IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イルミナ インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ イルミナ ケンブリッジ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図1
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図2
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図3
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図4
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図5
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図6
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図7
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図8A
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図8B
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図9
  • 特表-ポリヌクレオチド断片の分離 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチド断片の分離
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/48 20060101AFI20230725BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20230725BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20230725BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
C12Q1/48 Z
C12Q1/34
C12Q1/68 100Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580749
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021039019
(87)【国際公開番号】W WO2022010662
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/048,347
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】バシガルポ,マリア カンデラリア ロヘルト
(72)【発明者】
【氏名】スティーマーズ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】スレッター,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クラフト,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ゴームリー,ニオール
(72)【発明者】
【氏名】ボーウェン,エム シェイン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QR14
4B063QR32
4B063QS16
4B063QS28
(57)【要約】
複数のトランスポザーゼを含む複数の等間隔の切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長させることと、複数のトランスポザーゼのうちの2つ以上でポリヌクレオチドを切断して複数のポリヌクレオチド断片を形成することと、複数のポリヌクレオチド断片内で、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することと、を含む方法が提供される。複数のトランスポザーゼを含む複数の等間隔の切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長させることと、複数のトランスポザーゼのうちの2つ以上でポリヌクレオチドを切断して複数のポリヌクレオチド断片を形成することと、複数のポリヌクレオチド断片内で、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することと、を含む方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数のトランスポザーゼを含む複数の等間隔に配置された切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長させることと、
前記複数のトランスポザーゼのうちの2つ以上を用いて前記ポリヌクレオチドを切断して、複数のポリヌクレオチド断片を形成することと、
前記複数のポリヌクレオチド断片内で、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが二本鎖であり、前記切断することが、切断点で相補的末端を形成することと、前記相補的末端にアダプタを付加することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相補的末端に付加される前記アダプタが互いに連結されていない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記相補的末端に付加される前記アダプタが互いに連結されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記切断領域が、2つのタイプの切断領域を含み、前記複数の等間隔の切断領域が、前記2つのタイプの切断領域の間で交互する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記2つのタイプの切断領域の第1のタイプが、第1のタイプのアダプタを含み、前記2つのタイプの切断領域の第2のタイプが、前記第1のタイプのアダプタを含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のタイプの切断領域が第2のタイプのアダプタを含み、前記第1のタイプの切断領域が前記第2のタイプのアダプタを含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基材が、間隙と交互になっているトレンチを含み、前記切断領域が、前記トレンチの表面及び前記間隙の表面を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材が、間隙と交互になっている柱を含み、前記切断領域が、前記柱の表面及び前記間隙の表面を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が、間隙と交互になっている井戸状のくぼみを含み、前記切断領域が、前記井戸状のくぼみの表面及び前記間隙の表面を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アダプタがヘアピンループを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記伸長が二方向分子コーミングを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
方法であって、
ポリヌクレオチドの末端を膜の孔を通って延長させることであって、前記ポリヌクレオチドがビーズに結合しており、前記孔が前記ビーズよりも狭く、前記膜の前記ビーズとは反対側がヌクレアーゼを含む、ことと、
前記ポリヌクレオチドを前記ヌクレアーゼで切断することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記延長することが電気泳動を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリヌクレオチドが二本鎖である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヌクレアーゼがトランスポザーゼを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリヌクレオチドが一本鎖である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
前記切断が、切断末端を形成することを含み、前記切断末端にアダプタを付加することを更に含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリヌクレオチドが二本鎖であり、前記切断が、相補的末端を形成することと、前記相補的末端にアダプタを付加することと、を含み、前記アダプタが互いに接続されていない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリヌクレオチドが二本鎖であり、前記切断が、相補的末端を形成することと、前記相補的末端にアダプタを付加することと、を含み、前記アダプタが互いに接続されている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アダプタがヘアピンループを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリヌクレオチドを前記ビーズから放出することを更に含む、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチドの鎖のコピーを合成することを更に含む、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月6日出願の米国特許仮出願第63/048,347号の優先権を主張し、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの現在のヌクレオチド配列決定プラットフォームは、サンプルポリヌクレオチドを断片に切断することを含むサンプルの調製を含む。次いで、断片は、配列決定のために処理され得、これは、その後の配列決定を補助するためのアダプタ又は他の印の付加を介して断片を改変することを含む。所定の長さの断片を得ることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの配列決定技術について、精度は、特定の長さを超える断片を配列決定する場合に減少する。別の例では、配列決定実行のスループットを最大化するために、十分に長い断片が好ましい場合がある。更に、比較的制限された長さ範囲内の断片の集団を得ることが望ましい場合がある。また、サンプル調製が、互いに異なる断片の対向する末端へのアダプタの導入を含むことが望ましい場合がある。
【0003】
トランスポザーゼを含むライブラリ調製方法のために、トランスポソームは、溶液中で、又は表面、ビーズ、若しくはフローセル上のトランスポザーゼのランダム分布等、ランダムな様式で標的ポリヌクレオチドに導入される。次いで、これは、断片サイズのランダム分布をもたらす。断片サイズの密な分布は、好ましい断片サイズよりも不利に短い断片サイズを含み得るが、トランスポソーム濃度を滴定すること等によって、より大きなサイズの断片を得ようとすると、分布は不利に広くなり得る。
【発明の概要】
【0004】
以下の開示は、そのような欠点に対する改善を含む。
【0005】
複数のトランスポザーゼを含む複数の等間隔の切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長させることと、複数のトランスポザーゼのうちの2つ以上でポリヌクレオチドを切断して複数のポリヌクレオチド断片を形成することと、複数のポリヌクレオチド断片内で、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することと、を含む方法が提供される。
【0006】
一例では、ポリヌクレオチドは二本鎖であり、切断は、切断点で相補的末端を形成することと、相補的末端にアダプタを付加することと、を含む。別の例では、相補的末端に付加されるアダプタは、互いに接続されない。更に別の例において、相補的末端に付加されたアダプタは、互いに連結される。更に別の例では、切断領域は、2つのタイプの切断領域を含み、複数の等間隔の切断領域は、2つのタイプの切断領域の間で交互する。
【0007】
更なる例において、2つのタイプの切断領域のうちの第1のタイプは、第1のタイプのアダプタを含み、2つのタイプの切断領域のうちの第2のタイプは、第1のタイプのアダプタを含まない。更に別の例では、第2のタイプの切断領域は第2のタイプのアダプタを含み、第1のタイプの切断領域は第2のタイプのアダプタを含まない。更に別の例では、基材は、間隙と交互になっているトレンチを含み、切断領域は、トレンチの表面及び間隙の表面を含む。
【0008】
別の例では、基材は、間隙と交互になっている柱を含み、切断領域は、柱の表面及び間隙の表面を含む。更に別の例では、基材は、間隙と交互に並ぶ井戸状のくぼみを含み、切断領域は、井戸状のくぼみの表面及び間隙の表面を含む。更に別の例では、アダプタは、ヘアピンループを含む。更なる例において、伸長は、二方向分子コーミングを含む。
【0009】
別の態様では、ポリヌクレオチドの末端を膜の孔を通して延長させるステップであって、ポリヌクレオチドがビーズに付着し、孔がビーズより狭く、ビーズとは反対側の膜の面がヌクレアーゼを含む、ことと、ポリヌクレオチドをヌクレアーゼで切断することと、を含む方法が提供される。
【0010】
一例では、延長は電気泳動を含む。別の例では、ポリヌクレオチドは二本鎖である。更に別の例では、ヌクレアーゼはトランスポザーゼを含む。更に別の例では、ポリヌクレオチドは一本鎖である。更なる例において、切断は、切断末端を形成することを含み、切断末端にアダプタを付加することを更に含む。更なる例において、ポリヌクレオチドは二本鎖であり、切断は、相補的末端を形成することと、アダプタを相補的末端に付加することと、を含み、アダプタは互いに接続されていない。また更なる例において、ポリヌクレオチドは二本鎖であり、切断は、相補的末端を形成することと、アダプタを相補的末端に付加することと、を含み、アダプタは互いに接続される。別の例では、アダプタはヘアピンループを含む。
【0011】
更に別の例は、ビーズからポリヌクレオチドを放出することを更に含む。更に別の例は、ポリヌクレオチドの鎖のコピーを合成することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の発明を実施するための形態が読まれる場合に、より深く理解されるであろう。
図1】複数の等間隔の切断領域を含む基材上に伸長されたポリヌクレオチドの例を示す図である。
図2】複数のポリヌクレオチド断片を形成するためにトランスポザーゼを含む複数の等間隔の切断領域によって切断されたポリヌクレオチド、及びより短いポリヌクレオチド断片の集団からのより長いポリヌクレオチド断片の集団の分離の例の説明図である。
図3】複数の等間隔の切断領域を含む基材上に伸長されたポリヌクレオチドの例の図である。ここで、切断領域は、2つのタイプの切断領域を含み、複数の等間隔の切断領域は、2つのタイプの切断領域の間で交互である。
図4】切断領域の各タイプが核酸ベースのアダプタのタイプ、及びより短いポリヌクレオチド断片の集団からのより長いポリヌクレオチド断片の集団の分離を示す、トランスポザーゼを含む複数の2つのタイプの等間隔の切断領域によって切断されるポリヌクレオチドの一例の図である。
図5】間隙と交互に配置されたトレンチと、トレンチの表面及び間隙の表面を含む切断領域とを含む基材の一例を示す図である。
図6】サンプル核酸の末端を膜の孔を通して延長させる一例を示す図であり、サンプル核酸はビーズに付着し、孔はビーズより狭く、ビーズとは反対側の膜の面はヌクレアーゼを含む。
図7】伸長が二方向分子コーミングを含む、複数の等間隔の切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長する一例を示す図である。
図8A】二本鎖ポリヌクレオチドを切断し、切断末端に核酸ベースのアダプタを付加するためのトランスポザーゼの一例を示す図であり、核酸ベースのアダプタは互いに接続されていない。
図8B】二本鎖ポリヌクレオチドを切断し、切断末端に核酸ベースのアダプタを付加するための例示的なトランスポザーゼの一例を示す図であり、核酸ベースのアダプタは互いに接続されている。
図9】本開示による方法を示すフローチャートである。
図10】本開示による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、「含める(includes)」、「含める(including)」、「含める(includes)」、「含む(including)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「有する(have)」、「有する(having)」、及びそれらの任意の変形という用語は、要素又は要素のリストを含める(includes)又は含む(contains)プロセス、方法、プロセスによって定義された製品、又は物質の組成が、それらの要素だけでなく、そのようなプロセス、方法、プロセスによって定義された製品、又は物質の組成に明示的にリストされない、又は固有ではない他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0014】
本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「この(the)」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は、2つ以上のタンパク質の混合物などを含む、といった具合である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の5%以内を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「核酸(nucleic acid)」という用語は、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合又はヌクレオチド間類似体によって連結された2’-デオキシリボヌクレオチド(DNA)及びリボヌクレオチド(RNA)、並びに関連する対イオン、例えば、H+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+等を含む、ヌクレオチドモノマーの一本鎖及び二本鎖ポリマーを意味する。核酸は、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドであり得る。核酸は、完全にデオキシリボヌクレオチド、完全にリボヌクレオチド、又はそれらのキメラ混合物から構成され得る。ヌクレオチドモノマー単位は、天然に存在するヌクレオチド及びヌクレオチド類似体を含むが、それらに限定されない、本明細書に記載のヌクレオチドのいずれかを含み得る。核酸は、数個のモノマー単位、例えば5~40個から数千個のモノマーヌクレオチド単位のサイズの範囲であり得る。核酸は、ゲノムDNA、eDNA、hnRNA、mRNA、rRNA、tRNA、断片化された核酸、ミトコンドリアや葉緑体などの細胞内小器官から得られた核酸、生体サンプル上又は生体サンプル中に存在し得る微生物又はDNA又はRNAウイルスから得られた核酸を含むが、それらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドに関して使用される場合の「相補的(complementary)」という用語は、特定の条件下で標的ポリヌクレオチドの同定領域に選択的にアニーリングすることができるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを意味することを意図する。本明細書で使用される場合、「実質的に相補的(substantially complementary)」という用語及び文法上同等物は、特定の条件下で標的ポリヌクレオチドの同定領域に特異的にアニーリングすることができるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを意味することを意図する。アニーリングとは、ある核酸と別の核酸とのヌクレオチド塩基対相互作用を指し、その結果、二本鎖、三本鎖、又は他の高次構造が形成される。一次相互作用は、ワトソン-クリック及びフーグスティーン型水素結合により、ヌクレオチド塩基特異的、例えばA:T、A:U、及びG:Cであり得る。特定の例では、塩基スタッキング及び疎水性相互作用はまた、二本鎖の安定性に寄与し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション(hybridization)」という用語は、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが非共有結合して安定な二本鎖ポリヌクレオチドを形成するプロセスを指す。得られた二本鎖ポリヌクレオチドは「ハイブリッド」又は「二本鎖」である。ハイブリダイゼーション条件は、約1M未満、より通常は約500mM未満の塩濃度を含み、約200mM未満であり得る。ハイブリダイゼーション緩衝液は、5%SSPE等の緩衝塩溶液、又は他のそのような適切な緩衝液を含む。ハイブリダイゼーション温度は、5℃程度に低くてもよいが、22℃より高くてもよく、例えば約30℃より高くてもよく、一例では37℃を超えてもよい。いくつかの例におけるハイブリダイゼーションは、厳しい条件下で実行され、すなわち、プローブがその標的部分配列にハイブリダイズするが、他の非相補的な配列にはハイブリダイズしない条件下で実行される。
【0019】
「ポリヌクレオチド(polynucleotides)」の文脈において、本明細書で使用される「変異体(variant)」及び「誘導体(derivative)」という用語は、ヌクレオチドの置換、欠失又は付加の導入によって変更された、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列又はポリヌクレオチドの断片を含むポリヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドの変異体又は誘導体は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の一部を含む融合ポリヌクレオチドであり得る。本明細書で使用される「変異体(variant)」又は「誘導体(derivative)」という用語はまた、例えば、ポリヌクレオチドへの任意のタイプの分子の共有結合によって化学的に修飾されたポリヌクレオチド又はその断片を指す。例えば、限定ではないが、ポリヌクレオチド又はその断片は、例えば、アセチル化、リン酸化、メチル化等によって化学的に修飾され得る。変異体又は誘導体は、結合した分子のタイプ又は位置のいずれかにおいて、天然に存在する又は開始するヌクレオチド又はポリヌクレオチドとは異なる方法で修飾される。変異体又は誘導体は、ヌクレオチド又はポリヌクレオチド上に天然に存在する1つ以上の化学基の欠失を更に含む。ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの断片の変異体又は誘導体は、特定の化学的切断、アセチル化、製剤等を含むがそれらに限定されない、当業者に知られる技術を使用する化学修飾によって化学的に修飾され得る。更に、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの断片の変異体又は誘導体は、1つ以上のdNTP又はヌクレオチド類似体を含み得る。ポリヌクレオチド変異体又は誘導体は、本明細書に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの断片と類似又は同一の機能を有し得る。ポリヌクレオチド変異体又は誘導体は、本明細書に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの断片と比較し、追加の又は異なる機能を有し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「dNTP」という用語は、デオキシヌクレオシド三リン酸を指す。NTPはリボヌクレオチド三リン酸を指す。プリン塩基(Pu)は、アデニン(A)、グアニン(G)、及びそれらの誘導体と類似体を含む。ピリミジン塩基(Py)は、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)及びそれらの誘導体及び類似体を含む。そのような誘導体又は類似体の例は、限定ではなく例示として、レポーター基で修飾されたもの、ビオチン化のもの、アミンで修飾されたもの、放射性標識のもの、アルキル化のものなどであり、ホスホロチオエート、亜リン酸塩、環原子で修飾された誘導体なども含む。レポーター基は、フルオレセインなどの蛍光基、ルミノールなどの化学発光基、遅延蛍光による検出が可能なN-(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸などのテルビウムのキレート剤等であり得る。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「核酸断片」とは、共有結合したヌクレオチド配列を含む合成分子又は天然分子を指す。ヌクレオチドは、1つのヌクレオチドのデオキシリボース又はリボースの3’位と、隣接するヌクレオチドのデオキシリボース又はリボースの5’位との間のホスホジエステル結合によって連結され得る。核酸断片は、天然(例えば、α、G、C、T若しくはU)又は修飾塩基(例えば、7-デアザグアノシン、イノシン)を含むことができる。更に、核酸断片中の塩基は、それが核酸断片のハイブリダイゼーションを妨害しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結され得る。したがって、核酸断片は、1つ以上の構成塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって連結されているペプチド核酸であり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ヌクレアーゼ」は、核酸を切断する任意の酵素を指す。ヌクレアーゼは、ヒドロラーゼと呼ばれる酵素のクラスに属し、通常、作用において特異的であり、リボヌクレアーゼは、リボ核酸(RNA)に優先的に作用し、デオキシリボヌクレアーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)に優先的に作用する。一般的な作用を有するいくつかの酵素(例えば、リン酸エステルを加水分解するホスホエステラーゼ)は、核酸がそれらの作用に感受性であるので、ヌクレアーゼと呼ぶことができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド類似体(nucleotide analogs)」という用語は、修飾されたヌクレオチド塩基部分、修飾されたペントース部分、及び/又は修飾されたリン酸部分、並びにポリヌクレオチドの場合、修飾されたヌクレオチド間結合を有する合成類似体を指す。修飾ヌクレオチド間結合としては、リン酸類似体、アキラル及び非荷電サブユニット間結合を有する類似体、並びにアキラルサブユニット間結合を有する非荷電モルホリノベースのポリマーが挙げられる。一部のヌクレオチド間結合類似体は、モルホリデート、アセタール、及びポリアミド結合複素環を含む。リン酸類似体の例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニリデート、ホスホルアミデート、ボラノホスフェートが含まれ、そのような対イオンが存在する場合、関連する対イオン、例えば、H+、NH4+、Na+を含むが、それらに限定されない。修飾されたヌクレオチド塩基部分の例は、5-メチルシトシン(5mC);C-5プロピニル-C及びC-5プロピニル-Uを含むがそれらに限定されないC-5-プロピニル類似体;2,6-ジアミノプリン(2-アミノアデニン又は2-アミノ-dAとしても知られる);ヒポキサンチン、シュードウリジン、2-チオピリミジン、イソシトシン(isoC)、5-メチルisoC、及びイソグアニン(isoG)を含むがこれらに限定されない。修飾ペントース部分の例としては、Bz-A-LNA、5-Me-Bz-C-LNA、dmf-G-LNA、及びT-LNAを含むロックド核酸(LNA)類似体、並びに2’位又は3’位が水素、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、メトキシ-エチル、-O-メチル、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、及びフェノキシ)、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロ、又はブロモである2’修飾又は3’修飾が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、2-アミノプリン;5-ブロモデュ、デオキシウリジン、デオキシイノシン、ヒドロキシメチルdC、5-メチルdC、5-ニトロインドール、5-ヒドロキシブチン-2’-デオキシウリジン、及び8-アザ-7-デアザグアノシンを含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ライゲーション(ligation)」「連結(ligating)」という用語、及びその文法上同等物は、鋳型駆動反応のいくつかの例において、2つ以上の核酸、例えば、オリゴヌクレオチド及び/又はポリヌクレオチドの末端間に共有結合又は連鎖を形成することを意味することを意図する。結合又は連鎖の性質は大きく異なり得、ライゲーションは酵素的又は化学的に実行され得る。本明細書で使用される場合、ライゲーションは通常、酵素的に行われ、あるオリゴヌクレオチドの5’炭素末端ヌクレオチドと別のヌクレオチドの3’炭素との間にホスホジエステル結合を形成する。「ライゲーション」という用語はまた、ホスホジエステル結合の非酵素的形成、並びにホスホロチオエート結合、ジスルフィド結合などのオリゴヌクレオチドの末端間の非ホスホジエステル共有結合の形成を包含する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「プライマー」は、核酸分子の増幅又は重合の間にヌクレオチドモノマーの共有結合によって延長される一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、精製された制限消化物におけるように天然に存在し得るか、又は合成的に生成され得、これは、サンプル依存性核酸合成の開始点として作用し得る。プライマーは一本鎖又は二本鎖のいずれであってもよく、特定の例では、選択されたポリメラーゼの存在下で所望の伸長産物の合成を開始するのに十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、ハイブリダイゼーション及び重合温度、プライマーの供給源及び使用される方法を含む多くの因子に依存する。例えば、プライマーは、少なくとも約15~75ヌクレオチドを含み得るが、より少ないか又はより多いヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アダプタ(adaptor)」という用語は、他の核酸の末端に連結し得る一本鎖又は二本鎖核酸分子である。2つの「アダプタ」は、ヘアピンループの末端であり得る。アダプタは、5’末端及び/又は3’末端に一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含む二本鎖核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)の鎖であり得る。更なる例において、一本鎖オーバーハングは、1、2又はそれを超えるヌクレオチドであり得る。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「サンプル」とは、切断され、増幅され、ハイブリダイズされ、精製され、単離され、合成され、配列決定され、及び/又はそうでなければ特定の使用のために標的化される二本鎖又は一本鎖核酸分子を含む物質を指す。サンプルは、遺伝子、調節配列、ゲノム、ゲノムDNA、cDNA、トランスクリプトーム、mRNA又はrRNAを含むRNAの全て又は一部を含むことができる。それは、より長い配列がより特異的であるという理解の下で、任意の長さであり得る。
【0028】
例えば、サンプルは、「ライブラリ」又は「核酸ライブラリ」、生物のDNA含有量の全部又は有意な部分を表す一組の核酸分子(例えば、円形又は線形)(例えば、「ゲノムライブラリ」)、又は細胞、組織、器官、若しくは生物における発現遺伝子の全部又は有意な部分を表す一組の核酸分子(例えば、「cDNAライブラリ」)であり得る。核酸ライブラリは、真核生物cDNAライブラリ、真核生物ゲノムライブラリ、原核生物ゲノムライブラリ、ランダムセミランダム核酸ライブラリ、又はセミランダム核酸ライブラリであり得る。このようなライブラリは、1つ以上のベクター中に含まれても含まれなくてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「固体支持体」、「支持体」、及び「基材」は、滑らかな支持体(例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコン、及びセラミック表面)、並びにテクスチャ加工された多孔質材料を含むがこれらに限定されない別の材料を取り付けることができる固体又は半固体構造を提供する任意の材料を指す。基材材料としては、アクリル、炭素(例えば、グラファイト、炭素繊維)、セルロース(例えば、酢酸セルロース)、セラミック、孔制御ガラス、架橋多糖類(例えば、アガロース又はSEPHAROSE(登録商標))、ゲル、ガラス(例えば、修飾又は官能化ガラス)、金(例えば、原子的に平滑なAu(111))、グラファイト、無機ガラス、無機ポリマー、ラテックス、金属酸化物(例えば、SiO2、TiO2、ステンレス鋼)、メタロイド、金属(例えば、原子的に平滑なAu(111))、マイカ、硫化モリブデン、ナノ材料(例えば、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)ナノシート)、ニトロセルロース、NYLON(登録商標)、光ファイバー束、有機ポリマー、紙、プラスチック、ポリアクリロイルモルホリド、ポリ(4-メチルブテン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルブチレート)、ポリブチレン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメタクリレート、ポリプロピレン、ポリサッカライド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、石英、レーヨン、樹脂、ゴム、半導体材料、シリカ、シリコン(例えば、表面酸化シリコン)、硫化物、及びTEFLON(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
基材は平坦である必要はなく、球形(例えばビーズ)又は円筒形(例えば繊維)を含む任意のタイプの形状を含むことができる。固体支持体に付着される材料は、固体支持体の任意の部分に付着され得る(例えば、多孔性固体支持体材料の内部部分に付着され得る)。
【0031】
基材はパターン化されてもよく、パターン(例えば、ストライプ、渦巻き、線、三角形、長方形、円、弧、チェック、格子柄、対角線、矢印、正方形、クロスハッチ、トレンチ、柱、井戸状のくぼみ)は、基材上にエッチング、印刷、処理、スケッチ、切断、刻む、彫刻、インプリント、固定、スタンプ、コーティング、エンボス加工、埋め込み、又は積層される。パターンは、基材上に1つ以上の切断領域又は修飾領域を含むことができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ピッチ」は、切断領域の繰り返しパターンを有する基材上の2つの並置された切断領域上の対応する点間の距離を指す。例えば、対応する点は、2つの隣接する切断領域の中心(例えば、中心間距離)であり得る。別の例において、ピッチは、第1の切断領域の最左端から隣接する切断領域の最左端まで測定されて、その距離は、切断領域間のギャップ並びに切断領域のうちの1つの長さを含むことができる。ピッチは、例えば、少なくとも約1nm~約1,000μmであり得る。
【0033】
生物学的材料は、それが安定な化学的又は物理的相互作用を介して固体基材と結合している場合、基材に「結合」している。いくつかの例において、結合は共有結合を介する。しかし、結合は、共有結合又は永続的である必要はない。一例において、材料は、「スペーサー分子」又は「リンカー基」を介して基材に結合される。このようなスペーサー分子は、生物学的材料に付着する第1の部分及び基材に付着する第2の部分を有する分子である。したがって、基材に付着される場合、スペーサー分子は、基材及び生物学的物質を分離するが、両方に付着される。生物学的材料(例えば、核酸、親和性リガンド受容体、酵素、化学的ヒドロキシルラジカル発生剤)を基材に付着させる方法としては、化学的カップリングが挙げられ得るが、これに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「表面」という用語は、試薬、ビーズ又は分析物と接触するためにアクセス可能な支持構造体(例えば、基材)の一部を指す。表面は、少なくとも部分的に平坦又は平面であり得る。あるいは、表面は丸みを帯びているか、又は輪郭付けられ得る。表面上に含まれ得る輪郭の例は、井戸状のくぼみ、くぼみ、柱、隆起部、チャネル等である。支持構造体として使用することができる材料の例としては、アクリル、炭素(例えば、グラファイト、炭素繊維)、セルロース(例えば、酢酸セルロース)、セラミック、孔制御ガラス、架橋多糖類(例えば、アガロース又はSEPHAROSE(登録商標))、ゲル、ガラス(例えば、修飾又は官能化ガラス)、金(例えば、原子的に平滑なAu(111))、グラファイト、無機ガラス、無機ポリマー、ラテックス、金属酸化物(例えば、SiO2、TiO2、ステンレス鋼)、メタロイド、金属(例えば、原子的に平滑なAu(111))、マイカ、硫化モリブデン、ナノ材料(例えば、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)ナノシート)、ニトロセルロース、NYLON(登録商標)、光ファイバー束、有機ポリマー、紙、プラスチック、ポリアクリロイルモルホリド、ポリ(4-メチルブテン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルブチレート)、ポリブチレン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメタクリレート、ポリプロピレン、ポリサッカライド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、石英、レーヨン、樹脂、ゴム、半導体材料、シリカ、シリコン(例えば、表面酸化シリコン)、硫化物、及びTEFLON(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。単一の材料又はいくつかの異なる材料の混合物は、本開示による表面を形成することができる。「表面」及び「基材」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0035】
本明細書で使用される場合、「タグ付け(tagmentation)」、「タグ付け(tagment)」、又は「タグ付け(tagmenting)」という用語は、トランスポザーゼを介した断片化及びタグ付けを使用することにより、クラスター形成及び配列決定の準備ができている溶液中で、核酸、例えば、DNAをアダプタ修飾鋳型に変換することを指す。このプロセスは、トランスポソーム末端配列を含むアダプタと複合体を形成したトランスポザーゼ酵素を含むトランスポゾン複合体による核酸の修飾を伴うことが多い。タグ付けにより、核酸の断片化と、二本鎖断片の両方の鎖の5’末端へのアダプタのライゲーションを同時にもたらす。トランスポザーゼ酵素を除去するための精製ステップに続いて、PCRによって適合された断片の末端に追加の配列を加える。
【0036】
本明細書で使用される場合、「トランスポソーム複合体(transposome complex)」という用語は、二本鎖核酸に非共有結合するトランスポザーゼ酵素を指す。例えば、複合体は、非共有結合複合体形成をサポートする条件下で二本鎖トランスポゾンDNAとプレインキュベートされたトランスポザーゼ酵素であり得る。二本鎖トランスポゾンDNAは、Tn5DNA、Tn5DNAの一部、トランスポゾン末端組成物、トランスポゾン末端組成物の混合物、又は過活性Tn5トランスポザーゼなどのトランスポザーゼと相互作用することができる他の二本鎖DNAを含み得るが、それらに限定されない。
【0037】
「トランスポザーゼ(transposase)」は、トランスポゾン末端含有組成物(例えば、トランスポゾン、トランスポゾン末端、トランスポゾン末端組成物)を備えた機能複合体を形成し、例えば、インビトロ転位反応で、それがインキュベートされる二本鎖標的核酸へのトランスポゾン末端含有組成物の挿入又は転位を触媒することができる酵素を意味する。本明細書に提示されるトランスポザーゼはまた、レトロトランスポゾン及びレトロウイルスからのインテグラーゼを含み得る。本明細書に記載の多くの例は、Tn5トランスポザーゼ及び/又は過活性Tn5トランスポザーゼに言及するが、意図された目的で標的核酸に5’タグを付けて断片化するのに十分な効率でトランスポゾン末端を挿入し得る任意の転位システムが本開示に従って使用され得ることが理解される。特定の例では、転位システムは、トランスポゾン末端をランダムに又はほぼランダムに挿入し、標的核酸に5’タグを付けて断片化することができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「転位反応(transposition reaction)」という用語は、1つ以上のトランスポゾンが、例えば、ランダム部位又はほぼランダム部位で標的核酸に挿入される反応を指す。転位反応の必須成分は、転送したトランスポゾン配列及びその相補体(転送されないトランスポゾン末端配列)、並びに官能的転位又はトランスポゾン複合体を形成するために必要な他の成分を含む、トランスポゾンのヌクレオチド配列を示すトランスポザーゼ及びDNAオリゴヌクレオチドである。DNAオリゴヌクレオチドは、必要に応じて、又は期望に応じて、追加の配列(例えば、アダプタ又はプライマー配列)を更に含み得る。いくつかの例では、本明細書で提供される方法は、高活性Tn5トランスポザーゼ及びTn5型トランスポゾン末端によって、又はMuAトランスポザーゼ及びRl及びR2末端配列を含むMuトランスポゾン末端によって形成される転位複合体を使用することによって例示される。しかし、意図された目的で標的DNAに5’-タグを付け及び断片化するのに十分な効率でランダム又はほぼランダムな方法でトランスポゾン末端を挿入し得る任意の転位システムが本開示に従って使用され得る。転位系の例としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)Tn552、TyI、トランスポゾンTn7、TnIO及びISlO、マリナートランスポザーゼ、Tci、Pエレメント、TnJ、細菌挿入配列、レトロウイルス、並びに酵母のレトロトランスポゾンが挙げられ得るが、これらに限定されない。トランスポゾン末端を標的配列に挿入するための方法は、適切なインビトロ転位システムが利用可能であるか、又は当技術分野の知識に基づいて開発し得る任意の適切なトランスポゾンシステムを使用してインビトロで実施することができる。一般に、本明細書で提供される方法で使用するための適切なインビトロ転位システムは、少なくとも、十分な純度、十分な濃度、及び十分なインビトロ転位活性のトランスポザーゼ酵素、並びにトランスポザーゼが、転位反応を触媒し得るそれぞれのトランスポザーゼと機能複合体を形成するトランスポザーゼ末端を必要とする。本開示に従って使用され得る適切なトランスポザーゼトランスポゾン末端配列は、トランスポザーゼの野生型、誘導体又は突然変異体から選択されるトランスポザーゼと複合体を形成する野生型、誘導体又は突然変異体型トランスポゾン末端配列を含むが、それらに限定されない。
【0039】
「トランスポゾン末端(transposon end)」(TE)という用語は、二本鎖核酸、例えば、インビトロ転位反応で機能するトランスポザーゼ又はインテグラーゼ酵素との複合体を形成するために必要なヌクレオチド配列(「トランスポゾン末端配列」)のみを示す二本鎖DNAを指す。いくつかの例では、トランスポゾン末端は、転位反応においてトランスポザーゼと機能複合体を形成することができる。非限定的な例として、トランスポゾン末端は、野生型若しくは変異型Tn5トランスポザーゼによって認識される19-bpの外側末端(「OE」)トランスポゾン末端、内側末端(「IE」)トランスポゾン末端、若しくは「モザイク末端」(「ME」)トランスポゾン末端、又はR1及びR2トランスポゾン末端を含むことができる。トランスポゾン末端は、インビトロ転位反応においてトランスポザーゼ又はインテグラーゼ酵素と機能複合体を形成するのに適した任意の核酸又は核酸類似体を含み得る。例えば、トランスポゾン末端は、DNA、RNA、修飾された塩基、非天然の塩基、修飾された骨格を含み得、一本鎖又は二本鎖にニックを含み得る。「DNA」という用語は、トランスポゾン末端組成物に関連して本開示では時々使用されるが、任意の適切な核酸又は核酸類似体がトランスポゾン末端において利用され得ることが理解されるべきである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「標識(label)」という用語は、成分及びその関連要素の分離を容易にするように、成分、例えば、アダプタが修飾される、例えば、別の分子に結合するプロセスを指す。
【0041】
閉端二本鎖配列決定鋳型を使用する配列決定プラットフォームでは、配列決定鋳型の最後に2つの異なるアダプタ配列を含み得る。このような末端の非対称性により、単一の配列決定ポリマーとポリメラーゼが閉端配列決定鋳型の一端にのみ結合し、鋳型分子ごとに1つの配列読み取りのみを生成できる。しかし、そのような末端非対称性は、現在、ライブラリ調製のためのそのような配列決定プラットフォームによって使用されない。代わりに、それらの配列決定プラットフォームには対称的な端があり、配列決定プライマーは配列決定鋳型のいずれかの末端に結合できるため、ポアソンアーティファクトが配列決定に導入される。言い換えると、一部の配列決定鋳型にはプライマー/ポリメラーゼが結合されず、一部の配列決定鋳型には1つのプライマーが結合され、一部の配列決定鋳型には一部の配列決定鋳型の両端に2つのプライマーが結合される。非対称の末端を有する閉端配列決定鋳型を使用すると、それらのポアソンアーティファクトを回避できる。したがって、本開示の方法は、配列決定ライブラリの変換収率を顕著に増加させることにより、非対称の末端を有する閉端二本鎖鋳型の生成を提供することにより、最先端技術に対する顕著な改善を提供する。更に、本開示の方法は、配列決定プラットフォームの井戸状のくぼみ内で原位置で実行できるステップを提供し、配列決定プラットフォームでライブラリ調製を実施することを可能にする。
【0042】
「分子コーミング」又は「染色体コーミング」又は「核酸コーミング」は、切断領域でパターン化された表面にわたって横方向に1つ以上のサンプル核酸を直線的に伸長させることを含む方法を指す。核酸分子は、一方又は両方の末端(又は一方又は両方の末端に近接する領域)によって修飾表面(例えば、シラン化ガラス)に結合し、次いで、後退する空気/水界面によって実質的に均一に伸長及び整列され得る。伸長方法は、数キロベースからメガベースの範囲の高分解能を有する。
【0043】
分子コーミングは、流体流動方法、又は電気泳動若しくは後退メニスカス等の弱い力の印加を含んでもよい。
【0044】
分子コーミングの流体流動法は、毛管流動によるコーミング又は強制流動によるコーミングによって行うことができる。流体流の例では、核酸は、マイクロ流体チャネルを通って流れる際に溶液中で伸長されるか、又は固体表面上で伸長される。一般に、マイクロ流体又はナノ流体流動チャンバを使用することができる。
【0045】
完全に伸長した核酸分子の割合は、核酸分子の長さに依存する。一般に、核酸分子が長いほど、完全な伸長を達成することが容易である。例えば、Conti,et alによれば、10kb DNA分子の40%以上が、キャピラリーフローのいくつかの条件で慣例的に伸長され得るが、4kb分子の20%のみが、同じ条件を使用して完全に伸長され得る。より短い核酸断片については、スライド上にカバースリップを滴下することによって誘導されるより強い流れを用いて、伸長品質が改善され得る。
【0046】
分子コーミングの例では、核酸分子は、一端で基材に付着され、例えば、電気力、表面張力、又は光学力等の種々の弱い力のうちの1つ以上によって伸長されてもよい。この例では、核酸分子の一端は最初に表面に固定される。例えば、分子は、吸着によって疎水性表面(例えば、修飾ガラス)に付着させることができる。固定された核酸分子は、後退メニスカス、蒸発、又は窒素ガス流によって伸長させることができる。
【0047】
核酸は、核酸の結晶学的長さの1.5倍の因子によって伸長され得る。別の例において、溶液中の核酸(例えば、ランダムコイル構造を有する)は、溶液のメニスカスを一定速度(例えば、300μm/s)で後退させることによって伸長される。特定の理論に束縛されるものではないが、一例における核酸鎖の末端は、イオン化可能基のpKa未満のpHで修飾基材(例えば、シラン化ガラスプレート)をコーティングするイオン化可能基に結合する(例えば、核酸分子の末端と相互作用するのに十分に荷電していることを確実にする)ほつれている(例えば、開いて露出している極性基)と考えられる。核酸分子(例えば、dsDNA)の残りは、これらの相互作用を形成することができない場合がある。メニスカスが後退すると、表面保持は、核酸分子に作用してそれを液相中に保持する力を生成するが、この力は核酸分子の付着の強度よりも弱く、結果は、核酸分子が空気相に入るときに伸長され、力は空気/液体相の場所で作用するので、溶液中の核酸分子の異なる長さ又は立体配座に対して不変であり、したがって、任意の長さの核酸分子は、メニスカスが後退するのと同じように伸長される。この伸長は核酸分子の長さに沿って一定であるので、鎖に沿った距離は塩基含量に関連し得る。6μmは約20kbに相当する。
【0048】
後退メニスカス法において使用される溶液のpHは、基材への核酸結合の効率に影響を及ぼし得る。疎水性表面上では、結合効率は約5.5のpHで達成され得る。例えば、pH5.5では、約40kbpのDNAは、中央セグメントよりも末端によって結合する可能性が10倍高い。
【0049】
別の例では、核酸分子を一滴の緩衝液に溶解し、傾斜した基材を非常にゆっくりと流すことによって、核酸分子を伸長させることができる。更なる例において、核酸は、アガロースブロックに包埋され得、基材上に配置され得る。次いで、核酸を含むアガロースブロックを融解し、第2の基材(例えば、カバースリップ)と共に基材に沿って引きずられる。別の例では、第2の基材を2つ以上の方向に移動させて、緩衝液中に含まれるポリヌクレオチドの分子コーミングの増強を誘発することができる。第1の基材の上にある第2の基材の移動は、それらの間にポリヌクレオチドを含む緩衝液と共に、緩衝液内の全てではないがいくつかのポリヌクレオチドの第1の基材上へのコーミングを誘導し得る。第1の基材への更なるポリヌクレオチドの付着は、第2の基材の移動方向を、例えば、その第1の移動と反対方向に変化させることによって誘導され得るが、別の方向(複数可)が、第2の基材の第2の移動又は後続の移動として使用され得る。そのような双方向コーミングの非限定的な例が図7に示されている。上のパネルでは、ポリヌクレオチド740を含む緩衝液730が、切断領域720を含む第1の基材710と第2の基材750との間にある。第1の基材710及び第2の基材750が互いに対して移動するにつれて、いくつかのポリヌクレオチド740が第1の基材710に付着し、コーミングされる(中央パネル)。第1の基材710及び第2の基材750が互いに対して、しかし異なる方向に移動するにつれて、更なるポリヌクレオチド740が付着し、第1の基材710上にコーミングされる(下パネル)。
【0050】
別の例は、流体メニスカスなしで親水性基材上に長鎖核酸を可逆的に配向させることを含む。末端係留された核酸マッシュルームは、三価カチオンの存在下で流体力学的流動によって伸長され、伸長された核酸の基材への静電吸着をもたらす。カチオンの錯化により、表面に非特異的に結合した核酸分子の部分が定量的に脱着し、マッシュルーム構造が回復する。複数の堆積-コーミングステップを最終脱着ステップと組み合わせて使用することにより、単一堆積ステップで達成可能なものよりも高いテザリング密度を得ることができる。
【0051】
本明細書に開示されるように、基材上でコーミングされた核酸は、酵素的切断(例えば、ヌクレアーゼ、トランスポザーゼ)によって実質的に均一な断片に切断され得る。本明細書に開示されるように、ヌクレアーゼは、パターン化された切断領域と(共有結合的又は非共有結合的に)結合され得る。本明細書に記載される方法における使用に適したヌクレアーゼは、二本鎖ヌクレアーゼ及び一本鎖ヌクレアーゼ(例えば、本明細書において「一本鎖ヌクレアーゼ」と称される、一本鎖核酸領域を優先的に消化するヌクレアーゼ)を含む。
【0052】
二本鎖ヌクレアーゼは、非特異的であり得、RNA及びDNAの両方、並びに/あるいはそれらのバリアントを消化する。他の例において、二本鎖ヌクレアーゼは、二本鎖RNA、例えば、「二本鎖RNase」を優先的に消化するか、又は二本鎖DNA、例えば、「二本鎖DNase」を優先的に消化する。最後に、ヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドの5’末端(例えば、5’二本鎖ヌクレアーゼ)、ポリヌクレオチドの3’末端(例えば、3’二本鎖ヌクレアーゼ)、又は二本鎖ポリヌクレオチドの両方の末端からのみ消化するエキソヌクレアーゼであり得る。あるいは、核酸鎖内の位置で切断するエンドヌクレアーゼを使用することができる。
【0053】
一本鎖ヌクレアーゼは、非特異的であり得、RNA及びDNAの両方、並びに/あるいはそれらのバリアントを消化する。他の例において、一本鎖ヌクレアーゼは、一本鎖RNA、例えば、「一本鎖RNase」を優先的に消化するか、又は一本鎖DNA、例えば、「一本鎖DNase」を優先的に消化する。最後に、ヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドの5’末端(例えば、5’一本鎖ヌクレアーゼ)、ポリヌクレオチドの3’末端(例えば、3’一本鎖ヌクレアーゼ)、又は一本鎖ポリヌクレオチドの両方の末端からのみ消化し得る。
【0054】
一例では、ヌクレアーゼは、核酸分子及びサンプルの一本鎖(例えば、非二重鎖)核酸及び/又は核酸の一本鎖領域を消化する。別の例において、ヌクレアーゼは、サンプルの一本鎖核酸を選択的に消化する。更に別の例において、ヌクレアーゼは、非結合核酸分子の一本鎖核酸を選択的に消化する。ヌクレアーゼ処理のために選択される特定のヌクレアーゼは、所望の選択性(例えば、核酸分子及び/又はサンプル消化)並びに核酸分子及びサンプルを構成する核酸の性質に依存する。
【0055】
RNase Aは、一本鎖RNAを除去するために使用することができるRNAヌクレアーゼの一例である。RNase Aは、完全な二本鎖複合体ではないRNA:DNAハイブリッド中のRNAを含む一本鎖RNAを効果的に認識し、切断する。更に、RNAバルジ、ループ、及び単一塩基ミスマッチでさえも、RNase Aによって認識及び切断され得る。S1ヌクレアーゼ及びMung Beanヌクレアーゼは、一本鎖DNAと同様の特性を有するDNAヌクレアーゼの例である。
【0056】
本開示に従って使用され得るヌクレアーゼの非限定的な例としては、S1ヌクレアーゼ、Mung-beanヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼA、RNAse T1、エキソヌクレアーゼI、RNase ONE(登録商標)、デオキシリボヌクレアーゼI、DNAヌクレアーゼBAL 31、エキソヌクレアーゼIII、並びにTn5、MuA、Tn552、TyI、トランスポゾンTn7、TnIO及びISlO等のトランスポザーゼ、マリナートランスポザーゼ、Tci、Pエレメント、TnJ、細菌挿入配列、レトロウイルス、並びに酵母又は他のトランスポザーゼのレトロトランスポゾンが挙げられる。
【0057】
各末端にアダプタを含むヘアピンループは、遊離5’及び3’末端を有する二本鎖核酸鋳型に結合され得る。二本鎖核酸鋳型は、dsDNA、dsRNA、又はDNA及びRNAのキメラ混合物であってもよい。核酸のヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を介して共に結合される、天然に存在するヌクレオチド、例えば、A、G、C、T、及びUから構成され得る。代替的に、核酸の1つ以上のヌクレオチドは、何らかの方法(例えば、ヌクレオチド類似体)で修飾され得る。更に、ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合に加えて、ホスホロチオエート結合によって共に連結され得る。二本鎖核酸鋳型の遊離の5’及び3’末端は、平滑であり得、又は1つ以上の一致しない塩基のオーバーハング(例えば、3’オーバーハング又は5’オーバーハング)を有し得る。特定の例では、二本鎖核酸鋳型の遊離の5’及び3’末端は、1つ以上のアデニン塩基の3’オーバーハングを含む。更なる例では、二本鎖核酸鋳型の5’及び3’末端が脱リン酸化され、末端修復されている。
【0058】
核酸ベースのヘアピンループは、その5’末端及び3’末端におけるアダプタが二本鎖ポリヌクレオチドのそれぞれ3’末端及び5’末端に結合(例えば、トランスポザーゼ等によってライゲーション)され得るように、それ自体にループバックする配列を含む。ヘアピンループの非限定的な例は、ステム-ループ構造である。一例では、二本鎖ポリヌクレオチドは、その対向する末端のそれぞれに結合した一対のアダプタを有してもよく、各対向する末端に結合した一対のアダプタは、ヘアピンループの末端として互いに接続される。対向するヘアピンループの対の間にあり、かつそれに接続された二本鎖ポリヌクレオチドは、ダンベル構造を形成することができ、その一例を図8Bに示す。核酸ベースのヘアピンループは、任意の配列を有することができ、又は標的配列を含むように設計することができる。標的配列の例は、共通プライマー配列、ユニバーサル配列決定プライマー配列、バーコード配列、制限酵素配列、TelN認識シーケンス、又は前述の任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。核酸ベースのヘアピンループは、トランスポソームによって二本鎖核酸鋳型に結合され得る。核酸ベースのヘアピンループは、核酸鋳型に付着したアダプタ等のアダプタ含有配列の検出及び/又は精製を可能にするために、標識を更に含み得る。核酸塩基ヘアピンループは、アダプタ末端が二本鎖ポリヌクレオチドの鎖に結合することができるように、それ自体にループバックする配列を含む。本開示の目的のために、核酸ベースのヘアピンループはY字形であり得、その配列の一部はヘアピンループを形成し得る。一例では、Y字型ヘアピンループを含むアダプタを使用して、遊離5’及び3’末端を有する二本鎖核酸鋳型から非対称のクローズドエンド二本鎖核酸鋳型を生成することができる。
【0059】
いくつかの例において、核酸ベースのヘアピンループは、リガーゼの使用によってポリヌクレオチドに結合され得る。リガーゼの例は、T4DNAリガーゼ、E.Coli DNAリガーゼ、AmpligaseDNAリガーゼ、T3DNAリガーゼ、T7DNAリガーゼ、及びTaq DNAリガーゼ等のDNAリガーゼ;T4RNAリガーゼ1、T4RNAリガーゼ2、RtcBリガーゼ、及びM.thermoautotrophicumリガーゼ等のRNAリガーゼを含むが、それらに限定されない。
【0060】
本明細書に開示される方法のステップの多くは、ゼロモード導波路(ZMW)井戸状のくぼみのように、配列プラットフォームの井戸状のくぼみ内で実行され得る。例えば、ZMW井戸状のくぼみには、結合されたヘアピンループ、ポリメラーゼ、TelNプロテロメラーゼ、1つ以上の配列決定プライマー、及びdNTPS又はNTPSを含む反応バッファーを含む二本鎖核酸鋳型がロードされ得る。最初の読み取りでは、核酸ヘアピン配列の3’末端が延長され、閉じたヘアピン(「ヘアピン末端」)を含む二本鎖鋳型を生成し、二本鎖の他端は、遊離の3’鎖末端及び遊離の5’鎖末端(「遊離末端」)を含む。そうすることで、TelN酵素が作用するTelN認識配列が生成され、それによって配列決定プライマーが結合する閉端二本鎖核酸鋳型が形成され、その後の読み取りで自動プラットフォームで配列決定が実行される。
【0061】
核酸ベースのヘアピンループは、トランスポザーゼによって仲介されたタグ付け又は転位反応を介して二本鎖核酸鋳型に結合され得る。トランスオポソームには遊離のDNA末端があり、「切り貼り」反応でランダムにDNAに挿入される。DNA末端は遊離するため、核酸ベースのヘアピンループを追加しながら、DNAを効果的に断片化する。本明細書で提供される方法での使用に適した転位複合体は、過活性Tn5トランスポザーゼとTn5型トランスポゾン末端、又はR1とR2末端配列、トランスポザーゼTn3、及び眠り姫トランスポザーゼを含むMuAトランスポザーゼとMuトランスポゾン末端によって形成されるものを含むがこれらに限定されない。しかしながら、任意の転移システムにより、核酸ベースのヘアピンループを二本鎖核酸鋳型の末端に付着させるのに十分な効率でトランスポゾン末端を挿入することができる。提供される方法で使用できる既知の転位システムの他の例としては、黄色ブドウ球菌Tn552、Tyl、トランスポゾンTn7、Tn/O及びIS10、マリナートランスポザーゼ、Tel、P要素、Tn3、細菌の挿入配列、レトロウイルス、並びに酵母のレトロトランスポゾンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例では、タグ付き鋳型はモザイク末端(ME)配列を含み、トランスポザーゼはTn5トランスポザーゼである。
【0062】
いくつかの基材(例えば、固体支持体)が、本明細書に開示される方法での使用に適している。一例において、基材は、パターン、例えば、トレンチ、パターン、層、井戸状のくぼみ、又は他の構成を含むように改変される。特定の例において、切断領域を分離するピッチ又はギャップのサイズと、得られる少なくとも実質的に均一な核酸断片のサイズとの間には、一般的な直接的な相関が存在する(例えば、100nmのピッチは、約300塩基の断片を生成し得、1μmのピッチは、約3キロベースの断片を生成し得、10μmのピッチは、約30キロベースの断片を生成し得る等)。ピッチは、切断領域の幅が比較的狭い例では、ギャップと実質的に同等であり得る。
【0063】
パターンは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000nmからのピッチ又はギャップを有することができる。代替的又は追加的に、パターンは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000nm未満のピッチ又はギャップを有することができる。パターンは、ストライプ、渦巻き、線、三角形、長方形、円、円弧、照合印、格子縞、対角線、矢印、正方形、又は斜交平行であり得る。パターンは、直線状又は曲線状であり得る。パターンは、反復、非反復、又は2つのパターンの混合(例えば、異なる幅の線)であり得る。
【0064】
別の例では、パターンは、少なくとも約10~約20、約10~約30、約10~約40、約10~約50、約10~約60、約10~約70、約10~約80、約10~約90、又は約10~約100μmのピッチ又はギャップを有することができる。更なる例において、パターンは、少なくとも約100~約200、約100~約300、約100~約400、約100~約500、約100~約600、約100~約700、約100~約800、約100~約900、又は約100~約1,000μmのピッチ又はギャップを有することができる。あるいは、パターンは、少なくとも約10~約20、約10~約30、約10~約40、約10~約50、約10~約60、約10~約70、約10~約80、約10~約90、又は約10~約100nmのピッチ又はギャップを有することができる。更なる例において、パターンは、少なくとも約100~約200、約100~約300、約100~約400、約100~約500、約100~約600、約100~約700、約100~約800、約100~約900、又は約100~約1,000nmのピッチ又はギャップを有することができる。
【0065】
別の例では、パターンは、少なくとも約10nm~20μm、約10nm~約30μm、約10nm~約40μm、約10nm~約50μm、約10nm~約60μm、約10nm~約70μm、約10nm~約80μm、約10nm~約90μm、又は約10nm~約100μmのピッチ又はギャップを有することができる。別の例では、パターンは、少なくとも約100μm~約10μm、約100nm~約20μm、約100nm~約30μm、約100nm~約40μm、約100nm~約50μm、約100nm~約60μm、約100nm~約70μm、約100nm~約80μm、約100nm~約90μm、又は約100nm~約100μmのピッチ又はギャップを有することができる。更に別の例では、パターンは、少なくとも約100~約200μm、約100nm~約300μm、約100nm~約400μm、約100nm~約500μm、約100nm~約600μm、約100nm~約700μm、約100nm~約800μm、約100nm~約900μm、又は約100nm~約1,000μmのピッチ又はギャップを有することができる。
【0066】
基材は、修飾された表面(例えば、シラン化)を含んでもよい。シラン化は、シラン様分子による自己組織化によって表面を被覆することを含む。雲母、ガラス、石英、及び金属酸化物表面(例えば、SiO、TiO、ステンレス鋼)は、シラン上のアルコキシ基を攻撃及び置換し、したがって共有結合-Si-O-Si-結合を形成するヒドロキシル基を含有するため、シラン化されてもよい。ヒドロキシル基を有する任意の基材材料がシラン化され得ることが理解されるべきである。一例では、基材の一部のみが改質される。別の例では、基材の一部が修飾され、切断領域のパターンを有する。別の例において、核酸は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)でコーティングされたガラス表面上でコーミングされ得る(例えば、CTABでコーティングされた表面上で均一かつ直線状)。疎水性シラン化表面上で、核酸は、非常に高密度の付着点でその全長に沿って付着され得ることが理解されるべきである。対照的に、基材(例えば、ガラス)が疎水性ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はポリスチレン)でコーティングされている場合、コーミングされた核酸は、表面の数箇所のみに付着し得る。一例では、コーミング中にpHをpH<6(例えば、pH=2、3、4、4.5、5、5.5、5.7)の値に低下させ、テザリングを核酸の末端のみに制限することができる。
【0067】
適切な基材としては、ホウケイ酸ガラス、アガロース、セファロース、磁気ビーズ、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、膜、シリカ、半導体材料、シリコン、有機ポリマー、セラミック、ガラス、金属、プラスチックポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリジノン、及びソーダ石灰ガラスが挙げられるが、これらに限定されない材料が挙げられる。基材本体は、ビーズ、ボックス、カラム、シリンダ、ディスク、皿(例えば、ガラス皿、PETRI皿)、繊維、フィルム、フィルター、マイクロタイタープレート(例えば、96井戸状のくぼみマイクロタイタープレート)、マルチブレードスティック、ネット、ペレット、プレート、リング、ロッド、ロール、シート、スライド、スティック、トレイ、チューブ、又はバイアルの形態であり得る。基材は、単一の別個の本体(例えば、単一のチューブ、単一のビーズ)、任意の数の複数の基材本体(例えば、10本のチューブのラック、いくつかのビーズ)、又はそれらの組み合わせ(例えば、トレイが複数のマイクロタイタープレート、ビーズを充填したカラム、ビーズを充填したマイクロタイタープレートを含む)であり得る。一実施例では、基材はガラスである。別の例では、基材は変性ガラス、例えばシラン化ガラスである。
【0068】
核酸サンプルは、本明細書に記載される基材の形態(例えば、ビーズ、ボックス、カラム、柱、トレンチ、井戸状のくぼみ、シリンダ、ディスク、皿(例えば、ガラス皿、PETR1皿)、繊維、フィルム、フィルター、マイクロタイタープレート(例えば、96井戸状のくぼみマイクロタイタープレート)、マルチブレードスティック、ネット、ペレット、プレート、リング、ロッド、ロール、シート、スライド、スティック、トレイ、チューブ、又はバイアル)のいずれかに固定化、コーティング、結合、固着、接着、又は付着させることができる。特に、粒子又はビーズは、ゲル化材料の成分であり得るか、又は種々の合成プラスチック(例えば、ポリスチレン)から作製されたラテックスビーズのような別個の成分であり得る。
【0069】
切断領域を含む基材の表面は、ヌクレアーゼの後の会合のための部位を含むように改変され得る。これらの部位は、物理的に改変された部位、例えば、化学的に官能化された部位、静電的に改変された部位、疎水的/親水的に官能化された部位、若しくは接着剤のスポット等の、基材内の井戸状のくぼみ、柱、トレンチ、若しくは小さなくぼみ等の物理的構成、又は切断領域として意図される基材の領域上にトランスポザーゼ等の複数のヌクレアーゼを結合するための任意の他の修飾を含み得る。そのような領域は化学的に官能化されており、ヌクレアーゼの切断領域への共有結合を可能にするために、ヌクレアーゼに結合された又はヌクレアーゼに含まれる相補的な化学的に官能化された又は架橋能力を有する架橋剤が使用され得る。この文脈における「化学的に修飾された部位」としては、以下が含まれるがこれらに限定されない。ヌクレアーゼを共有結合させるために使用することができ、これは、対応する反応性官能基も含有し得る、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、及びチオール基を含む化学官能基のパターンの付加、ヌクレアーゼを結合するために使用することができる接着剤のパターンの付加(接着剤の添加のための事前の化学的機能化又は接着剤の直接添加のいずれかによって)、ヌクレアーゼの静電付着のための荷電基のパターン(化学官能性と同様)の付加、例えば、ヌクレアーゼが、その部位とは反対の荷電基を含む場合、好適な実験条件下で同様に疎水性又は親水性ヌクレアーゼを添加すると、水親和性に基づいてヌクレアーゼを部位に会合するように、疎水性又は親水性の異なる部位にする化学官能基のパターンの付加。一例では、ヌクレアーゼは、切断領域に直接結合され得るが、別の例では、ヌクレアーゼは、マイクロビーズ等の付着のための中間ビヒクルに付着され得、そのような中間体は、基材の切断領域に付着される。ビーズは球状である必要はなく、不規則な粒子を使用してもよい。更に、ビーズは多孔性であり得、したがって、捕捉プローブ結合又はタグ結合のいずれかに利用可能なビーズの表面積を増加させる。ビーズサイズは、ナノメートル、例えば、100nmから、ミリメートル、例えば、1mmまでの範囲であり、ビーズは約0.2μm~約200μmが好ましく、約0.5~約5μmが特に好ましいが、いくつかの例では、より小さい又はより大きいビーズが使用されてもよい。切断領域へのヌクレアーゼの付着の本明細書に開示される例は、ヌクレアーゼを中間体に付着させる例、及びヌクレアーゼに付着した中間体を切断領域に付着させる例を含む。基材へのヌクレアーゼの付着の例はまた、ヌクレアーゼの中間体への付着、又は中間体の基材への付着の例を指すことができる。
【0070】
一例において、ヌクレアーゼは、基材に結合された親和性リガンドに結合する親和性リガンド受容体を含み得る。親和性リガンド受容体の結合は、共有結合手段を介してもよいが、各親和性リガンド受容体当たり複数の結合部位が存在する場合、比較的弱い相互作用(例えば、非共有結合)であっても、親和性リガンド受容体を表面に結合させるのに十分であり得る。したがって、例えば、静電相互作用は、例えば、切断領域と反対の電荷を保有するヌクレアーゼ又は中間体を有することによって、付着のために使用され得る。あるいは、化学的架橋を行ってもよい。
【0071】
一例では、結合した親和性リガンド受容体を有する基材は、切断ステップの前、後、又はそれと同時に、親和性-リガンド/親和性-リガンド受容体複合体を破壊して結合した核酸-親和性リガンド複合体を遊離させるように処理され得る(例えば、変性又は加熱条件に供され得る)。基材は、本明細書に記載の方法において再使用されるように、洗浄、乾燥、調製、又は他の方法で処理されてもよい。
【0072】
一例では、少なくとも実質的に均一な核酸断片は、洗浄、希釈、除去、溶出、又は遠心分離によって回収され得る。実質的に均一な核酸断片は、洗浄、沈殿、凍結乾燥、配列決定、サブクローニング、増幅、ゲル精製、凍結、又は保存され得る。別の例では、基材上で直線的に伸長された実質的に均一な核酸断片を、基材上でin situで蛍光を介して配列決定又は可視化することができる。
【0073】
一例では、基材の異なる修飾(例えば、処理)を使用することによって、核酸と基材との相互作用の程度及び性質を変化させることができる。一例では、基材の修飾領域(例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた基材の修飾領域)に結合した親和性リガンド受容体と組み合わせて核酸の一方の末端に結合した親和性リガンド(例えば、ビオチン)は、核酸の末端を表面に付着させる別の手段を提供する。核酸が少数の位置でのみガラスに結合される場合、核酸の過剰伸長は回避される。
【0074】
一例では、核酸分子は、適切な条件下で親和性リガンド受容体に結合する親和性リガンドを含み得る。親和性リガンドは、例えば、核酸分子の末端に結合され得る。親和性リガンドは、核酸分子に共有結合又は非共有結合され得る。
【0075】
あるいは、核酸分子は、ヌクレオチド類似体を含み得、親和性リガンドは、ヌクレオチド類似体に結合される。結合した親和性リガンドは、核酸分子が、親和性リガンドに結合する親和性リガンド受容体を含む基材と接触することを可能にし、したがって核酸分子を基材に結合させる。核酸分子(親和性リガンドを含む)-サンプル複合体(ハイブリッド)は、核酸分子-サンプル複合体に結合する親和性リガンド受容体を含む基材と接触させることができる。
【0076】
親和性リガンドは、本明細書中に記載される実質的に均一な核酸断片を生成するための方法において標的核酸を産生するために使用される増幅反応において、親和性リガンド保有ヌクレオチド及び/又はプライマーの使用によって標的核酸に組み込まれ得る。同様の方法を使用して、本明細書に記載の方法において有用な任意の核酸に親和性リガンドを導入することができる。増幅反応の例としては、ポリメラーゼ連鎖反応、ランダムプライマー増幅、ローリングサークル増幅及び他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。親和性リガンドは、光化学結合又は他の化学技術によっても導入することができる。
【0077】
親和性リガンド及び親和性リガンド受容体は、共有結合又は非共有結合相互作用を介して互いに結合する一対の部分である。親和性リガンド-親和性リガンド受容体パートナー部分の例としては、ビオチン-ストレプトアビジン、ビオチン-アビジン、受容体-リガンド対、ヘテロ二量体化モチーフ対(例えば、相補的ロイシンジッパーモチーフ、相補的ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ)、抗原-抗体相互作用、ポリヒスチジン(例えば、6HISタグ)、ジゴキシゲニンタグ、アプタマー-リガンド相互作用、又は多成分化学反応が挙げられるが、これらに限定されない。ビオチンに結合する親和性リガンド受容体の更なる例としては、アビジン、ストレプトアビジン(SA)、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、及びニュートラアビジンの断片が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、パートナー部分は、親和性リガンド受容体として、アビジン、ニュートラアビジン、又はストレプトアビジンを有する親和性リガンドとしてのビオチンである。
【0078】
一例において、核酸分子は、(例えば、ビオチン化ヌクレオチドの酵素的組込み、又はビオチンの光活性化架橋を使用して)ビオチン化され得る。次いで、ビオチン化核酸分子は、ストレプトアビジンでコーティングされた表面上に捕捉され得る。同様に、ジゴキシゲニン及び抗ジゴキシゲニン抗体等の他のハプテン-受容体の組み合わせを使用することができる。あるいは、化学基は、誘導体化ヌクレオチドの形態で付加され得、次いで、この誘導体化ヌクレオチドは、核酸分子を表面に付加するために使用され得る。
【0079】
付着は共有結合であってもよいが、各核酸当たり複数の付着部位が存在する場合、比較的弱い相互作用(例えば、非共有結合)であっても、核酸を表面に付着させるのに十分であり得る。したがって、例えば、静電相互作用は、例えば、生物活性剤と反対の電荷を保有するビーズを有することによって、付着のために使用され得る。
【0080】
ビオチンを支持体表面又は支持体カプラーに付着させるのに適したビオチン試薬としては、スルホ-NHS-ビオチン、スルホ-NHS-LC-ビオチン、スルホ-NHS-LC-LC-ビオチン、スルホ-NHS-SS-ビオチン、NHS-PEO-ビオチン、NHS-ビオチン、NHS-LC-ビオチン、NHS-LC-LC-ビオチン、PFP-ビオチン、TFP-PEO-ビオチン、NHS-イミノビオチントリフルオロアセトアミド、スルフヒドリル反応性ビオチン標識試薬(例えば、マレイミド-PEO-ビオチン、ビオチン-BMCC、PEO-ヨードアセチルビオチン、ヨードアセチル-LC-ビオチン、又はビオチン-HPDP)が挙げられるが、これらに限定されないアミン反応性ビオチン標識試薬;カルボキシル反応性ビオチン標識試薬(例えば、ビオチンPEO-アミン又はビオチンPEO-LC-アミン);炭水化物反応性ビオチン標識試薬(例えば、ビオシチンヒドラジド、ビオチンヒドラジド、又はビオチン-LC-ヒドラジド);及び光反応性ビオチン標識試薬(例えば、ソラレン-PEO-ビオチン)が挙げられる。一例では、親和性リガンドは、ビオチンを含み得、アミン反応性ビオチン標識試薬スルホ-NHS-LC-ビオチンを使用して、基材又は基材カプラーに結合され得る。
【0081】
親和性リガンドを結合させるための上記の方法と同様の方法を使用して、化学的に反応性の部分をヌクレアーゼ又は核酸に、及び固体支持体表面に、例えばチオール、アミン又はカルボキシルを用いて付着させることができる。したがって、表面化学を使用して、所望の官能基の結合を容易にすることができる。これらの表面化学のいくつかの例としては、脂肪族及び芳香族アミンを含むアミノ基、カルボン酸、アルデヒド、アミド、クロロメチル基、ヒドラジド、ヒドロキシル基、スルホネート、及びスルフェートが挙げられ得るが、これらに限定されない。そのような表面官能化と反応性である部分を核酸又は酵素に付加することができる。部分は、例えば、核酸の化学修飾によって、又は増幅反応のアンプリコン産物への修飾プライマー及び/若しくはヌクレオチドの組込みによって付加することができる。
【0082】
本明細書に記載される方法における使用のためのポリヌクレオチドの集団を含むサンプルとしては、遺伝子の一部、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、並びにmRNA及びrRNAを含むRNAが挙げられるが、これらに限定されない。サンプルは任意の長さであってよい。相補的標的配列は、多くの形態をとり得る。例えば、それは、より大きな核酸配列(例えば、遺伝子又はmRNAの全て又は一部、プラスミド又はゲノムDNAの制限断片、ベクター)内に含まれ得る。いくつかの例において、方法において使用されるサンプルは、1つ又は複数の細胞から単離されたゲノムである。サンプルは、代表的増幅法又は全ゲノム増幅法の産物等のゲノムから得られた増幅産物であり得る。
【0083】
一例では、サンプルは、DNA及びRNAを含むクローン核酸のライブラリであり得る。個々の核酸は、一般に、プラスミド又はファージベクターにおける増殖、PCRを含む増幅技術を含むがこれらに限定されない方法を使用して調製され得る。核酸ライブラリは、調製され得るか、又は商業的に得ることができる(Life Technologies,Carlsbad,Calif.)。本開示に従って使用するための核酸ライブラリは、一本鎖若しくは二本鎖核酸分子の集団、又は好ましくは一本鎖若しくは二本鎖DNA分子の集団を含むものを含み得る。本開示に従って正規化される他の核酸ライブラリとしては、相補DNA(cDNA)ライブラリを含むものが挙げられる。cDNAライブラリ(二本鎖又は一本鎖)は、メッセンジャーRNA又はポリA+RNAを使用して作製され得るか、又は例えば、Life Technologies(Carlsbad,Calif.)若しくは他の商業的供給源から商業的に得ることができる。本開示に従って使用されるcDNAライブラリは、好ましくは、実質的に減少したRNase H活性を有する逆転写酵素を用いて作製される。cDNAライブラリは、プラスミド、コスミド、及びファージを含むがこれらに限定されないベクター中に収容される。本明細書に記載の核酸ライブラリは、本明細書に記載の方法においてサンプルとして使用することができる。
【0084】
核酸サンプル(核酸ライブラリを含む)は、限定されるものではないが、オーガンジー、細胞、組織、器官又は生物を含む天然源から得られる核酸分子の集団から調製することができる。核酸分子の供給源として使用され得る細胞は、原核生物(細菌細胞、例えば、エシェリキア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、セラチア(Serratia)、サルモネラ(Salmonella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、クロストリジウム(Clostridium)、クラミジア(Chlamydia)、ナイセリア(Neisseria)、トレポネーマ(Treponema)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ボレリア(Borrelia)、レジオネラ(Legionella)、シュードモナス(Pseudomonas)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ヘリコバクター(Helicobacter)、エルウィニア(Erwinia)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、リゾビウム(Rhizobium)、及びストレプトマイセス属(Streptomyces);古細菌、例えば、クレン古細菌(crenarchaeota)、ナノ古細菌(nanoarchaeota)又はユーリ古細菌(euryarchaeotia);又は、真菌(例えば、酵母)、植物、原生動物及び他の寄生生物等の真核生物、並びに動物(昆虫(例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)種)、線虫例えば、エレガンス緑虫(Caenorhabditis elegans))、及び哺乳動物(例えば、ラット、モルモット、ウマ、バク、ウシ、ヒツジ、ヤギ、マウス、サル、非ヒト霊長類及びヒト)を含む)であり得る。
【0085】
核酸のサンプル(ライブラリを含む)の供給源として使用され得る哺乳動物体細胞としては、血液細胞(例えば、網状赤血球及び白血球)、内皮細胞、上皮細胞、神経細胞(例えば、中枢神経系又は末梢神経系由来)、筋肉細胞(例えば、骨格筋、平滑筋又は心筋由来の筋細胞及び筋芽細胞)、結合組織細胞(例えば、線維芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、骨細胞及び骨芽細胞)及び他の間質細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、シュワン細胞)が挙げられる。哺乳動物生殖細胞(例えば、精母細胞及び卵母細胞)もまた、本開示に従って使用するための核酸又はライブラリの供給源として使用され得、上記の体細胞及び生殖細胞を生じる前駆細胞、前駆体及び幹細胞も同様であり得る。脳、腎臓、肝臓、膵臓、血液、骨髄、筋肉、神経、皮膚、脊髄、尿生殖器、循環器、リンパ系、胃腸及び結合組織源に由来するもの、並びに哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、サル、ヒト)胚又は胎児に由来するもの等の哺乳動物の組織又は器官も核酸源としての使用に適している。
【0086】
上記の原核細胞又は真核細胞、組織及び器官のいずれも、正常、罹患、形質転換、確立、祖先、前駆体、胎児又は胚性であり得る。罹患細胞としては、感染性疾患(細菌、真菌若しくは酵母、ウイルス、又は寄生虫によって引き起こされる)、遺伝的若しくは生化学的病理(例えば、嚢胞性線維症、血友病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋ジストロフィー、又は多発性硬化症)、又は癌性プロセスに関与する細胞が挙げられる。形質転換又は確立された動物細胞株(例えば、293-T細胞、3T3細胞、721細胞、9L細胞、A172細胞、A20細胞、A253細胞、A2780細胞、A431細胞、A-549細胞、ALC細胞、B16細胞、B35細胞、Bas8細胞、BCP-1細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、BR 293細胞、BxPC3細胞、C3H-10T1/2細胞、C6細胞、C6/36細胞、Cal-27細胞、CHL-60細胞、CHO細胞、CMLT1細胞、CMT細胞、COR-L23細胞、COS細胞、CT26細胞、D17細胞、DH82細胞、DU145細胞、EL4細胞、EM2細胞、EM3細胞、F9細胞、FM3細胞、H1299細胞、H69細胞、HB54細胞、HB55細胞、HCA2細胞、HEK-293細胞、HeLa細胞、Hepalcic7細胞、HepG2細胞、HMEC細胞、HT-29細胞、Jurkat細胞、JY細胞、K562細胞、KCL22細胞、KG1細胞、Ku812細胞、KYO1細胞、Lncap細胞、MC-38細胞、MCF-10A細胞、MCF-7細胞、MDA-231細胞、MDA-468細胞、MDA-MB-438細胞、MDCK II細胞、N6細胞、NALM-1細胞、NIH-3T3細胞、NW-145細胞、PC3細胞、PC12細胞、RenCa細胞、Saos-2細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、SHSY5Y細胞、T47D細胞、T84細胞、THP-1細胞、U373細胞、U87細胞、U937細胞、VERO細胞、WM39細胞、X63細胞、YAC-1細胞、YAR細胞)を、本開示に従って使用するための核酸サンプル材料の供給源として使用することができる。本開示に従って使用するための核酸の供給源として適切な他の細胞、細胞株、組織、器官及び生物は、当業者に明らかである。これらの細胞、組織、器官及び生物は、それらの天然の供給源から得られ得るか、又はAmerican Type Culture Collection(Rockville,Md.)及び当該分野で公知の他の供給源のような供給源から商業的に得ることができる。
【0087】
出発細胞、組織、器官又は他のサンプルが得られると、核酸分子(例えば、mRNA又はポリA+RNA)を単離することができ、そこから核酸ライブラリ(例えば、cDNAライブラリ)を調製することができる。このような様式で調製された核酸ライブラリは、細胞、組織又は生物供給源、及び供給源の発生の段階又は細胞周期に依存して、広範な範囲の量のメンバー核酸分子を含み得る。
【0088】
本明細書中に記載される方法において有用なサンプルは、細胞又は生物(例えば、上記のもの1つ)から単離されたゲノムであり得る。本方法において有用なゲノムは、実質的に完全なゲノム又はその画分であり得る。例えば、サンプルは、生物のゲノムの少なくとも80%、90%、95%、99%、又は99.9%の複雑性を含み得る。例えば、生物のゲノムの50%、40%、30%、20%、10%、5%又は1%以下を有するサンプルを含む、より複雑でないサンプルも同様に使用することができる。
【0089】
本明細書中に記載される方法において有用なサンプルは、ゲノムDNAライブラリ、cDNAライブラリ、真核生物DNAライブラリ、Achaean DNAライブラリ又は原核生物DNAライブラリを含むがこれらに限定されない核酸ライブラリであり得る。DNAライブラリは、少なくとも約0.5G塩基、1G塩基、2G塩基、3G塩基、4G塩基、5G塩基、10G塩基以上の複雑度を有することができる。本明細書に記載の方法において有用なサンプルは、ゲノム、トランスクリプトーム、又はメタゲノムであり得る。
【0090】
本明細書に記載の方法によって産生される核酸断片は、少なくとも2つのヌクレオチドを含む。特定の例では、核酸断片は、少なくとも約10、約25、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1,000、約1,100、約1,200、約1,300、約1,400、約1,500、約1,600、約1,700、約1,800、約1,900、約2,000、約2,500、約3,000、約3,500、約4,000、約4,5000、約5,000、約5,500、約6,000、約6,500、約7,000、約7,500、約8,000、約8,500、約9,000、約10,500、約11,000、約12,000、約13,000、約14,000、約15,000、約16,000、約17,000、約18,000、約19,000、約又は20,000塩基であり得る。代替的又は追加的に、核酸断片(例えば、オリゴヌクレオチド)は、20,000、約19,000、約18,000、約17,000、約16,000、約15,000、約14,000、約13,000、約12,000、約11,000、約10,000、約9,500、約9,000、約8,500、約8,000、約7,500、約7,000、約6,500、約6,000、約5,500、約5,000、約4,500、約4,000、約3,500、約3,000、約2,500、約2,000、約1,900、約1,800、約1,700、約1,600、約1,500、約1,400、約1,300、約1,200、約1,100、約1,000、約900、約800、約700、約600、約500、約400、約300、約200、約150、約100、約75、約50、約25、又は約10ヌクレオチド(例えば、塩基対)以下の長さであり得る。別の例では、核酸断片は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10kb並びに約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、又は約20kb、並びに約10、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95又は約100kb並びに約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約又は1,000Kb、及びその中の全ての増分であり得る。
【0091】
いくつかの例では、核酸断片は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、又は約1,000塩基長であり得る。
【0092】
核酸断片は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、又は約1,000kb長であり得る。いくつかの例において、核酸断片は、少なくとも約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は100kb長であり得る。
【0093】
一例では、核酸断片は、少なくとも約10~20、約10~30、約10~40、約10~50、約10~60、約10~70、約10~80、約10~90、又は約10~100塩基長であり得る。更なる例では、核酸断片は、少なくとも約100~200、約100~300、約100~400、約100~500、約100~600、約100~700、約100~800、約100~900、又は約100~1,000塩基長であり得る。あるいは、核酸断片は、少なくとも約10~20、約~30、約10~40、約10~50、約10~60、約10~70、約10~80、約10~90又は約10~100kbであり得る。更なる例では、核酸断片は、少なくとも約100~200、約100~300、約100~400、約100~500、約100~600、約100~700、約100~800、約100~900、又は約100~1,000kbであり得る。
【0094】
本明細書中に記載される方法によって産生される核酸断片は、特定されるように、一本鎖若しくは二本鎖であり得るか、又は二本鎖配列及び一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸断片は、DNA(ゲノム及びcDNAの両方)、RNA又はハイブリッドであり得、ここで、核酸断片は、デオキシリボ及びリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンタニン、ヒポキサンタニン、イソシトシン、イソグアニン、及び塩基類似体(例えば、ニトロピロール及びニトロインドール)を含む塩基の任意の組み合わせを含む。
【0095】
適切に一貫した長さ分布の所定のポリヌクレオチド断片長は、互いから既知の一貫した距離である基材上の切断領域をパターン化することによって生成され得る。切断領域は、ポリヌクレオチド内に切断点を作製し得、切断点(すなわち、切断領域内のヌクレアーゼがポリヌクレオチドを切断するポリヌクレオチドの部位)に2つの末端を作製する。標的ポリヌクレオチドが基材を横切って伸長される場合、それは切断領域で切断され、切断領域間距離に近い長さの断片を残す。標的ポリヌクレオチドは、所与の切断領域内の2つ以上の部位で切断され得る。すなわち、複数の切断点が、所定の切断領域において作製され得、その長さが切断領域内のヌクレアーゼ間距離に近似する断片、並びにその長さが切断領域間距離に近似する断片が生じる。結果は、大まかに2つのカテゴリー、すなわち、より長い断片(互いに異なる切断領域にあった切断点から生じる末端を有する)及びより短い断片(互いに同じ切断領域にあった切断点からの末端を有する)に入る断片であり得る。異なるサイズに基づいてヌクレオチド断片の集団を分離する方法が、断片(例えば、切断領域間距離に近似する長さを有するもの)及び廃棄されるもの(例えば、切断領域内のヌクレアーゼ間の距離に近似する長さを有するもの)を濃縮することを可能にするように、個々の切断領域内のヌクレアーゼ間の距離よりも適切に長い切断領域間の距離が選択され得る。
【0096】
一例はタグ付けを含み、切断領域のトランスポザーゼは、切断点でポリヌクレオチドを切断し得、切断点で作製されたポリヌクレオチドの各末端にアダプタを付加することができる。例えば、切断点で切断された二本鎖ポリヌクレオチドの各鎖の切断末端にアダプタを付加することができる。いくつかの例では、トランスポソーム内の二本鎖アダプタは、互いに共有結合していない鎖(例えば、別々のポリヌクレオチド鎖を含むアダプタ)を含んでもよく、ポリヌクレオチドがトランスポソームによって切断されるときに切断点で生成される二本鎖末端に付加されてもよい。別の例では、トランスポソーム内の二本鎖アダプタは、互いに共有結合した鎖(例えば、ポリヌクレオチド鎖の2つの末端を含むアダプタ)を含み得、ポリヌクレオチドがトランスポソームによって切断されたときに切断点で生成される二本鎖末端に付加され得る。後者の例は、切断点で作製された末端にヘアピンループを付加することを含み得る。2つの切断領域で切断され、各切断末端で切断鎖末端に付加されたヘアピンループを有する二本鎖ポリヌクレオチドは、ダンベル型ポリヌクレオチドを形成することができる。
【0097】
いくつかの例において、非対称末端を有するポリヌクレオチドの断片を産生することが有利であり得る。この場合、非対称とは、互いに異なるアダプタを有する対向する末端(すなわち、2つの異なる切断点からの末端)を意味する(例えば、2つのタイプの切断領域のトランスポソームは、互いに同じアダプタを含まない)。本開示によれば、非対称末端は、2つの異なるタイプの切断領域の間で交互するパターンで、基材上の切断領域によって生成され得る。例えば、第1のタイプの切断領域は、第1のヌクレオチド配列のポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)を含むアダプタを意味する、第1のタイプの核酸ベースのアダプタを有するトランスポソームを有し得る。第2のタイプの切断領域は、第2のヌクレオチド配列のポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)を含むアダプタを意味する第2のタイプの核酸ベースのアダプタを有するトランスポソームを有し得る。
【0098】
この例では、第1のタイプの切断領域は第2のタイプのアダプタを含まず、第2のタイプの切断領域は第1のタイプのアダプタを含まない。ポリヌクレオチドがこのような基材にわたって伸長される場合、2つの異なるタイプの切断領域(例えば、断片の一方の末端を作製する第1のタイプの切断領域及び断片の他方の末端を作製する第2のタイプの切断領域)における切断点によって作製された反対の末端を有するいくつかの断片が作製される。したがって、そのような断片の一方の末端は第1のタイプのアダプタを含み、断片の他方の末端は第2のタイプのアダプタを含む。このような断片は非対称末端を有する。一例では、切断領域の1つのタイプは、互いに結合しているアダプタ(ヘアピンループの形態等)を含み得るが、切断領域の別のタイプは、互いに接続されていないアダプタを含み得る。そのような例では、表面上の切断領域の各タイプ間で交互にすることにより、一方の末端で鎖を互いに接続するヘアピンループを有する二本鎖ポリヌクレオチド断片がもたらされ得る。別の例において、両方のタイプの切断領域は、互いに接続されたアダプタを含み得る。そのような例では、表面上の各タイプの切断領域間で交互にすることにより、両方の対向する末端で鎖を互いに接続してダンベル形状を形成するヘアピンループを有する二本鎖ポリヌクレオチド断片がもたらされ得る。
【0099】
いくつかの断片は、2つの切断点が同じ切断領域に生じる場合に作製され得る。このような断片は、切断点が異なるタイプの切断領域に由来する場合に作製される非対称断片よりも短くあり得る。更に、両方の切断点が同じ切断領域内にある場合に作製される断片は、非対称末端ではなく対称末端を有する。すなわち、両方の切断点は、互いに同じタイプの切断領域(すなわち、同じ切断領域)に由来するので、それらは、互いに同じアダプタタイプを有する。このような断片を互いに分離することは、例えば、切断領域間の距離が切断領域内のヌクレアーゼ間の距離よりも大きい場合、サイズに基づいてそれらを分離することによって行われ得る。別の例では、対称末端を有する断片を非対称末端を有する断片から分離することができ、その結果は、より短い断片からより長い断片を分離することを含み得る。例えば、第1のタイプのアダプタを有する断片は、第2のタイプのアダプタと比較して第1のタイプのアダプタを選択するハイブリダイゼーション選択又は親和性結合を介して選択され得る。これは、非対称末端を有する断片及び両端に第1のタイプのアダプタを有する対称末端を有する断片を選択し、各末端に第2のタイプのアダプタを有する非対称末端を有する断片を選択しない。続いて、このようにして選択された断片のうち、第1のタイプのアダプタに対して第2のタイプのアダプタを選択するハイブリダイゼーション選択又は親和性結合を介して、第2のタイプのアダプタを含む断片のサブセットを更に選択することができる。これは、非対称末端を有する断片を選択し、両末端に第1のタイプのアダプタを有する対称末端を有する断片を選択しない。非対称末端を有する断片が対称末端を有する断片よりも長い限り、このような分離方法は、より短い断片からより長い断片を分離する。
【0100】
切断領域は、基材上で、互いに任意の距離であってもよく、又は任意の所望のピッチを有してもよい。表面上の切断領域ピッチは、所望の範囲の長さ内の断片を作製するように選択され得る。ピッチは、20,000ヌクレオチドのポリヌクレオチドが約6μmの長さであるという事実に基づいて、適切な長さを有する断片の集団を生成するように選択され得る。ピッチは、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、約1micron、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約5.5μm、約6μm、約6.5μm、約7μm、約7.5μm、約8μm、約8.5μm、約9μm、約9.5μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約22.5μm、約25μm、約27.5μm、若しくは約30μm、又はそれらの間の任意の範囲内であり得る。ピッチは、100nm未満又は30μm超であってもよい。本開示の先行する段落に列挙された長さのいずれかの断片を生成する任意のピッチが選択されてもよく、全てのそのようなピッチが明示的に企図され、本明細書に含まれる。
【0101】
切断領域の大きさは、任意の所望のサイズであり得る。切断領域にわたる寸法は、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95、約100nm、又はそれより大きくてもよい。
【0102】
いくつかの例において、切断領域は、切断領域ではない基材表面とほぼ同一平面上にあってもよい。例えば、切断領域は、概して平坦な基材表面上にパターン化されてもよい。他の例では、基材は、互いに概して全てが同一平面上にあるわけではない表面を含むようにパターン化されてもよい。例えば、基材表面は、他に対して特定の特徴のくぼみ又は隆起を有してもよい。本明細書で使用される場合、「くぼみ」という用語は、パターン化された支持体表面の間隙によって完全に取り囲まれた、又は間隙によって他の凹状フィーチャから分離された表面開口部を有する、パターン化された支持体内の別個の凹状フィーチャを指す。くぼみは、例として、円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を有する)等が含まれる、様々な形状のいずれかを表面の開口部でとり得る。表面と直交するように取られたくぼみの断面は、湾曲形状、正方形、多角形、双曲線、円錐、角のある形状等であり得る。一例として、くぼみは、井戸状のくぼみ、又はトレンチであり得る。又は、隆起は、柱又は柱であってもよい。
【0103】
一例において、切断領域は、平面性の差によって互いに分離された表面であってもよい。例えば、切断領域は、例えばトレンチ又は井戸状のくぼみ等のくぼみの表面、又は任意の他の前述のくぼみの表面、及びくぼみの間の間隙の表面であってもよい。このような場合のピッチは、くぼみの深さによって決定され得る。別の例では、切断領域は、例えば柱若しくはカラム等の隆起の表面、又は基材表面の残りの部分の上に隆起した任意の他のフィーチャ、及び隆起間の間隙の表面であってもよい。このような場合のピッチは、隆起部の高さによって決定することができる。切断領域がくぼみの表面及び間隙の表面、又は隆隆起の表面及び間隙の表面である場合、切断領域のタイプは、くぼみ表面と間隙表面との間、又は隆起表面と間隙表面との間で交互であってもよい。例えば、くぼみ表面は、第1の切断領域タイプであってもよく、第1のタイプのトランスポソームは、第1のタイプのアダプタを含み、くぼみ間の間隙の表面は、第2のタイプの切断領域を含んでもよく、第2のタイプのトランスポソームは、第2のタイプのアダプタを含む。別の例では、隆起表面は、第1の切断領域タイプのものであってもよく、第1のタイプのトランスポソームは、第1のタイプのアダプタを含み、隆起間の間隙の表面は、第2のタイプの切断領域を含んでもよく、第2のタイプのトランスポソームは、第2のタイプのアダプタを含む。切断領域の交互型のこのようなパターンは、非対称末端を有する断片を生成し得る。他の例では、くぼみ又は隆起及びそれらの間の間隙の切断領域は、互いに同じタイプのアダプタを有するトランスポソームを含み、対称末端を有する断片を生成し得る。
【0104】
基材上にパターンを形成するための任意の適切な方法(例えば、くぼみ、隆起、又はその両方を作製するための方法)が、異なって配置された切断領域を有するこのような表面を作製するために使用され得る。フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、エッチング、又は基材フィーチャの微細加工及びナノ加工のための他の関連する方法。
【0105】
別の例において、サンプルポリヌクレオチドを切断することによって形成されたポリヌクレオチドの長さは、膜の孔を通してポリヌクレオチドを延長させることによって決定され得る。多孔性膜の一方の側には、孔開口部の近傍にトランスポゾン等のヌクレアーゼが付着していてもよい。膜の反対側に、マイクロビーズが適用されてもよく、マイクロビーズにポリヌクレオチドが、本開示の前述の例におけるように共有結合又は他の結合を介して結合される。ビーズに結合していないポリヌクレオチドの末端は、任意の適切な方法、例えば、電気泳動プロセス又は他のプロセスによって膜の孔を通って延長され得る。ポリヌクレオチドの末端が結合されるビーズは、ビーズが孔を通過できないように孔より大きくてもよい。膜を通る孔の一端でビーズに付着したポリヌクレオチドの末端の配向、及び孔の対向する開口部から突出するその反対の末端は、ポリヌクレオチドをそのような孔開口部の近くのヌクレアーゼの近傍にもたらす。ポリヌクレオチドが孔の開口部から延長する場所付近でのポリヌクレオチドの切断は、多孔質膜の厚さに近い長さを有するビーズから延長するポリヌクレオチドをもたらす。一例では、膜に付着したトランスポザーゼは、ポリヌクレオチドをタグ付けすることができ、ポリヌクレオチドが孔から出る場所の近くの切断点で作製された末端にアダプタを付加する。ポリヌクレオチドは、その後、ビーズから放出され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、標的化された化学反応又は酵素反応によって切断可能な親和性リガンドによってビーズに結合されて、ビーズからポリヌクレオチドを放出し得る。別の例では、タグ付けポリヌクレオチドの例において付加されていてもよいアダプタを含むポリヌクレオチドのコピーを合成してもよい。コピーは、その後、配列決定等を含む意図された目的のために使用され得る。複数のポリヌクレオチドがバンドに結合され、このような膜の孔を通って延長されると、膜の厚さに近い長さのポリヌクレオチドの集団が生成され得、有利には、狭いサイズ分布を有する。
【0106】
膜は、生物学的膜(例えば、BLM(黒色脂質膜))、ポリマー膜(マルチブロックコポリマー)及び固体膜(グラフェン又は無機/ハイブリッド材料、シリコン膜、二酸化ケイ素膜、窒化ケイ素(SiNx)膜)を含み、非リソグラフィプロセスを使用して製造された膜(例えば、カプセル化された球)を含む、異なる材料の変形から作製され得る。膜内の孔は、化学エッチング、集束イオンビーム(FIB)、集束電子ビーム、リソグラフィ(ナノインプリントリソグラフィ、多層リソグラフィを含む)、及びナノメートルスケール孔のレーザ穿孔を含む技法によって作製又は機械加工することができる。マイクロビーズ(無機、有機、ポリマー粒子又はハイブリッド粒子)等のビーズは、本開示において上述した通りであってよい。膜は、所望の長さのポリヌクレオチドの集団を達成することが意図される任意の厚さであり得る。多孔質膜の厚さは、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、約1micron、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約5.5μm、約6μm、約6.5μm、約7μm、約7.5μm、約8μm、約8.5μm、約9μm、約9.5μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約22.5μm、約25μm、約27.5μm、若しくは約30μm、又はそれらの間の任意の範囲内であり得る。ピッチは、100nm未満又は30μm超であってもよい。本開示の先行する段落に列挙された長さのいずれかの断片を生成する任意の厚さが選択されてもよく、全てのそのような厚さが明示的に企図され、本明細書に含まれる。
【0107】
一例では、例えば、ポリヌクレオチドが時期尚早に切断されないように、表面にわたるポリヌクレオチドのコーミング若しくは他の伸長の間、又はポリヌクレオチドが膜を通して完全に延長するように、膜を通してポリヌクレオチドを延長する間、ヌクレアーゼを酵素的に静止状態に維持することが望ましい場合がある。例えば、ヌクレアーゼ又はトランスポザーゼ酵素活性に関与するマグネシウム及びマンガン又は他のイオン若しくは因子は、ポリヌクレオチドの切断の開始が所望されるまで伸長又は延長中に保留され得、次いで、ポリヌクレオチドが所望のように配置されたら切断を開始するために付加され得る。
【0108】
本明細書に含まれる実施例は、例示として提供され、本開示を限定することを意図しない。
【0109】
切断領域を含む基材の例を図1に示す。ポリヌクレオチド140は、基材110を横切って伸長される。伸長は、矢印150によって示される方向に基材表面を横切るポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む緩衝液の流れ又は動きを伴う分子コーミングによって達成され得る。切断領域120はギャップ130によって分離される。この例では、切断領域120は、基材にわたって一貫したギャップ130によって互いに分離されている。
【0110】
図2は、図1に示される基材の一部の拡大図を示す。ポリヌクレオチド210は、基材の切断領域220にわたって伸長される。切断領域220は、トランスポザーゼ等のヌクレアーゼ230を含む。切断240の開始に際して、ポリヌクレオチドの切断点の切断、及び2つの異なる切断領域における2つの切断末端の作製から生じる、より長い断片260が作製される。作製され得るより短い断片250はまた、同じ切断領域において、ポリヌクレオチドの切断点の切断、及び2つの切断末端の生成から生じる。図2に示される例において、より長い断片及びより短い断片は、互いに分離され得、この場合、より長い断片が選択され、長さの狭い分布について富化されたポリヌクレオチドの集団を生じる。
【0111】
図3は、図1と同様であるが、2つの異なるタイプの切断領域を有する例を示す。ポリヌクレオチド340は、基材310を横切って伸長される。伸長は、矢印350によって示される方向に基材表面を横切るポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む緩衝液の流れ又は動きを伴う分子コーミングによって達成され得る。切断領域は、第1のタイプの切断領域320と第2のタイプの切断領域325との間に交互パターンで配置される。切断領域320及び325は、ギャップ330によって分離される。この例では、切断領域320及び325は、基材にわたって一貫したギャップ330によって互いに分離されている。
【0112】
図4は、図2に示される基材の一部の拡大図を示す。ポリヌクレオチド410は、基材の切断領域420及び425にわたって伸長される。第1のタイプの切断領域420は、トランスポザーゼ等の第1のタイプのヌクレアーゼ430を含む。第2のタイプの切断領域425は、トランスポザーゼ等の第2のタイプのヌクレアーゼ435を含む。切断440の開始に際して、ポリヌクレオチドの切断点の切断、及び2つの異なる切断領域における2つの切断末端の作製から生じる、より長い断片250が作製される。作製され得るより短い断片250はまた、同じ切断領域において、ポリヌクレオチドの切断点の切断、及び2つの切断末端の生成から生じる。
【0113】
この例では、第1の切断領域420は、第1のタイプのアダプタを含む第1のタイプのトランスポゾン430を含む。第2のタイプの切断領域425は、第2のタイプのアダプタを含む第2のタイプのトランスポゾン435を含む。結果として、より長いポリヌクレオチド450は非対称末端を有し、より短いポリヌクレオチド460は対称末端を有する。図4に示される例において、非対称末端を有するより長い断片は、対称末端を有するより短い断片から分離され得、この場合、選択された非対称末端を有するより長い断片は、長さ及び非対称末端の狭い分布について富化されたポリヌクレオチドの集団を生じる。
【0114】
図5は、異なるタイプの切断領域を含むくぼみ520及び間隙530を有する基材510の一例を示す。この例ではトレンチであるくぼみ520の表面は、第1のタイプのアダプタを含む第1のタイプのトランスポゾン550を有する。間隙530の表面は、第2のタイプのアダプタを含む第2のタイプのトランスポゾン560を有する。基材510上に伸長されたポリヌクレオチド540は、各タイプの切断領域で切断され得る。図1及び図2に示される切断領域の例と同様に、基材510は、くぼみ520の深さによって決定される長さを有するより長い断片を生じ得る。断片の2つの末端が同じ切断領域を有するトランスポゾンによって作製された場合、他のより短い断片も作製され得る。図2及び4におけるように、より長い断片は非対称であり得る(異なるタイプの切断領域530及び520のトランスポゾン550及び555が断片の反対の末端を作り出すため)。また、図2及び4と同様に、より短い断片は対称であり得る(断片の両端が同じ切断領域で作製されているため)。
【0115】
図6は、ビーズ610に付着したポリヌクレオチド620が膜630の孔を通って延長される例を示す。ビーズ610は大きすぎて孔630を通り抜けることができない。トランスポザーゼ640等のヌクレアーゼは、ビーズ610に対向する膜の表面に、孔630の開口部に近接して付着される。トランスポザーゼ640等のヌクレアーゼは、孔を出る場所の近くでポリヌクレオチドを切断することができる。ビーズ610に付着し、上記孔630を通って延長し、上記ヌクレアーゼ640によって切断された複数のポリヌクレオチド620は、膜の厚さにほぼ等しい長さを有するビーズ610に付着したポリヌクレオチド620の集団をもたらす。ポリヌクレオチドは、その後、配列決定法等の後続のプロセスで使用するために合成されたビーズ又はコピーから分離することができる。一例では、トランスポザーゼ640等のヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドにアダプタを付加することによってポリヌクレオチドをタグ付けすることができる。
【0116】
図8A及び8Bは、トランスポソームを使用して、切断されたポリヌクレオチドの末端にアダプタを付加する例を示す。図8Aは、2つのタイプのトランスポソーム、第1のタイプ810及び第2のタイプ820が、二本鎖ポリヌクレオチドの末端にアダプタを付着させる例に関する。第1のタイプのトランスポソーム810はトランスポザーゼを含み、第1のタイプのアダプタ830も含む。2つの第1のタイプのアダプタ830は、第1のタイプのトランスポソーム810に含まれる。第1のタイプのアダプタ830は、互いに接続されない。第2のタイプのトランスポソーム820は、トランスポザーゼを含み、第2のタイプのアダプタ840も含む。2つの第2のタイプのアダプタ840は、第2のタイプのトランスポソーム830に含まれる。第2のタイプのアダプタ840は、互いに接続されない。一例では、第1のタイプのトランスポソーム810は第1のタイプの切断領域に含まれてもよく、第2のタイプのトランスポソーム820は第2のタイプの切断領域に見出されてもよく、基材は、図3又は図6に示されるように、第1のタイプと第2のタイプとの間で交互する切断領域を含んでもよい。ポリヌクレオチド850は、一端で第1のタイプのトランスポソーム810によって切断され、反対端で第2のタイプのトランスポソーム820によって切断された後に示されている。ポリヌクレオチド850の切断は、一対の相補的末端を含む末端を作製する。トランスポソームによる切断には、アダプタの付加も含まれる。第1のタイプのアダプタ830は、第1のタイプのトランスポソーム810によって切断されたポリヌクレオチド850の末端で各鎖に付加されている。第2のタイプのアダプタ840は、第2のタイプのトランスポソーム820によって切断されたポリヌクレオチド850の末端で各鎖に付加されている。第1のタイプのアダプタ830のうちの2つは、互いに同一又は完全に相補的である必要はなく、第2のタイプのアダプタ840のうちの2つは、互いに同一又は完全に相補的である必要はない。
【0117】
図8Bは、2つのタイプのトランスポソーム、第1のタイプ815及び第2のタイプ825が、二本鎖ポリヌクレオチドの末端にアダプタを付着させ、トランスポソーム内のアダプタが互いに付着している例に関する。第1のタイプのトランスポソーム815はトランスポザーゼを含み、第1のタイプのアダプタ835も含む。2つの第1のタイプのアダプタ835は、第1のタイプのトランスポソーム815に含まれる。第1のタイプのアダプタ835は、ヘアピンループで互いに接続される。第2のタイプのトランスポソーム825は、トランスポザーゼを含み、第2のタイプのアダプタ845も含む。2つの第2のタイプのアダプタ845は、第2のタイプのトランスポソーム825に含まれる。第2のタイプのアダプタ845は、ヘアピンループで互いに接続される。一例では、第1のタイプのトランスポソーム815は第1のタイプの切断領域に含まれてもよく、第2のタイプのトランスポソーム825は第2のタイプの切断領域に見出されてもよく、基材は、図3又は図6に示されるように、第1のタイプと第2のタイプとの間で交互する切断領域を含んでもよい。ポリヌクレオチド855は、一端で第1のタイプのトランスポソーム815によって切断され、反対端で第2のタイプのトランスポソーム825によって切断された後に示されている。ポリヌクレオチド855の切断は、一対の相補的末端を含む末端を作製する。トランスポソームによる切断はまた、ポリヌクレオチド855にヘアピンループを付加することを含む。第1のタイプのアダプタ835は、第1のタイプのトランスポソーム815によって切断されたポリヌクレオチド855の末端で各鎖に付加されており、アダプタは互いに接続されてヘアピンループを形成する。第2のタイプのアダプタ845は、第2のタイプのトランスポソーム825によって切断されたポリヌクレオチド855の末端で各鎖に付加されており、アダプタは互いに接続されてヘアピンループを形成する。
【0118】
図9は、上記に従った、本明細書で開示される方法のフローチャートである。910には、複数のトランスポザーゼを含む複数の等間隔の切断領域を含む基材上にポリヌクレオチドを伸長させることが示されている。伸長は、ポリヌクレオチドの末端を基材に付着させることと、ポリヌクレオチドを基材の長さにわたって延長させることと、を含み得る。例えば、分子コーミングは、例えば、流体流動法又は電気泳動若しくは後退メニスカス等の弱い力の印加を使用して、ポリヌクレオチドを基材にわたって伸長させるために使用されてもよい。一例では、分子コーミングは、ポリヌクレオチドが伸長される第1の基材に加えて、第2の基材の使用を含み得る。溶液中にポリヌクレオチドを含む流体は、第2の基材によって第1の基材を横切って引かれてもよく、流体が第2の基材によって第1の基材を横切って引かれるにつれて、第1の基材を横切るポリヌクレオチドの伸長を引き起こす。溶液は、複数のポリヌクレオチドを含んでもよく、溶液中のポリヌクレオチドの一部、大部分、又は全ては、分子コーミング等によって第1の基材にわたって伸長されてもよく、これは、記載されるような第2の基材の使用を含んでもよい。一例では、二方向分子コーミングが使用され得る。二方向分子コーミングは、第2の基材の使用、及び第2の基材を第1の方向に移動させ、次いで、第2の基材が移動させられる方向を第2の方向に変更することによって、第2の基材を使用して第1の基材上に溶液を引き出すことを含み得る。二方向コーミングは、第1の基材にわたって伸長される溶液中に含まれるポリヌクレオチドの数を増加させ得る。二方向コーミングの例が図7に示されている。
【0119】
ポリヌクレオチドが伸長される基材は、複数の等間隔の切断領域を含み得る。切断領域は、トランスポザーゼ等のヌクレアーゼを、ヌクレアーゼが共有結合又は他の方法で付着され得るシラン化ガラス又は他の表面等の基材表面に付着させることによって形成され得る。切断領域は、表面にわたって互いに等間隔であってもよく、所与の幅の切断領域は、表面内の切断領域間のギャップによって互いに分離される。複数の等間隔の切断領域を含む基材上に伸長されたポリヌクレオチドの例は、上記のように図1及び3に例示される。
【0120】
920に示されているのは、複数のトランスポザーゼのうちの2つ以上でポリヌクレオチドを切断して複数のポリヌクレオチド断片を形成することである。切断領域間のギャップの幅は、切断領域におけるトランスポザーゼによるポリヌクレオチドの切断から生じるポリヌクレオチド断片の長さを決定し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、2つの切断領域(それを超えない場合)にわたって伸長され得る。2つの切断領域間のギャップは、トランスポザーゼ等のヌクレアーゼを含まない。ポリヌクレオチドは、切断領域に含まれるヌクレアーゼによって切断される。したがって、ポリヌクレオチドの集団は、その長さがほぼ少なくともギャップの距離である切断によって作製され、このような断片は、1つの切断領域においてヌクレアーゼによって一方の末端で切断され、別の切断領域においてヌクレアーゼによって他方の末端で切断される。ポリヌクレオチドはまた、単一の切断領域内で2つ以上のヌクレアーゼによって切断されてもよい。末端の両方が、互いに同じ切断領域内のヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの切断によって作製されたポリヌクレオチド断片は、そのようなヌクレアーゼが互いに近接しているため、短い断片である。したがって、切断は、ポリヌクレオチド断片の2つの集団の形成を導き、1つはより長いポリヌクレオチド断片を含み、1つはより短いポリヌクレオチド断片を含む。より長い及びより短いポリヌクレオチド断片の切断形成集団の例は、図2(250及び260を参照のこと)及び図4(450及び460を参照のこと)に例示される。
【0121】
930に示されているのは、複数のポリヌクレオチド断片内で、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することである。より長いポリヌクレオチド断片の集団内のポリヌクレオチド断片は、例えば、サイズに基づいて、ポリヌクレオチドの短い集団内のポリヌクレオチドから分離され得る。例えば、ゲルサイズ選択又はサイズの差異に基づいてポリヌクレオチドを互いに分離するための別の方法(例えば、ゲル又は他の媒体を通るそれらの運動を示差的に妨害し得、より短いポリヌクレオチド断片がより大きなポリヌクレオチド断片よりも速く移動し、それによって媒体を通る移動の速度に基づいて分離可能である)が使用され得る。以下で更に説明されるように、切断の間にポリヌクレオチド断片の末端に付加され得るアダプタにおける差異はまた、より短いポリヌクレオチド断片の集団のポリヌクレオチドからより長いポリヌクレオチド断片の集団のポリヌクレオチドを分離するために使用され得る。より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団のポリヌクレオチド断片を分離する例は、図2(270を参照のこと)及び図4(470を参照のこと)に例示される。
【0122】
一例において、ポリヌクレオチドは、二本鎖ポリヌクレオチドであり得る。切断は、トランスポザーゼ等のエンドヌクレアーゼを用いて、2対の相補的末端、すなわち、切断によってポリヌクレオチド中に作製された開裂点(又は切断点)の2つの側のそれぞれにおける1対の相補的末端を作製することを含み、一方の対は、切断前に他方に結合されていた。トランスポザーゼ等のヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドを切断し、切断点及び相補的末端の対を作製することができる。トランスポザーゼは、一対の相補的末端の各鎖にアダプタを付加することもできる。例を図4及び図8Aに示す。一例では、末端の相補的対の末端に付加されるアダプタは、図4及び8Aに示されるように、互いに接続されない。別の例では、アダプタがヘアピンループの末端である場合等、相補的な末端対の末端に付加されたアダプタを互いに接続することができる。一例を図8Bに示す。
【0123】
いくつかの例において、基材は、異なるタイプの切断領域、例えば、第1のタイプの切断領域及び第2のタイプの切断領域を含み得る。基材上の切断領域は、2つのタイプの切断領域の間で交互であり得る。2つの交互タイプの切断領域を有する基材の例を図4に示す。別の例では、基材は、トランシェ及び間隙、又は柱及び間隙、又は井戸状のくぼみ及び間隙、又は間隙と交互の他のパターン化された特徴を含んでもよく、トランシェ、柱、井戸状のくぼみ等の表面は、1つのタイプの切断領域を含んでもよく、間隙の表面は、別のタイプの切断領域を含んでもよい。例を図5に示す。
【0124】
2つのタイプの切断領域は、互いに異なるタイプのアダプタを含み得る。例えば、第1のタイプの切断領域は第1のタイプのアダプタを含んでもよく、第2のタイプの切断領域は第2のタイプのアダプタを含んでもよい。アダプタは、トランスポゾンとしてトランスポザーゼとの複合体中に含まれ得る。それぞれ第1又は第2のタイプのアダプタを含む、第1又は第2のタイプの切断領域におけるトランスポゾンによる切断点での相補的末端の対の作製は、切断領域に形成された相補的末端の対への1つのタイプのアダプタ又は別のタイプのアダプタ(すなわち、それぞれ第1のタイプのアダプタ又は第2のタイプのアダプタ)の付加を含み得る。
【0125】
そのような例では、2つの異なる切断領域でのポリヌクレオチドの切断によって形成されるポリヌクレオチド断片は、ポリヌクレオチド断片の一方の末端に、ポリヌクレオチド断片の反対側の末端のアダプタのタイプとは異なるタイプのアダプタを有し得る。互いに同じ切断領域における2つのトランスポゾンによるポリヌクレオチドの切断によって形成されるポリヌクレオチド断片は、ポリヌクレオチド断片の一方の末端に、ポリヌクレオチド断片の反対側の末端におけるアダプタのタイプと同じタイプのアダプタを有し得る。互いに異なるタイプのアダプタを対向末端に有するポリヌクレオチド断片、及び互いに同じタイプのアダプタを対向末端に有するポリヌクレオチド断片は、異なるアダプタタイプについての選択及び排除に基づいて互いに分離され得る。
【0126】
例えば、2つのタイプのアダプタの一方のタイプのヌクレオチド配列に相補的であるが他方のタイプのヌクレオチド配列には相補的でないオリゴヌクレオチドを使用して、異なる集団のポリヌクレオチド断片を互いに分離することができる。例えば、第1のタイプのオリゴヌクレオチドは、第1のタイプのアダプタのヌクレオチド配列に相補的であってもよいが、第2のタイプのアダプタのいかなる配列にも相補的でなくてもよく、第2のタイプのオリゴヌクレオチドは、第2のタイプのアダプタのヌクレオチド配列に相補的であってもよいが、第1のタイプのアダプタのいかなる配列にも相補的でなくてもよい。いくつかのポリヌクレオチド断片は、一方の末端に第1のタイプのアダプタを有し得、これに対して、第1のタイプのオリゴヌクレオチドは相補的であり得るが、第2のタイプのオリゴヌクレオチドは相補的ではなく、他方の末端に第2のタイプのアダプタを有し得、これに対して、第2のタイプのオリゴヌクレオチドは相補的であり得るが、第1のタイプのオリゴヌクレオチドは相補的ではない。他のポリヌクレオチド断片は、第2のタイプのオリゴヌクレオチドが相補的でない第1のタイプのアダプタを両対向末端に有してもよく、他のポリヌクレオチド断片は、第1のタイプのアダプタが相補的でない第2のタイプのアダプタを両対向末端に有してもよい。切断によって生じたポリヌクレオチド断片の組み合わされた集団からの選択は、ポリヌクレオチド断片の異なる集団の末端の異なる相補性を利用することができる。
【0127】
例えば、あるタイプ又は別のタイプのオリゴヌクレオチドを、ビーズ、固体又は多孔質基材の表面等の基材に付着させることができ、ポリヌクレオチド断片の混合集団をオリゴヌクレオチドに接触させることができる。ポリヌクレオチド断片の集団が第1のタイプのオリゴヌクレオチドと接触する場合、両端に第2のタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片の集団はオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしない可能性があるが、ポリヌクレオチド断片の他の集団(そのそれぞれが第1のタイプのアダプタを含む)はオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする可能性がある。次いで、ハイブリダイズしていないポリヌクレオチド断片は廃棄され得、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド断片が溶出され、そして回収され得る。
【0128】
溶出されたポリヌクレオチド断片は、対向する末端に異なるタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片を含み、ポリヌクレオチド断片は、各末端に第1のタイプのアダプタを有する。次いで、これらの混合された集団は、第2のタイプのオリゴヌクレオチド(例えば、ビーズ、固体又は多孔質基材の表面等に付着している)と接触し得る。対向する末端に第1のタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片は、第2のタイプのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしなくてもよく、一方の末端に第1のタイプのアダプタを有し、対向する末端に第2のタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片は、第2のタイプのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしてもよい。ハイブリダイズしていないポリヌクレオチド断片を廃棄し、ハイブリダイズしたポリヌクレオチド断片を溶出及び選択して、反対の末端に異なるタイプのアダプタを有するポリヌクレオチドの集団を、反対の末端に同じタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片の集団から分離することができる。
【0129】
異なる末端に異なるタイプのアダプタを有するポリヌクレオチド断片はまた、互いに同じである反対の末端にアダプタを有するポリヌクレオチド断片に対して、より長いポリヌクレオチド断片の集団のものである。互いに異なるアダプタタイプを対向する末端に有するポリヌクレオチド断片は、1つのタイプの切断領域による一方の末端での切断によって、及び異なるタイプの切断領域による対向する末端での切断によって形成されている。したがって、互いに同じであるアダプタタイプを反対端に有するポリヌクレオチド断片の集団から、互いに異なるアダプタタイプを反対端に有するポリヌクレオチド断片を分離することはまた、より短いポリヌクレオチド断片の集団からより長いポリヌクレオチド断片の集団を分離することを含み得る。一例では、ポリヌクレオチドの集団を分離するいずれかの方法がそれ自体では集団を完全に分離しないが、組み合わせて完全に分離する場合等、サイズ(例えば、ゲルサイズ選択)及びアダプタに基づく選択の両方を使用することができる。ポリヌクレオチド断片が、互いに異なる(すなわち、より長いポリヌクレオチド断片)又は同じである(すなわち、より短いポリヌクレオチド断片)アダプタを反対の末端に有するかどうかに基づいて、複数のポリヌクレオチド断片内で、より長いポリヌクレオチド断片の集団をより短いポリヌクレオチド断片の集団から分離する例を図4に示す(例えば、470参照)。
【0130】
図10は、上記に従った、本明細書で開示される方法のフローチャートである。1010に示されているのは、膜の孔を通してポリヌクレオチドの末端を延長させることであり、ポリヌクレオチドはビーズに結合しており、孔はビーズよりも狭く、膜のビーズと反対側はヌクレアーゼを含む。延長は、例えば、膜の孔を通してポリヌクレオチドの末端を電気泳動することを含み得る。一例が図6に示されており、孔を有する膜、孔よりも広いビーズに付着したポリヌクレオチド、及び膜のビーズとは反対側のヌクレアーゼが示されている。ポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であり得る。1020に示すように、ポリヌクレオチドが孔を通って延長されると、膜のビーズとは反対側のヌクレアーゼがポリヌクレオチドを切断する。一例では、複数のビーズ付着ポリヌクレオチドは、膜の孔を通して延長されてもよく、孔サイズは、ビーズの通過を排除する。ポリヌクレオチドが膜を通って延長すると、ビーズの反対側の膜側のヌクレアーゼがポリヌクレオチドを切断し得る。それにより、切断は、膜の厚さに近いサイズ分布を有するポリヌクレオチドの集団を作製し得る。次いで、ポリヌクレオチド断片の集団は、例えば、可逆的生体結合体化部分、ペプチド結合、切断可能なポリヌクレオチド断片、又は他の分離可能な結合リガンドの化学的切断によって、ビーズから放出され得る。別の例において、ポリメラーゼは、切断後にビーズに付着したポリヌクレオチド断片の鎖のコピーを作製し得る。別の例において、二本鎖ポリヌクレオチド断片の一方の鎖は、ビーズに結合され得、相補鎖は、ビーズに結合されなくてもよく、その結果、結合されていない鎖は、切断後に結合された鎖から脱ハイブリダイズされ得る。膜の厚さに近似する長さを有するポリヌクレオチド断片の集団を分離することは、切断後にポリヌクレオチド断片を回収又はコピーする前述の例のいずれかを含み得る。
【0131】
先の例と同様に、ヌクレアーゼは、トランスポザーゼを含むトランスポゾンであってもよい。トランスポザーゼは、互いに付着していないアダプタ、又はアダプタの対がヘアピンループの末端を含む場合等、互いに付着しているアダプタを含み得る。切断は、切断によって作製されたポリヌクレオチド断片の末端にアダプタを付着させることを含み得る。
【0132】
本明細書でより詳細に考察される、前述の概念及び追加の概念の全ての組み合わせが、(そのような概念が相互に矛盾しなければ)本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。特に、本開示の末尾に記載される特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書に開示される発明の主題の一部であることが意図され、本明細書に記載される利益及び利点を達成するために使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】