(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】振動型メータQを計算するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 9/00 20060101AFI20230725BHJP
G01N 11/16 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G01N9/00 E
G01N11/16 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501153
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020041112
(87)【国際公開番号】W WO2022010463
(87)【国際公開日】2022-01-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, ジョージ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クラビッツ, アンドリュー エス.
(57)【要約】
内部の流体の粘度および密度の少なくとも一方を決定するように動作可能である振動式メータ(100)が提供される。振動式メータ(100)は、ドライバ(112)と、ドライバ(112)によって振動可能であり、流体と接触するように動作可能な振動素子(104)とを備える。振動センサ(114)は、振動素子(104)の振動応答を検出するように構成される。メータ電子機器(118)は、ドライバ(112)に励振信号を送信し、振動応答を受信するように構成され、振動応答の第1の振動応答点および第2の振動応答点を測定するようにさらに構成される。第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方である。メータ電子機器(118)は、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して振動素子(104)のQを計算するようにさらに構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中にある流体の粘度および密度のうちの少なくとも一方を決定するように動作可能な振動式メータ(100)であって、
ドライバ(112)と、
前記ドライバ(112)によって振動可能であり、前記流体と接触するように動作可能な振動素子(104)と、
前記振動素子(104)の振動応答を検出するように構成されている振動センサ(114)と、
励振信号を前記ドライバ(112)に送信し、前記振動応答を受信するように構成され、前記振動応答の第1の振動応答点を測定し、第2の振動応答点を計算するようにさらに構成されているメータ電子機器(118)であって、前記第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方であり、メータ電子機器(118)は、前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点を使用して前記振動素子(104)のQを計算するようにさらに構成されている、メータ電子機器(118)と
を備える、振動式メータ(100)。
【請求項2】
前記メータ電子機器(118)は、前記Qを使用して前記流体の粘度を決定するように構成されている、請求項1に記載の振動式メータ(100)。
【請求項3】
前記第1の振動応答点は、先行する3dB帯域幅測定点(F
1)および後続する3dB帯域幅測定点(F
2)のうちの一方を含み、前記第2の振動応答は、先行する3dB帯域幅測定点(F
1)および後続する3dB帯域幅測定点(F
2)のうちの一方を含み、前記第2の振動応答点は、前記第1の振動応答点とは異なる、請求項1に記載の振動式メータ(100)。
【請求項4】
前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は周波数を含む、請求項3に記載の振動式メータ(100)。
【請求項5】
前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は時間期間を含む、請求項3に記載の振動式メータ(100)。
【請求項6】
前記振動素子(104)は片持ち梁状である、請求項1に記載の振動式メータ(100)。
【請求項7】
前記振動応答の前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は、同じ瞬間に対応する、請求項1に記載の振動式メータ(100)。
【請求項8】
前記他の測定応答点は、少なくとも2つの点を含む、請求項1に記載の振動式メータ(100)。
【請求項9】
振動式メータ(100)を使用して流体の粘度または密度を決定する方法であって、
ドライバ(112)に励振信号を送信するステップと、
前記ドライバ(112)によって振動素子(104)を駆動するステップと、
前記振動素子(104)の振動を検出するステップと、
前記振動応答の第1の振動応答点を測定するステップと、
前記振動応答の第2の振動応答点を計算するステップであって、前記第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方である、計算するステップと、
前記振動素子(104)のQを、前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点を使用して計算するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記Qを使用して前記流体の粘度を決定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の振動応答点は、先行する3dB帯域幅測定点(F
1)および後続する3dB帯域幅測定点(F
2)のうちの一方を含み、前記第2の振動応答は、先行する3dB帯域幅測定点(F
1)および後続する3dB帯域幅測定点(F
2)のうちの一方を含み、前記第2の振動応答点は、前記第1の振動応答点とは異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は周波数を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は時間期間を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記振動応答の前記第1の振動応答点および前記第2の振動応答点は、同じ瞬間に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記他の測定応答点は、少なくとも2つの点を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記に説明する実施形態は、振動型メータに関し、より詳細には、密度計および粘度計に関する。
【背景技術】
【0002】
密度計および粘度計を含む振動式メータは、流体の密度または粘度を測定するために使用される重要な器具である。振動式メータは、被試験流体に曝されるフォーク、シリンダ、または平面共振器などの振動素子を備えることができる。振動式メータの一例は、入口端部が既存のパイプラインまたは他の構造に結合され、出口端部が自由に振動するように実装されたシリンダカンチレバーを含む。メータを共振において振動させることができ、共振応答周波数を測定することができる。被試験流体の密度は、振動素子の低減された応答周波数を測定することによって決定することができる。周知の原理によれば、振動素子の共振周波数は、導管に接触する流体の密度と逆に変化する。
【0003】
粘度は、流動抵抗を表す流体特性である。粘度の一般的な定義は、流体の内部摩擦の測度である。特に、この内部摩擦は、流体の層が別の層に対して移動させられるときに明らかになる。したがって、粘度は、材料のある部分がその材料の別の部分の上を移動する際に受ける抵抗として説明されることが多い。粘度は、燃料、油、および潤滑剤などの石油流体を特徴付けるために一般的に使用され、多くの場合、それらは石油製品の取引および分類において指定される。例えば、石油製品の動粘度は、一般に、米国材料試験協会(ASTM)D445規格に記載されているような標準的な方法によって毛細管粘度計において測定される。そのような測定は、固定量の液体が所与の温度で再現可能な力の下で較正されたガラスキャピラリを通って重力下で流れる時間を測定することを含む。毛細管粘度計は、主にハーゲンポアズイユの式によって定義されている。ニュートン流体では、せん断応力はせん断速度に比例し、比例定数は粘度と呼ばれる。
【0004】
振動音叉などの機械的共振器を利用するメータは、ナビエ・ストークス方程式とニュートンの運動法則とのバランスをとることによって粘度を導出することができ、以下の形式の方程式が得られる。
【数1】
式中、μは流体粘度であり、ρは流体密度であり、ω
0は非減衰角共振周波数(2πf
0)であり、Aは真空中の共振器のQに関する定数であり、Bはセンサの剛性、質量および幾何学的形状に関する定数である。Qは、発振器または共振器がどの程度減衰不足であるかを表す無次元パラメータである。
【0005】
密度および共振周波数は、以下の形式の式によって関連付けられる。
【数2】
式中、CおよびDは、共振器の剛性、質量および幾何学的形状に関する定数であり、したがって、以下を与える。
【数3】
【0006】
単純にするために、共振周波数は、減衰されていない共振周波数であるf
0と同じと見なすことができる。多くの実際的な用途では、粘度センサは、現場で測定されたものと同様の流体に対して較正され、したがって周波数は変化しないため、周波数は定数と見なすことができ、したがって式は以下と同様の形式をとることができる。
【数4】
式中、Eは、本質的に、センサの剛性、質量および幾何学的形状ならびに公称共振周波数に基づく定数である。提供されている方程式は、非限定的な例として提供されている。
【0007】
液体粘度の測定に振動式センサを使用する原理は周知である。その一例は、共振特性が流体の密度および粘度によって影響を受ける振動素子原理に基づく微小運動フォーク粘度計(FVM)である。FVMは、この動作原理を利用して液体粘度を決定する。特に、粘度は、共振の品質係数(Q)、したがって共振器の減衰を測定することによって決定される。例えば、限定されないが、式5は、粘度を決定するための1つの可能な方法を表す。
粘度=V0+V2/Q2 (5)
式中、
V0およびV2は較正定数である。
【0008】
Qは、示されるように、共振周波数を帯域幅で除算した値として測定することができる。
【数5】
式中、
【数6】
【0009】
幾何学的Qは、以下のように計算することができる。
【数7】
式中、
T
Aは、先行する3dB帯域幅測定点の時点であり、
TBは、後続する3dB帯域幅測定点の時点である。
図1は、3dB時点T
AおよびT
Bを時間期間に関してグラフで示す。
図2は、3dB時点F
1、F
0、およびF
2を周波数に関してグラフで示す。
【0010】
先行する3dB点と後続する3dB点とを交互に測定する方法の1つの欠点は、点Bでの測定が点Aでの測定と同時に行われないことである。したがって、流体密度が変化している場合、誤ったQ測定が行われる。これを
図3において周波数に関して示す。F
1は奇数のサンプル番号で更新され、F
2は偶数のサンプル番号で更新されることが明らかであろう。Qは、F
1およびF
2の最新の値を使用してサイクルごとに計算されるため、F
1またはF
2のいずれかが1サイクル遅れになり、この場合、計算されたQは、帯域幅、したがってQが比較的一定であるべきであるにもかかわらず、上下に振動する。
【0011】
Qは周波数または時間期間の変化に非常に敏感であり、これが改善された方法が必要な理由である。再び
図3を参照すると、例えば、周波数は公称1350Hzであり、周波数の変化はサンプルあたり約0.09Hzである。周波数ドリフトは非常に小さいが、Q測定に関して得られる振動はサンプルあたり1%である(
図7参照)。すなわち、Qへの影響は、基礎となる周波数ドリフトよりも100倍を超えて大きい。このドリフトは、流体組成の定常的な変化の結果であり得るか、または温度の変化から生じ得る。
【0012】
本実施形態は、流体密度が変化している場合でもQ測定がはるかに正確であるように、同じ瞬間に対応するF1およびF2の読み値を取得するための装置および方法に関する。
【発明の概要】
【0013】
一実施形態によれば、内部の流体の粘度および密度の少なくとも一方を決定するように動作可能な振動式メータが提供される。振動式メータは、ドライバと、ドライバによって振動可能であり、流体と接触するように動作可能な振動素子とを備える。振動センサは、振動素子の振動応答を検出するように構成される。メータ電子機器は、励振信号をドライバに送信し、振動応答を受信するように構成され、振動応答の第1の振動応答点を測定し、第2の振動応答点を計算するようにさらに構成され、第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方であり、メータ電子機器は、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して振動素子のQを計算するようにさらに構成される。
【0014】
一実施形態によれば、振動式メータを使用して流体の粘度または密度を決定する方法が提供される。本方法は、ドライバに励振信号を送信するステップと、ドライバによって振動素子を駆動するステップとを含む。振動素子の振動が検出される。振動応答の第1の振動応答点が測定される。振動応答の第2の振動応答点が計算され、第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方である。振動素子のQは、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して計算される。
【0015】
[態様]
一態様によれば、振動式メータは、その中にある流体の粘度および密度のうちの少なくとも一方を決定するように動作可能である。振動式メータは、ドライバと、ドライバによって振動可能であり、流体と接触するように動作可能な振動素子とを備える。振動センサは、振動素子の振動応答を検出するように構成される。メータ電子機器は、励振信号をドライバに送信し、振動応答を受信するように構成され、振動応答の第1の振動応答点を測定し、第2の振動応答点を計算するようにさらに構成され、第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方であり、メータ電子機器は、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して振動素子のQを計算するようにさらに構成される。
【0016】
好ましくは、メータ電子機器は、Qを使用して流体の粘度を決定するように構成される。
【0017】
好ましくは、第1の振動応答点は、先行する3dB帯域幅測定点および後続する3dB帯域幅測定点のうちの一方を含み、第2の振動応答は、先行する3dB帯域幅測定点および後続する3dB帯域幅測定点のうちの一方を含み、第2の振動応答点は、第1の振動応答点とは異なる。
【0018】
好ましくは、第1の振動応答点および第2の振動応答点は周波数を含む。
【0019】
好ましくは、第1の振動応答点および第2の振動応答点は時間期間を含む。
【0020】
好ましくは、振動素子は片持ち梁状である。
【0021】
好ましくは、振動応答の第1の振動応答点および第2の振動応答点は、同じ瞬間に対応する。
【0022】
好ましくは、他の測定応答点は、少なくとも2つの点を含む。
【0023】
一態様によれば、振動式メータを使用して流体の粘度または密度を決定する方法が提供される。本方法は、ドライバに励振信号を送信するステップと、ドライバによって振動素子を駆動するステップとを含む。振動素子の振動が検出される。振動応答の第1の振動応答点が測定される。振動応答の第2の振動応答点が計算され、第2の振動応答点は、他の測定応答点から内挿されたものおよび外挿されたもののうちの一方である。振動素子のQは、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して計算される。
【0024】
好ましくは、本方法は、Qを使用して流体の粘度を決定するステップを含む。
【0025】
好ましくは、第1の振動応答点は、先行する3dB帯域幅測定点および後続する3dB帯域幅測定点のうちの一方を含み、第2の振動応答は、先行する3dB帯域幅測定点および後続する3dB帯域幅測定点のうちの一方を含み、第2の振動応答点は、第1の振動応答点とは異なる。
【0026】
好ましくは、第1の振動応答点および第2の振動応答点は周波数を含む。
【0027】
好ましくは、第1の振動応答点および第2の振動応答点は時間期間を含む。
【0028】
好ましくは、振動応答の第1の振動応答点および第2の振動応答点は、同じ瞬間に対応する。
【0029】
好ましくは、他の測定応答点は、少なくとも2つの点を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
同じ参照番号は、すべての図面上で同じ要素を表す。図面は必ずしも原寸に比例しないことを理解されたい。
【
図1】時間期間に関する3dB時点T
AおよびT
Bを示す図である。
【
図2】周波数に関する3dB時点F
1およびF
2を示す図である。
【
図3】Q計算に関連する3dB点の従来技術の測定を示す図である。
【
図5】一実施形態によるQ計算に関連する3dB点の測定を示す図である。
【
図6】代替の実施形態によるQ計算に関連する3dB点の測定を示す図である。
【
図7】実施形態による従来技術の経時的に測定されたQ対測定されたQの比較を示す図である。
【
図8】一実施形態によるメータ電子機器を示す図である。
【
図9】一実施形態によるQを計算する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1~
図9および以下の説明は、当業者に振動式メータの実施形態の最良の形態を作成および使用する方法を教示するための特定の例を示している。本発明の原理を教示するために、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者であれば、本明細書の範囲内に入るこれらの例からの変形形態を理解するであろう。当業者であれば、下記に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて振動式メータの複数の変形を形成することができることを理解するであろう。その結果、下記に説明する実施形態は、下記に説明する具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。
【0032】
提供される実施形態は、密度計および粘度計、ならびに振動部材のQ測定値を正確に計算するための関連する方法に関する。特に、先行する3dB帯域幅測定点(TA)および後続する3dB帯域幅測定点(TB)の読み値は、流体密度が変化している場合でもQ測定が正確なままであるように、同じ瞬間に対応するQ測定計算に利用される。
【0033】
図4は、振動式メータ100を示す。振動式メータ100は、例えば液体または気体などの流体の密度および/または粘度を測定するように構成することができる。振動式メータ100は、少なくとも部分的にハウジング102内に配置された振動素子104を有するハウジング102を含む。ハウジング102は、振動素子104が振動するときに流体圧力を保持するのに役立つ。ハウジング102の一部は切り取られている。例では、振動式メータ100は、既存のパイプライン内に一列に配置され得る。しかしながら、さらなる例では、ハウジング102は、流体サンプルを受け入れるための開口を有する閉鎖端部を備えてもよい。多くの場合、ハウジング102または振動素子104は、振動式メータ100をパイプラインまたは同様の流体送達装置に流体密に、動作可能に結合するためのフランジまたは他の部材を含むことができる。振動式メータ100の例では、振動素子104は、第1の端部106においてハウジング102に片持ち梁式に実装されている。振動素子104は、第2の端部108において自由に振動する。
【0034】
例示的な振動式メータ100は浸漬可能であり、これは、測定対象の流体が振動素子104の周囲全体に見られることを意味する。振動素子104は、チューブ、シート、改質シート、フォーク(図示されている)、ロッド、または当該技術分野で知られている任意の他の形状の形態をとってもよい。振動素子104は、一端または両端において固定されてもよく、図示のようないくつかの実施形態では片持ち梁状であってもよい。図示の例によれば、振動素子104は、第1の端部106の近くに複数の流体開口(図示せず)を含むことができる。流体開口は、振動式メータ100に入る流体の一部がハウジング102と振動素子104との間を流れることを可能にするように設けることができる。他の例では、被試験流体を振動素子104の外面に露出させるために、ハウジング102内に開口を設けることができる。しかしながら、さらなる例では、流体は、第1の端部106付近の金属加工品のチャネルを通って振動式メータに入ることができる。
【0035】
図4には、シリンダ116内に位置付けられたドライバ112および振動センサ114がさらに示されている。ドライバ112および振動センサ114はコイルを含んでもよいが、圧電センサ、光学センサ、ひずみゲージなどのような他の実施態様も可能である。コイルに電流が与えられると、振動素子104内に磁場が誘起され、振動素子104が振動する。逆に、振動素子104の振動は、振動センサ114内の電圧を誘起する。ドライバ112は、例えば単純な曲げ、ねじり、半径方向、または結合型を含む複数の振動モードのうちの1つにおけるその共振周波数のうちの1つにおいて振動素子104を振動させるために、メータ電子機器118から駆動信号を受信する。振動センサ114は、振動素子104が振動している周波数を含む、振動素子104の振動を検出し、処理のために振動情報をメータ電子機器118に送信する。振動素子104が振動すると、振動素子の壁に接触する流体、およびシリンダから短い距離をおいた流体が、振動素子104と共に振動する。振動素子104に接触する流体の付加質量は、共振周波数を低下させる。振動素子104の新しい、より低い共振周波数は、流体の密度を決定するために使用される。共振応答または品質係数を使用して、流体の粘度を決定することもできる。被試験流体が存在する場合、振動素子104のQは流体粘度に反比例して変化する。
【0036】
実施形態では、第1の周波数応答点および第2の周波数応答点は、Q計算に使用するために測定される。あるいは、第1の時点および第2の時点が測定される。
図3および
図4を参照すると、実施形態では、先行する3dB帯域幅測定点(F
1)および後続する3dB帯域幅測定点(F
2)の少なくとも一方についての振動素子104の周波数応答の読み値は、同じ時間期間から2つの値が使用されるように直線に当てはめられる。そのような値は、図示されているように連続的であってもよく、または非連続的であってもよい。そのような読み値は、メータ電子機器118によって計算される。3dB帯域幅測定点に関して、時間期間または周波数のいずれかを利用することができることに留意されたい。
【0037】
図5では、例として、実測点間でF
1値が内挿される例を示している。この場合、サンプル番号4と6との間のF
2に対して値が内挿される。この点が、F
1が測定される点、すなわちサンプル5に対応することは明らかであろう。この点は、
図5に示す矢印に対応する。その後、内挿されたF
2値は、F
1値測定時の測定F
1値と併せて利用されてQが計算される。これは単なる例であり、F
2測定値をQ計算に利用してF
1値を内挿することができることに留意されたい。さらに、サンプル番号もまた、例示の目的のためにのみ提供され、連続的または非連続的な任意のサンプル番号が使用されてもよい。
【0038】
この手法の欠点は、Qの計算が常にライブ測定より遅れることである。遅延をもたらさない代替方法を
図6に示す。この実施形態では、サンプル番号2および4における連続するF
2測定値の間に線が当てはめられ、次いで、サンプル番号5が取得された点に外挿される。この点は、
図6に示す矢印に対応する。これはここでも単なる例であり、F
2測定値をQ計算に利用してF
1値を外挿することができることに留意されたい。さらに、サンプル番号もまた、例示の目的のためにのみ提供され、連続的または非連続的な任意のサンプル番号が使用されてもよい。
【0039】
上記の例では、内挿値または外挿値を計算するために2つの点のみが使用される。内挿値および/または外挿値を計算するために、複数の点、平均、移動平均、勾配方程式など、およびそれらの組み合わせも使用されてもよい。
【0040】
図7は、従来技術のデバイスによって利用されるオフセット3dB帯域幅測定点を利用して密度が変化している、経時的な計算されたQ値の性質を示す。測定されたQが安定していないことは明らかであろう。この線に重ねて、
図3および
図4に示すような、内挿または外挿の結果としての改善されたQ値測定の一例が示されている。
【0041】
図8は、一実施形態によるメータ電子機器118のブロック図である。動作中、振動式メータ100は、密度、粘度、および流量の測定値または平均値のうちの1つまたは複数を含む、出力され得る様々な測定値を提供する。
【0042】
振動式メータ100は、振動応答を生成する。振動応答は、メータ電子機器118によって受信および処理されて、1つまたは複数の流体測定値を生成する。値は、監視、記録、保存、合計、および/または出力することができる。
【0043】
メータ電子機器118は、インターフェース201と、インターフェース201と通信する処理システム200と、処理システム200と通信する記憶システム202とを含む。これらの構成要素は個別のブロックとして示されているが、メータ電子機器118は、統合された構成要素および/または個別の構成要素の様々な組み合わせから構成することができることを理解されたい。
【0044】
インターフェース201は、例えば、リード線に結合し、ドライバ112、振動センサ114、および温度または圧力センサ(図示せず)と信号を交換するように構成することができる。インターフェース201は、通信経路を介して、外部デバイスと通信するようにさらに構成することができる。
【0045】
処理システム200は、任意の様式の処理システムを含むことができる。処理システム200は、振動式メータ100を動作させるために、記憶されたルーチンを取り出して実行するように構成されている。記憶システム202は、一般メータルーチン204を含むルーチンを記憶することができる。記憶システム202は、測定値、受信値、作業値、および他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、質量流量(m)220、密度(ρ)208、粘度(μ)210、温度(T)212、圧力214、駆動利得205、周波数および/または時間期間216、Q218、駆動利得ルーチン206などのルーチン、ならびに当該技術分野で知られている任意の他の変数またはルーチンを記憶する。他の測定値/処理ルーチンが考えられ、本明細書および請求項の範囲内にある。
【0046】
一般メータルーチン204は、流体定量化および流れ測定値を生成および記憶することができる。一般メータルーチン204は、例えば、粘度測定値を生成し、それらを記憶システム202の粘度210ストレージに記憶し、および/または密度測定値を生成し、それらを記憶システム202の密度208ストレージに記憶することができる。粘度210値は、前述のように、また当該技術分野で知られているように、Q218から決定することができる。
【0047】
図9は、一実施形態による方法1200を示す。方法はステップ300によって開始する。ステップ300において、振動素子100がドライバ112によって振動するように駆動される。ドライバ112を制御する励振信号は、メータ電子機器118から送られる。
【0048】
方法はステップ302によって継続する。ステップ302において、振動素子104の振動が検出される。
【0049】
ステップ304において、振動応答の第1の振動応答点が測定される。
【0050】
ステップ306において、振動応答の第2の振動応答点が計算される。第2の振動応答点は、他の測定応答点からの内挿および外挿の一方を介して計算される。
【0051】
ステップ308において、本明細書において説明されているように、振動素子104のQが、第1の振動応答点および第2の振動応答点を使用して計算される。
【0052】
上記の実施形態の詳細な説明は、本開示の範囲内であると本発明者らが考えているすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上述の実施形態の特定の要素は、さらなる実施形態を作成するために様々に組み合わせまたは削除されてもよく、このようなさらなる実施形態は、本開示の範囲および教示内に入ることを認識するであろう。また、当業者には、本開示の範囲および教示内で追加の実施形態を作成するために、上述の実施形態を全体的または部分的に組み合わせてもよいことは明らかであろう。
【0053】
したがって、特定の実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者には理解されるように、本明細書の範囲内で様々な均等な変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上で説明され、添付の図に示される実施形態だけでなく、他の振動式メータに適用されてもよい。したがって、上述の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【国際調査報告】