(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】輸送システム
(51)【国際特許分類】
B66B 9/00 20060101AFI20230725BHJP
B66B 9/02 20060101ALI20230725BHJP
B66B 7/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B66B9/00 Z
B66B9/02 A
B66B7/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581485
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021067064
(87)【国際公開番号】W WO2022002702
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルパレッリ,ドナート
【テーマコード(参考)】
3F301
3F305
【Fターム(参考)】
3F301BA08
3F301BE00
3F305BD02
(57)【要約】
複数のフロア(14、15)を有する建物のための輸送システム(1)は、シャフト(2)と、牽引滑車駆動型エレベータ(3)と、リフト(4)とを備える。人を垂直に搬送するためのエレベータ(3)は、シャフト(2)内で移動可能なエレベータカゴ(5)と、エレベータカゴ(5)の移動方向とは反対の移動方向にシャフト(2)内でカゴ(5)と一緒に移動可能な少なくとも2つの釣合重り(6)とを有する。エレベータカゴ(5)および釣合重り(6)は、牽引滑車(9)を有する駆動エンジン(8)によって駆動される。物体を垂直に搬送するためのリフト(4)は、自走式リフトとして設計される。リフト(4)は、シャフトに出入りされることができる、商品を供給するための乗物として設計されたリフトプラットフォーム(11)を有し、リフトプラットフォーム(11)は、シャフト(2)内に配置されると、エレベータカゴ(5)の垂直投影内に存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフロア(14、15)を有する建物のための輸送システム(1)であって、
-シャフト(2)と、
-人を垂直に搬送するための牽引滑車駆動型エレベータ(3)であって、シャフト(2)内で移動可能なエレベータカゴ(5)および、エレベータカゴ(5)の移動方向とは反対の移動方向にシャフト(2)内でカゴ(5)と一緒に移動可能な少なくとも1つの釣合重り(6、16)を有し、エレベータカゴ(5)および釣合重り(6)は、牽引滑車(9)を有する少なくとも1つの駆動エンジン(8)によって駆動される、牽引滑車駆動型エレベータ(3)と、
-エレベータ(3)とは異なる駆動タイプに基づいて物体を垂直に搬送するための自走式リフト(4)であって、リフト(4)は、シャフト(2)内で移動可能であるリフトプラットフォーム(11)であって、シャフト(2)内を上昇および下降するための少なくとも1つの上昇駆動ユニット(23)を備えるリフトプラットフォーム(11)を有する、自走式リフト(4)と、
を備える、輸送システム(1)。
【請求項2】
リフトプラットフォーム(11)を案内するために、少なくとも2つ、好ましくは4つのリフトガイドユニット(22)がシャフト(2)内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の輸送システム(1)。
【請求項3】
自走式リフト(4)のリフトプラットフォーム(11)は、関連する少なくとも2つ、好ましくは4つのリフトガイドユニット(22)と相互作用することが可能な、少なくとも2つ、好ましくは4つの電動歯車(24)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の輸送システム(1)。
【請求項4】
4つのリフトガイドユニット(22)が設けられたとき、リフトガイドユニット(22)は2対の垂直ポスト(25)およびローラチェーン(26)を備え、ローラチェーン(26)の一方はポスト(25)の各々に取り付けられ、かつポスト(25)と平行に延在し、それにより、ローラチェーン(26)が関連する歯車(24)を受け入れるように意図されていることを特徴とする、請求項3に記載の輸送システム(1)。
【請求項5】
ポスト(25)は中空レール形材として形成されることを特徴とする、請求項4に記載の輸送システム(1)。
【請求項6】
自走式リフト(4)のリフトプラットフォーム(11)は、シャフト(2)に出入りされることができ、かつフロア(15)上で移動されることができる乗物として設計された移動式リフトプラットフォームであり、それにより、リフトプラットフォーム(11)はフロア(15)上で移動されることが可能になるための転輪(27)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項7】
自走式リフト(4)のリフトプラットフォーム(11)は、エレベータカゴ(5)の垂直投影と少なくとも部分的に重なり、それにより、好ましくは、リフトプラットフォーム(4)の垂直投影は、エレベータカゴ(5)の垂直投影よりも小さいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項8】
リフトプラットフォーム(11)の垂直投影によって占有されるベース領域は、エレベータカゴ(5)の垂直投影によって占有されるベース領域の好ましくは80%未満、特に好ましくは60%未満であることを特徴とする、請求項7に記載の輸送システム(1)。
【請求項9】
シャフト(2)は、エレベータカゴ(5)への乗客のアクセスを提供するための複数のエレベータシャフトドア(17)であって、複数のエレベータシャフトドア(17)がシャフト(2)の正面(12)に配置され、それにより、エレベータシャフトドア(17)の少なくとも1つが複数のフロア(14)の各々に配置される、エレベータシャフトドア(17)と、
リフトプラットフォーム(11)またはリフトプラットフォーム(11)への物体のアクセスを提供するための複数のリフトシャフトドア(18)であって、複数のリフトシャフトドア(18)はシャフトの正面(12)とは反対の裏面(13)に配置され、リフトシャフトドア(18)の少なくとも1つは複数のフロア(15)の各々に配置され、後者のフロア(15)の各々は、好ましくはシャフト(2)の正面(12)のフロア(14)のうちの隣接するフロアと同じレベルに配置される、リフトシャフトドア(18)とを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項10】
シャフト(2)の正面(12)にあるエレベータシャフトドア(17)に関連付けられた複数のフロア(14)は最下階(14’)を備え、シャフト(2)の裏面(13)にあるリフトシャフトドア(18)に関連付けられた複数のフロア(15)は、前記最下階(14’)の下に配置された少なくとも1つのフロア(15
N)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の輸送システム(1)。
【請求項11】
リフトシャフトドア(18)の各々は、リフトシャフトドア(18)を相互に開閉するための制御可能なリフトシャフトドア駆動装置(34)を備え、それにより、リフトシャフトドア駆動装置(34)は、移動式リフトプラットフォーム(11)によって制御されることができ、または、リフトプラットフォーム(11)がシャフト(2)内に恒久的に設置されているとき、リフトプラットフォーム(11)上で搬送されるべき物体として自律型ロボット(28)によって制御されることができることを特徴とする、請求項3~13のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項12】
エレベータ(3)のエレベータカゴ(5)は、一対の互いに反対側のカゴガイド手段(20)に沿って案内される正面支持カゴであり、それにより、2つのカゴガイド手段(20)の各々は、シャフト(2)の側面(19)のうちの1つおよびシャフト(2)の正面(12)に近い領域に配置されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項13】
エレベータ(3)は、2つの互いに反対側の釣合重り(6、16)を備え、それにより、釣合重り(6、16)は、シャフト(2)の対向する側面(19)に配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の輸送システム(1)。
【請求項14】
釣合重り(6、16)は釣合重りガイド手段(21)に沿って案内され、シャフト(2)の各側面(19)上の釣合重りガイド手段(21)およびカゴガイド手段(20)は、共通のガイドレール形材によって形成されることを特徴とする、請求項11および12に記載の輸送システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフロアを有する建物のための輸送システムに関する。建物は、人を垂直に搬送するためのエレベータ用の基礎を形成するシャフトと、物を垂直に搬送するためのリフトとを備える。
【背景技術】
【0002】
建物内のエレベータは、あるフロアから別のフロアまで人を運ぶ役割を果たすことがよく知られている。このために、人は、例えば、入口フロアの呼び出し入力端末に呼び出しを入力し、呼び出しに応答したエレベータカゴが所望の行先フロアまで人を運ぶ。ここで、牽引滑車駆動型エレベータが長年にわたって確立され、特に成功しており、それにより、エレベータは、例えばケーブルまたはベルトの形態の懸架手段を使用する牽引滑車を有する駆動エンジンにより、シャフト内で上下に移動されることができるエレベータカゴを含む。一般に、エレベータカゴは、フロア、ドア、側壁、後壁、および天井を有する直方体のカゴ本体を備える。乗客は、カゴが動くときに、カゴ本体の内部に立つ。
【0003】
上述された人の他に、建物内で無人物体を垂直に搬送する必要もある。例えば、建物内での自律型乗物、ロボット、および他の無人物体の使用が増加している。インターネット購入が増加しているため、注文された商品は、可能な限り、購入者のアパートのドアに配達されなければならない。さらに、アパートおよび他の家庭からの廃棄物が収集され、建物から移送されなければならない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような必要性は、独立請求項の主題によって満たされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、複数のフロアを有する建物のための輸送システムが提供される。輸送システムは、人を垂直に搬送するための牽引滑車駆動型エレベータと、自律型移動ロボットまたは商品などの物を垂直に搬送するための自走式リフトとを備える。エレベータは、シャフト内で垂直に移動可能なエレベータカゴを備える。自走式リフトは、同じシャフト内で垂直に移動可能なリフトプラットフォームを備える。エレベータカゴは、好ましくは、シャフト内の少なくとも1つのカゴガイド手段に沿って案内される。エレベータは、好ましくは少なくとも1つの懸架手段を介してカゴに接続され、エレベータカゴの移動方向とは反対の移動方向にシャフト内でカゴと一緒に移動可能な少なくとも1つの釣合重りをさらに備える。エレベータカゴおよび釣合重りは、牽引滑車を有する少なくとも1つの駆動エンジンによって駆動される。釣合重りは、シャフト内の少なくとも1つの釣合重りガイド手段に沿って移動可能であってもよい。
【0006】
強力な輸送システムのために、自走式リフトは、シャフト内を上昇および下降するための少なくとも1つの駆動ユニットを備える。牽引滑車駆動型エレベータと自走式リフトの有利な組合せは、高い範囲の柔軟性を保証する。例えば、自走式リフトは、垂直に作動する摩擦ホイール駆動システムを有するリフトプラットフォームを備えてもよく、摩擦ホイールは、関連するシャフトまたはガイドレールに対して水平方向に押圧される。リフトプラットフォームがシャフト内で上昇および下降することを可能にする直線駆動などの、他の駆動解決策が適用可能であろう。
【0007】
自走式リフトの前記リフトプラットフォームは、シャフト内に少なくとも一時的に配置され、エレベータに対してシャフト内で独立して垂直に移動可能である。したがって、物を垂直に搬送するための自走式リフトは、エレベータとは異なる駆動タイプに基づき、有益な冗長性および柔軟性につながる。
【0008】
この輸送システムは、建物内で人および無人物体を垂直に搬送するための効率的かつ効果的な方法を提供する。同じシャフトを使用することはまた、投資および費用に関して経時的に著しいコスト上の利点を提供する。リフトは、例えば、居住用建物における廃棄物の収集および廃棄のためのフロア間の自律型ロボットまたは乗物の垂直輸送に使用することができる。ロボットは家庭用ロボットとして設計されてもよい。リフトの別の好ましい用途は、建物内の郵便サービスおよび荷物配達であってもよい。
【0009】
輸送システムは、自走式リフトのリフトプラットフォームを案内するために、シャフト内に配置された少なくとも2つ、好ましくは4つのガイドユニットを備えてもよい。それぞれのガイドユニットは、ガイドレールによって形成されてもよい。ガイドレールは、中空形材として形成されてもよい。4つのガイドユニットのうちの2つは、シャフトの互いに反対側の側面またはその上に配置されてもよい。例えば、4つのガイドユニットの各々は、少なくとも1つの駆動ユニットのうちの駆動ユニットによって電動化された、関連するホイールと相互作用することとしてもよい。
【0010】
それぞれの駆動ユニットが歯車駆動装置として設計されることが有利であろう。自走式リフトのリフトプラットフォームは、関連する少なくとも2つ、好ましくは4つのガイドユニットと相互作用することが可能な、少なくとも2つ、好ましくは4つの電動歯車を備えてもよい。これらのガイドユニットは、歯付きラック、歯付きベルト、またはローラチェーンなどの上昇補助具を備えてもよい。各ガイドユニットは、ガイドレールを備えてもよく、ガイドレールによって形成されてもよい。ガイドユニット当たり1つの歯車の代わりに、ガイドユニット当たり、一緒にグループ化される2つ以上の歯車が予測され得ることも考えられるであろう。
【0011】
4つのガイドユニットが設けられた場合、ガイドユニットが2対の垂直ポストおよびローラチェーンを備え、それにより、ローラチェーンの一方がポストの各々に取り付けられ、ポストと平行に延在し、それにより、ローラチェーンが関連する歯車を受け入れるように意図されていることが特に有利となり得る。そのようなローラチェーンは、一種の上昇梯子を低コストで提供する。ローラチェーンはさらに容易にメンテナンス可能である。垂直ポストは、中空形材として形成されてもよい。
【0012】
好ましい実施形態では、リフトのリフトプラットフォームは、シャフトに出入りされることができ、フロア内で移動されることができる乗物として設計された移動式リフトプラットフォームであり、それにより、リフトプラットフォームは、フロア上で移動されることが可能になるための転輪を備える。リフトプラットフォームが「ロボカー」などとしても知られ得る自律型乗物として設計されることが特に有利となろう。そのような乗物は、その環境を検知し、人間の入力なしに安全に移動されることが可能である。特に、自律型乗物はフロア上を移動されることが可能であり、商品の流通用などの様々なタスクに使用されてもよい。これらの乗物はまた、建物の廃棄物フロー管理に統合されてもよい。自律型乗物は、レーダ、レーザ、ライダ、ソナー、GPS、走行距離計測および慣性測定ユニットなどの、それらの環境を知覚するために様々なセンサを組み合わせることができる。自律型乗物は、適切なナビゲーション経路、ならびに障害物および関連する標識を識別するために感覚情報を解釈することが可能な制御システムを備えてもよい。移動式リフトプラットフォームは、例えば、フロア上の標線または配線に沿って辿る無人搬送車(AGV)として設計されてもよい。
【0013】
リフトプラットフォームは、シャフト内にあるとき、エレベータカゴの垂直投影と少なくとも部分的に重なってもよい。それにより、好ましくは、リフトプラットフォームの垂直投影は、エレベータカゴの垂直投影より小さい。
【0014】
エレベータと比較して、自走式リフトまたはリフトプラットフォームのコンパクトでより小さい設計のおかげで、自走式リフトは、エレベータの性能が影響を受けないか、またはわずかしか影響を受けないように動作されることができるように見える。好ましい実施形態では、輸送システムは、リフトプラットフォームの垂直投影によって占有されるベース領域が、エレベータカゴの垂直投影によって占有されるベース領域の好ましくは80%未満、特に好ましくは60%未満であることを特徴とする。
【0015】
シャフト内で、リフトプラットフォームは、少なくとも一時的に、エレベータカゴの下に配置されてもよい。しかしながら、牽引滑車駆動型エレベータの特別な配置を適用するとき、リフトプラットフォームは、少なくとも一時的にエレベータカゴの上方に配置されることさえ考えられ得る。
【0016】
シャフト内にあるとき、エレベータカゴの垂直投影と少なくとも部分的に重なるリフトプラットフォームの代わりに、リフトプラットフォームは、シャフト内にあるとき、エレベータカゴの垂直投影と重ならないことが考えられるはずである。言い換えれば、自走式リフトのリフトプラットフォームは、エレベータカゴの通行領域外に留まる。したがって、自走式リフトは、シャフト上で完全に独立して垂直に移動可能である。
【0017】
さらに、自走式リフトは、2つ以上のリフトプラットフォームを備えてもよい。この場合、リフトプラットフォームは、上下に垂直に配置されることができる。
【0018】
自走式リフトプラットフォームは、基本的にプレート状の形態または平坦な構成を有する独特の構造であってもよい。それにもかかわらず、特別な要件のために、リフトはリフトケージを備えてもよく、それにより、リフトプラットフォームはケージのフロアを画定する。
【0019】
エレベータカゴおよびリフトプラットフォームは、本質的に同じ幅を有してもよい。したがって、リフトプラットフォームは、その奥行きに関して、リフトプラットフォームの奥行きがエレベータカゴの奥行きの好ましくは80%未満、特に好ましくは60%未満であるように、エレベータカゴと比較して短縮されてもよい。前記幅を測定する方向は、カゴの奥行きの測定方向に対して直角である。奥行きは、シャフトの正面から裏面への方向に沿って測定される。
【0020】
乗客の流れと物体の流れの乱されない安全な相互作用のために、シャフトがエレベータカゴへの乗客のアクセスを提供するための複数のエレベータシャフトドアを備え、複数のエレベータシャフトドアがシャフトの正面に配置され、エレベータシャフトドアの少なくとも1つが複数のフロアの各々に配置されること、およびシャフトがリフトプラットフォームへの物体のアクセスを提供するための複数のリフトシャフトドアを備え、複数のリフトシャフトドアがシャフトの正面とは反対の裏面に配置され、リフトシャフトドアの少なくとも1つが複数のフロアの各々に配置され、後者のフロアの各々が好ましくはシャフトの正面のフロアのうちの隣接するフロアと同じレベルに配置されることは有利となり得る。リフトシャフトドアの各々は、リフトシャフトドアを相互に開閉するための関連するドア駆動装置を有してもよい。
【0021】
しかしながら、代わりに裏面において、リフトシャフトドアがシャフトの側面の1つに配置される場合があることも考えられるであろう。
【0022】
シャフトの正面のエレベータシャフトドアに関連付けられた複数のフロアが、最下階と、当然少なくとも1つの上階とを備え、シャフトの裏面(または側面)のリフトシャフトドアに関連付けられた複数の階が、正面のエレベータシャフトドアに関連付けられた前記最下階の下に配置された少なくとも1つの階を備えることが特に有利となり得る。最も下の正面のフロアの下に配置されている少なくとも1つのフロアのうちの後者は、建物の外部に面していてもよく、かつ/または例として、商品受け取りポイントまたはロボット保管場所であってもよい。
【0023】
エレベータは、いわゆるバックパックエレベータとして構成されてもよい。エレベータカゴは、リュックサックフレーム上に支持されてもよい。しかしながら、バックパックエレベータはフレームレスであってもよい。釣合重りは、シャフトの側面に沿って移動可能であってもよい。エレベータカゴは、少なくとも1つ、好ましくは2つのカゴガイド手段に沿って案内されてもよく、釣合重りは、少なくとも1つ、好ましくは2つの釣合重りガイド手段に沿って案内されてもよい。カゴガイド手段および釣合重りガイド手段は、シャフトの同じ側面に配置される。懸架手段は、牽引滑車を有する駆動ユニットによって駆動されてもよく、垂直投影に対して、またはエレベータの平面図で考慮すると、懸架手段は、エレベータカゴのベース領域の外側のそれらの全長にわたって延びるように、エレベータカゴに横方向に配置された偏向ローラ上に案内されてもよい。
【0024】
エレベータカゴは、一対の互いに反対側のカゴガイド手段に沿って案内される正面支持カゴであってもよく、それにより、2つのカゴガイド手段の各々は、シャフトの(したがって、エレベータカゴの)側面のうちの1つおよびシャフトの正面に近い領域に配置される。したがって、そのようなエレベータは、「フロントサックエレベータ」と記載される可能性がある。
【0025】
特にコンパクトでバランスのとれたフロントサックエレベータ設計を提供するためには、2つの互いに反対側の釣合重りを備えるエレベータが有利であってもよく、それにより、釣合重りはシャフトの互いに反対側の側面に配置される。
【0026】
それは、これらの釣合重りが釣合重りガイド手段に沿って案内されるときに特に有利であってもよく、それにより、シャフトの各側面上の釣合重りガイド手段およびカゴガイド手段は、例えば、好ましくは中空レール形材である共通のガイドレール形材によって形成され、より好ましくは、モノリシック本体を画定する圧延金属形材として形成される。そのようなガイドレール形材は、シャフトに簡単に取り付け可能である。
【0027】
釣合重りは、リフトプラットフォームの垂直投影の最も近い境界によって画定される仮想境界線まで水平に最大限に延在してもよい。言い換えれば、2つの互いに反対側の釣合重りの各々は、横方向の奥行きまで延在するが、リフトプラットフォームの投影に干渉しない。したがって、輸送システムのトラブルがない安全な動作を容易に保証することができる。
【0028】
リフトシャフトドアの各々は、リフトシャフトドアを相互に開閉するための制御可能なリフトシャフトドア駆動装置を備えてもよく、それにより、リフトシャフトドア駆動装置は、上述の移動式リフトプラットフォームによって制御されてもよく、またはリフトプラットフォームがシャフト内に恒久的に設置されているとき、リフトプラットフォーム上で搬送されるべき物体として自律型ロボットによって制御されてもよい。
【0029】
さらなる態様によれば、自走式リフトは、自走式リフト内のリフトプラットフォーム上で搬送されるべき物体として自律型ロボットから信号を受信するための少なくとも1つの信号レセプタと、自走式リフトの運転を制御するためのリフトコントローラとを備えてもよい。リフトコントローラは、リフトプラットフォームを所望のフロアに移動させるために、少なくとも1つのリフト駆動エンジンの動作を制御することができる。それにより、リフトシャフトドアの各々は、リフトシャフトドアを相互に開閉するための関連するリフトシャフトドア駆動装置と、リフトシャフトドアのリフトシャフトドア駆動装置の動作を制御するためのリフトシャフトドア駆動コントローラとを有し、少なくとも1つの信号レセプタは、自律型ロボットがリフトプラットフォームを所望のフロアに呼び出し、開いたリフトシャフトドアを介してリフトプラットフォームに入り、リフトプラットフォームで行先フロアまで運転することができるように、リフトコントローラおよびリフトシャフトドア駆動コントローラに接続される。
【0030】
輸送システムの信頼できる機能のために、ホストエレベータおよびリフトコントローラが設けられてもよい。ホストエレベータおよびリフトコントローラは、エレベータカゴとリフトプラットフォームの衝突が防止されることができるように、エレベータカゴおよびリフトプラットフォームの動きを制御することができるように設計される。
【0031】
リフトプラットフォームが、シャフトに出入りされることができる乗物として設計されている移動式リフトプラットフォームであるとき、リフトコントローラの少なくとも部分的な制御は、リフトプラットフォームに置かれてもよい。またこの場合、リフトシャフトドアの各々は、リフトシャフトドアを相互に開閉するための関連するリフトシャフトドア駆動装置と、リフトシャフトドアのリフトシャフトドア駆動装置の動作を制御するためのリフトシャフトドア駆動コントローラとを有してもよく、少なくとも1つの信号レセプタは、移動式リフトプラットフォームがリフトシャフトドアを開け、その結果リフトプラットフォームがシャフトに入り、シャフト内に運ばれることができるように、移動式リフトプラットフォーム上のリフトコントローラおよびリフトシャフトドア駆動コントローラの述べられた部分制御に接続される。その後、リフトプラットフォームは、自律的に行先フロアまで運転することができる。しかしながら、ホストエレベータおよびリフトコントローラは、エレベータカゴとの衝突を防止するために、移動式リフトプラットフォーム上のローカルリフトコントローラおよび/またはエレベータコントローラを無効にすることができる。
【0032】
自律型ロボットまたは移動式リフトプラットフォームから信号を受信するための、上述された複数の信号レセプタからのように、信号レセプタのうちの少なくとも1つは、関連する複数のフロアの各々においてリフトシャフトドアの近傍に配置される。
【0033】
前記複数の信号レセプタは、自律型ロボットまたは移動式リフトプラットフォームに統合されるか、または少なくとも関連付けられたデータ通信デバイスから、短距離無線データ通信を介して要求信号を受信することができる。
【0034】
向上した技術の異なる態様は、図に示された例示的な実施形態を参照して、以下により詳細に記載される。同一の要素は、図の中で同じ参照符号によって識別される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による、共通のシャフト内に牽引滑車駆動型エレベータおよび自走式リフトを備える輸送システムの概略側面図である。
【
図3】本発明のさらなる実施形態による、輸送システムのエレベータの簡略化された上面図である。
【
図4】
図3の輸送システムのリフトのリフトプラットフォームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、複数のフロアを有する建物10のための垂直輸送システム1を示す。輸送システム1はエレベータ3を備える。エレベータ3は、建物10のシャフト2内に略垂直な軸線に沿って移動可能であるように配置されたエレベータカゴ5を有する。エレベータカゴ5は、主に人の移動の役目を果たす。エレベータカゴ5は、図示された例では、懸架手段7によって釣合重り6に接続されている。エレベータカゴ5および釣合重り6を支持するための懸架手段7は、ケーブルもしくはベルトまたは複数のケーブルもしくはベルトと考えられてもよい。エレベータカゴ5および釣合重り6を移動させるために、牽引滑車9を有する駆動エンジン8が使用される。この牽引滑車駆動型エレベータの駆動エンジン8は、例えば、シャフト2のシャフトヘッド領域に配置される。いわゆる機械室がないエレベータ3の代わりに、シャフトヘッドの領域内の別個のエンジン室に駆動エンジン8を配置することも考えられるであろう。本明細書では、「建物」という用語は、例えば、居住用ビル、オフィスビル、スポーツアリーナ、またはショッピングセンターだけでなく、船舶も指す。
【0037】
輸送システム1は、物を垂直に搬送するための自走式リフト4をさらに備える。自走式リフト4は、シャフト2内に少なくとも一時的に配置されるリフトプラットフォーム11を備える。リフトプラットフォーム11は、シャフト2に恒久的に設置されてもよい。そのようなリフトプラットフォーム11上では、自律型移動ロボット(例えば、家庭用ロボット)または他の無人物体29が搬送されることができる。しかしながら、特に有利な輸送システム1の場合、リフトプラットフォーム11は、建物のフロア上を移動されることができ、異なるフロアに近づくために上下に移動されるためにシャフト2内にのみ配置または設置される移動式リフトプラットフォームとして設計される。移動式リフトプラットフォーム11は、プラットフォームの上側で、または特別なコンテナを使用して、ばらの品物として物品29を運搬および輸送することができる。
【0038】
自走式リフト4は、エレベータ3とは異なる駆動タイプに基づいている。したがって、リフトプラットフォームガイド手段に沿って(ここには示されていないが、
図4を参照されたい)案内されることができるリフトプラットフォーム11は、エレベータカゴ5に対して、シャフト2内で独立して垂直に移動可能である。自走式リフト4のリフトプラットフォーム11は、シャフト2内を上昇および下降するための少なくとも1つの(図示されていない)駆動ユニットを備える。牽引滑車駆動型エレベータ3と自走式リフト4の組合せは、高い範囲の柔軟性を保証する。
【0039】
牽引滑車駆動型エレベータ3は、例えば、建物内の各フロアに設けられた複数の(図示されていない)乗場操作パネルのうちの1つから、かつ/またはエレベータカゴ5内に設けられた(図示されていない)カゴ操作パネルから受信された呼び出しに応答して、運転中にエレベータカゴ5を移動させるための駆動エンジン8の動作を制御するためのエレベータコントローラ31を有するエレベータ制御システムを備える。エレベータコントローラ31は、受信されたエレベータ呼び出しを処理し、それに応じて、懸架手段7の助けを借りてシャフト2内でエレベータカゴ5を移動させるために駆動エンジン8を作動させる。エレベータ制御システムはまた、(図示されていない)カゴドアおよびエレベータシャフトドアの動作を制御するための(図示されていない)ドアコントローラを備える。エレベータカゴ5のカゴドアおよびそれぞれのシャフトドアは、所望のフロアにカゴが到着すると開かれる。エレベータカゴ5にアクセスするためのこれらのシャフトドアは、
図1に示された例示的な実施形態では、シャフト2の正面12に配置される。以下裏面と呼ばれるシャフト2の反対側が符号13で表記されている。シャフト2は、正面12を裏面13に連結する2つの側面19をさらに備える。
【0040】
リフトプラットフォーム11は、リフトプラットフォーム11の所望のフロアへの移動を制御するリフトコントローラ32を備える。例示的な実施形態では、リフトコントローラ32は、ホストエレベータおよびリフトコントローラ33と通信ネットワークを介してワイヤレスに通信するために、無線信号を送受信するように設計された送受信ユニットをさらに備える。送信は、前述の移動無線通信技術(例えば、WLAN/WiFiシステム、4G/LTE(ロングタームエボリューション))、またはIP(インターネットプロトコル)技術もしくは有線技術(例えば、イーサネット技術)などの1つもしくは複数の技術に従って実現されてもよい。とりわけ、ホストエレベータおよびリフトコントローラ33は、輸送システム1の安全な運転を保証し、特に、エレベータカゴ5とリフトプラットフォーム11との間の衝突が発生しないことを保証する。
【0041】
エレベータカゴ5の下に位置するリフトプラットフォーム11は、エレベータカゴ5の垂直投影と少なくとも部分的に重なる。
図1に示された例示的な実施形態では、リフトプラットフォーム11用の(ここでは図示されていない)リフトシャフトドアによって提供されるアクセスは、シャフト2の側面19の1つに配置されてもよい。これとは対照的に、別の例示的な実施形態を参照する以下の
図2では、リフトプラットフォーム11のためのアクセスは、シャフト2の裏面13に配置される。
【0042】
図2は、前述された方式のエレベータとは異なる駆動タイプに基づいて物を垂直に搬送するための牽引滑車駆動型エレベータ3および自走式リフト4を有するシャフト2が設けられている、部分的に示された建物10の概略簡略図を示す。
図1に示された例示的な実施形態では、建物10は複数のフロア14および15を有する。符号14で表記されたフロアは、シャフト2の正面12に関連付けられ、それにより、それらのフロアは、第1のフロア14’、第2のフロア14’’などを備え、ここに例示された最上階は第5のフロア14
vである。乗客は、エレベータシャフトドア17および隣接するカゴドア35を通って、この正面12からエレベータカゴ5に入ることができる。シャフト2の反対側の裏面13には、複数のリフトシャフトドア18が配置され、それにより、シャフトドア18はリフトプラットフォーム11へのアクセスを提供する。少なくとも高さに関してより小さい寸法を有するこれらのシャフトドア18は、無人物体のアクセスを提供することが意図されており、普通の人のアクセスとして機能するものではない。それぞれのフロア、すなわちフロア14’、14’’、14’’’、14’
v、14
v、およびフロア15’、15’’、15’’’、15’
v、15
vは、同じ階にあるとき、共通のフロアに接続されてもよく、その結果、例えば、フロア14
vに居る人は、建物10内の(ここでは図示されていない)通路または廊下を通って歩くことにより、フロア14
vに到達することができる。シャフト2の正面12にあるエレベータシャフトドア17に関連付けられた複数のフロア14は、最下階14’を有する。
図2に見られることができるように、シャフト13の裏面13にあるリフトシャフトドア18に関連する複数のフロア15は、前記最下階14’の下に配置されたフロア15
Nを備える。このフロア15
Nは、例えば、(図示されていない)建物の入口を介して外部から、または貯蔵施設もしくは待機エリアから来る自律型乗物、ロボット、および他の無人物体の通行向けのみであってもよい主入口フロアとして機能する。
【0043】
図2は、リフトシャフトドア18の各々が、リフトシャフトドア18を相互に開閉するための制御可能なリフトシャフトドア駆動装置34を備えることをさらに示す。リフトシャフトドア18を開閉するために、リフトシャフトドア駆動装置34は、移動式リフトプラットフォーム11によって制御されることができる。したがって、移動式リフトプラットフォーム11に一体化されたリフトコントローラ32は、
図1に示されたように、リフトシャフトドア駆動装置34に関連付けられた(図示されていない)信号レセプタとワイヤレスに通信するために、無線信号を送受信するように設計された送受信ユニットを有する。移動式リフトプラットフォーム11は、シャフト2に出入りされることができ、フロア上を移動されることができる乗物として設計される。(破線によって示された)リフトプラットフォーム11がフロア上を移動されることが可能なように、移動式リフトプラットフォーム11に転輪27が設けられている。
【0044】
建物10内に配置されたホストエレベータおよびリフトコントローラ33は、インターフェースを備える。インターフェースは、エレベータコントローラ31に通信可能にリンクされる。加えて、インターフェースは、リフトプラットフォーム11の処理ユニットに通信可能にリンクされ、その処理ユニットから前述されたリフトコントローラ32にリンクされる。インターフェースは、一般に、データを送信すること、ならびにそれらの記憶に役立ち、したがって、それはこれらの目的のうちの少なくとも1つのために設計される。例示的な実施形態によれば、インターフェースとリフトプラットフォーム11との間の相互作用は、ネットワークを介して行われてもよい。ネットワークは、既知の移動無線通信規格のうちの1つに従って通信を可能にする移動通信ネットワークを備えてもよく、それは、例えば、GSM、UMTS、またはLTE移動通信ネットワークの形態で実現されてもよい。ネットワークは、いわゆるクラウドコンピューティングのためのIT基盤の一部となり得るデータネットワークをさらに備えてもよい。クラウドコンピューティングは、例えば、リモートコンピュータセンタにおけるデータの記憶を指すが、ローカルにインストールされておらず、むしろ遠隔にインストールされているプログラムの実行も指す。それぞれの設計に応じて、特定の機能が、例えば、インターフェース内または「クラウド」を介して利用可能にされてもよい。例えば、ソフトウェアアプリケーションまたはそのプログラム部分は、この目的のためにクラウド内で実行されてもよい。この場合、インターフェースは、ソフトウェアアプリケーションを実行するために、オンデマンドでこの基盤にアクセスする。
【0045】
図3および
図4は、輸送システム1の例示的な実施形態の概略図を参照する。
図3には、牽引滑車駆動型エレベータ3のエレベータカゴ5が示され、いくつかの技術的詳細を示している。物を垂直に搬送するための自走式リフト4のリフトプラットフォーム11は、破線によって示されている。リフトプラットフォーム11を案内するためのリフトガイドユニット22、ならびに上昇および下降するための上昇駆動ユニット23が象徴的に示されている(以下の
図4参照)。
【0046】
リフトプラットフォーム11は、上昇および下降するためにシャフト内に位置するとき、エレベータカゴ5の垂直投影に重なり、それにより、リフトプラットフォーム11の垂直投影は、エレベータカゴ5の垂直投影よりもかなり小さい。
図3による例示的な実施形態では、リフトプラットフォーム11は、本質的にエレベータカゴ5内に完全に投影している。この投影状態はまた、それによりリフトプラットフォーム11の小裏面セクションがカゴの垂直投影の外側に位置し得る配置を含む。リフトプラットフォーム11に対する容易なアクセスおよび取り扱いのために、リフトプラットフォーム11が、隣接するリフトシャフトドア18が設けられたシャフト2の裏面13に近接し、より好ましくはすぐ近くにあることが有利となり得る。リフトプラットフォーム11の垂直投影によって占有されるベース領域は、乗りカゴ5の垂直投影によって占有されるベース領域の約50%である。
【0047】
エレベータカゴ5は、一対の互いに反対側のカゴガイド手段20に沿って案内される正面支持カゴであり、それにより、2つのカゴガイド手段20の各々は、シャフト2の側面19のうちの1つ(したがって、カゴの側面)および正面12に近い領域に配置される。エレベータ3は、2つの対向する釣合重り6を備え、それにより、釣合重り6はシャフト2の対向する側面19に配置される。釣合重り6は、リフトプラットフォーム11の垂直投影の最も近い境界によって画定される仮想境界線まで水平に最大限に延在する。
【0048】
釣合重り6は、釣合重りガイド手段21に沿って案内される。本実施形態では、シャフト2の各側面19の釣合重りガイド手段21およびカゴガイド手段20は、例えばモノリシック圧延金属形材製の共通のガイドレール形材によって形成される。共通のガイドレール形材および釣合重りの前記特別な構成を有する、このフロントサックエレベータに関するさらなる詳細は、出願人の国際出願PCT/EP2019/085699およびPCT/EP2019/086382に見出されることができ、その開示は以下に含まれる。エレベータ3は、(ここでは図示されていない)2つの駆動エンジン8を備え、それにより、釣合重りの各々に対して1つの駆動エンジンが設けられる。
【0049】
図4は、エレベータ3がない自走式リフト4に関するより良い理解および概観のための輸送システム1を示す。自走式リフト4のリフトプラットフォーム11は、シャフト2内を上昇および下降するための2つの駆動ユニット35を備え、それにより、2つの駆動ユニット35の各々が2つの歯車26に動力を伝達する。したがって、リフトプラットフォーム11は4つの歯車26を備える。4つのガイドユニット22がシャフト2内に配置され、それにより、4つのガイドユニット22のうちの2つがシャフト2の対向する側面19にまたはその上に配置される。ガイドユニット22は、2対の垂直ポスト25およびローラチェーン26を備え、ローラチェーン26の一方がポスト25の各々に取り付けられ、かつポスト25と平行に延在し、それにより、ローラチェーン26が関連する歯車26を受け入れるように意図されている。ポスト25は、中空レール形材として形成されてもよい。リフトプラットフォームが上昇および下降することができるように、モータ付き歯車ならびにローラチェーンおよび垂直ポストを有する同様のリフトプラットフォームが国際公開WO2018/189110に開示されているが、それは異なる技術分野を参照する。驚くべきことに、本出願人は、ラック間を垂直に走行するオーダピッキングシステムからの、そのようなリフトプラットフォームが、建物内の垂直輸送システムにおいて有利に実装されることができ、建物がその間で輸送が行われるフロアを有することを見出した。
【0050】
リフトプラットフォーム11は、シャフト2に出入りされることができ、フロア15内を移動されることができる、物品を供給するための自律型乗物として設計される。フロア15上で移動されることが可能であるために、リフトプラットフォームは、電動転輪27(
図2参照)を備える。次いで、リフトプラットフォーム11は、その環境を検知し、人間の入力なしにフロア上を安全に移動されることが可能なロボカーのように機能する。あるいは、移動式リフトプラットフォーム11は、例えば、フロア上の標線または配線に沿って辿るAGVとして設計されてもよい。
【0051】
図2は、そのような移動式リフトプラットフォーム11がシャフト2内にどのように運ばれることができるかを例示的に示す。シャフト2は、各フロア15に配置された伸縮可能なプラットフォームまたは斜面36を備える。斜面36は、静止位置から伸長位置まで延在することができるように設計される。制御可能斜面36a(図示せず)の作動のために、リフトシャフトドア18の動作を制御するためのリフトドアコントローラと電子的に結合され得る摺動駆動装置が設けられてもよい。主入口フロア15
Nに関連付けられた延長斜面36が破線によって示されている。斜面36のおかげで、移動式リフトプラットフォーム11は、フロア15
Nから延長斜面36を介してシャフト2内に移動されることができる。次いで、移動式リフトプラットフォーム11は、リフトガイドユニットにドッキングし、シャフト2内を上昇および下降する準備ができる。ドッキング手順の後、斜面36はスライドして静止位置に戻る。斜面36のそれぞれの閉鎖運動は、矢印sによって示されている。この静止位置では、斜面は完全に後退しており、移動式リフトプラットフォーム11の妨げられない上昇および下降を可能にする。シャフト2はピットレスシャフトであってもよい。この場合、移動式リフトプラットフォーム11は、そのような斜面36を必要とせずに入口フロア15
Nからシャフト2内に移動されることができる。伸縮可能斜面36は、伸縮斜面を形成する複数の要素を備えることができる。
【0052】
フロア15からシャフト2への移動式リフトプラットフォーム11の移送のための他の移送手段も考えられるべきである。例えば、上述された伸縮可能斜面36の代わりに、折り畳み可能な斜面が各フロア15に設けられてもよく、それにより、折り畳み可能な斜面は、作動後、垂直静止位置から水平駆動アップ位置まで旋回可能に移動されることができる。
【国際調査報告】