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特表2023-533082試薬容器キャップ、試薬容器ユニットおよび試薬キット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】試薬容器キャップ、試薬容器ユニットおよび試薬キット
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/22 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
B65D43/22 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501489
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021073190
(87)【国際公開番号】W WO2022043228
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20192325.7
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】クラムニー,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘフリン,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,アンティエ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイマン,アレックス
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AB05
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084FC04
3E084GA01
3E084GB01
3E084HC03
3E084KB01
3E084LB02
(57)【要約】
試薬容器キャップ(116)は、試薬容器に取り付けられるように適合され、少なくともキャップ(116)の最初の開放後に、開放状態と閉鎖状態との間で調整可能であるように適合され、試薬容器キャップ(116)は、キャップ内部空間(109)を画定し、キャップ(116)が開放状態にあるときに上方からキャップ内部空間(109)にアクセスすることを可能にするキャップ開口部(116o)を有し、キャップ(116)の閉鎖状態において、キャップ内部空間(109)は、底面(116b)に向かってのみ開放しており、試薬容器キャップ(116)は、互いに固定的に接続され異なる材料から作られる主要部分(116m)および挿入部分(116i)を備え、キャップ(116)が閉鎖状態にあるとき、キャップ内部空間(109)は、挿入部分(116i)の表面によって完全にかつ排他的に、円周方向にかつこの領域の上側に向かって画定された領域(109t)を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬容器キャップ(116)であって、
試薬容器(118)に取り付けられるように適合され、
少なくとも前記試薬容器キャップ(116)の最初の開放後に、開放状態と閉鎖状態との間で調整可能であるように適合され、
前記試薬容器キャップ(116)が、キャップ内部空間(109)を画定し、前記試薬容器キャップ(116)が前記開放状態にあるとき、およびキャップ開口部(116o)が上方に面するように前記試薬容器キャップ(116)が垂直方向に配向されている通常の動作条件下で、上方から前記キャップ内部空間(109)にアクセスすることを可能にするキャップ開口部(116o)を有し、通常の動作条件下での前記試薬容器キャップ(116)の前記閉鎖状態において、前記キャップ内部空間(109)が底面(116b)に向かってのみ開放しており、
前記試薬容器キャップ(116)が、互いに恒久的に接続され異なる材料から作られる主要部分(116m)および挿入部分(116i)を備え、前記試薬容器キャップ(116)が前記閉鎖状態にあるとき、前記キャップ内部空間(109)が、前記挿入部分(116i)の表面によって完全にかつ排他的に、通常の動作条件下で円周方向にかつこの領域の上側に向かって画定された領域(109t)を備え、
前記試薬容器キャップ(116)が、前記挿入部分(116i)と前記主要部分(116m)との間に形成される環状隙間(116g)を備え、前記環状隙間(116g)が、前記試薬容器(118)の上端部(118t)を収容するように適合される、試薬容器キャップ(116)。
【請求項2】
前記主要部分(116m)が、主要部分材料を含み、前記挿入部分(116i)が、前記主要部分材料よりも所与の溶媒に対する耐性が高いおよび/または可撓性が高い挿入部分材料を含む、請求項1に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項3】
前記主要部分材料がポリプロピレンであり、前記挿入部分材料が熱可塑性オレフィンまたは低密度ポリエチレンである、請求項2に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項4】
前記主要部分(116m)および前記挿入部分(116i)が、前記主要部分(116m)と前記挿入部分(116i)とを固定的に接続するために互いに係合するように適合されたインターロック構造(116ml、116il、120ml、120il、122ml、122il)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項5】
前記主要部分(116m)が、前記試薬容器キャップ(116)を外部から前記試薬容器(118)に取り付けるように適合された取り付け構造(196)、特にスナップ構造(199)またはねじ構造(198)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項6】
キャップ本体(120)と、前記試薬容器キャップ(116)を閉鎖状態と開放状態との間で調整するために、閉鎖位置と開放位置との間で回動軸(P)周りに回動可能であるように前記キャップ本体(120)にヒンジ止めされる蓋(122)と、を備え、
前記キャップ本体(120)が、互いに固定的に接続される本体主要部分(120m)と、本体挿入部分(120i)と、を備え、前記蓋(122)が、互いに固定的に接続される蓋主要部分(122m)と、蓋挿入部分(122i)と、を備え、前記試薬容器キャップ(116)の前記主要部分(116m)が、前記本体主要部分(120m)と、前記蓋主要部分(122m)と、を備え、前記試薬容器キャップ(116)の前記挿入部分(116i)が、前記本体挿入部分(120i)と、前記蓋挿入部分(122i)と、を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項7】
前記本体挿入部分(120i)が、前記キャップ開口部(116o)を画定するネック部分(121)を備え、前記蓋挿入部分(122i)が、前記蓋(122)を回転させて前記閉鎖位置にしたときに前記ネック部分(121)に挿入されるプラグ部分(122p)を備える、請求項6に記載の試薬容器キャップ。
【請求項8】
前記挿入部分(116i)が、前記試薬容器キャップ(116)を前記開放状態に調整するために分析装置のピペッティングデバイスの針によって穿孔および/または開放されるように適合された閉鎖部分(187)を有し、前記閉鎖部分(187)が、さらにまた、前記針が取り外された後に前記試薬容器キャップ(116)を前記閉鎖状態に自動的に調整するように適合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項9】
前記試薬容器キャップ(116)が、さらにまた、少なくとも1つの試薬容器(118、118’)を収容するための支持構造体(114)に取り付けられるように適合される、請求項1から8のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)。
【請求項10】
試薬容器ユニット(103)であって、
上面開口部(118o)を有する試薬容器(118)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の試薬容器キャップ(116)であって、前記試薬容器(118)に取り付けられているかまたは取り付け可能である試薬容器キャップ(116)と
を備える、試薬容器ユニット(103)。
【請求項11】
前記試薬容器(118)がガラス製である、請求項10に記載の試薬容器ユニット(103)。
【請求項12】
試薬キット(110)であって、
支持構造体(114)と、
前記支持構造体(114)上に収容される単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニット(103、103’)であって、各試薬容器ユニット(103、103’)が、試薬容器(118、118’)と、それに取り付けられているかまたは取り付け可能な試薬容器キャップ(116、116’)と、を備え、前記単一の試薬容器ユニットまたは前記複数の試薬容器ユニット(103、103’)のうちの少なくとも1つが、請求項10または11に記載の特徴を有する試薬容器ユニット(103)である、単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニット(103、103’)と
を備える、試薬キット(110)。
【請求項13】
前記単一の試薬容器ユニットまたは前記複数の試薬容器ユニット(103、103’)のうちの少なくとも1つの前記試薬容器キャップ(116、116’)が、上方から前記支持構造体(114)に取り付けられるように適合され、前記試薬キット(110)が、この試薬容器キャップ(116、116’)と前記支持構造体(114)との間にキーおよびスロットジョイント(170、170’)を備え、
前記キーおよびスロットジョイント(170、170’)が、前記試薬容器キャップ(116、116’)および前記支持構造体(114)の一方の要素(114)に設けられるキー部(171)と、前記試薬容器キャップ(116、116’)および前記支持構造体(114)の他方の要素に設けられるスロット部(181)とを備え、
前記キー部(171)が、前記一方の要素(114)の隣接領域から垂直方向に突出しており、前記スロット部(181)が、互いに対向しかつ前記試薬容器キャップ(116、116’)が前記支持構造体(114)に嵌合されたときに前記キー部(171)を間に受け入れるように適合された2つの垂直面部(181f)を備える、請求項12に記載の試薬キット(110)。
【請求項14】
前記単一の試薬容器ユニットまたは前記複数の試薬容器ユニット(103、103’)のうちの少なくとも1つの前記試薬容器キャップ(116、116’)が、上方から前記支持構造体(114)に取り付けられるように適合され、この試薬容器キャップ(116、116’)および前記支持構造体(114)の一方の要素(114)が、変形突出構成(190)を備え、他方の要素(116、116’)が、前記変形突出構成(190、190’)に関連する変形ゾーン(194、194’)を備え、関連する前記変形ゾーン(194、194’)が、前記試薬容器キャップ(116、116’)が前記支持構造体(114)に取り付けられたときに前記変形突出構成(190、190’)によって変形させられるように適合される、請求項12または13に記載の試薬キット(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬容器キャップ、特に、例えば臨床化学または免疫化学の分野における自動分析装置において使用するための試薬容器キャップに関し、キャップは、試薬容器に取り付けられるように適合され、少なくともキャップの最初の開放後に、開放状態と閉鎖状態との間で調整可能であるように適合される。
【背景技術】
【0002】
試薬容器キャップは、キャップ内部空間を画定し、キャップが開放状態にあるときに上方からキャップ内部空間にアクセスすることを可能にするキャップ開口部を有し、キャップの閉鎖状態において、キャップ内部空間は、キャップの底側に向かってのみ、したがって試薬容器に向かってのみ開放している。
【0003】
本出願を通して、方向または配向が言及されるときはいつでも、それらは、通常の動作条件下で閉鎖した試薬容器キャップに関し、キャップは、キャップ開口部が上方を向くように垂直方向に配向される。
【0004】
異なる種類のそのような試薬容器キャップは、例えば、ヒンジ付きキャップを記載する国際公開第2011/020885号パンフレットおよび穿孔キャップを記載する欧州特許出願公開第0564970号明細書に開示されている。
【0005】
従来、これらのキャップは、ポリプロピレンなどの単一の適切な熱可塑性材料から射出成形によって一体に形成される。
【0006】
既知のキャップは、多種多様な臨床試料および異なる化学物質を収容する関連する試薬容器を確実に繰り返し開閉するために使用される。
【0007】
ポリプロピレンは、費用対効果が高く、例えば信頼性の高いヒンジまたは試薬容器への安定した取り付けを得るために必要な機械的特性を提供しながら、特定の試験に使用されるいくつかのより攻撃的な溶媒によって損傷を受ける可能性がある。一方、これらの溶媒に対してより耐性のあるプラスチック材料は、かなり高価である可能性があり、および/または要求される機械的特性を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/020885号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0564970号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この背景に対して、本発明の目的とする課題は、キャップ全体のコストおよび性能の最適化を考慮して、既知の試薬容器キャップを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有する試薬容器キャップによって解決される。本発明によれば、試薬容器キャップは、互いに恒久的に接続され異なる材料から作られる主要部分および挿入部分を備え、好ましくはこれらからなり、キャップが閉鎖状態にあるとき、キャップ内部空間は、挿入部分の表面によって完全にかつ排他的に、円周方向にかつこの領域の上側に向かって画定された領域を備える。
【0011】
これは、試薬容器にキャップが取り付けられて閉鎖されたときに、キャップの挿入部分のみが試薬容器の内部に接続されることを可能にすることができる。この構造により、キャップの異なる部分の材料は、費用対効果の高い解決策を提供しながら、異なる部分に要求される特定の性能を考慮して選択されることができる。
【0012】
これに関連して、「恒久的に接続された」とは、キャップを破壊せずに挿入部分が主要部分から分離されることができないという点で理解されるべきである。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、その機械的性能を損なうことなくキャップの化学的安定性および/またはシール特性を改善するために、主要部分は、主要部分材料を含み、挿入部分は、所与の溶媒、特に所与の有機溶媒または所与の有機溶媒と水との混合物に対してより耐性があり、および/または主要部分材料よりも可撓性が高い挿入部分材料を含む。所与の有機溶媒は、メタノール(MeOH)、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル(ACN)、酢酸エチル、塩化メチル(MeCl)、ベンゼン、n-ヘプタン、イソオクタン、アセトン、ポリエチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択されることができ、好ましくは有機溶媒は、メタノール(MeOH)またはアセトニトリル(ACN)である。
【0014】
主要部分材料は、主に十分な剛性などの機械的要件に基づいて選択されることができる。
【0015】
特に、主要部分(または「硬質」構成要素)は、主要部分材料から完全に作製されることができ、挿入部分(または「軟質」構成要素)は、1つまたはいくつかの挿入部分材料から作製されることができ、各挿入部分材料は、所与の溶媒に対してより耐性があり、および/または主要部分材料よりも可撓性が高い。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、主要部分材料は、ポリプロピレン(PP)、例えばPurell HP548Nであり、挿入部分材料は、熱可塑性オレフィン(TPO)または低密度ポリエチレン(LDPE)、例えばPurell 2007Hである。当業者は、熱可塑性射出成形中に双方の材料が強力に結合するという要件にしたがって、主要部分材料および挿入部分材料を選択することを承知している。
【0017】
キャップは、例えば、多材料射出成形によって作製されることができる。
【0018】
主要部分および挿入部分は、良好に結合しない異なる材料から作製された場合であっても、挿入部分を主要部分に固定的に取り付けるために互いに係合するように適合されたインターロック構造を有することができる。
【0019】
試薬容器キャップと試薬容器との間のシールを改善するために、試薬容器キャップは、挿入部分と主要部分との間に形成された環状隙間を備えることができ、環状隙間は、試薬容器の上端を受け入れるように適合される。さらにまた、試薬容器キャップの主要部分材料からなる部分が、キャップが取り付けられた試薬容器の内容物と接触する可能性がさらに低くなる。
【0020】
組み立てを容易にするために、試薬容器キャップの主要部分は、試薬容器キャップを試薬容器の周壁に外側から取り付けるように適合された取り付け構造、特にスナップ構造またはねじ構造を備えることができる。
【0021】
特に、主要部分に形成された取り付け構造は、周辺隙間の下方のキャップ内部空間内に突出するスナップフックの構成を備えることができ、スナップフックの構成は、試薬容器キャップが試薬容器に取り付けられたときに、周辺隙間内の試薬容器の上端にリムを保持するように適合される。この構成は、丸められたリムを有するガラス瓶に特に適している。
【0022】
本発明は、自動分析装置に広く使用されているヒンジ付きキャップに容易に適用されることができる。
【0023】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、試薬容器キャップは、キャップ本体と、キャップを閉鎖状態と開放状態との間で調整するために、閉鎖位置と開放位置との間で回動軸の周りに回動可能であるようにそれにヒンジ止めされた蓋と、を備え、キャップ本体は、本体主要部分と本体挿入部分とを備え、蓋は、蓋主要部分と蓋挿入部分とを備え、試薬容器キャップの主要部分は、本体主要部分と蓋主要部分とを備えるか、またはそれらからなり、試薬容器キャップの挿入部分は、本体挿入部分と蓋挿入部分とを備えるか、またはそれらからなる。
【0024】
本体主要部分と蓋主要部分とは、ポリプロピレンなどの同一の主要部分材料によって一体に形成されることができ、一体に形成されたフィルムヒンジによって接続されることができる。
【0025】
本体挿入部分は、キャップ開口部を画定するネック部分を備えることができ、蓋挿入部分は、キャップが取り付けられた試薬容器をしっかりとシールするために、蓋を回転させて閉鎖位置にしたときにネック部分に挿入されるプラグ部分を備えることができる。
【0026】
本発明は、広く使用されている別の種類の試薬容器キャップである穿孔キャップにも適用されることができる。
【0027】
したがって、本発明の別の特定の実施形態によれば、試薬容器キャップの挿入部分は、キャップを開放状態に調整するために分析装置のピペッティングデバイスの針によって穿孔および/または開放されるように適合された閉鎖部分を有し、前記閉鎖部分は、さらにまた、針が取り外された後にキャップを閉鎖状態に自動的に調整するように適合される。
【0028】
従来の分析装置は、特定の検査に必要な単一の試薬容器または所与の数の試薬容器を支持する支持構造体を備える試薬キットを使用することが多い。したがって、試薬容器キャップは、好ましくはキャップ本体であるヒンジ付きキャップの場合、好ましくはスナップ嵌めによって支持構造体に取り付けられるようにさらにまた適合されることができ、支持構造体は、少なくとも1つの試薬容器を収容するように適合される。
【0029】
本出願人はまた、上述したような本発明にかかる上部開口部を有する試薬容器および関連する試薬容器キャップを備える試薬容器ユニットを保護することを意図しており、試薬容器キャップは、試薬容器に取り付けられているかまたは取り付け可能とすることができる。
【0030】
特に、攻撃的な溶媒を意図する場合、試薬容器は、ガラスから作製されることができるが、もちろんプラスチック材料または他の材料も可能である。
【0031】
さらにまた、支持構造体と、支持構造体上に収容された単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのいずれかとを備える試薬キットであって、各試薬容器ユニットが、試薬容器と、試薬容器に取り付けられたまたは取り付け可能な関連する試薬容器キャップとを備える、試薬キットの保護が主張され、単一の試薬容器または複数の試薬容器ユニットの少なくとも1つ、いくつかの実施形態によれば、各試薬容器ユニットは、上述したような本発明にかかる試薬容器ユニットである。
【0032】
多くの場合、取り扱いを容易にするために、特定の検査を実行するのに必要な所与の数の試薬容器ユニット、例えば3つの試薬容器ユニットが共通の支持構造体上に収容される。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのうちの少なくとも1つの試薬容器キャップは、上方から支持構造体に取り付けられる、例えばスナップ嵌めまたは圧入されるように適合され、試薬キットは、前述の試薬容器キャップと支持構造体との間にキーおよびスロットジョイントを備える。
【0034】
キーアンドスロットジョイントは、支持構造体および試薬容器キャップの一方の要素に設けられるキー部と、支持構造体および試薬容器キャップの他方の要素に設けられるスロット部とを備え、キー部は、一方の要素の隣接領域から垂直方向に突出し、スロット部は、互いに対向する2つの垂直面部を有し、試薬容器キャップが上方から支持構造体に取り付けられたときにそれらの間にキー部を受け入れるように適合される。
【0035】
このようにして、キーおよびスロットジョイントは、製造公差に起因する望ましくない回転運動が最小化または回避されることができるように、垂直軸の周りの支持構造体に対するそれぞれの試薬容器キャップの回転運動を低減するように適合される。
【0036】
代替的または追加的に、単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのうちの少なくとも1つの試薬容器キャップは、上方から支持構造体に取り付けられる、特にスナップ嵌めされるように適合されることができ、この試薬容器キャップおよび支持構造体の一方の要素は、変形突出構成を備え、他方の要素は、変形突出構成に関連する変形ゾーンを備え、関連する変形ゾーンは、試薬容器キャップが支持構造体に取り付けられたときに変形突出構成によって変形させられるように適合される。したがって、変形突出構成および変形ゾーンは、垂直方向の製造公差に対応するために、局所化されたかつ画定された変形を提供する。
【0037】
突出構成の突出部の高さは、通常1mm未満、好ましくは0.5mm未満であり、例えば0.05mmから1mmの範囲とすることができる。それらの横方向の寸法またはそれらの直径は、0.1mmから1.0mmの範囲とすることができる。変形ゾーンは、0.2mmから2.0mmの範囲の厚さ(垂直方向の寸法)を有する水平棚部とすることができる。
【0038】
多くの試験に使用されることができる特定の実施形態によれば、試薬キットは、接続ラインに沿って一列に配置された3つの試薬容器ユニットを備え、試薬容器ユニットのうちの1つ、好ましくは最前の試薬容器ユニットは、上述したような本発明にかかる試薬容器キャップを備え、すなわち、異なる材料から作られる主要部分および挿入部分、好ましくはガラスから作られる試薬容器を有し、2つの他の試薬容器ユニットは、単一のプラスチック材料から作られる試薬容器キャップと、プラスチック材料からも作られる試薬容器とを備える。
【0039】
なお、本出願人は、必ずしも請求項1に記載の本発明によらない試薬容器キャップのみを有する試薬キットについても、元の請求項14および15を参照して上述したような回転移動の低減および垂直方向の製造公差の調整の態様を保護すること、すなわち、以下の項目に記載の試薬キットを保護することを企図していることが言及される。
1.試薬キットであって、
-支持構造体と、
-支持構造体上に収容された単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットであって、各試薬容器ユニットが、試薬容器と、試薬容器ユニットに取り付けられたまたは取り付け可能な試薬容器キャップとを備える、試薬容器ユニットと、を備え、
単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのうちの少なくとも1つの試薬容器キャップが、上方から支持構造体に取り付けられ、好ましくはスナップ嵌めまたは圧入されるように適合され、試薬キットが、この試薬容器キャップと支持構造体との間にキーアンドスロットジョイントを備え、
キースロットジョイントが、試薬容器キャップおよび支持構造体の一方の要素に設けられたキー部と、試薬容器キャップおよび支持構造体の他方の要素に設けられたスロット部とを備え、
キー部が、一方の要素の隣接領域から垂直方向に突出しており、スロット部が、互いに対向しかつ試薬容器キャップが支持構造体に嵌合されたときにキー部を間に受け入れるように適合された2つの垂直面部を備える、試薬キット。
2.試薬キットであって、
-支持構造体と、
-支持構造体上に収容された単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットであって、各試薬容器ユニットが、試薬容器と、試薬容器ユニットに取り付けられたまたは取り付け可能な試薬容器キャップとを備える、試薬容器ユニットと、を備え、
単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのうちの少なくとも1つの試薬容器キャップが、上方から支持構造体に取り付けられるように適合され、
単一の試薬容器ユニットまたは複数の試薬容器ユニットのうちの少なくとも1つの試薬容器キャップが、上方から支持構造体に取り付けられるように適合され、この試薬容器キャップおよび支持構造体の一方の要素が、変形突出構成を備え、他方の要素が、変形突出構成に関連する変形ゾーンを備え、関連する変形ゾーンが、試薬容器キャップが支持構造体に取り付けられたときに変形突出構成によって変形させられるように適合される、試薬キット。
【0040】
変形ゾーンおよび変形突出部の寸法は、上述したとおりとすることができる。
【0041】
上述した双方の場合において、試薬容器キャップは、例えば、前述のものと同様のヒンジ付きキャップまたは穿孔キャップであってもよいが、それらのキャップは単一の材料から形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、本発明が以下の図に示されるいくつかの実施形態に関して説明される。
【0043】
図1】差し込み図a)、b)およびc)における異なる図において全開放位置における蓋を有する本発明にかかる試薬容器キャップの第1の実施形態を示しており、差し込み図a)は底面図であり、差し込み図b)は斜視図であり、差し込み図c)は平面図である。
図2図1の主題を示しているが、キャップ本体および蓋の挿入部分が除去されている。
図3】それぞれ差し込み図a)およびb)におけるキャップ本体および蓋の分離された挿入部分の斜視図を示している。
図4図3の主題を軸方向平面に沿った斜視断面図で示している。
図5図1の差し込み図b)の主題を部分断面図で示している。
図6】全閉鎖位置における蓋を有する蓋のヒンジに直交する軸方向平面に沿った図1の試薬容器キャップの断面図である。
図7】差し込み図a)からe)において図1の試薬容器キャップの異なる図を示しており、差し込み図a)は側面図であり、差し込み図b)は背面図であり、差し込み図c)は底面図であり、差し込み図d)は正面図であり、差し込み図e)は平面図である。
図8】本発明にかかる試薬キットの第1の実施形態を斜視図で示している。
図9】試薬キットの垂直な長手方向の中心面に沿った、請求項8に記載の主題の断面図を示している。
図10図9の領域Xの拡大図を示している。
図11図8の試薬キットの支持体構造のみの一部の、図8の断面XI-XIにおける拡大断面図を示している。
図12図8の試薬キットの2つの後部試薬容器キャップのうちの1つの斜視図を示している。
図13図8の試薬キットに使用されるプラスチック試薬容器の斜視図を示している。
図14図8の試薬キットに使用されるガラス試薬容器の斜視図を示している。
図15】試薬容器にねじ込まれるヒンジ付きキャップの形態で本発明にかかる試薬容器キャップの第2の例示的な実施形態の断面図を示している。
図16】本発明にかかる穿孔キャップの形態の試薬容器キャップの第3の例示的な実施形態の断面図を示している。
図17図2の差し込み図c)に相当する図において、第1の実施形態に対して若干変形した試薬容器キャップ用のキャップ本体および蓋の要部のみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明にかかる試薬容器キャップの第1の例示的な実施形態が図1から図7を参照して説明される。
【0045】
この実施形態では、試薬容器キャップ116(略して「キャップ」)は、ヒンジ付きキャップであり、キャップ本体120と、キャップ本体120を開放状態と閉鎖状態との間で調整するために、図1に示す全開放位置と図7に示す全閉鎖位置との間で回動可能であるようにキャップ本体116にヒンジ止めされた蓋122とを備える。
【0046】
図1を主に参照して、キャップ本体120および蓋122の外観が説明される。
【0047】
上部領域では、キャップ本体120は、円形キャップ開口部116oを画定する本質的に円筒形ネック部分121と、キャップ本体120および蓋122と一体的に形成されたフィルムヒンジ117を支持するヒンジ支持構造体123とを備える。
【0048】
円筒形ネック部分121は、キャップ内部空間109(図6を参照されたい)内に下方に延在し、差し込み図a)の底面図に見えるネック部分121の下端に配置されたシールリング121sと一体的に形成される。切り欠き121nの任意の構成がシールリング121sの内面に設けられることができる。
【0049】
ネック部分121の外周面の対向する位置には、2つの縦リブ121rが設けられることができ、一方のリブ121は、キャップ本体120の挿入部分120iの一部としてネック部分121が形成された型の送り流路の残部であり、他方のリブ121rは、射出成形時の前述の型内の圧力を測定するための試験流路の残部である(図1bを参照されたい)。
【0050】
中間領域では、キャップ本体120は、キャップに安定性を提供する水平上壁125tおよび2つの本質的に垂直な側壁125sを有するフレーム構造125を備える。さらにまた、フレーム構造125は、分析装置の適切な位置決めおよび/または保持デバイスと協働するために使用されることができる。
【0051】
特に、フレーム構造の側壁120sに設けられたキャップ本体120の凹部125rは、そのような位置決めデバイスと協働するために使用されることができ、上壁125tは、蓋が開放されたときに試薬容器キャップまたはそれに取り付けられた試薬容器ユニットもしくは試薬キットが上方に移動するのを防止する保持デバイスと協働するために使用されることができる。
【0052】
フレーム構造125のキャップ116の前後の下端領域には、試薬容器キャップ116と支持構造体との間のキーおよびスロットジョイントのスロット部分181が設けられているが、これについては、図8から図14に示した試薬キットに関して後に詳述する。
【0053】
本質的に円筒形の容器受け構造137は、フレーム構造125内に部分的に配置されているが、そこから下方に突出している。容器受け構造137の上部領域には、試薬容器118の上側リム118rを保持するための取り付け構造196としてスナップフック199の構成が設けられている。さらにまた、試薬容器キャップ120を試薬キットの支持構造体に取り付けるために、容器受け構造137の下端に取り付けプレート129が設けられており、この取り付けプレート129の近傍において容器受け構造137にスナップウィンドウ137wが配置されている。
【0054】
水平棚部195の形態の変形ゾーン194が、取り付けプレート129の前側および後側に設けられる。この変形ゾーン194の機能については、図8から図14に示す試薬キットを参照して後にさらに詳細に説明する。
【0055】
蓋122は、上面143tおよび底面143bを有するプレート部分143を備える。ここで、方向および配向の指示は、例えば、図1の差し込み図a)に示す試薬キャップ120の底面図が全開放位置にある蓋122のプレート部分143の上面143tを示し、図1の差し込み図c)に示す平面図がプレート部分143の底面143bを示すように、閉じられている間の通常の動作方向の下での試薬容器キャップ120に関することに留意されたい。
【0056】
蓋122は、プレート部分143の底面143bから垂直方向に延在するプラグ部分122pをさらに備え、プラグ部分122pは、蓋122を閉鎖するときにキャップ本体120のネック部分121に挿入されるように適合される。
【0057】
プレート部分143の上面143tには、回動軸Pに平行または直交して延在するいくつかのリブ122rが設けられ、いくつかの矩形フィールド122fの構成を画定する。
【0058】
蓋122とキャップ本体120とを接続するオーバーセンターばね119または引っ張りバンド(ドイツ語の「Zugband」)は、蓋122の初期位置に応じて、キャップ蓋122を図1の全開放位置として図7に示す完全にまたはほぼ閉鎖した位置にも付勢するように機能する。
【0059】
最後に、蓋122は、プレート部分143から両側に水平方向に突出し、試薬容器を開閉するための外部デバイスと協働するように適合された2つの棒状係合突出部144を備える。
【0060】
材料ごとに、図6および図10の断面図に示すように、キャップ116は、異なる材料から作製されるが、キャップ116が一体ユニットを形成するように互いに恒久的に接続される主要部分116mおよび挿入部分116iを備えるか、またはそれらから構成される。
【0061】
より正確には、本実施形態では、キャップ本体120および蓋122の双方は、異なる材料から作られ、互いに固定的に接続される主要部分120m、122mおよび挿入部分120i、122iを備えるか、またはそれらから構成される。
【0062】
本体挿入部分120iおよび蓋挿入部分122iは、蓋120が閉鎖位置にあるとき、すなわちキャップ116が閉鎖状態にあるとき、キャップ内部空間109の上端領域109tが専らキャップの挿入部分116iの表面によって、すなわち本体挿入部分120iおよび蓋挿入部分122iの表面によって画定されるように配置される。換言すれば、キャップ116が閉鎖状態にあるとき、キャップ内部空間は、挿入部分116iの表面によってのみ完全に円周方向におよびその上側に向かって画定される領域109tを備える。
【0063】
そのため、図10に示すように、キャップ116が試薬容器118に取り付けられて蓋122が閉鎖されると、試薬容器キャップ116の挿入部分116iのみが容器118の内部118iに流体接触する。
【0064】
したがって、挿入部分は、好ましくは、より攻撃的な溶媒にも耐性があり、その高い弾性のために良好なシール特性を有する熱可塑性オレフィンまたは低密度ポリエチレンなどの材料から作製され、一方、主要部分は、ポリプロピレンなどのより費用効果が高く機械的に強い材料から作製されることができる。
【0065】
本例示的実施形態では、キャップ本体120の挿入部分120iは、一体型シールリング121sを有する円筒形ネック部分121を備え、キャップ本体120の主要部分120mは、取り付けプレート129を有するヒンジ支持構造体123、フレーム構造125、および容器受け構造137を備える。
【0066】
蓋122の主要部分122mは、プレート部分143の主要部分143mと、リブ122rと、係合突出部144とを備え、蓋の挿入部分122iは、122プラグ部分122pと、プレート部分143の挿入部分143iとを備える。フィルムヒンジ117およびオーバーセンターばね119は、一体に製造されるため、キャップ本体120および/または蓋122の主要部分に関連付けられることができる。
【0067】
図2から図6は、一方の本体主要部分120mおよび本体挿入部分120iと、他方の蓋主要部分122mおよび蓋挿入部分122iとが固定的に接続されることができる方法を示している。
【0068】
試薬容器キャップ116は、まずキャップ本体120および蓋122の双方の主要部分120m、122mがPPなどの主要部分材料から一体に形成され、その後、主要部分120m、122mの面によって部分的にかつ別体の型面(図示せず)によって部分的に形成された型内で、キャップ本体120および蓋122の双方の挿入部分120i、122iがTPOやLDPEなどの挿入部分材料から形成される複数材料射出成形で製造される。
【0069】
このようにして、インターロック構造120ml、120il、122ml、122il(図6を参照されたい)がキャップ本体120および蓋122の主要部分120m、120i、122m、122lの双方に設けられることができ、インターロック構造120ilおよび120mlならびにインターロック構造122il、122mlは、それらの部分が良好に結合しない異なる材料から作製される場合であっても、挿入部分120i、122iをそれぞれの主要部分120m、122mに固定的に取り付けるために互いに係合する。
【0070】
より詳細には、本実施形態では、本体主要部分120mに設けられたインターロック構造120mlは、フレーム構造125の水平な上壁125tに設けられた内側リム151を備える。リングセグメントの形態の2つの対向する溝153が、この内側リム151に隣接するフレーム構造125の上壁125tの底面に設けられている(図2および図6を参照されたい)。
【0071】
これに対応して、本体挿入部分120iに設けられたインターロック構造120ilは、環状上部フランジ161と、内側リム151を挟むリングセグメントの形態の2つの対向する下部フランジ162とを備え、下部フランジ162は、それらの遠位端において環状溝153内に上方に突出する軸方向突出部163を有し、本体主要部分120mと本体挿入部分120iとの間の固定された確実な接続をもたらす。
【0072】
蓋主要部分122mに設けられたインターロック構造122mlは、プレート部分143の主要部分143mの底面143mbに浅い凹部155と、図2に最もよく示されているように、プレート部分143の主要部分143mの底面143mbと上面143mtとを接続するいくつかの貫通孔156の構成とを備える。
【0073】
蓋挿入部分122iの対応するインターロック構造122il(図6を参照されたい)は、凹部153、貫通孔156、および蓋122の上側のフィールド122fの選択されたフィールド122fsを充填し、基本的に蓋122のプレート部分143の挿入部分143iを構成する。
【0074】
蓋122のプレート部分143の主要部分143mにおける貫通孔156の構成を若干変更したものが図17に示されている。この変更された貫通孔156の構成は、蓋挿入部分および蓋主要部分に設けられたインターロック構造(図示せず)の変更された構成をもたらす。
【0075】
さらにまた、図6および図10の断面図に示すように、試薬容器キャップ116は、円筒形ネック部分121の下端に形成されたシールリング121sとキャップ本体120の主要部分120mとの間に環状隙間116gを備え、環状隙間116gは、試薬容器118の上端118tまたはリム118rを受け入れるように適合される。
【0076】
以下、本発明の例示的な第1の実施形態にかかる試薬容器ユニット103および試薬キット110が図8から図14を参照して説明される。
【0077】
試薬容器ユニット103は、図1から図7を参照して前述したように試薬容器キャップ116と、円形開口部118oおよび円筒状周壁118wを含む従来のガラスバイアルの形態の試薬容器118とを備える。
【0078】
図14に示すように、試薬容器は、例えば僅かに上方に湾曲した底壁118bと、直径が縮小したネック部分118nと、上端に設けられた上側リム118rとを備えることができる。
【0079】
試薬容器ユニット103を組み立てるために、試薬容器118は、上側リム118rがスナップフック199を通過して、シールリング121sとキャップ本体120の主要部分120mとの間の周辺隙間116gにおいてスナップフック199によって保持されるまで、円筒容器受け構造137、したがってキャップ内部空間109に下方から挿入される。
【0080】
従来のガラスバイアルの形態の試薬容器受け構造137および試薬容器118は、25Nの最小力および75Nの最大力で組み立てられ(スナップ嵌めされ)、スナップフック199を試薬容器ユニット103に通す。好ましくは、従来のガラスバイアルの形態の試薬容器受け構造137および試薬容器118は、スナップフック199を通過させるために40Nから60Nの力で一体に組み立てられる(スナップ嵌めされる)。
【0081】
シールリングがそのシール特性を損なうことなく(そのシール面のしわを回避することによって)試薬容器118の開口部118oに挿入されたときにシールリング121に生じる変形に対応するために、規則的に離間した長手方向切り欠き121nの構成がシールリング121の内側に任意選択的に設けられることができる。しかしながら、本体挿入部分120iに選択された材料に応じて、これらの切り欠きが省略されることもできる。
【0082】
図8に示す試薬キット110は、接続線Cに沿って一列に配置された3つの試薬容器ユニット103、103’を備え、その結果、それらの蓋の回動軸Pは、接続線Cに直交し、全ての試薬容器ユニット103は、共通の支持構造体114上に設けられる。
【0083】
最も前側の試薬容器ユニット103のみが、本発明にかかる試薬容器キャップ116を備え、したがって、本発明の実施形態にかかる試薬容器ユニット103であり、一方、2つの他の試薬容器ユニット103’は、単一のプラスチック材料から作られる従来の試薬容器キャップ116’を有する。
【0084】
試薬容器ユニット103と対応する試薬容器ユニット103’の特徴については、アポストロフィを付した同一の符号を付しており、試薬容器ユニット103’については、試薬容器ユニット103と異なる点のみを中心に説明されることに留意されたい。
【0085】
共通の支持構造体114は、おおよそ箱形であり、前壁114f、後壁114r、および2つの側壁114sを備える。試薬容器ユニット103、103’が上方から支持構造体114内に挿入されるとき、支持構造体114は、底壁を備えることができ、または底側において開放されることができる。
【0086】
例えば、試薬キットユニット110の内容物をマーキングするためのラベルが配置されることができる部分114eが、共通の支持構造体114の前述の壁のいずれかに設けられることができる。
【0087】
実施形態によれば、試薬キットユニット110の内容物をマーキングするためのラベルまたはRFIDチップ/アンテナまたはラベルとRFIDチップ/アンテナとの組み合わせ(コンビ-ラベル)が、共通の支持構造体114の前壁114fまたは後壁114rに配置されることができる。
【0088】
内容物をマーキングするためのラベルは、人間が読み取り可能なラベルもしくはバーコードラベル、または人間が読み取り可能なラベルとバーコードラベルとの組み合わせとすることができる。
【0089】
好ましい実施形態によれば、共通の支持構造体114の前壁114fにラベルおよびRFIDチップ/アンテナ(コンビ-ラベル)が配置されることができ、後壁114rにラベルが配置されることができる。
【0090】
コンビ-ラベルは、RFIDチップを覆う65mm(+/-0.2mm)から16mm(+/-0.2mm)の寸法を有するラベルと、14.5mmから14.5mmの寸法および0.3mmから0.4mmの厚さを有するアンテナとからなる。
【0091】
共通の支持構造体114の2つの側壁114sは、試薬キットユニット110の内容物をマーキングするためのラベルが任意に配置されることができる凹部114eを有する。側壁114sの前記凹部114eは平坦面を有する。
【0092】
側壁114sの上部領域には、取り付けプレート129および最も前側の試薬容器ユニット103の試薬容器キャップ116のスナップウィンドウ137wと、他の試薬容器ユニット103’の試薬容器118’に設けられた取り付けプレート129’と係合するためのスナップフック114hの構成が設けられている。
【0093】
3つの試薬容器ユニット103、103’は、スナップフック114hを通過させる最小力50Nおよび最大力135Nで共通の支持構造体114内に組み立てられる(スナップ嵌めされる)。好ましくは、3つの試薬容器ユニット103、103’は、スナップフック114h(図8)を通過させるために70Nから125Nの力で共通の支持構造体114内に組み立てられる(スナップ嵌めされる)。
【0094】
共通の支持構造体114の3つの位置:後方位置(114rに向かう)、中間位置および前方位置(114fに向かう)は、試薬容器ユニット103、103’の任意の組み合わせで組み立てられることができる。図8は、組み合わせ例を示している。
【0095】
共通の支持構造体114内に組み立てられた試薬容器ユニット103、103’の配向は、蓋122の両側のプレート部分143から前面114fに向かって水平方向に突出する2つの棒状係合突出部144によって配向される。
【0096】
図9の断面図に示すように、試薬容器支持構造体114は、それぞれが単一の試薬容器ユニット103または103’を収容するように適合された3つの区画143内の隔壁141によって仕切られてもよい。
【0097】
さらにまた、試薬キット110は、支持構造体114と試薬容器キャップ116、116’との間のいくつかのタイプの製造公差に対応するように適合されたいくつかの特定の構造を備える。
【0098】
特に、試薬キット110は、支持構造体114と試薬容器キャップ116、116’との間にいくつかのキーおよびスロットジョイント170、170’を備えることができる。
【0099】
図8および例えば図7の差し込み図d)に示すように、キーおよびスロットジョイント170は、支持構造体114の前壁114fに設けられた矩形のキー部分171と、試薬容器キャップ116の前面に設けられたスロット部分181とを備え、キー部分171は、前壁114fの隣接領域から垂直方向に突出し、スロット部分181は、互いに対向する2つの垂直面部181fを有し、試薬容器キャップ116が試薬容器ユニット103の残りの部分によって上方から支持構造体114にスナップ嵌合されたときにキー部分171をその間に受け入れるように適合される。
【0100】
図7の差し込み図b)およびd)の比較から明らかなように、別の同様のまたは構造的に同一のスロット部分181が試薬容器キャップ116の裏側に設けられ、このスロット部分181は、支持構造体114の対応する内部隔壁141に設けられた対応するキー部分171と協働する。隔壁141に設けられたキー部分171、171’は、それに隣接して取り付けられた双方の試薬容器キャップ116、116’のスロット部分181、181’と協働することに留意されたい。
【0101】
結果として生じるキージョイントおよびスロットジョイント170は、それぞれのキャップ開口部116oの垂直中心軸Aの周りの試薬容器キャップ116の回転運動を低減する(図9を参照されたい)。
【0102】
対応するキージョイントおよびスロットジョイント170’もまた、支持構造体114と試薬容器ユニット103’の試薬容器キャップ116’との間に設けられる。
【0103】
垂直中心軸Aの周りの支持構造体114に対する試薬容器キャップ116、116’のそれぞれの回転運動は、+/-0.5°から+/-3°とすることができる。
【0104】
支持構造体114に対する各試薬容器キャップ116、116’の垂直中心軸Aの周りの回転運動は、好ましくは+/-1°以下である。
【0105】
支持構造体は、いくつかの変形突出構成190をさらに備え、各変形突出構成190は、例えば、前壁114fの内側、後壁114rの内側、および隔壁141の両側(図10を参照されたい)に設けられることができるそれぞれの水平支持リブ193から突出するいくつかの(ここでは2つの)小さい垂直突出部191を備える。本実施形態では、突出部191の高さは約0.3mmであり、その横寸法(図11の水平方向)は約0.6mmである。
【0106】
試薬容器キャップ116、116’は、水平棚部195の形態の関連する変形ゾーン194を有する。変形突出構成および関連する変形ゾーンの位置およびサイズは、試薬容器キャップ116が支持構造体114にスナップ嵌合されるときに関連する変形ゾーン194が変形突出構成の突出部によって変形させられるように選択される。このようにして、垂直製造公差に対応することができる。本実施形態では、変形ゾーン194の厚さ(垂直寸法)は約1mmであり、図10の断面において、それは容器受け構造137から約0.95mmだけ突出する。
【0107】
試薬容器ユニット103’に関して、それらの試薬容器キャップ116’は、それらが単一の材料から製造され、代わりに対応する試薬容器118’の周壁118w’に設けられた下部取り付けプレート129’に直接スナップ嵌めされる支持構造体114に直接取り付けられるように適合されていないという点で、本発明にかかる試薬容器キャップ116と主に異なることに留意されたい。
【0108】
さらにまた、試薬容器キャップ116’が試薬容器118’に取り付けられる方法も僅かに異なり得る。特に、図12に示すように、キャップ本体120’は、凹部120r’に設けられたスナップウィンドウ120a’を備え、下部取り付けプレート129’の上方の試薬容器118’に設けられた中間取り付けプレート126’と係合する。
【0109】
ポリプロピレン容器の形態の試薬容器キャップ116’および試薬容器118’は、試薬容器118’に設けられた中間取り付けプレート126’と係合するための凹部120r’に設けられたウィンドウ120a’の協調作用によって、最小力80Nおよび最大力150Nで一体に組み立てられる(スナップ嵌めされる)。好ましくは、ポリプロピレン容器の形態の試薬容器キャップ116’および試薬容器118’は、試薬容器118’に設けられた中間取り付けプレート126’と係合するために凹部120r’に設けられたウィンドウ120a’の協調作用によって90Nから130Nの力で一体に組み立てられる(スナップ嵌めされる)。
【0110】
図13に示されるような試薬容器118’は、PPなどの適切な材料から一体に形成され、下部取り付けプレート129’および中間取り付けプレート126’に加えて、上部取り付けプレート127’も備える。
【0111】
上部取り付けプレート127’は、キャップ116の停止要素(図示せず)に当接するように適合されることができ、したがってキャップ116’が図9に示すよりもさらに下方に変位しないことを確実にする。
【0112】
図9は、後方の2つの試薬容器ユニットの試薬容器キャップ116’のネック部分121’の直径が、そうでなければ非常に類似しているが、それぞれの容器ユニットの将来の内容物に応じて異なり得ることを示している。いくつかの容器は、例えば、適切な混合デバイスによってそれぞれの試薬容器118’内で定期的に混合しなければならないビーズまたは他の沈殿物を含む物質によって充填されることがある。そのような混合デバイスの直径は、通常、ピペッティングデバイスの直径よりも大きいため、混合されなければならない物質を含む試薬容器のキャップ開口部は、他の試薬容器のキャップ開口部よりも大きくすることができる。
【0113】
支持構造体114、試薬容器118’および試薬容器キャップ116’は、上述したようなキーおよびスロットジョイント170’、変形突出構成190’および変形ゾーン194’を除いて、国際公開第2011/020885号パンフレットに図示および説明されているものと非常に類似していることに留意されたい。
【0114】
図1から図14に示すような本発明にかかる試薬容器キャップ、試薬容器ユニットおよび試薬容器キットの第1の例示的な実施形態では、試薬容器キャップ116、116’は、関連する試薬容器118、118’にスナップ嵌めされるヒンジ付きキャップである。
【0115】
しかしながら、本発明にかかる試薬容器ユニットまたは試薬容器キットにおいて先に説明した第1の例示的な実施形態にかかる試薬容器キャップの代わりに使用されることができる本発明にかかる試薬容器キャップの第2および第3の例示的な実施形態を示す、図15および図16に例示的に示すような他の可能性もある。第1の例示的な実施形態と同一または対応する第2および第3の例示的な実施形態の特徴は、第1の実施形態と同一の符号によって示され、第2および第3の実施形態については、第1の実施形態と異なる点のみを中心に説明されることに留意されたい。そうでなければ、第1の実施形態の上記の説明が参照される。
【0116】
図15に示されるような第2の例示的な実施形態のヒンジ付き試薬容器キャップ116は、キャップ本体120が、適切な試薬容器(図示せず)にスナップ嵌合される代わりにねじ止めされるように適合され、したがって、取り付け構造196として本体主要部分120mに形成された雌ねじ198を備える点で、第1の実施形態と主に異なる。さらにまた、インターロック構造120ml、120il、122l、122ilもまた、第1の実施形態のものと僅かに異なることに留意されたい。
【0117】
図16は、穿孔キャップの形態の本発明の第3の例示的な実施形態の試薬容器キャップ116を示している。ヒンジ付き蓋の代わりに、このキャップ116は、キャップを開放状態に調整するために分析装置(図示せず)のピペッティングデバイスの針によって穿孔および/または開放されるように適合された漏斗状閉鎖部分187を備え、前記閉鎖部分187は、さらにまた、針が取り外された後にキャップを閉鎖状態に自動的に調整するように適合される。
【0118】
そのようなキャップの初期穿孔および開閉に関して、図6から図10および先行技術文献である欧州特許出願公開第0564970号明細書の対応する説明が参照される。
【0119】
図16の実施形態では、試薬容器キャップ116の挿入部分116iは、TPOまたはLDPEなどの挿入部分材料から一体に形成され、キャップ開口部166を画定する比較的短いネック部分121と、容器118に挿入されるシールリング121sと、前述の閉鎖部分187とを備える。
【0120】
試薬容器キャップ116の主要部分116mは、主に、容器受け構造137と、挿入部分116iを支持し、容器118のネック部分118nを取り囲むように適合されたフレーム構造125とを備える。
【0121】
最初の2つの実施形態とは対照的に、図16の穿刺キャップでは、挿入部分116iの表面によって完全にかつ排他的に円周方向にかつこの領域の上側に向かって画定されるキャップ内部空間109の領域109tは、キャップ内部空間109の完全な円筒形上端領域ではなく、閉鎖部分187とシールリング121sとの間で画定される環状空間である。
【0122】
しかしながら、全ての実施形態において、試薬容器キャップ116の主要部分116mおよび挿入部分116iの位置および構成は、キャップ116が閉鎖状態にあり、試薬容器118に取り付けられているとき、試薬容器118の内部が試薬容器キャップ116の挿入部分のみと連通するように選択される。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図5
図6
図7a)】
図7b)】
図7c)】
図7d)】
図7e)】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】