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特表2023-532948液体、特にニコチン又はカンナビス含有液体のためのオーラルディスペンサー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】液体、特にニコチン又はカンナビス含有液体のためのオーラルディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   A24F 42/20 20200101AFI20230725BHJP
   A61M 15/06 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
A24F42/20
A61M15/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500005
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2021068263
(87)【国際公開番号】W WO2022008353
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20184586.4
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512245713
【氏名又は名称】アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】グライナー-ペルト, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA12
4B162AB14
4B162AB17
4B162AC02
4B162AC16
4B162AC41
4B162AC46
(57)【要約】
噴霧形態で特にニコチン又はカンナビスを含有する液体を放出するためのオーラルディスペンサー(10)であって、(10)が放出前の液体を収容するための変動可能な内部容積の液体リザーバー(20)を有し;(10)がばね機構(30)を有し、それによって、ばね機構(30)が負荷されるとき、(20)中の液体が永続的に正圧下にあり;(10)が最大0.002mmの正味の横断面積を有する少なくとも一つのノズル開口(44)を有する噴霧ノズルユニット(40)を持ち、それらの正味の横断面積が合計で最大0.04mmに達し;(10)が(20)を噴霧ノズルユニット(40)に接続する出口通路(92)を持ち;(92)において、開放状態及び閉鎖状態をとる出口弁(50)が与えられ;(10)が(40)によって噴霧される液体の吸入のためのマウスピース(12)を有し;(10)が(60)を有し、(60)が(40)とは別個のものでありかつ(20)に接続され、(30)が(60)を通って(20)中に供給される液体によって負荷される。
【選択図】 図2A-2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴を有する、噴霧形態で液体を放出するための、特にニコチン又はカンナビスを含有する液体を放出するためのオーラルディスペンサー(10):
(a)オーラルディスペンサー(10)が、放出前の液体を収容するための変動可能な内部容積の液体リザーバー(20)を有し、
(b)オーラルディスペンサー(10)が、ばね機構(30)を有し、それによって、ばね機構(30)が負荷されるとき、液体リザーバー(20)中の液体が永続的に正圧下にあり、
(c)オーラルディスペンサー(10)が、最大0.002mmの正味の横断面積を有する少なくとも一つのノズル開口(44)を有する噴霧ノズルユニット(40)を持ち、好ましくは複数のノズル開口(44)が与えられ、それらの正味の横断面積が合計で最大0.04mmに達し、
(d)オーラルディスペンサー(10)が、液体リザーバー(20)を噴霧ノズルユニット(40)に接続する出口通路(92)を持ち、
(e)出口通路(92)において、開放状態及び閉鎖状態をとることができる出口弁(50)が与えられ、
(f)オーラルディスペンサー(10)が、噴霧ノズルユニット(40)によって噴霧される液体の吸入のためのマウスピース(12)を有し、かつ
(g)オーラルディスペンサー(10)が、補充開口(60)を有し、補充開口(60)が、噴霧ノズルユニット(40)とは別個のものであり、かつ液体リザーバー(20)に接続され、ばね機構(30)が、補充開口(60)を通って液体リザーバー(20)中に供給される液体によって負荷されることができる。
【請求項2】
以下の特徴の少なくとも一つを有する、請求項1に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)液体リザーバー(20)が、ニコチン含有液体で満たされるか、及び/又は
(b)液体リザーバー(20)が、カンナビス含有液体で満たされる。
【請求項3】
以下の(a)の特徴を有し、好ましくはさらに以下の(b)の特徴を有する請求項1又は2に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)ばね機構(30)が、十分に負荷された状態では、完全に満たされた液体リザーバー(20)中の液体を少なくとも4bar、好ましくは6bar、特に好ましくは8barの圧力下に置く力を発揮するように構成され、
(b)噴霧ノズルユニット(40)が、4barの内部液体圧力で、5μl/秒~30μl/秒、好ましくは10μl/秒~20μl/秒の液体流量が噴霧ノズルユニット(40)によって分配されるように構成される。
【請求項4】
以下の(a)の特徴を有し、特に以下の(b)~(d)の特徴の少なくとも一つを有する請求項1~3のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)オーラルディスペンサー(10)が、主範囲方向(2)に配向された細長形態を有し、
(b)オーラルディスペンサー(10)の外部ハウジング(70)が、16mmの主範囲方向(2)に対して直交する最大直径、及び/又は少なくとも80mmの主範囲方向(2)における最小長さを有し、
(c)噴霧ノズルユニット(40)及び/又はマウスピース(12)が、オーラルディスペンサー(10)の近位端(10A)に与えられ、
(d)補充開口(60)が、オーラルディスペンサー(10)の遠位端(10B)に配置される。
【請求項5】
以下の(a)及び(b)の特徴を有し、好ましくは以下の(c)及び(d)の特徴の一つを有する請求項1~4のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)液体リザーバー(20)が、フレキシブル形態の壁(32)によって少なくとも部分的に画定され、
(b)ばね機構(30)が、液体リザーバー(20)のサイズを減少する方向にフレキシブル形態の壁(32)に力を及ぼすように構成され、
(c)ばね機構(30)が、フレキシブル形態の壁(32)に作用するガス圧力室(34)を含み、
(d)フレキシブル形態の壁(32)が、それが変形によって延ばされるとき、液体リザーバー(20)中の液体が加圧され、それによってそれ自身が少なくとも部分的にばね機構(30)を形成するように弾性変形可能である。
【請求項6】
以下の特徴をさらに有する請求項5に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)フレキシブル形態の壁(32)が、液体リザーバー(20)を包囲する弾性拡張可能なホース(32)として構成される。
【請求項7】
以下の(a)の特徴を有し、好ましくは以下の(b)~(d)の特徴の一つを有する請求項6に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)オーラルディスペンサー(10)が、弾性ホース(32)によって包囲された中央マンドレル(76)を有し、液体リザーバー(20)が、中央マンドレル(76)の外部面と弾性ホース(32)の内側の間のリングとして少なくとも部分的に与えられ、
(b)中央マンドレル(76)が、円錐形で形成され、
(c)中央マンドレル(76)が、中央液体通路(90,92)を与えられ、中央液体通路(90,92)が、好ましくは少なくとも部分的に、補充開口(60)を液体リザーバー(20)に接続する補充通路(90)を形成し、
(d)中央マンドレル(76)が、ツーピースで形成され、特に設置状態で互いに対して軸方向変位によって共通の外周面積を拡大するように構成された内部マンドレル構成要素(76A)及び外部マンドレル構成要素(76B)を有して形成される。
【請求項8】
以下の(a)及び(b)の特徴を有し、好ましくは以下の(c)及び(d)の特徴の少なくとも一つを有する請求項1~4のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)液体リザーバー(20)が、変位可能な壁(36)によって少なくとも部分的に画定され、
(b)ばね機構(30)が、液体リザーバー(20)のサイズを減少する方向に配向された変位可能な壁(36)に力を及ぼすように構成され、
(c)変位可能な壁(36)が、主範囲方向(2)に変位可能であり、好ましくはばね機構(30)が、オーラルディスペンサー(10)の近位端の方向に配向された力で変位可能な壁(36)を負荷し、
(d)オーラルディスペンサー(10)が、ガイドマンドレル(78)を有し、液体リザーバー(20)が、ガイドマンドレル(78)の外部面と外部壁の内側の間のリングとして少なくとも部分的に形成され、特にガイドマンドレル(77)が、中央液体通路(90,92)を与えられる。
【請求項9】
以下の(a)の特徴を有し、特に以下の(b)~(f)の特徴の少なくとも一つを有する請求項1~8のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)複数のノズル開口(44)が与えられ、それらが、共通ノズルプレート(42)における開口として構成され、
(b)ノズルプレート(42)が、プラスチックのスリーブ状キャリア中に固定され、それが、好ましくはオーラルディスペンサー(10)の内部構成要素(74)に挿入され、
(c)ノズルプレート(42)が、プラスチックプレート(42)として構成され、
(d)ノズルプレート(42)が、金属プレート(42)として構成され、
(e)ノズルプレート(42)が、シリコンノズルプレート(42)として構成され、
(f)ノズルプレート(42)が、好ましくは放出方向に広がる少なくとも一つのノズル開口(44)を有する、放出方向に凸状のノズルプレート(42)である。
【請求項10】
以下の(a)の特徴を有し、特に以下の(b)及び(c)の特徴の一つを有する請求項1~9のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)出口弁(50)が、手で作動可能な出口弁(50)として構成され、
(b)手で作動可能な出口弁(50)が、オーラルディスペンサー(10)の外側に作動プッシャー(52)を有し、それによって出口弁(50)が、開放状態及び閉鎖状態にもたらされることができ、作動プッシャー(52)が、好ましくはオーラルディスペンサー(10)のケーシング表面に与えられるか、及び/又は直線状に移動可能であるか、及び/又は戻りばねを与えられ、
(c)手で作動可能な出口弁(50)が、回転可能な作動要素を有し、それによって出口弁が、閉鎖状態及び開放状態にもたらされることができ、作動要素が、好ましくは主範囲方向に平行な回転軸のまわりで回転可能である。
【請求項11】
以下の(a)の特徴を有し、特に以下の(b)の特徴を有する請求項1~10のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)出口弁(50)が、唇で作動可能な出口弁(50)として構成され、かつマウスピース(12)の上に又はマウスピース(12)の領域に作動面(55)を有し、作動面(55)が、使用者の唇によって力が負荷されるとき、出口弁(50)を閉鎖状態から開放状態に移し、
(b)出口弁(50)が、旋回可能に移動可能な作動レバー(56)を有し、作動レバー(56)が、作動面(55)の力負荷によって旋回可能であり、作動レバー(56)に接して弁オリフィス要素(54)が与えられ、弁オリフィス要素(54)が、作動レバー(56)の旋回運動によって閉鎖位置から開放位置に移動されることができる。
【請求項12】
以下の特徴を有する請求項1~11のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)出口弁(50)が、呼吸によって制御可能な出口弁(50)として構成され、かつマウスピース(12)と通じる真空室(58)を有し、真空誘導変位によって出口弁(50)を閉鎖状態から開放状態に移す変位可能な室壁(59)を与えられる。
【請求項13】
以下の(a)~(e)の特徴の少なくとも一つを有する請求項1~12のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)補充開口(60)が、入口弁(62)を与えられ、入口弁(62)が、外部正圧によって及び/又は補充コネクター(112)の機械的圧力によって開放されることができ、かつ内部圧力によってその閉鎖位置へと押圧され、好ましくは入口弁(62)の少なくとも一つの弁フェースが、液体リザーバー(20)の弾性ホース(32)を一体的に形成する構成要素によって形成され、
(b)オーラルディスペンサー(10)が、外部ハウジング(70)を有し、外部ハウジング(70)が、好ましくは二つの半分の外殻(70A,70B)によって形成され、外部ハウジング(70)の内側に少なくとも一つの内部構成要素(72,73,74)が与えられ、
(c)オーラルディスペンサー(10)が、内部構成要素(72)を有し、内部構成要素(72)が、出口弁(50)の弁オリフィス要素(54)が可動に装着される弁凹所(72A)を有し、及び/又は内部構成要素(72)が、複数の部分で出口通路(92)を形成し、及び/又は内部構成要素(72)が、ガイドマンドレル(78)又は中央マンドレル(76)を形成し、
(d)液体リザーバー(20)が、最大10ml、好ましくは最大5ml、特に好ましくは最大3mlの最大容積を有し、
(e)液体フィルター(46)、特にメンブランフィルター(46)が、噴霧ノズルユニット(40)の上流の出口通路(92)に配置される。
【請求項14】
以下の(a)の特徴を有し、好ましくは以下の(b)~(d)の特徴の一つを有する請求項1~13のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)少なくとも一つの空気通路(80)が与えられ、それを通って空気がマウスピース(12)中に流れて噴霧液体を吸入することができ、
(b)複数の空気通路(80)が与えられ、
(c)少なくとも一つの空気通路(80)が、噴霧ノズルユニット(40)を包囲するリング通路(82)中に開放し、
(d)空気通路(80)が、オーラルディスペンサー(10)の外側に入口を有し、入口が、吸入方向に対して半径方向に又は軸方向に配向される。
【請求項15】
以下の(a)及び(b)の特徴を有する、オーラルディスペンサー(10)及び補充ディスペンサー(110)を有する吸入システム(100):
(a)吸入システム(100)が、請求項1~14のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10)を有し、
(b)吸入システム(100)が、補充ディスペンサー(110)を有し、補充ディスペンサー(110)が、加圧液体又は加圧可能な液体を含み、かつオーラルディスペンサー(10)の補充開口(60)に結合するように構成される。
【請求項16】
以下の特徴を有する、噴霧形態でニコチン又はカンナビスを含有する液体を放出するためのオーラルディスペンサー(10):
(a)オーラルディスペンサー(10)が、放出前のニコチン又はカンナビス含有液体を収容するための液体リザーバー(20)を有し、
(b)液体リザーバー(20)が、液体が正圧下で貯蔵される圧力リザーバーとして形成され、
(c)オーラルディスペンサー(10)が、噴霧ノズルユニット(40)を有し、
(d)オーラルディスペンサー(10)が、液体リザーバー(20)を噴霧ノズルユニット(40)に接続する出口通路(92)を有し、
(e)出口通路(92)において、開放状態及び閉鎖状態をとることができる出口弁(50)が与えられ、
(f)オーラルディスペンサー(10)が、噴霧ノズルユニット(40)によって噴霧される液体の吸入のためのマウスピース(12)を有し、
(g)出口弁(50)が、機械的に唇で作動可能な出口弁(50)として構成され、マウスピース(12)の上に又はマウスピース(12)の領域に作動面(55)を有し、作動面(55)が、使用者の唇からの力負荷の下で出口弁(50)を閉鎖状態から開放状態に移す。
【請求項17】
以下の特徴を有する請求項16に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)出口弁(50)が、旋回可能に移動可能な作動レバー(56)を有し、作動レバー(56)が、作動面(55)の力負荷によって旋回可能であり、作動レバー(56)に接して、作動レバー(56)の旋回運動によって閉鎖位置から開放位置に移動されることができる弁オリフィス要素(54)が与えられる。
【請求項18】
以下の(a)の特徴を有し、特に(b)及び(c)の特徴の一つを有する請求項16又は17に記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)オーラルディスペンサー(10)が、空気入口通路(13)を有し、それを通って周囲空気を吸入することができ、
(b)空気入口通路(13)が、噴霧ノズルユニット(40)の下流に与えられ、
(c)空気入口通路(13)が、マウスピース(12)に開口として与えられる。
【請求項19】
以下の特徴の少なくとも一つを有する請求項16~18のいずれかに記載のオーラルディスペンサー(10):
(a)液体リザーバー(20)が、変動可能な内部容積を有し、
(b)オーラルディスペンサー(10)が、ばね機構(30)を有し、それによって、ばね機構(30)が負荷されるとき、液体リザーバー(20)中の液体が永続的に正圧下にあり、
(c)噴霧ノズルユニット(40)が、最大0.002mmの正味の横断面積を有する少なくとも一つのノズル開口(44)を有し、好ましくは複数のノズル開口(44)が、与えられ、それらの正味の横断面積が合計で最大0.04mmに達し、
(d)オーラルディスペンサー(10)が、補充開口(60)を有し、補充開口(60)が、噴霧ノズルユニット(40)とは別個のものであり、かつ液体リザーバー(20)に接続され、ばね機構(30)が、補充開口(60)を通って液体リザーバー(20)中に供給される液体によって負荷されることができ、
(e)液体リザーバー(20)が、ニコチン又はカンナビス含有液体で満たされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧形態で液体を放出するためのオーラルディスペンサー(oral dispenser)に関し、本発明では、特にニコチン又はカンナビスを含有する液体を放出するためのかかるディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるディスペンサーは、特に喫煙の習慣を断つために又は喫煙の代わりとして使用される。それらは、タバコと同様の細長形態を有し、使用者が蒸気化又は噴霧化した液体を吸入できるマウスピースを有することが一般的である。ニコチン又はカンナビス含有液体と同様に、依存症を断つための物質を有する他の液体が、本発明によるディスペンサーで放出されることができる。さらに、本発明によるディスペンサーはまた、急性又は慢性の呼吸器障害又は疾患の予防又は治療のために使用されることができる。
【0003】
既知のタイプのタバコ状ディスペンサーは、特にニコチン含有液体の電気による蒸気化に基づく。かかるディスペンサーは、交換又は充電しなければならない電池又は蓄電池を備える。
【0004】
ニコチン含有液体が推進剤ガスを使用して電気なしで噴霧化されるディスペンサーもまた、知られている。文献GB2530980Aは、例えばかかるディスペンサーを開示する。これらのディスペンサーの欠点は、使用者がまた、ディスペンサーを使用するときに推進剤ガスを吸収することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、液体、特にニコチン含有又はカンナビス含有液体が使用者によって噴霧形態で付与されることができる代替ディスペンサーを提供することである。
【0006】
このために、冒頭に述べられたタイプのオーラルディスペンサーが提案され、それは、放出前の液体を収容するための変動可能な内部容積の液体リザーバーを有する。
【0007】
本発明の意味においてオーラルディスペンサーは、噴霧液体が口に付与されるディスペンサーであり、液体のターゲットは、例えば口腔自体、喉領域、喉頭、気管支又は肺であってもよい。好ましくは、本発明によるオーラルディスペンサーは、吸入ディスペンサーとして構成され、そこでは、使用者が液体の放出中に吸入し、従って噴霧液体を気道中に吸引するように構成される。
【0008】
好ましい適用領域によれば、オーラルディスペンサーは、ニコチン含有又はカンナビス含有液体で満たされ、それによってタバコに対応する代用品を構成することが好ましい。しかしながら、本発明によるディスペンサーはまた、他の用途のために、例えば喘息又はCOPD薬剤のためのディスペンサーとして使用されてもよく、それは、通常、MDIディスペンサーによって放出される。
【0009】
本発明によるオーラルディスペンサーは、ばね機構を有し、それによって、ばね機構が負荷されるとき、液体リザーバー中の液体が永続的に正圧である。このばね機構は、従来のばね、例えばコイルばねであることができる。しかしながら、本発明の意味においてばね機構はまた、他の方法で、ガスの圧縮によって又は弾性変形可能な材料の変形によってエネルギーを貯蔵できるばね機構を含むことができる。
【0010】
より小さいサイズのディスペンサーを達成するためには、液体リザーバーをかなり小さくすることが好ましい。好ましくは、それは、最大10ml、特に好ましくは最大5ml又は最大3mlの容積を持つ。この容積は、その最大液体含有量とその残留液体含有量の間の差であり、残留液体は、構造上の理由のためにもはや放出されることができない。
【0011】
液体リザーバー中の液体に対してばね機構によって及ぼされる圧力は、液体を噴霧化するために役立つ。この目的のため、本発明によるオーラルディスペンサーは、噴霧ノズルユニットを有する。これは、少なくとも一つの極めて小さいノズル開口、好ましくは複数のノズル開口を有する。少なくとも一つのノズル開口の正味の横断面積は、最大0.002mm、好ましくは特に最大0.001mm又は最大0.0005mmである。全てのノズル開口の正味の横断面積の合計面積は、好ましくは最大0.04mmに達する。ノズル開口は、丸くなっていることが好ましい。
【0012】
十分に高い圧力下では、小さいノズルサイズは、液体の微噴霧化に導く。ばね機構は、十分に負荷された状態では、完全に満たされた液体リザーバー中の液体を少なくとも4bar、好ましくは6bar、特に好ましくは8barの圧力下に置く力を発揮するように構成される。さらに、液体リザーバーの漸進的な排気後であっても、従ってもはや十分に負荷されていないばね機構であっても、ばね機構がいかなる時も液体中で少なくとも2bar、好ましくは少なくとも3barを発生できることが好ましい。これは、ばね機構の完全な放出が構造的に防止され、従って例えばばね装置が液体中で少なくとも2bar、好ましくは少なくとも3barの圧力をなお発生することができながら、液体ディスペンサーの最小容積が達成されることで成し遂げられることができる。
【0013】
もし複数のノズル開口が与えられるなら、これらは、共通ノズルプレートにおける開口として与えられることが好ましく、それは、特にオーラルディスペンサー、特にオーラルディスペンサーの内部構成要素に固定されるプラスチックから作られたスリーブ状キャリアに固定されることができる。ノズルプレートは、例えばプラスチックプレート、金属ノズルプレート又はシリコンプレートとして構成されることができる。それは、凸状であることができ、従ってノズル開口は、発散方向に配向されることができる。
【0014】
液体中の粒子がノズル開口をブロックしうることを防止するため、液体フィルター、特にメンブランフィルターが出口通路に、好ましくは少なくとも一つのノズル開口の上流に与えられる。
【0015】
噴霧ノズルユニットによって放出される液体の液体流量は、比較的小さいことが好ましい。噴霧ノズルユニットに存在する液体圧力が4barであり、かつ出口弁が完全に開放されているなら、液体流量は、5μl/秒~30μl/秒、特に好ましくは10μl/秒~20μl/秒に達する。この小さい液体流量は、オーラルディスペンサーによって与えられるタバコ模倣物のために特に好ましいことがわかった。かかる液体流量での主観的知覚は、タバコのそれと類似する。
【0016】
液体リザーバーは、出口通路を介して噴霧ノズルユニットに接続される。出口弁は、その中に与えられ、それは、開放状態と閉鎖状態をとることができ、特に弁オリフィスを有する弁オリフィス要素は、出口通路を中断する位置と出口通路を開放する位置の間で移動される。好ましくは、出口弁は、それが減少した容積流量に導く中間位置も可能とするように構成される。
【0017】
噴霧ノズルユニットによって噴霧される液体は、マウスピースに入り、マウスピースは、正しく使用されるとき、出口弁が開放される前に使用者の口によって包囲される。
【0018】
マウスピース中への放出のために構成された噴霧ノズルユニットだけでなく、さらに少なくとも一つの空気通路が与えられ、それを通って空気は、使用者がマウスピース上で吸引するときにマウスピース中に流れることができることが好ましい。従って、使用者は、空気及び噴霧液体を吸入する。好ましくは、複数の空気通路が与えられ、特に好ましくは二つ、三つ、又は四つの空気通路が与えられ、それらは、マウスピースの内側で周囲にわたって分布される。これらは、リングとして構成される空気通路の一部を介してマウスピース中に開放することができる。従って、吸入された空気は、周囲の空気カーテンの態様で、噴霧液体がマウスピースの内側に付着することを防止する。
【0019】
空気通路中への少なくとも一つの入口は、マウスピースの外側上に直接与えられず、それに対して広げられたハウジングの一部の上に与えられ、使用者の唇が入口をカバーする危険を防止することが好ましい。入口は、特に吸入方向に対して半径方向又は軸方向に向けられることができる。
【0020】
本発明によるオーラルディスペンサーは、補充可能なディスペンサーとして構成され、この目的のために補充開口を有することが好ましい。しかし、前記タイプのオーラルディスペンサーを液体リザーバー中への液体の補充がない単回使用ディスペンサーとして構成することも望ましい。かかる場合において、補充開口は要求されない。しかしながら、オーラルディスペンサーが補充のために与えられるなら有利であると考えられる。このため、それは、噴霧ノズルユニットとは別個でありかつ液体リザーバーに接続された補充開口を有し、ばね機構は、液体が補充開口を通って液体リザーバー中へ供給されることによって負荷されることができる。
【0021】
前記補充開口は、外部正圧によって及び/又は補充コネクターの機械的圧力によって開放されることができる入口弁を与えられることが好ましい。補充ディスペンサーの補充コネクターが付与されない限り、入口弁は、内部圧力によってその閉鎖位置へ押圧される。
【0022】
本発明によるオーラルディスペンサーは、その取扱いにおいてタバコに類似するようにすることが好ましい。それゆえ、それは、主範囲方向に配向された細長形態を有することが好ましい。特に、その外部形態は、完全に又は概ね回転対称であることが好ましく、概ね回転対称は、マウスピース及び/又は出口弁を制御するための作動要素が回転対称からの逸脱を構成してもよいことを意味する。オーラルディスペンサーの外部ハウジングは、出口弁のための外部ハウジングを越えて突出する移動可能な作動要素を無視すると、16mmの主範囲方向に対して直交する最大直径を有することが好ましい。近位端に与えられるマウスピースを含む、主範囲方向における長さは、少なくとも80mmであることが好ましい。
【0023】
前記細長形態の場合において、噴霧ノズルユニット及び/又はマウスピースは、オーラルディスペンサーの近位端に与えられ、それは、タバコ代用物の機能をサポートする。補充開口は、これとは反対のオーラルディスペンサーの遠位端に与えられることが好ましい。これは、実施するのに構造的に最も簡単である。
【0024】
液体リザーバーは、変動可能な容積を有する。これは、液体の抽出が液体リザーバー中の減圧に導かず、流入する空気によって補償される必要がないことを意味する。代わりに、液体リザーバーの壁によって包囲される容積は、液体放出中に減少する。
【0025】
好ましい実施形態では、液体リザーバーは、フレキシブル形態の壁によって少なくとも部分的に画定される。ばね機構は、液体リザーバーのサイズを減少する方向に配向されたフレキシブル形態の壁に対して力を及ぼすように構成される。フレキシブル形態の壁自体がばね機構を構成する実施形態、及びばね機構が壁とは別に与えられ、それに力を及ぼす実施形態の両方が考えられる。これらの形態の組み合わせも考えられる。別個のばね機構を有する設計は、フレキシブルな壁又は変位可能な壁によって液体リザーバーから分離されるガス圧力室によって形成されることができる。このガス圧力室では、最小液体リザーバー容積で、例えば3barの圧力が支配することができ、それは、液体リザーバーの充填時に4barまで上昇する。
【0026】
好ましくは、フレキシブル形態の壁は、弾性変形可能である。このため、特に、それは、エラストマーから作られることができる。かかる弾性壁は、変形によって延ばされるとき、液体リザーバー中の液体を加圧し、従ってそれ自体、ばね機構又はばね機構の一部を形成する。
【0027】
好ましい実施形態では、フレキシブル形態の壁は、液体リザーバーを包囲する弾性的に拡張可能なホースとして構成される。液体リザーバーが満たされるとき、ホースは、接線方向に延ばされる。
【0028】
弾性ホースによって包囲される中央マンドレル(mandrel)が与えられることが特に好ましい。かかる設計では、液体リザーバーは、中央マンドレルの外部面とホースの内側の間のリングとして少なくとも部分的に与えられる。中央マンドレルは、特に、液体リザーバーの排出の増加中であっても十分に高い液体圧力が存在されることを保証することができる。なぜならそれは、液体リザーバーの容積減少を制限するからである。ホースが中央マンドレルの外側に直接横たわるとすぐに、ホースがなお接線方向の応力下であってもさらなる容積減少は可能でない。
【0029】
特にホースがかかる構成のために装着されることができるように、中央マンドレルは、少なくとも部分的に、好ましくはその長さの大部分にわたって円錐状に形成される。これは、ホースが中央マンドレルの最大外周の方向に押されることを可能にし、そこでは付与中に接線方向の応力が起こるか又は増大される。
【0030】
さらに、中央マンドレルは、特にオーラルディスペンサーの主範囲方向に延びる中央液体通路を与えられることができる。この液体通路は、液体リザーバーを噴霧ノズルユニットに接続する出口通路の一部を形成することができる。代替的に又は追加的に、液体通路は、補充通路又はその一部を形成することができ、補充通路は、補充開口を液体リザーバーに接続する。中央マンドレルは、出口通路及び/又は補充通路を中央マンドレルの外側の液体リザーバーのリング領域に接続するために半径方向の開口を有することができる。
【0031】
中央マンドレルの特に有利な設計では、これは、ツーピースで、特に内部マンドレル構成要素と外部マンドレル構成要素で形成される。二つのマンドレル構成要素、好ましくは内部及び外部マンドレル構成要素は、互いに対する軸方向の変位によって装着時にそれらの全外周を拡大するように設計される。かかる設計は、有利な装着を可能にし、そこでは最初に一方が、特に外部マンドレル構成要素がホースに挿入され、次いで他方が、特に内部マンドレル構成要素が先に挿入されたマンドレル構成要素の上又は中に挿入され、かくして共通の外周が増大し、それによってホースが接線方向に拡張される。
【0032】
補充開口に入口弁を有するディスペンサーの設計では、入口弁の少なくとも一つの弁フェースが液体リザーバーの弾性ホースを一体的に形成する構成要素によって形成されることが有利である。
【0033】
本発明による通常のディスペンサーの代替変形例は、フレキシブル形態の壁の代わりに、少なくとも部分的に液体リザーバーを画定する変位可能な壁を有する。この変位可能な壁は、円筒体のピストンの態様で挿入され、縁領域において後者に対して封止することが好ましい。ばね機構は、ここでは液体リザーバーのサイズを減少する方向に配向された変位可能な壁に対して力を及ぼすように構成される。変位可能な壁は、主範囲方向に変位可能であり、特にオーラルディスペンサーの近位端の方向にばね機構によって力負荷されることが好ましい。ばね装置は、ガス圧力室又はコイルばねによって形成されることが好ましい。
【0034】
既に述べた中央マンドレルのように、オーラルディスペンサーは、ガイドマンドレルを持つことができる。ここでは、液体リザーバーは、このガイドマンドレルの外部面と外部壁の内側の間のリングとして少なくとも部分的に与えられる。ガイドマンドレルは、変位可能な壁の再現可能な傾かないシフトを保証する。それはまた、ガイドマンドレルの内側の中央液体通路の提供を可能にし、従って液体リザーバーを通って延びる。これは、出口通路及び/又は補充通路を構成することができる。特に、好ましくはガイドマンドレルにおける液体通路は、補充通路として遠位端から近位端の方に指向する液体リザーバーの端まで延び、そこでそれは、半径方向開口によって液体リザーバーに接続される。
【0035】
オーラルディスペンサーの使用のため、使用者は、マウスピースを唇で包囲し、吸入時に出口弁が開放して液体が噴霧ノズルユニットによって噴霧される。様々な構造が出口弁の設計のために好まれる。
【0036】
特に簡単な設計では、出口弁は、手動で作動可能な出口弁(即ち、使用者によって手によって操作される)として構成される。ここで特に好適なものは、オーラルディスペンサーの外側に、とりわけオーラルディスペンサーのケーシング表面に作動プッシャーを有する設計であり、それによって出口弁は、閉鎖状態及び開放状態にもたらせることができる。特に戻りばねの力に対する、作動プッシャーの手での押圧により、出口弁を開放させる。作動プッシャーは、直線状に動くことができることが好ましい。
【0037】
回転可能な作動要素を有する手で作動可能な出口弁を有する設計も可能であり、それによって出口弁は、閉鎖状態及び開放状態にもたらされることができ、作動要素は、主範囲方向に平行な回転軸のまわりに回転可能であることが好ましい。例えば、細長のディスペンサーの前及び後部分は、回転弁として構成される出口弁を開放するためにこの回転軸のまわりで互いに対して回転されることができる。
【0038】
出口弁の代替設計では、出口弁が唇で作動可能な出口弁として構成される。使用者は、自分の唇を圧縮することによって出口弁を開放することができる。このため、マウスピース上に又はマウスピースの領域に作動面が与えられ、それは、使用者の唇によって力を付与すると、出口弁を閉鎖状態から開放状態に移行させる。
【0039】
これは、例えば出口弁が旋回可能に移動可能な作動レバーを有することで達成されることができ、作動レバーは、作動面に対して力を付与することによって旋回可能であり、作動レバーに接して弁オリフィス要素が与えられ、弁オリフィス要素は、作動レバーの旋回移動によって閉鎖位置から開放位置に移動されることができる。
【0040】
出口弁のさらなる代替設計は、呼吸によって制御可能な出口弁として構成される。このために、それは、マウスピースと通じる真空室を有する。使用者がマウスピースを吸引するとき、これは、この室内に減圧を作る。真空室は、特に好ましくは戻りばねの力に対して、それ自体変形可能又は全体として変形可能である変位可能な室壁を与えられる。室壁の変位は、弁要素に、例えば出口通路における弁オリフィス要素に作用し、従って真空室中の減圧は、出口弁を閉鎖状態から開放状態に移行させる。
【0041】
出口弁は、弁の前記タイプの切り換え(即ち、手での切り換え、唇による切り換え、マウスピース上の吸引による切り換え)が各場合において弁の不完全な開口を可能とするように構成されることが好ましい。好ましくは、わずかな手での作動、唇のわずかな圧力、及びマウスピース上のわずかな吸引だけで噴霧液体の対応して減少された放出を起こす。従って、使用者は、噴霧液体の流量を制御することができる。特に、これは、弁オリフィス要素によって達成されることができ、それは、作動に依存して出口通路から異なる範囲に動かされ、従って制限閉塞部として変動可能に作用する。
【0042】
オーラルディスペンサーの構造では、これがマウスピースも形成する外部ハウジングを有し、その中で一つの構成要素において少なくとも一つが配置されることが好ましい。好ましい実施形態では、外部ハウジングは、二つの半分の外殻によって形成されることができ、それらの間に少なくとも一つの内部構成要素が与えられる。弁凹所を有する内部構成要素を持つ設計が好ましく、弁凹所には出口弁の弁オリフィス要素が移動可能に装着され、及び/又は弁凹所は、複数の部分で出口通路を形成するか、及び/又は弁凹所は、ガイドマンドレル又は中央マンドレルを形成する。
【0043】
本発明の第二態様によれば、本発明はさらに、ニコチン又はカンナビスを含有する液体を放出するためのオーラルディスペンサーに関し、これは、上述の特徴の幾つか又は全てを個々に又は組み合わせて又は部分的に組み合わせて含むことができる。
【0044】
本発明の第二態様によるオーラルディスペンサーは、放出前のニコチン又はカンナビス含有液体を収容するための液体リザーバーを有する。液体リザーバーの送出時には、これは、対応する液体で既に満たされていることが好ましい。
【0045】
液体リザーバーは、圧力リザーバーとして構成される。これは、液体が圧力下で液体リザーバーに貯蔵されることを意味する。加圧は、例えば推進剤ガスによって、又は上記のようにばね機構によって達成されることができる。
【0046】
オーラルディスペンサーは、噴霧ノズルユニットを有する。これは、様々な方法で設計されることができる。最も簡単な場合において、それは、渦巻室を有し、それによって噴霧が達成される。しかしながら、それは、上記のように一つ以上の極めて微細なノズル開口を与えられることができる。個々のノズル開口は、ここでは、最大0.002mmの正味の横断面積を有することが好ましい。ノズルの全体は、合計で最大0.04mmの正味の横断面積を有することが好ましい。
【0047】
オーラルディスペンサーは、液体リザーバーを噴霧ノズルユニットに接続する出口通路を有する。出口弁は、出口通路に与えられ、それは、開放状態及び閉鎖状態をとることができる。出口弁が開放されるとき、液体は、圧力リザーバーからノズルユニットの方向に流れ、そこでそれは、ディスペンサーのマウスピースを通って噴霧された形態で放出される。出口弁は、例えばオリフィスを与えられる移動可能な弁オリフィス要素の態様で与えられることができる。もし弁オリフィス要素が、従ってオリフィスが、出口通路に対して上流及び下流に動かされるなら、それによって流れは、終わることができる。もしオリフィスが出口通路と整列するように弁オリフィス要素の変位によってシフトされるなら、液体は、流出することができる。
【0048】
本発明のこの第二態様の特徴は、出口弁が機械的に唇で作動可能な出口弁として構成されることである。このため、作動面は、マウスピース上に、又はマウスピースの領域に与えられ、それは、使用者の唇からの力の付与により、出口弁を閉鎖状態から開放状態に移行させることを機械的に起こす。
【0049】
この作動の方法は、極めて直感的であり、従って極めて頻繁に使用されるニコチン又はカンナビスディスペンサーのために特に好適であり、従って放出は、難しい操作と関連せずに、代わりにできるだけ直感的に可能にすることが望ましい。唇作動は、使用者が吸入と唇によって起こされる噴霧液体の放出とを時間的に適合させるのに特に有利であることがわかった。オーラルディスペンサーは、特にマウスピースに空気入口通路を有することが有利であり、それを通して使用者は、放出の開始前であっても空気を吸入することができ、次いでこの吸入中に唇によって付与される力によって放出を開始することができる。
【0050】
前記作動面は、マウスピースの遠位端から好ましくは20mm未満、特に好ましくは15mm未満である。使用者が口にマウスピースをくわえて、それを唇で包囲するとき、唇の一方、好ましくは上唇がこの作動面に載る。作動面は、半径方向に、即ちマウスピースの方向に特に押し下げ可能である。従って、使用者は、唇を圧縮することによって弁を開放することができる。閉鎖された開始状態に戻すことは、ばね力によって行なわれることが好ましい。特に好ましくは、弁は、部分的な開口を可能とするように構成される。これは、使用者が唇による力の付与によって流量を調整し、それによってタバコに対して変動可能な力で吸入するのと同様の方式でニコチン又はカンナビスの量を決定することを可能にする。
【0051】
上記の方法では、液体リザーバーは、変動可能な内部容積を伴なって構成されることができる。それは、液体が放出されるにつれてサイズを減少する。もしディスペンサーが単回使用ディスペンサーとして構成されるなら、それは、液体リザーバーの内容物が排出された後に廃棄される。しかしながら、上記の方法では、それはまた、補充可能なディスペンサーとして構成されることができる。この場合において、ここで再び、ディスペンサーが噴霧ノズルユニットとは別個に補充開口を有し、それが液体リザーバーに接続され、ばね機構が補充開口を通って液体リザーバーに供給される液体によって負荷されることが好ましい。
【0052】
本発明は、オーラルディスペンサーだけでなく、オーラルディスペンサーを有する吸入システムも関係し、それは、補充ディスペンサーをさらに含み、そこには加圧された液体又は加圧可能な液体が貯蔵され、それは、オーラルディスペンサーの補充開口への結合のために構成される。好ましくは、オーラルディスペンサーは、推進剤なしで加圧液体で満たされ、液体は、切り換え可能な放出弁を通して抽出されることができる。この弁は、オーラルディスペンサーの補充開口に適応される補充コネクターを与えられることが好ましく、そこに挿入されることができる。挿入は、補充ディスペンサーの放出弁及びオーラルディスペンサーの入口弁を開放し、従って液体は、オーラルディスペンサーの液体リザーバー中に流れることができ、そこでばね装置を再負荷する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明のさらなる利点及び態様は、図面を参照して以下に記載される本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の記載及び請求項から明らかである。
図1図1は、透視図で第一の好ましい設計によるオーラルディスペンサーを示す。
図1A-1C】図1A-1Cは、他の透視図で図1のオーラルディスペンサーを示す。
図2A-2B】図2A-2Bは、二つの断面図で図1からのオーラルディスペンサーを示す。
図2C図2Cは、オーラルディスペンサーの噴霧ノズルユニットの拡大図を示す。
図3A-3B】図3A-3Bは、オーラルディスペンサーの装填を示す。
図3C-3D】図3C-3Dは、オーラルディスペンサーの使用を示す。
図4図4は、透視図で第二に提案される設計によるオーラルディスペンサーを示す。
図5A-5B】図5A-5Bは、二つの断面図で図4からのオーラルディスペンサーを示す。
図6-7】図6-7は、図1及び4によるオーラルディスペンサーの両設計に使用されることができる出口弁を実施するための二つの代替概念を示す。
図8A-8C】図8A-8Cは、図1~3Dによるオーラルディスペンサーのための中央マンドレルの代替形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1~3Dは、本発明によるオーラルディスペンサーの第一実施形態を示す。
【0055】
図1は、全体透視図でオーラルディスペンサー10を示す。オーラルディスペンサー10は、主範囲方向2に配向された細長ハウジングを有し、その近位端10Aにマウスピース12が与えられる。この例示的実施形態におけるケーシング表面上には作動プッシャー52が与えられ、それによって(以下に説明される)さらなる出口弁50が開放されることができる。
【0056】
図1A~1Cを参照すると、マウスピース12の近位端に噴霧ノズルユニット40が配置され、それは、複数のノズル開口44を有するノズルプレート42を有することが明らかである。略円筒形のマウスピース12の外縁上には、リング通路82も与えられ、それを通して空気がマウスピース12を通って吸引されることができる。この目的のため、空気は、入口84を通って吸引される。
【0057】
補充開口60は、オーラルディスペンサー10の反対側の遠位端10Bに与えられる。
【0058】
図1Aに示されるように、オーラルディスペンサー10の外部ハウジング70は、二つの半分の外殻70A,70Bを含む。これらの半分の外殻は、(以下に記載される)複数の構成要素を含み、それらは、装着、及び液体の目標とした噴霧のために役立つ。
【0059】
図2A及び2Bは、断面図でオーラルディスペンサー10を示し、それらの断面は、互いに90°オフセットされている。
【0060】
図から三つの内部構成要素72,73,74が外部ハウジング70の内側に与えられていることは明らかである。内部構成要素72は、図2Aの右手の端に、中央マンドレル76を形成し、それは、オーラルディスペンサー10のほとんど遠位端10まで延びる。エラストマーのホース状構成要素32がこの中央マンドレル76の上で押される。中央マンドレル76の外側とこのホース32の内側の間の空間は、液体リザーバー20を形成する。図2A及び2Bに示されたように、この液体リザーバーは、満たされていない。液体リザーバーは、主範囲方向2において中央マンドレル76を通って延びる液体通路90,92に半径方向開口77によって接続される。
【0061】
図2A及び2Bにおけるこの液体通路の左手部分92は、出口通路92の部分を形成する。液体リザーバー20から出発して、この出口通路92は、出口弁50に導く。図1~3Dの設計では、作動プッシャー52に加えて、オリフィス54Aを有する弁オリフィス要素54は、弁凹所72Aの内側で移動可能であるようにこの出口弁50に取り付けられる。作動プッシャー52は、戻りばねによって図2Aの位置へと押圧される。戻りばねの力に対向して押し下げられるとき、オリフィス54Aは、液体が弁オリフィス要素54を通って右手側に流れるように出口通路92と整列した位置にもたらされることができる。右手側に、従って出口弁50の下流に、まず液体フィルター46が与えられ、それは、メンブランフィルターとして構成され、内部構成要素73に挿入され、好ましくはそれによって封入される。従って、出口弁50を通って流れる液体には、いかなる汚染物も存在せず、汚染物によって噴霧ノズルユニット40の機能が妨げられることはない。
【0062】
上述の噴霧ノズルユニット40は、メンブランフィルター46の下流に位置される。その主要構成要素は、例えばシリコンから作られた薄いノズルプレートであり、それは、複数のノズル開口44によって穴を開けられている。ノズルプレート42は、スリーブ状プラスチックキャリア43に固定され、それは、次に内部構成要素74の対応する凹所に挿入される。
【0063】
前述の液体リザーバー20の上流には、中央マンドレル76に与えられかつ補充開口60に延びる通路として、補充通路90がある。しかしながら、液体リザーバー20は、外部環境に対して分離されているのが通常である。なぜなら入口弁62は、過圧弁の形で与えられ、それが、オーラルディスペンサー10を通常支配する正圧下でその閉鎖位置へと押圧されるからである。このため、入口弁62の弁体は、ホース32の構成要素によって形成される弾性的に変形可能なリング領域に対して押圧される。これは、図3Bを参照して以下に説明される。
【0064】
図2B及び図1Cから明らかなように、そしてこの文脈において既に述べたように、オーラルディスペンサー10は、二つの空気通路80を有し、それらは各々、上述のリング通路82中に開放し、それ自体がマウスピース12中に開放する。
【0065】
図2Cは、噴霧ノズルユニット40の拡大図を示す。それは、通路を包囲するスリーブ構成要素41を示し、そこにはノズル開口44を有するノズルプレート42が与えられる。ノズル開口は、各々、100μmの正味の横断面積を有する。本例示的実施形態では、25個のかかるノズル開口44が与えられる。
【0066】
図3A及び3Bは、オーラルディスペンサー10を充填する方法を示す。オーラルディスペンサー10を充填するためには、補充ディスペンサー110が与えられ、それは、オーラルディスペンサー10ととともに吸入システム100を形成する。
【0067】
補充ディスペンサー110は、その上端に出口弁114を有する圧力リザーバーを有し、それは、弁コネクターによって開放されることができる。弁コネクターは、オーラルディスペンサー10の補充開口60中への挿入のために補充コネクター112を形成する。もしオーラルディスペンサー10が図3Bに示されるように補充コネクター112の付与後に補充開口60上に押し下げられるなら、補充ディスペンサー110の出口弁114は、開放され、補充コネクター112による力付与によって、オーラルディスペンサー10の入口弁62もまた開放される。
【0068】
8barの圧力が補充ディスペンサー110を支配するので、液体は、補充コネクター112を通って補充通路90中に移り、オーラルディスペンサーの液体リザーバー20に移る。液体路4は、これを示す。
【0069】
そこで、補充ディスペンサー110を支配する圧力下、ホース32が拡張され、それによって弾性変形され、補充ディスペンサー110からのオーラルディスペンサー10の除去、及び入口弁62の結果として生じた閉鎖の後、それは、液体リザーバー20に存在する液体に対して約4barの圧力を及ぼす。
【0070】
図3Cは、拡張したホース32を有する今装填したオーラルディスペンサー10を示す。
【0071】
もし今、図3Dに示されるように、出口弁50が作動プッシャー52を押すことによって開放されるなら、液体は、液体リザーバー20から液体路6に沿って弁オリフィス要素50のオリフィス54Aを通って噴霧ノズルユニット40に流れ、それは、図3Dにおいて点線の矢印で示すように噴霧を実施する。同時に、使用者は、マウスピース12上で吸引し、それによってマウスピース12において空気通路80を介して外部空気ジャケットが発生され、噴霧液体とともに使用者によって吸入される。
【0072】
図4,5A及び5Bは、オーラルディスペンサー10の代替構造を示す。前述の図面の構造とこの設計の間の主な差は、この設計では、液体リザーバー20がピストン36の態様で変位可能な壁によって画定されることである。これは、中央ガイドマンドレル78によって案内され、コイルばねとして形成されるばね機構30によってマウスピース12の方向に永続的に力負荷される。液体リザーバー20が満たされるとき、ばね機構30のため、液体は、上記の方式で噴霧ノズルユニット40で噴霧が起こるのに十分高い圧力下にある。液体リザーバー20からの液体の放出が進むにつれて、ピストン36は、マウスピースの方向にさらに動かされる。
【0073】
補充ディスペンサー110がこの設計で付与されるとき、液体リザーバー20は、ここで補充されると同時に、ピストン36がばね機構30の力に対してさらに片寄らされる。このため、液体は、補充開口60から入口弁62(ここでは過圧弁として形成される)を通って補充通路90内に、そしてガイドマンドレル78における半径方向開口74を通って液体リザーバー20内に流れる。
【0074】
図6及び7は、液体リザーバーの前述の実施形態の両方において等しく実施されることができる出口弁の代替設計を示す。
【0075】
図6による設計では、出口弁50の唇による作動が与えられる。このため、旋回軸57のまわりで旋回可能な作動レバー56が与えられ、前記レバーの近位端は、使用者の唇の圧縮による正しい使用で押し下げられる作動面55を有する。弁オリフィス要素54のオリフィス54Aは、作動レバー56の反対の脚上に与えられる。作動面55が押し下げられるとき、オリフィス54Aは、それが出口通路92の隣接部分と整列するように持ち上げられ、従って液体は、液体リザーバー20から噴霧ノズルユニット40に移動する。
【0076】
空気入口開口13がマウスピース12上に与えられる。これは、使用者が唇でマウスピース及び作動面55を包囲し、次いで作動面55の作動前であっても空気入口開口13を通して空気を吸引することを可能にする。この方法中、ニコチン又はカンナビスを含有する液体の放出は、使用者の唇の圧縮、従って作動面55の押し下げによって開始されることができる。力の思慮分別のある付与によって、使用者はまた、出口通路92と部分的にのみオリフィス54Aを整列させ、それによって液体の少量のみの放出を達成することができる。従って、タバコと同様の方式で、使用者は、自分の希望に従って放出を制御することができる。
【0077】
図7による設計は、出口弁50の呼吸による作動を有する設計である。使用者がマウスピース12上で吸引するとき、これは、既に記載した空気通路80を通って空気を吸引するのに役立つだけでなく、出口弁50の真空室58から追加の空気通路86を通って空気を抽出し、従って真空室58のフレキシブルな室壁59は、弁オリフィス要素54を下方に押すのに役立つ。このようにして、弁オリフィス要素54中のオリフィス54Aは、出口通路92の隣接部分と通じるようになり、液体は、噴霧ノズルユニット40に流れる。
【0078】
図7の例では、真空室は、開口53を介して環境に接続される。開口を通る流動抵抗は、通路86を通る流動抵抗より大きい。従って、真空は、真空室58内に作られる。上記の空気通路80に対応する追加の空気通路は、この設計では必要ない。なぜなら空気は、開口53及び空気通路86を通ってマウスピースに達するからである。
【0079】
代替設計では、開口53はまた、省略されることができ、代わりに前記空気通路80が与えられることができる。開口のそれぞれの閉塞効果の好適な設計により、真空が真空室59に作られることができる。
【0080】
図8A~8Cは、中央マンドレル76の特定の設計、及び関連する装着を示す。中央マンドレル76は、ここでは二つのマンドレル構成要素76A,76Bに分割される。内部マンドレル構成要素76Aは、わずかに円錐形態を有する。外部マンドレル構成要素76Bは、複数のリブを有し、それらは、周囲に分布されかつ細い接続ウエブによって一緒に接続される。リブ自体は、内部マンドレル構成要素76Aの円錐特性に対応する円錐特性で内側に形成される。
【0081】
ツーピースの中央マンドレルをホース32に装着するため、図8Bに従って、まず外部マンドレル構成要素76Bがホース32に挿入される。これは、問題が全くない。なぜなら図8Aの開始状態では、外部マンドレル構成要素76Bの外径は、ホース32の内径より小さいからである。
【0082】
次いで、ホース32及び外部マンドレル構成要素76Bの集成体は、円錐状の内部マンドレル構成要素76Aの上に押される。外部マンドレル構成要素76Bは、それによって拡張し、それでホース32を拡張し、従ってホース32は、希望の緊張下に置かれる。
【0083】
液体リザーバーのこの構造は、図1~3Dの中央マンドレル76の設計と比較して設置に関して改良された方式を構成する。
図1
図1A-1C】
図2A-2B】
図2C
図3A-3B】
図3C-3D】
図4
図5A-5B】
図6-7】
図8A-8C】
【国際調査報告】