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  • 特表-電圧検知を備えるランプドライバ 図1
  • 特表-電圧検知を備えるランプドライバ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】電圧検知を備えるランプドライバ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230725BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20230725BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20230725BHJP
   H05B 45/39 20200101ALI20230725BHJP
【FI】
H02M3/155 Q
H05B45/385
H05B45/14
H05B45/39
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504750
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2021070812
(87)【国際公開番号】W WO2022023243
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20188108.3
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.DALI
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボーデグラーヴェン タイメン コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】エルフェリッヒ ラインホルト
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA33
3K273CA02
3K273DA07
3K273EA07
3K273EA10
3K273EA18
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA22
3K273GA14
3K273GA15
3K273GA22
5H730AS01
5H730AS11
5H730BB26
5H730BB66
5H730DD02
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD61
5H730FF19
(57)【要約】
ランプドライバは、トランスと、一次側回路と、二次側回路とを有する。前記一次側回路は、ハーフブリッジ回路と、前記ハーフブリッジ回路のトランジスタのうちの1つの導通時間又はスイッチング周波数を測定するためのセンサ回路とを有する。測定される前記導通時間から前記出力電圧の推定値が供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
前記トランスの一次側巻線を含む一次側回路と、
前記一次側回路から絶縁される、前記トランスの二次側巻線を含む二次側回路であって、出力電圧及び出力電流をランプ負荷に供給するための二次側回路とを有するランプドライバであって、
前記一次側回路が、
ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタであって、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの間にノードを備えるハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタを有するハーフブリッジ回路と、
前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタのスイッチングを制御するためのコントローラと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するためのセンサ回路とを含み、
前記コントローラが、測定される前記導通時間又は前記スイッチング周波数から前記出力電圧の推定値を導き出すよう適合され、
前記コントローラが、前記一次側回路内の供給電圧及び/又は前記出力電流と一緒に、前記導通時間又は前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数を使用して、前記出力電圧の推定値を導き出すよう適合されるランプドライバ。
【請求項2】
前記コントローラが、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの各々を、固定された50%のデューティサイクルで駆動するよう適合される請求項1に記載のランプドライバ。
【請求項3】
前記出力電流をモニタし、前記一次側回路にフィードバック信号を供給するための絶縁フィードバック回路を更に有する請求項1に記載のランプドライバ。
【請求項4】
前記センサ回路が、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲート駆動信号によって充電される検知コンデンサと、前記検知コンデンサ及びピーク信号蓄積コンデンサの間に接続されるダイオードを含むピーク検出回路とを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項5】
前記センサ回路が、前記ハイサイドトランジスタのゲート又は前記ローサイドトランジスタのゲートと、前記検知コンデンサとの間に充電トランジスタを有し、前記充電トランジスタが、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのハイのゲート駆動信号によってオンにされる請求項4に記載のランプドライバ。
【請求項6】
前記センサ回路が、前記検知コンデンサから前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲートへのダイオードを含む放電経路を更に有する請求項4又は5に記載のランプドライバ。
【請求項7】
前記一次側回路が、前記ノードと前記一次側巻線との間にコンデンサを更に有し、前記コンデンサ及び前記一次側巻線が、共振LLC回路を形成する、又は共振LLC回路の一部を形成する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項8】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のランプドライバと、
前記ランプ負荷を含むLED装置とを有する照明システム。
【請求項9】
照明器具に組み込まれる請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
ランプドライバのトランスの一次側にある一次側回路内のハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタのスイッチングを制御することによって半波整流を実施するステップと、
前記トランスの二次側にある二次側回路を使用して、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するステップと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するステップと、
前記一次側回路内の供給電圧及び/又は前記出力電流と一緒に、前記導通時間又は前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数を使用して、前記出力電圧の推定値を導き出すステップとを有するランプ駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの両端の電圧の検知を備えるランプドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、家庭用及び商業用アプリケーションにおいて、ますます主要な照明技術となっている。
【0003】
LEDは電流駆動デバイスであり、従って、LEDドライバは、多くの場合、調整出力電流を供給するよう設計される。しかしながら、ドライバが、調整電流を(例えば、LED装置が接続されていない、又は開回路故障モードを備える)開回路(open circuit)に供給しようとする場合には、電圧が、許容できないレベルまで上昇する。
【0004】
DALIドライバの場合、LED電圧レベル及び様々な他のパラメータをDALIマイクロコントローラに示すものを有する必要がある。
【0005】
LEDドライバとして、多くの場合、非絶縁一次側と絶縁二次側とを備える絶縁ドライバが使用される。絶縁は、例えば、LEDドライバの出力段を形成するトランスによって提供される。電圧が、二次側において直接検知される場合、電圧情報は、絶縁バリアを越えて供給される必要がある。これは、専用のフィードバックマイクロプロセッサと、オプトカプラ絶縁インターフェースとを使用することによって達成され得る。他の例においては、LED電圧レベルに関する情報をドライバの非絶縁側に伝達するために、絶縁巻線が使用され得る。しかしながら、これらの2つの構造は高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一次側における測定値に基づいて出力電圧を決定することができることが望ましいだろう。しかしながら、トランス内部の漏れインダクタンスのため、トランスの非絶縁一次側にある巻線の電圧の測定値が、LED電圧レベルの十分に正確な指標となることは可能ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0008】
本発明の或る態様による例によれば、
トランスと、
前記トランスの一次側巻線を含む一次側回路と、
前記一次側回路から絶縁される、前記トランスの二次側巻線を含む二次側回路であって、出力電圧及び出力電流をランプ負荷に供給するための二次側回路とを有するランプドライバであって、
前記一次側回路が、
ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタであって、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの間にノードを備えるハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタを有するハーフブリッジ回路と、
前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタのスイッチングを制御するためのコントローラと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するためのセンサ回路とを含み、
前記コントローラが、測定される前記導通時間又は前記スイッチング周波数から前記出力電圧の推定値を導き出すよう適合されるランプドライバが提供される。
【0009】
このランプドライバは、一次側検知に基づいて前記出力電圧の推定値を導き出すことができる。本発明は、前記出力電圧が上昇するときにはコンバータのスイッチング周波数は低下し、逆もまた同様であるという認識に基づいている。 トランジスタのうちの1つの前記導通時間又は前記スイッチング周波数を測定することによって、前記出力電圧の良好な指標が得られ得る。
【0010】
前記コントローラは、一次側(バス)電圧、前記出力電流、及び/又は前記伝達関数の非線形性の補償をするよう構成されてもよい。
【0011】
前記コントローラは、例えば、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの各々を、固定された50%のデューティサイクルで駆動するよう適合される。従って、ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチの制御は、デューティサイクル制御ではなく、周波数制御を実施する。その場合、結果として生じる周波数は、トランジスタのうちのいずれかの導通持続時間と直接的に相関する。
【0012】
前記コントローラは、好ましくは、更に、
前記導通時間若しくは前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数、
前記出力電流、及び/又は
前記一次側回路内の供給電圧のうちの1つ以上から前記出力電圧の推定値を導き出す。
【0013】
従って、前記コントローラは、前記出力電圧を決定するときに、前記ドライバの動作特性(一次側電圧、出力電流)を考慮に入れることができる。
【0014】
前記ランプドライバは、前記出力電流をモニタし、前記一次側回路にフィードバック信号を供給するための絶縁フィードバック回路を更に有してもよい。従って、前記出力電流も、電圧推定を向上させるために使用され得る。電流フィードバック機構は、例えば、出力電流調整を実施するために既に必要である。
【0015】
前記センサ回路は、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲート駆動信号によって充電される検知コンデンサと、前記検知コンデンサ及びピーク信号蓄積コンデンサの間に接続されるダイオードを含むピーク検出回路とを有してもよい。
【0016】
前記導通時間は、前記導通時間中に充電されるコンデンサに蓄えられるピーク電圧によって表される。ピーク検出を使用して、前記ドライバの非絶縁側のマイクロプロセッサによって容易にモニタされることができるDC電圧が生成され得る。
【0017】
前記センサ回路は、前記ハイサイドトランジスタのゲート又は前記ローサイドトランジスタのゲートと、前記検知コンデンサとの間に充電トランジスタを有してもよく、前記充電トランジスタは、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのハイのゲート駆動信号によってオンにされる。従って、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタがオンにされるときには、前記充電トランジスタを通る伝導経路によってコンデンサが充電される。
【0018】
前記センサ回路は、前記検知コンデンサから前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲートへのダイオードを含む放電経路を更に有してもよい。
【0019】
その場合、コンデンサの放電は、前記ダイオードの順方向電圧降下までである。温度依存性を有する前記ダイオードの順方向降下は、前記充電トランジスタ、即ち、前記充電トランジスタのベース・エミッタ間電圧の温度依存性の温度補償を提供するために使用され得る。
【0020】
前記センサ回路は、例えば、前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するためのものである。このことは、前記ハイサイドトランジスタの場合に比べて、より単純で、より低コストなモニタ回路を可能にする。
【0021】
前記一次側回路は、前記ノードと前記一次側巻線との間にコンデンサを更に有してもよく、前記コンデンサ及び前記一次側巻線は、共振LLC回路を形成する、又は共振LLC回路の一部を形成する。
【0022】
共振LLC回路は、既知の低コストのドライバ回路である。
【0023】
本発明は、
上記で規定されているようなランプドライバと、
前記ランプ負荷を含むLED装置とを有する照明システムも提供する。
【0024】
前記照明システムは、例えば、照明器具に組み込まれる。
【0025】
本発明は、
ランプドライバのトランスの一次側にある一次側回路内のハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタのスイッチングを制御することによって半波整流を実施するステップと、
前記トランスの二次側にある二次側回路を使用して、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するステップと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するステップと、
測定される前記導通時間から前記出力電圧の推定値を導き出すステップとを有するランプ駆動方法も提供する。
【0026】
前記方法は、更に、
前記導通時間又は前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数、
前記出力電流、及び
前記一次側回路内の供給電圧のうちの1つ以上から前記出力電圧の推定値を導き出すステップを有してもよい。
【0027】
前記方法は、例えば、前記ローサイドトランジスタの導通時間を測定するステップを有する。
【0028】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】LLCコンバータを利用する既知のドライバデバイスの略ブロック図を示す。
図2】本発明による回路の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図を参照して本発明について説明する。
【0031】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0032】
図1は、全体を10によって示されている、LLCコンバータを利用する既知のドライバデバイスの略ブロック図を示している。図1は、WO 2014/060899においてより完全に説明されているようなドライバデバイスに対応しており、更なる詳細については、WO 2014/060899を参照されたい。
【0033】
ドライバデバイス10は、供給電圧V10を供給する電圧源12に接続される。ドライバデバイス10は、入力端子14、16によって電圧源12に接続される。ドライバデバイス10は、入力電圧V10を、図1において示されている特定の実施形態においてはLEDユニット18として形成されている負荷18に給電するための出力電圧V20に変換する。
【0034】
ドライバデバイス10は、2つの制御可能なスイッチ20、22と、入力電圧V10を、負荷18に給電するための出力電圧V20に変換するための電磁変換ユニット24(例えば、LLC回路)とを有する。入力電圧V10は、直流電圧、又はAC電圧源に接続される整流器(図示せず)によって整流された整流電圧である。制御可能なスイッチ20、22は、互いに直列に接続され、入力端子14、16に対して並列に接続される。制御可能なスイッチ20、22は、ハーフブリッジ回路を形成するよう互いに接続され、制御可能なスイッチ20、22の間のノード26は、ハーフブリッジ回路の出力端子を形成する。ドライバデバイス10は、制御可能なスイッチ20、22を制御するためのコントローラ28を有する。
【0035】
コントローラ28は、ノード26及び以下に説明するような電磁変換ユニット24に交流電圧を供給するよう、制御可能なスイッチ20、22を交互に切り替える。簡単にするために、コントローラ28は、出力電圧が報告されるDALIマイクロコントローラも有するとみなされてもよい。
【0036】
ハーフブリッジ回路のノード26は、電磁変換ユニット24に接続される。電磁変換ユニット24は、共振コンデンサ30と、一次巻線32、2つの二次巻線34、36、並びに一次巻線32及び二次巻線34、36を結合するための電磁結合部材38を有するトランスとで形成される。片側整流(single sided rectification)で2つの巻線を使用する代わりに、ブリッジ整流器で1つの巻線を有することも可能であることに留意されたい。一次巻線32及び共振コンデンサ30は、互いに直列に接続され、共振コンデンサ30は、図1において示されているようにノード26に接続されてもよく、又は入力端子16に接続されてもよい。
【0037】
電磁変換ユニット24は、1つ以上のフィードバック信号を供給するための測定デバイス40を有する。測定デバイス40は、一次側制御に基づいていてもよく、又は二次側制御に基づいていてもよい。
【0038】
図1において示されている位置においては、測定デバイス40は、一次巻線32における一次電圧V12を測定するためのものであってもよい。或る代替手段として、測定デバイスは、共振コンデンサ30における/の両端のコンデンサ電圧V30を測定するために配置されてもよい。更なる例として、測定デバイスは、コンデンサ電圧V30と一次電圧との組み合わせ、例えば、共振コンデンサ30及び一次巻線33における/の両端の電圧を測定するために配置されてもよい。
【0039】
測定デバイス40は、対応する一次側電圧を測定するために、一次巻線32と追加のインダクタンス(図示せず)との直列接続に接続されてもよい。
【0040】
測定デバイス40の他の実施例においては、(例えば、制御可能なスイッチと直列の抵抗器を使用して、若しくは一次巻線における一次電流を測定して)一次側電流が測定されてもよく、且つ/又は(上記で説明したように)補助巻線と補助巻線に結合される電圧測定回路とを利用することによって二次側電圧が測定されてもよい。しかしながら、これは、回路の複雑さ及びコストを増大させる。
【0041】
全ての場合において、測定デバイス40は、制御可能なスイッチ20、22を制御するために、対応する測定信号をコントローラ28に供給するために、コントローラ28に接続される。
【0042】
ドライバデバイス10は、出力電流をモニタし、一次側回路にフィードバック信号を供給するためのフィードバック回路を更に有する。フィードバック回路は、検知される出力電流ILEDを目標電流IREFと比較するための比較回路48を有する。比較の結果は、オプトカプラ49を使用して一次側に供給されるフィードバック信号を形成するが、別の絶縁通信機構が使用されてもよい。フィードバック信号は、所望の調整電流がランプ負荷に供給されるようにスイッチングを制御するために、コントローラ28によって使用される。
【0043】
図1において示されている場合においては、一次巻線32が、一次接地41に接続されている。他の例においては、共振コンデンサ30が一次接地41に接続されてもよく、一次巻線32がノード26に接続されてもよい。一次巻線32における一次電圧V12及び一次電流112は、それぞれ二次巻線34、36によって供給される2つの二次電圧V14、V16及び2つの二次電流114、116に変換される。二次巻線34、36は、各々、負荷に給電するために直流出力電流及び出力電圧V20としての直流電圧を負荷18に供給するよう、ダイオード42、44及び出力コンデンサ46を介して、負荷18に接続される。二次接地47は、一次接地41に接続されてもよく、又は一次接地41から絶縁されてもよい。
【0044】
制御可能なスイッチ20、22は、ハーフブリッジ回路を形成する。制御可能なスイッチ20、22は、ノード26にパルス状の(例えば方形波)電圧を供給するよう交互に切り替えられる。出力電圧V20及び二次電流114、116は、一次電圧V12の波形に依存し、制御可能なスイッチ20、22のスイッチング周波数及び制御可能なスイッチ20、22のオン時間のデューティサイクルによって制御され得る。コントローラ28は、測定デバイス40から測定信号を受信し、測定信号に基づいて制御可能なスイッチ20、22を制御する。
【0045】
回路の既知の動作の更なる詳細は、WO 2014/060899において見出され得る。
【0046】
固定された50%のデューティサイクルで共振LLCコンバータを動作させることはよく知られている。動作周波数は、例えば調整出力電流を供給するために、フィードバック信号に応じて適応される。
【0047】
既知の回路は、一次側における測定値のみに基づいての出力電圧の正確な測定を可能にしない。
【0048】
本発明は、LED電圧が上昇するときには電磁変換ユニット24(例えばLLCコンバータ)のスイッチング周波数は低下するという認識に基づいている。例えばローサイドトランジスタの導通時間を測定することによって、LED電圧の良好な指標が得られ得る。一次側バス電圧、LED電流、及び/又は伝達関数の非線形性の補償がされ得る。
【0049】
従って、本発明は、トランス24と、一次側回路と、二次側回路とを備えるランプドライバを提供する。一次側回路は、ハーフブリッジ回路と、ハーフブリッジ回路のトランジスタのうちの1つの導通時間を測定するためのセンサ回路50とを有する。測定される導通時間から出力電圧の推定値が供給される。
【0050】
図2は、本発明による回路の例を示している。同じ構成要素には図1と同じ参照符号が使用されている。
【0051】
回路は、トランス24と、トランスの一次側巻線32を含む一次側回路と、一次側回路から絶縁される、トランスの二次側巻線34、36を含む二次側回路とを有するランプドライバを含む。二次側回路は、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するためのものである。
【0052】
この場合も先と同様に、一次側回路は、ハイサイドトランジスタ20及びローサイドトランジスタ22であって、前記ハイサイドトランジスタ20及び前記ローサイドトランジスタ22の間にノード26を備えるハイサイドトランジスタ20及びローサイドトランジスタ22を有するハーフブリッジ回路を含む。コントローラ28は、ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタのスイッチングを制御する。
【0053】
一次側回路は、ノード26と一次側巻線32との間に共振コンデンサ30を更に有する。共振コンデンサ30及び一次側巻線32は、共振LLC回路を形成する、又は共振LLC回路の一部を形成する。
【0054】
本発明によれば、ハイサイドトランジスタ20又はローサイドトランジスタ22の導通時間又はスイッチング周波数を測定するためのセンサ回路50が存在する。示されている例においては、測定回路は、ローサイドトランジスタ22に関連付けられている。なぜなら、これが、(ゲート・ソース間電圧が接地を基準としていることから)より単純な回路実施例を与えるからである。しかしながら、両方のトランジスタが同じ50%のデューティサイクルを有することから、どちらのトランジスタの導通時間も使用され得る。
【0055】
下記の例においては、コントローラ28は、測定される導通時間から出力電圧の推定値を導き出す。従って、この推定は、一次側検知に基づいてなされ、追加の絶縁フィードバック経路(即ち、電流フィードバック経路48、49に追加するもの)の必要性をなくす。電圧検知は、出力電圧が上昇するときにはコンバータのスイッチング周波数は低下するという認識に基づいている。トランジスタのうちの1つの導通時間又はスイッチング周波数を測定することによって、出力電圧の良好な指標が得られ得る。
【0056】
出力電圧は、導通時間又はスイッチング周波数を出力電圧に関連付ける所定の伝達関数を使用して、導通時間又はスイッチング周波数から導き出され得る。しかしながら、この所定の伝達関数は、出力電流ILED及び/又は一次側回路内の供給電圧(VBUS)にも依存する。従って、出力電圧のより正確な推定をするために、コントローラ28への追加入力として、これらのパラメータの一方又は両方が使用され得る。
【0057】
この例におけるセンサ回路50は、(この例においては)ローサイドトランジスタのゲート駆動信号GLによって充電される検知コンデンサC1を有する。
【0058】
検知コンデンサC1の充電は、トランジスタ60(この例においてはバイポーラトランジスタ)を通して行われる。ゲート駆動信号GLから抵抗分割器(resistor divider)R4、R5によってベース電圧が規定される。トランジスタ60は、検知コンデンサC1を充電する定電流源として機能する。トランジスタ60は、ハイのゲート駆動信号GLによって、分圧器R4、R5によって作成されるベース電圧の結果として、オンにされる。次いで、給電抵抗器R3を通して検知コンデンサC1が充電される。
【0059】
ゲート電圧は一定レベルであり、故に、ハイのゲート電圧の間、ベース電圧は一定であり、従って、エミッタ電圧は一定である。その結果、給電抵抗器R3の両端に一定の電圧が存在し、従って、一定の供給電流が存在する。従って、検知コンデンサC1の両端に到達される電圧は、(検知コンデンサC1は一定の開始電圧まで放電されると仮定すると、)充電時間の線形関数である。
【0060】
検知コンデンサC1は、検知コンデンサC1とピーク信号蓄積コンデンサC2との間に(順方向に)接続されるダイオードD1を含むピーク検出回路に接続される。従って、検知コンデンサC1の両端のピーク電圧(即ち、検知コンデンサC1が充電中に達した電圧)は、コンデンサC2に供給され、コンデンサC2は、ダイオードD1によって、検知コンデンサC1に放電することが防止される。
【0061】
ピーク信号蓄積コンデンサC2は、放電抵抗器R1と並列にある。検知コンデンサC1は、ハーフブリッジ回路の各スイッチングサイクル中に充電及び放電される。抵抗・コンデンサ(RC)回路C2、R1によって確立される時定数は、ローサイドトランジスタ22の導通時間よりはるかに長い。例えば、ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタは、一般に、kHzの周波数において切り替えられるのに対して、時定数は、1秒のオーダーのものであり得る。
【0062】
検知コンデンサC1の両端のピーク電圧は、(R1及びC1の時定数に関する前の時間周期のための)導通時間を示す。検出されるピーク信号micro_Vledは、コントローラ28に供給される。
【0063】
センサ回路50は、検知コンデンサC1からローサイドトランジスタのゲートへのダイオードD2及び抵抗器R2を含む放電経路を更に有する。ハイサイドトランジスタ20のデッドタイム及び導通時間の間、検知コンデンサC1は、ダイオードD2の順方向電圧降下に達するまで、抵抗器R2を介して(ローサイドトランジスタ22の)ゲートドライバによって放電される。例えば直接的に接地へではなく、ローサイド抵抗器のゲートドライバを介して検知コンデンサC1を放電することは、有利には、(例えば検知コンデンサC1と接地との間に仮想的に接続されるダイオード抵抗器直列対を通して)トランジスタ60を介してローサイドトランジスタ22に供給されるあらゆるゲート電圧の意図しない短絡の発生を防止する。
【0064】
トランジスタ60の電流源回路によって生成される定電流に影響を及ぼす、トランジスタ60のベース・エミッタ間電圧の温度依存性(例えば約-2mV/K)は、ダイオードD2を通した順方向電圧降下の温度依存性(同様に約-2mV/K)によって部分的に補償される。
【0065】
Vcc_microは、DALIマイクロコントローラ供給電圧である。コンデンサC1は、ダイオードD3を通してこの供給電圧に接続される。検知コンデンサC1における電圧が、ダイオードD3の順方向電圧降下に相当する量だけこのレベルを超えると、検知コンデンサC1における電圧は、これ以上上昇することはできない。従って、micro_Vledの最大電圧は、Vcc_microにダイオードD3の順方向電圧降下を加えたものからD1の順方向降下を差し引いたものにクランプされる。従って、最大電圧は、Vcc_micro付近にクランプされる。
【0066】
本発明は、出力電圧が一定である場合、LLC周波数はわずかしか変化しないという事実を利用する。LED電流の変化(例えば、電流設定の変更に起因するもの)に応じた周波数の変化はあるが、これは、電圧の変化によってもたらされる周波数差と比較して小さい。電圧によって引き起こされる周波数の変化が支配的(dominant)であり、また、コントローラは電流設定を知っていることから、電流によって引き起こされる周波数のわずかな変化は、コントローラにおいて補償されることができる。
【0067】
従って、スイッチング周波数は、LED電圧レベルの指標となる(高いLED電圧は、低いスイッチング周波数をもたらし、低いLED電圧は、高いスイッチング周波数をもたらす)。
【0068】
LED電圧レベルは二次側にあるのに対して、LED電圧レベルが供給される必要があるDALIマイクロコントローラは一次側にある。電圧フィードバックを提供するための主電源絶縁の横断(crossing)は、ハイサイド又はローサイドのハーフインバータトランジスタのスイッチング周波数又は導通時間を検知することによって、非常にコスト効率の良いやり方で達成される。
【0069】
上記の例は、コンデンサを定電流で充電し、得られる電圧を測定することによって、導通時間の計時を行っている。しかしながら、持続時間を測定するための他の方法が採用されてもよく、又は周波数を測定する他の方法が使用されてもよい。
【0070】
図2の回路は、負荷としてLED装置が設けられる場合、照明システムを形成する。このような照明システムは、例えば、照明器具に組み込まれる。
【0071】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0072】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0073】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0074】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
前記トランスの一次側巻線を含む一次側回路と、
前記一次側回路から絶縁される、前記トランスの二次側巻線を含む二次側回路であって、出力電圧及び出力電流をランプ負荷に供給するよう適合される二次側回路とを有するランプドライバであって、
前記一次側回路が、
ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタであって、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの間にノードを備えるハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタを有するハーフブリッジ回路と、
前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタのスイッチングを制御するよう適合されるコントローラと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するよう適合されるセンサ回路とを含み、
前記コントローラが、測定される前記導通時間又は前記スイッチング周波数から前記出力電圧の推定値を導き出すよう適合され、
前記コントローラが、前記一次側回路内の供給電圧及び/又は前記出力電流と一緒に、前記導通時間又は前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数を使用して、前記出力電圧の推定値を導き出すよう適合されるランプドライバ。
【請求項2】
前記コントローラが、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタの各々を、固定された50%のデューティサイクルで駆動するよう適合される請求項1に記載のランプドライバ。
【請求項3】
前記出力電流をモニタし、前記一次側回路にフィードバック信号を供給するよう適合される絶縁フィードバック回路を更に有する請求項1に記載のランプドライバ。
【請求項4】
前記センサ回路が、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲート駆動信号によって充電される検知コンデンサと、前記検知コンデンサ及びピーク信号蓄積コンデンサの間に接続されるダイオードを含むピーク検出回路とを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項5】
前記センサ回路が、前記ハイサイドトランジスタのゲート又は前記ローサイドトランジスタのゲートと、前記検知コンデンサとの間に充電トランジスタを有し、前記充電トランジスタが、前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのハイのゲート駆動信号によってオンにされる請求項4に記載のランプドライバ。
【請求項6】
前記センサ回路が、前記検知コンデンサから前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタのゲートへのダイオードを含む放電経路を更に有する請求項4又は5に記載のランプドライバ。
【請求項7】
前記一次側回路が、前記ノードと前記一次側巻線との間にコンデンサを更に有し、前記コンデンサ及び前記一次側巻線が、共振LLC回路を形成する、又は共振LLC回路の一部を形成する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項8】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のランプドライバと、
前記ランプ負荷を含むLED装置とを有する照明システム。
【請求項9】
照明器具に組み込まれる請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
ランプドライバのトランスの一次側にある一次側回路内のハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタのスイッチングを制御することによって半波整流を実施するステップと、
前記トランスの二次側にある二次側回路を使用して、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するステップと、
前記ハイサイドトランジスタ又は前記ローサイドトランジスタの導通時間又はスイッチング周波数を測定するステップと、
前記一次側回路内の供給電圧及び/又は前記出力電流と一緒に、前記導通時間又は前記スイッチング周波数を前記出力電圧に関連付ける所定の伝達関数を使用して、前記出力電圧の推定値を導き出すステップとを有するランプ駆動方法。
【国際調査報告】