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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】シール可能なジョイント
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/098 20060101AFI20230725BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F16L37/098
A61M5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581635
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 GB2021051681
(87)【国際公開番号】W WO2022003365
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2010250.5
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514212973
【氏名又は名称】コンソート・メディカル・リミテッド
【住所又は居所原語表記】Bergen Way, North Lynn Industrial Estate,King’s Lynn, Norfolk PE30 2JJ, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】サヴェル,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ノリス,デボラ
【テーマコード(参考)】
3J106
4C066
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE13
3J106EA03
3J106EB02
3J106ED03
3J106ED04
3J106EE02
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066JJ01
(57)【要約】
第1の構成要素、第2の構成要素、及び、第3の構成要素を備えるシール可能なジョイント。第1の構成要素は、流体を通過させるための孔が貫通して成るステムを備える。第2の構成要素が第1の構成要素上に配置され、第3の構成要素は、シール面と、1つ以上の径方向内側に突出する部材とを備える。第2の構成要素及び前記第1の構成要素のうちの一方、又は第2の構成要素と第1の構成要素との組み合わせは、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定される。シール形態では、第2の構成要素が第3の構成要素によって受けられて、第1のフランジの少なくとも一部がシール面に対して変形するシールジョイントを形成し、1つ以上の径方向内側に突出する部材は、第1のフランジと第2のフランジとの間の環状凹部内に配置され、第2のフランジの外面は、1つ以上の径方向内側に突出する部材の少なくとも一部の径方向外側にあり、シール形態において、流体は、シールジョイントの第1の側からシールジョイントの第2の側へと孔を通じ流れることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成要素、第2の構成要素、及び、第3の構成要素を備えるシール可能なジョイントであって、
前記第1の構成要素は、流体を通過させるための孔が貫通して成るステムを備え、
前記第2の構成要素が前記第1の構成要素上に配置され、
前記第3の構成要素は、シール面と、1つ以上の径方向内側に突出する部材とを備え、
前記第2の構成要素及び前記第1の構成要素のうちの一方、又は前記第2の構成要素と前記第1の構成要素との組み合わせは、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定され、
シール形態では、前記第2の構成要素が前記第3の構成要素によって受けられて、前記第1のフランジの少なくとも一部が前記シール面に対して変形するシールジョイントを形成し、前記1つ以上の径方向内側に突出する部材は、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間の環状凹部内に配置され、前記第2のフランジの外面は、前記1つ以上の径方向内側に突出する部材の少なくとも一部の径方向外側にあり、
前記シール形態において、流体は、前記シールジョイントの第1の側から前記シールジョイントの第2の側へと前記孔を通じ流れることができる、
シール可能なジョイント。
【請求項2】
前記第2の構成要素が前記第1の構成要素の外面に取り付けられる、請求項1に記載のシール可能なジョイント。
【請求項3】
前記第2の構成要素は、前記第1の構成要素に対してより弾力性のある材料を含む、請求項1又は2に記載のシール可能なジョイント。
【請求項4】
前記シール形態において、前記第1のフランジの前記少なくとも一部は、前記シール面とのシールされた締まり嵌めを形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項5】
前記1つ以上の径方向内側に突出する部材は、複数の径方向に可撓性があるフィンガを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項6】
前記第2のフランジの前記外面は、前記シール可能なジョイントの縦軸に対して狭くなっている、請求項1から5のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項7】
前記第2のフランジは、前記シール形態で前記1つ以上の径方向内側に突出する部材に面する当接面を備え、前記当接面と前記1つ以上の径方向内側に突出する部材との間の当接が、前記第3の構成要素に対する前記第2のフランジの軸方向移動を制限する、請求項1から6のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項8】
前記第1の構成要素が第3のフランジを備え、前記第3のフランジは、前記第1のフランジが前記第2のフランジと前記第3のフランジとの間にあるように前記第2のフランジとは反対側の前記第1のフランジの側にあり、前記第3のフランジと第3の構成要素との間の当接が、前記第3の構成要素に対する前記第1の構成要素の軸方向移動を制限する、請求項1から7のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項9】
前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素が単一の一体部品を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載のシール可能なジョイント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のシール可能なジョイントを備える自動注射器サブアセンブリ。
【請求項11】
推進剤源を備え、前記シール可能なジョイントが前記自動注射器サブアセンブリの他の構成要素に対して前記推進剤源をシールする、請求項10に記載の自動注射器サブアセンブリ。
【請求項12】
前記推進剤源は、推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングを備え、前記第1の構成要素は、前記孔を前記リザーバと選択的に流体連通させるように前記推進剤ハウジングに対して移動可能である、請求項11に記載の自動注射器サブアセンブリ。
【請求項13】
前記第3の構成要素は、前記自動注射器サブアセンブリの前記他の構成要素の少なくとも一部を形成する、請求項11又は12に記載の自動注射器サブアセンブリ。
【請求項14】
推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングと、孔が貫通して成るステムを備える第1の構成要素と、前記第1の構成要素上に配置される第2の構成要素とを備え、前記第2の構成要素及び前記第1の構成要素のうちの一方、又は前記第2の構成要素と前記第1の構成要素との組み合わせは、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定され、前述第1の構成要素は、前記孔を前記リザーバと選択的に流体連通させるように前記推進剤ハウジングに対して移動可能である、推進剤源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シール可能なジョイントに関し、特に、薬剤送達デバイスなどの医療デバイスで使用され得るシール可能なジョイントに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
2つの構成要素を互いに機械的に連結しながら流体シールを行うためには特定のシール可能なジョイントが必要とされる。そのようなシール可能なジョイントの既知の例としては、外側圧縮ナットと内側圧縮リング又はフェルールとを組み込む圧縮取付具が挙げられる。内側圧縮リングは、流体シールを行うために取付具内で圧縮される場合がある。
【0003】
しかしながら、既知のシール可能なジョイントには幾つかの欠点がある。特定のシール可能なジョイントは、特定の条件下で、流体シール又は2つ(又はそれ以上)の構成要素の機械的連結部のいずれか又は両方が故障しやすい場合がある。
【0004】
本発明の特定の実施形態の目的は、改良されたシール可能なジョイントを提供することである。シール可能なジョイントは、クリープ又は経年劣化の影響、振動(正弦波及び/又はランダム)、圧力負荷、軸方向負荷、横方向負荷、及び/又は、衝撃負荷などの条件下で、改善されたシール及び/又は機械的保持を行うことができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1の構成要素、第2の構成要素、及び、第3の構成要素を備えるシール可能なジョイントであって、
第1の構成要素は、流体を通過させるための孔が貫通して成るステムを備え、
第2の構成要素が第1の構成要素上に配置され、
第3の構成要素は、シール面と、1つ以上の径方向内側に突出する部材とを備え、
第2の構成要素及び第1の構成要素のうちの一方、又は第2の構成要素と第1の構成要素との組み合わせは、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定され、
シール形態では、第2の構成要素が第3の構成要素によって(例えば、第3の構成要素内に)受けられて、第1のフランジの少なくとも一部がシール面に対して変形するシールジョイントを形成し、1つ以上の径方向内側に突出する部材は、第1のフランジと第2のフランジとの間の環状凹部内に配置され、第2のフランジの外面は、1つ以上の径方向内側に突出する部材の少なくとも一部の径方向外側にあり、
シール形態において、流体は、シールジョイントの第1の側からシールジョイントの第2の側へと孔を通じ流れることができる、
シール可能なジョイントが提供される。
【0006】
特定の実施形態では、第2の構成要素が第1の構成要素の外面に取り付けられてもよい。第2の構成要素は、第1の構成要素に対してより弾力性のある材料を含んでもよい。
【0007】
シール形態において、第1のフランジの少なくとも一部は、シール面とのシールされた締まり嵌めを形成してもよい。
【0008】
特定の実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材は、複数の径方向に可撓性があるフィンガを備える。
【0009】
特定の実施形態において、第2のフランジの外面は、シール可能なジョイントの縦軸に対して狭くなっていてもよい。
【0010】
特定の実施形態において、第2のフランジは、シール形態で1つ以上の径方向内側に突出する部材に面する当接面を備えてもよく、当接面と1つ以上の径方向内側に突出する部材との間の当接が、第3の構成要素に対する第2のフランジの軸方向移動を制限してもよい。
【0011】
特定の実施形態では、第1の構成要素が第3のフランジを備えてもよく、第3のフランジは、第1のフランジが第2のフランジと第3のフランジとの間にあるように第2のフランジとは反対側の第1のフランジの側にあり、第3のフランジと第3の構成要素との間の当接が、第3の構成要素に対する第1の構成要素の軸方向移動を制限してもよい。
【0012】
特定の実施形態では、第1の構成要素及び第2の構成要素が単一の一体部品を形成する。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前述のシール可能なジョイントを備える自動注射器サブアセンブリが提供される。
【0014】
自動注射器サブアセンブリは推進剤源を備えてもよく、シール可能なジョイントが自動注射器サブアセンブリの他の構成要素に対して推進剤源をシールしてもよい。推進剤源は、推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングを備えてもよく、第1の構成要素は、孔をリザーバと選択的に流体連通させるように推進剤ハウジングに対して移動可能であってもよい。
【0015】
第3の構成要素は、自動注射器サブアセンブリの他の構成要素の少なくとも一部を形成してもよい。
【0016】
本発明の他の態様によれば、推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングと、孔が貫通して成るステムを備える第1の構成要素と、第1の構成要素上に配置される第2の構成要素とを備え、第2の構成要素及び第1の構成要素のうちの一方、又は第2の構成要素と第1の構成要素との組み合わせが、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定され、第1の構成要素が、孔をリザーバと選択的に流体連通させるように推進剤ハウジングに対して移動可能である、推進剤源が提供される。
【0017】
特定の実施形態では、第2の構成要素が第1の構成要素の外面に取り付けられてもよい。第2の構成要素は、第1の構成要素に対してより弾力性のある材料を含んでもよい。
【0018】
特定の実施形態において、第2のフランジの外面は、推進剤源の縦軸に対して狭くなっていてもよい。
【0019】
特定の実施形態では、第1の構成要素が第3のフランジを備えてもよく、第3のフランジは、第2のフランジとは反対側の第1のフランジの側にある。
【0020】
特定の実施形態では、第1の構成要素及び第2の構成要素が単一の一体部品を形成する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、雄コネクタ部品と雌コネクタ部品とを備えるシール可能なジョイントであって、
雄コネクタ部品は、流体を通過させるための孔が貫通して成るステムを備え、
雌コネクタ部品は、シール面と、1つ以上の径方向内側に突出する部材とを備え、
雄コネクタ部品が第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定され、
シール形態では、雄コネクタ部品が雌コネクタ部品によって(例えば、雌コネクタ部品内に)受けられて、第1のフランジの少なくとも一部がシール面に対して変形するシールジョイントを形成し、1つ以上の径方向内側に突出する部材は、第1のフランジと第2のフランジとの間の環状凹部内に配置され、第2のフランジの外面は、1つ以上の径方向内側に突出する部材の少なくとも一部の径方向外側にあり、
シール形態において、流体は、シールジョイントの第1の側からシールジョイントの第2の側へと孔を通じ流れることができる、
シール可能なジョイントが提供される。
【0022】
シール形態において、第1のフランジの少なくとも一部は、シール面とのシールされた締まり嵌めを形成してもよい。
【0023】
特定の実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材は、複数の径方向に可撓性があるフィンガを備える。
【0024】
特定の実施形態において、第2のフランジの外面は、シール可能なジョイントの縦軸に対して狭くなっていてもよい。
【0025】
特定の実施形態において、第2のフランジは、シール形態で1つ以上の径方向内側に突出する部材に面する当接面を備えてもよく、当接面と1つ以上の径方向内側に突出する部材との間の当接が、雌コネクタ部品に対する第2のフランジの軸方向移動を制限してもよい。
【0026】
特定の実施形態では、雄コネクタ部品が第3のフランジを備えてもよく、第3のフランジは、第2のフランジとは反対側の第1のフランジの側にあり、第3のフランジと雌コネクタ部品との間の当接が、雌コネクタ部品に対する雄コネクタ部品の軸方向移動を制限してもよい。
【0027】
本発明の他の態様によれば、前述のシール可能なジョイントを備える自動注射器サブアセンブリが提供される。
【0028】
自動注射器サブアセンブリは推進剤源を備えてもよく、シール可能なジョイントが自動注射器サブアセンブリの他の構成要素に対して推進剤源をシールしてもよい。推進剤源は、推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングを備えてもよく、雄コネクタ部品は、孔をリザーバと選択的に流体連通させるように推進剤ハウジングに対して移動可能であってもよい。
【0029】
雌コネクタ部品は、自動注射器サブアセンブリの他の構成要素の少なくとも一部を形成してもよい。
【0030】
本発明の他の態様によれば、推進剤を収容するためのリザーバを画定する推進剤ハウジングと、孔が貫通して成るステムを備えるとともに、第1のフランジ及び第2のフランジを備え、これらのフランジ間に環状の凹部が画定される雄コネクタ部品とを備え、雄コネクタ部品が、孔をリザーバと選択的に流体連通させるように推進剤ハウジングに対して移動可能である、推進剤源が提供される。
【0031】
特定の実施形態において、第2のフランジの外面は、推進剤源の縦軸に対して狭くなっていてもよい。
【0032】
特定の実施形態では、雄コネクタ部品が第3のフランジを備えてもよく、第3のフランジは、第2のフランジとは反対側の第1のフランジの側にある。
【0033】
本発明の一態様によれば、推進剤を収容及び分配するための推進剤源であって、
推進剤を収容するためのリザーバを画定するハウジングと、
ハウジングの開口を通じ延在するステムであって、ステムを通じて延在するとともに出口を有する孔と、孔からステムの外面を通じ延在する1つ以上の径方向チャネルとを有する、ステムと、
を備え、
ステムは、1つ以上の径方向チャネルがリザーバと流体連通しない第1の軸方向位置と、推進剤がリザーバから流れ1つ以上の径方向チャネルを通って孔を通じて出口から流出することができるように1つ以上の径方向チャネルがリザーバと流体連通する第2の軸方向位置との間で、ハウジングに対して軸方向に移動可能であり、
ステムは、第1のステム部分と、第1の部分に接続される第2のステム部分とを備え、第2のステム部分は、ハウジング内に完全に配置されるとともに、ステムの一部をハウジング内に保持するように開口の直径よりも大きい幅を有する、
推進剤源が提供される。
【0034】
特定の実施形態では、第1のステム部分の後端部は、第2のステム部分の孔を通じて延在するとともに、径方向に延在するフランジ部を備え、径方向に延在するフランジ部は、第2のステム部分の孔の直径よりも大きい幅を有するとともに、第2のステム部分に対する第1のステム部分の軸方向下向きの移動を防止する。特定の実施形態において、第2のステム部分は、それを貫通する1つ以上の軸方向穴を備える。1つ以上の軸方向穴は、第2のステム部分と推進剤源のシールとの間に生じる低圧効果を低減することができる。
【0035】
本発明の一態様によれば、推進剤を収容及び分配するための推進剤源であって、
推進剤を収容するためのリザーバを画定するハウジングと、
ハウジングの開口を通じ延在するステムであって、ステムを通じて延在するとともに出口を有する孔と、孔からステムの外面を通じ延在する1つ以上の径方向チャネルとを有する、ステムと、
を備え、
ステムは、1つ以上の径方向チャネルがリザーバと流体連通しない第1の軸方向位置と、推進剤がリザーバから流れ1つ以上の径方向チャネルを通って孔を通じて出口から流出することができるように1つ以上の径方向チャネルがリザーバと流体連通する第2の軸方向位置との間で、ハウジングに対して軸方向に移動可能であり、
ハウジング内に完全に配置されるステムの一部分は、ステムの一部をハウジング内に保持するように開口の直径よりも大きい幅を有し、ステムの前記部分がそれを貫通する1つ以上の軸方向穴を備える。1つ以上の軸方向穴は、第2のステム部分と推進剤源のシールとの間に生じる低圧効果を低減することができる、
推進剤源が提供される。
【0036】
本発明の一態様によれば、前述の推進剤源を製造する方法が提供され、この方法は、第1のステム部分と第2のステム部分を互いに組み立てるステップと、第2のステム部分に対して第1のステム部分を機械的に変形させることによって第1のステム部分の径方向に延びるフランジ部を形成するステップとを含む。特定の実施形態において、第1のステム部分を機械的に変形させるステップは、第1のステム部分(例えば、第1のステム部分の後端部)を熱かしめするステップを含むことができる。
【0037】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態に係るシール可能なジョイントの断面図である。
図2】1つ以上の径方向内側に突出する部材の屈曲位置を更に示す図1のシール可能なジョイントの更なる断面図である。
図3】公差限界内での潜在的な寸法変動を更に示す図1のシール可能なジョイントの更なる断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るシール可能なジョイントを含む自動注射器サブアセンブリの一部を示す。
図5図4の自動注射器サブアセンブリを含む自動注射器デバイスを概略的に示す。
図6A】製造完了前の、本発明の一実施形態に係る推進剤源のステムの2つの部分を示す。
図6B】製造完了後の図6Aのステムの2つの部分を示す。
図7】本発明の別の実施形態に係るシール可能なジョイントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の一実施形態に係るシール可能なジョイント10が図1に断面で示される。特定の実施形態において、シール可能なジョイント10は、機械的にも頑丈で、流体が孔を通じて流体密なシールの一方側から流体密なシールの他方側まで通過できるようにする、外的に流体密なシールを形成しようとする。シール可能なジョイント10は、ステムを備える第1の構成要素12を含む。第1の構成要素12は、流体が第1の構成要素12を通過できるようにする孔18が貫通して成る。シール可能なジョイント10は縦軸100に沿って延び、縦軸100に沿って孔18が中心付けられて平行に延びる。
【0040】
本明細書の全体にわたって、軸方向又は同様の方向と称される全ての方向は、縦軸100に沿った又はそれと平行な方向を意味することを意図する。周方向又は同様の方向と称される全ての方向は、縦軸100を中心とし且つその平面が縦軸100に対して垂直な概念上の円の円弧に沿う方向を意味することを意図する。径方向又は同様の方向と称される全ての方向は、縦軸100から離れるように延びて縦軸100に対して垂直な方向を意味することを意図する。別の点に対して径方向外側にある点は、その他の点よりも縦軸100から離れている。
【0041】
図示の実施形態では、第2の構成要素14が第1の構成要素12上に配置される。特定の実施形態において、第2の構成要素14は、例えば、接着剤又は摩擦係合によって第1の構成要素12に取り付けられてもよい。特定の実施形態において、第2の構成要素は、第1の構成要素12に又は第1の構成要素12上にわたって成形され得る。特定の実施形態において、第2の構成要素14は、第1の構成要素12の材料に対してより弾力性のある材料を含むことができる。幾つかの別の実施形態において、第2の構成要素14は、第1の構成要素12と同じ材料(又は少なくとも同じ弾力性を有する材料)から形成されてもよい。この意味で、第1の構成要素12及び第2の構成要素14は、別個の識別可能な領域を伴う及び/又は別個の機能特性を伴うにもかかわらず単一の一体部品を形成することができる。この単一の一体部品は、単一部品として形成されてもよく、又は、その後に互いに緒に融合される複数の部品として形成されてもよい。
【0042】
図1に示される非限定的な実施形態では、第2の構成要素14が第1のフランジ24を備え、第1の構成要素12が第2のフランジ26を備える。第1のフランジ24及び第2のフランジ26はそれぞれ、第2の構成要素14及び第1の構成要素12のそれぞれの径方向に延びる部分である。特定の実施形態では、第1のフランジ24が周方向に連続しているが、第2のフランジ26は周方向に連続していても不連続であってもよい。特定の実施形態において、第1のフランジ24はOリングシール又はリップシールであってもよい。第1のフランジ24及び第2のフランジ26は、それらが一緒になってそれらの間に環状の凹部28を画定するように、互いに軸方向で離間される。別の実施形態において、シール可能なジョイント10の第1のフランジ24及び第2のフランジ26は、他の構成要素によって形成され得る。特に、第1の構成要素12及び第2の構成要素14のうちの一方が第1のフランジ24及び第2のフランジ26を備えてもよく、又は、第1の構成要素12と第2の構成要素14との組み合わせが第1のフランジ24及び第2のフランジ26を備えてもよい。
【0043】
第3の構成要素16が設けられ、この第3の構成要素16は、シール面20と、1つ以上の径方向内側に突出する部材22とを備える。特定の実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、縦軸100に向かって径方向内側に好ましくは90°である角度で延在してもよい。1つ以上の径方向内側に突出する部材22が90°ではない角度で縦軸100に向かって径方向内側に延びる実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、方向102と平行な方向に更に延びてもよい。そのような実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、別の構成とは対照的に、上向きの軸方向荷重に対してより弾力性があってもよい。第3の構成要素16が(図1に示されるように)単一の径方向内側に突出する部材22を備える実施形態では、径方向内側に突出する部材22が周方向に連続する環であってもよい。他の実施形態では、2つ以上の径方向内側に突出する部材22が、例えば径方向内側に延びる複数のフィンガの形態を成して設けられてもよい。いずれの場合も、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、それらの間に開口部が残っている限り径方向内側に延在し、開口部は第2のフランジ26の通過を可能にし得る。この意味で、第1の構成要素12及び第2の構成要素14は、共同で雄コネクタ部品を形成すると見なすことができ(それらの要素が単一の一体構成部品を形成するか否かにかかわらず)、一方、第3の構成要素16は、雄コネクタ部品(の一部)を受けることができる雌コネクタ部品を形成すると見なすことができる。
【0044】
図1は、シール形態にある第1の構成要素12、第2の構成要素14、及び、第3の構成要素16を示す。シール形態を確立するために、第1の構成要素12(第1の構成要素12上に第2の構成要素14が配置された状態)は、第3の構成要素16に対して軸方向下方に移動される。軸方向下方が図1に矢印102によって示される。そうすることで、第2のフランジ26は、1つ以上の径方向内側に突出する部材22と接触し、該部材を径方向外側に屈曲又は変形させて、第2のフランジ26が通過できるようにする。第2のフランジ26の通過を容易にするために、第2のフランジには、1つ以上の径方向内側に突出する部材22に対してカムとして作用してその径方向の屈曲又は変形を引き起こすことができる、狭くなっている外面26aが設けられる。第2のフランジ26が1つ以上の径方向内側に突出する部材22を軸方向で通過した時点で、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、それらの当初の(又は通常の)径方向位置(すなわち、径方向に屈曲される或いはさもなければ変形される前のそれらの位置)に向かって径方向内側に戻るように屈曲又は変形され得る。特定の実施形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、第1の構成要素12又は第2の構成要素14との干渉に起因して(及び、挿入によって材料が永久的に変形する可能性もあるため)、それらの当初の径方向位置に完全には戻らない場合がある。
【0045】
図1は、第2のフランジ26が1つ以上の径方向内側に突出する部材22を軸方向で通過して1つ以上の径方向内側に突出する部材22がそれらの当初の径方向位置に戻った、シール形態のシール可能なジョイント10を示す。第1の構成要素12の拡大部27が、第2のフランジ26の軸方向上方に設けられ、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の最内縁部によって規定される半径と同様の半径を有する。図1に示される形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は拡大部27に隣接し、また、それらの相対半径に起因して、拡大部27と1つ以上の径方向内側に突出する部材22との間には大きな隙間が存在しない。この緊密な嵌合は、第1の構成要素12と第3の構成要素16との間の相対的な横方向の動きを制限する。シール形態において、1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、第1のフランジ24と第2のフランジ26との間の環状凹部28内に配置され、第2のフランジ26の外面26aは、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の少なくとも一部の径方向外側にある。結果として、第3の構成要素16に対する第1の構成要素12の上向きの軸方向移動(図1に矢印104によって示される)は、第2のフランジ26と1つ以上の径方向内側に突出する部材22との当接によって(それ以上の軸方向上方への移動が禁止されるように)制限される。図1に示される特定の実施形態において、第2のフランジ26の後方(すなわち、図では上方に向く)軸方向面26b(又は当接面)は、第1の構成要素12が第3の構成要素16に対して上向きの軸方向104で付勢される場合に後方軸方向面26bが1つ以上の径方向内側に突出する部材22に対してカムとして作用するリスクを低減する輪郭を有する。
【0046】
第3のフランジ32が、第1の構成要素12上に形成されるとともに、第1のフランジ24の軸方向上方(すなわち、第1のフランジ24に対して第2のフランジ26とは反対側)に設けられる。第3のフランジ32は、シール面20及び1つ以上の径方向内側に突出する部材22の軸方向上方にある上端肩部34によって第3の構成要素16に画定される開口部の半径よりも大きい半径まで径方向外側に延在する。第3のフランジ32及び上端肩部34の相対的な輪郭は、それらが互いに係合するときにカム効果が最小限に抑えられるようになっている。むしろ、第3のフランジ32と上端肩部34との係合は、第3の構成要素16に対する第1の構成要素12の更なる下方への(すなわち、方向102に沿う)軸方向移動を防止する。したがって、シール形態の時点で、雄コネクタ部品が雌コネクタ部品と係合され、雌コネクタ部品からの雄コネクタ部品の離脱は、1つ以上の径方向内側に突出する部材22と第2のフランジ26との方向104に沿う係合によって及び第3のフランジ32と上端肩部34との方向102に沿う係合によって防止される。そのため、シール形態の時点で、雄コネクタ部品が雌コネクタ部品によって機械的に保持される。
【0047】
シール形態において、第2の構成要素14は、第1のフランジ24が第3の構成要素22のシール面20に当て付いて変形させられるように第1の構成要素12と第3の構成要素16との間に配置される。これは、第1のフランジ24が名目上シール面20の径方向外側に延在するために生じる。変形した第1のフランジ24は、シール面20と流体密なシールを形成する。したがって、雌コネクタ部品に対する雄コネクタ部品の機械的保持に加えて、シールジョイント30が設けられ、このシールジョイント30は、孔18を通過する流体を除き、シールジョイント30の第1の側30aとシールジョイント30の第2の側30bとの間の(両方向での)シールジョイント30を横切る流体の流れを実質的に防止する。第1のフランジ24が変形してシール面20に対してシールを行うために、変形を可能にするのに十分な周囲空間が設けられなければならない。図1に示される実施形態において、環状凹部28は、第1のフランジ24がシール面20に対して変形して流体密なシールを与えることができるように第2の構成要素14が変形して入り込むのに十分な空間を与える。
【0048】
本発明の実施形態に係るシールジョイント10は、頑丈な機械的接続及び流体シールを行うことができる。特定の実施形態において、シールジョイント10は、単純なスナップ嵌合接続によって形成され得る。前述の特徴により、シールジョイント10は、振動(正弦波及び/又はランダム)、圧力負荷、軸負荷、横負荷、及び/又は、衝撃負荷などの条件下で、その機械的及び密閉完全性を維持することができる。更に、組み立てられたシールジョイント10が上方向、下方向、及び径方向のそれぞれにおける相対移動を防止又は制限するように互いに当接又は干渉するインタフェースを含む場合、シールジョイント10は、不正確な組み立てを防止する(或いは少なくとも不正確な組み立てのリスクをかなり低減する)。特定の実施形態は、解体するための専門の工具及び/又は専門の方法を必要とし得る「不正開封防止」ジョイントを提供し得る。
【0049】
1つ以上の径方向内側に突出する部材22が撓んだ位置で示される図2にも先と同様にシールジョイント10が示される。1つ以上の径方向内側に突出する部材22は、第2のフランジ26が通過するために1つ以上の径方向内側に突出する部材22を径方向外側に付勢する際に組み立て中に図2に示される位置まで(又は図2に示される位置を通って)径方向に撓むことができる。図2から分かるように、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の端部は、径方向外側に撓むときに円弧に沿って移動する。したがって、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の端部は、それが径方向外側に移動するにつれて、更に軸方向下方に移動する。したがって、その当初の径方向の位置に戻る又は向かうように弛緩するためには、径方向内向きに加えて、軸方向上向きに移動する必要がある。この移動を可能にするために、雄コネクタ部品(図1図3に示される特定の実施形態における第1の構成要素12)は、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の求められる移動に必要な空間を与える形状及び位置を有しなければならない。図1に戻ると、第1の構成要素12が第3の構成要素16に対して最も下方の軸方向位置(第3のフランジ32と上端肩部34との間の当接によって決定される)にあるときに、隙間Gが1つ以上の径方向内側に突出する部材22と第2のフランジ26との間に存在することが分かる。第2のフランジ26が通過した時点で1つ以上の径方向内側に突出する部材22が当初の径方向位置に戻る又は向かうように弛緩するために、この隙間Gには、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の揺動(すなわち、径方向の動きに加えて軸方向の動き)を可能にするのに十分であることが求められる。
【0050】
図1及び図3を参照すると、隙間Gは相対的な寸法L1及びL2によって決定され、L1は、上端肩部34と1つ以上の径方向内側に突出する部材22の下端との間の軸方向距離であり、L2は、第3のフランジ32の下端と第2のフランジ26の上端との間の軸方向距離であり、G=L2-L1である。実際の長さL1及びL2が意図された公称長さに対して製造されたシールジョイント10において変化し得ることを製造公差が意味する場合、隙間Gも、製造されたシールジョイント10製品のバッチにわたって変化する。例えば、L1は公称長さよりも長く、L2は公称長さより短くてもよい。このような変動は、製造公差の範囲内で予期され得る。したがって、公称隙間Gの大きさは、たとえL1及びL2が公差の変動に起因して極端な大きさであっても、1つ以上の径方向内側に突出する部材22が、組み立て中に第2のフランジ26が通過できるように径方向外側及び軸方向下方に屈曲でき、その後に、1つ以上の径方向内側に突出する部材22の少なくとも一部が第2のフランジ26の外面26aの径方向内向きになるように径方向内側及び軸方向上方に屈曲できるように選択されるべきである。
【0051】
更に、1つ以上の径方向内側に突出する部材22を取り囲む構成要素は、シールジョイント10の組み立てを可能にするように1つ以上の径方向内側に突出する部材22が径方向に屈曲する又は変形して入り込むのに必要な空間を与える外側環状空間36をもたらす。
【0052】
図4は、推進剤源42及び円筒ハウジング60を備える自動注射器サブアセンブリ40の一部を示す。推進剤源42は、シール可能なジョイント10によって円筒ハウジング60に接続される。特に、第1の構成要素12が推進剤源42の第1のステム部分を形成し、一方、第3の構成要素16が円筒ハウジング60の一部を形成する。
【0053】
推進剤源42は、国際公開第2013182856号(Consort Medical Plc)に記載される弁付きディスペンサを伴う特徴を備える又は共有することができるが、シール可能なジョイント10の雄コネクタ部品に関して前述した特徴を組み込むことができる。
【0054】
図4の推進剤源42は、第1の推進剤ハウジング部分50a及び第2の推進剤ハウジング部分50bから形成される推進剤ハウジング50を備える。推進剤ハウジング50は、液化ガスなどの推進剤を収容することができる内部リザーバ46を取り囲んで画定する。第1の構成要素12(第1のステム部分)は、推進剤ハウジング50の開口51を通じてリザーバ46内に延在し、リザーバに対してシール状態で摺動することができる。シール56が、第1の構成要素12に対して密封するが、第1の構成要素が摺動してリザーバ46に出入りできるようにするために設けられる。第2のステム部分44が、(以下により詳細に説明されるように)推進剤ハウジング50内に含まれる領域で第1の構成要素(第1のステム部分)に接続される。このように、第1の構成要素12及び第2のステム部分44が共同でステムを形成する。第2のステム部分44は、推進剤ハウジング50内に完全に収容される。第2のステム部分44は、フランジ部44fで径方向外側に張り出し、第1の構成要素12(第1のステム部分)が推進剤ハウジング50から完全に抜け出るのを防止する。特に、第2のステム部分44のフランジ部44fは、第1の構成要素12が貫通して延びる推進剤ハウジング50の開口51の直径よりも大きい幅を有するように寸法付けられる。第1の構成要素12と第2のステム部分44とが互いに接続される場合、フランジ部44fは、推進剤ハウジング50に対する第2のステム部分44(及び第1の構成要素12)の下方への動きを制限し、したがって第2のステム部分44(及び第1の構成要素12)を推進剤ハウジング50内に保持する。
【0055】
第1の構成要素12は、孔18から第1の構成要素12の外面を貫通して径方向に延びる径方向チャネル12aを含む。推進剤ハウジング50に対する第1の構成要素12の第1の軸方向位置において、径方向チャネル12aは、孔18がリザーバ46と流体連通しないようにシール56の下方に配置される。第1の構成要素12は、径方向チャネル12aがシール56の上方に配置されてリザーバ46と流体連通する第2の軸方向位置まで、推進剤ハウジング50に対して軸方向上向きに移動することができる。したがって、第2の軸方向位置では、孔18がリザーバ46と流体連通しており、リザーバ46からの推進剤は、(径方向チャネル12aを介して)孔18の中を通過し、シールジョイント30の第1の側30aからシールジョイント30の第2の側30bへと孔18の出口から出ることができる。
【0056】
図4に示される非限定的な実施形態では、推進剤ハウジング50内にリブ52が設けられ、このリブ52は、スプリング48のための反応面及びリテーナとして作用する。図4の非限定的な実施形態において、リブ52は、推進剤ハウジング50と一体ではない(国際公開第2013182856号などの特定の従来技術の構成とは対照的に)。特定の実施形態では、リブ52が全く存在しなくてもよい。スプリング48は、第2のステム部分44に作用して、第1の構成要素12(第1のステム部分)を第1の軸方向位置に向けて付勢する。スプリング48のばね力は、第1の構成要素12が第2の軸方向位置に移動するために抗して作用されて克服しなければならない。ラッチ54がボス52から軸方向上方及び径方向内側に延在する。ラッチ54は、第1の構成要素12が推進剤ハウジング50に対して軸方向上向きに移動される際に第2のステム部分44が通過できるようにするべく径方向外側に撓むことができるように構成される。第2のステム部分44がラッチ54よりも軸方向上方にある場合、ラッチ54は、(第2のステム部分44の少なくとも一部の径方向内側にある)それらの径方向内側位置に戻る又はそれらの径方向内側位置に向かうように弛緩することができ、したがって、推進剤ハウジング50に対する第2のステム部分44(及び第1の構成要素12)のその後の軸方向下方移動を防止する。そのため、第2のステム部分44が十分な量だけ推進剤ハウジング50内へと移動された時点で、ラッチ54は、第2のステム部分44をラッチして、第1の構成要素12を第2の軸方向位置に保持する。第2のステム部分44は、第1の構成要素12が第1の軸方向位置から第2の軸方向位置に移動するときに第2のステム部分44とシール56との間の低圧効果を低減するように(作動力を増大させる)第2のステム部分44を横切る流体の通過を可能にする1つ以上の軸方向チャネル44aを含む。別の実施形態において、推進剤源42は、第1の構成要素12を第2の軸方向位置に保持するためのラッチ手段を備えなくてもよい。
【0057】
図6A及び図6Bは、第1のステム部分12と第2のステム部分44との間の接続を形成する方法を示す。図6Aは、製造中(及び製造の完了前)の第1のステム部分12及び第2のステム部分44を示し、一方、図6Bは、製造が完了した後の第1のステム部分12及び第2のステム部分44を示す。第1のステム部分12の後端部12bは、第2のステム部分44の孔44bを通じて延在し、第2のステム部分44の第1の凹部44cを通過して更に延在する。第1のステム部分12を第2のステム部分44に対して接続固定するために、後端部12bは、径方向に延びるフランジ部を形成するべく第2のステム部分44に当て付くように機械的に変形され、径方向に延びるフランジ部は、第2のステム部分44の孔44bの直径よりも大きい幅を有するとともに、第2のステム部分44に対する第1のステム部分12の軸方向下向きの移動を防止する。図6A及び図6Bに示される実施形態において、後端部12bは、変形時に第1のステム部分12の後端部12bが第2のステム部分44の後端部44eと実質的に面一となるように第2のステム部分44の凹部44c内へと機械的に変形される。機械的変形の適切な方法は、熱かしめ及び超音波かしめを含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、第1のステム部分12及び第2のステム部分44は、これらの部分の一方を永久変形させることなく互いに接続され得る。例えば、スナップ嵌合接続が第1のステム部分12と第2のステム部分44とを互いに接続してもよい。
【0058】
更に、第1のステム部分12は、孔44bを通じて延びる第1のステム部分12の部分に対して径方向外側に延びる肩部12cを有する。肩部12cと第2のステム部分44との間の当接は、第2のステム部分44に対する第1のステム部分12の上方移動を制限する。図6A及び図6Bの非限定的な実施形態において、肩部12cは、第2のステム部分44の第2の凹部44d内にある。したがって、第2のステム部分44に対する第1のステム部分12の横方向の動きもそれらの間の当接によって制限される。第1のステム部分12と第2のステム部分44との間に形成される接続は、2つの部分を互いに機械的に固定する。接続は、2つの部分間に密封シールを形成する必要がない(必須ではない)。したがって、使用中、推進剤は、第1のステム部分12と第2のステム部分44との間の界面に沿って流れることができる。
【0059】
第1のステム部分12及び/又は第2のステム部分44は、液化推進剤(HFAなど)を実質的に透過しない強力な材料から形成されることが好ましい。特定の実施形態では、第1のステム部分12及び第2のステム部分44のいずれか又は両方が、ガラス充填ポリブチレンテレフタレート(PBT)から形成される。他の適切な材料としては、HFAなどの推進剤を実質的に透過しない材料が挙げられる。
【0060】
円筒ハウジング60は、推進剤源42から孔18を通過する推進剤を受けることができる。図4に示される実施形態では、推進剤が孔18を出て受容チャンバ62に入る。推進剤は、液相状態で推進剤源から出て、推進剤源の外側で沸騰し、蒸気圧を生み出す。別の実施形態では、推進剤がガスとして推進剤源から出てもよい。任意の実施形態において、受容チャンバ62内に受けられた推進剤は、受容チャンバ62内の蒸気圧を上昇させる。蒸気圧は、必然的にシール可能なジョイント10に作用する。本発明のシール可能なジョイント10は、その完全性が結果として損なわれないように、そのような上昇する圧力に抵抗することができる。
【0061】
図5は、前述の自動注射器サブアセンブリ40を含む外側ハウジング72を備える自動注射器デバイス70を概略的に示す。
【0062】
本発明の別の実施形態に係るシール可能なジョイント110が図7に断面で示される。シール可能なジョイント110は前述の実施形態と多くの特徴を共有し、対応する同様に或いはさもなければ類似するように機能する構成要素が同じ参照番号を使用して示されるが、100によって置き換えられる。特定の特徴に関して前述した特性は、図7の実施形態の関連する(すなわち、置き換えられた参照番号によって示されるように)特徴に適用され得る。
【0063】
シール可能なジョイント110は、ステムを備える第1の構成要素112を含む。第1の構成要素112は、第1の構成要素112を通る流体の通過を可能にする孔118が貫通して成る。
【0064】
第2の構成要素114は第1の構成要素112上に配置される。第2の構成要素114は第1のフランジ124を備え、第1の構成要素112は第2のフランジ126を備える。第1のフランジ124及び第2のフランジ126はそれぞれ、第2の構成要素114及び第1の構成要素112のそれぞれの径方向に延びる部分である。特定の実施形態では、第1のフランジ124が円周方向に連続しているが、第2のフランジ126は周方向に連続していても不連続であってもよい。特定の実施形態において、第1のフランジ124はOリング又はガスケットシールであってもよい。第1のフランジ124及び第2のフランジ126は、それらが一緒になってそれらの間に環状の凹部128を画定するように、互いから軸方向に離間される。
【0065】
第3の構成要素116が設けられ、この第3の構成要素116は、シール面120と、1つ以上の径方向内側に突出する部材122とを備える。1つ以上の径方向内側に突出する部材122は、その間に開口部が残る限りにおいてのみ、径方向内側に延在し、開口部は、これを通じた第2のフランジ126の通過を可能にし得る。この意味で、第1の構成要素112及び第2の構成要素114は、共同で雄コネクタ部品を形成すると見なすことができ(それらが単一の一体構成要素を形成するかどうかにかかわらず)、第3の構成要素116は、雄コネクタ部品(の一部)を受けることができる雌コネクタ部品を形成すると見なすことができる。
【0066】
第3のフランジ132は、第1の構成要素112上に形成されるとともに、第1のフランジ124の軸方向上方(すなわち、第1のフランジ124に対して第2のフランジ126と反対側)に設けられる。第3のフランジ132は、シール面120及び1つ以上の径方向内向きに突出する部材122の軸方向上方にある上端肩部134によって第3の構成要素116に画定される開口部の半径よりも大きい半径まで、径方向外側に延在する。第3のフランジ132と上端肩部134の相対的な輪郭は、それらが互いに係合するときにカム効果が最小限に抑えられるようなものである。むしろ、第3のフランジ132と上端肩部134との係合は、第3の構成要素116に対する第1の構成要素112の更なる下方への(すなわち、方向102に沿う)軸方向移動を防止する。したがって、シール形態の時点で、雄コネクタ部品が雌コネクタ部品と係合され、雌コネクタ部品からの雄コネクタ部品の離脱は、1つ以上の径方向内側に突出する部材122と第2のフランジ126との方向104に沿う係合によって及び第3のフランジ132と上端肩部134との方向102に沿う係合によって防止される。そのため、シール形態の時点で、雄コネクタ部品が雌コネクタ部品によって機械的に保持される。
【0067】
シール形態において、第2の構成要素114は、第1のフランジ124が第3の構成要素122のシール面120に当て付いて変形させられるように第3のフランジ132と第3の構成要素116との間に配置される。変形した第1のフランジ124は、シール面120と流体密なシールを形成する。したがって、シールジョイントは、前述のシールジョイント30と同様の態様で設けられる。
【0068】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、「備える」及び「含む」という用語、及びそれらの変形は、「~を含むがこれらに限定されない」を意味し、他の部分、付加物、構成要素、整数又はステップを排除しようとするものではない(排除しない)。この明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、単数形は、文脈上別段の要求がない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈上別段の要求がない限り、単一性だけでなく複数性も考慮していると理解されるべきである。
【0069】
本発明の特定の態様、実施形態又は例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分又は化学基は、それらと適合しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又はそのように開示された任意の方法又はプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも幾つかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つ又は任意の新規の組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規の1つ又は任意の新規の組み合わせにまで及ぶ。
【0070】
読者の注意は、この出願に関連してこの明細書と同時に又はそれ以前に提出されてこの明細書と共に公衆の閲覧に供されている全ての書類及び文書に向けられており、また、そのような全ての書類及び文書の内容は参照により本願に組み入れられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】