてベローズを含む場合、(例えば、治療用粉末を送達後に)ベローズを圧縮構成から拡張させると真空圧の発生を伴うことがある。このような真空圧は、ガス及び/又は液体を出口の周囲の領域から出口を通してアプリケータ内に引き戻すことがある。出口の周囲の領域は、アプリケータの内部に入った場合にアプリケータの性能に悪影響を及ぼす可能性のある湿った湿度の高いガス及び/又は液体を含み得るという点で、このような逆流は望ましくない場合がある。したがって、アプリケータは、ガスが加圧ガス源から出口に流れることを可能にするように構成されるとともに流体が出口から加圧ガス源に流れるのを阻止するように構成された第1の一方向弁を含み得る。第1の一方向弁は、加圧ガス源から出口までの流路に沿った任意の適切な地点に配置されてもよい。例えば、第1の一方向弁は、加圧ガス源の出口のすぐ下流に又は出口の基端側に配置され得るが、他の適切な位置も考えられる。いくつかの実施形態では、アプリケータは、ガスが外部環境からアプリケータに流入することを可能にするように構成された第2の一方向弁を含んでもよい。例えば、第2の一方向弁は、ベローズが圧縮構成から拡張する際にはベローズに補充するためにベローズの周囲の大気からアプリケータにガスが流れることを可能にするように構成されてもよいが、ベローズが圧縮されているときにはベローズから大気にガスが流れることを阻止するように構成されてもよい。第2の一方向弁は、加圧ガス源から出口までの流路に沿った任意の適切な地点に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の一方向弁は、第1の一方向弁の上流の位置に配置されてもよい。
【0030】
[0043] アプリケータは、分与される粉末を収容するための任意の適切な形状のチャンバを有してもよいことは理解されたい。しかしながら、特定の実施形態では、アプリケータのチャンバは、チャンバの長さに沿って延びる長手方向軸線を有する細長い形状を有し得る。例えば、チャンバは、半球状端部を有する略円筒状の形状であってもよい。このような形状は、粉末の流動化及び出口を通した分与を容易にし得る。例えば、この形状には、ガスの流れ及びチャンバ内の粉末の流動化を妨げる可能性のある鋭い縁、角などがない場合がある。しかしながら、本開示はそのようには限定されないため、鋭い縁、角、及び他の急峻で不連続的な設計特徴が流路に沿って及び/又はアプリケータのチャンバ内に存在する実施形態も考えられる。例えば、様々な流路及び/又はチャンバを互いに接続する流路に沿ってくの字に曲がった部分又は他の鋭い湾曲が存在してもよい。
【0031】
[0044] いくつかの実施形態では、アプリケータの圧力源の作動中に所定量の粉末を分与することが望ましい場合がある。例えば、以下で更に詳述するように、粉末を収容した多孔質チャンバと流体連通するベローズ又は他の圧力源の作動により、各作動サイクルに対する所定量の粉末がアプリケータから分与され得る。一実施形態では、これは、ベローズの1回の作動サイクル中に起こる可能性のある、アプリケータの1つ以上の流路に所望の圧力の所定量のガスを流すこと、加圧ガス源からのガスの定量分与、又は所望の圧力の所望量のガスを分与する任意の他の適切な方法により達成され得る。これにより、アプリケータからの粉末の実質的に定量の分与を可能にし得る。
【0032】
[0045] 本開示はこのようには限定されないため、本明細書に記載されるアプリケータは、任意の適切な種類の粉末を分与するために使用されてもよい。しかしながら、上記のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粉末アプリケータの様々な実施形態は、治療用粉末とも呼ばれ得る1種以上の治療化合物を含む粉末を分与するために使用され得る。本開示はそのようには限定されないため、本出願の目的の治療化合物は、任意の薬物、薬剤、製剤、造影剤、及び/又はタンバク質、アンチセンス分子、及び遺伝子治療ウイルスベクターなどの生物学的製剤が挙げられるがこれらに限定されない任意の適切な材料に相当し得る。特定の実施形態では、治療化合物は止血剤であってもよい。アプリケータから分与される治療用粉末の量は、所望の位置に有効量の治療化合物が分与され得るように選択されてもよい。治療化合物が特定の位置に「有効量」で存在する場合、これは、治療化合物の濃度が極微量以上であり、例えば、診断目的で対象者中の治療化合物の検出を可能にする、対象者の疾患若しくは状態を治療する、及び/又は対象者の疾患若しくは状態の治療を強化するなどの所望の目的を達成するのに十分であることを意味する。いくつかの実施形態では、有効量の特定の治療化合物が、特定の状態と関連する1つ以上の状態を低減又は軽減するのに十分な量で存在する。
【0033】
[0046] 図を参照し、特定の非限定的な実施形態を更に詳しく説明する。本開示は本明細書に記載される特定の実施形態のみに限定されないため、これらの実施形態に関して記載される様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、個々に及び/又は任意の所望の組み合わせのいずれかにおいて使用され得ることは理解されたい。
【0034】
[0047]
図1は、治療用粉末アプリケータ100の第1の実施形態を示す。この実施形態では、アプリケータは、手持ち式であり、第1の加圧ガス源として機能するように構成されたベローズ120を使用して操作されるように構成されている。ベローズは、粉末が収容され得るチャンバ110と流体連通する内部圧縮可能容積を含む。チャンバは、チャンバの下部を形成している複数の孔114を含む多孔質材料112によって示されるような多孔質材料から少なくとも部分的に形成されている。示される実施形態では、チャンバは、インターフェース115において多孔質材料112と接合及び接続され、全体的なチャンバを形成する非多孔質材料116の第2の部分を含むが、チャンバ全体が多孔質材料から作られる場合も考えられる。前述したように、このインターフェースは選択的に結合可能であってもよく、治療用粉末を所望のとおりにチャンバ110に追加すること又はチャンバ110から除去することを可能にするためにチャンバを開くことを可能にする。他の実施形態では、多孔質材料112と非多孔質材料116はインターフェース115において永久接続されていてもよい、又はチャンバは単一の一体構成要素であってもよい。
【0035】
[0048] また、図に示されるように、ベローズ120又は他の適切な圧力源の内容積は、第1のガス導管122を介し、チャンバの多孔質材料を介してチャンバの内容積に流体接続されている。示される実施形態では、第1のガス導管は、チャンバの外部表面とアプリケータの外部ハウジング102の内部表面との間にある1つ以上のチャネル又は間隙並びにベローズとハウジングチャンバとの間に配置された関連コネクタ104に相当する。コネクタは、ハウジング及び第1の流れ導管への入口121を含んでもよい。この実施形態では、チャンバ110の非多孔質材料116は、第1のガス流がアプリケータ100の基端部にあるベローズ120からアプリケータの遠位部分に向けて流れる際に第1のガス流をチャンバ110の基端部分の辺りに案内するのに役立ち得る。チャンバの多孔質部分はチャンバの非多孔質部分から遠位に位置してもよい。したがって、ベローズ又は他の加圧ガス源は、この場合はチャンバの遠位部分に位置する第2の導管132と流体連通する開口部であるチャンバからの出口に近接し得るチャンバの遠位部分にガス流を送達することができる。或いは、いくつかの実施形態では、初期充填状態においてガス流が開口部とは反対側のチャンバの基端部よりもむしろ粉末のバルク中に流入するように、ガス源からのガス流が送達される場所は、チャンバの基端部と遠位部との間に延びるチャンバの1つ以上の側に配置されたチャンバの遠位部分であってもよい。更に、いくつかの実施形態では、及び図示のように、チャンバの多孔質部分を取り囲む容積に入るガス流により、加圧ガスの流れが、この場合はチャンバの開口部に近接するチャンバの遠位部分に相当するチャンバの多孔質部分全体に沿ってチャンバに入ることを可能にし得る。
【0036】
[0049] 上記実施形態では、第2の導管132は、アプリケータの出口130とも流体連通する。これは、流体の流れがチャンバから出る流れの方向に平行な方向においてチャンバに入ることを防止するのに役立つことができ、チャンバ内に収容された粉末の流動化を助けることができる。例えば、特定の構成によっては、ベローズ又は他のガス源からの流体の流れは、チャンバの長手方向軸線及び/又はチャンバの開口部に対して角度をなした方向においてチャンバに流入してもよい。適切な角度としては、チャンバに入るガス流がチャンバの開口部を通るガス流及び同伴された粒子と同じ方向にならないように、約15°~約180°(すなわち反対方向)の角度が挙げられ得るがこれに限定されない。しかし、本開示はそのようには限定されないため、上記角度を上回る角度と下回る角度の両方が考えられる。しかしながら、チャンバに入るガス流の方向とチャンバから出るガス流及び同伴された粒子の方向とが互いに平行な実施形態も考えられることも理解されたい。
【0037】
[0050] 示される実施形態では、チャンバ110の長手方向軸線とアプリケータの出口130を通る軸線の両方は、図示された軸線118に沿って互いに実質的に平行であり且つ同軸上に整合している。更に、出口が局所重力場に対して垂直下向きに向けられた状態でアプリケータが方向付けられているとき、多孔質材料112はチャンバ110の底部を形成する。アプリケータ100がこの垂直下向きの向きに又は垂直からの比較的小さな角度ずれ(例えば、垂直から45度未満)を伴って方向付けられると、チャンバ内に収容された治療用粉末の大半は、粉末に作用する重力が原因で、多孔質材料112に接触して配置され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、流動化が達成される主なメカニズムは、流れるガスが粒子とチャンバ110の内面との間の摩擦を妨げるというものである。したがって、流動化の有効性は、ガスがチャンバの多孔質部分を流れる際に何パーセントの粉末が多孔質材料112と接触するかによる場合がある。したがって、第1の実施形態に示される構成は、垂直に方向付けられている場合には又は垂直から所定の角度未満(例えば、45度未満)だけずれている場合には、治療用粉末の流動化において効果的であり得る。しかしながら、チャンバを形成する多孔質材料の様々な形状、相対サイズ、量、及び/又は他の適切な動作パラメータは、アプリケータの動作のための異なる動作角度範囲を提供するように変化させることができるため、図示されるデバイスの動作は任意の特定の角度範囲に限定されないことは理解されたい。
【0038】
[0051] 動作中に、ベローズ120を圧縮すると第1のガス流が発生し、第1のガス入口121を通ってアプリケータ100のハウジング102に流入する。ここから、第1のガス流れは第1のガス導管122を通って移動する。第1のガス導管122は、ベローズ120の近傍のデバイスの基端部分からチャンバの多孔質材料が位置する出口130の近傍のデバイスの遠位部分までのチャンバ110の周りにガスを通す。デバイスの遠位部分に到達すると、第1のガス流は、チャンバ110の多孔質材料112内に形成された複数の孔114を通って流れる。多孔質材料112内を流れた後、第1のガス流は、チャンバの開口部を通って第2のガス導管132に流入する前に、チャンバ110内にある治療用粉末(図示せず)を流動化して同伴する。その後、同伴された粉末は、ガス流とともに出口130から分与され得る。
【0039】
[0052] ベローズが使用される実施形態では、ベローズは、ベローズに印加される力がアプリケータのチャンバ又は他の部分に送達されるガスの圧力及び/又は速度に影響を及ぼし得るように構成され得る。これは更に、アプリケータの流動化及び/又は分布特性に影響を及ぼし得る。例えば、ベローズに大きな力又は圧縮率を適用するとより高い圧力を生じさせることができ、その結果、より多い量の粉末が流動化され、出口を通してより小さな分散パターンでより小さな第1の面積に分与される。これに対し、ベローズに小さな力又は圧縮率を適用するとより低い圧力を生じさせることができ、その結果、より少ない量の粉末が流動化され、出口を通してより広い分散パターンで第2のより大きな面積に分与される。当然ながら、前述したように、類似の機能は、任意の他の適切な圧力源からのガスの圧力及び/又は流量を制御することにより得られ得る。
【0040】
[0053]
図2は、アプリケータ100の第2の実施形態を示す。この実施形態では、アプリケータ100は、
図1に関して記載した実施形態に類似する。しかしながら、この場合、アプリケータは、ベローズ以外の加圧ガス源120によって供給されるガスを使用して動作するように構成されている。例えば、手術室/医務室のガス供給源又はガスキャニスタが、アプリケータの第1のガス入口121と流体連通する関連の管120a又は他の適切な接続によってアプリケータに流体接続されてもよい。この実施形態では、第1のガス入口121は90度のエルボを含むが、他の実施形態では、任意の角度オフセット又は直線の接続が使用されてもよい。管は、迅速接続継手、ねじ接続、接着剤、圧縮継手、及び/又は任意の他の適切な種類の接続が挙げられるがこれらに限定されない任意の適切な接続によって第1のガス入口に取り付けられてもよい。別の実施形態では、適切な大きさのキャニスタをアプリケータ100のハウジング102に取り付け、第1のガス入口121に流体接続させることができる。
図1に示される実施形態と同様に、ガス流れは、第1のガス入口121の近傍のデバイスの基端部分から出口130の近傍のデバイスの遠位部分に向けて第1のガス導管122内を流れる。この時点で、ガスは、チャンバ110の多孔質材料112内を流れることができ、そこで流動化されて治療用粉末(図示せず)を同伴した後に、粉末を第2のガス導管132を通して運び、この粉末を出口130を通して分与する。
【0041】
[0054]
図3は、アプリケータの出口130の一実施形態の分離図(isolated view)を示す。この実施形態では、出口130は、ノズル内に延びるチャネル131の少なくとも一部分を画定する多孔質材料から形成された第1の内壁132aを含む。第1の壁と第2の壁との間に内容積133が形成され得るように、内壁は、内壁から半径方向外側に配置されたノズルの第2の壁132bから間隔をおいて配置され得る。壁は、円筒状の管として示されている。しかしながら、任意の適切な形状の壁及び対応する容積が用いられてもよい。示される実施形態では、第2の壁は非多孔質材料から作られていてもよく、第1の内壁は、壁と壁との間に配置された内容積がノズル内に延びるチャネルと第1の内壁に形成された複数の穴を介して流体連通するように、壁内に形成された複数の孔134を含んでもよい。任意の多孔質材料が、中実材料、多孔質膜材料、又は任意の他の適切な多孔質材料中に形成された穴を含む内壁を形成するために使用され得ることを理解されたい。ノズルは、第1の壁と第2の壁との間の任意の地点に位置する、いくつかの実施形態では出口131から遠位に、いくつかでは近位に配置された、内容積への入口136を含んでもよい。
【0042】
[0055] 動作中に、ノズル130のチャネル131を通る主ガス流とは別のガス流が加圧ガス源から入口136を通って第1の壁132aと第2の壁132bとの間の内容積133に供給されてもよい。加圧ガス源は、アプリケータノズルを通して主ガス流を提供するために使用される加圧ガス源と同じであっても異なっていてもよい。いずれの場合においても、ガスが内容積から第1の内壁の孔を通ってチャネルに流れるように、このガスは、ノズルのチャネルを通る主ガス流に比べて高い圧力であり得る。チャネルを形成している内壁を通るノズルのチャネルへのこのガス流は、ノズルを通るガス流中に同伴される粉末を保持するのに役立つことができ、アプリケータの詰まりの防止に役立つことができる。当然ながら、図に関連する特定のノズル設計を説明してきたが、図示される構造を有しないノズルを含む任意の適切な種類のノズルが、本明細書に記載されるアプリケータの様々な実施形態とともに使用されてもよいことは理解されたい。
【0043】
[0056]
図4A~
図4Cは、治療用粉末アプリケータ100の第3の実施形態を示す。最も留意すべきは、第3の実施形態は、第2のガス流路を含むように構成されており、チャンバ110の長手方向軸線とアプリケータの出口130を通る軸線との間に角度オフセットを含む。この実施形態では、ベローズ120は、第1の加圧ガス源であるように構成されている。上記実施形態と同様に、ベローズ又は他の圧力源は、チャンバの一部分を形成している多孔質材料112を取り囲む容積と流体連通する第1の導管と流体連通する第1のガス入口121を通して、粉末(不図示)を含むアプリケータのチャンバ110の多孔質部分と流体連通する。上記実施形態と同様に、第1の導管は、加圧ガス流を、ガス及び同伴された粒子が流れることができるチャンバの開口部の近傍の位置に送達し得る。示される実施形態では、第1の導管からの出口は、チャンバ内に形成された開口部132を通って延びる軸線の角度と異なる角度でチャンバの多孔質部分に向けて方向付けられている。ベローズはまた、チャンバを迂回する第2の導管142の形態の第2の流路と流体連通してもよい。ベローズをガス入口を介して第1の導管と第2の導管とに接続する流路は、第1の分岐部123において分岐していてもよい。これらの分離した第1の流路と第2の流路は、アプリケータの出口を通過する前に、チャンバ及び第2の導管の下流に位置する第2の分岐部124において再結合してもよい。
【0044】
[0057] 動作中にベローズ120を圧縮すると第1のガス流が発生し、ガス入口121を通ってアプリケータ100の内部に流入する。アプリケータに入る際、第1のガス流れは第1の分岐部123に出会い、そこでガス流れが2つの異なるストリームに分割する。上述のように、第1のガス流れは第1のガス導管122に入り、チャンバ110の多孔質材料112を通って流れ、そこでガスは流動化し、チャンバ内に収容された粉末を同伴する。別個の第2のガス流れは、第2のガス流れが粉末を含むチャンバを迂回するように、すなわち粉末を含むチャンバを通って流れないように、第2のガス導管142に入り、第2のガス導管142に沿って第2の分岐部124へと流れる。同様に、チャンバの開口部132を通って出る第1のガス流中に同伴される粉末も第2の分岐部124に流れることができ、そこで同伴された粉末及び第1のガス流が第2のガス流と組み合わされる。2つのガス流の相対速度に応じて、第2のガス流れは、組み合わされたガス流中に同伴された粉末を出口130を通して流出させる前にエアロゾル化することができる。
【0045】
[0058] 上記のように、
図4A~
図4Cはまた、アプリケータ100の出口130を通って延びる軸線に対して角度をなしている長手方向軸線を有するチャンバ110を示す。図示される実施形態では、チャンバの長手方向軸線と出口との間の角度は約45°であるが、他の適切な角度も使用してよい。図は、重力の方向に垂直な水平面を表す破線を含む。
図4Aは、水平面に対して約45度の角度だけ上向きに傾けられたアプリケータ出口を示し、
図4Bは、出口が水平面に対して約45度の角度だけ下向きに傾けられたアプリケータを示し、
図4Cは、垂直下向きに方向付けられたアプリケータ出口を示す。これらの3つの向きのそれぞれにおいては、チャンバの長手方向軸線がアプリケータ出口を通過する軸線に対して角度をなしていることで、多孔質材料112でできたチャンバの部分は、チャンバの垂直方向に最も下方の部分に位置し得る。したがって、チャンバ内に収容された粉末に作用する重力により、粉末の大部分がチャンバの多孔質部分に接触した状態に保つことができる。上述のように、ガスがその中を流れることができるチャンバの多孔質部分に粉末が接触した状態を保つことで、チャンバ内に収容された粉末の適切な流動化を確実にするのに役立ち得る。したがって、実施形態は、チャンバ110の長手方向軸線が出口130の軸線に対して角度をなしている
図4A~
図4Cに示される実施形態と同様に、チャンバの長手方向軸線がアプリケータの出口を通って延びる軸線と整合されたアプリケータと比較して、アプリケータのより広範囲の効果的な動作の向きを可能にし得る。
【0046】
[0059]
図5は、粉末アプリケータ100の別の実施形態を示す。これは、
図4A~
図4Cに関連して上述した実施形態に類似する。しかしながら、弁125などの可変流体制限部が、第1の分岐部123と第2の分岐部124の間の第2のガス導管142に沿って配置され得る。この弁は、相対的な流れ抵抗、したがって、第1の導管122及び第2の導管142を通るガスの流量を調整するように構成され得る。所望の動作に応じて、可変流れ抵抗は、第1の導管及び関連チャンバ内の流れ抵抗よりも小さい、これに等しい、及び/又はこれよりも大きい、チャンバを迂回する第2の導管内の可変流れ抵抗を提供するように操作され得る。更に、場合によっては、可変流れ抵抗は、第2の導管を閉鎖するために使用されることがあり、この場合、アプリケータの動作は、単一流路を含む前述の実施形態で説明したものと類似し得る。アプリケータ内の異なる流路の相対的な流れ抵抗を適切に変化させることにより、分与される粉末の量、速度、及び/又は広がりを変化させることが可能となり得る。例えば、理論に拘束されることを望むものではないが、1つの動作モードにおいて、相対的に高い圧力を有し得る粉末チャンバを迂回する第2の流路内でより低い圧力を使用することにより、小さい被覆面積及びより高い粉末分与速度が達成され得る。別の動作モードでは、チャンバ内の低い圧力に比べて高い圧力を第2の流路内で使用することにより、より大きい被覆面積及びより低い粉末分与速度が達成され得る。
【0047】
[0060] 上記実施形態では、チャンバ110を迂回する第2の流路に配置された弁125が示されている。しかしながら、弁又は他の流れ制限部が第1の流路及び第2の流路のうちのいずれか1つ又は両方に配置されている実施形態も考えられる。これは、本開示はこれら2つの流路の間の相対的な流れ抵抗がどのように制御されるかを限定しないためである。更に、本開示は可変流れ抵抗を制御するための特定の方法に限定されないため、弁又は他の適切な可変流れ抵抗は、手動及び/又は電気制御のいずれかによって動作させることができることは理解されたい。
【0048】
[0061]
図6は、上述のものに類似する粉末アプリケータ100の更に別の実施形態を示す。この実施形態は、1つのみの流路と、上述のようにアプリケータの出口130を通る軸線に対して角度をなしている長手方向軸線を有するチャンバ110とを含む。更に、
図6から最もよく分かるように、いくつかの実施形態では、チャンバを含むハウジングの内部に入る第1の導管122の下流開口部は、チャンバの開口部と開口部の反対側にあるチャンバの基端部との間に配置されたチャンバの遠位部分に向けてガス流をなお案内する一方で、チャンバに形成された開口部132から半径方向にオフセットすることができる。同様に、第1の導管も、チャンバの遠位側多孔質部分を取り囲む容積にガス流を案内することができる。導管の開口部もまた、チャンバの開口部及び/又はチャンバ自体を通る長手方向軸線に対して角度をなした方向に向けられてもよい。同様に、これは、ガス流が導管を出て、チャンバ内に収容された粉末を流動化することなくチャンバの開口部に直接流入することを防止するのに役立ち得る。上記に加えて、図示される実施形態はまた、アプリケータから分与される粉末の量及び広がりに対する細かい制御を提供可能であり得る。特に、ベローズ120を相対的に遅い速度で圧縮することで、ベローズが相対的に速い速度で圧縮されるときに広い面積に少量の粉末が分与されるのと比較して、より多量の粉末をより狭い面積に収束させて分与することを可能にできる。
【0049】
[0062]
図7は、
図4A~
図4Cのものに類似する粉末アプリケータ100の別の実施形態を示す。この実施形態では、アプリケータ100は、第1の加圧ガス源から第1のガス流を受け入れ、第1の加圧ガス源と別個の第2の加圧ガス源から第2のガス流を受け入れるように構成されている。この実施形態では、上述のようにガス供給部又はキャニスタであり得る第1の加圧ガス源120及び第2の加圧ガス源140は、第1のガス入口121及び第2のガス入口141にてアプリケータ100に供給される。アプリケータ100に入る際、第1のガス流れは、第1のガス導管122を通り、第1のガス流がチャンバ内に収容された粉末(図示せず)を流動化して同伴するチャンバ110の少なくとも一部分を形成している多孔質材料112を通って流れる。その後、同伴された粉末はチャンバに形成された開口部132を通って第2の分岐部124に流れる。別の第2のガス流は第2の導管142を通って分岐部124に流れる。分岐部124において、同伴された粉末を有する第1のガス流と第2のガス流とが組み合わされて、ガス流と同伴された粉末とを組み合わせたものが形成され、その後、出口130を通って流れる。デバイスのいずれか1つの又は両方の流路内で可変流れ制限部を使用するのと同様に、加圧ガス源は、上述したように粉末がアプリケータからどのように分与されるかを調整するために、様々な流路内を流れるガスの量を調整するように操作され得る。第1の加圧ガス源及び第2の加圧ガス源は、ガスが流れることができない、第1のガス流のみがチャンバ110に流れることができる、第2のガス流のみが出口120に流れることができる、又は第1のガス流及び第2のガス流の両方が流れることができるように、独立して動作するように構成されてもよいことは理解されたい。しかしながら、第1の加圧ガス源と第2の加圧ガス源とを互いに組み合わせて動作させる実施形態も考えられる。
【0050】
[0063]
図9A及び
図9Bは、回転可能なハンドル150が異なる位置にある粉末アプリケータ100の一実施形態を示す。
図9Aの構成では、ハンドル150はチャンバ110に対して垂直の向きにある。
図9Bの構成では、ハンドル150はチャンバ110に対して水平の向きにある。上で説明したように、ハンドル150をチャンバ110に対して回転させると、チャンバを粉末がチャンバの多孔質部分と接触したままになる向きに維持しながら、使用者が(例えば、標的送達部位へのより良好なアクセスを得るために)保持位置を調整することを可能にできる。2つの異なるハンドル位置のみが
図9A及び
図9Bに示されているが、ハンドルは上述のように任意の適切な角度に回転するように構成され得ることを理解されたい。
【0051】
[0064]
図10は、回転可能なハンドル150を有する粉末アプリケータ100の一実施形態を示す。この実施形態では、アプリケータの基端部分171はアプリケータの遠位部分172に対して回転するように構成されている。基端部分171は、ベローズ120(又は他の適切な加圧ガス源)と、ハンドル150と、ベローズ120から出口130までの全体的な流路の第1の部分175とを含む。遠位部分172は、チャンバ110と、出口130と、全体的な流路の第2の部分176とを含む。ハンドル150(及び基端部分171の残り部分)は、出口130を通る軸線152に平行な回転軸線151の周りを回転するように構成されてもよい。基端部分171と遠位部分172は、上で詳述したようなガスケット又はOリングなどの封止構成要素174を含み得るインターフェース170において回転自在に結合され得る。
【0052】
[0065]
図9及び
図10に示されるハンドルは、特定の角度のチャンバとベローズを出口に接続する単一流路とを有するアプリケータとともに使用されるものとして図示されているが、本開示はそのようには限定されないため、図示されるハンドルは、本明細書に開示されるアプリケータの実施形態のいずれかとともに使用され得ることは理解されたい。
【0053】
[0066] 同じく
図10に示されているのは、逆流を防ぐように構成された弁であり、第1の一方向弁158及び第2の一方向弁159を含む。上述のように、第1の一方向弁158は、ベローズ120から出口130へのガス流れを可能にするように構成されてもよく、出口130からベローズ120への流体の流れを防ぐように構成されてもよい。
図10の実施形態では、第1の一方向弁158は、ベローズ120の出口のすぐ下流に配置される。他の実施形態では、上記のように、第1の一方向弁は、出口の基端側などの別の位置に配置されてもよい。第2の一方向弁159は、ベローズ120を取り巻く周囲空気からアプリケータ100へのガス流れを可能にするように構成されてもよいが、ベローズ120が圧縮されているときにはベローズ120から周囲空気へのガス流れを防ぐように構成されてもよい。
図10の実施形態では、第2の一方向弁159は第1の一方向弁158に隣接して配置されており、且つ第1の一方向弁158に対して角度をなしている。しかしながら、第2の一方向弁は複数の適切な位置に複数の適切な向きで配置されてもよいことを認識されたい。更に、アプリケータがハンドルを含むか否かに関わらず、アプリケータは任意の適切な数の弁(第1の一方向弁158及び第2の一方向弁159など)を含んでもよいことを認識されたい。
【0054】
[0067]
図11は、回転可能なハンドル150を有するアプリケータ100の別の実施形態を示す。この実施形態では、ハンドル150はアプリケータ100の外部ハウジング102に対して回転する一方で、アプリケータ100の他の構成要素(例えば、ベローズ120、チャンバ110、及び出口130)は静止したままである。したがって、ハンドル150は、チャンバ110及びベローズ120の両方に対して回転するように構成され得る。ハンドル150は、出口130を通る軸線152に平行な回転軸線151の周りを回転するように構成されてもよい。
【0055】
[0068]
図12A及び
図12Bは、ハンドル150とアプリケータとの間のインターフェースの一実施形態の詳細を示す。ハンドル150は、複数の凹部162のいずれか1つに受け入れられるように構成された突起160を含む。凹部162は、外部ハウジング102などのアプリケータ100の任意の適切な部分と関連付けられ得るが、
図12Aの実施形態では、凹部162は、ベローズ120と外部ハウジング102との間に配置されたコネクタ104と関連付けられている。ハンドル150を回転させると、ハンドル150が不連続な角度位置でロックされるように突起160は凹部162の1つに付勢される。
【0056】
[0069]
図11に示されるハンドルは特定の角度のチャンバとベローズを出口に接続する単一流路とを有するアプリケータとともに使用されるものとして示されているが、本開示はそのようには限定されないため、示されるハンドルは本明細書に開示されるアプリケータの実施形態のいずれかとともに使用され得ることは理解されたい。
【0057】
[0070]
図12Bは更に、(上記説明との一貫性を持たせるために)第2の一方向弁159と呼ばれる一方向弁を示す。第2の一方向弁159は、(例えば、ベローズが拡張しているときには)ベローズ120を取り巻く周囲空気からアプリケータ100へのガス流れを可能にするように構成されてもよいが、(例えば、ベローズ120が圧縮されているときには)ベローズ120から周囲空気へのガス流れを防ぐように構成されてもよい。
図12Bの実施形態では、第2の一方向弁159は、ベローズ120と外部ハウジング102との間に配置されており、ベローズ120と外部ハウジング102との間の流路に対して垂直に方向付けられている。しかしながら、本開示はこの点に関して限定されないため、他の実施形態では、第2の一方向弁は他の位置及び/又は向きであってもよいことを認識されたい。
【実施例】
【0058】
[0071] 実施例:粉末アプリケータの可変動作
[0072]
図8は、
図6に示されるものに類似する治療用粉末アプリケータを使用して達成可能な異なる粉末分布パターンの代表的な図を示す。左側は、広い、拡散した分布パターンを示す。右側は、より小さな面積に収束した分布パターンを示す。これらの異なる分布は、上述のようにアプリケータのベローズを押す速度を変化させることにより得られたものである。
【0059】
[0073] 実施例:粉末流動性特性
[0074] ハウスナー比が約1.08~1.39の乾燥粉末を流動性に関して特徴付け、評価した。実施した試験に基づき、且つ理論に拘束されることを望むものではないが、低い基本流動性エネルギー(BFE)、低い通気エネルギー(AE)、高い通気指標(すなわち、通気に対する感度が高いことによる凝集性の低さ)、低い壁面摩擦角(WFA)(粉末と壁との間の摺動抵抗が低いことによる)、及び低い圧縮率パーセント(Compressibility Percent)は、粉末の流動性の向上と関連することが見出された。
【0060】
[0075] 本教示を様々な実施形態及び実施例とともに説明してきたが、本教示はそのような実施形態又は実施例に限定されるものではない。それどころか、当業者には理解されるように、本教示は、様々な代替形態、修正形態、及び均等物を含む。したがって、前述の記載及び図面は単なる例である。
【国際調査報告】