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特表2023-533058飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収する方法、及び分別物質回収デバイス
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  • 特表-飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収する方法、及び分別物質回収デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収する方法、及び分別物質回収デバイス
(51)【国際特許分類】
   C12H 3/02 20190101AFI20230725BHJP
   C12G 3/06 20060101ALI20230725BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C12H3/02
C12G3/06
B01D5/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501352
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2021067554
(87)【国際公開番号】W WO2022008268
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20184715.9
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523007122
【氏名又は名称】エーピーアイ シュミット-ブレッテン ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】サウトナー,カールハインツ
(72)【発明者】
【氏名】グルトリンゲル,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B115
4D076
【Fターム(参考)】
4B115MA01
4D076BB04
4D076BC01
4D076BC21
4D076CD32
4D076EA01Z
4D076EA12Z
4D076EA14Z
4D076FA02
4D076FA11
4D076FA33
4D076HA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、飲料のアルコールが減らされる間に蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収するための方法と、この方法を実行するための分別物質回収デバイスと、に関する。
【解決手段】この方法では、アルコール含有量を減らされるアルコール飲料が、分別物質回収デバイス(60)の脱気装置(62)に供給される。そこで蒸気は脱気装置(62)から取り除かれて、脱気装置(62)を通過したアルコール飲料は、アルコール減少のためのデバイス(10)に供給される。そこで蒸気は、互いに一連で続く複数の分別凝縮ステージ(66、67、68)へ送られ、少なくとも1つの分別物質は、圧力下及び/または温度下で蒸気から分離される。そこで、それぞれの分別凝縮ステージ(66、67、68)で分離された分別物質は、集積容器(84、85、86、87、88、89)に集積されるか、または接種ステーション(19)へ送られる。それを通して分離された分別物質は、測定された量で、アルコールが減らされた飲料へ送られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料のアルコールを減らす間に、蒸気からの少なくとも1つの分別物質を回収するための方法であって、
分別物質回収装置(60)の脱気装置(62)に、アルコール飲料が供給され、
蒸気は前記脱気装置(62)から取り除かれ、前記脱気装置(62)を通過した前記アルコール飲料は、アルコールを減らすためのデバイス(10)へ送られ、
蒸気は、一連で並んで続く複数の分別凝縮ステージ(66、67、68)へ送られ、そこで少なくとも1つの分別物質は、圧力下及び/または温度下で、蒸気から分離され、
それぞれの前記分別凝縮ステージ(66、67、68)で分離された分別物質は、集積容器(84~89)に集積されるか、または接種ステーション(19)へ送られ、それらを通して、1つまたはいくつかの分離された分別物質は、適量に分けられた形態で、アルコールが減らされた飲料へ送られる、方法。
【請求項2】
前記分別凝縮ステージ(66、67、68)において、供給された蒸気はポンプ(71)、好ましくは真空ポンプ(71)を介して加圧され、その後少なくとも1つの冷却装置(72、73)、詳細には熱交換装置を用いて冷却され、その後少なくとも1つの分別物質は分離装置(75)を介して分離されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸気は、互いに一連で続く前記分別凝縮ステージ(66、67、68)において、増加した圧力を用いて加圧され、好ましくは、それぞれの前記凝縮ステージ(66、67、68)を離れる前に、前記分別凝縮ステージ(66、67、68)における一定の温度範囲まで冷却されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の分別凝縮ステージ(66)において、蒸気は、好ましくは100ミリバールから特に1.5~2バールまで圧縮され、好ましくは40~50℃の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の凝縮ステージ(66)の下流側に接続された、第2の分別凝縮ステージ(67)において、残りの蒸気は、例えば1.5~2バールから、増加した圧力まで、好ましくは3~5バールまで圧縮され、好ましくは5~10℃の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第3の分別凝縮ステージ(68)において、例えば3~5バールである残りの蒸気は、増加した圧力まで、好ましくは10~12バールまで圧縮され、好ましくは5~10℃の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アルコール飲料のアルコールを減らす前に、前記アルコール飲料の蒸気は取り除かれることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分別凝縮ステージ(66、67、68)によって分離された分別物質は、前記接種ステーション(19)を通して、既にアルコールを減らす装置(10)によって仕上げられて、アルコールを減らす方法から排出されている、アルコールが減らされた飲料へ送られることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接種ステーション(19)において、前記仕上げられた、アルコールが減らされた飲料に供給される、前記分別物質回収デバイス(60)から分離された分別物質の量は、選択され、かつ調整されることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収するための、分別物質回収デバイスであって、
脱気装置(62)を伴い、
前記脱気装置(62)の下流側に接続され、一連で並べて配置された、複数の分別凝縮ステージ(66、67、68)を伴い、前記分別凝縮ステージ(66、67、68)を通して延びた、少なくとも1つのライン(77)が設けられ、各凝縮ステージ(66、67、68)は、少なくとも1つの分離装置(75)を通して排出された、少なくとも1つの分別物質を備える、分別物質回収デバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの前記分別凝縮ステージ(66、67、68)は、少なくとも1つのポンプ(71)、詳細には真空ポンプと、その下流側には、少なくとも1つの冷却装置(72、73)、詳細には熱交換装置と、その下流には、少なくとも1つの分離装置(75)と、を備えることを特徴とする、請求項10に記載の分別物質回収デバイス。
【請求項12】
少なくとも2つの冷却装置(72、73)は、分別凝縮ステージ(66、67、68)に設けられ、各冷却層(72、73)の下流側には、少なくとも1つの分別物質のための、少なくとも1つの分離装置(75)が設けられることを特徴とする、請求項10または11に記載の分別物質回収デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収するための方法、及び分別物質回収デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、独国特許出願公開第3843516号明細書から、アルコールを減らした飲料を生産するデバイスが公知である。このデバイスは、精留装置を備える。蒸気は、この精留装置によって分離される。これらの蒸気は、アルコール、及び/または芳香物質を含み得る。アルコールは蒸気から分離される。蒸気は冷却され、精留装置に戻すことができる。アルコールが減らされた飲料またはアルコールが除去された飲料は、精留装置から排出され、冷却されて、接種ステーションを介して貯蔵容器に送られる。この接種ステーションにおいて、二酸化炭素が加えられ、酸化に対して保護する。このデバイスは閉循環路を備え、それによって精留装置で排出された蒸気は、アルコールが分離されて、その後冷却された後に、精留装置に戻される。
【0003】
欧州特許第0557749号明細書から、高い揮発性の芳香物質と共に飲料を濃縮するためのデバイスが公知である。それは、飲料のアルコール含有量を減らすデバイスの下流側に接続される。それは、アルコールが除去された飲料が、ガス洗浄装置に送られるよう意図される。ガス洗浄装置の下部セクションにおいて、アルコールが除去された飲料は吸い出され、冷却されて、噴射デバイスを介してガス洗浄装置に送り返される。さらなる枝部を介して、アルコールを除去した製品は、ガス洗浄装置から取り除かれ、真空ポンプを介してガス洗浄装置に送り返され、揮発性芳香物質は、真空ポンプに送られる。それは、真空ポンプにおいて、アルコールが除去された飲料と共に濃縮され、ガス洗浄装置に送り返される。飲料に存在する芳香物質は、ガス洗浄装置の上部排出ラインを介して、環境へ解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第3843516号明細書
【特許文献2】欧州特許第0557749号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、飲料のアルコールを減らす間に、蒸気から少なくとも1つの分別物質を回収するための方法と、CO2負荷を減らすため、及び/または少なくとも1つの所望の分別物質を用いて飲料を再濃縮するための分別物質回収デバイスと、を提案する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、アルコール飲料が、分別物質回収デバイスの脱気装置に送られ、このアルコール飲料の蒸気が脱気装置から排出される方法によって、解決される。脱気装置によって処置されたアルコール飲料は、例えば精留など別の処置へ送られ、排出された蒸気は、互いに一連で続く、いくつかの分別凝縮ステージへ送られる。分別凝縮ステージにおいて、少なくとも1つの分別物質は、低下した温度及び/または過圧下で分離され、分別物質は、例えば1つまたは複数の収集容器に各々収集されるか、または接種ステーションにおいてアルコールが減らされた飲料に戻される。一連で配置された分別凝縮ステージは、様々な分別物質が連続して蒸気から分離されるよう実施するために、部分的な凝縮を可能にする。この方法は、アルコールが減らされた飲料を濃縮するために望ましい分別物質、特に芳香物質または香料が、具体的に飲料に戻せることを可能にし、それによってアルコールが減らされた飲料の、風味の濃縮及び改善が実現される。さらに、この方法は、アルコール飲料の処置前、詳細にはアルコールを減らす前に、アルコール飲料に含有されたCO2を、分別物質として回収することも可能にする。このCO2は、アルコールが減らされた飲料に戻すことができる。これによって、直接的な再循環が可能であるので、環境へのCO2排出を減少させる。CO2、及び/または芳香、及び/または香料も、リサイクルされ得る。分別物として得られたこのCO2も、別の飲料に送られるか、または他の目的に使用することができる。
【0007】
用語「アルコールが減らされた飲料」は、これらの飲料が、アルコールが除去されたもの、またはノンアルコール、と表わされるような程度まで飲料からのアルコールが減らされた、飲料も含む。
【0008】
分別凝縮ステージにおいて、供給された蒸気が、ポンプ、詳細には真空ポンプを用いて満たされ、より高い圧力まで圧縮され、次に少なくとも1つの冷却媒体、詳細には熱交換装置を用いて冷却され、その後少なくとも1つの分別物が分離装置によって分離されるよう、好ましくは意図される。この分別凝縮ステージによって、少なくとも1つの所望の分別物質を、圧力及び/または温度に依拠して蒸気から分離することができる。脱気装置から排出された蒸気は、アルコール、香料、芳香、及びCO2を含有した物質である。一方では、これによってアルコール及び/または水を蒸気から除去して、廃棄物として排出させることを可能にする。追加として、個々の香料、及び/または芳香、及び/またはCO2を分離して、次に任意選択でアルコールが除去された飲料に戻すことができる。
【0009】
さらに、一連で配置された分別凝縮ステージは、好ましくは次第に上昇する圧力で制御され、好ましくは凝縮ステージを離れる前に、冷却して一定の温度範囲まで下げられる。これは、水、アルコール、CO2、香料、及び/または芳香を分離するための、特別な制御を可能にする。
【0010】
第1の分別凝縮ステージにおいて、脱気装置から来た蒸気は、例えば100ミリバールから例えば1.5~2バールまで圧縮され、次に例えば10~20℃の温度まで冷却されることが、好ましくは意図される。脱気装置から出て来る蒸気は、例えば50℃までの温度を有する場合がある。蒸気は気体状態であり、水、アルコール、CO2、香料、及び芳香を含む。
【0011】
この第1の分別凝縮ステージにおいて、例えば蒸気に含有された水及びアルコールを、凝縮して排出することができる。
【0012】
さらに、好ましくは第1の分別凝縮ステージの下流側の、第2の分別凝縮ステージにおいて、残りの蒸気は、例えば1.5~2バールから、例えば3~5バールまでさらに圧縮され、次に好ましくは5~10℃の温度まで冷却される。この第2の分別凝縮ステージにおいて、例えば香料及び/または芳香を、分別物質として分離することができる。
【0013】
さらに、好ましくは第3の分別凝縮ステージが提供され、そこでは残りの蒸気が、例えば3~5バールから、例えば10~12バールまで圧縮され、次に好ましくは5~10℃の温度まで冷却される。これによって、CO2を、実質的にさらなる香料及び/または芳香を含有しない分別物質として、残すことが可能である。分別物質としての、このCO2は、次に、接種ステーションを介して、アルコールが減らされた飲料に追加することができる。
【0014】
さらに、分別凝縮ステージによって分離された分別物質は、好ましくは接種ステーションを通して、既にアルコールを減らすデバイスによって仕上げられて、アルコールを減らす方法から取り除かれている、アルコールが減らされた飲料の中に送られる。このように、仕上げられた飲料を、分別物質回収デバイスから分離した分別物質と共に濃縮することができる。
【0015】
さらに、仕上げられ、アルコールが減らされた飲料に追加される、分離した分別物質の比率は、好ましくは接種ステーションにおいて選択され、かつ調整される。このように、感覚的な濃縮を、容易な方法で実現することができる。
【0016】
本発明が基づく課題は、少なくとも1つの分別物質を、飲料のアルコールを減らす間に蒸気から回収するための分別物質回収デバイスによって、さらに解決される。このデバイスは、脱気装置と、この脱気装置の下流側における、いくつかの分別凝縮ステージと、を備える。これらは、並んで一連で配置される。分別ステージの各々において、少なくとも1つの分別物質を、圧力下、すなわち大気よりも大きい圧力及び/または温度で分離して、詳細には凝縮排出である分離装置を通して排出される。これは、具体的に選択された分別物質を、任意選択で、アルコールが減らされた飲料、またはアルコールが除去された飲料に戻し、他の分別物質を、廃棄品として破棄するのを可能にする。追加として、CO2回収も可能にし、それによって環境汚染を軽減させる。脱気装置によって取り除かれた、蒸気に含有されたCO2を、仕上げられた飲料に戻すことができる。この蒸気は、元の飲料から、または異なる飲料から取り込むことができる。
【0017】
有利には、分別凝縮ステージは、特に真空ポンプと、真空ポンプの下流側で、熱交換装置として設計され得る、少なくとも1つの冷却装置と、を備える。追加として、少なくとも1つの冷却装置の後に分離装置が続き、分離した分別物を、分別凝縮ステージから取り除く。このような分別凝縮ステージは、作動圧、または過圧及び温度の、特定の調整を通して、個々の、または所望の香料及び/もしくは芳香、及び/もしくはアルコール、及び/もしくは水、及び/もしくはCO2を、分離することを可能にする。
【0018】
さらに、好ましくは分別凝縮ステージは、少なくとも2つの冷却装置を備え、各冷却装置の後には、少なくとも1つの分別物質のための分離装置が続く。これは、2つ以上の分別物質を、分別凝縮ステージ内で互いから離して凝縮するのを可能にし得る。
【0019】
本発明、ならびに本発明の他の有利な設計及び別の展開を、図面に示された例に基づいて、以下でより詳細に記載し説明する。記載及び図面からの特徴は、それら自体に個々に、または互いに組合わせて、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】アルコールが減らされた飲料を生成するためのデバイスの概略図である。
図2】分別物質回収デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
アルコールが減らされた飲料を生成するためのデバイス10は、熱交換装置12を備え、そこにライン11を介して、例えば110℃の温度の蒸気が、第1の循環路へ送られる。熱交換装置の第2の循環路において、ライン13が設けられ、分離装置14に至る。分離装置14の底部から、ライン16が現出し、それはノンアルコール飲料を搬送する。このノンアルコール飲料は、好ましくはワインまたはビールである。出口ラインにおいて熱交換装置17が存在し、それは、仕上げられた製品の温度を冷却して下げ、熱経済性のために働く。追加として、ライン16は冷却装置18を含み、それは仕上げられた製品を例えば5℃まで冷却して下げる。最後に、接種ステーション19が存在し、そこには、分別回収デバイス60(図2)によって、アルコール飲料の蒸気から分離された分別物質が送られる。これは以下で説明する。接種ステーション19の下流には、仕上げられた製品、すなわちアルコールが減らされた飲料、またはアルコールが除去された飲料、を受け入れるための貯蔵容器21が存在する。アルコールが減らされた飲料、またはアルコールが除去された飲料は、接種ステーション19を介した分別物質と共に濃縮される。
【0022】
分離装置14の頭部から始まり、暖かく、分離されていない蒸気を運ぶライン22が進み、精留装置を形成する塔23の下部に至る。塔23の底部24から、ライン26が熱交換装置12の第2の循環路に至る。このように、この循環路は閉じられている。
【0023】
ワイン、ビール、またはスパークリングワインなど、アルコール含有量において、アルコールが除去または減らされた飲料は、貯蔵タンク27に貯蔵される。貯蔵タンク27から、ライン61は、分別物質回収デバイス60に至る。このライン61は、詳細には、分別物質回収デバイス60の脱気装置62に至る。脱気装置62から、ライン28は、デバイスの第2の循環路における熱交換装置17に至る。ライン28を介して、脱気装置62によって蒸気分だけアルコールが減らされた飲料は、好ましくは、詳細には示されない熱交換装置まで送られ、それによって飲料は、塔23の中央に送られる前に冷却される。好ましくはステンレス鋼で作られた塔23において、より高い第1の詰め物29及び第2の詰め物31が設けられる。これら2つの詰め物は、離隔される。詰め物29は、ライン22の入口から距離をおかれ、そのため底部24からもかなり距離をおかれる。
【0024】
ライン28は、2つの詰め物29、31の間に入る。詰め物31は、塔の頭部32から距離をおかれる。大きい径のライン33は、頭部32の上部を離れ、アルコール、香料、及び芳香を含有した蒸気を運ぶ。頭部32の温度は、例えば30℃である。これは、約44ミリバールに相当する。床24の上方の塔23における温度は、例えば39℃であり、それによって70ミリバールの圧力が存在する。精留装置の定常状態において、ライン33は、アルコールの80%を運ぶ。「アルコール」は常に「エチルアルコール」を意味することを理解されたい。ライン33は凝縮装置34に至り、凝縮装置34には、ライン36を介して、大気冷却及び蒸発冷却によって得られた冷却水が送り込まれる。加熱された水は、1つのライン37によって排出される。
【0025】
凝縮装置34において、頭部に送られた蒸気はまだ凝縮されない。それは、凝縮装置34が、ライン38を介して冷却装置39へ続くためである。その冷却システムには、パイプ41を介して冷水が供給される。真空ライン42は、冷却装置39の頭部の中に至り、真空ポンプ43に接続されて、塔23に存在する真空も生成する。冷却装置39の底部から、ライン44が出て、液化アルコール、香料、芳香、82%以下の濃度の液化形態にある、より高いアルコールを運ぶ。このパーセンテージは、アルコール除去効果に依拠して、20~80%であってもよい。この液体は、ライン33の出口を越えない高さで、かつ第2の詰め物31の上方で、ポンプ46によって頭部32へ送られる。
【0026】
ライン44と平行である、ライン47は、冷却装置の底部に至る。このラインは、フィードバックの必要がないアルコールを運び、最終的に排出され、ポンプ48によってアルコールタンクへ送られる。
【0027】
制御装置51は、ライン44及び47における量比率を決定する。デバイス10が始動されると、ライン47はその作用のために最初は閉鎖され、ここでは、ライン44、33、38におけるアルコール含有量は、所望のレベル、例えば80%に到達するまで閉鎖されたままである。調整装置51は、アルコールのパーセンテージのフィードバック経路における所望のレベルを維持するのを保証する範囲で、解放ライン48によってアルコール含有量のさらなる増加を防止する。
【0028】
図2は、分別物質回収デバイス60の概略拡大図である。ライン61は、アルコール飲料を、貯蔵タンク27から脱気装置62まで導く。脱気装置62の下側から、脱気されたアルコール飲料は、ポンプ63を介してライン28を通って、熱交換装置17へ送られる。アルコール飲料の蒸気は、脱気装置62から取り除かれる。これらの蒸気は、気体または蒸気形態で利用可能である。例えばそれらは、40~50℃の温度を有することができる。蒸気は、水、芳香、香料、CO2、及びアルコールを含む。
【0029】
蒸気は、ライン64を介して、一連で接続された1つまたは複数の分別凝縮ステージ66、67、68へ送られる。この実施形態において、分別物質回収デバイス60は、例えば3つの示された分別凝縮ステージ66、67、68を備える。より少ないか、またはより多くの、このような分別凝縮ステージが存在し得る。
【0030】
分別凝縮ステージ66、67、68は、好ましくは同じ設計である。このため、分別凝縮ステージ66の構造は、他のものにも適用するよう記載される。したがって、同じ参照番号が、同じ構成要素のために使用される。
【0031】
入口側において、ポンプ71、特に真空ポンプが設けられ、それによって供給された蒸気は圧縮される。その後、圧縮された蒸気は、1つまたは複数の連続した冷却装置72、73、特に熱交換装置によって、冷却される。圧縮かつ冷却された蒸気は、次に分離装置75へ送られる。分離装置75はライン76を有し、それを介して、それぞれの分別凝縮ステージで分離された分別物質は、排出される。分離された分別物質を、独立した集積容器84、85のうち1つもしくは各々の中へ、もしくは任意の別の使用のための集積容器、または接種ステーション19のための集積容器の中へ、送ることができる。残りの蒸気は、ライン77を介して、後続の分別凝縮ステージへ送られる。
【0032】
1つのみの分別凝縮ステージが設けられた場合、ライン77が接種ステーション19に直接至るように、分離装置75を省略することができる。
【0033】
示された分別物質回収デバイス60を用いて、水及びアルコールを、例えば蒸気を1~2バールまで圧縮して、その後例えば40~50℃まで冷却し、ライン76を介して廃棄物容器または集積容器の中に排出することによって、第1の分別凝縮ステージ66において分離することができる。
【0034】
後続の第2の分別凝縮ステージ67において、水及びアルコールが減らされた、残りの蒸気は、例えば3~5バールまでさらに圧縮され、次に1つまたは複数の冷却装置72、73を用いて冷却される。少なくとも1つの香料または芳香を、ライン78を介して、分離装置75から取り除くことができる。少なくとも1つの香料または芳香を、凝縮ステージ内のこれらの設定条件において、分別することができる。この香料または芳香を、注入ステーション19へ送ることができ、または集積タンク86の中に集積することもできる。第2の冷却装置73の下流側における分離装置75を介して、別の分別物を、接種ステーション19または集積タンク87へ送ることができる。ライン77を介して、残りの蒸気は、例えば第3の分別凝縮ユニット68へ送られる。ポンプ71によって、例えば10~12バールまでの圧縮を実現させることができる。分離装置75において、例えば第1及び第2の冷却装置72、73から分離された分別物質を、ライン79、83を介して、接種ステーション19または集積容器88、89へ送ることができる。例えばCO2、または僅かに濃縮されたCO2は、第3の分別凝縮ステージに残り得る。それを、ライン77を介して接種ステーション19へ送ることができる。
【0035】
説明した分別物質回収デバイス60によって、蒸気からの、個々の分別物質における特定の分離を、分別凝縮ステージの数に依拠して、制御することができる。これらは任意選択で、アルコールが減らされた飲料、もしくはアルコールが除去された飲料に戻すこと、または破棄することができる。詳細には、CO2及び/または芳香物質の再循環が提供される。これによって、味覚を豊かにすること、及び/またはCO2汚染を最小化すること、を可能にする。
図1
図2
【国際調査報告】