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特表2023-533057最小限に侵襲的な埋め込みのための皮下ポート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】最小限に侵襲的な埋め込みのための皮下ポート
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/02 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61M39/02 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501349
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021040699
(87)【国際公開番号】W WO2022011020
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/041140
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/123,028
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/146,253
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523006974
【氏名又は名称】ポータル アクセス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タル,ミカエル ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066JJ02
4C066JJ09
(57)【要約】
対象の身体における最小限に侵襲的な埋め込みのためのポートおよびキットが開示される。ポートの後部は、医用クランプの挟持ヘッドによって挟持するために構成されたポート把持部を含む。ポートは、医用クランプを用いて、皮下開口部と皮下の空隙および/または通路とを通して、標的埋め込み部位まで押され、および医用クランプは、ポート把持部から解除され、ならびに皮下の空隙および/または通路から取り出すことができる。前記ポート本体は、対象の腋窩領域における、またはその近傍における、外科開口部を介して、皮下の空隙および/または通路を、作成し、拡張し、および/またはその中へ挿入されるように構成され得る。
【選択図】図5E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下ポートであって、
前記皮下ポートは、キャビティを内包するポート本体を含み、ここで前記キャビティは、繰り返される針貫通を通すために構成されたセプタムによって覆われた、第1の開口部と、前記キャビティとカテーテルとの間の流体連通を容易にするために構成された、第2の開口部とを含み、
ここで前記ポート本体は、医用クランプと着脱可能に係合するように構成された、剛体のポート把持部を含み、およびここで前記ポート本体は、前記医用クランプが前記ポート把持部と係合されているときに、前記医用クランプを使用して、皮下の標的埋め込み部位へと押し込まれるように構成され、
ここで前記ポート把持部は、少なくとも1つの軸方向で前記医用クランプからの手の力および/またはトルクを受けるように構成され、ここで前記ポート把持部が受ける前記手の力および/またはトルクは、前記医用クランプを前記ポート把持部に着脱可能に取り付けるのに十分である、皮下ポート。
【請求項2】
前記ポート本体は、前記キャビティを囲む及び/または前記キャビティの第1の開口部を画定する、剛体のポート本体部材を包含し、前記剛体のポート本体部材は、前部、後部、および、前記前部と前記後部との間において、それらの対向する側面から延在する側部を含み、ここで前記後部は、前記ポート把持部を含む、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項3】
前記ポート把持部が受ける前記手の力および/またはトルクは、前記皮下ポートを使って対象の身体における皮下の空隙および/または通路を形成するか拡大させるために、および/または前記皮下ポートを、前記ポート把持部から滑ることなく、または前記ポート把持部を放すことなく、前記皮下の空隙および/または通路に沿って動かすために、十分である、請求項1または2に記載の皮下ポート。
【請求項4】
前記第2のキャビティ開口部は、前記ポート把持部に併設され、および/または、前記ポート把持部より下に、前記第1のキャビティ開口部から前記ポート把持部よりも遠位に、位置される、請求項1から3のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項5】
前記ポート把持部は壁を含み、ここで前記壁は、前記医用クランプの挟持面と適合するように寸法決めされた、対向する第1と第2の壁外側表面を含む、請求項1から4のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項6】
前記ポート把持部は、前記医用クランプの前記挟持面が配向されて実質的に前記壁の形と厚みに適合するように互いに対して間隔を置かれた時、前記手の力が10kgf以下、および/または前記手のトルクが約0.25Nm以下であるように構成される、請求項5に記載の皮下ポート。
【請求項7】
前記ポート把持部は、前記医用クランプの前記挟持面が配向されて前記壁の形と厚みに適合するように互いに対して間隔を置かれた時、前記医用クランプの手作業用アームがインターロックすることを可能とするように構成される、請求項5または6に記載の皮下ポート。
【請求項8】
前記壁外側表面のそれぞれは、前記ポート本体の側部の間で垂直に延在する、請求項5から7のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項9】
前記壁外側表面のそれぞれは、前記ポート本体の下部と上部との間で水平に延在する、請求項5から8のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項10】
前記壁の平均または最大の厚みは、約1mmから4mmの間であり、および/または前記第1と第2の壁外側表面の間でなす角は、約20°以下である、請求項5から9のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項11】
前記ポート把持部は、前記医用クランプが前記ポート把持部に係合されて取り付けられる時、前記医用クランプの前記ポート把持部上での側方運動および/または前記ポート把持部に対する回転運動を防止するように構成された、固定する構造または機構を包含する、請求項5から10のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項12】
前記固定する構造または機構は、側方に対向した境界壁を包含し、前記境界壁は前記第1および第2の壁外側表面の少なくとも1つから延在し、ここで対向した前記境界壁は、前記医用クランプの前記挟持面の1つと納まりよく嵌合するように、側方に互いから間隔をあけられる、請求項11に記載の皮下ポート。
【請求項13】
前記固定する構造または機構は、前記医用クランプが前記ポート把持部に係合されて取り付けられている時、前記医用クランプの側方圧迫および/またはロックを発生させるように構成される、請求項11または12に記載の皮下ポート。
【請求項14】
前記ポート本体は、対象の腕がそれぞれの肩と接合する腋窩領域における、またはその近傍における、外科開口部を介して、皮下の空隙および/または通路を、作成し、拡張し、および/またはその中へ挿入されるように構成される、請求項1から13のいずれか1つに記載の皮下ポート。
【請求項15】
前記皮下の空隙および/または通路は、前記対象の大胸筋にまたがって前方に拡張可能である、請求項14に記載の皮下ポート。
【請求項16】
前記ポート本体は、前記対象の鎖骨に対して下方に、および/または大胸筋に対して前方に位置される標的埋め込み部位にある前記皮下の空隙および/または通路を通って埋め込まれるように構成される、請求項14または15に記載の皮下ポート。
【請求項17】
外科用キットであって、
請求項1から16のいずれか1つに記載の皮下ポートと、
カテーテルとを含み、
ここで前記カテーテルの第1の末端は、前記外科開口部を介して対象の血管系の中へ挿入されるように構成され、および、前記カテーテルの第2の末端は、前記カテーテルのルーメンと前記皮下ポートの前記キャビティとの間の流体連通を形成するために前記皮下ポートに接続されるか、または接続可能である、外科用キット。
【請求項18】
前記カテーテルの第1の末端は、前記対象の腋窩静脈の下方部分を介して、前記対象の小胸筋に対して下方におよび/または側方に、血管系へと挿入されるように構成される、請求項17に記載の外科用キット。
【請求項19】
ピールアパート・シースをさらに含み、前記ピールアパート・シースは、ワイヤーに被さって腋窩静脈内に挿入されるように構成され、および前記ピールアパート・シースは、前記腋窩静脈から前記ワイヤーを取り出した後、前記カテーテルの第1の末端を前記ピールアパート・シースに通して前記腋窩静脈の中へと挿入するために構成される、請求項17または18に記載の外科用キット。
【請求項20】
前記ピールアパート・シース中にあるときに前記腋窩静脈の中へと挿入されるように構成された拡張器をさらに含み、ここで前記カテーテルの第1の末端は、前記ピールアパート・シースから前記拡張器を取り出した後に前記ピールアパート・シースを通して挿入されるように構成される、請求項19に記載の外科用キット。
【請求項21】
前記ポート把持部と着脱自在に係合可能であるように構成された医用クランプをさらに含む、請求項17から20のいずれか1つに記載の外科用キット。
【請求項22】
前記医用クランプは、医用鉗子として構成され、および/またはケリー動脈クランプ、外科用持針器、およびロック鉗子から選択される、請求項21に記載の外科用キット。
【請求項23】
繰り返し使用可能な対象への治療用アクセスを作り出すためのキットであって、前記キットは、
皮下ポートを含み、前記皮下ポートは、キャビティを内包するポート本体を含み、ここで前記キャビティは、繰り返される針貫通を通すために構成されたセプタムによって覆われた、第1の開口部と、前記キャビティとカテーテルとの間の流体連通を容易にするために構成された、第2の開口部とを含み、および、
前記キットは、医用クランプ、を含み、
ここで前記ポート本体は、前記医用クランプと着脱可能に係合するように構成された、ポート把持部を含み、ここで前記ポート本体は、前記医用クランプが前記ポート把持部と係合されているときに、前記医用クランプを使用して、皮下の標的埋め込み部位へと押し込まれるように構成される、キット。
【請求項24】
前記医用クランプは、対向する枢支連結された挟持アームを含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記ポート把持部は壁を含み、ここで前記壁は、前記対向する枢支連結された挟持アームの遠位部分と適合するように寸法決めされた第1と第2の外側表面を含む、請求項23に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年7月8日に出願されたPCT出願第PCT/US20/41140号、2020年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/123,028号、および2021年1月11日に出願された米国特許出願第17/146,253の優先権を主張し、これらの各内容の全体は参照によって本明細書に組み込まれる。その結果、本節において明らかにされる全ての関連出願の開示全体は、参照により完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、対象の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物、および/または化学療法剤などの薬剤を運ぶ流体)の、繰り返される送達を容易にする、および/または改善するための、デバイスと方法に関し、とりわけ、しかし排他的でなく、血管アクセス・ポートと最小限に侵襲的な送達の方法、および対象の身体におけるその展開の方法に関する。
【0003】
流体(例えば、薬物または薬剤)を患者の血管系に送達または引き込むことを容易にするために繰り返される針刺しは、局所的な組織に損傷をもたらし、対象の血管機能と針配置精度とを減少させる。この現象は、長期にわたって継続的かつ繰り返される経静脈輸液投与を必要とする、例えば、慢性の糖尿病、透析、または化学療法の患者においてよく目立つ。
【0004】
血管アクセス・ポートは、そのような繰り返される針刺しと液剤投与とを可能にし、同時に針刺しと流体の動力的な注入によって引き起こされる累積的な損傷を最小限にするデバイスである。アクセス・ポートは、通常、胸部にある大きな血管の近傍で外科的に形成されたポケットにおいて、皮下に埋め込まれる。それは、基本的にキャビティを内包するポート本体からなり、該ポート本体は、上部の皮膚層を支持するため、および繰り返される針刺しを受け入れるために構成されたセプタム部材で覆われ、および、そこを通って周囲の体内組織に密閉された血管内液送達が行なわれる。ポートは、注入された流体が血流中で希釈されるように、上大静脈などの、大きな血管との流体連通を提供するカテーテル(薄い、可撓管)に取り付けられる。
【0005】
ポートの埋め込みは、介入放射線医または外科医によって局所または全身麻酔下で行なわれる軽微な手技と考えられている。第1に、外科医は、所望の静脈へのアクセスを達成し、皮膚切開が、事後的に、アクセスポイントにおいてなされる。第2に、より大きな切開が、ポートの所望の位置の上で行なわれ、そこを通って、平滑なデバイスを使用して、ポケット状の皮下空隙が作られる。カテーテルは、2つの切開の間で、平滑なトンネラを使用して、皮下に伸張される。次に、カテーテルの一端は静脈の中へ挿入され、他端はポートに結合される。任意選択で、展開中に、カテーテルは所望の長さに切断される。
【0006】
アクセス・ポートの設計において、近年進歩が得られてはいるが、より外傷性と侵襲性が少なく、且つ、願わくは外科ではない医療従事者でも簡単に実行できる、ポートと、それらを埋め込んで展開する方法とを開発することへのニーズが依然としてある。
【0007】
留意されたいのは、本背景技術の記載は、請求される主題内容の範囲を決定する補助となることを意図しておらず、および、請求される主題が上記で提示された欠点または問題のいずれか又はすべてを解決する実施に限定されると見なされることを意図しないということである。この背景技術の節における、いかなる技術、文書、または参考文献の検討も、記載された主題が本発明で請求される発明特定事項のいずれかに対する先行技術であることへの承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、対象の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物、および/または化学療法剤などの薬剤を運ぶ流体)の、繰り返される送達を容易にする、および/または改善するための、デバイスと方法に関し、とりわけ、しかし排他的でなく、血管アクセス・ポートと最小限に侵襲的な送達の方法、および対象の身体におけるその展開の方法に関する。
【0009】
ある実施形態では、皮下のポートが提供される。皮下のポートは、キャビティを内包するポート本体を含んでもよく、ここでキャビティは、繰り返される針貫通を通すために構成されたセプタムによって覆われた、第1の開口部と、キャビティとカテーテルとの間の流体連通を容易にするために構成された、第2の開口部とを含む。いくつかの実施形態では、ポート本体は、医用クランプと着脱可能に係合するように構成された、剛体のポート把持部を含み、ここでポート本体は、医用クランプがポート把持部と係合されているときに医用クランプを使用して皮下の標的埋め込み部位へと押し込まれるように構成される。いくつかの実施形態では、ポート把持部は、少なくとも1つの軸方向で医用クランプからの手の力および/またはトルクを受けるように構成され、ここでポート把持部が受ける手の力および/またはトルクは、医用クランプをポート把持部に着脱可能に取り付けるのに十分である。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、キャビティを囲む及び/または第1のキャビティ開口部を画定する、剛体のポート本体部材を包含し、上記剛体のポート本体部材は、前部、後部、および、上記前部と後部との間において、それらの対向する側面から延在する側部を含み、ここで後部は、ポート把持部を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポート把持部が受ける手の力および/またはトルクは、皮下ポートを使って対象の身体における皮下の空隙および/または通路を形成するか拡大させるために、および/または皮下ポートを、ポート把持部から滑ることなく、またはポート把持部を放すことなく、皮下の空隙および/または通路に沿って動かすために、十分である。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2のキャビティ開口部は、ポート把持部に併設され、および/または、ポート把持部より下に、第1のキャビティ開口部からポート把持部よりも遠位に、位置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は壁を含み、ここで壁は、医用クランプの挟持面と適合するように寸法決めされた、対向する第1と第2の壁外側表面を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は、医用クランプの挟持面が配向されて実質的に上記壁の形と厚みに適合するように互いに間隔を置かれた時、手の力が10kgf以下、および/または手のトルクが約0.25Nm以下であるように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は、医用クランプの挟持面が配向されて上記壁の形と厚みに適合するように互いに間隔を置かれた時、医用クランプの手作業用アームがインターロックすることを可能とするように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1および第2の壁外側表面は平行である。
【0017】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は、クランプ係合特徴を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、クランプ係合特徴は、テーパー面、粗面、刻み目を付けられた表面、歯、窪み、および貫通孔の1つ以上を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、クランプ係合特徴は、第1および第2の外側表面を含む壁に形成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、壁外側表面のそれぞれは、ポート本体の側部の間で垂直に延在する。
【0021】
いくつかの実施形態では、壁外側表面のそれぞれは、ポート本体の下部と上部との間で水平に延在する。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記壁の平均または最大の厚みは、約1mmから4mmの間であり、および/または第1と第2の壁外側表面の間でなす角は、約20°以下である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2のキャビティ開口部は、ポート把持部に併設され、および/またはポート把持部の下方に位置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、互いに結合された複数の構成要素を含み、ここでポート把持部は、結合された複数の構成要素の第1のものに連係される。
【0025】
いくつかの実施形態では、セプタムは、結合された複数の構成要素の第1のものとは異なる結合された複数の構成要素の第2のものと連係される。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2のキャビティ開口部は、複数の結合された構成要素の第1のものとも第2のものとも異なる複数の結合された構成要素の第3のものと連係される。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は、医用クランプがポート把持部に係合されて取り付けられる時、医用クランプのポート把持部上での側方運動および/またはポート把持部に対する回転運動を防止するように構成された、固定する構造または機構を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、固定する構造または機構は、側方に対向した境界壁を含み、該境界壁は第1および第2の壁外側表面の少なくとも1つから延在し、ここで対向した境界壁は、医用クランプの挟持面の1つと納まりよく嵌合するように、側方に互いに対して間隔をあけられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、固定する構造または機構は、医用クランプがポート把持部に係合されて取り付けられる時、当該部分への側方の圧迫および/または医用クランプのロックを発生させるように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、対象の腕がそれぞれの肩と接合する腋窩領域における、またはその近傍における、外科開口部を介して、皮下の空隙および/または通路を、作成し、拡張し、および/またはその中へ挿入されるように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、皮下の空隙および/または通路は、対象の大胸筋にまたがって前方に拡張可能である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、対象の鎖骨に対して下方に、および/または大胸筋に対して前方に位置される標的埋め込み部位にある皮下の空隙および/または通路を通って埋め込まれるように構成される。
【0033】
特定の実施形態では、皮下ポートとカテーテルを含み得る外科キットが提供され、ここでカテーテルの第1の末端は、外科開口部を介して対象の血管系の中へ挿入されるように構成され、および、カテーテルの第2の末端は、カテーテルのルーメンと皮下ポートのキャビティとの間の流体連通を形成するために皮下ポートに接続されるか、または接続可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、カテーテルの第1の末端は、対象の腋窩静脈の下方部分を介して、対象の小胸筋に向かって下方におよび/または側方に、血管系へと挿入されるように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、外科キットは、ピールアパート・シースをさらに含み、該ピールアパート・シースは、ワイヤーに被さって腋窩静脈内に挿入されるように構成され、および、腋窩静脈からワイヤーを取り出した後、カテーテルの第1の末端を該ピールアパート・シースに通して腋窩静脈の中へと挿入するために構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、外科キットは、ピールアパート・シース中にあるときに腋窩静脈の中へ挿入されるように構成された拡張器をさらに含み、ここでカテーテルの第1の末端は、ピールアパート・シースから拡張器を取り出した後にピールアパート・シースを通して挿入されるように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、外科キットは、ポート把持部と着脱自在に係合可能であるように構成された医用クランプをさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、医用クランプは、医用鉗子として構成され、および/またはケリー動脈クランプ、外科用持針器、およびロック鉗子から選択される。
【0039】
ある実施形態では、対象の皮膚層を横断する外科開口部を形成する工程、上記外科開口部を介して皮膚層の下に皮下の空隙および/または通路を作成する工程、医用クランプで皮下ポートのポート把持部を挟持する工程、皮下ポートを、医用クランプを用いて、皮下開口部と皮下の空隙および/または通路とを通して、標的埋め込み部位まで押す工程、ポート把持部から医用クランプを解除する工程、ならびに皮下の空隙および/または通路から医用クランプを取り出す工程を含み得る方法が提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、上記挟持する工程に先立って、上記医用クランプを用いて皮下の空隙および/または通路を作成または拡大させる工程を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は、対向する第1および第2の壁外側表面を含む壁を含み、ここで挟持する工程は、ポート把持部の第1および第2の壁表面に対して継続的な把持力を適用するために、医用クランプの手作業可能なアームをインターロックすることを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、対象の腋窩に皮下開口部を形成する工程を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、カテーテルの第1の末端を、外科開口部を介して対象の血管系の中へ挿入し、およびカテーテルの第2の末端を、カテーテルのルーメンと皮下ポートのキャビティとの間の流体連通を形成するために、皮下ポートに結合させる、工程を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、カテーテルの第1の末端は、対象の腋窩静脈または頚静脈を介して血管系に挿入される。
【0045】
いくつかの実施形態では、血管系への、および/または対象の皮膚層を横断する任意のアクセスは、上記成形する工程の後、皮下開口部を直接通ってなされる。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、アクセス針で対象の静脈にアクセスする工程、アクセス針を介して静脈の中へワイヤーを挿入する工程、静脈からアクセス針を取り出す工程、ワイヤーに被せてピールアパート・シースおよび/または拡張器を静脈の中へ挿入する工程、静脈からワイヤーおよび/または拡張器を取り出す工程、ピールアパート・シースを通って静脈の中へカテーテルの第1の末端を挿入する工程、および静脈からピールアパート・シースを取り出す工程の、少なくとも1つを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、静脈は、腋窩静脈または頚静脈である。
【0048】
いくつかの実施形態では、医用クランプは、医用鉗子として構成され、および/または、ケリー動脈鉗子、外科用持針器、およびロック鉗子から選択される。
【0049】
特定の実施形態では、対象への繰り返し可能な治療のアクセスを作り出すためのキットが提供される。キットは、皮下ポートであって、上記皮下ポートは、キャビティを内包するポート本体を含み、ここでキャビティは、繰り返される針貫通を通すように構成されたセプタムによって覆われた第1の開口部、およびキャビティとカテーテルとの間の流体連通を容易にするために構成された第2の開口部を含む、皮下ポート、および医用クランプを含み得る。いくつかの実施形態では、ポート本体は、医用クランプと着脱可能に係合するように構成された、剛体のポート把持部を含み、ここでポート本体は、医用クランプがポート把持部と係合されているときに医用クランプを使用して皮下の目的埋め込み部位へと押し込まれるように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、医用クランプは、対向する枢支連結された挟持アームを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、ポート把持部は壁を含み、ここで壁は、対向する枢支連結された挟持アームの遠位部分を収容するように寸法決めされた第1と第2の外側表面を含む。
【0052】
本明細書で使用されるすべての技術的または/および科学的な単語、用語、およびフレーズは、本明細書で特に定義または記載されていない限り、本発明が属する技術分野における通常の技術者によって一般的に理解されるのと同じまたは同様の意味を有する。本明細書に例示的に記載された、方法(工程、手順)、装置(デバイス、システム、その構成要素)、機器、および材料の例示的な実施形態は、模範的かつ例示的であるに過ぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。本明細書に記載されたものと同等または類似の方法、装置、および材料は、本発明の実践的または/および試験的な実施形態において使用することができるが、模範的な方法、装置、装置、および材料は、以下に例示的に記載される。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が統制する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
様々な実施形態が、有利な特徴を強調することに重点を置いて、以下に説明する図と合わせて詳細に検討される。これらの実施形態は例示を目的としたものであり、ここで例示されるどの比率も、開示される技術の範囲を限定するものではない。これらの図面には、以下の図が含まれ、これらの図において、同種の数字は同種の部分を指し示す。
【0054】
図1図1A図1Cは、いくつかの実施形態による、典型的に展開された血管アクセス・ポートの平面図、側面の断面図、および平面の断面図をそれぞれ示す。
図2図2A図2Cは、いくつかの実施形態による、図1Aにおいて示される典型的な皮下ポートのポート把持部の、別の典型的な変形例を図式的に例示する。
図3図3A図3Hは、いくつかの実施形態による、図1Aに示す例示的な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順における工程を表わす例示的なシナリオを概略的に示す。
図4図4A図4Kは、いくつかの実施形態による、被験者の腋窩に形成された単一の開口部を介して図1Aに示す例示的な皮下ポートを移植するための例示的な手順の工程を表わす例示的なシナリオを概略的に示す。
図5A図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図5B図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図5C図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図5D図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図5E図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図5F図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を含む例示的な皮下ポートの様々な図を示す。
図6図6A図6Bは、いくつかの実施形態による、例示的な医療用鉗子で挟持する前と後の第1の例示的なポート把持部の正面断面図を模式的に示す。
図7図7A図7Bは、いくつかの実施形態による、例示的な医療用鉗子で挟持する前と後の第2の例示的なポート把持部の正面断面図を模式的に示す。
図8図8A図8Bは、いくつかの実施形態による、例示的な医療用鉗子でクランプする前と後の第3の例示的なポート把持部の正面断面図を模式的に示す。
図9A図9A図9Bは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を構成する別の例示的な皮下ポートの軸方向図を示す。
図9B図9A図9Bは、いくつかの実施形態による、ポート把持部を構成する別の例示的な皮下ポートの軸方向図を示す。
図10A図10A図10Bは、いくつかの実施形態による、医療用鉗子で挟持された図9Aの皮下ポートの平面図と軸方向図をそれぞれ示す。
図10B図10A図10Bは、いくつかの実施形態による、医療用鉗子で挟持された図9Aの皮下ポートの平面図と軸方向図をそれぞれ示す。
図11】いくつかの実施形態による、ポート把持部の別の例示的な構成を含む、例示的な皮下ポートの軸方向図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下の説明および実施例は、開示された発明のいくつかの例示的な実施態様、実施形態、および配置を詳細に説明する。当業者は、その範囲により包含される本発明の多数の変形及び修正が存在することを認識する。従って、ある実施形態の記載は、本発明の範囲を限定するものと認められるべきでない。
【0056】
本開示は、そのいくつかの実施形態における、対象の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物、および/または化学療法剤などの薬剤を運ぶ流体)の、繰り返される送達を容易にする、および/または改善するための、デバイスと方法に関し、とりわけ、しかし排他的でなく、血管アクセス・ポートおよび対象の身体におけるその送達と展開の方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示の血管アクセス・ポートは、(切断、切開、およびトンネリングなどの)外科的処置の寸法または数、それらの期間および/または複雑さを低減することによって、アクセス・ポートおよびカテーテルの外科的埋め込み手順の安全性および/または効力を改善することができ、またそれにより、患者にとってより少ない外傷性体験とより容易な回復をもたらす。
【0057】
本明細書において、「血管アクセス・ポート」という用語は、対象に投与される流体および/または対象から引き出される流体を繰り返し送ることを目的としたインプラントを意味する。このコンテキストにおいて「繰り返される」とは、連続10回を超える針穿刺、任意選択で連続100回を超える針穿刺、任意選択で連続1,000回を超える針穿刺、任意選択で連続10,000回を超える針穿刺、またはより多いか少ない針穿刺のことを指す場合がある。このコンテキストにおいて「針」は、静脈内投与などのための、血管アクセス・ポートを通じた液体送達用に認可された針のことを指す場合がある。
【0058】
本明細書に記載の開示は、針によって繰り返される穿刺のために構成されたセプタム部材を有する血管アクセス・ポートと共に使用される場合にも有利であるが、この特別な機能は必須ではなく、他の形態のニードルアクセス開口部やプラットフォームが適用される場合がある。本明細書に記載されたいくつかの血管アクセス・ポートは、適切に組み立てられ展開されたとき、生体対象(例えば、ヒト)における長期間の埋め込みのために、およびセプタム部材などを通して繰り返される流体移送アクセスのために構成された1つ以上の構成要素を総体として含む。血管アクセス・ポートは、流体移送アクセスのための容易化構造として、および/または流体移送アクセスに適用可能な構成要素(例えば、セプタム)を保持するために構成された支持構造として機能する、本明細書で「ポート本体」と呼ばれる構造物を少なくとも含む。
【0059】
ポート本体は、繰り返される、蓄積的な、対象の血管系への流体の送達、または対象の血管系からの流体の回収の血管アクセス・ポートの少なくとも基本機能を、構造的および/または機能的に、容易にするために構成される場合がある。いくつかの実施形態では、ポート本体は、血管アクセス・ポートの送達、展開、および/または長時間の使用に関連づけられる付加的機能を容易にするための、任意選択の又は不可欠な、1つまたは複数の他の特徴を、任意選択で、欠くように、または含めずに、初期構成される場合がある。ポート本体は、例えば、改善もしくは平易化された送達性、ポート本体を囲む体内組織への選択的な固定、および/または予め形成された皮下の空隙などの選ばれた埋め込み部位における向上された安定性など、血管アクセス・ポートに付加的な特徴または能力を提供するために、少なくとも1つの他の構成要素に接続される場合がある。
【0060】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、針アクセス開口部および/またはセプタムの下に(例えば、下方に)、キャビティを形成し、上記キャビティは繰り返し針先を受け入れるために、選ばれた又は所定の流体(例えば、溶液、懸濁液、またはコロイドなどの液体)の体積を蓄積させるために、ならびに/もしくは生体対象の血管系への流体の投与および/または生体対象の血管系からの流体の回収のために、寸法決めされ、形成され、構成される。いくつかの実施形態では、血管アクセス・ポートは、任意選択で、1つまたはいくつかの別個のセプタム部材で覆われる単一またはいくつかの別個のキャビティを含む場合があり、単一の要素、またはいくつかの相互接続可能な部材として提供され、いくつか若しくは全てが、ポート本体において、あるいは別個のポート本体としてそれぞれ構成された血管アクセス・ポートのいくつかの部分または部材において、提供され得る。
【0061】
埋め込みの前または後に、患者の血管系に物理的に入る遠位端を有するカテーテルが血管アクセス・ポートに取り付けられる場合がある。一旦、接続されると、カテーテルのルーメンはポート本体のキャビティと直接流体連通するようになる。本明細書に記載の血管アクセス・ポート、またはそれを含むキットは、そのようなカテーテルを含んでも含まなくてもよく、そのようなカテーテルに接続するための連結具を含んでも含まなくてもよい。血管アクセス・ポートは、流体の送達または回収に関連しない付加的な構成要素および機能性を有する場合がある。血管アクセス・ポートは、本明細書では、単に「ポート」または「インプラント」と呼ばれる場合がある。「皮下ポート」は、血管アクセス・ポートおよび任意選択で、より一般に、任意の他の医療用の埋め込み可能なポートを指し、特に皮膚組織の下の埋め込みのために構成され、およびそれを覆う皮膚組織を通って、経皮的に、その中へと針を穿刺または貫通する方法によって、利用可能である。
【0062】
血管アクセス・ポートは、任意選択で、医用クランプを使用してポートを効果的に連続的に、任意選択でロックして、挟持または把持することを容易にするように構成されたポート把持部を含む。医用クランプは、末端の挟持ヘッドを含み、そこから遠位に延びる細長いアームを用いて選択的に操作可能であり、および挟持ヘッドは、開いた(非挟持)構成と閉じた(挟持)構成の間で選択的に変更可能である。閉じた構成のとき、挟持ヘッドを形成する対向する枢支連結された2つの挟持ヘッド部材の2つの挟持面は、ポート把持部の両側から互いに対して押圧される。医用クランプは、任意選択で、キットとしてポートと一緒にユーザに提供される場合があり、または、皮下ポートの埋め込みを行なう医師によって通常使用される一般的な挟持用または把持用デバイスであってもよく、任意選択で、ケリー動脈鉗子、外科用縫合持針器、外科用把持具、ロック鉗子、止血鉗子など、またはその他の、医用鉗子として構成されてもよい。
【0063】
血管アクセス・ポートの展開は、対象の身体の標的埋め込み部位の中へポート本体を少なくとも挿入することを含み、その結果、ポート本体の上方部分は、繰り返される流体移送アクセスにとって利用可能となる。ポート(またはポート本体)の挿入は、医用クランプを使用して、先ず、ポート把持部を継続的に挟持するようにそれを適用(および任意選択で、この挟持ポジションでロック)し、次に、医用クランプのアームを使用してポートを手で押し、および/または動かすことによって、行なうことができる。
【0064】
血管アクセス・ポートの展開は、ポート本体の周囲を取り囲んでいる組織塊を圧縮することを含み、それにより、標的埋め込み部位においてポート本体の周囲と圧縮された組織塊との間で形成される空隙の容積を増加させる場合がある。いくつかの実施形態では、対象の皮膚上の切開から当該部位までの空隙および/または外科的通路は、同じ医用クランプ(例えば、ケリー動脈鉗子または持針器)を使用して、当該ポートに対して挟持する前に実施される。空隙は、標的埋め込み部位における皮膚組織層の間、またはその層より下に位置される皮下の空隙であり得る。空隙容積を増加させると同時に、または直後に、増加した空隙容積は、ポート本体の容積を増加させること、または1つ以上の固体の形成された構成要素(例えばポート本体拡張)を連結させることなどによって、血管アクセス・ポートに占拠される。このことは、また、組織塊の圧縮が、ポート本体容積のそのような増加の直接の結果であり得るという状況を含む。圧縮された組織塊は、展開された血管アクセス・ポートに連続的な圧力を法線に与え、それによって皮下空隙での固定および/または安定性を高める。ポート本体は、キャビティを画定する下方部分、およびキャビティを覆うセプタム部材と結合される上方部分を包含してもよく、および、血管アクセス・ポートは、圧縮される組織塊がポート本体の上方部分ではなく下方部分だけを囲むように展開してもよい。
【0065】
図1A図1Cは、対象(SUB)(例えば、生存ヒト患者)中の埋め込み前後に、皮下ポートとして構成される、典型的な血管アクセス・ポート(10)を図式的に例示する。図1Aの平面図および図1Bの側面断面図で示される血管アクセス・ポート(10)は、ポート本体(11)を包含し、ポート本体(11)はキャビティ(12)を画定し、キャビティ(12)を覆って周囲から密封するセプタム部材(13)と結合される。セプタム部材(13)は、そこを通って針が配置される間も針が回収された後もキャビティ(12)の密封性を妥協させることなく、図1Bに示される針(14)のような、繰り返される針の穿刺のために構成される。キャビティ(12)は、セプタム部材(13)で覆われる第1のキャビティ開口部、およびカテーテルのルーメンと連結されてその間で流体連通を容易にするために構成される第2のキャビティ開口部とに対して、任意選択で、開かれる。いくつかの実施形態では、第2のキャビティ開口部は、ポート(10)の後部に、医用クランプによる把持または挟持のために構成されたポート把持部(21)に併設されて、および/または、ポート把持部(21)より下方に、位置される。
【0066】
ポート(10)は、標的埋め込み部位(IMS)において、対象(SUB)における単一の開口部または切開部(INS)を介して、皮膚層(SKL)(任意選択で、中に又は下に脂肪組織を含む)の下に、皮下埋め込み可能である。完全に展開された時、血管アクセス・ポート(10)は対象(SUB)の血管系(VSC)、通常、鎖骨下静脈または大静脈の1つなど、との流体連通にあるキャビティ(12)を有し、それにより針(14)を介してキャビティ(12)へと投与された流体が対象の血管系へと直ちに流れる。カテーテル・ルーメン(16)を備えたカテーテル(15)は、血管系(VSC)の中に配置されてそれに対して開口する第1のカテーテル末端(17)と、ポート本体(11)に接続されてキャビティ(12)に対して開口する第2のカテーテル末端(18)とを有し、カテーテル端末(17)と(18)は、カテーテル・ルーメン(16)に対して開口してキャビティ(12)と血管系(VSC)との間の流体連通を可能にする。いくつかの実施形態では、ポート(10)およびカテーテル(15)の両方は、単一の開口部または切開部(INS)を介して、対象(SUB)に導入され、埋め込まれる。図1Bは、任意選択の展開スキームを示し、ここでポート(10)は、対象の胸部上方部分で、頚静脈に対して作られたアクセス開口部に近接して配置され、第1のカテーテル端末(17)は、対象の右心房に近接する上大静脈の中に配置される。血管アクセス・ポート(10)は、任意選択的に体内で、カテーテル(15)とは別個に、その間での選択的な接続のために構成されたコネクタを備えて提供される場合があり、あるいは、血管アクセス・ポート(10)とカテーテル(15)は、組立てキットとして、または一体になったデバイスとして、一緒に提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、ポート(10)は、キャビティ(12)を囲む大部分またはそのすべての部分が、対象の身体の中で皮下への埋め込みの最中または後で生じる法線応力の下で、変形不可能か形成可能であるように、実質的に剛体であり得、および他のいくつかの実施形態では、少なくともその1つの部分が、設計に依存して埋め込みの前、最中、または後に、ポート(10)の他の部分に対して(例えば、ポート本体(11)またはその剛体の部分に対して)屈曲するか動くように構成される。いくつかの実施形態では、ポート(10)は、圧搾可能な皮下ポートとして構成され、患者の皮膚に作られた穿孔または切開によって形成されたものなど、ポート(10)が弾性的に弛緩状態にあるときに最大の横断面周長で通過することができない小さな開口部を通って貫入することができる。そのような開口部を通る貫入は、ポート(10)が開口部を通って遠位に押される時、局所的に開口部ネック部によってポート(10)の1つ以上の部分を弾力的に力で圧迫することにより達成され得る。
【0068】
いつくかの実施形態において、ポート(10)、および、特にポート本体(11)は、キャビティ(12)を形成する剛体の内側部材(19)と、内側部材の少なくとも1つの側方の円周部に沿って内側部材(19)に接続された可撓性の外側部材(20)とを含み、それにより、弾力的に弛緩状態にあるとき(例えば、図1Aにおいて示されたように)ポート(10)のために選ばれた所定の空間的形状を形成する。外側部材(20)は、自然に発生する皮下応力を受けたときに、外科的に形成可能な皮下空隙内の所定の空間形状を維持するのに十分な、圧縮への弾性抵抗を有するように、構成され得る。さらに、外側部材(20)は、内側部材(19)に対して局所的に圧縮可能であり、およびその圧縮された領域から遠隔に拡大することによって全体の容積を実質的に維持するように構成され、それにより、内側部材の最大断面周長よりも大きく且つ所定の空間的形状の最大断面周長よりも小さな表皮開口部を通してポート(10)を押したとき、ポート(10)を皮下の空隙の中に押し入れることが容易になる。
【0069】
ポート(10)は、ポート把持部(21)を含み、ポート把持部(21)は、医用クランプ(例えば、図7において示される外科用持針器(119)、および/または図9Aに示されるケリー動脈クランプ(230))による効果的で継続的な挟持または把持のために構成された対向する2つの表面で縁どられる比較的薄い壁を有する。ポート把持部(21)は、ポート本体(10)の後部またはその剛体の構造部材に位置されるか、またはそこから延在し、および、任意選択で、医用クランプによる効果的な挟持のために寸法決めされ形成された対向する2つの表面によって境界付けられた薄い壁を含む。いくつかの実施形態では、薄い壁の平均または最大の厚みは、約1mmから約4mmの間、または約1.5mmから約3mmの間である。いくつかの実施形態では、薄い壁の対向する表面間でなす角は、約20°以下、任意選択で約10°以下、または任意選択で約5°以下である。
【0070】
ポート本体(11)は、上方部分、あるいはキャビティ(12)の少なくとも上方部分を囲み且つ/またはセプタム部材(13)につながる部材、を含む場合があり、またこの上方部分あるいは部材は、ポート把持部(21)を形成するためにその後部で幅が狭くなっている場合がある。ポート把持部(21)は、対象(SUB)の皮膚層の下で挟持され、および手作業で動かされたときの、機械的破損を防止するために、十分な剛性および/または強度で構成され、および任意選択で、ステンレス鋼またはチタン合金などの金属合金または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの固い高分子でできている。いくつかの実施形態では、ポート把持部(21)は、対向する表面が医用クランプの所望の挟持配向に適合するように、形成される。
【0071】
ポート把持部(21)は、医用クランプを介してポート(10)まで、少なくとも1つの軸において、例えば、薄い壁の表面に対して法線に把持する第1の軸と任意選択で他の方向の軸とにおいて、手の力および/またはトルクを伝えるように構成される。手の力および/またはトルクは、任意選択で、医用クランプをポート把持部(21)にロックするのに十分である。いくつかの実施形態では、手の力および/またはトルクは、把持されたポート(10)を使って対象の身体における皮下の空隙および/または通路を形成するか拡大させるために、および/またはポート(10)を、ポート把持部(21)から滑ることなく、またはポート把持部(21)を放すことなく、皮下の空隙および/または通路に沿って動かすために、十分である。ポート把持部(21)は、医用クランプを形成する挟持ヘッド部材の遠位部分が薄い壁の形状と厚みに適合するように配向され且つ互いに間隔を置かれたとき、手の力が約20kgf以下であるように、任意選択で約10kgf以下、約5kgf以下であるように、任意選択的に構成される。ポート把持部(21)は、医用クランプを形成する挟持ヘッド部材の遠位部分が薄い壁の形状と厚みに適合するように配向され且つ互いに間隔を置かれたとき、手のトルクが約0.25Nm以下、0.20Nm以下、または約0.15Nm以下であるように、任意選択的に構成される。
【0072】
図2A図2Cは、ポート(10)のポート把持部(21)の別の典型的な変形例を図式的に例示する。図2Aは、実質的に平らで互いに平行な2つの対向する表面(23a)を備えた薄い壁(22a)を有するポート把持部(21)の第1の典型的な変形例を示し、ここでポート把持部(21)は、十分な挟持力を適用するために構成された第1の典型的な医用クランプ・ヘッド(24a)の挟持ヘッド部材(25a)が、少なくともその遠位部分において、互いに実質的に平行に配向されるとき、および挟持ヘッド部材(25a)が薄い壁の厚みに等しいか又はわずかに小さな距離で間隔をとったとき、ヘッド(24a)と効果的に適合するように構成される。図2Bは、実質的に平らで互いにテーパーされた2つの対向する表面(23b)を備えた薄い壁(22b)を有するポート把持部(21)の第2の典型的な変形例を示し、ここでポート把持部(21)は、十分な挟持力を適用するために構成された第2の典型的な医用クランプ・ヘッド(24a)の挟持ヘッド部材(25b)が、少なくともその遠位部分において、互いに実質的にテーパーされて配向されるとき、および挟持ヘッド部材(25b)が薄い壁の厚みに等しいか又はわずかに小さな距離で間隔をとったとき、ヘッド(24b)と効果的に適合するように構成される。図2Cは、2つの対向する表面(23c)がそれぞれ非平面の(例えば、歯のある)パターンを有する薄い壁(22c)を有する、ポート把持部(21)の第3の典型的な変形例を示す。このように、挟持ヘッド部材(25c)が薄い壁(22c)の厚みに等しいか又はわずかに小さな距離で間隔をとったとき、嵌合する非平面のパターンを備えた薄い壁(22c)の表面(23c)と係合し、このときポート把持部(21)は、少なくとも1つの軸においてロックするために構成された第3の典型的な医用クランプ・ヘッド(24c)に効果的に適合することができる。
【0073】
図3A図3Hは、患者の皮膚を横切って外科的に作られた単一の開口部を介して、対象(SUB)の中に、カテーテル(15)と共に血管アクセス・ポート(10)を埋め込むための典型的な手順における可能な工程を表わす、典型的なシナリオを図式的に例示する。埋め込みの典型的な順序は、最初に血管系VSCの中へのアクセスを形成することに関する工程、続いて対象(SUB)の身体における皮下の空隙にポート(10)を埋め込むことに関する工程、そしてカテーテル(15)の第1の末端を血管系の中に配置することによるカテーテル処置に関する他の工程を示すが、いくつかの実施形態による手技は、ポート(10)を最初に埋め込み、次にアクセスを形成し、そしてカテーテルの第1の末端(17)を埋め込む、またはカテーテル処置の後にポート(10)を埋め込む、あるいは少なくとも部分的に平行してそれら両方を埋め込む、というように、他の順序で実行することができる。図3Aに示されるように、皮下開口部(任意選択で切開部(INS)式)は、任意選択で頚部領域に、または鎖骨の上方(より上に)において、対象(SUB)の皮膚層を横切って形成され、およびアクセス針(30)がそこを通って近傍の血管系(VSC)(例えば、図示されるように、頸静脈、または鎖骨下静脈)に導入される。いくつかの実施形態では、アクセスニードル(30)は、皮膚を通って穿刺および/または貫通するために先端がつけられ、およびそれにより、任意選択で、皮膚を横切って、または隣接してメスで切開部が作られる前に、外科的開口部またはその一部が任意選択で形成される。図3Bに示されるように、次に、アクセス針(30)のルーメンを通って、血管系(VSC)の中へ、ガイドワイヤ(31)が挿入され得る。
【0074】
図3Cに示されるように、ポート(10)は、その埋め込みを支援するために医用クランプ(32)で挟持され得る。切開部(INS)が既に形成されていない場合、医師は、ポート埋め込みの直前に切開を行なうか、あるいは、例えば、メスまたはポート(10)自体を用いて、切開部(INS)の寸法を増加させることができる。ポート(10)を挟持する前に、皮下の空隙および/または通路(SCV)は、切開部(INS)を介して、医用クランプ(32)を使用するか別の器具を用いて、形成され得る。皮下の空隙および/または通路(SCV)は、切開部(INS)から、任意選択で上方胸部領域および/または鎖骨の下方(より下)に位置される標的埋め込み部位(IMS)まで、達する。
【0075】
次に、ポート(10)は、そこに挟持された医用クランプ(32)を使用して、切開部(INS)を介して、皮下の空隙および/または通路(SCV)の中へ押し込まれ得る(図3D)。いくつかの実施形態では、提示された順序は、逆にされ、アクセス針(30)および/またはガイドワイヤ(31)が対象(SUB)の身体に導入される前に、ポート(10)が埋め込み部位(IMS)に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、示されるように、カテーテル(15)の第2の端末(18)は、ポート(10)に既に(固定または着脱可能に)接続されているが、分離した状態で提供されてもよく、および切開部(INS)を通る送達の最中、またはポート(10)を医用クランプ(32)で挟持する前か後に、接続されてもよい。標的埋め込み部位(IMS)におけるポート(10)の埋め込みに続いて、カテーテル(15)の第1の末端(17)は、任意選択で、対象(SUB)の身体の外側に位置され、しかしながら、他のいくつかの実施形態では、カテーテル(15)の第1の末端(17)は、ポート(10)が埋め込まれる前に、血管系(VSC)の内側に置くことができる。一旦適切なポート(10)の位置が確認されると、医用クランプ(32)はポート(10)から開放され(緩められ)てもよく、および皮下の空隙および/または通路(SCV)から引き出されてもよい。
【0076】
ポート(10)の埋め込みの前または後に、アクセス針(30)は、血管系(VSC)内の選ばれた経路の中にガイドワイヤ(31)を残しながら、対象(SUB)の身体から取り出され得る(図3E)。それに続き、ピールアパート・シース(33)(例えば、既製の弱化線に沿って裂くことができる)は、ガイドワイヤ(31)に被さって血管系(VSC)の中へ挿入することができる。次に、ガイドワイヤ(31)は、ピールアパート・シース(33)を所定の場所に残して、血管系(VSC)から取り出され得る。ピールアパート・シース(33)がそのルーメンに沿って延在する拡張器(34)と共に導入される場合、図3Fに示されるように、拡張器(34)もピールアパート・シース(33)の内部から回収され得る。一旦ピールアパート・シース(33)のルーメンが確保されると、図3Gおよび3Hにおいて連続して示されるように、カテーテル(15)の第1の端末(17)はそこを通って血管系(VSC)に導入され、任意選択で上大静脈に、または右心房に配置される。ポート(10)および/またはカテーテル(15)が適切な位置において機能すること確認した後、任意選択的に撮像しながら、ピールアパート・シース(33)は破断されて対象(SUB)の身体から取り出され、そして、切開部(INS)は閉じられる(例えば、縫合によって)。
【0077】
図4A図4Kは、対象(SUB)の腋窩(腋窩)において患者の皮膚を横切って外科的に作られた単一の開口部を介して、対象(SUB)の中に、カテーテル(15)と共に血管アクセス・ポート(10)を埋め込むための典型的な手技における工程を表わす、典型的なシナリオを図式的に例示する。埋め込みの典型的な順序は、最初に対象の血管系の中へのアクセスを形成することに関する工程、続いて対象(SUB)の身体における皮下の空隙にポート(10)を埋め込むことに関する工程、そしてカテーテル(15)の第1の末端を血管系の中に配置することによるカテーテル処置に関する他の工程を示すが、いくつかの実施形態による手技は、ポート(10)を最初に埋め込み、次にアクセスを形成し、そしてカテーテルの第1の末端(17)を埋め込む、またはカテーテル処置の後にポート(10)を埋め込む、あるいは少なくとも部分的に平行してそれら両方を埋め込む、というように、他の順序で実行することができる。
【0078】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、対象(SUB)の上部トルソの部分的な体内の側面視および正面視を例示する。皮下開口部(任意選択で、切開部(INS)によって)は対象(SUB)の皮膚層を横切って、対象(SUB)の右または左の腕とそれぞれの肩との接合部における腋窩領域またはその近傍に、任意選択で、前腋窩線に隣接して、形成される。対象(SUB)の腋窩静脈(AXV)へのアクセスは、切開部(INS)を通じて対象(SUB)の身体を貫通することによって作られ、小胸筋に対して、任意選択で、下方(より下)に、および/または側方に、および/または後方にある。次に、図4Cにおいて示されるように、アクセス針(40)は、切開部(INS)を通って、腋窩静脈(AXV)の中へ、任意選択で、示されるようにその下方(周辺)部分において、導入することができる。いくつかの実施形態では、アクセスニードル(40)は、先ず、皮膚を通って穿刺および/または貫通するために先端がつけられ、およびそれにより、任意選択で、皮膚を横切って、または隣接して(例えば、メスを使用して)切開部(INS) が作られる前に、外科的開口部またはその一部が任意選択で形成される。次に、ガイドワイヤ(41)は、腋窩静脈(AXV)を通ってアクセス針(40)のルーメンを通って対象の血管系の中へ挿入することができ(図4D)、その後、アクセス針(40)は、ガイドワイヤ(41)を腋窩静脈(AXV)中に延在させたまま、取り出すことができる(図4E)。
【0079】
図4Fで示されるように、皮下の空隙および/または通路(SCV)は、鋭いおよび/または平滑な外科用器具を使用して、任意選択で医用クランプ(42)(例えば、医用クランプ(32)と同様または同一であり得る)を用いて、任意選択で対象(SUB)の大胸筋の前方に、切開部(INS)を介して形成され得る。皮下の空隙および/または通路(SCV)は、切開部(INS)から、任意選択的に上方胸部領域および/または鎖骨の下方に位置された標的埋め込み部位(IMS)まで達し、任意選択で小胸筋および大胸筋の前方に(例えば図4A中に示されたように)および/または任意選択で第3肋骨と鎖骨との間に達し、任意選択で第2肋骨の上部に隣接している。いくつかの実施形態では、空隙および/または通路(SCV)は、大胸筋を横切って或いはまたがって形成され、およびそれは大胸筋より上または前方に皮下で(覆っている皮膚層を通って又は直下で)行なわれるが、少なくとも部分的に大胸筋を通って又はより下に(後方に)行なわれてもよい。ポート(10)は、その埋め込みを支援するために医用クランプ(42)で挟持され得る。切開部(INS)が既に形成されていない場合、医師は、ポート埋め込みの直前に切開を行なうか、あるいは、例えば、メスまたはポート(10)自体を用いて、切開部(INS)の寸法を増加させることができる。
【0080】
図4Gに示されるように、ポート(10)は、そこに挟持された医用クランプ(42)を使用して、切開部(INS)を介して皮下の空隙および/または通路(SCV)の中へ押し込まれ、および標的埋め込み部位(IMS)に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、提示された順序は、逆にされ、アクセス針(40)および/またはガイドワイヤ(41)が対象(SUB)の身体に導入される前に、ポート(10)が埋め込み部位(IMS)に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、示されるように、カテーテル(15)の第2の端末(18)は、ポート(10)に既に(固定または着脱可能に)接続されているが、分離した状態で提供されてもよく、および切開部(INS)を通る送達の最中、またはポート(10)を医用クランプ(42)で挟持する前か後に、接続されてもよい。標的埋め込み部位(IMS)におけるポート(10)の埋め込みに続いて、カテーテル(15)の第1の末端(17)は、任意選択で、対象(SUB)の身体の外側に位置され、しかしながら、他のいくつかの実施形態では、カテーテル(15)の第1の末端(17)は、ポート(10)が埋め込まれる前に、腋窩静脈(AXV)の内側に置くことができる。
【0081】
一旦適切なポート(10)の位置が確認されると、図4Hに示されるように、医用クランプ(42)はポート(10)から開放され(緩められ)てもよく、および皮下の空隙および/または通路(SCV)から引き出されてもよい。ポート(10)の埋め込みの前または後、ピールアパート・シース(43)はガイドワイヤ(41)を覆って腋窩静脈(AXV)の中へ挿入することができる。次に、ガイドワイヤ(41)は、ピールアパート・シース(43)を所定の位置に残して対象の血管系から取り出されてもよい(図4I)。ピールアパート・シース(43)がそのルーメンに沿って延在する拡張器と共に導入される場合、拡張器もピールアパート・シース(43)の内部から回収され得る。一旦ピールアパート・シース(43)のルーメンが確保されると、図4J図4Kにおいて連続して示されるように、カテーテル(15)の第1の端末(17)はそこを通って腋窩静脈(AXV)に導入され、任意選択で上大静脈(SVC)に、または右心房(RA)に配置される。挿入の前に、カテーテル(15)は、任意選択で、埋め込み部位(IMS)から患者の血管系における第1のカテーテル端末(17)の選ばれた位置決めまでの経路長の寸法に基づいて、選ばれた長さに切断され得る。カテーテルの第1の先端(17)および/またはポート(10)の最終的な位置決めは、皮下の空隙および/または通路(SCV)の中でポート(10)を押すこと又は引くことにより適合され得る。ポート(10)および/またはカテーテル(15)が適切な位置において機能すること確認した後、任意選択的に撮像しながら、ピールアパート・シース(43)は破断されて対象(SUB)の身体から取り出され、そして、切開部(INS)は閉じられる(例えば、縫合または接着によって)。
【0082】
図5A図5Dは、典型的な圧搾可能な皮下ポート(100)の様々な図、組み立て斜視図(図5A)、分解斜視図(図5B)、側面断面図(図5C)、正面断面図(図5D)を例示する。ポート(100)は、任意選択でポート(10)の典型的な構成であり、およびポート(10)に関して記載される、いくつかまたはすべての構造的および/または機能的な特徴を含み得る。ポート(100)(任意選択で特に、少なくとも一部は、弾力的に弛緩状態)は、50mm以下の最大幅、任意選択で25mm以下の最大幅、30mm以下の最大高さ、任意選択で15mm以下の最大高さ、および50mm以下の最大長さ(カテーテル接続手段の有無に関わらず)、任意選択で30mm以下の最大長さを有する場合がある。いくつかの実施形態では、ポート(100)は、外科的開口部を押し縮めて通すために(そこを通過する時さらに幅広くなるか裂けることなく)、より狭い断面に再形成および/または変形するように構成され、ここで外科的開口部は、約80mm以下、任意選択で約60mm以下、任意選択で約40mm以下の最大開口部周長を有し、および/または外科的切開により長さ約20mm以下、任意選択で長さ約15mm以下、または任意選択で長さ約10mm以下に形成される。
【0083】
ポート(100)は、第1のキャビティ開口部(103)および第2のキャビティ開口部(105)に対して開かれたキャビティ(102)を含む剛体の内側部材(101)を含む。第1のキャビティ開口部(103)は、セプタム部材(104)で囲まれ、そこを通ってキャビティ(102)の中へと繰り返される針貫入のために構成される。第2のキャビティ開口部(105)は、キャビティ(102)とカテーテルのルーメンとの間の流体連通を容易にするために構成される。内側部材(101)は、針の選ばれた長さに(安全且つ効率的に)適合し、かつ針の先端がそれを通って貫通するのを予防するために、十分な剛性を備えて構成される。セプタム部材(104)は、任意選択で楕円形であるが、示されるように、他の形状もあり得る。
【0084】
キャップ部材(106)は、セプタム部材(104)に被せて、および内側部材(101)の上方部分に被せて結合されて、ポート(100)の一体型剛性カプセル化コア本体を形成しする。セプタム部材(104)は、キャップ部材(106)と内側部材(101)との間によって、少なくとも部分的に、定位置に拘束され、任意選択で圧縮される。 内側部材(101)および/またはキャップ部材(106)は、任意選択で、PEEKなどの硬質プラスチックから、又はチタン若しくはステンレス鋼合金などの金属から形成される。キャップ部材(106)は、任意選択で、接着剤、圧縮嵌合、および/または溶接などの方法で、内側部材(101)に固定的に接続される(例えば、部品がプラスチック製の場合は超音波溶着、金属製の場合はレーザー溶着)。カプセル化コア本体は、一旦完全に組み立てられると、十分な剛性と耐力強度とを有し、キャビティ(102)への注入の最中、一般的な内部圧力(任意選択で、300psiまたはその前後で約5ml/秒注入)を維持するように構成される。ルーメン延長部(107)は、内側部材(101)に結合され、その遠位部分が第2のキャビティ開口部(105)を通ってキャビティ(102)に向かって延在し、およびその近位部を介してカテーテルのルーメンまで流体密封の通路を提供するように構成される。コネクタ部材(108)は、ルーメン延長部(107)に被せて結合され、ルアー(luer)嵌合に基づく接続機構などを用いて、カテーテル遠位端とポート(100)との選択接続を容易にするように構成される。
【0085】
図5Eおよび図5Fに示すように、ポート(100)は、ポート把持部(117)(任意選択で、構造、機能、および/または寸法においてポート把持部(21)と同一か類似)を含み、ここでポート把持部(117)はポート(100)の近位端に備えられ、医用クランプなどの把持手段でポート(100)を有効かつ安全に把持することを容易にするように構成される。ポート把持部(117)は、示されるように、キャップ部材(106)の近位の延長部分として提供され、およびルーメン延長部(107)とコネクタ部材(108)より上に(例えば、第1のキャビティ開口部(103)のより近くに)位置されてもよい。図5Eは、ポート把持部(117)において典型的な医用クランプ(119)(例えば、外科用持針器として構成された)で把持されたポート(100)を例示する。ポート把持部(117)は、対向する平らな壁外側表面を有して水平に延在している壁(120)を含み、その結果、医用クランプ(119)がそのアームを垂直に(一方を他方に重ねて)配置されて医療従事者によって保持され得る。あるいは、壁(120)は、その平らな表面を、任意選択で垂直を含む他の方向に、配置することができる。壁(120)は、医用クランプ(119)によってポート(100)をしっかり把持することを容易にし、把持を開放したり機械的に破損したりすることなく、その最大弛緩寸法よりも小さな外科的開口部を通して押し、押し縮めて入れ、および動かすために、任意選択で、サイズ、平らな表面の表面積、厚みおよび/または耐久性および/または強度について、構成される。医用クランプ(119)は、ポート(100)を把持して皮下の空隙に送達する前に、皮下の空隙または通路を形成するか又は寸法を増加させるために使用され得る。
【0086】
ポート把持部(117)は、医用クランプが係合され、および取り付けられたとき、医用クランプの壁(120)上の、および壁(120)に対する、側方運動および/または回転運動を防止するように構成された、固定する構造を任意選択で含む。図5Fに示されるように、ポート把持部(117)は、医用クランプ(119)の下方のヘッド部材(122)を適合させるために構成された、凹んだ区画(121)を含み、ここで凹んだ区画(121)の上部表面は、壁(120)のより下の(下方の)壁面でもある。ポート把持部(117)はまた、壁(120)の上部の(上方の)外壁表面から(123)延在し、および医用クランプ(119)の上方のヘッド部材(124)を適合させるために構成された、側方に対向した境界壁を含む。対向する境界壁(123)は、上方のヘッド部材(124)および/またはその挟持面を収まりよく嵌合させるように互いから側方に間隔を置かれてもよい。
【0087】
図6A図6Bは、突起または歯(126)をそれぞれ含んだ対向するヘッド部材(127)を有する典型的な医用クランプで挟持する前後の、ポート把持部(117)の固定する構造の典型的な代替構成の正面の断面視を、図式的に例示する。示されるように、壁(120)の上側表面と下側表面のそれぞれは、2つの境界壁(123)の間に複数の窪み(128)を含む。窪み(128)は、突起(126)を収まりよく嵌合させて適合させるように、寸法決めされて形づくられる。このように医用クランプ(125)の側方運動は、減少され、防止され得る。窪み(128)は、非円形(例えば、星形、十字形)であってもよく、それにより、医用クランプ(125)の壁(120)に対する、および壁(120)上の回転運動を防止する。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポート把持部(117)は、医用クランプがポート把持部(117)に係合されて取り付けられているときに、医用クランプの側方圧迫および/またはロックを発生させるように構成される、固定する構造または機構を含む。図7A図7Bは、医用クランプ(119)で挟持する前後の、ポート把持部(117)の固定する構造の別の典型的な構成の正面断面視を図式的に例示する。この構成において、壁(120)は、示されるように、外側表面の各々がクッション部材(129)で覆われ、上記クッション部材(129)は、可撓性で、ヘッド部材(122と124)の挟持面と噛み合う体積形状に圧縮され、その間に硬さを増し(任意選択で、体積を維持または縮小して)、および/または境界壁部分(130)を形成して、ヘッド部材(122と124)を囲むように構成される。ポート把持部(117)は、医用クランプが係合されて取り付けられ、任意選択でそのアームが互いにロックされているときに、クッション部材(129)が、医用クランプ(119)の壁(120)上の側方運動、および/または壁(120)に対する回転運動を防止するのに十分な形状と硬さを形成するように、構成される。
【0089】
図8A図8Bは、医用クランプ(119)で挟持する前後の、ポート把持部(117)の固定する機構の典型的な構成の正面断面視を図式的に例示する。この構成において、ポート把持部(117)の下部区画(131)(壁(120)の下部/下方の表面より下)は、ポート把持部(117)の上部区画(132)(壁(120)の上部/上方の表面より上)とは異なって形づくられ、および/または構築され、その結果、医用クランプ(119)のヘッド部材(122と124)が壁(120)に向かって押されるとき、固定する機構が側方にアクティブ化され、下部区画(131)と上部区画(132)の少なくとも1つをロックする。この例で示されるように、下位のヘッド部材(122)が係合して下部区画(131)に受け入れられるとき、壁(120)から下方に延在する下部境界壁(133)を側方に外向きに移動させる。次に下部境界壁(133)は、壁(120)と接合する部分の周りで回転するアームとして機能し、および、壁(120)から上方に延在して下部境界壁(133)のアーム延長部分として機能する上部境界壁(134)を、上方ヘッド部材(124)に対して側方に内向きに移動させる。医用クランプ(119)によってかけられた法線の挟持力または圧力下で、記載のとおり機能するようにアクティブ化されると、医用クランプが係合されて取り付けられ、任意選択で、アームを互いにロックしているとき、上部境界壁(134)は、医用クランプ(119)の壁(120)上の側方運動および/または壁(120)に対する回転運動を十分に防止するために十分に、上方のヘッド部材(124)に対して側方におよび/または下方に押圧するように構成される。いくつかの実施形態では、クッション部材(135)はまた、ヘッド部材(122と124)と下部区画(131)および/または上部区画(132)との間により均質な嵌合と圧力伝達を作用させるために、下部区画(131)および/または上部区画(132)の中に提供される。
【0090】
いくつかの実施形態では、内側部材(101)は、ポート(100)の埋め込みおよび/または長期使用を改善するか、容易にするか、緩和するための、1つ以上の、任意選択で本質的な、特徴を提供するための、能力がないか、不十分か、より小さな互換性しかないが、血管アクセス・ポートとして役立つように機能的に構成されるか、または適用可能になり得る。ポート(100)は、可撓性の外側部材(110)を含み、外側部材(110)は、少なくとも弾力的に弛緩状態にあるとき、限定されないが、埋め込み部位における安定性および/または固定、経皮的なアクセシビリティー、繰り返される経皮的な流体投与のためのセプタム部材(104)の識別および/または位置決め、ポート本体および/または上を覆う皮膚層への防護、などを含む、1つ以上の付加的な特徴を提供するように、最終的空間形状および寸法を提供する。
【0091】
外側部材(110)は、それ自体の少なくとも1つの側方の円周部に沿って内側部材(101)に接続され、それにより、弾力的に弛緩状態にあるとき、皮下ポートの選ばれた所定の空間的形状を形成する。任意選択で、外側部材は、少なくともその円周方向の区画において、内側部材(101)の周囲の大部分またはすべてを、および任意選択で、キャップ部材(106)の周囲も、取り巻くスカートまたはリング状の要素として構成される。ポート(100)の挿入と埋め込みのための十分な剛性の押圧能力を維持するために、剛体の内側部材(101)は、ポート(100)の大部分またはすべての長さに沿って、長手方向に延在して、任意選択でキャップ部材(106)との組み合わせで、ポート(100)の硬直脊椎状の構造として機能する。内側部材(101)は、キャビティ(102)に対して遠位に延在する遠位(正面)部分(113)を含み、皮下開口部を介したポート(100)の貫入を容易にするか楽にするように構成された、丸みがある、もしくは鋭く突き出たリーディングエッジ(116)を有する。ポート(100)は、遠位部(113)が、そこから遠位に側方に延在し得る外側部材(20)によって覆われないが、、十分な剛性の押圧能力が実質的に妥協されないように、(示されるように)外側部材(110)の薄層で覆われるように、構成される場合がある。外側部材(110)は、任意選択で、シリコーンまたは他の可撓性および弾性の高分子またはゴムでできており、皮下ポート(100)を形成するとき、任意選択で選ばれた形の型の境界内で、内側部材(101)の周縁部を覆って、または封止されたコア本体(すなわち、相互に連結された内側部材(101)、セプタム部材(104)、およびキャップ部材(106)によって形成される構造体)の周縁部を覆って、任意選択で、押し出し成形、鋳造、または型成形される。
【0092】
図9A図9Bは、別の典型的な血管アクセス・ポート(200)の軸方向図を例示し、ポート本体(201)と、ポート本体(201)で画定された少なくとも1つの経路(205)に沿って制限的に可動である少なくとも1つのポート本体延長部(204)とを含む。少なくとも1のポート本体延長部(204)は、ポート本体(201)の正中面の右に位置された第1のアーム(208)と、正中面に左に位置された第2のアーム(209)とを含む。ポート本体延長部(204)、具体的には第1と第2のアーム(208、209)は、各々回転自在且つ摺動可能にポート本体(201)と結合され、および、送達構成から展開構成に変わるとき、回転軸周囲で回転し且つポート本体(201)の2つの対向する側面の少なくとも1つにおいて、経路(205)に沿って滑るように構成される。ポート本体(201)は、下方部分(210)と後方部分(211)を有し、後方部分(211)は、セプタム部材(202)と結合され、および下位部分(210)は、キャビティ(203)を取り囲み、キャビティ(203)はポート本体(201)によって画定され且つセプタム部材(202)の下に位置してセプタム部材(202)で覆われる。下方部分はまた、下方部分(210)の右側のほとんどまたはすべてに広がる第1の外側面と、および下位部分(210)の左側のほとんどまたはすべてに広がる第2の外側面とを含む。ポート本体(201)の後端(214)は、カテーテル(例えば、カテーテル(15))の近位端に接続するように構成されたカテーテルコネクタ(215)に接続されて、キャビティ(203)とカテーテルのルーメンとの間の流体連通を容易にする。
【0093】
血管アクセス・ポート(200)は、第1および第2アーム(208と209)をそれぞれ第1および第2の経路(205)に沿って、動かすことにより、送達構成(図9Aに示す)から展開構成(図9Bに示す)まで選択的に変更可能である。送達構成にあるとき、各ポート本体延長部(204)の前方部分(207)は、ポート本体(201)に軸方向に遠位に位置される。展開構成に変更されるとき、ポート本体延長部(204)とポート本体(201)は、ポート本体延長部(204)の側方対向部分(206)が正中面に対して側方に離されるのと同時に、ポート本体(201)の正中面に沿って、接近され、それにより、切替式の血管アクセス・ポート(200)の長さ対幅比率を低下させる。展開構成にあるとき、ポート本体延長部(204)は、ポート本体(201)にしっかりと着脱可能に接続され、それにより、展開構成から送達構成へ選択的に戻すことを可能にする。さらに、ポート本体(201)の後端(214)はまた、例えば、カテーテルコネクタ(215)および/またはそれに接続されたカテーテルとの衝突を回避するために、展開構成に変わった後にポート本体延長部(204)で覆われないままである。
【0094】
ポート把持部(216)(任意選択で、構造、機能、および/または寸法において、ポート把持部(21)に類似または同一である)は、カテーテルコネクタ(215)に対して上方に、ポート本体(201)の後端(214)上に位置されて、例えば、ユーザがポート(200)を選択的に皮下に、および標的埋め込み部位に、移動させる、および/または動かすことを可能にし、同時に、カテーテルコネクタ(215)および/またはそれに接続されたカテーテルとの衝突を回避する。ユーザは、医用鉗子を用いた標的埋め込み部位への送達構成にあるとき、医用鉗子を用いて、ポート把持部(216)を挟持し、および、切替式の血管アクセス・ポート(200)を押すことができる。一旦、標的埋め込み部位に入ると、ポート(200)は、鉗子を使用して、ポート本体延長部(204)に対して遠位にポート本体(201)を押すことにより、および/または、ポート本体(201)が動きに抵抗するときには、第1と第2アーム(208と209)に接続した引き込み部材(219)などでポート本体延長部分(204)を引っ張ることにより、展開構成に変化させることができる。
【0095】
ポート把持部(216)は、薄い壁部分(217)を含み、薄い壁部分(217)は、その両辺から正中面に対して平行に延在する、対向する外側表面を含み、図10A図10Bに示されるように、壁部分(217)は、限定されないが、持針器またはケリー動脈鉗子(230)を含む、医用鉗子によって把持および/または挟持するために構成される。いくつかの実施形態では、壁部分(217)は、医用鉗子を使用して、壁部分(217)の両側からの十分な挟持接触面積と、十分な挟持力、把持力、ロック力の蓄積とを可能にするために、約0.5mmから3mm(任意選択で、特に約1mm~2mm)の厚さであり、および/または約2mm~5mm(任意選択で、特に約3mm~4mm)の幅である。
【0096】
壁部分(217)は、後端(214)において両辺から形成されたセプタム分割キャビティ(218)として構成され得る。キャビティ(218)は、医用鉗子の一対の先端を適合させるように、および一組の先端が壁部分に向かって内側へ開閉することと、一組の先端で壁部分(217)を両側から把持することとを可能とするように、形づくられ、寸法決めされる。図11は、壁部分(217)に類似する薄い壁部分(217)’を有するが、キャビティに接合せず、むしろ鉗子先端の操縦性のために大きな空間を与える、代替的なポート把持部(216)の例示的な構成を図示する。
【0097】
本明細書で使用される単数形の文法で書かれた以下の各用語「a」、「an」、「the」は、「少なくとも1つ」、または「1つ以上」を意味する。本明細書において「1つ以上の」という表現を使用しても、「a」、「an」、または「the」のこの意図された意味を変更しない。従って、本明細書で使用される用語「a」、「an」、および「the」は、本明細書で特に定義または記載されていない限り、または、文脈から明確に指示されない限り、記載された存在または対象の複数を指すこともあり、包含することもできる。例えば、本明細書で使用する「ユニット」、「デバイス」、「組立体」、「機構」、「構成要素」、「要素」、「工程または手順」という表現は、それぞれ複数のユニット、複数のデバイス、複数の組立体、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、複数の工程または手順について述べ、含意する場合もある。
【0098】
本明細書で使用される以下の各用語は、「含む」、「含む」、「持つ」、「備える」、「構成する」、およびそれらの言語的/文法的変形、誘導体、または/および共役は、「含むがこれに限定されない」ことを意味し、述べられた成分(複数)を指定するものとして受け取られるものとし、また、1 つまたは複数の追加成分、特徴、特性、パラメータ、整数、工程、またはそれらの群の追加を排除するものではない。これらの用語は、それぞれ「本質的に構成される」という表現と同等の意味を持つと考えられる。
【0099】
本明細書で使用する「方法」という用語は、所定のタスクを達成するための工程、手順、作法、手段、または/および技術を指すが、これらに限定されるものではなく、開示される発明の関連分野の当業者にとって既知の工程、手順、作法、手段、または/および技術のいずれか、または既知の工程、手順、作法、または/および技術から容易に開発できるものを指す。
【0100】
本開示を通じて、パラメータ、特徴、特性、オブジェクト、または寸法の数値は、数値範囲形式の観点から記載または説明される場合がある。本明細書で使用されるようなこのような数値範囲フォーマットは、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実施を例示するものであり、本発明の例示的な実施形態の範囲を硬直的に制限するものではない。従って、記載または記述された数値範囲は、その記載または記述された数値範囲内のすべての可能な下位範囲および個々の数値(数値は整数、積分、または分数として表現され得る)を指し、包含するものでもある。例えば、「1~6」の数値範囲は、「1~3」「1~4」「1~5」「2~4」「2~6」「3~6」等、全ての可能な範囲を指し、および、「1から6まで」の記載または記述された数値範囲内で、「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、「6」などの個々の数値がある。このことは、記載された数値範囲の広さ、範囲、大きさに関係なく適用される。
【0101】
さらに、数値範囲を記載または説明するために、「約第1の数値と約第2の数値の間の範囲にある」という表現は、「約第1の数値から約第2の数値までの範囲にある」という表現と同等であり、同じ意味を持つと考えられ、したがって、これら2つの同等に意味を持つ表現は交換可能に使用することができる。例えば、室温の数値範囲を記載・説明する場合、「室温は約20℃から約25℃の範囲の温度を指す」という表現があり、「室温は約20℃から約25℃の範囲の温度を指す」という表現と同等で、同じ意味を持つと考えられる。
【0102】
本明細書に使用される用語「約」は明示された数値の±10%を意味し得る。
【0103】
明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例示的に説明および提示されている本発明の特定の態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈または形式で任意の適切な組み合わせまたは下位組み合わせで例示的に説明および提示することもできることが十分に理解される。逆に、単一の実施形態の文脈または形式において組み合わせまたはサブ組み合わせで例示的に説明および提示される本発明の様々な態様、特徴、および特性は、複数の別個の実施形態の文脈または形式において例示的に説明および提示されることもある。
【0104】
本発明はその特異的な実施形態と共に例示的に記載され、具体的で典型的な実施形態として提示されたが、それらの多くの代案、修正、または/および変形が当業者に明白であることは、明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲にある、全てのそのような代案、修正、または/および変形を含意することが意図される。
【0105】
本明細書でされる刊行物、特許または/および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許または/および特許出願が、それぞれ引用または参照によって、本明細書中に組込まれることが示されるのと同程度に、全体が引用によって本明細書中へ組み入れられる。また、本明細書における参考文献の引用または特定は、当該文献が本発明の先行技術を表わすか、または対応することを認めるものとして解釈または理解されるものではない。セクション見出しが使用されていても、それらは必ずしも限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0106】
本明細書に開示された方法は、記載された方法を達成するための1つまたは複数の工程または行為を含むものである。方法の工程および/または行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく、交換することができる。言い換えれば、工程または行為の特定の順序が指定されない限り、特定の工程および/または行為の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】