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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ捕捉用装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20230726BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20230726BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A61B90/00
A61M25/09 530
A61M25/098
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572360
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2021054571
(87)【国際公開番号】W WO2021240381
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020000012625
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516058377
【氏名又は名称】インノブハート エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リギーニ,ジョヴァンニ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA28
4C267AA80
4C267BB02
4C267BB53
4C267CC04
4C267EE03
4C267GG02
4C267GG34
4C267HH07
4C267HH11
(57)【要約】
スネアリング装置(20,30)と補助カテーテル(40)を備えた、ガイドワイヤ(50)を捕捉するための装置(10)。補助カテーテル(40)は、その先端(47)がガイドワイヤの先端を超えて延在するようにして、捕捉されるガイドワイヤが摺動可能に収容されるように構成されており、これによりガイドワイヤ(50)が補助カテーテル(40)内の後退位置にある状態でスネアリング装置(20,30)により捕捉される。補助カテーテルは好ましくは、少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性を有する部分と、放射線不透過性および/またはエコー不透過性を有する末端部分(44)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スネアリング装置(20,30)と補助カテーテル(40)とを有する、ガイドワイヤ(50)を捕捉するための装置(10)であって、
前記補助カテーテル(40)は、その先端(47)が捕捉されるガイドワイヤの先端を超えて延在するようにして、前記ガイドワイヤが摺動可能に収容されるように構成されており、これにより前記ガイドワイヤ(50)が前記補助カテーテル(40)内の後退位置にある状態で前記スネアリング装置(20,30)により捕捉される、
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記補助カテーテル(40)の少なくとも一部が少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性を有することを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記補助カテーテル(40)のうち前記少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分が支配的であることを特徴とする請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記補助カテーテル(40)に放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)が設けられ、前記放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)は、前記補助カテーテル(40)を前記スネアリング装置(20,30)の第1カテーテル(30)の中に導入する際に、折り込まれた形状で表示される程度の長さを有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記補助カテーテル(40)の前記放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)が、前記補助カテーテル(40)の末端穴(48)の付近に存在することを特徴とする請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記補助カテーテル(40)の少なくとも一部が少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性を有し、また前記補助カテーテル(40)には、前記補助カテーテル(40)の末端穴(48)の付近に放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記スネアリング装置に、ロッド(24)に取付けられた少なくとも1つのループ(22)を有するスネアリング部(20)、が備えられることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記補助カテーテル(40)が、1つのガイドワイヤ(50)の挿入と摺動が可能な程度の内径を有することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記補助カテーテル(40)がポリマー材料から構築されることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
・所望の位置にガイドワイヤ(50)を位置決めするステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)の末端部分(52)に係合または交差するようにスネアリング装置(20,30)を位置決めするステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)を覆って補助カテーテル(40)を配置するステップと、
・前記スネアリング装置(20)と交差するか係合するように、前記補助カテーテル(40)を前記ガイドワイヤ(50)に沿って摺動するステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)の末端が前記スネアリング装置(20)と交差しないか係合しないように前記ガイドワイヤ(50)を引くステップと、
・前記スネアリング装置のスネアリング部(20)をカテーテル(30)の内に引き入れ、前記補助カテーテル(40)を捕捉するステップと、
を含むことを特徴とするガイドワイヤ(50)を捕捉する方法。
【請求項11】
前記補助カテーテル(40)に、前記スネアリング部(20)が前記補助カテーテル(40)を捕捉したときに折り込まれる放射線不透過性部分(44)またはエコー不透過性部分(44)が備えられることにより、前記スネアリング装置(20,30)により前記補助カテーテル(30)が適切に捕捉されたことが、エコー検査画像および/または放射線検査画像を用いて視覚的に表示されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガイドワイヤを捕捉するための装置に関する。特に本発明は患者内に挿入されたガイドワイヤの一端を捕捉して患者自身の外側に出すための装置に関する。
【0002】
本発明は、限定されるわけではないが、経カテーテル外科処置の際に解剖構造の周りにガイドワイヤを配置させる上で特に有利なガイドワイヤ用スネアリング装置に特に着目して開発されたものである。例えば、機能不全の心臓弁の生理的な機能を置換するため、人工心臓弁の移植を案内するためのガイドワイヤを配置するのに好適な装置が必要とされている。
【背景技術】
【0003】
経カテーテル術とよばれる低侵襲性の介入処置をする際、ガイドワイヤを使用することが知られている。このような処置は、血管系の内部を案内することによって、例えば心臓内部(これには限定されない)で所望とされる位置までのアクセスを提供する。適切に配置されたガイドワイヤを続けて使用することにより、血管ステントや人工心臓弁などの様々な装置の挿入が案内される。
【0004】
場合によって、経皮的な治療手段または低侵襲手術では、ガイドワイヤの一端を捕捉してこれを患者の外側に出すことが必要とされる。例えば、解剖構造の周りを取り囲むためにガイドワイヤの使用が望ましい場合にこのような必要性が出てくる。本出願人は特に、ガイドワイヤを心臓弁の解剖構造の周りに配置させ、これによりその後に治療対象の自然弁尖を外側から取り囲む心弁補綴具の部品の挿入の案内を可能とさせる際にとりわけ、このような必要性に直面していた。
【0005】
このためしばらくの間、束ねられた複数のループにより通常は形成された、ガイドワイヤ用スネアリング装置が知られていた。この種の装置はスネアリング装置として知られており、捕捉されるガイドワイヤが少なくとも1つのループと交差するようにして位置決めされる。これはその後、ガイドワイヤを捕捉するためにカテーテル内部に回収され、このガイドワイヤは末端部付近で折り曲げられ、同じカテーテルの内に引き入れられる。
【0006】
既知タイプの装置の問題点としては、ガイドワイヤを修復不能なまでに損傷させてしまうことにある。これはガイドワイヤが通常はスチール等の金属から作製されているためであって、大きく集中化された機械的な作用によりスネアリング装置が把持され、またこれを患者の外側へと回収するために折り込むと、永久的な塑性変形が生じる。したがって、ガイドワイヤの形状と当初の機能を回復させることはもはや不可能となる。しかしながら、場合によっては、その後の操作のため、例えば装置を挿入させるためには、折り込まれたワイヤ末端を使用する必要がまだある。永久変形が存在することによりこのような事後操作が妨げられ、或いは不能となることさえある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は先行技術に関する上記問題点を解決することにある。とりわけ損傷なくガイドワイヤの末端を捕捉するための装置を提供することを意図している。また別の目的としては、合理的で、簡素、信頼して使用でき、かつ安全な装置を構築することにある。
【0008】
第1の態様にしたがって、スネアリング装置を備え、ガイドワイヤを捕捉する装置を説明する。スネアリング装置はスネアリング部を備えることができ、スネアリング部は第1カテーテルの中に収容することができる。ガイドワイヤを捕捉する装置は、補助カテーテルまたは第2カテーテルを備えることができる。補助カテーテルは使用の際、捕捉しようとするガイドワイヤを捕捉するための装置のガイドワイヤを収容するのに適するものとすることができる。本装置は使用の際、ガイドワイヤを屈曲させることなく捕捉するのに適している。補助カテーテルは捕捉されるガイドワイヤを摺動可能に収容するように構成することができ、その先端がガイドワイヤの先端を超えるように延在させることができる。ガイドワイヤが補助カテーテル内の後退位置にある状態で、補助カテーテルをスネアリング装置に捕捉させることができる。
【0009】
また別の態様にしたがって、少なくとも一部が少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性を有することのできる補助カテーテルを備えた、ガイドワイヤを捕捉するための装置を説明する。補助カテーテルのうちこの少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分が大半を占めることができる。これによりガイドワイヤと第2カテーテルの互いの位置関係を使用中に視認可能とすることができる。これにより経皮術あるいは低侵襲術の手術で使用する際、スネアリング装置に対するガイドワイヤの適切な位置決めを、より簡単に行うことができる。
【0010】
また別の態様によれば、補助カテーテルの少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分は可撓性を有する。好ましくは、補助カテーテルの他の部分から分離或いは引き裂かれることなく、折り畳み或いは折り込むことができる。このようにして、補助カテーテルとの連続性を失うことなく、スネアリング装置による捕捉と引張を行うことができる。
【0011】
また別の態様によれば、ガイドワイヤを捕捉する装置は、放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分が設けられた補助カテーテルを備えることができる。また経カテーテル術を用いた介入に使用すると、適切な位置決めをより簡単に行うことができる。
【0012】
補助カテーテルの放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分は、補助カテーテルの末端穴の付近に配置させることができる。この放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分は、補助カテーテルが捕捉されてスネアリング装置のカテーテルの末端とスネアリング装置の間に挟まった場合、および/または、補助カテーテルをスネアリング装置のカテーテルの中に導入する際に、折り込まれた形状で表示させることができる程度の長さを有することができる。例えばこれは少なくとも10mm長であり、より好ましくは少なくとも20mm長である。
【0013】
補助カテーテルは、放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分で折り曲げることができ、または放射線透過性および/またはエコー透過性の部分で折り曲げることができる。特に、例えば1mm未満の小さな曲率半径を有する鋭角が形成されるようにして折り込むことができる。
【0014】
また別の態様によるガイドワイヤを捕捉する装置が説明され、当該装置には、少なくとも1つのループが設けられたスネアリング部を備えることのできるスネアリング装置が備えられる。この少なくとも1つのループはロッドに取り付けることができる。
【0015】
ガイドワイヤを捕捉するための装置がさらに説明され、当該装置は、ガイドワイヤの挿入と摺動のみが可能な程度の内径を有することのできる補助カテーテルを備えている。
【0016】
また別の態様によるガイドワイヤを捕捉するための装置が説明され、当該装置には補助カテーテルが備えられ、この補助カテーテルは使用の際、捕捉しようとするガイドワイヤを捕捉するための装置のガイドワイヤを収容するのに適している。補助カテーテルはポリマー材料から構築することができる。
【0017】
また別の態様に基づいて、今度はガイドワイヤを捕捉する方法を説明する。本方法は、ガイドワイヤを所望の位置に位置決めするステップを有することができる。この方法は公知の方法を用いて実行することができる。本方法には、ガイドワイヤの末端部分が係合するようにスネアリング装置を位置決めするステップを含むことができる。好ましくは、ガイドワイヤの末端部分が、スネアリング装置のスネアリング部の少なくとも1つのループに交差するようにして、スネアリング装置を位置決めすることができる。本方法はガイドワイヤに沿って補助カテーテルまたは第2カテーテルを配置させるステップを有することができる。好ましくは第2カテーテルは、ガイドワイヤの末端部分が第2カテーテルのルーメンから突出し、好ましくは第2カテーテルのルーメンが終端する末端穴から突出するようにして、設けられる。本方法は、第2カテーテルを、ガイドワイヤを覆って摺動させるステップを有することができ、例えばスネアリング装置のスネアリング部の少なくとも1つのループと交差させることによって、スネアリング装置と係合するようになっている。本方法は、第2カテーテルの内に残したままスネアリング装置と係合しないように、ガイドワイヤを引くステップを有することができる。本方法はスネアリング装置のスネアリング部を第1カテーテルの内に引き入れるステップを有することができる。したがって第2カテーテルを、スネアリング装置と第1カテーテルの末端との間に捕捉することが可能となり、および/または、場合によっては、第2カテーテルを第1カテーテルの内側に引き入れることも可能である。
【0018】
また別の態様によれば、本方法は、第2カテーテルがスネアリング装置と係合するまで、第2カテーテルにガイドワイヤを覆って摺動させるステップの前に、ガイドワイヤの周りでスネアリング装置を静かに引き締める追加のステップを提供することができる。有利には、これによりガイドワイヤの末端の位置を、その構造を損なうことなく安定化させることができる。
【0019】
また別の態様によれば、本方法は、ガイドワイヤを引くステップの前に、第2カテーテルの周りでスネアリング装置を静かに引き締める追加のステップを有することができる。有利には、第2カテーテルはしたがって、スネアリング装置を用いてその位置が保たれるようにして安定化される。
【0020】
特定の態様によれば本方法は、スネアリング部が第2カテーテルを捕捉して第2カテーテルが第1カテーテルの末端穴を塞いだ場合、またはこれを第1カテーテルの内部に引き入れた場合に、第2カテーテルの放射線不透過性またはエコー不透過性の部分を折り込むことを提供することによって、スネアリングにより第2カテーテルが適切に捕捉されたことが、エコー検査画像および/または放射線検査画像を用いて視覚的に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
追加の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態に係る以下の詳細な説明に、純粋に非限定的な実施例として提供される添付の図面を参照することにより、明らかになるであろう。
【0022】
図1図1はガイドワイヤを捕捉するための装置を表す。
図2図2は、ガイドワイヤを捕捉する方法の第1ステップにおける図1の装置を表す。
図3図3は、ガイドワイヤを捕捉する方法の第2ステップにおける図1の装置を表す。
図4図4は、ガイドワイヤを捕捉する方法の第3ステップにおける図1の装置を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、ガイドワイヤを捕捉するための装置10にはスネアリング装置が備えられ、このスネアリング装置には、第1カテーテル30の内部に収容されるスネアリング部20が備えられている。本装置10はさらに第2カテーテル40を備える。
【0024】
スネアリング部20はスネアリングデバイスなど、当該分野で知られているあらゆるタイプのものとすることができ、様々な形状を有することができる。図示の好ましい実施形態において、スネアリング部20には複数のループが設けられている。これらのループ22はロッド24に取付けられている。これらループは何れも異なる向きを有して配置させることができ、例えば花状の構造を形成するように配置させることができる。これは例えばロッド24に取付けられた単一のループ22により形成された違うスネアリング部20のある実施形態を排除するわけではない。第1カテーテル30は好ましくはシングルルーメンのカテーテルであって、この内部でスネアリング部20が摺動可能となっている。カテーテル30のルーメン、つまり内部を通って延在する細長い導管は、末端穴32で終端する。
【0025】
第2カテーテル40は、例えば図2に認められる通り、ガイドワイヤ50を収容するためのカテーテルであって、とりわけガイドワイヤは、本発明に係る装置で捕捉されることを意図している。このため、第2カテーテル40は好ましくは、ガイドワイヤ50の挿入と摺動を可能とするためのみに十分なルーメン内径を有する。言い換えると、第2カテーテル40はあそびを最小限に抑えてガイドワイヤ50を挿入させることができる。第2カテーテル40は好ましくは可撓性材料から構成され、例えばエラストマー材料や他のポリマー材料から構成される。具体的には、第2カテーテル40には、柔軟性を持たせるため、ポリマー材料からなる薄壁が設けられている。第2カテーテル40はしたがってガイドワイヤ50の経路に容易に適合させることができ、この上を摺動することを意図しており、また一切の永久変形を受けることなく自由に折り込むことができる。さらに第2カテーテル40は、少なくともその一部が、好ましくは少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性(つまり、エコー検査および/またはX線に対して少なくとも部分的に透明であること)を有している。好ましくは、この少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分は、第2カテーテル40の支配的な部分42を構成する。第2カテーテル40には、さらに好ましくは放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44が設けられる。この部分は好ましくは、ルーメンの出口のための末端穴48付近の第2カテーテルの先端46に位置する。好ましくは、この放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分は、スネアリング装置20における一以上のループ22に幅と同じかそれ以上の長さを有する。この放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分は、第2カテーテル40を第1カテーテル30の中に導入する際に折り込まれた形状で表示させることのできるくらいの長さを有することができる。
【0026】
したがって好ましくは、第2カテーテル40は、好ましくは支配的な部分である少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分と、好ましくはカテーテル末端の領域またはその付近に位置する放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分と、の両方を有する。
【0027】
次に図2図3および図4を参照して、上記の装置10を用いてガイドワイヤ50の末端を捕捉するための方向を説明する。特に本方法によって、患者内に挿入されたガイドワイヤの末端を捕捉して、これを折り込むことなく、あるいは損傷することなく患者の外側に出すことができる。
【0028】
ガイドワイヤ50は所望の位置に位置決めされる。例えば心臓弁を完全にあるいは部分的に取り囲むために、解剖構造に対してガイドワイヤを位置決めさせることが望ましい場合、この位置決めは、例えば何らかの方法で配向されている或いは配向可能な端部が設けられた幾つかの段階を有するカテーテルのシステムを使用して実行することができる。ガイドワイヤ50が所望の位置におかれると、図2に認められる通り、ガイドワイヤ50の末端部分52が、スネアリング部20の少なくとも1つのループ22と交差するかまたは係合するようにして、スネアリング装置は位置決めされる。
【0029】
経皮術および/または経カテーテル術の分野における先行技術では、この段階で通常実行される方法として、スネアリング部20を第1カテーテル30内部に引き込み、これと共に第1カテーテル30内で畳まれているガイドワイヤを引き抜くことが行われる。
【0030】
しかし本発明では、本方法は引き続き第2カテーテル40をガイドワイヤ50に置き、第2カテーテルの端部が、スネアリング部20の中に導入され或いは係合したガイドワイヤの端部に到達するまで、これをスライドさせる。したがって第2カテーテル40はまた、図3に図示されている通り、スネアリング部20における少なくとも1つのループ22と交差している。カテーテル40における放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44は、カテーテル44が所望の位置にあり、スネアリング部20内に導入された状態でその後の捕捉に適した位置にあることを確実にするための補助部品を提供する。実際、カテーテル40における放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分が、エコー検査または放射線検査で生成された画像内で、スネアリング部20の一以上のループ22の放射線不透過性画像またはエコー不透過性画像のみと重なり合っていることを確認することが可能である。
【0031】
第2カテーテル40の周りを僅かに捕捉しているスネアリング部20を適宜使用することによって、第2カテーテル40をこの位置に保った状態のまま、末端部分52がスネアリング装置20のループ22ともはや交差せず或いは係合しなくなるように、ガイドワイヤ50が引かれる。第2カテーテル40の放射線透過性部分および/またはエコー透過性部分を使用することで、放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分を第2カテーテル40の端部に残したまま、ガイドワイヤ50の端部が十分に引かれたことを確認することができる。
【0032】
したがってスネアリング部20は第1カテーテル30の内に引き入れられる。(図4)このようにして折り込み区域47で折り込まれた第2カテーテル40も一緒に内部に引き入れることができる。図4に認められる通り、ガイドワイヤ50は折り込まれていないことに注目することができるが、これは第2カテーテル40の末端に対して、末端部分52が事前に第2カテーテル40内に十分に引き入れられており、このため末端部分52が折り込み区域47には存在しないためである。
【0033】
このステップにおいて、カテーテル40における放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44は、第2カテーテル40を第1カテーテル30の内部に引き込む操作を成功させる上で本質的な役割を果たす。放射線不透過性またはエコー不透過性の部分44に折り込み区域47が入るように当該部分44の範囲を十分に設定することによって、エコー検査および/または放射線検査を用いてカテーテル40の効果的な折り込みを確認することができる。第1カテーテル30内のスネアリング部20を確認して、第2カテーテル40の放射線不透過性またはエコー不透過性の端部44が折り込まれることなく実質的に延びたままになっている場合は、操作者は、スネアリング部20による捕捉がまだ行われていないという迅速な示唆が得られるため、上記の準備操作を繰り返すために、戻ってスネアリング部20を展開することができる。そうでない場合には、放射線不透過性またはエコー不透過性の端部44が折り込まれて表示されていることによって、第2カテーテル40がスネアリング部20により完全に捕捉されていることが確認され、また以下の計画されている操作を続けるための許可が提供される。
【0034】
使用される第1カテーテル30と第2カテーテル40の径に応じて、第2カテーテル40は、第1カテーテル30の中に引き込まれることなく、図4に図示の配置で第1カテーテルの末端穴32とスネアリング部の間に捕捉されるだけで、格納することができる。したがって第1カテーテル30とスネアリング部20を一緒に格納することによって、第2カテーテル40の先端46をガイドワイヤと共に回収することができる。
【0035】
この時点において、スネアリング装置によって、患者の外側で第2カテーテル40の先端を、内部のガイドワイヤと共に回収することができる。したがって1本のガイドワイヤを適切な位置に残したまま、第2カテーテル40を取り除くことができる。
【0036】
上記の方法の結果として、ガイドワイヤ50の両端を無傷で変形なく、操作者にアクセス可能な状態にして、ガイドワイヤ50を正しく位置決めすることができる。したがって「ワイヤを覆って」摺動する必要のある追加装置を挿入するため、或いはより一般的にガイドワイヤ50の末端部分52が変形または損傷しないようにする必要のあるあらゆる操作を実行するために、ガイドワイヤ50の末端部分52を使用することもできる。
【0037】
上記の通り、第2カテーテル40には、先端46に位置する放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44が好ましくは設けられ、これはスネアリング部20によりこれが第1カテーテル30の内部へと引き込まれたときに、その折り込みの表示が可能となる程度の長さを有する。この放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44は、エコー検査および/または放射線検査による表示を用いて患者内部で操作が行われた場合に、第2カテーテル40を先端46がスネアリング部の少なくとも1つのループの付近に入るまで前進させることに関する上記操作を簡単にする。同様にして、放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分44が存在することによって、ガイドワイヤの末端部分52が引かれたときに、第2カテーテル40がスネアリング部20のループ22から出ていないことを確認することができる。言い換えると、図3のステップと図4のステップの間で、カテーテルが正しく位置決めされたままになっていることを確認する働きをする。
【0038】
同時に、第2カテーテル40のうち放射線透過性および/またはエコー透過性の支配的な部分42を有することによって、ガイドワイヤ50の末端を、第2カテーテル40のうちスネアリング部のループ22により捕捉される部分の外側に配置させることが可能となり、一体性が保たれる。実際のところ、ガイドワイヤは通常な金属製であり、普通は放射線不透過性でかつエコー不透過性を有するため、第2カテーテル40の放射線透過性および/またはエコー透過性の部分の中に存在する場合は明確に視認可能である。
【0039】
以上の説明から、第2カテーテル40を第1カテーテル30の内に引き入れることが望ましい場合には、スネアリング装置の第1カテーテル30は、あそびがあり、自身が折り込まれている第2カテーテル40の通過が可能となる程度の内径を有することは明らかである。しかしながら第2カテーテル40を、第1カテーテル30の末端穴32とスネアリング部との間で単に捕捉することが望ましい場合には、第1カテーテル30は、内部に第2カテーテルを受け入れ可能にする必要はない。また第1カテーテル30のルーメンが第2カテーテル40よりも小さな径を有する可能性も排除されない。
【0040】
上記の方法の説明では、ガイドワイヤが事前に適切に配置されると第2カテーテル40が挿入され、これにより単純に第2カテーテルがガイドワイヤを覆って摺動すると考えられる。これが不可能あるいは不都合である場合には、いずれにせよ使用の前にガイドワイヤ50を第2カテーテル40の内部に配置させることができる。
【0041】
ガイドワイヤ50における第2カテーテル40の前進操作の際、ガイドワイヤの適切な配置が損なわれないように注意を払う必要があることがある。このために、ガイドワイヤを図2の配置、つまり末端部分52がスネアリング部20の少なくとも1つのループ22と交差した状態にしてから、ループ22を捕捉することなく、スネアリング部20を第1カテーテル30の内部に引き入れることが有利である場合がある。このようにして、ガイドワイヤの先端は損傷することなく安定化し、第2カテーテル40を摺動させながら適切な配置が保たれる。
【0042】
上記の説明はこれまで、第2カテーテル40の中に受け入れられた単一ガイドワイヤ50を捕捉するための装置に関して言及してきたことに注目することができる。しかしながら複数のガイドワイヤを捕捉するためにこれを使用することも可能であることは理解できよう。この場合、上記の同様な特性を有する追加カテーテル40を、提供される追加ガイドワイヤの各々に対して、提供することが単に必要である。
【0043】
第2カテーテルは様々な部材を接合することにより構成することができ、その一部はエコー透過性/放射線透過性の部分に対して充填のないのポリマー材料から構築され、他の一部は放射線不透過性の部分に対して硫酸バリウム(BaSO)などの好適な添加剤が充填されているポリマー材料から構築される。第2カテーテルの主な部分に関しては、前進で考えられる抵抗を克服するために好適となるように硬度と剛性が比較的高いポリマーを使用することが有利となる一方で、スネアリング装置によって捕捉され折り込まれることを意図している先端46は、破壊や損傷の虞がなく安定的な捕捉のための変形に適するように、有利には、硬度がほとんどなく可撓性の大きなポリマー材料から構築される。
【0044】
当然ながら、本発明の原理は同じであり、実施形態および構成の詳細は、本発明の範囲を逸脱することなく、説明および図示されたものに関して幅広く変化させることができる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スネアリング装置(20,30)と補助カテーテル(40)とを有する、ガイドワイヤ(50)を捕捉するための装置(10)であって、
前記補助カテーテル(40)は、その先端(47)が捕捉されるガイドワイヤの先端を超えて延在するようにして、前記ガイドワイヤが摺動可能に収容されるように構成されており、これにより前記ガイドワイヤ(50)が前記補助カテーテル(40)内の後退位置にある状態で前記スネアリング装置(20,30)により捕捉され
前記補助カテーテル(40)の少なくとも一部が少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性を有し、また前記補助カテーテル(40)には、前記補助カテーテル(40)の末端穴(48)の付近に放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)が設けられる、
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記補助カテーテル(40)のうち前記少なくとも部分的な放射線透過性および/またはエコー透過性の部分が支配的であることを特徴とする請求項に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記補助カテーテル(40)に放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)が設けられ、前記放射線不透過性および/またはエコー不透過性の部分(44)は、前記補助カテーテル(40)を前記スネアリング装置(20,30)の第1カテーテル(30)の中に導入する際に、折り込まれた形状で表示される程度の長さを有することを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記スネアリング装置に、ロッド(24)に取付けられた少なくとも1つのループ(22)を有するスネアリング部(20)、が備えられることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記補助カテーテル(40)が、1つのガイドワイヤ(50)の挿入と摺動が可能な程度の内径を有することを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記補助カテーテル(40)がポリマー材料から構築されることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
・所望の位置にガイドワイヤ(50)を位置決めするステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)の末端部分(52)に係合または交差するようにスネアリング装置(20,30)を位置決めするステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)を覆って補助カテーテル(40)を配置するステップと、
・前記スネアリング装置(20)と交差するか係合するように、前記補助カテーテル(40)を前記ガイドワイヤ(50)に沿って摺動するステップと、
・前記ガイドワイヤ(50)の末端が前記スネアリング装置(20)と交差しないか係合しないように前記ガイドワイヤ(50)を引くステップと、
・前記スネアリング装置のスネアリング部(20)をカテーテル(30)の内に引き入れ、前記補助カテーテル(40)を捕捉するステップと、
を含むことを特徴とするガイドワイヤ(50)を捕捉する方法。
【請求項8】
前記補助カテーテル(40)に、前記スネアリング部(20)が前記補助カテーテル(40)を捕捉したときに折り込まれる放射線不透過性部分(44)またはエコー不透過性部分(44)が備えられることにより、前記スネアリング装置(20,30)により前記補助カテーテル(30)が適切に捕捉されたことが、エコー検査画像および/または放射線検査画像を用いて視覚的に表示されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【国際調査報告】