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特表2023-533070オーロン誘導体、並びに細菌及び/又は真菌を制御するためのそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】オーロン誘導体、並びに細菌及び/又は真菌を制御するためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/83 20060101AFI20230725BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230725BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 311/30 20060101ALI20230725BHJP
   C07D 491/147 20060101ALI20230725BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20230725BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230725BHJP
   A01N 43/12 20060101ALI20230725BHJP
   C09K 15/06 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C07D307/83 CSP
A61P31/04
A61P31/10
A61K31/343
A61K31/352
C07D311/30
C07D491/147
A61K31/4375
A01P3/00
A01N43/12 B
C09K15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501396
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021069047
(87)【国際公開番号】W WO2022008678
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20305783.1
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】511025226
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デクス-マルセイユ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE D’AIX-MARSEILLE
【住所又は居所原語表記】Jardin du Pharo, 58, Bld Charles Livon, F-13284 Marseille cedex 07, France
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】515322183
【氏名又は名称】エコール・サントラル・ドゥ・マルセイユ
【氏名又は名称原語表記】ECOLE CENTRALE DE MARSEILLE
(71)【出願人】
【識別番号】507002516
【氏名又は名称】アンセルム(アンスティチュート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】523008071
【氏名又は名称】エタ・フランセ・ルプレセント・パール・ラ・ディレクション・サントラル・デュ・サービス・ドゥ・サンテ・デ・アルメ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ロバン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・マレスカ
(72)【発明者】
【氏名】ハムザ・オレイク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・ピケ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼット・ペリエ-ヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ミシェル・ボラ
(72)【発明者】
【氏名】ファビエンヌ・ヌーラ-リポル
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
4H011
4H025
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB07
4C050CC07
4C050DD07
4C050EE01
4C050FF05
4C050GG03
4C050HH02
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA06
4C086BA08
4C086CB22
4C086GA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB08
4H025AA14
4H025AA51
(57)【要約】
本発明は、式(I)のオーロン化合物、並びにそれらの細菌及び/又は真菌を制御するための使用に関する。本発明はまた、そのような化合物の植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤としての使用、並びにそれらを含む組成物にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、及び
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とし、
ただし、式(I)の前記化合物は、
- (Z)-N-(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;及び
- (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
からなる群において選択される化合物ではないことを条件とする)
の化合物、その塩及び立体異性体。
【請求項2】
式(I):
【化2】
(式中、
Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、及び
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とする)、
の化合物、その塩及び立体異性体、又は化合物D10:(Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オンの、細菌及び/又は真菌を制御するための使用。
【請求項3】
R3が、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)を表す、請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
G2が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
G3が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
ただし、G2及びG3の一方が-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表す場合、他方は水素を表すことを条件とする、
請求項1若しくは3に記載の化合物又は請求項2若しくは3に記載の使用。
【請求項5】
R3が、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表す、請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の使用。
【請求項6】
G2がCOOHを表す、請求項1若しくは3に記載の化合物、又は請求項2、3及び5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
R3及びR4がベンジルオキシを表す、請求項1、4及び6のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項2、4及び6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;
F2:16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド;
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;
からなる群において選択され、好ましくは、
- MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D1: (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D8: (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D10: (Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;
F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2‐イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド;
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
AD-1-61: (2Z)-2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;
AD-1-62: (2Z)-2-[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;
からなる群において選択され、好ましくは前記化合物が、
- MR1065 (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項10】
前記細菌が、好ましくはバチルス・セレウス、バチルス・サブティリス、クロストリジウム・ボツリヌム、クロストリジウム・コッコイデス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・プロピオニカム、エンテロコッカス・フェカーリス、ラクトコッカス・ラクチス、リステリア・モノサイトゲネス、ミクロコッカス・ルテウス、プロピオニバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、及びストレプトマイセス・ロイエテンシスからなる群において選択されるグラム陽性菌、好ましくはアシネトバクター・バウマニ、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・タイランデンシス、バークホルデリア・マレイ、バークホルデリア・シュードマレイ、シトロバクター・ファルメリ、シトロバクター・ロデンティウム、エシェリキア・コリ、E. コリEHEC、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエラ・ニューモニアエ、クレブシエラ・バリイコーラ、シュードモナス・エルジノーサ、シュードモナス・シリンガエ、サルモネラ・エンテリカ、シゲラ・フレクスネリ、及びビブリオ・アルギノリティカスからなる群において選択されるグラム陰性菌、又はマイコバクテリウム属である、請求項2から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記グラム陽性菌が、好ましくはナイシン耐性B. サブティリス及びメチシリン耐性S. アウレウスからなる群において選択される抗生物質耐性グラム陽性菌、又は抗生物質耐性グラム陰性菌、好ましくはバークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・タイ、バークホルデリア・マレイ及びバークホルデリア・シュードマレイである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記真菌が、カンジダ・アルビカンス、メタリジウム・アニソプリエ、ビューベリア・フェリナ、アスペルギルス・フラブス、フザリウム・グラミネアラム、フザリウム・バーティシリオイデス、ペニシリウム・ベロッコサム、フザリウム・オキシスポラム、アスぺルギルス・ニガー、スタキボトリス・チャータラム、アスペルギルス・オクラセウス、ミクロドキウム・ボレイ、ミクロドキウム・マユス、及びミクロドキウム・ニバーレからなる群において選択される、請求項2から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
好ましくは表面又は不活性物体に適用される、植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤としての請求項1から9のいずれか一項に規定の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に規定の化合物を含む植物保護又は除染又は消毒組成物であって、抗微生物及び/又は抗真菌剤を任意で更に含む組成物。
【請求項15】
表面又は不活性物体を除染又は消毒する方法であって、請求項14に記載の植物保護又は除染又は消毒組成物を、細菌及び/又は真菌が蔓延している又は蔓延していると疑われる表面又は不活性物体に適用する工程を含む方法。
【請求項16】
同時、別個、又は逐次使用のための、特に細菌及び/又は真菌を制御するための配合調製物として請求項1から9のいずれか一項に規定の化合物と更なる抗微生物及び/又は抗真菌剤とを含むキット。
【請求項17】
医薬品又は薬物としての使用、好ましくは細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は治療するための使用、更により好ましくは請求項10若しくは11に規定の細菌によって引き起こされる細菌感染症及び/又は請求項12に規定の真菌によって引き起こされる真菌感染症を予防及び/又は治療するための使用のための、請求項1から9のいずれか一項に規定の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物及び真菌の分野に関し、更に詳細には抗微生物及び抗真菌特性を示すオーロン誘導体及びそれらを含む組成物に関する。そのような誘導体は、植物衛生、植物保護(phytoprotective)、除染、及び消毒用途等の多数の用途、並びにヒト及び動物用医薬に適している。
【背景技術】
【0002】
フラボノイドは、例えばフラボン、カルコン、フラバノン及びそれらの誘導体を含めて、有望な抗細菌活性をもたらす天然物である。以下の足場を有する「オーロン」と呼ばれる、フラボノイドの少数のサブクラスが更に存在する。
【0003】
【化1】
【0004】
これらのオーロンは、花色素、ネクターガイド又は抗酸化剤の役割を果たす。オーロンの天然誘導体のうち、オーロン足場の環Aの6位の炭素上にヒドロキシを含むもう3種の特定化合物、すなわちセファロセロン、ヒスピドール、及びヒスピドール-4’-O-β-D-グルコシドが、細菌及び真菌に対して効率的な作用剤であると同定された。更に詳細には、セファロセロンは、グラム陰性菌エルウィニア・カクティシダ(Erwinia cacticida)の増殖を阻害し、ヒスピドール及びヒスピドール-4’-O-β-D-グルコシドは、病原真菌フォーマ・メディカギニス(Phoma medicaginis)を阻害することが明らかになってきた。したがって、オーロン誘導体の多様性は、細菌及び/又は真菌等の病原体の制御のための興味深い手法でありうる。
【0005】
2019年の初めに、Olleikら(European Journal of Medicinal Chemistry、2019、165、133~141)は、いくつかのグラム陽性及びグラム陰性の細菌及び真菌種に対してオーロン誘導体を合成し、評価した。しかし、オーロン足場の環Aの4位及び6位の炭素におけるヒドロキシによって置換されているオーロンのみ、有効性の第1の徴候を示した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Olleikら、European Journal of Medicinal Chemistry、2019、165、133~141
【非特許文献2】J. Pharm. Sci.、1977、66、2
【非特許文献3】P. Heinrich Stahl及びCamille G. Wermuth編、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use、2002
【非特許文献4】European Food Research and Technology、2012、235、1133~1139
【非特許文献5】Agrawal, Nitin N.; Soni, P. A., Indian Journal of Chemistry, Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry、44B(12)、2601~2603; 2005
【非特許文献6】Agrawal, Nitin N.; Soni, P. A.、Indian Journal of Chemistry, Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry、45B(5)、1301~1303、2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、オーロン誘導体を含む安全な又は無毒性の抗微生物及び/又は抗真菌製品を開発することが求められ続けている。更に詳細には、多数の細菌及び真菌に対して改善された有効性を示すオーロン誘導体を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これに関連して、本発明者らは、耐性株を含むグラム陽性及びグラム陰性菌に対して殺細菌活性、及び殺真菌活性を有し、最小発育阻止濃度(MIC)がマイクロモル、好ましくは100μM未満である式(I)のオーロン誘導体を提供した。本発明者らは、本発明の式(I)の化合物の安全性、すなわち無毒性も示した。
【0009】
したがって、本発明は、式(I):
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、及び
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とし、
ただし、式(I)の前記化合物は、
- (Z)-N-(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;及び
- (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
からなる群において選択される化合物ではないことを条件とする)
の化合物、その塩及び立体異性体に関する。
【0012】
本発明の別の目的は、式(I):
(式中、
【0013】
【化3】
【0014】
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、及び
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とする)、
の化合物、その塩及び立体異性体、又は化合物D10:(Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オンの、細菌及び/又は真菌を制御するための使用である。
【0015】
特定の実施形態において、R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)を表す。
【0016】
好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、
⇒G2が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
⇒G3が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
ただし、G2及びG3の一方が-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表す場合、他方は水素を表すことを条件とするような化合物である。
【0017】
別の特定の実施形態において、R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表す。
【0018】
別の特定の実施形態において、G2はCOOHを表す。
【0019】
別の特定の実施形態において、R3及びR4はベンジルオキシを表す。
【0020】
好ましくは、式(I)の化合物は、
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド;
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート
からなる群において選択される。
【0021】
好ましくは、前記化合物は、
- MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される。
【0022】
好ましくは、式(I)の化合物の、細菌及び/又は真菌を制御するための使用は、
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D1: (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D8: (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D10: (Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;
F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド;
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
AD-1-61: (2Z)-2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸
AD-1-62: (2Z)-2-[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
MR1120 : (Z) -エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
MR1121 : (Z) -デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート
からなる群において選択される。
【0023】
好ましくは、前記化合物は、
- MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される。
【0024】
詳細な態様において、前記細菌は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、又はマイコバクテリウム属である。好ましくは、グラム陽性菌は、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・コッコイデス(Clostridium coccoides)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・プロピオニカム(Clostridium propionicum)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、及びストレプトマイセス・ロイエテンシス(Streptomyces roietensis)からなる群において選択される。好ましくは、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、バークホルデリア・タイランデンシス(Burkholderia thailandensis)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)、シトロバクター・ファルメリ(Citrobacter farmeri)、シトロバクター・ロデンティウム(Citrobacter rodentium)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、E. コリEHEC、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・バリイコーラ(Klebsiella variicola)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、及びビブリオ・アルギノリティカス(Vibrio alginolyticus)からなる群において選択される。
【0025】
更に詳細な態様において、前記細菌は、抗生物質耐性細菌、好ましくは抗生物質耐性グラム陽性菌、より好ましくはナイシン耐性(Nisin R)B. サブティリス、及びメチシリン耐性S. アウレウスからなる群において選択される、又は好ましくは抗生物質耐性グラム陰性菌、好ましくはバークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・タイ(Burkholderia thai)、バークホルデリア・マレイ及びバークホルデリア・シュードマレイである。
【0026】
更なる態様において、前記真菌は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)、ビューベリア・フェリナ(Beauveria felina)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・バーティシリオイデス(Fusarium verticillioides)、ペニシリウム・ベロッコサム(Penicillium verrucosum)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、アスぺルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、スタキボトリス・チャータラム(Stachybotrys chartarum)、アスペルギルス・オクラセウス (Aspergillus ochraceus)、ミクロドキウム・ボレイ(Microdochium bolleyi)、ミクロドキウム・マユス(Microdochium majus)、及びミクロドキウム・ニバーレ(Microdochium nivale)からなる群において選択される。
【0027】
本発明の更なる目的は、植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤としての、本明細書に規定の化合物の使用である。特に、前記植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤は、表面又は不活性物体に適用される。更に詳細には、前記植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤は、少なくとも抗微生物及び/又は抗真菌剤と組み合わせて適用される。
【0028】
本発明の更なる目的は、本明細書に規定の化合物を含む、植物保護又は除染又は消毒組成物である。特定の実施形態において、前記組成物は、抗微生物及び/又は抗真菌剤を更に含む。
【0029】
本発明の別の目的は、表面又は不活性物体を除染又は消毒する方法であって、本明細書に記載の植物保護又は除染又は消毒組成物を、細菌及び/又は真菌が蔓延している又は蔓延していると疑われる表面又は不活性物体に適用する工程を含む方法である。
【0030】
本発明の別の目的は、同時、別個、又は逐次使用のための、特に細菌及び/又は真菌を制御するための配合調製物として本明細書に規定の化合物と更なる抗微生物及び/又は抗真菌剤とを含むキットである。
【0031】
本発明はまた、医薬又は薬物としての使用のための本明細書に規定の化合物にも関する。本発明はまた、細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための使用、好ましくは本明細書に規定の細菌及び/又は真菌によって引き起こされる細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための使用のための本明細書に規定の化合物にも関する。本発明はまた、抗生物質又は抗真菌薬剤としての使用のための本明細書に定義する化合物にも関する。
【0032】
本発明は更に、本明細書に定義する化合物と薬学的に許容できる添加物とを含む医薬組成物にも関する。本発明の別の目的は、細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための使用のための本明細書に定義する医薬組成物にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の化合物の参照細菌株:E. コリ(ATCC 8739)、B. サブティリス(ATCC 6633)、P. エルジノーサ(ATCC 9027)、S. アウレウス(ATCC 6538P)、H. ピロリ(ATCC43504)に対する抗微生物効果、及び本発明の化合物の参照真菌株:C. アルビカンス(ATCC 200498)に対する抗真菌効果を示す図である。オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、細菌の場合National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)並びに真菌の場合NCCLS M27-A及びM38-Pに従って液体培地における2倍段階希釈液を使用して決定することによって評価した。
図2】本発明の特定化合物A7、B5、C11、C12、及びE5の、抗生物質に耐性をもつ株を含む参照細菌及び真菌株に対する抗微生物及び抗真菌効果を示す図である。オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、細菌の場合National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)並びに真菌の場合NCCLS M27-A及びM38-Pに従って液体培地における2倍段階希釈液を使用して決定することによって評価した。
図3】本発明の化合物のバークホルデリア(Burkholderia)株に対する抗微生物効果を示す図である。オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)に従って液体培地における2倍段階希釈液を使用して決定することによって評価した。
図4】本発明の化合物の植物病原性細菌シュードモナス・シリンガエ(DSM 10604)及びストレプトマイセス・ロイエテンシス(DSM 101729)に対する抗細菌効果を示す図である。オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)に従って液体培地における2倍段階希釈液を使用して決定することによって評価した。
図5】本発明の化合物のさまざまなヒト細胞に対する毒性の評価を示す図である。本発明による化合物の細胞生存率に対する効果は、増大する濃度の化合物に48時間曝露した後レサズリンアッセイを使用して測定した。IC50値(すなわち、細胞生存率の50%低下を引き起こす化合物の濃度)を、Graph Pad Prismを使用してプロットされたデータから計算し、μMの単位で表す。使用した細胞は、ヒト腎細胞株A498(ATCC(登録商標) HTB-44)、ヒト正常肺上皮細胞BEAS-2B(ATCC(登録商標) CRL-9609)、ヒト腸管細胞株Caco-2(ATCC(登録商標) HTB-37)、ヒト正常表皮角化細胞HaCaT、ヒト肝細胞株HepG2(ATCC(登録商標) HB-8065)、ヒト正常血管内皮細胞HUVEC、ヒト正常肺線維芽細胞IMR90細胞(ATCC(登録商標) CCL186)及びヒト胃細胞株N87(ATCC(登録商標) CRL-5822)であった。
図6】本発明の特定化合物A7、B5、C11、C12、及びE5の治療指数又は安全係数を示す図である。治療指数(TI)又は安全係数(SF)は、各細胞型について得られたIC50を同じオーロンについて観察された最小MIC値で除することによって計算した。
図7】化合物A7、B1、B5、C4、C10、C11、C12、D1、D2、D10、及び対照抗生物質ドキシサイクリンによるB. シュードマレイに対する耐性の誘導を示す図である。
図8】化合物A7、B1、B5、C4、C10、C11、C12、D1、D2、D10、及び対照抗生物質ドキシサイクリンによるB. マレイに対する耐性の誘導を示す図である。
図9A】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物A7の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定(chi-squared test)の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9B】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物A9の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9C】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物B1の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9D】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物C10の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9E】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物C11の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9F】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物B5の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9G】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物C12の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9H】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物D1の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9I】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物D10の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9J】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物E5の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図9K】OECDガイドラインN° 487に準拠したインビトロ小核試験による試験化合物F2の変異原性を示す図である。BI:二核細胞;MONO:単核細胞;CBPI:細胞質分裂阻害増殖指数;CI%:対照と比較して百分率で表した細胞分裂停止指数;MNC1、MNC2:微小核化細胞率;MNC-M:微小核化細胞率の平均値;P:χ2検定の確率(p<0.05:対照培養物と比較した有意差);NS:対照培養物と比較した有意ではない差。
図10】本発明の特定化合物AD-1-44、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076の参照細菌株:E. コリ(ATCC 8739)、B. サブティリス(ATCC 6633)、P. エルジノーサ(ATCC 9027)、S. アウレウス(ATCC 6538P)、C. ディフィシル(DSM 1296)に対する抗微生物効果、及び本発明の化合物の参照真菌株:C. アルビカンス(DSM 10697)に対する抗真菌効果を示す図である。オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、細菌の場合National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)並びに真菌の場合NCCLS M27-A及びM38-Pに従って液体培地における2倍段階希釈を使用して決定することによって評価した。
図11】化合物AD-1-44、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076のヒト肝細胞株HepG2(ATCC(登録商標) HB-8065)に対する毒性の評価を示す図である。本発明による化合物の細胞生存率に対する効果は、増大する濃度の化合物に48時間曝露した後レサズリンアッセイを使用して測定した。IC50値(すなわち、細胞生存率の50%低下を引き起こす化合物の濃度)を、Graph Pad Prismを使用してプロットされたデータから計算し、μMの単位で表す。
図12】本発明の特定化合物AD-1-44、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076の治療指数又は安全係数を示す図である。治療指数(TI)又は安全係数(SF)は、各細胞型について得られたIC50を同じ化合物について観察された最小MIC値で除することによって計算した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本発明によれば、下記の用語は、以下の意味を有する。
【0035】
例えばC1~C3、C1~C6又はC1~C10等の接頭辞を伴う本明細書に記載される用語は、C1~C2、C1~C5、又はC2~C5等のより低い炭素原子数の場合にも使用することができる。例えば、用語C1~C6が使用される場合、対応する炭化水素鎖は1~6個の炭素原子、特に1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を含みうることを意味する。例えば、用語C2~C6が使用される場合、対応する炭化水素鎖は2~6個の炭素原子、特に2、3、4、5、又は6個の炭素原子を含みうることを意味する。
【0036】
用語「アルキル」は、飽和、直鎖状又は分枝状の脂肪族基を指す。用語「(C1~C3)アルキル」は更に具体的には、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルを意味する。用語「(C1~C6)アルキル」は更に具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシルを意味する。好ましい実施形態において、「アルキル」はメチルである。
【0037】
用語「アルキルオキシ」又は「アルコキシ」は、-O-(エーテル)結合によって分子に結合している、以上に定義されるアルキル基に相当する。(C1~C3)アルキルオキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、及びイソプロピルオキシが挙げられる。(C1~C6)アルキルオキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられる。好ましい実施形態において、「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」は、メトキシ又はイソプロピルオキシである。
【0038】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、好ましくはフッ素に相当する。
【0039】
用語「アミノ酸残基」は、アミノ末端基又はアシド末端基、好ましくはアシド末端基によって分子の残りに結合しているアミノ酸に相当する。それは、式NH2-CH(R)-CO-によって表すことができ、式中、Rは、アミノ酸の側鎖に相当する。それには、以下の構造によって表すことができる「アルギニン残基」等いずれのアミノ酸残基も含まれる。
【0040】
【化4】
【0041】
用語「カルバミミドイル-グアニジン」は、以下の構造によって表すことができる。
【0042】
【化5】
【0043】
用語「ゲラニル」は、以下の構造によって表すことができる。
【0044】
【化6】
【0045】
用語「ファルネシル」は、以下の構造によって表すことができる。
【0046】
【化7】
【0047】
用語「シトロネリル」は、以下の構造によって表すことができる。
【0048】
【化8】
【0049】
用語「フェニルオキシ」は、-O-フェニル基に相当する。用語「ベンジルオキシ」は、-O-ベンジル基又は-O-CH2-フェニル基に相当する。
【0050】
「フラボン」基は、以下の構造を有する。
【0051】
【化9】
【0052】
「ベルベリン」基は、以下の構造を有する。
【0053】
【化10】
【0054】
「少なくとも1つの~によって置換されている」という表現は、基がリストの1個又は数個の基によって置換されていることを意味する。
【0055】
「立体異性体」は、同じ分子式及び結合原子の配列を有するが、それらの原子の空間の三次元定位が異なる異性化合物である。立体異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、Cis-trans及びE-Z異性体、配座異性体、並びにアノマーが挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、立体異性体としては、ジアステレオ異性体及びエナンチオマーが挙げられる。
【0056】
「薬学的塩」としては、無機酸塩及び有機酸塩が挙げられる。好適な無機酸の代表例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸等が挙げられる。好適な有機酸の代表例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。薬学的無機酸又は有機酸付加塩の更なる例としては、J. Pharm. Sci.、1977、66、2、並びにP. Heinrich Stahl及びCamille G. Wermuth編、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use、2002に列挙された薬学的塩が挙げられる。「薬学的塩」は、無機塩基塩及び有機塩基塩を含む。好適な無機塩基の代表例としては、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム若しくはマグネシウム塩、又はアンモニウム塩が挙げられる。有機塩基との好適な塩の代表例としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンとの塩が挙げられる。
【0057】
本明細書では、細菌及び/又は真菌を「制御すること」又は「制御する」という用語は、細菌及び/又は真菌の低減、排除、根絶、死滅、除染、予防及び/又は処置を含む。別の実施形態において、そのような用語は、細菌及び/又は真菌の発生の減速及び/又は停止を更に含む。
【0058】
本明細書では、「処置」、「処置する」又は「処置すること」という用語は、疾患、特に感染症、好ましくは細菌感染症及び真菌感染症の治療、予防、防御及び遅延等の、患者の健康状態を改善するように意図されたいずれの行為も指す。いくつかの実施形態において、そのような用語は、疾患又はそれに伴う症状の改善又は根絶を指す。他の実施形態において、この用語は、疾患を有する対象に1種又は複数の治療剤を投与することに起因するそのような疾患の伝播又は悪化を最小限に抑えることを指す。
【0059】
本明細書では、用語「対象」、「個体」又は「患者」は、互換性があり、動物、好ましくは哺乳類、更により好ましくは成人、小児、新生児及び出生前段階のヒトを含めてヒトを指す。しかし、用語「対象」は、非ヒト動物、特に哺乳類、とりわけイヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ヒツジ及び非ヒト霊長類等も指すことができる。
【0060】
用語「量(quantity)」、「量(amount)」、及び「用量」は、本明細書において同義に使用され、分子の絶対的定量を指すことができる。
【0061】
本明細書では、用語「活性素」、「活性成分」及び「医薬品活性成分」は等しく、効果、例えば植物保護効果、除染効果、消毒効果、治療効果、例えば抗感染効果、抗微生物効果及び抗真菌効果を有する組成物の成分を指す。
【0062】
本明細書では、「表面」は、家庭又は職場で見られるいずれの表面も指す。例えば、病院、学校、老人ホーム、店舗、レストラン、実験室(床、壁、窓、実験台)で見られる表面を挙げることができるが、これらに限定されない。農場、舗道、及び運動場における地面も表面とみなすことができる。
【0063】
本明細書では、「不活性物体」は、私生活又は職業人生においてヒトが使用するいずれの物体も指す。例えば、料理するために使用される器具及び物体、学校、実験室、老人ホーム、病院、運動場に存在する器具及び物体、並びに家庭に存在する器具及び物体(家庭内の物体)を挙げることができるが、これらに限定されない。不活性物体としては、ゴミ袋、食品用ラップフィルム、テキスタイル及びカーペット下敷きも挙げることができる。
【0064】
本明細書では、用語「植物保護」剤又は「植物保護」組成物は、植物を細菌や真菌等のいずれの病原体からも保護する作用剤又は組成物を指す。
【0065】
本明細書では、用語「植物」は、植物種すべて、特にヒトによって栽培された植物種、とりわけヒトが消費するための食物(穀物、栽培産物、飼料作物、野菜、果実、つる植物等)をもたらす食用植物、並びに/又はすべての目的(暖房、住居の建築、家具等)の木材の供給及び/若しくは装飾のための植物種を意味する。例えば、植物としては、小麦及びトウモロコシが挙げられる。植物という用語は、樹幹、茎、枝、及び葉等植物の部分も含む。
【0066】
本明細書では、用語「除染」剤又は「除染」組成物は、細菌や真菌等のいずれの危険物質又は有機体も中和又は除去する作用剤又は組成物を指す。
【0067】
本明細書では、用語「消毒」剤又は「消毒」組成物は、表面又は不活性物体を、特に細菌や真菌等の微生物を死滅、根絶、又は排除することによって清掃する作用剤又は組成物を指す。
【0068】
本明細書では、用語「有効量」は、細菌及び/若しくは真菌を制御し、又は細菌及び/若しくは真菌感染症を予防及び/若しくは処置する活性成分又は組成物の量を指す。投与される量は、当業者が表面、除染若しくは消毒する不活性物体、又は処置される対象、感染症の性質等に応じて適合させることができることは自明である。
【0069】
本明細書では、用語「添加物又は薬学的に許容できる担体」は、活性成分を除いて医薬組成物中に存在するいずれの成分も指す。その添加は、特定の稠度又は他の物理的若しくは味覚特性を最終生成物に付与することを目的とすることができる。添加物又は薬学的に許容できる担体は、活性成分といかなる相互作用、特に化学的相互作用も有してはならない。
【0070】
化合物
本発明は、抗微生物及び抗真菌特性を有する新規化合物を提供する。
【0071】
本発明によれば、化合物、その塩及び立体異性体は、以下の式(I):
【0072】
【化11】
【0073】
(式中、
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とし、
ただし、式(I)の前記化合物は、
- (Z)-N-(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;及び
- (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
からなる群において選択される化合物ではないことを条件とする)
を有する。
【0074】
特定の実施形態において、式(I)の前記化合物は、
AD-1-61:(2Z)-2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;及び
AD-1-62:(2Z)-2-[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸
からなる群において選択される化合物ではない。
【0075】
更なる特定の実施形態において、化合物、その塩及び立体異性体は、以下の式(I):
【0076】
【化12】
【0077】
(式中、
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
ただし、式(I)の前記化合物は、
- (Z)-N-(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;及び
- (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
からなる群において選択される化合物ではないことを条件とする)
を有する。
【0078】
好ましい実施形態において、XはOを表す。
【0079】
本発明による式(I)の化合物は、R3の定義に従って2つのカテゴリー、すなわち「モノマー」化合物又は「ダイマー」化合物に更に分類することができる。
【0080】
モノマー化合物
「モノマー」化合物は、式(I)の化合物であり、式中、R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11を表し、R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである。したがって、本発明の特定の態様は、R3が、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11を表し、R10及びR11が、独立に水素又は(C1~C6)アルキルであるような態様である。好ましくは、R3は、水素、メトキシ、イソプロピルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(CH2)5-COOH、又は-N(CH3)2を表す。より好ましくは、R3は、水素、メトキシ、イソプロピルオキシ、又はベンジルオキシを表す。
【0081】
この特定の態様において、G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシ、好ましくはメトキシを表す。より好ましくは、G1は水素を表す。
【0082】
この特定の態様において、G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表す。
【0083】
好ましい実施形態において、G2は、
・水素、
・(C1~C6)アルキル、好ましくはメチル、及び
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)
からなる群において選択される基を表す。
【0084】
より好ましい実施形態において、G2は、
・水素、及び
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)
からなる群において選択される基を表す。
【0085】
更により好ましい実施形態において、G2は、水素又は-NHCOCH3基を表す。この特定の態様において、G2は、-COOR9も表し、R9は、水素、(C1~C12)アルキル、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチル若しくはエチル、ゲラニル、ファルネシル、又はシトロネリルである。
【0086】
好ましい実施形態において、G2は-COOHを表す。
【0087】
この特定の態様において、G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表す。
【0088】
好ましい実施形態において、G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)
からなる群において選択される基を表す。
【0089】
より好ましい実施形態において、G3は、
・水素、及び
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)
からなる群において選択される基を表す。
【0090】
更により好ましい実施形態において、G3は、水素、ヒドロキシ、又はアミノ基を表し、有利には水素又はアミノ基を表す。
【0091】
好ましい実施形態は、
⇒G2が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
⇒G3が、水素又は-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表し、
ただし、G2及びG3の一方が-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)を表す場合、他方は水素を表すことを条件とするような実施形態である。
【0092】
より好ましい実施形態は、G2及びG3の一方が-NHCOR8基(R8は、(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルである)であり、他方が水素であるような実施形態である。
【0093】
別のより好ましい実施形態は、G2及びG3の一方がアミノ基であり、他方が水素であるような実施形態である。
【0094】
この特定の態様において、G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルを表す。より好ましくは、G4は水素である。
【0095】
この特定の態様において、R1及びR5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表す。好ましい実施形態において、R1及びR5は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表す。別の好ましい実施形態において、R1及びR5は、水素、ハロゲン、好ましくはフッ素、(C1~C6)アルキルオキシ、好ましくはメトキシ又はベンジルオキシを表す。具体的な実施形態において、R1は、水素、ハロゲン、好ましくはフッ素、(C1~C6)アルキルオキシ、好ましくはメトキシ又はベンジルオキシを表す。更に具体的には、R1は、水素又はベンジルオキシを表す。好ましい実施形態において、R5は水素を表す。
【0096】
より好ましい実施形態は、G2とG3の両方が水素であり、R1及びR3又はR3及びR5がベンジルオキシであるような実施形態である。
【0097】
この特定の実施形態において、R2及びR4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表す。好ましくは、R2及びR4は、水素、ハロゲン、好ましくはフッ素、(C1~C6)アルキルオキシ、好ましくはメトキシ若しくはイソプロピルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表す。好ましい実施形態において、R2は、水素、ハロゲン、好ましくはフッ素、(C1~C6)アルキルオキシ、好ましくはメトキシ若しくはイソプロピルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表す。より好ましくは、R2は、水素又はベンジルオキシを表す。好ましい実施形態において、R4は、水素又はメトキシ、好ましくは水素を表す。
【0098】
別の特定の実施形態において、R3及びR4がベンジルオキシを表し、又はR2及びR3がベンジルオキシを表す。
【0099】
この特定の態様において、式(I)の化合物は、
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;及び
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド.
からなる群において選択される。
【0100】
好ましくは、前記化合物は、
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
- MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
- MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
- MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート.
からなる群において選択される。
【0101】
ダイマー化合物
「ダイマー」化合物は、式(I)の化合物であり、式中、R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表す。したがって、本発明の特定の態様は、R3が、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すような態様である。好ましい実施形態において、R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ又はヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボンである。好ましくは、R3は-O-フラボンである。別の好ましい実施形態において、R3は-CH2-ベルベリンである。
【0102】
この特定の態様において、G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表す。好ましくは、G1は水素を表す。
【0103】
この特定の態様において、G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表す。
【0104】
好ましくは、G2は水素を表す。
【0105】
この特定の態様において、G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表す。
【0106】
好ましくは、G3は水素を表す。
【0107】
好ましい実施形態は、G2とG3の両方が水素であり、R3が、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すような実施形態である。
【0108】
この特定の態様において、G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキル、好ましくはメチルを表す。好ましくは、G4は水素を表す。
【0109】
この特定の態様において、R1及びR5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表す。好ましくは、R1及びR5は水素を表す。
【0110】
この特定の実施形態において、R2及びR4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表す。好ましくは、R2及びR4は水素を表す。
【0111】
この特定の態様において、式(I)の化合物は、
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2, 4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される。
【0112】
用途
実施例によって説明されるように、本発明者らは、式(I)の化合物について抗微生物効果、特に抗細菌及び抗真菌効果を明らかにした。したがって、本明細書に定義する化合物、特にモノマー及びダイマー化合物を含めて本明細書に定義する化合物は、細菌及び/又は真菌を制御するのに有用でありうる。
【0113】
したがって、本発明は更に、式(I):
【0114】
【化13】
【0115】
(式中、
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・カルバミミドイル-グアニジン、及び
・-COOR9(R9は、水素、(C1~C12)アルキル、ゲラニル、ファルネシル又はシトロネリルである)
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、-O-(C1~C6)アルキル-COOH、-NR10R11(R10及びR11は、独立に水素又は(C1~C6)アルキルである)、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とする)、
の化合物、その塩及び立体異性体、又は化合物D10:(Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オンの、細菌及び/又は真菌を制御するための使用に関する。
【0116】
特定の実施形態において、本発明は、式(I):
【0117】
【化14】
【0118】
(式中、
⇒Xは、O、NH、S、又は-CH2-を表し、
⇒G1は、水素又は(C1~C6)アルキルオキシを表し、
⇒G2は、
・水素、
・-NR6R7基によって任意に置換されている(C1~C6)アルキル(R6及びR7は、独立に水素又は-COR8であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G3は、
・水素、
・ヒドロキシ、
・-NR6R7基(R6及びR7は、独立に水素、-COR8、又はアルギニン残基であり、R8は、(C1~C6)アルキルである)、及び
・a カルバミミドイル-グアニジン
からなる群において選択される基を表し、
⇒G4は、水素、ニトロ、又は(C1~C6)アルキルを表し、
⇒R1は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
⇒R2は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R3は、水素、(C1~C6)アルキルオキシ、-COOH、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表し、
⇒R4は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、フェニルオキシ、又はベンジルオキシを表し、
⇒R5は、水素、ハロゲン、(C1~C6)アルキルオキシ、ベンジルオキシ、又はフェニルオキシを表し、
ただし、G2及びG3が水素を表す場合、
- R1及びR3は、ベンジルオキシを表し、或いは
- R3は、少なくとも(C1~C10)アルキルオキシ若しくはヒドロキシによって任意に置換されている-O-フラボン、又は-CH2-ベルベリンを表すことを条件とする)、
の化合物、その塩及び立体異性体、又は化合物D10:(Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オンの、細菌及び/又は真菌を制御するための使用に関する。
【0119】
本発明はまた、式(I)の化合物(式中、X、G1、G2、G3、G4、R1、R2、R3、R4、R5は、以上に定義される特定の及び好ましい実施形態及び態様をすべて含み、以上に定義される通りのものである)、又は化合物D10:(Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オンの、細菌及び/又は真菌を制御するための使用にも関する。
【0120】
本発明の好ましい目的は、化合物の細菌及び/又は真菌を制御するための使用であり、前記化合物は、
A1: (Z)-N-(2-(2'-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸;
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン;
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D1: (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D8: (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
D10: (Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;
F2:16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2, 4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド;
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
AD-1-61: (2Z)-2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;
AD-1-62: (2Z)-2-[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸;
MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート;及び
MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート.
からなる群において選択される。
【0121】
本発明のより好ましい目的は、化合物の細菌及び/又は真菌を制御するための使用であり、前記化合物は、
- MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸;
- A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド;
- C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン;
- E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン;及び
- F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2, 4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
からなる群において選択される。
【0122】
特に、細菌は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、又はマイコバクテリウム属である。
【0123】
特定の実施形態において、細菌はグラム陽性菌である。
【0124】
好ましくは、グラム陽性菌は、バチルス・セレウス、バチルス・サブティリス、クロストリジウム・ボツリヌム、クロストリジウム・コッコイデス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・プロピオニカム、エンテロコッカス・フェカーリス、ラクトコッカス・ラクチス、リステリア・モノサイトゲネス、ミクロコッカス・ルテウス、プロピオニバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、及びストレプトマイセス・ロイエテンシスからなる群において選択される。
【0125】
別の態様において、グラム陽性菌は、いずれの抗生物質にも耐性をもつグラム陽性菌である。抗生物質耐性グラム陽性菌の一例として、バチルス属、エンテロコッカス属、スタフィロコッカス属、クロストリジウム属、リステリア属、及びストレプトコッカス属に属する細菌を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、抗生物質耐性グラム陽性菌は、ナイシン耐性B. サブティリス及びメチシリン耐性S. アウレウスからなる群において選択される。
【0126】
更なる特定の実施形態において、細菌はグラム陰性菌である。
【0127】
好ましくは、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・タイランデンシス、バークホルデリア・マレイ、バークホルデリア・シュードマレイ、シトロバクター・ファルメリ、シトロバクター・ロデンティウム、エシェリキア・コリ、E. コリEHEC、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエラ・ニューモニアエ、クレブシエラ・バリイコーラ、シュードモナス・エルジノーサ、シュードモナス・シリンガエ、サルモネラ・エンテリカ、シゲラ・フレクスネリ、及びビブリオ・アルギノリティカスからなる群において選択される。
【0128】
更なる態様において、グラム陰性菌は、いずれの抗生物質にも耐性をもつグラム陰性菌である。抗生物質耐性グラム陰性菌の一例として、クレブシエラ属、シュードモナス属、ヘリコバクター属、エンテロバクター属、ビブリオ属、バークホルデリア属、ナイセリア属、アグロバクテリウム属に属する細菌を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、抗生物質耐性グラム陰性菌は、バークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・タイ、バークホルデリア・マレイ及びバークホルデリア・シュードマレイである。特に、そのようなグラム陰性バークホルデリア属菌は、セファロスポリン、ペニシリン、マクロライド、アミノシド等の抗生物質に天然耐性をもつ。
【0129】
更なる特定の実施形態において、細菌はマイコバクテリウムである。マイコバクテリウムの一例として、M. ツベルクローシス、M. アビウム、M. アビウム亜種パラツベルクローシス、M. マリナム、M. アブセサス、M. ウルセランス、M. レプラエ又はM. スメグマティスを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、マイコバクテリウムは、M. スメグマティスである。
【0130】
特に、真菌は、カンジダ・アルビカンス、メタリジウム・アニソプリエ、ビューベリア・フェリナ、アスペルギルス・フラブス、フザリウム・グラミネアラム、フザリウム・バーティシリオイデス、ペニシリウム・ベロッコサム、フザリウム・オキシスポラム、アスぺルギルス・ニガー、スタキボトリス・チャータラム、アスペルギルス・オクラセウス、ミクロドキウム・ボレイ、ミクロドキウム・マユス、及びミクロドキウム・ニバーレからなる群において選択される。
【0131】
本発明は、本明細書に定義する式(I)の化合物の、細菌及び/又は真菌を低減、排除、根絶、死滅、除染、予防、及び/又は処置するための使用にも関する。本発明は、本明細書に定義する式(I)の化合物の、細菌及び/又は真菌の発生を減速及び/又は停止するための使用に更に関する。
【0132】
本発明は、細菌及び/又は真菌を制御する方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を表面又は不活性物体に適用する工程を含む方法に更に関する。本発明の別の目的は、細菌及び/若しくは真菌を低減、排除、根絶、死滅、除染、予防、及び/若しくは処置し、又は細菌及び/若しくは真菌の発生を減速及び/若しくは停止する方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を表面又は不活性物体に適用する工程を含む方法である。
【0133】
本発明の更なる目的は、本明細書に規定の化合物の植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤としての使用である。好ましくは、植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤は、表面又は不活性物体に適用される。特定の実施形態において、植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤は、少なくとも抗微生物及び/又は抗真菌剤と組み合わせて適用される。
【0134】
本発明の別の目的は、本明細書に規定の化合物を含む、植物保護又は除染又は消毒組成物である。特定の実施形態において、前記植物保護又は除染又は消毒組成物は、抗微生物及び/又は抗真菌剤を更に含む。
【0135】
抗微生物剤の一例として、i)医薬において使用される抗生物質、例えば以下のファミリー:ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、リンコマイシン、マクロライド、スルホンアミド、グリコペプチド、アミノグリコシド、カルバペネム、及び抗微生物ペプチドに属する抗生物質、並びにii)表面を処置するために使用される抗微生物剤、例えばアルコール、水酸化ナトリウム、漂白剤、洗浄剤、及び陽イオン洗浄剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0136】
抗真菌剤の一例として、i)医薬において使用される抗真菌薬、例えばクロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、及びアムホテリシン、並びにii)植物衛生処置として使用される抗真菌剤、例えばメトコナゾール、フルジオキソニル、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、プロチオコナゾール、セダキサン及び硫酸銅溶液を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0137】
特に、植物保護及び/又は除染及び/又は消毒剤は、0.1~100μM、0.5~50μM、0.5~30μM、好ましくは0.78~25μM、より好ましくは25μMの濃度で使用される。したがって、植物保護又は除染又は消毒組成物は、0.1~100μM、0.5~50μM、0.5~30μM、好ましくは0.78~25μM、より好ましくは25μMの濃度の本明細書に規定の化合物を含む。
【0138】
本明細書に記載の植物保護又は除染又は消毒組成物は、洗浄、植物保護、除染、及び消毒分野において現在使用されているいずれの添加物も含むことができる。
【0139】
本発明はまた、表面又は不活性物体を除染又は消毒する方法であって、本明細書に記載の植物保護又は除染又は消毒組成物を細菌及び/又は真菌が蔓延している又は蔓延していると疑われる表面又は不活性物体に適用する工程を含む方法にも関する。
【0140】
本発明は、本明細書に記載の植物保護組成物を細菌及び/又は真菌が蔓延している又は蔓延していると疑われる植物(又は植物の部分)に適用する工程を含む植物衛生方法にも関する。好ましくは、植物は、穀物、栽培産物、飼料作物、野菜、果実、つる植物、より好ましくは小麦及びトウモロコシから選択される。
【0141】
本発明は更に、同時、別個、又は逐次使用のための、特に細菌及び/又は真菌を制御するための配合調製物として本明細書に規定の式(I)の化合物と抗微生物及び/又は抗真菌剤とを含むキットにも関する。好ましい実施形態において、キットは、通知書又は取扱説明書、特に細菌及び/又は真菌を制御するための通知書又は取扱説明書を更に含む。
【0142】
別の態様において、本発明は、医薬品又は薬物としての使用のための本明細書に規定の化合物に関する。特に、本発明はまた、細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための使用のための本明細書に規定の化合物にも関する。本発明はまた、抗生物質又は抗真菌薬剤としての使用のための本明細書に規定の化合物にも関する。
【0143】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容できる添加物とを含む医薬組成物にも関する。
【0144】
本発明の別の目的は、細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための使用のための本明細書に記載の医薬組成物である。本発明はまた、細菌感染症及び/又は真菌感染症を処置する方法であって、それを必要とする対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトにおいて有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物又は式(I)のそのような化合物を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法にも関する。本発明はまた、記載の式(I)の化合物の、細菌感染症及び/又は真菌感染症を予防及び/又は処置するための医薬組成物の製造のための使用にも関する。
【0145】
本明細書では、細菌感染症は、以上に定義されるグラム陽性、グラム陰性又はマイコバクテリウム属に属する細菌による宿主(動物、ヒト又は植物)への侵入(疾患を引き起こそうが起こすまいが、局所又は全身侵入)である。
【0146】
本明細書では、真菌感染症は、真菌、好ましくは酵母、子嚢菌門、担子菌門又は単一属の科に属する真菌による宿主(動物、ヒト又は植物)への侵入(疾患を引き起こそうが起こすまいが、局所又は全身侵入)である。
【0147】
本発明の別の態様及び利点を、以下の実施例において説明するが、それらの実施例は例示するものであって、限定するものではないとみなされるべきである。
【実施例
【0148】
(実施例A:化学)
1.化合物の調製
経路1: 5-アセトアミドカルコン誘導体の調製は、以下に示すように置換ベンズアルデヒドと2-ヒドロキシ-5-アセトアミドアセトフェノン(2)のクライゼン‐シュミット縮合によって行った。
【0149】
【化15】
【0150】
撹拌しているp-アニシジン(6.036g、49mmol)のDCM(20mL)懸濁液に、無水酢酸(5mL、53mmol)を1時間かけて滴下して加えた。反応物を1時間撹拌し、次いでヘキサン(60mL)に注ぎ込み、更に1時間撹拌した。形成された固体を濾過により回収し、ヘキサンで洗浄して、表題化合物1(7.717g、95%、mp:132℃)を薄灰色固体として得た。HRMS: C9H11NO2の計算値165.0790 実測値, 165.0789. LRMS (EI): 165 (M+, 71%), 108 ([NH2C6H4O]+, 100).1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.13 (s, 3H) 3.78 (s, 3H) 6.83 (d, 2H, 9 Hz) 7.38 (d, 2H, 9 Hz).13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.66, 55.85, 114.49, 122.37, 131.41, 156.82, 168.79.
【0151】
撹拌しているDCM中の1(32mmol)及び塩化アセチル(93mmol)の懸濁液に、三塩化アルミニウム(AlCl3、109mmol)を90分かけて少量ずつ添加した。次いで、反応物を4.5時間加熱還流し、終夜冷却した。混合物を氷に注ぎ込み、次いでDCMで(5回)抽出し、(MgSO4)乾燥し、真空下で濃縮して、N-(3-アセチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-アセトアミド(2)を得た。表題化合物をジエチルエーテルから淡緑色固体(5.336g、87%、mp:125~163℃)として結晶化した。HRMS: C10H11NO3の計算値193.0739 実測値, 193.0740. C10H11NO3の元素分析計算値: C, 62.17; H, 5.74; N, 7.25. 実測値: C, 62.11; H, 5.81; N, 7.12. LRMS (EI): 193 (M+, 100%).1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.16 (s, 3H) 2.61 (s, 3H) 6.92 (d, 1H, J= 9 Hz) 7.33 (dd, 1H, J= 2.6及び9 Hz) 8.16 (d, 1H, J= 2.6 Hz) 12.09 (s, 1H, OH).13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.71, 27.16, 119.08, 119.60, 122.94, 127.42, 129.58, 159.62, 168.86, 204.84.
【0152】
カルコン3の調製(クライゼン‐シュミット縮合)
MeOH(20mL)中の2(10mmol)、対応するアルデヒド(10mmol)及びLiOH.H2O(70mmol)の混合物を、CEM装置(開放容器、300ワット、80℃)においてMWIに2分+20分間かけた。得られた溶液を室温まで放冷した。溶媒を真空下で除去し、残渣を50mLの1N HClに注ぎ込んだ。次いで、得られた沈殿物をろ別し、過剰水で洗浄し、乾燥し、更に精製することなく使用した。
【0153】
オーロン合成:
【0154】
【化16】
【0155】
等モル量の二酢酸水銀(Hg(OAc)2、10ミリモル)のピリジン(10mL)溶液に、対応するカルコン(3、10ミリモル)を添加し、溶液を1時間還流した。次いで、反応物を室温に冷却し、氷冷水に注ぎ込み、1N HClで中和した。こうして得られた沈殿物を濾過し、酢酸エチルで結晶化して、所望のオーロン4を得た。この研究における標識(A1、A2、A7、A12、B4、B5、B10、C4、C8、D1、D3、D8)。
【0156】
C10は、この合成手順によって、クレイストカリクス・オペルクラツス(Cleistocalyx operculatus)の花芽から抽出されたDMC(2’,4’-ジヒドロキシ-6’-メトキシ-3’,5’-ジメチルカルコン、European Food Research and Technology、2012、235、1133~1139)を出発物として得た。
【0157】
C12、D10、オーロンも、この手順によって、対応するカルコンを出発物として得た。
【0158】
アミノ誘導体におけるアセトアミドカルコン(A1、A2、A7、A12、B4、B5、B10、C4、C8、D1、D3、D8)の脱保護
【0159】
【化17】
【0160】
10mmolのアセトアミドカルコンを、EtOH(20mL)及び濃H2SO4(5mL)の混合物に添加した。溶液を2時間還流した。冷却すると、溶媒を真空下で除去し、得られた残渣を氷水(100mL)に注ぎ込んだ。得られた溶液を、16%NH4OHでpH=7になるまで中和した。形成された沈殿物を濾過により回収し、過剰の冷水で洗浄した。得られたアミノ誘導体(A9、B1、B11、C1、D2)を、更に精製することなく使用した。
【0161】
経路2: 6-アセトアミドオーロンの合成は、対応するベンゾフラノン縮合を用いて展開した。
【0162】
12.92g(98.0mmol)のAlCl3の1,2-ジクロロエタン(20mL)溶液に、N2下に0℃でクロロアセチルクロリド(6.52g、58.2mmol)を添加し、続いて15分以内に4g(24.2mmol)のN-(3又は4-メトキシフェニル)-アセトアミドを添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、室温にゆっくり温め、更に24時間撹拌した。褐色混合物を、200mLの氷水及び200mLのAcOEtに添加した。混合物を激しく撹拌した後、得られた沈殿物をろ別し、真空下で乾燥した。
【0163】
MR1060: N-(3-(2-クロロアセチル)-4-ヒドロキシフェニル)アセトアミド
【0164】
【化18】
【0165】
収率:83%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.85 (s, 1H, NH), 9.90 (s, 1H, OH), 7.92 (d, 1H, J=1.9 Hz, C-H2), 7.69-7.66 (dd, 1H, J=1.9;8.5 Hz, C-H6), 6.96-6.93 (d, 1H, J=8.5 Hz, C-H7), 5.02 (s, 2H, CH2), 2.00 (s, 3H, CH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 192.71 (CO), 168.09 (CO), 154.73 (C-4), 131.41 (C-1), 127.32 (C-6), 120.72 (C-3), 120.33 (C-2), 117.6 (C-5), 50.31 (CH2Cl), 23.73 (CH3). C10H10ClNO3の元素分析計算値(%): C, 52.76; H, 4.43; N, 6.15; 実測値 C, 52.79; H, 4.46; N, 6.11. m/z: 227,03492 (100.0%).
【0166】
MR1057: N-(4-(2-クロロアセチル)-3-ヒドロキシフェニル)アセトアミド
【0167】
【化19】
【0168】
収率:81%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 11.39 (s, 1H, NH), 10.25 (s, 1H, OH), 7.77-7.75 (d, 1H, J=8.8 Hz, C-H2), 7.47 (d, 1H, J=1.8 Hz, C-H2), 7.03-7.01 (dd, 1H, J=1.9;8.8 Hz, C-H6), 5.02 (s, 2H, CH2), 2.07 (s, 3H, CH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 192.74 (CO), 169.22 (CO), 161.11 (C-3), 146.01 (C-1), 131.45 (C-5), 114.89 (C-4), 110.23 (C-6), 105.9 (C-2), 48.68 (CH2), 24.23 (CH3). C10H10ClNO3の元素分析計算値(%): C, 52.76; H, 4.43; N, 6.15; 実測値 C, 52.69; H, 4.50; N, 6.10. m/z: 227,03492 (100.0%).
【0169】
MR1058: N-(3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)アセトアミド
得られた固体を30mLのEtOHに導入した。2.64g(32.2mmol)のAcONaを添加し、次いで混合物を24時間加熱還流した。EtOHを減圧下で除去し、混合物の固体を、1:2(v/v)の石油エーテル/AcOEt混合物を溶離液として使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。黄色固体の3(1.47g、32%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d 6): δ 10.45 (s, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 1.4 Hz), 7.56 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.14 (dd, 1H, J1= 8.5 Hz, J2= 1.6 Hz), 4.75 (s, 2H), 2.11 (s, 3H).13C NMR (100 MHz, DMSO-d 6): δ 197.5, 174.5, 169.4, 147.9, 124.2, 115.6, 113.4, 101.5, 75.2, 24.3. TOFEI [C10H9NO3]の計算値m/z 191.0582, 実測値 m/z 191.0534.
【0170】
【化20】
【0171】
MR1061: N-(3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0172】
【化21】
【0173】
1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.09 (s, 1H, NH), 7.95 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H4), 7.75-7.72 (dd, 1H, J=2.4;8.9 Hz, C-H6), 7.25-7.22 (d, 1H, J=8.99 Hz, C-H7), 4.78 (s, 2H, CH2), 2.04 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 199.78 (C-3), 169.3 (C-8), 168.37 (CO), 133.89 (C-5), 129.83 (C-6), 120.67 (C-9), 113.69 (C-4), 112.43 (C-7), 75.25 (C-2), 23.84 (CH3). C10H9NO3の元素分析計算値(%): C, 62.82; H, 4.74; N, 7.33; 実測値 C, 62.78; H, 4.76; N, 7.29. m/z: 191,05824 (100.0%).
【0174】
MR1058をエタノール/KOH(10%)混合物及び/又は塩化コリン/尿素深共晶溶媒中で対応するアルデヒドと縮合させて、G4を得た。それを記載のように脱保護して、C11を得た。
【0175】
ダイマー調製:
【0176】
【化22】
【0177】
E5: 4’-フルオロオーロン(D5)と6-ヒドロキシフラボン(CAS番号6665-83-4)
4’-フルオロオーロン(10ミリモル)、6-ヒドロキシフラボン(10ミリモル)及びK2CO3(20ミリモル、2当量)をジメチルアセトアミド(10mL)中で混合し、130℃で12時間加熱した。次いで、冷却した溶液を、沈殿物が出現するまで氷水/1N HClに注ぎ込んだ。溶液をろ別し、乾燥し、ジエチルエーテルで洗浄して、所望のダイマーを得た。
【0178】
F2: オーロン-ベルベリン
【0179】
【化23】
【0180】
塩化ベルベリン(3,71g、10mmol)を、室温で撹拌下5N NaOH(20mL)に溶解した。アセトン(5mL)をその温度で滴下して加え、1時間撹拌した。その間に、沈殿が起こり、反応混合物を濾過し、80%MeOHで洗浄して、所望のアセトニルベルベリン(アセトニルBBR)(3.34g、85%)を得た。アセトニルBBR(1g、2.5mmol)を更に精製することなく使用し、アセトニトリルに溶解し、NaI(0.5g、3.3mmol)を80℃で4時間、MR1042(3mmol)に加えた。反応混合物を真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH、90/10(v/v))にかけて、F2を得た。
【0181】
5-カルボン酸カルコン誘導体の調製は、以下に示すように置換ベンズアルデヒドと3-アセチル-4-ヒドロキシ安息香酸(2)のクライゼン‐シュミット縮合によって行った。
【0182】
【化24】
【0183】
対応するカルコンのオーロン(AD1-61、AD1-66及びMR1065)への環化は、ピリジン中110℃で1当量の酢酸水銀を用いて1時間行った。
【0184】
MR1120及びMR1121は、MR1065を出発物として得られる。
【0185】
MR1065のエステル化は、MR1120の場合、EtOH中で還流させながら触媒量のH2SO4を用いて行われた。MR1121の場合、Dean-Stark装置によって水を除去しながら、キシレン(8mL)中安息香酸(8mmol)、オクタン-1-オール(8mmol)及び塩基(4mmol)の溶液を12時間還流した。
【0186】
2.化合物
すべての試薬の秤量及び取扱いは、空気中、室温で行った。1H NMRスペクトルは、Brucker AC 300及びAC 400(300及び400MHz)分光計で測定した。データは、以下の通り報告した:内部溶媒シグナルを基準とした化学シフト(ppm)(CDCl3の場合、7.26ppmのピーク;DMSO-d6の場合、2.49ppmのピーク)、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、dd=二重-二重線、m=多重線、br=ブロード)、結合定数(Hz)、及び帰属。13C NMRスペクトルは、Brucker AC 300及び400(75及び100MHz)分光計で完全プロトンデカップリングにより測定した。内部溶媒シグナル(CDCl3の場合、77ppmのピーク、及びDMSO-d6の場合、39.5ppmのピーク)からの化学シフトを、ppmの単位で報告した。
【0187】
A1: (Z)-N-(2-(2’-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0188】
【化25】
【0189】
収率:83%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.15 (s, 1H, NH), 8.20-8.18 (dd, 1H, J=1.2;7.8 Hz, C-H6'), 8.10 (d, 1H, J=1.9 Hz, C-H4), 7.83-7.80 (dd, 1H, J=2.2;8.9 Hz, C-H6), 7.52-7.49 (d, 1H, J=8.9 Hz, C-H7), 7.46 (dt, 1H, J=7.1 Hz, C-H4'), 7.19 (s, 1H, C-H10), 7.16-7.09 (m, 2H, C-H3',5'), 3.91 (s, 3H, OCH3), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.53(C-3), 168.41(CO), 161.21(C-8), 158.32(C-2'), 146.75(C-2) 135.53(C-5), 131.99(C-4'), 131.11(C-6'), 128.71(C-6), 120.89(C-1'), 120.68(C-5'), 120.08(C-9), 113.31(C-3'), 113.15(C-7), 111.57(C-10), 105.47(C-4), 55.84(OCH3), 23.83(CH3). C18H15NO4の元素分析計算値(%): C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53; 実測値 C, 69.87; H, 4.91; N, 4.52. m/z: 309.1001 (100.0%).
【0190】
A2: (Z)-N-(2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0191】
【化26】
【0192】
収率:71%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.16 (s, 1H, NH), 8.10 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4), 7.83-7.80 (dd, 1H, J=2.2;8.9 Hz, C-H6), 7.60-7.55 (m, 2H, C-H2',4'), 7.54-7.51 (d, 1H, J=8.9 Hz, C-H7), 7.43 (dt, 1H, J=8.0 Hz, C-H5'), 7.06-7.03 (dd, 1H, J=2.6;8.2 Hz, C-H6'), 6.90 (s, 1H, C-H10), 7.16-7.09 (m, 2H, C-H3',5'), 3.82 (s, 3H, OCH3), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.68(C-3), 168.42(CO), 161.33(C-8), 159.42(C-3'), 146.88(C-2), 135.58(C-5), 133.08(C-6'), 130(C-2'), 128.82(C-6), 123.74(C-1'), 120.59(C-9), 116.57(C-6'), 115.76(C-4'), 113.35(C-7), 113.15(C-4), 112.07(C-10), 55.15(OCH3), 23.83(CH3). C18H15NO4の元素分析計算値(%): C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53; 実測値 C, 69.84; H, 4.88; N, 4.53. m/z: 309.1001 (100.0%).
【0193】
A7: (Z)-N-(2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0194】
【化27】
【0195】
収率:80%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.16 (s, 1H, NH), 8.10 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4), 7.84-7.80 (dd, 1H, J=2.2;8.9 Hz, C-H6), 7.63 (bs, 1H, C-H2'), 7.58-7.32 (m, 8H,), 7.14-7.11 (dd, 1H, J=7.9 Hz, C-H4'), 6.89 (s, 1H, C-H10), 5.18 (m, 2H, CH2), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.74 (C-4), 168.51 (CO), 161.36 (C-8), 158.53 (C-3'), 146.92 (C-2), 136.87 (C-1bn), 135.64 (C-5), 133.14 (C-5'), 130.1 (C-6'), 128.87 (C-6), 128.48 (C-3bn), 127.94 (C-4bn), 127.83 (C-2bn), 124.14 (C-1'), 120.62 (C-9), 117.27 (C-4'), 116.75 (C-2'), 113.45 (C-7), 113.17 (C-4), 112.09 (C-10), 69.34 (CH2), 23.91 (CH3). C24H19NO4の元素分析計算値(%): C, 74.79; H, 4.97; N, 3.63; 実測値 C, 74.74; H, 5.01; N, 3.60. m/z: 385.13141 (100.0%).
【0196】
A9: (Z)-5-アミノ-2-(3-(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0197】
【化28】
【0198】
収率:72%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.61 (bs, 1H, C-H2'), 7.55-7.53 (d, 1H, J=8.8 Hz, C-H7), 7.50-7.48 (d, 2H, C-H2bn), 7.41 (dt, 2H, C-H3bn), 7.36-7.33 (m, 2H, C-H5',4bn), 7.11-7.09 (dd, 1H, J=7.9 Hz, C-H6), 7.06-7.04 (dd, 1H, J=7.9 Hz, C-H4'), 6.83 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4), 6.77 (s, 1H, C-H10), 5.26 (bs, 2H, NH2), 5.17 (m, 2H, CH2).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 184.24 (C-3), 158.48 (C-3'), 158.14 (C-8), 147.21 (C-2), 145.63 (C-5), 136.87 (C-1bn), 133.43 (C-1'), 129.97 (C-5'), 128.42 (C-3bn), 127.86 (C-4bn), 127.75 (C-2bn), 124.71 (C-6), 123.89 (C-7), 120.91 (C-9), 117.04 (C-4'), 116.4 (C-2'), 113.21 (C-6'), 110.73 (C-10), 105.45 (C-4), 69.31 (CH2). C22H17NO3の元素分析計算値(%): C, 76.95; H, 4.99; N, 4.08; 実測値 C, 76.88; H, 5.01; N, 4.04. m/z: 343.12084 (100.0%).
【0199】
A12: (Z)-N-(3-オキソ-2-(4-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0200】
【化29】
【0201】
収率:67%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.15 (s, 1H, NH), 8.11 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4), 8.03-8.00 (d, 2H, J=7.9 Hz, C-H2'), 7.83-7.79 (dd, 1H, J=2.2;8.9 Hz, C-H6), 7.50-7.42 (m, 3H, C-H7, 7'), 7.22 (t, 1H, J=7.4 Hz, C-H8'), 7.12-7.09 (m, 4H, C-H3',6'), 6.94 (s, 1H, C-H10), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.43 (C-3), 168.38 (CO), 161.14 (C-8), 158.41 (C-1''), 155.43 (C-4'), 146.18 (C-2), 135.5 (C-5), 133.43 (C-3''), 130.15 (C-2'), 128.67 (C-6), 126.79 (C-1'), 124.27 (C-4''), 120.76 (C-9), 119.41 (C-3'), 118.28 (C-2''), 113.24 (C-7), 113.11 (C-4), 111.83 (C-10), 23.82 (CH3). C23H17NO4の元素分析計算値(%): C, 74.38; H, 4.61; N, 3.77; 実測値 C, 74.35; H, 4.67; N, 3.73. m/z: 371.11576 (100.0%).
【0202】
B1: (Z)-5-アミノ-2-(3-フェノキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0203】
【化30】
【0204】
収率:51%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.71-7.69 (d, 1H, J=7.9 Hz, C-H6'), 7.64 (bs, 1H, C-H2'), 7.51-7.49 (d, 1H, J=7.9 Hz, C-H6), 7.44 (dt, 2H, C-H9'), 7.22-7.15 (m, 2H, C-H4,5'), 7.09-7.04 (m, 4H, C-H7,9',10'), 6.83 (d, 1H, J=2.02 Hz, C-H4), 6.77 (s, 1H, C-H10), 5.41 (bs, 2H, NH2).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 184.24(C-3), 158.13(C-7'), 157.1(C-3'), 156.21(C-8), 147.41(C-2), 145.56(C-5), 134.09(C-1'), 130.52(C-5'), 130.15(C-9'), 126.34(C-6), 124.82(C-9), 123.81(C-6'), 120.88(C-10'), 120.43(C-4'), 119.65(C-4), 118.95(C-8'), 113.13(C-8), 110.13(C-10), 105.61(C-7). C21H15NO3の元素分析計算値(%): C, 76.58; H, 4.59; N, 4.25; 実測値 C, 76.56; H, 4.61; N, 4.22. m/z: 329.10519 (100.0%).
【0205】
B4: (Z)-N-(2-(3-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0206】
【化31】
【0207】
収率:91%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.19 (s, 1H, NH), 8.12 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4), 7.83-7.80 (dd, 1H, J=2.2;8.9 Hz, C-H6), 7.57-7.52 (m, 3H, C-H2',4',7), 7.40 (dt, 1H, J=8.0 Hz, C-H5'), 7.04-7.01 (dd, 1H, J=2.6;8.2 Hz, C-H6'), 6.91 (s, 1H, C-H10), 4.68 (q, 1H, J=5.9;11.9 Hz, C-Hisop), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3), 1.31-1.29 (d, 6H, J=5.8 Hz, C-H3isop). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.73 (C-3), 168.49 (CO), 161.35 (C-8), 157.66 (C-3'), 146.87 (C-2), 135.62 (C-5), 133.17 (C-1'), 130.1 (C-5'), 128.86 (C-6), 123.56 (C-6'), 120.64 (C-9), 118.25 (C-2'), 117.32 (C-3'), 113.41 (C-7), 113.17 (C-4), 112.28 (C-10), 69.35 (CHiPr), 23.88 (CH3), 21.77 (CH3iPr). C20H19NO4の元素分析計算値(%): C, 71.20; H, 5.68; N, 4.15; 実測値 C, 71.18; H, 5.66; N, 4.16. m/z: m/z: 337,13 (100,0%).
【0208】
B5: (Z)-N-(2-(4-イソプロポキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0209】
【化32】
【0210】
収率:93%;mp:xx~xx℃;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1H, NH), 8.10 (d, 1H, J=1.9 Hz, C-H4), 7.94-7.91 (d, 2H, J=8.8 Hz, C-H2'), 7.82-7.78 (dd, 1H, J=2.2;8.8 Hz, C-H6), 7.51-7.48 (d, 1H, J=8.89 Hz, C-H7), 7.06-7.03 (d, 2H, J=8.8 Hz, C-H3'), 6.90 (s, 1H, C-H10), 4.72 (q, 1H, J=5.9;11.9 Hz, C-Hisop), 2.07 (s, 3H, NHCOCH3), 1.30-1.28 (d, 6H, J=5.8 Hz, C-H3isop).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.25 (C-3), 168.39 (CO), 160.98 (C-8), 159.16 (C-4'), 145.6 (C-2), 135.39 (C-5), 133.41 (C-2'), 128.48 (C-6), 124.02 (C-1'), 120.94 (C-9), 115.94 (C-3'), 113.2 (C-7), 113.06 (C-4), 112.77 (C-10), 69.5 (CHiPr), 23.83 (CH3), 21.68 (CH3iPr). C20H19NO4の元素分析計算値(%): C, 71.20; H, 5.68; N, 4.15; 実測値 C, 71.18; H, 5.69; N, 4.12. m/z: m/z: 337,13 (100,0%).
【0211】
B10: (Z)-N-(2-(3-フルオロベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0212】
【化33】
【0213】
収率:82%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.22 (s, 1h, NH), 8.12 (d, 1H, J=2.1 Hz, C-H4), 7.83-7.79 (m, 3H, C-H6,2',6'), 7.59-7.51 (m, 2H, C-H4',7), 7.31-7.39 (dt, 1H, J=2.1, 8.4 Hz, C-H5'), 6.59 (s, 1H, C-H10), 2.07 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.83(C-3), 168.6(CO), 163.85-160.62 (C-3', J=244 Hz), 161.48 (C-8), 147.37 (C-2), 135.77 (C-5), 134.3-134.19 (C-1', J=8.25 Hz), 131.08-130.97 (C-5', J=8.25 Hz), 129.05 (C-6), 127.62-127.58 (C-6', J=2.75 Hz), 120.53 (C-9), 117.45-117.15 (C-4', J=22.56 Hz), 117.02-116.73 (C-2', J=21.5 Hz), 113.53 (C-7), 113.25 (C-4), 110.69-110.66 (C-10, J=2.75 Hz), 23.92 (CH3). C17H12FNO3の元素分析計算値(%): C, 68.68; H, 4.07; N, 4.71; 実測値 C, 68.58; H, 4.12; N, 4.73. m/z: 297,08 (100,0%).
【0214】
B11: (Z)-5-アミノ-2-(2-フルオロベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0215】
【化34】
【0216】
収率:62%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.23 (dt, 1H, J=1.65, 7.8 Hz, C-H6'), 7.51-7.47 (m, 1H, C-H4'), 7.37 (t, 1H, C-H3'), 7.34 (dt, 1H, C-H5'), 7.28-7.25 (d, 1H, J=8.8 Hz, C-H7), 7.09-7.05 (dd, 1H, J=2.5, 8.7 Hz, C-H6), 6.86 (d, 1H, J=2.4Hz, C-H4), 6.81 (s, 1H, C-H10), 5.28 (bs, 2H, NH2). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 184.05 (C-3), 164.75-161.71 (C-2', J= 260 Hz), 158.19 (C-8), 148.04 (C-2), 145.83 (C-5), 131.84-131.73 (C-4', J= 8 Hz), 131.2 (C-6'), 125.11-125.06 (C-5', J=3 Hz), 124.84 (C-6), 120.69 (C-9), 119.97-119.81 (C-1', J= 12Hz), 115.85-115.56 (C-3'), 113.22 (C-7), 105.54 (C-4), 100.82-100.72 (C-10). C15H10FNO2の元素分析計算値(%): C, 70.58; H, 3.95; N, 5.49; 実測値 C, 70.44; H, 3.99; N, 5.32. m/z: 255,07 (100,0%).
【0217】
C4: (Z)-4-((5-アセトアミド-3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)安息香酸
【0218】
【化35】
【0219】
収率:71%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.28 (s, 1H, NH), 8.14 (d, 1H, J=1.9 Hz, C-H4), 8.10-8.07 (d, 2H, J=8.8 Hz, C-H2'), 8.05-8.02 (d, 2H, J=8.8 Hz, C-H3'), 7.87-7.83 (dd, 1H, J=2.2;8.8 Hz, C-H6), 7.55-7.53 (d, 1H, J=8.89 Hz, C-H7), 6.98 (s, 1H, C-H10), 2.08 (s, 3H, NHCOCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.85 (C-3), 168.54 (CO), 166.77 (COOH), 161.47 (C-8), 147.69 (C-2), 136.08 (C-1'), 135.82 (C-5), 131.35 (C-4'), 131.23 (C-3'), 129.74 (C-2'), 129.04 (C-6), 120.47 (C-9), 113.44 (C-7), 113.25 (C-4), 110.61 (C-10), 23.89 (CH3). C18H13NO5の元素分析計算値(%): C, 66.87; H, 4.05; N, 4.33; 実測値 C, 66.85; H, 4.12; N, 4.27. m/z: 323.07937 (100,0%).
【0220】
C8: (Z)-N-(7-ニトロ-3-オキソ-2-(3-フェノキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0221】
【化36】
【0222】
収率:91%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.51 (bs, 1H, NH), 8.71 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H6), 8.35 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H4), 7.89-7.86 (d, 2H, J=7.8 Hz, C-H2''), 7.56 (t, 1H, J=8.16 Hz, C-H5'), 7.42 (dt, 2H, C-H3''), 7.20-7.17 (d, 1H, J=7.3 Hz, C-H4'), 7.14 (s, 1H, C-H2'), 7.09-7.06 (m, 2H, C-H10, 6'), 2.11 (s, 3H, CH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 178.66 (C-3), 169.01 (CO), 157.07 (C-1''), 156.36 (C-3'), 153.21 (C-8), 146.13 (C-2), 143.98 (C-7), 135.31 (C-5), 133.21 (C-1'), 130.64 (C-5'), 130.09 (C-3''), 127.01 (C-6), 124.60 (C-9), 123.69 (C-4''), 121.59 (C-6'), 120.86 (C-4), 119.76 (C-4'), 119.35 (C-2'), 118.66 (C-2''), 113.73 (C-10), 23.86 (CH3). C23H16N2O6の元素分析計算値(%): C, 66.34; H, 3.87; N, 6.73; 実測値 C, 66.21; H, 3.74; N, 6.71. m/z: 416.10084 (100,0%).
【0223】
C10: (Z)-2-ベンジリデン-6-ヒドロキシ-4-メトキシ-5,7-ジメチルベンゾフラン-3(2H)-オン
【0224】
【化37】
【0225】
収率:68%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.95-7.93 (d, 2H, J=7.4 Hz, C-H2'), 7.50 (t, 2H, J=7.3 Hz, C-H3'), 7.42 (t, 1H, J=7.3 Hz, C-H4'), 6.71 (s, 1H, C-H10), 4.01 (s, 3H, OCH3), 2.23 (s, 3H, CH3), 2.04 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 179.45 (C-3), 163.77 (C-6), 163.16 (C-8), 154.54 (C-4), 147.42 (C-2), 132.36 (C-1'), 130.74 (C-2'), 129.26 (C-4'), 128.94 (C-3'), 111.82 (C-5), 109.05 (C-10), 105.08 (C-9), 102.86 (C-7), 61.24 (OCH3), 8.71 (CH3), 8.10 (CH3). C18H16O4の元素分析計算値(%): C, 72.96; H, 5.44; 実測値 C, 72.78; H, 5.51. m/z: 296.10486 (100,0%).
【0226】
C11: (Z)-6-アミノ-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0227】
【化38】
【0228】
収率:52%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.87-7.84 (d, 2H, J=7.9 Hz, C-H2'), 7.41-7.38 (d, 1H, J=8.25 Hz, C-H4), 7.06-7.03 (d, 2H, J=7.4 Hz, C-H3'), 6.59 (bs, 1H, C-H7), 6.47-6.44 (dd, 1H, J=8.5 Hz, C-H5), 6.41 (s, 1H, C-H10), 3.82 (s, 3H, OCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 179.72 (C-4), 168.04 (C-8), 159.96 (C-6), 158.02 (C-4'), 146.99 (C-2), 132.36 (C-2'), 125.59 (C-4), 124.99 (C-1'), 114.47 (C-3'), 110.99 (C-10), 109.13 (C-9), 108.49 (C-5), 93.52 (C-7), 55.24 (OCH3). C16H13NO3の元素分析計算値(%): C, 71.90; H, 4.90; N, 5.24; 実測値 C, 71.78; H, 4.97; N, 5.21. m/z: 267.08954 (100,0%).
【0229】
C12: (Z)-2-(2,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0230】
【化39】
【0231】
収率:79%1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 8.22-8.20 (d, 1H, J=8.0 Hz, C-H6'), 7.78-7.75 (m, 2H, C-H4,6), 7.55-7.53 (d, 1H, J=8.5 Hz, C-H7), 7.48-7.30 (m, 11H), 7.20 (s, 1H, C-H10), 6.91 (d, 1H, J=2 Hz, C-H3'), 6.84-6.81 (d, 1H, J=7.8 Hz, C-H5'), 5.26 (s, 2H, CH2), 5.20 (s, 2H, CH2).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 182.97 (C-3), 164.92 (C-8), 161.66 (C-4'), 159.09 (C-2'), 145.17 (C-2), 137.08 (C-1'), 136.44 (C-1Bn), 136.42 (C-1Bn), 132.6 (C-6), 128.55 (C-3Bn), 128.43 (C-3Bn), 128.05 (C-4bn), 127.98 (C-4Bn), 127.83 (C-2Bn), 127.72 (C-2Bn), 124.04 (C-4), 123.69 (C-5), 121.16 (C-9), 113.54 (C-7), 113.1 (C-5'), 107.81 (C-6'), 106.07 (C-10), 100.46 (C-3'), 70.06 (CH2), 69.64 (CH2). C29H22O4の元素分析計算値(%): C, 80.17; H, 5.10; 実測値 C, 80.22; H, 5.11. m/z: 434.15181 (100,0%).
【0232】
D1: (Z)-N-(3-オキソ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド[1]
【0233】
【化40】
【0234】
収率:93%;mp:254℃ [1];1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.15 (s, 1H, NH), 8.09 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H4), 7.84-7.81 (dd, 1H, J=2.2;8.8 Hz, C-H6), 7.54-7.51 (d, 1H, J=8.9 Hz, C-H7), 7.36 (s, 2H, C-H2'), 6.89 (s, 1H, C-H10), 3.86 (s, 6H, OCH3), 3.75 (s, 3H, OCH3), 2.01 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 183.45 (C-3), 168.41 (CO), 161.14 (C-8), 152.96 (C-3'), 146.26 (C-2), 139.59 (C-4'), 135.53 (C-5), 128.63 (C-6), 127.25 (C-1'), 120.7 (C-9), 113.41 (C-7), 113.11 (C-4), 112.71 (C-10), 109.21 (C-2'), 60.16 (OCH3), 55.99 (OCH3), 23.84 (CH3). C20H19NO6の元素分析計算値(%): C, 65.03; H, 5.18; N, 3.79; 実測値 C, 64.97; H, 5.21; N, 3.78. m/z: 369,12 (100,0%).
【0235】
D2: (Z)-5-アミノ-2-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0236】
【化41】
【0237】
収率:56%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.33 (s, 2H, C-H2'), 7.28-7.25 (d, 1H, J=8.9 Hz, C-H7), 7.06-7.03 (dd, 1H, J=2.2;8.8 Hz, C-H6), 6.83 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H4), 6.78 (s, 1H, C-H10), 5.23 (bs, 2H, NH2), 3.85 (s, 6H, OCH3), 3.74 (s, 3H, OCH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 184.01 (C-3), 157.94 (C-8), 152.93 (C-3'), 146.56 (C-2), 145.55 (C-5), 139.26 (C-4'), 127.59 (C-1'), 124.5 (C-6), 121.01 (C-9), 113.24 (C-7), 111.37 (C-10), 108.96 (C-2'), 105.36 (C-4), 60.13 (OCH3), 55.96 (OCH3). C18H17NO5の元素分析計算値(%): C, 66.05; H, 5.23; N, 4.28; 実測値 C, 65.95; H, 5.28; N, 4.21. m/z: 327,11 (100,0%).
【0238】
D3: (Z)-N-(3-オキソ-2-(2,4,5-トリメトキシベンジリデン)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
【0239】
【化42】
【0240】
収率:54%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1H, NH), 8.06 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H4), 7.82-7.77 (m, 2H, C-H6,3'), 7.52-7.49 (d, 1H, J=8.9 Hz, C-H7), 7.16 (s, 1H, C-H6'), 6.78 (s, 1H, C-H10), 3.92 (s, 3H, OCH3), 3.89 (s, 3H, OCH3), 3.82 (s, 3H, OCH3), 2.07 (s, 3H, CH3). 13C NMR (75 Mhz, DMSO-d6): δ 185.87 (C-3), 168.38 (CO), 160.65 (C-8), 154.92 (C-2'), 152.78 (C-4'), 145.29 (C-2), 142.89 (C-5'), 135.34 (C-5), 128.17 (C-6), 121 (C-9), 114.09 (C-1'), 113.29 (C-7), 112.95 (C-4), 111.41 (C-10), 106.44 (C-6'), 97.39 (C-3'), 56.5 (OCH3), 56.21 (OCH3), 55.83 (OCH3), 23.83 (CH3). C20H19NO6の元素分析計算値(%): C, 65.03; H, 5.18; N, 3.79; 実測値 C, 65.11; H, 5.22; N, 3.89. m/z: 369,12 (100,0%).
【0241】
D8: (Z)-N-(2-ベンジリデン-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド[1]
【0242】
【化43】
【0243】
収率:63%;mp:241℃ [1];1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.16 (s, 1H, NH), 8.17 (d, 1H, J=2 Hz, C-H4'), 7.95-7.97 (d, 2H, J=6.8 Hz, C-H2'), 7.83-7.77 (dd, 1H, J=2.2;8.8 Hz, C-H6), 7.53-7.48 (m, 4H, C-H7,3',4'), 2.07 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 MHz, DMSO-d6): δ 182.09 (C-3), 168.89 (COCH3), 164.67 (C-8), 146.90 (C-2), 139.50 (C-5), 132.30 (C-4'), 130.76 (C-2'), 128.72 (C-3'), 128.53 (C-6), 128.07 (C-1'), 120.18 (C-9), 114.21 (C-7), 111.60 (C-4), 109.20 (C-10), 24.08 (CH3). C17H13NO3の元素分析計算値(%): C, 73.11; H, 4.69; N, 5.02; 実測値 C, 73.08; H, 4.75; N, 4.95. m/z: 279,09 (100,0%).
【0244】
D10: (Z)-2-(4-メトキシベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン[2]
【0245】
【化44】
【0246】
収率:92%;mp:138℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.88 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.79 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.65 - 7.60 (m, 1H), 7.31 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.20 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.87 (s, 1H), 3.86 (s, 3H).13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 184.54 (C-3), 165.84 (C-8), 161.09 (C-4'), 145.89 (C-2), 136.52 (C-6), 133.45 (C-2'), 125.07 (C-1'), 124.55 (C-4), 123.27 (C-5), 121.96 (C-9), 114.51 (C-7), 113.41 (C-3'), 112.88 (C-10), 55.39 (OCH3). C16H12O3の元素分析計算値(%): C, 76.18; H, 4.79; 実測値 C, 76.11; H, 4.83. m/z: 252,07864 (100,0%).
【0247】
E5: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)-2-フェニル-4H-クロメン-4-オン
【0248】
【化45】
【0249】
MR885
収率:58%;1H NMR (300MHz, CD-Cl3) δ 8.26-8.23 (d, 1H, C-H4''), 7.96-7.94 (d, 4H, C-H2''',2'), 7.8781 (d, 1H, J=2.2 Hz, C-H5), 7.72 (dt, 1H, C-H6''), 7.68-7.66 (d, 1H, C-H8), 7.58-7.55 (m, H), 7.51-7.48 (dd, 1H, J=2.2;8.5 Hz, C-H7), 7.44 (t, 1H, C-H5''), 7.18-7.16 (d, 2H, C- H3''), 6.85 (s, 1H, C-H3), 6.80 (s, 1H, C-Hau). 13C NMR (75 Mhz, CD-Cl3) δ 177.65 (C-4), 177.07 (C-3''), 163.10 (C-8''), 162.28 (C-2), 159.39 (C-4'''), 155.60 (C-9), 152.69 (C-6), 152.18 (C-2''), 133.36 (C-6''), 131.32 (C-4'), 130.89 (C-1'), 128.61 (C-2'''), 128.56 (C-3'), 127.88 (C-2'), 126.28 (C-1'''), 125.78 (C-3'''), 125.73 (C-4''), 124.90 (C-7), 124.74 (C-5''), 124.47 (C-9''), 123.25 (C-10), 119.94 (C-8), 118.25 (C-7''), 117.63 (C-5), 113.62 (CH), 106.30 (C-3). C30H18O5の元素分析計算値(%): C, 78.59; H, 3.96; 実測値 C, 78.75; H, 4.05;. m/z: 458,11542 (100,0%).
【0250】
F2: 16,17‐ジメトキシ‐21‐[(4‐{[(2Z)‐3‐オキソ‐2,3‐ジヒドロ‐1‐ベンゾフラン‐2-イリデン]メチル}フェニル)メチル]‐5,7‐ジオキサ‐13λ5‐アザペンタシクロ[11.8.0.02,10.04,8.015,20]ヘンイコサ‐1(21),2,4(8),9,13,15(20),16,18‐オクタエン‐13‐イリウムブロミド
【0251】
【化46】
【0252】
収率:90%1H RMN (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm : 10.06 (1H, s, H-8), 8.13 (1H, brd, J=7.8, H-7''), 8.11 (1H, d, J=9.4 Hz, H-11), 8.09 (2H, d, J=8.1 Hz, H-4'), 8.04 (1H, brd, J=7.8 Hz, H-4''), 7.81 (1H, d, J=9.4 Hz, H-12), 7.55 (1H, brt, J=7.8 Hz, H-5''), 7.47(1H, brt, J=7.8Hz, H-6''), 7.39 (2H, d, J=8.1Hz, H3'), 7.18 (1H, s, H-4), 6.99 (1H, s, H-1), 6.08 (2H, s, -OCH2O-), 4.90 (2H, brs, H-6), 4.86 (2H, s, H-1'), 4.14 (3H, s, OCH3-9), 4.03 (3H, s, OCH3-10), 3.19 (3H, t, J=5.3 Hz, H-5).13C RMN (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm : 183.55 (C-8'), 165.38 (C-14'), 150.19 (C-10'), 149.20 (C-3), 146.40 (C-2), 146.34 (C-7'), 145.51 (C-8), 144.27 (C-9), 141.45 (C-2'), 137.73 (C-12'), 137.17 (C-13a), 134.05 (C-4a), 132.64 (C-12a), 131.98 (C-3'), 130.48 (C-5'), 129.62 (C-13), 128.78 (C-4'), 126.15 (C-12), 124.29 (C-10'), 124.01 (C-11'), 121.59 (C-11), 121.27 (C-8a), 120.81 (C-9'), 119.93 (C-13b), 111.68 (C-6'), 108.48 (C-4), 108.19 (C-1), 102.06 (-OCH2O-),62.04 (OCH3-C-9), 56.90 (OCH3-C-10), 56.90 (C-6), 35.55 (C-1'), 27,23 (C-5). C36H28 BrNO6の元素分析計算値(%): C, 66.47; H, 4.34; N, 2.15; 実測値 C, 66.25; H, 4.86; N, 2.11. m/z: 649,11000 (100,0%).
【0253】
G4: (Z)-N-(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)アセトアミド
【0254】
【化47】
【0255】
収率:67%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 10.59 (s, 1H, NH), 8.00 (d, 1H, J=2.0 Hz, C-H7), 7.94-7.91 (d, 2H, J=8.4 Hz, C-H2'), 7.70-7.67 (d, 1H, J=8.0 Hz, C-H4), 7.24-7.21 (dd, 1H, J=2.0;8.0 Hz, C-H5), 7.08-7.05 (d, 2H, J=8.4 Hz, C-H3'), 6.81 (s, 1H, C-H10), 3.82 (s, 3H, OCH3), 2.13 (s, 3H, CH3). 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6): δ 181.72 (C-3), 169.69 (CO), 166.57 (C-8), 160.72 (C-4'), 147.31 (C-6), 146.02 (C-2), 133.29 (C-2'), 125.03 (C-4), 124.56 (C-1'), 115.8 (C-9), 114.76 (C-3', C-5), 111.72 (C-10), 101.51 (C-7), 55.43 (OCH3), 24.4 (CH3). C18H15NO4の元素分析計算値(%): C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53; 実測値 C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53. m/z: 309,31600 (100,0%).
【0256】
MR1042: (Z)-2-(4-(ブロモメチル)ベンジリデン)ベンゾフラン-3(2H)-オン
【0257】
【化48】
【0258】
収率:77%;1H NMR (300MHz, DMSO-d6): δ 7.90-7.87 (d, 2H, J= 8.4 Hz, C-H2'), 7.81-7.77 (m, 2H, C-H4,6), 7.54 (d, 1H, J= 8.5 Hz, C-H5), 7.31 (t, 1H, J= 7.6 Hz, C-H7), 7.18-7.15 (2H, d, J= 8.4 Hz, C-H3'), 6.90 (s, 1H, C-H10), 4.52 (s, 2H, CH2). 13C NMR (CDCl3, 75 MHz) δ 182.21 (C-3), 164.52 (C-8), 144.69 (C-2), 137.25 (C-4'), 137.02 (C-6), 132.12 (C-2'), 124.12 (C-4), 123.35 (C-5), 122.89 (C-1'), 121.24 (C-9), 117.18 (C-3'), 113.48 (C-7), 112.12 (C-10), 33.24 (CH2). C16H11BrO2の元素分析計算値(%): C, 60.98; H, 3.52; 実測値 C, 60.84; H, 3.58. m/z: 313,99424 (100,0%).
【0259】
AD-1-44: (Z)-N-(2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アセトアミド
カルコンを出発物とし、110℃でHg(Ac)2/ピリジンを1時間用いる。
【0260】
【化49】
【0261】
収率:54%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ
10.17 (s, 1H, NH), 8.09 (d, 1H, J=2.1 Hz, C-H4), 7.84-7.80 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 7.72 (d, 1H, J=1.8 Hz, C-H2'), 7;58-7.55 (dd, 1H, J=1.9;8.6 Hz, C-H6'), 7.54-7.32 (m, 11H, C-H ベンジル, C-H7), 7.22 (d, 1H, J=8.5 Hz, C-H5'), 6.86 (s, 1H, C-H10), 5.24 (bs, 4H, CH2 bn), 2.07 (s, 3H, CH3).13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 183.18 (C-3), 168.55 (NHCO), 161.76 (C-8), 160.93 (C-4'), 159.15 (C-3'), 145.78 (C-2), 136.51 (C-1bn), 136.48 (C-1bn) 135.45 (C-5), 132.7 (C-6), 128.67 (C-3bn), 128.55 (C-3bn), 128.48 (C-7), 128.18 (C-4bn), 128.11 (C-4bn), 127.97 (C-2bn), 127.83 (C-2bn), 121.05 (C-9), 113.62 (C-4), 113.34 (C-5'), 107.89 (C-6'), 106.21 (C-10), 100.49 (C-2'), 70.12 (CH2), 69.72 (CH2), 23.91 (CH3).
C31H25NO5の元素分析計算値(%): C, 75.75; H, 5.13; N, 2.85; 実測値 C, 75.71; H, 5.09; N, 2.86. m/z: 491.17 (100.0%).
【0262】
MR1065: (Z)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボン酸
カルコンを出発物とし、110℃でHg(Ac)2/ピリジンを1時間用いる。
【0263】
【化50】
【0264】
収率:64%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 8.35-8.34-8.30 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 8.22 (d, 1H, J=1.4 Hz, C-H4), 7.72 (d, 1H, J=1.8 Hz, C-H2'), 7.66-7.63 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H7), 7.58-7.53 (dd, 1H ,J=1.8;8.6 Hz, C-H6'), 7.50-7.30 (m, 10H, C-H ベンジル), 7.20-7.17 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H5'), 6.93 (s, 1H, C-H10), 5.23 (bs, 4H, CH2).
13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 182.45(C-3), 167.24 (COOH), 166.2 (C-8), 150.53 (C-3'), 148.08 (C-4'), 145.49 (C-2), 137.98(C-6), 137.06 (C-1bn), 136.74 (C-1bn), 128.49 (C-3bn), 127.97 (C-4bn), 127.9 (C-4bn), 127.66 (C-2bn), 127.58 (C-2bn), 126.54 (C-1'), 126.46 (C-4), 125.38 (C-6'), 124.52 (C-9), 121.37 (C-5), 116.77 (C-5'), 114.08 (C-7), 114.07 (C-2'), 113.58 (C-10), 70.08 (CH2), 69.92 (CH2).
C30H22O6の元素分析計算値(%): C, 75.30; H, 4.63; 実測値 C, 75.23; H, 4.68. m/z: 478.14 (100.0%).
【0265】
AD-1-61: (2Z)-2-(3-メトキシベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸
カルコンを出発物とし、110℃でHg(Ac)2/ピリジンを1時間用いる。
【0266】
【化51】
【0267】
収率:83%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 13.27 (bs, 1H, COOH), 8.35-8.32 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 8.25 (d, 1H, J=1.4 Hz, C-H4), 7.71-7.68 (d, 1H, J=8.2 Hz, C-H7), 7.64-7.61 (d, 1H, J=7.8 Hz, C-H6'), 7.58 (d, 1H, J=2.3 Hz, C-H2'), 7.45 (t, 1H, J=8.1 Hz, C-H5'), 7.09-7.06 (dd, 1H, J=1.8,8.2 Hz, C-H4'), 7.01 (s, 1H, C-H10), 3.83 (s, 3H, OCH3).13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 182.94 (C-3), 167.63 (COOH), 166.08 (C-8), 159.47 (C-3'), 146.64 (C-2), 138.30 (C-6), 132.81 (C-1'), 130.12 (C-5'), 126.77 (C-5), 125.45 (C-4), 123.96 (C-6'), 121.12 (C-9), 116.71 (C-4'), 116.19 (C-2'), 113.64 (C-7), 113.21 (C-10), 55.21 (CH3). C17H12O5の元素分析計算値(%): C, 68.92; H, 4.08; 実測値 C, 68.87; H, 4.11. m/z: 296.07 (100.0%).
【0268】
AD-1-62: (2Z)-2-[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-カルボン酸
カルコンを出発物とし、110℃でHg(Ac)2/ピリジンを1時間用いる。
【0269】
【化52】
【0270】
収率:72%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 8.28-8.25 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 8.20 (d, 1H, J=1.4 Hz, C-H4), 7.86-7.83 (d, 2H, J=8.9 Hz, C-H2'), 7.61-7.58 (d, 1H, J=8.2 Hz, C-H7), 6.93 (s, 1H, C-H10), 6.81-6.78 (d, 2H, J=8.9 Hz, C-H3'). 13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 181.61 (C-3), 166.65 (COOH), 166.54 (C-8), 151.71 (C-4'), 144.38 (C-2),
137.28 (C-6), 133.89 (C-2'), 126.77 (C-1'), 125.18 (C-5), 121.99 (C-9), 118.59 (C-7), 116.05 (C-4), 113.36 (C-10), 112.1 (C-3'), 39.66 (CH3). C18H15NO4の元素分析計算値(%): C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53; 実測値 C, 69.76; H, 4.91; N, 4.49. m/z: 309.10 (100.0%).
【0271】
MR1076: (Z)-6-(4-((3-オキソベンゾフラン-2(3H)-イリデン)メチル)フェノキシ)ヘキサン酸
MR1076は、ベンゾフラン(1当量)及びエチル6-(4-ホルミルフェノキシ)ヘキサノエート(1当量)を塩化コリン/尿素(1/2)及び触媒量の50%KOH中、60℃で1時間縮合することによって得た。
【0272】
【化53】
【0273】
収率:84%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 7.98-7.95 (d, 2H, J= 8.9 Hz, C-H2'), 7.79 (m, 2H, C-H4,6), 7.58-7.55 (d, 1H, J=8.4 Hz, C-H7), 7.32 (t, 1H, J=7.5 Hz, C-H5), 7.09-7.06 (d, 2H, J= 8.8 Hz, C-H3'), 6.95 (s, 1H, C-H10), 4,05 (t, 2H, (d, 2H, J= 6.4 Hz, CH2), 2.24 (t, 2H, J= 7.0 Hz, CH2), 1.74 (m, 2H, CH2), 1.55 (m, 2H, CH2), 1.43 (m, 2H, CH2).13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 183.26 (C-3), 174.5 (COOH), 165.13 (C-8), 160.34 (C-4'), 145.12 (C-2), 137.3 (C-6), 133.44 (C-2'), 124.28 (C-4), 124.15 (C-5), 123.8 (C-1'), 121.16 (C-9), 115.15 (C-3'), 113.18 (C-7), 112.83 (C-10), 67.64 (C-a), 33.69 (C-e), 28.32 (C-b), 25.12(C-g), 24.29 (C-d).
C21H20O5の元素分析計算値(%): C, 71.58; H, 5.72; 実測値 C, 71.44; H, 5.81. m/z: 352.13 (100.0%).
【0274】
MR1120: (Z)-エチル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート
MR1065を出発物とする。
【0275】
【化54】
【0276】
MR1065を出発物とする。
収率:60%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 8.35-8.34-8.30 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 8.22 (d, 1H, J=1.4 Hz, C-H4), 7.72 (d, 1H, J=1.8 Hz, C-H2'), 7.66-7.63 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H7), 7.58-7.53 (dd, 1H ,J=1.8;8.6 Hz, C-H6'), 7.50-7.30 (m, 10H, C-H ベンジル), 7.20-7.17 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H5'), 6.93 (s, 1H, C-H10), 5.23 (bs, 4H, CH2), 4.30 (q, 2H, OCH2), 1.29 (t, 3H CH3).
13C NMR (75 MHz, DMSO d6): δ 182.45(C-3), 165.24 (COOH), 166.2 (C-8), 150.53 (C-3'), 148.08 (C-4'), 145.49 (C-2), 137.98(C-6), 137.06 (C-1bn), 136.74 (C-1bn), 128.49 (C-3bn), 127.97 (C-4bn), 127.9 (C-4bn), 127.66 (C-2bn), 127.58 (C-2bn), 126.54 (C-1'), 126.46 (C-4), 125.38 (C-6'), 124.52 (C-9), 121.37 (C-5), 116.77 (C-5'), 114.08 (C-7), 114.07 (C-2'), 113.58 (C-10), 70.08 (CH2), 69.92 (CH2), 60.61 (CH2), 14.23 (CH3).
【0277】
MR1121: (Z)-デシル2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンジリデン)-3-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシレート
MR1065を出発物とする。
【0278】
【化55】
【0279】
MR1065を出発物とする。
収率:60%;1H NMR (300MHz, DMSO d6): δ 8.35-8.34-8.30 (dd, 1H, J=1.8;8.6 Hz, C-H6), 8.22 (d, 1H, J=1.4 Hz, C-H4), 7.72 (d, 1H, J=1.8 Hz, C-H2'), 7.66-7.63 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H7), 7.58-7.53 (dd, 1H ,J=1.8;8.6 Hz, C-H6'), 7.50-7.30 (m, 10H, C-H ベンジル), 7.20-7.17 (d, 1H, J=8.6 Hz, C-H5'), 6.93 (s, 1H, C-H10), 5.23 (bs, 4H, CH2), 4.56 (t, 2H, OCH2), 1.80 (m, 2H CH2), 1.43-1.29 (m, 14H), 0.83 (t, 3H, CH3).
【0280】
[1] 2’-ヒドロキシ-5’-アセトアミドカルコンとジメチルスルホキシド-ヨウ素、ピリジン-酢酸水銀(II)及びトリエタノールアミンとの反応。Agrawal, Nitin N.; Soni, P. A., Indian Journal of Chemistry, Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry、44B(12)、2601~2603; 2005。
[2] ピリジン中において酢酸水銀(II)及びジメチルスルホキシド中において臭化第二銅を使用することによるオーロンの新しい合成方法。Agrawal, Nitin N.; Soni, P. A.、Indian Journal of Chemistry, Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry、45B(5)、1301~1303、2006。
【0281】
(実施例B:生物学)
1.材料及び方法
使用した参照株は、American Type Culture Collection(ATCC、Molsheim Cedex France)、German Leibniz Institute(DSMZ、Braunschweig、Germany)又はFrench Pasteur Institute(CIP、Paris、France)から得た。
【0282】
抗微生物活性アッセイ
微好気性BD GasPak発生器(Sigma-Aldrich社、Lyon、France)を使用して微好気条件でBHIにおいて増殖させたH. ピロリを除いて、大部分の細菌株は、Luria Bertani(LB)寒天板及びLB培地中、37℃、好気条件でルーチン的に増殖させた。M. スメグマティスは、Middlebrook 7H10寒天板及びMiddlebrook 7H10ブロス中、37℃、好気条件で培養した。クロストリジ、E. フェカーリス、P. アクネス及びS. ピオゲネスは、ブレインハートインフュージョン(BHI)寒天板及びBHIブロス中、37℃、嫌気性チャンバ(Coy Laboratory Products社、Grass Lake、MI、USA)で培養した。
【0283】
オーロンの抗微生物活性は、それらの最小発育阻止濃度(MIC)を、National Committee of Clinical Laboratory Standards(NCCLS、1997)に従って細菌用液体培地における2倍段階希釈液を使用して決定することによって評価した。それぞれ3mLのBHI又はMiddlebrook 7H10ブロス中で培養されたクロストリジ、P. アクネス、H. ピロリ、E. フェカーリス、及びS. ピオゲネス又はM. スメグマティスを除いて、大部分の細菌については、特定の寒天板上で培養された異なる細菌株の単一コロニーを使用して、3mLのMueller-Hinton(MH)を接種した。次いで、48~72時間放置して増殖させたM. スメグマティスを除いて、試験管を撹拌下(200rpm)に37℃で終夜(約16時間)インキュベートした。次いで、細菌懸濁液の光学濃度(OD)を600nmにおいて読み取り、培地で1に調整した後、細菌を3mLの新鮮な培地に1/100希釈し、細菌が対数期増殖(OD600nm 約0.6)に到達するまで37℃、200rpmでインキュベートした。クロストリジ、P. アクネス、B. テタイオタオミクロン、E. フェカーリス、H. ピロリ、S. ピオゲネス及びM. スメグマティスの場合、終夜増殖懸濁液を使用してMICを直接行った。どの場合でも、細菌を適切な培地に希釈して、細胞約105個/mLの細菌密度に到達した。次いで、1ウェル当たり100μLの細菌懸濁液を、無菌ポリプロピレン製96ウェルマイクロプレート(Greiner BioOne社、Dominique Dutscher、Brumath、France)に添加した。段階希釈(1:2希釈)によって得られた増加する濃度のオーロンに、細菌を曝露した。72時間インキュベートしたM. スメグマティスを除いて、すべての細菌について、プレートを37℃で18~24時間インキュベートした。嫌気性チャンバ(Coy Laboratory Products社、Grass Lake、MI、USA)においてインキュベートしたクロストリジ、P. アクネス、B. テタイオタオミクロン、E. フェカーリス、S. ピオゲネスを除いて、すべての細菌株を好気条件で試験した。H. ピロリのMICは、嫌気性BD GasPakシステム(Sigma-Aldrich社、Lyon、France)を使用して生成された微好気性雰囲気中で行った。
【0284】
抗真菌活性アッセイ
真菌株は、ジャガイモデキストロース(PD)寒天板上で増殖させた。
【0285】
オーロンの抗真菌効果は、酵母(NCCLS M27-A)及びカビ(M38-P)の参照法に従って試験した。C. アルビカンスの液体懸濁液は、LBプレートから収集されたコロニーを無菌の0.85%NaCl溶液に再懸濁することによって調製した。次いで、C. アルビカンスを、MOPS(最終濃度0.165mol/L(pH 7.0))で緩衝処理したRMPI培地において酵母1~2×103個/mLで希釈した。糸状菌の場合、Tweenを0.1%添加した無菌の0.9%NaCl溶液を使用して、PDAプレート上で増殖した真菌から分生子を収集した。顕微鏡下で計数した後、PD培地又はMOPS(最終濃度0.165mol/L(pH 7.0))で緩衝処理したRMPIにおいて分生子2~3×104個/mLでの希釈を調製した。次いで、希釈した酵母又は真菌は、細菌について記載のようにMIC試験にかけた。C. アルビカンスの場合、プレートを、読取りの前に35℃で24時間インキュベートした。他の真菌については、プレートを、読取前の3~4日間室温でインキュベートした。インキュベーションの終わりに、マイクロプレートリーダー(Biotek社、Synergy Mx、Colmar、France)を使用して、OD600nmを測定した。MICは、有機体の目に見える増殖を阻害する薬物の最小濃度と定義した。実験は、独立して3回繰り返して実施した(n=3)。
【0286】
ヒト細胞に対する細胞毒性アッセイ
レサズリンアッセイを使用して、オーロンのヒト細胞に対する毒性を評価した。使用した細胞は、ヒト腎細胞株A498(ATCC(登録商標) HTB-44)、ヒト正常肺上皮細胞BEAS-2B(ATCC(登録商標) CRL-9609)、ヒト腸管細胞株Caco-2(ATCC(登録商標) HTB-37)、ヒト正常表皮角化細胞HaCaT(Creative Bioarray社、Shirley、NY 11967、USA)、ヒト肝細胞株HepG2(ATCC(登録商標) HB-8065)、ヒト正常血管内皮細胞HUVEC(ECACC、Sigma-Aldrich社、Lyon、Franceから得られた)、ヒト正常肺線維芽細胞IMR90細胞(ATCC(登録商標) CCL186)及びヒト胃細胞株N87(ATCC(登録商標) CRL-5822)であった。A498、BEAS-2B、Caco-2、HaCaT、HepG2及びIMR-90細胞は、10%ウシ胎仔血清(FCS)、1%L-グルタミン、及び1%抗生物質を添加したDMEM(すべてInvitrogen社(Carlsbad、CA、USA))中で培養した。HUVEC細胞は、特定の培地(Sigma Aldrich社)中で培養した。N87細胞は、10%ウシ胎仔血清(FCS)、1%L-グルタミン、及び1%抗生物質を添加したRPMI培地(すべてInvitrogen社、Carlsbad、CA、USA)中で培養した。細胞は、25cm2のフラスコ上でルーチン的に増殖させ、5%CO2のインキュベータ中、37℃で維持した。毒性アッセイについては、トリプシン-EDTA溶液(Thermo Fisher Scientific社、Illkirch-Graffenstaden、France)を使用して、細胞をはがし、Mallasez計数チャンバを使用して計数し、96ウェルの細胞培養プレート(Greiner bio-one社、Dominique Dutscher、Brumath、France)に1ウェル当たり細胞約10,000個で播種した。細胞がコンフルエントの状態に到達するまで、細胞を5%CO2のインキュベータ中、37℃で48~72時間放置して増殖させた。次いで、ウェルから培地を吸引し、段階希釈(1:2希釈)によって得られた増加する濃度のオーロンを含有する培養培地100μLで細胞を処置し、DMSO(DMSO最終濃度0.5%)を陰性対照として使用した。5%CO2のインキュベータ中、37℃で48時間インキュベートした後、レサズリンベースのインビトロ毒性アッセイキット(Sigma-Aldrich社、Lyon、France)を製造業者の指示書に従って使用して細胞生存率を評価した。更に詳細には、細胞ウェルは空であり、カルシウム及びマグネシウムを含有する無菌PBS(PBS++、pH 7.4)に1:10希釈したレサズリン100μLで細胞を処置した。37℃で4時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダー(Biotek社、Synergy Mx、Colmar、France)を使用して蛍光強度(励起波長530nm/発光波長590nm)を測定した。蛍光値を対照(DMSO処置細胞)により正規化し、生存率として表した。GraphPad(登録商標) Prism 7ソフトウェア(San Diego、CA、USA)を使用して、オーロンの細胞生存率に対するIC50値(すなわち、細胞生存率の50%低減を引き起こす誘導体の濃度)を計算した。
【0287】
耐性細菌の選択
化合物が細菌耐性を誘導する可能性があるか否かを評価するために、B. マレイ及びB. シュードマレイの培養物を、試験化合物に連続15日にわたって継続的に曝露した。1日目に標準倍加希釈系列の試験化合物濃度を使用して、微量液体希釈感受性試験(MIC測定)を行った。培養物を24時間インキュベートし、MICを決定した後、増殖を可能にする最大濃度の試験化合物を含むウェルをMHに1:1000希釈し、それを使用して、次のMICアッセイの接種材料を用意した。このプロセスを毎日連続15日間繰り返した。バークホルデリア属種において耐性を誘導することが知られている対照抗生物質として、ドキシサイクリンを使用した。
【0288】
変異原性
- 化学薬品及び培地
すべての試薬の取扱い及び使用は、無菌状態で行った。それらは、Sigma-Aldrich社から購入した。
1.培地:マッコイ5A(4℃で貯蔵)
2.完全培地:10%ウシ胎仔血清、2mMのL-グルタミン及びペニシリン-ストレプトマイシンの混合物(100U/ml~10μg/ml)を添加したマッコイ5A培地
3.外因性代謝画分S9ミックス:0.2M リン酸緩衝液(PBS)中、10% ラット肝臓からの抽出物(S9、-80℃で貯蔵)、1M KCl、0.2M MgCl26H2O、0.2M G6P、0.04M NADP
4.洗浄液:リン酸緩衝液(PBS)
5.細胞質分裂阻害剤:サイトカラシンB(保存液:DMSO中1mg/ml、-80℃で貯蔵)
6.陽性対照:マイトマイシンC(保存液:DMSO中0.1mg/ml、-80℃で貯蔵)、ベンゾ-a-ピレン(保存液:DMSO中1mg/ml、-80℃で貯蔵)
【0289】
- 細胞株
小核試験をチャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO-K1(ATCC、USA)で行った。この細胞株は、その急速な細胞周期(倍加時間24時間)及びその遺伝的安定性のために選択される。それは、OECDによって検証され、MNvit検査に承認された。10%ウシ胎仔血清、1mM グルタミン及び100U/mL~10μg/mLのペニシリン-ストレプトマイシン混合物を添加したマッコイ5A培地中で、細胞を維持した。それらを5%CO2中37℃でインキュベートした。
【0290】
- 参照要素
溶媒対照:ジメチルスルホキシド(DMSO)(1%、v:v)
陽性対照:マイトマイシンC(0.6μg/ml)及びベンゾ-a-ピレン(5μg/ml)、DMSOに希釈し、-80℃で貯蔵
【0291】
- 試験物質の可溶化
試験物質をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かした。保存液(10mM)を-80℃で暗所に貯蔵した。次いで、この保存液の1/10、1/100及び1/1000希釈物をアッセイのために作製した。
【0292】
- アッセイプロトコル
アッセイはすべて、2回繰り返して実施した。マッコイ5A培地に懸濁させたCHO-K1細胞を、Labteckウェルに細胞100,000個/mlの濃度で移し、CO2(5%)中37℃で24時間インキュベートした。
【0293】
試験を代謝活性化なしに行うとき、試験物質を細胞培養物に既定の濃度で添加した。培地を含有する陰性対照、1%DMSOを含有する溶媒対照及び0.6μg/mlのマイトマイシンCを含有する陽性対照を添加した。
【0294】
アッセイを代謝活性化の存在下で行うとき、混合物を代謝するS9ミックスを細胞培養物に10%の濃度で添加した。次いで、試験物質を細胞培養物に既定の濃度で添加した。培地を含有する陰性対照、1%DMSOを含有する溶媒対照及び5μg/mlのベンゾ-a-ピレンを含有する陽性対照を添加した。
【0295】
CO2(5%)中37℃で3時間インキュベートした後、培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、次いで3μg/mlのサイトカラシンBを含有するマッコイ5A培地中の培養物に戻した。37℃で21時間インキュベートした後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、メタノールで固定し、10%ギムザで20分間染色した。
【0296】
- 結果の分析
結果の分析を倍率1000倍の顕微鏡観察下に行った。各用量につき合計500個の細胞(1ウェル当たり計数された細胞250個)で単核細胞の数に対する二核細胞の数を計数することによって、試験物質の抗増殖活性を推定した。以下の式を使用して、増殖指数(細胞質分裂阻害増殖指数CBPI)を計算した。
【0297】
【数1】
【0298】
以下の式を使用して、細胞分裂停止指数(CI%)、すなわち細胞複製阻害の百分率を計算した。
CI%:100-{100x(CBPI試験材料-1)/(CBPI溶媒対照-1)
この工程の後、陰性対照と比較してCI%の55±5%未満の低下を誘導する用量のみ、微小核の計数を考慮した。
【0299】
微小核率を、1ウェル当たり二核細胞1000個における独立した核コアエンティティの存在について評価した。これは、試験物質用量によって細胞2000個が試験されたことに相当する。微小核は、細胞核からよく分化され、同じように染色され、細胞核の直径の1/3より小さい直径を有する小核であると同定した。
【0300】
異なる用量の試験物質について得られた微小核率を、χ2検定により陰性対照と比較した。下記の場合、アッセイを正とみなした。
- 微小核率と試験用量の間に用量反応関係が得られた、
- これらの用量の少なくとも1つが、陰性対照と比較して、微小核化細胞の数の統計学的に有意な増加(P<0.05)を誘導した。
【0301】
2.結果
本発明による化合物の参照細菌及び真菌株に対する抗微生物及び抗真菌効果を図1図2、及び図10の表に提示する。最小発育阻止濃度(MIC)値は、μMの単位で表す。
【0302】
図1において、化合物の抗微生物効果は、グラム陰性菌(E. コリ、P. エルジノーサ及びH. ピロリ)、グラム陽性菌(B. サブティリス及びS. アウレウス)及び真菌株(C. アルビカンス)に対して試験した。MICの測定値は、1.9μMから>100μMであった。化合物A7、B5、C11、C12及びE5は、試験株に対する活性がより高いことがわかった。
【0303】
図2において、化合物A7、B5、C11、C12及びE5の抗微生物効果について、グラム陽性菌、グラム陰性菌及びマイコバクテリウムを含めて多数の細菌、並びに植物感染症に関連する真菌を使用して更に試験した。結果から、ほぼすべての試験株に対して、化合物A7、B5、C11、C12及びE5の活性が確認され、これによって活性の範囲が広いことが示唆される。クロストリジウム・ボツリヌム、C. ディフィシル、ミクロドキウム・ボレイ、及びM. ニバーレについては、MIC値が特に低い(0.78~1.5μMと低い)ことがわかった。
【0304】
図10において、他の化合物、すなわちAD-1-49、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076の抗微生物効果を、グラム陰性菌(E. コリ、P. エルジノーサ)、グラム陽性菌(B. サブティリス、S. アウレウス及びC. ディフィシル)及び真菌株(C. アルビカンス)に対して試験した。MICの測定値は、3.12μMから>100μMであった。興味深いことに、化合物MR1076は、P. エルジノーサに対して活性があることがわかった。
【0305】
本発明による化合物のバークホルデリア属株に対する抗微生物性を、図3の表に提示する。最小発育阻止濃度(MIC)値は、μMの単位で表す。
【0306】
図3は、化合物が、ヒト及び動物において感染症を引き起こすさまざまなバークホルデリア属株に対して活性であることを示す。更に、バークホルデリア属種は、アミノグリコシド、β-ラクタム及びポリミキシンを含めて医薬において使用される多数の抗生物質に耐性をもつことが知られている。ヒト又は動物において稀にしか疾患を引き起こさないB. タイランデンシスは、MIC値が25μMから>100μMである試験化合物に感受性をあまり示さないことがわかった。嚢胞性線維症患者において肺感染症を引き起こすB. セパシアは、試験化合物、特にMICが3.12~12.5μMである化合物A7、B1、B5、C11、C12、D1及びD10に感受性を示すことがわかった。生物学的兵器剤と分類され、ヒト及び動物(特にウマ)において存在する感染症であるホイットモア病とも呼ばれる鼻疽及び類鼻疽を引き起こすB. マレイ及びB. シュードマレイも、試験化合物、特にMIC値が1.5~12.5μMである化合物A7、B1、B5、C4、C10、C11、C12、D1及びD10に感受性を示す。重要なことには、B. マレイ及びB. シュードマレイの耐性の化合物A7、B1、B5、C4、C10、C11、C12、D1、D2及びD10による誘導の評価によって、試験化合物が、15日の連続曝露にわたって耐性をわずかから全くもたらさないことが明らかになった。反対に、対照抗生物質ドキシサイクリンは、漸増耐性の出現をもたらし、13~15日連続曝露した後にそのMICが32倍増加した(図7及び8)。
【0307】
本発明による化合物の細菌性植物病原体に対する抗微生物性を、図4の表に提示する。最小発育阻止濃度(MIC)値は、μMの単位で表す。
【0308】
図4は、試験化合物が、グラム陰性(シュードモナス・シリンガエ)植物病原体とグラム陽性(ストレプトマイセス・ロイエテンシス)植物病原体の両方に活性であることを示す。最良の化合物は、P. シリンガエに対するMIC値が1.5~3.12μMである化合物A7、B1、B5、C11、D10及びE5であり、S. ロイエテンシスに対するMIC値が6.25~12.5μMである化合物A7、B1、B5、C11、D10及びE5である。
【0309】
本発明による化合物のさまざまなヒト細胞に対する毒性の評価を、図5及び図11の表に提示する。
【0310】
図5は、さまざまな組織/器官に起源をもつヒト細胞の生存率に関して試験化合物のIC50(すなわち、細胞生存率の50%低減を引き起こす化合物の濃度)を示す。データから、化合物A7、B5、C11、C12及びE5は、IC50がたいていの場合100μMより高く、500μMよりはるかに高く(最高試験用量)、より安全であることが明らかである。
【0311】
図11は、ヒト肝臓に起源をもつHepG2細胞の生存率に関して、試験化合物AD-1-49、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076のIC50(すなわち、細胞生存率の50%低減を引き起こす化合物の濃度)を示す。データから、5種の化合物はすべて、IC50がどの場合でも250μMより高く安全であり、MR1065に関する限り、IC50が1000μMよりはるかに高いことが明らかである。
【0312】
本発明による好ましい化合物A7、B5、C11、C12、及びE5の治療指数又は安全係数を、図6の表に提示する。治療指数(TI)又は安全係数(SF)は、各細胞型について得られたIC50を同じ化合物について観察された最小MIC値で除することによって計算した。
【0313】
図6から、安全性の値は考慮された試験化合物及び細胞型の両方に依存するが、化合物A7、B5、C11、C12及びE5は、TI/SFが38~4017であり、極めて安全であることが明らかに示される。考慮されたさまざまな細胞型で得られた各試験化合物のTI/SF値の平均に基づいて、化合物の安全性の順序は、以下の通り、C12(TI/SFの平均=1169)>E5(TI/SFの平均=852)>A7(TI/SFの平均=370)>C11(TI/SFの平均=355)>B5(TI/SFの平均=103)であると思われる。
【0314】
本発明による化合物AD-1-49、AD-1-61、AD-1-62、MR1065及びMR1076の治療指数又は安全係数も、図12の表に提示する。治療指数(TI)又は安全係数(SF)は、各細胞型について得られたIC50を同じ化合物について観察された最小MIC値で除することによって計算した。興味深いことに、化合物MR1065は、最高治療指数(712,82)を有するように見受けられる。
【0315】
変異原性の結果を、図9A図9Kの表1~表11に提示する。結果から、化合物はいずれも、微小核化細胞の有意な増加を誘導しないことが明らかである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図10
図11
図12
【国際調査報告】