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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】改良された放射線遮蔽ガラス物品
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230725BHJP
   C03C 3/07 20060101ALI20230725BHJP
   C03C 3/072 20060101ALI20230725BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20230725BHJP
   G21F 1/06 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C3/07
C03C3/072
C03C27/06 101A
G21F1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500365
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2021040438
(87)【国際公開番号】W WO2022010841
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/048,416
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バロン,ピエール-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】フレドホルム,ミシェル マリー-ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジニア,マイケル ルシアン
(72)【発明者】
【氏名】インゴルド,シャルロット アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ラフォルグ,ヴァレリー マリー ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル,ケヴィン ロベール クロード
(72)【発明者】
【氏名】パナール,ルドヴィック ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】トリボドー,ウィルフリード ギー マルセル
【テーマコード(参考)】
4G061
4G062
【Fターム(参考)】
4G061AA02
4G061AA09
4G061AA25
4G061BA01
4G061BA10
4G061CB03
4G061CB06
4G061CB13
4G061CB16
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD18
4G061CD21
4G062AA01
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4G062DA05
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4G062DB02
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4G062DC01
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4G062DC03
4G062DD01
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4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM40
4G062NN14
4G062NN35
(57)【要約】
透過率を向上させる薄型ガラス面板を含む放射線遮蔽ガラス物品が開示される。放射線遮蔽ガラス物品は、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含み、第1の薄型ガラス面板の第1の面または第2の面のうちの一方は、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板は、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板は、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、
第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板と
を含む、放射線遮蔽ガラス物品であって、
前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の前記第1の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面に接合されており、前記第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である、放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項2】
前記第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.1mmを超え1.0mm未満である、請求項1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項3】
前記放射線遮蔽ガラスが、3.5mm~60mmの厚さを有する、請求項1または2記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項4】
前記放射線遮蔽ガラスが、SiO 10~35質量%、PbO 50~80質量%、B 0~10質量%、Al 0~10質量%、BaO 0~20質量%、SrO 0~10質量%、SrO+BaOの合計 0~20質量%、NaO 0~10質量%、KO 0~10質量%、およびSb 0~0.8質量%を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項5】
前記放射線遮蔽ガラスと前記第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、前記第1の接合剤が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面と前記第1の薄型ガラス面板の前記第2の面との間に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項6】
前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面と、前記第1の接合剤と、前記第1の薄型ガラス面板の前記第2の面とによって画定される第1のキャビティをさらに含み、前記第1のキャビティが、(a)ポリマー材料かまたは(b)流体のうちの一方で充填されており、ここで、前記ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つであり、前記流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである、請求項5記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項7】
前記第1の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有し、かつ前記イオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項8】
第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の前記第2の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面に接合されており、前記第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である、請求項1から7までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項9】
前記放射線遮蔽ガラスと前記第2の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第2の接合剤をさらに含み、前記第2の接合剤が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面と前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面との間に配置されている、請求項8記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項10】
前記放射線遮蔽ガラスの第2の面と、第2の接合剤層と、前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面とによって画定される第2のキャビティをさらに含み、前記第2のキャビティが、(a)ポリマー材料かまたは(b)流体のうちの一方で充填されており、ここで、前記ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つであり、前記流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである、請求項9記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項11】
前記第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.1nmを超え1.0mm未満である、請求項8から10までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【請求項12】
イオン交換面を有する前記第2の薄型ガラス面板が、600を超えるビッカース硬さを有し、かつ前記イオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する、請求項8から11までのいずれか1項記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2020年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/048,416号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、放射線遮蔽ガラス物品であって、特に、透過率を向上させるとともに、摩耗、引掻き、および洗浄剤による繰り返しの洗浄などの損傷に耐えることができ、かつ抗菌性を提供する表面を有する薄型ガラス面板を含む放射線遮蔽ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線遮蔽材料はよく知られており、有害な放射線から人員や敏感な機器を遮蔽するために多くの用途で用いられている。多くの用途において、X線またはガンマ線の遮蔽は、特定のエネルギーレベルのX線またはガンマ線を遮断するために使用される特定の厚さの金属鉛(Pb)板材によって提供されている。光学的な透明性が必要な場合は、高PbO含有ガラスが使用されることが多い。用途としては、レントゲン室の覗き窓、医療診断用スクリーン、実験室の保護窓、安全ゴーグルのレンズ、およびX線スクリーンを用いた工業的適用が挙げられる。このような放射線遮蔽ガラスの1つは、X線およびガンマ線遮蔽用のCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassの商標で出願人から容易に入手可能であり、これは4.8g/cmの密度を有し、用途に合わせて厚さを変化させた種々の形状、通常は矩形で製造されている。
【0004】
市販のCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glass遮蔽ガラス体は、高PbO含有ガラスから製造されている。原料を準備し、溶融し、成形し、冷却して透明なガラス塊状物とする。このガラス塊状物にさらに切断、鋸引きおよび研削の加工を施すことにより、このガラス塊状物が特に希望する形状の物体に成形される。Corning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glass遮蔽ガラス体の厚さは、用途に必要なX線またはガンマ線の防護によって異なる。Corning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glass遮蔽ガラス体は、3.5mm~60mmの厚さで製造されている。透明な放射線遮蔽ガラス体として使用するためには、Corning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glass遮蔽ガラス体をさらに、製造時にCeOスラリーで研磨して表面欠陥を低減させる。
【0005】
高PbO含有ガラスは、鉛含有量が高いため、酸やアルカリによる汚染を非常に受け易く、湿度の高い環境で使用する場合、構造上または表面上の永久的な損傷が起こりかねず、それによって物体の透明性が低下する。さらに、高PbO含有ガラスは比較的軟質であり、接触により容易に損傷する。透明な放射線遮蔽ガラス体に、より硬い物体が偶発的および意図的に機械的に接触することで、表面に損傷が生じることがよくある。さらに、頻繁に表面を洗浄すると引掻き傷や小傷が生じ、偶発的な機械的衝撃による損傷は、壊滅的な構造的亀裂を生じさせる可能性がある。したがって、放射線遮蔽ガラス体は、使用に際して、より高い透過率、湿度の高い環境、洗浄剤による繰り返しの洗浄による機械的摩耗もしくは引掻き、機械的衝撃による損傷に耐え得るか、または使用時に抗菌性を必要とする表面の所有を必要とし得る、特定のグレージング用途には適していない。
【0006】
特許文献1には、特定の望ましい特性を有する放射線遮蔽ガラス物品を形成するために、放射線遮蔽ガラスに少なくとも1つの追加層が追加された積層放射線遮蔽ガラス物品が記載されている。特許文献1には、耐放射線性Med-Xガラスの単層にソーダライムガラス層を積層したものからなる高断熱性または高耐火性の積層体が記載されており、この積層体は、これらのガラス層間に、防火性グレージングを形成するために使用される耐火性を付与する材料の接合層を有する。一般的に使用される中間層材料は、イントメッセント材料、エポキシ樹脂材料およびヒドロゲル(水性透明ゲルとしても知られる)-有機、無機またはこれら2種の混合物-であり、これらは半透明なグレージングの製造に使用される。このような積層体の利点は、火炎に曝されると、ケイ酸ナトリウム水和物層中の結合水が放出され、中間層が発泡し、材料が多孔質の不透明な塊状物に変化し、この塊状物が遮熱体として非常に有効であることである。この発泡体は、従来の中間層(例えばポリビニルブチラール(PVB))よりも長期にわたって積層体の構造的完全性の維持を支援し、それによってガラスの非火炎側への火炎の伝播に対する障壁が維持される。具体的な例としては、7.5mmのMed-Xガラス、0.5mm~2.5mmのイントメッセント層(ヒドロゲル)、次いで2.6mmのソーダライムフロートガラスの3層構造が挙げられる。
【0007】
日本電気硝子株式会社に帰属する特許文献2には、放射線遮蔽性が向上した軽量のガンマ線遮蔽積層体が記載されている。該出願に記載された向上は、日本電気硝子株式会社の55~80%のPbOを含む高PbOモノリシックガラスを超えるものである。この向上は、特に、BaOおよびSrOの含有量を高めたカバープレート材料を加えることで実現されている。カバープレートのBaOおよびSrOの含有量は、ベースとなる高PbO放射線遮蔽ガラス層と組み合わせたときに、さらなる放射線遮蔽性を提供する。記載された特定の積層体は5層構造からなり、55~80%のPbOを含む高PbOガラスの中心コアの両面に、PVB樹脂により、BaOおよびSrOの含有量が2~13%であるカバープレート材料が接着されている。該出願には、厚さ1mm~4mmの面板が教示されており、厚さ1mm未満のカバープレートを選択した場合、板ガラスの保護レベルの向上には不十分であると教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004087414号
【特許文献2】特開2008-286787号公報
【発明の概要】
【0009】
本開示の第1の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である。
【0010】
本開示の第2の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.8mm未満である。
【0011】
本開示の第3の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.5mm未満である。
【0012】
本開示の第4の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.1mmを超え1.0mm未満である。
【0013】
本開示の第5の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラスが、3.5mm~60mmの厚さを有する。
【0014】
本開示の第6の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラスが、SiO 10~35質量%、PbO 50~80質量%、B 0~10質量%、Al 0~10質量%、BaO 0~20質量%、SrO 0~10質量%、SrO+BaOの合計 0~20質量%、NaO 0~10質量%、KO 0~10質量%、およびSb 0~0.8質量%を含む。
【0015】
本開示の第7の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラスが、SiO 10~35質量%、PbO 55~80質量%、B 0~10質量%、Al 0~10質量%、BaO 0~10質量%、SrO 0~10質量%、SrO+BaOの合計 0~20質量%、NaO 0~10質量%、およびKO 0~10質量%を含む。
【0016】
本開示の第8の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含む。
【0017】
本開示の第9の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されている。
【0018】
本開示の第10の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されており、第1の接合剤が、ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)である。
【0019】
本開示の第11の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されており、第1の接合剤が、低融点ガラスフリットである。
【0020】
本開示の第12の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスに熱接合されている。
【0021】
本開示の第13の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されており、第1の接合剤が、低融点ガラスフリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と、第1の接合剤と、第1の薄型ガラス面板の第2の面とによって画定される第1のキャビティをさらに含む。
【0022】
本開示の第14の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されており、第1の接合剤が、低融点ガラスフリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と、第1の接合剤と、第1の薄型ガラス面板の第2の面とによって画定される第1のキャビティをさらに含み、第1のキャビティが、ポリマー材料で充填されており、ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つである。
【0023】
本開示の第15の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含み、第1の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と第1の薄型ガラス面板の第2の面との間に配置されており、第1の接合剤が、低融点ガラスフリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第1の面と、第1の接合剤と、第1の薄型ガラス面板の第2の面とによって画定される第1のキャビティをさらに含み、第1のキャビティが、流体で充填されており、流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである。
【0024】
本開示の第16の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラス物品が、80%を超えるY D65透過率を有する。
【0025】
本開示の第17の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラス物品が、80%を超える透過率を有し、該透過率が、450nm~800nmのスペクトル帯域全体で維持される。
【0026】
本開示の第18の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板が、530を超えるビッカース硬さを有する。
【0027】
本開示の第19の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有する。
【0028】
本開示の第20の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第1の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有し、かつイオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する。
【0029】
本開示の第21の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である。
【0030】
本開示の第22の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスと第2の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第2の接合剤をさらに含む。
【0031】
本開示の第23の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されている。
【0032】
本開示の第24の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されており、第2の接合剤が、ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)である。
【0033】
本開示の第25の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されており、第2の接合剤が、低温溶融フリットである。
【0034】
本開示の第26の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスに熱接合されている。
【0035】
本開示の第27の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されており、第2の接合剤が、低温溶融フリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と、第2の接合剤層と、第2の薄型ガラス面板の第1の面とによって画定される第2のキャビティをさらに含む。
【0036】
本開示の第28の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されており、第2の接合剤が、低温溶融フリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と、第2の接合剤層と、第2の薄型ガラス面板の第1の面とによって画定される第2のキャビティをさらに含み、第2のキャビティが、ポリマー材料で充填されており、ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つである。
【0037】
本開示の第29の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の接合剤が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と第2の薄型ガラス面板の第1の面との間に配置されており、第2の接合剤が、低温溶融フリットであり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、放射線遮蔽ガラスの第2の面と、第2の接合剤層と、第2の薄型ガラス面板の第1の面とによって画定される第2のキャビティをさらに含み、第2のキャビティが、流体で充填されており、流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである。
【0038】
本開示の第30の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.8mm未満である。
【0039】
本開示の第31の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.5mm未満である。
【0040】
本開示の第32の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.1nmを超え1.0mm未満である。
【0041】
本開示の第33の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラス物品が、80%を超えるY D65透過率を有する。
【0042】
本開示の第34の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、放射線遮蔽ガラス物品が、80%を超える透過率を有し、該透過率が、450nm~800nmのスペクトル帯域全体で維持される。
【0043】
本開示の第35の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板が、530を超えるビッカース硬さを有する。
【0044】
本開示の第36の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、第2の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有する。
【0045】
本開示の第37の実施形態によれば、第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板とを含む放射線遮蔽ガラス物品であって、前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の第1の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第1の面に接合されており、第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、前記放射線遮蔽ガラス物品が、第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、第2の薄型ガラス面板の第1の面が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の第2の薄型ガラス面板が、放射線遮蔽ガラスの第2の面に接合されており、第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方であり、イオン交換面を有する第2の薄型ガラス面板が、600を超えるビッカース硬さを有し、かつイオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面に記載された実施形態は、本質的に説明および例示のためのものであり、特許請求の範囲によって定められる主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号で示される以下の図面と併せて読むと理解することができる。
図1】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による3層の放射線遮蔽ガラス物品を概略的に示す図である。
図2】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による5層の放射線遮蔽ガラス物品を概略的に示す図である。
図3】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による均一な厚さを有するが非均一な面状接合領域を有する3層の放射線遮蔽ガラス物品を概略的に示す図である。
図4】本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるさらなる3層の放射線遮蔽ガラス物品を概略的に示す図である。
図5】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による様々な厚さの放射線遮蔽ガラス物品の透過率測定値をグラフにより示す図である。
図6】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による様々な厚さの放射線遮蔽ガラス物品の透過率測定値を、同様の厚さの市販の放射線遮蔽ガラスであるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassと比較してグラフにより示す図である。
図7】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による放射線遮蔽ガラス物品の透過率測定値を、同様の厚さの市販の比較例1およびコーニング社の比較例2と比較してグラフにより示す図である。
図8】A、B、CおよびDは、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による放射線遮蔽物品、比較例1、コーニング社の比較例2および比較例3についてのベイヤー摩耗試験の結果を写真により示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、添付図面に例示されている放射線遮蔽物品の実施形態について詳細に言及する。同一または類似の構成要素を参照するために、図面全体にわたって可能な限り同一の参照符号が使用される。
【0048】
本明細書で使用する場合、「放射線遮蔽」とは、高エネルギー電磁放射線、特にX線およびガンマ線を遮断または吸収する能力を意味する。標準吸収当量レベルは、Pb金属のミリメートル当量(mm Pb)で測定および表示される。
【0049】
本明細書で使用する場合、「可視」および「可視光」は、400nm~800nmの電磁スペクトル帯域内の光を意味する。
【0050】
本明細書で使用する場合、「透過率」とは、固体、液体または気体の媒体に衝突する入力光の量と、固体、液体または気体を通過する光の量との測定比を意味する。
【0051】
本明細書で使用する場合、「抗菌ガラス」とは、JIS Z 2801(2000)試験条件における細菌(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、およびシュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa))の濃度の対数減少値が5であるか、または修正されたJIS Z 2801(2000)試験条件における細菌の濃度の対数減少値が3であることにより定義される抗菌効果によって特徴づけられる表面を有するガラス物品を意味する。
【0052】
本明細書で使用する場合、「化学強化」および「イオン交換」(「IOX」とも略記)は、ガラスマトリックス内のある元素を、溶融塩浴によってガラスマトリックスに供給される別のより大きな元素またはイオンと交換するプロセスを意味する。イオン交換プロセスでは、加熱されたKCl塩浴由来のより大きなカリウム(K)イオンが、溶融塩浴内に配置されたガラス表面の表面層に含まれるより小さなナトリウム(Na)イオンと置き換えられる。イオン交換プロセスは、ガラス物体の強度を向上させるように設計されている。
【0053】
本明細書で使用する場合、「熱接合」とは、接合されるガラス層間に強い結合を形成するのに十分な熱および/または圧力を加えることによって、隣接する層を接続するプロセスを意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「接合剤」とは、ガラス層間の接着を促進するように作用する、または1つ以上のガラス層間に遷移層を提供し得る材料を意味する。接合剤は、PVBやEVAなどの有機物であってもよいし、低融点ガラスフリットなどの無機物であってもよい。
【0055】
上述のように、放射線遮蔽ガラス体は、より高い透過率、湿度の高い環境、機械的摩耗もしくは引掻き、洗浄剤による繰り返しの洗浄、機械的衝撃による損傷に耐え得る表面の所有を必要とするか、または使用時に抗菌性を必要とする特定のグレージング用途には適していない。
【0056】
これらの問題に対処するために、透過率の向上、洗浄性の向上、引掻き、摩耗または衝撃による損傷のし易さの低減の組み合わせを提供する有利な放射線遮蔽ガラス物品が創作された。さらに、透過率の向上、洗浄性の向上、引掻き、摩耗または衝撃による損傷のし易さの低減の組み合わせを提供しつつ、効果的な抗菌性をも提供することができる有利な放射線遮蔽ガラス物品が創作された。
【0057】
各実施例には、特許請求される放射線遮蔽ガラス物品を表す様々な層配置構成が存在する。放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)が、図1図2図3および図4に図示されている。各放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)は、1層以上の放射線遮蔽ガラスCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassと、1層以上の薄型ガラス面板とを含む。いくつかの例では、放射線遮蔽ガラスと薄型ガラス面板とが接合剤で接合されており、他の事例では、放射線遮蔽ガラスと薄型ガラス面板とが、接合剤なしで接合されている。
【0058】
各図は、放射線遮蔽ガラス(1)であるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassを示し、この放射線遮蔽ガラス(1)は、第1の面(1a)と、第1の面に対向する第2の面(1b)とを有し、第1の面(1a)と第2の面(1b)との間に厚さ(T)を有する。第1の面(1a)および第2の面(1b)はそれぞれ、平滑に研磨された面を有していた。選択された放射線遮蔽ガラス(1)であるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassの特定の厚さは、特定の用途の技術的必要性および必要な高エネルギー放射線(X線またはガンマ線)遮断のレベルを満たすために、いくつかの要因に依存する。必要とされる放射線遮蔽ガラスの厚さが用途によって異なることは明らかである。レントゲン室の覗き窓、医療診断用スクリーン、実験室の保護窓、安全ゴーグルのレンズ、および工業的なX線スクリーニングの適用といった様々な用途において、3.5mm~60.0mmの厚さがあれば、X線やガンマ線の防護の提供に十分であることが判明している。
【0059】
各図はさらに、第1の面(3a)と、第1の面に対向する第2の面(3b)とを有する薄型ガラス面板(3)を含み、この薄型ガラス面板は、本出願人が製造および販売する板ガラスのいくつかの系列のうちの1つから選択されたものである。製造された薄型ガラス面板用の板材は、研磨を必要としない元来の表面を有し、2200mm×3150mmまでのサイズで製造されている。板ガラスはすべて、コーニング社により特許取得されたフュージョンオーバーフロー成形プロセスを用いて製造されており、このプロセスにより、厚さが非常に均一で、機械的研磨の使用を必要としない平滑な表面を有する薄型板ガラスが製造される。フュージョンオーバーフロー成形プロセスによって生じる典型的な厚さは、約0.1mm以上約2.0mm以下である。米国特許第3338696号明細書や米国特許第3682609号明細書から始まり、米国特許第7386999号明細書や米国特許第8490432号明細書などの多くの後の改良版に至るまでのフュージョンオーバーフロー成形プロセスに関連する多くのコーニング社特許を参照することができる。
【0060】
薄型ガラス面板の例示的な品種の1つとして、本出願人がCorning(登録商標)Architectural Technical Glazing(ATG)として製造および販売するアルカリボロアルミノシリケートガラスから製造されるものが挙げられる。
【0061】
薄型ガラス面板のもう1つの例示的な品種は、本出願人が商標Gorilla(登録商標)Glassとして販売するナトリウムアルミノシリケートガラスから製造したものである。市販のGorilla Glassの品種の1つ、具体的にはガラスコード2319を使用した。Gorilla Glassを、形成されたまま直接使用することも可能であるし、Gorilla Glassをイオン交換プロセスに供して本発明の薄型ガラス面板の機械的特性をさらに向上させることも可能である。
【0062】
薄型ガラス面板のもう1つの例示的な品種は、イオン交換可能であり、ガラスコード2320の抗菌ガラスとして本出願人が販売するナトリウムアルミノシリケートガラスから製造したものである。抗菌ガラスがAgCl塩浴内でイオン交換されると、NaイオンがAgイオンに交換される。イオン交換プロセスによって、形成されたそのままの状態のナトリウムアルミノシリケート板ガラスの特性が変更され、薄型ガラス面板の機械的特性が向上するとともに、特定の有害な微生物と破壊的に相互作用する所望の抗菌性が提供される。
【0063】
薄型ガラス面板は、フュージョンオーバーフロープロセスによって製造された、製造されたそのままの状態の大きな板ガラスから得られる。この製造されたそのままの状態の板ガラスを、商業的に知られているスコアブレイク技術により切断することで、最終的に接合する放射線遮蔽ガラスのサイズに適合した特定の寸法の薄型ガラス面板用の板材とする。スコアブレイク技術は非常に一般的であるが、場合によっては他の既知のプロセスを使用する方が有利なこともある。代替手段の1つが、より大きな前駆体板ガラスをアブレーション加工するかまたは穿孔するための損傷を誘発するレーザの使用であり、これにより、本願の放射線遮蔽ガラス物品に使用する薄型ガラス面板を得るための望ましい手段が提供される。より大きな板ガラスから薄型ガラス面板を得るための記載された手段は、文献に記載された多数のもののうちのごく一部に過ぎず、決してこれらに限定されるものと考えるべきではない。
【0064】
先に述べたように、薄型ガラス面板用の板材の成形に使用されるコーニング社により特許取得されたフュージョンオーバーフロー成形プロセスにより、約0.1mm以上約2.0mm以下の厚さの板ガラスを製造することができる。放射線遮蔽ガラス物品の製造中に、薄型ガラス面板の特定の範囲の厚さが有利な結果をもたらすことが判明した。厚さが約0.1mm以上約1.0mm以下の範囲の薄型ガラス面板によって、得られる放射線遮蔽ガラス物品に有利な特性が提供された。これらの特性には、放射線遮蔽ガラス物品の透過率の向上、総厚の減少、構造的安定性、および面密度の減少が含まれる。
【0065】
特定の一実施形態では、薄型ガラス面板は、0.1mm以上1.0mm以下、0.1mm以上0.9mm以下、0.1mm以上0.8mm以下、0.1mm以上0.7mm以下、0.1mm以上0.6mm以下、0.1mm以上0.5mm以下、0.1mm以上0.4mm以下、0.1mm以上0.3mm以下、0.1mm以上0.2mm以下、0.2mm以上1.0mm以下、0.3mm以上1.0mm以下、0.4mm以上1.0mm以下、0.5mm以上1.0mm以下、0.6mm以上1.0mm以下、0.7mm以上1.0mm以下、0.8mm以上1.0mm以下、0.9mm以上1.0mm以下の厚さを有することができる。
【0066】
ある用途では、同一の組成で厚さが等しい薄型ガラス面板を使用することが好ましいことが判明している。しかし、他の用途では、組成が異なり、厚さが等しい薄型ガラス面板(3,3’)を使用することの利点があり、他の用途では、組成が異なり、厚さも異なる薄型ガラス面板(3,3)を使用することの利点がある。適切な放射線遮蔽ガラス物品を形成するために、薄型ガラス面板と放射線遮蔽ガラス(1)との多くの組み合わせを合わせることができる。
【0067】
ガラスを接合するための多くの方法が先行技術において知られており、いくつかの方法は、接合剤の使用を含む場合がある。薄型ガラス面板層と放射線遮蔽ガラス層との接合は、1つ以上の接合プロセスを用いて達成される。特定の状況では、異なる各接合界面で異なる接合技術を使用することが有利である。
【0068】
接合剤は、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、低融点ガラスフリット、エポキシ、および光硬化性ポリマーから1つ以上選択される。各接合剤は、わずかに異なる施与および硬化プロセスを必要とする。これらの各々は、先行技術において知られている。
【0069】
比較的低温でガラスを接合するための既知の方法の1つとして、層間に位置する接合剤(2)として熱硬化ポリビニルブチラール(PVB)樹脂膜を使用することが挙げられる。この技術は、自動車用グレージング産業において、自動車のフロントガラスに広く使用されている。図1および図2は、放射線遮蔽ガラス物品(100,110)の有用な構成を示す。
【0070】
図1は、単一の放射線遮蔽ガラス層(1)を含む放射線遮蔽ガラス物品(100)を示し、この単一の放射線遮蔽ガラス層(1)は、層間の接合領域で接合剤(2)を使用することによって、この単一の放射線遮蔽ガラス層(1)の第1の面(1a)または第2の面(1b)のいずれかで単一の薄型ガラス面板(3)と接合されている。接合剤(2)は、Eastman Chemical社製ポリビニルブチラール(PVB)樹脂膜で、Saflex(登録商標)Clear、製品型式RF41として厚さ0.76mmで販売されており、積層して熱硬化させると、放射線遮蔽ガラス層(1)の隣接する第1の面(1a)と薄型ガラス面板(3)の隣接する第2の面(3b)との間に強い結合が形成される。
【0071】
図2は、単一の放射線遮蔽ガラス層(1)を含む放射線遮蔽ガラス物品(110)を示し、この単一の放射線遮蔽ガラス層(1)は、単一の放射線遮蔽ガラス層の第1および第2の面(1a,1b)と第1および第2の薄型ガラス面板(3,3’,3)の第1および第2の面(3a,3b)との間の接合領域に配置された接合剤(2)の使用によって、単一の放射線遮蔽ガラス層(1)の両面に1つずつ、2つの薄型ガラス面板(3,3’,3)と接合されている。接合剤(2)は、Eastman Chemical社製ポリビニルブチラール(PVB)樹脂膜で、Saflex(登録商標)Clear、製品型式RF41として厚さ0.76mmで販売されており、積層して熱硬化させると、放射線遮蔽ガラス層(1)の隣接する第1の面(1a)と第1の薄型ガラス面板(3,3’または3)の隣接する第2の面(3b)との間、および放射線遮蔽ガラス層(1)の第2の面(1b)と第2の薄型ガラス面板(3,3’または3)の隣接する第1の面(3a)との間に強い結合が形成される。
【0072】
表1に、図1および図2に従って製造された放射線遮蔽ガラス物品の具体例をさらに列挙する。それぞれ、選択された薄型ガラス面板に基づく透過率の向上および表面特性の向上が提供される。
【0073】
【表1】
【0074】
本出願人らによる実験の過程で、本出願人らは、放射線遮蔽に使用されるいくつかの市販品、および本出願人が以前に開発した実験的な1つの製品について試験した。
【0075】
本出願人は現在、放射線遮蔽ガラス(1)であるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassを特定の市場および用途で販売している。競合他社は、放射線遮蔽製品を製造し、特定の市場および用途で販売している。これらの製品には、LX-57Bとして知られる、日本電気硝子株式会社(NEG)が商業的に製造しているガラス積層体(以下、比較例1と称する)、および市販の厚さ12.30mmの透明な含鉛アクリルポリマー(以下、比較例3と称する)が含まれる。しかし、含鉛アクリルポリマー製品は、より薄い高PbOガラスベースの製品と同等にするには非常に厚くしなければならないため、X線遮断用途での有用性は限定的である。本出願人はまた、実験的な積層放射線遮蔽物品(以下、比較例2と称する)を提示する。本願の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の様々な改良点を列挙してさらに明らかにするために、Corning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glass(1)、比較例1、比較例2、および比較例3の様々な測定を提示する。
【0076】
明確にするために、本出願人による比較例2についてここで説明する。比較例2は、図2と同一の基本構造を有するため、説明のためにこの図面を参照する。製造された比較例2は、総厚が15.10mmである。比較例2は、厚さ8.38mmの放射線遮蔽ガラス(1)である市販のCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassの単層を、日本板硝子株式会社製ソーダライムフロートガラスFL3から製造された各面板厚2.6mmの2つの厚型ソーダライムガラス面板に接合したものを含む。これらのソーダライム面板を、単一の放射線遮蔽ガラス層(1)であるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassの両面に1つずつ配置し、厚さ0.76mmのポリビニルブチラール(PVB)樹脂で接合し、これを熱硬化させて比較例2を形成した。
【0077】
先に述べたように、より高い透過率を有する放射線遮蔽ガラス物品は、可視光線スペクトルの光学観察が必要な多くの用途に重要である。特定の事例では、これは、診断目的で放射線に曝される人や物体を観察する医師や技術者の直接的な目視により行われる。他の事例では、観察者が放射線遮蔽ガラスを通して撮像装置(例えば、写真フィルム、カメラ、CCDフォーカルプレーンアレイ)により人や物体を間接的に見る場合があり、なぜならば、撮像フィルムや撮像装置は、高エネルギー放射線に敏感であるためである。放射線遮蔽ガラス物品はさらに、湿度の高い環境、洗浄剤による繰り返しの洗浄による機械的摩耗もしくは引掻き、機械的衝撃による損傷に耐え得るか、または抗菌性を有する表面を所有することが非常に望ましい。
【0078】
透過率の測定は、Agilent Technologies社製Cary 5000 UV-VIS-NIR Spectrometerを使用し、400nm~800nmの可視域を1nmのスペクトル刻みで連続的に測定して行った。比較例1、比較例2の欠陥と、本願の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の利点との双方を説明するために、データを記録し、グラフプロットを作成した。
【0079】
本願の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の透過率の向上を完全に説明するために、表1の実施例1~8および実施例11の透過率サンプルを抽出して測定し、Y D65(%)透過率値を提供し、実施例1~8については透過率データを全スペクトルにわたってプロットして結果のグラフ表示を提供した。Y D65%とは、CIE D65光源(昼光)を用いた試料の積分光線透過率を意味する。以下の表2は、実施例1~8および実施例11のY D65(%)透過率値を定量化し、さらに、ベイヤー摩耗試験装置で試験した特定の実施例および比較例のヘイズ測定値を示す。
【0080】
【表2】
【0081】
次に図5に注目すると、図5は、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に対応する、実施例1~8の得られた全可視光線透過率曲線を示す。見てわかるように、透過率曲線は高度に整合しており、それぞれがほぼ重なり合っている。わずかなずれは、放射線遮蔽ガラス(1)の厚さの相違、および各実施例の製造に使用された薄型ガラス面板(3)の厚さの相違によるものと考えられる。プロットから得られる重要な点は、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)が、450nm~800nmのスペクトル帯域において87%以上の高い可視光線透過率を均一に提供するということである。
【0082】
放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)における透過率の向上を対比するために、本出願人は、同社の市販の放射線遮蔽ガラスである、通常販売されているとおりの厚さ4.0mmおよび8.5mmのCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassの2つの試料を準備して、可視光線透過率を測定した。これら2つの試料は、放射線遮蔽ガラス(1)と同一のタイプのものである。
【0083】
厚さ4.0mmおよび8.5mmの放射線遮蔽ガラスであるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassについて、可視光線透過率およびY D65(%)透過率を測定して表3に報告し、各試料の可視光線透過率データを図6のグラフにプロットした。
【0084】
【表3】
【0085】
表3からわかるように、放射線遮蔽ガラスであるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassは、約85%という低い透過率を示した。図6には、表2の実施例1、実施例2、実施例4および実施例5の全可視スペクトル透過率データが追加されている。図6にこれら4つの実施例を追加した目的は、同様の厚さの放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)において、透過率の向上が全可視スペクトルにわたって達成されたことを明確に比較するためであった。
【0086】
比較例1および比較例2について、さらに実験および観察を行った。それぞれに使用されているガラス面板は、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に使用したものよりも厚いことがわかった。測定したところ、比較例1のガラス面板は厚さが1.81mmであり、比較例2に使用されているガラス面板は厚さ2.6mmであった。
【0087】
本出願人は、比較例1および比較例2についてそれぞれ1つずつ、2つの追加の透過試料を準備した。比較例1および比較例2について、前述と同様にして測定した。Y D65(%)透過率値を収集し、表4に報告し、全可視光線透過率データを図7のグラフにプロットした。様々な設計間の顕著な透過率の差をさらに説明するため、代表的な放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)、特に実施例3を表4および図7に追加した。
【0088】
【表4】
【0089】
図7は、表4の3つの試料のそれぞれについての全可視スペクトルを示す。図7で明らかに顕著であるのは、比較例1および比較例2の曲線が全般的に下方にシフトしていることであり、この比較例1および比較例2は、代表的な放射線遮蔽ガラス物品である実施例3と比較して、より高波長での透過率がより低い傾向にある。
【0090】
特定の理論にとらわれるものではないが、本出願人は、この透過率の向上は、薄型ガラス面板の厚さが減少したことの直接的な結果であると考えている。これは特に、厚さ1.0mm未満の薄型ガラス面板について該当する。
【0091】
光学理論上、透過光が向かう各面で反射損失が発生し、エネルギー保存の法則に合致するには反射光+透過光が100%となるはずであることが知られている。損失のない完全な系において、理論上の光線が第1の面と相互作用するときに100%の強度に等しい場合、その光の4%が後方に反射し、96%が、ある厚さを有する完全な光学材料の第1の面を通って次の面まで前方に透過する。完全な光学材料の第2の面でも同一の相互作用を有し、透過した96%の4%(元の96%の3.84%)が反射し、(元の96%の)92.16%の光が透過して光学材料から出る。
【0092】
この議論における重要な点は、薄型ガラス面板(3)を含む実際の材料における吸収損失はゼロではなく、吸収は薄型ガラス面板(3)内で透過光が進む光路長の厚さに比例するということである。したがって、1.0mm以下の薄型ガラス面板は、厚型ガラス面板よりも薄型ガラス面板の第2の面(3b)に有利に多くの透過光を送達する低減された光路長を提供する。また、各面の反射光は、各光学界面において同一の透過および反射現象を何度も経るが、そのたびに、第1の面(3a)からの大きな反射光のうちの少量が第2の面(3b)に再帰反射することも考慮すべきである。これらの複数の再帰反射が相加的に合わさることで、放射線遮蔽ガラス物品の透過率を決定するために測定される最終的な出力光が増加する。再帰反射のパーセンテージはわずかであるが、薄型ガラス面板を使用した場合、再帰反射光が進む全経路長を、厚型ガラス面板と比較して大幅に減少させることができる。
【0093】
考慮された第2の因子は、薄型ガラス面板(3)を選択する際に、可視光線吸収率が低い種類のガラスを意図的に選び出したことである。吸収率の低い薄型ガラスはさらに、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の透過率を向上させる。比較例2の厚型ガラス面板は、吸収を促進する金属イオン(例えば、Fe3+)を含有していることが判明した。吸収レベルは、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の作製に使用される薄型ガラス面板(3)よりもはるかに高いものである。
【0094】
放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)により得られた透過率の向上に加えて、前述のような放射線遮蔽用途に望まれる追加の有利な特徴が存在する。それは、湿度の高い環境、洗浄剤による繰り返しの洗浄による機械的摩耗もしくは引掻き、機械的衝撃による損傷に耐え得るか、または抗菌性を有する表面の所有である。
【0095】
放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)および本発明によらない様々な例についてさらなる実験を行って、放射線遮蔽ガラス物品の特性の向上をより明らかにした。
【0096】
放射線遮蔽ガラス物品を設置する際の清浄化は一般的に行われている。窓や安全ゴーグルとして使用される場合の放射線遮蔽ガラス物品は、ごみ、ふけ、ほこり、微生物、生物的流体、および使用時に放射線遮蔽ガラス物品を汚染し得る他の不純物を除去するために、洗浄剤、例えばWindex(登録商標)、水、アンモニア、漂白剤、クエン酸クリーナーまたはオゾンによる繰り返しの洗浄に供される。
【0097】
典型的な高PbOガラスは、繰り返し洗浄すると傷がつき、透明度が低下する。この傷を防ぐために、引掻き傷のつき易い軟質の放射線遮蔽ガラスは、使用する洗浄剤の影響を受けにくい1つ以上の面板でその環境から隔離することができる。ソーダライムガラスなど、いくつかの種類のガラスは、この物理的な隔離の役割を果たすことができる。面板ガラスを追加することで、引掻き傷や欠陥の損傷の問題が放射線遮蔽ガラスから新たな面板ガラス要素へと移り、傷の問題が防止される。
【0098】
ソーダライムガラスは、洗浄を繰り返すと、または局所的かつ随時の深い点衝撃が生じると、表面に欠陥が発生し易いことが判明している。引掻き傷の存在および点衝撃は、ガラスの機械的破壊の主要な要因として広く知られている。深い衝撃による損傷欠陥は壊滅的な破壊を引き起こしかねず、一方で、軽い引掻き傷は、機械的にはある程度許容できても、光学的には許容できないことがある。コーニングは長年にわたりガラスのフラクトロジーを研究し、これが多くの重要な発見につながった。
【0099】
コーニングは、耐摩耗性を向上させた放射線遮蔽ガラス物品の薄型ガラス面板としての使用に適したガラスをいくつか製造している。具体的には、Corning ATGガラス、Corning GorillaガラスおよびCorning抗菌ガラスはそれぞれ、通常のソーダライムガラスより優れた耐引掻性および耐損傷性を提供する。
【0100】
Corning Gorilla Glass、ガラスコード2320は、精力的に研究され、該ガラスの組成、特性、製造および加工について記載した多数の特許出願がなされている。最も関連性の高い米国特許参考文献である米国特許第8586492号明細書、米国特許第9290407号明細書、米国再発行特許第47837号明細書、米国特許第8969226号明細書、米国特許第9809487号明細書、米国特許第10464839号明細書、米国特許第8652978号明細書、米国特許第10364178号明細書、米国特許第8951927号明細書、米国特許第9822032号明細書、米国特許第10570053号明細書、米国特許第8946103号明細書が本明細書に援用され、これらには、ガラス組成、イオン交換プロセス、および本願の放射線遮蔽ガラス物品に構成された場合に耐引掻性および耐損傷性が向上した表面を生じさせる物理的特性について十分な詳細が提供されている。
【0101】
Corning抗菌ガラスコード2319は、精力的に研究され、該ガラスの組成、特性、製造および加工について記載した多数の特許出願がなされている。最も関連性の高い米国特許参考文献である米国特許第9290413号明細書、米国特許第9567259号明細書、米国特許第10155691号明細書、米国特許第9512035号明細書、米国特許第9731998号明細書が本明細書に援用され、これらには、ガラス組成、Agイオン交換プロセス、および本願の放射線遮蔽ガラス物品に構成された場合に耐引掻性および耐損傷性ならびに抗菌性が向上した表面を生じさせる物理的特性および抗菌性について十分な詳細が提供されている。
【0102】
放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の機械的性能の向上をさらに説明するために、放射線遮蔽ガラス物品の実施例3、比較例1、比較例2、比較例3についてベイヤー摩耗試験を実施した。ベイヤー摩耗試験は、当技術分野で知られており、ASTM規格F735-94に記載されている。コーニングは、各試験に3600回の振動を与えるコランダム媒体を備えたColts Laboratories Bayer Test Equipmentを使用した。各試料について、試験プロトコルの前後の双方にBYK Gardnerヘイズメーターでヘイズを測定し、その結果を表2に報告する。さらに、ベイヤー摩耗試験を行った試料の写真による証拠を、図8A、8B、8Cおよび8Dに示す。
【0103】
この写真による証拠から、どのような範囲の摩耗損傷が起こり得るかがよくわかる。予想通り最も損傷を受けた試料は、図8Dに示した含鉛アクリルポリマーであり、表面全体が試験により著しく摩耗している。前述のように、含鉛アクリルポリマーは薄型面板の用途には適しておらず、試験対象のガラス面板との視覚的なコントラストを強調するためにのみ使用したものである。
【0104】
試験した様々なガラス面板の画像に注目すると、画像ではっきりと見ることができる表面摩耗の領域が示されている。比較例2(図8C-ソーダライム面板)は、比較例1(図8B-NEG LX-57B製品)より多くの損傷を含み、同様に比較例1(図8B-NEG LX-57B製品)は、本願の放射線遮蔽ガラス物品である実施例3(図8A)より多くの損傷を含む。ガラス面板間の相違をより正確に示すために、表2のヘイズの測定に注目する。ヘイズ値は、表面の状態に非常に敏感である。ガラス成形や機械研磨などの表面処理により表面効果が得られ、これはヘイズ測定により測定可能である。ヘイズ値が低いほど、全体的性能が向上していることを表す。
【0105】
レントゲン室の覗き窓、医療診断用スクリーン、実験室の保護窓、安全ゴーグルのレンズ、および工業的なX線スクリーニングの適用には、低ヘイズが強く望まれる。
【0106】
表2の実施例3に報告されているように、本願の放射線遮蔽ガラス物品は、最も低いヘイズ測定値である2.99を提供する。比較例1および比較例2を同一条件で試験したところ、どちらもそれぞれ3.38と5.1という、より高いヘイズ値が得られた。デルタヘイズ(ヘイズ最終-ヘイズ初期)を算出すると、実施例3では試験条件下でのヘイズの増加が2.42と最も小さいのに対して、比較例1では2.95の増加、比較例3では4.72の増加が生じている。使用した硬質コランダム媒体は、試験面に引掻き傷を誘発させる。したがって、デルタヘイズは、ガラスを使用時に繰り返し洗浄してごみ、ふけ、ほこり、微生物、生物的流体および他の不純物を除去する際に必要となるような引掻きや摩耗による損傷に耐える表面の能力を示すことができる。さらに、誘発の度合いが低いヘイズおよびデルタヘイズによって、より散乱性の低い表面が得られ、したがって、本願の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の薄型ガラス面板(3)のより高い透過可能性が保持される。
【0107】
上述したように、低いデルタヘイズは、本質的に、ガラスが引掻きや損傷に抵抗する能力である。放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の特定の例は、Corning Gorilla Glass、ガラスコード2320またはCorning抗菌ガラスコード2319から製造された薄型ガラス面板(3)を用いて製造したものであった。いくつかの事例では、薄型ガラス面板(3)を塩浴中でイオン交換法によってさらに処理することで、耐引掻性をさらに向上させるか、または薄型ガラス面板(3,3’,3)の少なくとも1つの第1の面の抗菌性を向上させた。
【0108】
実施例5および11の薄型ガラス面板(3)は、イオン交換可能なGorillaガラスコード2320で製造したものである。さらに準備したのは実施例9、10および13であり、これらは、少なくとも1つのイオン交換可能なCorning抗菌ガラスコード2319から製造された薄型ガラス面板(3,3’,3)を含む。実施例9および10は、イオン交換可能なCorning抗菌ガラスコード2319から製造された同一の薄型ガラス面板(3)を用いて製造したものであり、実施例13は、CorningATGガラスから製造された1つの薄型ガラス面板(3’)と、イオン交換可能なCorning抗菌ガラスコード2319から製造された1つの薄型ガラス面板(3)とを含んでいた。実施例13は、放射線遮蔽ガラス物品(100)のもう1つの実施例であり、特定の用途のニーズを満たすために単一の薄型ガラス面板を使用した。
【0109】
Corning Gorilla Glassコード2320またはCorning抗菌ガラスコード2319の双方は、実施例5および実施例9に示すように、その元来の研磨されておらずフュージョンドロー処理された状態で使用することができる。特定の追加の利点は、薄型ガラス面板(3)にイオン交換処理を施すことで、本願による薄型ガラス面板で製造された放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の他の実施例と図5においてほぼ同等である、88.71%と報告された実施例5のY D65透過率に示されるような、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に存在する透過性能の向上の利点を引き続き保持しつつ、薄型ガラス面板(3)に機械的性能および/または抗菌性の向上をもたらすことによって達成することが可能である。
【0110】
イオン交換可能なCorning Gorilla Glassコード2320から製造された特定の薄型ガラス面板を、KCl塩浴中でのイオン交換プロセスによる追加の処理に供した。さらに、イオン交換可能なCorning抗菌ガラスコード2319から製造された薄型ガラス面板を、AgCl塩浴中でのイオン交換プロセスによる追加の処理に供した。
【0111】
イオン交換プロセスでは、加熱されたKCl塩浴中の大きなカリウム(K)イオン、またはAgCl塩浴中の大きな銀(Ag)イオンが、薄型ガラス面板(3)の面内に含まれる小さなナトリウム(Na)イオンに置き換えられる。薄型ガラス面板のいずれか一方または双方の面(3a,3b)を溶融塩浴と接触させた。イオン交換プロセスは、当技術分野でよく知られており、参照された特許のいくつかに記載されている。適合性を示すガラスのイオン交換は拡散反応であるため、使用する特定のイオン塩とともに、時間および温度がプロセスの主な寄与物である。いずれの場合も、イオン交換された薄型ガラス面板は、面(3a,3b)から出発して、面(3a,3b)から測定した薄型ガラス面板の深さに向かってイオン交換領域を生成した。このイオン交換領域の深さは、層の深さ(depth of layer)(DOL)と表記される。DOLは、薄型ガラス面板が壊滅的な破壊に至る前に、引掻き傷、摩耗または衝撃欠陥が薄型ガラス面板(3)の面(3a,3b)のうちの一方に侵入できる最大深さを示す。イオン交換プロセスによって、表面領域の機械的特性である硬度が増加し、これにより引掻き傷、摩耗および衝撃欠陥の形成が阻止される。
【0112】
イオン交換された薄型ガラス面板(3,3’,3)を使用することによって製造された放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に提供される向上をさらに強調するために、様々な実施例および比較例についてビッカース硬さの測定を行った。ダイヤモンド四角錐圧子を用いたビッカース硬さ試験は、材料を試験するためのよく知られた試験技術である。ビッカース試験は、ASTM E 384、材料のマイクロインデンテーション硬さのための標準試験法に記載されている。実施した試験には、200gの荷重、25秒の滞留時間を使用した。硬さの測定値を表5に示す。
【0113】
【表5】
【0114】
明らかにわかるように、様々な放射線遮蔽ガラス物品に利用される薄型ガラス面板(3,3’,3)のビッカース硬さは有利に高く、市販の比較例1よりも高いビッカース硬さを有する放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)を提供する。放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)はまた、測定時に370のビッカース硬さを提供する市販の放射線遮蔽ガラスであるCorning(登録商標)Med-X(登録商標)GlassおよびCorning(登録商標)Med-Gamma(登録商標)Glassに対するさらに大きな向上を示す。また、放射線遮蔽ガラス物品の実施例11をY D65透過率について測定したところ、表2に示すように88.71%の高い透過率を有していたことにも留意すべきである。
【0115】
AgCl塩浴中でイオン交換された薄型ガラス面板(3,3’,3)を用いて製造された放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に提供された向上をさらに強調するために、試料を製造し、試験した。イオン交換プロセスにより、銀がイオン交換領域に取り込まれる。その後、処理された薄型ガラス面板(3,3’’,3)の面(3a,3b)に微量の銀イオン(Ag)が浸出する。この薄型ガラス面板(3,3’’,3)をPVB接合剤(2)により放射線遮蔽ガラス(1)に接合して、銀イオン(Ag)活性化抗菌面を有する放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)を形成した。
【0116】
試験を、抗菌効果測定のための公認の工業標準試験プロトコルである国際規格JIS Z 2801に準拠して実施した。標準的な測定は、抗菌剤を含む表面と37℃/飽和湿度で24時間にわたって密接な接触状態で保持された細菌細胞の生存率を定量化することによって行われる。測定の効率は、処理済み試料上の細菌の生存率と、未処理(対照)試料上で得られた生存率との比較により得られる。
【0117】
放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)の作製に使用されたAgイオン交換された薄型ガラス面板(3)の有利な抗菌性をさらに説明するために、JIS Z 2801規格に準拠して、薬剤耐性菌メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)およびC.ディフィシレ(C. difficile)エンドスポアに対して試験を実施して、有益な抗菌性を定量化した。特に実施例10および実施例11(比較のため)に対して試験を行い、結果を表6に報告する。
【0118】
【表6】
【0119】
実施例10は、薄型ガラス面板(3,3’,3)の面(3a,3b)に銀(Ag)イオンを提供するAgCl塩浴でイオン交換された薄型ガラス面板(3,3’,3)を含む放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)である。実施例11は、薄型ガラス面板(3,3’,3)の面(3a,3b)に銀(K)イオンを提供するKCl塩浴でイオン交換された薄型ガラス面板(3,3’,3)を含む放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)である。表6からわかるように、実施例10は、実施例11と比較して、細菌およびエンドスポアの平均コロニー数の顕著な減少を提供した。したがって、銀イオン(Ag)が表面に埋め込まれた、AgClでイオン交換された放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)は、細菌試料に対して>5の対数減少値を有し、エンドスポアに対して>1.5の対数減少値を有していた。
【0120】
フリットによる接合は、放射線遮蔽ガラス物品(120)の製造において接合剤(2)として低融点ガラスを使用する、当該技術分野で知られている代替的な接合技術である。接合剤(2)は、微粉状の低融点ガラスを液体と混合して、この固体ガラス微粒子と液体との凝集性混和物を形成することによって製造され、この液体は、均一なフリットペーストを形成するために用いられるものである。この液体は、技術用語で「ビヒクル」と称されることが多く、これは、この液体が、フリットペーストを所望の場所に簡便かつ正確に送達するための手段であることを意味する。ビヒクルは、低蒸気圧の1つ以上の液体であってよい。そのような低蒸気圧液体の例としては、水、エタノール、グリコール、ポリオール、または様々な有機油、または潤滑物質が挙げられるが、これらに限定されない。均質なフリットペーストを、全面(1a,1b,3a,3b)に、または優先的にはフリットペーストの点もしくは線を生じさせるべく1つ以上のシリンジにより、もしくは先行技術で知られているスクリーン印刷技術により特定の有利なパターンで、正確に配置し、均一に分配することができる。フリットペースト接合剤は、放射線遮蔽ガラス層(1)または薄型ガラス面板(3)のいずれかの温度よりも低い温度で軟化、流動、吸上げおよび接合するように設計されている。
【0121】
図3は、フリット接合剤(2)を用いて製造された放射線遮蔽ガラス物品(120)を示す。放射線遮蔽ガラス物品(120)は、寸法100mm×100mm、厚さ4.0mmの放射線遮蔽ガラス(1)の板材から形成されている。放射線遮蔽ガラス(1)の第1の面(1a)にスクリーン印刷用マスクを仮止めした。ある量の低融点ガラスフリットペースト接合剤(2)をマスクに施与し、マスク上でスキージを移動させて、接合剤(2)をスクリーン印刷用マスクの1つ以上の凹部または開口部に正確に配置した。次に、スクリーン印刷用マスクを取り除いて、選択された位置(A,B,C,...)に配置された接合剤(2)を、放射線遮蔽ガラス(1)の第1の面(1a)上の各選択位置に配置された接合剤の部分(2A,2B,2C,...)で露出させた。明確にするために、プロセスステップでは、上に接合剤の部分(2A,2B,2C,...)が配置された放射線遮蔽ガラス(1)を、放射線遮蔽ガラス(10)と称する。いくつかの接合剤(2,2A,2B,2C,...)では、次の組み立てステップの前に、放射線遮蔽ガラス(10)の脱水または焼成によって予め接合剤の密度を高めて、液体ビヒクルの一部またはすべてを能動的に除去することが有益である場合がある。
【0122】
より大きなATGガラス板材から薄型ガラス面板(3)を作製して、寸法100mm×100mm、厚さ0.4mmの第1の薄型ガラス面板(3)を製造した。放射線遮蔽ガラス物品(120)の層の予備的な組み立てを、清潔な作業台で行う。作業台上に放射線遮蔽ガラス層(10)を配置する。次に、第1の薄型ガラス面板(3)を放射線遮蔽ガラス層(10)上に配置して、第1の薄型ガラス面板(3)の第2の面(3b)と放射線遮蔽ガラス層(10)の第1の面(1a)とを位置合わせする。位置合わせが完了したら、これら2つのガラス層を一緒にして接合剤(2,2A,2B,2C,...)を第1の薄型ガラス面板(3)と接触させて、予備組立品を形成する。
【0123】
ここで位置合わせされた予備組立品を、任意に、さらなるプロセスステップ中の位置ずれを防ぐために固定することも、電気炉内のセッタープレート上に直接配置することもでき、そして熱サイクルにより加熱し、この熱サイクルによって、接合剤(2,2A,2B,2C,...)を軟化、流動、吸上げさせ、かつ放射線遮蔽ガラス層(1)と薄型ガラス面板(3)とを強く接合して、放射線遮蔽ガラス物品(120)を形成することができる。接合剤を、境界(2)に沿ってパターン状に不均一に配置するかまたは非連続的な様式で施与する場合(2A,2B,2C,...)、放射線遮蔽ガラス物品(120)は、放射線遮蔽ガラス(1)の第1の面(1a)と第1の薄型ガラス面板(3)の第2の面(3b)との間に1つ以上の第1のキャビティを形成することができる。さらに、放射線遮蔽ガラス物品(120)の作製において第2の薄型ガラス面板(3)が使用される場合、放射線遮蔽ガラス(1)の第2の面(1b)と第2の薄型ガラス面板(3)の第1の面(3a)との間に1つ以上の第2のキャビティが形成されていてもよい。第1のキャビティおよび第2のキャビティを、任意に、PVB、EVA、エポキシおよび紫外線硬化性ポリマーから選択されるポリマー材料で、または空気、窒素、アルゴン、キセノン、インデックスマッチング油もしくはそれらの組み合わせから選択される流体で充填して、放射線遮蔽ガラス物品(120)を形成することができる。
【0124】
ガラス物体を接合するためのもう1つの既知の接合技術は、熱接合である。これは、物体に熱を加えながら、選択されたガラス層を所望の順序または位置で積層、配置または押圧して互いに物理的に接触させることによって達成される。図4は、放射線遮蔽ガラス物品(130)を示す。放射線遮蔽ガラス物品(130)は、寸法100mm×100mm、厚さ4.0mmの放射線遮蔽ガラス(1)の板材から形成されている。薄型ガラス面板(3)を、より大きなATGガラス板材から作製して、厚さ0.4mmの2つの同一の100mm×100mmの薄型ガラス面板を製造した。
【0125】
放射線遮蔽ガラス物品(130)の層の予備的な組み立てを、清潔な作業台で行う。第1の薄型ガラス面板(3)を放射線遮蔽ガラス層(1)上に配置して、第1の薄型ガラス面板(3)の第2の面(3b)と放射線遮蔽ガラス層(1)の第1の面(1a)とを位置合わせする。次に、第2の薄型ガラス面板(3)を放射線遮蔽ガラス層(1)上に配置して、第2の薄型ガラス面板(3)の第1の面(3a)と放射線遮蔽ガラス層(1)の第2の面(1b)とを位置合わせする。位置合わせが完了したら、さらなる熱接合プロセスステップ中の位置ずれを防ぐためにこれら3つのガラス層を任意に固定して、予備組立品を形成した。
【0126】
次に、この予備組立品を電気炉内のセッタープレート上に配置し、熱サイクルにより加熱し、この熱サイクルによって、1つ以上の放射線遮蔽ガラス層(1)および薄型ガラス面板(3)を軟化させて、隣接する第1の面(1a)と第2の面(3b)との間および第2の面(1b)と第1の面(3a)との間に強い結合を形成する。熱サイクルの後半部分は、室温まで徐冷するステップを含む。この徐冷ステップは、25℃/hの冷却速度で進行したが、その速度は、使用するガラスに応じて1~100℃/hのいずれであってもよい。
【0127】
熱接合は、加熱サイクル中に予備組立品に加えられる圧力や荷重の使用の有無にかかわらず起こり得る。予備組立品を電気炉内で加熱している間に、積層された予備組立品をより密着させることで、隣接するガラス面間により多くの分子結合が形成されるものと考えられる。この接合技術には、当該技術分野で知られている利点および制限があるが、これは、放射線遮蔽ガラス物品(130)を作製するための適切な組立方法となり得る。
【0128】
いくつかの事例では、放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)は、大型の放射線遮蔽ガラス(1)および大型サイズの薄型ガラス面板ガラス(3)によって可能になる、標準化された大寸法のX-Y様式で製造されることに留意すべきである。これは、生産設備を標準化し、標準化された製品を市場に提供するために一般的に行われていることである。標準化された特大サイズの原料品は、その寸法の大型の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)として使用することも可能であるし、より小型のX-Yフォームファクタの用途の要求を満たすために、さらに小型の同等の複数の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)に分割することも可能であることは明らかである。そのような事例では、大型の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)を鋸引きし、縁仕上げを施して、本願に十分に記載されている、より小型の同等の複数の放射線遮蔽ガラス物品(100,110,120,130)とすることができる。
【0129】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特性が、正確ではなく、また正確である必要はないが、公差、変換係数、丸め処理、測定誤差等および当業者に知られている他の要因を反映して、所望に応じて近似的である場合があり、かつ/またはより大きいこともより小さいこともあり得ることを意味している。値または範囲の端点を説明する際に「約」という用語が使用される場合、参照される特定の値または端点が含まれる。本明細書における数値または範囲の端点に「約」が記載されているか否かにかかわらず、「約」によって変更された実施形態と、「約」によって変更されていない実施形態との2つの実施形態が記載されている。各範囲の端点は、他の端点に関連して、および他の端点とは独立に意味を有することがさらに理解されるであろう。
【0130】
本明細書で使用される方向に関する用語、例えば、上、下、右、左、前、後、頂部、底部)は、図示されている図に関するものに過ぎず、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0131】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法も、そのステップを特定の順序で行う必要があるものと解釈されることを意図しておらず、またいずれの装置でも特定の方向が必要であることを意図していない。したがって、方法クレームにおいてそのステップが従うべき順序が実際に記述されていない場合、または任意の装置クレームにおいて個々の構成要素の順序もしくは方向が実際に記述されていない場合、または特許請求の範囲もしくは本明細書にステップが特定の順序に限定されるべきであることが別途具体的に記載されていない場合、または装置の構成要素の特定の順序もしくは方向が記述されていない場合、順序または方向はいかなる点においても推定されることを意図するものではない。これは、ステップの配置、操作フロー、構成要素の順序、または構成要素の方向に関する論理的事項;文法的な構成または句読点から生じる明白な意味、および;本明細書に記載されている実施形態の数または種類といった、解釈のための可能な非明示的な根拠に適用される。
【0132】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈から明らかにそうでないとの指示がない限り、複数形が含まれる。したがって、例えば「a」構成要素への言及には、文脈から明らかにそうでないとの指示がない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様が含まれる。
【0133】
特許請求された主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して様々な修正および変更を加えてよいことは、当業者にとって明らかであろう。したがって、そのような修正および変更が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入ることを条件として、本明細書には、本明細書に記載された様々な実施形態の修正形態および変更形態が包含されることが意図されている。
【0134】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0135】
実施形態1
第1の面および対向する第2の面を有する放射線遮蔽ガラスと、
第1の面および対向する第2の面を有する第1の薄型ガラス面板と
を含む、放射線遮蔽ガラス物品であって、
前記第1の薄型ガラス面板の前記第1の面または第2の面のうちの一方が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面に面しており、厚さ1.0mm以下の前記第1の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面に接合されており、前記第1の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である、放射線遮蔽ガラス物品。
【0136】
実施形態2
前記第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.8mm未満である、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0137】
実施形態3
前記第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.5mm未満である、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0138】
実施形態4
前記第1の薄型ガラス面板の厚さが、0.1mmを超え1.0mm未満である、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0139】
実施形態5
前記放射線遮蔽ガラスが、3.5mm~60mmの厚さを有する、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0140】
実施形態6
前記放射線遮蔽ガラスが、SiO 10~35質量%、PbO 50~80質量%、B 0~10質量%、Al 0~10質量%、BaO 0~20質量%、SrO 0~10質量%、SrO+BaOの合計 0~20質量%、NaO 0~10質量%、KO 0~10質量%、およびSb 0~0.8質量%を含む、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0141】
実施形態7
前記放射線遮蔽ガラスが、SiO 10~35質量%、PbO 55~80質量%、B 0~10質量%、Al 0~10質量%、BaO 0~10質量%、SrO 0~10質量%、SrO+BaOの合計 0~20質量%、NaO 0~10質量%、およびKO 0~10質量%を含む、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0142】
実施形態8
前記放射線遮蔽ガラスと前記第1の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第1の接合剤をさらに含む、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0143】
実施形態9
前記第1の接合剤が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面と前記第1の薄型ガラス面板の前記第2の面との間に配置されている、実施形態8記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0144】
実施形態10
前記第1の接合剤が、ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)である、実施形態9記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0145】
実施形態11
前記第1の接合剤が、低融点ガラスフリットである、実施形態8記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0146】
実施形態12
前記第1の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスに熱接合されている、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0147】
実施形態13
前記放射線遮蔽ガラスの前記第1の面と、前記第1の接合剤と、前記第1の薄型ガラス面板の前記第2の面とによって画定される第1のキャビティをさらに含む、実施形態11記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0148】
実施形態14
前記第1のキャビティが、ポリマー材料で充填されており、前記ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つである、実施形態13記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0149】
実施形態15
前記第1のキャビティが、流体で充填されており、前記流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである、実施形態13記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0150】
実施形態16
80%を超えるY D65透過率を有する、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0151】
実施形態17
80%を超える透過率が、450nm~800nmのスペクトル帯域全体で維持される、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0152】
実施形態18
前記第1の薄型ガラス面板が、530を超えるビッカース硬さを有していた、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0153】
実施形態19
前記第1の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有する、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0154】
実施形態20
前記第1の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有し、かつ前記イオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0155】
実施形態21
第1の面および対向する第2の面を有する第2の薄型ガラス面板をさらに含み、前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面に面しており、厚さ1.0mm未満の前記第2の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面に接合されており、前記第2の薄型ガラス面板が、アルカリボロアルミノシリケートガラス、または化学強化可能なナトリウムアルミノシリケートガラスのうちの一方である、実施形態1記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0156】
実施形態22
前記放射線遮蔽ガラスと前記第2の薄型ガラス面板とを接合するように構成された第2の接合剤をさらに含む、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0157】
実施形態23
前記第2の接合剤が、前記放射線遮蔽ガラスの前記第2の面と前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面との間に配置されている、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0158】
実施形態24
前記第2の接合剤が、ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)である、実施形態23記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0159】
実施形態25
前記第2の接合剤が、低温溶融フリットである、実施形態23記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0160】
実施形態26
前記第2の薄型ガラス面板が、前記放射線遮蔽ガラスに熱接合されている、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0161】
実施形態27
前記放射線遮蔽ガラスの第2の面と、第2の接合剤層と、前記第2の薄型ガラス面板の前記第1の面とによって画定される第2のキャビティをさらに含む、実施形態25記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0162】
実施形態28
前記第2のキャビティが、ポリマー材料で充填されており、前記ポリマー材料が、PVB、EVA、エポキシおよびUV硬化性ポリマーのうちの少なくとも1つである、実施形態27記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0163】
実施形態29
前記第2のキャビティが、流体で充填されており、前記流体が、空気、窒素、アルゴン、キセノンおよびインデックスマッチング油のうちの少なくとも1つである、実施形態27記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0164】
実施形態30
前記第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.8mm未満である、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0165】
実施形態31
前記第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.5mm未満である、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0166】
実施形態32
前記第2の薄型ガラス面板の厚さが、0.1nmを超え1.0mm未満である、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0167】
実施形態33
Y D65透過率が、80%を超える、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0168】
実施形態34
80%を超える透過率が、450nm~800nmのスペクトル帯域全体で維持される、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0169】
実施形態35
前記第2の薄型ガラス面板が、530を超えるビッカース硬さを有する、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0170】
実施形態36
前記第2の薄型ガラス面板が、ビッカース硬さが600を超えるイオン交換面を有する、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
【0171】
実施形態37
イオン交換面を有する前記第2の薄型ガラス面板が、600を超えるビッカース硬さを有し、かつ前記イオン交換面に埋め込まれた銀イオン(Ag)を有する、実施形態21記載の放射線遮蔽ガラス物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】