(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ガス伝導導管要素を接続するための装置およびガス伝導導管要素を接続するための方法
(51)【国際特許分類】
F16L 23/16 20060101AFI20230725BHJP
F16L 23/026 20060101ALI20230725BHJP
G01M 3/28 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F16L23/16
F16L23/026
G01M3/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501294
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021068793
(87)【国際公開番号】W WO2022008583
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102020208552.8
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482784
【氏名又は名称】アルゴ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2G067
3H016
【Fターム(参考)】
2G067AA38
2G067BB02
2G067BB11
2G067BB22
2G067CC04
2G067DD02
3H016AA02
3H016AC01
3H016AD01
3H016AD09
(57)【要約】
本発明は、ガス伝導導管要素1、特に水素伝導導管要素を、対応物2、特に部品に接続するための装置100に関し、対応物2と密に係合する、特に気密に係合するように構成されている少なくとも1つのねじ体10と、対応物2に設けられた弁座4と接触、特に気密接触するように構成されている弁体3aの形態である、またはフラットシールの形態である第1のシール3と、第1のシール3の封止効果を生み出すために必要である、特に設置方向Eにおける軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮または展開されるという封止効果の原理で動作する第2のシール5と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス伝導導管要素(1)、特に水素伝導導管要素を、対応物(2)、特に部品に接続するための装置(100)であって、
前記対応物(2)と係合するように構成されている少なくとも1つのねじ体(10)と、
前記対応物(2)に設けられた弁座(4)と接触、特に気密接触するように構成されている弁体(3a)の形態である、またはフラットシールの形態である第1のシール(3)と、
前記第1のシール(3)の封止効果を生み出すために必要である軸方向変位、特に設置方向(E)における軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮されるという封止効果の原理で動作する第2のシール(5)と、
を含む、装置(100)。
【請求項2】
前記第1のシール(3)は、金属シールまたは曲面シールとして形成され、および/または前記第2のシール(5)は、ラジアルシール、弾性シール、Oリング、デルタリング、液体シールなどとして形成され、および/または前記第2のシール(5)は、前記ガス伝導導管要素(1)から流出し、前記第1のシール(3)を通って漏出しているガスの流出方向(A)において前記第1のシール(3)の後に配置されている、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記弁体(3a)は、少なくとも部分的に、円錐形状、丸形状、球面形状または球形状を有し、および/または前記対応物(2)に設けられた前記弁座(4)は、先細り形状、特に円錐形状を有する、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記第1のシール(3)は、前記ねじ体(10)の端面に形成され、および/または前記第2のシール(5)は、好ましくは円筒状の前記ねじ体(10)の周面(10a)に設けられまたは形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記弁体(3a)および前記弁座(4)は、環状接触面が形成されるように形成され、前記弁座(4)の中心軸および前記弁体(3a)の中心軸が互いに平行に、特に互いに同軸に配置され、前記弁体(3a)が2つの前記中心軸に平行に、特に前記設置方向(E)に変位可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記第1のシール(3)と前記第2のシール(5)との間に設けられ、前記ガス伝導導管要素(1)から流出し、前記第1のシール(3)を通って漏出しているガスを検出するように構成されている開放端を有する少なくとも1つの流体チャネル(7a、7b、7c)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記流体チャネル(7a、7b、7c)は、前記ねじ体(10)および/または前記対応物(2)に形成されている、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記装置(100)、特に前記ねじ体(10)は、前記ねじ体(10)と前記対応物(2)との間の気密接続の作成中、特に前記設置方向(E)において、純粋な並進移動を実行するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記ねじ体(10)には、固定ねじを受け入れるための少なくとも2つ、好ましくは4つの貫通孔(10b)が設けられ、前記貫通孔(10b)は、好ましくは前記ねじ体(10)のフランジ突起(10c)に設けられ、前記貫通孔(10b)は、好ましくは、前記ガス伝導導管要素(1)から流出し、前記第1のシール(3)を通って漏出しているガスの流出方向(A)において前記第1のシール(3)および前記第2のシール(5)の後ろに配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
ラジアルシール、弾性シール、Oリング、デルタリング、液体シールなどとして形成されている第3のシール(8)をさらに含み、前記第3のシール(8)は、前記ガス伝導導管要素(1)から流出し、前記第1のシール(3)を通って漏出しているガスの流出方向において前記第1のシール(3)の後または前記第2のシール(5)の後に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項11】
開放端を有する第2の流体チャネル(7b)をさらに含み、前記開放端は、前記第2のシール(5)と前記第3のシール(8)との間に設けられ、かつ、前記ガス伝導導管要素(1)から流出し、前記第1のシール(3)を通っておよび前記第2のシール(5)を通って漏出しているガスを検出するように構成されている、請求項6に記載の、あるいは請求項6を引用する場合の請求項7から10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記ガス伝導導管要素(1)は、溶接接続(9)によって前記ねじ体(10)に気密に接続されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
封止状態において前記第1のシール(3)の前記弁体(3a)は、ねじ接続、特に少なくとも2つ、好ましくは4つの締め付けねじを介して、前記対応物(2)に形成された前記弁座(4)に押し付けられている、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記弁体(3a)、特に前記ねじ体(10)、および/または前記弁座(4)は、金属、特に鋼材料、好ましくはステンレス鋼材料から作製され、好ましくは、前記弁座(4)は、前記弁体(3a)より硬い材料で作製されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記流体チャネル(7a)、好ましくは少なくとも2つの前記流体チャネル(7a、7b)は、ガスを検出するためのガスセンサ(12)が配置されている共通のセンサチャンバ(11)に導かれている、請求項6に記載の、あるいは請求項6を引用する場合の請求項7から14のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
ガス伝導導管要素(1)、特に水素伝導導管要素を、対応物(2)、特に部品に、好ましくは請求項1から15のいずれか一項に記載の装置を使用して接続するための方法であって、
前記対応物(2)の相補的に形成された凹部(2a)にねじ体(10)を挿入するステップと、
ねじ接続によって前記ねじ体(10)を前記対応物(2)にしっかりとねじ込むステップと、
を含み、
特に、前記対応物(2)、特に前記凹部(2a)に設けられた弁座(4)に第1のシール(3)の弁体(3a)を押し付けることによって、前記第1のシール(3)が封止状態にされ、
前記第1のシール(3)の封止効果を生み出すために必要である軸方向変位、特に設置方向(E)における軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮されるという封止効果の原理で動作する第2のシール(5)が、特に前記ねじ体(10)と前記凹部(2a)との間で封止状態にされる、方法。
【請求項17】
漏出検出ステップをさらに含み、前記第1のシール(3)と前記第2のシール(5)との間に流体チャネル(7a)の開放端が配置され、前記流体チャネル(7a)の他端は、ガスセンサ(12)が配置されているセンサチャンバ(11)内へ開口し、
前記第1のシール(3)に漏出が存在すれば、前記第1の導管要素(1)から流出または漏出している漏出ガスは、前記流体チャネル(7a)に、およびこれを通って前記センサチャンバ(11)に流入し、
前記ガスセンサ(12)は、前記センサチャンバ(11)に流入するガス、特に水素を検出し、したがって前記第1のシール(3)での漏出を検出する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物に、特に部品に接続するための装置に関する。また、本発明は、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス伝導導管要素、特に圧縮水素用の流体導管を、部品、たとえばオンタンクバルブ(OTV)、ガスハンドリングユニット(GHU)、ガス圧力タンクまたは他のガス伝導部品のような、ガスが導入されるべき部品、またはさらには異なる導管要素の連結要素として形成された部品に接続するための装置が、先行技術から知られている。ガスの場合においては封止が決定的な役割を果たすため、封止部材が通常は使用される。これは特に、圧縮天然ガス用または圧縮水素用の導管要素のような高圧用途の場合においても当てはまる。特に水素を封止するとき、水素に対する拡散抵抗が高い適切な封止部材が極めて重要である。
【0003】
たとえば、特許文献1は、円錐孔を有する接続体と、円錐面を有するナットと、を備えたパイプ接続を記載しており、接続部分がパイプ上に一体的に形成されている。接続部分は、圧縮によって生じるつかみ面を有し、これは対応する円錐孔および円錐面と同じ配向を有する。接続部分の製造中、パイプは特定の圧縮経路で変形を受けたが、これは、取り付けまたは繰り返し取り付け中に接続が設定されず、結果として漏出が始まらないことを保証するためのものである。
【0004】
また、フェルール型の接続装置またはアダプタがよく知られており、通常、ねじ付き連結ナットと、ねじ付き連結体と、連結ナットの内側に装着された1つまたは複数のフェルールと、を含む。連結ナットは通常、接触面(最初の接触の表面)を有し、これは、フェルール上の接触面と係合する、または係合状態にすることができる。たとえば、パイプ端のような円筒形の導管が連結体に挿入され、フェルールが導管端部の外壁を堅固にまたは密接して取り囲んでいる。連結ナットが連結体のねじ端に設置されれば、軸方向の力がフェルールに加えられることになり、これにより、フェルールのそれぞれと連結体の接触面とが、圧縮効果が生み出されるように係合し、その結果として、フェルールの部分の径方向変位により、これらが導管端部の外壁を堅固に保持する。多くの用途において、このアダプタは、たとえば、レンチのような簡単な工具を使用して組み立てることができる。
【0005】
このようなねじ接続を、たとえば、温度および荷重の変化を含む復元力の観点において、ならびに不浸透性の観点において厳しい要件がある、航空の分野において使用することができるようにするため、いわゆるパテが先行技術において頻繁に使用され、これは、ねじ接続に適用されると、ここでさらなる作業を実行することができる前に一定の硬化時間が要求される。さらに、このねじ接続で漏出が発生すれば、ねじ接続を除去して時間のかかる補修作業を実行すること、およびパテに再硬化する時間を与えることも必要となるであろう。たとえば、航空機のウィングボックス上での使用は、利用可能なスペースが少なく、アクセスが狭く、ねじ接続の数が多いため、時間がかかる。
【0006】
さらに、このようなねじ接続は記録するのが困難であるが、これは特に防爆(ATEX)の分野において、車両製造において、この場合は特に航空機建造において、極めて重要である。したがって、このような機械的に適用される接続の部品の特性を評価するための方法および装置が、先行技術において提案されてきた。評価することができる特性は、とりわけ、導管上の導管保持装置の位置、導管保持装置の軸方向の圧縮または変位の量、および導管保持装置が軸方向に圧縮または変位するときに導管保持装置に加えられる締め付け力の量を含む。
【0007】
このような方法は極めて時間がかかり、訓練されたスタッフのみが実行することができる。しかしながら、厳格な安全対策が講じられているときでも、このような方法はそれぞれのテスト担当者に大きく依存しており、依然として材料および組み立てのエラーによって不正確なテスト結果が生じる可能性がある。
【0008】
交番応力(温度および張力の変化)により、特に自動車工学の分野において、この場合は特に航空機建造の分野において、漏出が発生することがある。ねじ接続の数の多さおよび上述の従来のねじ接続の欠点により、これはかなりの保守および組み立て作業につながる可能性がある。
【0009】
ガス伝導導管要素のための従来の接続技術のさらなる欠点は、封止効果を生み出すために使用される封止部材およびねじ部材の両方が、封止されるべき媒体、特にガスと直接接触するという事実である。これは、天然ガスのような従来のガスの場合には劇的ではないが、水素用の流体導管のために使用される化合物の場合には重大な安全上の問題になる可能性がある。多くの材料、特に金属は、水素と接触するといわゆる「水素脆化」を起こしやすいため、これは、特に交番応力(温度および張力の変化)および振動と組み合わさると、既知の接続技術の場合ではしばしば漏出につながる可能性がある。水素は化学元素のすべての中で最も軽いため、恒久的に封止された接続点を実現することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第19511063号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を接続するときの上述の問題を鑑みて、本発明の目的は、第一に、記録および証明することができる定義された封止状況を作成すること、第二に、水素脆化、ならびに、温度および張力の変化、ならびに振動によって引き起こされる漏出の発生のような、上述の問題を考慮に入れることができ、同時に設計の簡素化ならびにしたがって組み立ておよび保守作業の低減を促進することができる、ガス伝導導管要素を対応物に接続するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的は、請求項1に記載のような、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に接続するための装置によって、ならびに請求項16に記載のような、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に接続するための方法によって達成される。
【0013】
この点において、本発明の基本的な考えの1つは、好ましくは水素を伝導するように意図されたガス伝導導管要素を接続するための装置を提供することであり、この装置は、漏出しているまたは浸透しているガスの流出方向において前後または直列に配置され、2つの異なる封止効果の原理で動作する2つのシールを含む。この点において、好ましくは流出方向における第1のものとして、すなわち2つのシールのうちの第2の前に配置されている、2つのシールのうちの第1は、好ましくは、押し付け力によって封止するシールとして形成されている。しかしながら、第2のシールは、第1のシールの封止効果(押し付け力)を生み出すために必要である、特に設置方向Eにおける軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮または展開されるという封止効果の原理で動作する。
【0014】
このように、ガス伝導導管要素を対応物に接続するための装置の封止を提供することができ、これは一方でシール、すなわち第1のシールを有し、これは、容易に測定および記録することができる所定のパラメータによって記録および証明することができる。第2のシールを設けることにより封止効果がさらに向上し、特に、第1のシールが漏出する、すなわちガスが第1のシールを通って逃げるという不運な事態においても、第2のシールが接続点を気密に封止し続け、したがって、ガスが実際に接続点を通って外側に逃げる前に、第1のシールを修理するための時間を稼ぐことが可能になる。これは、特に防爆の分野において、極めて有利である。
【0015】
本発明の一態様によれば、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に接続するための装置は、対応物と密に係合する、特に気密に係合するように構成されている少なくとも1つのねじ体と、対応物に設けられた弁座と接触、特に気密接触するように構成されている弁体の形態である、またはフラットシールの形態である第1のシールと、第1のシールの封止効果を生み出すために必要である、特に設置方向における軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮または展開されるという封止効果の原理で動作する第2のシールと、を含む。
【0016】
本装置は、車両における水素供給システムのような流体システムまたは流体回路において使用され、流体流および流体圧力を有する、たとえば、コネクタピース、接合ピース、カップリング、アセンブリピース、弁の入口および出口、弁接続などのような、いわゆる「機械的に適用される接続」に関する。このような機械的に適用される接続は、パイプ、チューブまたは任意の他のタイプの導管用の導管接続ピースと共に使用することができるが、これらに限定されず、導管端部を任意の他の導管端部に、またはバルブハウジングのような、流体システムの異なる部分、要素もしくは部品に接続する。このような機械的に適用される接続は、振動、応力および圧力があっても導管を十分に保持することを含み、接続を一緒に保持するため、流体密(気密)シールによって、ならびに機械的強度によって特徴付けられる。
【0017】
この点において、第1のシールがいわゆる金属シールまたは曲面シールとして形成されること、および/または第2のシールが、ラジアルシール、弾性シール、Oリング、デルタリング、液体シールなどとして形成されること、および/または第2のシール5が、ガス伝導導管要素から流出し、第1のシールを通って漏出しているまたは浸透しているガスの流出方向において第1のシールの後に配置されることが有利であり得る。
【0018】
金属シールとは、金属製の2つの要素が力の影響下で互いに押し付けられて、2つの要素間に流体密接続が作成されることを意味すると理解される。このような場合、通常、2つの要素間に環状接触面が作成され、これを通って、封止されるべき媒体またはガスが流れる可能性がある。
【0019】
さらに、弁体が少なくとも部分的に円錐形状、丸形状、球面形状または球形状を有すれば、および/または対応物に設けられた弁座が先細り形状、特に円錐形状を有すれば、有利である。
【0020】
また、第1のシールが、ねじ体の端面、特に、ねじ体に相補的に形成された(組み立てられた、または気密接続された状態の)対応物の凹部へと下降するねじ体の端面に形成されること、および/または、第2のシールが、好ましくは設置された状態で対応物に形成された凹部の内壁に面する、好ましくは円筒状のねじ体の周面に提供または形成されることが好ましい。
【0021】
さらなる一実施形態によれば、弁体および弁座は、環状接触面が形成されるように構成され、弁座の中心軸および弁体の中心軸が互いに平行に、特に互いに同軸に配置され、弁体が2つの中心軸に平行に、特に設置方向に変位可能である。
【0022】
また、この装置が、開放端を有する少なくとも1つの流体チャネルも有することが好ましく、開放端は、第1のシールと第2のシールとの間に設けられ、かつ、ガス伝導導管要素から流出し、第1のシールを通って漏出しているまたは浸透しているガスを検出するように構成されている。
【0023】
この点において、「検出する」とは、流体チャネルにより、漏出ガスを流体チャネルによって受け取り、これを通して流すことが可能になるように理解されるべきである。このように、漏出ガスは下流のガスセンサに導くことができ、これは漏出ガスを検出して漏出の存在を合図することができる。
【0024】
また、少なくとも1つの流体チャネルがねじ体および/または対応物に形成されることが好ましい。流体チャネルがねじ体に形成されれば、漏出検出手段を備えた自律的ユニットを形成することができ、その結果として、個々の装置(接続装置)のコストが上昇することになるが、これはそれにもかかわらずいくつかの用途において有利であり得る。一方、流体チャネル、またはスニファチャネルが、対応物、特にガスハンドリングユニット(GHU)のような部品に統合されれば、複数の封止点または接続点をセンサチャンバに導くことができ、その結果として複数の封止点を単一のセンサによって監視することができる。
【0025】
さらに、この装置、特にねじ体が、ねじ体と対応物との間の気密接続の作成中、特に設置方向において、純粋な並進移動を実行するように構成されていれば、有利であり得る。換言すれば、この装置は、ガス伝導導管要素の対応物への接続、特に直列に配置された2つのシールによる気密接続中、対応物に対するねじ体の回転移動が発生しない、または必要でないように構成されている。これにより、特に長い導管要素および複数の屈曲部が設けられた導管要素の場合に、設置が容易になる。これは、ほとんどの場合、雄ねじを介して対応物にねじ込まれる既知のねじ接続に対して大きな利点を構成する。
【0026】
この点において、ねじ体に有利には、固定ねじを受け入れるための少なくとも2つ、好ましくは4つの貫通孔を設けることができ、貫通孔は好ましくはねじ体のフランジ突起上に設けられ、貫通孔は好ましくは、ガス伝導導管要素から流出し、第1のシールを通って漏出しているガスの流出方向において2つのシールの後ろに配置されている。
【0027】
さらに、この装置は第3のシールを含むことができ、これは、ラジアルシール、弾性シール、Oリング、デルタリング、エラストマー封止部材、液体シールなどとして形成され、第3のシールは、ガス伝導導管要素から流出し、第1のシールを通って漏出しているガスの流出方向において第1のシールの後または第2のシールの後に配置されている。
【0028】
本発明のさらなる一実施形態によれば、この装置は、開放端を有する第2の流体チャネルをさらに含み、開放端は、第2のシールと第3のシールとの間に設けられ、かつ、ガス伝導導管要素から流出し、第1のシールを通っておよび第2のシールを通って漏出しているガスを検出するように構成されている。
【0029】
ガス伝導導管要素が溶接接続によってねじ体に気密に接続されても有利である。このように、さらなるあり得る漏出箇所、すなわち導管要素とねじ体との間の接続点を回避することができ、溶接が実行されたら、漏出試験を実行することができ、これも記録することができる。
【0030】
また、封止状態において、第1のシールの弁体が、ねじ接続、特に少なくとも2つ、好ましくは4つの締め付けねじを介して、対応物に形成された弁座に押し付けられれば有利である。
【0031】
このように、締め付けねじの所定の締め付けトルクで、弁座に対する弁体の比較的正確な押し付けを実現することができ、そのため対応する要素の封止接触を広い温度範囲にわたって保証することができ、適用された締め付けトルクを使用して記録およびしたがって証明が可能である、装置またはねじ接続を実現することができる。
【0032】
本発明のさらなる一実施形態によれば、弁体、特にねじ体、および/または弁座は、金属、特に鋼材料、好ましくはステンレス鋼材料から作製され、弁座は好ましくは弁体より硬い材料で作製されている。
【0033】
弁座が弁体より硬い材料で作製されれば、弁体を弁座に押し付けたまたは押し込んだときにあり得る塑性変形の場合に、弁体が塑性変形することになるということを保証することができ、これは容易に交換することができる。このように、ガスハンドリングユニットのような複雑な弁ユニットに設けられた弁座であり得る、対応物の弁座を塑性変形に対して保護することができる。
【0034】
さらに、少なくとも1つの流体チャネル、好ましくは少なくとも2つの流体チャネルを、ガスを検出するためのガスセンサが配置されている共通のセンサチャンバに導くことができれば有利である。このように、共通のセンサおよび対応する漏出検出装置を使用して、両シールを監視することができる。
【0035】
あるいは、2つの流体チャネルを別個のセンサチャンバに送ることができ、逃げるあらゆるガスを互いに独立して検出することができる可能性もある。
【0036】
ガス伝導導管要素を対応物に接続するための本発明による装置はしたがって、非常に単純かつ費用効果的な方法で実現することができ、有利には記録および証明を容易にする。したがって、水素、特に圧縮水素、または圧縮天然ガスが使用されるシステムにおける封止に特に適している。特に高い温度変動、張力変動および振動にさらされる、このようなシステムは、たとえば、700バールまでの圧力の水素または通常260バールの天然ガスが、たとえば燃料電池を介して、車両を駆動する燃料として使用される車両に特に見られる。
【0037】
本発明の文脈において、「車両」または「輸送の手段」という用語または他の同様の用語は、スポーツユーティリティビークル(SUV)、バス、ローリー、さまざまな商用車、さまざまなボートおよび船を含む水上車両、航空機、空中ドローンなど、ハイブリッド車両、電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、水素自動車および他の代替車両を含む乗用車のような、自動車全般を含む。本明細書で述べるように、ハイブリッド車両は2つ以上のエネルギー源を備えた車両、たとえば、ガソリンを動力とすると同時に電気を動力とする車両である。
【0038】
本発明はまた、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に、好ましくは上述の装置を使用して接続するための方法に関し、この方法は、対応物の相補的に形成された凹部にねじ体を挿入し、ねじ接続によってねじ体を対応物にしっかりとねじ込むステップを含み、特に、対応物、特に凹部に設けられた弁座に第1のシールの弁体を押し付けることによって、第1のシールが封止状態にされ、第1のシールの封止効果を生み出すために必要である、特に設置方向における軸方向変位に関係なく、封止効果が発揮されるという封止効果の原理で動作する第2のシールが、特にねじ体と凹部との間で封止状態にされる。
【0039】
また、この方法が、漏出検出ステップを含めば好ましく、第1のシールと第2のシールとの間に流体チャネルの開放端が配置され、流体チャネルの他端は、ガスセンサが配置されているセンサチャンバ内へ開口し、ここで第1のシールに漏出が存在すれば、第1の導管要素から流出または漏出している漏出ガスは流体チャネルに、そしてこれを通ってセンサチャンバに流入し、ガスセンサは、センサチャンバに流入するガス、特に水素を検出し、したがって第1のシールでの漏出を検出および合図する。
【0040】
この点において、「合図」とは、ガスセンサがコントロール、特に車両コントロールに信号を送って、漏出ガスが検出されたこと、およびしたがって監視されたシールまたはねじ接続に漏出があるという事実を伝達することを意味すると理解されるべきである。これは次いで、たとえばこのコントロールを介して、ディスプレイに伝達され、これは次いで対応する警告信号を点灯または表示する。
【0041】
すでに上で示したように、ガス伝導導管要素、特に水素伝導導管要素を、対応物、特に部品に接続するための装置は、ガス伝導導管要素を対応物に接続する記載の方法に使用することができる。この装置の上の説明に関連して開示されるさらなる特徴もしたがって、この方法に適用することができる。同じことが逆にこの方法にも当てはまる。
【0042】
装置、使用および/または方法のさらなる特徴および利点を、添付の図面を参照して以下の実施形態の説明において述べる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】ガス伝導導管要素を対応物に接続するための既知の装置を概略的に示す図である。
【
図2】ガス伝導導管要素を対応物に接続するための本発明による装置の一実施形態を簡素化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
異なる図に使用される同一の参照番号は、同一の、対応するまたは機能的に同様の要素を示す。
【0045】
図1は、ガス伝導導管要素201を対応物(図示せず)に接続するための既知の装置200を概略的に示す。
図1に示す接続装置はフェルール型の接続装置である。図示のように、このような接続装置200は、ねじ付き連結ナット202と、ねじ付き連結体203と、連結ナット202の内側に装着された1つまたは複数のフェルール204、205と、を含む。連結体203は通常、フェルール上の接触面と係合する、または係合状態にすることができる接触面206を有する。ガス伝導導管要素201のパイプ端のような円筒形の導管が連結体203に挿入され、フェルール204、205が導管端部の外壁を堅固にまたは密接して取り囲んでいる。連結ナット202が連結体のねじ端に設置されれば、軸方向の力がフェルール204、205に加えられることになり、これにより、フェルールのそれぞれと連結体の接触面が、圧縮効果が生み出されるように係合し、その結果として、フェルール204、205の部分の径方向変位により、これらが導管端部201の外壁を堅固に保持する。多くの用途において、このアダプタは、たとえば、レンチのような簡単な工具を使用して組み立てることができる。
【0046】
図2は、ガス伝導導管要素1を対応物2に接続するための本発明による装置100の一実施形態を簡略化して示しており、図示の実施形態は、たとえば、ガスハンドリングユニットのようなバルブブロックの一部である。
図2から分かるように、図示の装置100は、設置方向Eに沿って長手方向に延在する円筒形のねじ体10からなる。図示の実施形態において、接続されるべき導管要素1は、対応物2に面するねじ体10の端面上に溶接され、図示のように、溶接シーム9が、気密であることを保証するためにわずかに大きくなるように形成されている。
【0047】
さらに、ねじ体10は、対応物2に面する端面にフランジ突起10cを含み、この突起には、周方向において径方向に離間した、特に互いに90°の角度で離間した4つの貫通孔が設けられている。
図2からも分かるように、対応物2は4つの相補的に配置されたねじ穴を含み、これでねじ体10を4つの締め付けねじによって対応物2に対してねじ込んでこれに固定することができる。
【0048】
ねじ体10の一部または領域を形成する弁体3aが、ねじ体10の他端面、すなわち対応物2に面する端面に形成されている。ここに示す実施形態において、弁体3aは円錐形状を有するように形成されている。
【0049】
対応物2には凹部2aが形成され、これは、ねじ体10の円筒形状に相補的な形状、特に円筒形状を有し、ねじ体10が導入または挿入されると、上記ねじ体10と隙間ばめを形成する。凹部2aの底または内端に弁座4が形成され、これは、弁体3aと相補的であるように円錐形状を有し、2つの要素3a、4の正確な輪郭、角度などは、問題の用途、特に関連する動作圧力、2つの要素の材料などに依存する。弁体3aは、アーチ状または球状であるように形成することもできる。重要なことは、2つの要素間に環状接触面が形成されることである。
【0050】
図2からも分かるように、ねじ体10は、円筒状周面10aに設けられた2つの環状円周溝を含み、第2および第3のシール5、8、特に弾性シールとして、Oリングが挿入され、対応物2の凹部2aの円筒状内壁に気密に当接する。
【0051】
ねじ体10がここで凹部2aに挿入されて締め付けねじによって対応物2に固定されれば、弁体3aが弁座4に押し付けられ、その結果として弁体3aと弁座4との間に気密接続または気密シール(第1のシール)が形成され、これは金属シールとも呼ばれる。2つの追加のシール(いわゆる安全シール)が第2および第3のシールによって提供され、これらは、第1のシール3が漏出を形成する場合にのみ使用される。換言すれば、第2および第3のシール5、8は、第1のシールが漏出し始めた場合に封止機能を提供するだけでよい。したがって、第2のシール5および第3のシール8は、第1のシール3を通って漏出するガスの流出方向Aにおいて第1のシールの後ろに配置されている。換言すれば、第2および第3のシール5、8は、設置方向Eとは反対の方向に第1のシール3から軸方向に離間するように配置されている。
【0052】
さらに、
図2は、それぞれ開放端を有する2つの流体チャネル7a、7bを示しており、第1の流体チャネル7aの開放端は、第1のシール3と第2のシール5との間に配置され、第2の流体チャネル7bの開放端は、第2および第3のシール5、8間に配置されている。流体チャネル7a、7bのこれら2つの開放端はそれぞれ、対応物2の凹部2aの内面に当接する。2つの流体チャネル7a、7bは、別個のセンサチャンバ11につながることができ、これらのそれぞれにガスセンサ12が配置されている(図示せず)。このように、第1のシール3(流体チャネル7a)のみが漏出しているか、または第1のシール3および第2のシール5(流体チャネル7b)が漏出しているかを、他方から独立して判定することができる。しかしながら、図示の実施形態において、両流体チャネル7a、7bは共通のセンサチャンバ11へ送られており、そのため2つのシール3、5での漏出を検出することができるように、1つのガスセンサを設けるだけでよい。これは有利な変形を構成する。
【0053】
最後に、
図2はまた、ねじ体10に任意選択で流体チャネル7cを設けることもできるということを示している。この場合、流体チャネル7cの開放端は、第2および第3のシール5、8間に配置され、したがって両シール(第1のシール3および第2のシール5)が漏出している場合のみ漏出を検出することが可能である(2つの流体チャネル7a、7bが設けられていない場合)。
【0054】
異なる実施形態に記載された個々の特徴は、構造的に非互換的でない限り、単一の実施形態においても実装することができるということが、当業者には自明であろう。同様に、単一の実施形態の文脈において記載された異なる特徴は、複数の実施形態において個々に、または任意の適切な部分的組合せで提供することもできる。
【符号の説明】
【0055】
100 装置(ねじ接続)
1 導管要素
2 対応物
2a 対応物における凹部
3 第1のシール
3a 弁体
4 弁座
5 第2のシール
7a、7b、7c 流体チャネル(スニファチャネル)
8 第3のシール
9 溶接接続
10 ねじ体
10a 周面
10b 貫通孔
10c フランジ突起
11 センサチャンバ
12 ガスセンサ
A 漏出ガスの流出方向
E 設置方向
【国際調査報告】