(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】吸入器システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/13 20180101AFI20230725BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G16H20/13
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581369
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2021068424
(87)【国際公開番号】W WO2022003199
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512297125
【氏名又は名称】ノートン (ウォーターフォード) リミテッド
【住所又は居所原語表記】Unit 301 IDA, Industrial Park, Cork Road, Waterford, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】メイシー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ,ジョン コディ
(72)【発明者】
【氏名】メオラ,ジェンナ‐リー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
システムは、複数の吸入器を備えてよく、各吸入器は、薬剤、プロセッサ、メモリ、および、トランスミッタを備え、システムは、さらに、ユーザデバイスに少なくとも部分的に存在してよい複数の処理モジュールと、複数の異なるユーザおよび複数の異なる薬剤タイプと関連付けられた吸入器から吸入器データを受信し、集約するよう構成されたデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)とを備えてよい。DHPは、選択された薬剤タイプ、選択された時間帯、及び/又は、選択された日付範囲に基づき、使用イベントのサブセットを決定してよい。DHPは、選択された吸入カウント閾値と、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数との比較に基づいて、複数のユーザの中から、フィルタリングされたユーザのリストを決定してよい。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用吸入器と共に使用するためのシステムであって、
前記システムは、
複数の電子モジュールを備え、各電子モジュールは、複数の吸入器のうちの1つの吸入器と関連付けられており、各吸入器は、薬剤を備え、前記電子モジュールは、プロセッサ、メモリ、および、トランスミッタを備え、
前記各電子モジュールの前記プロセッサは、
対象者による前記吸入器の使用イベントを決定し、
各使用イベントに時間を割り当て、かつ、
前記使用イベントおよび前記使用イベントの前記時間を示すデータを送信するように構成されており、
前記システムは、さらに、
トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを備えるデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)を備え、
前記DHPの前記プロセッサは、
複数のユーザの複数の使用イベントの各々に関係するデータを受信するように構成され、各使用イベントは、複数の吸入器のうちの1つに関係し、各吸入器は、複数の異なるユーザのうちの1人のユーザと関連付けられており、各使用イベントの前記データは、当該使用イベントの時間および当該使用イベントの薬剤タイプを備え、
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
薬剤タイプ、時間帯、および、日付範囲を決定し、
決定された前記薬剤タイプ、決定された前記時間帯、および、決定された前記日付範囲に基づいて、前記使用イベントのサブセットを決定し、
吸入カウント閾値を決定し、
使用イベントの前記サブセットの中から、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数を決定し、
前記吸入カウント閾値と、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数との比較に基づいて、前記複数のユーザの中から、優先順位付けられ、フィルタリングされたユーザのリストを生成し、かつ、
表示デバイスに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの前記数を備えるグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提示させるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記薬剤タイプは、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ、および、1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを備え、前記時間帯は、開始時刻および終了時刻を備える、または、終日の選択を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が前記吸入カウント閾値より大きいか、または、小さいかを判定するように構成されている、
請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている異なる重複しないサブセットの使用イベントのカウントよりも、比率的により小さいか、または、比率的により大きいかを判定するように構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントは、前記数が決定された使用イベントとは異なる日付範囲と関連付けられているが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントの前記カウントは、前記吸入カウント閾値を規定する、
請求項4または請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の使用イベントが、前記複数のユーザおよび1つ又は複数の薬剤タイプを規定するプログラムと関連付けらており、
前記DHPの前記プロセッサは、前記決定された薬剤タイプ、前記決定された時間帯、前記決定された日付範囲、および、前記吸入カウント閾値に基づくフィルタを格納し、かつ、前記フィルタが組織および前記プログラムと関連付けられている複数の異なるヘルスケアプロバイダによって選択され得るように、前記フィルタを前記プログラムと関連付けるように構成されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記DHPの前記プロセッサは、前記フィルタを、前記組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記DHPの前記プロセッサは、前記フィルタを、異なる組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項7または請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
各使用イベントの前記データは、吸入データを備え、
前記DHPの前記プロセッサは、
前記リストの各ユーザに対して使用イベントの数に対する良好な吸入の割合を決定し、良好な吸入の前記割合は、使用イベントの数に対する関連付けられた吸入データが閾値を超える使用イベントの割合のインディケーションを備え、
前記GUIは、さらに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの数に対する良好な吸入の割合のインディケーションを備える、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記吸入データは、前記使用イベントのピーク吸気流量(PIF)を備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、当該最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものである、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記全接続デュレーションは、前記1人のユーザと関連付けられた前記特定の薬剤タイプの前記吸入器うち最も古い最終同期時刻を示す、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、前記最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの全ての吸入器であって、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された吸入器のうち最も古い最終同期時刻を示すものである、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記表示デバイスに、ユーザのリスティング付きの前記GUIを提示させるように構成されており、前記リスティングは、タイムフレーム内にユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するものである、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記薬剤タイプはメンテナンス薬剤タイプであり、前記タイムフレームは先月または過去30日である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記DHPの前記プロセッサは、ユーザからの、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数の選択を受けるように構成されている、
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記DHPの前記プロセッサは、ユーザの前記選択に基づいて、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数を自動的に決定するように構成されている、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
優先順位付けられ、フィルタリングされたユーザの前記リストは、前記複数のユーザの30%以下を備える、
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
複数のモバイルアプリケーションをさらに備え、
各モバイルアプリケーションは、
1つ又は複数の電子モジュールに接続して、当該電子モジュールから、前記使用イベントおよび前記使用イベントの前記時間を示す前記データを受信し、
前記使用イベントを示す前記データに基づいて1つ又は複数の吸入指標を決定し、かつ、
前記使用イベント、前記使用イベントの前記時間、および、吸入データを示す前記データを、前記DHPに送信するように構成されている、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
複数の医療用吸入器と共に使用するためのデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)であって、
前記DHPは、トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数のユーザの複数の使用イベントの各々に関係するデータを受信するように構成され、各使用イベントは、複数の吸入器のうちの1つに関係し、各吸入器は、複数の異なるユーザのうちの1人のユーザに関係付けられ、各使用イベントの前記データは、当該使用イベントの時間および当該使用イベントの薬剤タイプを備え、
前記プロセッサは、さらに、
薬剤タイプ、時間帯、および、日付範囲を決定し、
決定された前記薬剤タイプ、決定された前記時間帯、および、決定された前記日付範囲に基づいて、前記使用イベントのサブセットを決定し、
吸入カウント閾値を決定し、
使用イベントの前記サブセットの中から、同じユーザかつ同じ薬剤タイプに関係付けられている使用イベントの数を決定し、
前記吸入カウント閾値と前記同じユーザかつ前記同じタイプと関連付けられている使用イベントの前記数との比較に基づいて、前記複数のユーザの中から、優先順位付けられ、フィルタリングされたユーザのリストを生成し、かつ、
表示デバイスに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの前記数を備えるグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提示させるように構成されている、
DHP。
【請求項22】
前記薬剤タイプは、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ、および、1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを備え、前記時間帯は、開始時刻および終了時刻を備える、または、終日の選択を備える、
請求項21に記載のDHP。
【請求項23】
前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が前記吸入カウント閾値より大きいか、または、小さいかを判定するように構成されている、
請求項21または請求項22に記載のDHP。
【請求項24】
前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている異なる重複しないサブセットの使用イベントのカウントよりも、比率的により小さいか、または、比率的により大きいかを判定するように構成されている、
請求項21から請求項23のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項25】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントは、前記数が決定された使用イベントとは異なる日付範囲と関連付けられているが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられている、
請求項24に記載のDHP。
【請求項26】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントの前記カウントは、前記吸入カウント閾値を規定する、
請求項24または請求項25に記載のDHP。
【請求項27】
前記複数の使用イベントが、前記複数のユーザおよび1つ又は複数の薬剤タイプを規定するプログラムと関連付けらており、
前記プロセッサは、前記決定された薬剤タイプ、前記決定された時間帯、前記決定された日付範囲、および、前記吸入カウント閾値に基づくフィルタを格納し、かつ、前記フィルタが組織および前記プログラムと関連付けられている複数の異なるヘルスケアプロバイダによって選択され得るように、前記フィルタを前記プログラムと関連付けるように構成されている、
請求項21から請求項26のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記フィルタを、前記組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項27に記載のDHP。
【請求項29】
前記プロセッサは、前記フィルタを、異なる組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項27または請求項28に記載のDHP。
【請求項30】
各使用イベントの前記データは、吸入データを備え、
前記プロセッサは、
前記リストの各ユーザに対して使用イベントの数に対する良好な吸入の割合を決定し、良好な吸入の前記割合は、使用イベントの数に対する関連付けられた吸入データが閾値を超える使用イベントの割合のインディケーションを備え、
前記GUIは、さらに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの数に対する良好な吸入の割合のインディケーションを備える、
請求項21から請求項29のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項31】
前記吸入データは、前記使用イベントのピーク吸気流量(PIF)を備える、
請求項30に記載のDHP。
【請求項32】
前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、当該最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものである、
請求項21から請求項31のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項33】
前記全接続デュレーションは、前記1人のユーザと関連付けられた前記特定の薬剤タイプの前記吸入器うち最も古い最終同期時刻を示す、
請求項32に記載のDHP。
【請求項34】
前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、前記最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの全ての吸入器であって、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された吸入器のうち最も古い最終同期時刻を示すものである、
請求項21から請求項33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記プロセッサは、さらに、前記表示デバイスに、ユーザのリスティング付きの前記GUIを提示させるように構成されており、前記リスティングは、タイムフレーム内にユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するものである、
請求項21から請求項34のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項36】
前記薬剤タイプはメンテナンス薬剤タイプであり、前記タイムフレームは先月または過去30日である、
請求項35に記載のDHP。
【請求項37】
前記プロセッサは、ユーザからの、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数の選択を受けるように構成されている、
請求項21から請求項36のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項38】
前記プロセッサは、ユーザからの、前記薬剤タイプ、前記時間帯、および、前記日付範囲の選択を受けるように構成されている、
請求項37に記載のDHP。
【請求項39】
前記プロセッサは、ユーザの前記選択に基づいて、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数を自動的に決定するように構成されている、
請求項37または請求項38に記載のDHP。
【請求項40】
複数の医療用吸入器と共に使用するためのデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)であって、
前記DHPは、トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数の使用イベントの各々に関係するデータを受信するように構成され、各使用イベントは、ユーザと関連付けられている複数の吸入器のうちの1つに関係し、各使用イベントの前記データは、吸入データを備え、
前記プロセッサは、さらに、
各使用イベントの前記吸入データから、各使用イベントに対して第1吸入指標および第2吸入指標を決定し、
前記第1吸入指標に対して1つ又は複数の閾値を決定し、
前記使用イベントの第1吸入指標と前記1つ又は複数の閾値との比較に基づいて、使用イベントのサブセットを決定し、かつ、
各使用イベントと関連付けられた前記第2吸入指標に基づいて、使用イベントの前記サブセットを類別するように構成されている、
DHP。
【請求項41】
前記プロセッサは、表示デバイスに、前記サブセットの各使用イベントに対する前記第2吸入指標を備えるが前記第1吸入指標を備えないグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提示させるように構成される、
請求項40に記載のDHP。
【請求項42】
前記GUIは、前記サブセットの各使用イベントに対する前記第2吸入指標の散布図を備える、
請求項41に記載のDHP。
【請求項43】
前記GUIは、前記サブセットの各使用イベントに対する前記第2吸入指標にわたる傾向線を備える、
請求項41または請求項42に記載のDHP。
【請求項44】
前記プロセッサは、平滑化係数を有するLOESS(Locally Estimated Scatterplot Smoothing)アルゴリズムを用いて前記傾向線を決定するように構成されている、
請求項43に記載のDHP。
【請求項45】
前記プロセッサは、前記第1吸入指標を下限閾値および上限閾値と比較することによって前記サブセットを決定するように構成され、前記サブセットの使用イベントは、前記第1吸入指標が前記下限閾値と前記上限閾値との間にある使用イベントである、
請求項40から請求項44のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項46】
前記第1吸入指標が前記使用イベントのピーク吸入流量(PIF)であり、前記第2吸入指標が前記使用イベントの吸入体積である、
請求項40から請求項45のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項47】
前記プロセッサは、吸入指標のサブセットを、前記第2吸入指標と関連付けられた上限値と前記第2吸入指標と関連付けられた下限値との間に、類別するように構成されている、
請求項40から請求項46のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項48】
システムであって、
請求項40から請求項47のいずれか1項に記載のDHPと、
複数の電子モジュールと、を備え、
各電子モジュールは、複数の吸入器のうちの1つの吸入器と関連付けられ、各吸入器は、薬剤を備え、前記電子モジュールは、プロセッサ、メモリ、および、トランスミッタを備え、
前記各電子モジュールの前記プロセッサは、
対象者による前記吸入器の使用イベントを決定し、
各使用イベントに時間を割り当て、かつ、
前記使用イベントおよび当該使用イベントの前記時間を示すデータを送信するように構成されている、
システム。
【請求項49】
複数の医療用吸入器と共に使用するためのデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)であって、
前記DHPは、トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数の使用イベントに関係するデータを受信するように構成され、前記データは、それぞれが複数の吸入器の1つに関係する前記使用イベントの各々の時間を含み、前記複数の吸入器は、複数の異なるユーザと関連付けられ、各吸入器は、ユーザおよび薬物タイプと関連付けられ、
前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、前記最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記プロセッサは、さらに、
表示デバイスに、前記ユーザのサブセットのリスティングと、前記ユーザの前記サブセットの各々の前記吸入器と関連付けられた各薬剤タイプに対しての全接続デュレーションとを提示させるように構成され、
当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものであり、少なくともサブセットの前記ユーザは、同じ薬剤タイプの複数の吸入器と関連付けられている、
DHP。
【請求項50】
前記全接続デュレーションは、時間数または日数を示す、
請求項49に記載のDHP。
【請求項51】
前記全接続デュレーションは、前記ユーザと関連付けられた前記特定の薬剤タイプの前記吸入器のうち最も古い最終同期時間を示す、
請求項49または請求項50に記載のDHP。
【請求項52】
前記プロセッサは、前記表示デバイスに、ユーザのリスティングを提示させるように構成され、前記リスティングは、タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するものである、
請求項49から請求項51のいずれか1項に記載のDHP。
【請求項53】
システムであって、
複数の吸入器を備え、各吸入器は、薬剤、プロセッサ、メモリ、および、トランスミッタを含み、前記各吸入器の前記プロセッサは、
対象者による前記吸入器の使用イベントを決定し、
各使用イベントに時間を割り当て、かつ、
前記使用イベントおよび当該使用イベントの前記時間を示すデータを送信するように構成され、
前記システムは、さらに、
複数のアプリケーションを備え、各アプリケーションは、トランシーバとメモリとプロセッサとを備えるユーザデバイスに存在し、各アプリケーションは、前記ユーザデバイスに、前記複数の吸入器のうちの少なくとも2つから使用イベントおよび各使用イベントの時間に関係するデータを受信させるように構成されており、
前記システムは、さらに、
プロセッサ、メモリ、および、トランシーバを備えるデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)を備え、
前記DHPの前記プロセッサは、
複数の使用イベント、および、それぞれ前記複数の吸入器に関係する前記複数の使用イベントの各々の時間に関係するデータを受信するように構成され、前記複数の吸入器は、異なる複数のユーザと関連付けられており、各吸入器は、1人のユーザおよび1つの薬剤タイプと関連付けられており、
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成されており、前記最終同期時刻は、当該吸入器が前記ユーザデバイスと接続された最終の時刻を示し、
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
表示デバイスに、ユーザのサブセットのリスティングと、ユーザの当該サブセットの吸入器の各々と関連付けられた各薬剤タイプに対する全接続デュレーションとを提示させるように構成され、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器の前記最終同期時刻のうち最も古いものを示すものであり、少なくともサブセットの前記ユーザは、同じ薬剤タイプの複数の吸入器と関連付けられている、
システム。
【請求項54】
前記全接続デュレーションは、時間数または日数を示す、
請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものである、
請求項53または請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
2以上のユーザデバイスに存在するアプリケーションが、1人のユーザと関連付けられた1つの吸入器から、使用イベントに関係する前記データを受信するように構成されている、
請求項53から請求項55のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項57】
前記DHPの前記プロセッサは、前記表示デバイスに、ユーザのリスティングを提示させるように構成されており、前記リスティングは、タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するものである、
請求項53から請求項56のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2020年7月2日に出願された米国特許出願第63/047,680号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬送達デバイスは、様々な投与経路を介した患者の体内への薬剤の送達を容易にする。典型的な投与経路には、経口、局所、舌下吸入、注射などが含まれる。このデバイスは、種々の疾患、病気および医学的状態の処置のための薬剤を送達するために使用され得る。吸入デバイスは例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び/又は嚢胞性線維症(CF)を処置するために用いられ得る。薬送達デバイスは治療処置の一部として適切な1用量の薬剤を患者に送達するように設計されるが、特定の処置の有効性は、患者のアドヒアランスおよびコンプライアンスといった非生理学的な要因によって影響され得る。
【0003】
薬物療法において、アドヒアランスは、患者が処方された投薬レジメンに従っている程度を指し得る。例えば、患者の処方箋が毎日2回の用量を必要とし、患者が1日2回の用量を服用している場合、患者は100%のアドヒアランスであると考えることができる。患者が1日1回しか服用していない場合、患者はたった50%のアドヒアランスであるとみなすことができる。後者の場合、患者は当該患者の医師によって処方された処置を受けていないかもしれず、これは治療処置の効力に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
コンプライアンスは、特定の薬送達デバイスを用いるときの患者の技術を指し得る。患者が医師または製造業者によって推奨される方法でデバイスを用いている場合、デバイスは所望の用量の薬剤を送達する可能性が高く、患者はコンプライアンスに準拠しているとみなすことができる。しかし、デバイスが薬投与中に適切に用いられていない場合、デバイスが適切な用量の薬剤を送達する能力は損なわれ得る。したがって、患者は、コンプライアンスに準拠していないとみなすことができる。吸入デバイスの場合、例えば、患者は、1用量全部の薬剤がデバイスから患者の肺に送達されることを確実にするために最低限の吸気努力を達成する必要があるかもしれない。小児および高齢者などの一部の患者では、例えば肺機能の制限などの身体的制限ゆえに、完全なコンプライアンスのための要件を満たすことは困難かもしれない。従って、アドヒアランスと同様に、完全なコンプライアンスを達成できないことは、処方された処置の有効性を低下させ得る。
【0005】
患者が完全なコンプライアンスを達成する能力は、薬剤のいくらかの物理的特性によってさらに複雑になり得る。例えば、いくつかの呼吸器系薬剤は微粒子からなるかもしれず、及び/又は、いかなる臭いまたは味も欠いているかもしれない。したがって、吸入デバイスを用いる患者は薬剤が吸入されていることを直ちに検出または検知することができないかもしれない、及び/又は、吸入された薬剤の量が処方箋に従っているのかどうかを知ることができないかもしれないので、患者はコンプライアンスに準拠していない使用を修正することができないかもしれない。
【0006】
さらに、喘息やCOPDなどの呼吸器系疾患の多くは、患者の症状を管理しかつ不可逆的な変化のリスクを低減するために薬剤の長期間の投与を処置に伴う生涯にわたる疾患である。喘息やCOPDなどの病気は、今のところ治療法がありません。処置には2つの形態がある。第1には、気道の炎症を抑え、その結果、将来的に症状をコントロールすることを目的とした処置というメンテナンスの側面である。メンテナンス療法は、通常、吸入コルチコステロイド単独または長時間作用性の気管支拡張剤及び/又はムスカリンアンタゴニストとの併用で提供される。第2には、喘鳴、咳、胸の圧迫感、息切れなどの急性の発作を緩和するために、患者が即効性の気管支拡張剤を投与される療法というレスキュー(リリーバー)の側面である。
【0007】
したがって、呼吸器疾患の罹患者は、彼らの症状を制御するために、2以上の吸入薬などの2以上の薬を処方される場合がある。罹患者は、代替的または追加的に、それぞれが異なる時間/場所で使用され、すべて同じ吸入薬剤を送達する複数の吸入器を使用することがあり得る。罹患者の観点から信頼性があり便利な方法でそのような薬剤の投与を監視したいという要望が高まっている。さらに、このような監視(モニタリング)は、各患者のアドヒアランスおよびコンプライアンスを評価するための、かつ、増悪のリスクが最も高いことを示すまたは患者の処置レジメンを変更する必要があることを示すデータを検討するためのシンプルでまとまりのある方法を必要とする患者のヘルスケアプロバイダにとっても望ましい。
【発明の開示】
【0008】
[概要]
システムは、複数の吸入器を含んでよく、各吸入器は、薬剤、プロセッサ、メモリ、およびトランスミッタを含む。各吸入器は、(例えば、圧力センサまたは音響センサのようなセンサによって検出されるような)吸入イベント、または、マウスピースカバーの開放、(例えば、1回分の用量の薬剤を準備するために用いられる)スイッチの作動、または、(例えば、加速度計を用いて検出されるような)揺れのような吸入器の特定の動きの検出といった操作など、対象者によってもたらされる吸入器の使用イベントを決定する(割り出す)ように構成されている。吸入器は、各使用イベントに時間を割り当ててよい。吸入器はまた、使用イベントおよび当該使用イベントの時間を示すデータを別のデバイスに送信するように構成され、このデバイスは、いくつかの例では、ユーザデバイスに存在するモバイルアプリケーションである。吸入器として説明されるが、いくつかの例では、システムは、吸入器に加えて、または吸入器の代わりに、他の医療デバイスを含んでよい。さらに、いくつかの例では、システムは、処理モジュール及び/又は送信モジュール(例えば、プロセッサ、メモリ、およびトランスミッタ)を含む本明細書で説明されるような吸入器を含む代わりに、又はそれに加えて、それとは別の「ダム(dumb)」(電子機器のない)吸入器に取り付けるように構成された処理モジュール及び/又は送信モジュール(例えば、プロセッサ、メモリ、およびトランスミッタ)を含むスマートアドオンデバイスを含んでよい。
【0009】
システムはまた、複数の異なるユーザおよび複数の異なる薬剤タイプ(1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ及び/又は1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプなど)と関連付けられている吸入器に接続し、当該吸入器から吸入器データを、受信し、収集するように構成された処理モジュールを含んでもよい。いくつかの例では、レスキュー薬剤タイプは、アルブテロール(硫酸アルブテロールなど)であり、メンテナンス薬剤タイプは、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンまたはフロ酸フルチカゾンなど)、または、サルメテロール(キシナホ酸サルメテロールなど)とフルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンまたはフロ酸フルチカゾンなど)の併用である。この処理モジュールは、以下でより詳細に説明されるように、デジタルヘルスプラットフォーム(DHP)と称されることがある。DHPは、トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを含んでもよいし、または、これらと関連付けられてもよい。例えば、DHPは、1つ又は複数のサーバに存在してよい。
【0010】
DHPは、複数の吸入器に対しての使用イベントおよび使用イベントの各々の時間(例えば、使用イベントに対するタイムスタンプ)に関係するデータを受信するように構成され、ここで、吸入器(複数)は、複数の異なるユーザと関連付けられる。各吸入器は、少なくとも1人のユーザと、レスキュー薬剤タイプまたはメンテナンス薬剤タイプのうちの一方と関連付けられる。いくつかの例では、システムは、ユーザデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレットなど)に存在するモバイルアプリケーションを含んでよく、DHPは、ユーザデバイス(例えば、スマートフォンまたはタブレットなど)に存在するモバイルアプリケーションを通じて複数の吸入器に対する使用イベントおよびタイムスタンプを受信してよい。しかしながら、他の例では、DHPは、例えば、吸入器が使用イベントおよびタイムスタンプをDHPに送信することを可能にするセルラーチップセットを含む場合には、吸入器自体から直接的に使用イベントおよびタイムスタンプを受信してよい。
【0011】
DHPは、複数の吸入器の各々(そして、例えば、ひいては各使用イベント)と関連付けられたユーザおよび薬剤タイプを決定するように構成される。いくつかの例では、これは、ユーザのデバイスに存在するモバイルアプリケーションで実行され、次いで、使用データおよび関連付けられたタイムスタンプと共にDHPに送信される。他の例では、DHPは、各吸入器と関連付けられたユーザおよび薬剤タイプを決定する。
【0012】
DHPは、複数のプログラムのうちの1つのプログラムの一部である複数の吸入器のサブセットを決定するように構成される。プログラムは、薬剤のタイプ(例えば、レスキュー薬剤及び/又はメンテナンス薬剤の任意の組合せ)、特定の患者、ひいてはかれらの利用可能な吸入器(例えば、薬剤のタイプに基づく)、特定の医師、診療グループ、及び/又は管理者などのプログラムの他のユーザ、チャート、イベントテーブル、使用サマリーなどのヘルスケアプロバイダに提示されるデータのタイプといった基準のセットを規定する。DHPは、(例えば、ヘルスケアプロバイダを介して)、任意の数のプログラムを構成し、確立してよい。さらに、特定の患者および彼らの吸入器の任意の組合せは、任意の数の固有のプログラムと関連付けられてよい。したがって、DHPは、任意の数のユーザと関連付けられた任意の数の吸入器からのデータを含んでよいが、プログラムは、利用可能な吸入器及び/又はユーザのサブセットに制限されてよい。
【0013】
DHPは、複数の使用イベントおよび1つ又は複数の変数に基づいて、縮小(例えば、フィルタリング)されたユーザのリストを生成するように構成されてよい。例えば、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲を決定してよい。いくつかの例では、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲の選択を(例えば、ユーザから)受けてよい。薬剤タイプ(複数可)は、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ及び/又は1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを含んでよい。時間帯は、例えば、昼間(例えば、午前8時から午後8時の間と規定される)、夜間(例えば、午後8時から午前8時の間と規定される)、及び/又は、終日を含んでよい。代替的または追加的に、時間帯は、開始時刻(例えば、午後10時)と終了時刻(例えば、午前6時)の間などの期間のカスタマイズ可能な規定を含んでよい。日付範囲は、開始日および終了日を含んでもよいし、先週(過去数週間も可)、先月などの予め構成され、動的に調整された日付範囲の選択を含んでもよい。
【0014】
DHPは、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、及び/又は、決定された日付範囲に基づいて、使用イベントのサブセットを決定してよい。例えば、DHPは、使用イベントフィルタを適用して、複数の異なる吸入器から受信した複数の使用イベントをフィルタリングし、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、及び/又は、決定された日付範囲に基づき、使用イベントのサブセットを決定してよい。
【0015】
DHPは、吸入カウント閾値を決定してよい。例えば、DHPは、吸入カウント閾値の選択を、例えば、ユーザから受けてよい。吸入カウント閾値は、数でよい。DHPは、使用イベントのサブセットの中から、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数を決定してよい。例えば、DHPは、使用イベントのサブセットの中から、ユーザおよび薬剤タイプが共通している使用イベントを関連付けし(例えば、グループ化し、または、組み合わせ)てよい。DHPは、選択された吸入カウント閾値と、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数との比較に基づいて、複数のユーザの中から、フィルタリングされたユーザのリストを決定してよい。例えば、DHPは、吸入カウント閾値フィルタを適用して、フィルタリングされたユーザのリストを生成してよい。例えば、DHPは、ユーザおよび薬剤タイプが共通する組み合わされた使用イベントを、吸入カウント閾値および基準(例えば、より小さい、より大きい、以下、以上など)と比較してよい。組み合わされた使用イベントが吸入カウント閾値および基準を満たす場合(例えば、吸入カウント閾値より大きい、または、代替的に吸入カウント閾値より小さい)、DHPは、組み合わされた使用イベントと関連付けられたユーザを、フィルタリングされたユーザのリストに含めてよい。しかしながら、組み合わされた使用イベントが吸入カウント閾値および基準を満たさない場合、DHPは組み合わされた使用イベントと関連付けられたユーザを無視(例えば、破棄)してよい。DHPは、フィルタリングされたユーザのリストのユーザ毎の使用イベントの数を備えるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を(例えば、リモートコンピュータ端末の表示デバイスを介して)生成してよい。
【0016】
さらに、いくつかの例では、DHPは、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、決定された日付範囲、選択された吸入カウント閾値、及び/又は、基準に基づくフィルタを格納するように構成されてよい。DHPは、フィルタが組織およびプログラムと関連付けられている複数の異なるヘルスケアプロバイダによって選択できるように、フィルタをプログラムと関連付けてよい。さらに、いくつかの例では、DHPは、当該組織及び/又は当該組織の外部と関連付けられた他のプログラムにフィルタを適用するように構成されてよい。
【0017】
DHPは、複数の使用イベントを受けてよく、各使用イベントは、1人のユーザに対する1つの特定の薬剤の1つの吸入器からの吸入データを含む。DHPは、使用イベントの第1吸入指標(吸入メトリック)と1つ又は複数の閾値との比較に基づいて使用イベントのサブセットを決定し、第2吸入指標に基づいて、使用イベントのサブイベントを類別してよい。例えば、DHPは、各使用イベントの第1吸入指標(例えば、各使用イベントのピーク吸気流量(PIF))を、上限閾値及び/又は下限閾値といった1つ又は複数の閾値と比較して、使用イベントのサブセットを決定してよい。上限及び/又は下限閾値は、使用イベントの際に生じる有効な吸入を示すものでよい。DHPは、(例えば、第1吸入と1つ又は複数の閾値との比較の後)、使用イベントのサブセットを、第2吸入指標に対する上限値と下限値の間(例えば、吸入体積の例では0.3Lと6Lとの間)に類別してよい。いくつかの例示では、DHPは、使用イベントのサブセットと当該サブセットの使用イベントのそれぞれに対する関連付けられた第2吸入指標とを備えるGUIを(例えば、リモートコンピュータ端末の表示デバイスを介して)生成してよい。GUIは、使用イベントのサブセットおよびそれぞれに対して関連付けられた第2吸入指標の散布図を含んでよい。GUIは、使用イベントのサブセットにわたる傾向線を含んでよく、ここで、例えば、DHPは、平滑化係数(例えば、0.5の平滑化係数)を有するLOESS(Locally Estimated Scatterplot Smoothing)アルゴリズムを用いて傾向線を決定してよい。
【0018】
いくつかの例では、DHPは、第1吸入指標を下限閾値および上限閾値と比較することによって使用イベントのサブセットを決定してよく、ここで、当該サブセットの使用イベントは、第1吸入指標が下限閾値と上限閾値との間にある使用イベントである。第1吸入指標は、例えば、使用イベントのピーク吸入流量(PIF)でよく、第2吸入指標は、使用イベントの吸入体積でよい。例えば、第2吸入指標が吸入体積を備える場合、DHPは、第2吸入指標と関連付けられた上限値(例えば、6L)と第2吸入指標と関連付けられた下限値(0.3L)との間に吸入指標のサブセットを類別してよい。
【0019】
DHPは、プログラムによって規定された特定の薬剤、患者、ユーザ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)及び/又は治療デバイスまたはエリアに基づいて、データを違うように取り扱い及び/又は異なるアラートを生成するように構成される。一例として、DHPは、レスキュー薬剤タイプと1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプがプログラムに含まれている場合、第1タイプのアラートを生成させるが、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれていない場合、第2タイプのアラートを生成させるように構成されてよい。例えば、DHPは、レスキュー薬剤タイプおよび1つ又は複数のメンテナンスメ薬剤タイプがプログラムに含まれる場合、(例えば、1週間などの特定の時間範囲にわたって)レスキュー薬剤タイプを含む吸入器の使用イベントの数が最も多いユーザが優先順位付けられたリストを示す第1アラートを生成し、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれていない場合、(例えば、1ヶ月などの特定の時間範囲にわたって)メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器の使用イベント数が最も少ないユーザが優先順位付けられたリストを示す第2アラートを生成する。
【0020】
いくつかの例では、アラートは、例えばヘルスケアプロバイダの施設にある、表示デバイスを介して提供される。そのような例では、DHPは、レスキュー薬剤タイプおよび1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプがプログラムに含まれる場合、(例えば、1週間などの特定の時間範囲にわたって)レスキュー薬剤タイプを含む吸入器の使用イベントの数が最も多いユーザが優先順位付けられたリストを表示デバイスに提示させるよう構成されるだけでなく、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれていない場合に、(例えば、1ヶ月などの特定の時間範囲にわたって)メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器の使用イベントの数が最も少ないユーザが優先順位付けられたリストを提示するように構成されてもよい。いくつかの例では、表示デバイスは、ヘルスケアプロバイダと関連付けられた(例えば、ヘルスケアプロバイアによって操作される)コンピュータまたはサーバの一部であり、DHPは、コンピュータに必要なデータを送信して優先順位付けられたユーザのリストを含むGUIをコンピュータにて提示することで、表示デバイスに、当該優先順位付けられたユーザのリストを提示させるように構成される。さらに、表示デバイスにプログラムのデータを提示させる際、DHPは、異なる薬剤タイプに対する使用イベントに対して異なる時間範囲を割り当ててよい。
【0021】
いくつかの例では、DHPは、タイムフレーム内に接続が確認され投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザを、当該タイムフレーム内に接続が確認されず投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザと比較して、決定し、区別するよう構成される。DHPは、タイムフレーム内に接続が確認され投与がゼロの吸入器と関連付けられているこれらのユーザを示すアラートを生成するように構成されてよい。いくつかの例では、DHPは、タイムフレーム内に接続が確認され投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザを、タイムフレーム内に接続が確認されず投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザよりも、優先してよい。例えば、DHPは、過去1週間や1ヶ月などの特定の期間において投与イベントがゼロである吸入器を多く含む場合がある。しかしながら、これらの吸入器のいくつかは、実際にユーザによって使用されなかったかもしれないし、別の吸入器が使用されたかもしれず、また使用されなかったかもしれないが、DHPは使用データの信頼性をわからない場合がある。そのため、DHPは、複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定してよい。最終同期時刻は、吸入器がモバイルアプリケーションを含むユーザデバイスに接続された(例えば、または、代替的には、DHPと接続された)最終の時刻を示す。DHPは、タイムフレーム(例えば過去1週間または2週間)内に最終同期時刻があり投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザを、タイムフレーム内に最終同期時刻がなく投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザとは区別してよい。次いで、DHPは、タイムフレーム内に最終同期時刻があり投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザを示すアラートを生成してよい。例えば、いくつかの例では、DHPは、表示デバイス(例えば、ヘルスケアプロバイダと関連付けられている)にユーザのリスティングを提示させてもよく、ここで、リスティングは、タイムフレーム内に吸入器とユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロの吸入器を有するユーザを、タイムフレーム内に吸入器とユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロの吸入器を有するユーザよりも優先させる。いくつかの例では、吸入器はすべて、メンテナンス薬剤タイプを含む。例えば、プログラムは、メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器に限定されてよい。さらに、タイムフレームは、先月または過去30日でよい。
【0022】
いくつかの例では、DHPは、複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成されてよい。最終同期時刻は、吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された(例えば、代替的に、DHPと接続された)直近の時刻を示してよい。DHPは、各ユーザと関連付けられた各薬剤のタイプに対して全接続デュレーション(all-connected duration)を決定するように構成されてよい。例えば、DHPは、1人のユーザと関連付けられかつ同じ薬剤を含む全ての吸入器のグループを決定するように構成されてよい。DHPは、次いで、それらの吸入器の全てに対して最終同期時刻を決定するように構成されてよい。次に、DHPは、グループの中から、最も古い、すなわち最も間遠の最終同期時刻を決定し、この時刻を、その特定のユーザに対するかつその特定の薬剤タイプに対する全接続デュレーションとして設定するように構成されてもよい。DHPは、全接続デュレーション、薬剤タイプおよびユーザを示すアラートを生成するように構成されてよい。例えば、DHPは、表示デバイスに、複数のユーザのリスティングと、各ユーザと関連付けられた各薬剤タイプに対しての全接続デュレーションとを提示させるように構成されてよい。本明細書で述べられるように、全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、例えば接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該ユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションと当該吸入器との間で接続確認された最終の時刻を示してよい。いくつかの例では、全接続デュレーションは、時間数または日数を示す。いくつかの例では、全接続デュレーションは、ユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの複数の吸入器のうち最も古い最終同期時刻を示す。ユーザの少なくとも一部は、同じ薬剤タイプの複数の吸入器と関連付けられることを理解されたい。例えば、1人のユーザが、1つのレスキュー薬剤を含む複数の吸入器を有する(例えば、そして、それらを異なる場所に保管する)場合がある。さらに、ユーザは、吸入器が再充填間に移行しているときなど、1つのメンテナンス薬剤を含む複数の吸入器を持つ場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図2は、吸入器の使用中の時間に対する例示の流量のグラフである。
【
図3】
図3は、例示のシステムのブロック図である。
【
図4】
図4は、例示の吸入器の外観の正面図および背面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示される吸入器のトップキャップの最上面の図である。
【
図6】
図6は、
図4に示される吸入器とユーザデバイスとの間のペアリング処理の概略的描写である。
【
図7】
図7は、一例に係る方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、他の例に係る方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、吸入デバイスを含む例示システムの図である。
【
図10】
図10は、一例に係るユーザインターフェースの第1図である。
【
図11】
図11は、ユーザの縮小されたセットを生成するためにDHPによって実施される工程のフローチャートである。
【
図15】
図15は、
図12に示される吸入器のトップキャップおよび電子モジュールの分解斜視図である。
【0024】
[詳細な説明]
詳細な説明および特定の例示は、装置、システムおよび方法の模範的な実施形態を示す一方で、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。本発明の装置、システムおよび方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の請求項、および添付の図面からよりよく理解されるであろう。図面が概略的なものにすぎず、正寸で描かれていないことを理解されたい。また、図全体を通して同じ参照符号を使用して同一または類似の部品を表していることも理解されたい。
【0025】
本開示は、薬送達デバイスに関連する使用状況およびパラメータを検知、追跡、処理及び/又は、提示するためのデバイス、システム、および、方法を説明する。デバイス、システム、および、方法は、ユーザの肺に薬剤を送達するための呼吸作動式吸入デバイスと関連付けて説明される。しかしながら、説明された解決策は、注射器、定量吸入器、ネブライザー、経皮パッチ、または、移植可能物などの他の薬送達デバイスに等しく適用可能である。
【0026】
喘息およびCOPDは、気道の慢性炎症疾患である。これらはいずれも、気流閉塞および気管支痙攣の変化しかつ再発する症状によって特徴づけられる。症状には、喘鳴、咳、胸部圧迫感、および、息切れの発症がある。
【0027】
症状は、誘因を回避することによって、および、薬剤、特に吸入される薬剤の使用によって管理される。薬剤は、吸入コルチコステロイド(ICS)および気管支拡張剤を含む。
【0028】
吸入コルチステロイド(ICS)は、呼吸器疾患の長期制御に用いられるステロイドホルモンである。これは、気道の炎症を軽減することで機能する。例示は、ブデソニド、ベクロメタゾン(ジプロピオン酸)、フルチカゾン(プロピオン酸またはフロ酸)、モメタゾン(フロ酸)、シクレソニド、および、デキサメタゾン(ナトリウム)を含む。括弧は、好ましい塩またはエステルの形成を示す。とりわけ、ブデソニド、ベクロメタゾン、フルチカゾン、特にブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾンが挙げられる。
【0029】
異なるクラスの気管支拡張剤は、気道内の異なる受容体を標的とする。2つのよく使われるクラスは、β2-アゴニストと抗コリン剤である。
【0030】
β2-アドレナリンアゴニスト(または“β2-アゴニスト”)は、平滑筋弛緩を誘導するβ2-アドレナリン受容体に作用し、気管支経路を拡張させる。それらは、作用の持続時間によって分類される傾向がある。長時間作用性のβ2-アゴニスト(LABA)の例示は、フォルモテロール(フマル酸)、サルメテロール(キシナホ酸)、インダカテロール(マレイン酸)、バンブテロール(塩酸)、クレンブテロール(塩酸)、オロダテロール(塩酸)、カルモテロール(塩酸)、ツロブテロール(塩酸)およびビランテロール(トリフェニル酢酸)を含む。短時間作用性のβ2-アゴニスト(SABA)の例示は、アルブテロール(硫酸)およびテルブタリン(硫酸)を含む。とりわけ、フォルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、ビランテロール、特に、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、マレイン酸インダカテロール、トリフェニル酢酸ビランテロールを挙げることができる。
【0031】
典型的には、短時間作用性の気管支拡張剤は、急性気管支収縮を速やかに緩和し(そして、しばしば「レスキュー」薬または「リリーバー」薬と称され)、一方で、長時間作用性の気管支拡張剤は、より長期の症状の制御および予防を助ける。しかしながら、速効型の長時間作用性の気管支拡張剤は、フォルモテロール(フマル酸)のように、レスキュー薬として使用されてもよい。したがって、レスキュー薬は、急性気管支収縮を緩和する。レスキュー薬は、必要に応じて/必要なときに(pro re nata)服用される。レスキュー薬はまた、例えばICS-フォルモテロール(フマル酸)、典型的にはブデソニド-フォルモテロール(フマル酸)またはベクロメタゾン(ジプロピオン酸)-フォルモテロール(フマル酸)といった組合せ製品の形態であってもよい。したがって、レスキュー薬は、好ましくは、SABAまたは速攻作用性のLABA、より好ましくはアルブテロール(硫酸)またはフォルモテロール(フマル酸)、最も好ましくはアルブテロール(硫酸)である。
【0032】
抗コリン剤(または「抗ムスカリン剤」)は、神経細胞の受容体を選択的に遮断することにより、神経伝達物質のアセチルコリンを遮断する。局所適用では、抗コリン剤は、気道に存在するM3ムスカリン受容体に主に作用し、平滑筋弛緩をもたらし、したがって気管支拡張作用を生じさせる。長時間作用性のムスカリンアンタゴニスト(LAMA)の例示は、チオトロピウム(臭化物)、オキシトロピウム(臭化物)、アクリジニウム(臭化物)、ウメクリジニウム(臭化物)、イプラトロピウム(臭化物)グリコピロニウム(臭化物)、オキシブチニン(塩酸または臭化水素酸)、トルテロジン(酒石酸)、トロスピウム(塩化物)、ソリフェナシン(コハク酸)、フェソテロジン(フマル酸)、および、ダリフェナシン(臭化水素酸)を含む。とりわけ、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム、グリコピロニウム、特に、チオトロピウム臭化物、アクリジニウム臭化物、ウメクリジニウム臭化物、グリコピロニウム臭化物を挙げることができる。
【0033】
ドライパウダー吸入器(DPI)、加圧定量吸入器(pMDI)またはネブライザーを介してといった吸入による送達のためにこれらの薬剤を調製および処方する際に、多くのアプローチが取られている。
【0034】
GINA(Global Initiative for Asthma)ガイドラインによれば、喘息の処置に段階的なアプローチをとることができる。軽度の喘息を表すステップ1では、患者には、必要に応じて、硫酸アルブテロールなどのSABAが投与される。患者にはまた、必要に応じて低用量ICS-フォルモテロールが投与されてもよいし、または、SABAが服用される場合には必ず低用量ICSが投与されてもよい。ステップ2では、定期的な低用量ICSがSABAと並行して投与されるか、必要に応じて低用量ICS-フォルモテロールが投与される。ステップ3では、LABAが追加される。ステップ4では、用量を増やし、ステップ5では、抗コリン剤または低用量経口コルチコステロイドといった、さらなるアドオン処置が含まれる。したがって、それぞれのステップは、処置レジメン(treatment regimens)と見なすことができ、呼吸器疾患の急性重症度の程度に応じてレジメンのそれぞれが構成されてよい。
【0035】
COPDは、世界中において主要な死因である。それは、慢性気管支炎、肺気腫を含みまた小気道を伴う異質の長期疾患である。COPDの患者に生じる病理学的変化は、圧倒的には、気道、肺実質および肺血管系に局在する。表現型的には、これらの変化は、気体を吸収し放出する肺の健康な能力を低下させる。
【0036】
気管支炎は、気管支の長期的な炎症を特徴とする。共通の症状には、喘鳴、息切れ、咳嗽および喀痰の喀出などがあり、いずれも不快感が強く、患者の生活の質に有害である。肺気腫は、長期の気管支の炎症にも関係しており、その炎症反応は、肺組織の崩壊や、気道の進行性狭窄をもたらす。時間が経つにつれて、肺組織はその自然な弾性を失い、拡大する。このようにして、ガスが交換される効力は減少し、呼吸気はしばしば肺内に閉じ込められる。これは、局所的な低酸素症をもたらし、吸入の度に、患者の血流中に送達されている酸素の体積を減少させる。したがって、患者は、息切れや呼吸困難を経験する。
【0037】
COPDを患って生きている患者は、これらの症状の、すべてではないにするとしても、いくつかを日常的に経験する。それらの重症度は、一連の要因によって決まるであろうが、最も一般的には、疾患の進行と相関するであろう。これらの症状は、その重症度とは無関係に、安定のCOPDを示しており、この病態は、様々な薬の投与を通して維持され、管理される。処置は様々であるが、しばしば吸入気管支拡張薬、抗コリン剤、長時間作用型および短時間作用型β2-アゴニストおよびコルチコステロイドが含まれる。薬剤は、しばしば、単独療法として、または、併用治療として投与される。
【0038】
患者は、GOLDガイドライン(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease, Inc.)で定義されたカテゴリーを用いてCOPDの重症度により分類される。カテゴリーは、A~Dとラベル付けされ、処置の推奨される第1の選択はカテゴリーによって異なる。患者グループAは、必要に応じて、短時間作用性のムスカリンアンタゴニスト(SAMA)、または、必要に応じて短時間作用性のβ2-アゴニスト(SABA)が推奨される。患者グループBは、長時間作用性のムスカリンアンタゴニスト(LAMA)または長時間作用性のβ2-アゴニスト(LABA)が推奨される。患者グループCは、吸入コルチコステロイド(ICS)+LABA、または、LAMAが推奨される。患者グループDは、ICS+LABA、及び/又は、LAMAが推奨される。
【0039】
喘息又はCOPDのような呼吸器疾患に罹患している患者は、その状態のベースラインの日々の変動を超えて周期的な増悪に苦しむ。増悪とは、呼吸器症状が急性に悪化し、追加療法、すなわち維持療法を超えた治療を必要とする状態のことである。
【0040】
喘息の場合、中等度の増悪に対する追加療法は、SABA、経口コルチコステロイド及び/又は制御された流量の酸素(後者は入院を必要とする)の繰返しの投与である。重度の増悪は、抗コリン(典型的には臭化イプラトロピウム)、噴霧化されたSABAまたはIV硫酸マグネシウムを追加する。
【0041】
COPDの場合、中等度の増悪に対する追加療法は、SABA、経口コルチコステロイド、及び/又は、抗生物質の繰返しの投与である。重度の増悪は、制御された流量の酸素、及び/又は、呼吸補助を追加する(いずれも入院を必要とする)。本開示の意味の範囲内での増悪は、中等度および重度の両方の増悪を含む。
【0042】
提供されるのは、対象者に第1薬剤を送達する少なくとも1つの第1吸入器を備えるシステムである。少なくとも1つの第1吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、それぞれの第1吸入器の使用に関係する使用パラメータの第1値を決定する(割り出す)ように構成された第1使用判定システムを備える。少なくとも1つの吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第1値に基づいて第1データを暗号化し、暗号化された第1データ(第1暗号化データ)を送信するように構成された第1送信モジュールも備える。システムは、さらに、対象者に第2薬剤を送達する少なくとも1つの第2吸入器を備える。第2薬剤は、第1薬剤と異なる。少なくとも1つの第2吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、それぞれの第2吸入器の使用に関係する使用パラメータの第2値を決定するように構成された第2使用判定システムと、第2値に基づいて第2データを暗号化し、暗号化された第2データ(第2暗号化データ)を送信するように構成された第2送信モジュールと、を備える。
【0043】
システムは、少なくとも1つの処理モジュールを含み、当該モジュールは、例えば、外部デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、またはパーソナルコンピュータなどのユーザデバイス、または、外部サーバ)に存在してよい。処理モジュールは、第1暗号化データおよび第2暗号化データを受信し、第1暗号化データと第2暗号化データとを区別する。処理モジュールは、区別された第1暗号化データから第1薬剤に関係する第1使用情報を決定し、区別された第2暗号化データから第2薬剤に関係する第2使用情報を決定する。処理モジュールは、ユーザインターフェースを制御して、第1および第2使用情報を通信してよい。
【0044】
少なくとも1つの第1吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第1薬剤を対象者に送達するように構成されている。少なくとも1つの第1吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、例えば、第1薬剤を含む第1薬剤リザーバを備えてよい。
【0045】
システムはまた、少なくとも1つの第2吸入器を含む。少なくとも1つの第2吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第2薬剤を対象者に送達するように構成されている。これは、例えば、第1吸入器を介して第1薬剤が投与される対象者と同じでよい。第1薬剤は、第2薬剤とは異なる。少なくとも1つの第2吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、例えば、第2薬剤を含む第2薬剤リザーバを備えてよい。
【0046】
非限定的な例では、第1薬剤は、対象者によって必要に応じて使用されるレスキュー薬剤であり、第2薬剤は、所定の処置レジメンに従って対象者によって使用されるメンテナンス薬剤である。
【0047】
レスキュー薬剤は、SABA、または、フォルモテロール(フマル酸)などの速攻作用性のLABAであってよい。レスキュー薬剤はまた、例えばICS-フォルモテロール(フマル酸)、典型的にはブデソニドフォルモテロール(フマル酸)またはベクロメタゾン(ジプロピオン酸)-フォルモテロール(フマル酸)といった組合せ製品の形態でよい。このようなアプローチは「MART」(maintenance and rescue therapy)と呼ばれている。
【0048】
非限定的な例では、第1薬剤はアルブテロール(硫酸)であり、第2薬剤はフルチカゾン(プロピオン酸またはフロ酸)、または、サルメテロール(キシナホ酸)とフルチカゾン(プロピオン酸またはフロ酸)とを組み合わせたものである。
【0049】
より一般的には、第1薬剤および第2薬剤(およびシステムに含まれる任意のさらなる吸入器に含まれる任意のさらなる薬剤)は、任意の適切な医薬品有効成分(APIを備えてよい。したがって、どのようなクラスの薬も、システムに含まれる吸入器によって送達されて、言い換えれば、当該吸入器に収容されてよい。システムは、吸入器によって送達される特定の薬とは無関係に、使用情報の統合的な処理と通信を許可する。
【0050】
少なくとも1つの第1吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第1使用判定システムを備える。第1使用判定システムは、それぞれの第1吸入器の使用に関係する使用パラメータの第1値を決定するように構成される。使用パラメータは、例えば対象者がそれぞれの第1吸入器を用いることで行われる第1薬剤の吸入といった、第1吸入器の使用を備えてよい。代替的または追加的に、使用パラメータは、対象者によって行われる第1薬剤の吸入中の気流に関係するパラメータを備えてよい。
【0051】
同様に、少なくとも1つの第2吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第2使用判定システムを備える。第2使用判定システムは、それぞれの第2吸入器の使用に関係する使用パラメータの第2値を決定するように構成される。第2吸入器の場合、使用パラメータは、例えば対象者がそれぞれの第2吸入器を用いることで行われる第2薬剤の吸入といった、第2吸入器の使用を備えてよい。代替的または追加的に、使用パラメータは、対象者によって行われる第2薬剤の吸入中の気流に関係するパラメータを備えてよい。
【0052】
第1吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第1値に基づいて第1データを暗号化し、暗号化された第1データを送信するように構成された第1送信モジュールを備える。 同様に、第2吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第2値に基づいて第2データを暗号化し、暗号化された第2データを送信するように構成された第2送信モジュールを備える。
【0053】
第1および第2送信モジュールは、それぞれ、第1および第2データを暗号化することができる暗号化デバイスを含んでよい。例えば、暗号化デバイスは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、プロセッサ及び/又は同等のハードウェアを用いて実装されてよい。暗号化デバイスは、暗号化データを送信するために使用されるトランシーバなど、第1及び/又は第2送信モジュールの他の部分に組み込まれてよい。異なるタイプのトランシーバの例については、以下でより詳細に説明される。
【0054】
さらに、いくつかの例では、システムは、本明細書で説明される吸入器を含む代わりに、またはそれに加えて、これらと異なる「dump」吸入器に取り付けるように構成された処理モジュール及び/又は送信モジュール(例えば、プロセッサ、メモリおよびトランスミッタ)を含むスマートアドオンデバイスを含んでよいことが理解されるべきである。
【0055】
システムは、第1暗号化データおよび第2暗号化データをそれぞれの送信モジュールから(例えば、直接または間接的に、例えば、中間デバイスを介して)受信するように構成された少なくとも1つの処理モジュールを備える。
【0056】
処理モジュールは、処理モジュールについて本明細書で説明される機能を実行するためにハードウェア及び/又はソフトウェアを用いて構成され得る汎用プロセッサ、特殊目的プロセッサ、DSP、マイクロコントローラ、集積回路、及び/又は、同様のものを含んでよい。処理モジュールは、電源及び/又はバッテリを含んでよい。いくつかの例では、処理モジュールは、1つ又は複数のユーザデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、または、パーソナルコンピュータ)及び/又はリモートサーバの任意の組合せに部分的または全体的に存在してよい。さらに、いくつかの例では、処理モジュールは、例えば、本明細書で説明される機能を実行するように構成されたプロセッサまたはコントローラとの組合せで、患者向けのモバイルアプリケーションであってよい。
【0057】
このような第1及び第2データの暗号化により、それぞれの使用パラメータ値の送信が可能になる。暗号化は、さらに、例えば、そのような送信が安全に実施されることを可能にし得る、というのも、それぞれのデータの復号がそれぞれの送信モジュールから暗号化データを受信するように構成された処理モジュールによって実施されるからである。処理モジュールは、例えば、処理モジュールが暗号化データを複号化するように構成されるように、例えば専一に構成されるように、それぞれの送信モジュールとペアリングされてよい。したがって、そのような暗号化は、処理モジュールへのそれぞれの使用パラメータ値の安全な送信を可能にし得るものであり、安全な送信は、吸入器の使用に関係する医療データの送信の状況において好ましい場合がある。
【0058】
非限定的な例では、第1及び/又は第2送信モジュールは、それぞれの暗号化データを無線で送信するように構成される。Wi‐Fi、Wi‐MAX、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Smart、ZigBee、近距離無線通信(NFC)、セルラー通信、テレビホワイトスペース(TVWS)通信、またはそれらの任意の組合せを介してなど、任意の適切な無線送信プロトコルを実行するように構成されたトランシーバは、それぞれの送信モジュールに含まれてよい。
【0059】
本明細書で説明される例は、トランシーバについて言及することがあるが、トランシーバは、データを送信するが、受信しないように構成されてもよい(例えば、トランスミッタであるがレシーバではない)。トランシーバは、通信プロトコルのロジックと工程を実行するように構成された1つ又は複数の半導体チップ、集積回路、及び/又は、同等のものを含んでよい。トランシーバは、通信プロトコルを用いて信号を無線送信するために、増幅器(複数可)、発振器(複数可)、変調器回路(複数可)、アンテナ(複数可)、アンテナチューナー(複数可)、及び/又は、同等のものといった無線周波(RF)ハードウェアを含んでよい。RFハードウェアは、通信プロトコルのロジックと工程を実行するように構成された半導体チップ(複数化)、集積回路(複数可)、及び/又は、同等のものに、全体的または部分的に実装されてよい。
【0060】
それぞれの送信モジュールは暗号化データを送信するように構成されているが、いくつかの非限定的な例では、それぞれの送信モジュールは、例えば暗号化データが送信される処理モジュールからデータを受信するようにさらに構成される。このような例では、それぞれの送信モジュールは、トランシーバ、言い換えれば、送信兼受信モジュールとみなし得る。
【0061】
クロックモジュールが、例えば、それぞれの吸入器の1つ又は複数(または、各々)に含まれて、各吸入器の使用パラメータに、時間、例えばタイムスタンプを割り当ててよい。クロックモジュールは、プロセッサまたは他のタイプの集積回路を介して実装されてよい。処理モジュールは、それぞれの吸入器のクロックモジュールを同期させるように構成されてよい。例えば、それぞれのクロックモジュールの1つ又は複数(または、各々)は、処理モジュールから送信された時間データを、例えばそれぞれの送信モジュールを介して、受信してよい。このような同期は、例えば、それぞれの吸入器の使用の相対的なタイミングを決定できるようにする基準点を提供してよく、これは臨床的な関連性を有するかもしれない。例えば、このような1つの吸入またはこのような複数の吸入が処置レジメンに従って予定されていた特定の期間にメンテナンス薬剤を吸入しなかったことは、処置レジメンに対してのアドヒアランスの非準拠の期間の終わり頃、またはその後におけるレスキュー薬剤の使用量の増加と相関があるかもしれない。このような診断分析は、それぞれの吸入器のクロックモジュールが互いに同期している場合に可能であり得る。
【0062】
さらに、いくつかの例において、吸入器のクロックモジュールは、内部カウンタとして動作してもよいことを理解されたい。内部カウンタとして作動する場合、クロックモジュールは(例えば、地方平均時といった平均太陽時を提供するのとは対照的に)相対的なカウントを提供してよい。例えば、吸入器の使用判定システムは、例えば、使用判定システムが(例えば、マウスピースカバーが最初に開かれた後に)最初に省エネスリープモードから立ち上がったとき、(例えば、0から無期限にカウントアップする)内部カウンタを開始してよい。その後、使用判定システムによって生成される任意のタイムおよびデートスタンプは、クロックモジュールの内部カウンタに基づく相対時間(またはカウント)であってよい。使用判定システムは、250マイクロ秒(μs)毎にシステムクロックを周期的に更新してよい。
【0063】
処理モジュールは、いくつかの例において、さらなるクロックモジュールを備えてよい。したがって、それぞれの吸入器のクロックモジュールは、さらなるクロックモジュールによって提供される時間に従って同期されてよい。さらなるクロックモジュールは、例えば、処理モジュールが在るタイムゾーンの時刻を受信してよい。処理モジュールは、例えば、タイムゾーンの時刻をそれぞれのクロックモジュールに送信し、それによって、当該クロックモジュールが、対象者および彼らのそれぞれの吸入器が位置する時刻に従って同期されることを可能にしてよい。したがって、それぞれの使用情報のタイムスタンプは、対象者の地理的位置における昼または夜の時間に対応し得る。これは、例えば、差し迫った呼吸器疾患の増悪のリスクに対する夜間のレスキュー薬剤の使用の関連性を考慮すると、特に有利である。したがって、このシステムは、例えば、タイムゾーンを越えて旅行した対象者の日中および夜間のレスキュー吸入器の使用を監視し得る。代替的または追加的に、メンテナンス薬剤を投与することを対象者にリマインドするためにシステムによって発せられるリマインダは、対象者の位置における昼または夜の時間を説明してよい。
【0064】
処理モジュールは、第1暗号化データと第2暗号化データとを区別するように構成される。第1薬剤に関係する第1使用情報は、区別された第1暗号化データに基づいて処理モジュールによって決定される。同様に、第2薬剤に関係する第2使用情報は、区別された第2の暗号化されたデータに基づいて処理モジュールによって決定される。
【0065】
一例では、処理モジュールは、第1薬剤に割り当てられた第1識別子を受信する。このような例において、第2識別子は、第2薬剤に割り当てられる。このような例では、第1識別子は、第2薬剤と関連付けられていない、または、第2薬剤に割り当てられておらず、第2識別子は、第1薬剤と関連付けられていない、または、第1薬剤に割り当てられていない。処理モジュールは、それぞれの識別子を受信し、それぞれの識別子を使用して、第1暗号化データと第2暗号化データとを区別する。
【0066】
それぞれの識別子は、いくつかの例において、例えば吸入器に含まれる適切な用量計量アセンブリを介して、それぞれの吸入器によって送達される各用量の投与強度(用量強度)のような、追加の情報を示してもよい。代替的または追加的に、それぞれの識別子は、それぞれの吸入器、言い換えれば、供給されたままのそれぞれの吸入器の薬剤リザーバに含まれるそれぞれの薬剤の(最初の使用前の)総投与数(全用量数)を示してよい。
【0067】
処理モジュールは、例えば、それに伴い、それぞれの識別子から、それぞれの吸入器によって提供される投与強度及び/又は総投与数を認識するように構成されてよい。さらに、それぞれの識別子が投与強度を示す場合、処理モジュールは、例えば、それぞれの使用情報、この場合それぞれの吸入器の使用、および、それぞれの投与強度に基づいて、ユーザインターフェースを制御して、ラベル上で推奨された投与用量を超えたという通知を発するように構成されてよい。
【0068】
薬剤を投与するように構成されたさらなる吸入器が、同じ薬剤を投与する既存の吸入器を既に含むシステムに追加されるいくつかの例では、処理モジュールは、既存の吸入器およびさらなる吸入器のそれぞれの識別子に基づいて、さらなる吸入器の投与強度が既存の吸入器のそれと同じか否かを判定するように構成されてよい。それぞれの投与強度が互いに異なる場合、処理モジュールは、ユーザインターフェースを制御して、少なくとも1つの通知を発する。少なくとも1つの通知は、例えば、さらなる吸入器の投与強度が既存の吸入器の投与強度と異なることを対象者に知らせる通知、及び/又は、対象者が既存の吸入器を廃棄することを要求する通知を含んでよい。このようにして、システムは、対象者が処方変更に適応することを支援してよい。この例における薬剤は、レスキュー薬剤であってもよいし、メンテナンス薬剤であってもよい。
【0069】
それぞれの識別子がそれぞれの吸入器に含まれる総投与数を示す場合、処理モジュールは、それぞれの使用情報、この場合、それぞれの吸入器の使用、および、それぞれの識別子によって示される総投与数に基づいて、ユーザインターフェースを制御して、それぞれの吸入器を交換すべきであるという通知を発するよう構成されてよい。例えば、それぞれの識別子によって示される総投与数から使用決定システムを介して決定されるそれぞれの吸入器の使用数を減算すると、それぞれの吸入器内に残存する投与数(用量数)が得られる。通知は、それぞれの吸入器内に残存する決定された投与数が、所定の投与閾値数に達するか、またはそれ未満になったときに、処理モジュールによってもたらされてよい。
【0070】
非限定的な例では、第1識別子は、第1吸入器と処理モジュールとをペアリングするために使用される第1キーに含まれる。処理モジュールは、第1キーに含まれる第1識別子に基づいて、第1薬剤を送達する吸入器として、第1吸入器を識別するように構成される。同様に、第2識別子は、第2吸入器と処理モジュールとをペアリングするための第2キーに含まれてもよく、処理モジュールは、第2キーに含まれる第2識別子に基づいて、第2薬剤を送達する吸入器として、第2吸入器を識別する。このようにして、第1暗号化データは第1薬剤にリンクされ、第2暗号化データは第2薬剤にリンクされる。
【0071】
より一般的には、処理モジュールが第1暗号化データと第2暗号化データとを区別することによって、第1薬剤の投与に関係する第1暗号化データは、第2薬剤の投与に関係する第2暗号化データとは別に処理される。第1および第2薬剤は互いに異なるものであり、したがって、それぞれ、例えば、異なる処置レジメン及び/又は投与プロトコルと関連付けられることがあるので、この別個のデータ処理によって、第1薬剤に関係する第1使用情報が第2薬剤に関係する第2使用情報と混同されないことが有利に保証され得る。しかし、このシステムは、第1および第2使用情報を統合的に取り扱い、通信することを許可する。
【0072】
いくつかの例では、処理モジュールは、ユーザインターフェースを制御して、第1および第2使用情報を通信し、例えば表示するように構成される。このようにして、対象者は、第1および第2薬剤のそれぞれの使用状況を知らされる。第1または第2薬剤が例えばレスキュー薬剤である場合、システムは、対象者が自分の呼吸器疾患の状態を追跡することを可能にし得る。第1または第2薬剤が例えばメンテナンス薬剤である場合、システムは、対象者が所定の処置レジメンに対するアドヒアランスまたはコンプライアンスを追跡することを可能にし得る。いくつかの例では、処理モジュールは、ユーザインターフェースを制御して、単一のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などにおいて、第1および第2の使用情報を同時に表示するように構成される。
【0073】
さらに、いくつかの例では、システムは、少なくとも1つの第3吸入器をさらに含む。 少なくとも1つの第3吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、第3薬剤を対象者に送達するように構成される。これは、例えば、第1吸入器および第2吸入器をそれぞれ介して第1および第2薬剤が投与される対象者と同じであってよい。第3薬剤は、第1および第2薬剤とは異なる。少なくとも1つの第3吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、例えば、第3薬剤を含む第3薬剤リザーバを備えてよい。
【0074】
少なくとも1つの第3吸入器の1つ又は複数(または、各々)は、それぞれの第3吸入器の使用に関係する使用パラメータの第3値を決定するように構成された第3使用判定システムを備える。使用パラメータは、例えば、対象者がそれぞれの第3吸入器を用いて行われる第3薬剤の吸入といった、第3吸入器の使用を備えてよい。代替的または追加的に、使用パラメータは、対象者によって行われる第3薬剤の吸入中の気流に関係するパラメータを含んでよい。
【0075】
非限定的な例では、第1薬剤は、対象者が必要に応じて使用するレスキュー薬剤であり、第2薬剤は、対象者が所定の処理レジメンに従って使用するメンテナンス薬剤であり、第3薬剤は、対象者がさらなる所定の処置レジメンに従って使用するさらなるメンテナンス薬剤である。
【0076】
非限定的な例では、第1薬剤はアルブテロール(硫酸)であり、第2薬剤はサルメテロール(キシナホ酸)とフルチカゾン(プロピオン酸またはフロ酸)の組合せ、ブデソニドとフォルモテロール(フマル酸)の組合せ、または、ベクロメサゾン(ジプロピオン酸)である。
【0077】
いくつかの非限定的な例では、システムは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の第1吸入器など、2つ又はそれ以上の第1吸入器を備える。そのような複数の第1吸入器は、例えば、第1薬剤がレスキュー薬剤である場合に特に有利であり得る。そのような例では、対象者は、必要な場合にレスキュー薬剤が容易に利用できるように、ナイトスタンド、ジムバッグ、車両内など、様々な異なる場所に第1吸入器を置いといてよい。
【0078】
他の非限定的な例では、第1薬剤は、メンテナンス薬剤である。このような例では、対象者は、対象者の日常のルーティンの際の時点においてメンテナンス薬剤の投与を容易にするために、様々な異なる場所に第1吸入器を置いておくとよく、それによって対象者がメンテナンス薬剤と関連付けられた処理レジメンのアドヒアランスを遵守するのを支援する。
【0079】
さらに、いくつかの例では、処理モジュールは、例えば、ユーザデバイスに存在するコンピュータプログラムを含んでよい。当該コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムコードであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書で説明される任意の方法および技術を実施するように適合されたコンピュータプログラムコードを備えてよい。システムついて本明細書で説明される実施形態は、方法およびコンピュータプログラムに適用可能である。さらに、方法およびコンピュータプログラムについて説明される実施形態は、システムに適用可能である。
【0080】
システムはまた、複数の異なるユーザと関連付けられている複数の吸入器から吸入器データ(例えば、使用イベント)を受信し、集約するように構成され、デジタルヘルスプラットフォーム(DHP)と称され得る、処理モジュールを含んでもよい。いくつかの例では、DHPは、1つ又は複数のサーバに存在してよく、DHPに関して説明される機能を実行するように構成されたコンピュータソフトウェアを含んでよい。例えば、DHPは、ダッシュボードアプリケーションを含んでよく、当該アプリケーションは、病院または病院システム、ヘルスシステム、医療グループ、医師、診療所、及び/又は、製薬会社といったヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータまたはサーバによってアクセス可能でよい。いくつかの例では、ダッシュボードアプリケーションは、webアプリケーション(例えば、web ポータル)である。例えば、DHPはまた、ダッシュボードアプリケーションの使用を通じて(例えば、REST APIを介して)、吸入器データなどのデータを臨床医および医師に提供するようにも構成される。
【0081】
DHPは、ユーザデバイス(例えば、患者向けモバイルアプリケーション)に存在する処理モジュールから吸入器データを受信して格納するように構成され、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータまたはサーバに(例えば、ダッシュボードアプリケーションを介して)データを提供するように構成される。吸入器データは、使用イベント、エラーイベント、吸入プロファイル、関連付けられたタイムスタンプ、薬剤タイプなど、本明細書で説明される吸入器を参照して説明されるデータのいずれかを含んでよい。吸入器データは、例えば、処理モジュール(例えば、ユーザデバイスに存在する)及び/又はDHPにおいて、吸入器及び/又はユーザプロファイルと関連付けられてよい。DHPはまた、吸入器データを特定のユーザから識別解除(例えば、関連付け解除)してよく、DHPは、吸入器に関係する識別解除されたデータに対して分析を実行してよく、DHP(例えば、DHPのユーザ)が、吸入器データが関連付けられた特定のユーザをわからないようにしてよい。
【0082】
しかしながら、多くの例では、DHPは吸入器と直接的な接続がなく、そのため、DHPは受信した使用データの完全性を検証(吸入器と直接検証)することができない。さらに、いくつかの例では、DHPは吸入器と通信することができず、吸入器はDHPと直接通信することができない。これは、使用イベントを取得している吸入器との通信ラインなしで、DHPがどのようにデータ検証を行うことができるかという技術的問題を生じさせる。すなわち、DHPは、使用イベントを取得している吸入器と直接通信していないので、DHPは使用イベントのデータ検証を行うことができない。
【0083】
DHPは、処理モジュール(例えば、ユーザデバイスに存在する処理モジュール)からのデータ(例えば、吸入器データ)の転送を可能にし、場合によっては開始するように構成されてよい。例えば、DHPは、Representational State Transfer(REST)Application programming Interface(API)を公開してよく、これは、DHPによって保持されるデータにアクセスまたはこれを更新するために用いられてよい。これに応答して、ユーザデバイスに存在する処理モジュールは、REST APIを通じてデータにアクセスしてよい。いくつかの例では、ユーザデバイス上の処理モジュールは、例えば15分ごとなど、定期的に吸入データ(例えば、または、新しい吸入データがないというインディケーション)をDHPに、例えばDHPによって公開されたREST APIを介して送信するように構成されてよい。DHPは、患者たちのユーザデバイスに存在するそれぞれの処理モジュールを介して、患者のデータにアクセスするための患者の同意を得てよい。さらに、DHPはまた、専用のモバイルアプリケーションやウェブアプリケーションからの入力データも格納してもよい。この場合も、DHPはREST APIを通じて患者の同意や入力データなどを受信してよい。
【0084】
DHPは、ヘルスケアプロバイダと関連付けられた(例えば、ヘルスケアプロバイダによって運営される)コンピュータまたはサーバに、吸入器データを医師およびヘルスケアプロフェッショナルへ提供させて、彼らが、患者が同意したプログラムに特有の吸入器データを検討できるようにしてよい。一例では、DHPは、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータまたはサーバに、ヘルスケアプロバイダのコンピュータと関連付けられた表示デバイス上に表されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して吸入データを提供させてよい。
【0085】
DHPは、任意の数のプログラムを規定してよく、これらは、いくつかの例ではヘルスケアププロバイダによって構成および変更され得る。吸入器データをヘルスケアプロバイダに提供する際、DHPは、そのヘルスケアプロバイダと関連付けられた特定のプログラムに特有のGUIを提供してよい(例えば、GUIを表示するように構成されてよい)。プログラムは、薬剤のタイプ(例えば、レスキュー薬剤及び/又はメンテナンス薬剤の任意の組合せ)、特定の患者、ひいては、彼らの利用可能な吸入器、当該プログラムの他のユーザ(特定の医師、診療グループ、及び/又は、管理者など)、ヘルスケアプロバイダに提示されるデータのタイプ(チャート、イベントテーブル、使用サマリーなど)といった、一連の基準を規定する。ヘルスケアプロバイダは、DHPを用いて任意の数のプログラムを構成し、確立してよい。さらに、特定の患者および彼らの吸入器は、任意の数の固有のプログラムと関連付けられてよい。いくつかの例では、プログラムは、DHPによって格納され管理され、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータは、例えば、ダッシュボードやウェブアプリケーションといったアプリケーションを用いて、DHPから、各プログラムに関係するデータにアクセスするように構成される。このような例では、いったんプログラムが確立されると、DHPはプログラムと関連付けられた吸入器データを受信し、必要な程度まで吸入器データを分析し、取り扱い、プログラムデータを(例えば、ダッシュボードを介して)ヘルスケアプロバイダに提供するように構成される。プログラムデータは、特定のプログラムの構成に特有の吸入器データ、および、例えば、以下でより詳細に説明されるように、吸入器データから導出される追加のデータを含んでよい。例えば、DHPは、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータ上で、本明細書に記載されるような、GUIを使用可能にしてよく、それは、プログラムデータをヘルスケアプロバイダに提示する。
【0086】
さらに、主に吸入器データと関係付けて説明されているが、本明細書で説明されるシステムは、治療デバイスまたはエリアの任意の組合せからデータを集約してもよいことを理解されたい。このような例では、DHPは、本明細書に説明されるような特定の治療デバイスまたはエリアも規定するプログラムを構成してよい。すなわち、DHPは、複数の疾患タイプ、医療デバイス、及び/又は、薬剤についてのデータを管理し、分析するように構成される。
【0087】
ヘルスケアプロバイダは、患者の医療デバイスの使用と関連付けられたデータを分析するための時間やリソースが限られている。そしてさらに、医療デバイスの過少使用、過剰使用、および、様々なタイプの不適切な使用などの異なる使用特性は、医療デバイスによって提供される医療デバイスのタイプ及び/又は薬剤のタイプに応じて、医師に対する関連性または重要性の程度が異なる可能性がある。例えば、ある薬剤タイプにとっては、過剰使用のインディケーションは、過少使用のインディケーションよりも重要であり、また、その逆も然りである。例えば、レスキュー薬剤吸入器の過剰使用は、ユーザが多くの増悪を体験していること、および、呼吸器系の状態をうまくコントロールできていないことを示唆する。そしてメンテナンス吸入器の過少使用は、ユーザが処方された投与スケジュールのアドヒアランスを遵守していないことを示し、これは、ユーザが投与レジメンについて適切に知らされていないこと、ユーザが過剰処方されその特定の投与濃度またはレジメンを必要とせず意図的に減らしていること、及び/又は、ユーザが自分の呼吸器疾患を真剣に受け止めていないことを示唆している。
【0088】
さらに、一部のヘルスケアプロバイダは、それぞれが同じまたは異なる薬剤タイプを備える様々な吸入器を使用する可能性がある患者たちを非常に多く有している。これらのヘルスケアプロバイダにとって、デジタル吸入器システムによって提供されるデータは、高リスクの患者及び/又は処置レジメンのアドヒアランスまたはコンプライアンスが乏しい患者を適切に診断するために効率的にレビューするには圧倒的に膨大で、面倒なものになり得る。例えば、一部のヘルスケアプロバイダは、デジタル吸入器システムを使用する数百人の患者を有し、これらの患者の各々は、複数の吸入器を有し、これらの複数の吸入器は、同じまたは異なる薬剤タイプを含む場合がある。
【0089】
したがって、DHPは、膨大な数のデジタル吸入器システムから受信したデジタルデータを分析し、取り扱い、ユーザ及び/又は吸入器のサブセットまたはフィルタリングされたリストを生成してよく、これは、例えば、これらのユーザ及び/又は薬剤タイプをヘルスケアプロバイダに提示し、高リスクな、及び/又は、処置レジメンのアドヒアランスまたはコンプライアンスが乏しい患者を示す。例えば、DHPは、複数の使用イベントおよび1つ又は複数の変数に基づいて、フィルタリングされたユーザのリストを生成するように構成されてよい。例えば、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲を決定してよい。例えば、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲の選択を、ユーザから受けてよい。DHPは、コンピュータロジックを用いて、薬剤タイプ、日付タイプ、及び/又は、日付範囲を決定してよい。例えば、DHPは、薬剤タイプ、時間帯、及び/又は、日付範囲の1つ又は複数のユーザ選択を受けてよく、DHPは、薬剤タイプ、時間帯、及び/又は、日付範囲の残りを、コンピュータロジックを用いて(例えば、以前に選択したオプションまたは特定のユーザ及び/又はプログラムの使用イベントに基づく分析に基づいて)自動的に決定するように構成されてもよい。薬剤タイプ(複数可)は、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ及び/又は1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを含んでよい。時間帯は、例えば、昼間(例えば、午前8時から午後8時の間と規定される)、夜間(例えば、午後8時から午前8時の間と規定される)、および、終日を含んでよい。代替的または追加的に、時間帯は、開始時刻(例えば、午後10時)と終了時刻(例えば、午前6時)の間などの時間帯のカスタマイズ可能な規定を含んでよい。日付範囲は、開始日および終了日を含んでよいし、または、先週(過去数週間可)、先月などの予め構成され、動的に調整された日付範囲の選択を含んでよい。
【0090】
DHPは、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、及び/又は、決定された日付範囲に基づいて、使用イベントのサブセットを決定してよい。例えば、DHPは、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、及び/又は、決定された日付範囲に基づき、使用イベントフィルタを適用して、複数の異なる吸入器から受信した複数の使用イベントをフィルタリングし、使用イベントのサブセットを決定してよい。
【0091】
DHPは、吸入カウント閾値を決定してよい。例えば、DHPは、吸入カウント閾値の選択を、例えば、ユーザから受けてよい。吸入カウント閾値は、数値でよい。DHPは、使用イベントのサブセットの中から、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられた使用イベントの数を決定してよい。例えば、DHPは、使用イベントのサブセットの中から、ユーザ及び薬剤タイプが共通する使用イベントを関連付け(例えば、グループ化し、または、組み合わせ)てよい。DHPは、選択された吸入カウント閾値と、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数との比較に基づいて、複数のユーザのから、フィルタリングされたユーザのリストを決定してよい。例えば、DHPは、吸入カウント閾値フィルタを適用して、フィルタリングされたユーザのリストを生成してよい。例えば、DHPは、ユーザおよび薬剤タイプが共通する組み合わせられた使用イベントを吸入カウント閾値および基準(例えば、より小さい、より大きい、以下、以上など)と比較してよい。組み合わされた使用イベントが吸入カウント閾値および基準(例えば、吸入カウント閾値より大きい、または、代替的に吸入カウント閾値より小さい)を満たす場合、DHPは、組み合わされた使用イベントと関連付けられたユーザを、フィルタリングされたユーザのリストに含めてよい。しかしながら、組み合わせた使用イベントが吸入カウント閾値および基準を満たさない場合、DHPは組み合わせた使用イベントと関連付けられたユーザを無視(例えば、廃棄)してよい。DHPは、フィルタリングされたユーザのリストの各ユーザの使用イベントの数を備えるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を(例えば、リモートコンピュータ端末の表示デバイスを介して)生成してよい。
【0092】
さらに、いくつかの例では、DHPは、決定された薬剤タイプ、決定された時間帯、決定された日付範囲、選択された吸入カウント閾値、及び/又は、基準に基づくフィルタを格納するように構成されてもよい。DHPは、組織およびプログラムと関連付けられている複数の異なるヘルスケアプロバイダによってフィルタが選択され得るように、フィルタをプログラムと関連付けてもよい。さらに、いくつかの例では、DHPは、組織及び/又は当該組織の外部と関連付けられた他のプログラムにフィルタを適用するように構成されてよい。
【0093】
使用イベントのサブセットを吸入カウント閾値と比較することに加えて、または、その代替として、DHPは、使用イベントの異なるサブセットを互いに比較するように構成されてもよく、例えば、ここで、使用イベントの異なるサブセットは、同じユーザと関連付けられてよい。例えば、DHPは、使用イベントの第1サブセットのうち同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数(例えば、総数)が、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている異なる重複しないサブセットの使用イベントの数(例えば、総数)よりも、比率的により小さいか、または、比率的により大きいかを決定してよい。いくつかの例では、使用イベントの異なる重複しないサブセットは、使用イベントの上記数(上記第1サブセットのうちの上記使用イベント)とは異なる日付範囲と関連付けられるが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられる。例えば、DHPは、ユーザのサブセットの中から、特定の薬剤タイプ(例えば、レスキュー薬剤タイプ)の期間(例えば、今週)において使用イベントが、異なる期間(例えば、前週)と比較して、X%を超えて増加(例えば、50%を超えて増加)したユーザを決定するように構成されてよい。別の例として、DHPは、特定の薬剤タイプ(例えば、メンテナンス薬剤タイプ)の期間(例えば、今週)において使用イベントが異なる期間(例えば、前週)と比較して、X%を超えて減少(例えば、50%を超えて減少)したユーザを、ユーザのサブセットの中から決定するように構成されてもよい。この分析により、例えばヘルスケアプロバイダは、危険な状態にあるユーザや、治療レジメンのアドヒアランスやコンプライアンスが低下しているユーザを迅速かつ容易に特定することができるようになる。
【0094】
前述のように、一部のヘルスケアプロバイダは、それぞれが同じまたは異なる薬剤タイプを備える様々な吸入器を使用する可能性のあるかなり多数の患者を抱える。DHPは、本明細書で説明される分析および解析の使用を通じて、結果としてプロバイダに提供される患者リストを50%または60%、より好ましくは70%~80%、または最も好ましくは90+%以上、削減するように構成されてよい。すなわち、DHPによって生成されたフィルタリングされたユーザのリストは、複数のユーザの40%または50%だけを含んでよく、より好ましくは複数のユーザの20%~30%だけを含んでよく、または、最も好ましくは複数のユーザの10%以下を含んでよい。いくつかの例では、この程度のフィルタリングが達成されるように、1つ又は複数の閾値(例えば、吸入カウント閾値など)が選択されてよい。これにより、プロバイダは、増悪のリスクが最も高い患者、及び/又は、処置レジメンに対するアドヒアランスまたはコンプライアンスが最も著しく低下している患者を迅速かつ効率的に診断することができる。これにより、複数のユーザの臨床成果を改善するという継続的なタスクにおいて、プロバイダを支援することができる。これにより、利用可能な分析および解析の力と、個々の患者の治療に対して最終的な責任を負うべきプロバイダのニーズとのバランスをとる。
【0095】
いくつかの例では、各使用イベントは吸入データをさらに備え、DHPは、フィルタリングされたリストの各ユーザに対しての使用イベントの数に対する良好な吸入の割合を決定するように構成されてよい。良好な吸入の割合は、(例えば、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられた使用イベントの数の中から)、関連付けられた吸入データが閾値以上である使用イベント割合のインディケーションを含んでよい。DHPによって生成されるGUIは、フィルタリングされたリストの各ユーザに対しての使用イベントの数に対する良好な吸入の割合のインディケーションをさらに備えてよい。吸入データは、使用イベントのピーク吸入流量(PIF)、総吸入体積、吸入時間、ピーク吸入流量までの時間などを含んでよい。
【0096】
DHPは、複数の吸入器の各々に対して最終同期時刻を決定してよい。最終同期時刻は、吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示してよい。DHPは、全接続デュレーションを決定してよく、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤の吸入器の全てが、使用イベントが吸入器とユーザデバイスとの間の接続中に転送されたかどうかにかかわらず、当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスにあるアプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものである。全接続デュレーションは、時間数または日数を示してよい。全接続デュレーションは、その1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの複数の吸入器のうちの最も古い最終同期時刻を示してよい。全接続デュレーションは、使用イベントが記録されたにもかかわらずDHPに転送されなかった吸入器をユーザが持っているかどうかを判断する際に、医師を支援し得る。
【0097】
DHPは、例えば本明細書でより詳細に説明されるように、タイムフレーム内に吸入器とユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続が確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に吸入器とユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続が確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するユーザのリスト付きのGUIを生成してよい。
【0098】
様々な吸入器から収集された使用イベントは、吸入データを含んでよい。吸入データの1つの尺度は、使用イベントがユーザによる吸入を含んでいるかどうかについての最も示唆に富む測定値であるとよい(例えば、誤検出の吸入尺度を誘発するかもしれない可能性のある他の非ユーザベースの要因とは対照的に)。しかしながら、吸入データの異なる他の尺度は、ユーザの吸入の有効性について医師に洞察を与え得る。DHPは、複数の異なる吸入器およびユーザと関連付けられた複数の使用イベントを様々な期間にわたって受信するため、これは、誤検出イベントを含まずにユーザの吸入の有効性を示す適切なデータをどのように生成するかという技術的課題を生じさせる。
【0099】
DHPは、複数の使用イベントを受信してよく、各使用イベントは、ユーザに対する特定の薬剤の吸入器からの吸入データを含む。DHPは、使用イベントの第1吸入指標と1つ又は複数の閾値との比較に基づいて、使用イベントのサブセットを決定してよい。DHPは、下限閾値と上限閾値の間に存在しない使用イベントを除去(例えば、フィルタリングアウト)することによって、使用イベントのサブセットを決定してよい。DHPは、第1吸入指標とは異なる第2吸入指標に基づいて、使用イベントの当該サブセットを類別してよい。第1および第2吸入指標は、PIF、総吸入体積、吸入持続時間、ピーク吸入流量までの時間などを含んでよい。例えば、DHPは、第2吸入指標に基づいて、使用イベントのサブセットを上限値と下限値との間(例えば、吸入体積の例では0.3Lと6Lとの間)に類別してよい。いくつかの例では、DHPは、使用イベントのサブセットと、上限値および下限値に関連するサブセットの使用イベントのそれぞれに対しての関連付けられた第2吸入指標を備えるGUIを(例えば、リモートコンピュータ端末の表示デバイスを介して)生成してよい。GUIは、使用イベントのサブセットと、それぞれに対しての関連付けられた第2吸入指標との散布図を含んでよい。GUIは、使用イベントのサブセットにわたる傾向線を含んでよく、ここで、例えば、DHPは、平滑化係数(例えば、0.5の平滑化係数)を有するLOESS(Locally Estimated Scatterplot Smoothing)アルゴリズムを用いて傾向線を決定してよい。
【0100】
いくつかの例では、DHPは、第1吸入指標を下限閾値および上限閾値と比較することにより使用イベントのサブセットを決定してよく、ここで、当該サブセットの使用イベントは、第1吸入指標が下限閾値と上限閾値との間にある使用イベントである。第1吸入指標は、例えば、使用イベントのピーク吸入流量(PIF)でよく、第2吸入指標は、使用イベントの吸入体積でよい。例えば、第2吸入指標が吸入体積を備える場合、DHPは、第2吸入指標と関連付けられた上限値(例えば、6L)と第2吸入指標と関連付けられた下限値(0.3L)との間に吸入指標のサブセットを類別してよい。
【0101】
DHPは、プログラムによって規定された特定の薬剤、患者、ユーザ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)、及び/又は、治療デバイスまたはエリアに応じて、データを異なるように取り扱い及び/又は異なるアラートを生成するように構成される。一例として、DHPは、レスキュー薬剤タイプおよび1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプがプログラムに含まれる場合に第1タイプのアラートを生成するが、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれない場合に第2タイプのアラートを生成するように構成されてよい。例えば、DHPは、レスキュー薬剤タイプおよび1つ又複数のメンテナンス薬剤タイプがプログラムに含まれる場合、(例えば、1週間などの特定の時間範囲にわたって)レスキュー薬剤タイプを含む吸入器の使用イベントの数が最も多いユーザが優先されたリスティングを示す第1アラートを生成し、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれていない場合、(例えば、1ヶ月などの特定の時間範囲にわたって)メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器の使用イベントの数が最も少ないユーザが優先されたリスティングを示す第2アラートを生成するように構成されてよい。いくつかの例では、アラートは、例えばヘルスケアプロバイダ施設にある、表示デバイスを介して提供される。
【0102】
例えば、DHPは、プログラムによって規定された特定の薬剤タイプ、患者、ユーザ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)、及び/又は、治療デバイスまたはエリアに応じて、患者リストのようなデータを異なるように優先するように構成されてよい。いくつかの例では、DHPは、レスキュー吸入器の高い使用を示すデータをレスキュー吸入器の低い使用を示すデータよりも優先し、メンテナンス吸入器の高いまたは低い使用のいずれかを示すデータよりも優先するよう構成されている。例えば、プログラムが、当該プログラムと関連付けられたユーザのグループに対してレスキュー薬剤(複数)と1つ又は複数のメンテナンス薬剤とを含む場合、DHPは、レスキュー薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベントの数が最多のユーザを、レスキュー薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベントの数がより少ないユーザよりも優先し、かつ、メンテナンス薬剤を含む彼らの吸入器(複数可)の使用イベントの数が最多または最少であるユーザよりも優先するように構成されてよい。しかし、レスキュー吸入器(複数)がプログラムの一部ではない場合、DHPは、特定のメンテナンス薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベント数が最少のユーザを、特定のメンテナンス薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベントの数が最多のユーザよりも優先するように構成される。さらに、いくつかの例では、DHPは、レスキュー吸入器(複数可)の使用イベントの数が過去1週間以内に5回の使用イベントといったようにある期間に閾値数を超えるユーザがプログラム内に少なくとも1人存在する場合にのみ、レスキュー薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベントの数が最多のユーザを優先し、それ以外は、特定のメンテナンス薬剤を含む吸入器の使用イベントの数が最少のユーザを優先してよい。
【0103】
DHPは、各ユーザと関連付けられた各薬剤タイプに対して、全接続デュレーションを決定するように構成されてよい。例えば、DHPは、1人のユーザと関連付けられかつ同じ薬剤を含む全ての吸入器からなるグループを決定するように構成されてよい。DHPは、次いで、それらの吸入器の全てに対して最終同期時刻を決定するように構成されてよい。次に、DHPは、グループから、最も古い、すなわち最も間遠の最終同期時刻を決定し、この時刻を、その特定のユーザに対するその特定の薬剤タイプに対しての全接続デュレーションとして設定するように構成されてよい。DHPは、全接続デュレーション、薬剤タイプ、および、ユーザを示すアラートを生成するように構成されてよい。いくつかの例では、アラートは、例えばヘルスケアプロバイダ施設に存在してよい、表示デバイスを介して提供される。
【0104】
例えば、非限定的な例では、DHPは、特定の薬剤タイプに対する全接続デュレーションに基づいて、ユーザを優先するように構成される。例えば、DHPは、メンテナンス薬剤がプログラムの一部である場合、特定のメンテナンス薬剤タイプの吸入器(複数可)に対する全接続デュレーションが最も古いユーザを優先するアラート(例えば、GUI)を生成してよいが、そうでなければ、レスキュー薬剤を含む吸入器(複数可)の使用イベントの数が最多のユーザに基づいて、または、特定の薬剤タイプの良好な吸入の可能性の割合が最も低いユーザ(例えば、一方で、良好な吸入が0%の全てのユーザを除外する)に基づいてといったように、別の方法でユーザを優先してよい。このように、DHPは、プログラムに含まれる特定の薬剤タイプに基づいて、患者リストといったデータを異なるように優先するように構成されてよい。
【0105】
上述のように、DHPは、複数の異なるユーザと関連付けられる吸入器から吸入器データを受信して集約するように構成される。しかしながら、特に、吸入器が、DHPが吸入器データを受信する前にユーザデバイスと最初に通信するように構成されている状況では、DHPは、プログラムの一部である各吸入器についての使用イベントの完全な履歴を有していないかもしれない。例えば、使用イベントが記録されているが、関連付けられたユーザデバイスに接続されておらず、そのため、ユーザデバイスまたはDHPに使用イベントを転送していない吸入器がいつくかあるかもしれない。しかしながら、実際、2つの異なる吸入器において、一方の吸入器は使用イベントを記録しているがそれらの使用イベントをDHPに転送しておらず、他方の吸入器は実際に使用されていない場合に、DHPは、これらの吸入器に対しての使用イベントがゼロと演算する場合があるかもしれない。すなわち、DHPは、過去1週間、過去1ヶ月といった特定の時間にわたって投与イベントがゼロの多くの吸入器からのデータを含んでいるかもしれない。しかしながら、これらの吸入器のいくつかは、そのユーザによって実際に使用されなかったものもあり、他の吸入器は使用された場合や使用されなかった場合があるが、DHPは使用データの信頼性をわからない場合がある。これは、DHPによって提示されたデータを歪めてしまい、プログラムの1つに関係するデータをレビューするヘルスケアプロバイダを混乱させ得る。例えば、吸入器(または吸入器と関連付けられたユーザ)を使用イベントの最小数に基づいてリスティングすると、使用イベントがない吸入器と、1つ又は複数の使用イベントがあるがこれらのイベントと関連付けられかつDHPによってまだ受信されていないデータがある吸入器とが混じり合うことによって、吸入器の歪んだレビューとなるだろう。したがって、使用イベントの数の降順でソートすると、投与レジメンに対するアドヒアランスを遵守していないユーザの正確なインディケーションを提供しない吸入器のリストになってしまうだろう。
【0106】
そのため、DHPは、使用イベントの数が本当にゼロの吸入器と関連付けられたユーザを決定し、当該ユーザを、DHPの観点からは使用イベントの数がゼロに見えるが特定の期間内に関連付けられたユーザデバイスに(またはDHPに直接的に)接続されなかった吸入器と関連付けられたユーザから、区別するように構成される。例えば、DHPは、複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成される。最終同期時刻は、吸入器が、使用イベントが接続の一環として転送されたかどうかにかかわらず、モバイルアプリケーションを含むユーザデバイスと接続された(例えば、代替的に、DHPと直接的に接続された)最終の時刻を示す。さらに、いくつかの吸入器は、複数の異なるユーザデバイス(例えば、ユーザのスマートフォンやそのタブレットなど)に接続されるように構成される場合があり、そのため、最終同期時刻は、吸入器がモバイルアプリケーションを含むいずれかのユーザデバイスと接続された最終を示すことを理解されたい。
【0107】
DHPは、使用イベントと関連付けられているタイムスタンプを用いて、最終同期時刻を演算してよい。例えば、吸入器がユーザデバイスに存在する処理モジュールと接続するとき、処理モジュールは、吸入器がモバイルアプリケーションに接続した最終の時刻を指す時間、または、吸入器から取得した直近の使用イベントの時間を示してよい。これに応答して、吸入器は、その時間より後のそれらの使用イベントだけを送信してよい。処理モジュールは、後に、これらの使用イベント、および、吸入器と処理モジュールとの接続の時間のインディケーションをDHPに送信してよい。例えば、ユーザデバイスの処理モジュールは、15分ごとなど定期的に吸入データ(または新しい吸入データがないことのインディケーション)をDHPに送信するように構成されてよい。かくして、DHPは、例えば使用イベントが接続の一環として転送されたかどうかにかかわらず、吸入器がモバイルアプリケーションを含むユーザデバイスと接続された(例えば、代替的に、DHPと直接的に接続された)最終の時刻を示す各吸入器の最終同期時刻を決定してよい。
【0108】
DHPは、タイムフレーム内に接続が確認されており投与がゼロの吸入器と関連付けられているユーザを示すアラートを生成するように構成されてよい。いくつかの例では、DHPは、表示デバイス(例えば、ヘルスケアプロバイダと関連付けられている)に、ユーザのリスティングを含むアラート(例えば、GUI)を提示させてよく、ここで、当該リスティングは、タイムフレーム内にユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間での接続が確認され使用イベントがゼロの吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内にユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間での接続が確認されず使用イベントがゼロの吸入器を有するユーザよりも優先させる。いくつかの例では、吸入器はすべて、メンテナンス薬剤タイプを含む。例えば、プログラムは、メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器に限定されてよい。さらに、いくつかの例では、タイムフレームは、先月または過去30日であってよい。
【0109】
上述したように、一部のユーザは、同じ薬剤を含む複数の吸入器を持つことがある。例えば、あるユーザは、レスキュー薬剤を含む複数の吸入器を持つ場合がある(例えば、それらを異なる場所に置いておくかもしれない)。さらに、ユーザは、吸入器が再充填間に移行している場合など、特定のメンテナンス薬剤を含む複数の吸入器を持つ場合がある。そのため、患者が同じ薬剤を含む複数の吸入器を持っているなら、例えば、吸入器が数日間、数週間、あるいは数ヶ月間、ユーザデバイスと接続されていない場合がまだあるため、DHPは各患者のデータがどれだけ完全で信頼性があるかをわからない場合がある。また、上述したように、DHPは、複数の吸入器の各々に対して最終同期時刻を決定するように構成される。さらに、DHPはまた、ユーザが同じ薬剤(例えば、レスキュー薬剤など)を含む複数の割り当てられた吸入器を持っているかどうかを判定し、次いで、当該ユーザと関連付けられている特定の薬剤タイプの複数の吸入器のうち、最も古い、すなわち最も間遠の最終同期時刻を決定するように構成されてよい。これは、全接続デュレーション(all-connected duration)と称されてよく、当該ユーザと関連付けられている特定の薬剤タイプの全吸入器のうち、最も古い、すなわち最も間遠の最終同期時刻を表すものである。例えば、ユーザがレスキュー薬剤を含む2つの吸入器、例えば吸入器1と吸入器2と関連付けられており、吸入器1の最終同期時刻が2日前であるが、吸入器2の最終同期時刻が10日前であれば、ユーザはそのレスキュー薬吸入器に対する全接続デュレーションが10日前であると関連付けられることになる。
【0110】
DHPは、複数のユーザのリスティングと、各ユーザと関連付けられた各薬剤タイプに対しての全接続デュレーションとを示すアラート(例えば、GUI)を生成するように構成されてよい。上述のように、全接続デュレーションは、ユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、例えば接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該ユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示してよい。いくつかの例では、全接続デュレーションは、時間数、日数、週数、または、月数を示す。
【0111】
システムは、様々な異なるタイムゾーンに位置するデバイスとユーザを含む可能性があり、これは、日々変動するかもしれない。そのため、システムによって取り込まれるデータも、様々なタイムゾーンと関連付けられてよい。しかしながら、吸入器は、そのタイムゾーンをわからないかもしれず(例えば、短距離パーソナルエリアネットワーク通信機能しか含まないかもしれない)、そして、ヘルスケアプロバイダは、各ユーザの使用イベントのタイムゾーンをわからないかもしれない。それにもかかわらず、DHPは、データが様々な異なるタイムゾーン、薬剤タイプ、および、使用イベントと関連付けられている場合に、ヘルスケアプロバイダにアラートまたはフィードバックを提供する総括的な方法を決定する際に、困難を伴う。
【0112】
上述のように、いくつかの例では、吸入器の使用判定システムは、例えば、(例えば、マウスピースカバーが初めて開かれた後)使用判定システムが初めて省エネスリープモードから立ち上げられたとき、内部カウンタ(例えば、0から無限にカウントアップする)を開始してよい。その後、使用判定システムによって生成されるタイムおよびデータスタンプは、クロックモジュールの内部カウンタに基づく相対時間(またはカウント)でよい。そして、吸入器がユーザデバイスに存在する処理モジュールと接続すると、処理モジュールは、吸入器がモバイルアプリケーションに接続した最終の時刻を指す時間、または、吸入器から取得した直近の使用イベントの時間を示してよい。これに応答して、吸入器は、その時間より後の使用イベントだけを送信してよい。処理モジュールは、吸入器から、1つ又は複数の使用イベント、および、関連付けられたタイムスタンプ(例えば、内部カウンタからの相対カウント)を受信してよい。処理モジュールは、タイムスタンプに対する地方平均時およびタイムゾーンを決定し、地方平均時およびタイムゾーンを使用イベントと関連付けてよい。タイムゾーンは、使用イベントを受信した時点の処理モジュールのタイムゾーンであってもよいし、使用イベントと関連付けられた時点における処理モジュールのタイムゾーンであってもよい。処理モジュールは、次いで、使用イベント、および、関連付けられた地方平均時、および、関連付けられたタイムゾーンを、DHPに送信してよい。DHPは、使用イベント、地方平均時刻、および、タイムゾーンをユーザと関連付けてよい。
【0113】
次に、DHPは、ヘルスケアプロフェッショナルによってアクセスされると、ヘルスケアプロフェッショナルによって選択されたプログラムのユーザ、吸入器、及び/又は、薬剤に特有のアラートを、ユーザと関連付けられた直近の使用イベントのタイムゾーンに基づいて生成してよい。例えば、DHPは、薬剤タイプおよび直近の使用イベントに基づき、タイムフレーム(例えば、タイムウィンドウ)を決定してよい。そして、DHPは、タイムウィンドウ内のユーザの使用イベントを全て示すアラート(例えば、GUI)を生成してよい。DHPは、直近の使用イベントに基づくタイムウィンドウを、使用イベントのタイムゾーンおよび追加N日(例えば、レスキュー薬剤の場合はN=6、メンテナンス薬剤の場合はN=29または30)に基づいて決定してよい。例えば、薬剤タイプがレスキュー薬剤であり、ユーザの直近の使用イベントが2020年6月30日午前8時30分(GMT+9)に発生した場合、タイムウィンドウは2020年6月30日とその前6日間を含むこととなる。しかしながら、薬剤タイプがレスキュー薬剤であり、ユーザの直近の使用イベントが2020年6月29日19時30分(GMT-5)に発生した場合、タイムウィンドウは2020年6月29日とその前6日間を含むこととなる。したがって、使用イベントが同じ時刻に発生したにもかかわらず、各アラートに対するタイムウィンドウは、そのユーザの直近の使用イベントの地方平均時に基づいて(例えば、ヘルスケアプロバイダのタイムゾーンに関わらず)異なるように選択されることになる。
【0114】
さらに、DHPは、ヘルスケアプロフェッショナルによってアクセスされると、ヘルスケアプロフェッショナルのタイムゾーンを決定してよく、DHPは、ヘルスケアプロフェッショナルのタイムゾーンに基づいて、ヘルスケアプロフェッショナルによって選択されたプログラムのユーザ、吸入器、及び/又は、薬剤に特有のアラートを生成してよい(例えば、ユーザと関連付けられた直近の使用イベントのタイムゾーンに基づくアラートに加えて、または、それに代えて)。例えば、DHPは、複数の使用イベント、各使用イベントと関連付けられたユーザ、および、使用イベントの関連付けられた地方平均時を示すアラートを生成してよい。次いで、ヘルスケアプロフェッショナルのタイムゾーンとは異なるタイムゾーンと関連付けられている使用イベントに対してのみ、DHPはまた、使用イベントのタイムゾーンを示すアラートを生成してもよい。そこで、いくつかの例では、DHPは、ユーザに対する直近の使用イベントおよび薬剤タイプに基づいてタイムフレーム(例えば、タイムウィンドウ)を決定し、次いで、そのユーザに対するタイムウィンドウ内のそのユーザの使用イベントを全て示すアラート(例えば、GUI)を生成し、各使用イベントのタイムゾーンがヘルスケアプロバイダと関連付けられたタイムゾーンと異なる場合のみ、各使用イベントのタイムゾーンも含んでよい。
【0115】
これらの特徴、およびその他の特徴は、以下の図表に参照して、より詳細に説明される。
【0116】
図1は、一例に係る吸入器100のブロック図である。吸入器100は、使用パラメータの少なくとも1つの値を決定する使用判定システム12を備える。使用パラメータは、使用イベントと称されることがある。使用パラメータの少なくとも1つの値は、
図1において、使用判定システム12を表すブロックと送信モジュール14を表すブロックとの間の矢印によって表されるように、送信モジュール14によって受信される。送信モジュール14は、使用パラメータの値(複数可)に基づきデータを暗号化し、
図1において、送信モジュール14を表すブロックから離れる向きの矢印で表されるように、当該暗号化データを送信する。送信モジュール14による暗号化データの送信は、例えば、先の説明の通り、無線でよい。
【0117】
使用パラメータは、例えば、それぞれの吸入器の使用を備えてよい。比較的単純な実装形態では、少なくとも1つの値は、それぞれの吸入器の使用(例えば、それぞれの吸入器を用いた吸入)が割り出されたとき、「TRUE」を含んでよく、またはそれぞれの吸入器のそのような使用が割り出されてないとき、「FALSE」を含んでよい。
【0118】
使用判定システム12は、吸入器100の使用パラメータの少なくとも1つの値を決定するために用いられる1又は複数の構成要素を含んでよい。使用パラメータは、吸入器100の使用数のカウント、吸入器100の気流の測定、及び/又は、吸入器100の薬剤の使用を示す他の測定値のうちの1つ又は複数でよい。使用判定システム12は、吸入器100の使用を検出するように構成されたスイッチ、吸入器100の使用を検出するように構成された1つ又は複数のセンサ、吸入器100の使用時に押下されるように構成された1つ又は複数のボタン、及び/又は、同様のもののうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0119】
例えば、使用判定システム12は、例えばそれぞれの吸入器の使用前、使用中、又は使用後に作動されるように構成された機械式スイッチを備えてよい。機械式スイッチは、(例えば、ホッパーから1回分の用量を計量すること、ブリスターパックを前進させること及び/又は開封することなどによって)1回分の用量の薬剤が準備され、吸入ができる状態になったことを示してよい。非限定的な例では、吸入器100は、薬剤リザーバ(
図1では示されない)と、当該リザーバから1回分の用量のレスキュー薬剤を計量するように構成された用量計量アセンブリ(
図1では示されない)とを備えている。使用判定システム12は、用量計量アセンブリによる1回分の用量の計量を登録するように構成されてよく、各計量はそれによって、吸入器100を用いて対象者によって行われた吸入を示すものとなる。したがって、1回分の用量は対象者によって吸入される前に用量計量アセンブリを介して計量されるはずなので、吸入器100は、薬剤の吸入回数を監視するように構成されてよい。用量計量アセンブリの非限定的な一例は、
図12~16を参照してより詳細に説明される。
【0120】
代替的または追加的に、使用判定システム12は、異なる方法で、及び/又は、追加的又は代替的なフィードバックに基づいて、各吸入を登録してよい。例えば、使用判定システム12は、適切なセンサ(
図1では示されない)からのフィードバックが、例えば圧力測定値または流量が上首尾の吸入と関連付けられた所定の閾値を超えるときといったように、対象者による1回の吸入が発生したことを示す場合に、対象者による1回の吸入を登録するように構成されてよい。
【0121】
各吸入を登録するために、圧力センサや音響センサといったセンサが、例えば、使用判定システム12に含まれてよい。このようなセンサは、上述した機械式スイッチの代替であってもよいし、それに追加されたものでもよい。圧力センサまたは音響センサが使用判定システム12に含まれる場合、圧力センサは、例えば、
図2、12~16を参照してより詳細に説明されるように、用量計量アセンブリを介して計量された1回分の用量が対象者によって吸入されることを確認する、またはその程度を評価するために使用されてよい。
【0122】
より一般的には、使用判定システム12は、対象者によって行われる各薬剤の吸入の際の気流に関係するパラメータを検出するためのセンサを備えてよい。言い換えれば、使用パラメータは、薬剤の吸入の際の気流に関係するパラメータを備える。したがって、少なくとも1つの値は、例えば、検出された吸入パラメータに関係する数値を備えてよい。
【0123】
吸入パラメータは、例えば、ピーク吸入流量(PIF)、吸入体積、ピーク吸入流量までの時間、及び/又は、吸入持続時間のうちの少なくとも1つでよい。このような例では、少なくとも1つの値は、ピーク吸入流量、吸入体積、ピーク吸入流量までの時間、及び/又は、吸入持続時間の数値を備えてよい。
【0124】
対象者による吸入中の空気流は、関連する圧力変化を測定することによって監視され得るので、圧力センサは、パラメータを測定するのに特に好適であり得る。
図12~16を参照してより詳細に説明されるように、圧力センサは、吸入中に対象者によって空気および薬剤が引き入れられる流路内に位置するか、または、当該流路と流体連通して配置されてよい。適切な流量センサを介するなど、パラメータを測定する代替的な方法も使用されてよい。
【0125】
吸入は、吸入が行われていないときと比較して、吸入器の空気流路内の圧力の減少に関連し得る。圧力変化が最大となる時点は、ピーク吸入流量に対応し得る。圧力センサは、吸入のこの時点を検出してよい。
【0126】
吸入と関連する圧力変化は、代替的または追加的に、吸入体積を決定するために用いられてよい。これは、例えば、圧力センサによって測定された吸入中の圧力変化を用いて、最初に吸入の時間にわたる流量を決定することによって達成されてもよく、次いて、そこから総吸入体積が導出されてもよい。
【0127】
吸入と関連する圧力変化は、代替的または追加的に、吸入持続時間を決定するために使用されてよい。時間が、例えば、吸入の開始と一致する、圧力センサによって測定された圧力の最初の減少から、圧力が吸入が行われていないことに対応する圧力に戻るまで記録されてよい。
【0128】
吸入パラメータは、代替的または追加的に、ピーク吸入流量に達するまでの時間を含んでよい。この吸入流量ピークまでの時間パラメータは、例えば、吸入の開始と一致する、圧力センサによって測定された圧力の最初の減少から、ピーク流量に対応する最小値に達する圧力まで記録されてよい。
【0129】
図2は、非限定的な例に係る吸入器100の使用中の流量16対時間18のグラフを示す。この例における使用判定システム12は、吸入器100のマウスピースカバーが開かれたときに作動するスイッチの形式の機械的に作動されるスイッチを備える。マウスピースカバーは、グラフ上のポイント20で開かれる。この例では、使用判定システム12は、さらに圧力センサを備える。
【0130】
マウスピースカバーが開かれると、使用判定システム12は省エネスリープモードから立ち上げられ、新たな吸入イベントが登録される。また、吸入イベントには、吸入器100がスリープモードから立ち上がってからどれだけの時間(例えばミリ秒)が経過したかに対応する開放時間が割り当てられる。ポイント22は、キャップが閉じること、またはポイント20から60秒が経過したことに対応する。ポイント22で、検出は終わる。
【0131】
マウスピースカバーが開かれると、使用判定システム12は、圧力センサを用いて検出される空気圧における変化を探す。空気圧の変化の開始は、吸気イベント時間24として登録される。空気圧変化が最大となる時点は、ピーク吸入流量26に対応する。使用判定システム12は、ピーク吸入流量26を、毎分100mlの単位で測定される空気の流れとして登録し、空気の流れは空気圧力変化から変換される。したがって、この例では、少なくとも1つの値は、毎分100mLの単位でのピーク吸入流量の値を備える。ユーザインターフェースを介して提供される対応の使用情報は、例えば、同じ単位を用いてまたは毎分リットルで、このピーク吸入流量を表現してよい
【0132】
ピーク吸入流量までの時間28は、ピーク吸入流量26に到達するまでにかかったミリ秒単位での時間に相当する。吸入持続時間30は、吸入全体のミリ秒単位での持続時間に相当する。グラフ32の下側の面積は、ミリリットル単位での吸入体積に相当する。
【0133】
ユーザインターフェースを介して提供される使用情報は、吸入パラメータ(複数可)を数値として提供することに加えて、または、その代わりに、1つ又は複数(または、各々)の吸入イベントの分類を提供してよい。例えば、ピーク吸入流量が0~30リットル/分の間にある場合、マウスピースカバーが開けられてから60秒以内に吸入が検出されなければ、吸入イベントは「低吸入」(30リットル/分以下)または「吸入なし」と分類される。ピーク吸入流量が45リットル/分より大きく、200リットル/分以下の場合、吸入イベントは「良好な吸入」と分類される。ピーク吸入流量が30リットル/分より大きく45リットル/分以下の場合、吸入イベントは「妥当」と分類される。ピーク吸入流量が200リットル/分を超える場合、吸入イベントは「通気口閉塞の可能性」と分類される。吸入イベントが、吸入器100を用いた吸入に対して予想される方向とは反対の方向に気流が検出されることによって感知される「呼息」として分類される場合がある。
【0134】
非限定的な例では、吸入器は、通常の吸入の場合に、吸入の開始の約0.5秒後に薬剤が分配されるように構成される。対象者の吸入が、0.5秒経過後、例えば約1.5秒後にピーク吸入流量にしか達しないことは、対象者が呼吸器疾患の制御が困難であることを部分的に示し得る。ピーク吸入流量に達するまでのそのような時間は、例えば、対象者が差し迫った増悪に直面していることを示し得る。
【0135】
より一般的には、使用判定システム12は、吸入/吸入器の使用を登録するためのおよび吸入パラメータを検出するためのそれぞれのセンサ(例えばそれぞれの圧力センサ)、または、吸入/使用の登録および吸入パラメータの検出の両方の機能を満たすように構成された共通のセンサ(例えば共通の圧力センサ)を採用してよい。
【0136】
1つ又は複数の圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、配向センサ、音響センサ、及び/又は光学センサなど、任意の適切なセンサが、使用判定システム12に含まれてよい。 圧力センサ(複数可)は、気圧センサ(例えば、大気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧センサ、及び/又は、同等のものを含んでよい。センサは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)及び/又はナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)技術を採用してよい。
【0137】
非限定的な例では、使用判定システム12は、差圧センサを備えてよい。差圧センサは、例えば、対象者が吸入する空気通路のセクションを横切る圧力差を測定するためのデュアルポートタイプのセンサを備えてよい。代替的に、シングルポートゲージタイプのセンサが用いられてもよい。後者は、吸入時と無流時の空気通路の圧力差を測定することにより作動する。読取値の差は、吸入と関連する圧力降下に相当する。
【0138】
別の非限定的な例では、使用判定システム12は、音響センサを含む。この例における音響センサは、対象者がそれぞれの吸入器100を通じて吸入する際に発生するノイズを感知するように構成される。音響センサは、例えば、マイクロフォンを含んでよい。それぞれの吸入器100は、例えば、対象者がデバイスを通じて吸入するときにスピンするように配置されたカプセルを備えてよく、カプセルのスピンは、音響センサによる検出のためのノイズを発生させる。カプセルのスピンは、したがって、使用及び/又は吸入パラメータデータを導出するために、適切に解読可能なノイズ、例えばガタガタ音を提供し得る。
【0139】
アルゴリズムが、例えば、吸入中の気流に関係する使用データ及び/又はパラメータを決定するべく、音響データを解釈するために用いられてよい。例えば、P. Colthorpeら、「Adding Electronics to the Breezhaler: Satisfying the Needs of Patients and Regulators」、Respiratory Drug Delivery 2018、1、71-80で説明されるようなアルゴリズムが用いられてよい。発生した音が検出されると、アルゴリズムは、生の音響データを処理して、使用及び/又は吸入パラメータデータを生成してよい。
【0140】
図3は、非限定的な例に係るシステム10のブロック図を示す。システム10は、例えば、代替的に「吸入器アセンブリ」と称されることがある。
【0141】
図3に示されるように、システム10は、第1使用判定システム12Aと第1送信モジュール14Aとを備える第1吸入器100Aを備える。システム10は、第2使用判定システム12Bと第2送信モジュール14Bとを備える第2吸入器100Bをさらに備える。先の説明の通り、第1吸入器100Aは、第1薬剤を送達し、第2吸入器100Bは、いくつかの例では第1薬剤とは異なる第2薬剤を送達する。
【0142】
本開示において必須ではないが、
図3に描かれたシステム10は、第3使用判定システム12Cと第3送信モジュール14Cとを備える第3吸入器100Cをさらに備える。第3吸入器100Cは、第1および第2薬剤とは異なる第3薬剤を送達する。別の例では、システム10に、第3吸入器100Cは含まれず、または、第1吸入器100A、第2吸入器100B、および、第3吸入器100Cに加えて第4、第5等の吸入器(図示されない)が含まれる。代替的または追加的に、システム10は、先の説明の通り、複数の第1吸入器100A、複数の第2吸入器100B等を含む。
【0143】
システム10は、処理モジュール34を備え、当該モジュールは、
図3において、送信モジュール14A、14B、14Cのそれぞれに対応するブロックと処理モジュール34に対応するブロックとの間の矢印によって表されるように、送信モジュール14A、14B、14Cのそれぞれから送信されたそれぞれの暗号化データを受信するように構成される。第1、第2、及び/又は、第3暗号化データは、先の説明の通り、処理モジュール34に無線で送信されてよい。したがって、処理モジュール34は、暗号化データを受信するための適切なレシーバまたはトランシーバを備えてよい。処理モジュール34のレシーバまたはトランシーバは、送信モジュール14A、14B、14Cと同じ通信プロトコルを実行するように構成されてよく、したがって、本明細書で説明される送信モジュール14A、14B、14Cと同様の通信ハードウェアおよびソフトウェアを含んでよい(
図3では図示されない)。
【0144】
処理モジュール34は、処理モジュールについて本明細書で説明される機能を実行するように構成された適切なプロセッサおよびメモリを備えてよい。例えば、プロセッサは、処理モジュールの機能を実施するためのコンピュータ実行可能命令でプログラムされた汎用プロセッサでよい。プロセッサは、処理モジュールの機能を実行するように構成されたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを用いて実装されてよい。プロセッサは、処理モジュールの機能を実行するように構成された組み込みプロセッサまたはデジタル信号プロセッサを用いて実装されてよい。一例では、プロセッサは、送信モジュール14A、14B、14Cと通信し、かつ、本明細書で説明される処理モジュール34の機能を実行することができるスマートフォンまたは他の消費者電子デバイス上に実装されてよい。例えば、処理モジュールは、ユーザデバイスのプロセッサに本明細書で説明される処理モジュール34の機能を実行せしめるアプリケーション(例えば、モバイルアプリケーション)を含むスマートフォンまたは消費者電子デバイスなどのユーザデバイスに実装されてよい。
【0145】
処理モジュール34は、例えば、先の説明の通り、それぞれの識別子を用いることで、第1暗号化データ、第2暗号化データ、および、第3暗号化データを区別する。
【0146】
処理モジュール34は、区別された第1暗号化データに基づいて、第1薬剤に関係する第1使用情報を決定する。第1使用情報は、先の説明の通り、第1吸入器100Aの登録された使用、または、第1吸入器100Aを用いて行われた吸入、及び/又は、第1吸入器100Aを用いたそのような吸入中の気流に関係するパラメータを含んでよい。使用情報は、使用パラメータまたは使用パラメータから導出される情報を含んでよい。そして、いくつかの例では、使用パラメータは、使用イベントでよい。
【0147】
同様に、処理モジュール34は、区別された第2および第3暗号化データに基づいて、第2および第3薬剤にそれぞれ関係する第2および第3使用情報を決定する。
【0148】
システム10は、ユーザインターフェース38をさらに備える。処理モジュール34は、第1、第2、及び/又は第3使用情報を通信するようにユーザインターフェース38を制御するように構成される。処理モジュール34を表すブロックからユーザインターフェース38を表すブロックに向く矢印は、制御信号(複数可)を表すことを意図したものであり、この信号は、ユーザインターフェースが使用情報を通信することを、例えば使用情報を表示することをもたらす。この点で、ユーザインターフェース38は、それぞれの使用情報を表示することができる任意の適切なディスプレイ、タッチスクリーンのようなスクリーンを備えてよい。代替的または追加的に、それぞれの使用情報は、ユーザインターフェース38によって音声メッセージを介して提供されてよい。そのような例では、ユーザインターフェース38は、音声メッセージを配信するための適切なラウドスピーカを備える。それぞれの使用情報を通信する多数の方法が用いられてよい。
【0149】
このようにして、システム10は、対象者がそれぞれの薬剤の使用について知らされることを可能にし、この薬剤は、先の説明の通り、それぞれの薬剤に特有の処置レジメン及び/又は投与プロトコルに従って投与され得る。
【0150】
送信モジュール14A、14B、14Cはそれぞれ処理モジュール34に(暗号化された)データを送信するものとして
図3に示されているが、これは、それぞれの吸入器100A、100B、100C、またはその構成モジュールが処理モジュール34から送信されたデータを受信することを除外することを意図していない。
【0151】
非限定的な例では、クロックモジュール(図では見えない)が、それぞれの吸入器100A、100B、100Cの使用パラメータに時間、例えばタイムスタンプを割り当てるために、それぞれの吸入器100A、100B、100Cに含まれる。この例では、処理モジュール34は、それぞれの吸入器100A、100B、100Cのクロックモジュールを同期させるように構成される。このような同期は、例えば、それぞれの吸入器100A、100B、100Cの使用の相対的なタイミングを決定することを可能にする基準点を提供してもよく、これは、先の説明の通り、臨床的関連性を有する可能性がある。割り当てられた時間、例えばタイムスタンプは、例えば、ユーザインターフェース38によって通信される、例えば表示される、それぞれの薬剤の使用情報に含まれてよい。
【0152】
図3には示されていないが、処理モジュール34は、いくつかの例において、さらなるクロックモジュールを含んでよい。したがって、それぞれの吸入器100A、100B、100Cの各々のクロックモジュールは、さらなるクロックモジュールによって提供される時間に従って同期されてよい。さらなるクロックモジュールは、例えば、処理モジュール34が在るところのタイムゾーンの時刻を受信してよい。これにより、それぞれの吸入器100A、100B、100Cは、対象者と彼らのそれぞれの吸入器100A、100B、100Cが位置する時間に従って同期され、先の説明の通り、臨床的関連性を有するさらなる情報を提供し得る。
【0153】
実施形態において、処理モジュール34は、ユーザデバイス40に含まれる第1処理モジュールに少なくとも部分的に含まれる。ユーザデバイス40の第1処理モジュールにおいて、それぞれの吸入器100A、100B、100Cからの使用データの処理をできるだけ多く実施することにより、それぞれの吸入器100A、100B、100Cにおけるバッテリ寿命が有利に節約され得る。ユーザデバイス40は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、または、スマートフォンから選択される少なくとも1つでよい。そして、いくつかの例では、処理モジュール34は、ユーザデバイス40に存在するモバイルアプリケーションを含んでよい(例えば、それでよい)。
【0154】
代替的または追加的に、ユーザインターフェース38は、ユーザデバイス40の第1ユーザインターフェースによって少なくとも部分的に規定されてよい。ユーザデバイス40の第1ユーザインターフェースは、例えば、スマートフォン40のタッチスクリーンを備えてよいし、または、それによって規定されてよい。
【0155】
他の非限定的な例では、処理モジュールはユーザデバイスに含まれない。例えば、処理モジュール(または、処理モジュール34の少なくとも一部)は、サーバ、例えば、DHPのようなリモートサーバに設けられてよい。
【0156】
図4は、非限定的な例に係る吸入器100の外観の正面図および背面図を示す。吸入器100は、トップキャップ102と、メインハウジング104と、マウスピース106と、マウスピースカバー108と、通気口126とを備える。マウスピースカバー108は、マウスピース106および通気口126を露出させるために開閉できるように、メインハウジング104にヒンジで固定されてよい。描かれた吸入器100はまた、機械式投与カウンタ111を備え、その投与(用量)カウントは、先の説明の通り、処理モジュールによって(使用前に吸入器100によって含まれる投与回数の総数に基づいて、および使用判定システム12によって判定された使用に基づいて)決定された残りの投与数を確認するために使用され得る。
【0157】
図4に示される非限定的な例では、吸入器100は、その上に印刷されたバーコード42を有する。この例におけるバーコード42は、トップキャップ102の上端面に印刷されたクイックレスポンス(QR)コード(登録商標)である。使用判定システム12及び/又は送信モジュール14は、例えば電子モジュール(
図4では示されない)の構成要素として、少なくとも部分的にトップキャップ102内に配置されてよい。吸入器100の電子モジュールは、
図12~
図15を参照してより詳細に説明される。
【0158】
QRコードは、
図4に示される吸入器100のトップキャップ102の真上からの図を提供する
図5において、より明確に視認可能である。QRコード42は、ユーザデバイス40がQRコードを読み取るためのカメラなどの適切な光学リーダを備える例において、それぞれの吸入器100を処理モジュール34とペアリングするための容易な方法を提供し得る。
図6は、ユーザが、ユーザデバイス40に含まれるカメラ(この特定の例ではスマートフォンである)を用いて、吸入器100を処理モジュール34とペアリングしている様子を示す。
【0159】
このようなバーコード42、例えばQRコードは、先の説明の通り、吸入器100のそれぞれの薬剤に割り当てられる識別子を備えてよい。表1は、様々な吸入器100のQRコード42に含まれる識別子の非限定的な例を提供する。
[表1]
【0160】
表1に示されるように、識別子は、投与強度および使用前の吸入器の総投与カウントをさらに示す。先の説明の通り、処理モジュール34は、前者を使用して、使用情報と組み合わせて、ユーザインターフェース38を制御して、ラベルで推奨された投与回数(用量数)を超えたときに通知を発してよい。代替的または追加的に、先の説明の通り、処理モジュール34は、使用前の吸入器の総投与カウントおよび使用情報を使用して、それぞれの吸入デバイス100内に残っている用量の投与回数を決定してよい。
【0161】
吸入器上のバーコード42、例えば、QRコードは、例えば、非承認のユーザたちがそれぞれの吸入器100にアクセスすることを防止するために、セキュリティキーを、例えば一連の英数字の形態でさらに含んでよい。処理モジュール34は、いったん処理モジュール34にセキュリティキーが提供されると、それぞれの暗号化データを復号できるようにしてよいが、処理モジュール34にセキュリティキーが提供される前に、それぞれの暗号化データを復号できないようにしてよい。より一般的には、セキュリティキーは、それぞれの識別子に含まれてよい。
【0162】
非限定的な例では、システムは、当該システムに含まれる吸入器のうちの1つ又は複数、例えば、それぞれを、単一のユーザアカウントに制限するように構成される。
【0163】
そのような例では、例えばQRコードで提供されるパスキーがそれぞれの吸入器とシステムの処理モジュールとの間の同期を可能にしてよい。それぞれの吸入デバイスからのパスキー、及び、ひいては、使用パラメータデータ(例えば、吸入及び/又は使用データ)は、公開されてよい。このパブリック吸入データは、単一のユーザアカウントと同期するまで、特定の対象と関連付けられなくてよい。
【0164】
システムは、それぞれの吸入器を単一のユーザアカウントと関連付けられるように制限するように構成されるので、それぞれの吸入器は、例えば吸入器が紛失または盗まれた状況において、別のユーザアカウントと同期されることを防止され得る。こうして、第三者が、第三者のものではない使用パラメータデータを取得することを防止し得る。
【0165】
他の非限定的な例では、例えば、処理モジュール34は、ユーザインターフェース、例えばタッチスクリーンを介して、それぞれの識別子を含む英数字キーを手動で入力することによって、それぞれの吸入器100とペアリングされてよい。
【0166】
図7は、一例に係る方法50のフローチャートである。方法50は、対象者に第1薬剤を送達するように構成された第1吸入器の第1送信モジュールから、第1暗号化データを受信すること52を備える。第1暗号化データは、先の説明の通り、第1吸入器に含まれる第1使用判定システムによって決定された第1吸入器の使用に関係する使用パラメータの第1値に基づいている。
【0167】
第2暗号化データは、対象者に第2薬剤を送達するように構成された第2吸入器に含まれる第2送信モジュールから受信される(符号54)。第2暗号化データは、第2吸入器の使用に関係する使用パラメータの第2値に基づいている。第2薬剤は、第1薬剤とは異なる。
【0168】
この方法は、第1暗号化データと第2暗号化データとを区別すること56と、区別された第1暗号化データから第1薬剤に関係する第1使用情報を決定すること58とをさらに備える。第2薬剤に関係する第2使用情報は、区別された第2暗号化されたデータから決定される(符号60)。ユーザインターフェースは、第1および第2使用状況情報を表示するように制御される(符号62)。非限定的な一例として、ユーザインターフェースは、第1および第2使用状況情報を例えば単一のGUIに同時に表示するGUIを、表示してよい。
【0169】
実施形態において、第1暗号化データを受信すること52は、複数の第1吸入器の各々の第1送信モジュールから第1暗号化データを受信することを備え、前記複数の第1吸入器の各々は、第1薬剤を送達するように構成される。
【0170】
代替的または追加的に、第2暗号化データを受信すること54は、複数の第2吸入器の各々の第2送信モジュールから第2暗号化データを受信することを備えてよく、前記複数の第2吸入器の各々は、第2薬剤を送達するように構成される。
【0171】
図7には示されていないが、方法50は、第1および第2薬剤とは異なる第3薬剤を送達するように構成された第3吸入器に含まれる第3送信モジュールから第3暗号化データを受信することを、さらに備えてよい。そのような例では、方法50は、第3暗号化データを第1暗号化データおよび第2暗号化データから区別することと、区別された第3暗号化データから第3薬剤に関係する第3使用情報を決定することと、を備える。ユーザインターフェースは、第3使用情報を表示するように制御される。
【0172】
方法50は、識別子を受け取ることを備えてよく、各識別子は、それぞれの吸入器によって送達される薬剤に従って割り当てられている。それぞれの識別子は、次いて、先の説明の通り、それぞれの暗号化データを区別するために用いられてよい(符号56)。
【0173】
クロックモジュールは、例えば、それぞれの吸入器の前記使用パラメータに時間を割り当てるために、それぞれの吸入器に含まれてよい。このような例では、方法50は、それぞれの吸入器のクロックモジュールを同期させることをさらに備える。使用パラメータに割り当てられた時間は、例えば、それぞれの薬剤に対しての使用情報に含まれてよい。同期させることは、いくつかの例では、先の説明の通り、それぞれのクロックモジュールを、それぞれの吸入器が在るところのタイムゾーンの時刻と同期させることを備えてよい。
【0174】
非限定的な例では、処理モジュールは、システムに含まれる吸入器の1つ又は複数、例えば各々、から受信した暗号化データに基づいて、使用及び/又はシステムエラーを決定する。使用及び/又はシステムエラーは、使用イベントの一種であってよい。そのような使用エラーは、例えば、それぞれの吸入器または多数の吸入器の誤用の可能性を示すものでよい。システムエラーは、それぞれの吸入器の使用判定システム及び/又は送信モジュールなど、それぞれの吸入器の構成要素の欠陥を示すものでよい。システムエラーは、例えば、それぞれの吸入器のハードウェア欠陥を含んでよい。ユーザインターフェースは、決定された使用及び/又はシステムエラーに基づいて、アラートまたは通知を提供するように処理モジュールによって制御されてよい(例えば、異なる薬剤を潜在的に含む複数の異なる吸入器の各々の決定された使用及び/又はシステムエラーに対してのアラートまたは通知を提供するといったように)。
【0175】
使用エラーは、例えば、低吸入イベント、吸入なしイベント、及び/又は、過剰吸入イベントを含んでよい。そのようなイベントは、
図16を参照して以下でより詳細に説明される。
【0176】
使用エラーは、代替的または追加的に、以下の1つ又は複数を含んでよい:マウスピースカバーが所定の時間期間(例えば60秒)よりも開いたままであること;複数の吸入が上述の機械式スイッチの単一の作動に対して記録されること(例えば同じマウスピースカバー開/閉セッション内で行われる第2吸入が記録されること);及び、正の圧力変化が流路内で感知されることから割り出されるような、流路を通じた呼息。
【0177】
使用エラーが、マウスピースカバーが所定時間よりも開いたままであることに関連する場合、吸入器の検出回路は、電池寿命を維持するために所定時間だけアクティブに留まってよい。これは、そうでなければこの所定の時間期間外に発生した使用判定システムによって検出/判定可能であったものが、検出/記録されないことを意味し得る。したがって、このエラーをユーザに通知することは、そうでなければ検出可能なイベントがマウスピースカバーの開放をトリガとする所定時間期間外には検出されないことを、ユーザに知らせるという目的を果たし得る。
【0178】
上記の呼息に基づく使用エラーは、そのような呼息が、例えば同じマウスピースカバー開/閉セッション内といった機械式スイッチの所定の作動に関する吸入が行われることに続いて、感知される場合、記録されないかもしれないことに留意されたい。
【0179】
システムエラーは、以下の1つまたは複数を備えてよい:吸入データを吸入器に含まれるメモリ(使用判定システムに含まれるメモリなど)に保存する際に問題が発生すること(「破損データエラー」);吸入器のクロックモジュールに関するエラー(「タイムスタンプエラー」);及び、吸入ついての情報の収集に関係するエラー(「吸入パラメータエラー」)。
【0180】
特定の例では、システムに含まれる1つ又は複数の、例えば全ての、吸入器からの使用及び/又はシステムエラーが、処理モジュールによって、収集され、例えば集計される。処理モジュールは、収集された使用及び/又はシステムエラーに基づいてアラートまたは通知を提供するためにユーザインターフェースを制御するようにさらに構成される。例えば、処理モジュールは、システムに含まれる吸入器から収集された使用及び/又はシステムエラーの数が使用及び/又はシステムエラーの所定の数に達するか又はそれを超えることに基づいて、ユーザインターフェースを制御してアラートまたは通知を提供する。
【0181】
図8に示される通り、本開示は、さらに、方法70を提供し、当該方法70は、薬剤を分配するように構成されたさらなる吸入器を、処理モジュールとユーザインターフェースと薬剤を分配するように構成された既存の吸入器とを含むシステムに、追加すること72を備える。さらなる吸入器は、(さらなる)使用判定システムおよび(さらなる)送信モジュールを含み、既存の吸入器は、既存の使用判定システムおよび既存の送信モジュールを含む。このような使用判定システムおよび送信モジュールは、既に上記で説明されており、ここでの更なる説明は、簡潔にするだけの目的で省略される。
【0182】
方法70は、先の説明の通り、さらなる吸入器またはその包装に印刷された、例えばQRコードといったバーコードを介して、さらなる吸入器に付与された識別子を受け取ること74を備える。識別子は、薬剤と当該薬剤の投与強度とを少なくとも示す。本方法は、識別子によって示されるさらなる吸入器内の薬剤の投与強度が既存の吸入器内の薬剤の投与強度と異なる場合、処理モジュールを用いてユーザインターフェースを制御して、少なくとも1つの通知を発すること76を、さらに備える。
【0183】
当該少なくとも1つの通知は、例えば、さらなる吸入器の投与強度が既存の吸入器のそれと異なることを対象者に知らせる通知、及び/又は、対象者が既存の吸入器を廃棄することを要求する通知を含んでよい。このようにして、システムは、対象者が処方変更に適応することを支援し得る。
【0184】
本開示は、さらに、システムに加えられたさらなる吸入器の薬剤がさらなるメンテナンス薬剤であるかどうかを判定することを備える方法を提供し、前記システムは、処理モジュール、ユーザインターフェース、および、メンテナンス薬剤を送達する既存の吸入器を備える。
【0185】
さらなる吸入器は、(さらなる)使用判定システムと(さらなる)送信モジュールとを含み、既存の吸入器は、既存の使用判定システムと既存の送信モジュールとを含む。このような使用判定システムおよび送信モジュールは、既に上記で説明されており、ここでの更なる説明は、簡潔にするだけの目的で省略される。
【0186】
薬剤がさらなるメンテナンス薬剤であるかどうかの判定は、例えば、さらなる薬剤がメンテナンス薬剤であること、またはレスキュー薬剤などの異なる薬剤タイプであることを識別する識別子に基づいてよい。識別子は、システムの処理モジュールによって受信されてもよく、処理モジュールが、当該判定を実施してもよい。このような識別子は、例えば、先の説明の通り、さらなる吸入器のQRコードに含まれてよい。
【0187】
薬剤がさらなるメンテナンス薬剤として識別される場合、方法は、ユーザインターフェースを制御して、既存の吸入器およびさらなる吸入器のうちの1つを選択するようにユーザに促すことをさらに備えてよい。次いで、リマインダが、例えば処理モジュールがユーザインターフェースを制御してそのようなリマインダを提供することによって、ユーザの選択に従って発せられて、既存の吸入器/さらなる吸入器をメンテナンス薬剤/さらなるメンテナンス薬剤の投与に関係する処置レジメンに従って使用するように対象者にリマインドしてよい。
【0188】
この態様では、方法(または方法を実施するように構成されるシステム)は、そのようなリマインダを1つのメンテンナンス吸入器に制限してよい。言い換えれば、対象者が複数のメンテナンス吸入器を処方されている場合、ユーザの選択により、システムは、選択されたメンテナンス吸入器に対してのリマインダを提供するが、選択されなかったメンテナンス吸入器に対してのリマインダを提供しないようにしてよい。対象者またはユーザは、対象者の特定のまたは現在の処置レジメンに基づいて、特定のメンテナンス吸入器を選択してよい。
【0189】
代替的または追加的に、方法は、薬剤がさらなるメンテナンス薬剤であるという判定に基づいて、システムがメンテナンス薬剤とさらなるメンテナンス薬剤の両方を備えるというアラートを、例えばユーザインターフェースを介して、及び/又は、ヘルスケアプロバイダに通知を送信することによって、提供することを備えてよい。
【0190】
このようなアラートは、例えば、ユーザまたは対象者に、複数のメンテナンス薬剤が当該対象者に処方されていることをヘルスケアプロバイダ(及び/又は医師)に確認するよう知らせるメッセージを備えてよい。
【0191】
このような例は、例えば対象者がメンテナンス処置間を移行しているときなど、対象者が同時に2つのメンテナンス薬剤を処方されている場合に適用可能でよい。さらなる吸入器がシステムに追加されたとき、例えばさらなる吸入器のQRコードがスキャンされたとき、処理モジュールは、例えばユーザインターフェースを制御することによって、及び/又は、対象者のヘルスケアプロバイダにアラートを送信することによって、アラートを提供するように構成されてよい。
【0192】
また、コンピュータプログラムが提供されてよく、当該コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムコードであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書で説明される任意の方法および技術を実施するように適合されたコンピュータプログラムコードを備えてよい。好ましい実施形態では、コンピュータプログラムは、例えばユーザデバイス40(タブレットコンピュータ、スマートフォンといったモバイルデバイスといった)用のアプリといったアプリの形態をとる。
【0193】
図9は、例示のシステム90の図であって、当該システムは、吸入デバイス100と、処理モジュールを備えるユーザデバイス92(例えば、モバイルアプリケーションを備えるユーザデバイス)と、パブリック及び/又はプライベートネットワーク94(例えば、インターネット、クラウドネットワークなど)と、病院または病院システム、ヘルスシステム、医療グループ、医師、クリニック、及び/又は、製薬会社などのヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータまたはサーバ98とを含む。システム90はまた、1つ又は複数のサーバに存在するデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)96を含み、DHP96に関して説明される機能を実行するように構成されたコンピュータソフトウェアを含んでよい。
【0194】
ユーザデバイス92は、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)スマートフォン、Android(登録商標)スマートフォン、またはBlackberry(登録商標)スマートフォン)、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ワイヤレス対応メディアデバイス(例えば、MP3プレーヤ、ゲームデバイス、テレビ、メディアストリーミングデバイス(例えば、Amazon Fire TV、Nexus Playerなど)など)、タブレットデバイス(例えば、iPad(登録商標)ハンドヘルドコンピューティングデバイス)、Wi-Fiまたはワイヤレス通信可能テレビ、または任意の他の適切なインターネットプロトコル対応デバイスを含んでよい。例えば、ユーザデバイス92は、本明細書に記載の通り、送信モジュールを含んでよく、したがって、Wi-Fi通信リンク、Wi-MAX通信リンク、Bluetooth(登録商標)またはBluetooth Smart communications link、近距離無線通信(NFC)リンク、セルラー通信リンク、テレビ用ホワイトスペース(TVWS)通信リンク、またはそれらの任意の組合せを介して、RF信号を送信及び/又は受信するように構成されてよい。ユーザデバイス92は、例えば専用APIを用いて、パブリック及び/又はプライベートネットワーク94を介して、DHP96にデータを転送してよい。例えば、ユーザデバイス92は、1つ又は複数の吸入デバイス100に関係する使用データをDHP96に送信してよい。
【0195】
ユーザデバイス92は、データを処理し、分析して、吸入デバイス100と関連付けられた使用パラメータを決定してよい。例えば、ユーザデバイス92は、データを処理して、吸入なしイベント、低吸入イベント、良好な吸入イベント、過剰吸入イベント、呼息イベント、作動イベント、エラーイベント、過少使用イベント、過剰使用イベントといった、使用イベントを特定してよい。ユーザデバイス92は、表示デバイスと、当該表示デバイス上のGUIを通じて使用イベントに関係する使用パラメータ及び/又はデータを視覚的に提示するためのソフトウェアとを含む。
【0196】
DHP96は、複数の異なるユーザと関連付けられている複数の吸入器100からデータを受信し、集約するように構成される。例えば、DHP96は、ユーザデバイス(例えば患者向けのモバイルアプリケーション)に存在する処理モジュールから吸入器データを受信し、格納するように構成される。DHP96は、当該データを分析し、取り扱うように構成される。さらに、DHP96はまた、(例えば、ダッシュボードアプリケーションを介して)、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータ98に、データを提供するようにも構成される。吸入器データは、本明細書で説明される吸入器を参照して説明される任意のデータを含んでよい。
【0197】
吸入器データは、例えば、(例えばユーザデバイス92に存在する)処理モジュール及び/又はDHP96において、吸入器100及び/又はユーザプロファイルと関連付けられてよい。1つのユーザプロファイルは、同じ及び/又は異なる薬剤タイプの複数の吸入器100と関連付けられてよい。DHP96はまた、吸入器データを特定のユーザプロファイルから識別解除(例えば、関連付け解除)してよく、DHP96は、吸入器100に関係する識別解除されたデータに対して分析を実行してもよい。処理モジュール92から吸入器データを受信するものとして説明されているが、いくつかの例では、DHP96は、吸入器100の通信モジュールがDHP96と直接通信することができるセルラーチップセットを含む場合などにおいては、吸入器100自体から直接データを受信してよい。
【0198】
DHP96は、ユーザデバイス92に存在する処理モジュールからのデータの転送を可能にし、場合によっては開始するように構成されてよい。例えば、DHP96は、ユーザデバイス92に存在する処理モジュールに対してREST APIを公開してよい。DHP96はまた、コンピュータ98からの入力データを格納してもよい。DHP96は、患者の同意(コンセント)を、彼らのそれぞれのユーザデバイス92に存在するそれぞれの処理モジュールを介して受けてよい。
【0199】
DHP96は、ダッシュボードアプリケーションを含んでよく、当該アプリケーションは、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータ98によってアクセス可能でよい。いくつかの例では、ダッシュボードアプリケーションは、webアプリケーション(例えば、webポータル)である。例えば、DHP96は、ダッシュボードアプリケーションの使用を通じて(例えば、REST APIを介して)、吸入器データなどのデータを臨床医および医師に提供するように構成される。
【0200】
さらに、DHP96は、ヘルスケアプロバイダと関係付けられたコンピュータ98に、吸入器データを医師およびヘルスケアプロフェッショナルへ提供させて、彼らが、患者が同意したプログラムに特有の吸入器データを検討できるようにしてよい。一例では、DHP96は、ヘルスケアプロバイダと関連付けられたコンピュータ98に、ヘルスケアプロバイダのコンピュータと関連付けられた表示デバイス上に提示されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して吸入データを提供させる。非限定的な一例のGUI1000が
図10に示されており、これは、コンピュータ98と関連付けられた表示デバイスに表示されるGUI全体の一部であってよい。各GUIは、例えば、特定のプログラム(上述のような)に対して特有のものであってもよく、ユーザ(例えば、患者)の名前1002、ユーザの生年月日(Date-of-Birth, DOB)1004、およびプログラムの一部である特定の薬剤タイプごとに列で分けられた吸入器データ1006a~nの任意の組合せを提供してよい。GUI1000は、ユーザごとに特定の情報を提供してよく、例えば、情報が、特定の薬剤タイプを提供するユーザの吸入器100の全てに対して薬剤タイプごとに集計されてよい。例えば、GUIは、特定の薬剤タイプを含む全ての吸入器100に対して、1週間または30日などの期間にわたって発生した使用イベントの(例えば、良好な吸入イベント、妥当な吸入イベント、低吸入または吸入なしイベント、呼息イベント、および、通気口閉塞の可能性イベントといった吸入イベント)の総数、良好な吸入イベントとして分類された吸入イベントの割合、および、ユーザと関連付けられている特定の薬剤タイプの吸入器100のうち、最も古い、すなわち最も遠間の最終同期時刻を示す全接続デュレーションを提供してよい。
【0201】
さらに、いくつかの例では、DHP96は、プログラムに含まれる特定の薬剤に基づいて、GUI上のユーザのリスティングを優先するように構成される。例えば、上述したように、DHP96は、レスキュー薬剤タイプおよびメンテナンス薬剤タイプがプログラムに含まれている場合、(例えば、1週間といった特定の時間範囲にわたって)レスキュー薬剤タイプを含む吸入器100の使用イベントの数が最多のユーザを最初に示すように、GUI上でユーザのリスティングを優先するように構成されてよい。このような例では、DHP96はまた、レスキュー薬剤タイプがプログラムに含まれていない場合、(例えば、1ヶ月といった特定の時間範囲にわたって)メンテナンス薬剤タイプを含む吸入器100の使用イベントの数が最少のユーザを最初に示すように、GUI上でユーザのリスティングを優先するように構成される。
【0202】
図11は、DHPによって実行される工程1100のフローチャートである。DHPは、ユーザ要求の受信に応答して、及び/又は、新しい使用イベントの受信に応答して、工程1100を自動的に実行してよい。工程1100は、1102で開始してよい。1104で、DHPは、複数の使用イベントを特定してよい。例えば、DHPは、プログラム、医師、組織などに基づいて使用イベントを特定してよい。上述のように、プログラムは、薬剤のタイプ(例えば、レスキュー薬剤及び/又はメンテナンス薬剤の任意の組合せ)、特定の患者、および、ひいてはそれらの適用可能な吸入器(例えば、薬剤タイプに基づく)、特定の医師、診療グループ、及び/又は管理者などのプログラムの他のユーザ、チャート、イベントテーブル、使用サマリーなどのヘルスケアプロバイダに示されるデータのタイプなど、一連の基準を規定してよい。このように、複数の使用イベントは、プログラム、医師、及び/又は組織と関連付けられている使用イベントでよい。
【0203】
1106において、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲を特定してよい。薬剤タイプ(複数可)は、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ、及び/又は、1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを含んでよい。時間帯は、例えば、昼間(例えば、午前8時から午後8時の間と規定される)、夜間(例えば、午後8時から午前8時の間と規定される)、および、終日を含んでよい。代替的または追加的に、時間帯は、開始時刻(例えば、午後10時)と終了時刻(例えば、午前6時)の間などの時間帯のカスタマイズ可能な規定を含んでよい。日付範囲は、開始日および終了日を含んでよく、または、先週(過去数週間も可)、先月など、予め構成され動的に調整される日付範囲の選択を含んでよい。いくつかの例では、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲の選択を(例えば、ユーザから)受けてよい。他の例では、DHPは、薬剤タイプ(複数可)、時間帯、及び/又は、日付範囲を決定するためにコンピュータロジックを実行してよい。
【0204】
1108にて、DHPは、選択された薬剤タイプ、選択された時間帯、及び/又は、選択された日付範囲に基づき、使用イベントのサブセットを決定してよい。DHPは、複数の使用イベントの各使用イベントを、選択された薬剤タイプ、選択された時間帯、及び/又は、選択された日付範囲と比較してよい。使用イベントが、選択された薬剤タイプ、選択された時間帯、および、選択された日付範囲に合致する場合、DHPは、1110にて、当該使用イベントを、使用イベントの規定されたサブセットに含めてよい。そうでない場合、DHPは、1112にて、使用イベントを無視してよい。このように、そして例えば、DHPは、使用イベントフィルタを適用して、複数の異なる吸入器から受信した複数の使用イベントをフィルタリングし、選択された薬剤タイプ、選択された時間帯、及び/又は、選択された日付範囲に基づき、使用イベントのサブセットを決定してよい。DHPは、複数の使用イベントの各使用イベントに対して1108~1112を繰り返してよい。
【0205】
1114において、DHPは、使用イベントのサブセット(例えば、1110にて決定される)から、ユーザおよび薬剤タイプが共通している使用イベントの総数を決定してよい。このように、DHPは、使用イベントのサブセットから、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数を決定してよい。例えば、DHPは、使用イベントのサブセットから、ユーザおよび薬剤タイプが共通している使用イベントを関連付け(例えば、グループ化または組み合せ)てよい。
【0206】
1116で、DHPは、吸入カウント閾値および基準を決定してよい。例えば、DHPは、吸入カウント閾値の選択を、例えばユーザから、受けてよい。吸入カウント閾値は、数値でよい。いくつかの例では、吸入カウント閾値は、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの異なる重複しないサブセットに基づいて決定されてよい。例えば、使用イベントの異なる重複しないサブセットは、使用イベントの上記数(上記数が決定された使用イベント)とは異なる日付範囲と関連付けられるが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられる。基準は、例えば、より小さい、より大きい、以下、以上、比率的により大きい(例えば、少なくとも50%より大きい)、及び/又は、比率的により小さい(例えば、少なくとも50%より小さい)のいずれかを含んでよい。
【0207】
DHPは、選択された吸入カウント閾値と、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数との比較に基づいて、複数のユーザから、フィルタリングされたユーザのリストを決定してよい。1118にて、DHPは、ユーザおよび薬剤タイプが共通の使用イベントの総数が吸入カウント閾値および基準を満たすかどうかを判定してよい。基準は、いくつかの例において、ユーザによって選択されてよく、または、分析に基づいて決定されてよい。一例として、吸入カウント閾値が5回であり、基準が「より大きい」である場合、DHPは、ユーザおよび薬剤タイプが共通の使用イベントの総数が5回より大きいかどうかを判定してよい。組み合わされた使用イベントが吸入カウント閾値および基準を満たす場合、DHPは、1120にて、組み合わされた使用イベントと関連付けられたユーザを、フィルタリングされたユーザのリストに含めてよい。しかしながら、組み合わされた使用イベントが吸入カウント閾値および基準を満たさない場合、DHPは、1122にて、組み合わされた使用イベントと関連付けられたユーザを、フィルタリングされたユーザのリストに含めなくてよい。例えば、DHPはユーザとその関連付けられた使用イベントを無視(例えば、破棄)してよい。DHPは、使用イベントのサブセットに少なくとも1つの使用イベントを含むユーザと薬剤タイプとの固有の組合せごとに1118を実施してよい。1124にて、DHPは、フィルタリングされたユーザのリストの各ユーザに対する使用イベントの数を備えるGUIを(例えば、リモートコンピュータ端末の表示デバイスを介して)生成してよい。
【0208】
したがって、DHPは、膨大な数のデジタル吸入器システムから受信したデジタルデータを分析し取り扱うことによって工程1100を実行して、ユーザ及び/又は吸入器のサブセットまたはフィルタリングされたリストを生成してよく、これは、例えば、これらのユーザ及び/又は薬剤タイプをヘルスケアプロバイダに提示し、高リスクな、及び/又は、処置レジメンのアドヒアランスまたはコンプライアンスが乏しい患者を示す。例えば、DHPは、複数の使用イベントおよび1つ又は複数の変数に基づいて、ユーザのフィルタリングされたリストを生成するように構成されてよい。
【0209】
さらに、いくつかの例では、DHPは、異なる使用イベントのサブセットを互いに比較するように構成されてもよく、例えば、異なる使用イベントのサブセットは、同じユーザと関連付けられてよい。例えば、1118~1120において、DHPは、使用イベントの第1サブセットのうち同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数(例えば、総数)が、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている異なる重複しないサブセットの使用イベントの数(例えば、総数)よりも、比率的により小さいか、または、比率的により大きいかを判定してよい(例えば、
図11における1118~1120に関連して説明された工程の代わりに)。いくつかの例では、使用イベントの異なる重複しないサブセットは、使用イベントの上記数(上記第1サブセットのうちの上記使用イベント)とは異なる日付範囲と関連付けられるが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられる。例えば、DHPは、特定の薬剤タイプ(例えば、レスキュー薬剤タイプ)についてある期間(例えば、今週)にわたる使用イベントが、異なる期間(例えば、前週)と比較して、X%よりも増加(例えば、50%よりも増加)したユーザを、ユーザのサブセットから決定するように構成されてよい。別の例として、DHPは、特定の薬剤タイプ(例えば、メンテナンス薬剤タイプ)についてある期間(例えば、今週)にわたる使用イベントが、異なる期間(例えば、前週)と比較して、X%より減少(例えば、50%より減少)したユーザを、ユーザのサブセットから決定するように構成されてよい。この分析は、例えばヘルスケアプロバイダが、リスクのあるユーザや、処置レジメンに対するアドヒアランスやコンプライアンスの低下を示すユーザを迅速かつ容易に特定するのに役立つ。
【0210】
図12~
図15は、システム10に含まれ得る吸入器配置100の非限定的な例を提供する。
【0211】
図12は、非限定的な実施例に係る、ここから「吸入器」と称される吸入器配置100の前面斜視図を提供する。例示の吸入器100は、呼吸作動式吸入器でよい。吸入器100は、トップキャップ102、メインハウジング104、マウスピース106、マウスピースカバー108、電子モジュール120、および、通気口126を備える。マウスピースカバー108は、開閉してマウスピース106を露出させることができるように、メインハウジング104にヒンジ止めされてよい。ヒンジ接続されたものが例示されているが、マウスピースカバー108は、他のタイプの接続を介して吸入デバイス100に接続されてよい。さらに、電子モジュール120は、メインハウジング104の上部のトップキャップ102内に収容されるように図示されているが、電子モジュール120は、吸入器100のメインハウジング104内に統合及び/又は収容されてもよい。
【0212】
電子モジュール120は、例えば、上述した使用判定システム12および送信モジュール12を含んでよい。例えば、電子モジュール120は、使用判定システム12及び/又は送信モジュール14の機能を実行するように構成されたプロセッサ、メモリを含んでもよい。電子モジュール120は、本明細書で説明される吸入器使用情報を決定するように構成されたスイッチ(複数可)、センサ(複数可)、スライダ(複数可)、及び/又は、他の機器または測定デバイスを含んでよい。電子モジュール120は、送信モジュール14の送信機能を実行するように構成されたトランシーバ及び/又は他の通信チップまたは回路を含んでよい。吸入デバイス100に一体化されたものとして示されているが、いくつかの例では、電子モジュール120は、吸入デバイスに着脱可能にかつ交換可能に取付けできてよい。
【0213】
図13は、例示の吸入器100の断面内部斜視図である。メインハウジング104の内側に、吸入デバイス100は、薬剤リザーバ110、および、用量計量アッセンブリを備えてよい。例えば、吸入器100は、薬剤リザーバ110(例えば、ホッパー)、ベローズ112、ベローズスプリング114、ヨーク(図に現れない)、投与カップ116、投与チャンバ117、脱凝集器121、および、流路119を含んでよい。薬剤リザーバ110は、ドライパウダー薬剤など、対象者への送達のための薬剤を含んでよい。ベローズ112、ベローズスプリング114、ヨーク、投与カップ116、投与チャンバ117、および、脱凝集器121の組合せが例示されているが、用量計量アッセンブリは、記載された構成要素の一部分を含んでもよく、及び/又は、吸入デバイス100は、(例えば、吸入デバイスのタイプ、薬剤のタイプなどに応じて)異なる用量計量アッセンブリを含んでよい。例えば、いくつかの例では、薬剤は、ブリスターストリップに含まれてよく、用量計量アッセンブリ(1つ又は複数のホイール、レバー、及び/又は、アクチュエータを含んでよい)は、ブリスターストリップを前進させ、1回分の用量の薬剤を含む新しいブリスターを開け、その1回分の用量の薬剤を、ユーザによる吸入のために投与チャンバ及び/又はマウスピースで利用可能にするように構成されている。
【0214】
マウスピースカバー108が閉位置から開位置へ動かされると、吸入器100の用量計量アセンブリは、1回分の用量の薬剤を準備してよい。
図12の図示された例では、マウスピースカバー108が閉位置から開位置に動かされることによって、ベローズ112が圧縮し、薬剤リザーバ110から投与カップ116に1回分の用量の薬剤を送達し得る。その後、対象者は、1回分の用量の薬剤を受け取るべく、マウスピース106を通じて吸入してよい。
【0215】
対象者の吸入から発生する空気流は、脱凝集器121が投与カップ116内の薬剤の凝集体を崩すことによって1回分の用量の薬剤をエアロゾル化することをもたらす。脱凝集器121は、流路119を通る空気流がある流量に合致するか、またはある流量を超えるか、または、特定の範囲内にある場合に、薬剤をエアロゾル化するように構成されてよい。凝集器121は、流路119を通る空気流がある流量に合致するか、またはある流量を超えるか、または、特定の範囲内にある場合に、薬剤を(例えば、完全に)エアロゾル化するように構成されてよい。エアロゾル化されると、1回分の用量の薬剤は、投与カップ116から投与チャンバ117内へ、そして、流路119を通り、マウスピース106から対象者へ移動し得る。流路119を通る空気流がある速度に合致しないか、またはある速度を超えないか、または特定の範囲内にない場合、薬剤が投与カップ116内に残るかもしれない。投与カップ116内の薬剤が脱凝集器121によってエアロゾル化されていない場合には、マウスピースカバー108がその後に開かれたときに、別の1回分の用量の薬剤が薬剤リザーバ110から送達されないかもしれない。したがって、1回分の用量の薬剤は、当該用量が脱凝集器121によってエアロゾル化されるまで、投与カップ116内に溜まっているかもしれない。1回分の用量の薬剤が送達されると、投与確認が、投与確認情報として吸入器100におけるメモリに格納されてよい。
【0216】
対象者がマウスピース106を通して吸入すると、空気が通気口に入り、対象者に薬剤を送達するための空気の流れを提供し得る。流路119は、投与チャンバ117からマウスピース106の端まで延在してよく、投与チャンバ117およびマウスピース106の内部部分を含んでよい。投与カップ116は、投与チャンバ117内に、またはそれに隣接して存在してよい。さらに、吸入器100は、投与カウンタ111を備えてよく、これは、最初に、薬剤リザーバ110内の全投与回数(全用量数)に設定されるように、かつ、マウスピースカバー108が閉位置から開位置へ動かされるたびに、1つずつ減少するように構成されてよい。
【0217】
トップキャップ102は、メインハウジング104に取り付けられてよい。例えば、トップキャップ102は、メインハウジング104上の凹部に係合する1つ又は複数のクリップの使用を介してメインハウジング104に取り付けられてよい。トップキャップ102は、接続されたときにメインハウジング104の一部に重なってよく、例えば、それにより、実質的な空気圧シールがトップキャップ102とメインハウジング104との間に存在するようにしてよい。
【0218】
図14は、トップキャップ102が取り外されて電子モジュール120が露出した状態の例示の吸入器100の分解斜視図である。
図14の通り、メインハウジング104の頂面は、1つ又は複数(例えば、2つ)のオリフィス146を含んでよい。オリフィス146の1つは、スライダ140を受けるように構成されてよい。例えば、トップキャップ102がメインハウジング104に取り付けられているとき、スライダ140はオリフィス146の1つを介してメインハウジング104の頂面を突出してよい。
【0219】
図15は、例示の吸入器100のトップキャップ102および電子モジュール120の分解斜視図である。
図15の通り、スライダ140は、アーム142と、ストッパ144と、末端145とを規定してよい。末端145は、スライダ140の底部でよい。スライダ140の末端145は、(例えば、マウスピースカバー108が閉位置にあるまたは部分的開位置にあるとき)メインハウジング104内にあるヨークに当接するように構成されてよい。末端145は、ヨークが任意の半径方向の向きにあるときに、ヨークの上面に当接するように構成されてよい。例えば、ヨークの上面は、複数の開口(図示せず)を含んでよく、スライダ140の末端145は、例えば、開口の1つがスライダ140と整列しているかどうかにかかわらず、ヨークの上面に当接するように構成されてよい。
【0220】
トップキャップ102は、スライダスプリング146およびスライダ140を受けるように構成されたスライダガイド148を含んでよい。スライダスプリング146は、スライダガイド148内に存在してよい。スライダスプリング146は、トップキャップ102の内面に係合してよく、スライダスプリング146は、スライダ140の上部(例えば、近位端)に係合(例えば、当接)してよい。スライダ140がスライダガイド148内に設けられるとき、スライダスプリング146は、スライダ140の頂部とトップキャップ102の内面との間で部分的に圧縮されてよい。例えば、スライダスプリング146は、マウスピースカバー108が閉じられているとき、スライダ140の末端145がヨークと接触したままであるように構成されてよい。スライダ140の末端145はまた、マウスピースカバー108が開かれるまたは閉じられている間、ヨークと接触したままであってもよい。スライダ140のストッパ144は、例えば、スライダ140がマウスピースカバー108の開閉を通してスライダガイド148内に保持されるように、スライダガイド148のストッパと係合することができ、逆もまた同様である。ストッパ144およびスライダガイド148は、スライダ140の上下(例えば、軸方向)移動を制限するように構成されてよい。この制限は、ヨークの上下移動よりも小さくてよい。したがって、マウスピースカバー108が全開位置へ動かされる際、ヨークはマウスピース106に向かって上下方向に動き続けてよいが、ストッパ144は、スライダ140の末端145がヨークにもはや接触しなくなるようにスライダ140の上下移動を止めてよい。
【0221】
より一般的には、ヨークは、マウスピースカバー108に機械的に接続され、マウスピースカバー108が閉位置から開かれるとベローズスプリング114を圧縮するように動き、次いで、マウスピースカバーが全開位置に達すると圧縮されたベローズスプリング114を解放し、それによってベローズ112が薬剤リザーバ110から投与カップ116に1回分の用量を送達するように構成されてよい。ヨークは、マウスピースカバー108が閉位置にあるとき、スライダ140と接触していてよい。スライダ140は、マウスピースカバー108が閉位置から開かれるときにヨークによって移動され、マウスピースカバー108が全開位置に達したときにヨークから離れるように配置されてよい。マウスピースカバー108を開くと1回分の用量の薬剤が計量されるので、この配置は、先に説明された用量計量アセンブリの非限定的な例とみなし得る。
【0222】
用量計量の際のスライダ140の動きによって、スライダ140がスイッチ130に係合してこれを作動させてよい。スイッチ130が、電子モジュール120が用量計量を登録することのトリガとなってよい。したがって、スライダ140およびスイッチ130は、電子モジュール120と共に、上述の使用判定システム12に含まれるものであると見なしてよい。スライダ140は、この例では、使用判定システム12が用量計量アセンブリによる1回分の用量の計量を登録するように構成されるようにする手段とみなし得るものであり、各計量はそれによって、対象者が吸入器100を用いて行った吸入を示すものとなる。
【0223】
スライダ140によるスイッチ130の作動はまた、例えば、電子モジュール120を第1電力状態から第2電力状態に移行させ、マウスピース106からの対象者による吸入を感知させてもよい。
【0224】
電子モジュール120は、プリント回路基板(PCB)アッセンブリ122、スイッチ130、電源(例えば、バッテリ126)、及び/又は、電源ホルダ124を備えてよい。PCBアッセンブリ122は、センサシステム128、無線通信回路129、スイッチ130、及び/又は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)といった1つ又は複数のインジケータといった、表面に取り付けられた構成要素を含んでよい。電子モジュール122は、コントローラ(例えば、プロセッサ)及び/メモリを含んでよい。コントローラ及び/又はメモリは、PCB122とは物理的に別の構成要素でよい。あるいは、コントローラおよびメモリは、PCB122に取り付けられた他のチップセットの一部でよく、例えば、無線通信回路129は、電子モジュール120用のコントローラ及び/又はメモリを含んでよい。電子モジュール120のコントローラは、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または任意の適切な処理デバイスもしくは制御回路を含んでよい。
【0225】
コントローラは、メモリからの情報にアクセスし、メモリにデータを格納してよい。メモリは、取外不能なメモリ及び/又は取外可能なメモリなど、任意のタイプの適切なメモリを含んでよい。取外不能なメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他のタイプのメモリ記憶デバイスを含んでよい。取外可能なメモリは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含んでよい。メモリは、コントローラの内部にあってよい。コントローラはまた、サーバまたはスマートフォン上など、電子モジュール120内に物理的に位置していないメモリからデータにアクセスし、その中にデータを格納してよい。
【0226】
センサシステム128は、1つ又は複数のセンサを含んでよい。センサシステム128は、例えば、上述の使用判定システム12に含まれてよい。センサシステム128は、例えば、1つ又は複数の圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、配向センサ、音響センサ、及び/又は、光学センサといった、異なるタイプの1つ又は複数のセンサを含んでよいが、これらに限定されるものではない。1つ又は複数の圧力センサは、気圧センサ(例えば、大気圧センサ)、差圧センサ、絶対圧センサ、及び/又は、同様のものを含んでよい。センサは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、及び/又は、ナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)技術を採用してよい。センサシステム128は、電子モジュール120のコントローラに瞬間的な読取値(例えば圧力値)、及び/又は、時間にわたり集計された読取値(圧力値)を提供するように構成されてよい。
図13および
図14に示すように、センサシステム128は、吸入器100の流路119の外側にあって、流路119に通気連結されてよい。
【0227】
電子モジュール120のコントローラは、センサシステム128からの測定値に対応する信号を受信してよい。コントローラは、センサシステム128から受信した信号を用いて、1つ又は複数の気流指標を演算または決定してよい。当該気流指標は、吸入器100の流路119を通じた気流のプロファイルを示し得る。例えば、吸入デバイス100の流路119を通る空気流のプロファイルを示し得る。例えば、圧力システム128が、0.3キロパスカル(kPA)の圧力変化を記録する場合、電子モジュール120は、その変化が流路119を通る約45リットル/分(Lpm)の空気流量に対応するものであると決定してよい。
【0228】
図16は、気流率対圧力のグラフである。
図16に示される空気流量およびプロファイルは単なる例であり、決定された空気流量は、吸入デバイス100およびその構成要素のサイズ、形状、および、設計に依存し得る。
【0229】
電子モジュール34は、例えば、吸入器100がどのように使用されているかの、及び/又は、使用が1回分の用量の薬剤全部の送達をもたらす可能性があるかどうかの評価の一部として、センサシステム128から受信した信号、及び/又は、決定された空気流指標を、1つ又は複数の閾値または範囲と比較することによって、個人化されたデータ(例えば、使用イベント)を生成してよい。例えば、決定された空気流指標が特定の閾値未満の空気流量を有する吸入に対応する場合、処理モジュール34は、吸入器100のマウスピース106からの吸入がなかったか、または不十分な吸入があったと判定してよい。決定された空気流指標が特定の閾値を超える空気流量を有する吸入に対応する場合、電子モジュール120は、マウスピース106からの過剰な吸入があったと判定してよい。決定された空気流指標が特定の範囲内の空気流量を有する吸入に対応する場合、電子モジュール120は、吸入が「良好」である、または1回分の用量の薬剤全部が送達されることをもたらすであろう、と判定してよい。
【0230】
圧力測定値及び/又は演算された空気流指標は、吸入器100からの吸入の質または強度を示し得る。例えば、特定の閾値または値の範囲と比較される場合、読取値及び/又は指標は、吸入を、良好な吸入イベント、低吸入イベント、吸入なしイベント、または、過剰吸入イベントといった、特定のタイプのイベントとして分類するために、用いられてよい。吸入の分類は、対象者の個人化されたデータとして格納された使用パラメータでよい。
【0231】
吸入なしイベントは、30Lpm以下の空気流量といった特定の閾値未満の圧力測定読取値及び/又は空気流指標と関連付けられてよい。吸入なしイベントは、対象者がマウスピースカバー108を開いた後および測定サイクル中にマウスピース106から吸入しないときに生じ得る。吸入なしイベントはまた、対象者の吸入努力が流路119を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに不十分である場合(例えば、吸入努力が脱凝集器121を作動させ、それによって投与カップ116内の薬剤をエアロゾル化するのに不十分な空気流量を生成する場合)にも生じ得る。
【0232】
低吸入イベントは、30Lpmより大きく45Lpm以下の空気流量といった特定の範囲内の圧力測定値及び/又は空気流指標と関連付けられてよい。低吸入イベントは、対象者がマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、対象者の吸気努力が、少なくとも薬剤の一部の用量が流路119を介して送達されることをもたらす場合に生じ得る。すなわち、吸入は、薬剤の少なくとも一部分が投与カップ116からエアロゾル化されるように脱凝集器121を作動させるのに十分であればよい。
【0233】
良好な吸入イベントは、45Lpmより大きく200Lpm以下の空気流量といった、低吸入イベントを超える圧力測定値及び/又は空気流指標と関連付けられてよい。良好な吸入イベントは、対象者がマウスピースカバー108を開いた後にマウスピース106から吸入し、対象者の吸入努力が流路119を介した薬剤の適切な送達を確実にするのに十分である場合(例えば、吸入努力が、脱凝集器121を作動させ、投与カップ116内の1回分の用量の薬剤をエアロゾル化するのに十分な気流を生成する場合)に生じ得る。
【0234】
過剰吸入イベントは、200Lpmを超える空気流量といった、良好な吸入イベントを超える圧力測定値及び/又は空気流指標と関連付けられてよい。過剰吸入イベントは、対象者の吸気努力が吸入器100の通常の動作パラメータを超えたときに生じ得る。過剰吸入イベントはまた、対象者の吸気努力が正常範囲内であっても、デバイス100が使用中に適切に位置決めまたは保持されていない場合にも生じ得る。例えば、対象者がマウスピース106から吸入している間に(例えば、指または親指によって)通気口が遮断または閉塞された場合、演算された空気流量は200Lpmを超えるかもしれない。
【0235】
任意の適切な閾値または範囲が、使用されて、特定のイベントを分類してよい。イベントのいくつかまたは全部が用いられてよい。例えば、吸入なしイベントは、45Lpm以下の空気流量と関連付けられてよく、良好な吸入イベントは、45Lpmより大きく200Lpm以下の空気流量と関連付けられてよい。したがって、低吸入イベントは、場合によっては全く用いられなくてよい。
【0236】
圧力測定値及び/又は演算された空気流指標はまた、吸入器100の流路119を通る流れの方向を示し得る。例えば、圧力測定値が圧力の負の変化を反映する場合、読取値は、流路119を介してマウスピース106から流れ出る空気を示し得る。圧力測定値が圧力の正の変化を反映する場合、読取値は、流路119を介してマウスピース106に流れ入る空気を示し得る。したがって、圧力測定値及び/又は空気流指標は、対象者がマウスピース106内へ呼息しているかどうかを判定するために用いられてよく、これは、対象者がデバイス100を適切に使用していないことを示し得る。
【0237】
吸入器100は、肺機能指標の測定を可能にする肺活量計または同様に作動するデバイスを含んでよい。例えば、吸入器100は、対象者の肺容量に関する指標を得るために測定を行ってよい。肺活量計または同様に作動するデバイスは、対象者によって吸入され及び/又は呼息される空気の体積を測定してよい。肺活量計または同様に作動するデバイスは、圧力変換器、超音波、または水量計を使用して、吸入される及び/又は呼息される空気の体積の変化を検出してよい。
【0238】
吸入器100の使用から集められた、またはそれに基づいて計算された個人化されたデータ(例えば、圧力指標、空気流指標、肺機能指標、投与確認情報など)は、外部デバイスを介して(例えば、部分的にまたは全体的に)演算され及び/又は評価されてよい。より具体的には、電子モジュール120内の無線通信回路129は、トランスミッタ及び/又はレシーバ(例えば、トランシーバ)、並びに、追加の回路を含んでよい。無線通信回路129は、吸入器100の通信モジュール14を含んでよいし、または、規定してもよい。
【0239】
例えば、無線通信回路129は、Bluetoothチップセット(例えばBluetooth Low Energyチップセット)、ZigBeeチップセット、Threadチップセットなどを含んでよい。したがって、電子モジュール120は、圧力測定値、空気流指標、肺機能測定値、投与確認情報、及び/又は、吸入器100の使用に関する他の状況といった個人化されたデータを、スマートフォン40に含まれる処理モジュール34といった外部の処理モジュール34に無線で提供してよい。個人化されたデータは、使用時間、吸入デバイス100がどのように使用されているかを示す吸入器100からのリアルタイムデータ、および、対象者の肺機能及び/又は医療処置に関するリアルタイムデータといった対象者についての個人化されたデータに基づく増悪リスク予測を可能にするために、外部デバイスにリアルタイムで提供されてよい。外部デバイスは、受信した情報を処理し、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、対象者に、コンプライアンスおよびアドヒアランスフィードバックを提供するためのソフトウェアを含んでよい。グラフィカルユーザインターフェースは、システム10に含まれるユーザインターフェース38を含んでよいし、または、規定してもよい。
【0240】
空気流指標は、吸入/呼息の平均流量、吸入/呼息のピーク流量(例えば、受け取った最大吸気)、吸入/呼息の体積、吸入/呼息のピークまでの時間、及び/又は、吸入/呼息の持続時間のうちの1つ又は複数といった、吸入器100からリアルタイムで集められる個人化されたデータを含んでよい。空気流指標はまた、流路119を通る流れの方向を示し得る。すなわち、圧力の負の変化は、マウスピース106からの吸入に対応し得るものであり、圧力の正の変化は、マウスピース106への呼息に対応し得る。空気流指標を計算するとき、電子モジュール120は、環境条件によってもたらされるあらゆる歪み(ひずみ)を除去または最小化するように構成されてよい。例えば、電子モジュール120は、空気流指標を計算する前または計算した後に、大気圧の変化を考慮するために再度ゼロにしてよい。1つ又は複数の圧力測定値及び/又は空気流指標は、タイムスタンプされ、電子モジュール120のメモリに格納されてよい。
【0241】
空気流指標に加えて、吸入器100または別の演算デバイスは、空気流指標を使用して、追加の個人化されたデータを生成してよい。例えば、吸入器100の電子モジュール120のコントローラは、空気流指標を、例えば、ピーク吸気流指標、ピーク呼気流指標、及び/又は1秒間強制呼気容量(forced expiratory volume in 1 second)(FEV1)といった、医師に理解される対象者の肺機能及び/又は肺の健康を示す他の指標に変換してよい。吸入器の電子モジュール120は、回帰モデルといった数理モデルを用いて、対象者の肺機能及び/又は肺の健康の尺度を決定してよい。数理モデルは、吸入の総体積とFEV1との間の相関を特定してよい。数理モデルは、ピーク吸気流とFEV1との間の相関を特定してよい。数理モデルは、吸入の総体積とピーク呼気流との間の相関を特定してよい。数理モデルは、ピーク吸気流とピーク呼気流との間の相関を特定してよい。
【0242】
バッテリ126は、PCB122の構成要素に電力を供給してよい。バッテリ126は、例えばコインセルバッテリのような、電子モジュール120に電力を供給するための任意の適切な電源であってよい。バッテリ126は、再充電可能であっても、再充電不可能であってもよい。バッテリ126は、バッテリホルダ124によって収容されてよい。バッテリホルダ124は、バッテリ126がPCB122と連続的に接触し続けるように、及び/又は、PCB122の構成要素と電気的に接続するように、PCB122に固定されてよい。バッテリ126は、バッテリ126の寿命に影響を及ぼし得るバッテリ容量を有してよい。以下でさらに説明されるように、バッテリ126からPCB122の1つ又は複数の構成要素への電力の分配は、バッテリ126が吸入器100及び/又はその中に含まれる薬剤の有効寿命にわたって電子モジュール120に電力を供給することができることを保証するように管理されてよい。
【0243】
接続状態では、通信回路およびメモリが電力供給によりオンにされてよく、電子モジュール120がスマートフォンなどの外部デバイスと「ペアリング」されてよい。コントローラは、メモリからデータを取り出し、そのデータを外部デバイスに無線で送信してよい。コントローラは、メモリに現在格納されているデータのすべてを取り出し、送信してよい。コントローラはまた、メモリに現在格納されているデータの一部を取り出し、送信してもよい。例えば、コントローラは、どの部分が既に外部デバイスに送信されているか判定することができ、それから、以前に送信されていない部分を送信することができてよい。代わりに、外部デバイスは、特定の時刻の後にまたは外部デバイスへの最後の送信の後に、電子モジュール120によって収集された任意のデータといった特定のデータを、コントローラから要求してよい。コントローラは、もしあれば、メモリから特定のデータを取り出し、その特定のデータを外部デバイスに送信してよい。
【0244】
電子モジュール120のメモリに格納されたデータ(例えば、スイッチ130によって生成された信号、センサシステム128によって取得された測定読取値、及び/又は、PCB122のコントローラによって演算されたパラメータ)は、外部デバイスに送信されてよく、外部デバイスは、データを処理し、分析して、吸入器100と関連付けられた使用パラメータを決定してよい。さらに、外部デバイスに存在するソフトウェアアプリケーションは、電子モジュール120から受信したデータに基づいて、ユーザのためにフィードバックを生成してよい。例えば、モバイルアプリケーションは、毎日、毎週、または、毎月のレポートを生成し、エラーイベントまたは通知の確認を提供し、対象者に教育的なフィードバックを提供し、及び/又は、同様のものを提供してよい。
【0245】
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、および添付の特許請求の技術の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用吸入器と共に使用するためのシステムであって、
前記システムは、
複数の電子モジュールを備え、各電子モジュールは、複数の吸入器のうちの1つの吸入器と関連付けられており、各吸入器は、薬剤を備え、前記電子モジュールは、プロセッサ、メモリ、および、トランスミッタを備え、
前記各電子モジュールの前記プロセッサは、
対象者による前記吸入器の使用イベントを決定し、
各使用イベントに時間を割り当て、かつ、
前記使用イベントおよび前記使用イベントの前記時間を示すデータを送信するように構成されており、
前記システムは、さらに、
トランシーバ、メモリ、および、プロセッサを備えるデジタルヘルスプラットフォーム(DHP)を備え、
前記DHPの前記プロセッサは、
複数のユーザの複数の使用イベントの各々に関係するデータを受信するように構成され、各使用イベントは、複数の吸入器のうちの1つに関係し、各吸入器は、複数の異なるユーザのうちの1人のユーザと関連付けられており、各使用イベントの前記データは、当該使用イベントの時間および当該使用イベントの薬剤タイプを備え、
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
薬剤タイプ、時間帯、および、日付範囲を決定し、
決定された前記薬剤タイプ、決定された前記時間帯、および、決定された前記日付範囲に基づいて、前記使用イベントのサブセットを決定し、
吸入カウント閾値を決定し、
使用イベントの前記サブセットの中から、同じユーザかつ同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの数を決定し、
前記吸入カウント閾値と、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数との比較に基づいて、前記複数のユーザの中から、優先順位付けられ、フィルタリングされたユーザのリストを生成し、かつ、
表示デバイスに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの前記数を備えるグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提示させるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記薬剤タイプは、1つ又は複数のレスキュー薬剤タイプ、および、1つ又は複数のメンテナンス薬剤タイプを備え、前記時間帯は、開始時刻および終了時刻を備える、または、終日の選択を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が前記吸入カウント閾値より大きいか、または、小さいかを判定するように構成されている、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記リストを生成する際に、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている使用イベントの前記数が、前記同じユーザかつ前記同じ薬剤タイプと関連付けられている異なる重複しないサブセットの使用イベントのカウントよりも、比率的により小さいか、または、比率的により大きいかを判定するように構成されている、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントは、前記数が決定された使用イベントとは異なる日付範囲と関連付けられているが、同じ薬剤タイプかつ同じ時間帯と関連付けられている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記異なる重複しないサブセットの使用イベントの前記カウントは、前記吸入カウント閾値を規定する、
請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の使用イベントが、前記複数のユーザおよび1つ又は複数の薬剤タイプを規定するプログラムと関連付けらており、
前記DHPの前記プロセッサは、前記決定された薬剤タイプ、前記決定された時間帯、前記決定された日付範囲、および、前記吸入カウント閾値に基づくフィルタを格納し、かつ、前記フィルタが組織および前記プログラムと関連付けられている複数の異なるヘルスケアプロバイダによって選択され得るように、前記フィルタを前記プログラムと関連付けるように構成されている、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記DHPの前記プロセッサは、前記フィルタを、前記組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記DHPの前記プロセッサは、前記フィルタを、異なる組織と関連付けられた異なるプログラムに適用するように構成されている、
請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
各使用イベントの前記データは、吸入データを備え、
前記DHPの前記プロセッサは、
前記リストの各ユーザに対して使用イベントの数に対する良好な吸入の割合を決定し、良好な吸入の前記割合は、使用イベントの数に対する関連付けられた吸入データが閾値を超える使用イベントの割合のインディケーションを備え、
前記GUIは、さらに、前記リストの各ユーザに対しての使用イベントの数に対する良好な吸入の割合のインディケーションを備える、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項11】
前記吸入データは、前記使用イベントのピーク吸気流量(PIF)を備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、当該最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの吸入器のすべてが、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された最終の時刻を示すものである、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項13】
前記全接続デュレーションは、前記1人のユーザと関連付けられた前記特定の薬剤タイプの前記吸入器うち最も古い最終同期時刻を示す、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、
前記複数の吸入器のそれぞれに対して最終同期時刻を決定するように構成され、前記最終同期時刻は、当該吸入器がユーザデバイスに存在するアプリケーションと接続された直近の時刻を示し、
前記GUIは、全接続デュレーションを備え、当該全接続デュレーションは、1人のユーザと関連付けられた特定の薬剤タイプの全ての吸入器であって、当該吸入器と当該1人のユーザと関連付けられたユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間の接続中に使用イベントが転送されたかどうかにかかわらず、当該アプリケーションとの間で接続確認された吸入器のうち最も古い最終同期時刻を示すものである、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項15】
前記DHPの前記プロセッサは、さらに、前記表示デバイスに、ユーザのリスティング付きの前記GUIを提示させるように構成されており、前記リスティングは、タイムフレーム内にユーザデバイスに存在するアプリケーションとの間で接続確認され使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザを、当該タイムフレーム内に前記ユーザデバイスに存在する前記アプリケーションとの間で接続確認されず使用イベントがゼロである吸入器を有するユーザよりも優先するものである、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項16】
前記薬剤タイプはメンテナンス薬剤タイプであり、前記タイムフレームは先月または過去30日である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記DHPの前記プロセッサは、ユーザからの、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数の選択を受けるように構成されている、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項18】
前記DHPの前記プロセッサは、ユーザの前記選択に基づいて、前記薬剤タイプ、前記時間帯、または、前記日付範囲のうちの1つ又は複数を自動的に決定するように構成されている、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
優先順位付けられ、フィルタリングされたユーザの前記リストは、前記複数のユーザの30%以下を備える、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項20】
複数のモバイルアプリケーションをさらに備え、
各モバイルアプリケーションは、
1つ又は複数の電子モジュールに接続して、当該電子モジュールから、前記使用イベントおよび前記使用イベントの前記時間を示す前記データを受信し、
前記使用イベントを示す前記データに基づいて1つ又は複数の吸入指標を決定し、かつ、
前記使用イベント、前記使用イベントの前記時間、および、吸入データを示す前記データを、前記DHPに送信するように構成されている、
請求項
1に記載のシステム。
【国際調査報告】