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特表2023-532907塩素系イオンソース材料を用いた場合の水素共ガス
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  • 特表-塩素系イオンソース材料を用いた場合の水素共ガス 図1
  • 特表-塩素系イオンソース材料を用いた場合の水素共ガス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】塩素系イオンソース材料を用いた場合の水素共ガス
(51)【国際特許分類】
   H01J 27/08 20060101AFI20230725BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20230725BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H01J27/08
H01J37/08
H01J37/317 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580847
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 US2021041233
(87)【国際公開番号】W WO2022011330
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/050,286
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィン,ニール
(72)【発明者】
【氏名】バッサム,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シャンヤン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101BB01
5C101CC17
5C101DD03
5C101DD20
5C101DD24
5C101DD31
5C101DD33
5C101FF02
(57)【要約】
イオン注入システムは、三塩化アルミニウムソース材料を有する。イオン源は、三塩化アルミニウムソース材料をイオン化してイオンビームを形成する。三塩化アルミニウムソース材料のイオン化は、塩素を含有する非導電性材料を有する副生成物をさらに形成する。水素導入装置は、水素を含む還元剤をイオン源に導入する。還元剤は、非導電性材料の化学的性質を変化させて揮発性ガス副生成物を発生させる。ビームラインアセンブリは、イオンビームを選択的に輸送する。エンドステーションは、イオンをワークピースに注入するためにイオンビームを受け入れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三塩化アルミニウムソース材料と、
イオン源と、
水素導入装置と、
ビームラインアセンブリと、
エンドステーションと、を含んでおり、
上記イオン源は、上記三塩化アルミニウムソース材料をイオン化してイオンビームを形成し、
上記三塩化アルミニウムソース材料のイオン化が、塩素を含有する非導電性材料を含む副生成物をさらに形成し、
上記水素導入装置は、上記非導電性材料の化学的性質を変化させて揮発性ガス副生成物を発生させる、水素を含む還元剤を上記イオン源に導入し、
上記ビームラインアセンブリは、上記イオンビームを選択的に輸送し、
上記エンドステーションは、イオンをワークピースに注入するために上記イオンビームを受け入れる、イオン注入システム。
【請求項2】
上記水素導入装置は、水素共ガス源を含んでおり、
上記還元剤に由来する水素は、上記非導電性材料の化学的性質を変化させて塩化水素を発生させる、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
上記水素導入装置は、加圧ガス源を含んでいる、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
上記加圧ガス源は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上を含んでいる、請求項3に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
塩素を含有する上記非導電性材料は、AlClの形態の分子を含んでおり、
xは正の整数である、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
上記イオン注入システムにおける1つ以上の閉鎖部分を実質的に排気する真空システムをさらに含んでいる、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
上記イオン注入システムにおける1つ以上の上記閉鎖部分は、上記イオン源を含んでいる、請求項6に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
上記三塩化アルミニウムソース材料は、固体形態または粉末形態のいずれか一方である、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
上記イオン源に動作可能に接続されたソース材料気化器をさらに含んでおり、
上記ソース材料気化器は、上記三塩化アルミニウムソース材料を気化させる、請求項8に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
塩素系ソース材料と、
イオン源と、
水素導入装置と、
ビームラインアセンブリと、
エンドステーションと、を含んでおり、
上記イオン源は、上記塩素系ソース材料をイオン化してイオンビームを形成し、
上記塩素系ソース材料のイオン化が、塩素を含有する非導電性材料を含む副生成物をさらに形成し、
上記水素導入装置は、上記非導電性材料の化学的性質を変化させて揮発性ガス副生成物を発生させる、水素を含む還元剤を上記イオン源に導入し、
上記ビームラインアセンブリは、上記イオンビームを選択的に輸送し、
上記エンドステーションは、イオンをワークピースに注入するために上記イオンビームを受け入れる、イオン注入システム。
【請求項11】
上記水素導入装置は、水素共ガス源を含んでおり、
上記還元剤に由来する水素は、上記非導電性材料の化学的性質を変化させて塩化水素を発生させる、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項12】
上記水素導入装置は、加圧ガス源を含んでいる、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項13】
上記加圧ガス源は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上を含んでいる、請求項12に記載のイオン注入システム。
【請求項14】
塩素を含有する上記非導電性材料は、AlClの形態の分子を含んでおり、
xは正の整数である、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項15】
上記イオン注入システムにおける1つ以上の閉鎖部分を実質的に排気する真空システムをさらに含んでいる、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項16】
上記イオン注入システムにおける1つ以上の上記閉鎖部分は、上記イオン源を含んでいる、請求項15に記載のイオン注入システム。
【請求項17】
上記塩素系ソース材料は、固体形態または粉末形態のいずれか一方である、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項18】
上記イオン源に動作可能に接続されたソース材料気化器をさらに含んでおり、
上記ソース材料気化器は、上記塩素系ソース材料を気化させる、請求項17に記載のイオン注入システム。
【請求項19】
上記塩素系ソース材料は、
三塩化アルミニウム、塩化ゲルマニウム(iv)、塩化インジウム(i)、塩化インジウム(iii)、塩化ガリウム(ii)、および、塩化ガリウム(iii)、
のうちの1つを含んでいる、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項20】
アルミニウムイオンをワークピースに注入する方法であって、
三塩化アルミニウムソース材料を気化させる工程と、
気化した上記三塩化アルミニウムソース材料を、イオン注入システムのイオン源に供給する工程と、
上記イオン源に水素共ガスを供給する工程と、
上記イオン源内において上記三塩化アルミニウムソース材料をイオン化して、上記水素共ガスが上記イオン源内の気化した上記三塩化アルミニウムソース材料と反応して揮発性塩化水素ガスを発生させる工程と、
真空システムによって上記揮発性塩化水素ガスを除去する工程と、
イオン化した上記三塩化アルミニウムソース材料に由来するアルミニウムイオンをワークピースに注入する工程と、を含んでいる、方法。
【請求項21】
上記三塩化アルミニウムソース材料は、最初は固体形態または粉末形態のいずれか一方である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記イオン源に上記水素共ガスを供給する工程は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上を上記イオン源に供給する工程を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
イオンをワークピースに注入する方法であって、
塩素系ソース材料を気化させる工程と、
気化した上記塩素系ソース材料を、イオン注入システムのイオン源に供給する工程と、
上記イオン源に水素共ガスを供給する工程と、
上記イオン源内において上記塩素系ソース材料をイオン化して、上記水素共ガスが上記イオン源内の気化した上記塩素系ソース材料と反応して揮発性塩化水素ガスを発生させる工程と、
真空システムによって上記揮発性塩化水素ガスを除去する工程と、
上記塩素系ソース材料に由来するイオンをワークピースに注入する工程と、を含んでいる、方法。
【請求項24】
上記塩素系ソース材料は、最初は固体形態または粉末形態のいずれか一方である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記塩素系ソース材料は、
三塩化アルミニウム、塩化ゲルマニウム(iv)、塩化インジウム(i)、塩化インジウム(iii)、塩化ガリウム(ii)、および、塩化ガリウム(iii)、
のうちの1つを含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
上記イオン源に上記水素共ガスを供給する工程は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上を上記イオン源に供給する工程を含んでいる、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願へのリファレンス]
本出願は、2020年7月10日に出願された米国仮出願No.63/050,286の利益を主張する。当該仮出願の全ての内容は、その全体が参照(リファレンス)により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[分野]
本発明は、一般的にはイオン注入システムに関する。より詳細には、本発明は、水素共ガス(hydrogen co-gas)を使用する塩素系イオンソース材料(chlorine-based ion source material)と、イオン注入システムのインサイチュ洗浄のための機構を含む関連するビームラインコンポーネントと、を有するイオン注入システムに関する。
【0003】
[背景]
半導体デバイスの製造においては、不純物またはドーパントを半導体にドープするためにイオン注入が使用される。イオンビーム注入器(イオンビーム注入装置)は、n型またはp型の外因性材料ドーピングを生じさせるために、または、集積回路の製造時にパッシベーション層を形成するために、シリコンウェハをイオンビームによって処理するために使用される。半導体をドープするために使用される場合、イオンビーム注入器は、選択された外因性種を注入して、所望の半導体材料を生成する。アンチモン、ヒ素、またはリンなどのソース材料(源材料)から生じたイオンを注入すると、「n型」外因性材料ウェハが得られる。その一方、「p型」外因性材料ウェハが所望される場合、ホウ素、またはインジウムなどのソース材料を用いて生じたイオンが注入されてよい。
【0004】
典型的なイオンビーム注入器は、イオン化可能なソース材料から、正に帯電したイオンを発生させるためのイオン源を含む。発生したイオンは、ビームへと形成され、所定のビーム経路に沿って注入ステーションへと導かれる。イオンビーム注入器は、イオン源と注入ステーションとの間に延在する、ビーム形成・整形機構(beam forming and shaping structures)を含みうる。ビーム形成・整形機構は、イオンビームを維持し、ビームが注入ステーションに向かう途中で通過する細長い内部キャビティ(内部空洞)または通路を画定する。注入器を動作させる場合、ガス分子との衝突の結果としてイオンが所定のビーム経路から偏向させられる確率を低減するために、この通路は排気されうる。
【0005】
イオン注入器内のイオン源は、典型的には、アークチャンバ内においてソース材料をイオン化することによってイオンビームを発生させる。ソース材料のコンポーネント(構成要素)は、所望のドーパント元素である。次いで、所望のドーパント元素が、イオン化したソース材料からイオンビームの形態として引き出される。
【0006】
従来、アルミニウムイオンが所望のドーパント元素である場合、イオン注入のためのアルミニウムイオンの材料として、窒化アルミニウム(AlN)およびアルミナ(Al)などの材料が用いられてきた。窒化アルミニウムまたはアルミナは、プラズマが形成されるイオン源のアークチャンバ内に典型的に配置される、固体の絶縁材料である。
【0007】
アルミニウム含有材料を化学的にエッチングするために、気体(例:フッ素)が従来から導入されている。この場合、ソース材料は、イオン化される。そして、アルミニウムは、引き出され、注入のためにエンドステーション内に配置されたシリコンカーバイド(炭化ケイ素)ワークピースに向けて、ビームラインに沿って輸送される。例えば、アルミニウム含有材料は、アルミニウムイオンのソース材料として、アークチャンバ内の何らかの形態のエッチャントガス(例:BF、PF、NFなど)と共に使用されることが一般的である。しかしながら、これらの材料は、意図されたアルミニウムイオンと共にアークチャンバから放出される絶縁材料(例:AlN、Al、AlFなど)を生じさせるという望ましくない副作用(unfortunate side effect)を有している。その後、絶縁材料は、引出電極などのイオン源の様々なコンポーネントを被覆(コーティング)する。次いで、当該絶縁材料は、電荷を蓄積(biuld)し始め、引出電極の静電特性を悪化させる(好ましくないように変化させる)。
【0008】
電荷の蓄積の結果、他のコンポーネントおよび/またはグランド(接地)への蓄積電荷アークとして、引出電極のアーキング(アーク放電)または「グリッチング(glitching)」と一般に称される挙動が生じる。極端な場合には、引出電極のための電源の挙動が、変化および歪みうる。このことは、典型的には、予測不可能なビーム挙動をもたらし、ビーム電流の低減、および、イオン源に関連する様々なコンポーネントを洗浄(クリーニング)するための頻繁な予防保全を招く。加えて、これらの材料に由来するフレーク(薄片)および他の残留物が、アークチャンバ内に形成されうる。このことは、アークチャンバの動作特性を変化させ、追加の頻繁な洗浄を招く。
【0009】
[概要]
本開示は、全般的には、イオン注入システムおよび関連するイオンソース材料を対象としている。本開示は、より詳細には、1000℃までの範囲の様々な温度において、シリコン、シリコンカーバイド、または他の半導体基材(半導体基板)を電気的にドープするための原子イオンを発生させるための塩素系固体ソース材料(chlorine-based solid source material)を使用する、イオン注入システムのためのコンポーネントを対象としている。さらに、本開示は、固体塩素系材料(solid chlorine-based material)をイオン源気化器材料(イオンソース気化器材料)として使用する場合に、引出電極およびソースチャンバコンポーネント上の様々な堆積物を最小限に抑える。したがって、本開示は、関連するアーキングおよびグリッチングを低減し、イオン源および関連する電極の全体的な寿命(耐用期間)をさらに増大させる。
【0010】
そこで、以下では、本発明の複数の態様についての基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は、本発明についての広い概観ではない。当該概要は、本発明の主要または重要な要素を特定することを意図したものでもないし、本発明の範囲を規定することを意図したものでもない。当該概要の目的は、後に提示する詳細な説明の序文として、本発明の複数のコンポーネントを単純化した形にて示すことにある。
【0011】
本発明の一態様によれば、ワークピースにイオンを注入するためのイオン注入システムが提供されている。三塩化アルミニウムソース材料およびイオン源が提供されている。イオン源は、三塩化アルミニウムソース材料をイオン化してイオンビームを形成するように構成されている。例えば、三塩化アルミニウムソース材料のイオン化は、塩素を含有する非導電性材料を含む副生成物をさらに形成する。水素導入装置は、水素を含む還元剤をイオン源に導入するようにさらに構成されている。例えば、還元剤は、非導電性物質の化学的性質(chemistry)を変化させて揮発性ガス副生成物(揮発性気体副生成物)を発生させるように構成されている。例えば、ビームラインアセンブリがさらに提供されている。当該ビームラインアセンブリは、イオンビームを選択的に輸送するように構成されている。エンドステーションは、ワークピースへのイオンの注入のためにイオンビームを受け入れるようにさらに構成されている。例えば、真空システムがさらに設けられていてよい。当該真空システムは、イオン注入システムの1つ以上の閉鎖部分(enclosed portion)(例:イオン源)を実質的に排気するように構成されていてよい。
【0012】
一例として、水素導入装置は、水素共ガス源を含んでいてよい。還元剤に由来する水素は、非導電性物質の化学的性質を変化させて塩化水素を発生させる。別の例では、水素導入装置は、加圧ガス源を含んでいる。例えば、加圧ガス源は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上を含んでいる。さらに別の例では、塩素を含有する非導電性材料は、AlClの形態の分子を含んでいる。xは、正の整数である。
【0013】
例えば、三塩化アルミニウムソース材料は、固形形態または粉末形態のいずれか一方であってよい。一例として、ソース材料気化器は、イオン源に動作可能に接続されていてよい。当該ソース材料気化器は、三塩化アルミニウムソース材料を気化させるように構成されている。
【0014】
別の例示的な態様によれば、イオン注入システムが提供されている。イオン源は、塩素系ソース材料をイオン化してイオンビームを形成するように構成されている。これにより、塩素系ソース材料のイオン化が、塩素を含有する非導電性材料を含む副生成物をさらに形成する。
【0015】
水素導入装置がさらに提供されている。当該水素導入装置は、水素を含む還元剤をイオン源に導入するように構成されていてよい。還元剤は、非導電性材料の化学的性質を変化させて揮発性ガス副生成物を発生させるように構成されている。ビームラインアセンブリは、イオンビームをエンドステーションに向けてさらに選択的に輸送してよい。当該エンドステーションは、ワークピースへのイオン注入のためにイオンビームを受け入れるように構成されている。
【0016】
例えば、水素導入装置は、水素共ガス源を含んでいてよい。還元剤に由来する水素は、非導電性材料の化学的性質を変化させて塩化水素を発生させる。一例として、水素導入装置は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上の加圧ガス源を含んでいてよい。例えば、塩素系ソース材料は、三塩化アルミニウム、塩化ゲルマニウム(iv)、塩化インジウム(i)、塩化インジウム(iii)、塩化(ii)、および、塩化ガリウム(iii)のうちの1つを含んでいてよい。
【0017】
本発明の別の例示的な態様によれば、ワークピースにアルミニウムイオンを注入するための方法が提供される。当該方法では、三塩化アルミニウムソース材料が気化され、気化三塩化アルミニウム(気化した三塩化アルミニウム)ソース材料がイオン注入システムのイオン源に供給される。一例として、水素ガスがイオン源にさらに供給される。一例として、三塩化アルミニウムソース材料は、イオン源内においてイオン化される。水素共ガスは、イオン源内の気化三塩化アルミニウムソース材料と反応して、揮発性塩化水素ガスを発生させる。揮発性塩化水素ガスは、真空システムによってさらに除去される。一例として、イオン化した三塩化アルミニウムソース材料に由来するアルミニウムイオンは、ワークピースにさらに注入されてよい。
【0018】
一例として、三塩化アルミニウムソース材料は、最初は固体形態または粉末形態のいずれか一方である。別の例では、水素共ガスをイオン源に供給する工程(ステップ)は、水素ガスおよびホスフィンのうちの1つ以上をイオン源に供給する工程を含んでいてよい。
【0019】
本発明のさらに別の例示的な態様によれば、ワークピースにイオンを注入するための方法が提供される。塩素系ソース材料は、気化させられてイオン注入システムのイオン源に供給される。水素共ガスもイオン源に供給される。塩素系ソース材料は、イオン源内においてイオン化される。水素共ガスは、イオン源内の気化した塩素系ソース材料と反応して揮発性塩化水素ガスを発生させる。揮発性塩化水素ガスは、真空システムによってさらに除去される。したがって、塩素系ソース材料に由来するイオンが、ワークピースにさらに注入されてよい。
【0020】
上述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下において十分に説明され、かつ、特許請求の範囲において特に挙示されている構成を含んでいる。以下の記載および添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に開示している。ただし、これらの実施形態は、本発明の原理を用いる種々の方法の一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点、および新規な構成は、図面と共に考慮すれば、本発明の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の複数の態様に係る、塩素系アルミニウムイオンソース材料を利用する例示的な真空システムのブロック図である。
図2】塩素系イオンソース材料を使用してイオンをワークピースに注入するための例示的な方法を示す。
【0022】
[詳細な説明]
本開示は、全般的には、イオン注入システムおよび関連するイオンソース材料を対象としている。より詳細には、本開示は、1000℃までの範囲の様々な温度において、シリコン、シリコンカーバイド、または他の半導体基材を電気的にドープするための原子イオンを発生させるための塩素系固体ソース材料を使用する、イオン注入システムのためのコンポーネントを対象としている。さらに、本開示は、固体塩素系材料をイオン源気化器材料として使用する場合に、引出電極およびソースチャンバコンポーネント上の様々な堆積物を最小限に抑える。したがって、本開示は、関連するアーキングおよびグリッチングを低減し、イオン源および関連する電極の全体的な寿命をさらに増大させる。
【0023】
そこで、以下では、図面を参照して本発明を説明するが、全体を通して、同様の要素を指すために同様の参照番号が使用されてよい。これらの態様の説明は、単なる例示であり、限定的な意味として解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の記載では、説明のために、本発明についての十分な理解を提供するために、複数の具体的な詳細が記載される。ただし、これらの具体的な詳細なしに本発明が実施されうることは、当業者であれば明らかであろう。また、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態または例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図している。
【0024】
図面は、本発明の実施形態の複数の態様を例示するために提供されており、したがって、概略的なものにすぎないと見なされるべきであることにも留意されたい。特に、図面に示されている要素(部材)は、必ずしも互いに一定の縮尺ではなく、図面における様々な要素の配置は、それぞれの実施形態についての明確な理解を提供するために選択されており、本発明の実施形態に係る実装における様々なコンポーネントの実際の相対位置の表現であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載の様々な実施形態および例の構成は、別段の定めのない限り互いに組み合わせられてよい。
【0025】
以下の記載において、図面に示されている、または、本明細書において説明されている、機能ブロック、デバイス、コンポーネント、回路素子、または、他の物理的ユニットもしくは機能的ユニット間の任意の直接的な接続または結合は、間接的な接続または結合によっても実装されうることも理解されたい。さらに、図面に示されている機能ブロックまたはユニットは、ある実施形態では個別の構成または回路として実装されてもよいし、代替的には、別の実施形態では共通の構成または回路において完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。例えば、複数の機能ブロックは、シグナルプロセッサなどの一般的なプロセッサ上において実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。さらに、以下の明細書において有線ベースであるとして説明されている任意の接続は、別段の定めのない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0026】
イオン注入は、半導体デバイス製造において、半導体材料および/またはウェハ材料にドーパントを選択的に注入するために用いられる物理的プロセスである。したがって、注入のアクト(行為)は、ドーパントと半導体材料との間の化学的相互作用に依存しない。イオン注入のために、イオン注入器のイオン源からのドーパント原子/分子は、イオン化され、加速され、イオンビームへと形成され、分析され、ウェハと交差するよう掃引される。あるいは、ウェハは、イオンビームを通過するように移動させられる。ドーパントイオンは、ウェハに物理的に衝突して表面に進入し、当該ドーパントイオンのエネルギーに関連する深さにて当該表面の下方にて静止に至る。
【0027】
本開示は、塩素系イオンソース材料を使用する場合に、イオン源チャンバに関連する引出電極および他のコンポーネント上の塩素系堆積物を最小限に抑えることを目的としている。1つの特定の例では、イオンソース材料として三塩化アルミニウム(AlCl)を使用する場合に、本開示はイオン源チャンバに関連する引出電極および他のコンポーネント上の塩化物堆積物(chloride depositions)を最小限に抑える。有益であることに、本開示は、形成に関連するグリッチングまたはアーキングを低減し、イオン源および電極の全体的な寿命をさらに増大させる。
【0028】
本開示をより良く理解するために、本開示の一態様に従って、図1は、例示的な真空システム100を示す。本例における真空システム100は、イオン注入システム101を備える。ただし、プラズマ処理システムまたは他の半導体処理システムなど、様々な他のタイプの真空システムも考慮されている。一例として、イオン注入システム101は、ターミナル102と、ビームラインアセンブリ104と、エンドステーション106と、を備える。
【0029】
一般的に、ターミナル102内のイオン源108は、電源110に接続されている。当該電源は、イオン源からのドーパントガスを複数のイオンへとイオン化して、イオンビーム112を形成する。引出電極にきわめて近接(close proximity)している個々の電極は、当該源に近い中和電子または当該引出電極に戻る中和電子の逆流(バックストリーミング)を妨げるようにバイアスされていてもよい。本開示のイオンソース材料113は、イオン源108内に提供されている。以下にさらに詳述する通り、当該イオンシース材料は、固体三塩化アルミニウム(AlCl)などの塩素系材料を含んでいる。
【0030】
本例におけるイオンビーム112は、ビームステアリング装置114を通過して、開口116を出てエンドステーション106に向けて導かれる。エンドステーション106内において、イオンビーム112は、ワークピース118(例:シリコンウェハ、ディスプレイパネルなどの半導体)に衝突する。当該ワークピースは、チャック120(例:静電チャックまたはESC)に選択的にクランプされている、または、取り付けられている。注入されたイオンは、ワークピース118の格子に埋め込まれると、当該ワークピースの物理的特性および/または化学的特性を変化させる。このため、イオン注入は、半導体デバイスの製造および金属仕上げのみならず、材料科学研究における様々な用途に用いられている。
【0031】
本開示のイオンビーム112は、任意の形態をとりうる。当該形態は、例えば、ペンシルビーム、スポットビーム、リボンビーム、または走査ビーム(スキャンビーム)であってもよいし、あるいは、イオンがエンドステーション106へと導かれる任意の他の形態であってもよい。そのような全ての形態は、本開示の範囲内に含まれるものと考慮されている。
【0032】
1つの例示的な態様によれば、エンドステーション106は、真空チャンバ124などのプロセスチャンバ122を含んでいる。プロセス環境126は、当該プロセスチャンバに関連付けられている。プロセス環境126は、プロセスチャンバ122内に概ね存在している。一例として、プロセス環境は、真空を含んでいる。真空は、プロセスチャンバに接続されており、かつ、当該プロセスチャンバを実質的に排気するように構成された真空源128(例:真空ポンプ)によって発生させられる。さらに、コントローラ130は、真空システム100の全体的な制御のために設けられている。
【0033】
本開示は、特に、高電圧かつ高温のデバイス(例:特に電気自動車)に使用される用途において、上部に形成されたシリコンカーバイド系デバイスを有するワークピース118が、シリコン系デバイスよりも良好な熱的特性および電気的特性を有することが見出されたことを理解している。しかしながら、シリコンカーバイドへのイオン注入は、シリコンワークピースに使用される注入ドーパントとは異なるクラスの注入ドーパントを利用している。多くの場合、シリコンカーバイド注入では、アルミニウム注入および窒素注入が実行される。例えば、窒素は気体として導入可能であるので、窒素注入は、比較的簡単であり、比較的容易な調整、浄化などを提供する。しかしながら、アルミニウムについての既知の良好な気溶体(gaseous solutions)は現在のところほとんど存在してないので、アルミニウムについてはより困難である。
【0034】
本開示は、上述の絶縁材料の形成に関連する有害な問題を最小限に抑えながら、高いイオンビーム電流を有利に提供するために、水素共ガスと共に塩素系イオンソース材料を考慮している。特に、本発明は、三塩化アルミニウム(AlCl)を用いて原子状のアルミニウムイオンを生成することを考慮している。この場合、上述の絶縁材料、薄片などは、生成されず、かつ、蓄積もしない。したがって、イオン源およびイオン電極の寿命を延長し、より安定したイオンビーム動作をもたらし、かつ、実質的により高いビーム電流を可能とする。
【0035】
したがって、本開示は、水素共ガスを導入して、シリコンカーバイド、シリコン、または他の基材を、室温から約1000℃までの温度で電気的にドープすることにより、三塩化アルミニウム(AlCl)、塩化ゲルマニウム(GeCl)、塩化インジウム(InCl)、および塩化ガリウム(GaCl)などの、固体ソース材料としての塩素系材料から、アルミニウムイオン、ゲルマニウムイオン、インジウムイオン、およびガリウムイオンなどの単一の原子イオンをそれぞれ生成する。有益であることに、このような単一の原子イオンを生成することは、現行の技術よりも改善されたソース寿命、より高いビーム電流、およびより良好な動作特性をもたらす。
【0036】
本開示によれば、イオン注入システム101の固体ソース気化器140(例:マサチューセッツ州ビバリーのアクセリステクノロジーズ製の適切なイオン注入器)内に、塩化アルミニウム(粉末形態または他の固体形態のAlCl)が挿入される。例えば、イオン源108に関連する固体ソース気化器140には、材料と大気中の湿気との反応を開始させないように、不活性環境(例:アルゴン、窒素など)内に三塩化アルミニウムが装填される。次いで、イオン源は、イオン注入器内に設置され、当該注入器の動作圧力まで真空引き(pumped down with vacuum)される。三塩化アルミニウムは、蒸気を形成するまで、気化器140内において加熱される(例:約50℃)。当該蒸気は、イオン化チャンバへと移動する。当該イオン化チャンバにおいて、アルミニウムは、イオン化され、かつ、ビームラインを通って引き出される。
【0037】
三塩化アルミニウムは、イオン源108の気化器140内において加熱されると、イオン注入のためにアークチャンバ内に導入される分子の概ね一定の流れ(ストリーム)を発生させうる、吸湿性の温度感受性粉末材料である。分子は、弱く結合しており、例えば、
AlCl→Al(s)+Cl (1)
の通り、プラズマ内において解離(分離)しうる。
【0038】
発明者らは、AlClを引き出すことにおける副生成物の1つは、イオン源108の引出電極上および抑制電極上に堆積する絶縁性の非導電性材料であると推測している。当該材料は、高電界内において、帯電およびその結果としてのアーキングを引き起こす。引出電極および抑制電極に関連する当該アーキングまたは「グリッチ(glitches)」は、イオンビーム112の利用および安定性に影響を及ぼす。また、発明者らは、これらの高電圧応力領域(ストレスエリア)内における電気的な接地帰路(ground returns)が当該非導電性材料によって被覆されるようになり、かつ、イオンビーム112によって生じた二次電子の存在に起因する充放電が起きることを観察した。
【0039】
そこで、本開示は、この絶縁材料の化学的性質を変化させ、真空源128を用いて排気される揮発性化合物(例:塩酸)を生じさせるために、水素などの還元剤を水素共ガス源145からイオン源108へと導入することを提供する。還元剤は、例えば、水素共ガスを含む。下記の式、
2AlCl+3H→6HCl+2Al (2)
は、三塩化アルミニウムを用いた一例を示す。
【0040】
したがって、本開示は、水素などの還元剤を水素共ガス源145からイオン源108へと導入する。これにより、還元剤は、非導電性材料の化学的性質を変化させ、当該非導電性材料を揮発性ガス副生成物(例:塩化水素,すなわちHCl)へと変換する。式(2)における塩素および水素に由来する反応のキネティクス(反応速度論)は、揮発性ガス副生成物(HCl)を形成した後の全体的なエネルギーを減少させるので、好ましい。揮発性ガス副生成物(HCl)は、例えば、形成されるにつれて連続的に排出(排気)される。
【0041】
三塩化アルミニウムは、例えば約50℃で気化する。従来の通り、本開示の水素共ガス源145から水素を導入しなかった場合、イオン源108は、望ましくない時間に塩化アルミニウムを気相に転移させうる。このことは、アークチャンバ内の電極間におけるアーキングを引き起こすので、システムの不安定性に起因して、従来における三塩化アルミニウムの使用を望ましくないものとする。しかしながら、発明者らは、所定のレベルを超える水素共ガスを提供することによって、アーキングが消散し、かつ、以前に達成可能と考えられていたよりも高い電流において、イオン源がスムーズに動作しうることを見出した。
【0042】
発明者らは、理論的には次の通り想定している。水素共ガスは、塩素を「タイアップ(拘束,結合)」する。そして、当該水素共ガスは、(i)生成される、あるいはそうでなくとも、(ii)電極または表面を被覆し、有害であることに充電/放電を引き起こしうる、任意の絶縁性のAlCl(ここで、xは自然数(whole number)である)をエッチングするための塩酸(HCl)を発生させる。
【0043】
したがって、塩素は水素共ガスによってタイアップされてHClを発生させるので、堆積された(1つ以上の)材料は、イオン源108の動作時に電極または表面から有利にエッチングされうる。このことは、電極上または表面上の材料の層間剥離または絶縁被覆に関する以前の問題を軽減する。例えば、表面上または電極上に塩化アルミニウムが堆積している場合、塩化アルミニウムは当該電極を絶縁し始めるであろう。しかしながら、本開示の水素共ガスを利用することによって、塩素は、タイアップされてHClを発生させる。したがって、塩化アルミニウムの放電を停止できる。
【0044】
さらに、イオン源108の本体の周囲に位置する従来のガスリングを用いた操作によって、当該本体の周囲においてAlCl、AlCl、または他の材料の堆積を防止しようとする場合には、吸湿性を有する塩酸が発生しうる。このことは、AlOHと3HClとある程度の水とを生じさせる反応を引き起こす。したがって、本開示の水素共ガスがない場合には、水および酸性のHClを含む、イオン源チャンバ内のかなりの量の湿潤(wetting)が生じた。しかしながら、水素共ガスを利用することによって、この湿潤を軽減できるので、イオン源108の安全性および寿命を増大させることができる。
【0045】
発明者らは、水素の導入が、発生する化学反応のサイン(兆候)であるCl(amu:35および37)ビーム強度の低減とともに、イオン源108の内部ハウジング表面の側面に関連する粉末の形成を含む反応の明確なサインを示すことを発見した。AlCl中性材料およびAlClは、例えば、より冷却されたイオン源真空チャンバ壁上に堆積するであろう。当該堆積物は、吸湿性を有しているので、イオン源チャンバが雰囲気へと通気される場合に、容易に水分を吸収するであろう。堆積物が水を吸収する場合には、
Al(HO)6Cl→Al(OH)+3HCl+3HO (3)
という反応が生じうる。
【0046】
本開示は、HClの形成が安全性の問題になりうることを理解している。したがって、堆積物またはコーティングが完全に反応するまで、チャンバのために負圧排気が利用されうる。式(3)における水(HO)は、雰囲気への以前の露出から、イオン源108の表面(例:ソースチャンバ壁または他の内部表面)上に存在しうる。この場合、水は、イオン源からの熱にさらされると当該表面から放出されうる。したがって、揮発性物質は、式(3)におけるプロセスチャンバ122に関連する1つ以上の真空ポンプ128(例:高真空ポンプ)を用いて、さらに排気されてもよい。
【0047】
本開示は、ホスフィン(PH)または水素ガス(H)などの他の水素含有共ガスを供給する水素共ガス源145をさらに考慮していることに留意されたい。したがって、水素共ガス源145は、図1のシステム100への水素共ガスのインサイチュ導入を提供する。例えば、共ガスとしてホスフィンを使用することは、水素ガスの使用(H)よりも好ましい場合がある。高圧(例:ボトル詰めされた)水素ガスは、非常に高い揮発性を有しており、その危険性および爆発性の性質に起因して製造施設では許可されない場合が多いためである。
【0048】
本開示は、水素共ガスと同様の性能および化学的性質が、他の塩素系イオンソース材料、例えば他の塩化物の中でも特に、塩化ゲルマニウム(iv)、塩化インジウム(i)、塩化インジウム(iii)、塩化ガリウム(ii)、および塩化ガリウム(iii)などにも当てはまりうることをさらに理解している。したがって、発明者らは、本開示の範囲内に含まれる任意の塩素系ドーパント材料を考慮している。
【0049】
図2は、ワークピースにイオンを注入するための例示的な方法200を示す。方法200は三塩化アルミニウムの使用によるアルミニウムイオンの注入を含みうるが、本方法は任意の塩素系ソース材料を用いて同様に実行されうることを理解されたい。さらに、例示的な方法は、一連のアクトまたはイベント(事象)として本明細書において例示および説明されているが、本発明は当該アクトまたはイベントの例示されている順序によって限定されないことが理解されるべきである。本発明によれば、一部のステップ(工程)は、本明細書において例示および説明されている順序とは異なる順序で生じうる、および/または、本明細書において例示および説明されているステップとは別のステップと同時に生じうるためである。加えて、本発明に係る方法を実行するために、全ての例示されたステップが必ずしも要求されるわけではない。さらに、当該方法は、本明細書において例示および説明されているシステムに関連して実行されてもよいし、本明細書において説明されていない他のシステムに関連して実行されてもよい。
【0050】
1つの例示的な態様によれば、図2のアクト202において、三塩化アルミニウムソース材料が供給される。三塩化アルミニウムソース材料は、例えば、固体形態であってもよいし粉末形態であってもよい。アクト204では、例えば、三塩化アルミニウム(AlCl)ソース材料が気化され、イオン源に供給される。アクト206では、水素共ガスが、イオン源に供給されるか、さもなければ当該イオン源に導入される。水素共ガスは、例えば、水素ガスおよびホスフィンガスのうちの1つ以上を含む。アクト208において、三塩化アルミニウムソース材料は、イオン源の内部においてイオン化される。この場合、水素共ガスは、イオン源の内部において気化三塩化アルミニウムと反応して、揮発性の塩化水素(HCl)ガスを発生させる。アクト210において、揮発性の塩化水素ガスは、真空システムを用いて排気されるか、さもなければ除去される。さらに、アクト212において、イオン化した塩化アルミニウムソース材料に由来するアルミニウムイオンが、ワークピースに注入される。
【0051】
以上、所定の1つ以上の実施形態について説明したが、上述の各実施形態は本発明の一部の実施形態についての実装の例に過ぎず、本発明の適用範囲はこれらの実施形態に限定されない。特に、上述のコンポーネント(アセンブリ、デバイス、回路など)によって実行される様々な機能に関して、当該コンポーネントを説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、別段の定めがない限り、本明細書において例示されている本発明についての例示的な実施形態において当該機能を実行する開示されている構造とは構造的に等価ではないが、説明されているコンポーネントの指定された機能を実行する任意のコンポーネント(すなわち、機能的に等価であるコンポーネント)に対応することが意図されている。さらに、本発明の特定の構成が複数の実施形態のうちの1つのみに対して開示されているが、当該構成は任意の所与または特定の用途にとって望ましくかつ有利である他の実施形態における1つ以上の構成と組み合わせられてよい。したがって、本発明は、上述の各実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
【国際調査報告】