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特表2023-532989食品、花、及び植物の改善された保管及び/又は輸送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】食品、花、及び植物の改善された保管及び/又は輸送
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/16 20060101AFI20230725BHJP
   A23B 9/14 20060101ALI20230725BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20230725BHJP
   A23L 29/25 20160101ALI20230725BHJP
   A23L 29/275 20160101ALI20230725BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20230725BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20230725BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20230725BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20230725BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20230725BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20230725BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20230725BHJP
   A01N 3/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A23B7/16
A23B9/14
A23L3/00 102
A23L29/25
A23L29/275
A23L29/262
A23L29/231
A23L29/256
A23L29/281
A23D9/00 518
A23L5/00 F
A01G7/06 A
A01N3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500334
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 US2021041161
(87)【国際公開番号】W WO2022011303
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,973
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522094255
【氏名又は名称】ケンブリッジ・クロップス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Crops, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブ-タレブ,ライス
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ベルシト,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンゴ-ダニエルズ,ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,レスター,チュク-イン
(72)【発明者】
【氏名】リッチモンド,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】イギット,セジン
【テーマコード(参考)】
2B022
4B021
4B026
4B035
4B041
4B169
4H011
【Fターム(参考)】
2B022AB11
2B022AB13
2B022AB15
2B022AB17
2B022AB20
2B022EA10
2B022EB05
2B022EB06
2B022EB07
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(57)【要約】
本開示は、食品、花、植物などの保管及び/又は輸送を改善するための方法及び組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送システムの効率を増加させる方法であって、前記輸送システムが、製品を輸送及び/又は保管し、前記製品が、食用タンパク質、果物、野菜、ナッツ、種子、花、植物、ペットフード、及び/又は動物飼料を含み、前記方法が、
コーティングされた製品を形成するために、コーティングされていない製品の表面の少なくとも一部を物質でコーティングすることであって、前記物質が、絹フィブロイン、キチン、アセチル化モノグリセリド、シェラック、デンプン、高フルクトーストウモロコシシロップ、マヤウバワックス、メイデリラワックス、蜜蝋、植物油、パラフィン油、エチレンジアミン四酢酸、セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、アラビアガム、大豆タンパク質、ゼイン、カゼイン、及び/又は乳清からなる群から選択されることを特徴とする、コーティングされていない製品の表面の少なくとも一部を物質でコーティングすることと、それによって、前記輸送システムの貨物容量を増加させることであって、前記輸送システムが、コーティング前の前記製品の第1の貨物容量及び前記コーティングされた製品の第2の貨物容量を有し、前記第2の貨物容量が、前記第1の貨物容量よりも大きいことを特徴とする、前記輸送システムの貨物容量を増加させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
一定期間、前記輸送システムにおいて前記コーティングされた製品を輸送及び/又は保管するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記輸送システムにおいて輸送及び/又は保管されるときに、前記コーティングされていない製品と比較して、前記コーティングされた製品の性能変数を改善するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記システムの前記貨物容量が、前記製品の重量であり、前記第2の貨物容量が、前記第1の貨物容量と比較して、少なくとも5%増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の貨物容量が、前記第1の貨物容量と比較して、少なくとも15%増加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記システムの前記貨物容量が、前記輸送システムの容積利用率であり、前記第2の貨物容量が、前記第1の貨物容量と比較して、少なくとも5%増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記製品が、収穫前にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記製品が、収穫後にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記製品が、収穫中にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記製品が、収穫機によってコーティングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記製品は、農産物が洗浄されているときにコーティングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記製品が、輸送及び/又は流通プロセス中にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記製品の前記性能変数が、以下:色、構造的完全性、呼吸速度、微生物負荷、黄変、しおれ、跳ね返り、味、臭気、温度、断熱効果、UV濾過効果、及び/又は腐敗のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記製品の黄変が、5%低減される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記製品のしおれが、5%低減される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記製品の腐敗が、5%低下される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記製品が、ホウレンソウ、ケール、ルッコラ、レタス、スプリングミックス、コリアンダー葉、ブロッコリー、ネギ、又はパセリのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
製品の運搬ストレスを試験する方法であって、
前記製品が、食用タンパク質、果物、野菜、ナッツ、種子、花、植物、ペットフード、及び/又は動物飼料であり、前記方法が、
前記製品を、少なくとも2つのほぼ等しい群である、対照群及び実験群に分割するステップと、
前記対照群にコーティングを適用しないステップと、
絹フィブロイン、キチン、アセチル化モノグリセリド、シェラック、デンプン、高フルクトーストウモロコシシロップ、マヤウバワックス、メイデリラワックス、蜜蝋、植物油、パラフィン油、エチレンジアミン四酢酸、セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、アラビアガム、大豆タンパク質、ゼイン、カゼイン、及び/又は乳清の群から選択される物質で前記実験群をコーティングするステップであって、前記コーティングが、噴霧コーティング、浸漬コーティング、又は洗浄によって前記実験群の50%超に適用される、コーティングするステップと、
前記対照群及び前記実験群を、標準的な出荷環境に曝露するステップであって、前記標準的な出荷環境が、華氏50度未満の温度で保持される、曝露するステップと、
前記対照群及び前記実験群を、設定された回数、ストレス出荷環境に曝露するステップであって、前記ストレス出荷環境が、15分~1時間の期間にわたって環境の温度を前記標準的な出荷環境の温度より約10%~40%高く上昇させることによって形成される、曝露するステップと、
前記対照群及び前記実験群を、ストレス出荷環境への各曝露後に前記標準的な出荷環境に戻すステップと、
シミュレートされた運搬実験を設定された期間継続するステップと、
前記対照群を前記実験群と比較するステップと、を含む、方法。
【請求項19】
前記設定された回数が、2~5回である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記設定された期間が、6~25日である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
製品の貯蔵寿命を試験する方法であって、
前記製品が、食用タンパク質、果物、野菜、ナッツ、種子、花、植物、ペットフード、及び/又は動物飼料であり、前記方法が、
前記製品を、少なくとも2つのほぼ等しい群である、対照群及び実験群に分割するステップと、
前記対照群にコーティングを適用しないステップと、
絹フィブロイン、キチン、アセチル化モノグリセリド、シェラック、デンプン、高フルクトーストウモロコシシロップ、マヤウバワックス、メイデリラワックス、蜜蝋、植物油、パラフィン油、エチレンジアミン四酢酸、セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、アラビアガム、大豆タンパク質、ゼイン、カゼイン、及び/又は乳清の群から選択される物質で前記実験群をコーティングするステップであって、前記コーティングが、噴霧コーティング、浸漬コーティング、又は洗浄によって前記実験群の50%超に適用される、コーティングするステップと、
前記対照群及び前記実験群を同一のサイズの容器に詰めるステップと、
前記対照群を第1の梱包容量に詰めるステップと、
前記実験群を第2の梱包容量に詰めるステップであって、前記第2の梱包容量が、前記実験群の重量を体積の増加なしに少なくとも10%増加させることに起因して、前記第1の梱包容量よりも大きい、詰めるステップと、
前記対照群及び前記実験群を、設定された期間、標準的な出荷環境に曝露するステップであって、前記標準的な出荷環境が、華氏50度未満の温度で保持される、曝露するステップと、
前記対照群を前記実験群と比較するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品、花、植物などの保管及び/又は輸送を改善するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年、収穫から消費者への輸送中に、数百万ドルの食品、花、植物などが損失を受ける。食品及び植物、特に農産物、花、及び植物の収穫後保存は、製品の脆弱な性質、並びにそれらの温度、湿度、光、大気、及び他の環境要因の変化に対する影響の受けやすさに起因して、大きな技術的課題を提示する。経済的に実現可能かつ環境に配慮した戦略において、倉庫、店舗、及びトラック内、並びに収穫から販売地点及び消費者まで食品、花、植物などを輸送する他のシステムの保管容積の最大化を可能にする方法に対する満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に記載される技術及びその利点は、以下の実施形態、態様、及び実施例を参照することにより、より良好に理解される。これらの実施例は、本技術の特定の実施形態を記載するために提供される。当業者は、本開示の全体的な教示に照らして、様々な修正及び代替的案が開発され得ることを理解するであろう。したがって、開示される特定の構成及び実施例は、単に例示することを意味するものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲の全体、及びそのあらゆる等価物により与えられる。
【0004】
本開示は、人が消費する食品(例えば、食用タンパク質、加工食品、肉、魚、貝類、農産物、野菜、果物など)、動物が消費する食品(例えば、ペットフード、動物飼料など)、花、植物、種子、ナッツなど(本明細書では「製品」と称される)の収穫後保存を改善し、それらを収穫から販売地点及び消費者まで配送する輸送システムの容量を最大化する方法及び組成物を提供する。製品は、貯蔵寿命を延長し、輸送を改善し、製品の品質及び鮮度、並びに/又は安全性を保護するコーティングによってコーティングされ得る。コーティングとしては、食用コーティング及び非食用コーティングが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、本開示は、製品を保管及び/又は輸送するシステムの容積及び/又は重量容量を増加させるための方法を提供し、製品の表面の少なくとも一部は、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、シェラック、デンプン、高フルクトーストウモロコシシロップ、マヤウバワックス(mayauba wax)、メイデリラワックス(maydelilla wax)、蜜蝋若しくは他のワックス、植物油、パラフィン油、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、アラビアガム、大豆タンパク質、ゼイン、カゼイン、並びに/又は乳清でコーティングされる。一実施形態において、システムは、トラック、ボート、飛行機、輸送コンテナ、及び/又は保管コンテナなどである。一実施形態において、システムは、冷蔵される。一実施形態において、システムは、冷蔵されず、周囲温度で製品を配送する。一実施形態において、システムは、閉鎖システムである。一実施形態において、システムは、開放システムである。
【0006】
一実施形態において、本方法は、保管及び/又は輸送システムの容積及び/又は重量容量を、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、最も少ない10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも1000%など増加させる。一実施形態において、本方法は、システムの容積の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%を製品保管に使用することを可能にする。
【0007】
一実施形態において、本方法は、製品を保管及び/又は輸送するために必要なエネルギーを、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%低減することを可能にする。一実施形態において、本方法は、輸送中の冷蔵コストを、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減することを可能にする。一実施形態において、本方法は、保管及び/又は輸送中の加湿/除湿コストを、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減することを可能にする。
【0008】
一実施形態において、本方法は、保管及び/又は輸送中の包装コストを、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減することを可能にする。
【0009】
一実施形態において、本方法は、保管及び/又は輸送中の空気、CO、N、硫化水素、蒸気、及び他のガスコストを、当該技術分野における標準値と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低減することを可能にする。
【0010】
一実施形態において、ホウレンソウを輸送するトラック又はコンテナの標準的な容量は、3分の1の満載である。一実施形態において、本方法は、トラック又はコンテナがホウレンソウで少なくとも2/3の満載などになるか、又は100%満載されることを可能にする。一実施形態において、「ベビーリーフ」農産物(ホウレンソウ、ケールなど)を輸送するトラック又はコンテナの標準は、約80%未満の容量である。一実施形態において、ブロッコリーのトラック又はコンテナの容量の標準は、約40~60%の容量(ブロッコリーが50%、残りは氷スラリー)であり、ネギは、ネギが約25~50%、残りは氷で出荷され、コリアンダー葉は、コリアンダー葉が20~40%、残りは氷で出荷される。一実施形態において、本方法は、氷の量を低減することを可能にする。一実施形態において、本開示は、標準的な容量と比較して、トラック又はコンテナ容量(例えば、容積利用率)を、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、及びそれらの間のパーセンテージの分増加させることを可能にする方法を提供する。一実施形態において、本開示の方法は、氷なしか又は氷の量を低減して輸送することを可能にする。一実施形態において、本開示は、標準的な氷のレベルと比較して、輸送に必要とされる氷の量を、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、及びそれらの間パーセンテージの分低減させることを可能にする方法を提供する。一実施形態において、本開示は、列車、航空機、及び/又は海上による輸送を改善する方法を提供する。
【0011】
一実施形態において、農産物は、植物である。一実施形態において、植物は、野菜又はハーブである。一実施形態において、野菜又はハーブは、ルッコラ、アスパラガス、バジル、ビーツ、ブロッコリー、メキャベツ、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、チャード、チコリー、チャイブ、コリアンダー、トウモロコシ、ディル、エンダイブ、ニンニク、ケール、ラベンダー、リーク、レタス、ミント、キノコ、オレガノ、パセリ、パースニップ、エンドウ豆、ピーナッツ、ローズマリー、ホウレンソウ、大豆、セイヨウカボチャ、タイム、カブ、及びヤムからなる群から選択される。他の植物の例は、本明細書の他の場所に提供される。
【0012】
一実施形態において、農産物は、果物である。一実施形態において、果物は、アルファルファ、リンゴ、アプリコット、アボカド、大麦、豆、ベリー、ブルーベリー、バナナ、豆、柑橘類、キュウリ、インシチチアスモモ、ナス、ブドウ、グレープフルーツ、イチジク、キウイ、マンゴ、メロン、ネクタリン、オレンジ、パパイヤ、モモ、ナシ、ピーマン、パイナップル、プラム、カボチャ、ラズベリー、米、ライ麦、モロコシ、イチゴ、ヒマワリ、トマト、小麦、及びズッキーニなどからなる群から選択される。他の果物の例は、本明細書の他の場所に提供される。
【0013】
一実施形態において、花は、バラ、カーネーション、ラン、チューリップ、スイセン、ラッパズイセン、アンスリウム、ミモザ、グラジオラス、ユリ、シダ、フリージアから選択される。一実施形態において、花は、シロイヌナズナ、セントポーリア、ユリズイセン、アネモネ、エゾギク、ツツジ、ベゴニア、ツリガネソウ、ブーゲンビリア、キンポウゲ、サボテン、ツバキ、カーネーション、キク(chrysanthemum)、センニンソウ、ケイトウ、オダマキ、コスモス、シクラメン、ラッパズイセン、ダリア、ヒナギク、ヒノキ、レンギョウ、フリージア、クチナシ、グラジオラス、ハイビスカス、タチアオイ、アジサイ、アイリス、ライラック、ユリ、キク(mum)、シャクヤク、テンジクアオイ、ペチュニア、ポインセチア、ケシ、バラ、セントポーリア、キンギョソウ、スターチス、ヒマワリ、チューリップ、ラン、カメラウキウム、及びヒャクニチソウから選択される。他の花の例は、本明細書の他の場所に提供される。
【0014】
一実施形態において、本方法は、輸送前及び/又は輸送中に、製品の表面を、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他の(食用)コーティングと接触させることを含む。一実施形態において、製品の表面の少なくともいくつかは、絹フィブロイン及び/又は任意の他の(食用)コーティングでコーティングされる。一実施形態において、表面の少なくとも少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%は、絹フィブロイン及び/又は任意の他の(食用)コーティングでコーティングされる。一実施形態において、表面の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%は、1つ以上のモノ-又はジアシルグリセリドでコーティングされる。
【0015】
一実施形態において、コーティングは、コーティングされた製品の温度を低下させる。一実施形態において、コーティングは、コーティングされた製品の呼吸速度を低下させる。一実施形態において、温度及び/又は呼吸速度は、コーティングされていない製品の温度及び/又は呼吸速度と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する。したがって、本開示は、製品の温度及び/又は呼吸速度を低下させる方法を提供し、本方法は、絹タンパク質及び/又は任意の他の(食用)コーティングでそれをコーティングすることを含む。一実施形態において、製品の温度及び/又は呼吸速度を低下させる方法は、輸送前及び/又は輸送中に、製品の表面を、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他の(食用)コーティングと接触させることを含む。別の実施形態において、本方法は、収穫された植物部分における水の損失を最小限に抑えるために実行される。水の損失又は発散は、収穫された植物部分から環境への水蒸気の移動を指す。
【0016】
一実施形態において、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他のコーティング(食用コーティングを含む)は、断熱効果を提供する。例えば、断熱効果は、コーティングされた製品が、コーティングされていない製品と比較して、内部温度上昇を低減することを可能にし得る。一実施形態において、断熱効果は、コーティングされていない製品の断熱効果と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%増加される。したがって、本開示は、製品の断熱を改善する方法を提供し、本方法は、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他の(食用)コーティングでそれをコーティングすることを含む。
【0017】
一実施形態において、絹コーティング及び/又は他の(食用)コーティングは、UV濾過効果を提供する。一実施形態において、UVフィルタリング効果は、コーティングされていない製品の断熱効果と比較して、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%増加される。したがって、本開示は、製品のUV濾過を改善する方法を提供し、本方法は、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他の(食用)コーティングでそれをコーティングすることを含む。
【0018】
一実施形態において、表面は、収穫前にコーティングされる。一実施形態において、表面は、収穫機によって収穫中にコーティングされる。一実施形態において、表面は、収穫から(すなわち、収穫の前又は後)少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも1時間、少なくとも12時間、少なくとも48時間、又は少なくとも72時間以内にコーティングされる。一実施形態において、表面は、収穫後であるが輸送前にコーティングされる。一実施形態において、表面は、輸送から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、48時間、又は72時間以内にコーティングされる。一実施形態において、表面は、輸送前、輸送中、及び/又は輸送後にコーティングされる。
【0019】
一実施形態において、目視検査(例えば、黄変、しおれ、腐敗、色)、構造的完全性、微生物負荷(例えば、微生物成長)、跳ね返り(例えば、特定の製品(例えば、葉物類)が一旦、再水和によって洗浄されると、しおれの悪影響から回復する能力、それは、製品が損傷を受けたかどうかを示す上での支援を示す)、呼吸速度、味、温度、断熱効果、UV濾過効果、及び/又は臭気のうちの1つ以上から選択されるコーティングされたアイテムの測定基準。一実施形態において、コーティングされたアイテムの黄変は、コーティングされていないアイテムと比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%低下する。一実施形態において、コーティングされたアイテムのしおれは、コーティングされていないアイテムと比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%低下する。一実施形態において、コーティングされたアイテムの腐敗は、コーティングされていないアイテムと比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%低下する。
【0020】
一実施形態において、コーティングは、保管中又は類似の環境における製品の貯蔵寿命を延長し得る。いくつかの実施形態において、本発明の技術のコーティングは、コーティングされていない製品と比較して、少なくとも2パーセント、少なくとも3パーセント、少なくとも4パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、及び最も少ない20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも50%、少なくとも75%、及び少なくとも100パーセント、又は少なくともその間の任意の数だけ、製品の貯蔵寿命を延長し得る。一実施形態において、コーティングは、貯蔵寿命を2~3倍延長する。更なる実施形態において、コーティングは、製品の貯蔵寿命を延長することによって、製品処理の最適化を可能にし得る。例えば、製品は、後で収穫される類似の製品のために待機するように収穫され、コーティングされ、保管されて、効率的な処理を可能にし得る。これによって、処理時間、処理に必要な人手、処理コストを低減し、他の同様の効率性が向上し得る。
【0021】
一実施形態において、コーティングは、製品のより高い保管及び/又は輸送温度を可能にし得る。例えば、製品が通常、華氏約40度で冷蔵されている場合、華氏約40~70度の温度で保持することができる。更なる実施形態において、コーティングは、製品が短い熱スパイクに耐えることを可能にすることができ、例えば、通常華氏約40度で保管される製品については、最大華氏100度まで耐えることを可能にする。コーティングは、冷蔵コストの低減を可能にする。コーティングはまた、製品が予測不可能な輸送及び/又は保管環境でより容易に取り扱われることを可能にする。
【0022】
一実施形態において、絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/又は他の(食用)コーティングは、粉末として、又は粉末絹フィブロイン、キチン、モノ-及びジアシルグリセリド、並びに/若しくは他の(食用)コーティングが溶媒内で再構成されている溶液として、製品に添加される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公開のコピーは、要求及び必要な料金の支払いに応じて、米国特許商標局によって提供される。
【0024】
図1】試験製品の特性を分類するための方法としてしおれの深刻さを示す。
図2】試験製品の特性を分類するための方法として黄変を示す。
図3】試験製品の特性を分類するための方法として腐敗を示す。
図4】トートの葉物類の異なる層の図及びそれらの評価方法を示す。
図5】1日目の運搬研究における製品を示す。
図6】6日目の運搬研究における、上層が曝露されている製品を示す(絹でのコーティングは、絹フィブロインで処置された製品を表す)。
図7】6日目の運搬研究における、トートの中間層が曝露されている製品を示す(絹でのコーティングは、絹で処置された製品を表す)。
図8】異なる処置方法について1又は2の黄変スコアを有する葉のパーセンテージの定量化を示す。
図9】異なる処置方法について1又は2のしおれスコアを有する葉のパーセンテージの定量化を示す。
図10】異なる処置方法について1の腐敗スコアを有する葉のパーセンテージの定量化を示す。
図11】貯蔵寿命研究の1日目のケールの異なる群を示す。
図12】貯蔵寿命研究の9日目のケールの異なる群を示す。
図13】貯蔵寿命研究の28日目のケールの異なる群を示す。
図14】経時的な貯蔵寿命研究における葉の黄変スコアの定量化を示す。
図15】経時的な貯蔵寿命研究における葉の黄変スコアの定量化を示す。
図16】経時的な貯蔵寿命研究における葉の黄変スコアの定量化を示す。
図17】呼吸データを収集するために使用される呼吸試験設定を示す。
図18】呼吸データを収集するために使用される第2の呼吸試験設定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、食品、花、植物などの輸送を改善するための方法及び組成物に関する。
【0026】
定義
本開示をより容易に理解するために、特定の用語はまず以下に定義される。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体を通して記載される。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈がより明確にそうではないと指示しない限り、複数の指示物を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、別途具体的に記述されないか又は文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は包括的であり、「又は」及び「及び」の両方を網羅すると理解される。
【0029】
「及び/又は」という用語は、本明細書で使用される場合、他方を伴う、又は伴わない2つの特定の特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として理解されるべきである。したがって、本明細書において「A及び/又はB」などの語句で使用される場合、「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB、A(単独)、並びにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される場合、「及び/又は」という用語は、以下の実施形態の各々を包含することが意図される:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)。
【0030】
本明細書で使用される場合、「例えば」及び「すなわち」という用語は、限定が意図されることなく単に例として使用されるが、本明細書で明示的に挙げられる項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0031】
「食用コーティング」という用語は、食品上の保護コーティングとして形成され、それらの製品と共に消費され得る食用材料の薄層を指す。これらの層は、通常、構造マトリックスによって形成されたフィルム形成溶液中に製品を含浸することによって、食品表面上に液体形態で適用される。本開示の食用及び非食用コーティングは、製品からの水分、酸素、二酸化炭素、及び溶質の移動に対するバリアを提供し得る。それらは、水分の損失を低減するだけでなく、熟成のプロセスを遅延させ、微生物の変質を防止し得る。いくつかの(食用)コーティングは、多糖類、タンパク質、脂質、又はこれらの化合物の組み合わせから構成され得る。最も多くの場合、3つのカテゴリーの各々の化合物を組み合わせる必要がある。材料は、コーティングされた製品の構造的、機械的、又は取り扱い特性を改善するため、並びに品質、風味、色、又は栄養特性を改善するために添加され得る。これらは、可塑剤を含み得る(コーティングの強度及び柔軟性を増加させるが、水蒸気及びガスに対するコーティングの透過性を増加させることもできる。可塑剤の例としては、ポリオール(例えば、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール)、スクロース、スクロース脂肪酸エステル、及びアセチル化モノグリセリドが挙げられる。
【0032】
「以上」、「少なくとも」、「超」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又は記述の値超を含むが、これらに限定されないことが理解される。また、その間の任意のより大きな数又は分数も含まれる。
【0033】
逆に、「以下」という用語は、記述された値未満の各値を含む。一実施形態において、「100以下」は、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、及び0を含む。また、その間の任意のより小さい数又は分数も含まれる。
【0034】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも第2の」などの用語は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、又は150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000以上を含むが、これらに限定されないことが理解される。また、その間の任意のより大きな数又は分数も含まれる。
【0035】
本明細書全体を通して、単語「含む(comprising)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記述された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の包含を示唆するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の除外を示唆しないことが理解されるであろう。本明細書において実施形態が言語「含む」が記載される場合、それ以外の場合は、「からなる」及び/又は「から本質的になる」という用語が記載される類似の実施形態もまた提供されることを理解されたい。「からなる」という用語は、特許請求の範囲において特定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。一実施形態において、「からなる」は、「請求項を、それと通常関連付けられる不純物を除いて列挙されるもの以外の材料の包含に終結する」と定義される。列挙された要素又はステップ「からなる」請求項に依存する請求項は、要素又はステップを追加することはできない。「から本質的になる」又は「本質的になる」という用語は、同様に、米国特許法に定められた意味を有し、用語は、オープンエンドであり、列挙されるものの基本的又は新規の特徴が列挙されるものよりも多くの存在によって変化しない限り、列挙されるものよりも多くの存在を可能にするが、先行技術の実施形態を除外する。
【0036】
本明細書で使用される場合、別途具体的に記述されないか又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値又は組成に対する許容誤差範囲内にある値又は組成を指し、それは、その値又は組成物がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界に一部依存する。一実施形態において、「約」又は「およそ」は、当該技術分野における慣例に従って1つ又は2つ以上の標準偏差内を意味し得る。「約」又は「およそ」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、記述された値よりも10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、又は0.001%超又は未満内であると理解され得る。一実施形態において、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を含み得る。更に、特に生物学系又はプロセスに関して、この用語は、値の最大1桁又は最大5倍を意味し得る。本開示において特定の値又は組成が提供されるとき、別途記述されない限り、「約」又は「およそ」の意味は、その特定の値又は組成について許容誤差範囲内であると考えるべきである。
【0037】
本明細書に記載されるように、「植物」という用語は、木、ハーブ、茂み、草、及びつるを含むがこれらに限定されない、植物界に属する任意の生体を指す。この用語は、単子葉類及び双子葉類の両方を指す。例示的な植物としては、トウモロコシ、ジャガイモ、バラ、リンゴの木、ヒマワリ、小麦、米、バナナ、トマト、カボチャ、セイヨウカボチャ、レタス、キャベツ、オークの木、グズマニア、ゼラニウム、ハイビスカス、クレマティス、ポインセチア、シュガルメイエ(sugarmaye)、タロ、アオウキクサ、松の木、ケンタッキーブルーグラス、シバ、ココナッツの木、アブラナ属葉野菜(例えば、ブロッコリー、ラピニ、メキャベツ、キャベツ、白菜(例えば、ボクチョイ及びナッパ)、カリフラワー、ヤマワサビ、コラード、ケール、コールラビ、マスタードグリーン、レープグリーン、及び他のアブラナ属葉野菜作物)、球根野菜(例えば、ニンニック、リーク、タマネギ(乾燥球根、ネギ、及びウェルチ)、エシャロット、及び他の球根野菜作物)、柑橘果物(例えば、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、柑橘類ハイブリッド、ポメロ、及び他の柑橘果物作物)、ウリ科野菜(例えば、キュウリ、シトロンメロン、食用ゴーヤ、小型キュウリ、マスクメロン(メロンのハイブリッド及び/又は栽培品種を含む)、スイカ、メイタロープ(maytaloupe)、及び他のウリ科野菜作物)、果物野菜(ナス、ホオヅキ、ペピーノ、ピーマン、トマト、トマティーヨ、及び他の果物野菜作物を含む)、ブドウ、葉野菜(例えば、ロメイン)、根/塊茎及び球茎野菜(例えば、ジャガイモ)、並びに木の実(例えば、アーモンド、ピーメイ(pemay)、ピスタチオ、及びクルミ)、ベリー(例えば、トマト、バーベリー、カラント、エルダーベリー、グーズベリー、スイカズラ、ポドフィルム、ナニーベリー、オレゴンブドウ、シーバックソーン、ハックベリー、クマコケモモ、リンゴベリー、イチゴ、ハマベブドウ、ラックベリー、クラウドベリー、ローガンベリー、ラズベリー、サーモンベリー、シンブルベリー、及びワインベリー)、穀物作物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、大麦、モロコシ、ミレット、オート麦、ライ麦、ライ小麦、ソバ、フォニオ、及びキヌア)、ナシ状果物(例えば、リンゴ、ナシ)、核果物(例えば、コーヒー、ナツメ、マンゴ、オリーブ、ココナッツ、アブラヤシ、ピスタチオ、アーモンド、アプリコット、サクランボ、ダムソン、ネクタリン、モモ、及びプラム)、ツル植物(例えば、テーブルブドウ及びワインブドウ)、繊維作物(例えば、ヘンプ及び綿)、又は観葉植物などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、植物は、食用植物、又は食用植物部分である。本実施形態によれば、食用植物部分は、アルファルファ、リンゴ、アプリコット、ルッコラ、アスパラガス、アボカド、バナナ、ブルーベリー、大麦、バジル、豆、ビーツ、ベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、メキャベツ、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、チャード、チコリー、チャイブ、柑橘類、トウモロコシ、コリアンダー、キュウリ、ダムソン、ディル、ナス、エンダイブ、イチジク、ニンニク、ブドウ、グレープフルーツ、ケール、キウイ、ラベンダー、リーク、レタス、マンゴ、マヨラ(mayola)、メロン、ミント、キノコ、ネクタリン、オレガノ、オレンジ、タマネギ、パパイヤ、パセリ、パースニップ、エンドウ豆、モモ、ピーナッツ、ナシ、コショウ、パイナップル、プラム、ジャガイモ、カボチャ、ラディッシュ、ラズベリー、米、ローズマリー、ライ麦、サツマイモ、モロコシ、大豆、ホウレンソウ、セイヨウカボチャ、イチゴ、セイヨウカボチャ、ヒマワリ、タイム、カブ、トマト、小麦、ヤム、及びズッキーニからなる群から選択される。植物部分は、花、果物、野菜、及びハーブからなる群から選択され得る。
【0038】
更に、以下で使用される場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」、又は類似の用語は、更なる可能性を制限することなく、任意選択的な特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意選択的な特徴であり、いかなる方式であっても特許請求の範囲の範囲を制限することは意図されない。本開示は、当業者が認識するように、代替的特徴を使用することによって行われ得る。同様に、「本開示の実施形態において」又は類似の表現によって導入される特徴は、本開示の更なる実施形態に関していかなる制限もなく、本開示の範囲に関していかなる制限もなく、かつそのような方式で導入される特徴を本開示の他の任意選択的又は非任意選択的な特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限もない、任意選択的な特徴であることが意図される。
【0039】
「貯蔵寿命」という用語は、使用、消費、又は販売に不適となることなく製品が保管され得る期間を意味する。したがって、貯蔵寿命は、製品が期待されるか又は指定された条件下で保管され得る最大時間である。「貯蔵寿命を延長する」という用語は、両方の製品が同一の又は実質的に同一の条件下で処理及び保管される場合に、コーティングが、コーティングされていない製品と比較して貯蔵寿命を延長することを意味する。いくつかの実施形態において、本発明の技術のコーティングは、コーティングされていない製品と比較して、少なくとも2パーセント、少なくとも3パーセント、少なくとも4パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、及び最も少ない20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも100パーセント、又は少なくともその間の任意の数だけ、製品の貯蔵寿命を延長し得る。一実施形態において、コーティングは、貯蔵寿命を2~3倍延長する。
【0040】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、又は整数範囲は、別途示されない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)を含むと理解されるべきである。
【0041】
本明細書で使用される単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(Systeme International de Unites(SI))で承認された形態を使用して提供される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0042】
説明
農産物業者/出荷業者及び処理業者は、効率の高いコールドチェーンにもかかわらず、サプライチェーン全体を通して30%を超える製品損失を理解し得る。一部の企業では、変質を最小限に抑えるために、葉物類(ホウレンソウ、ルッコラ、ベビーケールなど)を栽培地域から低密度で処理施設に出荷する。これによって、貨物容量の利用率が低くなる。本開示は、微生物成長、酸化、水分損失、及び/又はガス交換という変質の主要なメカニズムと戦うことによって貯蔵寿命を延長する天然及び食用食品コーティングを通じて、この問題を緩和するための手段を提供する。一実施形態において、本開示は、処理後及び/又は梱包前の解決策を実施する。一実施形態において、本開示は、サプライチェーン効率を推進するうえでのCambridge Cropsの製品(例えば、絹フィブロインコーティング)が及ぼす影響:収縮の低減、貨物容量利用率の増加、道路上のトラックの数の低減、コスト及び炭素排出の低減、並びに他の環境利点を提供する。一実施形態において、コーティングは、収穫直後(例えば、洗浄サイクル中の収穫機によって(例えば、任意の人間、又は収穫機、コンバイン、脱穀機、剥離洗浄機、剥離積込機、ツリーシェーカー、摘採機、回転装置/掘起機、籾摺機、皮はぎ機、コンベヤー、オーガ、刈り取り結束機、スワザーなどを含むが、これらに限定されない、製品の収穫を支援し得る機械)に適用される。一実施形態において、コーティングは、収穫前に適用される。一実施形態において、コーティングは、農産物が洗浄された後に適用される。一実施形態において、コーティングは、洗浄プロセス中(例えば、トリプル洗浄サイクルにおける第3の洗浄中)に適用される。一実施形態において、コーティングは、製品を包装に入れる前に適用される。一実施形態において、コーティングは、製品が流通センターに出荷された後に適用される。
【0043】
一実施形態において、輸送トート(transport totes、輸送用)は、100%の利用率まで葉類が詰められる。一実施形態において、葉類を短い熱スパイクに曝露して、6日間にわたってフィールド内の不均質な冷却、並びにコールドチェーン切断をシミュレートする。
【0044】
一実施形態において、測定基準は、目視検査(例えば、黄変、しおれ、腐敗、色)、構造的完全性、微生物負荷(例えば、微生物成長)、跳ね返り(例えば、特定の製品(例えば、葉物類)が一旦、再水和によって洗浄されると、しおれの悪影響から回復する能力、それは、製品が損傷を受けたかどうかを示す上での支援を示す)、呼吸速度、味、温度、断熱効果、UV濾過効果、及び/又は臭気のうちの1つ以上から選択される。一実施形態において、本開示は、従来の出荷方法よりも長い場合がある代替的出荷方法を提供する方法を提供する。代替的方法は、コーティングの使用によって可能となり、コーティングは貯蔵寿命を延長し、かつ/又は製品の分解を限定する。
【0045】
したがって、一実施形態において、製品は、1つ以上のコーティング剤と接触する。一実施形態において、コーティング剤は、パルス光処置、高水圧、ガンマ線照射、オゾン、UV光、調整雰囲気包装と組み合わされ、コーティング剤と相加的又は相乗的に働き得る。一実施形態において、コーティング剤は、食用である。食用コーティング及び他の植物コーティングは、異なる構成材料の相補的な機能特性を利用するか、又はそれぞれの欠点を克服するために、一般に、多糖及びタンパク質を含むヒドロコロイド、脂質、並びに異なるヒドロコロイド又はヒドロコロイドと脂質との組み合わせからなる複合材料の3つのカテゴリーに分類され得る、異なる材料から製作され得る。
【0046】
一実施形態において、製品は、絹タンパク質と接触する(例えば、コーティングされる)。一実施形態において、製品は、保管及び/又は輸送を改善するために、以下のコーティング剤のうちの1つ以上と接触する(例えば、それでコーティングされ、それと混合される):高フルクトーストウモロコシシロップ、デンプン、アセチル化グリセリド(例えば、モノ-及び/又はジ-アシルグリセリド)、モノアシルグリセリド(すなわち、グリセロールのモノグリセリド又は脂肪酸モノエステル)の混合物、主に2,3-ジヒドロキシプロピルパルミテート、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルパルミテート。一実施形態において、コーティングは、脂質、樹脂、多糖類、タンパク質(例えば、絹、大豆、乳清、米糠抽出物、卵アルブミン、及び小麦タンパク質)、ポリマー、複合物、二重層組成物、可塑剤(例えば、低分子の8つのポリオール)、抗発泡剤(アルキルポリアクリレート、脂肪酸、脂肪アルコール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、シリコーン系発泡制御剤、及びそれらの混合物から選択され得る)、界面活性剤(例えば、レシチン及びレシチン誘導体、アセチル化モノグリセリド(例えば、モノ-及び/又はジ-アシルグリセリド)、エチレングリコール、モノステアレート、グリセロールモノステアレート、及びソルビタン脂肪酸エステル(Tweens))、並びに乳化剤のうちの1つ以上から選択される。「シリコーン系発泡制御剤」という用語は、シリコン骨格を有するポリマーを指す。一実施形態において、発泡制御剤は、シリコーン系発泡制御剤である。好適なシリコーン系発泡制御剤としては、ポリジメチルシロキサン流体及びポリジメチルシロキサン処置シリカが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、コーティングは、1つ以上のフィルム形成剤と低分子量分子との混合物である。本明細書で使用される場合、「グリセリド」という用語は、グリセロールの-OH基のうちの1つ、2つ、又は3つがエステル化されているエステルを指す。モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドは、本明細書に記載の脂肪酸のいずれかのエステルを含み得る。好適な脂肪酸の例は、飽和又は不飽和であり、天然源(例えば、ヤシ油、ココナッツ油、ババス油、紅花油、トール油、ヒマシ油、牛脂及び魚油、グリース、並びにそれらの混合物)から得られ得るか、又は合成的に調製され得る。本発明で使用するのに好適な脂肪酸の例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキド酸、及びベヘン酸が挙げられる。一実施形態において、コーティングは、リストされた薬剤のいずれかの混合物を含む。
【0047】
一実施形態において、炭水化物材料は、セルロース、デンプン、ペクチン、アルギネート、カラギーナン、ファーセレラン、キトサン、アラビアガム、ガムガッチ、カラヤゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ゲランガム、トラガカントガム、ワックス(蜜蝋、パラフィン及びポリエチレンワックス、並びに他の石油系製品)、樹脂(シェラック、ウッドロジン、ベンゾフラン)から選択される。一実施形態において、タンパク質材料は、絹タンパク質、大豆タンパク質、ゼイン(トウモロコシ)、カゼイン、乳清、小麦グルテン、米糠抽出物、卵アルブミン、及びピーナッツタンパク質から選択される。
【0048】
一実施形態において、(食用)コーティングは、アロエベラゲル、バジル種子粘液、アラビアガム、真菌キトサン、ゲル状、キトサン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸、キトサン塩酸塩、キャッサバデンプン(デンプンナノ結晶によって強化され得る)、キダチアロエゲル、フコイダン、マルトデキストリン、乳清タンパク質単離物、ナノセルロース、ペクチン、トウモロコシ粉、ココアの葉及びさやのエタノール抽出物、コーヒーの葉及び殻、ローカストビーンガム、ゴマタンパク質、乳清タンパク質ナノフィブリル、サツマイモデンプン、トランスグルタミナーゼ、クルミ粉タンパク質、並びにそれらの混合物から選択される。一実施形態において、これらの化合物のうちの1つ以上が、絹フィブロインタンパク質と組み合わされる。
【0049】
一実施形態において、コーティングは、以下のうちの1つ以上に影響を及ぼす:製品(例えば、果物、野菜)の熟成の遅延、色の変化の遅延、水の損失の低減、腐敗の低減、外観の改善、冷却及び/又は機械的傷害の低減、並びに照り又は光沢の追加。一実施形態において、熟成は、色、風味、及び質感の変化(例えば、ソフト化)を含むプロセスである。一実施形態において、コーティングは、病原体(例えば、ナチュラルシール(NS)、NS+US7、NS+イマザリ、シェラック+イマザリー)への天然アンタゴニストを担持する。一実施形態において、本開示は、着色剤又は芳香添加剤、抗菌剤、風味剤(例えば、バニラエッセンス)、栄養補助食品、及び抗酸化剤などの他の有用な成分の担体として使用され得るコーティングを提供する。また、栄養補助剤又は免疫応答増強剤などの成分を添加して、コーティングに更なる特性を提供することができる。栄養補助剤は、典型的には、少なくとも1つのプロバイオティクスを含み、その例としては、乳酸菌、カゼイ乳酸菌、及び乳酸ビフィドバクテリウムが挙げられる。免疫応答増強剤の例としては、酵母グルコ多糖が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの追加の成分は、コーティング溶液に組み込まれて、製品の品質、安定性、及び安全性を更に改善させる。
【0050】
一実施形態において、製品は、クリマクテリック型果物である。一実施形態において、製品は、非クリマクテリック型果物である。クリマクテリック型果物は収穫後に熟し続けるのに対し、非クリマクテリック型果物は熟さない。クリマクテリック型農産物は、典型的には、迅速な出荷を必要とする。
【0051】
一実施形態において、製品は、温度制御に更に曝露される。一実施形態において、温度制御が使用されるのは、それが果物の呼吸の速度に影響を与え得るからである。一般に、気温が高くなると果物及び野菜の呼吸速度が増加し、気温が低くなると低下する。
【0052】
一実施形態において、製品は、制御雰囲気保管及び/又は調整雰囲気包装に曝露される。一実施形態において、これらの方法は、本開示のコーティングのうちの1つ以上と組み合わされる。
【0053】
一実施形態において、本開示の絹組成物は、天然及び食用絹コーティングを含み、これによって、腐敗性商品の貯蔵寿命が延長され、エネルギー及びコスト集約的なコールドチェーンへの依存が低下され得る。本開示の絹コーティングは、無臭、低コスト、食用、堆肥化可能、及び生分解性であり得る。絹フィブロインは、蚕、クモ、又は他の昆虫から産生され、抽出され得る構造タンパク質である。それ以外の場合も合成的に生成され得る。絹フィブロインは、限定されないが、Antheraea mylitta、Araneus bicentenarius、Araneus ventricosus、Bombyx mori、Bombyx mandarins、Galleria mellonella、Nephila clavipes、Nephila madagascariensis、及びTetragnatha versicolorなどの種によって天然に産生される。絹フィブロインの独自の特性は、親水性スペーサーによって分離された疎水性ブロックからなるその構造に由来する。その天然状態では、絹フィブロインは、非晶質領域によって交互に秩序の高い結晶領域によって形成されるベータ-シートに組織化される。この独自の構造は、絹フィブロイン系材料に高いレベルの強度及び靭性をもたらす。絹フィブロイン溶液が処理され得る幅広い形態によって、組織工学のための足場、固定のための骨ねじ、及び療法的送達のための薬物デポを含む、いくつかのハイテク用途にとって魅力的になる。いくつかの実施形態において、絹組成物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2020-0178576A1号及び米国特許出願第17/230,822号に記載されている通りである。絹フィブロインは、味沢法を通じて、又は水及びカオトロピック塩を含む塩を使用する他の方法を通じて、絹セリシン及びタンパク質コートから単離され得る。いくつかの実施形態において、絹フィブロインは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Marelli,B.,Brenckle,M.,Kaplan,D.et al.Silk Fibroin as Edible Coating for Perishable Food Preservation. Sci Rep 6,25263(2016)、https://doi.org/10.1038/srep25263に記載されている方法に従って調製され得る。
【0054】
一実施形態において、絹フィブロインは、乾燥粉末であり得る。いくつかの更なる実施形態において、絹フィブロインは、液体形態であり得る。いくつかの実施形態において、溶液は、溶媒と混合された絹フィブロイン粉末を含み得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、液体であり得る。いくつかの更なる実施形態において、溶媒は、6.9未満のpHを有する酸であり得る。代替的に、溶媒は、アルコール又は水であり得る。他の実施形態において、溶媒は、酢酸であり得る。いくつかの実施形態において、絹フィブロイン粉末は、添加剤を含有する混合物中にあり得る。いくつかの代替的な実施形態において、液体溶媒は、添加剤を含有し得る。いくつかの実施形態において、絹フィブロイン粉末混合物及び液体溶媒の両方は、添加剤を含有し得る。いくつかの代替的な実施形態において、絹フィブロインは、溶液に混合される前に添加剤と共に乳化され得る。一実施形態において、液体絹フィブロインは、溶液に混合される前に添加剤と混合又は乾燥ブレンドされ得る。いくつかの実施形態において、添加剤は、糖、可塑剤、又は架橋剤のうちの少なくとも1つであり得る。一実施形態において、糖添加剤は、糖-オール、ポリ-オール、又は吸湿性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)であり得る。他の例において、糖添加剤が架橋剤である場合、架橋剤は、光反応性であり得る。具体的には、架橋剤は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、リシルオキシダーゼ、スベリン酸ジスクシンイミジル、グルタル酸ジスクシンイミジル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、又はアリールアジドのうちの1つ以上であり得る。いくつかの代替的な実施形態において、添加剤としては、細菌、金属、酵素、又は生物学的製剤のうちの1つ以上が挙げられ得る。一実施形態において、金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属のうちの1つ以上が挙げられ得る。一実施形態において、酵素としては、エレプシンマルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼ、ジサッカリダーゼ、舌リパーゼ、リゾチーム、唾液アミラーゼ、ペプシン、胃リパーゼ、他のリパーゼ、塩酸、内因子、ムチン、ガストリン、トリプシノーゲン、導管細胞、カルボキシペプチダーゼ、エラスターゼなどが挙げられ得る。いくつかの他の代替的な実施形態において、添加剤は、着色剤、キレート剤、リガンド、抗菌剤、充填剤、香料、又は風味剤のうちの少なくとも1つであり得る。一実施形態において、着色剤は、アルラレッド、ポンソー3R、アマランス、エリスロシン、インジゴチン、ライトグリーンSF、ナフトールイエロー、オレンジ1、キノリンイエロー、タルトラジン、E1スーツ(例えば、E100、E161bなど)、アントシアニン、ベタシアニン、カロテノイド、又はフェノール類であり得る。他の例において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランスフェリン、又はデスフェリキソキサミンであり得る。他の例において、微生物は、酢酸、安息香酸、ナタマイシン、ニシン、ナイトレート、亜硝酸塩、プロピオン酸、ソルビン酸、亜硫酸塩、又は二酸化硫黄であり得る。他の例において、充填剤は、セルロースであり得る。他の代替的な実施形態において、添加剤は、ビタミン、栄養素、抗酸化物質、及びタンパク質のうちの少なくとも1つであり得る。一実施形態において、タンパク質は、ペプチド、アミノ酸(例えば、翻訳後アミノ酸)、又は合成アミノ酸であり得る。栄養素は、鉱物、タンパク質、炭水化物、脂肪、Q10、グルタチオン、リチウム、プロバイオティクス、グリシン、DHA、フラボノイドなどとして定義され得る。抗酸化物質としては、ビタミンC及びE、セレン、カロテノイド、チオール、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、尿酸、並びにユビキノールが挙げられ得る。いくつかの更なる代替的な実施形態において、添加剤は、緑茶抽出物、ローズマリー抽出物、フェノール系抗酸化物質、カテキン、アセロラ、トコフェロール、カモミール抽出物、malphigia emarginata、チャノキ、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンガラート、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK、並びに/又はビタミンCのうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの実施形態において、添加剤は、促進剤又は賦形剤と混合され得る。一実施形態において、添加剤は、ポリエチレングリコール又はキシリトールと混合され得る。いくつかの更なる実施形態において、添加剤は、促進剤又は賦形剤と乳化され、絹フィブロイン溶液に混合され得る。
【0055】
いくつかの更なる実施形態において、溶液は、噴霧コーティングを介して製品上に堆積され得る。代替的に、溶液は、浸漬コーティングを介して製品上に堆積され得る。いくつかの実施形態において、絹は、浸水、コーティング(例えば、ドクターブレード、表面コーティング)、洗浄、錠剤コーティング、及び/又は積層によって製品に適用される。いくつかの他の実施形態において、絹は、噴霧コーティング、カーテンコーティング、又はスロットコーティングによって製品に適用される。いくつかの実施形態において、絹フィブロインは、堆積の後又は前にアニールされない場合がある。いくつかの更なる実施形態において、製品は、絹フィブロインの複数の層を含み得る。一実施形態において、製品は、絹フィブロイン溶液で噴霧され、乾燥し、次いで再度噴霧され得る。これは、厚さ及び追加の層を追加するために何度でも起こり得る。いくつかの更なる実施形態において、製品は、複数の層を含んでもよく、各層が機能を果たす。一実施形態において、製品は、絹フィブロインでコーティングされ得る。次いで、絹フィブロインでコーティングされた製品は、水が外部層に浸透して内部絹フィブロイン層に到達しないように、疎水性又は水密性である別のコーティングによってそれ自体がコーティングされ得る。いくつかの更なる実施形態において、錠剤コーティングが利用されてもよく、絹フィブロインは、工業的に関連性のあるドラム内にある間にコーティングされる。錠剤コーティング、並びにフィルムコーティングは、追加的に利用され得る。任意の好適な製品で所望のコーティング性能を得るために、上に開示のプロセスと方法との組み合わせが使用され得る。
【0056】
コーティングは、湿潤(例えば、溶媒の蒸発)又は乾燥方法によって産生され得る。乾燥は、熱伝導、又は通常加熱若しくは赤外線加熱によって行われ得る。一実施形態において、コーティングは、浸漬、含浸、噴霧、散布、及び/又は飽和ブラシのうちの1つ以上によって適用される。
【0057】
上の一実施形態において、コーティングは、1~3,600秒間、例えば1~3000秒、1~2000秒、1~1000秒、1~800秒、1~600秒、1~500秒、1~400秒、1~300秒、1~250秒、1~200秒、1~150秒、1~125秒、1~100秒、1~80秒、1~60秒、1~50秒、1~40秒、1~30秒、1~20秒、1~10秒、5~3000秒、5~2000秒、5~1000秒、5~800秒、5~600秒、5~500秒、5~400秒、5~300秒、5~250秒、5~200秒、5~150秒、5~125秒、5~100秒、5~80秒、5~60秒、5~50秒、5~40秒、5~30秒、5~20秒、5~10秒、10~3000秒、10~2000秒、10~1000秒、10~800秒、10~600秒、10~500秒、10~400秒、10~300秒、10~250秒、10~200秒、10~150秒、10~125秒、10~100秒、10~80秒、10~60秒、10~50秒、10~40秒、10~30秒、10~20秒、20~100秒、100~3,000秒、又は500~2,000秒間、製品の表面に適用され得る。
【0058】
厚さ、架橋密度、及び透過性などのコーティングの特性は、コーティング剤の特定の組成、溶媒の特定の組成、溶媒中のコーティング剤の濃度、及びコーティング堆積プロセスの条件を調整することによって、特定の製品に好適になるように変化させることができる。溶媒中の溶質(例えば、コーティング剤)の濃度は、例えば、約0.5mg/mL~200mg/mLの範囲であり得る。
【0059】
一実施形態において、コーティングは、製品全体に適用される。一実施形態において、コーティングは、製品の一部に適用される。一実施形態において、コーティングは、収穫前に適用される。一実施形態において、コーティングは、収穫後及び/又は収穫中に適用される。一実施形態において、製品又はその一部は、コーティングが適用される間又は後の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、72時間、又は任意の時間及び時間間隔内に収穫され得る。
【0060】
一実施形態において、コーティング剤は、水溶液中で調製される。一実施形態において、コーティング剤は、アルコール溶液中で調製される。一実施形態において、コーティング剤は、有機酸溶液中で調製される。有機酸の例としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びレブリン酸が挙げられる。一実施形態において、コーティング溶液は、1.00~3.00重量%、1.00~2.50重量%、1.00~2.00重量%、1.50~2.00重量%、又は1.50~2.50重量%のコーティング剤(例えば、絹)を含み得る。一実施形態において、コーティング溶液は、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.15重量%、0.10~0.40重量%、0.20~0.30重量%のコーティング剤を含み得る。一実施形態において、コーティング溶液は、0.05~0.10重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.50重量%、0.05~0.15重量%、0.10~0.40重量%、0.15~0.35重量%、0.20~0.30重量%のコーティング剤を含み得る。一実施形態において、水溶液は、90~99重量%、92~99重量%、94~99重量%、96~99重量%、97~99重量%、又は98~99重量%の水又は他の溶媒を含み得る。一実施形態において、コーティング溶液は、1%~20%、又はより好ましくは2%~7%、又はより好ましくは2.5%~5%のコーティング剤(例えば、絹)を含み得る。一実施形態において、薬剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98、99、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000マイクログラム/mlの濃度で存在する。一実施形態において、薬剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、96、97、98、99、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg/mlの濃度で存在する。一実施形態において、薬剤は、コーティング溶液中で、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58残留量、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも90、又は100%w/v又はw/wの濃度で存在する。
【0061】
製品への絹フィブロインの適用
Bombyx moriの繭は、絹フィブロインの供給源として使用され得る。絹フィブロインは、マルチステッププロセス中に繭から抽出され得る。このプロセスの非限定的な例として、第1のステップは、繭を化合物(例えば、ソーダ灰)に曝露して、セリシンを繭から分離することによって脱脂することを含み得る。次に、繭を流体(例えば、水)ですすいで、セリシンを除去すると、主に絹フィブロインからなる繭がもたらされる。次いで、繭を、絹フィブロインを溶液(例えば、水)に溶解する第2の化合物(例えば、カオトロピック剤)に曝露する。次いで、溶液を精製して、第2の化合物を除去すると(例えば、透析、遠心分離、又は上の組み合わせを含む他の濾過方法によって)、主に水及び可溶化絹フィブロインからなる溶液が得られる。次いで、溶液を、低温殺菌若しくはマイクロ濾過のいずれか、又は両方によって滅菌して、全ての凝集体を除去し、濁度を低減し、微生物を殺す。絹フィブロイン懸濁液の最終濃度は、特定の重量%、例えば、約1%~20%、又はより好ましくは2%~7%、又はより好ましくは2.5%~5%を含むように調整され得る。いくつかの実施形態において、絹フィブロイン溶液は、次いで、噴霧ドライヤー又は他の好適なデバイスの使用によって粉末にされる。絹フィブロイン溶液を形成するための他の好適なプロセスが使用され得る。
【0062】
しかしながら、食品及び必要な実施に応じて、他の濃度の絹フィブロインが使用され得る。同様に、異なる重量平均分子量(M)の絹フィブロイン溶液が利用され得る。いくつかの実施形態において、フィブロイン断片は、約1kDa~約600kDaの重量平均分子量(M)を含む。いくつかの実施形態において、絹フィブロイン断片の分子量(MW)は、約10kDa~約1000kDaの範囲であってもよく、異なる分子量(MW)の断片の濃度を有し得る。
【0063】
製品は、様々な異なる方法を使用してコーティングされ得る。第1のステップは、上記のような絹フィブロインを含有する溶液を形成することである。いくつかの実施形態において、絹フィブロイン溶液は、直接製造される。他の実施形態において、絹フィブロインを粉末に変え、次いでこれを溶液(例えば、水)に再構成して、絹フィブロイン溶液を形成する。
【0064】
絹フィブロイン溶液が形成されると、製品の種類、所望のコーティングの種類、カバレッジ、厚さ、又は層の数、出荷/保管条件、出荷/保管期間などの異なる変動要素に応じて、様々な異なる技術を使用して製品がコーティングされ得る。絹溶液は、任意の好適な方法によって製品に適用され得る。いくつかの実施形態において、絹は、浸水、コーティング(例えば、噴霧、エアブラシ、ドクターブレード、浸漬コーティング、表面コーティング)、洗浄、錠剤コーティング、及び/又は積層によって製品に適用される。いくつかの実施形態において、絹は、噴霧コーティング、カーテンコーティング、又はスロットコーティングによって製品に適用される。いくつかの実施形態において、絹は、製品上に堆積され、次いで、例えば、空気乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、又は熱乾燥を介して乾燥される。いくつかの態様において、絹溶液は、噴霧コーティングを介して製品上に堆積され得る。代替的に、溶液は、浸漬コーティングを介して製品上に堆積され得る。いくつかの態様において、絹は、エレクトロスピニングによって適用され得る。
【0065】
いくつかの態様において、製品は、例えば、塩基性溶液に曝露され、次いで絹フィブロイン溶液の適用前に乾燥することによって、前処置を受け得る。更なる例として、前処置は、絹溶液の耐摩耗性又は接着性を改善するために、製品に結合剤及び/又は接着剤を添加することを含み得る。
【0066】
いくつかの態様において、製品に適用される絹フィブロインコーティングは、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、又は他のアルコール)による処置を含む、絹フィブロインコーティングの特性を改善するための後処置を受け得る。別の態様において、後処置は、絹コーティングを架橋するための紫外線曝露、又は絹コーティング中の発泡剤を活性化するための熱処置を含み得る。いくつかの態様において、絹は、水アニールを含んで、堆積後又は堆積前にアニールされても、アニールされなくてもよい。
【0067】
いくつかの更なる態様において、製品は、複数の層の絹を含み得る。一実施形態において、製品は、絹フィブロイン溶液で噴霧され、乾燥され、次いで再度噴霧され得る。これは、厚さ及び追加の層を追加するために何度でも起こり得る。いくつかの更なる態様において、製品は、複数の層を含んでもよく、各層が機能を果たす。例えば、製品は、絹溶液でコーティングされ得る。次いで、絹溶液でコーティングされた製品は、別のコーティングによってそれ自体がコーティングされ得る。そのような他のコーティングは、疎水性であり得る。任意の好適な製品で所望のコーティング性能を得るために、上に開示のプロセスと方法との組み合わせが使用され得る。
【0068】
絹コーティングは、所望の用途又はそれを形成するために使用される方法に応じて、異なる厚さであり得る。いくつかの態様において、絹コーティングは、厚さが均一であり得る。いくつかの態様において、絹コーティングは、均一な厚さを有しない場合がある。例えば、絹コーティングは、コーティングを適用するために使用される方法によって引き起こされる自然なばらつきに起因して、いくつかの領域において薄くなり得る(例えば、噴霧コーティングは、1つの領域を他の領域よりもわずかに長く噴霧することによって、異なるコーティング厚さをもたらすなどの適用プロセス中のばらつきに起因して厚さが変化し得る)。他の態様において、厚さは、特定のバリア特性を形成することを目的として変化させてもよい。いくつかの実施形態において、厚さは、約10nm~約1mm、約10nm~約50nm、約50nm~約100nm、約100nm~約200nm、約100nm~約100μm、約200nm~約300nm、約300nm~約500nm、約500nm~約1μm、約1μm~約5μm、約5μm~約10μm、約10μm~約15μm、約10μm~約20μm、約10μm~約25μm、約10μm~約50μm、約10μm~約100μm、約15μm~約25μm、約15μm~約35μm、約15μm~約50μm、約20μm~約40μm、約20μm~約50μm、約25μm~約35μm、約25μm~約50μm、約25μm~約100μm、約30μm~約50μm、約30μm~約75μm、約40μm~約50μm、約40μm~約75μm、約50μm~約65μm、約50μm~約75μm、約50μm~約85μm、約50μm~約100μm、約100μm~約150μm、約100μm~約200μm、約100μm~約250μm、約150μm~約250μm、約100μm~約300μm、約100μm~約400μm、約100μm~約500μm、約200μm~約400μm、約200μm~約500μm、約400μm~約600μm、約500μm~約800μmから、約500μm~約1mm、約100μm~約1mmの範囲であり得る。
【0069】
実施形態において、絹コーティングの厚さは、1mm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、500μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、300μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、200μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、150μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、100μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、80μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、70μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、60μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、50μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、40μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、30μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、25μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、20μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、15μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、10μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、1μm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、500nm未満の厚さを有し得る。実施形態において、絹コーティングの厚さは、100nm未満の厚さを有し得る。
【0070】
いくつかの態様において、製品は、その全体又は部分的にのみコーティングされ得る。例えば、製品がケール又はホウレンソウなどの平坦な形状を有する場合、両側にコーティングされ得る。更なる例として、製品がブロッコリーなどの農産物である場合、外側表面にのみコーティングされ、内部表面はほとんど又はまったくコーティングを受けない場合がある。別の態様では、製品は、製品の表面の一部分にのみコーティングされてもよく、例えば、表面は、1つの表面の半分がコーティングを受けるように部分的にのみコーティングされ得る。実施形態において、製品は、その総表面積の約100%がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約80%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約60%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約50%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約40%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約30%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約20%以上がコーティングされ得るか、又はその総表面積の約10%以上がコーティングされ得る。いくつかの態様において、製品の総表面積の約80%~約100%がコーティングされ得るか、又は製品の総表面積の約60%~約80%がコーティングされ得るか、又は製品の総表面積の約50%~約80%がコーティングされ得るか、又は製品の総表面積の約40%~約60%がコーティングされ得るか、又は製品の総表面積の約20%~約40%がコーティングされ得るか、又は製品の総表面積の約1%~約20%がコーティングされ得る。
【0071】
任意の好適な製品で所望のコーティング性能を得るために、上に開示のプロセスと方法との組み合わせが使用され得る。
【0072】
追加の実施形態は、追加の添付文書から誘導され得る。
【実施例
【0073】
実施例1
ストレス運搬研究
モデルを開発して、葉類(例えば、ホウレンソウ、ケール、レタスなど)の輸送のためのストレス条件を模倣し、絹フィブロインコーティングの性能を、コーティングされていない葉類及び/又は水でコーティングされた葉類に対して試験した。代謝速度/早期変質の増加を表すストレス条件を、葉類をより高密度に詰めることによって増加した貨物利用率を再現し、熱スパイクを使用して葉類を「極端な」サプライチェーン条件(例えば、運搬中に遭遇する通常の温度を超える温度の上昇)に曝露することによって形成し、次いで対照群を処置群と比較して、絹フィブロインの効果を試験した。
【0074】
葉類に関する1つの例示的な実験では、図5に示すように、葉類(ケール)を100%の利用率までトートに詰めた。通常の条件では、トートは約10~19ポンドまで詰められるが、この実験では、トートを21ポンド超まで詰められ、これは、約13%~約100%の重量増加を表す。対照試料群(いずれの物質でも処置していないケール)、水試料群(水で処置したケール)、及び絹でコーティングされた試料群(絹フィブロイン溶液で処置したケール)の合計3つの試料群を調製した。噴霧を介して水及び絹フィブロインを適用した。適用後、3つの群全てを手で投げ、水及び絹でコーティングされた試料群上にコーティングをより良好に分布させ、全ての群が同じ様式で取り扱われることを確実にした。コーティング及び/又は分布方法の適用は、異なるストレスを伴う異なる運搬環境を形成するように変更され得る。
【0075】
次いで、3つの試料群を、シミュレートされた運搬試験に曝露し、ここでは、それらを華氏約40度の規則的な温度で保管した。次いで、試料を3回の熱スパイクに曝露した。熱スパイクの温度は約100度であり、約30分間安定して保持した。熱スパイクを実験開始後24時間毎に導入した(ケールの処置後に開始)ため、1回目は24時間で発生し、2回目は48時間で発生し、3回目は72時間で発生した。3つの試料群を、各熱スパイクの後、及び処置の6日後である研究の終了まで、通常の保管温度に戻した。図6は、6日目の異なる群のトートの上層を示す。図7は、6日目の水試料群及び絹でコーティングされた試料群のトートの中間層を示す。中間層は、葉類の密度の増加に起因して最も腐敗しやすい容器の一部分である。トートの異なる層をより良好に例示するために、図4は、トートに保持されたときの葉物類の層を示しており、上層、中間層、及び下層が識別されている。
【0076】
実験の終了時に、葉類をスコア付けして、群で異なるかどうかを決定した。製品、この場合はケールの複数の異なる態様は、例えば、目視検査(例えば、黄変、しおれ、腐敗、色)、構造的完全性、微生物負荷(例えば、微生物成長)、跳ね返り(例えば、特定の製品(例えば、葉物類)が一旦、再水和によって洗浄されると、しおれの悪影響から回復する能力、それは、製品が損傷を受けたかどうかを示す上での支援を示す)、呼吸速度、味、温度、断熱効果、UV濾過効果、及び/又は臭気のうちの1つ以上から選択される測定基準について観察及び比較され得る。
【0077】
この実験では、しおれ、黄変、及び腐敗を異なる群(例えば、対照、水、絹溶液)にわたって比較した。20枚の葉を無作為に選択し、図1~3に示すスコア付け尺度に基づいてそれらに数値を割り当てることによって群を比較した。図6は、3つの群の6日後の葉の黄変の結果を示す。最も左の対照群が最悪であり、続いて中央の水群であり、右の絹フィブロイン溶液群(絹コーティング)が最良の性能を発揮した。この改善は、6日後の水(左)及び絹フィブロイン溶液(右)群の中間層を示す、図7に見られるように、トートの中間層でも顕著であった。これは、図8により明確に例示されており、黄変スコアが1又は2である様々な群における葉のパーセンテージを示す。図2で判断したように、葉が、葉表面の0~10%又は葉表面の10~30%に黄変があった場合、それぞれ1又は2のスコアが与えられた。図8が示すように、絹フィブロインのコーティングで処置した葉の約93%が1又は2のスコアを達成したが、対照群及び水群は、それぞれおよそ69%及び82%の葉が同じスコアを有した。図9は、異なる群にわたってしおれの結果を示し、絹フィルブロインでコーティングされた葉は再度、最大のパーセンテージの95%が1又は2のスコアを付けた。対照群及び水群は、およそ89%の葉のみがこのスコアを達成した。最後に、図10は、様々な群にわたって1を有する層のパーセンテージとしての腐敗スコアを示す。この実験では、絹フィブロインでコーティングされた層の100%が1の腐敗スコアを有し、トート表面の0~10%の表面のみが腐敗を有したことを表した。対照的に、対照群及び水群は、トート層の67%のみに1の腐敗スコアを有した。
【0078】
これらの結果は、絹フィブロインで製品をコーティングする利益を例示するが、それは、絹フィブロインが他の方法と比較して、より多くの製品を同じ容積の容器に詰めることの悪影響を低下させるためである。また、他の方法と比較して、温度の上昇が絹フィブロインの性能に悪影響を及ぼさないことも示される。機器の問題又は輸送の遅延のいずれかに起因して、出荷及び保管条件が常に均一ではなく、熱スパイクが発生する可能性があるため、この後者の点は、非常に重要である。出荷中断中、製品への害を低減することによって、絹フィブロインコーティングは、出荷業者に柔軟性を提供し、食品の廃棄を限定する。別の態様において、異なるスコア付けシステムを作り、製品に対するコーティングが及ぼす影響を分析及び決定し得る。
【0079】
研究の詳細を変更して、コーティングされた製品に所望のストレスを形成することができる。一態様において、より多くの又はより少ない熱スパイク、例えば、1~5回の熱スパイクを使用することができる。別の態様において、ヒートスパイクの温度は、例えば、華氏80~120度に修正することができる。別の態様において、ヒートスパイクの保持時間もまた、例えば、スパイク1回当たり15分~1時間で修正することができる。別の態様において、ヒートスパイクの頻度もまた、例えば、製品を12時間毎又は毎日1回スパイクに曝露することによって修正することができる。別の態様において、製品の処置もまた、比較のために非絹フィブロインコーティング又は異なるコーティングの複数の群を含むように変更することができる。別の態様において、異なる材料を使用して、製品をコーティングすることができる。別の態様において、まったく異なる製品、例えば、異なる種類の製品を使用することができる。
【0080】
実施例2
貯蔵寿命研究
第2のモデルを開発して、葉類(例えば、ホウレンソウ、ケール、レタスなど)の輸送及び保管中に遭遇する条件を形成して、通常のトート重量に詰められたコーティングされていない葉類、より多くのトート重量で詰められたコーティングされていない葉類、及びより多くのトート重量で詰められた絹フィブロインでコーティングされた葉類に対して、絹フィブロインコーティングの性能を試験した。この実験は、消費者が遭遇する通常の収穫からテーブルまでの時間軸を模倣して、葉類への絹フィブロインが及ぼす影響を測定するように設計された。増大した梱包重量を利用して、葉類へのストレス条件を形成して、絹フィブロインが及ぼす影響を研究し、より高い梱包密度が出荷/輸送プロセスの一部として可能であるかどうかを確認した。
【0081】
この例示的な実験では、葉類(ベビーケール)を収穫機によって収集し、直ちに3つの群に分けた:対照群(18ポンドまで詰められた未処置のケール)、未処置群(22ポンドまで詰められた未処置のケール)、及び絹でコーティングされた群(絹フィブロイン溶液で処置され、22ポンドまで詰められたケール)。葉類をトートに詰める前に、葉類を畑から収穫しながら噴霧バーによる噴霧を介して絹フィブロインを適用した。上述したように、対照群を処置せず、トートに18ポンドまで詰めた。未処置群を処置せず、トートに22ポンドまで詰めた。絹フィブロインコーティング群を絹フィブロインで処置し、トートに22ポンドまで詰めた。トートは、追加のケールを追加することができないように、22ポンドで完全に利用した。図11は、実験の1日目のトートにおける異なる群を示す。
【0082】
次のステップは、トレーラー(例えば、冷蔵トラクタートレーラー)を介して試験室にトートを輸送するか、又は葉類を物理的に輸送するとかかるであろう時間と同じ時間、同じ種類の冷却保管場所にトートを保管することによって輸送時間をシミュレートするかのいずれかである。この実験では、トートを、およそ5日間にわたってCambridge Cropsの研究室にトラクタートレーラーによって物理的に輸送した。この間、3つの群を華氏約40度の温度及び約40%の相対湿度で保管した。トートがCambridge Cropsに到着したら、それらを洗浄し、次いでクラムシェルに移すことによって処理して、葉類の販売のための輸送、次いで梱包のための通常のプロセスをシミュレートした。袋など、クラムシェル以外の容器も使用することができる。これらの容器は、販売目的のサイズに応じて様々なサイズにすることができる。この場合、クラムシェルは5オンスであり、輸送された葉類を均等に分割した。例えば、対照群について13個のクラムシェルを作り、未処置群について13個のクラムシェルを作り、絹でコーティングされた群について14個のクラムシェルを作った。図12は、実験の9日目のクラムシェルに分割した異なる群を示す。図13は、実験の28日目のクラムシェルを示す。次いで、クラムシェルを、実験期間中、華氏40度及び52%の相対湿度の冷却室に保管した。実験は41日間継続し、この期間全体を通して、及び実験の終了時に異なるクラムシェルをサンプリングして、各群の性能に関するデータを提供した。
【0083】
実験の終了時に、スコアを順守して、実験全体を通して群で異なるかどうかを決定した。製品、この場合はケールの複数の異なる態様は、例えば、目視検査(例えば、黄変、しおれ、腐敗、色)、構造的完全性、微生物負荷(例えば、微生物成長)、跳ね返り(例えば、特定の製品(例えば、葉物類)が一旦、再水和によって洗浄されると、しおれの悪影響から回復する能力、それは、製品が損傷を受けたかどうかを示す上での支援を示す)、呼吸速度、味、温度、断熱効果、UV濾過効果、及び/又は臭気のうちの1つ以上から選択される測定基準について観察及び比較され得る。
【0084】
この実験では、異なる群(例えば、対照、未処置、絹コーティング)にわたって、しおれ及び黄変を比較した。15枚の葉をクラムシェルから無作為に選択し、図1~2に示す尺度基づいてそれらに数値を割り当てることによって群を比較した。図14で見ることができるように、実験の最初の28日間の黄変の結果は、未処置群が他の2つの群よりも乏しい性能であったことを示す。これは、図15により明確に示されており、「良好な」黄変スコア(1のスコアを得たことを意味する)を有する葉のパーセンテージを示す。この場合、対照群及び絹処置群は、「良好」スコアを有する葉のパーセンテージが同じであったが、未処置群は顕著に乏しかった(約10%)。図16は、同じ種類の結果を示し、黄変及びしおれの両方を調査したときに、対照群及び絹処置群が未処置群よりも良好であった。このグラフが示すように、黄変が1であり、しおれが1又は2である場合、「良好」なスコアが達成された。再度、対照群及び絹処置群の性能は、28日目まで未処置群より10%高かった。
【0085】
この場合、絹でコーティングされた群、並びに対照群は、輸送中により密に詰められているにもかかわらず性能を発揮した。これらの結果は、他の方法と比較して、より多くの製品を同じ容積の容器に詰めることの悪影響を低下させるため、絹フィブロインで農産物、特にケールをコーティングする利益を例示する。これによって、出荷業者は、ケールの貯蔵寿命を低減することによるケールへの害を心配することなく、各出荷により多くのケールを追加することができるが、未処置のケールの場合ではそうもいかないであろう。これは、出荷コストを節約し、燃料消費を低減し、道路上のトラックを除去し、出荷業者が他の効率を実現する可能性を有する。加えて、コーティングを処理ステップ中にケールから洗い流した。これは、絹コーティングの付帯効果を提示するが、それは、製品上に残って、貯蔵寿命に影響を及ぼす必要がないためである。
【0086】
上述の研究は例示的なものであり、研究の詳細を変更して、コーティングされた製品に所望のストレスを形成することができる。例えば、異なる材料を使用して、製品をコーティングすることができる。別の態様において、まったく異なる製品、例えば、異なる種類の製品を使用することができる。例えば、温度、湿度、持続時間、梱包方法などを変更することによって、異なる条件を実施することができる。最終的には、例えば、呼吸速度、構造的完全性、微生物負荷など、試験される製品の異なる測定を行うことができる。
【0087】
実施例3
呼吸試験
異なる製品の呼吸を研究するために、2つの異なる方法が開発されている。第1の試験は、ジャー(例えば、メイソンジャー)に配置された概して20~50グラムの小さな試料サイズを試験する。図17は、本方法の例を示し、容器(C)、製品(P)、及び試験デバイス(F)が示される。このプロセスでは、製品(P)を含有される(C)に配置し、初期の二酸化炭素(CO)測定を行う。次いで、容器を所定の時間(例えば、15分~1時間)静置し、第2のCO測定を行う。この場合、COを測定するためにFelix Instruments F-950(F)を使用した。最終的な呼吸速度を提供し、mL CO kg-1 hr-1で表す。第2の方法では、呼吸速度についてより大きな容器(例えば、トート)を試験する。図18は、容器(C)及び試験デバイス(F)を示す。大規模ではあるが、図17と同じプロセスを使用する。最終結果は、mL CO kg-1 hr-1で表される別の呼吸速度測定値である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】