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特表2023-532967睡眠障害を有する個人および治療に対する傾向を特定するためのシステムおよび方法
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  • 特表-睡眠障害を有する個人および治療に対する傾向を特定するためのシステムおよび方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】睡眠障害を有する個人および治療に対する傾向を特定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500080
(86)(22)【出願日】2021-06-26
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2021055727
(87)【国際公開番号】W WO2022003521
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,397
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504913
【氏名又は名称】レズメド ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾテロ、ナタリー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS09
4C038SX20
(57)【要約】
システムおよび方法は、データリポジトリに記憶された患者データを提供し、第1の患者特定アルゴリズムを患者データに適用して、選択された身体特性および健康特性と関連付けられた最初の個人集団を特定し、第2の患者特定アルゴリズムを最初の個人集団と関連付けられた患者データに適用して、選択された行動特性と関連付けられた狭い下位集団を特定し、患者データから患者特定可能情報を生成して通知を可能にする。最初集団の特定は、第1の閾値基準を満足または超過している個人についての閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の判定尤度(determined likelihood)に基づく。狭い集団の特定は、第2の閾値基準を満足または超過している個人についてのOSA治療への長期的順守の判定尤度に基づく。狭い下位集団内の個人のうちの1人以上がOSAに好適な個人であるという通知は、指定されたエンティティを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データリポジトリに記憶された患者データを提供することであって、前記患者データが、特定可能な個人に対応する身体データ、健康データ、および行動データを含む、提供することと、
第1の患者特定アルゴリズムを適用して、前記患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された身体特性および健康特性と関連付けられた最初の個人集団を特定することであって、前記最初の個人集団の特定が、第1の閾値基準を満足または超過している特定可能な個人についての閉塞性睡眠時無呼吸の判定尤度(determined likelihood)に基づく、特定することと、
第2の患者特定アルゴリズムを適用して、前記最初の個人集団と関連付けられた前記患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された行動特性と関連付けられた狭い下位個人集団を特定することであって、前記狭い個人集団の特定が、第2の閾値基準を満足または超過している前記狭い下位集団内の個人が閉塞性睡眠時無呼吸治療を長期にわたって順守する判定尤度に基づく、特定することと、
前記患者データから患者特定可能情報を生成して、前記狭い下位集団内の前記個人のうちの1人以上が閉塞性睡眠時無呼吸治療に好適な個人であることを、1つ以上の指定されたエンティティに通知できるようにすることと、を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の指定されたエンティティが、医療提供者、統合配信ネットワーク、保健医療費支払者、管理者、前記1人以上の個人のうちの少なくとも1人、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記狭い下位個人集団内の前記1人以上の個人それぞれに対応する前記身体データ、健康データ、および行動データに少なくとも部分的に基づいて、前記1人以上の個人を対象とする個別化治療経路を生成することをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
生成された個人治療経路を、対応する個人、医療提供者、他の指定されたエンティティ、またはそれらの任意の組み合わせに送信することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記通知が、潜在的な閉塞性睡眠時無呼吸を治療することによる潜在的な医療費節約の分析を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記生成された個人治療経路が、閉塞性睡眠時無呼吸を治療することによって改善される健康転帰の分析をさらに含む、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記改善される健康転帰が、死亡率、再入院、入院時間、またはそれらの任意の組み合わせの減少を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
対応する個人にアラートを直接送信して、前記個人の医療提供者に睡眠検査について問い合わせることをさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生成された個人治療経路が、推奨された睡眠検査方法を含む、請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生成された患者特定可能情報を、第三者がアクセスできるネットワークサーバ上に提供することをさらに含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記データリポジトリが、介護管理プラットフォーム、健康管理システム、またはその両方と関連付けられたデータを含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者データが過去の患者データを含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された身体特性および健康特性のうちの1つ以上が、閉塞性睡眠時無呼吸に間接的に起因するか、それによって激される、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された身体特性が、首周り、体重、性別、血圧、年齢、ボディマス指数、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記選択された身体特性および健康特性のうちの1つ以上が、前記特定可能な個人によって提供された情報を含む、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記選択された健康特性が、いびき歴、心臓疾病、疲労歴、観察された無呼吸、糖尿、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記行動特性が人口統計情報を含む、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記人口統計情報が、教育、雇用、居住地、婚姻状況、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記行動特性が、モチベーション、フィットネスレベル、運動習慣、処方された投薬プロトコルへの順守、以前に医師が出した勧奨への順守、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記選択された健康情報、行動情報、または人口統計情報のうちのいずれかが、患者との以前の1回以上の面会中に医療提供者によって入力されたデータである、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
特定された個人への通知が、健康ポータルを通じて配信されたダイレクトメッセージまたは電子メールメッセージを含む、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記特定された個人と関連付けられた医療提供者または管理者への通知が、患者フォローアップに至る可能性が最も高い通信方法の明示を含む、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記通信方法が、テキストメッセージ、電子メール、通話、または訪問予定を組むための招待状のうちの1つを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記通信方法が、前記テキストメッセージ、電子メール、通話、または訪問予定を組むための招待状の配信が、管理者、看護師、または医師のうちの1人によって開始されることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記狭い下位集合内で特定された複数の個人のリストを生成して、事前的な訪問支援(proactive outreach)を指示することをさらに含む、請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムが前記メモリに連結されており、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されたときに、請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の方法が実施されるシステム。
【請求項27】
潜在的な睡眠障害を有する可能性が高く、処方された長期治療計画を順守する可能性が高い個人を特定するためのシステムであって、請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを含むシステム。
【請求項28】
コンピュータによって実行されたときに、請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
前記コンピュータプログラム製品が非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、閉塞性睡眠時無呼吸を示唆する特定の身体特性および健康特性を有する個人を特定するためのシステムおよび方法に関するものであり、具体的には、本開示は、閉塞性睡眠時無呼吸治療の長期的順守を示唆する行動特性を有する個人をさらに特定するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの個人は、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)、無呼吸と低呼吸との混合などの他のタイプの無呼吸、呼吸努力関連覚醒(RERA)、チェーンストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、急速眼球運動(REM)行動障害(RBDとも呼ばれる)、夢の行動化(DEB)、高血圧症、糖尿、脳卒中、不眠、および胸壁障害など、睡眠関連障害および/または呼吸関連障害を患っている。これらの障害は、呼吸療法システムを用いて治療されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一部のユーザにとっては、かかるシステムが不快であり、使い難く、高価であり、審美性が低く、かつ/またはシステムを使用することと関連付けられた便益が認識されない。その結果、一部のユーザは、呼吸療法システムの使用を始めなかったり、呼吸療法治療が用いられていないときに自身の症状の深刻度の実証がなければ、呼吸療法システムの使用を止めたりする。その結果、一部のユーザは、呼吸療法システムが自身の睡眠の質を改善し、これらの障害の症状を軽減しているという励みや肯定感を持てず、呼吸療法システムの使用を止めてしまう。本開示は、これらを始めとする問題などの解決策に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実装形態によれば、方法が、データリポジトリに記憶された患者データを提供することを含む。患者データは、特定可能な個人に対応する身体データ、健康データ、および行動データを含む。方法は、第1の患者特定アルゴリズムを適用して、患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された身体特性および健康特性と関連付けられた最初の個人集団を特定することも含む。最初の個人集団の特定は、第1の閾値基準を満足または超過している特定可能な個人についての閉塞性睡眠時無呼吸の判定尤度(determined likelihood)に基づく。方法は、第2の患者特定アルゴリズムを適用して、最初の個人集団と関連付けられた患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された行動特性と関連付けられた狭い下位個人集団を特定することも含む。狭い個人集団の特定は、第2の閾値基準を満足または超過している狭い下位集団内の個人が閉塞性睡眠時無呼吸治療を長期にわたって順守する判定尤度に基づく。患者特定可能情報は、患者データから生成されて、狭い下位集団内の個人のうちの1人以上が閉塞性睡眠時無呼吸治療に好適な個人であることを、1つ以上の指定されたエンティティに通知できるようにする。
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、システムが、1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、機械可読命令を記憶したメモリと、を含む。制御システムは、メモリに連結されており、方法は、メモリ内の機械実行可能命令が制御システムの1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されたときに実施される。
【0006】
本開示のいくつかの実装形態によれば、システムが、潜在的な睡眠障害を有する可能性が高く、処方された長期治療計画を順守する可能性が高い個人を特定する。システムは、方法を実施するように構成された制御システム制御システムを含む。
【0007】
いくつかの実装形態によれば、コンピュータプログラム製品が、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに方法を実行させる命令を含む。
【0008】
いくつかの実装形態によれば、コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠障害を有し、睡眠障害治療計画を採用する長期的傾向を有する個人を特定する目的でデータを分析するための例示的システムの機能ブロック図である。
図1B】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠障害を有し、睡眠障害治療計画を採用する長期的傾向を有する個人を特定する目的でデータを分析するための別の例示的システムの機能ブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠障害を有し、睡眠障害治療計画を採用する長期的傾向を有する個人を特定するための例示的方法のプロセスフロー図である。
図3】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠障害を有し、睡眠障害治療計画を採用する長期的傾向を有する個人を特定するためのアルゴリズムを訓練するための例示的方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の要旨は、本開示の各実装形態またはすべての態様を示すことを意図していない。本開示のさらなる特徴および便益は、下記の詳細な説明および図面から明らかである。
【0011】
本開示は、様々な変更および代替形態が可能であるが、その具体的な実装形態および実施形態が図面に例として示されており、本明細書において詳述される。ただし、それは、開示された特定の形態に本開示を限定することを意図するものではなく、逆に、本開示は、添付の請求項によって定義される本開示の精神および範囲内に属するすべての変更、均等物、および代替を網羅するということを理解すべきである。
【0012】
多くの個人は、睡眠関連障害および/または呼吸障害を患っている。睡眠関連障害および/または呼吸障害の例としては、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)、および無呼吸と低呼吸との混合などの他のタイプの無呼吸、呼吸努力関連覚醒(RERA)、チェーンストークス呼吸(CSR)、呼吸機能不全、肥満性過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、急速眼球運動(REM)行動障害(RBDとも呼ばれる)、夢の行動化(DEB)、高血圧症、糖尿、脳卒中、不眠、ならびに胸壁障害が挙げられる。
【0013】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、および後口咽頭壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせによる睡眠中の上部気道の閉塞や閉鎖を含む事象を特徴とする。これらの障害は、個人の睡眠中に起こる特定の事象(例えば、いびき、無呼吸、低呼吸、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、努力性呼吸、喘息発作、てんかんエピソード、発作、またはそれらの任意の組み合わせ)を特徴とする。
【0014】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に罹患すると、患者の呼吸は、30秒から120秒の期間にわたって停止するのが典型的であり、時には、一晩に200回から300回停止する。その結果、日中の傾眠が過度になることが多く、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、罹患した人は、問題に気付いていない場合がある。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0015】
呼吸圧力療法(RPT)デバイスは、気道へのインターフェースに送達するための空気流れを生成するようにデバイスを動作させることなどによって、いくつかの療法のうちの1つ以上を送達するために、個々に、またはシステムの一部として使用され得る。空気流れは、(呼吸圧力療法のために)圧力制御されるか、(HFTなどの流れ療法のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ療法デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例としては、持続的気道陽圧(CPAP)デバイスが挙げられる。
【0016】
CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に使用されてきた。作用メカニズムは、軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進させたり、それから後退させることなどにより、持続的気道陽圧が空圧スプリントとして機能し、上気道の閉鎖を防止し得ることである。CPAP療法は、患者が療法に従う場合、特定の呼吸障害の治療においては非常に効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、療法に従わない場合がある。患者は、マスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組み立てまたは分解が難しい)場合、患者は、マスクを洗わない可能性があり、これにより、患者コンプライアンスに影響が出る場合がある。CPAP療法によるOSAの治療は、自発的なものであり得るため、患者は、このような療法の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、療法に従わないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、および低い審美性。
【0017】
すべての呼吸療法が、処方された療法圧力を送達することを目的としているわけではない。いくつかの呼吸療法は、恐らくは流量プロファイルを目標継続時間にわたって標的とすることによって、処方された呼吸量を送達することを目的としている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸療法は、患者自身の自発呼吸のみを補完し得る。一例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れを、気道への入口に、シール解除または開放されている患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、名目上、患者のピーク吸気流量を超えるように設定されている。HFTは、OSA、CSR、COPDおよび他の呼吸障害の治療に使用されてきた。1つの作用メカニズムは、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しによって、気道入口における高流量の空気が、換気効率を改善することである。そのため、HFTは、時には死腔療法(DST)と呼ばれる。他の流れ療法では、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0018】
個人の多種多様な身体特性および健康特性は、OSAに起因し得るか、それによって激され得る。例えば、OSAに直接的または間接的に起因するか、それを激する身体特性としては、個人の首周り、体重、性別、血圧、年齢、ボディマス指数、および他の特性を挙げることができる。OSAに直接的または間接的に起因する、またはそれによって激される健康特性は、いびき歴、心臓疾病、疲労歴、観察された無呼吸、糖尿、および他の特性を含み得る。さらに、OSAを有するか、有する可能性が高く、かつOSAの長期治療計画に従う可能性が高い個人の特定の行動特性として、個人の人口統計情報、例えば、教育、雇用、居住地、婚姻状況などが挙げられる。OSAを有するか、有する可能性が高く、かつOSAの長期治療計画に従う可能性が高い個人のさらなる行動特性は、個人のモチベーション、フィットネスレベル、運動習慣、処方された投薬プロトコルへの順守、以前に医師が出した勧奨への順守、および他の特性を含み得る。
【0019】
個人の身体特性、健康特性、および行動特性と関連付けられたデータは、様々なソースによって収集され、医療記録の一部であり得る過去の患者データとして記憶することができる。データは、患者訪問時に医療提供者によって収集され、例えば介護管理プラットフォーム内に記憶され得る。データは、統合配信ネットワーク、健康管理システム、保健医療費支払者、および他の管理者によっても収集され得る。いくつかの事例においては、データが、患者によって直接的または間接的に提供され得る。いくつかの事例においては、データが、医師または他の医療専門家によって収集され得る。さらに他の事例においては、行動情報などのデータが、第三者のソースから、個人の行動特性データ、身体特性データ、および健康特性データに起因し得る程度まで収集され得る。このデータはすべて、データリポジトリに記憶することができる。本開示のシステムおよび方法の望ましい実装形態は、閉塞性睡眠時無呼吸を示唆する特定の身体特性および健康特性を有する個人をデータリポジトリから特定すること、およびOSA治療への長期的順守を示唆する特定の行動特性を有する個人をさらに特定することである。
【0020】
OSAは、OSAを有する個人の生活の質に大きな影響を及ぼすと共に、医療提供者および保健医療費支払者の長期的な費用を増やす他の多くの医事問題の原因となる要因である。その医事問題を抱える患者がOSAを有すると判定された場合には、OSA疾病を治療することにより、医事問題を最小限に抑えたり、場合によっては解消したりすることができる。このことは、特にOSAが早期に治療される場合に、長期的な医療費用が最小限に抑えられ、個人の生活の質が高まることから望ましくあり得る。OSAには肯定的な便益が多いが、OSA治療計画を処方されたすべての個人が治療を長期にわたって順守するわけではないため、治療の便益が減ることがある。本開示の望ましい態様は、個人の身体特性データおよび健康特性データに基づいてOSAを有する可能性が高いと最初に特定された、OSA治療計画を順守する可能性が高い個人を過去の患者データのリポジトリから特定することである。
【0021】
患者健康記録のデータベースなどのデータベースからデータを受信するか、そのデータへのアクセス権を有し、第1の訓練されたアルゴリズムを使用して、OSAを有する可能性が高い現在の患者を特定して最初の個人集団を生成するシステムが企図される。その後、最初集団内の個人それぞれについてのデータの一部または全部が、第2の訓練されたアルゴリズムによって処理され、OSA治療療法(例えば、CPAP、下顎整復デバイス、刺激療法、生活様式変更)を長期にわたって採用および/または順守する可能性が高い現在の患者を特定して最初の個人集団の下位集団を生成する。いくつかの態様においては、下位個人集団が、企図されたシステムの主要出力であり、下位集団内の個人それぞれと関連付けられた患者特定可能情報を有し得る。下位個人集団はその後、OSA治療について、ならびに長期的な医療費用の最少化および生活の質向上によって期待される便益について相談を受けるべき候補者であることを、医療提供者、保健医療費支払者、または本人に知らせることができる。
【0022】
図1Aおよび図1Bを参照すると、システム100、100’は、データリポジトリ200、200’と、メモリ300、300’と、制御システム400、400’と、1つ以上の端末デバイス500、500’(以下、端末デバイス500、500’)と、を含む。本明細書に記載されているとおり、システム100、100’は概して、潜在的な睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸)を有する可能性が高く、(例えば、医師または他の処方者によって)処方された長期治療計画を順守する可能性が高い個人(例えば、医療提供者の患者)を特定するのに使用することができる。
【0023】
システム100、100’は、様々な要素を含むものとして示されているが、システム100、100’は、本明細書に示されかつ記載されている要素の任意の一部分および/または下位集合を含み得、かつ/またはシステム100、100’は、図1Aまたは図1Bに具体的に示されていない1つ以上の追加要素を含み得る。データリポジトリ200、200’は、それぞれのネットワーク250、250’に通信可能に連結されている。いくつかの実装形態においては、データリポジトリ200、200’が、それぞれのネットワーク250、250’を介して、または別のネットワーク255、255’を介して、それぞれの制御システム400、400’に、および/または1つ以上のそれぞれの端末デバイス500、500’に通信可能に接続されている。
【0024】
データリポジトリ200、200’は、患者または患者に起因するデータを記憶するための複数のストレージデバイスを含む。本開示のいくつかの実装形態においては、データリポジトリ200および200’が、個人についての電子健康データ記録を含み得、健康特性データ220(または図1Bの220’)および行動特性データ230(または図1Bの230’)と共に、複数の個人についての身体特性データ210(または図1Bの210’)を有し得る。データリポジトリ200および200’(図1B)は、様々なストレージデバイスを含むものとして示されているが、データリポジトリ200および210’は、本明細書に示されかつ記載されている要素の任意の下位集合を含み得、かつ/またはデータリポジトリ200および210’は図1に具体的に示されていない1つ以上の追加要素を含み得る。
【0025】
データリポジトリ200または200’(図1B)に記憶されたデータは、多種多様なタイプおよび/または内容のデータを含み得る。例えば、いくつかの実装形態においては、データリポジトリ200または200’に記憶されたデータが、首周り、体重、性別、血圧、年齢、および/またはボディマス指数など、OSAに直接的または間接的に起因するか、それを激する身体特性データを含む。別の実施例においては、データが、いびき歴、心臓疾病、疲労歴、観察された無呼吸、および/または糖尿など、OSAに直接的または間接的に起因するか、それを激する健康特性データを含む。別の実施例においては、データが、OSAを有するか、有する可能性が高く、かつOSAの長期治療計画に従う可能性が高い個人の特定の行動特性、例えば、教育、雇用、居住地、婚姻状況、および/または保健医療費支払者情報などの人口統計情報を含む。いくつかの実装形態においては、データが、OSAを有するか、有する可能性が高く、モチベーション、フィットネスレベル、運動習慣、処方された投薬プロトコルへの順守、および/または以前に医師が出した勧奨への順守など、OSAの長期治療計画に従う可能性が高い個人のさらなる行動特性データを含む。データリポジトリ200または200’に記憶されたデータは、特定可能な個人(例えば、現在または以前の患者)に対応する身体特性データ、健康特性データ、および行動特性データなどの過去の患者データを含む。
【0026】
特定可能な個人に対応するデータリポジトリ200または200’に記憶されたさらなるデータについてさらに詳述する。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人に類似する複数の個人と関連付けられた順守データを含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が睡眠中に呼吸困難に直面するかどうかの判定を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人の関係情報を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が行ったウェブ検索を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が暴飲暴食行動を見せる可能性が高いどうかの判定、個人が行動を変える可能性が高いかどうかの判定、またはその両方を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が変えた臨床行動についての過去の説明の少なくとも一部分の要約を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が経験する頭痛および/または偏頭痛の発生および/または頻度を含む1つ以上の日次健康評価を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人の扶養家族情報を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、モバイルベースまたはウェブベースの健康アプリケーションにおける個人のサブスクリプション、個人と関連付けられたソーシャルメディア情報、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の例として、いくつかの実装形態において、データは、個人が技術のアーリーアダプターになる傾向を判定することを含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、個人が薬物利用者であるかどうかと関連付けられた情報、個人がアルコールを消費するかどうかと関連付けられた情報、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、年齢、性別、BMI、健康情報、個人が喫煙者か非喫煙者か、個人がアルコールを飲むかどうか、またはそれらの任意の組み合わせなどの情報を含む。別の例として、いくつかの実装形態においては、データが、日中の眠気、いびき、疲労、運動レベル(継続時間、強度、タイプ)、睡眠維持の困難などの自己報告痛点などの情報、またはそれらの任意の組み合わせを含む。データリポジトリ200または210’に記憶されたデータは、上記のタイプのデータおよび/または本明細書に具体的に記載されていない他のタイプのデータの任意の組み合わせを含み得るものと理解される。
【0027】
いくつかの実装形態においては、制御システム400(または図1Bの400’)が、(図1Aのそれぞれのメモリ300もしくは図1Bの300’、あるいは異なるメモリ、またはその両方に記憶された)機械可読命令を実行し、第1の患者特定アルゴリズムを適用し、患者データの少なくとも一部分を処理して、選択された身体特性および健康特性と関連付けられた最初の個人集団を特定する。最初の個人集団の特定は、第1の閾値基準または所定の閾値を満足または超過している特定可能な個人についての閉塞性睡眠時無呼吸の判定尤度に基づく。制御システム400または400’は、(それぞれのメモリ300もしくは300’、あるいは異なるメモリ、またはその両方に記憶された)機械可読命令をさらに実行して、第2の患者特定アルゴリズムを適用し、最初の個人集団と関連付けられた患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された行動特性と関連付けられた狭い下位個人集団を特定する。狭い個人集団の特定は、第2の閾値基準または所定の閾値を満足または超過している狭い下位集団内の個人が閉塞性睡眠時無呼吸治療を長期にわたって順守する判定尤度に基づく。最後に、制御システム400または400’は、(それぞれのメモリ300もしくは300’、あるいは異なるメモリ、またはその両方に記憶された)機械可読命令を実行して、患者データから患者特定可能情報を生成し、狭い下位集団内の個人のうちの1人以上が閉塞性睡眠時無呼吸治療に好適な個人であることを、1つ以上の指定されたエンティティに通知できるようにする。いくつかの実装形態においては、患者特定アルゴリズムが機械学習アルゴリズムであり得る。いくつかの実装形態においては、患者特定アルゴリズムが、事前にプログラミングされたアルゴリズムであり得る。いくつかの実装形態においては、事前にプログラミングされたアルゴリズムを、ユーザが所望する所定の間隔で更新することができる。
【0028】
いくつかの実装形態においては、データリポジトリ200または200’に記憶されたデータが、複数の個人と関連付けられている訓練データ(例えば、履歴、リアルタイム)を含み得る。いくつかのかかる実装形態においては、制御システム400または400’が、(それぞれのメモリ300もしくは300’、あるいは異なるメモリ、またはその両方に記憶された)機械可読命令を実行して、(メモリ300もしくは300’、あるいは異なるメモリ、またはその両方に記憶された)図1Aの機械学習患者特定アルゴリズム(単数または複数)330または図1Bの330’を訓練データで訓練する。訓練データを使用することにより、機械学習患者特定アルゴリズム(単数または複数)330または330’は、特定可能な個人と関連付けられているデータリポジトリ200または200’に記憶されたデータの少なくとも一部分を入力として受信するように構成されている。
【0029】
図1Aの1つ以上の端末デバイス500または図1Bの500’は、個人、医療提供者、統合配信ネットワーク、保健医療費支払者、管理者、または別の指定されたエンティティと関連付けることができる。いくつかの実装形態においては、端末デバイス500(または500’)が、制御システム400または400’から1つ以上の通知を受信するように構成されている。いくつかの実装形態においては、通知が、患者特定アルゴリズムによって特定されるような狭い下位集団内の個人のうちの1人以上がOSA治療に好適な(例えば、長期治療を順守する可能性が高い)個人であることを含む。1つ以上の端末デバイス500または500’は、パーソナルコンピュータ510(または図1Bの510’)、モバイルデバイス520(または図1Bの520’)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態においては、端末デバイス500または500’が、医療記録の一部であるか、個人(例えば患者)から直接受信したデータであるかに関係なく、データリポジトリに送信され得る患者データなどのデータをデータリポジトリ200または200’に伝達すること、および/またはそこからそのデータを受信することができる。
【0030】
いくつかの実装形態においては、メモリ300または300’が、機械可読命令320または320’と、第1および第2の患者特定アルゴリズムと、を記憶する。制御システム400または400’は、それぞれのメモリ300または300’に通信可能に連結されており、1つ以上のプロセッサ410または410’を含む。制御システム400は概して、システム100の様々な構成要素を制御し(例えば、作動させ)、かつ/またはシステム100の構成要素によって取得および/または生成されたデータを分析するのに使用される。制御システム400’も同様に、システム100’の様々な構成要素を制御し(例えば、作動させ)、かつ/または構成要素200’および/もしくは500’によってシステムの外部で取得および/または生成されたデータを分析するのに使用される。プロセッサ410(または図1Bの410’)は、それぞれのメモリデバイス300または300’に記憶されたそれぞれの機械可読命令320(または図1Bの320’)を実行し、汎用または特殊用途のプロセッサまたはマイクロプロセッサであり得る。
【0031】
図1Aに1つのプロセッサ410が示されており、図1Bに1つのプロセッサが示されているが、それぞれの制御システム400または400’は、任意の好適な数のプロセッサ(例えば、1個のプロセッサ、2個のプロセッサ、5個のプロセッサ、10個のプロセッサなど)を含み得る。それぞれのメモリ300または300’は、例えば、ランダムまたはシリアルアクセスメモリデバイス、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読ストレージデバイスまたは媒体であり得る。制御システム400および/またはメモリ300は、端末デバイス500のうちの1つ以上のハウジングに連結すること、および/またはその内部に位置付けることができる。制御システム400および/またはメモリ300は、(1つのハウジング内に)集中させるか、(2つ以上の物理的に別個のハウジング内に)分散させることができる。制御システム400’および/またはメモリ300’は、(1つのハウジング内に)集中させるか、(2つ以上の物理的に別個のハウジング内に)分散させることができる。
【0032】
本開示のいくつかの実装形態においては、プロセッサ410(または図1Bでは410’)が、機械可読命令320(または図1Bでは320’)を実行して、データリポジトリ200または200’(図1B)に記憶されたデータの少なくとも一部分を受信するように構成されている。いくつかのかかる実装形態においては、受信したデータの一部分が、特定可能な個人に対応する。メモリ300または300’(図1B)内の第1および第2の患者特定アルゴリズムは、受信したデータまたはその一部分を処理して、OSA治療に好適な(例えば、長期にわたる治療を順守する可能性が高い)特定可能な個人を判定する。
【0033】
いくつかの実装形態においては、最初の個人集団内で特定される個人についての閉塞性睡眠時無呼吸の判定尤度が、第1の閾値基準(例えば、95%を上回るOSA尤度、90%を上回るOSA尤度、80%を上回るOSA尤度、70%を上回るOSA尤度、60%を上回るOSA尤度)を満足または超過している個人を含む。いくつかの実装形態においては、(狭い下位個人集団に含めるための)個人がOSA治療を長期にわたって順守する判定尤度が、第2の閾値基準(例えば、95%を上回る順守尤度、90%を上回る順守尤度、80%を上回る順守尤度、70%を上回る順守尤度、60%を上回る順守尤度)を満足または超過しているデータと関連付けられた個人を含む。
【0034】
いくつかの実装形態においては、プロセッサ410または410’が、機械可読命令320または320’を実行して、OSA治療に好適な狭い下位個人集団内の1人以上の個人を対象とする個別化治療経路(単数または複数)生成する。個別化治療経路は、狭い下位集団内の1人以上の個人それぞれに対応する身体特性データ、健康特性データ、および/または行動特性データに基づく。
【0035】
本明細書に記載されているシステムは、アルゴリズム駆動型モジュールを介して、OSAを有する閾値尤度と、OSA治療を長期にわたって順守する閾値尤度と、を有する患者を特定することを含むということが企図される。記載されているシステムおよび方法は、過去の患者データを見直して医療提供者(例えば、心臓病専門医、内分泌専門医、家庭医)の以前の患者を特定できるという点で望ましく、データに基づいて、OSAを有する可能性が高く、治療計画を順守する可能性が高い過去の患者の中で個人を特定することができる。
【0036】
いくつかの実装形態においては、システムおよび方法が、さらに、特定された患者にとって奏功するであろう所望の治療経路へと提供者を導くことができる。心臓学医療提供者の例においては、心臓に問題を抱える過去の患者、または心臓の問題に至る経路にいる過去の患者が、心臓の問題の原因となる可能性が高いOSA尤度を有するとシステムによって特定され得る。特定された患者が、OSAの治療を順守する尤度を示唆する行動特性も有する場合には、患者情報を医療提供者、保健医療費支払者、または統合配信ネットワークに送信して、この指定されたエンティティが過去の患者に相談することを可能にし得る。
【0037】
ここで図2を参照すると、睡眠障害を有する個人と、治療計画を採用する長期的傾向を有する個人と、を特定するための方法のプロセスフロー図が描かれている。ステップ600で、記憶されているか、データリポジトリから取り出された患者データが提供される。患者データは、特定可能な個人に対応する身体特性データ、健康特性データ、および行動特性データを含む。ステップ610で、第1の患者特定アルゴリズムを適用して、患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された身体特性および健康特性と関連付けられた最初の個人集団を特定する。身体特性および健康特性は、身体特性データ613および健康特性データ616から導出され得る。最初の個人集団の特定は、第1の閾値基準を満足または超過している特定可能な個人についての閉塞性睡眠時無呼吸の判定尤度に基づく。ステップ620で、第2の患者特定アルゴリズムを適用して、最初の個人集団と関連付けられた患者データの少なくとも一部分を処理し、選択された行動特性と関連付けられた狭い下位個人集団を特定する。行動特性は、行動特性データ623から導出され得る。狭い個人集団の特定は、第2の閾値基準を満足または超過している狭い下位集団内の個人が閉塞性睡眠時無呼吸治療を長期にわたって順守する判定尤度に基づく。ステップ630で、患者データから患者特定可能情報を生成して、狭い下位集団内の個人のうちの1人以上が閉塞性睡眠時無呼吸治療に好適な個人であることを、1つ以上の指定されたエンティティに通知できるようにする。
【0038】
いくつかの実装形態において、1つ以上の指定されたエンティティは、通知を受けることができ、医療提供者、統合配信ネットワーク、保健医療費支払者、管理者、1人以上の個人のうちの少なくとも1人、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
いくつかの実装形態においては、狭い下位個人集団内の1人以上の個人それぞれに対応する身体データ、健康データ、および行動データに少なくとも部分的に基づいて、1人以上の特定された個人を対象とする個別化治療経路が生成される。例えば、個別化治療経路は、特定された個人に好適な睡眠検査方法を特定すること、またはOSAを治療することによって改善される健康転帰の分析を含み得る。改善される健康転帰は、死亡率、再入院、入院時間、またはそれらの任意の組み合わせの減少を含み得る。改善される他の健康転帰は、臨床上、金銭上、および患者としての経験の改善を含み得る。生成された個人治療経路は、対応する個人、医療提供者、他の指定されたエンティティ、またはそれらの任意の組み合わせに送信され得る。
【0040】
いくつかの実装形態においては、通知が、潜在的な閉塞性睡眠時無呼吸を治療することによる潜在的な医療費節約の分析を含み得る。
【0041】
いくつかの実装形態においては、対応する個人にアラートが直接送信されて、その個人の医療提供者に睡眠検査について問い合わせる。
【0042】
いくつかの実装形態においては、生成された患者特定可能情報が、第三者がアクセスできるネットワークサーバ上に提供され得る。
【0043】
いくつかの実装形態においては、データリポジトリが、介護管理プラットフォーム、健康管理システム、またはその両方と関連付けられたデータを含み得る。いくつかの実装形態においては、患者データが過去の患者データを含む。
【0044】
いくつかの実装形態においては、選択された身体特性および健康特性のうちの1つ以上が、特定可能な個人によって提供された情報を含む。いくつかの実装形態においては、選択された健康情報、行動情報、または人口統計情報が、患者との以前の1回以上の面会中に医療提供者によって入力されたデータである。
【0045】
いくつかの実装形態においては、特定された個人への通知が、健康ポータルを通じて配信されたダイレクトメッセージまたは電子メールメッセージを含む。いくつかの実装形態においては、特定された個人と関連付けられた医療提供者または管理者への通知が、患者フォローアップに至る可能性が最も高い通信方法の明示を含む。いくつかの実装形態においては、通信方法が、テキストメッセージ、電子メール、通話、または訪問予定を組むための招待状のうちの1つを含む。いくつかの実装形態においては、通信方法が、テキストメッセージ、電子メール、通話、または訪問予定を組むための招待状の配信が、管理者、看護師、または医師のうちの1人によって開始されることをさらに含み得る。
【0046】
いくつかの実装形態においては、狭い下位個人集団内で特定された複数の個人のリストが生成されて、事前的な訪問支援(proactive outreach)を指示する。
【0047】
いくつかの実装形態においては、システムおよび方法が、標的とするフォローアップの対象となる個人の特定の正確度を高めるであろう欠落患者データを特定することを含む。
【0048】
ここで図3を参照すると、睡眠障害を有し、治療計画を採用する長期的傾向を有する個人を特定するためのアルゴリズムを訓練するための例示的方法のプロセスフロー図が描かれている。ステップ700では、患者データが受信され、身体特性データ703、健康特性データ706、および/または行動特性データ709を含み得る。ステップ710では、訓練用患者データ内の特定可能な個人についての第1の閾値が判定または受信され、OSAを有するとわかっている個人と関連付けられた患者データを含み得る。次に、ステップ720で、第1の患者特定アルゴリズムを、OSA尤度を有することに対する判定閾値に基づいて個人を特定するために訓練することができる。同様に、ステップ715では、訓練用患者データ内の特定可能な個人についての第2の閾値が判定または受信され、OSA治療を長期にわたって順守するとわかっている個人と関連付けられた患者データを含み得る。次に、ステップ720で、第2の患者特定アルゴリズムを、OSA治療を長期にわたって順守することに対する判定閾値に基づいて個人を特定するために訓練することができる。
【0049】
以下の請求項1から29のいずれかの1つ以上からの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその任意の一部(単数または複数)を、その他の請求項1から29のいずれかの1つ以上あるいはその組み合わせからの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその任意の一部(単数または複数)と組み合わせて、本開示の1つ以上のさらなる実装形態および/または請求項を形成することができ得る。
【0050】
本開示について1つ以上の特定の実施形態または実装形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、それに多数の変更が行われ得ることを認識する。これらの実装形態およびその明確な変形それぞれは、本開示の精神および範囲内に属するものとして企図される。本開示の態様によるさらなる実装形態は、本明細書に記載された実装形態のうちのいずれかから任意の数の特徴を組み合わせ得ることも企図されている。
【0051】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年6月29日に出願された米国仮特許出願第63/045,397号の優先権および便益を主張するものであり、その開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。

図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】