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特表2023-532990生体対象の皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】生体対象の皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0531 20210101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B5/0531
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023500339
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021067616
(87)【国際公開番号】W WO2022008273
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20200788
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507173229
【氏名又は名称】メッド ストーム イノヴェーション エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,ハンネ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA07
4C127DD02
4C127DD03
4C127FF05
(57)【要約】
生体対象の正常な皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法であって、対象は皮膚を有し、皮膚電気活動を評価又は測定するステップを備え、皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンス、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応、又は皮膚コンダクタンスレベルである。皮膚コンダクタンスを、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動ピークを算出することにより評価し、正常な皮膚交感神経活動を約15秒から60秒の長さの解析ウィンドウで定義し、皮膚コンダクタンス変動ピークがある予め定義された値を超えるとき、正常な皮膚交感神経活動を取得した、又は成功したと評価する。あるいは、平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間、皮膚コンダクタンス変動下の面積、又は皮膚コンダクタンス変動の振幅の大きさを算出することにより、皮膚コンダクタンスを評価してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体対象の正常な皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法であって、
前記対象は皮膚を有し、
前記方法は皮膚電気活動を評価又は測定するステップを含み、
前記皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンス、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応及び皮膚コンダクタンスレベルからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
評価又は測定される前記皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンスである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動ピークを計算することによって評価又は測定し、
前記皮膚コンダクタンス変動の数が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベル以上であるとき、前記皮膚交感神経活動を評価し、取得し、成功又は正常であると定義する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記予め定義された閾値レベルは、0.13皮膚コンダクタンス変動/秒である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間又は前記皮膚コンダクタンス変動の計算によって評価又は測定し、
前記立ち上がり時間が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルにしたがって減少又は増加するとき、前記皮膚交感神経活動を評価し、取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、
前記予め定義された閾値レベルは時間あたり0.02マイクロジーメンスである、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、前記変動下の面積を計算することによって評価又は測定し、
前記面積が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルを有するとき、前記皮膚交感神経活動を評価又は取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記予め定義された閾値が2マイクロジーメンス秒である、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、前記皮膚コンダクタンス変動の振幅を計算することによって評価又は測定し、
前記皮膚コンダクタンス変動の平均振幅が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルを有するとき、前記皮膚交感神経活動を評価又は取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記予め定義された閾値レベルが0.02マイクロジーメンスである、方法。
【請求項11】
請求項3~10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記解析ウィンドウの長さが15秒から60秒である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記解析ウィンドウの長さが約15秒である、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを前記対象の体全体で測定する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象が動物である、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象がヒトである、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、
前記皮膚交感神経活動は、皮膚コンダクタンス変数の全て又は一部が、1秒あたりの皮膚コンダクタンス変動、皮膚コンダクタンス変動の振幅、皮膚コンダクタンス変動下の面積、及び平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間の変化からなる群から選択される混合神経活動に関するものである、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を、前記神経が損傷、毒又は神経遮断剤によって妨害されていないときに取得する、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経を前記対象の皮膚レベルで評価又は測定する、方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法であって、
前記対象の四肢、前記対象の手首の掌側、前記対象の掌、前記対象の足首部、又は前記対象の足底部において、前記正常な皮膚交感神経活動を評価又は測定する、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を評価又は測定するための追加工程の使用を更に備え、
前記追加工程を、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択さする、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象の2つ以上の四肢の前記皮膚電気活動を評価又は測定し、
神経が損傷又は遮断した1つの四肢と神経が損傷又は遮断していない1つ又は複数の四肢との前記皮膚電気活動を比較する、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を取得あるいは成功したと評価又は測定した前記対象の皮膚電気活動を刺激するステップを更に含む、方法。
【請求項23】
装置であって、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、装置。
【請求項24】
請求項23記載の装置であって、
前記装置は、コンピュータ又は携帯電話へのBluetooth(登録商標)接続を有する無線センサを備え、
信号はコンピュータソフトウェアアプリケーションを通じて処理され、
前記装置は無線技術を通じて他のコンピュータ、又はコンピュータソフトウェアプログラムを有するモバイルデバイス若しくはタブレットに無線情報を送信できる、装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置であって、
電極を有する測定ボックスと、任意のコンピュータタブレット上に表示されるコンピュータソフトウェアとを備える、装置。
【請求項26】
請求項23に記載の装置であって、
前記装置は、加速度計とともに使用するように構成されており、
前記加速度計は、動きに関する情報を通知し、アーティファクトの動きに関する情報を与える、装置。
【請求項27】
請求項23記載の装置であって、
前記装置は、前記正常な神経活動を評価することができる別の工程を実施するように更に構成され、
前記追加工程は、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、装置。
【請求項28】
請求項23記載の装置であって、
前記装置は、2つ以上の四肢の皮膚電気活動を評価して、正常な皮膚交感神経活動を有する1つの四肢と正常な皮膚交感神経活動を有しない1つ又は複数の四肢とを比較するように構成される、装置。
【請求項29】
請求項23記載の装置であって、
前記装置は、痛みや覚醒のような臨床評価に使用できる前記神経活動を定義するために、前記正常な皮膚交感神経活動の時の情報を与えるように構成された皮膚電気活動刺激デバイスを更に備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体対象の皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法に関するものである。また、本発明は、関連装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の臨床診療において、正常な神経活動を評価するために一般的に使用されるモニタリング方法は、臨床徴候の観察、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける皮膚温度モニタリングパルス振幅モニタリング、及びこのようなモニタリング方法の組合せである。背景技術におけるこれらの方法は、しばしば、予測不可能な応答や遅延した応答、及び他の欠点を示す。したがって、臨床(診療)において、信頼性が高く、迅速な応答を有し、背景技術の他の欠点に影響されない客観的な(objective)モニタリング方法を開発することが望まれている。より具体的には、皮膚交感神経活動を評価するための評価ツールが存在しない。したがって、対象、例えばヒトの患者における皮膚交感神経活動を評価する改良された方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、生体対象の皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングするための改良された方法及び装置を提供することである。
【0004】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0005】
本開示は、皮膚を有する生体対象における皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法に関する。有利な一態様では、対象は、ヒト、例えば、ヒトの患者である。代替的な一態様では、対象は、動物であってもよい。
【0006】
対象、例えばヒトの患者における皮膚交感神経活動の評価又はモニタリングは、臨床環境において正常な皮膚交感神経活動を定義することに成功しているかを決定するステップを含むことができる。
【0007】
有利な一態様は、対象の正常な皮膚交感神経活動をモニタリングし、確保する方法に関するものである。代替的な一態様は、対象の皮膚交感神経に及ぼす可能性のある薬物又は疾患それぞれの効果又は傷害を評価する方法に関する。
【0008】
本方法は、皮膚電気活動を評価又は測定するステップを備え、皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンス、電気皮膚反応(galvanic skin response)、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応及び皮膚コンダクタンスレベルからなる群から選択される。
【0009】
有利な一態様では、皮膚電気活動を測定する。代替的な一態様では、皮膚電気活動を評価する。
【0010】
有利には、評価又は測定される前記皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンスである。有利には、前記皮膚コンダクタンスを、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動ピークを計算することによって評価又は測定し、前記皮膚コンダクタンス変動ピークが、約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウに存在するとき、正常な皮膚交感神経活動を、薬物や疾患の影響を受けていないと定義して評価する。取得され評価された神経活動は成功している。
【0011】
特に有利には、前記解析ウィンドウの長さは約15秒である。
【0012】
皮膚コンダクタンスを、皮膚コンダクタンス変動の立ち上がり時間、皮膚コンダクタンス変動の周波数、皮膚コンダクタンス変動の曲線下面積、又は皮膚コンダクタンス変動の振幅を計算することにより評価又は測定することができる。この場合、約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウで皮膚コンダクタンス変動を評価すると、正常な皮膚交感神経活動が確保される。解析ウィンドウの長さは、有利には約15秒から30秒である。
【0013】
皮膚コンダクタンスを、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動のピーク数(周波数)を計算することにより評価又は測定することができる。皮膚コンダクタンス変動の数が、約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウにおいて、1秒あたりの皮膚コンダクタンス変動が0.13超であるか、又は0.13程度であるとき、神経活動は評価され、取得され、正常であると定義される。特に有利には、解析ウィンドウの長さは、約15秒である。
【0014】
皮膚コンダクタンスを、皮膚コンダクタンス変動ピークの振幅の大きさを計算することによって評価又は測定することができる。約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウにおいて、振幅の大きさが閾値である0.02マイクロジーメンス超であるとき、神経活動が評価され、取得され、正常であると定義される。特に有利には、解析ウィンドウの長さは、約15秒である。
【0015】
皮膚コンダクタンスを、皮膚コンダクタンス変動ピークの曲線下面積を計算することによって評価又は測定することができる。約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウにおける皮膚コンダクタンス変動ピークの曲線の下の面積が2マイクロジーメンス秒超であるとき、正常な神経活動が評価され取得され、正常であると定義される。特に有利には、解析ウィンドウの長さは、約15秒である。
【0016】
皮膚コンダクタンスを、平均皮膚コンダクタンスレベルの曲線の立ち上がり時間を計算することによって評価又は測定することができる。約15秒から60秒の長さを有する解析ウィンドウにおいて、立ち上がり時間が0.02マイクロジーメンス/秒より高いか又は低いとき、正常な神経活動が評価され取得され、正常と定義される。特に有利には、解析ウィンドウの長さは、約15秒である。
【0017】
皮膚コンダクタンスを、対象の体全体において評価することができるが、皮膚交感神経活動については、手掌(手の内側)、足底(足裏)評価することが有利である。
【0018】
上述した方法及び態様のいずれにおいても、神経活動は交感神経に対するものであってよい。しかし、神経活動は、運動神経+交感神経、感覚神経+交感神経、及び運動神経+感覚神経+交感神経からなる群から選択される混合神経に対するものであってもよい。
【0019】
上述したいずれの方法においても、局所麻酔又は全身麻酔が継続されている間にも、正常な活動を得ることができる。
【0020】
上述したいずれの方法においても、正常な皮膚コンダクタンス活動を、皮膚レベルで評価又は測定することができる。
【0021】
上述したいずれの方法においても、手首の掌側、手掌、足首部、膝背部(dorsum of the knee)又は足の足底部を含む四肢において、正常な皮膚交感神経活動を評価又は測定することができるが、これらに限定されない。
【0022】
上述の方法のいずれかが、神経活動を評価するための追加の方法を使用することを更に備えてもよい。そのような追加の方法は、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0023】
開示される方法のいずれかにおいて、2つ以上の四肢で皮膚電気活動を評価又は測定することができる。ここで、1つの四肢又は複数の四肢の皮膚電気活動において、薬物又は疾患がある場合とない場合とが比較される。
【0024】
開示された方法のいずれかは、局所麻酔又は神経疾患がある場合に消失する皮膚電気活動を刺激するステップを更に備えてもよい。
【0025】
また、本発明は、開示された方法を実施するように構成された装置に関するものである。
【0026】
前記装置は、コンピュータ又は携帯電話へのBluetooth(登録商標)接続を有する無線センサを備えることができる。ここで、信号はコンピュータソフトウェアアプリケーションを通じて処理され、前記装置は、無線技術を通じて、他のコンピュータ、又はコンピュータソフトウェアプログラムを有するモバイルデバイス若しくはタブレットに無線情報を送信できる。
【0027】
前記装置は、電極を有する測定ボックスと、任意のコンピュータタブレット上に表示されるコンピュータソフトウェアとを備えることができる。
【0028】
前記装置を、加速度計とともに使用することができる。前記加速度計は、動きに関する情報を通知し、アーティファクトの動きに関する情報を与える。
【0029】
前記装置を、神経遮断、神経損傷又は正常な神経活動を評価することができる他の方法に接続することができる。前記追加の方法は、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
2つ以上の四肢の皮膚電気活動を評価して、神経活動が正常かどうか四肢を比較するために、前記装置を使用することができる。
【0031】
前記装置を、神経の正常な活動(神経刺激時に反応する)に関する情報を与えるために使用できる、電気刺激デバイスとともに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
次に、本発明の実施形態、態様及び原理を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
図1図1は、第1の態様において、対象の正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
図2図2は、第2の態様において、対象の正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
図3図3は、第3の態様において、対象の正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
図4図4は、第4の態様において、対象の正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
図5図5は、装置を示す概略ブロック図である。
図6図6は、方法及び装置の更なる可能な態様を示す概略ブロック図である。
図7図7は、方法及び装置の更なる可能な態様を示す概略ブロック図である。
図8図8は、測定配置の態様の図である。
図9図9は、装置の更なる態様を示す概略ブロック図である。
図10図10は、微小神経電図法(micro neurography)によって評価され、皮膚コンダクタンスの変化によって反映される正常な皮膚交感神経活動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
痛みの評価、覚醒の評価又は神経遮断の評価に皮膚交感神経を用いる前に、正常な神経活動を確保しなければならない。
【0034】
事前に正常な神経活動を評価する必要がある。
【0035】
1.局所神経遮断。同じ神経要素内に束ねられている3種類の神経がある。これらの神経は、交感神経、感覚神経及び運動神経である。生体内(例えば人体)の神経構造に局所麻酔薬を適用すると、局所麻酔薬の投与量に応じた選択的神経遮断が生じる。一般的に、神経内への薬物拡散の時間経過により、細い線維は太い線維よりも速く遮断される。例えば、神経に局所麻酔遮断を適用した場合、最初に遮断される神経線維は、交感神経節後線維を含むC-線維である。また、C-線維はゆっくりとした痛みの伝達にも関与している。有髄線維は無髄線維より遅れて遮断される。最小径の有髄線維はB-線維であり(交感神経節前線維としても知られている)、この次に遮断される。したがって、局所麻酔薬による神経遮断で最初に遮断される神経線維は、主に交感神経線維である。交感神経線維は、小径無髄C-線維(交感神経節後線維)、軽度の有髄(lightly myelinated)中型B-線維(交感神経節前線維)、そして痛みをゆっくり伝達するためのC-線維を含む。
2.硬膜外麻酔や脊椎麻酔は、皮膚交感神経を直撃し、これらを遮断し得る。
3.同様に疾患についても、神経毒と、例えば糖尿病などの神経損傷や神経障害に発展する疾患との両方がある。神経の損傷や神経障害のような疾患は、皮膚交感神経の機能を低下させるおそれがあり、例えば痛みや覚醒などを評価するために皮膚交感神経を用いる前に、正常な神経活動を確保するべきである。このような疾患が皮膚交感神経に影響を及ぼしている場合は、例えば、図10に示すような痛み(皮膚コンダクタンスピークの数)や覚醒(皮膚コンダクタンスピーク下面積)等の評価には本方法を使用すべきではない。
【0036】
このような知見に基づき、発明者らは、皮膚コンダクタンスモニタを用いることにより、交感神経活動を皮膚レベルでモニタリング可能であることを見出した。これによって正常な神経活動を直接モニタリングし、神経に遮断剤がなく、また神経疾患もないことを確認できる。例えば、痛みや覚醒の評価にこの技術を安全に使用するには、この適用は非常に重要なものである。第一に、臨床医は、皮膚交感神経を診断目的で使用する前に、これらの神経が正常に活動していることにすぐ気づくであろう。
【0037】
発明者らは、皮膚交感神経の正常な活動をモニタし記録するために、皮膚電気活動及び皮膚コンダクタンスモニタリングを使用できることを見いだした。
【0038】
図10は、微小神経電図法によって評価し、皮膚コンダクタンスの変化により反映した正常な皮膚交感神経活動を示す。
【0039】
神経調節技術をモニタリングするための皮膚電気活動の利用可能性。
【0040】
神経調節技術には、様々な刺激モード(後根神経節刺激を意味するDRG刺激、高密度刺激、高周波刺激、末梢神経刺激、及び臨床診療や実験モデルでも用いられる任意の他の刺激技術を含むがこれらに限定されない)を有する脊髄刺激療法用デバイスが含まれる。
【0041】
これらの神経調節技術が提供するメカニズムの1つは、四肢の交感神経切除術である。体内の交感神経活動の変化が達成されたかどうかを調べるために、皮膚電気活動をモニタリングに使用できる可能性がある。
【0042】
図1~4は、正常な皮膚交感神経活動の有効性をモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
【0043】
この例では、対象はヒトの患者である。あるいは、対象は、ヒトの非患者又は動物であってもよい。この例の文脈において、ヒトの患者における正常な皮膚交感神経活動をモニタリングする方法には、種々の皮膚コンダクタンス変数(1秒あたりの皮膚コンダクタンス変動、皮膚コンダクタンス変動の振幅、皮膚コンダクタンス曲線下の面積、皮膚コンダクタンスレベルの上昇時間)を定義することに成功しているかを決定するステップが含まれる。
【0044】
検証試験では、正常な皮膚コンダクタンス活動を確保するため、この試験用に25人のボランティアを集めた。ボランティアからの合計25の記録を本解析に含めた。試験を予定していたボランティアの、各四肢に5分間電極を設置した。この技術は非侵襲的であり、この試験は公表されることを意図しておらず、内部目的のみに使用されものである。
【0045】
対象年齢は18歳から99歳までであった。除外基準を、皮膚交感神経に影響を及ぼすあらゆる傷害又は疾病に対して定義した。SCM設置後、無作為に選んだ順番で、5分間ずつ四肢で試験を行った。
【0046】
皮膚コンダクタンス測定は、参加者の各四肢の足底(足裏)と手掌(手の内側)に取り付けた3個の自己粘着非侵襲性電極(self-adhesive noninvasive electrodes)を用いて実施した。Med-Storm Innovation(ノルウェー、オスロ、ソフトウェア1.0.6.33)が提供するSCM機器を用いて皮膚コンダクタンス反応を評価した。SCMは、主に皮膚コンダクタンスの変化をリアルタイムに測定するデバイスである。皮膚コンダクタンス反応は、コンダクタンス値(mS)の最小値の後に最大値が続くものと定義される。足底の皮膚に貼り付けたC(電流)、R(リファレンス)、M(測定)と表記された3つの自己粘着電極を用いて測定を実施した(図8)。測定ユニットは、フィードバック構成にあるC電極とR電極を用いて、R電極とM電極の間に正確で一定の交番電圧を印加した。M電極からのリターン電流の値は皮膚コンダクタンスに関する直接的な情報をもたらすため、リターン電流の値を記録した。記録した交流信号には、信号がディスプレイコンピュータに送信される前に、ノイズや干渉を除去する高度なフィルタリング処理を施した(図8)。
【0047】
本研究で使用した3電極システムによって、M電極の下の皮膚コンダクタンス活動のみを評価することが可能となった。このシステムは、1~200mSの範囲のコンダクタンス値を測定でき、0.002mS未満のノイズレベル(1SD)である。皮膚コンダクタンス反応を定義するために使用した閾値は0.02マイクロジーメンスであった。
【0048】
このデバイスは、欧州共同体適合性宣言は発行されているが、FDAの承認は受けていない。
【0049】
保存した皮膚コンダクタンス記録を解析すると、平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間、1秒あたりの皮膚コンダクタンス変動、皮膚コンダクタンス曲線下の面積、皮膚コンダクタンス変動の振幅を解析した際、いずれも四肢間の差は見られなかった。SCMで予め設定した15秒間の皮膚コンダクタンス解析ウィンドウを使用し、各ボランティアに対して5分間評価を続けた。
【0050】
異なるボランティアにおいて、四肢間の差異を調べるために、対応のない統計検定(non-paired statistical test)を用いたが、四肢間の差異は見られなかった。この結果、正常な皮膚交感神経活動において以下の値が示された。
【0051】
【表1】
【0052】
図1は、第1の態様における、対象の正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。本方法は、開始ステップ110で開始する。
【0053】
本方法は、皮膚電気活動を測定する測定ステップ120を含む。有利には、測定された皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンスである。代替的な態様では、皮膚電気活動は、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応、又は皮膚コンダクタンスレベルであってもよい。
【0054】
本方法は更に計算ステップ130に進み、皮膚コンダクタンス測定データは、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動ピークを計算することによって処理される。
【0055】
本方法は、さらに、決定ステップ140に進む。決定ステップ140では、解析ウィンドウにおいて皮膚コンダクタンス変動ピークが決定され、カウントされ、ピークの数が予め定義された閾値レベルを上回ると決定されると、方法は確立ステップ150に進む。確立ステップ150において、正常な神経活動が得られ成功したとして確立される。
【0056】
有利には、解析ウィンドウは、約15秒から60秒の時間的長さを有する。特に有利には、解析ウィンドウの長さは約15秒である。
【0057】
ステップ150で正常な神経活動が成功したと確立されたとき、この方法は、終了ステップ160で終了してもよいし、あるいは、開始ステップ110から繰り返してもよい。
【0058】
決定ステップ140において、解析ウィンドウ内で皮膚コンダクタンス変動ピークが正常であると決定された場合、測定ステップ120、計算ステップ130、決定ステップ140を繰り返してもよい。
【0059】
図2は、第2の態様における、対象の正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。対象は、この例においても、ヒトの患者である。あるいは、対象は、ヒトの非患者又は動物であってもよい。
【0060】
この例の文脈では、ヒトの患者における正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法には、臨床環境における正常な神経活動の達成が成功しているかを決定するステップが含まれる。
【0061】
この方法は、開始ステップ210で開始する。
【0062】
本方法は、皮膚電気活動を測定する測定ステップ220を含み、測定された皮膚電気活動は皮膚コンダクタンスである。代替的な態様では、皮膚電気活動は、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応又は皮膚コンダクタンスレベルであってもよい。
【0063】
本方法はさらに計算ステップ230に進み、皮膚コンダクタンスレベル又は皮膚コンダクタンス変動の立ち上がり時間が計算される。
【0064】
本方法は更に、決定ステップ240に進む。決定ステップ240では、予め定義された閾値レベルにしたがって、解析ウィンドウ内で立ち上がり時間が減少又は増加するとき、方法は確立ステップ250に進む。
【0065】
確立ステップ250では、正常な神経活動が得られたか、成功したとして確立される。
【0066】
有利には、解析ウィンドウは、約15秒から60秒の時間的長さを有する。特に有利には、解析ウィンドウの長さは約15秒から30秒である。
【0067】
ステップ250で正常な神経活動が成功したと確立されたとき、この方法は、終了ステップ260で終了してもよいし、あるいは、開始ステップ210から繰り返してもよい。
【0068】
決定ステップ240において、平均皮膚コンダクタンスレベル又は変動の、立ち上がり時間が減少又は増加しない場合、測定ステップ220、計算ステップ230及び決定ステップ240を繰り返すことができる(図示せず)。
【0069】
図3は、第3の態様における、対象の正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
【0070】
また、この例では、対象はヒトの患者である。あるいは、対象は、ヒトの非患者又は動物であってもよい。この例の文脈において、ヒトの患者における正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法は、臨床環境において皮膚コンダクタンス活動を用いて正常な神経活動の達成が成功したかを決定するステップを含む。
【0071】
この方法は、開始ステップ310で開始する。
【0072】
本方法は、皮膚電気活動を測定する測定ステップ320を含む。測定された皮膚電気活動は皮膚コンダクタンスである。代替的な態様では、皮膚電気活動は、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応又は皮膚コンダクタンスレベルであってよい。
【0073】
本方法は更に計算ステップ330に進み、解析ウィンドウにおける皮膚コンダクタンス変動下の面積が計算される。
【0074】
本方法は、更に、決定ステップ340に進む。決定ステップ340において、皮膚コンダクタンス変動下の面積が解析ウィンドウ内のある予め定義された閾値を超えて増加するとき、方法は確立ステップ350に進む。
【0075】
確立ステップ350では、正常な神経活動が得られたか、成功したとして確立される。
【0076】
有利には、解析ウィンドウは、約15秒から60秒の時間的長さを有する。特に有利には、解析ウィンドウの長さは約15秒である。
【0077】
ステップ350で正常な神経活動が成功したと確立されたとき、この方法は終了ステップ360で終了してもよいし、あるいは、開始ステップ310から繰り返してもよい。
【0078】
決定ステップ340では、解析ウィンドウにおいて皮膚コンダクタンス変動下の面積がある予め定義された閾値を超える場合、測定ステップ320、計算ステップ330、決定ステップ340を繰り返してもよい(図示せず)。
【0079】
図4は、第4の態様における、対象の正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法を示す概略フローチャートである。
【0080】
また、この例では、対象はヒトの患者である。あるいは、対象は、ヒトの非患者又は動物であってもよい。この例の文脈において、ヒトの患者における正常な神経活動の有効性をモニタリングする方法は、臨床環境において皮膚コンダクタンス活動を用いて正常な神経活動の達成が成功したかを決定するステップを含む。
【0081】
この方法は、開始ステップ410で開始する。
【0082】
本方法は、皮膚電気活動を測定する測定ステップ420を含む。測定された皮膚電気活動は皮膚コンダクタンスである。代替的な態様では、皮膚電気活動は、電気皮膚反応、皮膚電気反応、精神電流反射、皮膚コンダクタンス反応、交感神経皮膚反応又は皮膚コンダクタンスレベルであってもよい。
【0083】
本方法は更に計算ステップ430に進み、解析ウィンドウにおける皮膚コンダクタンス変動の振幅が計算される。
【0084】
本方法は更に決定ステップ440に進む。決定ステップ340において、皮膚コンダクタンス変動の振幅が解析ウィンドウ内のある予め定義された閾値を超えて増加するとき、方法は確立ステップ450に進む。
【0085】
確立ステップ450では、正常な神経活動が得られたか、成功したとして確立される。
【0086】
有利には、解析ウィンドウは、約15秒から60秒の時間的長さを有する。特に有利には、解析ウィンドウの長さは約15秒である。
【0087】
ステップ450で正常な神経活動が成功したと確立されたとき、この方法は終了ステップ460で終了してもよいし、あるいは、開始ステップ410から繰り返してもよい。
【0088】
決定ステップ440では、解析ウィンドウにおいて皮膚コンダクタンス変動の振幅がある予め定義された閾値を超える場合、測定ステップ420、計算ステップ430、及び決定ステップ440を繰り返してもよい(図示せず)。
【0089】
図1を参照して前述してきたように、皮膚コンダクタンスの曲線下面積、変動の立ち上がり時間及び変動の振幅を計算する計算ステップは、時間単位当たりの皮膚コンダクタンス変動ピークを計算するステップと組み合わされる。
【0090】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法及び態様のいずれにおいても、皮膚コンダクタンスのモニタリングを、対象の体全体に行ってもよい。
【0091】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法及び態様のいずれにおいても、交感神経の正常な神経活動が結論付けられる。
【0092】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法のいずれにおいても、正常な神経活動を得て、定義することができる。正常な神経活動は、予め対象(例えば、ヒトの患者)によって定義されてもよい。すなわち、皮膚交感神経の有効性を評価又はモニタリングする方法の一部としてではなく、正常な神経活動を定義することができる。
【0093】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法のいずれにおいても、正常な神経活動を皮膚レベルで評価又は測定することができる。
【0094】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法のいずれにおいても、手首の掌側、掌、足首部、膝背部、又は足の足底部を含むがこれらに限定されない四肢の種々の位置において、正常な神経活動を評価又は測定することができる。
【0095】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法のいずれかは、正常な神経活動を評価又は測定するための追加の方法を使用し、当該追加の方法を更に備えてもよい。このような追加の方法は、片側温度測定モニタリング(unilateral thermometry monitoring)、両側比較温度測定モニタリング(bilateral comparative thermometry monitoring)、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0096】
図1、2、3及び/又は4を参照して上述した方法のいずれにおいても、2つ以上の四肢で皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を評価又は測定することができる。この場合、神経遮断又は神経損傷を有する1つの四肢と、神経遮断又は神経損傷を有さない1つの四肢又は複数の四肢との皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を比較してもよい。
【0097】
開示された方法のいずれかは、正常な神経活動が評価又は測定されて正常と定義されたときに活性化される皮膚電気活動を刺激するステップを更に備えていてもよい。あるいは、このような皮膚電気活動を刺激するステップは、該方法とは別に、例えば、該方法が実施される前に行われてもよい。後者の場合、皮膚電気活動を刺激するステップは、対象の正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法の一部ではない。皮膚コンダクタンス活動を評価する四肢に刺激を与えるべきではない。
【0098】
図5は、対象の正常な皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする目的で使用することができる装置を示す概略ブロック図である。
【0099】
装置は、プロセッサ、メモリ、第1のI/Oデバイス及び第2のI/Oデバイス、並びに任意選択で通信アダプタに相互接続された内部バスを含む。通信アダプタは、例えば、装置と外部コンピュータ、ネットワーク、又はシステムとの間の通信を可能にするものとできる。第1のI/Oデバイスは、ユーザインターフェースに相互接続されており、これによって、キーボード、及び/又はキー、スイッチなどの入力デバイスを介して装置に入力データを提供することを含み、ユーザによる装置の操作が可能となる。第2のI/Oデバイスは、測定デバイスに接続されている。測定デバイスは、対象の皮膚電気活動を測定するように、特に、ヒトの患者の皮膚の領域の皮膚コンダクタンスを測定するように適合されている。
【0100】
本明細書に開示されてきた、特に上記の図1、2、3及び4を参照して説明したように、対象(例えばヒトの患者)における正常な神経活動を評価又はモニタリングする方法を、有利には、装置内のバスに相互接続されているメモリに格納することができる一連の処理命令、すなわちコンピュータプログラムとして実装してもよい。したがって、処理命令が装置内のプロセッサによって実行されると、装置は、本開示に係る正常な皮膚交感神経活動を評価及びモニタリングする方法を実施する。
【0101】
図6は、方法及び装置の更なる可能な態様を示す概略ブロック図である。
【0102】
図6に示すように、装置を、例えば通信ケーブルを介してディスプレイを有するPCに相互接続してもよい。また、装置を、電極ケーブルとして図示された接続を介して、電極及び刺激デバイスに接続することもできる。図示されているように、相互接続された刺激デバイスは、対象に音刺激を与えるオーディオ機器、及び/又は対象に電気刺激を与える電極を含んでもよい。皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を測定するために対象(患者)に装着される電極も図示されている。
【0103】
刺激デバイスを、対象(例えば、患者)の皮膚電気活動を刺激するように配置することができる。皮膚電気活動を評価するために、正常な神経活動を試験しなければならないとき、皮膚電気反応を確保するための刺激デバイスを付加的なオプションとして使用することができる。この刺激デバイスは、対象に1つ又は複数の皮膚電気反応を生じさせる、ある一定の強さのセンサ刺激デバイスであるものとする。刺激は、例えば、音、圧力、電気、光、又は匂いなどの刺激とできる。
【0104】
図7は、方法及び装置の更なる可能な態様を示す概略ブロック図である。電気刺激デバイスは、皮膚交感神経活動を評価する場所とは別の四肢にあるものとする。
【0105】
図7に示すように、複数の四肢から測定された皮膚電気活動を用いて、対象(ヒトの神経系として図示)の正常な皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする配置において装置を使用する。
【0106】
とりわけ、図7の機能により、2つ以上の四肢の皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を評価又は測定することが可能となる。ここで、正常な神経活動を有する1つの四肢の皮膚電気活動と、正常な皮膚交感神経活動を試験すべき1つ又は複数の四肢の皮膚電気活動とを評価又は測定することができる。
【0107】
図7に示すように、ヒトの両手における皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を測定するために、別々の電極が配置されている。任意選択で、ヒトの両足の皮膚電気活動(例えば皮膚コンダクタンス)を測定するために、点線で示すように電極を配置することもできる。電極は装置に接続されている。装置は更に、通信ケーブルを介してPCやディスプレイと接続されている。
【0108】
図7に示す配置は、1つの四肢における正常な皮膚交感神経活動の影響を評価/モニタリングするための追加の機能を提供する。臨床的な評価に使用されない1つ又は複数の四肢は、正常な神経活動について試験される四肢のコントロールとして機能する。
【0109】
図8は、測定配置の態様の図である。
【0110】
図8は、対象の四肢、すなわち、ヒトの患者の足を示す。患者の足裏の皮膚には3つの電極が取り付けられている。電極は、それぞれ、電流(C)電極、リファレンス(R)電極、測定(M)電極である。電極は、自己粘着電極とできる。これらは、電極ケーブルによって、本明細書に開示されるように、患者の正常な神経活動の有効性を評価又はモニタリングする方法を実施するように構成することができる装置に相互接続される。
【0111】
図8では3つの電極配置を示したが、皮膚電気反応、電気皮膚反応、皮膚抵抗又は皮膚コンダクタンスなどの皮膚電気活動を測定するために用いられる電極は2つの電極配置であることに留意されたい。
【0112】
図9は、装置の更なる態様を示す概略ブロック図である。
【0113】
図9は、使用中の装置及びこれと相互接続されたデバイスの概観である。装置1は、電極ケーブル2を介して、対象(例えば、患者)の皮膚電気活動を測定するための電極と相互接続されている。示された3つの電極の配置は、患者の皮膚の一部において皮膚コンダクタンスを測定するのに適している。装置は、主電源ケーブル6を備える電源4によって給電される。通信ケーブル3は、装置1、及び、ディスプレイとスタンド10とを備えたPC7を相互接続する。PCを、主電源ケーブル9を備える電源8によって給電することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体対象の正常な皮膚交感神経活動を評価又はモニタリングする方法であって、
前記対象は皮膚を有し、
前記方法は皮膚電気活動を評価又は測定するステップを含み、
評価又は測定される前記皮膚電気活動は、皮膚コンダクタンスであり、
前記皮膚コンダクタンスを、時間単位あたりの皮膚コンダクタンス変動ピークを計算することによって評価又は測定し、
前記皮膚コンダクタンス変動の数が、解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベル以上であるとき、前記皮膚交感神経活動を評価し、取得し、成功又は正常であると定義し、
前記予め定義された閾値レベルは、0.13皮膚コンダクタンス変動/秒である、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間又は前記皮膚コンダクタンス変動の計算によって評価又は測定し、
前記立ち上がり時間が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルにしたがって減少又は増加するとき、前記皮膚交感神経活動を評価し、取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項3】
請求項記載の方法であって、
前記予め定義された閾値レベルは時間あたり0.02マイクロジーメンスである、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、前記変動下の面積を計算することによって評価又は測定し、
前記面積が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルを有するとき、前記皮膚交感神経活動を評価又は取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記予め定義された閾値が2マイクロジーメンス秒である、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを、前記皮膚コンダクタンス変動の振幅を計算することによって評価又は測定し、
前記皮膚コンダクタンス変動の平均振幅が、前記解析ウィンドウにおいて予め定義された閾値レベルを有するとき、前記皮膚交感神経活動を評価又は取得し、成功又は正常と定義する、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記予め定義された閾値レベルが0.02マイクロジーメンスである、方法。
【請求項8】
請求項のいずれか一項に記載の方法であって、
前記解析ウィンドウの長さが15秒から60秒である、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、
前記解析ウィンドウの長さが約15秒である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記皮膚コンダクタンスを前記対象の体全体で測定する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象が動物である、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象がヒトである、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、
前記皮膚交感神経活動は、皮膚コンダクタンス変数の全て又は一部が、1秒あたりの皮膚コンダクタンス変動、皮膚コンダクタンス変動の振幅、皮膚コンダクタンス変動下の面積、及び平均皮膚コンダクタンスレベルの立ち上がり時間の変化からなる群から選択される混合神経活動に関するものである、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を、前記神経が損傷、毒又は神経遮断剤によって妨害されていないときに取得する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経を前記対象の皮膚レベルで評価又は測定する、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、
前記対象の四肢、前記対象の手首の掌側、前記対象の掌、前記対象の足首部、又は前記対象の足底部において、前記正常な皮膚交感神経活動を評価又は測定する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を評価又は測定するための追加工程の使用を更に備え、
前記追加工程を、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択さする、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記対象の2つ以上の四肢の前記皮膚電気活動を評価又は測定し、
神経が損傷又は遮断した1つの四肢と神経が損傷又は遮断していない1つ又は複数の四肢との前記皮膚電気活動を比較する、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、
前記正常な皮膚交感神経活動を取得あるいは成功したと評価又は測定した前記対象の皮膚電気活動を刺激するステップを更に含む、方法。
【請求項20】
装置であって、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項21】
請求項20記載の装置であって、
前記装置は、コンピュータ又は携帯電話へのBluetooth(登録商標)接続を有する無線センサを備え、
信号はコンピュータソフトウェアアプリケーションを通じて処理され、
前記装置は無線技術を通じて他のコンピュータ、又はコンピュータソフトウェアプログラムを有するモバイルデバイス若しくはタブレットに無線情報を送信できる、装置。
【請求項22】
請求項20に記載の装置であって、
電極を有する測定ボックスと、任意のコンピュータタブレット上に表示されるコンピュータソフトウェアとを備える、装置。
【請求項23】
請求項20に記載の装置であって、
前記装置は、加速度計とともに使用するように構成されており、
前記加速度計は、動きに関する情報を通知し、アーティファクトの動きに関する情報を与える、装置。
【請求項24】
請求項20記載の装置であって、
前記装置は、前記正常な神経活動を評価することができる別の工程を実施するように更に構成され、
前記追加工程は、片側温度測定モニタリング、両側比較温度測定モニタリング、パルスオキシメトリプレチスモグラフィーにおける波形振幅の変化、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、装置。
【請求項25】
請求項20記載の装置であって、
前記装置は、2つ以上の四肢の皮膚電気活動を評価して、正常な皮膚交感神経活動を有する1つの四肢と正常な皮膚交感神経活動を有しない1つ又は複数の四肢とを比較するように構成される、装置。
【請求項26】
請求項20記載の装置であって、
前記装置は、痛みや覚醒のような臨床評価に使用できる前記神経活動を定義するために、前記正常な皮膚交感神経活動の時の情報を与えるように構成された皮膚電気活動刺激デバイスを更に備える、装置。
【国際調査報告】