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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】高度神経組織撮像システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B1/00 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501356
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021041113
(87)【国際公開番号】W WO2022011276
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/050,018
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/087,568
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/054457
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523007144
【氏名又は名称】アクソン イメージング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ディップ,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,ラウール ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161WW07
4C161WW17
(57)【要約】
神経組織撮像システムおよびそのための方法を開示する。該システムは、光源列と光学的に結合された励起光源を含有するハウジングを備え、励起光源は、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域を照射するために、近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を放射する。励起光は、健康な神経組織に、励起光で照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、第二の波長領域内の第一の輝度で、第一の自発蛍光光を放射させる、第一の波長領域内にある。健康な非神経組織は、励起光で照射されることに応答して、第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避するか、または内在的に自発蛍光し、第一の輝度より50%低い第二の輝度で、第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経組織撮像システムであって、
無菌環境で使用するように構成されたハウジングであって、
光源列と光学的に結合された励起光源であって、前記励起光源は、前記励起光源から、前記光源列を通過して結合され、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域を照射するために、近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を選択的に制御・放射するように構成され、前記励起光源は、前記健康な神経組織に、前記励起光で照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、可視光領域の第二の波長領域内の第一の輝度で、第一の自発蛍光光を放射させ、前記健康な非神経組織に、前記励起光で照射されることにさらに応答して、
内在的に自発蛍光し、前記第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避すること、または
内在的に自発蛍光し、前記第一の輝度の50%よりも低い第二の輝度で、前記第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射することのうちの少なくとも一つを実行させる、前記第一の波長領域の前記励起光を放射するように設計・構成される、励起光源を含有する、ハウジングと、
前記励起光源を制御するための、前記励起光源と電気的に結合された、制御電子回路と、
前記制御電子回路と、前記励起光源と動作可能に結合され、前記励起光源からの前記励起光を制御する前記励起光源の少なくとも一つの操作パラメータを選択的に制御するように構成された、制御装置/プロセッサと、を備える、神経組織撮像システム。
【請求項2】
前記制御装置/プロセッサは、前記励起光源をオンまたはオフに選択的に切り替えるように構成される、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項3】
前記制御装置/プロセッサは、前記励起光源からの前記励起光の輝度を、選択的に制御するように構成される、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項4】
前記光源列は、前記近紫外線領域の前記第一の波長領域内の前記励起光源から励起光を通過し、前記第一の波長領域外の波長で前記励起光源からの任意の励起光を略減衰する、少なくとも帯域フィルタを含む、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項5】
前記帯域フィルタは、約382nm~約392nmの前記第一の波長領域内の励起光を通過する一方、約382nm~約392nmの前記第一の波長領域外の波長で前記励起光源からの任意の励起光を略減衰するように構成される、請求項4に記載の神経組織撮像システム。
【請求項6】
前記帯域フィルタは、約382nm~約392nmの前記第一の波長領域内の励起光を通過するように構成され、前記第二の波長領域は、約433nm~約450nmである、請求項4に記載の神経組織撮像システム。
【請求項7】
前記励起光源は、前記健康な神経組織に、前記励起光で照射されることに応答して、補助の化学または薬理組成物、蛍光色素、蛍光マーカー、または蛍光組織プローブのうちの任意の少なくとも一つを使用することなく、内在的に自発蛍光し、前記第二の波長領域内の前記第一の輝度で、前記第一の自発蛍光光を放射させる、前記第一の波長領域の前記励起光を放射するように設計・構成される、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項8】
第二の光源列と光学的に結合された照射光源であって、前記照射光源は、前記照射光源から、前記第二の光源列を通過して結合され、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む前記対象の組織領域を前記照射光で照射するために、可視光領域の第一の波長領域内の照射光を選択的に制御・放射するように構成される、照射光源をさらに備える、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項9】
前記第二の光源列は、前記可視光領域の前記第一の波長領域内の前記照射光源から照射光を通過し、前記第一の波長領域外の波長で前記照射光源からの任意の照射光を略減衰する、少なくとも帯域フィルタを含む、請求項8に記載の神経組織撮像システム。
【請求項10】
前記帯域フィルタは、約400nm~約760nmの前記第一の波長領域内の照射光を通過する一方、約400nm~約760nmの前記第一の波長領域外の波長で前記励起光源からの任意の励起光を略減衰するように構成される、請求項9に記載の神経組織撮像システム。
【請求項11】
前記光源列は、前記対象の組織領域を照射するために、前記励起光源と、前記励起光源からの前記励起光を結合する光導波路をさらに含む、硬質および/または可撓性の内視鏡装置と、光学的に結合された、光ファイバーの光導波路を含む、請求項1に記載の神経組織撮像システム。
【請求項12】
カメラ装置と受光列であって、前記対象の組織領域からの前記受光列により受信された光信号を、前記カメラに光学的に結合し、前記受光列は、光ファイバーの光導波路と、前記対象の組織領域からの前記光信号を、前記カメラ装置に光学的に結合するレンズと、を含む、カメラ装置と受光列をさらに備える、請求項11に記載の神経組織撮像システム。
【請求項13】
前記受光列は、前記対象の組織領域から前記受光列により受信された光信号を、前記カメラに光学的に結合する、検出フィルタをさらに含む、請求項12に記載の神経組織撮像システム。
【請求項14】
前記検出フィルタは、前記対象の組織領域から前記受光列により受信される約400nmよりも長い波長の光信号を光学的に通過し、前記対象の組織領域から前記受光列により受信される約400nmよりも短い波長の任意の光信号を略減衰する、ロングパスフィルタを含む、請求項13に記載の神経組織撮像システム。
【請求項15】
第二の光源列と光学的に結合された照射光源であって、前記照射光源は、前記照射光源から、前記第二の光源列を通過して結合され、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む前記対象の組織領域を前記照射光で照射するために、可視光領域の第一の波長領域内の照射光を選択的に制御・放射するように構成される、照射光源をさらに含む、請求項12に記載の神経組織撮像システム。
【請求項16】
前記制御装置/プロセッサは、前記照射光源を選択的にオンまたはオフに切り替え、前記励起光源を選択的にオンまたはオフに切り替えるように構成される、請求項15に記載の神経組織撮像システム。
【請求項17】
前記制御装置/プロセッサは、前記励起光源からの前記励起光の輝度を選択的に制御し、前記照射光源からの前記照射光の輝度を選択的に制御するように構成される、請求項15に記載の神経組織撮像システム。
【請求項18】
前記硬質のおよび/または可撓性の内視鏡装置は、患者体内の腔に挿入するために構成された内視鏡プローブの内視鏡先端を備え、前記内視鏡先端は、前記対象の組織領域に近接してパルス振動/変化電界を生成するために、前記制御装置/プロセッサにより制御可能である駆動用コイルを含み、前記制御装置/プロセッサは、
前記対象の組織領域内の前記神経組織に近接してパルス振動/変化電界を生成するために、前記駆動用コイルを振動電気信号で駆動し、それによって、偏光波を、前記神経組織内の軸索に沿って移動するように誘導し、さらに、前記励起光による前記神経組織の照射および前記神経組織内の前記軸索に沿って移動する前記誘導された偏光波の両方に応答して、前記神経組織から放射された変化する自発蛍光光信号を生成する、
前記対象の組織領域を照射するために、前記光源列により結合される前記励起光をオンに切り替え、放射するように、前記励起光源を制御する、
一組の前記対象の組織領域の一つ以上の逐次画像を捕捉するように、前記カメラを制御する、
前記対象の組織領域内の神経組織の位置のマップと非神経組織の位置のマップを生成するために、前記一組の逐次画像を分析する、
前記対象の組織領域内の神経組織の第一の画像と非神経組織の第二の画像を生成する、および
前記神経組織の前記第一の画像が、前記非神経組織の前記第二の画像に対して対比されて、前記第一および第二の画像を表示装置画面に表示する、ように構成される、請求項12に記載の神経組織撮像システム。
【請求項19】
神経組織の位置の第一の画像および前記神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織の位置の第二の画像を表示するための組織撮像システム内の方法であって、
健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域に近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を照射することであって、前記健康な非神経組織は、前記神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む、照射すること、
可視光領域の第二の波長領域内の第一の輝度で、前記健康な神経組織から放射された内在性自発蛍光光の画像データを、カメラで捕捉することであって、前記神経組織から放射された前記内在性自発蛍光光は、前記神経組織への前記励起光の照射により誘導される、捕捉すること、
前記第二の波長領域内の前記第一の輝度で、前記健康な神経組織から放射された前記内在性自発蛍光光の前記画像データの捕捉と同時に、前記健康な非神経組織から受信された光信号の画像データを、前記カメラで捕捉することであって、前記健康な非神経組織は、前記励起光で照射されることに応答して、
内在的に自発蛍光し、前記第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避すること、または
内在的に自発蛍光し、前記第一の輝度の50%よりも低い第二の輝度で、前記第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射すること、のうちの少なくとも一つを実行する、捕捉すること、
前記対象の組織領域内の前記健康な神経組織の位置の第一の画像を形成すること、
前記対象の組織領域内の前記健康な非神経組織の位置の第二の画像を形成すること、および
前記対象の組織領域内の神経組織の前記位置および前記非神経組織の前記位置を同定するために、前記第一の画像が、前記第二の画像と対比(区別)されて、前記第一の画像および前記第二の画像を表示装置に表示すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月9日出願の先行技術の米国仮特許出願第63/050,018号、2020年10月5日出願の先行技術の米国仮特許出願第63/087,568号、2020年10月6日出願の先行技術のPCT特許出願PCT/US2020/054457号に基づき、かつそれらの優先権を主張するものであり、その開示全体は総体的に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、組織撮像用のシステム、装置、および方法に関する。開示された組織撮像システムおよび関連方法は、より詳しくは、電磁放射線での励起による、神経組織の自発蛍光に基づいて、非神経の健康な組織と対比された神経組織を同定および視覚撮像するために、生体内または生体外に関わらず、神経組織および非神経の健康な組織(例:非がん性および非病理性の組織)の両方を含む、検査対象の組織に使用するのに好適である。
【背景技術】
【0003】
最近数十年にわたる外科手術の技術および装置の膨大な数の主要な進歩にかかわらず、容認できないほど多数の医原性損傷に関連する手術は後を絶たない。低侵襲のロボット手術等の高度の外科手術の技術は、一部の事例では、特定の損傷リスクを実際、増加させたように思われる。これらの損傷の中の、硬膜等の神経および他の神経組織への医原性損傷は、最悪の部類に入り、患者を、重度の運動障害および感覚障害のリスクに、短期および長期の両方で晒している。これらの損傷はまた、一般的ゆえに不安視され、甲状腺切除、耳下腺摘出、乳がんおよび結腸がんの切除、前立腺切除、および鼠径ヘルニアの修復等の特定の一般的な処置を受ける患者の最大20%で症例が記録されている。故意ではない神経損傷を回避、またはそれを外科的処置中の手術時に修復させるために、損傷を認識するには、標準的な可視化技術を使用する場合、ともに課題のある措置として、神経および神経組織を正確に同定し、入念に切離する必要がある。結果として、外科的処置中に、硬膜同様、感覚神経および運動神経を正確に同定する能力は、損傷を防止するためには極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
末梢神経および硬膜を、周囲の正常な非神経の健康な組織(例:非がん性および非病理性の組織)のものと区別/対比するように、明確にかつ信頼性を持って視覚化することは、ヒトの体内の多くの領域で手術を行う場合には非常に望ましい。現在の神経温存法は、手術の種類、処置される疾患過程、および外科医の経験および訓練に依存する成功率を有する。硬膜等の中枢神経組織と同様、抹消の運動神経および感覚神経への医原性損傷は、患者の生活の質の低減をもたらす障害を引き起こし、医療制度に相当な負担を生じる。しかしながら、外科医の広範な学術的および実践的な訓練をよそに、また長年の経験に関わらず、医原性の神経損傷が生じ得るのは、解剖学的変異や病状の存在により、重大な解剖学的構造の認識が妨害されるためである。手術野内の末梢神経の認識を改善する手段により、このような多くの損傷が防止され得る。
【0005】
電気刺激装置等の器具は、精度レベルが未知であって、感覚神経または硬膜を同定できない。術中ガイドとしてのコンピュータ断層撮影(CT)および磁気共鳴画像(MRI)等の撮像器具の使用には問題があるが、これは、誤りの確率をさらに高める手術中において、放射線画像と白色光によるヒト組織の視覚化との解釈に時間のずれがあるためである。
【0006】
蛍光撮像法は、特殊な蛍光色素/神経に無差別に付着する抗体を備えるプローブと併せて、外科医が、術中に末梢神経および/または硬膜を同定する一助となる、前臨床および臨床研究で成功を見たことが判明した。しかしながら、末梢神経を標識化するためなど、蛍光剤、蛍光色素、蛍光マーカー、または蛍光組織プローブ等の外因性蛍光物質を患者に投与または塗布することによる対象の組織の標識化には問題がある。ほとんどの蛍光組織プローブおよび蛍光色素は、安全で有効であると示されているが、それらの神経付着後の長期的な効果は予測不能で、結果として、米国食品医薬品局(「FDA」)により一般的には認可されない。いくつかの蛍光色素は、臨床用途で認可されているが、ほとんどは調製に長期間を要し、費用がかかり、毒性を緩和するために服用量を限定して使用しなければならず、生体内の半減期が短く、深刻なまたは致命的なアレルギー反応を生じ得、投与に正確なタイミングを要する。上述の予測不能な副作用への可能性にもかかわらず、蛍光マーカーまたは蛍光色素が、神経組織に非常に特異的でなければ、周囲の非神経組織を改善することによっても、末梢神経を実際に覆うことができ、末梢神経および/または硬膜の視覚化がさらに困難になる。外因性蛍光物質の神経組織および/または周囲の非神経組織への非特異的または競合的結合により、対象の組織の検出を試みる場合、信号対バックグラウンド比および/または限定されたダイナミックレンジが低くなり得る。さらに、蛍光色素または蛍光マーカーの投与後、組織間で観察された蛍光の差異は、異なる組織の種類による取り込み差ではなく、組織かん流の差の結果であり得る。末梢神経をかん流させる動脈は、かん流差から生じる蛍光の差を強調し得る、他の解剖学的構造をかん流する動脈と比較して、非常に小さい。
【0007】
少なくとも上述の問題に対して、末梢神経および/または硬膜の術中の同定等のための、対象の組織を標識化するために、蛍光剤、蛍光色素、蛍光マーカー、および蛍光組織プローブ等の外因性蛍光物質を投与または塗布することで、一貫性がなく、信頼性のない結果が生じる。
【0008】
これらのまた他の問題により、組織の視覚撮像の改善へのニーズ、特に、神経/硬膜と神経/硬膜を囲む非神経組織との間の視覚的な対比を増加するために、蛍光色素、蛍光組織プローブ、または他の蛍光マーカーを必要としない、末梢神経および硬膜へのニーズが存在する。この必要となる視覚的な対比により、神経/硬膜の術中の明瞭な視覚化が可能な一方、例えば、化学マーカーまたは色素の患者への投与に関連する患者リスクの増加を同時に排除することは可能であろう。
【0009】
したがって、上述の先行技術の問題を解消するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
神経組織撮像システムおよびそのための方法を開示する。該システムは、光源列と光学的に結合された励起光源を含有するハウジングを備え、励起光源は、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域を照射するために、近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を放射する。励起光は、健康な神経組織に、励起光で照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、第二の波長領域内の第一の輝度で、第一の自発蛍光光を放射させる、第一の波長領域内にある。健康な非神経組織は、励起光で照射されることに応答して、第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避する、または内在的に自発蛍光し、第一の輝度より50%低い第二の輝度で、第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射する。
【0011】
方法は、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域に近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を放射することを含む。該方法は、可視光領域の第二の波長領域内の第一の輝度で、健康な神経組織から放射された内在性自発蛍光光の画像データを、カメラで捕捉する。方法は、第二の波長領域内の第一の輝度で、健康な神経組織から放射された内在性自発蛍光光の画像データの捕捉と同時に、健康な非神経組織から受信された光信号の画像データを、カメラで捕捉し、健康な非神経組織は、励起光で照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避する、または内在的に自発蛍光し、第一の輝度より50%低い第二の輝度で、第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射することのうちの少なくとも一つを実行する。該方法は、対象の組織領域内の健康な神経組織の第一の画像および対象の組織領域内の健康な非神経組織の第二の画像を形成する。方法は、神経組織の位置および対象の組織領域内の非神経組織の位置を同定するために、第一の画像が、第二の画像と対比(区別)されて、第一の画像および第二の画像を表示装置に表示する。
【0012】
添付図面は、同一の参照符号が、別個の図面を通して同一または機能的に類似した要素を指し、下記の発明の詳細な説明とともに、本明細書に組み込まれ、その一部を形成するが、様々な実施形態をさらに例示し、様々な原理および利点すべてを本開示にしたがって説明するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の様々な実施形態に係る、組織撮像システムの実施例の図である。
図2図2は、図1の組織撮像システムで使用するために好適な例示的な質問器の図である。
図3図3は、非神経組織により囲まれた神経組織を含有する対象組織の例示的な検査で示す、図2の例示的な質問器の断面側面図である。
図4図4は、様々な実施形態に係る、組織撮像システムの実施例を示すブロック図である。
図5図5は、様々な実施形態に係る、組織撮像システムで使用するために好適な例示的な制御装置の斜視図である。
図6図6は、医療用カートに取り付けられた例示的な組織撮像システムの図である。
図7図7Aおよび図7Bは、例示的な組織撮像システム用の設定メニューの例示的なユーザインタフェースの画面表示装置の図である。
図8図8は、様々な実施形態に係る、組織撮像システムの例示的なビデオ表示装置の図である。
図9図9は、様々な実施形態に係る、例示的な組織撮像システムの使用方法を示す流れ図である。
図10図10は、様々な実施形態に係る、対象のいくつかの波長帯を示す、紫外線スペクトル、可視光スペクトル、および赤外線スペクトルを含む電磁スペクトルの図である。
図11図11は、神経組織および非神経組織を含み、対象の組織領域に放射された信号および対象の組織領域から反射された信号を含む例示的な異なる波長の電磁信号を示し、対象の組織領域内の神経組織上に放射された励磁信号および神経組織上に放射された励磁信号に応答して、神経組織から放射された内在性自発蛍光信号を示す、対象の例示的な組織領域の図である。
図12図12は、様々な実施形態に係る、第一の例示的な組織撮像システムのいくつかの構成要素の図である。
図13図13は、様々な実施形態に係る、第二の例示的な組織撮像システムのいくつかの構成要素の図である。
図14図14は、組織撮像システムの二つの例示的な実施形態で使用するために好適なフィルターパラメータを示す表である。
図15図15および図16は、組織撮像システムの様々な実施形態で使用するために好適なカメラの構成要素の二つの図である。
図16】同上。
図17図17および図18は、様々な実施形態に係る、組織撮像システムの例示的な構成要素を示すブロック図である。
図18】同上。
図19図19および図20は、周囲光照射下で見られる手術野を示し、本発明の様々な実施形態に係る、組織撮像システムで見られる手術野を代替的に示す、手術野に対応する二つの例示的な画像である。
図20】同上。
【発明を実施するための形態】
【0014】
必要に応じて、詳細な実施形態は、本明細書に開示されるが、開示された実施形態が、単に実施例であって、本明細書記載の装置、システムおよび方法が、様々な形態で例示可能であることは理解される。したがって、本明細書記載の特定の構造的および機能的な詳細は、限定的ではないが、特許請求の範囲の基礎としてのみで、当業者に、ほとんどいかなる所有権の詳細な構造および機能において開示される発明の主題を様々に使用するように指導するための代表的な基礎として、解釈される。さらに、本明細書で使用する用語や言い回しは、限定的ではないが、理解可能な記載を提供するように意図される。さらに、それ以外で、具体的に明示または使用される文脈から明らかに理解されない限り、本明細書で使用する用語は、用語の単数および/または複数として記載される。
【0015】
導入
神経/硬膜を正確に同定し、それによって、それらを安全に切離する能力は、外科医の高優先事項と考えられなければならない。さらに、神経/硬膜が、処置中に損傷すれば、それを検出および修復することは、決定的に重要である。すべてではないが、ほとんどの重大な構造的な組織破壊および神経/硬膜の損傷は、手術環境で発生する。複雑な解剖学的構造および標準的な視覚補助器具の使用についての外科医の知識は、外科医の専門知識レベルに関わらず、このような損傷を回避するのに不十分であることが多い。牽引および部分的または完全な離断を含む神経軸索/硬膜の損傷は、様々な外科的処置に関連する、重大な一般的合併症である。このような外科的処置は、患者の最大20%が対象となる、脳、脊椎の手術、結腸切除、甲状腺切除、副甲状腺切除、耳下腺摘出、冠動脈バイパス移植(CABG)、鼠径部ヘルニアの修復、心臓切開手術、および乳がんの手術を含むが、これらに限定されない。手術損傷が原因の医原性神経系疾患の多数が、保存的治療および理学療法により改善するが、一部の疾患は、長期または永久的な障害を生じる。
【0016】
神経を撮像するために、様々な蛍光色素、蛍光マーカー、および蛍光組織プローブを使用する潜在的価値にもかかわらず、組織内在性自発蛍光は、侵襲技術または患者の潜在的に安全でない化合物への曝露を要することなく、リアルタイム撮像を提供する別個の利点を有する。さらに、神経の同定に関してこれまで行われた研究のほとんどで利用される蛍光色素および蛍光組織プローブは、調達が困難な場合が多い。それらはすべて、局所性疾患(血栓)または全身性疾患(アテローム症)により損傷され得る領域への血流に依存する。
【0017】
発明者は、それらが、リスクを防止または低減し、さらに医原性の術中の神経/末梢神経/硬膜の損傷を認識および修復するために、外科的処置中にヒト体内の神経/末梢神経/硬膜の内在性自発蛍光を研究し、手術室内で自発蛍光を活用する対応技術を開発するための最初の項目であると確信する。開示された発明の様々な実施形態により、手術室用途のために構成された装置の統合型組織撮像システムによる異なる波長領域のパス光学フィルタと結合された異なる強度および波長の電磁放射線を使用し、神経組織(任意の神経/末梢神経/硬膜)の内在性自発蛍光を生じ、撮像することで、任意の種類の神経/末梢神経/硬膜を含み得る、神経組織のリアルタイムの術中の視覚化の改善が可能である。様々な実施形態に係る、神経組織の内在性自発蛍光は、(蛍光光、蛍光光信号等とも称され得る)蛍光信号を発するために、(励起光、励起光信号等とも称され得る)励磁電磁信号の放射により、かつ任意の蛍光マーカー、蛍光組織プローブ、または蛍光色素を使用することなく、(検査対象の)対象の組織領域の照射の照射により誘導または引き出される。さらに、発明者の知見により、神経組織に放射される蛍光光から反射光を大幅に除去(さらに、他の可能な干渉放射電磁信号を除去)するために、光波長フィルタ、特に、近紫外(NUV)領域で励起光を選択的に送信する光学フィルタおよび帯域光学フィルタを使用することで、神経/硬膜の自発蛍光の知覚レベルが増加し、それによって、神経組織の周囲の非神経組織との視覚対比が増加することが示唆される。
【0018】
開示された発明の様々な実施形態は、臨床の外科診療で医原性の神経組織損傷の比率および重症度を変更する手段である。
【0019】
撮像組織のためのシステムを、本明細書に記載する。一部の実施形態では、組織撮像システムは、執刀医による神経/末梢神経/硬膜の術中の視覚化を改善し、容易にするために、特異的に使用される。
【0020】
本明細書で使用する用語「組織撮像システム」、「神経組織撮像システム」、および「神経/硬膜の撮像システム」は、例えば、周囲の健康な非病理性または非がん組織からの末梢神経/硬膜等の特異的な組織構造の視覚化を改善するために利用される装置および構成要素からなるシステムを意味するように意図される。しかしながら、神経/硬膜の撮像システムが、一部の実施形態では、非神経構造または組織を視覚化するために使用され得ることは理解される。
【0021】
本明細書で使用する用語「医療装置」は、病気の診断、予防、観察、治療または軽減の特定の医療目的で、ヒト用に単独または組み合わせて使用することを意図した機器、装置、器具、機械、器械、ソフトウェア、材料、または他の類似のまたは関連する物品である。
【0022】
本明細書で使用する用語「末梢神経」は、運動、感覚、自律神経、または脳もしくは脊髄プロパー(proper)の外部に存在する混合機能の神経である。本開示の目的で、「末梢神経」は、脳を囲む硬膜の外部の脳神経を含む。「末梢神経」はまた、脊髄硬膜(硬膜嚢)の外部またはそれに囲まれているかに関わらず、混合された脊髄神経および脊髄神経節を含む。「末梢神経」の一部の非限定の実施例は、顔面神経およびその枝、上喉頭神経、反回神経、舌下神経、脊髄副神経、神経根、神経幹、腕神経叢および腰神経叢の神経枝、長胸神経、内側胸筋神経および外側胸筋神経、交感神経節、骨盤の感覚神経、およびその他多数を含む。本明細書で使用する用語「脊髄硬膜」、「dura(硬膜)」、「duramadre(硬膜)」、または「硬膜嚢」は、脊髄、前後の脊髄神経、および後脊髄神経節を囲む、厚く、高密度で、線維性の膜状構造である。本明細書で使用する用語「波長」は、近紫外線、紫外線、近赤外線、または赤外線を含む、ヒトの目に可視または不可視に関わらず、電磁放射線の特定の波長を意味する。「波長」は、波長領域を表し得る。波長領域は、別個の部分であり、連続し得、または不連続であり得る。
【0023】
本明細書で使用する用語「放射光」は、異なる波長またはある領域の波長の電磁放射線による照射に応答して、細胞、組織、または解剖学的構造により放射される別個の部分の波長またはある領域の波長の電磁放射線を意味する。「放射光」は、細胞、組織、または解剖学的構造のみに由来し、反射される励起光または環境光の光源から反射される光を含まない。「放射光」は、原子、分子の固有特性、または細胞、組織、または解剖学的構造を形成する原子および分子の特定の配列の結果として生じる。
【0024】
本明細書で使用する用語「励起光」は、細胞、組織、または解剖学的構造に、励起光と異なる波長または領域の波長からなる放射光を生成させるために、細胞、組織、または解剖学的構造を照射するために使用される電磁放射線を意味する。
【0025】
本明細書で使用する用語「低域フィルタ」は、「ロングパスフィルタ」と称される場合もあり、選択された遮断波長よりも長い波長を有する電磁放射線を通過するデジタルフィルタを含む、低域(ロングパス)波長光学フィルタを意味する。「低域フィルタ」(「ロングパスフィルタ」)は、選択された遮断波長よりも長い波長を有する電磁放射線を通過させるように構成された単一の光学フィルタエレメントまたは複数の光学フィルタエレメントを含み得る。
【0026】
それに応じて、本明細書で使用する用語「高域フィルタ」は、「ショートパスフィルタ」と称される場合もあり、選択された遮断波長よりも短い波長を有する電磁放射線を通過するデジタルフィルタを含む、高域(ショートパス)波長光学フィルタを意味する。「高域フィルタ」(「ショートパスフィルタ」)は、選択された遮断波長よりも短い波長を有する電磁放射線を通過させるように構成された単一の光学フィルタエレメントまたは複数の光学フィルタエレメントを含み得る。
【0027】
本明細書で使用する用語「帯域フィルタ」は、第一の波長と第一の波長よりも長い第二の波長との間の選択された別個の領域の波長内のある領域の波長を有する電磁放射線を通過するデジタルフィルタを含む、帯域波長光学フィルタを意味する。「帯域フィルタ」は、選択された領域の波長内のある領域の波長を有する電磁放射線を通過させるように構成された単一の光学フィルタエレメントまたは複数の光学フィルタエレメントを含み得る。
【0028】
本明細書で使用する用語「反射光」は、組織、表面等から反射された後、受光列に通過する、励起光および/または環境光、白色光等の他の照射光を意味する。「反射光」は、本明細書で別個に定義される「放射光」のような「放射光」ではない。
【0029】
本明細書で使用する用語「神経組織」は、神経、末梢神経、硬膜、および神経を含む中枢神経系の組織の一つ以上を含む組織を意味するように意図される。
【0030】
本明細書で使用する用語「健康な神経組織」は、非がん性および非病理性の組織である、本明細書で定義される、神経組織を意味するように意図される。
【0031】
本明細書で使用する用語「非神経組織」は、本明細書で定義される、神経組織ではないヒトまたは動物に関わらず、任意の生体組織を意味するように意図される。
【0032】
本明細書で使用する用語「健康な非神経組織」は、非がん性および非病理性の組織である、本明細書で定義される、非神経組織を意味するように意図される。
【0033】
例示的な組織撮像システムの概要
例示的な組織撮像システムは、例えば、病院、外来外科センター等の臨床環境の医療従事者によって使用され得る。一部の実施形態では、外科医または健康管理医は、超音波、蛍光透視検査、または他の従来の撮像装置等の追加の撮像装置と組み合わせて、組織撮像システムを使用し得る。組織撮像装置は、単独で動作するまたは他のこのような撮像装置と使用され、一部の実施形態では、外科医が神経組織を、他の解剖学的構造および周囲の非神経組織と区別する一助となり、神経/末梢神経/硬膜等の神経組織への損傷リスクを低減するように使用され得る。一部の実施形態では、組織撮像装置は、手術用顕微鏡、硬質または可撓性の内視鏡、腹腔鏡、胸腔鏡、および関連装置、体内を通して低侵襲外科的処置で使用される器具等のエンドエフェクタ器具、従来の「開放性」術式中に使用される外科器具、または医療装置の組織撮像システムとの統合が利点であり望ましい、他の医療装置と統合されて使用するのに構造的に適合される。
【0034】
蛍光マーカー、蛍光組織プローブ、または蛍光色素は、神経組織では使用されない。組織撮像システムは、標的組織に、可視光の領域外で可視であるかに関わらず、光による照射に応答して、蛍光発光させることによって、末梢神経/硬膜等の標的組織の視覚画像を作成する。組織の蛍光発光は、局所的に適用または(経口または非経口で)投与されるに関わらず、蛍光色素、蛍光マーカー、蛍光組織プローブ等の補助の化学または薬理組成物を使用せずに発生する。典型的に、末梢神経等の神経組織は、励起光の波長および強度、光フィルタリング手段、および画像処理技術に応じて、例えば、正常な/非病理性/非がん性の組織の周囲の健康な非神経組織と異なる励起光による照射時に、本質的に蛍光発光する。システムは、末梢神経/硬膜等の神経組織を、周囲の非神経組織と、特に、健康な非神経組織と区別するために、対照的なレベルの蛍光発光を利用する。
【0035】
このような組織撮像システムの重要な態様は、少なくとも励起光、さらに任意選択で、照射光による、手術野等の組織層を照射するための手段を含む。様々な実施形態によれば、対象の標的組織領域は、可視光領域の波長領域内のより高い強度(輝度)で、対象の組織領域内の隣接するおよび/または周囲の背景の非神経組織の自発蛍光(該当あれば)と異なり、対象の組織領域用に、該当あれば、反射光と異なる、入射励起光に応答して、内在的に自発蛍光する、神経/末梢神経/硬膜等の神経組織を含む。(本明細書では、「デンドライトカメラ」とも称され得る)カメラ、または類似のセンサ/検出器は、組織に放射される蛍光光、および可能であれば、対象の組織領域からの反射光を受信し、光信号は、対象の組織領域の視覚画像を表示用に作成するなどのために、処理される。視覚画像は、白色または他の色(例えば、図8の画像802を参照)等で、組織撮像システムで強調表示される健康な神経組織の第一の画像802、および対象の組織領域内の神経組織の第一の画像に隣接するおよび/またはそれを囲む健康な非神経組織の第二の画像804(例えば、図8の強調表示された画像802と対比されたかなり暗い画像である、図8の画像804を参照)を含む。対象の組織領域のこの視覚画像は、表示画面での表示等のために、第一の画像および第二の画像を含み、第一の画像と第二の画像との間の対照的な撮像により、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織に対する健康な神経組織の位置を示す。この視覚画像は、例えば、外科医が、外科的処置を患者に行うための、補助となる重要な情報を提供可能である。
【0036】
要約すれば、例示的な神経組織撮像システムは、無菌環境で使用するように構成されたハウジングを含み得、該ハウジングは、光源列と光学的に結合された励起光源を含有し、励起光源は、励起光源から、光源列を通過して結合され、健康な神経組織および健康な非神経組織を含む対象の組織領域を照射するために、近紫外線領域の第一の波長領域内の励起光を選択的に制御・放射するように構成され、励起光源は、健康な神経組織に、励起光により照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、可視光領域の第二の波長領域内の第一の輝度(強度)で、第一の自発蛍光光を放射させる、第一の波長領域の励起光を放射するように設計・構成される。さらに、健康な非神経組織は、励起光により照射されることに応答して、内在的に自発蛍光し、第二の波長領域内の任意の自発蛍光光を放射することを回避し、または内在的に自発蛍光し、第一の輝度の50%より低い第二の輝度(強度)で、第二の波長領域内の第二の自発蛍光光を放射することのうちの少なくとも一つを実行する。励起光源と電気的に結合された制御電子回路は、励起光源を制御する。制御装置/プロセッサは、制御電子回路と、励起光源と動作可能に結合され、励起光源からの励起光を制御する励起光源の少なくとも一つの操作パラメータを選択的に制御するように構成される。
【0037】
組織撮像システムは、本明細書で以下に記載の追加の要素を含み得る。
【0038】
組織層を照射する励起光は、波長またはある領域の波長、または神経組織等の組織の生化学構造の本質的効果を生じるある領域の波長(本明細書では「波長」と総称する)にわたる間隔を含む。この本質的効果により、組織(例:神経組織)は、励起光の波長(典型的には、より短い波長)の領域に対して、異なる(典型的に、より長い波長)ある特定の領域の波長で蛍光光を放射する。組織撮像システムは、励起光の神経組織への照射により誘導されるまたは引き出される、神経組織の内在性自発蛍光効果または他の本質的な特性に応答して、神経組織から放射された波長の光を捕捉する。
【0039】
組織撮像システムの一部の実施形態は、データプロセッサおよびメモリ上に存在するソフトウェアパッケージを含む。ソフトウェアパッケージは、特定の波長またはある領域の波長で患者の体または体内に光を放射するために、データプロセッサを介して励起光源を移動させる。放射された励起光に応答して、組織は、特定の波長または特定の波長領域で、光を放射する。放射光の波長および強度は、特定の組織の種類および構造に固有である。神経組織を含む神経/末梢神経/硬膜等の神経組織は、より詳細には、刺激または励起される場合、固有のおよび特定の波長またはある領域の波長の光(以下、「放射光」)を放射する(例:自発蛍光する)。このような放射光は、蛍光発光(「蛍光光」)、他の現象、または他の現象と組み合わせての蛍光発光が原因となり得る。神経/硬膜の撮像システム等の組織撮像システムは、光を、照射された組織(対象の組織領域)から受信し、一部の実施形態では、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織への放射光または反射光と対比して、神経/硬膜等の少なくとも健康な神経組織への放射光を同定し、対応するデータ信号を生成するために、該光を検出フィルタでフィルタリングする。隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織への放射光または反射光の背景画像と対比される、例えば、放射光の神経/硬膜等への神経組織の画像を表すデータ信号は、ユーザが視覚化のために画像表示装置に送信される。組織撮像システムの完全な詳細は、開示文書および本明細書のいくつかの図面により提供される。
【0040】
組織撮像システムおよび関連する構成要素装置の実施例の検討
図1は、様々な実施形態に係る、組織撮像システム100の実施例の図である。図1は、組織-撮像システム100を示す。組織撮像システム100は、一部の実施形態では、末梢神経の術中の撮像用に構成された神経組織撮像システムである。システム100は、神経/末梢神経/硬膜を含有すると考えられる、対象の組織領域を照射するために、励起光を生成し、これを移動させるための様々な構成要素装置を含む。一部の実施形態では、システム100は、対象の組織領域内の関連する構造および組織を照射し得る、照射光(例:白色光または「ほぼ」白色光)を生成するための様々な構成要素を含む。
【0041】
その中に神経/末梢神経/硬膜を含有する、対象の組織領域を、励起光で照射することに応答して、少なくとも二つの異なる種類の光(電磁放射信号)である、(1)対象の組織領域内の非神経組織および神経組織(例:神経/末梢神経/硬膜)により反射される励起光を含み得る、反射光および(2)対象の組織領域を照射する励起光により受信される放射エネルギーに応答して、蛍光発光または他の固有の特性により、神経組織(例:神経/末梢神経/硬膜)により放射され、または可能であれば、他の非神経組織により放射される光(電磁放射信号)である、放射光が生成される。
【0042】
その中に神経/末梢神経/硬膜を含有する、対象の組織領域を、照射光で照射することに応答して、少なくとも二つの異なる種類の光(電磁放射信号)である、(1)対象の組織領域内の神経組織および非神経組織により反射される反射された照射光および(2)対象の組織領域を照射する照射光により受信される放射エネルギーに応答して、蛍光発光または他の固有の特性により、非神経組織により放射される光(電磁放射信号)である可能な放射光が生成される。
【0043】
一部の実施形態では、質問器120(例えば、図2および図3も参照)は、励起光を生成し、撮像処理用に反射および放射光を受信する。一部の実施形態では、質問器120は、励起光に加えてまたはそれに代わって、照射光を生成し、画像処理用に反射光(可能であれば、放射光)を受信し得る。本システムおよび工程の実施例は、さらに下記でより詳細に記載される。
【0044】
システム100はまた、一部の実施形態では、プロセッサ142(例えば、図4を参照)およびユーザインタフェース146等の構成要素を収容する制御装置140を含む。一部の実施形態では、図1に示す実施例のように、システム100の要素は、第一のケーブル126および第二のケーブル151等のケーブルにより、互いに電気的に通信可能に結合される。一部の実施形態では、電源152は、制御装置140に電気的に結合される。
【0045】
図1はまた、画像表示装置150を示し、その結果、システム100のユーザは、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織と対比した健康な神経組織の位置を、対比撮像により示し得る、検査される対象の組織領域(検査対象の組織領域)の画像を視覚化し得る。例えば、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織804(図8の強調表示された画像802と対比されたかなり暗い画像)と対比された健康な神経組織802の形成された画像(図8の白色または他の色で強調表示された)を表示する画像表示装置を示す図8を参照のこと。
【0046】
図1に示すシステム100を形成する様々な装置の描写は、実施例のみとして、質問装置120、制御装置140、および画像表示装置150の追加の構成は、本明細書記載のこれらの開示および教示の範囲内である。例えば、一部の実施形態で、図1に示すように、第一のケーブル125は、質問装置120を制御装置140と通信可能に電気的に結合し、第二のケーブル151は、画像表示装置150を制御装置140と通信可能に電気的に結合する。これは、例示用の実施例のみで、限定を意図するものではない。一部の実施形態では、質問装置120は、「フリースタンディング」であって、内部電源と、命令およびデータを制御装置140と無線で交換する無線通信手段と、を有する。同様に、画像表示装置150は、一部の実施形態では、内部または他の別個の電源と、画像データおよび他の情報を制御装置140と無線通信可能である無線通信手段と、を備える。
【0047】
内部電源の実施例は、電池を含む。電池は、充電不可で使い捨て式の電池、または充電可能な電池を含む、医療装置内での使用に好適な任意の電池であり得る。医療用に好適な充電不可の電池の一部の実施例は、アルカリ電池、リチウム電池、固体電池等を含む。一部の実施形態では、電池は、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムイオン電池、または他の好適な充電可能なエネルギー蓄積装置等の充電可能な電池である。
【0048】
第一のケーブル126を含まないシステム100の実施形態は、質問器120を制御装置140と無線で通信可能に結合する無線通信手段を有し得る。第二のケーブル151を含まないシステム100の一部の実施形態は、画像表示装置150を制御装置140と無線で通信可能に結合する無線通信手段を有し得る。
【0049】
システム100の様々な構成要素により使用が好適な無線通信手段の非限定の実施例は、例えば、BluetoothおよびWiFi無線技術基盤を含む、公知の様々な無線技術を使用する、送信器および受信器を含む。
【0050】
図2は、組織撮像システム100の質問器120の実施形態の図である。図3は、組織撮像システム100の質問器120の実施形態の側面図である。図2および図3に示す実施形態のように、質問器120は、一部の他の実施形態では、組織照射および対象の照射された組織領域からの集光を提供するように構成された、電子的、光学的、および関連する要素を収容するように構成されたハウジング121を備える。ハウジング121は、医療用素材から形成され、無菌外科環境で使用するように構成される。一部の実施形態では、ハウジング121は、熱に基づく滅菌システムおよび技術により破壊され得る高感度の電子医療機器を滅菌するのに好適なエチレンオキサイド、オゾン、または他のガスを使用するなど、ガス滅菌用に構成される。一部の実施形態では、ハウジング121は、滅菌用に構成されないが、無菌の使い捨ての袋で使用され、または質問器120が無菌雄の手術室環境で使用され得るハウジング121を覆い、また少なくとも部分的に封入する装置の保護被膜を使用する。ハウジング121内に含有され、それに結合される要素は、一部の実施形態では、励起光源102、照射光源103、光源列116、受光列117、カメラ122(図4を参照)、およびハンドル125を含む。一部の実施形態では、第一のケーブル126は、質問器120を制御装置140と電気的に、通信可能に、または電気的にかつ通信可能に結合する。ハウジング121はまた、質問器120の特定の実施形態または様々な実施形態に係る、例えば、取り付けまたは固定手段、電子機器、冷却手段、断熱等の追加の要素を含有し得る。
【0051】
一部の実施形態では、質問器120は、図2および図3に示すように、配置・構成される。ハンドル125は、光源列116および受光列117の要素が、放射光および受信光から隠されないように、遠位端127から離間またはそれと略対向するハウジング121に結合される。ハンドル125は、一部の実施形態では、ハウジング121との単一体である。第一のケーブル126は、一部の実施形態では、第一のケーブル126を、遠位端127と照射・視覚化される対象の組織領域との間の視線外に保持するために、ハンドル125経由で質問器120に入る。一部の実施形態では、光源列116および受光列117は、図3に示すものと類似の構成で、ハウジング121内に互いに横になって配置される。図3によるハウジング121内の光源列116および受光列117の描写は、図によるもので、実施例で提供され、光源列116および受光列117の他の構成は、本明細書の開示の範囲内である。
【0052】
例えば、システム100の一部の実施形態では、光源列117は、図2で示す遠位端127の外周の周りの八つの光源列117の円形パターン等のアレイまたはパターンで構成された複数の光源列である。光源列117のアレイを含むこのおよび他の実施形態では、対象の組織領域104は、励起光110でより明るく均等に照射され得る。明るい均等な照射は、システム100による対象の組織領域104の視覚化の改善が可能な光陰影効果を低減し得る。他のおよび任意の数の配置、パターン、または任意の数の光源列117を含むアレイは、制限なく、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0053】
励起光源102(図4を参照)は、一部の実施形態では、ハウジング121内に配置される。任意選択で、特定の実施形態では、照射光源103(図4を参照)は、ハウジング121内に配置される。一部の実施形態では、照射光源103は、例えば、ハロゲン(キセノン)ランプ、450ワットキセノンランプ、タングステン-ハロゲンランプ、水銀アークランプ等の広い電磁放射信号の波長-領域の「白色」光(またはほぼ白色光)の光源を含む。特定の実施形態では、照射光源103から放射される照射光は、対象の組織領域104内の神経組織の蛍光発光効果または他の固有の特性のみにより由来する、放射光112の検出に干渉しないように設計されるある領域の波長に、「白色」光(またはほぼ白色光)の照射信号を「調整する」ために、一つ以上の光学フィルタを通過して結合され得る。システム100の様々な実施形態によれば、(照射光源103により放射される照射光にほとんど由来する)反射光114、放射光112、および該当あれば、非放射される環境光のすべてまたは一部分は、質問器120の受光列117により集光される。
【0054】
一部の代わりの実施形態では、励起光源102(図4を参照)は、質問器120から離れた位置に設置され、励起光110は、例えば、光ファイバー束等の光透過手段により、質問器120に送信される。遠隔の励起光源102は、「フリースタンディング」装置であり得、またはロボット支援またはコンピュータ支援手術、医療装置カート等で使用するもの等のコンソール内に収容またはそれに結合され得る。光透過手段は、第一のケーブル126と一体であり得、または、例えば、別個の細長いケーブル様の構造としての、励起光源102と質問器120との間で機械的に、光学的に結合され得る。
【0055】
励起光源102は、広帯域の電磁放射信号の波長を含み得る励起光、または代替的に、より狭い電磁放射信号の波長領域に限定される励起光を生成する。例えば、一部の実施形態では、励起光源102は、発光ダイオード(LED)またはレーザ等の狭い波長領域の光源を含み得る。一部の実施形態では、励起光源102は、例えば、ハロゲン(キセノン)ランプ、450ワットキセノンランプ、タングステン-ハロゲンランプ、水銀アークランプ等の広い電磁放射信号の波長-領域の「白色」光(またはほぼ白色光)の光源を含む。
【0056】
励起光源102は、対象の組織領域104を照射する(放射する)ために、質問器120の光源列116から通過する励起光110(電磁放射信号)を放射する。励起光源102は、例えば、内在性自発蛍光効果の神経組織に固有な効果により、対象の組織領域104内の神経組織を刺激または励起するために、励起光110を特定の波長で放射するように構成される。該効果が固有、すなわち、組織の本質的な性質または構成であって、神経組織内にすべて由来するため、蛍光(または他の)色素、蛍光マーカー、蛍光組織プローブ等は、必要なく、組織撮像システム100の操作に使用されない。
【0057】
光学フィルタを通過して、光学的に結合され得る、励起光源102により生成された波長の励起光110は、一部の実施形態では、健康な神経組織および周囲の健康な非神経組織の固有の内在性蛍光発光効果との間の差を最大化する。視覚画像の表示装置では、例えば、画像の顕著な差は、表示画面上で、対象の組織領域内の神経組織の内在性蛍光発光効果に対応する強調表示された画像(例えば、図8の802を参照)と蛍光発光効果の欠如(または最小の存在)および対象の組織領域内の隣接するおよび/または周囲の非神経組織からの反射光の低減に対応する強調表示されないより暗い画像(例えば、図8の804を参照)との間で観察可能である。例えば、蛍光発光効果の欠如(または最小の存在)および隣接するおよび/または周囲の非神経組織からの反射光の低減に対応する強調表示されないより暗い画像と視覚的に対比された、神経組織の内在性自発蛍光効果に対応する強調表示された画像等の表示画面上の二つの画像間の非常に顕著な差は、対象の組織領域(検査対象の)内の神経組織に隣接するまたはそれを囲む神経組織と対比して、神経組織の視覚化を改善する。対象の組織領域内の神経組織および非神経組織のこの対比された視覚化により、例えば、外科医が、患者に外科的処置を施すのを補助する重要な情報が提供され得る。この対比の著しい実施例に対して、様々な代わりの実施形態によれば、図19の手術視野の画像を、図20に示す手術視野の画像と比較する。図19では、環境白色光の条件下で、神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織に対して、神経組織1902の存在を区別することは非常に困難である。図20では、組織撮像システム100の例示的な実施形態を使用して、神経組織2002の形成された強調表示された画像は、神経組織2002に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織のより暗い背景画像に対して、明らかに観察可能である。
【0058】
一部の例示的な実施形態では、励起光110の波長は、約365ナノメートル(nm)~約400nmの領域である。一部の例示的な実施形態では、励起光110の波長は、約382nm~約392nmの波長領域である。一部の例示的な実施形態では、励起光110の波長は、約455nm~約510nmの波長領域であり得る。一部の例示的な実施形態では、励起光110の波長は、約485nmであり得る。
【0059】
光源列116は、すなわち、対象の組織領域を照射するために、励起光110を質問器120から移動させる。光源列116は、励起光源102に近接または隣接し得る。一部の実施形態では、光源列116は、対象の組織領域104の照射用に励起光110を、適切に焦点を合わせ、または分光し移動させるために、単一の光学レンズ、または複数の光学レンズを備える。一部の実施形態では、励起光源102は、励起光110で直接、対象の組織領域104を照射し、質問器120は、光源列116を含まない。一部の実施形態では、光源列116は、質問器120と離間する励起光源102内に含有される。一部の実施形態では、光源列116は、本明細書に記載のように、光ファイバー束を含む。実施形態によれば、光源列116は、制限なく、光学レンズ、複数の光学レンズ、または光ファイバー束の一つ以上を含む任意の組み合わせを含み得る。
【0060】
一部の実施形態では、光源列116は、健康な神経組織に、内在性自発蛍光効果により、狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長であり得る、放射光(蛍光光)111を作成させる一方、周囲の健康な非神経組織の最小またはゼロの蛍光発光を生じるために最適な領域に、励起光110の波長を狭めて、抑えて、帯域通過させて、または「調整する」ように構成された励磁フィルタ111を含む。特に、周囲の健康な非神経組織の任意の最小の蛍光発光は、神経組織から放射光111の狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長の外の他の光を放射するであろう。一部の実施形態では、光源列および一つ以上の照射光源に光学的に結合された一つ以上の光学フィルタを使用することで、任意の照射光(図4に示す照射光源103などから)と、それにしたがって、対象の組織領域104からの任意の反射光は、神経組織からの狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長の放射光111から拒絶されまたはそれが相当低減され得る。さらに、受光列および光検出装置(例:撮像カメラ装置)に光学的に結合された一つ以上の光学フィルタを使用することで、任意の励起光110は、神経組織からの狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長の放射光111から拒絶されまたはそれが相当低減され得る一方、特定の実施形態では、対象の組織領域から反射される照射光を通過可能であり得る。さらに、(放射された照射光からの、また該当あれば、放射された励起光からの)非神経組織の任意の最小の蛍光発光効果は、神経組織からの狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長の放射光111の略外部の光を放射する可能性があり得、神経組織からの狭く、抑えられ、帯域通過されたある領域の波長の放射光111から拒絶されまたはそれが相当低減され得る。上述のように、光源列に結合または受光列に結合されるかに関わらず、一つ以上のフィルタを追加すると、対象の組織領域内の非神経組織からの任意の光と比較して、放射光111の神経組織との対比が改善され得る。
【0061】
励磁フィルタ111は、励起光源102が、特定のLEDまたはレーザ励起光源等のより狭帯域の光源からの励起光110に対して、ハロゲンまたは水銀アーク光源等の広帯域の白色光源である実施形態に特に有用である。したがって、一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、帯域フィルタである。
【0062】
一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、低域(ロングパス)フィルタであり得る。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、高域(ショートパス)フィルタである。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約382nm~約392nmの帯域フィルタである。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約300nmの高域(ショートパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約400nmの低域(ロングパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約300~約400nmの帯域フィルタである。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約320~約380nmの帯域フィルタである。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約325nm~約375nmの帯域フィルタである。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約350nmの低域(ロングパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約300nmの低域(ロングパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、励磁フィルタ111は、約400nmの高域(ショートパス)フィルタを含む。
【0063】
図15および図16が、カメラ撮像装置またはデンドライトカメラ装置の様々な例示的な実施形態を示すことは留意すべきである。カメラ1500は、図15に示すように、カメラハウジングおよびレンズ1502を含む受光列を備えて、可能であれば、特定の実施形態では、レンズと共に、またはレンズに近接した、一つ以上の光学フィルタ1502を含み得る。図16は、デンドライトカメラとも称され得る、組織撮像装置1600の実施例を示す。組織撮像装置1600は、そのハンドル1606により取扱い可能である。組織撮像装置1600は、本実施例では、複数の光源と、可能であれば、一つ以上のセンサ/検出器/カメラ装置を含む、リング部分を備える。レンズ/フィルタ1604は、リング部分の中央領域内に配置され、組織撮像装置1600内の一つ以上の光源から、一つ以上の励起光信号および/または一つ以上の照射光信号を結合する光源列の構成要素である。光信号は、光信号を対象の組織領域に選択的に放射するために、レンズ/フィルタ1604を通過して移動される。
【0064】
図17および図18は、様々な実施形態に係る、組織撮像システムの例示的な構成要素を示す。例示的なカメラ撮像装置1700は、デンドライトカメラ装置とも称され得、図17に示す。この例示的なカメラ撮像装置1700は、ユーザによって取扱い可能である。装置1700は、イーサネットのネットワークリンク1702を介して、図18に示す計算処理システム1800に接続可能である。カメラ撮像装置1700は、制御電子機器を備えた少なくとも一つの光源1706を含む、照射光学レンズ等の様々な構成要素を含む。光源列1704はまた、一つ以上のレンズおよびフィルタを通過して、少なくとも一つの光源1706から光信号を結合するように示される。カメラブロック1708は、ケーブルを計算処理システム1800に接続するイーサネットにより、カメラ電子入出力信号を接続するコンピュータインターフェースを含む。カメラ1708はまた、一つ以上の検出フィルタおよび/またはレンズ1710を含む受光列を備える。計算処理システム1800は、一つ以上のプロセッサ、メモリ、記憶装置、電源回路、およびデータ通信インターフェースを含み得る、情報処理システム1812を備える。
【0065】
タッチパネル表示装置1810は、計算処理システム1800の構成要素として示される。このタッチパネル装置1810は、計算処理システム1800のユーザと通信するために、出力ユーザインタフェース装置および入力ユーザインタフェース装置を提供する。計算処理システム1800はまた、計算処理システム1800とネットワークと通信可能に結合された別の計算装置との間で情報を通信し、信号を制御するために利用可能である、外部ネットワークと通信可能に結合可能である計算ネットワーキングインターフェースを含む。
【0066】
例示的な組織撮像システム100の検討、および図3への特定の言及を継続して、対象の組織領域104は、励起光110で照射されることに応答して、質問器120に再度、光を移動させる。この移動された光は、可能であれば、対象の組織領域から励起光110の反射された構成要素を含む、反射光114を含む。対象の組織領域104内の健康な神経組織は、励起光110で照射される場合の固有の蛍光特性を有し、放射光112を作成する。放射光112は、対象の組織領域104の部分(例:健康な神経組織)の蛍光発光または他の固有の特性のみに由来する。照射光源103からの反射光114、放射光112、および非放射される環境光または他の照射光のすべてまたは一部分は、システム100の一部の実施形態では、質問器120の受光列117により集光される。
【0067】
図11は、神経組織1102および神経組織1102に隣接するまたはそれを囲む非神経組織1104を含む、対象の組織領域に照射され得る様々な種類の光の実施例を示す。励起光1110は、組織撮像システム100内など、光源から放射される。励起光1110は、神経組織1102の内在性自発蛍光効果を、特に誘導または引き出すためのシステムで設計される。この効果は、その組成物および神経組織の他の固有の特性によるなど、神経組織内の生物学的および/または化学的な要因による場合がある。例えば、神経組織は、高含有量の脂質およびタンパク質により特徴づけられ得る。神経組織は、大量の糖類を含有しない。複合脂質(例:リン脂質およびスフィンゴリン脂質)および非エステル化コレステロールは、最も豊富な脂質であり得る。タンパク質結晶を含むタンパク質は、特定の波長の紫外(UV)線で励起される場合、自発蛍光し得る。特定の波長の紫外線で励起される場合、自発蛍光し得る神経組織の固有の特性は、患者の体内の他の非神経組織と大幅に異なり得る。発明者らは、特定の照明条件下で、健康な神経組織および健康な非神経組織を含有する対象の組織領域が、特定の領域の波長の励起光で神経組織1102の照射に応答して、神経組織1102から高輝度の内在性自発蛍光光1111を放射可能であることを観察した。励起光のこのような一つの波長領域は、約382nm~約392nmの領域にあると思われる。神経組織は、上述の領域の波長を含む励起光1110により照射されることに応答して、内在的に自発蛍光すると思われる。輝度が最も高いと思われる内在性自発蛍光光1111の波長は、約433nm~約450nmの領域にある。非神経組織1104を照射する励起光1110は、励起光1110と同一の波長領域(約382nm~約392nm)で、非神経組織1104から反射光として反射される。より広い領域1008(図10を参照)またはより狭い領域1010で波長を含み得る、対象の組織領域への任意の照射光はほとんど、健康な神経組織1102および健康な非神経組織1104の両方からを含む、対象の組織領域から反射される。内在性自発蛍光光1111の検出を改善するために、より広い波長領域(ほぼ白色光)1008内で照射光を使用する特定の実施形態では、一つ以上の光学フィルタ(ノッチフィルタを含む)は、光源からの照射光を光源列に結合可能な一方、神経組織1102から放射される内在性自発蛍光光1111に特徴的である該波長領域1006を略除去する。照射光のこの「ノッチ」フィルタリングは、反射された照射光からの可能な干渉を低減可能な一方、内在性自発蛍光光1111の波長を検出する。
【0068】
様々な実施形態に係る、受光列117は、単一の光学レンズまたは複数の光学レンズを含み、放射光112を含む光を、カメラ122に焦点を合わせ、それに移動させるように構成される(図4を参照)。一部の実施形態では、受光列117は、単一の集束レンズを含む。一部の実施形態では、受光列117は、複数の(任意の数、組み合わせ、および配置の)集束レンズ、および、可能であれば、少なくとも放射光112をカメラ122に焦点を合わせるように構成された分散レンズを含む。システム100の一部の実施形態は、カメラ122が、「棒の上のチップ」の画像-センサの電荷結合素子装置(「CCD」)カメラである、受光列117を含まない。受光列117の一部の実施形態は、検出フィルタを含み得るが、レンズは含まない。
【0069】
一部の実施形態では、受光列117は、図3に示すように、検出フィルタを含む。一部の実施形態では、検出フィルタは、検出フィルタの領域外の波長を有する反射光114および環境光を除去する光学フィルタである。しかしながら、一部の実施形態では、受光列117は、検出フィルタを含まない。検出フィルタにより、所望の波長(例:励起光による照射により誘導または引き出される内在性自発蛍光効果に応答して、神経組織放射光に対応する波長)の光のみ、検出フィルタを通過して、カメラ122(図4を参照)まで通過可能である。システム100の一部の実施形態では、検出フィルタの光-フィルタリング機能は、データプロセッサまたは情報処理システムに存在する画像処理ソフトウェアパッケージによりデジタルで実行される。適切な検出フィルタは、システム100の他の態様であって、特に、次に、視覚化を標的とする脊髄硬膜または硬膜等の神経組織の固有の特性に依存する放射光112の波長に依存し得る。神経組織への放射光等の放射光112に対応する波長を通過可能にするために検出フィルタを構成することに加えて、検出フィルタ124はまた、隣接するまたは周囲の非神経組織が、励起光の波長と異なり、神経組織放射光等の放射光112と異なる特定の波長または特定の波長領域で、光を放射する、末梢神経に隣接するまたはそれを囲む非神経組織の視覚化を可能にする、放射光112の波長を通過可能にするように構成され得る。神経組織は、励起光110の同一強度(光度)および波長に応答して、多くの非神経組織より高強度の放射光112を本質的に形成する。このため、脂肪または筋肉組織等の神経組織に隣接するまたはそれを囲む非神経組織から放射される光は、神経組織から放射される光よりも大幅に低い強度を有する。周囲の非神経組織は、未だに視覚化され得るが、神経組織は、図8および図20に示すもの等の周囲の非神経組織と容易に視覚的に区別され得る。
【0070】
一部の実施形態では、検出フィルタは、約382nm~約392nmのある領域の波長の励起光1004の領域に一致する、約433nm~約450nmの領域の波長を含む、蛍光光1006(図10を参照)が優先的に通過可能になる帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約450nm~約575nmの領域の帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタ124は、約480nmの領域~約500nmの領域を有する帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約450nm~約575nmの領域の帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約425nm~約525nmの領域の帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約440nm~約570nmの領域の帯域フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約400nmよりも長い領域を有する低域(ロングパス)フィルタである。一部の実施形態では、検出フィルタは、約425nmよりも長い領域を有する低域(ロングパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、検出フィルタは、約450nmよりも長い領域を有する低域(ロングパス)フィルタである。
【0071】
一部の実施形態では、検出フィルタは、約600nmよりも短い波長領域を有する高域(ショートパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、検出フィルタは、約575nmよりも短い波長領域を有する高域(ショートパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、検出フィルタは、約550nmよりも短い波長領域を有する高域(ショートパス)フィルタを含む。一部の実施形態では、検出フィルタは、約510nmよりも短い波長領域を有する高域(ショートパス)フィルタを含む。
【0072】
カメラ122は、一部の実施形態では、受光列117から受光する。
【0073】
一部の実施形態では、カメラ122は、受光列117からプロセッサまで集光された光を表すデジタル情報を通信するように構成され、プロセッサは、デジタル画面またはモニタ上に表示される視覚画像を作成するために、情報をデジタル処理する。カメラ122は、一部の実施形態では、画像センサ/検出器である。したがって、一部の実施形態では、カメラ122は、プロセッサに結合するように構成されたデジタルカメラモジュールである。カメラ122は、一部の実施形態では、単色または多色のデジタルカメラである。好適なカメラ122の一つの非限定の実施例は、VM-010-KSP09.A0デジタルカメラモジュール(PHYTEC Messtechnik GmbH、マインツ、ドイツ)である。一部の実施形態では、カメラ122は、非デジタルの視覚画像の直接視覚化用の接眼レンズを有する光学カメラである。カメラ122は、受光列117の有無によらず、一部の実施形態では、可撓性の光ファイバー内視鏡用に、手術用顕微鏡/腹腔鏡、胸腔鏡、関節鏡、気管支鏡、尿管鏡等の質問器120以外の視覚化装置に光学的に結合され得る。
【0074】
可撓性の内視鏡1208等の視覚化装置に光学的に結合されたカメラ1206の一つの非限定の実施例は、様々な実施形態に係り、図12に示される。組織撮像システムは、患者の体内の略封入された腔内部の対象の組織領域(検査対象の組織)1202を検査するために使用可能である。ライトボックス装置1204は、本実施例によれば、放射光を、例えば、硬質または可撓性の内視鏡装置1208にガイドする光ファイバーケーブル(光ファイバーの光導波路)1210を通過して、選択された一つ以上の光源1220、1222から放射された光を結合する、光学集線装置1224に、一つ以上の光源1220、1222から選択可能な光信号を光学的に結合する。硬質または可撓性の内視鏡装置1208は、放射光を、例えば、患者の体内の略封入された腔にガイドし、それによって、励起光で対象の組織領域1202を照射する、光導波路をさらに含む。対象の組織領域1202は、非神経組織に隣接するまたはそれに囲まれる神経組織を含み得る。神経組織および非神経組織は、健康な神経組織および健康な非神経組織をそれぞれ含み得る。本実施例によれば、励起光(例:第一の光源1220において、帯域光学フィルタであるフィルタ1の選択により、「調整さ」れ得る約382nm~約392nmの近紫外線の波長領域などで)は、情報処理システム1812(図18を参照)で作動する、コンピュータ命令に応答して、プロセッサの制御下で、一つ以上の光源1220、1222内の第一の光源1220から選択的に放射され得る。本実施例によれば、図10は、電磁スペクトル1002内で、励起光1004用の波長領域を示す。図12に示す、光学フィルタである、フィルタ1、フィルタ2、およびフィルタ3の各々は、光信号用の波長領域の設計を「調整する」ために使用可能である、一つ以上の光学フィルタを含み得る。光源光フィルタである、フィルタ1およびフィルタ2は、各光源1220、122から放射される光信号を「調整する」。
【0075】
センサ/検出器/カメラの光フィルタである、フィルタ3は、組織撮像システム内のセンサ/検出器/カメラ1206により受信される光信号を「調整する」。
【0076】
本実施例によれば、照射光(例:第二の光源1222において、帯域光学フィルタであるフィルタ2の選択により「調整さ」れ得る約400nm~約760nmの可視光の波長領域などで)は、情報処理システム1812(図18を参照)で作動する、コンピュータ命令に応答して、プロセッサの制御下で、第二の光源1222から選択的に放射され得る。本実施例によれば、図10は、電磁スペクトル1002内で、このほぼ「白色の」照射光1008用の波長領域長を示す。
【0077】
特定の実施形態では、照射光は、照射光1010として図10に示す、代わりとなるより狭いある領域の波長(例:第二の光源1222において、帯域光学フィルタであるフィルタ1の選択により「調整さ」れ得る約470nm~約760nmの波長の可視光の波長領域などで)で放射され得る。この代わりの照射光1010は、ほぼ「白色の」照射光1010で対象の組織領域1202内の解剖学的構造および組織を効果的に照射するように作用し得る一方、対象の組織領域1202内の神経組織から放射される任意の蛍光光(例:約433nm~約450nmの波長領域)の干渉を略回避する。本実施例では、図10は、電磁スペクトル1002内で、励起光1004での神経組織の照射に応答して、神経組織から放射され得る蛍光光1006用の波長領域を示す。照射光が、ほぼ「白色の」照射光1008用のより広い波長領域にある、特定の実施形態では、図10より、照射光1008用のこのより広い波長領域が、蛍光光1006用の波長領域に重複することは明らかである。神経組織から放射され得る蛍光光1006の検出でほぼ「白色の」照射光1008の干渉を回避するために、照射光フィルタ(フィルタ1)は、第二の光源1222から放射され、対象の組織領域1202を照射するために使用される、ほぼ「白色の」照射光1008から蛍光光の波長1006を除去するノッチフィルタを含み得る。
【0078】
第一の光源1220は、本実施例によれば、LED光エンクロージャおよび近紫外線領域で励起光を放射するその中の一つ以上のLEDを含む。本実施例によれば、光学フィルタ(フィルタ2)は、第一の光源1220のLED光エンクロージャから光ファイバー光の集線装置レンズ1224まで、放射された、帯域波長領域の励起光を光学的に結合し、「調整する」。光源列は、本実施例では、対象の組織領域1202を照射するために、第一の光源1220、集線装置レンズ1224、一つ以上の光ファイバー1210、および内視鏡1208内の光導波路からの出力を含み、それによって、励起光をガイドする。プロセッサは、第一の光源をオンまたはオフに選択的に切り替えることに加えて、第一の光源1220から外に放射された励起光の輝度のレベルを制御可能である。
【0079】
第二の光源1222は、本実施例によれば、LED光エンクロージャおよび照射光を放射するその中の一つ以上のLEDを含み、照射光は、本実施例では、「白色」(またはほぼ白色)光を含む。本実施例によれば、光学フィルタ(フィルタ1)は、第二の光源1222のLED光エンクロージャから光ファイバー光の集線装置レンズ1224まで、帯域波長領域の照射光を光学的に結合し、「調整する」。光源列は、本実施例では、対象の組織領域1202を照射するために、第二の光源1222、集線装置レンズ1224、一つ以上の光ファイバー1210、および内視鏡1208内の光導波路からの出力を含み、それによって、照射光をガイドする。プロセッサは、第二の光源をオンまたはオフに選択的に切り替えることに加えて、第二の光源1222から外に放射された照射光の輝度のレベルを制御可能である。
【0080】
本実施例では、光信号は、対象の組織領域1202からの放射光(蛍光光)または反射光もしくはその両方を含むかに関わらず、可撓性の内視鏡1208内の一つ以上の光導波路により、光ファイバーケーブル(光ファイバーの光導波路)1211へ、それによって、フィルタであるフィルタ3、レンズに、さらにカメラ1206内にガイドされる。受光列は、本実施例では、光信号をカメラ1206内に結合する、可撓性の内視鏡1208内の一つ以上の光導波路、光ファイバーケーブル1211、フィルタであるフィルタ3、およびレンズを含む。図14は、図12に示すように、および上述のように、フィルタ1~3用のフィルタ選択オプションを示す二つの例示的な実施形態の表を示す。
【0081】
図1図4を再度参照すると、一部の実施形態では、質問器120は、複数のカメラ122を備え、複数のカメラ122の各カメラ122は、対応する複数の光列117の一つの受光列117と光学的に結合される。二つ以上のカメラ122を含む様々な実施形態は、光信号を捕捉し、対象の組織領域104の立体視覚画像を表示するために有用であり得る。
【0082】
図4は、一部の実施形態では、デジタルデータ経路を示す組織撮像システム100の部分模式図である。本実施例によれば、プロセッサ142は、一部の実施形態では、励起光源102、照射光源103、カメラ122、ユーザインタフェース146、メモリ145、ビデオレコーダー160、および画像表示装置150を含む、様々な入/出力装置からデジタル入力を処理し、そこへデータおよび命令を配信するためのマイクロプロセッサ等のデータプロセッサを含む。プロセッサ142は、カメラ122、ユーザインタフェース146、およびメモリ145からデジタル入力を受信する。システム100の実施形態に応じて、様々な好適なプロセッサは、既存の医療用撮像およびコンピュータ支援撮像アプリケーションで現在使用されているもの等、医療用コンピュータのマイクロプロセッサを含むプロセッサ142として使用され得る。一部の実施形態では、プロセッサ142は、一部の実施形態では、デジタル画像処理および/または画像改善、デジタル記録およびメモリ管理、励起光源管理、通過する放射光および反射光のデジタル光学フィルタリング、ユーザインタフェース管理、無線通信、および他の特定の機能等の特定のタスクに関する機能を実行する複数のマイクロプロセッサである。
【0083】
プロセッサ142は、メモリ145上に存在し、プロセッサ142で作動するソフトウェアパッケージ144を実行する。一部の実施形態では、ソフトウェアパッケージ144は、例えば、脂肪組織、筋肉組織、結合組織等を含み得る非神経組織等の第二の組織と対比された、神経組織等の対象の組織領域内の第一の組織の優先的な視覚化を実行するように構成される。
【0084】
プロセッサ142は、一部の実施形態では、電源供給、開口サイズ等に関する命令をカメラ122に配信し、画像データをカメラ122から受信するように構成される。
【0085】
メモリ145は、データ記憶装置である。メモリ145は、一部の実施形態では、書き込み可能なメモリまたは書き込み可能なメモリおよび読み出し専用メモリの組み合わせとして構成され得る。
【0086】
プロセッサ142からの視覚画像データ信号は、画像表示装置150により受信される。画像表示装置150は、背景組織上の末梢神経等の視覚画像を、外科医またはシステム100の他のユーザに表示する。組織撮像システム100の実施形態に応じて、画像表示装置150は、標準ビデオモニター、低侵襲外科的処置中に使用されるもの等の高精細のビデオモニター、またはコンピュータモニターであり得る。表示装置150は、制限なく、有機LED(OLED)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレー、量子ドットディスプレー(QLED)、または現在使用されまたは将来開発されるべきもの等の他の視覚画像表示装置の任意の医療用表示装置を含む、発光ダイオード(LED)表示装置であり得る。
【0087】
視覚画像データの記録・保管は、医療用記録、教示および指示、および他の用途等用に有用であり得る。したがって、システム100の一部の実施形態は、ビデオレコーダー160を含む。ビデオレコーダー160は、視覚画像データをプロセッサ142から受信し、視覚画像データを画像表示装置150に出力し得る。標準デジタルまたはアナログ(ビデオテープ)装置は、システム100の実施形態に係る、ビデオレコーダー160を含み得る。
【0088】
ユーザインタフェース146は、組織撮像システム100のユーザが、情報交換および命令、ならびにシステム100の様々な構成要素および要素の設定調整を含む、機能に相互作用し、それを制御する手段である。これらの機能の一部の非限定の実施例は、システム100またはその個々の構成要素のいずれかへの電源供給を開始または終了すること、励起光源102から放射される励起光110の強度(光度)を変更すること、および光学またはデジタルフィルタを係合することにより、または光源、すなわち、励起光110等の白色光対フィルタリングされたもの(帯域またはその他)を変更することで、励起光110の波長を変更することを含む。デジタルフィルタの帯域波長の変更は、一部の実施形態では、ユーザインタフェース146を介して、変更または調整される。ユーザインタフェース146は、アナログボタンまたはスイッチ、デジタル入力スイッチ、デジタルタッチスクリーン、デジタルまたはアナログに関わらず、トグルスイッチ、ジョイスティック、ホイール、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0089】
一部の実施形態では、ユーザインタフェース146は、複数のユーザインタフェースを含む。
【0090】
ユーザインタフェース146が、複数のユーザインタフェースである、非限定の例示的な実施形態として、システム100は、一部の実施形態では、(i)制御装置140に存在するグラフィカルユーザインタフェース、(ii)質問器120のハウジング121に配置されるボタンまたは他のスイッチ、(iii)白色光とフィルタリングされた光との間の組織照射(すなわち、励起光110)を変更するためのフロアベースの足作動式のトグルまたは他のスイッチ等の組み合わせを含み得る。図5は、組織撮像システム100用の制御装置の実施形態の図である。図5は、プロセッサ142、メモリ145、およびユーザインタフェース146を有する制御装置140を示す。さらに、接続インターフェース147を示す。接続インターフェース147は、高精細マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))、一組の外部記録装置の入出力コネクタ、ユニバーサルシリアルバス(USB)等であり得る。図5に示す実施形態を含む一部の実施形態では、制御装置140は、複数の接続インターフェース147を含む。
【0091】
接続インターフェース147は、システム100の機能性を増加し得、例えば、USBインターフェースにより、画像が、USB記憶媒体に記憶されおよび/または医療用HIPAA記録装置に統合され得る。制御装置140は、医療用対応の電源152を含むまたはそれと電気的に結合される。一部の実施形態では、制御装置140は、例えば、励起光源102、照射光源103、光源列116、受光列117、カメラ122、画像表示装置150、およびビデオレコーダー160を含むが、これらに限定され得ない、組織撮像システム100を形成する一つ以上の構成要素(の任意の組み合わせ)と通信可能に結合される、BluetoothまたはWiFi無線インターフェース等の一つ以上の無線接続インターフェース147を含む。
【0092】
図6は、医療用カート164上に取り付けられた組織撮像システム100の図である。医療用カート164は、任意選択で、例えば、制御装置140、励起光源102、ビデオレコーダー160、画像表示装置150、および任意の関連する付属品等のシステム100の一つ以上の構成要素を統合する、取り付ける、移送する、および収容するために使用される。一部の実施形態では、二つ以上の医療用カート164は、システム100の構成要素を取り付ける、移送するおよび/または収容するために使用可能である。例えば、一部の実施形態では、励起光源102および照射光源103が、一つの医療用カート164に取り付けられる一方、制御装置は、他の構成要素と共に、第二の医療用カート164に取り付けられる。
【0093】
図7Aは、組織撮像システム100用のメインメニューの例を示す画面表示装置を含むユーザインタフェース146の実施形態の正面図である。メインメニューは、一部の実施形態では、制御装置140に配置される画面または質問器120に配置される画面として、ユーザインタフェース146により表示され得る。メインメニューは、情報をユーザに提供し、本明細書に記載のように、ユーザが、システム100の要素を制御、設定、または調整する入力を提供可能にする。例えば、メインメニューは、ユーザに、デジタルビデオ記憶用の照射設定、感度設定、メモリの状態、サブメニューおよび制御装置へのアクセス等に関する情報を提供する。この例示された実施形態の追加の機能性は、写真を撮影し、ビデオ記録を開始し、手術野の視覚画像を示すビデオ画面に送信し、または制御装置140を待機モードに設定するための指令を含む。
【0094】
図7Bは、システム100の例示的な設定メニューを示すユーザインタフェース146の実施形態の正面図である。この例示的な表示装置は、一部の実施形態では、ユーザに、ユーザインタフェース146により表示されるメニューの言語を選択し、励起光源102の照射レベル設定を調整し、カメラ感度設定を調整し、写真と画像をコピーする命令をUSBまたは他のデジタル記憶装置に提供するためのオプションを提供する。
【0095】
図8は、神経組織802の画像および手術野内の神経組織802に隣接するまたはそれを囲む非神経組織の画像を示す画像表示装置150の実施例である。設定状態の表示器はまた、手術野の組織画像表示装置内の差し込み図として表示される。
【0096】
図9は、組織撮像システムを使用する方法のための例示的な工程ステップを示す流れ図である。該方法は、ステップ202で開始される。方法は、一部の実施形態では、位置決めステップ208および210、照射ステップ220、受信ステップ222、検出ステップ230、視覚画像形成ステップ240、および表示画像ステップを含む。一部の実施形態では、検出ステップ230は、フィルタリングステップをさらに含む。
【0097】
位置決めステップ208および210は、一部の実施形態では、質問器を位置決めすることを含み、受光列を有するプローブは、健康な非神経組織に隣接するまたはそれに囲まれる健康な神経組織を含有する対象の組織領域に近接して視覚画像を形成するために使用されるデータを取得するように構成される。一部の実施形態では、対象の組織領域は、手術創傷を含む。一部の実施形態では、対象の組織領域は、脊髄、前後の脊髄神経、および脊髄後神経節を含有する硬膜嚢の一部等の脊髄硬膜の一部を含有する手術創傷床を含む。一部の実施形態では、形成された視覚画像は、ステップ240で、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織804(図8の強調表示された画像802と対比されたはるかに暗い画像)と視覚的に対比される、神経、末梢神経、および/または硬膜等の健康な神経組織802(図8の白色または他の色の画像で強調表示を参照)の画像を含む。
【0098】
照射ステップ220は、一部の実施形態では、色素、マーカー、またはプローブがない状態で、第一の波長の励起光で照射することに応答して、第二の波長を含む放射光を作成させる、第一の波長を含む励起光で、組織を照射することを含む。一部の実施形態では、第一の波長は、ある波長領域である。一部の実施形態では、波長領域は、近紫外領域にある。一部の実施形態では、波長領域は、約300ナノメートル(nm)~約400nmである。一部の実施形態では、励起光の波長は、約370nmである。一部の実施形態では、励起光の波長は、約455nm~約510nmの波長領域である。一部の実施形態では、励起光の波長は、約485nmである。一部の実施形態では、励起光は、質問器から生じる。
【0099】
検出ステップ230は、一部の実施形態では、色素、マーカー、またはプローブがない状態で、組織から放射光を移動させることを含む。一部の実施形態では、受光列は、組織からの放射光、組織から反射された励起光、およびフィルタリングならびに処理用の環境光を集光する。
【0100】
フィルタリングステップ235は、一部の実施形態では、放射光をフィルタリングすることを含む。フィルタリングステップ235は、反射された励起光の少なくとも一部および環境光の少なくとも一部を除去する一方、放射光の実質的により大きい部分を優先的に通過させる。
【0101】
一部の実施形態では、フィルタリングステップ230は、光学フィルタにより実行される。一部の実施形態では、光学フィルタは、受光列により含まれる。一部の実施形態では、フィルタリングステップ230は、制御装置により含まれ、メモリに記憶されたソフトウェアパッケージを作動するプロセッサ等のプロセッサにより受信された光のデジタルフィルタリングを含む。一部の実施形態では、デジタルでフィルタリングされた光は、受光列により受信される。
【0102】
形成ステップ240は、一部の実施形態では、神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織の画像と対比・区別される、末梢神経等の神経組織の視覚画像を形成することを含む。視覚画像は、一部の実施形態では、カメラを含む質問器により受信される光の処理により、形成される(240)。一部の実施形態では、光は、カメラによりデジタル処理される。一部の実施形態では、光は、制御装置によりデジタル処理される。一部の実施形態では、光は、デジタル処理されず、視覚画像は、レンズを通過して見られる光学像である。一部の実施形態では、レンズは、受光列により含まれる。該方法は、ステップ252で終了される。
【0103】
組織撮像システムの代替的な例示的な実施形態
図13は、近紫外照射を使用して、非神経組織の撮像と対比した神経組織の撮像を選択的に実行し、代替的に、または同時に、赤外(IR)光を使用して、対象の組織領域1302の撮像も実行可能である、組織撮像システムの例示的な実施形態を示す。発明者らは、神経組織のかん流が、非神経組織のかん流よりも大幅に低い傾向にあることに気付いた。対象の組織領域を、赤外線源1304からの赤外線信号で選択的に照射し、対象の組織領域1302から放射された赤外信号を検出することで、対象の組織領域1302内の神経組織の形成された画像は、対象の組織領域1302内の非神経組織の形成された画像と視覚的に対比され得る。神経組織の形成された画像は、典型的に、非神経組織の形成された画像(より高輝度)に対して、より暗い画像(より低輝度)である。二つの画像は、対象の組織領域1302内の非神経組織の位置に対する神経組織の位置を同定するために、表示画面上などで、互いに視覚的に対比され得る。
【0104】
近紫外線源1304は、励起光を、本実施例によれば、検出フィルタ1322、レンズ1324、およびカメラ1320へのガイド光を含む、受光列に結合するために、一つ以上の光学フィルタ1306を含み得る。近紫外の励起光用のこの組の構成要素および、該当あれば、非神経組織からの光の検出と対比された神経組織からの内在性自発蛍光光の検出は、組織撮像システムの様々な例示的な実施形態に関して、すでに上述されたものと類似の記載を有する。
【0105】
赤外線源1308は、赤外線を対象の組織領域に結合し、そこから、赤外線信号を受光列およびカメラ1320に結合するために、一つ以上の赤外LEDおよび一つ以上の光学フィルタ1310を含み得る。赤外線の検出は、様々な実施形態によれば、該当あれば、非神経組織からの光の検出と対比された神経組織からの内在性自発蛍光光の検出に代替的に、またはそれと同時のいずれかで、選択的に実行可能である。神経組織からの赤外線検出からの画像と内在性自発蛍光光検出からの画像の二組の画像は、画像を重ね合わせ、対象の組織領域1302内の健康な神経組織および健康な非神経組織の位置を最も高い可能性で示す重ね合わせられた画像を表示させる処理システムにより、カメラから処理可能である。
【0106】
異なる組織の温度検出の追加による、神経組織を非神経組織と区別するための組織撮像の改善
カメラに結合された内視鏡プローブの先端は、対象の組織領域内の異なる組織の異なる温度を検出可能な温度センサ(例:一つ以上の赤外検出器)を含み得る。神経組織は、非神経組織よりも低温である場合が多くあり得るが、これは、神経組織が、非神経組織内の静脈、動脈、および筋肉がそうであるように、血液を含まない(またはかん流しない)ためである。血管柄付き組織は、神経組織と非神経組織との間の温度差のために、神経および硬膜が、隣接するおよび/または周囲の非神経組織構造と区別可能であるように、異なる色で光る。対象の組織領域内の様々な組織の固有温度は、温度センサを備えた内視鏡プローブを使用して(例:内視鏡プローブ先端の外面の周りに戦略的に配置された一つ以上の温度センサを使用して)、測定可能である。熱ポテンシャル差は、対象の組織領域にわたって測定され、その温度マップは、作成可能である。このマップでは、隣接する非神経組織構造と神経組織との間の主な温度遷移が強調されている。神経組織は、対象の組織領域内の非神経組織から受信された光信号に対し対比される、神経組織の内在性自発蛍光を検出することで、組織撮像を使用して、隣接するまたは周囲の非神経組織とさらに対比可能である。処理システムは、その後、内在性自発蛍光画像を、対象の組織領域内の様々な組織の温度マップと組み合わせ(例:重ね合わせ)可能である。これにより、神経組織の第一の合成画像が、非神経組織の第二の合成画像と対比可能である、対象の組織領域の合成画像が形成可能である。対象の同一の組織領域にわたるサーマルマッピングおよび内在性自発蛍光撮像のこの組み合わせにより、対象の組織領域内の神経組織と非神経組織とをより良好に区別するために、処理システムにより使用される検出工程内の感度および特異性が増加可能である。この組み合わせによる検出工程により、組織撮像システム用の非神経組織の同定と対比して、神経組織の同定が改善される。
【0107】
インピーダンスおよび偏光分析の利用
神経は、表示装置にヒトの目により検出可能である白色光により励磁される場合の、エネルギーの基礎放射を有する。異なる偏光波は、近紫外線で光る場合、次に、移動する偏光波を騒音または振動に変換し、ヒトの目が、表示装置に神経組織を視覚化可能にする前に、外科医に、神経組織の近接を知らせる警報を出す、特殊なセンサにより検出可能なように生成される。
【0108】
この検出は、対象の組織領域内の神経組織と非神経組織をより良好に区別するために、処理システムにより使用される検出工程内で感度および特異性を改善するために、上述のサーマルマッピングおよび内在性自発蛍光の撮像検出工程のうちの一つ以上と組み合わせ可能である。
【0109】
内在性自発蛍光光信号を変更する分析と組み合わせた非接触電気刺激からのインピーダンスおよび偏光の利用
神経は、神経組織に近接して生成されたパルス振動/変化電界に応答して、神経組織の軸索に沿って移動する、移動する偏光波(例:移動するパルス電気信号)を生成するように誘導可能である。パルス振動/変化電界は、様々な異なる方法で生成可能である。一つの実施例では、駆動用コイルは、カメラに結合された内視鏡プローブの先端近傍に配置可能である。駆動用コイルに加えられた振動電気信号は、神経組織に近接するパルス振動/変化電界を生成可能である。この移動するパルス電気信号は、神経組織の軸索に沿って移動し、神経組織との物理的接触さえなしに、電子ピックアップセンサ、または他の電気信号の検出回路により検出可能である。非神経組織は、パルス振動/変化電界に(移動する偏光波で)応答しない。
【0110】
軸索に沿って移動する偏光波がまた、移動する偏光波の波面で神経組織の内在性自発蛍光効果を一時的に変更するであろうことは予想される。移動する波面で(軸索内の一点で)変更される内在性自発蛍光効果は、軸索の残部に沿って内在性自発蛍光効果と一時的に異なるであろう。(神経組織の軸索に沿って移動する偏光波面を備えた)神経組織は、軸索の他の部分で神経組織から放射される内在性自発蛍光光信号と異なる波面で、神経組織から放射される内在性自発蛍光光信号の変化する波長(および、可能であれば、変化する輝度)を示すであろう。すなわち、神経組織から放射される自発蛍光光信号は、その波長を一時的に変更し、可能であれば、神経組織の軸索に沿って移動する偏光波面に続いて、その強度を変更するであろう。
【0111】
自発蛍光光信号のこの変化は、軸索に沿って移動する偏光波面を駆動するパルス振動/変化電界信号に相関可能である。さらに、このパルス状(変化する)自発蛍光光信号の検出は、対象の組織領域の一連の逐次画像でカメラにより捕捉され得る。一連の逐次画像は、画像処理を使用して、処理システムによりリアルタイム、またはほぼリアルタイムで分析され得る。該分析から、処理システムは、偏光波の移動する波面に近接する軸索の経路の概要マップを作成可能である。(軸索に沿った)神経組織の経路のこのマップは、神経組織の画像および非神経組織の別個の画像を示し得る。これらの画像は、外科医に、対象の組織領域内の神経組織および非神経組織の位置を警報で知らせる。
【0112】
神経組織の軸索の位置をマッピングするために、変化する自発蛍光光信号のこの検出は、対象の組織領域内の神経組織と非神経組織をより良好に区別するために、処理システムにより使用される検出工程内で感度および特異性を改善するために、上述のサーマルマッピングおよび内在性自発蛍光の撮像検出工程のうちの一つ以上と組み合わせ可能である。外科医は、神経組織および神経組織に隣接するまたはそれを囲む非神経組織の画像を参照して、対象の組織領域内の神経組織および非神経組織の位置にガイドされるであろう。
【実施例
【0113】
本発明の様々な実施形態の上述の記載は、以下に列挙される実施例により、部分的に示される。
【0114】
実施例1-頭部および首部の腫瘍
ケース1:35歳女性で、触診により、軟らかい移動不可の感触の左側面に、無痛の、徐々に大きくなる小結節の症状あり、小結節は圧痛なく、最大直径3cm。患者の神経学的検査は、顔面麻痺の徴候がなく、完全に正常であった。超音波検査により、左耳下腺内に硬い低エコー小結節が見られた。細針吸引(FNA)を行い、良性の多形腺腫が見られた。
【0115】
ケース2:55歳女性で、触診時に、堅い弾力のある感触の左側面に、無痛の、徐々に大きくなる小結節の症状あり、小結節は圧痛なく、最大直径2.5cm。上記ケースと同様、患者の神経学的検査は正常で、超音波検査により、左耳下腺内に硬い低エコー小結節が見られ、FNAにより、良性の多形腺腫が見られた。
【0116】
ケース3:43歳女性で、耳下腺下極の領域の、右側面の下面に、無痛の、徐々に大きくなる小結節の症状あり。触診により、小結節は堅く移動不可の感触で、圧痛なく、最大直径4cm。CTスキャンにより、病変は明確に定義され、十分に被嚢性であった。細針吸引により、筋上皮および間葉の両方の構成要素が見られ、多形腺腫に一致した。
【0117】
耳下腺の全面摘出が、顔面神経およびその枝の手術中の視覚化の改善のための組織撮像システムを使用して、上記ケース1~3の各々で実施された。Avelino-Gutierrez切開を、各患者に使用した。表面の頸部筋膜の皮膚弁を、耳下腺の前縁が見えるまで、表面の筋腱膜システム層と耳下腺筋膜との間に作成した。この時点で、顔面神経幹を同定し、顔面神経枝を、近紫外(NUV)光下で手術野の視覚化を可能にするため、組織撮像システムを使用して切離した。NUV光下で、頸部顔面および上行枝およびこれらの枝の長さは、明るく自発蛍光し、したがって、明確に同定された。三人の患者すべてにおいて、耳下腺摘出を完了し、排膿管を術中合併症なしに設置し、術直後および術後一日目の神経学的検査は両方とも正常であった。三人の患者すべては、術後一日目に退院・帰宅し、最終通院日の時点で、合併症または神経学的障害がない状態であった。
【0118】
実施例2-甲状腺がん
ケース4:45歳女性は、首部の右側側方に位置する1.1cmの皮下結節の症状により、当クリニックで受診した。身体的検査により、甲状腺の右葉領域に、堅い、無痛の小結節が見られ、患者が嚥下時に上下に移動した。超音波検査により、11×20mmの硬い小結節が、多数の小さい石灰化と不明瞭な境界を有し、不均一な形状で視覚化された。血清サイログロブリンが上昇した。FNAにより、乳頭状甲状腺がんと診断され、その後、さらに撮像により、播種性転移が見られ、BethesdaステージIVに一致した。甲状腺を外科的切除し、首部の中央および側方部を切離した。該外科的切除の間、喉頭および舌下の両方の回帰神経は、NUV光下で明るく自発蛍光し、容易に回避された。首部切離の間、手術野内のすべての神経は再度、NUV下で、その経過にわたって明確に同定され、この程度の視覚化は、白色光下で達成される視覚化よりも明らかに高品質であった。
【0119】
実施例3-神経外科
ケース5:以前健康だった88歳男性は、休憩なしの歩行距離の上限が約500メートルの重度の腰痛により、受診した。同患者の基礎検査により、L4棘突起にわたり腰に激しい圧痛が見られたが、神経学的障害はなかった。CTおよびMRIの両方の検査により、第4腰椎への腫瘍浸潤とその結果生じる破壊が、硬膜外腔への軟らかい組織浸潤と共に見られた。椎弓根の経皮的生検を行い、非HodgkinのB-細胞リンパ腫が見られた。様々なオプションを検討した後、脊柱管を減圧する第一の段階および腰椎を再建し安定化する第二の段階の二段階からなる脊髄手術を、化学療法を開始する前に行うよう決定した。
【0120】
手術は、患者を右側方の臥位に保持して、微小開口の後腹膜到達法を使用して、全身麻酔により行われた。その後の処置は、器具類、およびL2から仙骨にかけて伴われる後経皮器具類を含む、360°(腹背両面)式で行われた。L4椎体の切除に関わる第二のステップについて、脊柱管内の腹側に配置されたL3-4およびL4-5両方の椎間板および腫瘍組織を、チタンメッシュ補綴材を使用して、前柱の再建後に切除した。左側の前側方手法を採用した。患者は、創傷の不快感以外に、手術中または術後の合併症のいずれも罹っておらず、術後の痛みはなかった。患者は、二回目の手術後三日目に退院し、一週間以内に化学療法を開始した。患者は、完全に歩行可能になり、痛みはなかった。
【0121】
ケース6:乳児は、難産の間、右の腕神経叢損傷を患った。生後六か月の乳児(女子)は、肩と肘両方での屈曲麻痺の症状により、両親同伴のもと当クリニックで受診し、腕神経叢および肩甲上神経の患部を復元するため、対側下肢から採取された腓腹神経移植片を使用して、再建手術の予定が組まれた。対側腓腹神経、同側腕神経叢、横隔神経および肩甲上神経はすべて、NUV光下で、手術野内の経過にわたって容易に視覚化された。手術は、合併症もなく進行し、該乳児は、現在リハビリ中である。
【0122】
組織撮像システムを、本明細書に記載した。組織撮像システムは、光学的にまたはデジタルのいずれかで、手術野等の視覚画像を作成し、対象の標的組織領域の視覚化は、励起光での照射に応答して、末梢神経または脊髄硬膜等の神経組織の内在性自発蛍光または他の固有の特性により改善される、末梢神経または脊髄硬膜等の対象の組織領域内の神経組織の形成された強調表示された画像を含み得る。生成された視覚画像は、神経組織の形成された強調表示された画像と、神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織の形成された、より暗い画像と、を含む。励起光、放射光、反射光、またはそれらの組み合わせのフィルタリングにより、標的組織構造を周囲の脂肪、筋肉、または結合組織とさらに区別することで、視覚画像が改善される。約300nm~約400nmのNUV波長領域での励起光の使用は、特に効果的である。
【0123】
上述の甲状腺切除のような、組織撮像システム用の予言的な例示的な適用
一旦、甲状腺切除を開始し、甲状腺の葉を露出し、上茎を結紮すると、副甲状腺は同定される。副甲状腺に近い反回神経は、切離の継続が明らかになる必要がある。喉頭神経は、損傷リスクがある。外科医の助手は、神経(健康な神経組織)を照射し、その全軌道の自発蛍光画像を取得する、手術野から約20cmにデンドライトカメラを位置決めする。
【0124】
外科医は、健康な神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む健康な非神経組織により放射または反射される光と対比された神経からの自発蛍光によりガイドされて、回帰神経を周囲の構造から切離し、分離する。
【0125】
デンドライトカメラは、特定の励磁波長領域の光での照射手段により、神経を、隣接する正常な構造(健康な非神経組織)と区別可能である。励起光は、撮像システム内の光源と組み込まれる一つ以上の光学フィルタを使用して、生成・放射され得る。同時に、プロセッサは、ソフトウェアに応答して作動し、対象の組織領域から受信された光信号から形成された異なる画像を分析可能で、神経組織から放射された蛍光光ではない光信号の強度をブロックまたは大幅に低減し、例えば、神経から等、神経組織から放射された光信号等の特定の波長の蛍光光で光る構造(神経組織)の分解能を増加する。
【0126】
ロボットによる前立腺切除
ロボットプラットフォームの部分である振れ角30°のレンズは、膀胱頸部の切離用に使用される。前膀胱頸部を分割して、尿管口の位置と中葉の存在を評価して、その後、後膀胱頸部を分割する。その後、精管および精嚢を同定する。該管を分割して、精嚢を焼灼しない方法で切離し、神経血管束への損傷の可能性を回避する。デノンビリエス筋膜の後層を分割して、直腸周囲脂肪組織の同定を可能にし、前立腺と直腸との間のガイドとして機能した。神経温存を最適化するために、外科医は、外科医が、対象の組織領域内の健康な神経組織の画像を見て、健康な神経組織を正常な健康な非神経組織と区別することができる、デンドライトカメラを利用して(例:ロボットアームの硬質の内視鏡に装着されたデンドライトアダプタを利用して)、白色光と近紫外線とを切り替える。白色光とNUV光を組み合わせるデュアルモードを利用して、側前立腺筋膜を、外科医が、神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む正常な非神経組織からの神経血管束(神経組織)を視覚化可能で、後外側方に落ちるように、各側面で切開し、両側性の神経温存処置を実行する。
【0127】
視認され、健康な非神経組織と区別可能である神経血管束は、NUV光を使用する場合、尿道および前立腺の尖部のレベルに遠位に解放される。この時点で、前立腺の唯一残るアタッチメントは、陰茎背静脈叢(DVC)および尿道であった。その後、DVCおよび尿道を分割して、前立腺がない状態にして、試料を、10mmのエンドキャップバッグに入れる。
【0128】
腹腔鏡ニッセン噴門形成術
外科医は、腹腔を腹腔鏡で評価し、二酸化炭素を吹き込んだ後、上腹部を視覚化可能である。胃食道接合部を同定して、重度の胃不全まひを起こし得る迷走神経への損傷を回避するために、外科医は、前後の迷走神経を同定し、それらと他の正常な健康な非神経の軟組織および血管構造を区別するために、NUV光によるデンドライトカメラを利用する。この手段は、外科医が、この領域を再操作して、組織を、瘢痕組織により互いに接着する場合、さらにより重要になる。ここで、NUV光によるカメラは、神経を同定・追跡可能で、神経の切断を防止する。
【0129】
腹腔鏡/開放性鼠径ヘルニアの修復
外科医は、開放性技術で患者の鼠径部内で操作する場合、ヘルニア嚢を同定するために、白色光でコード構造を切離する。外科医は、コードを切離する間、陰部大腿神経の陰部枝に加えて、腸骨鼠径神経(神経組織)を同定して、それらが、外科医により横に切開され、または埋め込みメッシュ内に含まれるのを防止するために、開口デンドライトカメラを手の中に保持し、それを特殊なアームに装着可能で(例:硬質の内視鏡に装着されたデンドライトアダプタを使用して)、デンドライトカメラを使用して、白色光からNUV光に切り替え可能である。両方とも、感覚障害または長期的な動作困難な鼠径部の痛みをもたらし得る。アダプタを使用するデンドライトカメラは、腹腔鏡で作動する場合、表示モニタに投影され、外科医が、対象の組織領域内の同一構造の画像を視覚化し、それによって、それらの神経組織が、メッシュで損傷しまたは塞がれるのを防ぐことができる、腹腔鏡に装着される。
【0130】
開放性/腹腔鏡/ロボットにより骨盤手術
外科医は、手持ち式のデンドライトカメラ装置を使用することでの開放性、または内視鏡に装着されたアダプタを備えたデンドライトカメラを使用することでの腹腔鏡により、またはデンドライトカメラアダプタをロボットアームに装着することでのロボットにより、骨盤領域(例えば、結腸直腸手術で、婦人科または泌尿器処置)内で操作する場合、それを、神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む正常な健康な非神経組織と区別することで、神経(神経組織)を同定・保護する、デンドライトカメラのNUV光を利用する解剖学的構造を切離・除去可能である。
【0131】
心臓切開および開放性/胸腔鏡肺手術
心臓手術後の横隔神経の損傷は、それが求められる配慮に応じて、発生率が変動する。最終研究により、この合併症は、心筋保護計画中の低温誘導性の損傷および、可能であれば、内胸動脈採取中の機械の損傷に関連することが示された。結果はまた、変動可能で、特に肺機能に関して、患者の基礎症状に大幅に依存する。患者の反応は、無症候放射線学的異常から長期人工呼吸を要する重度の肺機能不全および他の関連した罹患率さらには死亡率までの範囲であり得る。外科医は、乳腺動脈を採取するおよび/または(神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む)心嚢を開口する場合、横隔神経(神経組織)を視覚化し、乳腺動脈を採取する場合、それが横に切開されないように保護するために、特殊アームに装着される手持ち式の開口デンドライトカメラまたは胸腔鏡に装着されるアダプタを備えた胸腔鏡下デンドライトカメラのいずれかを使用する。
【0132】
上肢および下肢の手術
外科医は、血管、脳神経外科、プラスチックおよび/または整形外科の処置を行う場合、最終処置を実行するために、解剖学的区画を評価する皮膚を大きく切開する。外科医は、この処置の間、神経(神経組織)と正常な筋肉および血管構造(神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織)を区別する必要がある。外科医は、デンドライトカメラを特殊アームに保持またはアシスタントがそれを保持することで、デンドライトカメラにより放射されたNUV光で光り、神経(神経組織)を同定し、それらと正常な周囲の軟組織および血管構造(神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織)を区別可能である。
【0133】
脳神経外科処置
顕微鏡に装着された万能アダプタを備えたデンドライトカメラを使用して、NUVカメラにより提供された画像と顕微鏡により捕捉されたリアルタイム画像との間の相互作用により、外科医は、健康な非神経組織および/または髄膜腫、転移、神経線維腫症等の腫瘍性工程により関与または囲まれる神経構造(健康な神経組織)を個別に扱うことができる。温度およびフロー検出器と組み合わせて、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織と対比された、健康な神経組織の画像のNUVデンドライトカメラ視覚化により、外科医には、海綿静脈洞等の感覚領域にアクセスし、侵入する突起を除去する可能性が与えられ、最小の健康な組織破壊での排出は、制限がない。
【0134】
頭蓋底の手術
硬膜に侵入するまたは破壊する頭蓋底に侵入する突起は、切除が困難である。NUVデンドライトカメラを使用して、硬膜(神経組織)の認知は、切離および切除を促進し、外科医が、一般外科手術のように、「健康な境界の中で」(健康な神経組織に隣接するおよび/またはそれを囲む非神経組織を)切除することさえも可能になる。
【0135】
脊椎の手術
デンドライトカメラを使用することで、外科医に、脊椎手術内でデンドライトカメラを使用する場合、処置の成功のために最大の可能性を提供する、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織と対比される、神経組織の撮像により硬膜(健康な神経組織)を同定可能である。
【0136】
経皮椎間板切除術
内視鏡へのアダプタを備えたデンドライトカメラの使用は、内視鏡で脊椎に接近する場合、外科医に、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織の位置と対比するように、(神経の硬膜被覆を間接的に認識することで)神経根の位置の即時の組織の撮像フィードバック(健康な神経組織)を提供し、このため、周囲の黄色の靱帯および椎間板または骨の材料からの明白な切離を可能にする。
【0137】
胸腔鏡下交感神経切除
デンドライトカメラを使用する(例:硬質の内視鏡に装着されたデンドライトアダプタを使用する)NUV画像は、外科医に、速やかに、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織の位置と対比するように、交感神経鎖およびその側副線維(神経組織)の位置を示す。神経組織および非神経組織のこの正確な位置は、多汗症用の交感神経切除を行う場合、非常に重要である。
【0138】
胸腔鏡下椎間板切除
胸腔内でNUV照射およびデンドライトカメラを使用すると(例:硬質の内視鏡に装着されたデンドライトアダプタを使用する)、外科医には、管を開けた後に脊柱管および硬膜に入る前に、隣接するおよび/または周囲の健康な非神経組織の位置と対比して、交感神経線維(神経組織)の位置についての重要な情報が与えられ、脊髄が首尾よく減圧され得る。
【0139】
非限定実施例
本発明は、統合の任意の可能な技術的詳細レベルで、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに、本発明の態様を実行させるための、その上にコンピュータ可読プログラムの命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0140】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置により使用するための命令を保持・記憶可能である接触型装置であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、または上記の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより特定の実施例の完全に網羅されていないリストは、以下の、携帯用フロッピーディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能ROM(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックRAM(SRAM)、携帯用コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、Memory Stick(登録商標)、フロッピーディスク、それに記録された命令を有する溝内のパンチカードまたは隆起構造等の機械式コード化装置、および上記の任意の好適な組み合わせを含む。本明細書で使用するコンピュータ可読記憶媒体は、電波または他の伝搬自在の電磁波、導波管または他の伝送媒体により伝搬する電磁波(例:光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、または電線により送信される電気信号等それ自体が一過性信号としては解釈されない。
【0141】
本明細書記載のコンピュータ可読プログラムの命令は、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワークおよび/または無線ネットワークのネットワークを介して、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置までまたは外部コンピュータまたは外部記憶装置までダウンロード可能である。ネットワークは、銅の伝送ケーブル、伝送用光ファイバー、無線送信、ルーター、ファイヤーウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバを含み得る。
【0142】
各計算/処理装置内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、コンピュータ可読プログラムの命令をネットワークから受信し、それぞれの計算/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体内に記録するために、コンピュータ可読プログラムの命令を転送する。
【0143】
本発明の工程を実行するためのコンピュータ可読プログラムの命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)の命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用の構成データ、またはSmalltalk(登録商標)、C++等のオブジェクト指向のプログラミング言語、および「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語等の手続き型のプログラミング言語を含む、一つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書き込まれるソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかであり得る。コンピュータ可読プログラムの命令は、ユーザのコンピュータで完全に、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータで部分的に、ユーザのコンピュータで部分的に、リモートコンピュータで部分的にまたはリモートコンピュータまたはサーバで完全に実行され得る。後者の場合で、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークによりユーザのコンピュータに接続され得、または外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用して、インターネットにより)接続され得る。一部の実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、電子回路を個人向けにするコンピュータ可読プログラムの命令の状態情報を利用することで、コンピュータ可読プログラムの命令を実行し得る。
【0144】
本発明の態様は、本発明の実施形態に係る、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、本明細書に記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、およびフローチャート図および/またはブロック図内のブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラムの命令により実施され得ることは理解されるであろう。
【0145】
これらのコンピュータ可読プログラムの命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数可)で特定される機能/作用を実施するように、機械を作製するための汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。これらのコンピュータ可読プログラムの命令はまた、その中に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数可)で特定される機能/作用の態様を実施する命令を含む製品を含むように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他の装置が、特定の方法で機能するように指示可能であるコンピュータ可読記憶媒体内で記憶され得る。
【0146】
コンピュータ可読プログラムの命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数可)で特定される機能/作用を実行するように、コンピュータで実行される工程を作成するために、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他の装置で実行するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置にロードされ得る。
【0147】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に係る、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および操作を示す。この点で、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、または特定の論理機能を実行するための一つ以上の実行可能命令を含む命令の部分を表し得る。一部の代わりの実装では、ブロック内に記載の機能は、図に記載の順序以外で生じ得る。例えば、連続して示す二つのブロックは、実際に、略同時に実行され得、またはブロックは、時として、関与する機能性に応じて、逆の順序で実行される場合がある。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート図内のブロックの組み合わせが、特定の機能または作用を実行するまたは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアに基づくシステムにより実行可能であることも留意される。
【0148】
本明細書が、特定の基準およびプロトコルに関する実施形態で実装される構成要素および機能を記載し得るものの、本発明は、このような基準およびプロトコルに限定されない。該基準の各々は、最先端の実施例を表す。このような基準は、時として、本質的に同一の機能を有するより高速またはより効率的な均等物により取って代わられる。
【0149】
本明細書に記載の実施例の図は、様々な実施形態の構造を一般的に理解させることを意図し、本明細書に記載の構造を活用し得る装置およびシステムのすべての要素および特徴を完全な記載するものとして、機能するようには意図されない。他の多くの実施形態は、当業者が上記の記載を検討する際に、明らかになるであろう。他の実施形態は、構造的および論理的な代替および変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、可能であるように、利用可能およびそれから誘導可能である。図面はまた、表示目的のみとし、原寸通りとはならない場合がある。その特定の比率は、誇張され得る一方、その他は最小限に抑えられ得る。したがって、明細書および図面は、限定を意味するのではなく、例示的な意味とみなされる。
【0150】
特定の実施形態が、例示され、本明細書に記載されるものの、同一目的を達成するように想定された任意の配置が、表示される特定の実施形態の代わりとなり得ることは理解されるべきである。本明細書の実施例は、様々な実施形態の任意のかつすべての適合例または変形例を網羅するように意図される。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されない他の実施形態は、本明細書で想定される。
【0151】
要約書は、それが、請求項の範囲または意味を解釈するまたは限定するために使用される意図がないという理解のもとで、提供される。さらに、上記の発明を実施するための形態において、様々な特徴は、本開示を簡素化する目的で、単一の例示的な実施形態に一緒に分類される。この開示方法は、請求項に記載の実施形態が、各請求項に明示的に列挙されるよりも多い特徴を要する意図を反映するものとしては解釈されない。むしろ、下記の請求項が表すように、発明の対象は、単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない数で存在する。このため、以下の請求項は、本明細書により、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、別々に請求項に記載の発明の対象として、それ自体で有効となる。
【0152】
唯一のプロセッサが、情報処理システム用に例示されているが、複数の中央処理装置(CPU)またはプロセッサを備えた情報処理システムは、同様に効果的に使用可能である。本発明の様々な実施形態は、プロセッサから処理をアンロードするために使用される別個の、完全にプログラムされたマイクロプロセッサを各々含むインターフェースをさらに組み込み可能である。さらに、様々な実施形態は、入力ユーザインタフェース、および出力ユーザインタフェース、またはその両方を含み得る。入力ユーザインタフェースの実施例は、例えば、マウス、キーボード、キーパッド、タッチパッド、または発声の指令および入力データを受信するためのマイク等を含み得るが、これらに限定されない。出力ユーザインタフェースの実施例は、例えば、表示装置、光、ランプ、接触型出力装置、または可聴信号および/または受信された発声指令および入力データに対する音声応答を出力するためのスピーカを含み得るが、これらに限定されない。
【0153】
処理システム用のメインメモリ内に含まれる操作システムは、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、Windows(登録商標)、およびWindows(登録商標)サーバベースの操作システム等を含むが、これらのいずれかに限定されない、好適なマルチタスクおよび/または多重処理操作システムであり得る。本発明の様々な実施形態は、他の任意の好適な操作システムを使用可能である。本発明の様々な実施形態は、操作システムの構成要素の命令が、情報処理システム内に配置される任意のプロセッサで実行可能である、オブジェクト指向のフレームワーク機構等のアーキテクチャを利用する。本発明の様々な実施形態は、有線通信、無線通信、狭域無線通信、広域無線通信、光通信、光ファイバー通信、衛星通信、または将来のネットワーキング機構を介して、現代のアナログおよび/またはデジタル技術を含むが、これらに限定されない、任意のデータ通信接続と機能するように適合され得る。
【0154】
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態のみの記載を目的とし、本発明を限定する意図は有さない。本明細書で使用する単数形の「a」、「an」および「the」は、明らかに文脈でそうでないとの指摘がない限り、複数形の意味も含むことを意図する。用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」が、本明細書で使用される場合、記載される特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除しないことは、さらに理解されるであろう。本明細書で使用する用語「別の」は、少なくとも第二またはそれ以降のものとして定義される。本明細書で使用する用語「含む(including)」および「有する(having)」は、含む(comprising)(すなわち、非限定の言い回し)として定義される。本明細書で使用する用語「結合される」は、必ずしも直接的ではなく、また必ずしも機械的ではないが、「接続される」として定義される。「通信可能に結合される」は、これらの構成要素が、例えば、有線、無線または他の通信媒体により互いに通信可能であるように、構成要素を結合することを指す。用語「通信可能に結合される」または「通信可能に結合する」は、一つの要素が別の要素を移動させるまたは制御し得る、電子制御信号を通信することを含むが、これに限定されない。用語「~するように構成される(た)」は、設定される、配置される、組み立てられる、~からなる、構成される、設計されるまたは特定の機能を実行するために、これらの特徴の任意の組み合わせを有する、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを記述する。用語「~に適合される」は、収容する、作成することができる、または特定の機能を実行するのに好適である、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを記述する。
【0155】
用語「制御装置」、「コンピュータ」、「プロセッサ」、「サーバ」、「クライアント」、「コンピュータシステム」、「計算システム」、「パーソナル計算システム」、「処理システム」、または「情報処理システム」は、本明細書の一つ以上の実施形態を実施するのに適合された、好適に構成された処理システムの実施例を記述する。任意の好適に構成された処理システムは、同様に、本明細書の実施形態により使用され得、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップパーソナルコンピュータ(ラップトップPC)、タブレットコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、無線通信装置、携帯端末、ワークステーション等を含むが、これらに限定されない。処理システムは、一つ以上の処理システムまたはプロセッサを含み得る。処理システムは、一つの処理システム内で集中式に、または異なる要素がいくつかの相互接続した処理システムにわたって分散される分散式に、実現可能である。以下の特許請求の範囲内のすべての手段またはステップさらに機能要素の対応する構造、材料、作用、および均等物は、請求項に具体的に記載されるもののように、他の請求項記載の要素と組み合わせた機能を実行するための任意の構造、材料、または作用を含むことを意図する。
【0156】
本出願の記載は、例示および記載目的で提示されているが、包括的で、開示形態で本発明に限定されるものとは意図されない。多くの修正および変形は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最良に説明し、他の当業者が、想定される特定の使用に適するように、様々な修正を有する様々な実施形態用の発明を理解可能にするために、選択・記載された。
図1
図2
図3
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図5
図6
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【国際調査報告】