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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】3Dコンセントレータ
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20230725BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230725BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230725BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230725BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20230725BHJP
   F21V 13/08 20060101ALI20230725BHJP
   C09K 11/80 20060101ALN20230725BHJP
   C09K 11/79 20060101ALN20230725BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230725BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230725BHJP
   F21Y 105/00 20160101ALN20230725BHJP
【FI】
F21V8/00 330
H01L33/50
G02B5/20
G02B3/00 Z
F21V9/30
F21V13/08
F21V8/00 355
F21V8/00 340
F21V8/00 241
C09K11/80
C09K11/79
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y105:00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501073
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2021067947
(87)【国際公開番号】W WO2022008310
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20305768.2
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】522376313
【氏名又は名称】アンスティテュ・オプティーク・テオリク・アプリケ
(71)【出願人】
【識別番号】321004758
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・サクレー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレンボワ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ピション,ピエール
【テーマコード(参考)】
2H148
3K244
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA01
2H148FA01
2H148FA22
3K244AA04
3K244BA07
3K244BA11
3K244BA48
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA04
3K244DA10
3K244EA02
3K244EA13
3K244EA34
3K244ED25
3K244EE05
3K244GA05
3K244GA08
3K244GB27
3K244GC27
3K244LA01
3K244LA06
3K244LA07
4H001XA08
4H001XA13
4H001XA14
4H001XA39
4H001XA71
4H001YA58
5F142DA15
5F142DA42
5F142DA55
5F142DB39
5F142DB42
5F142GA01
5F142GA21
(57)【要約】
-少なくとも1つの発光モジュール(ME)であって、
-コンセントレータ結晶体(CL)として知られる、方向xに対して垂直で、前記コンセントレータの方向xへの水平寸法に対応する距離Lだけ分離された側面(FL1、FL2)として知られる第一及び第二の面を含む、2つずつが平行な少なくとも6つの面を有する発光性水晶体と、
-第一のミラー(M1)であって、前記第一の側面(FL1)を少なくとも部分的に覆い、前記第一のミラーにより被覆される表面領域(SR1)と、関連する出力面(FS1、FS1、FS1)を画定する前記第一のミラーにより被覆されない少なくとも1つの表面領域(SFS1)を画定するように構成された第一のミラーと、
-前記第二の側面(FL2)の少なくとも95%を被覆するように構成された第二のミラー(M2)と、
を含む発光モジュール(ME)と、
-前記発光性結晶体内の輝度放射(L)の発出を生成するように設計された輝度トリガリング素子(ED)と、
を含み、
被覆されない表面領域(SFS1)と第一の側面(FL1)の表面領域(S)との比Rは、輝度放射の光線が前記第一及び第二のミラーで反射され、平均距離Lmoyにわたり伝播して、発光性結晶体内で少なくとも1つの出力面(FS1、FS1)を通過して出力ビーム(Lout)を形成する前に
となるように特定され、αは前記輝度放射に関する前記コンセントレータの単位長さあたり損失係数である
発光装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置(1)において、
-少なくとも1つの発光モジュール(ME)であって、
-コンセントレータ結晶体(CL)として知られる、方向xに対して垂直で、前記コンセントレータの前記方向xへの水平寸法に対応する距離Lだけ分離された側面(FL1、FL2)として知られる第一及び第二の面を含む、2つずつが平行な少なくとも6つの面を有する発光性水晶体と、
-第一のミラー(M1)であって、前記第一の側面(FL1)を少なくとも部分的に覆うように構成され、前記第一のミラーにより被覆される表面領域(SR1)と、関連する出力面(FS1、FS1、FS1)を画定する前記第一のミラーにより被覆されない少なくとも1つの表面領域(SFS1)を画定する第一のミラーと、
-第二のミラー(M2)であって、前記第二の側面(FL2)の少なくとも95%を被覆するように構成された第二のミラーと、
を含む発光モジュール(ME)と、
-前記発光性結晶体内の輝度放射(L)の発出を生成するように設計された輝度トリガリング素子(ED)と、
を含み、
前記被覆されない表面領域(SFS1)と前記第一の側面(FL1)の表面領域(S)との比Rは、前記輝度放射の光線が前記第一及び第二のミラーで反射され、平均距離Lmoyにわたり伝播して、前記発光性結晶体内で少なくとも1つの出力面(FS1、FS1)を通過して出力ビーム(Lout)を形成する前に
【数1】
となるように特定され、αは前記輝度放射に関する前記コンセントレータの単位長さあたり損失係数である発光装置(1)。
【請求項2】
前記比Rは1/4以下、好ましくは1/8以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記輝度トリガリング素子は波長λの発光放射(L)を発するように構成された複数の発光ダイオード(LED)又はレーザ若しくはフラッシュランプを含み、前記ダイオードは、前記コンセントレータの照明面(SI1、SI2)として知られる少なくとも1つの面を照明するように設計され、前記コンセントレータは、前記発光放射(L)を吸収し、その後、前記輝度放射に対応する蛍光放射を発するように設計された蛍光結晶体である、請求項1及び2の何れかに記載の装置。
【請求項4】
前記コンセントレータの、前記照明面に垂直な方向zへの垂直寸法eは、前記コンセントレータによる前記発光放射(L)の吸収長さLabsより大きいか、それと等しい、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記輝度トリガリング素子は、前記コンセントレータ結晶体を加熱して、それが熱発光により前記輝度放射を発するように構成される加熱素子を含む、請求項1及び2に記載の装置。
【請求項6】
前記輝度トリガリング素子はレンズであって、太陽光を前記コンセントレータのいわゆる照明面(SI1、SI2)に集束させるように設計されたレンズを含み、前記コンセントレータは前記太陽光を吸収し、その後、前記輝度放射に対応する蛍光放射を発するように設計される、請求項1及び2に記載の装置。
【請求項7】
前記コンセントレータ結晶体は、前記第一の側面と前記コンセントレータ結晶体の他の面との間にある面取り縁部を有し、前記面取り縁部の表面領域は、前記比Rの計算において前記第一の側面の表面領域の一部をなすと考えられ、前記面取り縁部の表面領域の少なくとも一部分は被覆されず、関連する出力面を画定する、請求項1~6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記コンセントレータ結晶体は、前記第一の側面と前記前記コンセントレータ結晶体の他の2つの面との間にある面取り角部を有し、前記面取り角部の表面領域は前記比Rの計算において前記第一の側面の表面領域の一部をなすと考えられ、前記面取り角部の前記表面領域の少なくとも一部分は被覆されず、関連する出力面を画定する、請求項1~6の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第一のミラーはn個≧1の被覆されない表面領域を画定するように設計され、n個の出力面(FS1)を画定し、そこをn個の出力ビーム(Lout,1、Lout,2)が通過し、前記装置はまた、
-n個の光ファイバ(FO)と、
-各々が異なる光ファイバ内の出力ビームを結合するように設計されるn個の光結合システム(SC
も含む、請求項1~8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第一のミラー(M1)は、各出力ビームの幾何学範囲は前記出力ビームを結合する前記光ファイバの幾何学範囲と実質的に等しくなるように設計される、請求項1~9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記コンセントレータの断面として知られる2つの平行な面を被覆する2つの追加的なミラー(M3、M4)を含み、前記2つの追加的なミラーは前記断面の全部を被覆するように設計される、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
第一及び第二の発光モジュール(ME1、ME2)と、前記第一の発光モジュールに関連付けられる第一の輝度トリガリング素子と、を含み、前記第二の発光モジュールの前記コンセントレータ結晶体(CL2)の、前記側面とは異なる面は前記第一の発光モジュールの前記コンセントレータ結晶体(CL1)の出力面(FS1)に取り付けられ、それによって前記第一の発光モジュールの、一次輝度放射として知られる前記第一の出力ビーム(Lout,1)は前記第二の発光モジュールの前記輝度トリガリング素子を構成し、前記第二の発光モジュールは、二次的輝度放射として知られる、その中心波長が前記一次輝度放射の中心波長に関してずれている第二の出力ビーム(Lout,2)を生成する、請求項1~11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第一のモジュールの前記コンセントレータ結晶体の前記出力面に平行な垂直平面yz上の前記第二のモジュールの寸法は前記第一の発光モジュールの前記コンセントレータの前記出力面の寸法より小さいか、それと等しい、請求項1~12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記方向xへの前記第二のモジュールの前記コンセントレータの寸法は、前記第二のモジュールの前記コンセントレータによる前記一次輝度放射の吸収長さLabs.2より大きい、請求項12及び13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記第一のミラーは、前記第一のミラーを前記第一の側面に関して変位させて、前記被覆されない表面を増減するように設計された並進システム(ST)上に取り付けられる、請求項1~14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記第一のミラーは、前記被覆されない表面領域の形状が正方形、長方形、円形、長円形、三角形、又は多角形となるように設計される、請求項1~15の何れか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)により励起されるルミネッセントコンセントレータ、より詳しくは光源として使用されるLEDにより励起されるルミネッセントコンセントレータの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)には照明の分野で多くの用途がある。しかしながら、LEDの輝度は、特定の用途に適していない値に限定されている。
【0003】
LEDの輝度を高めるための解決策は、LEDにより励起される光コンセントレータを使用することである(例えば、Barbet,Adrien,et al.“Light-emitting diode pumped luminescent concentrators:a new opportunity for low-cost solid-state lasers.”Optica 3.5(2016):465-468参照。)このコンセントレータは例えば、Ce:YAG等の可視スペクトル(赤-橙)の蛍光を放つ結晶体であり、これはLEDが非常に高いパフォーマンスを示す波長で青色スペクトル(約450nm)を吸収する。結晶体は平面の形態にカットされ、これは2つの大きい面上の何百(又はさらには何千)ものLEDと一体化されて、断面において発光する。これらのコンセントレータにより、LEDのそれの10~20倍高い輝度を得ることが可能となる。
【0004】
図1A及び1Bは、当業界で知られている、コンセントレータ結晶体CLをベースとする発光モジュールME0の例を示している。図1A及び1Bは、同じ発光モジュールME0の、それぞれ透視画法で見た、及び側面から見た略図を表す。発光モジュールME0は、第一のスペクトルバンドで発光するように設計されたLED群と、光コンセントレータCLと、を含む。コンセントレータCLは、蛍光発光する直方体の結晶体であり、寸法L×wの少なくとも1つの照明面SI1、SI2を有し、これがLEDにより発せられる発光放射Lによって照明される。照明面SI1、SI2は「大きい面(large faces)」としても知られる。コンセントレータの厚さはeとして知られる。
【0005】
コンセントレータの結晶体は、前記光発光放射Lを吸収するように構成される。LEDにより発せられて照明面へと向けられた光の流れは蛍光結晶体の発光団Lumにより吸収され、これらは結晶体の体積全体に分散され、それゆえ結晶体の内部で蛍光放射を発する。発せられた光線は2つのメインカテゴリに分類できる。すなわち、
-Lとして知られる捕捉光線:これらの光線は、結晶体の異なる面での全内反射(RTI)の結果として結晶体内に閉じ込められる。これらの光線は、結晶体が、2つずつが平行で、相互に垂直な6つの面が提供される直方体である場合に存在する。捕捉光線が結晶体から出ることはなく、その不完全部分がある場合のみ例外である。
-非捕捉光線は、最後に結晶体から射出する光線である。これらは2つのサブカテゴリ、すなわち、全内反射により案内されることを特徴とする、Lとして知られる案内光線と、面で反射せずにコンセントレータから直接射出する、Loutとして知られる非案内光線に分けられる。
【0006】
図1Cはコンセントレータで発せられ、捕捉された光線の角度図(angular diagram)の表現である。暗い球帽状部分は非捕捉(案内及び非案内)光線に対応する角度を表し、明るい領域は捕捉光線に対応する角度を表す。例として提供されるこの表現中、コンセントレータの結晶体CLとして選択された媒質はCe:YAG結晶体(屈折率n=1.82)であり、環境媒質が空気であるときの臨界角は33°である。全内反射により捕捉される放射の、非捕捉放射と比較したパーセンテージは、スネル-デカルトの法則にしたがって結晶体の屈折率及び環境媒質のそれによって決まる。
【0007】
図1A~1Cに示されるもののような先行技術によるコンセントレータでは、出力面の照明はコンセントレータ結晶体の長さと厚さの比L/eに比例する。一般に、コンセントレータのL/eの比は非常に高い(例えば、L=100mm、e=1mm、L/e=100)。したがって、2つの大きい面SI、SIでの反射回数は多く、すなわち、20~30°傾斜し、L=100mmに伝播する光線の場合、約100回である。他方で、側面ではそれははるかに少ない。図1D及び1Eは、2つの平面、すなわち大きい面に平行(xy)及び垂直(xz)な平面上の、屈折率n=1.82(限界角度θcrit=33°)のコンセントレータ結晶体内の全内反射限界での光線の反射回数の差を比較している。大きい面の平面(xy)では、反射回数はコンセントレータの幅wに関連付けられる。図1Dは、幅w>>eのコンセントレータを表す。この場合、集光効果は大きい面に垂直な1つの平面(xz)上で生じ、この集光タイプは、この場合、「1D集光」として定義される。「1D」集光は、太陽光コンセントレータの分野における大型ルミネッセントコンセントレータに使用される(例えば、Meinardi,Francesco,etal.“Large-area luminescent solar concentrators based on‘Stokes-shift-engineered’nanocrystals in a mass-polymerized PMMA matrix.”Nature Photonics 8.5(2014):392参照)。
【0008】
図1Eは、幅wが厚さeと同程度の大きさであるコンセントレータを表す。この場合、集光効果は2つの平面(xz)と(xy)で生じ、すなわち、コンセントレータの4つの側面上での反射が利用される。このタイプの集光は、この場合、「2D」集光と定義される。この構成は多くの場合、LEDにより励起されるコンセントレータに使用される(例えば、D.K.G.de Boer,D.Bruls,and H.Jagt“High-brightness sources based on luminescent concentration”Optics Express,vol.24,no.14,page A1069,July 2016参照)。この2D集光の欠点の1つは、照明面の表面積が小さくなり、それによってコンセントレータの励起パワー、ひいてはその出力パワーが限定されることである。
【0009】
「1D」及び「2D」集光では、Lとeが固定されている場合のある材料の出力輝度が同じとなる。実際、輝度はwには依存せず、比L/eのみに依存する。
【0010】
コンセントレータによる照明の増大はLEDと比較して非常に大きいが、照明は、例えばレーザダイオードにより提供される照明と比較すれば依然として低い。それに加えて、出力ビームの波形はコンセントレータの形状(一般に、出力面は長円形である)に依存する。最後に、先行技術による蛍光コンセントレータでは、厚さeを励起放射に関連する吸収長さより大きくして、「1D」又は「2D」集光の低吸収環境で吸収されるパワーが最大となるようにしなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Barbet,Adrien,et al.“Light-emitting diode pumped luminescent concentrators:a new opportunity for low-cost solid-state lasers.”Optica 3.5(2016):465-468
【非特許文献2】Meinardi,Francesco,etal.“Large-area luminescent solar concentrators based on‘Stokes-shift-engineered’nanocrystals in a mass-polymerized PMMA matrix.”Nature Photonics 8.5(2014):392
【非特許文献3】D.K.G.de Boer,D.Bruls,and H.Jagt“High-brightness sources based on luminescent concentration”Optics Express,vol.24,no.14,page A1069,July 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、コンセントレータの出力輝度を増大させ、その一方で出力ビームのパラメータ及びコンセントレータの材料に関する仕様(寸法、損失、吸収)に関するフレキシビリティを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明の主旨は、
-少なくとも1つの発光モジュールであって、
-コンセントレータ結晶体として知られる、方向xに対して垂直で、前記コンセントレータの前記方向xへの水平寸法に対応する距離Lだけ分離された側面として知られる第一及び第二の面を含む、2つずつが平行な少なくとも6つの面を有する発光性水晶体と、
-第一のミラーであって、前記第一の側面を少なくとも部分的に覆うように構成され、前記第一のミラーにより被覆される表面領域と、関連する出力面を画定する前記第一のミラーにより被覆されない少なくとも1つの表面領域を画定する第一のミラーと、
-第二のミラーであって、前記第二の側面の少なくとも95%を被覆するように構成された第二のミラーと、
を含む発光モジュールと、
-前記発光性結晶体内の輝度放射の発出を生成するように設計された輝度トリガリング素子と、
を含み、
被覆されない表面領域と第一の側面の表面領域との比Rは、輝度放射の光線が前記第一及び第二のミラーで反射され、平均距離Lmoyにわたり伝播して、前記発光性結晶体内で少なくとも1つの出力面を通過して、出力ビームを形成する前に
【数1】
となるように特定され、αは前記輝度放射に関する前記コンセントレータの単位長さあたり損失係数である発光装置である。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、
-比Rは1/4以下、好ましくは1/8以下であり、
-前記輝度放射に関する前記コンセントレータの単位長さあたり損失係数αと前記比Rは、Lmoy<L=1/αとなるように設計され、
-輝度トリガリング素子は波長λの発光放射を発するように構成された複数の発光ダイオード又はレーザ又はフラッシュランプを含み、前記ダイオードは、コンセントレータの照明面として知られる少なくとも1つの面を照明するように設計され、前記コンセントレータは、前記発光放射を吸収し、その後、前記輝度放射に対応する蛍光放射を発するように設計された蛍光結晶体であり、
-コンセントレータの、前記照明面に垂直な方向zへの垂直寸法eは、前記コンセントレータによる前記発光放射の吸収長さLabsより大きいか、それと等しく、
-輝度トリガリング素子は、前記コンセントレータ結晶体を加熱して、それが熱発光により前記輝度放射を発するように構成される加熱素子を含み、
-輝度トリガリング素子はレンズを含み、これは太陽光をコンセントレータのいわゆる照明面に集束させるように設計され、前記コンセントレータは前記太陽光を吸収し、その後、前記輝度放射に対応する蛍光放射を発するように設計され、
-コンセントレータ結晶体は、第一の側面と前記コンセントレータ結晶体の他の面との間にある面取り縁部を有し、面取り縁部の表面領域は、前記比Rの計算において第一の側面の表面領域の一部をなすと考えられ、面取り縁部の表面領域の少なくとも一部分は被覆されず、関連する出力面を画定し、
-コンセントレータ結晶体は、第一の側面と前記コンセントレータ結晶体の他の2つの面との間にある面取り角部を有し、面取り角部の表面領域は前記比Rの計算において第一の側面の表面領域の一部をなすと考えられ、面取り角部の前記表面領域の少なくとも一部分は被覆されず、関連する出力面を画定し、
-第一のミラーはn個≧1の被覆されない表面領域を画定するように設計され、n個の出力面を画定し、そこをn個の出力ビームが通過し、前記装置はまた、
-n個の光ファイバと、
-各々が異なる光ファイバ内の出力ビームを結合するように設計されるn個の光結合システム
も含み、
-第一のミラーは、各出力ビームの幾何学範囲は前記出力ビームを結合する前記光ファイバの幾何学範囲と実質的に等しくなるように設計され、
-装置は、コンセントレータの断面として知られる2つの平行な面を被覆する2つの追加的なミラーを含み、前記2つの追加的なミラーは断面の全部を被覆するように設計され、
-装置は、第一及び第二の発光モジュールと、第一の発光モジュールに関連付けられる輝度トリガリング素子と、を含み、第二の発光モジュールのコンセントレータ結晶体の、側面とは異なる面は前記第一の発光モジュールのコンセントレータ結晶体の出力面に取り付けられ、それによって第一の発光モジュールの、一次輝度放射として知られる第一の出力ビームは第二の発光モジュールの輝度トリガリング素子を構成し、第二の発光モジュールは、二次的輝度放射として知られる、その中心波長が一次輝度放射の中心波長に関してずれている第二の出力ビームを生成し、
-第一のモジュールのコンセントレータ結晶体の前記出力面に平行な垂直面yz上の第二のモジュールの寸法は第一の発光モジュールのコンセントレータの前記出力面の寸法より小さいか、それと等しく、
-方向xへの第二のモジュールのコンセントレータの寸法は、第二のモジュールのコンセントレータによる一次輝度放射の吸収長さLabs.2より大きく、
-第一のミラーは、前記第一のミラーを前記第一の側面に関して変位させて、被覆されない表面を増減するように設計された並進システム上に取り付けられ、
-第一のミラーは、被覆されない表面領域の形状が正方形、長方形、円形、長円形、三角形、又は多角形となるように設計される。
【0015】
本発明の他の特徴、詳細、及び利点は、例として提供され、それぞれ以下を表す添付の図面に関して提供される説明を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】先行技術において知られている発光モジュールの例の略図を示す。
図1B】先行技術において知られている発光モジュールの例の略図を示す。
図1C】先行技術において知られている発光モジュールの例の略図を示す。
図1D】先行技術において知られているコンセントレータの略図を示す。
図1E】先行技術において知られているコンセントレータの略図を示す。
図2】本発明による発光装置の略図を示す。
図3A】蛍光放射の光線の移動の概略的表現を示す。
図3B】蛍光放射の光線の移動の概略的表現を示す。
図4】蛍光放射の光線の射出角に応じた2つの透過率曲線を示す。
図5A】出力面の寸法sに応じた平均透過率を示す。
図5B】出力面の寸法sに応じた比E/Erefの変化を示す。
図5C】出力面の寸法sに応じた平均長さの変化を示す。
図6A】それぞれ、異なる損失係数の値に関する出力面の寸法sに応じた平均等価尾率Tmoyと比E/Erefの変化を示す。
図6B】それぞれ、異なる損失係数の値に関する出力面の寸法sに応じた平均等価尾率Tmoyと比E/Erefの変化を示す。
図7A】2つの異なる損失係数の値に関する出力面の寸法sに応じた比E/Erefと比Lmoy/Lの変化を示す。
図7B】2つの異なる損失係数の値に関する出力面の寸法sに応じた比E/Erefと比Lmoy/Lの変化を示す。
図8】コンセントレータ結晶体が立方体である本発明の実施形態を示す。
図9】出力面の表面積に応じた出力ビームの出力パワーPout、及び照明Eの変化を示す。
図10A】被覆されない表面領域の形状がそれぞれディスク及び文字「A」であるように第一のミラーが設計された、本発明の実施形態による装置を示す。
図10B】被覆されない表面領域の形状がそれぞれディスク及び文字「A」であるように第一のミラーが設計された、本発明の実施形態による装置を示す。
図11】コンセントレータ結晶体が面取り縁部を有する実施形態を示す。
図12】第一のミラーが並進システムに取り付けられる実施形態を示す。
図13A】複数のファイバベアリング出力がファイバ群の形態に結合される実施形態を示す。
図13B】光ファイバ中の、出力面の表面積に応じた結合パワーPの変化を示す。
図14】装置が第一及び第二の発光モジュールを含む本発明の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図中、特にことわりがない限り、要素は正確な縮尺によらない。
【0018】
図2は、本発明による発光装置1の略図を示す。装置は、いわゆるコンセントレータ発光結晶体CLを含む発光モジュールMEを含む。このコンセントレータ結晶体は、寸法がw×eの、側面FL1、FL2として知られる第一及び第二の面を含む2つずつが平行な6つの面を含む。これらの側面は方向xに対して垂直であり、方向xへのコンセントレータの水平寸法に対応する距離L(長さと呼ばれる)だけ分離され、Lはコンセントレータの寸法の中で最も大きい。寸法L×wの面SI及びSIは「大きい面」又は「照明面」と呼ばれ、寸法L×eの面は「断面」と呼ばれる。
【0019】
装置1は、発光結晶体の中で輝度放射Lの発出を生成するように設計された輝度トリガリング素子EDを含む。後で詳述するように、輝度トリガリング素子は複数のLED、太陽光をコンセントレータへと向けるように設計された1つ若しくは複数の光学素子、又はコンセントレータを加熱するように設計された素子とすることができる。
【0020】
前述のコンセントレータ1D及び2Dとは異なり、本発明の目的は、コンセントレータからの出力で得られる輝度を高めるために、補足的な方向への集光効果を得ることである。この集光効果は3Dとして知られるが、それは放射が結晶体の中に、その面の全部において集光されるからである。この目的のために、装置1は2つのミラーM1及びM2を含み、これらは、大きい面の平面(xz)上で(及び任意選択により、コンセントレータの幅wに応じた断面の平面(xy)上で)得られる集光効果に加えて、側面の平面(xy)上で補足的な集光効果を生じさせるように設計される。それゆえ、輝度放射の光線がコンセントレータから「射出する」前に側面での反射を増大させることができ、それによって、光線が折り返される効果により出力面での照明における、及び輝度の増強が実現する。
【0021】
第一のミラーM1は、第一の側面FL1を少なくとも部分的に被覆して、第一のミラーにより被覆されない表面領域SR1と、第一のミラーにより被覆されない、関連する出力面FS1を画定する少なくとも1つの表面領域SFS1を画定する。この目的のために、第一のミラーM1は第一の側面FL1と対向して位置付けられ、それに取り付けられ、又はその上に堆積させられる。何度もシミュレーションを行った結果、後述するように、発明者らは出力面の表面積の第一の側面のそれに対する比が、側面での集光効果を確保し、ひいては出力面での照明の増強を確保できるようにするための重要パラメータであることに気づいた。発光モジュールの寸法は、被覆されない表面積SFS1(出力面FS1の表面積)と第一の側面の全表面積Sとの比R=SFS1/Sが、輝度放射の光線が第一及び第二のミラーで反射され、平均して結晶体CL内で平均距離Lmoy>>Lにわたり伝播してから出力面FS1を通過するように設計されるように設計される。コンセントレータから射出する輝度放射の光線は、出力ビームLoutを形成する。Lmou>>Lとは、この場合、LmoyがLより7倍、好ましくは15倍大きいことを意味する。
【0022】
後で詳述するように、条件Lmoy>>Lを得るように設計される比R=SFS1/Sにより、コンセントレータ効果が3D平面上に存在するのを確実にすることができ、すなわち、生成された後に出力面FS1を直接通過するのではなく、輝度放射はほとんど結晶体内で反射し、概して結晶体内で何度も往復した後に出力面FS1から射出する。比R=SFS1/Sが小さいほど、輝度光線が射出する前にコンセントレータ内で移動する平均距離Lmoyは長くなる。それゆえ出力面での照明は増強され、それは、輝度放射が射出前にコンセントレータを「満たす」時間があるからである。この点は特に反直感的であり、なぜならミラーM1があるときとないときの出力パワーの比は単に表面積の比SFS1/Sと等しいと考え得るからであり、これは、全ての光線が1つの平面から発せられた場合に当てはまるであろう。本願の場合、体積及び体積内部での複数の反射の効果によって、出力面FS1でより大きい出力パワーを得ることが可能となる。特に、発明者らは、比Rが1/4以下、好ましくは1/8以下であるとき、平均距離LmoyはモジュールMEがその結果としてコンセントレータ効果を提供するのに十分であることを見出した(下記参照)。それゆえ、本発明の好ましい実施形態によれば、Rは1/4以下、又は好ましくは1/8以下である。
【0023】
第二のミラーM2は、第一の側面の反対の第二の側面FL2の少なくとも99%を被覆するように構成される。好ましくは、第二のミラーM2は第二の側面の全部を被覆する。
【0024】
それゆえ、輝度放射は側面から出力面FS1を介してのみ射出できる。実際、ミラーM1、M2は側面から射出するはずの光線を強制的にコンセントレータ内でより多くの回数にわたり移動させ、最終的にこれらは被覆されない表面領域、すなわち出力面FS1を通過する。この移動は、コンセントレータ内で側面において何度も反射することを意味する。それゆえ、出力ビームの出力面での照明はミラーM1及びM2の使用により増強される。
【0025】
図2の図面では、非限定的な例として、出力面は長方形であり、その寸法は方向zへのコンセントレータの厚さe及び方向yへの寸法sと等しい。それゆえ、出力面の寸法はs×eである。この例では、比Rはそれゆえ比s/wと等しい。代替的に、他の実施形態によれば、第一のミラーは、被覆されない表面領域の(ひいては出力面の)形態は正方形、長方形、円形、長円形、三角形、又は多角形でもあるように設計される。
【0026】
ミラーM1及びM2の反射率は、輝度放射のために95%より高く、好ましくは98%より高い。
【0027】
図3Bは、照明面SI1の平面(xy)で発光団Lumにより発せられた蛍光放射の光線の移動と、それが出力面FS1を通ってコンセントレータから「射出する」瞬間の概略的表現である。この実施形態では、装置はまた、2つの追加のミラーM3、M4(図3Aに示される)も含み、これらはコンセントレータの断面と対向して配置され、又はその上に堆積させられる。2つの追加的ミラーは、断面の全部を被覆するように配置される。これらのミラーにより、輝度反射のうち、全内反射により案内されず、コンセントレータから断面を介して射出すべき部分をコンセントレータ内で反射させ、それゆえ出力面での照明を増強させることが可能となる。この実施形態及びこれ以降の図面のそれらによれば、ミラーM2は第二の側面FL2を完全に被覆し、それによって出力面での照明が最大とされる。代替的に、他の実施形態によれば、ミラーM2は第二の側面FL2を完全には被覆しない。
【0028】
図3Bの表現では、コンセントレータCLは、図面をわかりやすくするために、光線の複数回の反射を示すのではなく、各反射において示されている。それゆえ、個々の長方形(又はリポスト(riposte))の各々はコンセントレータCLを表す。平面は2つずつ全て平行であるため、第一及び第二のミラーにより反射された光線に対応する等価光線は図面上、直線的に伝播し、これは側面を構成する4つのミラーに関するコンセントレータ及びそのリポストを含む。出力面FS1も各リポストに示されている。光線が実際に射出するか否かを特定するためには、それが出力面のリポストのうちの1つと交差する点Aを観察する必要がある。図3Bの例では、光線は最終的に断面での4回の反射と側面での4回の反射の後に射出する。
【0029】
出力領域の各リポストはそれゆえ、射出を可能にする一連の角度に対応する。
【0030】
これらの角度の全てを加算し、コンセントレータCL内での輝度放射の伝播による損失を考慮することにより、ある角度範囲に関するコンセントレータ内の発光点から始まる平均透過率を推定できる。
【0031】
図4には、蛍光放射の光線の出力角度に応じた2つの透過曲線C1、C2がある。出力角度θは、平面xy上で出力面の法線に関して示されている。図4の例では、コンセントレータの寸法は以下のとおりである:L=100mm、w=14mm、e=1mm。これらの寸法は例として示されており、非限定的である。この実施形態及び図5A~10のそれらによれば、第一のミラーは出力面が長方形であるように設計されており、その寸法はコンセントレータの方向zへの厚さeと方向yへの寸法sと等しい。それゆえ、出力面の表面積SNR=s×eである。この具体的なケースでは、比Rはそれゆえ、s/wと等しい。代替的に、出力面は長方形ではない。曲線C1及びC2はそれぞれs=7mm:R=1/2、s=5mm;R≒1/3の装置に対応する。
【0032】
このケースでは、考え得る全ての光線が考慮され、光線が出力面を通過する入射範囲は最大90°である。このケースは、コンセントレータが同じ屈折率の出力媒質に接着された場合及び側面が全ての入射光に対して完璧な反射率を有する場合に存在するであろう。空気がコンセントレータを取り囲む環境媒質である場合、臨界角度θcrit=sin-1(1/n)より小さい光線のみを考慮に入れなければならず、nはコンセントレータの屈折率である。Ce:YAGコンセントレータの場合、n=1.82であり、これは最大出力角度33°に対応する。
【0033】
曲線C1及びC2は非常に小さい透過率点を含み、これは出力面をほぼ通過することのない角度の光線に対応する。透過率はこれらの点付近で高い「ピーク」となることに留意すべきである。「ピークになる」とは、このケースでは、これらの点の付近での曲線の勾配が非常に急峻であることを意味する。出力面の寸法が小さくなると(曲線C2)、これらの低透過率点に対応する角度の(及びしたがって光線の)数は増える。それに加えて、強い入射光について透過率が全体的に減少することに留意すべきであり、これは構造内での輝度放射の平均伝播距離Lmoyの減少、側面での反射回数の多さ、及びそれゆえ媒質中の伝播による損失の増大に関連付けられる。この効果については、図5A~7Bにおいてより詳しく説明する。
【0034】
図5Aは、出力面の寸法sに応じた、出力面FS1を通過する輝度光線全部(図4参照)の空気中の平均透過率を示す。寸法は図4の例のそれらと同じである。この特定のケースでは、比R=SFS1/Sはそれゆえw/sと等しい。図5A及び5Bの曲線はそれゆえ、Rに比例するX軸を有する(これは、図7A~8B及び10に当てはまる)。すでに説明したように、輝度光線の出力角度は0~33°である。平均透過率Tmoyは、sの値が小さくても、コンセントレータ内での複数回の反射のおかげで非常に高いままである。それゆえ、透過率はs=1mm(すなわち、R=1/14)及び損失係数α=3.10-4mm-1(Ce:YAGコンセントレータに関する従来の値)でも50%のままである。ある出力面の表面積の場合、長さLmoyは平均透過率Tmoy及びmm-1単位の損失係数αに以下の等式、
【数2】
により関連付けられ、Lmoyは損失α及び、比Rに依存するTmoyのみに依存する。損失に対応する長さはL=1/αと定義される。
【0035】
図5Bは、出力面の寸法sに応じた、本発明による装置で得られる出力面での照明Eと、ミラーM1はないがミラーM2を持つ従来の構成で得られる第一の側面FL1上の照明Erefとの比E/Erefの変化を示す。パラメータは図5Aのそれらと同じである。図5Bでは、出力領域の照明は、その表面積が十分に小さいと大幅に増大することを観察できる。R=1/4(s=3.5mm)の値の場合、出力面での照明は3倍以上に増大することがわかる。R=1/8(s=1.75mm)の値の場合、出力面での照明は6倍増大することがわかる。これらの値は、3D集光を満たすコンセントレータ効果に対応し、それによって照明の1桁違う(10倍の)増大を得ることができる。特に、出力面が寸法s=14mm;R=1からs=1mm;R=1/14に変化すると、照明は8倍増大する。3D集光の効果は妥協点、すなわち出力面の表面積が有意に減少していても高いレベルのままである透過率と、その結果として増大する照明を見つけることにより、図5A及び5Bに示される効果の並置(juxtaposition)にも当てはまる。出力面のsの値が非常に低い場合、出力面での照明は減少することがわかる。この効果は3D集光効果に勝る、コンセントレータ内の輝度放射の伝播による実質的な損失に起因し、それゆえ、最適な3D効果のための比Rの下限となる。
【0036】
通過するたびにM1で、その後M2で反射される光線を評価し、面FL1に衝突するたびに射出する光線を考慮することにより、媒質内を移動する平均長さは
【数3】
であると示すことができる。図5Cは、出力面の寸法sに応じた平均長さLmoyの変化を示す。パラメータは図4の例のそれらと同じである。図5Cの曲線は、式1の式から得られ、それによって寸法sの(及び比Rの)選択が、輝度光線がコンセントレータから射出する前に移動する平均長さに与える直接的な影響を表すことができる。比R=1/4の場合、Lmoyは約80cmであり、すなわちLの7倍であり、それによって照明を3倍以上増大させることができる(図5B参照)。比R=1/8の場合、Lmoyは約160cmであり、すなわちLの15倍であり、それによって照明を6倍増大させることができる。
【0037】
図6A及び6Bはそれぞれ、異なる損失係数の値(曲線TS10及びE10のα=10-4mm-1から曲線TS及びEのα=10-3mm-1まで)に関する出力面の寸法sに応じた平均透過率Tmoyと比E/Erefの変化を示す。その他のパラメータは、図5A及び図5Bのそれらと同じである。損失の増大には、平均透過率と出力面での照明(比E/Eref)を減少させる効果があることが観察される。この効果は、伝播による(及びLの減少による)損失の低減によるものであり、小さい出力面表面積(Rが小さい)では、Lmoyがより大きくなるため、より強くなる。R=1/8(s=1.75mm)の値の場合、損失がα=10-4mm-1からα=10-3mm-1になると、出力面での照明は4~8倍増大することがわかる。図6Bに示されているように、10-3mm-1までの損失(曲線E)の場合、照明に対する集光の効果は依然として見られるが、「ピーク」となるように見える。それゆえ、第一のミラーの寸法をコンセントレータの損失に合わせて、3D集光効果を確保することが重要である(図7A及び7B参照)。
【0038】
図7A及び7Bは、それぞれ損失係数がα=10-3mm-1及びα=10-4mm-1又は、それぞれLp=1m及びLp=10mのコンセントレータに関する出力面の寸法sに応じた比率E/Erefの、及び比率Lmoy/Lの変化を表す。Lmoyは、出力面の表面積が減少すると増大する。実際、各光線はすると、より長い経路に沿って移動してからでなければ、出力面を通過できない。損失レベルが高い場合(図7A)、Lmoyは出力面の表面積が非常に小さいと(sが1.6mmより小さい)急速にLを超過し得ることがわかる。sが非常に小さいと、出力面の照明(比E/Eref)は、sが小さくなると減少し、これは、媒質中の伝播による実質的な損失に起因する。他方で、出力面の表面積が大きくなると(図7Aではs>0.3の場合)、出力面での照明(比E/Eref)は、sが小さくなると増大する。R=1/4の値の場合、照明は、R=1(s=14mm)及びLmoy=0.5×L=0.5mと比較して2.75倍増大する。Lmoyはこのケースでは、Lの5倍である。R=1/8の値の場合、照明はR=1及びLmoy=L=1mと比較して3.75倍増大する。Lmoyはそれゆえ、Lの10倍である。
【0039】
損失がより小さいと(図7B)、sが非常に小さくても、出力面の照明(比E/Eref)は引き続きsの減少に伴って増大するが、これはLmoyがLより低いままであるからである。このケースでは、損失は、表面積の小さい出力面についても、コンセントレータの効果に勝らない。R=1/4の値の場合、照明は、R=1と比較して4倍増大する。R=1/8の値の場合、照明はR=1と比較して8倍増大する。何れの場合も、LmoyはLよりはるかに大きく、L=10mより小さいままである。
【0040】
また、好ましくは、比Rは損失に関して調整される。最適な比はR=2 Lであると示すことができる。それゆえ、本発明の好ましい実施形態によれば、比RはR=2 Lであり、それによって可能な限り最大の比E/Erefが得られる。
【0041】
1D又は2D集光とは異なり、3D集光は形態係数L/eに依存しない。実際に、本発明による装置では、出力面での照明は
【数4】
に比例し、式中SFS1は出力面FS1の表面積であり、Sは側面SL1の表面積である。この特性は、先行技術による1D及び2Dコンセントレータと比較して、本発明による3Dコンセントレータにはるかに高いモジュール性を付与する。
【0042】
1つの実施形態によれば、コンセントレータは蛍光結晶体である。この実施形態の第一の変形型によれば、図1A及び1Bの装置と同様にして、輝度トリガリング素子は複数の発光ダイオードLEDを含み、これらは波長λの発光放射Lを発するように構成される。この実施形態によれば、ダイオードは、コンセントレータの少なくとも1つの照明面SI1、SI2を照明するように配置される。それに加えて、コンセントレータ結晶体は蛍光結晶体であり、これはLEDダイオードにより発せられた前記発光放射Lを吸収し、その後、前述の輝度放射Lに対応する蛍光放射を発するように設計される。代替的に、他の実施形態によれば、トリガリング素子は、蛍光結晶体を励起させるように設計されたレーザ又はフラッシュランプを含む。
【0043】
好ましくは、この実施形態では、先行技術によるコンセントレータのように、コンセントレータの、照明面に垂直な方向zの垂直寸法(厚さと呼ばれる)は、コンセントレータによる発光放射Lの吸収長さLabsより大きいか、それと等しい。それゆえ、LEDにより発せられる放射は、コンセントレータ結晶体によりはるかにほとんどの部分が吸収される。厚さが小さすぎると、励起放射の実質的な損失につながり、そのほとんどが結晶体を、それによって吸収されずに通過し、それゆえコンセントレータの全体的光学パフォーマンス/光学パフォーマンスPout/PLEDの低下を招き、式中、Poutは面FL1での出力ビームのパワーであり、PLEDはLEDの励起パワーである。
【0044】
代替的に、この実施形態の第二の変形型によれば、輝度トリガリング素子はレンズ又は、コンセントレータの照明面SI1、SI2に太陽光を集束させ、又は方向付けるように設計された他の何れかの光学素子を含む。この実施形態によれば、コンセントレータは太陽光を吸収し、その後、蛍光放射を発するように設計され、これは前述の輝度放射である。この実施形態により、ある集光面の光起電セルの数を減らすことが可能となる。実際に、本発明による装置では、従来の太陽光コンセントレータよりはるかに良好な集光が可能となり、すなわち、光起電セルにより被覆される表面を10~100の係数で減らすことができる。
【0045】
重要な点として、本発明による装置によれば、コンセントレータの厚さに関するかぎり、先行技術による蛍光コンセントレータの励起放射の吸収にかかわる限界をなくすことができる。実際、「1D」又は「2D」蛍光コンセントレータでは、2つの選択肢がある:
-厚さeを小さく保ち、それによって吸収を減じることにより、コンセントレータの効率を低下させるすこと。この場合、輝度は実質的レベルに保持できる。
-又は、Eを増大させて、吸収を増やし、したがって比L/eに比例する輝度を低減させること。
【0046】
それに対して、本発明による装置において、第一のミラーM1により出力面の寸法を「人工的に」減少させること(したがって、輝度を増大させること)が可能となり、その際、厚さeは縮小されない(及びしたがって、励起放射の吸収は減じられない)。この特性は、それに関して吸収が低い場合がある、1μmを超える発光を行うコンセントレータCLにとって特に有利である。実際、例えばドープガラスコンセントレータのケースでは、発光団の集光(及びそれゆえ吸収)は材料のイオン間の相互作用(発光団の「クエンチング」として知られる効果であり、これには発光分光学的特性を限定する効果がある)により限定される。本発明による装置によって、コンセントレータに低吸収率材料を使用することが可能となり、これは赤外線スぺクトルにおいて(最大10μm)効率的である。
【0047】
代替的に、他の実施形態によれば、コンセントレータは熱発光結晶体であり、輝度トリガリング素子は加熱素子を含み、これは前記コンセントレータ結晶体を加熱して、それが熱発光により輝度放射を発するように構成される。この実施形態により、蛍光結晶体とは異なるコンセントレータ結晶体を使用することが可能となる。
【0048】
図8は、コンセントレータ結晶体がサイズαの立方体である本発明の実施形態を示す。実際、「3D」コンセントレータには、大きい励起面の平面がかかわるかぎり、優先的な方向はない。したがって、例えば立方体のサイズを小型化できるようなコンセントレータの適当な形状を選択することができる。図8の実施形態では、コンセントレータは照明面SI1において放射Lにより励起される蛍光結晶体である。コンセントレータである立方体の寸法αは、コンセントレータによる励起放射Lの吸収長さLabsより大きい。この実施形態では、側面FL1及びFL2上のミラーM1及びM2に加えて、装置は2つの追加的ミラーM3、M4を含み、これらは平面(xz)に平行な面を被覆する。これらの追加的なミラーにより、全内反射により捕捉されず、ミラーM3及びM4により被覆される面を介して射出すべき輝度放射をコンセントレータ内で反射させることによって、出力面FS1上の照明を増大させることができる。
【0049】
図8の実施形態では、第一のミラーM1は、被覆されない表面積がαより小さい寸法bの正方形の出力面を画定する。それゆえ、出力面の寸法を小さくすることによって、立方体の寸法を小型化することなく、及びそれゆえ励起放射の吸収を減じることなく、輝度を増大させることが可能となる。
【0050】
図9は、パワーPLED=40Wの励起放射で照明された、図8に示されるものと同じ装置と1辺4mmの立方体蛍光コンセントレータに関する光線の通路のソフトウェアによるシミュレーション結果を示す。このシミュレーションにより、出力面FS1の表面積SFS1に応じた出力ビームの出力パワーPoutの変化(曲線P10)及び照明Eの変化(曲線E10)が得られる。すでに見てきたように、実質的な出力パワーを保持しながら、照明を大幅に増大させることが可能である。出力パワーPoutは透過率Tmoy(及びしたがって、比R)と、第一のミラーM1が存在しない場合に第一の側面から射出するであろう出力ビームPout,SMのパワーに、等式Pout=Tmoy out,SMに基づいて直接関連付けられる。Rが減少すると、透過率Tmoyが減少し、したがって出力パワーも減少する。それゆえ、比R=1/8の場合、照明はE≒10W/mmであり、出力ビームのパワーは約9Wである。
【0051】
図10A及び10Bは、第一のミラーM1が、被覆されない表面領域の形態がそれぞれディスクと文字「A」となるように設計された本発明の実施形態による装置を表す。側面FL1におけるこれらの出力面FS1の位置は自由であると理解されたい。出力面は角部にあっても、中央にあっても、縁部に取り付けられても、又は取り付けられていなくてもよい。これらの図は、出力面の形態に関する3Dコンセントレータ装置のモジュール性を図解している。プロジェクションにおいて一般的に使用されるフィルタやシールドとは異なり、出力照明は、投影されるパターンの表面積が小さくなると減少する。この、非常に具体的な特性により、強力な照明で高いパフォーマンスを示すディスプレイを作ることができる。
【0052】
図11は、コンセントレータ結晶体が面取り縁部ABを有する実施形態を示す。面取り縁部は、第一の側面の一部を形成すると考えられる。より具体的には、面取り縁部ABは、第一の側面と、コンセントレータ結晶体の他の面との間にある。この面は、第一の側面に隣接する何れの面とすることもできる。図11の実施形態では、面取り縁部ABは輝度放射を反射するミラーにより被覆されない。それゆえ、縁部ABは全体として出力面FS1を画定する。
【0053】
代替的に、他の実施形態によれば、面取り縁部の表面積の一部のみが反射ミラーにより被覆されず、この部分が出力面FS1を画定する。この実施形態により、出力面の表面積を縮小し、それゆえ照明を増大させることが可能となる。
【0054】
比R=SFS1/Sの計算において、表面積Sは面取り縁部の表面積を含み、被覆されない表面積SNRは面取り縁部のうちミラーにより被覆されない部分(又は、それがミラーにより被覆されない場合は縁部AB全体)の表面積を含む。
【0055】
図11の実施形態により、本発明の実施形態と前述の対称コンセントレータ(2つずつが平行な6つの面のみを有する)とを比較すると、出力面の照明を10%~30%増大させることができる。実際、コンセントレータに面取り縁部を作ることによって、直方体構造に対称の中断部分が作られる。より具体的には、面取り縁部により、直方体コンセントレータ内の全内反射によって捕捉される特定の輝度光線のための円錐又は補足的な逃がし領域が人工的に作られ、この光線は縁部によりコンセントレータから射出できる。面取り縁部ABがないと、これらの光線はコンセントレータ結晶体から出られない。
【0056】
代替的に、他の実施形態によれば、コンセントレータ結晶体は、第一の側面と、コンセントレータの他の2つの面との間ある面取り角部を有する。図11の実施形態と同じように、面取り角部は第一の側面の一部を形成すると考えられ、この角部は部分的にミラーで被覆することも、しないようにすることもできる。この実施形態によってもまた、本発明の実施形態と前述の対称コンセントレータと比較した場合、出力面での照明を増大させることが可能となる。
【0057】
図12は、第一のミラーM1が並進システムSTに取り付けられた実施形態を示しており、並進システムSTは、第一の側面FL1に関して移動して、出力面FS1の被覆されない表面SFS1を増減するように設計される。図12のこの例において、第一のミラーは、寸法x×eを有する長方形の出力面を画定するように設計され、eはコンセントレータの厚さである。並進システムにより、寸法sを制御して、出力面FS1上の照明Eを増減することが可能となる。この実施形態により、発光モジュールEMからの照明出力を制御することができる。
【0058】
本発明による装置により、複数の出力面FS1の使用が可能となり、これは、出力ビームのパワーLoutがコンセントレータの内部を循環するパワーと比較して低いからである。図13Aは、複数のファイバ担持出力FO1がファイバ群Gの形態に組み合わせられた実施形態を示す。この場合、群Gの出力での輝度は、1本のファイバの出力での輝度より若干低くなり、それは、全てのファイバコアを相互に向かい合わせることが難しいからである。他方で、群Gから得られる放射のパワーは大幅に増大し、全体のパフォーマンスレベルも同様である。図13Aの実施形態では、第一のミラーM1はn≧1個の被覆されない表面領域を画定し、n個の出力ビームLout,iが通過するn個の出力面FS1を画定するように設計される。装置はまた、n個の光ファイバFOと、各々が異なる光ファイバ内の出力ビームを結合するように設計されるn個の光結合システムSCiも含む。光結合システムは例えば、1つ又は複数の光学レンズとすることができる。比R=SFS1/Sの計算において、出力面の表面積Sは全ての出力面FS1の表面積の和と等しい。図13Aの表現では、非限定的な例として、n=2である。代替的に、他の実施形態によればn=2以外の数字が使用される。
【0059】
ファイバ担持出力の使用によって、出力ビームのその用途への搬送を容易にすることができる。本発明による装置おけるファイバ担持出力の使用は、出力面のモジュール性を考慮すると大幅に単純化され、それによって出力面の寸法を光ファイバコアのそれに合わせることができる。これは、出力面FS1に関連する出力ビームLout,iを関連する光ファイバFOへの良好な結合を確実にできる。この目的のために、各出力ビームLout,iの幾何学範囲を調整する必要がある。幾何学範囲はエミッタ領域の表面積に発せられたビームの立体角を乗じた積である。
【0060】
図13Bは、出力面の表面積(したがって、幾何学範囲)に応じた光ファイバ中の結合パワーPの変化を示す。非限定的な例として、ファイバの開口数は0.5、コア径は1.5mmで、幾何学範囲Etfibre=1.5 10-2cm.srとなる(このシミュレーションではn=1)。コンセントレータはCe:YAGプレートであり、その寸法はL=100mm、w=14mm、e=1mmであり、出力ビームのパワーに出力面を乗じるとPout=50Wとなる。それに加えて、コンセントレータの発光はランバーシアン型であると仮定される。ファイバ内の結合パワーPは出力ビームのパワーPout、ファイバの幾何学範囲(Etfibre)、及び出力面上のビームのそれ(Et)と、次式:Pc=(Etfibre/Et).Poutにしたがって関連付けられる。
【0061】
図13Bに示されるように、結合パワーは、出力面の表面積S=380μmでの最大値を経て変化し、これは、この特定のケースでは範囲が等しいことに対応する。出力面の表面積がより小さいと、コンセントレータにより発せられるパワーの全てを結合でき(Etconc<Etfibreであるため)、パフォーマンスレベルを限定する(Poutが減少する)のは3Dコンセントレータの透過率である。出力面の表面積がより大きい場合、パフォーマンスレベルを限定するのは結合光システムの透過率であり、これは幾何学範囲が不十分であるからである。それゆえ、好ましくは第一のミラーは、各出力ビームの幾何学範囲が光ファイバの幾何学範囲と等しくなるように設計される。この実施形態は、光の指向性を制御又は調整しなければならない用途のために設計される。
【0062】
図14は、装置が第一及び第二の発光モジュールME1、ME2を含む本発明の実施形態を示す。これらのモジュールは、第一のモジュールのコンセントレータCL1(第一のコンセントレータと呼ぶ)が第二の発光モジュールME2のコンセントレータCL2(第二のコンセントレータと呼ぶ)を横方向に励起するように設計される。図14の装置は、第一の発光モジュールME1に関連付けられる第一の輝度トリガリング素子(図14では図示せず)を含む。すでに見てきたように、この素子は複数のLED、太陽光を第一のコンセントレータへと向けるように設計された1つ若しくは複数の光学素子、又はこのコンセントレータを加熱するように設計された素子ともすることができる。
【0063】
第二のコンセントレータCL2の、第二の出力面FS1のある側面FL1とは異なる面は、第一のコンセントレータCL1の出力面FS1に取り付けられる。これによって、第一の発光モジュールから得られる第一の出力ビームLout,1は第二の発光モジュールME2の輝度トリガリング素子を構成する。第二のコンセントレータCL2は、第一の出力ビームを吸収し、その後、第二の出力ビームLout,2を生成するように設計され、これは第二の輝度放射と呼ばれ、その中心波長λは第一の出力ビームの中心波長λに関してずれている。この装置により、強力な放射を生成することが可能となり、これは集光効果が輝度に累積されるからである。
【0064】
特に、第二のコンセントレータの寸法は、第一のコンセントレータCL1の出力面FS1の寸法にのみ依存する。同じく好ましくは、第二のモジュールの、第一のコンセントレータの出力面FS1(平面yz)に平行な平面上の面の寸法は、第一のコンセントレータの出力面FS1の寸法より小さいか、それと等しい。
【0065】
この点は非常に重要であり、それは、第二のコンセントレータCL2の大きさの縮小にはこのコンセントレータの内部を移動する平均距離の短縮が係わるからである。Lmoyはすると、Lよりはるかに小さくなり得、これには、平均透過率を増大させる効果がある(図8A及び8B参照)。それにより、CL1のそれより損失率の高いCL2材料の使用が可能となる。
【0066】
第一の出力ビームが第二のコンセントレータC2によく吸収されるのを確実にするために、第二のコンセントレータの幅は第二のコンセントレータによる第一のビームの吸収長さLabs,2より大きい。この場合、「第二のコンセントレータの幅」とは、第二のコンセントレータの、第一のコンセントレータの長さの方向、すなわち方向xへの寸法を意味する。
【0067】
非限定的な例として、第一のコンセントレータ(寸法L=100mm;w=50mm;e=1mm)はCe:LYSOで製作され、その第一の吸収バンドはUVスペクトル内にあり、約360nmであり、第一のトリガリング素子はUV LEDを含み、それが第一の吸収バンドで連続的に約1W/mmの、パルスモードでは2.5W/mmのパワーを発する。第一のコンセントレータは、中心波長λ=430nmの第一の出力ビームLout,1を発する。第二のコンセントレータ(寸法L=10mm;w=0.5mm;e=0.25mm)はCe:YAGで製作され、第一の出力ビームのスペクトルと重複する第二の吸収バンドを有し、λ=560nmを中心とする第二の出力ビームを発する。
【0068】
UV LEDの現在の技術(16%の充填レベル)を考慮すると、第一のコンセントレータCL1の大きい面の各々に800のLEDを設けることが可能である。各LEDはパルスモードで動作し、2.5Wのパワーを発すると仮定される。したがって、励起パワーはPLED=4000Wである。第一の発光モジュールME1により発せられるパワーはしたがって、その第一の側面FL1で550W(パルスモード)であり、照明は11W/mmである。これらの値は、ミラーM1及びM2による3Dコンセントレータ効果を考慮していない。長方形の形態で、寸法が0.25mm×10mmの第一のコンセントレータの第一の出力面FSでは、3D集光効果によって第一の出力面FS1上の照明は28W/mmと推定される照明が得られる。
【0069】
第二のコンセントレータのサイズとFS1の表面積を考慮し、α1,2=3.10-4mm-1の損失があると仮定すると、CL2の平均透過率は86%である。
【0070】
光線追跡ソフトウェアを用いたシミュレーションによって、第二のコンセントレータが第一のコンセントレータにより励起されて発するパワーを推定することができる。従来のパフォーマンスレベルは、第一及び第二のコンセントレータ間の吸収及び発光バンドの重複を考慮して9.6%と計算される。第二のCe:YAGコンセントレータはそれゆえ、その第一の側面FL1において34Wのパワーを発する。この測定値は、ミラーM1及びM2により得られる3Dコンセントレータ効果を考慮していない。第二の長方形の出力面FS1の表面積が25μm×250μmと小さい場合、3D集光効果によって第二の出力面FS上で4660W/mm、すなわち466kW/cmと推定される照明が提供される。この値は、第一のコンセントレータを励起するLEDのそれより1800倍以上大きい照明を表す。第二の出力ビームのパワーPout,2はPout,2=29Wである。
【0071】
第二の出力面FSの非常に小さい表面積が選択されているが、これは第二のコンセントレータの寸法が第二のコンセントレータの損失長さLp.2(α=3.10-4mm-1の場合、Lp.2=3.3m)に関して非常に小さいからである。3D集光効果はしたがって、第二のコンセントレータにおいて非常に高いパフォーマンスを示すことができる。それゆえ、平均透過率は86%の値のままであり、第二の出力面FS1の表面積は第二のコンセントレータの側面FL1の表面積の10分の1である。
【0072】
このカスケード状3Dコンセントレータの集光係数はそれゆえ、1つの1D又は2Dコンセントレータにより提供されるものより2桁大きい。この顕著な増大は、全体的光学/光学パフォーマンスレベルPout,2/PLEDが低いことと引き換えに得られ、これはこのケースでは0.7%である。
【0073】
しかしながら、この波長範囲内のレーザでこの種の照明を生成するためには、非線形結晶体との複雑な変換連鎖を生成する必要があろう(黄-橙スペクトルを直接発するレーザ結晶はない)。全体的光学/光学パフォーマンスレベルは、最大でも数パーセントとなるであろう。ここで提案される光源ははるかに単純でありながら、照明はレーザに匹敵する。
【0074】
ここでCe:LYSO及びCe:YAGを用いて取り上げた例は最適化されていると言うにはかけ離れている点に留意すべきであり、それは、UV LEDの充填レベルがわずか16%であり、それに対して可視LEDのそれは現時点で40%、将来は70%を実現する可能性があるからである。
【0075】
カスケード状のコンセントレータは、3~5μmの赤外スペクトルでの発光にとってきわめて有利であり得る。また、他の実施形態によれば、第一のトリガリング素子は可視又は赤外LED(940nm)を含み、その充填レベルは40%より高い。第二のコンセントレータは硫化物又はセレン化物ガラスで製作され、その損失は現在、比較的高い。すでに見たように、小型のコンセントレータの使用により、損失が大きいという問題を回避することができる。
【0076】
それゆえ、図14の実施形態による3Dコンセントレータのカスケードによれば、既存の材料及びその特性に合わせる上での高い柔軟性が得られる。これらは、現存するものより2~3桁大きい、相関性のない光源の分野における非常に重要な発展を表す。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
【国際調査報告】