(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】高温モードを有する呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61M16/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501268
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 NZ2021050104
(87)【国際公開番号】W WO2022010365
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ウィリアム、バージェス
(57)【要約】
本開示によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、ガス流を加湿するように構成された加湿器と、コントローラとを備える。本装置は、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御される。高温モードでは、患者に送達されるガスの温度は、通常モードにあるときに患者に送達されるガスの温度よりも高い。高温モードでは、コントローラは、通常モードよりも高い温度を提供しながら、ガス流の1つ又は複数のパラメータを通常モードとは異なるように制御する。本装置は、ガス流の1つ又は複数のパラメータが制御されるクールダウンモードでも作動する。本装置は、ガス流の温度、露点、エンタルピー及び/又はエネルギーが安全限界を超えないことを確実にする安全機能を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置であって、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
前記ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、前記装置が、前記コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、前記高温モードにあるとき、前記患者に送達されるガスのピーク温度が、前記通常モードにあるときに前記患者に送達されるガスのピーク温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
前記通常モードでは、前記コントローラが、第1ピーク流量によって制限される第1流量範囲内の流量で前記ガス流を発生させるように、前記流れ発生器を制御し、
前記高温モードでは、前記コントローラが、第2ピーク流量によって制限される第2流量範囲内の流量で前記ガス流を発生させるように、前記流れ発生器を制御し、前記第2のピーク流量が、前記通常モードの前記第1ピーク流量よりも低い、
呼吸補助装置。
【請求項2】
前記第1流量範囲が第1最小流量によって制限され、前記第2流量範囲が第2最小流量によって制限され、前記第2最小流量が前記第1最小流量よりも高い、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
高温モードと通常モードとの間の流量範囲の変化の大きさが、所定の閾値未満であるように制御される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2流量範囲の前記最小流量が、前記第1流量範囲の前記最小流量以下である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第2流量範囲が前記第1流量範囲よりも狭い、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2流量範囲が、前記第1流量範囲よりも1~70L/min、好ましくは5~60L/min、より好ましくは10~60L/minだけ狭い、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記高温モードにあるとき、前記患者への前記ガス流が、41~50℃、好ましくは43~47℃の温度範囲に制御される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記高温モードの持続時間を設定された持続時間に制限する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御されるように構成され、前記クールダウンモードが、前記高温モードの後に作動し、前記クールダウンモードにあるとき、
a.前記流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される前記流量から前記流量設定値への前記流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b.前記加湿器のヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c.前記患者に送達される前記ガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
のうちの任意の1つ又は複数である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置であって、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
前記ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、前記装置が、前記コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、前記高温モードにあるとき、前記患者に送達されるガスの温度が、前記通常モードで前記患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
前記高温モードでは、前記コントローラが、前記高温モードの持続時間を最大持続時間に制限する、呼吸補助装置。
【請求項11】
前記コントローラが、タイマによって生成される信号を使用して、前記高温モードの前記持続時間を制限する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
設定された持続時間が、15~180分、好ましくは20~120分、より好ましくは30~90分である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラが、カウンタによって生成される信号を使用して、前記高温モードの前記持続時間を制限する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が前記信号を生成する、請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記信号を生成するように構成されたさらなるコントローラを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が遠隔デバイスから信号を受信する、請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が、前記コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御されるように構成され、前記クールダウンモードが、前記高温モードが終了した後に作動する、請求項12~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記クールダウンモードにあるとき、
a.前記流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される前記流量から前記流量設定値への前記流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b.前記加湿器のヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c.前記患者に送達される前記ガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
のうちの任意の1つ又は複数である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記クールダウンモードでは、前記装置が、40℃以下のガス流温度設定値に制御される、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記クールダウンモードでは、前記装置が、前記通常モードで発生する流量の第1範囲内の流量でガス流を発生させるように制御される、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記クールダウンモードでは、前記装置が、前記ガス流のエンタルピー及び/又は露点が前記高温モードのエンタルピー及び/又は露点よりも低下するように制御される、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記高温モードにあるとき、前記患者への前記ガス流が、41~50℃、好ましくは43~47℃の温度範囲にある、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置であって、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
前記ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、前記装置が、前記コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、前記高温モードにあるとき、前記患者に送達されるガスの温度が、前記通常モードで前記患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
前記装置がさらに、前記コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御され、前記クールダウンモードが、前記高温モードが終了した後に、前記クールダウンモードにあるとき、
a.前記流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される前記流量から前記流量設定値への前記流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b.前記加湿器ヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c.前記患者に送達される前記ガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
d.前記流量、及び/又は高温モード中に使用される前記流量からの前記流量の前記変化率が、所定の流量-時間曲線/関係に従って制御されること、
のうちの任意の1つ又は複数であるように作動する、呼吸補助装置。
【請求項24】
前記クールダウンモードが、前記コントローラにより、前記装置の動作の1つ又は複数の所定の条件に応答して自動的に選択される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記動作1つ又は複数の所定の条件が、
a.タイマによって決定される所定の期間、
b.カウンタによって決定される所定のカウント数、
c.ガス流の露点を超えること、
d.ガス流のエンタルピーを超えること、
e.前記ユーザが高温モードから出ること、
のうちの任意の1つ又は複数から選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記コントローラが、前記クールダウンモードの後、前記装置を通常モードに戻す、請求項23~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記コントローラが、15~60分間の範囲にあり得る、又は30分であり得る所定期間の後に、前記装置を通常モードに戻す、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラが、前記ガス流の温度に応じて前記装置を通常モードに戻す、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラが、前記ガス流の温度が所定の温度未満であることに応じて前記装置を通常モードに戻す、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラが、前記ガス流の露点に応じて前記装置を通常モードに戻す、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記コントローラが、前記ガス流のエンタルピーに応じて前記装置を通常モードに戻す、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記高温モードにあるとき、前記患者への前記ガス流が、41~50℃、好ましくは43~47℃の温度範囲にある、請求項22~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置であって、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
前記ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、前記装置が、前記コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、前記高温モードにあるとき、前記患者に送達されるガスの温度が、通常モードで前記患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
前記コントローラが、高温モード中、且つ/又は高温モードの終了直後に、前記ガス流のエンタルピー及び/又は露点が所定のレベル未満であるように、前記ガス流の特性を制限するように、前記装置を制御する、呼吸補助装置。
【請求項34】
前記高温モードにあるとき、前記患者への前記ガス流が、41~50℃、好ましくは43~47℃の温度範囲にある、請求項1~33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置であって、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
前記ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、前記装置が、前記コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、前記高温モードにあるとき、前記患者に送達されるガスの露点が、通常モードで前記患者に送達されるガスの露点よりも高く、前記高温モードにあるとき、前記患者への前記ガス流が、43~50℃の露点範囲にある、コントローラと、
を備える呼吸補助装置。
【請求項36】
a.患者に取り付けられるように、且つ前記加湿器から前記加湿されたガスの流れを受け取るように構成された患者インタフェースと、
b.前記加湿器の出口に接続されるように、且つ前記加湿器から前記加湿されたガス流を受け取るように構成された少なくとも1つの患者導管を備える、患者回路と、
c.前記患者インタフェースを前記患者の頭部に取り付けるように構成されたヘッドギアと、
のうちの任意の1つ又は複数を備える、請求項1~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記患者インタフェースが鼻カニューレを備える、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
ユーザから前記装置を制御するための入力を受け取るように配置されたユーザインタフェースを備える、請求項1~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記ユーザインタフェースが、グラフィックユーザインタフェース、好ましくはタッチスクリーングラフィックユーザインタフェースである、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記通常モード及び前記高温モードが、ユーザインタフェースを介してユーザが選択可能である、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記装置が、前記高温モードの終了後に、クールダウンモードを提供するように制御される、請求項1~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記クールダウンモードが、前記コントローラにより、前記装置の動作の1つ又は複数の所定の条件に応答して自動的に選択される、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記動作の1つ又は複数の所定の条件が、
a.タイマによって決定される所定の期間、
b.カウンタによって決定される所定のカウント数、
c.ガス流の露点を超えること、
d.ガス流のエンタルピーを超えること、
e.前記ユーザが高温モードから出ること、
のうちの任意の1つ又は複数から選択される、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置が、前記クールダウンモードの後、前記通常モードに戻るように制御される、請求項41~43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
通常モードにあるとき、前記患者に供給される前記ガス流が、以下の特性:
a.31℃~37℃の範囲の露点、
b.31℃~37℃の範囲の温度、
c.10L/min~70L/minの範囲の流量、
のうちの任意の1つ又は複数を有するように制御される、請求項1~44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
高温モードにあるとき、前記患者に供給される前記ガス流が、以下の特性:
a.40℃~45℃の範囲の露点、
b.41℃~50℃の範囲の温度、
c.30L/min~40L/minの範囲の流量、
d.前記通常モードにおける最小流量よりも所定の量少ない最小流量、
e.前記通常モードにおける最小流量よりも所定の量多い最小流量、及び
f.前記通常モードにおける最大流量よりも所定の量少ない最大流量、
のうちの任意の1つ又は複数を有するように制御される、請求項1~45のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高温モードを有し、患者による吸気のためのガス流を提供するように構成されている、呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助装置は、病院又は他の医療施設等、さまざまな環境で、患者に呼吸ガスの流れを送達するために使用される。ガス流は通常、患者の快適性を促進し、気道の乾燥を緩和するために加温及び加湿される。ガス流は、吸気導管及び患者インタフェースを介して患者に送達される。こうした呼吸補助装置の例としては、CPAP、PEEP、バイレベル(Bi-Level)装置等の非侵襲的換気(NIV)装置と、ハイフロー(高流量)装置とがある。
【0003】
ハイフロー呼吸補助装置に含まれる患者インタフェースは、通常、鼻カニューレを備える。鼻カニューレは、患者の鼻孔に受け入れられるように構成されている1つ又は複数のプロングを備える場合がある。プロングは、ガス(呼気ガスを含む)がプロングの周囲に漏れることができるように、鼻孔に対して密閉しないように構成される場合もある。鼻カニューレを有するハイフロー呼吸補助装置によって提供される療法は、ネーザルハイフロー(nasal high flow)(経鼻高流量)呼吸補助又はネーザルハイフロー(NHF)療法と称されることが多い。
【0004】
NHF療法の間、流れは通常、ある範囲(例えば、成人では10~100L/min、新生児又は小児では1~25L/min)内の設定流量で維持される。ガス流は、空気、又は追加の酸素が補充された空気からなる可能性がある。NHF療法の間、患者インタフェースにおける呼吸ガスの温度は、通常、一連の事前設定値(例えば、31℃、34℃又は37℃)から選択することができる。
【0005】
呼吸補助装置の他の例は、非侵襲的換気(NIV)装置である。非侵襲的換気装置は、(設定流量に制御する)流量制御式の装置、又は(設定圧力に制御する)圧力制御式の装置であり得る。圧力制御式のNIV装置は、(CPAP療法におけるように)一定圧力に、又は(バイレベル療法におけるように)可変圧力に制御することができる。バイレベルNIV療法では、吸気中の設定圧力は、呼気中の設定圧力とは異なる場合がある。
【0006】
NIV装置で使用される患者インタフェースは、通常、ユーザの顔面に対して少なくとも部分的に密閉する患者インタフェースを含む。密閉患者インタフェースの例としては、患者の顔面に対して密閉する密閉クッションを含む口、鼻又はフルフェイスマスクがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、患者の治療を改善するために、場合により、例えばヒトライノウイルス(HRV)等のウイルスに感染した患者の治療を改善するために使用することができる呼吸補助装置を提供しようとする何らかの研究に由来する。
【0008】
本開示による装置は、上気道のウイルス感染症又は細菌感染症、例えばヒトライノウイルス(HRV)若しくはインフルエンザウイルス、又は上気道感染症を引き起こす他のウイルスを有する患者の治療を改善することができる。
【0009】
本開示の1つの態様は、比較的高い温度、例えば40℃を超える、場合により43~47℃の温度で、高流量のガス流を送達するように制御される呼吸補助装置を提供することである。
【0010】
本開示の1つの態様は、(既知の呼吸補助装置によって送達されるガス流のエネルギーと比較して)高いエネルギーを有するガス流を送達するように制御される呼吸補助装置を提供することである。この高エネルギーのガス流は、高温のガス流又は高露点のガス流(すなわち、高温及び高湿度のガス流)からなり得る。例えば、ガス流の温度は40℃を超え、場合により43~47℃であり得る。この例、又は別の例では、ガス流の露点は、40℃を超え、場合により43~47℃であり得る。
【0011】
本開示の他の態様は、高流量の高温ガスに曝されている間、且つその直後に、患者が過度のエンタルピー曝露及び熱損傷を受けないようにするに役立つように、ガス流のエンタルピー及び/又は露点を管理するように制御される、高流量装置を提供することである。エンタルピー及び/又は露点は、患者インタフェースで測定するか、又は流れ発生器と患者インタフェースとの間のガス流路の他の場所で行われた測定値から計算することができる。
【0012】
本開示の態様は、通常モードに従って、且つ、呼吸ガスが比較的高い温度で患者に送達される高温モードに従って作動する装置を提供することであり、本装置はさらに、1つ又は複数の安全アルゴリズムに従って作動する。安全アルゴリズムは、高温モードの間、呼吸ガスの1つ又は複数の特性を安全レベルの範囲内であるように制御するように構成することができる。安全アルゴリズムは、高温モードが終了した後、ただし通常モードが再開する前に、呼吸ガスの1つ又は複数の特性を安全レベルの範囲内にあるように制御するように構成することができる。
【0013】
本開示は、患者に供給されるガスの温度を上昇させるように、且つ/又は患者に供給されるガスの露点を上昇させるように、相対的に高い温度でガス流を送達するように制御される装置を提供する。患者に供給されるガスの露点は、ガスの湿度に応じて変化する。本装置は、患者に供給されるガスの温度が比較的高いか、又は患者に供給されるガスの温度及び露点の両方が比較的高い、高温モードで動作するように制御することができる。
【0014】
本開示による装置において、ガスの温度及び/又は露点は、患者に供給される際の(すなわち、患者インタフェースにおける又は患者における)ガスの温度及び/又は露点を指す。患者における温度は、患者における1つ又は複数のセンサを使用して測定することができる。例えば、これらの1つ又は複数のセンサは、吸気導管の患者端に、又は患者インタフェース自体に若しくはその中にあり得る。別法として、温度は、装置内の他の場所で測定することができる。例えば、温度は、加湿器において、加湿器出口において、又は加湿器と患者との間の他の何らかの箇所において、測定することができる。温度が患者から遠位で(例えば加湿器出口で)測定される場合、装置のコントローラは、測定の箇所と患者との間で温度がどのように変化する可能性があるかを計算するように構成することができる。コントローラは、ガスが患者に到達する前にガスの温度を維持しようとするように、加熱された吸気導管のヒータを制御するように構成することができる。言い換えれば、コントローラは、吸気導管に沿ったいかなる計算された温度低下も補償するように導管ヒータを制御することができる。
【0015】
コントローラは、導管の患者端にある、温度センサ及び/又は湿度センサ等の1つ又は複数の患者端センサからのフィードバックに基づいて、導管ヒータを制御することができる。患者端センサは、導管の患者端に、例えば導管の端部にあるカフ又はコネクタに位置することができる。患者端センサは、患者インタフェースに位置することができる。コントローラは、吸気導管の端部から患者までの温度低下、例えば3℃の低下を決定するように構成することができる。
【0016】
本開示による装置は、高温及び高露点を有するガス流(すなわち、高温、及びガス流が高露点を有するのに十分に高い相対湿度を有するガス流)を送達するように制御することができる。
【0017】
1つの例では、高露点は、40℃超の温度と80%超の湿度とを含む。
【0018】
本開示による装置は、ガス流が、通常モードにあるときよりも高いピーク温度及び/又は高い露点を有する高温モードに従って、作動することができる。通常モードは、呼吸ガスが患者に送達されるが、高温又は高露点では送達されない治療モードである。
【0019】
本開示の一態様は、ガスが高温及び高露点で患者に送達される高温モードの間及び後に、呼吸装置を制御するように構成された安全アルゴリズムである。いくつかの態様では、この安全アルゴリズムは、
a)高温モード中に使用することができる流量を制限し、且つ/又は
b)高温モードの持続時間を制限し、且つ/又は
c)装置が高温モードから、ガスが標準的な流量及びより低い温度で患者に送達される通常モードに戻るプロセスを制御する。
【0020】
本開示の1つの態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードにあるときに患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
通常モードでは、コントローラは、第1ピーク流量によって制限される第1流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、
高温モードでは、コントローラは、第2ピーク流量によって制限される第2流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、第2のピーク流量は、通常モードの第1ピーク流量よりも低い。
【0021】
本開示の1つの態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された非侵襲的換気呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードにあるときに患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
通常モードでは、コントローラは、第1ピーク流量によって制限される第1流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、
高温モードでは、コントローラは、第2ピーク流量によって制限される第2流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、第2のピーク流量は、通常モードの第1ピーク流量よりも低い。
【0022】
本開示の1つの態様によれば、患者に高流量のガス流を提供するように構成されたハイフロー呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つの高流量モードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードにあるときに患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
通常モードでは、コントローラは、第1ピーク流量によって制限される第1流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、
高温モードでは、コントローラは、第2ピーク流量によって制限される第2流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、第2のピーク流量は、通常モードの第1ピーク流量よりも低い。
【0023】
第1流量範囲は、第1最小流量によって制限することができ、第2流量範囲は、第2最小流量によって制限される。
【0024】
第1流量範囲と第2流量範囲との間の変化の大きさは、所定の閾値未満であるように制御することができる。
【0025】
第2流量範囲の最小流量は、通常モードにあるときの第1流量範囲の最小流量以下であり得る。
【0026】
第2流量範囲は、第1流量範囲よりも狭くすることができる。
【0027】
第2流量範囲は、第1流量範囲よりも1~70L/min、好ましくは5~60L/min、より好ましくは10~60L/minだけ狭くすることができる。
【0028】
第1流量範囲は、0L/min~100L/minであり得る。第2流量範囲は、20~80L/min、より好ましくは30~60L/minであり得る。
【0029】
第2流量は、第1流量よりも、5~30L/min、又は10~25L/min、又は実質的に15L/min、又は実質的に10L/minだけ少なくすることができる。
【0030】
高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃、好ましくは43~47℃の温度範囲であり得る。
【0031】
高温モードにあるとき、コントローラは、高温モードの持続時間を最大持続時間に制限することができる。
【0032】
本装置は、コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御することができ、クールダウンモードは、高温モードの後に作動し、クールダウンモードにあるとき、
a)流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される流量から流量設定値への流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b)加湿器のヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c)患者に送達されるガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること
のうちの任意の1つ又は複数である。
【0033】
電力は、例えば、PWM、デューティサイクル、電圧及び/又は電流を制御することによって、低減させることができる。
【0034】
電力は、所定の量だけ低減させてもよく、且つ/又は、ゼロに低減させてもよい。
【0035】
本開示の別の態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
高温モードでは、コントローラは、高温モードの持続時間を最大持続時間に制限する。この持続時間は、装置が所定の期間にわたって高温モードで動作するように制御される、設定された持続時間であり得る。ユーザは、最大持続時間までの任意の時点で高温モードから出ることができる。
【0036】
流れ発生器は、各々がモータ及びインペラを備える1つ又は複数のブロワを備えることができる。ブロワは、装置のハウジング内に取り付けることができる。加湿器もまた、装置のハウジング内又はハウジング上に取り付けることができる。
【0037】
本開示の別の態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
高温モードでは、コントローラは、高温モードの持続時間を最大持続時間に制限する。この持続時間は、装置が所定の期間にわたって高温モードで動作するように制御される、設定された持続時間であり得る。ユーザは、最大持続時間までの任意の時点で高温モードから出ることができる。
【0038】
本装置は、外部ガス源から1種又は複数種のガスを受け取るように構成されたガス入口を備えることができる。本装置は、複数のガス入口を備えることができる。外部ガス源は、例えば、酸素源を含むことができる。外部ガス源は、病院内の酸素壁供給設備等の壁供給源を含むことができる。外部ガス源は、圧縮ガスのタンク又は缶を含むことができる。
【0039】
コントローラは、タイマによって生成される信号を使用して、高温モードの持続時間を設定された持続時間に制限することができる。
【0040】
設定された持続時間は、15~180分、好ましくは20~150分、より好ましくは30~120分であり得る。
【0041】
コントローラは、カウンタによって生成される信号を使用して、高温モードの持続時間を設定された持続時間に制限することができる。
【0042】
本装置は、上記信号を生成することができる。
【0043】
本装置は、上記信号を生成するように構成されたさらなるコントローラを備えることができる。
【0044】
本装置は、遠隔デバイスから信号を受信することができる。
【0045】
本装置は、コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御することができ、クールダウンモードは、高温モードが終了した後に、且つ設定された持続時間の満了時に、作動する。
【0046】
クールダウンモードにあるとき、
流量を流量設定値に制御することができ、高温モード中に使用される流量から流量設定値への流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
加湿器のヒータに供給される電力を、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減させることができること、及び/又は
患者に送達されるガス流の温度設定値を、高温モード中の温度設定値よりも低下させることができること
のうちの任意の1つ又は複数である。
【0047】
加湿器ヒータに供給される電力は、PWM、デューティサイクル、電圧及び/又は電流のうちの任意の1つ又は複数を変更することにより、変更することができる。
【0048】
クールダウンモードでは、本装置は、40℃以下のガス流温度設定値に制御することができる。
【0049】
クールダウンモードでは、本装置は、通常モードで発生する流量の範囲内の流量でガス流を発生させるように制御することができる。
【0050】
クールダウンモードでは、本装置は、ガス流のエンタルピー及び/又は露点が高温モードのエンタルピー及び/又は露点よりも低下するように制御することができる。
【0051】
高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃、又は43~47℃、又は43~45℃の温度範囲にあり得る。
【0052】
本開示のさらなる態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
本装置はさらに、コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御され、クールダウンモードは、高温モードの後に作動し、クールダウンモードにあるとき、
a)流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される流量から流量設定値への流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b)加湿器ヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c)患者に送達されるガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
のうちの任意の1つ又は複数である。
【0053】
本開示のさらなる態様によれば、患者に高流量のガス流を提供するように構成されたハイフロー呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つの高流量モードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
本装置はさらに、コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御され、クールダウンモードは、高温モードの後に作動し、クールダウンモードにあるとき、
a)流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される流量から流量設定値への流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b)加湿器ヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c)患者に送達されるガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
のうちの任意の1つ又は複数である。
【0054】
クールダウンモードは、コントローラにより、本装置の動作の1つ又は複数の所定の条件に応答して自動的に選択することができる。
【0055】
動作の1つ又は複数の所定の条件は、
a)タイマによって決定される所定の期間、
b)カウンタによって決定される所定のカウント数、
c)ガス流の露点を超えること、
d)ガス流のエンタルピーを超えること、
e)ユーザが高温モードから出ること、
のうちの任意の1つ又は複数から選択することができる。
【0056】
コントローラは、クールダウンモードの後、本装置を通常モードに戻すことができる。
【0057】
コントローラは、15~60分間の範囲にあり得る、好ましくは30分であり得る所定期間のクールダウンモード後に、本装置を通常モードに戻すことができる。
【0058】
コントローラは、ガス流の温度に応じて本装置を通常モードに戻すことができる。
【0059】
コントローラは、ガス流の温度が所定の温度未満であることに応じて本装置を通常モードに戻すことができる。
【0060】
コントローラは、ガス流の露点に応じて本装置を通常モードに戻すことができる。
【0061】
コントローラは、ガス流のエンタルピーに応じて本装置を通常モードに戻すことができる。
【0062】
高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃、43~47℃、好ましくは43~45℃の温度範囲にあり得る。
【0063】
本開示の別の態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
コントローラは、高温モード中、且つ/又は高温モードの終了直後に、ガス流のエンタルピー及び/又は露点が所定のレベル未満であるように、ガス流の特性を制限するように、本装置を制御する。上述したように、ガス流の温度、エンタルピー及び/又は露点は、患者インタフェースにおいて又はその近くで測定しても、又は、流れ発生器と患者インタフェースとの間の吸気ガス流路内の他の場所で測定してもよい。
【0064】
本開示の別の態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
コントローラは、高温モード中、且つ/又は高温モードの終了直後に、ガス流のエンタルピー及び/又は露点が所定のレベル未満であるように、ガス流の特性を制限するように、本装置を制御する。上述したように、ガス流の温度、エンタルピー及び/又は露点は、患者インタフェースにおいて又はその近くで測定しても、又は、流れ発生器と患者インタフェースとの間の吸気ガス流路内の他の場所で測定してもよい。
【0065】
高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃、43~47℃、好ましくは43~45℃の温度範囲にあり得る。
【0066】
本開示のさらなる態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラを備え、高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃又は43~47℃の温度範囲にある。
【0067】
本開示のさらなる態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードで患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラを備え、高温モードにあるとき、患者へのガス流は、41~50℃又は43~47℃の温度範囲にある。
【0068】
本開示のさらなる態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの露点が、通常モードで患者に送達されるガスの露点よりも高い、コントローラを備え、高温モードにあるとき、患者へのガス流は、43~47℃の露点範囲にある。
【0069】
本開示のさらなる態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を加湿するように構成された加湿器であって、加湿器ヒータを備える加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの露点が、通常モードで患者に送達されるガスの露点よりも高い、コントローラを備え、高温モードにあるとき、患者へのガス流は、43~47℃の露点範囲にある。
【0070】
本装置は、
a)患者に取り付けられるように、且つ加湿器から加湿されたガスの流れを受け取るように構成された患者インタフェースと、
b)加湿器の出口に接続されるように、且つ加湿器から加湿されたガス流を受け取るように構成された少なくとも1つの患者導管を備える、患者回路と、
c)患者インタフェースを患者の頭部に取り付けるように構成されたヘッドギアと、
のうちの任意の1つ又は複数を備えることができる。
【0071】
患者インタフェースは、非密閉インタフェースを含むことができる。患者インタフェースは、鼻カニューレ、又は気管チューブ等の気管インタフェースを含むことができる。
【0072】
患者インタフェースは、密閉インタフェースを含むことができる。
【0073】
本装置は、ユーザから本装置を制御するための入力を受け取るように配置されたユーザインタフェースを備えることができる。ユーザインタフェースは、グラフィックユーザインタフェース、好ましくはタッチスクリーングラフィックユーザインタフェースであり得る。通常モード及び高温モードは、ユーザインタフェースを介してユーザが選択可能であり得る。
【0074】
ユーザインタフェースは、カウントダウンタイマを提示するように構成することができる。ユーザインタフェースは、タイマ及び高温モードを再始動させることができるボタン又はインタラクティブ要素も表示することができる。
【0075】
本装置は、ユーザが高温モードを連続して起動することができる回数を制限するように構成することができる。
【0076】
本装置は、高温モードの終了後に、クールダウンモードを提供するように制御することができる。
【0077】
クールダウンモードは、コントローラにより、本装置の動作の1つ又は複数の所定の条件に応答して自動的に選択することができる。
【0078】
動作の1つ又は複数の所定の条件は、
a)タイマによって決定される所定の期間、
b)カウンタによって決定される所定のカウント数、
c)ガス流の露点を超えること、
d)ガス流のエンタルピーを超えること、
e)ユーザが高温モードから出ること、
のうちの任意の1つ又は複数から選択することができる。
【0079】
本装置は、クールダウンモードの後、通常モードに戻るように制御することができる。
【0080】
通常モードにあるとき、ガス流は、以下の特性:
a)31℃~37℃の範囲の露点、
b)31℃~37℃の範囲の温度、
c)10L/min~70L/minの範囲の流量、
のうちの任意の1つ又は複数を有するように制御することができる。
【0081】
高温モードにあるとき、ガス流は、以下の特性:
a)40℃~47℃の範囲の露点、
b)41℃~50℃の範囲の温度、
c)30L/min~40L/minの範囲の流量、
d)通常モードにおける最小流量よりも所定の量少ない最小流量、
e)通常モードにおける最小流量よりも所定の量多い最小流量、及び
f)通常モードにおける最大流量よりも所定の量少ない最大流量、
のうちの任意の1つ又は複数を有するように制御することができる。
【0082】
高温モード中の流量範囲は、通常モード中に使用される流量範囲と関連していてもよい。例えば、高温モード中の流量範囲は、同じ流量範囲の中点値を有していてもよい。
【0083】
本開示の一態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、患者に送達されるガスの温度が、通常モードにあるときに患者に送達されるガスの温度よりも高い、コントローラと、
を備え、
通常モードでは、コントローラは、第1ピーク流量によって制限される第1流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、高温モードでは、コントローラは、第2ピーク流量によって制限される第2流量範囲内の流量でガス流を発生させるように、流れ発生器を制御し、第2のピーク流量は、通常モードの第1ピーク流量よりも低く、高温モードでは、コントローラは、高温モードの持続時間を最大持続時間に制限し、
本装置はさらに、コントローラにより、クールダウンモードであるさらなるモードで制御され、クールダウンモードは、高温モードの後に作動し、クールダウンモードにあるとき、
a)流量が流量設定値に制御され、高温モード中に使用される流量から流量設定値への流量の変化率が、所定の閾値未満であるように制御されること、
b)加湿器のヒータに供給される電力が、通常モード及び/又は高温モード中に使用される電力よりも低減すること、及び/又は
c)患者に送達されるガス流の温度設定値が、高温モード中の温度設定値よりも低下すること、
のうちの任意の1つ又は複数である。
【0084】
本開示に係る装置は、患者に高流量のガスを送達するように構成されたハイフロー装置であり得る。
【0085】
ハイフロー装置は、非密閉患者インタフェースとともに使用されるように構成されるか、又は、非密閉患者インタフェースを備えることができる。非密閉患者インタフェースの一例は、1つ又は複数の非密閉鼻プロングを有する鼻カニューレを含む。非密閉鼻プロングは、患者の鼻孔に対して密閉しない。
【0086】
本開示による装置は、非侵襲的換気装置であり得る。
【0087】
非侵襲的換気装置は、密閉患者インタフェースとともに使用されるように構成されるか、又は密閉患者インタフェースを備えることができる。密閉患者インタフェースの例としては、患者の顔面に対して密閉する密閉クッションを備える口、鼻又はフルフェイスマスクが挙げられる。
【0088】
本開示による装置は、例えば、CPAP又はバイレベル装置等の圧力サポート装置であり得る。
【0089】
本開示の一態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、第1及び第2モードで機能するように制御され、第1モードにあるとき、ガスは、第2モードにあるときよりも高い露点及び/又は高い平均温度で患者に送達される、コントローラと、
を備える。
【0090】
本開示の一態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、第1及び第2モードで機能するように制御され、第1モードにあるとき、ガスは、第2モードにあるときよりも高い露点及び/又は高い平均温度で患者に送達される、コントローラと、
を備える。
【0091】
本開示の一態様によれば、患者にガス流を提供するように構成された呼吸補助装置が提供され、呼吸補助装置は、
ガス流を発生させるように構成された流れ発生器と、
ガス流を加湿するように構成された加湿器と、
コントローラであって、装置が、コントローラにより、通常モード及び高温モードである少なくとも2つのモードで機能するように制御され、高温モードにあるとき、本装置は第1流量範囲で動作可能であり、通常モードにあるとき、本装置は第2流量範囲で動作可能であり、第2流量範囲は第1流量範囲よりも広く、本装置は、所定の持続時間にわたって高温モードで制御される、コントローラと、
を備える。
【0092】
持続時間は、例えば、120分未満、90分未満、60分未満、45分未満又は30分未満であり得る。
【0093】
第2流量範囲は、第2範囲のピーク流量、及び/又は第2範囲の流量の幅に関して、より広くすることができる。
【0094】
本開示の別の態様によれば、上記の記述のうちの任意の1つ又は複数による装置を使用して、患者に呼吸補助を提供する方法が提供される。
【0095】
呼吸補助装置は、流れ発生器出口と患者インタフェースとの間のガス流のための吸気ガス流路を提供するように構成された、吸気導管を備えることができる。
【0096】
流れ発生器は、ブロワを備えることができる。流れ発生器は、複数のブロワを備えることができる。複数のブロワのうちのブロワの1つは、ガス流を発生させるように構成することができ、複数のブロワのうちのブロワの別のものは、例えば呼気導管における吸引力の発生を介して、呼気導管に沿って呼気ガスを押し流すように構成することができる。
【0097】
本装置は、ハウジングを備えることができる。流れ発生器は、ハウジング内に位置することができる。加湿器は、ハウジング内に位置することができる。流れ発生器及び加湿器の両方が、同じハウジング内に位置していてもよい。
【0098】
本開示の別の態様によれば、
上記の記述のうちの任意の1つの呼吸補助装置と、
a)患者インタフェースと、
b)吸気導管と、
を備える呼吸システムが提供される。呼吸導管は、導管内のガスを加熱するように構成された、ヒータ線等のヒータを備えることができる。
【0099】
本明細書では、「患者」及び「ユーザ」という用語がともに使用されていることに留意されたい。「患者」という用語は、ハイフロー装置からガス流を受けている人を指す。「ユーザ」という用語は、例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含むことができる、装置のコントローラとインタラクトしている人を指す。ユーザと患者とは、同じ人である場合もあれば異なる人である場合もある。
【0100】
1つ又は複数の実施形態又は構成からの特徴を、1つ又は複数の他の実施形態又は構成の特徴と組み合わせてもよい。さらに、患者の呼吸補助のプロセス中に、2つ以上の実施形態を併せて使用してもよい。
【0101】
本明細書で使用する場合の「備える(comprising)」という用語は、「少なくとも一部は~からなる」を意味する。本明細書において、「備える」という用語を含む各記載を解釈するとき、その用語の前に置かれるもの以外の特徴も存在する可能性がある。「備える(comprise)」及び「備える(comprises)等の関連用語は、同様に解釈されるべきである。
【0102】
本明細書に開示する数の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及びその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及も組み込み、したがって、本明細書に明示的に開示するすべての範囲のすべての部分範囲は、参照により明示的に開示されていることが意図されている。これらは、具体的に意図されているもの単なる例であり、列挙された最低値と最高値との間の数値のあり得るすべての組合せは、同様に本出願において明示的に言及されているとみなされるべきである。
【0103】
代替的な実施形態又は構成は、本明細書おいて図示、記載又は言及する部分、要素又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せを含むことができることが理解されるべきである。
【0104】
本発明はまた、個々に又はまとめて、本出願の明細書において言及するか又は示す部分、要素及び特徴と、任意の2つ以上の前記部分、要素又は特徴の任意の又はすべての組合せにあると、広義に言うことができる。
【0105】
本発明が関連する技術分野の当業者には、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造の多くの変更並びに広く異なる実施形態及び応用が想到されよう。本明細書における開示及び説明は、完全に例示的であり、いかなる意味においても限定的であるようには意図されていない。本明細書において、本発明が関連する技術分野において既知の均等物を有する具体的な完全体が言及される場合、こうした既知の均等物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1B】呼吸補助装置に使用することができる流量センサを含む検知回路基板を示す。
【
図2】本開示による、高温モードを含む呼吸補助装置のコントローラによって提供される制御ステップのフロー図である。
【
図3】本開示による、クールダウンモードを含む呼吸補助装置のコントローラによって提供される制御ステップのフロー図である。
【
図4】本開示による呼吸補助装置の一部を構成することができるグラフィックユーザインタフェースのあり得る画面を示す。
【
図5】本開示による呼吸補助装置の一部を構成することができるグラフィックユーザインタフェースのさらなるあり得る画面を示す。
【
図6】呼吸補助装置によって患者に提供されるガスのエンタルピーが時間に関していかに変化する可能性があるかを示すグラフである。
【
図7】遠隔管理システムと通信する、本開示による呼吸補助装置を概略形式で示す。
【
図8】本開示による装置の患者センサを組み込んだ電気回路例である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
本開示は、ガス流を高温で患者に安全に送達するように構成されている呼吸補助装置に関する。加湿されたガスの流れを高温で患者の鼻孔内に導入することにより、(風邪を引き起こす可能性がある)ヒトライノウイルス、インフルエンザ、及び/又は、患者の上気道に存在するか若しくは患者の上気道を通って人体に侵入する可能性がある他の任意のウイルス等のウイルスに関連する症状が軽減する場合がある。こうした症状の軽減は、高温ガスの流れによって患者の気道に伝達される熱エネルギーの増加による可能性がある。本開示の態様によれば、ガスの流れは、例えばNHFに適した流量での、高流量のガスであり得る。
【0108】
本開示による呼吸補助装置は、治療中又は治療直後に、患者が熱損傷を受ける可能性があるという問題を克服するのに役立つことができる。この熱損傷は、ガス流のエンタルピー(又は露点)が高すぎる場合に、且つ/又は高温治療セッションが過度に長く続いた場合に、発生する可能性がある。
【0109】
本開示による装置のさらなる実施の詳細を後に提供する。
【0110】
しかしながら、要約すると、本開示の一態様は、通常の高流量モードと、高温高流量モードとの間で作動するハイフロー呼吸補助装置を提供する。高温モードは、通常の治療中に送達されるガス流と比較して患者へのガス流のエネルギーが増加する、高エネルギーモードであるとみなすことができる。本装置は、流れ発生器を備える。本装置は、以下の高レベル制御段階に従って制御される。
【0111】
a)高温モードの始動
-ピークガス流量を、通常モードでのピークガス流量と比較して減少させる。別法として又はさらに、ガス流の流量範囲を、通常モードにおけるガス流の流量範囲と比較して減少させる。本装置は、ガス流量を自動的に変更することができる。
b)高温モードの動作
-タイマ又はカウンタは、高温モードの最大持続時間を制限する制御信号を生成する。
c)高温モード動作後-第1段階
-ガス流量を、その高温モード後の設定値に向かって徐々に増加(又は減少)させる。本装置は、ガス流量を自動的に増加(又は減少)させることができる。
-ガスヒータ、例えば加湿器ヒータに供給される電力を低減させる。例えば、加湿器ヒータプレートのパルス幅変調(PWM)を設定時間にわたってゼロにすることができる。
-装置の加湿器の下流のガス流の温度を、設定時間にわたって制限する。コントローラは、最大温度設定値を、所定時間にわたって制限することができる。
d)高温モード動作後-後続段階
-ガスヒータに供給することができる電力を増大させる。ヒータに供給される電力は、多くの方法で変更することができる。例えば、(ヒータプレートであり得る)加湿器ヒータのPWMを、装置が通常モードにあるときに使用されるPWMまで戻すように増加させることができる。ガスヒータに供給される電力は、ガスヒータのデューティサイクルを変更することにより、又はガスヒータに供給される電圧及び/又は電流を変更することによってもまた(又は別法として)、変更することができる。
-(流路における所定箇所で測定される)ガス流の温度を、(流路におけるその所定箇所に対する)その高温モード後の設定値に向かって徐々に上昇させる。ガス流の温度は、加湿器の下流の任意の箇所で(例えば、患者インタフェースにおいて)測定することができる。いくつかの例では、加湿器から患者インタフェースにガス流を供給するホースの終端部でガス流の温度を測定することが好都合である(この測定値は、ホースの終端部(end-of-hose)すなわち又はEoHの温度として知られている)。
【0112】
本開示の一態様は、通常モードと高温モードとの間で作動する、NIV装置等の呼吸補助装置を提供する。本装置は、流れ発生器を備える。本装置は、以下の高レベル制御段階に従って制御される。
【0113】
a)高温モードの始動
-ピークガス流量を、通常モードでのピークガス流量と比較して減少させる。別法として又はさらに、ガス流の流量範囲を、通常モードにおけるガス流の流量範囲と比較して減少させる。本装置は、ガス流量を自動的に変更することができる。
-別法として、最大圧力及び/又は最小圧力を変更する。
-別法として、装置10は、高温モード中に一定の圧力を供給するように流れ発生器を制御してもよい。
b)高温モードの動作
-タイマ又はカウンタは、高温モードの最大持続時間を制限する制御信号を生成する。
c)高温モード動作後-第1段階
-ガス流量を、その高温モード後の設定値に向かって徐々に増加(又は減少)させる。本装置は、ガス流量を自動的に増加させることができる。
-ガスヒータ、例えば加湿器ヒータに供給される電力を低減させる。例えば、加湿器ヒータプレートのPWMを設定時間にわたってゼロにすることができる。
-装置の加湿器の下流のガス流の温度を、設定時間にわたって制限する。コントローラは、最大温度設定値を、所定時間にわたって制限することができる。
d)高温モード動作後-後続段階
-ガスヒータに供給することができる電力を増大させる。ヒータに供給される電力は、多くの方法で変更することができる。例えば、(ヒータプレートであり得る)加湿器ヒータのPWMを、装置が通常モードであるときに使用される通常のPWMに戻すように増加させることができる。ガスヒータに供給される電力は、ガスヒータのデューティサイクルを変更することにより、又はガスヒータに供給される電圧及び/又は電流を変更することによってもまた(又は別法として)、変更することができる。
-(流路における所定箇所で測定される)ガス流の温度を、(流路におけるその所定箇所に対する)その高温モード後の設定値に向かって徐々に上昇させる。ガス流の温度は、加湿器の下流の任意の箇所で(例えば、患者インタフェースにおいて)測定することができる。いくつかの例では、加湿器から患者インタフェースにガス流を供給するホースの終端部でガス流の温度を測定することが好都合である(この測定値は、ホースの終端部すなわち又はEoHの温度として知られている)。
【0114】
本開示の一態様は、通常モードと高温モードとの間で作動する呼吸補助装置を提供し、本装置は、以下の高レベル制御段階に従って制御される。
【0115】
高温モードの始動
-ピークガス流量を、通常モードでのピークガス流量と比較して減少させる。別法として又はさらに、ガス流の流量範囲を、通常モードにおけるガス流の流量範囲と比較して減少させる。本装置が流れ発生器を備えていない場合、又は流れ発生器が使用されない場合、本装置は、本装置が接続されている1つ又は複数のガス源からガス流を受け取ることができる。こうした実施形態では、本装置は、ユーザが、例えばガス源の流量制御弁を開閉することにより、手動で調整した減少したガス流を受け取ることができる。こうした実施形態において、本装置は、高温モードが始動されたときに、ガス源からのガス流量を減少させるようにユーザに示すように、1つ又は複数のリマインダを生成するように構成することができる。
高温モードの動作
-タイマ又はカウンタは、高温モードの最大持続時間を制限する制御信号を生成する。
高温モード動作後-第1段階
-ガス流量を、高温モード後の設定値に向かって徐々に増加(又は減少)させる。本装置は、ガス流量を自動的に増加させることができる。
-ガスヒータ、例えば加湿器ヒータに供給される電力を低減させる。例えば、加湿器ヒータプレートのPWMを設定時間にわたってゼロにすることができる。
-装置の加湿器の下流のガス流の温度を、設定時間にわたって制限する。コントローラは、最大温度設定値を、所定時間にわたって制限することができる。
高温モード動作後-後続段階
-ガスヒータに供給することができる電力を増大させる。ヒータに供給される電力は、多くの方法で変更することができる。例えば、(ヒータプレートであり得る)加湿器ヒータのPWMを、装置が通常モードであるときに使用される通常のPWMに戻すように増加させることができる。ガスヒータに供給される電力は、ガスヒータのデューティサイクルを変更することにより、又はガスヒータに供給される電圧及び/又は電流を変更することによってもまた(又は別法として)、変更することができる。
-(流路における所定箇所で測定される)ガス流の温度を、(流路におけるその所定箇所に対する)その高温モード後の設定値に向かって徐々に上昇させる。ガス流の温度は、加湿器の下流の任意の箇所で(例えば、患者インタフェースにおいて)測定することができる。いくつかの例では、加湿器から患者インタフェースにガス流を供給するホースの終端部でガス流の温度を測定することが好都合である(この測定値は、ホースの終端部すなわち又はEoHの温度として知られている)。
【0116】
呼吸補助装置
呼吸補助装置を提供することが知られている。こうした呼吸補助器具の1つの例は、鼻カニューレの形態の患者インタフェースを備えるハイフロー呼吸補助装置である。鼻カニューレは、患者の鼻孔内に受け入れられるプロングを備える。こうした装置において、患者は、典型的には、自身の口を介して、且つ/又はカニューレのプロングの周囲の漏れを介して、大気に直接息を吐く。こうした例では、例えば、約50~60L/minの流量で吸気ガス流を発生させるように、ユーザが規定した流量にこうした呼吸補助装置を制御することができる。代替形態では、ハイフロー呼吸補助装置は、例えば患者の頸部に挿入された気管チューブを通して、高流量を送達するための気管患者インタフェースを備えていてもよい。
【0117】
呼吸補助装置の別の例は、患者の鼻及び口の周囲を密閉する、フルフェイスマスク等の密閉インタフェースの形態での患者インタフェースを備えるNIV装置である。こうした例では、ユーザが規定した圧力にこうした呼吸補助装置を制御することができる。この圧力は、例えば、約1~40L/minの流量で吸気ガス流を発生させることができる。本開示により、高温の吸気ガス流が患者に提供される、通常モード、高温モード及びクールダウンモードに従って作動するNIV装置を提供することができる。各モード中の吸気ガス流は、その流れの圧力を制御することによって制御することができる。
【0118】
図1Aに、ハイフロー呼吸補助装置10を示す。呼吸補助装置10は、モータ/インペラ配置(例えば、ブロワ)の形態の流れ発生器11と、任意選択的な加湿器12と、コントローラ13と、(例えば、ディスプレイ、及びボタン、タッチパネル等の入力デバイスを含む)ユーザインタフェース14とを収容する主ハウジング100を備えることができる。コントローラ13は、装置の動作を制御するように構成又はプログラムすることができる。例えば、コントローラは、限定されないが、患者に送達するガスの流れ(ガス流)を生成するように流れ発生器11を動作させること、生成されたガス流を加湿及び/又は加熱するように加湿器12(存在する場合)を動作させること、流れ発生器ブロアへの酸素の流れを制御すること、装置10の再構成及び/又はユーザが規定した動作のためにユーザインタフェース14からユーザ入力を受け取ること、ユーザに情報を(例えばディスプレイ上に)出力すること等、装置の構成要素を制御することができる。ユーザは、患者、医療専門家、又は本装置の使用に関心のある他の任意の人であり得る。本明細書で用いる場合の「ガス流」は、周囲空気の流れ、実質的に100%の酸素を含む流れ、周囲空気及び酸素の何らかの組合せを含む流れ等、呼吸補助(breathing assistance)又は呼吸デバイスで使用することができるガスの任意の流れを指すことができる。
【0119】
呼吸補助装置10のハウジング100内のガス流出口21に、患者呼吸導管16が、一端において結合されている。患者呼吸導管16は、マニホールド19及び鼻プロング18を有する非密閉鼻カニューレ等の患者インタフェース17に、別の端部において結合されている。さらに又は別法として、患者呼吸導管16は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻ピローマスク、気管内チューブ、気管切開インタフェース等に結合することができる。好ましくは、呼吸補助装置10において、患者にハイフロー呼吸補助を提供するために、患者インタフェース17は、非密閉インタフェースである。呼吸補助装置10によって生成されるガス流は、加湿して、カニューレ17を通して患者導管16を介して患者に送達することができる。患者導管16は、患者まで通過していくガス流を加熱するヒータ線16aを有することができる。ヒータ線16aは、コントローラ13の制御下にあり得る。患者導管16及び/又は患者インタフェース17は、呼吸補助装置10の一部、又は呼吸補助装置の周辺装置とみなすことができる。呼吸補助装置10、呼吸導管16及び患者インタフェース17は、あわせて呼吸補助システムを形成することができる。
【0120】
装置10は、以下を備える。
a.加湿器及び流れ発生器が内部に配置されているハウジング。
b.加湿器の出口を装置の出口に流体的に結合するエルボ。エルボは、患者への感染の可能性を低減させるために消毒又は交換することができるように、取外し可能である。
【0121】
コントローラ13は、所望の流量のガス流を発生させるように流れ発生器11を制御することができる。コントローラ13は、補助酸素の供給を可能にするように補助酸素入口も制御することができ、加湿器12(存在する場合)は、ガス流を加湿し、且つ/又はガス流を適切なレベルまで加熱する等を行うことができる。ガス流は、患者導管16及びカニューレ17を通って患者に向けられる。コントローラ13は、加湿器12内の加熱素子及び/又は患者導管16内の加熱素子16aを制御して、患者に対して所望のレベルの療法及び/又は所望のレベルの快適さのために、ガスを所望の温度に加熱することもできる。コントローラ13をガス流の好適な目標温度でプログラムすることができ、又は、コントローラ13はそうした温度を決定することができる。この温度は、ガス流の温度又はガス流の露点を含むことができる。
【0122】
酸素入口ポート28は、加圧ガスが流れ発生器又はブロワに入ることができる弁を含むことができる。弁は、流れ発生器ブロワへの酸素の流れを制御することができる。弁は、比例弁又は二値弁を含む任意のタイプの弁であり得る。酸素源は、酸素タンク又は病院の酸素供給設備であり得る。医療用酸素は通常、95%~100%の純度である。より純度の低い酸素源も使用することができる。弁モジュール及びフィルタの例は、2016年10月18日に出願された「Valve Module and Filter」と題する米国仮特許出願第62/409,543号明細書、及び2017年4月23日に出願された「Valve Module and Filter」と題する米国仮特許出願第62/488,841号明細書に開示されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。弁モジュール及びフィルタは、
図6に関連して後により詳細に考察する。
【0123】
呼吸補助装置10は、いくつかの例では、患者に送達されているガスの酸素含有量、したがって、患者が吸い込むガスの酸素含有量を測定及び制御することができる。ハイフロー呼吸補助又は治療(すなわち、ハイフロー療法)の間、送達される高流量のガスは、患者のピーク吸気要求を満たすか又はそれを超える。これは、吸気中にデバイスによって患者に送達されるガスの体積が、吸気中に患者が吸い込むガスの体積を満たすか又はそれを超えることを意味する。したがって、ハイフロー呼吸補助(すなわちハイフロー療法)は、患者が息を吸うときの周囲空気の引込みを防止するとともに、患者の気道から呼気ガスをフラッシングするのに役立つ。送達されるガスの流量が患者のピーク吸気要求を満たすか又は超える限り、周囲の空気の引込みは防止され、デバイスによって送達されるガスの組成は、患者が吸うガスの組成と実質的に同じである。そのため、送達酸素分画(FdO2)として知られる、デバイスで測定される酸素分画は、吸入酸素分画(FiO2)として知られるユーザが吸入するガスの酸素分画と実質的に同じとなる。したがって、FdO2及びFiO2という用語は、この文脈では等価であるものとして見ることができる。他の例では、装置10はいかなる酸素制御も含まなくてもよく、いかなる補助酸素も提供されることなく患者に高流量を提供してもよく、すなわち、患者への吸気ガス流は、任意選択的に加湿してもよい、流れ発生器入口を通る周囲空気から発生する流れであることに注意されたい。
【0124】
呼吸補助装置10内のさまざまな場所に、流量、温度、湿度及び/又は圧力センサ等の動作センサ3a、3b、3cを配置することができる。患者導管16及び/又はカニューレ17のさまざまな場所に、追加のセンサ(例えば、センサ20、25)を配置してもよい(例えば、吸気チューブの端部に若しくはその近くに、又は患者インタフェースに、温度センサ29があってもよい)。センサからの出力は、コントローラ13によって受信され、コントローラが好適な療法を提供するように呼吸補助装置10を動作させるのに役立つことができる。いくつかの構成では、好適な療法の提供は、患者のピーク吸気要求を満たすことを含む。装置10は、コントローラ13が、センサから信号8を受信し、且つ/又は、限定されないが、流れ発生器11、加湿器12及びヒータ線16a、又は呼吸補助装置10に関連する付属品若しくは周辺装置を含む、呼吸補助装置10のさまざまな構成要素を制御することができるようにする、送信器及び/又は受信器15を備えることができる。さらに又は別法として、送信器及び/又は受信器15は、データを遠隔サーバに送出するか又は装置10の遠隔制御を可能にしてもよい。
【0125】
酸素は、酸素と周囲空気とが混合を終了する流路内の箇所から下流に、1つ又は複数のガス組成センサ(超音波センサシステムとも称する、超音波トランスデューサシステム等)を配置することにより、測定することができる。測定は、デバイス、送達導管、患者インタフェース内で、又は他の任意の好適な場所で行うことができる。使用する特定の1つのセンサ又は複数のセンサは、制御要件に応じて変更することができる。1つの例では、超音波トランスデューサシステムは、呼吸補助装置のハウジング内のガス流路内に位置決めされる。
【0126】
呼吸補助装置10は、いくつかの例では、患者の血中酸素飽和度(SpO2)、心拍数、呼吸数又は灌流指数等、患者の1つ又は複数の生理学的パラメータを測定する、パルスオキシメータ又は患者モニタリングシステム等の患者センサ26を含むことができる。患者センサ26は、信号品質の測定値も提供することができる。センサ26は、有線接続を介して、又はセンサ26上の無線送信器を介する通信により、コントローラ13と通信することができる。センサ26は、患者の指に接続されるように設計された使い捨ての接着型センサであってもよい。センサ26は、非使い捨てセンサであってもよい。異なる年齢層向けに且つ患者の異なる場所に接続されるように設計されたセンサが入手可能であり、呼吸補助装置で使用することができる。
【0127】
患者センサ26がパルスオキシメータである場合、これは患者に、典型的には患者の指に取り付けられるが、耳たぶ等の他の場所も選択肢である。パルスオキシメータは、装置10内のプロセッサに、例えばコントローラ13に接続され、患者の血中酸素飽和度を示す信号を常時提供する。
【0128】
患者センサ26は、呼吸補助装置10の動作中に取り付けるか又は交換することができる、ホットスワップ可能なデバイスであり得る。例えば、患者センサ26は、USBインタフェースを用いて、又は無線通信プロトコル(例えば、近距離無線通信、WiFi又はBluetooth(登録商標)等)を用いて、呼吸補助装置10に接続することができる。患者センサ26が動作中に切断された場合、呼吸補助装置10は、規定された期間にわたって、その先行する動作状態で動作を継続することができる。患者センサ26は、物理的又は無線インタフェースを介して呼吸補助装置10と通信するベッドサイドモニタリングシステム又は他の患者モニタリングシステムであってもよい。
【0129】
ハイフロー呼吸補助は、本明細書で考察するように、当業者によって理解されるようにその典型的な通常の意味が与えられるように意図されており、それは、一般に患者の吸気流量を満たすか超えるように意図されている流量で、意図的に非密閉の患者インタフェースを介して目標流量の加湿呼吸ガスを送達する呼吸補助システムを指す。典型的な患者インタフェースは、限定されないが、鼻又は気管患者インタフェースを含む。成人に対する典型的な流量は、限定されないが、約15リットル/分(L/min)~約70リットル/分、又はそれ以上の範囲であることが多い。小児科患者(新生児、乳児及び小児等)に対する典型的な流量は、限定されないが、患者の体重1キログラム当たり約1リットル/分~患者の体重1キログラム当たり約3リットル/分、又はそれ以上の範囲であることが多い。ハイフロー呼吸補助(すなわち、ハイフロー療法)は、任意選択的に、補助酸素を含むガス混合物組成及び/又は治療薬剤の投与も含むことができる。ハイフロー呼吸補助は、他の一般的な名称もあるがとりわけ、ネーザルハイフロー(NHF)、加湿ハイフロー鼻カニューレ(HHFNC:humidified high flow nasal cannula)、高流量経鼻酸素(HFNO:high flow nasal oxygen)、ハイフロー療法(HFT)、又は気管切開用ハイフロー(THF:tracheal high flow)と称されることが多い。「ハイフロー(高流量)」(すなわちハイフロー呼吸補助)を達成するために使用される流量は、以下に列挙する流量のうちの任意のものであり得る。例えば、いくつかの構成では、成人患者の場合、「ハイフロー呼吸補助」は、約10リットル/分(10L/min)~約100L/min、又は約15L/min~約95L/min、又は約20L/min~約90L/min、又は約25L/min~約75L/min、又は約25L/min~約85L/min、又は約30L/min~約80L/min、又は約35L/min~約75L/min、又は約40L/min~約70L/min、又は約45L/min~約65L/min、又は約50L/min~約60L/min等、約10L/min以上の流量での、患者へのガスの送達を指す場合がある。いくつかの構成では、新生児、乳児又は小児の患者の場合、「ハイフロー呼吸補助」(すなわちハイフロー療法)は、約1L/min~約25L/min、約2L/min~約25L/min、又は約2L/min~約5L/min、又は約5L/min~約25L/min、又は約5L/min~約10L/min、又は約10L/min~約25L/min、又は約10L/min~約20L/min、又は約10L/min~約15L/min、又は約20L/min~約25L/min等、1L/minを超える流量での患者へのガスの送達を指す場合がある。成人患者、新生児、乳児又は小児患者でのハイフロー呼吸補助装置は、約1L/min~約100L/minの流量で、又は上記に概説した部分範囲のうちの任意の流量で、患者にガスを送達することができる。呼吸補助装置10は、約1L/min~約100L/minの任意の流量で、最大100%の任意の濃度の酸素(例えば、FdO2)を送達することができる。いくつかの構成では、流量のうちの任意のものは、約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)と組み合わせることができる。いくつかの組合せでは、流量は、約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)と組み合わせて、約25L/min~75L/minであり得る。いくつかの構成では、呼吸補助装置10は、ユーザが患者に過剰な酸素を送達するのを防止する安全閾値を含むことができる。
【0130】
ハイフロー呼吸補助は、ユーザの鼻孔に且つ/若しくは経口的に、又は気管切開インタフェースを介して、施すことができる。ハイフロー呼吸補助は、意図されたユーザのピーク吸気流量要件で又はそれを超える流量で、ユーザにガスを送達することができる。ハイフロー呼吸補助は、上気道の解剖学的死腔が入ってくる高流量のガス流によってフラッシングされるように、鼻咽頭にフラッシング効果を発生させることができる。これにより、窒素及び二酸化炭素の再呼吸を最小限にしながら、毎回の呼吸に利用可能な新鮮なガスの貯蔵所をもたらすことができる。吸気要求を満たし、気道をフラッシングすることは、患者のFdO2を制御しようとするときにさらに重要である。ハイフロー呼吸補助は、例えば鼻カニューレ等の非密閉患者インタフェースを用いて送達することができる。鼻カニューレは、意図されたユーザのピーク吸気流量要件を超える流量でユーザの鼻孔に呼吸ガスを送達するように構成することができる。
【0131】
本明細書で用いる場合の「非密閉患者インタフェース」という用語は、患者の気道を完全に閉塞しない、患者の気道と(流れ発生器11から等の)ガス流源との間に空気圧リンクを提供するインタフェースを指すことができる。非密閉空気圧リンクは、患者の気道の約95%未満の閉塞を含む場合がある。非密閉空気圧リンクは、患者の気道の約90%未満の閉塞を含む場合がある。非密閉空気圧リンクは、患者の気道の約40%~約80%の間の閉塞を含む場合がある。気道は、患者の鼻孔又は口のうちの1つ又は複数を含むことができる。鼻カニューレの場合、気道は、鼻孔を通る。
【0132】
流れ発生器又はブロワ11は、周囲の室内空気をブロワに引き込むことができる周囲空気入口ポート27を含むことができる。
【0133】
呼吸補助装置10は、加圧ガスが流れ発生器又はブロワ11に入ることができる弁に通じる、酸素入口ポート28も含むことができる。弁は、流れ発生器ブロワ11への酸素の流れを制御することができる。弁は、比例弁又は二値弁を含む任意のタイプの弁であり得る。
【0134】
ブロワは、約1,000RPM超及び約30,000RPM未満、約2,000RPM超及び約21,000RPM未満、約4,000RPM超及び約19,000RPM未満、又は上述した値のうちの任意のものの間のモータ速度で動作することができる。ブロワの動作は、入口ポートを通ってブロワに入るガスを混合することができる。ブロワをミキサとして使用することにより、バッフルを含むスタティックミキサ等の別個のミキサを有するシステムにおいて、混合にエネルギーが必要であるため本来発生する圧力降下を、低減させることができる。また、スタティックミキサがあることにより、弁とガス組成センサとの間のガス流路の容積も増大する可能性があり、それにより、弁電流が変化するときと酸素濃度の対応する変化が測定されるときとの間の遅延がさらに増大する可能性がある。
【0135】
ユーザ入力と所定のデバイスから供給される療法とに基づき、コントローラは、ブロワの出力パラメータ(例えば、流量)の目標値を決定することができる。コントローラは、出力パラメータの測定値を受け取り、目標値と測定値との差に基づいてブロワの速度を調整することができる。
【0136】
目標出力パラメータは、流量であり得る。目標流量は、一定値であり得る。目標流量は、変動する値であってもよい。いくつかの構成では、コントローラは、目標流量に基づいてブロワモータ速度を制御し、さらに、患者の呼吸周期に基づいてモータ速度を増減させることができる。目標流量は必ずしも変化しないが、コントローラは、患者の呼吸と同期するように瞬間流量に振動を加えるために、モータ速度を変動させる。こうしたシステムは、2017年5月17日に出願された「Flow Path Sensing for Flow Therapy Apparatus」と題する国際出願PCT/NZ2017/050063号明細書に記載されている。
【0137】
さらに
図1Bを参照すると、呼吸補助装置10に実装することができる検知回路基板2200が示されている。検知回路基板2200は、検知回路基板2200がガスの流れの中に少なくとも部分的に浸漬されるように、センサチャンバ内に位置決めすることができる。ガスの流れは、導管を通ってブロワ11から出て、センサチャンバ内の流路に入ることができる。検知回路基板2200上のセンサのうちの少なくともいくつかは、流れ内のガス特性を測定するためにガスの流れの中に位置決めすることができる。センサチャンバ内の流路を通過した後、ガスは、上述した加湿器12に出ることができる。
【0138】
検知回路基板2200は、検知プリント回路基板(PCB)であり得る。別法として、基板2200上の回路は、回路基板に印刷される代わりに、電子部品を接続する電線で構築することができる。検知回路基板2200の少なくとも一部を、ガスの流れの外側に取り付けることができる。ガスの流れは、上述した流れ発生器11によって発生させることができる。検知回路基板2200は、超音波トランスデューサ2204を備えることができる。検知回路基板2200は、1つ又は複数のサーミスタ2205を備えることができる。サーミスタ2205は、ガス流の温度を測定するように構成することができる。検知回路基板2200は、サーミスタ流量センサ2206を備えることができる。検知回路基板2200は、(別個の温度センサとともに使用される湿度のみのセンサ、及び湿度及び温度センサの組合せを含む)湿度センサ、気圧を測定するセンサ、差圧を測定するセンサ、及び/又はゲージ圧を測定するセンサ等、他のタイプのセンサを備えることができる。サーミスタ流量センサ2206は、白金線等の熱線流速計、及び/又は負温度係数(NTC)若しくは正温度係数(PTC)サーミスタ等のサーミスタを含むことができる。加熱される温度検知素子の他の非限定的な例には、ガラス又はエポキシ封入又は非封入サーミスタが挙げられる。サーミスタ流量センサ2206は、一定の電力が供給されることにより、一定のセンサ温度に維持されることにより、又はガスの流れの温度と一定量だけ異なる温度に維持されることにより、ガスの流量を測定するように構成することができる。
【0139】
検知回路基板2200は、第1部分2201及び第2部分2202を含むことができる。第1部分2201は、ガスの流路内にあるように位置決めすることができ、第2部分2202は、ガスの流路の外側にあるように位置決めすることができる。
図1Bにおいて、ガスの流れの方向は、矢印2203によって示す。ガスの流れの方向は、直線であるか、又は
図1Bに示すように曲線であり得る。
【0140】
サーミスタ2205及び/又はサーミスタ流量センサ2206のうちの1つ又は複数を、ブロワ及びミキサの組合せの下流に位置決めすることは、ブロワからガス流に供給される熱を考慮することができる。温度ベースの流量センサを流路に浸漬することにより、この浸漬によってセンサがガス流内の条件にさらされることになるため、ガス流の特性のより適切な表現を提供することができる。
【0141】
検知回路基板2200は、組成等、ガス流の特性を測定するように構成されている、超音波トランスデューサ、トランシーバ又はセンサを備えることができる。理解されるように、検知回路基板2200に、任意の好適なトランスデューサ、トランシーバ又はセンサを取り付けてもよい。例えば、検知回路基板は、ガス濃度を決定するために超音波又は音波を採用する(超音波センサシステムとも称する)超音波トランスデューサシステムを含むことができる。
【0142】
コントローラ13は、導管9の患者端にある、温度センサ及び/又は湿度センサ等、患者端センサ26のうちの1つ又は複数からのフィードバックに基づいて、導管ヒータ16c及び/又は加湿器12を制御することができる。患者端センサ26は、導管の患者端に、例えば導管の端部にあるカフ又はコネクタに位置してもよい。患者端センサ(複数可)は、患者インタフェース17に位置してもよい。コントローラ13は、吸気導管9の端部から患者までの温度低下、例えば3℃低下を決定し、フィードバック制御を用いて、すなわち閉ループ制御を用いて、導管ヒータ16c及び/又は加湿器12を制御するように構成することができる。こうした制御方法は、本出願人の先行する特許、米国特許第8453641号明細書に開示されている。
【0143】
図8を参照すると、本開示による装置の動作中、特に高温モード及び/又はクールダウンモード中に、吸気ガス流の温度及び/又は露点を制御するために、患者端センサ26を用いて温度を測定する方法を実施するために利用することができる回路401が提供されている。
【0144】
ヒータ線16Aに直流加熱電圧401が印加されると、ダイオード403が導通してヒータ線16Aに電流が流れ、ヒータ線16Aは通常通りに機能し、送達チューブ9に加熱を提供する。スイッチ407を用いて加熱電圧401がオフに切り替えられると、加熱電圧401 5と逆の極性を有する測定電圧409がヒータ線16Aに印加される。この場合、ヒータ線16Aにおける電流は、ダイオード403を通って流れず、サーミスタであり得る患者端センサ26を通り、基準抵抗器411を通って流れる。その後、出力413において基準抵抗器411の電圧を測定し、ガスの温度を決定することができる。基準抵抗器411の電圧測定値413は、ルックアップテーブル又は方程式を使用して温度に変換され、温度の値が計算される。
【0145】
より全体的には、サーミスタ26を、圧力又は湿度測定のためのインピーダンス(例えば、抵抗器及び容量性センサ)に置き換えてもよい。基準抵抗器411の電圧を測定することにより、インピーダンスを測定することができ、又は、基準抵抗器411の電圧を適時に見ることにより、立上り時間を決定することができる。
【0146】
回路の一部は、送達導管9に含めることができ、特に、(互いに並列である)ダイオード403及びサーミスタ26は、好ましくは、ヒータ線16Aにおける患者に最も近い送達導管9の端部の又はその近くの箇所に、ヒータ線16Aと直列に配置される。例えば、それらは、プリント回路基板上で相互接続し、密閉のためにプラスチックでオーバーモールドし、送達導管9を通るガス流の中に取り付けてもよい。さらに、回路は、そのガス特性を測定するために、送達チューブのプラスチック壁から導管を通るガス流内に突出するハウジング、例えば、プラスチックハウジング内の相互接続された部品によって形成してもよい。基準抵抗器411及びスイッチング回路407を含む回路の他のすべての部品は、装置100の制御回路に含まれる。
【0147】
サーミスタ26の値は、周囲温度で既知の特性を有する異なる抵抗曲線を有するように選択することができる。回路で使用するための特定のサーミスタ値の選択により、コントローラ13による識別と、そのサーミスタ値の所定の導管又は管9及び/又は患者インタフェース17との一致とが可能になる。異なるサーミスタ値を特定の適切な導管及び/又は患者インタフェースタイプと一致させることができ、導管9を装置100に接続したとき、コントローラ13はそのサーミスタ26を識別して、導管9の加熱に適切な制御戦略を適用することができる。
【0148】
流路の外側ではなく、例えば流路内にセンサを位置決めすることにより、トランスデューサ2204は、ともに互いに対してより小さい温度範囲内で、又はともに実質的に1つの温度(すなわち、ガス流の温度)で動作することができる。トランスデューサは温度に対して高感度であるため、それらを実質的に均質な温度にすることにより、精度が向上する。さらに、センサを流路に沿って位置決めすることにより、ガス速度の影響を考慮した測定及び計算が可能になり、それにより、センサ測値定からガス速度の影響を取り除くことができる。
【0149】
いくつかの構成では、呼吸補助装置に、流路内に位置するとともに、センサアセンブリを通って流れるガス流の湿度を示す湿度信号を発生させるように構成されている、湿度センサも設けることができる。こうした構成では、検知された音速、並びに検知された温度及び/又は検知された湿度によって、ガス組成を決定することができる。湿度センサは、相対湿度センサであっても絶対湿度センサであってもよい。いくつかの実施形態では、ガス組成は、温度センサを必要とすることなく、検知された音速及び検知された湿度に基づいて決定してもよい。
【0150】
呼吸補助装置のいくつかの例は、2016年12月2日に出願された「Flow Path Sensing for Flow Therapy Apparatus」と題する国際出願PCT/NZ2016/050193号明細書、及び2016年6月24日に出願された「Breathing Assistance Apparatus」と題する国際出願PCT/IB2016/053761号明細書、及び2005年8月19日に出願された米国特許第8453641号明細書に開示されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。本開示の態様で使用することができる呼吸補助装置の構成の例については、後により詳細に考察する。
【0151】
記載するさまざまな構成は、単に例示的な構成である。構成のうちの任意のものからの任意の1つ又は複数の特徴を、他の構成のうちの任意のものからの任意の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用してもよい。
【0152】
装置10は、コントローラ13を備える。コントローラ13は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの組合せに従って作動する、1つ又は複数の電子データプロセッサを含むことができる。コントローラ13は、1つ又は複数のメモリユニットを含むことができる。コントローラ13は、1つ又は複数のサブコントローラを含むことができる。装置10の各構成要素を制御するために、別個のコントローラ、例えば、流れ発生器用のコントローラ、加湿器用のコントローラ等を設けてもよい。「コントローラ」という用語の使用は、これらの構成のうちの任意ものを指すことができる。
【0153】
装置10は、1つ又は複数のユーザインタフェースの形態の入出力デバイス14をさらに備える。この入出力デバイス14は、ユーザがコントローラ13に1つ又は複数の制御信号を入力することができるように構成されている。好都合には、入出力デバイス14は、1つ又は複数のグラフィックユーザインタフェースをユーザに提供し、ユーザが装置10の動作パラメータを確認及び制御することができるように構成することができる。入出力デバイス14は、タッチスクリーンインタフェースを含んでいてもよい。
【0154】
コントローラ13は、上述したように、患者に高流量のガスを供給するように装置10を制御するように構成されている。特に、コントローラ13は、所望の流量でガス流を発生させるように流れ発生器を制御する。コントローラ13はまた、ガス流を患者に送達する前に加熱及び加湿するように加湿器を制御する。コントローラは、ガス流を温度設定値まで加熱する加湿器を制御することができる。温度設定値は、所望のガス流の露点に基づいて決定することができる。露点は、ガス流の温度及びガス流の湿度の両方の関数である。これらのパラメータの両方の制御により、露点の制御が可能になる。コントローラは、さらに又は別法として、測定又は計算された湿度までガス流を加湿するように、加湿器を制御してもよい(その場合、所与のガス流の温度では、湿度の変化によって露点が変化する)。
【0155】
コントローラ13は、通常モード及び高温モードで装置10を制御するように構成されている。両方のモードにおいて、装置10は、ガス流の温度及び湿度の両方を制御するように構成することができ、したがって、装置が(典型的には設定値として知られる)所望の露点でガス流を送達することができることが確実になる。ユーザによる、又はコントローラによる自動的な、露点の設定値の変更により、装置は、露点設定値でガス流を送出するようにガス流の温度及び/又は湿度を変更するように制御される。これらのモードは、ユーザがユーザインタフェース14を使用して手動で選択することができる。両方のモードにおいて、高流量のガス流が生成され、患者に送達される。通常モードでは、患者に送達されるガス流の流量は、例えばパラグラフ[00135]で上記に示した通常の高流量の通りである。通常モードでは、患者に送達されるガス流の露点は、典型的には39℃未満であり、より典型的には31~37℃の範囲である。高温モードでは、患者に送達されるガス流の露点は、通常モードよりも高く、特に43~50℃の範囲である。高温モードでの温度は、41~50℃の範囲であり得る。高温モードでの温度は、41~49℃の範囲内であってもよい。高温モードにおける温度は、43~47℃の範囲内であってもよい。言い換えれば、装置がガス流を送達しようとするガス流温度設定値は、通常モードよりも高温モードの方が高い。装置10は、高温モードにおいてより高い露点でガスが送達されるように、2つのモードの間でガス流の露点を上昇させるように構成されている。
【0156】
高温モードを提供する際、装置10は、患者に送達されるガス流の特性が高温モード中及び高温モード後の両方で安全であることを確実にする1つ又は複数の安全アルゴリズムに従って作動する。これらの安全アルゴリズムは、ガス流中の熱エネルギー及び/又はエンタルピーが安全レベルを下回ることを確実にするように、ガス流を制御する。したがって、安全アルゴリズムは、ガス温度、ガス露点、ガス流量、並びに/又は高温モード及び後続するクールダウンモードの持続時間を含むパラメータに従って、作動することができる。高温モード中に装置10を制御する方法について、
図2を参照して以下に説明する。後続するクールダウンモードに従って装置10を制御する方法について、
図3を参照して以下に説明する。
【0157】
最初に
図2を参照すると、ユーザによって高温モードが選択されると、コントローラ13は、ユーザから高温モードに入る指示を受け取る(201)。
【0158】
ステップ201Aにおいて、装置10は、ウォームアップするように制御される。特に、加湿器ヒータプレート及び/又は導管ヒータ16cがウォームアップする。装置が高温モードのより高い温度設定値に向かってウォームアップし始めると、コントローラ13は、ステップ203において、高温モードセッション中に患者を安全な状態に保つ、すなわち、その治療セッション中に過度のエンタルピー/露点を受けないようにするのに役立つように、高温制御アルゴリズム、又は少なくともそうしたアルゴリズムの(図では「第1部」と付す)第1部分の実行を開始する。第I部は、
図2に示すプロセスに従う。
【0159】
ステップ203において装置10がウォームアップすると、高温治療、すなわち、高温での吸気ガス流が、患者に提供される。高温治療が開始すると、ステップ204においてタイマが始動され、コントローラ13が高温モードの持続時間を、所定の、又はユーザがプログラムした持続時間に制限するために使用する、タイミング信号を提供する。ステップ204において、装置10は、ステップ206Aのように持続時間がその制限に達したか、又は、ステップ206Bにおいてユーザが高温モードを終了させるように装置10に指示するまで、高温モードでの動作を継続する。その後、装置10は、ステップ207において高温モードを終了させる。
【0160】
ユーザは、装置10の使用を継続することを望む場合、ステップ208においてそうすることができる。別法として、ステップ209において、ユーザは、すべての治療を終了させることができる。ステップ208において、ユーザは、治療を継続するための1つ又は複数の新たな動作パラメータ、例えば温度設定値又は流量を選択することができる。
図3を参照して後述するように、装置10は、次いで、ステップ210において、クールダウンモードに従って制御され、そこでは、患者へのガス流の1つ又は複数のパラメータが、ガス流が患者にとって安全であり続けるように制御される。
【0161】
ここで
図3を参照すると、装置10は、高温モードの終了に続いて、クールダウンモードに従って作動する。クールダウンモードのステップ301において、装置10は、ガス流の所望のパラメータ、例えば温度設定値及び/又は流量に関する指示をユーザから受け取る。こうした指示は、ユーザインタフェース14を介して受け取られるか、又は後にさらに説明するように遠隔管理システム101を介して受信される。
【0162】
ステップ302において、装置は、1つ又は複数の初期安全プロセスに従って制御される。これらの安全プロセスは、クールダウンモード流量設定値に向かって流量を徐々に減少させることと、加湿器ヒータプレートPWMを所定期間にわたってゼロに設定することと、最大のホースの終端部の温度をユーザにとって安全と考えられる所定値に設定することとのうちの任意の1つ又は複数を含む。ホースの終端部の温度は、患者端センサ26によって測定することができ、それに応じてコントローラが、フィードバック制御を使用することができる。
【0163】
1つ又は複数の安全プロセスが設定されると、コントローラは、303において、測定された温度がステップ304Aのように所定の最大安全温度を下回るか、又はステップ304Bのように所定の期間が経過するまで、待機する。ステップ304Aは、加湿器の下流の任意の場所で、例えば、加湿器出口で、又は患者端センサ26を使用してホースの終端部で測定された温度を使用することができる。所定の期間は、1つの例では30分間であり得る。
【0164】
ステップ305において、装置は、ステップ304A又は304Bのうちの一方が満足されていることを確認し、満足された場合、ステップ306に進み、クールダウンモードを終了させ、装置を通常モードに移行させる。この移行の間、装置は、加湿器ヒータプレートのPWMをその通常の値又は値の範囲に戻し、患者端センサ26によって測定されるホースの終端部の温度を通常の設定値に向かって徐々に上昇させる。
【0165】
このアルゴリズムの第1部分、すなわち高温モードを実行するとき、コントローラは、ガス流のピーク流量を、通常モードで使用されるより高いピーク流量から減少させる。コントローラ13は、高温モードにあるとき、選択可能な流量の範囲(すなわち、ユーザが選択することができる流量の範囲)を狭くすることもできる。例えば、選択可能な流量の範囲は、10~70L/minから、30~40L/min、30~70L/min、又は10~40L/minというより狭い範囲に変更することができる。コントローラ13は、通常モードで使用される流量の範囲よりも所定量だけ低いように流量の範囲を減少させてもよい。例えば、流量の範囲は、15L/min、又は10L/minだけ減少させてもよい。コントローラ13は、流量範囲の上限値及び/又は下限値を増加又は減少させてもよい。システム内の残留エネルギーがガス流の温度を急上昇させないように、流量範囲の上限を増加させることが適切な場合がある。同様に、流量範囲の下限を増加させることが適切な場合もある。
【0166】
装置10がウォームアップすると、コントローラ13は、ガス流が上記に示した高温で送達される高温セッションとして高温モードを開始し、同時にセッションタイマを開始する。ユーザ及び/又は患者は、高温モードを始動するようにコントローラ13を制御することができる。上述したように、高温モードでは、ガス流は、ピーク温度が通常モードで使用される温度範囲のピーク温度よりも高い温度範囲に制御される。コントローラ13は、セッションタイマが安全限界に達するか、又は、ユーザが装置10に高温モードを終了させるように指示すると、高温セッションを終了する。この時点で、コントローラ13は、(図では「第1部」と付す)高温制御アルゴリズムの第1部分の終了に到達している。安全限界は、タイマを参照して決定される設定された持続時間であり、典型的には120分以下となる。ユーザは、装置が高温モードで許容する最大値未満の時間、例えば30又は60分を設定することができる。設定された持続時間は、カウンタ(高温モードの終了に至る所定のカウント数)を参照して決定することができる。タイマ又はカウンタは、コントローラ13におけるアルゴリズムによって生成することができ、又はコントローラ13は、別のコントローラ(例えば、専用のタイマ/カウンタコントローラ)から、又は遠隔デバイス(例えば、後述するように、遠隔管理システム01を介して遠隔デバイス103)から、タイマ又はカウンタ信号を受信するように構成することができる。装置10がウォームアップしているとき、ユーザインタフェース14の画面上にメッセージを提供することができ、又は、患者のモバイルデバイスにメッセージを送信することができる。ウォームアップモードが完了すると、別のメッセージをユーザインタフェース14上に提示するか、又は患者に送信することができる。
【0167】
ユーザが通常モードで(例えば、40℃以下の露点設定値及び所定の閾値未満の流量設定値で)装置の使用を継続することを望む場合、コントローラは(図では「第2部」と付す)高温モードアルゴリズムの第2部分の実行を開始し、これは、装置が低温になる間に患者を安全に守るのに役立つように構成されたクールダウンモードである。閾値は、あらかじめ設定しても(例えば、工場設定)、又は高温モード中に使用された流量の関数であってもよいことに注意されたい。いずれの場合も、閾値は、高温モードの後、ガス流の露点(及び/又はエンタルピー)のスパイクを発生させることなく、装置が迅速に移行することができる最高流量を表す。こうしたスパイクは、装置が高温モードから(低流量での)通常モードに過度に急速に移行する場合、装置内の残留エネルギーに起因して発生する可能性がある。
【0168】
クールダウンモードでは、コントローラは徐々に、ガス流量をその新たな設定値まで変化させ、加湿器ヒータプレートに供給される電力を低減させる。クールダウンモードは、
図3に示すプロセスに従う。コントローラは、例えば、少なくとも所定時間にわたって、ヒータプレートのPWMをゼロに設定することにより、ヒータプレートに供給される電力を低減させることができる。ヒータプレートに供給される電力は、別法として又はさらに、ヒータプレートのデューティサイクル、又はヒータプレートに供給される電圧及び/若しくは電流を制御することにより、制御することができる。クールダウンモードでは、コントローラ13はまた、加湿の下流の所定の箇所における最大ガス流温度設定値を、少なくとも所定時間にわたって、所定の値に設定する。
【0169】
したがって、コントローラ13は、ガス流の流量が高温モードで使用された流量から、後続して通常モードで使用される流量に移行する際の、ガス流の流量の変化率を制御するように作動する。これは、装置内に熱エネルギー(終了したばかりの高温モードの間に発生した熱エネルギー)が依然としてある間、流量が過度に急速に低下しないことを確実にするのに役立つ。
図6に見ることができ、且つ後にさらに説明するように、流量が過度に低い値まで低下した場合、システムを通過するガスは比較的少なくなるが、残留する熱エネルギーは比較的高くなる。これにより、クールダウン中にガス流が過剰に加熱され、ガスの露点/エンタルピーが患者に有害なレベルまで上昇する可能性がある。
【0170】
コントローラ13は、クールダウンモード中に加湿器ヒータに供給される電気エネルギーを少なくとも低減させるようにも作動し、その電気エネルギーをゼロに低減させることができる。これは、クールダウン中のヒータが、熱システムに熱エネルギーを加えないことを確実にし、ガス温度が安全レベル未満であり続けるのを確実にするのにさらに役立つ。装置10が、患者へのガス送達導管9に導管ヒータ16cを備える場合、こうした導管ヒータ16cに供給される電気エネルギーも、必要に応じて制御することができる。
【0171】
さらに、装置10は、ガス流に対する新たな露点設定値に従って作動し、この設定値は、好ましくは、通常モードの温度範囲にある。この新たな露点設定値は、ユーザが設定してもよい。これは、ガス流の温度がクールダウン中に安全レベルを超えないことを確実にするのに役立つ。したがって、装置10は、高温モード直後の装置の構成要素における潜在的に高い熱エネルギー/エンタルピーの残留を管理するように構成され、したがって、患者が安全レベルを超える露点及び/又はエンタルピーを有するガス流にさらされる可能性を最小限にすることができる。
【0172】
加湿器の下流、例えば患者インタフェースで測定された温度が閾値を下回り、且つ/又は加湿器ヒータPWMが減少するか若しくはゼロに設定されてから所定の時間が経過すると、コントローラは、加湿器ヒータPWMを(通常モード中に使用されるような)その通常の値の範囲に戻し、ホースの終端部のガス流温度を(通常モード中に使用されるような)その新たな温度設定値に向かって徐々に上昇させる。この時点で、コントローラは、高温アルゴリズムの第2部分の終了に到達している。
【0173】
図2の詳細A、B及びCに対するユーザインタフェース14のグラフィックユーザインタフェースの画面例を、
図4に示す。
【0174】
1つの例では、ユーザは、最初に、
図4Aによる、ハイフローデバイスのグラフィックユーザインタフェース(GUI)上の「露点を設定」画面に進むことにより、高温モードのバージョン(この例では、「41℃モード」)を始動することができる。この画面から、ユーザは、仮想の「41℃モード」ボタンを押す(このボタンは、指定された高温モード露点が異なる場合、異なる露点を表示することができる)。このボタンにより、GUIは高温41℃モードが選択されたことをユーザに知らせる画面を表示する(
図4B)。この画面は、仮想の「確認」ボタンを有する。GUIの仮想ボタンは、非タッチスクリーンディスプレイに隣接する電気機械式のボタンで置き換えるか又は補足することができることに留意されたい。
【0175】
ユーザが仮想の「確認」ボタンを押すと、上述した安全アルゴリズムは、最小流量範囲限界及び最大流量範囲限界のうちの一方又は両方を変化させることにより、選択可能な流量の範囲を即時に狭くする(例えば、選択可能な流量の範囲は、10~70L/minから、30~40L/min、30~70L/min又は10~40L/minに変化してもよい)。このボタンが押されると、安全アルゴリズムはまた、高温モードで使用される設定値、例えば41℃に向かってガス流の露点を上昇させ始める。装置が露点を上昇させている間、GUIは、装置が「41℃モードにウォームアップ中」であることをユーザに知らせる画面を表示する(
図4C)。
【0176】
装置が設定温度を41℃まで上昇させると、高温モード(この例では「41℃モード」)が開始する。装置が41℃モードに入るとすぐに、安全アルゴリズムは、例えば2時間の設定された持続時間から(又はその持続時間まで)カウントダウンするタイマを開始する。この設定された持続時間は、装置が高温モードで動作することができる最大持続時間を規定する。ユーザは、41℃モード中にこのタイマをGUI上に表示させることを選択できる(例えば
図5を参照)。ユーザは、最大持続時間に達する前に手動で高温モードから出ることができる。ユーザが手動で高温モードから出ない場合、最大持続時間に達すると、装置は、自動的に高温モードを終了し、クールダウンモードに入る。
【0177】
図6を参照して、クールダウンモードの重要性を理解するために、装置が高温モードを終了させた直後に、ユーザが30L/min未満(ただし0L/min超)の流量を選択した使用事例を考慮する。加湿器チャンバ温度がその高温モード設定値未満に低下する時間がないうちに流量が即時低下した場合、呼吸ガスの各単位体積によって吸収される熱の量が増加し、患者インタフェースにおけるガス流のエンタルピー(及び/又は露点)が急激に増加することになる(スパイク)。このスパイクは、流量が低下するとすぐに加湿器ヒータに供給される電気エネルギーが0%に切り替えられた場合であっても、水は低温になるのに時間がかかるため発生する。最終的には、水は低温になり、エンタルピーは減少するが、エンタルピースパイクは、(
図6に示す例におけるように)安全なエンタルピー限界を超える十分大きい可能性がある。
【0178】
本開示に従って、流れ発生器が省略されている呼吸補助装置10も提供する。装置10は、依然として、加湿器12と、上述し且つ
図1Aに示すような他の構成要素とを備える。こうした呼吸補助装置は、1つ又は複数の外部ガス供給部から1種又は複数種のガスを受け取るように構成された1つ又は複数のガス入口を備える。外部ガス供給部は、例えば、病院の壁酸素供給設備、又はガス缶若しくはタンクからの供給ガスを含むことができる。
【0179】
こうした呼吸補助装置では、コントローラ13は、装置を通るガス流を制御しない。外部ガス供給部からのガス流は、装置10のユーザによって、例えば外部ガス供給部の流量弁を調整することにより、手動で制御してもよい。装置10のコントローラは、高温モードが始動されたとき、又は始動の直後に、1つ又は複数のガス流量リマインダ及び/又はアラームを発生させるように構成することができる。ガス流量リマインダは、流量が高温モードでの動作のための許容可能な範囲内にあることを確実にすることをユーザに気付かせるように構成される。これは、外部ガス供給部からのガス流量の減少を必要とする場合もあれば必要としない場合もある。ユーザがガス流量を減少させない場合、例えば高温モードの始動後の所定時間後に、1つ又は複数のアラームを作動させてもよい。その又は各外部ガス供給部からのガス流量を測定するために、1つ又は複数の流量センサを設けてもよく、流量センサは、コントローラにより、1つ又は複数のリマインダ及び/又はアラームを発生させるために使用される。高温モードが終了したとき、上述した理由により、システム内の残留エネルギーがガス流の温度スパイクを引き起こさないことを確実にするために、患者に送達されるガスの流量が安全な流量範囲に留まることが依然として重要である。その結果、クールダウンモード中、装置10のコントローラは、高温モードが終了したとき、1つ又は複数のガス流量リマインダ及び/又はアラームを発生させるように構成することができる。ガス流量リマインダは、流量がクールダウンモードでの動作のための許容可能な範囲内に留まるように制御されるべきであることを確実にすることをユーザに気付かせるように構成される。これには、外部ガス供給部からのガス流量が、所定の期間にわたって維持されるか、又は少なくとも最小閾値を超えて維持されることが必要である場合がある。ガス流量の低下が許容可能な範囲又は最小閾値を下回った場合、例えば高温モードの始動後、所定時間後に、1つ又は複数のアラームを作動させることができる。
【0180】
加湿器ヒータに供給される電気エネルギー制御について上述した。加湿器ヒータは、ガス流を加熱する主要な機構である。加湿器から患者インタフェースにガス流を送達する患者導管もまた導管ヒータを介して加熱されることも可能である。上述したアルゴリズムは、高温モード及びクールダウンモードの一部として導管ヒータを制御することもできる。
【0181】
加湿器用ヒータに供給される電気エネルギーを制御する多くの技法がある。これらのうちの1つは、上記の例で言及したパルス波変調(PWM)である。PWMは、高温モード及びクールダウンモード中に、上述したようなガス流の加熱及び加湿の制御を提供するように制御することができる。加湿器ヒータのデューティサイクルも同様に制御することができる。本開示は、加湿器ヒータへの電力を制御するために、他の任意の技法を使用することができることを想定している。加湿器ヒータは、典型的には、ヒータプレートを備えるが、他のタイプの加湿器ヒータも想定される。
【0182】
図7を参照すると、装置10は、1つ又は複数のサーバでホストすることができる遠隔管理システム101と通信するように構成することができる。遠隔管理システム101は、クラウドベースであってもよく、又は装置10が使用される病院等のネットワークにおいてホストしてもよい。
【0183】
遠隔管理システム101は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、又は他の任意のタイプの遠隔電子処理デバイス等の遠隔デバイス103と通信することができる。
【0184】
装置10、遠隔管理システム101及び遠隔デバイス103は、
図7に破線で示す有線又は無線通信インタフェース105を介して通信することができる。
【0185】
遠隔管理システム101は、患者管理のために使用することができる。
【0186】
例えば、遠隔管理システム101は、装置10の1つ又は複数の態様を遠隔で制御するように構成することができ、且つ/又は、装置10と遠隔管理システム101と遠隔デバイス103との間でデータを受信及び/又は送信するように構成することができる。
【0187】
遠隔管理システムは、装置の動作の1つ又は複数の態様を制御するようにコントローラ13を制御するように構成することができる。そうした態様としては、限定されないが、患者に送達するガスの流れ(ガス流)を生成するように流れ発生器11を動作させることと、発生したガス流を加湿及び/又は加熱するように加湿器12(存在する場合)を動作させることと、流れ発生器ブロワへの酸素の流れを制御することと、装置10の再構成及び/又はユーザが規定した動作のために遠隔デバイス103からユーザ入力を受け取ることと、情報を遠隔デバイス103に出力することとが含まれる。
【0188】
1つの実施形態では、遠隔管理システム101は、単に、使用データを受信し、その情報を提示及び/又は格納する。例えば、遠隔管理システム101は、高温モードでの装置の使用を示すデータを格納することができる。
【0189】
別法として、遠隔管理システム101は、患者データ及び使用状況データ及び治療データを受信し、表示し且つ/又は格納する。この情報は、医師又は患者又は他の当事者によってアクセス可能である。
【0190】
任意選択的に、遠隔管理システム101は、制御データを装置に、例えば新たな治療パラメータを装置100に送信することができ、装置はその後、それらの1つ又は複数の新たな治療パラメータに従って作動する。
【0191】
この制御データの送信は、装置からのデータ受信の代わりである場合もある。
【0192】
遠隔管理システムは、通信インタフェース105を介して、装置10から直接、使用状況データ及び/又は治療データを受信してもよい。
【0193】
使用状況データは、以下を含むことができる。
a.所与の期間内に装置10が使用される時間の量、
b.各使用期間の長さ、
c.指定された治療に対する患者のコンプライアンス。例えば、こうしたデータは、患者が治療を受けている分/時間/日の数、治療開始時刻、治療終了時刻を含むことができる。
【0194】
治療データは、以下を含むことができる。
a.1つ又は複数の治療パラメータ、例えば、湿度若しくは露点若しくは流量、又はSpO2、又は高温モードに関連するパラメータ、
b.高温モードが使用された回数、及び/又は
c.高温モードが1日に使用される回数。
【0195】
使用状況データ及び治療データは、各治療セッションの終了時、又は少なくとも24時間に1回、遠隔管理システム101に送信することができる。例えば、使用状況データ及び治療データは、治療が終了した所定時間後に送信してもよい。1つの例では、使用状況データ及び治療データは、治療が終了した後に起動される乾燥モード中に送信してもよい。使用状況データ及び治療データは、例えば患者の電話機であり得る遠隔デバイス101に送信してもよい。
【0196】
任意選択的に、高温モードが終了した後、装置10を乾燥モードに従って制御してもよい。例えば、患者が治療を終了するためにオフボタンを押した場合、乾燥モードを起動することができる。
【0197】
乾燥モードでは、装置10は、患者及び/又はユーザに装置10を使用しないように指示するメッセージを生成する。例えば、メッセージは、ユーザインタフェース14の画面上の指示、又は遠隔デバイス103上の指示を含むことができる。
【0198】
乾燥モードは、所定時間、例えば60分間~120分間、好ましくは約90分間作動することができる。乾燥モードでは、加湿器ヒータプレートの電力は、オフであるか、又は非常に低い電力、例えば5W未満に低減し、導管ヒータ線16cは、最大まで電力が供給される。流れ発生器11は、乾燥モードの持続時間にわたり、設定された流量、例えば10~30L/minで制御される。乾燥モードは、導管9内に形成される可能性のある凝縮液を乾燥させる。これは、高温モードの使用により露点が上昇し、それにより、装置が高温モードから移行する際に凝縮液がより多く発生することになる可能性があるため、特に有用であり得る。
【0199】
通信インタフェース105は、モデムを含むことができる。通信インタフェース105は、Wifiルータ及び/又はBluetooth(登録商標)を含むことができる。
【0200】
遠隔管理システム101及び遠隔デバイス103は、遠隔デバイス103にリアルタイムデータを送信するように、遠隔デバイス103上のユーザインタフェース14の表示をミラーリングするように構成することができる。例えば、ユーザインタフェース14のさまざまなGUIのうちの1つ、いくつか又はすべてをミラーリングしてもよい。例えば、ユーザインタフェース14上に表示される流れの低減の指示は、患者の携帯電話に送信してそこに提示してもよい。これは、高温モードの使用方法に関して患者を誘導するのに役立つことができる。警告及び/又はアラームもまた、遠隔デバイス103に表示することができる。リアルタイムの日付は、カウントダウンタイマを含んでもよい。タイマは、装置10のコントローラ13内にあってもよい。別法として、タイマは、遠隔管理システム101及び/又は遠隔デバイス103によって、例えば、患者の電話によって、生成することができる。例えば、携帯電話の時計又はタイマ機能を用いて、高温モードの持続時間を計ることができる。これは、装置が高温モードで動作している間に、患者が眠るか、又は他の理由で気がそらされている、例えば、テレビを観ているか若しくは本を読んでいる場合である。このリマインダシステムにより、高温モードで動作しているときに患者が安全であり続けるのことが確実になる。
【0201】
患者管理システム101は、装置10の使用状況、例えば高温モードの使用状況を示すデータを受信及び格納するように構成することができる。この情報は、患者管理システム101によって生成される、又は患者管理システム101に格納されたデータから遠隔で生成される、治療報告に含めてもよい。この報告は、患者の遠隔デバイス103に送信してもよく、又は、患者の臨床医/医師の遠隔デバイス103に送信/アクセスしてもよい。
【0202】
図3を参照して上述したクールダウンモードの変更として、又はその代わりに、代替的なクールダウンモードも想定される。
【0203】
例えば、クールダウンモードの別の例では、加湿器ヒータプレート及び/又は導管ヒータ線16cを、低電力又はゼロまで低下させる。導管9の患者端の温度は、患者端センサ26を使用して測定される。任意選択的に、加湿器12の出口に(例えば、加湿器12の下流のガス経路内に、加湿器出口に隣接して)温度センサ3bがあってもよい。任意選択的に、加湿器12の出口における温度を測定してもよい。測定された患者端温度のいずれかが37℃以下となると、流れ発生器11は、流量がユーザによって設定された設定流量に変更され得るように制御してもよい。別法として、加湿器12の出口の温度が37℃以下となると、流量が変更される。
【0204】
この変更されたクールダウンモードは、
図3を参照して上述したステップ302の変更形態である。この変更されたクールダウンモードでは、(導管の患者端における且つ/又は加湿器12の出口における)温度が所定閾値を下回るまで、流量は変更されない。
【0205】
クールダウンモードステップ302の別のあり得る変更形態では、高温モードから出ると、流量を増減させなくてもよい。この理由は、設定された流量すなわち治療流量が変更されていないためであり得る。その場合、加湿器ヒータプレート及び/又は導管ヒータ16cの電力は、0に設定されるか、又は低い電力、例えば5W未満に低減し、温度が低下するのを可能にする。
【0206】
患者端における且つ/又は加湿器12の出口における温度が安全温度閾値、例えば37℃未満になると、選択可能な流量は、通常モードの流量範囲にのみ拡大することができることが想定される。
【0207】
クールダウンモード中、高温モードが終了すると、装置10は、37℃の露点の湿度設定を患者に提供することをデフォルトとすることも想定される。湿度設定は、高温モードにあるときに、ユーザがこれらの湿度設定を変更することができないようにロックしてもよい。タイマが満了すると、又は、ユーザが高温モードを終わらせると、湿度設定は変更可能であり得る。ユーザが湿度設定を37℃の露点よりも低い湿度設定、例えば34℃の露点又は31℃の露点に変更した場合、装置10は、少なくとも、患者端センサ26によって測定される患者端温度が、現設定湿度設定に対応する温度を示すまで、加湿器ヒータプレート電力及び/又はヒータ線16c電力を低減させる(又は電力をオフにする)ように構成される。別法として、コントローラ13は、センサ3bを使用して加湿器チャンバ出口温度を、それが設定湿度に達するまで測定する。温度が現設定となると、通常の湿度制御(すなわち、加湿器ヒータプレート電力及び/又はヒータ線16cの通常の制御)が再開される。
【0208】
本開示による装置及び方法により、有利には、ウイルス及び/又は細菌によって引き起こされる、呼吸器疾患、特に上気道の疾患を治療するために、先行技術による呼吸治療装置よりも高い温度で呼吸ガスを患者に安全に送達することができる。本開示による高温モードは、通常モードすなわち通常治療モードよりも高いエネルギーでガスを送達する。ガスのエネルギーがより高いことにより、患者の上気道により高いエネルギーが提供される。より高いエネルギーにより、ウイルスの変性を引き起こし、且つ/又はウイルスの複製を制限又は停止させることができる。これにより、症状を軽減することができ、患者の状態を改善することができる。本開示による装置及び方法は、高温モードから通常モードに戻るガス流の安全な移行も容易にする。さらに、高温モードにあるときの流量範囲を制限することができ、これにより、安全な高温モードが提供され、過剰なエンタルピー又は患者に対する過剰な通電の可能性が低減する。さらに、高温モードが終了した後でも、患者の安全を守るように安全機能が提供される。
【0209】
本開示による装置及び方法は、こうした高温ガスが安全に送達されることを可能にし、さらに、高温モードが終了するとシステム内の増加したエネルギー残留を制御する、1つ又は複数の安全機能も提供する。
【0210】
2017年9月13日に出願された「Thermistor Flow Sensor Having Multiple Temperature Points」と題する国際出願PCT/NZ2017/050119号明細書、2016年12月2日に出願された「Flow Path Sensing for Respiratory support Apparatus」と題する国際出願PCT/NZ2016/050193号明細書、及び2005年8月19日に出願された米国特許第8453641号明細書は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0211】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する参照も、その先行技術が世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の般知識の一部を形成するという承認又はいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0212】
本明細書において「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「水平」、「垂直」等の方向を示す用語に対する言及が用いられる場合、それらの用語は、装置が典型的な使用中の位置にあるときを指し、相対的な方向又は向きを示し且つ/又は記載するために用いられている。
【0213】
別段文脈からの明確な要求がない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通じて、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」等の語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で、すなわち、「含むが限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0214】
本明細書で用いる場合の「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実行するか又は所望の結果を達成する、述べられている量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が許す限り、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、述べられている量の10%以下の範囲内、5%以下の範囲内、及び1%以下の範囲内である量を指す場合がある。
【0215】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する参照も、その先行技術が世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の般知識の一部を形成するという承認又はいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0216】
開示する装置及びシステムは、本出願の明細書において個々に又はまとめて言及するか又は示す部分、要素及び特徴に(前記部分、要素又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せで)あると広義に言うこともできる。
【0217】
上述した記載において、既知の均等物を有する完全体又は構成要素について言及したが、それらの完全体は、本明細書において、個々に示されているかのように組み込まれている。
【0218】
実施形態に応じて、本明細書に記載するアルゴリズム、方法又はプロセスのうちの任意のもののいくつかの行為、事象又は機能は、異なる順序で実施することができ、追加するか、併合するか、又は完全に省略することができる(例えば、記載した行為又は事象がアルゴリズムの実施のためにすべて必要であるとは限らない)。さらに、いくつかの実施形態では、行為又は事象は、順次ではなく、例えばマルチスレッド処理、割込み処理、又は複数のプロセッサ若しくはプロセッサコアを通じて、若しくは他の並列アーキテクチャ上で、同時に実行することができる。
【0219】
本明細書に記載した現時点で好ましい実施形態に対するさまざまな変形及び変更は、当業者であれば明らかとなるであろうということが留意されるべきである。こうした変形及び変更は、開示した装置及びシステムの趣旨及び範囲から逸脱することなく、且つその付随する利益を減ずることなく行うことができる。たとえば、さまざまな構成要素は、要求に応じて再配置することができる。したがって、こうした変形及び変更は、開示した装置及びシステムの範囲内に含まれることが意図されている。さらに、特徴、態様及び利点のすべてが必ずしも開示した装置及びシステムを実施するために必要であるとは限らない。したがって、開示した装置及びシステムの範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
【国際調査報告】