(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】容器の解体装置及び解体方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20230726BHJP
G21C 13/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G21F9/30 531J
G21F9/30 531E
G21F9/30 535C
G21C13/00 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513979
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021068581
(87)【国際公開番号】W WO2022012998
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020118889.7
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020125867.4
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522078336
【氏名又は名称】ジーンペルカンプ・エヌアイエス・インジェニーアゲゼルシャフト・エムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SIEMPELKAMP NIS INGENIEURGESELLSCHAFT MBH
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 13,63755 Alzenau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】デティク、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】レーブ、アンドレアス
(57)【要約】
本発明は、周壁(20)と前記周壁によって包囲された開口部とを有し、前記開口部上部に配置された遮蔽蓋(14)と、前記周壁からセグメント(42、44、46、53、56)を切り取るための解体器具とを備えた容器(10)の解体装置に関する。前記解体は、前記周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後前記セグメントを除去するという方式で行われる。セグメントに分けられた、前記中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する前記周壁の先端縁部が使用可能になる。前記遮蔽蓋は、前記遮蔽蓋をその都度使用可能になる先端縁部上に段階的に降下させるための降下装置を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁(20)と前記周壁によって包囲された開口部とを有し、前記開口部上部に配置された遮蔽蓋(14)と、前記周壁からセグメント(42、44、46、53、56)を切り取るための解体器具(26)とを備えた、特に原子力施設の容器(10)、主として原子炉圧力容器の解体を目的とし、その際、前記解体が、前記周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後前記セグメントを除去するという方式で行われ、その際、セグメントに分けられた、前記中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する前記周壁の先端縁部(58)が使用可能になるというものであって、
前記遮蔽蓋(14)が、前記遮蔽蓋をその都度使用可能になる先端縁部(58)上に段階的に降下させるための降下装置(30、32、66、68)を有することを特徴とする、
容器の解体装置。
【請求項2】
前記降下装置(30、32、66、68)が少なくとも2つの支持体(30、68)、主として120°位置をずらして互いに配置された3つの支持体を有し、これらを介して前記遮蔽蓋(14)が支持可能であること
を特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持体(30、68)が、シリンダ、スピンドル、ロープウインチといった、少なくとも1つの移動機構を介して前記遮蔽蓋(14)に対して移動可能である横架材(32、66)の末端側部分であること
を特徴とする、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記遮蔽蓋(14)の外側に、前記遮蔽蓋に対して回転可能であるように円環、正確には部分円環の形状を有する平板要素(22)が配置されていて、前記要素から解体器具(26)が出ていること
を特徴とする、
請求項1から3の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項5】
前記遮蔽蓋(14)が円板形状を有し、前記平板要素(22)が前記蓋の周縁部を越えて半径方向に延出すること
を特徴とする、
請求項1から4の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項6】
前記平板要素(22)が切欠部(28)を有し、その円周方向に延びる範囲が円周方向における1つのセグメント(42、44、46、53、56)の範囲より大きいこと
を特徴とする、
請求項1から5の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項7】
前記切欠部(28)の半径方向の範囲が、前記遮蔽蓋(14)の外側における前記平板要素(22)の半径方向の範囲と少なくとも同じか、又は少なくともほぼ同じであること
を特徴とする、
請求項1から6の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項8】
前記切欠部(28)の内側境界に沿って前記解体器具(26)用の器具支持装置(24)が配置されていること
を特徴とする、
請求項1から7の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項9】
前記解体器具(26)が、ガス切断器、プラズマ切断器、切削又は研削器といった、機械作動式又は熱作動式の解体器具であること
を特徴とする、
請求項1から8の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項10】
平板形状を有する前記遮蔽蓋(14)の直径が、前記容器(10)の前記開口部の直径より小さいこと
を特徴とする、
請求項1から9の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項11】
前記平板要素(22)が、例えば前記平板要素のレール内で導かれているローラ架台又は他の適切なベアリングを介して前記遮蔽蓋(14)に対して支持されていること
を特徴とする、
請求項1から10の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項12】
周壁(20)と前記周壁によって包囲された開口部とを有し、前記開口部上部に配置された遮蔽蓋(14)と、前記周壁からセグメント(42、44、46、53、56)を切り取るための解体器具(26)とを備えた、特に原子力施設の容器(10)、主として原子炉圧力容器の解体を目的とし、その際、前記解体が、前記周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後前記セグメントを除去するという方式で行われ、その際、セグメントに分けられた、前記中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する前記周壁の先端縁部(58)が使用可能になるというものであって、以下の手順の段階
遮蔽蓋(14)が前記開口部上に配置された状態で中空円筒形の環形状を有する第1の領域のセグメント(42、44、46、53、56)を、セグメント間において前記容器(10)の縦方向に延びる軸方向つまり縦方向の分離切断(38、48、50、52)と、支持セグメントとなっている少なくとも2つのセグメント(53、56)を除いて、底部側に延びる水平つまり底部の分離切断(40、54、55)が形成されるように、切り離すこと、
軸方向つまり縦方向の分離切断と、水平つまり底部の分離切断によって分けられた前記セグメント(42、44、46、53、56)を、少なくとも2つの残存する前記支持セグメント上で前記遮蔽蓋(14)の支持が維持された状態で、除去すること、
前記遮蔽蓋から出ている降下装置(30、32、66、68)を用いて、前記セグメントの除去によって形成された前記周壁(20)の前記先端縁部(58)上で前記遮蔽蓋を支持すること、
前記支持セグメントにおいて、水平つまり底部の分離切断を形成すること、
前記支持セグメントを除去すること、及び
前記降下装置を用いて前記遮蔽蓋を前記先端縁部上に降下させること
を含む、容器の解体方法。
【請求項13】
前記セグメント(42、44、46、53、56)を形成するために、まず軸方向つまり縦方向の分離切断(38、48、50、52)、及び/又は水平つまり底部の分離切断(40、54、55)が部分的に実施され、引き続き、前記セグメントと前記周壁(20)との間における残存領域が切断されること
を特徴とする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記残存領域が切り取るべき前記セグメント(42、44、46、53、56)の角の領域に設けられること
を特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記降下装置の支持体(30、68)が、前記先端縁部(58)の幅より僅かな半径方向の範囲を介して前記周壁(20)の前記先端縁部と接触すること
を特徴とする、
請求項12から14の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項16】
前記セグメント(42、44、46、53、56)を除去するために、吊上げ器具を用いて、接触している半径方向の範囲に応じて前記セグメントをまず半径方向に移動し、その後前記容器(10)の縦軸に沿って持ち上げること
を特徴とする、
請求項12から15の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項17】
前記セグメント(42、44、46、53、56)が、前記解体器具(26)が出ている環状平板要素(22)の切欠部(28)を通して持ち上げられ、その際、前記環状平板要素が前記遮蔽蓋(14)に対して回転可能に配置されていて、前記蓋を越えて半径方向に突出すること
を特徴とする、
請求項12から16の少なくとも一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周壁と該周壁によって包囲された開口部とを有し、該開口部上部に配置された遮蔽蓋と、周壁からセグメントを切り取るための解体器具とを備えた、特に原子力施設の容器、主として原子炉圧力容器の解体装置に関し、その際、該解体は、周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後該セグメントを除去するという方式で行われ、その際、セグメントに分けられた、中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する周壁の先端縁部が使用可能になる。
【0002】
また、本発明は、周壁と該周壁によって包囲された開口部とを有し、該開口部上部に配置された遮蔽蓋と、周壁からセグメントを切り取るための解体器具とを備えた、特に原子力施設の容器、主として原子炉圧力容器の解体方法にも関し、その際、該解体は、周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後該セグメントを除去するという方式で行われ、その際、セグメントに分けられた、中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する周壁の先端縁部が使用可能になる。
【背景技術】
【0003】
当該装置、詳しくはつまり該装置に関する方法は、実際には原子炉圧力容器の撤去に使用される。
【0004】
原子力施設の撤去時には、原子炉圧力容器などといった容器を解体し、除去するために、特に著しい労力を要する。その際、その高放射性により、解体するべき容器の内部から周辺領域への汚染拡散の防止、並びに原子炉圧力容器の内部から放出される放射線からの周囲の保護に注意を払わなければならない。
【0005】
当該容器は通常、空気工学的調整を可能にするために頭部側が包囲されているピット内に位置する。その際、流出する汚染を抑制できるように負圧調整が行われる。
【0006】
当該容器は極めて重いことから、該容器を一体として除去することはしばしば問題を引き起こす。これに関しては、容器の重量が大きいことにより、原子力施設内に既存の吊上げ器具を利用できるように格納容器を除去することが更に必要である。
【0007】
上記の不利を避けたい場合は、格納容器の中に吊上げ器具が位置し、これを用いて解体された容器の断片つまりセグメントが持ち上げられて、その後更なる処理ステーションに移動される。
【0008】
上記の方法において不利であるのは、セグメント除去時に、遮蔽板といった遮蔽蓋が格納容器内に既存の吊上げ器具によって保持されなければならず、したがって、セグメントを除去し、同時に遮蔽蓋を保持するためには、基本的に複数の吊上げ器具が必要であることだ。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、冒頭に記載の方式の装置と方法を、構造的に簡単な手段を用いて容器の解体を行うことができるように更に発展させることである。
【0010】
本装置により上記の課題は、遮蔽蓋が、遮蔽蓋をその都度使用可能になる先端縁部上に段階的に降下させるための降下装置を有することによって根本的に解決される。
【0011】
別の吊上げ器具を必要とせずに、容器に対する遮蔽蓋の位置を調整できる独立型システムが提供される。より正確には、遮蔽蓋と一体化された降下装置を使用し、該装置が容器の先端縁部の必要な範囲において支持され得ることによって、遮蔽蓋を所望の範囲において降下させることができる。
【0012】
これに関して、降下装置が少なくとも2つの支持体、主として120°位置をずらして互いに配置された3つの支持体を有し、これらを介して遮蔽蓋が支持可能であることが、特に予定されている。
【0013】
その際、該支持体は、シリンダ、スピンドル、ロープウインチのような昇降機構といった、少なくとも1つの移動機構を介して遮蔽蓋に対して移動可能である横架材の末端側部分でなければならない。
【0014】
支持体を備えた移動機構は降下装置を形成する、すなわち降下装置の一部である。
【0015】
問題のない解体を可能にするために、本発明は独自の発明による発展形態において、遮蔽蓋の外側に、遮蔽蓋に対して回転可能であるように円環、正確には部分円環の形状を有する平板要素が配置されていて、該要素から解体器具が出ていることを予定する。
【0016】
特にそして同様に独自の発明により、環状板と呼ばれ得る平板要素が切欠部を有し、その円周方向に延びる範囲が円周方向における1つのセグメントの範囲より大きいことが予定されている。
【0017】
該切欠部の半径方向の範囲は、遮蔽蓋の外側における平板要素の半径方向の範囲と少なくとも同じか、又は少なくともほぼ同じでなければならない。
【0018】
遮蔽蓋は円板形状を有し、平板要素が該蓋の周縁部を越えて半径方向に延出する。
【0019】
特に遮蔽蓋の直径は容器の内径より小さい。しかし、それにも関わらず、容器内部と、中に容器が位置する周囲との間にあるのが僅かな隙間のみ、すなわち環状板の切欠部と容器縁部つまり容器周壁との間の細隙のみであるのは、それ以外は遮蔽蓋と容器との間の間隙が、解体器具が出ている環状板と呼ばれ得る平板要素によって覆われるからである。
【0020】
その際、切欠部の内側境界に沿って解体器具用の支持装置が延在することが、特に予定されている。
【0021】
切欠部の範囲が1つのセグメントの範囲より大きいこと、つまり切欠部の範囲に応じてセグメントが切り取られることから、問題のない周壁の切断を行うことができ、その際、解体器具はX、Y、Zの方向に移動可能であり、したがって、必要な範囲において軸方向と半径方向並びに周方向に延びる切断が実施され、該切断によってセグメントが分けられる。
【0022】
切欠部を通り抜けて、セグメントの持上げも行われる。
【0023】
解体器具の対象となり得るのは、機械作動式及び/又は熱作動式の解体器具である。例としては、ガス切断器、プラズマ切断器、切削器を挙げることができる。
【0024】
解体器具が出ている環状板の回転によって、該器具の位置を容器の周壁の所望の領域に合わせることができ、それによって必要な切断を実施することができる。
【0025】
その際、平板要素が回転ベアリングを介して遮蔽蓋に対して支持されていることが、特に予定されている。
【0026】
本発明は、周壁と該周壁によって包囲された開口部とを有し、該開口部上部に配置された遮蔽蓋と、周壁からセグメントを切り取るための解体器具とを備えた、原子力施設の容器、特に原子炉圧力容器の解体を目的とし、その際、該解体が、周壁の中空円筒形の環形状を有する領域を段階的にセグメントに切り分け、その後該セグメントを除去するという方式で行われ、その際、セグメントに分けられた、中空円筒形の環形状を有する領域の除去後に、残存する周壁の先端縁部が使用可能になるというものであって、以下の手順の段階
-遮蔽蓋が開口部上に配置された状態で中空円筒形の環形状を有する第1の領域のセグメントを、セグメント間において容器の縦方向に延びる垂直つまり縦方向の分離切断と、支持セグメントとなっている少なくとも2つのセグメントを除いて、底部側に延びる水平つまり底部の分離切断が形成されるように、切り離すこと、
-垂直つまり縦方向と、水平つまり底部の分離切断によって分けられたセグメントを、少なくとも2つの残存する支持セグメント上で遮蔽蓋の支持が維持された状態で、除去すること、
-遮蔽蓋から出ている降下装置を用いて、セグメントの除去によって形成された周壁の先端縁部上で遮蔽蓋を支持すること、
-残存する少なくとも2つの支持セグメントにおいて、水平つまり底部の分離切断を形成すること、
-支持セグメントを除去すること、及び
-降下装置を用いて遮蔽蓋を先端縁部上に降下させること
を含む、容器の解体方法も特徴とする。
【0027】
その際、セグメントを形成するために、まず垂直つまり縦方向の分離切断、及び/又は水平つまり底部の分離切断が部分的に実施され、引き続き、セグメントと周壁との間における残存領域が切断されることが、特に予定されている。
【0028】
好ましくは、該残存領域は切り取るべきセグメントの角の領域に設けられなければならない。
【0029】
セグメントを除去するために必要であるのは、セグメントをまず、降下装置と容器縁部との間の接触領域に相当する範囲において、容器に対して半径方向に移動することのみである。その後、セグメントの持上げが容器の縦軸に沿って行われ得る。したがって、セグメントを除去するために容器と容器を包囲する遮蔽物との間に必要とされるのは僅かな空間的要求のみである。
【0030】
セグメントを除去するために、セグメントが切欠部を通して持ち上げられ得るように、環状板の切欠部の位置をセグメントに合わせる。
【0031】
本発明の更なる詳細、利点及び特徴は、-単独及び/又は組み合わせでの-請求項、請求項から看取され得る特徴からだけではなく、以下の図面から看取され得る好ましい実施例の説明からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】縦方向の分離切断実施後の
図1による容器の図である。
【
図3】底部の分離切断実施後の
図2による容器の図である。
【
図4】多数の縦方向と底部の分離切断実行後の
図1から
図3による容器の図である。
【
図5】支持セグメントが残存する状態でのセグメント除去後の
図1から
図4による容器の図である。
【
図6】降下装置が降ろされた状態の
図1から
図5による容器の図である。
【
図7】支持セグメント除去後の
図1から
図6による容器の図である。
【
図8】遮蔽板が容器縁部上に降ろされた状態の
図1から
図7による容器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図に基づき、原子力発電所で使用される原子炉圧力容器を特に対象とする、容器10の発明による解体体系を解説するものとする。当該容器は通常、遮蔽板によって開口部側が保護されているピットの中に位置し、該遮蔽板は、場合によっては円筒形状を有する該容器の頭部側開口部上に直接配置しておくことができる。
【0034】
しかし、本発明は原子炉圧力容器に限定されるものではない。
【0035】
該ピット自体が空気工学的に包囲されていて、その際、原子炉建屋における汚染拡散を防止するために負圧が生成される。空気工学的格納容器内には例えば梱包ステーションを設けておくこともできる。
【0036】
空気工学的格納容器の内部には、容器から切り取ったセグメントを持ち上げられるようにクレーンといった吊上げ器具が更に存在し、それによって、そうでなければ格納容器を開けなければならないところであるが、格納容器自体の外側で既存の吊上げ器具を使用する必要はない。
【0037】
本発明は上記に関する従来技術から基本的に出発する。ただし、容器10のセグメント分けは、段階的解体にも関わらず容器10を覆うための独立型システムが使用可能であり、したがって別の吊上げ器具を必要としないという方式で行われる。同時に、狭い空間状況においても、特に空気工学的格納容器内に配置された吊上げ器具を用いて、問題のないセグメントの除去を可能にするよう意図されている。
【0038】
図1には、開口部側に延在するフランジ状の縁部12を備えた容器10の部分的な原理図が示されていて、該縁部は開口部を包囲し、該開口部は遮蔽蓋14によって覆われていて、該蓋は円形状の遮蔽板であって、開口部領域における容器10の内側形状に対応するべき周囲形状を有する。
【0039】
特に
図4から
図8より明らかになるように、遮蔽板14は該板から出ている細片形状の帯板16を介して容器10の縁部18上に載っている。
【0040】
遮蔽板14の直径は容器10の内径より小さい。それにも関わらず、容器内壁21と遮蔽板14との間の細隙が、解体器具26用の器具支持装置24が出ている環状板22を介して覆われていることによって、十分な遮蔽が行われる。環状板22は遮蔽板14上に回転可能に取り付けられている。
【0041】
図面から明らかになるように、環状板22の幅は、該板の外側が基本的に縁部12の周面と一直線に並んで延在でき、同時に切欠部28を除いて遮蔽板14の外縁と重なるように選択されていて、該切欠部の領域に解体器具26用の器具支持装置24が位置する。
【0042】
したがって、容器10の周壁20と容器10の内部空間との間に小さな細隙のみ存在するが、該細隙によって汚染拡散が発生し得ることにはならない。
【0043】
更に、
図1では、横架材となっている梁32のフック状部分である支持体30が認識される。本実施例においては、互いに連結された3つの梁32が設けられていて、その際該梁間の連結部は容器10の縦軸と交差した状態であり得る。個々の梁32は駆動装置と-本実施例ではシリンダを介して-連結されていて、該シリンダの外側ハウジング34、35、36が原則的に示されている。
【0044】
3つの支持体30を備えた3つの梁32-3つのシリンダに対応-が、全体として120°位置をずらして設けられていて、該梁を用いて遮蔽板14、したがって解体器具26を備えた環状板22が段階的に降ろされ、以下に解説されるように、セグメントの除去によって形成された容器壁20の縁部の上に載せられる。
【0045】
その結果、遮蔽板14から出ている降下装置が使用可能になり、それによって、容器10の解体の進捗に応じて容器内部を覆うための独立型システムが提供される。
【0046】
解体器具26の対象となり得るのは、解体器具の数例を挙げるにすぎないが、ガス切断器、プラズマ切断器、又は、例えば鋸のような切削器といった機械的器具又は熱作動式器具である。解体器具26は、所望の範囲において分離切断を実施するために、図面の通り軸方向、半径方向及び周方向に移動可能である。これに基づいて、該器具26は一方では器具支持装置24に沿って移動可能である。他方では、図から一目瞭然に看取され得るように、解体器具26を軸方向に移動できるように、器具支持装置24から保持具25が出ている。
【0047】
支持体30を備えた降下装置つまり梁32が、シリンダを介して容器10の縦軸方向に移動可能である場合、スピンドル又はワイヤロープホイストといった他の駆動装置も可能である。
【0048】
図1には、セグメント分け開始前の状態が示されている。解体器具26は出発位置にあり、該位置で解体器具26が作動すると、
図2から看取され得るように、垂直の切断が上部縁部18から出発して実行されることになる。軸方向(垂直)つまり縦方向の分離切断38が認識される。解体器具26が保持具25において容器10の縦軸方向に-図では下方に-移動されたことも明白である。
【0049】
図3では、軸方向つまり縦方向の分離切断38の実施後に、底部つまり水平の分離切断40が周方向に実施されていて、該切断においては、保持具25における解体器具26の位置は不変のままで、該器具が器具支持装置24において図面では時計回りに移動されている。その際該支持装置24の案内面は、容器10の湾曲に応じた湾曲を有する。
【0050】
底部つまり水平の切断40の実施後、セグメント42を作成するために、縁部18の方向に延びる第2の軸方向の分離切断が実施される。同様に多数のセグメントが形成され、その一部が、
図4に示されているように、参照符号42、44、46で明示されている。
【0051】
当該のセグメント42、44、46は縦方向つまり軸方向の分離切断によっても底部つまり水平の分離切断によっても分けられていて、該切断は軸方向の分離切断に対しては参照符号38、48、50、52で、水平つまり底部の分離切断に対しては参照符号40、54、55で明示されている。
【0052】
本実施例では、120°の間隔をおいて、セグメント42、44、46と同じ寸法を有し得る更なるセグメント53、56が延在し、後者においては差し当たり底部つまり水平の分離切断が実行されていないか、あるいは完全には実行されていないことによって、これらのセグメント53、56は引き続き容器10の周壁20と不動に連結されている。
【0053】
上記に依らず、軸方向及び底部の分離切断の形成時には、該分離切断をまず、相互間の連結と周壁20に対する連結が部分的に存続するように実施しなければならず、それによって、分離切断実施時にセグメントの位置がずれ得るという危険が生じない。
【0054】
図4に示されているセグメント42、44、46、53、56は、同一平面上にある他のセグメントと共に全体として1つの中空円筒形の環を形成する。該環を除去するために、まず、部分的な、軸方向の分離切断38、48、50、52と水平の分離切断40、54、55とを有するセグメント42、44、46が、容器壁20及びそれぞれ隣接するセグメント53と44、46と42、44と56から完全に分離され、その後吊上げ器具を用いて除去される。この目的で、環状板22の切欠部28の位置が、除去するべきセグメント上に合わされ、その後該セグメントの分離切断が実施され、該セグメントが、最初に半径方向の移動が必要な、すなわち上方に支持体30(
図1)又は帯板16(
図4)が延在するセグメントに関するものでなければ、垂直に持ち上げられる。
【0055】
完全には切り離されていない支持セグメントと呼ばれ得るセグメント53、56上に、器具支持装置24を備えた遮蔽板14が残留し、それによって問題なく更なるセグメント42、44、46が除去され得る。この状況は
図5に示されている。
【0056】
切り離されたセグメント42、44、46-同様のセグメントは容器10の見えない領域にも位置する-の除去後に、支持体30を有する降下装置が、支持体30が降ろされ、切り離されたセグメント42、44、46の除去によって容器10の周壁20に生じる縁部58上で支持されるように、作動される。これに基づいて降ろされた支持体30は
図6において認識可能である。
【0057】
遮蔽板14の持上げ、したがって帯板形状の支持部16と支持セグメント53、56との連結解除によって、支持セグメント53、56が解放され、したがって除去され得る。これは
図7から看取され得る。容器10の周壁20の縁部58上で支持される支持体30、68を備えた梁32、66が認識される。
【0058】
環状板22を備えた遮蔽板14が縁部18上で支持されている場合に、環状板22は切欠部28に関して、支持セグメント53、56の底部側が周壁20から分離されるように、したがって水平の切断62、64が実施されるように移動される。
【0059】
その後、帯板形状の支持部16を縁部58上に載せることができるように、回転可能に形成された環状板22を備えた遮蔽板14が降下装置を用いて降ろされ、それによって前述の手順を改めて実施することができ、したがって、容器10のセグメントで形成された中空円筒形の環を段階的に除去し、それによって容器を解体することができる。
【国際調査報告】