(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】液圧式の車両ブレーキ設備のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロック
(51)【国際特許分類】
B60T 8/36 20060101AFI20230725BHJP
B60T 17/04 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B60T8/36
B60T17/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501456
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021058417
(87)【国際公開番号】W WO2022012788
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020208958.2
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ツァンダー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】レフラー,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049CC02
3D049HH10
3D049HH11
3D049HH12
3D049HH15
3D049HH41
3D049PP02
3D246BA02
3D246DA01
3D246FA03
3D246GB01
3D246GB02
3D246LA26B
(57)【要約】
本発明は、圧力変動ダンパ(14)およびスロットル(15)のための収容部(14’,15’)を互いにオフセットをもって、かつハイドロポンプ(9)のための収容部(9’)に対してオフセットをもって、液圧式の車両ブレーキ設備のスリップコントロールのハイドロリックユニットのためのハイドロリックブロック(16)の向かい合う側に設けることを提案し、それにより、圧力変動ダンパ(14)のいっそう大きい容積およびそれにより改善された緩衝が可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の車両ブレーキ設備(1)のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットのためハイドロリックブロックであって、前記ハイドロリックブロック(16)はバルブ(6,7,8,13)のための収容部(6’,7’,8’,13’)とハイドロポンプ(9)のための収容部(9’)とを有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記ハイドロリックブロック(16)は、前記ハイドロリックブロック(16)の1つの側(20)にある圧力変動ダンパ(14)のための収容部(14’)と、前記ハイドロリックブロック(16)の別の側(30)にあるスロットル(15)のための収容部(15’)とを有することを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項2】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は前記ハイドロリックブロック(16)の向かい合う側(20,30)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のハイドロリックブロック。
【請求項3】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は平行な軸を有することを特徴とする、請求項2に記載のハイドロリックブロック。
【請求項4】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は互いにオフセットを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項または複数項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項5】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は互いに交差し、または相互に連通することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項または複数項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項6】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)および/または前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に対してオフセットを有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項または複数項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項7】
前記ハイドロリックブロック(16)は、前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に配置されている前記ハイドロポンプ(9)の圧力側を前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と接続するとともに前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に配置されている前記ハイドロポンプ(9)の圧力側および/または前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)を前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)と接続する穿孔(22)を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項または複数項に記載のハイドロリックブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項の構成要件を有するハイドロリックブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなハイドロリックブロックは、液圧式の車両ブレーキ設備のスリップコントロールの液圧コンポーネントの機械的な取付と液圧的な配管のための役目を果たす。このような液圧コンポーネントは、特に電磁弁、逆止め弁、ハイドロリザーバ、圧力変動ダンパ、スロットル、圧力センサ、ハイドロポンプなどである。1つまたは複数のブレーキパイプを介して、ハイドロリックブロックがマスタブレーキシリンダに接続され、ブレーキパイプを介して、液圧ホイールブレーキがハイドロリックブロックに接続される。特に非人力・車両ブレーキ設備について、マスタブレーキシリンダをハイドロリックブロックに統合することが知られており、すなわち、ハイドロリックブロックをマスタブレーキシリンダに接続する代わりに、1つまたは複数のマスタブレーキシリンダピストンを収容するためのマスタブレーキシリンダボアをハイドロリックブロックに設けることが知られている。
【0003】
スリップコントロールは、たとえばロック防止コントロール、トラクションコントロール、および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニックスタビリティプログラムであり、これらについて略語ABS、ASR、および/またはFDR/ESPが慣用される。スリップコントロールは周知であり、ここでは説明しない。ハイドロリックブロックは非人力ブレーキ圧発生器のための収容部も有することができ、たとえば、非人力式にブレーキ圧を生成するためのピストン・シリンダユニットのための収容部を有することができる。
【0004】
液圧コンポーネントは、多くの場合に円筒状の貫通孔または止まり穴として部分的に直径段差を有するように構成される、ハイドロリックブロックの収容部に取り付けられる。「液圧配管」とは、収容部ないしその中に取り付けられた液圧コンポーネントがハイドロリックブロックのパイプを通して、車両ブレーキ設備ないしそのスリップコントロールの液圧配管図に即して接続されることを意味する。パイプは、典型的にはハイドロリックブロックに穿設される。収容部およびこれらを接続するハイドロリックブロックのパイプは、ハイドロリックブロックの穿孔と呼ぶこともできる。
【0005】
ハイドロリックブロックは、スリップコントロールの液圧コンポーネントが実装されてハイドロリックユニットを構成するが、ここで「実装される」とは、液圧コンポーネントが、そのためにそれぞれ意図されるハイドロリックブロックの収容部に取り付けられて、通常は圧密に封止されることを意味する。
【0006】
このような種類のハイドロリックブロックは、特許文献1から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102006059924A1号明細書
【発明の概要】
【0008】
請求項1の構成要件を有する本発明によるハイドロリックブロックは、液圧式の車両ブレーキ設備のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットのために意図され、特に、バルブのための、特にスリップコントロールの電磁弁のための収容部と、ハイドロポンプのための、特にいわゆるリターンポンプのための収容部とを有する。ハイドロリックブロックは、車両ブレーキ設備の各々のブレーキ回路のためのハイドロポンプのための収容部を有するのが好ましい。ハイドロポンプは、スリップコントロールのためのブレーキ圧を生成する役目を果たし、および、ホイールブレーキでブレーキ圧が低下した後に車両ブレーキ設備のホイールブレーキでブレーキ圧を上昇させ、スリップコントロール中にホイールブレーキからマスタブレーキシリンダの方向へブレーキ液を帰還させる役目を果たす。さらにハイドロリックブロックは、ハイドロリックブロックの1つの側にある圧力変動ダンパのための収容部と、ハイドロリックブロックの別の、好ましくは向かい合う側にあるスロットルのための収容部とを有する。圧力変動ダンパはハイドロポンプの圧力側に接続され、スロットルも同じくハイドロポンプの圧力側に、および/または圧力変動ダンパに接続される。圧力変動ダンパは、ハイドロポンプの圧力側でのブレーキ液の圧力変化を緩衝し、特に、ハイドロポンプによるブレーキ液の振動性の圧送による圧力脈動や、スリップコントロールの切換式の電磁弁による飛躍的な圧力変動を緩衝するために設けられる。ハイドロポンプ、圧力変動ダンパ、および/またはスロットルのための収容部は互いにオフセットされてハイドロリックブロックに配置されるのが好ましく、それにより、これらが互いのそばを通過し、または互いに交差する。ハイドロポンプのための収容部および/またはスロットルのための収容部に対する、圧力変動ダンパのための収容部のオフセットは、圧力変動ダンパのいっそう大きい容積を可能にし、ないしはハイドロリックブロック内部での圧力変動ダンパのいっそう大きい容積を可能にし、それによってその緩衝作用が改善し、もしくはこれを改善することができる。
【0009】
従属請求項は、独立請求項に記載されている発明の発展例と好ましい実施形態を対象とする。
【0010】
明細書および図面に開示されている一切の構成要件は、それ自体として単独で、または基本的に任意の組合せとして、本発明の実施形態で具体化されていてよい。本発明の1つの請求項または1つの実施形態のすべての構成要件ではなく、1つまたは複数の構成要件だけを有している本発明の実施形態も、原則として可能である。
【0011】
次に、図面に示されている実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】スリップコントロールを有する液圧式の車両ブレーキ設備の液圧配管図である。
【
図2】
図1の車両ブレーキ設備のハイドロリックユニットのための部分的に実装された本発明によるハイドロリックブロックを示す斜視図である。
【
図3】未実装の
図2のハイドロリックブロックを別の視線方向で示す図である。
【
図4】圧力変動ダンパのための収容部およびスロットルのための収容部に沿って示す、
図2および
図3のハイドロリックブロックの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す車両ブレーキ設備1は、4つの液圧ホイールブレーキ2を有し、そのうちそれぞれ2つが両方のブレーキ回路I,IIの一方に接続される、2回路ブレーキ設備として構成されている。この車両ブレーキ設備は、筋力によって-本実施例ではフットブレーキペダル3によって-操作可能なマスタブレーキシリンダ4を有していて、これがブレーキ倍力装置5を有することができるが、必ずしも有さなくてもよい。
【0014】
各々のブレーキ回路I,IIは分離弁6を介してマスタブレーキシリンダ4に接続されている。ホイールブレーキ2は、それぞれ取込弁7を介して分離弁6に接続されている。吐出弁8を介して、各々のブレーキ回路I,IIのホイールブレーキ2が、リターンポンプとも呼ばれるハイドロポンプ9の吸込側に接続されている。吐出弁8とハイドロポンプ9との間に、ハイドロリザーバ10と、ハイドロポンプ9の方向に貫流可能な逆止め弁11とが配置されている。ハイドロポンプ9の圧力側は分離弁6と取込弁7の間に接続されており、それによりハイドロポンプ9は、スリップコントロール中に吐出弁8が開くことで、ホイールブレーキ2から出てくるブレーキ液をホイールブレーキ2でのあらためての圧力上昇のために取込弁7を通じて再びホイールブレーキ2に戻るように、または分離弁6を通じてマスタブレーキシリンダ4に戻るように、圧送することができる。
【0015】
ハイドロポンプ9は、電気モータ12によって共同で駆動可能である。ハイドロポンプ9の吸込側は、吐出弁8を通じてホイールブレーキ2に接続されるほか、迅速なブレーキ圧生成のために、吸込弁13を通じてマスタブレーキシリンダ4にも接続されている。
【0016】
ハイドロポンプ9の圧力側と、分離弁6と取込弁7の間へのその接続部との間に、本発明によると、圧力変動ダンパ14およびスロットル15が設けられている。圧力変動ダンパ14とスロットル15は、圧力振動、圧力脈動、ならびに特にハイドロポンプ9がたとえばピストンポンプとして製作されている場合におけるハイドロポンプによるブレーキ液の周期的な圧送による、および弁の切換による、ブレーキ液での飛躍的な圧力変動を緩衝する。
【0017】
本実施例ではそれぞれの弁は2/2ウェイ電磁弁であり、分離弁6と取込弁7は無通電の基本位置にあるときに開き、吐出弁8と吸込弁13は無通電の基本位置にあるときに閉じる。取込弁7と吐出弁8はホイールブレーキ圧変調弁構造を形成し、これによりハイドロポンプ9とともに、ホイールブレーキ2でのホイールブレーキ圧をスリップコントロールのためにホイール個別的に制御可能である。このようなスリップコントロールは、たとえばロック防止コントロール、トラクションコントロール、および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニックスタビリティプログラムであり、これらについて略語ABS、ASR、および/またはFDR/ESPが慣用される。スリップコントロールは周知であり、ここでは詳しくは説明しない。
【0018】
分離弁6、取込弁7、吐出弁8、ハイドロポンプ9、ハイドロリザーバ10、逆止め弁11、吸込弁13、圧力変動ダンパ14、およびスロットル15が、
図2および
図3に示す本発明によるハイドロリックブロック16に格納される。ハイドロリックブロック16は上記の液圧コンポーネントが実装されて、液圧式の車両ブレーキ設備1のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットを形成する。ブレーキパイプを介して、ハイドロリックブロック16ないしハイドロリックユニットがマスタブレーキシリンダ4に接続され、同じくブレーキパイプを介して、ホイールブレーキ2がハイドロリックブロック16ないしハイドロリックユニットに接続される。
【0019】
図2および
図3に示す本発明によるハイドロリックブロック16は、本実施例では、長さや幅と比べておよそ4分の1から3分の1の厚みのほぼ正方形の広い面を有する、直方体の金属ブロックである。ハイドロリックブロック16は、電磁弁6,7,8,13、逆止め弁11、ハイドロリザーバ10、圧力変動ダンパ14、およびスロットル15のための収容部としての止まり穴と、ハイドロポンプ9のための収容部としての貫通孔とを有している。電気モータ12は、ハイドロリックブロック16の両方の広い面のうちの一方の外側に配置されており、これをここではハイドロリックブロック16のモータ側30と呼ぶ。ハイドロリックブロック16に格納される液圧コンポーネントのための収容部は、各コンポーネントの符号に「’」を付して表している。
【0020】
ここでは接続側17と呼ぶハイドロリックブロック16の横面には、一列に相並んで4つの止まり穴が、ホイールブレーキ2へと通じるブレーキパイプのための接続部18として設けられている。マスタブレーキシリンダ4から来る両方のブレーキパイプのための同様の接続部19が、
図2では観察者と反対を向く後側にあるとともに
図3では下側にあるハイドロリックブロック16のモータ側30で、接続側17の近傍に設けられている。ブレーキパイプはたとえばホースニップルまたは押込みニップルによって、あるいは自動かしめ式のいわゆる「セルフクリンチ式の」押込みニップルによって、接続部18,19に圧密に取り付けられる。
図3では、液圧コンポーネントのための収容部とブレーキパイプのための接続部18,19を見えるようにするために、ハイドロリックブロック16が透明に図示されている。
【0021】
電磁弁のための収容部は、モータ側30に向かい合うハイドロリックブロック16の広い面にあり、ここではこれをバルブ側20と呼ぶ。すなわち、取込弁7のための全部で4つの収容部7’が、接続側17に対して平行の第1のバルブ列に相並んで配置され、吐出弁8のための4つの収容部8’が同じく接続側17と平行に、第2のバルブ列に相並んで配置され、吸込弁13のための収容部13’が第3のバルブ列に配置され、分離弁6のための収容部6’が第4のバルブ列に配置され、これら4つのバルブ列は上述した順序で、接続側17と、これと向かい合うハイドロリックブロック16の横面との間でそのバルブ側20に配置されている。ハイドロリックブロック16は、分離弁6のためのそれぞれの収容部6’の間に圧力センサ21のための収容部21’を有している。ハイドロリックブロック16は、接続側17と向かい合う横面に、ハイドロリザーバ10のための収容部10’としての止まり穴を有している。ハイドロリックブロック16にあるボアを通して、液圧コンポーネントのための各収容部が車両ブレーキ設備1の液圧配管図に即して互いに接続される。ボア、収容部、および接続部は、ハイドロリックブロック16への穿孔と呼ぶこともできる。ハイドロリックブロック16は液圧コンポーネントが実装されて、上述したように、車両ブレーキ設備1のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットを形成する。
【0022】
ハイドロポンプ9のための収容部9’を形成する貫通孔は、ハイドロリックブロック16の両方の広い面に対して平行に、すなわちモータ側30とバルブ側20に対して平行に、かつ両方の横面に対して平行に、すなわち接続側17およびこれと向かい合う横面に対して平行に、吐出弁8のための収容部8’を有する第2のバルブ列と、吸込弁13のための収容部13’を有する第3のバルブ列との間でハイドロリックブロック16を貫通する。
【0023】
図2では、電磁弁の電機子を含むバルブドームがバルブ側20でハイドロリックブロック16から突き出している。バルブドームの上に、電磁弁を操作するための図示しない磁気コイルが装着される。バルブドームを例外として、本発明によるハイドロリックブロック16は
図2では未実装で示されている。
図3では、各収容部を見えるようにするために、本発明によるハイドロリックブロック16が未実装で透明に示されている。
【0024】
本発明によるハイドロリックブロック16は第3のバルブ列に、吸込弁13のための収容部13’の外部にある圧力変動ダンパ14のための収容部14’としての2つの止まり穴をバルブ側20に有しており、すなわち、吸込弁13のための収容部13’は、圧力変動ダンパ14のためのそれぞれの収容部14’の間にある。圧力変動ダンパ14のための収容部14’は、ハイドロポンプ9のための収容部9’に関して、接続側17と向かい合うハイドロリックブロック16の横面の方向にオフセットされている。このオフセットは、圧力変動ダンパ14のための収容部14’の仮想的な円筒状の包絡面がハイドロポンプ9の収容部9’と交差する程度に小さい。ただし圧力変動ダンパ14の収容部14’は、ハイドロポンプ9の収容部9’に連通しない程度に小さい。その様子は、ハイドロリックブロック16の縦断面をその長辺に対して平行に、すなわち接続側17とモータ側30とバルブ側20に対して垂直に、圧力変動ダンパ14のための両方の収容部14’のうちの一方を軸方向に通るように示す
図4が示している。
図3および
図4に見られるとおり、圧力変動ダンパ14のための収容部14’とハイドロポンプ9のための収容部9’は互いに直角に、かつ互いにオフセットをもって、ハイドロリックブロック16に設けられている。
【0025】
圧力変動ダンパ14は、
図4に見られるように、一端で閉じられた円筒管状のハウジング24を有していて、その開いた端部が収容部14’の連通部に配置されるとともに、周回するかしめによって収容部14’に圧密に取り付けられる。圧力変動ダンパ14のハウジング24は、電磁弁のバルブドームと同じく、ハイドロリックブロック16のバルブ側20から突き出す。ハウジング24の中にホース状の肉厚の緩衝体25があり、その一端が閉じており、開いた端部が収容部14’に連通する。緩衝体25はエラストマーフォームからなり、ブレーキ圧の圧力変動をその内部で緩衝する。
【0026】
モータ側30に、すなわち圧力変動ダンパ14のための収容部14’を有するバルブ側20と向かい合うハイドロリックブロック16の側に、スロットル15のための収容部15’としての止まり穴がハイドロリックブロック16に設けられている(
図3および
図4を参照)。スロットル15のための収容部15’と圧力変動ダンパ14のための収容部14’は互いに平行であり、互いに平行な軸を有している。すなわちスロットル15のための収容部15’は、圧力変動ダンパ14のための収容部14’と同様に、ハイドロポンプ9のための収容部9’に対して直角に延びている。圧力変動ダンパ14のための収容部14’と同じくスロットル15のための収容部15’も、ハイドロポンプ9のための収容部9’に関して、接続側17と向かい合うハイドロリックブロック16の横面の方向にオフセットされているが、スロットル15のための収容部15’のオフセットのほうが大きく、それにより、スロットル15のための収容部15’はハイドロポンプ9のための収容部9’と交差しない。ただしスロットル15のための収容部15’のオフセットは、
図3および
図4に見られるように、スロットル15のための収容部15’が圧力変動ダンパ14のための収容部14’に連通する程度に小さい。
図4では、スロットル15はその収容部15’の中で絞り穴として記号で図示されているが、スロットル15がこれ以外に施工されてもよい。これに加えて
図4には、スロットル15のための収容部15’の中に逆止め弁23が切換記号として示されている。このような逆止め弁23が存在していてよいが、存在しなければならないわけではない。接続側17からハイドロリックブロック16の中に入る、バルブ側20、モータ側30、およびハイドロリックブロック16の長辺に対して平行なボア22が、ハイドロポンプ9のための収容部9’およびスロットル15のための収容部15’を貫通する。ハイドロリックブロック16の穿孔の一部であるボア22は、ハイドロポンプ9の圧力側がハイドロリックブロック16での収容部9’に配置されているときに、これをスロットル15のための収容部15’、取込弁7のための収容部7’、および分離弁6のための収容部6’と接続するように、ハイドロリックブロック16に設けられる。圧力変動ダンパ14のための収容部14’は、これが連通するスロットル15のための収容部15’を介して、ハイドロポンプ9の圧力側と接続される。
【符号の説明】
【0027】
1 車両ブレーキ設備
6,7,8,13 バルブ
6’,7’,8’,13’バルブのための収容部
9 ハイドロポンプ
9’ ハイドロポンプのための収容部
14 圧力変動ダンパ
14’ 圧力変動ダンパのための収容部
15 スロットル
15’ スロットルのための収容部
16 ハイドロリックブロック
20 バルブ側
22 穿孔
30 モータ側
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の車両ブレーキ設備(1)のスリップコントロールのためのハイドロリックユニットのためハイドロリックブロックであって、前記ハイドロリックブロック(16)はバルブ(6,7,8,13)のための収容部(6’,7’,8’,13’)とハイドロポンプ(9)のための収容部(9’)とを有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記ハイドロリックブロック(16)は、前記ハイドロリックブロック(16)の1つの側(20)にある圧力変動ダンパ(14)のための収容部(14’)と、前記ハイドロリックブロック(16)の別の側(30)にあるスロットル(15)のための収容部(15’)とを有することを特徴とする、ハイドロリックブロック。
【請求項2】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は前記ハイドロリックブロック(16)の向かい合う側(20,30)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のハイドロリックブロック。
【請求項3】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は平行な軸を有することを特徴とする、請求項2に記載のハイドロリックブロック。
【請求項4】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は互いにオフセットを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1
項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項5】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14)と前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は互いに交差し、または相互に連通することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1
項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項6】
前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)および/または前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)は前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に対してオフセットを有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1
項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項7】
前記ハイドロリックブロック(16)は、前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に配置されている前記ハイドロポンプ(9)の圧力側を前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)と接続するとともに前記ハイドロポンプ(9)のための前記収容部(9’)に配置されている前記ハイドロポンプ(9)の圧力側および/または前記圧力変動ダンパ(14)のための前記収容部(14’)を前記スロットル(15)のための前記収容部(15’)と接続する穿孔(22)を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1
項に記載のハイドロリックブロック。
【国際調査報告】