(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】塩化水素の酸化のための触媒及びその製造
(51)【国際特許分類】
B01J 29/78 20060101AFI20230726BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230726BHJP
B01J 37/30 20060101ALI20230726BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230726BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20230726BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20230726BHJP
C01B 7/01 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B01J29/78 M
B01J35/10 301G
B01J37/30
B01J37/08
B01J37/04 102
B01J37/00 D
C01B7/01 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022573362
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021064344
(87)【国際公開番号】W WO2021239944
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァロ・ゴルディージョ・ボロニオ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・ラーマー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ-ニコラエ・パルヴューレスコ
(72)【発明者】
【氏名】ビルジ・イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト・シュレーレス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック・デ・ヴィンネ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・パルヴューレスコ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ジョン・ザクゼスキー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ミュラー
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA02B
4G169BA07A
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4G169BC44A
4G169BC44B
4G169BC44C
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4G169CB81
4G169DA06
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4G169EC06X
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4G169ZA03A
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4G169ZE02
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
(57)【要約】
本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒であって、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含み、ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含み、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、無機担体マトリックス及びゼオライトに銅及び1つ以上の希土類金属が充填されており、ゼオライトが無機担体マトリックス内に担持されている、触媒に関する。更に、本発明は、触媒を含む成形物、並びに触媒及び成形物をそれぞれ製造するための方法、並びに塩化水素を水素に酸化するための方法におけるそれらのそれぞれの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素を塩素に酸化するための触媒であって、
前記触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、
前記無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含んでいてもよく、
前記ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含んでいてもよく、
Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、
前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに銅及び1つ以上の希土類金属が充填されており、
前記ゼオライトが前記無機担体マトリックス内に担持されている、触媒。
【請求項2】
前記無機担体マトリックスが、20~250μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあり、前記質量平均粒子直径D50が、ISO 13317-3:2001に従って決定され、ISO 9276-2:2014に従って計算される、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記無機担体マトリックスが、0.1~2.5mL/gの範囲のHg多孔度を示し、前記Hg多孔度が、ISO 15901-1:2016に従って決定される、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着が、
150~270℃の範囲の第1のピーク、及び
270~375℃の範囲の第2のピーク
を示し、
前記第1のピークの積分が、0.3~1.5mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
前記第2のピークの積分が、0.3~1.5mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記触媒が、前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに含まれているYの、前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO
2:X
2O
3として計算して、0.5:1~10:1の範囲で示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトが、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒を含む、成形物。
【請求項8】
前記成形物が、50~600m
2/gの範囲に含まれるBET表面積を示し、前記BET表面積が、ISO 9277:2010に従って決定される、請求項7に記載の成形物。
【請求項9】
前記成形物が、0.2~0.4cm
3/gの範囲に含まれる全細孔容積を示し、前記全細孔容積が、ISO 15901-2:2006に従って決定される、請求項7又は8に記載の成形物。
【請求項10】
前記成形物の銅の充填量が、元素として計算して、かつ前記成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO
2及びX
2O
3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲にある、請求項7から9のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項11】
前記成形物の希土類金属の充填量が、元素として計算して、かつ前記成形物に含有されている、それぞれの酸化物YO
2及びX
2O
3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~15質量%の範囲にある、請求項7から10のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項12】
前記成形物の水素温度プログラム還元が、
175~225℃の範囲の第1のピーク、及び
175~275℃の範囲の第2のピーク
を示し、
前記第1のピークの積分が、50~250μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈し、
前記第2のピークの積分が、225~600μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈する、
請求項7から11のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の塩化水素を塩素に酸化するための触媒を製造するための方法であって、前記方法が、
(i)無機担体マトリックスとゼオライトとを含む担体を提供し、前記無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含んでいてもよく、前記ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含んでいてもよく、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、前記ゼオライトが、前記無機担体マトリックス内に担持されている、工程、
(ii)前記担体を、銅との、更には1つ以上の希土類金属との1回以上のイオン交換手順に供して、触媒の前駆体を得る工程、
(iii)前記触媒の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、触媒を得る工程
を含む、方法。
【請求項14】
触媒を含む成形物を製造するための方法であって、前記方法が、
(a)水と、バインダー又はその前駆体と、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒とを含む混合物を調製する工程、
(b)(a)から得られた前記混合物を成形して、成形物の前駆体を得る工程、
(c)前記成形物の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、成形物を得る工程
を含む、方法。
【請求項15】
塩化水素を塩素に酸化するための方法であって、
(A)請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒又は請求項7から11のいずれか一項に記載の成形物を含む反応域を含む反応器を提供する工程、
(B) 塩化水素及び酸素を含む反応物ガス流を(A)から得られた前記反応域に通過させ、前記反応物ガス流を前記反応域内で反応条件に供し、塩素を含む生成物流を前記反応域から除去する、工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒に関し、この触媒は、特に銅及び1つ以上の希土類金属が充填された無機担体マトリックス及びゼオライトを含む。更に、本発明は、本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒を含む、成形物に関する。更に、本発明は、該触媒を製造するための方法、並びに該成形物を製造するための方法、及び塩化水素を塩素に酸化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導入
工業化学では、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)は、典型的には、ホスゲンを使用して製造される。したがって、ジアミンをそれぞれのイソシアネートに変換する方法中に、かなりの量の塩化水素が副生成物として形成される。したがって、形成された塩化水素を付加価値連鎖全体に含めることは非常に興味深い。特に、塩化水素は、例えば、「HCl酸化」とも称されるディーコン反応に従って、酸素による触媒酸化で酸化させることができる。最近のアプローチでは、Cu触媒を用いる流動床ディーコン技術がこの点で適用されている。Yゼオライト、カオリン、及び/又は他のアルミノシリケートを含むゼオライト型担体が、他の既知のAl2O3担体よりも、特に浸食速度の最小化に関して比較的改善された特性を示すことが提示されている。いくつかの流動触媒が知られている。
【0003】
US4,493,902A、US5,023,220A、US5,395,809A、US5,559,067A、及びWO2004/103558A1はそれぞれ、高い多孔度を備える流動接触分解触媒に関する。WO2004/103558A1には、メタカオリン及び含水カオリンを含む反応性微小球からアルミノシリケートゼオライトをインサイチュ結晶化させることによって触媒を調製できることが開示されている。US4,493,902Aは、Y-フォージャサイトを少なくとも約40質量%含有し、かつ直径20~100オングストロームの範囲の細孔を約0.20cc/g未満有する微小球を含む、流動接触分解触媒に関する。微小球は、メタカオリン及びカオリンクレイを含む非ゼオライト成分を含有していてもよい。
【0004】
WO2017/218879A1には、請求項1において、メタカオリン含有焼成微小球からのインサイチュ結晶化されたY-フォージャサイトと、分散性結晶性ベーマイト及びメタカオリン含有焼成微小球に含有されているカオリンの焼成によって得られるアルミナ含有マトリックスとを含むゼオライト流動接触分解触媒が開示されており、分散性結晶性ベーマイトは、500Å未満の結晶子径を有する。
【0005】
WO95/12454A1には、特に、カオリンクレイとバインダーとを含む混合物を調製することと、該混合物を噴霧乾燥して微小球を得ることと、それを焼成することと、微小球内のY-フォージャサイトを結晶化させることとを含む方法によって得られる、低減されたコークス収率を有するゼオライト流動接触分解触媒が開示されている。
【0006】
EP2418016A1は、銅と、アルカリ金属と、ランタノイドとを含有する球状粒子を含み、球状粒子が、0.80以上の平均球形度を有することを特に特徴とする、塩素製造触媒に関する。
【0007】
JP2010248062Aは、微粒子形態にあり、かつ銅を含む触媒を使用して、塩化水素から塩素を製造する方法に関する。触媒粒子が、70~300マイクロメートルの平均粒子直径を有し得ること、並びに触媒が、銅、希土類元素、及びアルカリ元素を含み得ることが開示されている。
【0008】
WO2011/118386A1には、触媒層を含有する流動床反応器内で塩化水素を酸化することによって塩化水素から塩素を製造する方法が開示されており、触媒層で使用される触媒は、銅を含有する球状粒子を含み得る。
【0009】
EP3549907A1もまた、触媒の存在下で酸素によって塩化水素を酸化することによる、塩素を製造するための方法に関する。触媒は、銅、アルカリ金属、及び希土類金属を含有し得る。
【0010】
EP2481478A1には、担体と活性成分とを含む、塩化水素の酸化によって塩素を製造するための触媒であって、活性成分が、触媒の総質量に基づいて、銅1~20質量%と、ホウ素0.01~5質量%と、アルカリ金属元素0.1~10質量%と、1つ以上の希土類元素0.1~15質量%と、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、ルテニウム、及びチタンから選択される1つ以上の元素0~10質量%とを含む、触媒が開示されている。
【0011】
CN108097232Aには、塩素を製造するための触媒において、触媒前駆体A、触媒前駆体B、及び無機膜を含み、無機膜が、触媒前駆体Aを覆っており、それによって、触媒前駆体B及び触媒前駆体Aを分離しており、触媒前駆体Aが、担体と、担体に担持された銅元素、アルカリ金属元素及び希土類元素とを含み、触媒前駆体Bが、担体と、担体に担持されたアルカリ金属元素及び希土類元素とを含み、そのため、触媒前駆体Bが銅元素を含まないことを特徴とする、触媒が開示されている。
【0012】
EP3450014A1には、塩化水素の酸化によって塩素ガスを調製するための触媒であって、触媒が、銅元素、マンガン元素、ホウ素元素、クロム元素、希土類元素、カリウム元素、チタン元素、リン元素、鉄元素、及び担体を含む、触媒が開示されている。
【0013】
EP3097976A1は、塩化水素を酸化することによる、塩素の調製に好適な触媒を調製するための方法に関する。この方法は特に、スラリーを噴霧乾燥によって処理して、銅、ホウ素、アルカリ金属元素、希土類金属元素、アルミニウムゾル、シリカゾル、担体、並びに任意選択的にMg、Ca、Ba、Mn、Ru、及びTiのうちの少なくとも1つを含む、触媒前駆体粒子を得ることを含む。
【0014】
CN106517095には、塩素ガスを調製するための方法が固定床管型反応器内で行われることが開示されている。触媒として、化学式CuaVbRcDdCeClfOgを有する複合金属オキシ塩化物が開示されており、式中、Rは、Ce、La、又はPrのうちの1つ以上であり、Dは、Na又はKであり、Cは、Si、Al、又はTiであり、2<a≦10、b=1、0<c≦6、0<d≦5、20<e≦40であり、f、gは、各元素のオキシ塩素化の程度に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】US4,493,902A
【特許文献2】US5,023,220A
【特許文献3】US5,395,809A
【特許文献4】US5,559,067A
【特許文献5】WO2004/103558A1
【特許文献6】WO2017/218879A1
【特許文献7】WO95/12454A1
【特許文献8】EP2418016A1
【特許文献9】JP2010248062A
【特許文献10】WO2011/118386A1
【特許文献11】EP3549907A1
【特許文献12】EP2481478A1
【特許文献13】CN108097232A
【特許文献14】EP3450014A1
【特許文献15】EP3097976A1
【特許文献16】CN106517095
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、特に塩化水素の接触酸化のための、より具体的にはディーコン法での適用のための、有利な特性を有する改善された触媒を提供することが本発明の対象であった。特に、非常に良好な長寿命性を示し、かつ特に塩化水素を塩素にする変換に関して改善された触媒性能を示す、改善された触媒を提供することが対象であった。更に、塩化水素を塩素に変換するのに好適な触媒を含む改善された成形物を提供することが対象であった。したがって、塩化水素を塩素に変換するための改善された方法を提供することが対象であった。それに加えて、該触媒及び該成形物を製造するための方法を提供することが対象であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、無機担体マトリックス及びゼオライトに銅及び1つ以上の希土類金属が充填されており、ゼオライトが無機担体マトリックス内に担持されていることを特に特徴とする、新規の触媒を提供することができると見出された。該触媒は、上述の有利な特性を呈する。更に、驚くべきことに、塩化水素を塩素にする変換において触媒として使用された場合に、かつ異なる触媒を含む従来技術の成形物と比較した場合に、塩化水素の著しく増加した変換率を示し、かつ優れた寿命特性を更に呈する、触媒を含む成形物を提供することができると見出された。
【0018】
したがって、本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒であって、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含んでいてもよく、ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含んでいてもよく、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、無機担体マトリックス及びゼオライトに銅及び1つ以上の希土類金属が充填されており、ゼオライトが無機担体マトリックス内に担持されている、触媒に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】380℃(1000時間、1.4NL/hのHCl、0.52NL/hのN
2、0.7NL/hのO
2)での実施例3に記載の固定床反応器における実施例2の触媒の長期安定性試験の結果であり、異なる条件(2.8NL/hのHCl、1.04NL/hのN
2、1.4NL/hのO
2)下で370°で行われた初期試験の結果を含む。
【
図2】実施例2の成形物のH
2-TPRデータである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
該触媒の無機担体マトリックスに関して、無機担体マトリックスは、20~250μmの範囲、より好ましくは30~200μm、より好ましくは40~150μm、より好ましくは50~120μm、より好ましくは60~100μm、より好ましくは70~90μm、より好ましくは75~85μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあることが好ましく、質量平均粒子直径D50は、好ましくはISO 13317-3:2001に従って決定され、好ましくはISO 9276-2:2014に従って計算される。
【0021】
更に、該触媒の無機担体マトリックスに関して、無機担体マトリックスは、0.1~2.5mL/g、より好ましくは0.3~1.5mL/g、より好ましくは0.4~1mL/g、より好ましくは0.5~0.75mL/g、より好ましくは0.55~0.65mL/g、より好ましくは0.6~0.62mL/gの範囲のHg多孔度を示すことが好ましく、Hg多孔度は、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される。
更に、該触媒の無機担体マトリックスに関して、無機担体マトリックスは、300~600m2/g、好ましくは350~550m2/g、より好ましくは375~500m2/g、より好ましくは400~475m2/g、より好ましくは425~450m2/g、より好ましくは440~445m2/gの範囲のBET表面積を示すことが好ましく、BET表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0022】
更に、該触媒の無機担体マトリックスに関して、無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着は、
150~270℃、より好ましくは170~250℃、より好ましくは190~220℃、より好ましくは200~205℃の範囲の第1のピーク、
270~375℃、より好ましくは290~355℃、より好ましくは310~335℃、より好ましくは320~325℃の範囲の第2のピーク、及び
535~640℃、好ましくは555~620℃、より好ましくは575~600℃、より好ましくは585~590℃の範囲の第3のピーク
を示すことが好ましく、
第1のピークの積分は、0.3~1.5mmol/g、より好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.75~1.05mmol/g、より好ましくは0.85~0.95mmol/g、より好ましくは0.88~0.9mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分は、0.3~1.5mmol/g、より好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.7~1mmol/g、より好ましくは0.8~0.9mmol/g、より好ましくは0.83~0.85mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
好ましい第3のピークの積分は、0.01~0.1mmol/g、より好ましくは0.02~0.07mmol/g、より好ましくは0.03~0.05mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する。
【0023】
該触媒に関して、Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、YはSiである。
【0024】
該触媒に関して、Xは、B、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、B、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、XはAlである。
【0025】
触媒は、Yを、元素として計算して、かつ触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、15~45質量%の範囲、より好ましくは22~35質量%の範囲、より好ましくは26~31質量%の範囲、より好ましくは28~29質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0026】
触媒は、Xを、元素として計算して、かつ触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~30質量%の範囲、より好ましくは16~25質量%の範囲、より好ましくは18~23質量%の範囲、より好ましくは20~21質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0027】
触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、0.5:1~10:1の範囲、より好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは2.0:1~3.5:1の範囲、より好ましくは2.5:1~2.9:1の範囲、より好ましくは2.6:1~2.8:1の範囲で示すことが好ましい。
【0028】
無機担体マトリックス及びゼオライトの銅の充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、より好ましくは5.0~9.0質量%の範囲、より好ましくは6.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは7.0~7.2質量%の範囲にあることが好ましい。
【0029】
触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている銅に対するモル比を、3~15の範囲、より好ましくは7~11の範囲、より好ましくは9.0:1~9.3:1の範囲、より好ましくは9.1:1~9.2:1の範囲で示すことが好ましい。
【0030】
1つ以上の希土類金属は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Ho、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Ce、Sm、La、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、無機担体マトリックス及びゼオライトに、Ce、より好ましくはCe及びLa、より好ましくはCe、Sm、及びLaが充填されている。
【0031】
無機担体マトリックス及びゼオライトの希土類金属の充填量は、元素としての1つ以上の希土類金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~50質量%の範囲、好ましくは8~30質量%の範囲、より好ましくは10~15質量%の範囲、より好ましくは12~13質量%の範囲にあることが好ましい。
【0032】
無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されていることが好ましい。
【0033】
無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されている場合、無機担体マトリックス及びゼオライトのCeの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にあることが好ましい。
【0034】
更に、無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されている場合、触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~75:1の範囲、好ましくは32:1~50:1の範囲、より好ましくは38:1~43:1の範囲、より好ましくは40:1~41:1の範囲で示すことが好ましい。
【0035】
無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されていることが好ましい。
【0036】
無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されている場合、無機担体マトリックス及びゼオライトのSmの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にあることが好ましい。
【0037】
更に、無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されている場合、触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、25:1~75:1の範囲、より好ましくは35:1~52:1の範囲、より好ましくは41:1~46:1の範囲、より好ましくは43:1~44:1の範囲で示すことが好ましい。
【0038】
無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されていることが好ましい。
【0039】
無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されている場合、無機担体マトリックス及びゼオライトのLaの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.0~5.6質量%の範囲、より好ましくは5.2~5.4質量%の範囲にあることが好ましい。
【0040】
更に、無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されている場合、触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、10:1~50:1の範囲、好ましくは20:1~33:1の範囲、より好ましくは24:1~29:1の範囲、より好ましくは26:1~27:1の範囲で示すことが好ましい。
【0041】
無機担体マトリックス及びゼオライトに1つ以上のアルカリ金属が更に充填されていることが好ましく、好ましくは、1つ以上のアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Na、K、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上のアルカリ金属はKである。
【0042】
無機担体マトリックス及びゼオライトに1つ以上のアルカリ金属が更に充填されている場合、無機担体マトリックス及びゼオライトのアルカリ金属の充填量は、元素としての1つ以上のアルカリ金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7.5質量%の範囲、より好ましくは3.0~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.6質量%の範囲、より好ましくは4.2~4.4質量%の範囲にあることが好ましい。
【0043】
更に、無機担体マトリックス及びゼオライトに1つ以上のアルカリ金属が更に充填されている場合、触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている1つ以上のアルカリ金属に対するモル比を、1:1~20:1の範囲、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~11:1の範囲、より好ましくは9:1~10:1の範囲で示すことが好ましい。
【0044】
無機担体マトリックスは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、クレイ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、カオリン、メタカオリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の無機酸化物を含むことが好ましい。
【0045】
触媒は、BET表面積を、100~600m2/gの範囲、より好ましくは250~450m2/gの範囲、より好ましくは310~380m2/gの範囲、より好ましくは330~360m2/gの範囲、より好ましくは340~350m2/gの範囲で示すことが好ましく、BET表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0046】
ゼオライトは、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から、より好ましくは、FAU、GIS、BEA、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有することが好ましく、より好ましくは、ゼオライトは、FAU及び/又はBEA骨格構造タイプ、より好ましくはFAU骨格構造タイプを有する。
【0047】
ゼオライトは、FAU骨格構造タイプを有することが好ましく、好ましくは、ゼオライトは、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、Li-LSX、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、Na-Y、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである。
【0048】
触媒は、ゼオライトを、触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~90質量%の範囲、より好ましくは20~80質量%の範囲、より好ましくは30~70質量%の範囲、より好ましくは40~60質量%の範囲、より好ましくは45~55質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0049】
触媒は、無機担体マトリックスを、触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~90質量%の範囲、より好ましくは20~80質量%の範囲、より好ましくは30~70質量%の範囲、より好ましくは40~60質量%の範囲、より好ましくは45~55質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0050】
触媒は、元素として計算して、触媒100質量%に基づいて、0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%のClを含むことが好ましい。
【0051】
更に、本発明は、本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒を含む、成形物に関する。
【0052】
成形物は、50~600m2/gの範囲、より好ましくは150~450m2/gの範囲、より好ましくは220~360m2/gの範囲、より好ましくは270~310m2/gの範囲、より好ましくは280~300m2/gの範囲に含まれるBET表面積を示すことが好ましく、BET表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0053】
成形物は、0.2~0.4cm3/gの範囲、より好ましくは0.26~0.33cm3/gの範囲、より好ましくは0.29~0.30cm3/gの範囲に含まれる全細孔容積を示すことが好ましく、全細孔容積は、好ましくはISO 15901-2:2006に従って決定される。
【0054】
成形物は、0.01~0.20cm3/gの範囲、より好ましくは0.05~0.15cm3/gの範囲、より好ましくは0.09~0.11cm3/gの範囲に含まれる微細孔容積を示すことが好ましく、微細孔容積は、好ましくはISO 15901-3:2007に従って決定される。
【0055】
成形物は、1~8nmの範囲、より好ましくは3.5~5.0nmの範囲、より好ましくは4.0~4.2nmの範囲に含まれる吸着平均細孔幅(4V/A)を示すことが好ましく、吸着平均細孔幅(4V/A)は、好ましくはISO 15901-2:2006に従って決定される。
【0056】
成形物は、5~15nmの範囲、より好ましくは9.0~11.0nmの範囲、より好ましくは9.7~9.9nmの範囲に含まれる脱着平均細孔直径(4V/A)を示すことが好ましく、脱着平均細孔直径(4V/A)は、好ましくはDIN 66134:1998-02に従って決定される。
【0057】
成形物の銅の充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、より好ましくは5.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.5~5.9質量%の範囲、より好ましくは5.6~5.8質量%の範囲にあることが好ましい。
【0058】
成形物は、成形物に含有されているYの、成形物に含有されている銅に対するモル比を、10~20の範囲、より好ましくは12~15の範囲、より好ましくは13.3:1~13.9:1の範囲、より好ましくは13.5:1~13.7:1の範囲で示す。
【0059】
成形物の希土類金属の充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~15質量%の範囲、より好ましくは9.0~10.5質量%の範囲、より好ましくは9.4~9.8質量%の範囲、より好ましくは9.5~9.7質量%の範囲にあることが好ましい。
【0060】
無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されていることが好ましく、より好ましくは、成形物のCeの充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~5質量%の範囲、より好ましくは2.0~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~2.9質量%の範囲、より好ましくは2.6~2.8質量%の範囲にある。
【0061】
無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されている場合、成形物は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~100:1の範囲、より好ましくは55:1~70:1の範囲、より好ましくは60:1~66:1の範囲、より好ましくは62:1~64:1の範囲で示すことが好ましい。
【0062】
無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されていることが好ましく、より好ましくは、成形物のSmの充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~5質量%の範囲、より好ましくは2.0~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~2.9質量%の範囲、より好ましくは2.6~2.8質量%の範囲にある。
【0063】
無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されている場合、成形物は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、30:1~120:1の範囲、より好ましくは60:1~90:1の範囲、より好ましくは65:1~70:1の範囲、より好ましくは66.5:1~68.5:1の範囲で示すことが好ましい。
【0064】
無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されていることが好ましく、より好ましくは、成形物のLaの充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8質量%の範囲、より好ましくは3.5~5.0質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.4質量%の範囲、より好ましくは4.1~4.3質量%の範囲にある。
【0065】
無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されている場合、成形物は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、25:1~75:1の範囲、より好ましくは33:1~47:1の範囲、より好ましくは38:1~42:1の範囲、より好ましくは39:1~41:1の範囲で示すことが好ましい。
【0066】
無機担体マトリックス及びゼオライトにKが更に充填されていることが好ましく、より好ましくは、成形物のKの充填量は、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.5質量%の範囲、より好ましくは3.5~3.9質量%の範囲、より好ましくは3.6~3.8質量%の範囲にある。
【0067】
無機担体マトリックス及びゼオライトにKが更に充填されている場合、成形物は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているKに対するモル比Y:Kを、1:1~30:1の範囲、より好ましくは7:1~20:1の範囲、より好ましくは10:1~16:1の範囲、より好ましくは12:1~14:1の範囲で示すことが好ましい。
【0068】
成形物は、Yを、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~60質量%の範囲、より好ましくは25~45質量%の範囲、より好ましくは32~36質量%の範囲、より好ましくは33~35質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0069】
成形物は、Xを、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~25質量%の範囲、より好ましくは10~18質量%の範囲、より好ましくは12~16質量%の範囲、より好ましくは13~15質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0070】
成形物は、成形物に含有されているYの、成形物に含有されているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、1:1~8:1の範囲、より好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは4.0:1~5.0:1の範囲、より好ましくは4.4:1~4.8:1の範囲、より好ましくは4.5:1~4.7:1の範囲で示すことが好ましい。
【0071】
成形物の水素温度プログラム還元は、
175~225℃、より好ましくは185~210℃、より好ましくは190~200℃、より好ましくは193~198℃の範囲の第1のピーク、及び
175~275℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは215~240℃、より好ましくは225~230℃の範囲の第2のピーク
を示すことが好ましく、
第1のピークの積分は、50~250μmol/g、より好ましくは75~225μmol/g、より好ましくは100~200μmol/g、より好ましくは125~175μmol/g、より好ましくは150~155μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分は、225~600μmol/g、より好ましくは250~450μmol/g、より好ましくは275~400μmol/g、より好ましくは300~350μmol/g、より好ましくは315~325μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈する。
【0072】
更に、本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒、好ましくは本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒を製造するための方法であって、方法が、
(i)無機担体マトリックスとゼオライトとを含む担体を提供し、無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含み、ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含み、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、ゼオライトが、無機担体マトリックス内に担持されている、工程、
(ii)担体を、銅との、更には1つ以上の希土類金属との、及び好ましくは更には1つ以上のアルカリ金属との1回以上のイオン交換手順に供して、触媒の前駆体を得る工程、
(iii)触媒の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、触媒を得る工程
を含む、方法に関する。
【0073】
(i)による担体に含まれている無機担体マトリックスは、20~250μm、より好ましくは30~200μm、より好ましくは40~150μm、より好ましくは50~120μm、より好ましくは60~100μm、より好ましくは70~90μm、より好ましくは75~85μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあることが好ましく、質量平均粒子直径D50は、好ましくはISO 13317-3:2001に従って決定され、好ましくはISO 9276-2:2014に従って計算される。
【0074】
(i)による担体に含まれている無機担体マトリックスは、0.1~2.5mL/g、より好ましくは0.3~1.5mL/g、より好ましくは0.4~1mL/g、より好ましくは0.5~0.75mL/g、より好ましくは0.55~0.65mL/g、より好ましくは0.6~0.62mL/gの範囲のHg多孔度を示すことが好ましく、Hg多孔度は、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される。
【0075】
(i)による担体に含まれている無機担体マトリックスは、300~600m2/g、より好ましくは350~550m2/g、より好ましくは375~500m2/g、より好ましくは400~475m2/g、より好ましくは425~450m2/g、より好ましくは440~445m2/gの範囲のBET表面積を示すことが好ましく、BET表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0076】
(i)による担体に含まれている無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着は、
150~270℃、より好ましくは170~250℃、より好ましくは190~220℃、より好ましくは200~205℃の範囲の第1のピーク、
270~375℃、より好ましくは290~355℃、より好ましくは310~335℃、より好ましくは320~325℃の範囲の第2のピーク、及び
535~640℃、より好ましくは555~620℃、より好ましくは575~600℃、より好ましくは585~590℃の範囲の第3のピーク
を示すことが好ましく、
第1のピークの積分は、0.3~1.5mmol/g、より好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.75~1.05mmol/g、より好ましくは0.85~0.95mmol/g、より好ましくは0.88~0.9mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分は、0.3~1.5mmol/g、より好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.7~1mmol/g、より好ましくは0.8~0.9mmol/g、より好ましくは0.83~0.85mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
好ましい第3のピークの積分は、0.01~0.1mmol/g、より好ましくは0.02~0.07mmol/g、より好ましくは0.03~0.05mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する。
【0077】
Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、YはSiである。
【0078】
Xは、B、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、B、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、XはAlである。
【0079】
(i)で提供される担体は、Yを、元素として計算して、かつ担体に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、15~45質量%の範囲、より好ましくは22~35質量%の範囲、より好ましくは26~31質量%の範囲、より好ましくは28~29質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0080】
(i)で提供される担体は、Xを、元素として計算して、かつ担体に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~30質量%の範囲、より好ましくは16~25質量%の範囲、より好ましくは18~23質量%の範囲、より好ましくは20~21質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0081】
(i)で提供される担体は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、0.5:1~10:1の範囲、好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは2.0:1~3.5:1の範囲、より好ましくは2.5:1~2.9:1の範囲、より好ましくは2.6:1~2.8:1の範囲で示すことが好ましい。
【0082】
(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトの銅の充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、より好ましくは5.0~9.0質量%の範囲、より好ましくは6.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは7.0~7.2質量%の範囲にあることが好ましい。
【0083】
(iii)で得られる触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている銅に対するモル比を、3~15の範囲、より好ましくは7~11の範囲、より好ましくは9.0:1~9.3:1の範囲、より好ましくは9.1:1~9.2:1の範囲で示すことが好ましい。
【0084】
(ii)における1つ以上の希土類金属は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Ho、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Ce、Sm、La、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、無機担体マトリックス及びゼオライトに、Ce、より好ましくはCe及びLa、より好ましくはCe、Sm、及びLaが充填されている。
【0085】
(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトの希土類金属の充填量は、元素としての1つ以上の希土類金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~20質量%の範囲、より好ましくは8~17質量%の範囲、より好ましくは10~15質量%の範囲、より好ましくは12~13質量%の範囲にあることが好ましい。
【0086】
(ii)において、担体にCeが充填されていることが好ましい。
【0087】
(ii)において担体にCeが充填されている場合、(iii)で得られる触媒において、担体のCeの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にあることが好ましい。
【0088】
更に、(ii)において担体にCeが充填されている場合、(iii)で得られる触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~75:1の範囲、より好ましくは32:1~50:1の範囲、より好ましくは38:1~43:1の範囲、より好ましくは40:1~41:1の範囲で示すことが好ましい。
【0089】
(ii)において、担体にSmが充填されていることが好ましい。
【0090】
(ii)において担体にSmが充填されている場合、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのSmの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にあることが好ましい。
【0091】
更に、(ii)において担体にSmが充填されている場合、(iii)で得られる触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、25:1~75:1の範囲、より好ましくは35:1~52:1の範囲、より好ましくは41:1~46:1の範囲、より好ましくは43:1~44:1の範囲で示すことが好ましい。
【0092】
(ii)において、担体にLaが充填されていることが好ましい。
【0093】
(ii)において担体にLaが充填されている場合、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのLaの充填量は、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.0~5.6質量%の範囲、より好ましくは5.2~5.4質量%の範囲にあることが好ましい。
【0094】
更に、(ii)において担体にLaが充填されている場合、(iii)で得られる触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、10:1~50:1の範囲、より好ましくは20:1~33:1の範囲、より好ましくは24:1~29:1の範囲、より好ましくは26:1~27:1の範囲で示すことが好ましい。
【0095】
(ii)において担体に1つ以上のアルカリ金属が更に充填されていることが好ましく、より好ましくは、1つ以上のアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Na、K、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上のアルカリ金属はKである。
【0096】
(ii)において担体に1つ以上のアルカリ金属が更に充填されている場合、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのアルカリ金属の充填量は、元素としての1つ以上のアルカリ金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7.5質量%の範囲、より好ましくは3.0~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.6質量%の範囲、より好ましくは4.2~4.4質量%の範囲にあることが好ましい。
【0097】
更に、(ii)において担体に1つ以上のアルカリ金属が更に充填されている場合、(iii)で得られる触媒は、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている1つ以上のアルカリ金属に対するモル比を、1:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~11:1の範囲、より好ましくは9:1~10:1の範囲で示すことが好ましい。
【0098】
(i)で提供される担体に含まれる無機担体マトリックスは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、クレイ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、カオリン、メタカオリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の無機酸化物を含むことが好ましい。
【0099】
(iii)で得られる触媒は、BET表面積を、100~600m2/gの範囲、より好ましくは250~450m2/gの範囲、より好ましくは310~380m2/gの範囲、より好ましくは330~360m2/gの範囲、より好ましくは340~350m2/gの範囲で示すことが好ましく、BET表面積は、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される。
【0100】
(i)で提供される担体に含まれるゼオライトは、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から、好ましくは、FAU、GIS、BEA、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有することが好ましく、より好ましくは、ゼオライトは、FAU及び/又はBEA骨格構造タイプ、より好ましくはFAU骨格構造タイプを有する。
【0101】
(i)で提供される担体に含まれるゼオライトは、FAU骨格構造タイプを有することが好ましく、好ましくは、ゼオライトは、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、Li-LSX、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、Na-Y、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである。
【0102】
(i)で提供される担体は、ゼオライトを、触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、68~90質量%の範囲、より好ましくは74~84質量%の範囲、より好ましくは77~81質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0103】
(i)で提供される担体は、無機担体マトリックスを、触媒に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~32質量%の範囲、より好ましくは16~26質量%の範囲、より好ましくは19~23質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0104】
(iii)で得られる触媒は、元素として計算して、触媒100質量%に基づいて、0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%のClを含むことが好ましい。
【0105】
1回以上のイオン交換手順を、25~110℃の範囲、より好ましくは50~90℃の範囲、より好ましくは70~85℃の範囲の温度で実施することが好ましい。
【0106】
担体をイオン交換に供する工程は、触媒の前駆体を、70~150℃の範囲、好ましくは90~130℃の範囲、より好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させることを含むことが好ましい。
【0107】
触媒の前駆体を乾燥させるためのガス雰囲気は、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含むことが好ましく、より好ましくは、ガス雰囲気は、酸素、空気、又は希薄空気である。
【0108】
(iii)における焼成を、400~600℃の範囲、より好ましくは450~550℃の範囲、より好ましくは490~510℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0109】
(iii)におけるガス雰囲気は、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含むことが好ましく、より好ましくは、(iii)におけるガス雰囲気は、酸素、空気、又は希薄空気である。
【0110】
更に、本発明は、触媒を含む、成形物、好ましくは本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の成形物を製造するための方法であって、方法が、
(a)水と、バインダー又はその前駆体と、本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒とを含む混合物を調製する工程、
(b)(a)から得られた混合物を成形して、成形物の前駆体を得る工程、
(c)成形物の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、成形物を得る工程
を含む、方法に関する。
【0111】
(a)におけるバインダーは、無機バインダーからなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、バインダーは、金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1つ以上の供給源、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、並びにそれらの2つ以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合酸化物、シリカ-チタニア混合酸化物、シリカ-ジルコニア混合酸化物、シリカ-ランタナ混合酸化物、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、アルミナ-チタニア混合酸化物、アルミナ-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-ランタナ混合酸化物、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、チタニア-ジルコニア混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合酸化物、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1つ以上の供給源を含み、より好ましくは、バインダーは、1つ以上のシリカ供給源を含み、より好ましくは、バインダーは、1つ以上のシリカ供給源からなり、1つ以上のシリカ供給源は、好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカ-アルミナ、コロイダルシリカ-アルミナ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物、より好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、より好ましくは、1つ以上のバインダーは、ヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカから、より好ましくはコロイダルシリカからなる。
【0112】
(a)による混合物において、触媒の、シリカバインダー前駆体に含まれるSiO2として計算したSiに対する質量比は、1:1~7:1の範囲、より好ましくは3:1~5:1の範囲、より好ましくは3.9:1~4.1:1の範囲にあることが好ましい。
【0113】
(a)による混合物において、触媒の、水に対する質量比は、0.5:1~7:1の範囲、より好ましくは1:1~3:1の範囲、より好ましくは1.7:1~1.8:1の範囲にあることが好ましい。
【0114】
(a)によって調製された混合物は、1つ以上の粘度調整剤及び/又は形成剤を更に含むことが好ましい。
【0115】
(a)によって調製された混合物が1つ以上の粘度調整剤及び/又は形成剤を更に含む場合、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤は、水、アルコール、有機ポリマー、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、有機ポリマーは、より好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、セルロース誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーは、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤は、水及びカルボキシメチルセルロースを含む。
【0116】
(a)によって調製された混合物において、触媒の、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤に対する質量比は、10:1~30:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは19:1~21:1の範囲にあることが好ましい。
【0117】
(a)における混合物の調製は、混練すること、より好ましくは、ニーダー又はミックスマラー内で混練することを含むことが好ましい。
【0118】
(b)において、成形は、混合物を押し出すことを含むことが好ましい。
【0119】
(b)において、混合物を、ストランドに、より好ましくは円形断面を有するストランドに成形することが好ましい。
【0120】
(b)において混合物を、円形断面を有するストランドに成形する場合、円形断面を有するストランドは、0.2~10mmの範囲、より好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2.5mmの範囲、より好ましくは1.9~2.1mmの範囲の直径を有することが好ましい。
【0121】
(b)による成形は、成形物の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを更に含むことが好ましい。
【0122】
(b)による成形が成形物の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを更に含む場合、乾燥を、80~160℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0123】
更に、(b)による成形が成形物の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを更に含む場合、ガス雰囲気は、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含むことが好ましく、より好ましくは、ガス雰囲気は、酸素、空気、又は希薄空気である。
【0124】
(c)における焼成を、400~600℃の範囲、より好ましくは450~550℃の範囲、より好ましくは490~510℃の範囲のガス雰囲気の温度で行うことが好ましい。
【0125】
(c)におけるガス雰囲気は、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含むことが好ましく、好ましくは、ガス雰囲気は、酸素、空気、又は希薄空気である。
【0126】
更に、本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための方法であって、
(A)本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒又は本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の成形物を含む反応域を含む反応器を提供する工程、
(B)反応物ガス流を(A)から得られた反応域に通過させ(反応域に通過させた反応物ガス流が塩化水素及び酸素を含む)、該反応物ガス流を該反応域内で反応条件に供し、生成物流を該反応域から除去する(該生成物流が塩素を含む)、工程
を含む、方法に関する。
【0127】
(A)において、本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の触媒又は本明細書に開示されている実施形態のいずれか一つに記載の成形物は、固定床及び/又は流動床、より好ましくは固定床に存在することが好ましい。
【0128】
(B)において、反応条件は、300~500℃の範囲、より好ましくは360~400℃の範囲、より好ましくは370~390℃の範囲の温度を含むことが好ましい。
【0129】
(B)において、反応条件は、0.05~2MPaの範囲、より好ましくは0.1~1.5MPaの範囲、より好ましくは0.15~1MPaの範囲、より好ましくは0.2~0.8MPaの範囲、より好ましくは0.25~0.6MPaの範囲、より好ましくは0.3~0.5MPaの範囲、より好ましくは0.35~0.45MPaの範囲、より好ましくは0.3~0.4MPaの範囲の圧力を含むことが好ましい。
【0130】
(B)において、反応物ガス流中の塩化水素の酸素に対するモル比HCl:O2は、1:1~5:1の範囲、より好ましくは1.7:1~2.3:1の範囲、より好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲にあることが好ましい。
【0131】
(B)において、反応物ガス流を、350~550L/(kg*h)の範囲、より好ましくは420~480L/(kg*h)の範囲、より好ましくは440~460L/(kg*h)の範囲のガス毎時空間速度を有する塩化水素を含む流れによって供給することが好ましい。
【0132】
(B)において、反応物ガス流は、反応物ガス流100質量%に基づいて、0.1~2.0質量%、より好ましくは0.7~1.3質量%、より好ましくは0.9~1.1質量%のH2Oを含有することが好ましい。
【0133】
(B)において、反応物ガス流を、塩化水素を含む流れによって供給することが好ましく、塩化水素を、1つ以上のイソ及び/又はジイソシアネートとホスゲンとの反応から、好ましくは、メチレンジフェニルイソシアネート及び/又はトルエンジイソシアネートとホスゲンとの反応から得る。
【0134】
本発明は、以下の一連の実施形態、並びに示されるような従属性及び後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって更に説明される。特に、実施形態の範囲が述べられている各場合において、例えば、「実施形態(1)から(4)のいずれか一つ」等の用語の文脈において、この範囲のあらゆる実施形態が当業者にとって明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態(1)、(2)、(3)、及び(4)のいずれか一つ」と同義であると当業者によって理解されるべきである。
【0135】
更に、以下の一連の実施形態が、保護の範囲を決定する一連の請求項であるのではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様を対象とした説明の好適に構成された部分を表すことに明示的に言及したい。
【0136】
実施形態(1)によると、本発明は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒であって、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含み、ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含み、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、無機担体マトリックス及びゼオライトに銅及び1つ以上の希土類金属が充填されており、ゼオライトが無機担体マトリックス内に担持されている、触媒に関する。
【0137】
実施形態(1)を具体化する好ましい実施形態(2)は、無機担体マトリックスが、20~250μm、好ましくは30~200μm、より好ましくは40~150μm、より好ましくは50~120μm、より好ましくは60~100μm、より好ましくは70~90μm、より好ましくは75~85μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあり、質量平均粒子直径D50が、好ましくはISO 13317-3:2001に従って決定され、好ましくはISO 9276-2:2014に従って計算される、該触媒に関する。
【0138】
実施形態(1)又は(2)を具体化する更なる好ましい実施形態(3)は、無機担体マトリックスが、0.1~2.5mL/g、好ましくは0.3~1.5mL/g、より好ましくは0.4~1mL/g、より好ましくは0.5~0.75mL/g、より好ましくは0.55~0.65mL/g、より好ましくは0.6~0.62mL/gの範囲のHg多孔度を示し、Hg多孔度が、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される、該触媒に関する。
【0139】
実施形態(1)から(3)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(4)は、無機担体マトリックスが、300~600m2/g、好ましくは350~550m2/g、より好ましくは375~500m2/g、より好ましくは400~475m2/g、より好ましくは425~450m2/g、より好ましくは440~445m2/gの範囲のBET表面積を示し、BET表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、該触媒に関する。
【0140】
実施形態(1)から(4)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(5)は、無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着が、
150~270℃、好ましくは170~250℃、より好ましくは190~220℃、より好ましくは200~205℃の範囲の第1のピーク、
270~375℃、好ましくは290~355℃、より好ましくは310~335℃、より好ましくは320~325℃の範囲の第2のピーク、及び
535~640℃、好ましくは555~620℃、より好ましくは575~600℃、より好ましくは585~590℃の範囲の第3のピーク
を示し、
第1のピークの積分が、0.3~1.5mmol/g、好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.75~1.05mmol/g、より好ましくは0.85~0.95mmol/g、より好ましくは0.88~0.9mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分が、0.3~1.5mmol/g、好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.7~1mmol/g、より好ましくは0.8~0.9mmol/g、より好ましくは0.83~0.85mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
好ましい第3のピークの積分が、0.01~0.1mmol/g、好ましくは0.02~0.07mmol/g、より好ましくは0.03~0.05mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する、
該触媒に関する。
【0141】
実施形態(1)から(5)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(6)は、Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Si、Ti、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、YがSiである、該触媒に関する。
【0142】
実施形態(1)から(6)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(7)は、Xが、B、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、B、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、XがAlである、該触媒に関する。
【0143】
実施形態(1)から(7)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(8)は、触媒が、Yを、元素として計算して、かつ触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、15~45質量%の範囲、好ましくは22~35質量%の範囲、より好ましくは26~31質量%の範囲、より好ましくは28~29質量%の範囲の量で含む、該触媒に関する。
【0144】
実施形態(1)から(8)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(9)は、触媒が、Xを、元素として計算して、かつ触媒に含有されている、それぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~30質量%の範囲、好ましくは16~25質量%の範囲、より好ましくは18~23質量%の範囲、より好ましくは20~21質量%の範囲の量で含む、該触媒に関する。
【0145】
実施形態(1)から(9)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(10)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、0.5:1~10:1の範囲、好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは2.0:1~3.5:1の範囲、より好ましくは2.5:1~2.9:1の範囲、より好ましくは2.6:1~2.8:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0146】
実施形態(1)から(10)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(11)は、無機担体マトリックス及びゼオライトの銅の充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、好ましくは5.0~9.0質量%の範囲、より好ましくは6.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは7.0~7.2質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0147】
実施形態(1)から(11)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(12)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている銅に対するモル比を、3~15の範囲、好ましくは7~11の範囲、より好ましくは9.0:1~9.3:1の範囲、より好ましくは9.1:1~9.2:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0148】
実施形態(1)から(12)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(13)は、1つ以上の希土類金属が、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Ho、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Ce、Sm、La、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、無機担体マトリックス及びゼオライトに、Ce、より好ましくはCe及びLa、より好ましくはCe、Sm、及びLaが充填されている、該触媒に関する。
【0149】
実施形態(1)から(13)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(14)は、無機担体マトリックス及びゼオライトの希土類金属の充填量が、元素としての1つ以上の希土類金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~50質量%の範囲、好ましくは8~30質量%の範囲、より好ましくは10~15質量%の範囲、より好ましくは12~13質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0150】
実施形態(1)から(14)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(15)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されている、該触媒に関する。
【0151】
実施形態(15)を具体化する更なる好ましい実施形態(16)は、無機担体マトリックス及びゼオライトのCeの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0152】
実施形態(15)又は(16)を具体化する更なる好ましい実施形態(17)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~75:1の範囲、好ましくは32:1~50:1の範囲、より好ましくは38:1~43:1の範囲、より好ましくは40:1~41:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0153】
実施形態(1)から(17)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(18)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されている、該触媒に関する。
【0154】
実施形態(18)を具体化する更なる好ましい実施形態(19)は、無機担体マトリックス及びゼオライトのSmの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0155】
実施形態(18)又は(19)を具体化する更なる好ましい実施形態(20)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、25:1~75:1の範囲、好ましくは35:1~52:1の範囲、より好ましくは41:1~46:1の範囲、より好ましくは43:1~44:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0156】
実施形態(1)から(20)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(21)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されている、該触媒に関する。
【0157】
実施形態(21)を具体化する更なる好ましい実施形態(22)は、無機担体マトリックス及びゼオライトのLaの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8.5質量%の範囲、好ましくは4.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.0~5.6質量%の範囲、より好ましくは5.2~5.4質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0158】
実施形態(21)又は(22)を具体化する更なる好ましい実施形態(23)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、10:1~50:1の範囲、好ましくは20:1~33:1の範囲、より好ましくは24:1~29:1の範囲、より好ましくは26:1~27:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0159】
実施形態(1)から(23)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(24)は、無機担体マトリックス及びゼオライトに1つ以上のアルカリ金属が更に充填されており、好ましくは、1つ以上のアルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Cs、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Na、K、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上のアルカリ金属がKである、該触媒に関する。
【0160】
実施形態(24)を具体化する更なる好ましい実施形態(25)は、無機担体マトリックス及びゼオライトのアルカリ金属の充填量が、元素としての1つ以上のアルカリ金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7.5質量%の範囲、好ましくは3.0~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.6質量%の範囲、より好ましくは4.2~4.4質量%の範囲にある、該触媒に関する。
【0161】
実施形態(24)又は(25)を具体化する更なる好ましい実施形態(26)は、触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている1つ以上のアルカリ金属に対するモル比を、1:1~20:1の範囲、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~11:1の範囲、より好ましくは9:1~10:1の範囲で示す、該触媒に関する。
【0162】
実施形態(1)から(26)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(27)は、無機担体マトリックスが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、クレイ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、カオリン、メタカオリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の無機酸化物を含む、該触媒に関する。
【0163】
実施形態(1)から(27)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(28)は、触媒が、BET表面積を、100~600m2/gの範囲、好ましくは250~450m2/gの範囲、より好ましくは310~380m2/gの範囲、より好ましくは330~360m2/gの範囲、より好ましくは340~350m2/gの範囲で示し、BET表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、該触媒に関する。
【0164】
実施形態(1)から(28)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(29)は、ゼオライトが、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から、好ましくは、FAU、GIS、BEA、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有し、より好ましくは、ゼオライトが、FAU及び/又はBEA骨格構造タイプ、より好ましくはFAU骨格構造タイプを有する、該触媒に関する。
【0165】
実施形態(1)から(29)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(30)は、ゼオライトが、FAU骨格構造タイプを有し、好ましくは、ゼオライトが、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、Li-LSX、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、Na-Y、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトが、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトが、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである、該触媒に関する。
【0166】
実施形態(1)から(30)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(31)は、触媒が、ゼオライトを、触媒に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~90質量%の範囲、好ましくは20~80質量%の範囲、より好ましくは30~70質量%の範囲、より好ましくは40~60質量%の範囲、より好ましくは45~55質量%の範囲の量で含む、該触媒に関する。
【0167】
実施形態(1)から(31)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(32)は、触媒が、無機担体マトリックスを、触媒に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~90質量%の範囲、好ましくは20~80質量%の範囲、より好ましくは30~70質量%の範囲、より好ましくは40~60質量%の範囲、より好ましくは45~55質量%の範囲の量で含む、該触媒に関する。
【0168】
実施形態(1)から(32)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(33)は、触媒が、元素として計算して、触媒100質量%に基づいて、0~1質量%、好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%のClを含む、該触媒に関する。
【0169】
実施形態(34)は、実施形態(1)から(33)のいずれか一つに記載の触媒を含む、成形物に関する。
【0170】
実施形態(34)を具体化する好ましい実施形態(35)は、成形物が、50~600m2/gの範囲、好ましくは150~450m2/gの範囲、より好ましくは220~360m2/gの範囲、より好ましくは270~310m2/gの範囲、より好ましくは280~300m2/gの範囲に含まれるBET表面積を示し、BET表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、該成形物に関する。
【0171】
実施形態(34)又は(35)を具体化する更なる好ましい実施形態(36)は、成形物が、0.2~0.4cm3/gの範囲、好ましくは0.26~0.33cm3/gの範囲、より好ましくは0.29~0.30cm3/gの範囲に含まれる全細孔容積を示し、全細孔容積が、好ましくはISO 15901-2:2006に従って決定される、該成形物に関する。
【0172】
実施形態(34)から(36)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(37)は、成形物が、0.01~0.20cm3/gの範囲、好ましくは0.05~0.15cm3/gの範囲、より好ましくは0.09~0.11cm3/gの範囲に含まれる微細孔容積を示し、微細孔容積が、好ましくはISO 15901-3:2007に従って決定される、該成形物に関する。
【0173】
実施形態(34)から(37)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(38)は、成形物が、1~8nmの範囲、好ましくは3.5~5.0nmの範囲、より好ましくは4.0~4.2nmの範囲に含まれる吸着平均細孔幅(4V/A)を示し、吸着平均細孔幅(4V/A)が、好ましくはISO 15901-2:2006に従って決定される、該成形物に関する。
【0174】
実施形態(34)から(38)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(39)は、成形物が、5~15nmの範囲、好ましくは9.0~11.0nmの範囲、より好ましくは9.7~9.9nmの範囲に含まれる脱着平均細孔直径(4V/A)を示し、脱着平均細孔直径(4V/A)が、好ましくはDIN 66134:1998-02に従って決定される、該成形物に関する。
【0175】
実施形態(34)から(39)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(40)は、成形物の銅の充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、好ましくは5.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.5~5.9質量%の範囲、より好ましくは5.6~5.8質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0176】
実施形態(34)から(40)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(41)は、成形物が、成形物に含有されているYの、成形物に含有されている銅に対するモル比を、10~20の範囲、好ましくは12~15の範囲、より好ましくは13.3:1~13.9:1の範囲、より好ましくは13.5:1~13.7:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0177】
実施形態(34)から(41)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(42)は、成形物の希土類金属の充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~15質量%の範囲、好ましくは9.0~10.5質量%の範囲、より好ましくは9.4~9.8質量%の範囲、より好ましくは9.5~9.7質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0178】
実施形態(34)から(42)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(43)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにCeが充填されており、好ましくは、成形物のCeの充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~5質量%の範囲、より好ましくは2.0~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~2.9質量%の範囲、より好ましくは2.6~2.8質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0179】
実施形態(43)を具体化する更なる好ましい実施形態(44)は、成形物が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~100:1の範囲、好ましくは55:1~70:1の範囲、より好ましくは60:1~66:1の範囲、より好ましくは62:1~64:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0180】
実施形態(34)から(44)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(45)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにSmが充填されており、好ましくは、成形物のSmの充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~5質量%の範囲、より好ましくは2.0~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~2.9質量%の範囲、より好ましくは2.6~2.8質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0181】
実施形態(45)を具体化する更なる好ましい実施形態(46)は、成形物が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、30:1~120:1の範囲、好ましくは60:1~90:1の範囲、より好ましくは65:1~70:1の範囲、より好ましくは66.5:1~68.5:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0182】
実施形態(34)から(46)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(47)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにLaが充填されており、好ましくは、成形物のLaの充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8質量%の範囲、より好ましくは3.5~5.0質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.4質量%の範囲、より好ましくは4.1~4.3質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0183】
実施形態(47)を具体化する更なる好ましい実施形態(48)は、成形物が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、25:1~75:1の範囲、好ましくは33:1~47:1の範囲、より好ましくは38:1~42:1の範囲、より好ましくは39:1~41:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0184】
実施形態(34)から(48)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(49)は、無機担体マトリックス及びゼオライトにKが更に充填されており、好ましくは、成形物のKの充填量が、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7質量%の範囲、より好ましくは3.0~4.5質量%の範囲、より好ましくは3.5~3.9質量%の範囲、より好ましくは3.6~3.8質量%の範囲にある、該成形物に関する。
【0185】
実施形態(49)を具体化する更なる好ましい実施形態(50)は、成形物が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているKに対するモル比Y:Kを、1:1~30:1の範囲、好ましくは7:1~20:1の範囲、より好ましくは10:1~16:1の範囲、より好ましくは12:1~14:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0186】
実施形態(34)から(50)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(51)は、成形物が、Yを、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~60質量%の範囲、好ましくは25~45質量%の範囲、より好ましくは32~36質量%の範囲、より好ましくは33~35質量%の範囲の量で含む、該成形物に関する。
【0187】
実施形態(34)から(51)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(52)は、成形物が、Xを、元素として計算して、かつ成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~25質量%の範囲、好ましくは10~18質量%の範囲、より好ましくは12~16質量%の範囲、より好ましくは13~15質量%の範囲の量で含む、該成形物に関する。
【0188】
実施形態(34)から(52)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(53)は、成形物が、成形物に含有されているYの、成形物に含有されているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、1:1~8:1の範囲、好ましくは3:1~6:1の範囲、より好ましくは4.0:1~5.0:1の範囲、より好ましくは4.4:1~4.8:1の範囲、より好ましくは4.5:1~4.7:1の範囲で示す、該成形物に関する。
【0189】
実施形態(34)から(53)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(54)は、該成形物の水素温度プログラム還元が、
175~225℃、好ましくは185~210℃、より好ましくは190~200℃、より好ましくは193~198℃の範囲の第1のピーク、及び
175~275℃、好ましくは200~250℃、より好ましくは215~240℃、より好ましくは225~230℃の範囲の第2のピーク
を示し、
第1のピークの積分が、50~250μmol/g、好ましくは75~225μmol/g、より好ましくは100~200μmol/g、より好ましくは125~175μmol/g、より好ましくは150~155μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分が、225~600μmol/g、好ましくは250~450μmol/g、より好ましくは275~400μmol/g、より好ましくは300~350μmol/g、より好ましくは315~325μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈する、
該成形物に関する。
【0190】
本発明の実施形態(55)は、塩化水素を塩素に酸化するための触媒、好ましくは実施形態(1)から(33)のいずれか一つに記載の触媒を製造するための方法であって、方法が、
(i)無機担体マトリックスとゼオライトとを含む担体を提供し、無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含み、ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含み、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、ゼオライトが、無機担体マトリックス内に担持されている、工程、
(ii)担体を、銅との、更には1つ以上の希土類金属との、及び好ましくは更には1つ以上のアルカリ金属との1回以上のイオン交換手順に供して、触媒の前駆体を得る工程、
(iii)触媒の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、触媒を得る工程
を含む、方法に関する。
【0191】
実施形態(55)を具体化する好ましい実施形態(56)は、無機担体マトリックスが、20~250μm、好ましくは30~200μm、より好ましくは40~150μm、より好ましくは50~120μm、より好ましくは60~100μm、より好ましくは70~90μm、より好ましくは75~85μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあり、質量平均粒子直径D50が、好ましくはISO 13317-3:2001に従って決定され、好ましくはISO 9276-2:2014に従って計算される、該方法に関する。
【0192】
実施形態(55)又は(56)を具体化する更なる好ましい実施形態(57)は、無機担体マトリックスが、0.1~2.5mL/g、好ましくは0.3~1.5mL/g、より好ましくは0.4~1mL/g、より好ましくは0.5~0.75mL/g、より好ましくは0.55~0.65mL/g、より好ましくは0.6~0.62mL/gの範囲のHg多孔度を示し、Hg多孔度が、好ましくはISO 15901-1:2016に従って決定される、該方法に関する。
【0193】
実施形態(55)から(57)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(58)は、無機担体マトリックスが、300~600m2/g、好ましくは350~550m2/g、より好ましくは375~500m2/g、より好ましくは400~475m2/g、より好ましくは425~450m2/g、より好ましくは440~445m2/gの範囲のBET表面積を示し、BET表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、該方法に関する。
【0194】
実施形態(55)から(58)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(59)は、無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着が、
150~270℃、好ましくは170~250℃、より好ましくは190~220℃、より好ましくは200~205℃の範囲の第1のピーク、
270~375℃、好ましくは290~355℃、より好ましくは310~335℃、より好ましくは320~325℃の範囲の第2のピーク、及び
535~640℃、好ましくは555~620℃、より好ましくは575~600℃、より好ましくは585~590℃の範囲の第3のピーク
を示し、
第1のピークの積分が、0.3~1.5mmol/g、好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.75~1.05mmol/g、より好ましくは0.85~0.95mmol/g、より好ましくは0.88~0.9mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
第2のピークの積分が、0.3~1.5mmol/g、好ましくは0.5~1.3mmol/g、より好ましくは0.7~1mmol/g、より好ましくは0.8~0.9mmol/g、より好ましくは0.83~0.85mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
好ましい第3のピークの積分が、0.01~0.1mmol/g、好ましくは0.02~0.07mmol/g、より好ましくは0.03~0.05mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する、
該方法に関する。
【0195】
実施形態(55)から(59)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(60)は、Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Si、Ti、Ge、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Si、Ti、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、YがSiである、該方法に関する。
【0196】
実施形態(55)から(60)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(61)は、Xが、B、Al、Ga、In、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、B、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Al、Ga、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、XがAlである、該方法に関する。
【0197】
実施形態(55)から(61)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(62)は、担体が、Yを、元素として計算して、かつ担体に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、15~45質量%の範囲、好ましくは22~35質量%の範囲、より好ましくは26~31質量%の範囲、より好ましくは28~29質量%の範囲の量で含む、該方法に関する。
【0198】
実施形態(55)から(62)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(63)は、担体が、Xを、元素として計算して、かつ担体に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~30質量%の範囲、好ましくは16~25質量%の範囲、より好ましくは18~23質量%の範囲、より好ましくは20~21質量%の範囲の量で含む、該方法に関する。
【0199】
実施形態(55)から(63)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(64)は、担体が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO2:X2O3として計算して、0.5:1~10:1の範囲、好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは2.0:1~3.5:1の範囲、より好ましくは2.5:1~2.9:1の範囲、より好ましくは2.6:1~2.8:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0200】
実施形態(55)から(64)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(65)は、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトの銅の充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲、好ましくは5.0~9.0質量%の範囲、より好ましくは6.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは7.0~7.2質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0201】
実施形態(55)から(65)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(66)は、(iii)で得られる触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている銅に対するモル比を、3~15の範囲、好ましくは7~11の範囲、より好ましくは9.0:1~9.3:1の範囲、より好ましくは9.1:1~9.2:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0202】
実施形態(55)から(66)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(67)は、1つ以上の希土類金属が、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Ho、Lu、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Ce、Sm、La、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、無機担体マトリックス及びゼオライトに、Ce、より好ましくはCe及びLa、より好ましくはCe、Sm、及びLaが充填されている、該方法に関する。
【0203】
実施形態(55)から(67)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(68)は、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトの希土類金属の充填量が、元素としての1つ以上の希土類金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~20質量%の範囲、好ましくは8~17質量%の範囲、より好ましくは10~15質量%の範囲、より好ましくは12~13質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0204】
実施形態(55)から(68)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(69)は、(ii)において担体にCeが充填されている、該方法に関する。
【0205】
実施形態(69)を具体化する更なる好ましい実施形態(70)は、(iii)で得られる触媒において、担体のCeの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0206】
実施形態(69)又は(70)を具体化する更なる好ましい実施形態(71)は、(iii)で得られる触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているCeに対するモル比Y:Ceを、25:1~75:1の範囲、好ましくは32:1~50:1の範囲、より好ましくは38:1~43:1の範囲、より好ましくは40:1~41:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0207】
実施形態(55)から(71)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(72)は、(ii)において担体にSmが充填されている、該方法に関する。
【0208】
実施形態(72)を具体化する更なる好ましい実施形態(73)は、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのSmの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~6質量%の範囲、好ましくは3.0~4.0質量%の範囲、より好ましくは3.2~3.8質量%の範囲、より好ましくは3.4~3.6質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0209】
実施形態(72)又は(73)を具体化する更なる好ましい実施形態(74)は、(iii)で得られる触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているSmに対するモル比Y:Smを、25:1~75:1の範囲、好ましくは35:1~52:1の範囲、より好ましくは41:1~46:1の範囲、より好ましくは43:1~44:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0210】
実施形態(55)から(74)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(75)は、(ii)において担体にLaが充填されている、該方法に関する。
【0211】
実施形態(75)を具体化する更なる好ましい実施形態(76)は、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのLaの充填量が、元素として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~8.5質量%の範囲、好ましくは4.0~6.5質量%の範囲、より好ましくは5.0~5.6質量%の範囲、より好ましくは5.2~5.4質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0212】
実施形態(75)又は(76)を具体化する更なる好ましい実施形態(77)は、(iii)で得られる触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されているLaに対するモル比Y:Laを、10:1~50:1の範囲、好ましくは20:1~33:1の範囲、より好ましくは24:1~29:1の範囲、より好ましくは26:1~27:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0213】
実施形態(55)から(77)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(78)は、(ii)において担体に1つ以上のアルカリ金属が更に充填されており、好ましくは、1つ以上のアルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Cs、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、Na、K、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上のアルカリ金属がKである、該方法に関する。
【0214】
実施形態(78)を具体化する更なる好ましい実施形態(79)は、(iii)で得られる触媒において、無機担体マトリックス及びゼオライトのアルカリ金属の充填量が、元素としての1つ以上のアルカリ金属の合計として計算して、かつ無機担体マトリックス及びゼオライトに含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、1~7.5質量%の範囲、好ましくは3.0~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.0~4.6質量%の範囲、より好ましくは4.2~4.4質量%の範囲にある、該方法に関する。
【0215】
実施形態(78)又は(79)を具体化する更なる好ましい実施形態(80)は、(iii)で得られる触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトに含まれているYの、無機担体マトリックス及びゼオライトに充填されている1つ以上のアルカリ金属に対するモル比を、1:1~20:1の範囲、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~11:1の範囲、より好ましくは9:1~10:1の範囲で示す、該方法に関する。
【0216】
実施形態(55)から(80)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(81)は、無機担体マトリックスが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、クレイ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、モンモリロナイト、カオリン、メタカオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、カオリン、メタカオリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の無機酸化物を含む、該方法に関する。
【0217】
実施形態(55)から(81)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(82)は、(iii)で得られる触媒が、BET表面積を、100~600m2/gの範囲、好ましくは250~450m2/gの範囲、より好ましくは310~380m2/gの範囲、より好ましくは330~360m2/gの範囲、より好ましくは340~350m2/gの範囲で示し、BET表面積が、好ましくはISO 9277:2010に従って決定される、該方法に関する。
【0218】
実施形態(55)から(82)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(83)は、ゼオライトが、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から、好ましくは、FAU、GIS、BEA、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有し、より好ましくは、ゼオライトが、FAU及び/又はBEA骨格構造タイプ、より好ましくはFAU骨格構造タイプを有する、該方法に関する。
【0219】
実施形態(83)を具体化する更なる好ましい実施形態(84)は、ゼオライトが、FAU骨格構造タイプを有し、好ましくは、ゼオライトが、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、[Ga-Si-O]-FAU、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、Li-LSX、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、Na-Y、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトが、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU骨格構造タイプを有するゼオライトが、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである、該方法に関する。
【0220】
実施形態(55)から(84)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(85)は、担体が、ゼオライトを、触媒に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、68~90質量%の範囲、好ましくは74~84質量%の範囲、より好ましくは77~81質量%の範囲の量で含む、該方法に関する。
【0221】
実施形態(55)から(85)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(86)は、担体が、無機担体マトリックスを、触媒に含有されているそれぞれの酸化物YO2及びX2O3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、10~32質量%の範囲、好ましくは16~26質量%の範囲、より好ましくは19~23質量%の範囲の量で含む、該方法に関する。
【0222】
実施形態(55)から(86)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(87)は、(iii)で得られる触媒が、元素として計算して、触媒100質量%に基づいて、0~1質量%、好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%のClを含む、該方法に関する。
【0223】
実施形態(55)から(87)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(88)は、1回以上のイオン交換手順を、25~110℃の範囲、好ましくは50~90℃の範囲、より好ましくは70~85℃の範囲の温度で実施する、該方法に関する。
【0224】
実施形態(55)から(88)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(89)は、担体をイオン交換に供する工程が、触媒の前駆体を、70~150℃の範囲、好ましくは90~130℃の範囲、より好ましくは100~120℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させることを含む、該方法に関する。
【0225】
実施形態(89)を具体化する更なる好ましい実施形態(90)は、ガス雰囲気が、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含み、好ましくは、ガス雰囲気が、酸素、空気、又は希薄空気である、該方法に関する。
【0226】
実施形態(55)から(90)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(91)は、(iii)における焼成を、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲、より好ましくは490~510℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、該方法に関する。
【0227】
実施形態(91)を具体化する更なる好ましい実施形態(92)は、(iii)におけるガス雰囲気が、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含み、好ましくは、(iii)におけるガス雰囲気が、酸素、空気、又は希薄空気である、該方法に関する。
【0228】
本発明の実施形態(93)は、触媒を含む成形物、好ましくは実施形態(34)から(54)のいずれか一つに記載の成形物を製造するための方法であって、方法が、
(a)水と、バインダー又はその前駆体と、実施形態(1)から(33)のいずれか一つに記載の触媒とを含む混合物を調製する工程、
(b)(a)から得られた混合物を成形して、成形物の前駆体を得る工程、
(c)成形物の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、成形物を得る工程
を含む、方法に関する。
【0229】
実施形態(93)を具体化する好ましい実施形態(94)は、バインダーが、無機バインダーからなる群から選択され、好ましくは、バインダーが、金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1つ以上の供給源、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ランタナ、マグネシア、並びにそれらの2つ以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ-アルミナ混合酸化物、シリカ-チタニア混合酸化物、シリカ-ジルコニア混合酸化物、シリカ-ランタナ混合酸化物、シリカ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、アルミナ-チタニア混合酸化物、アルミナ-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-ランタナ混合酸化物、アルミナ-ジルコニア-ランタナ混合酸化物、チタニア-ジルコニア混合酸化物、並びにそれらの2つ以上の混合物及び/又は混合酸化物からなる群から、より好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ混合酸化物、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物の1つ以上の供給源を含み、より好ましくは、バインダーが、1つ以上のシリカ供給源を含み、より好ましくは、バインダーが、1つ以上のシリカ供給源からなり、1つ以上のシリカ供給源が、好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカ-アルミナ、コロイダルシリカ-アルミナ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物、より好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、より好ましくは、1つ以上のバインダーが、ヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカから、より好ましくはコロイダルシリカからなる、該方法に関する。
【0230】
実施形態(93)又は(94)を具体化する更なる好ましい実施形態(95)は、(a)による混合物において、触媒の、シリカバインダー前駆体に含まれるSiO2として計算したSiに対する質量比が、1:1~7:1の範囲、好ましくは3:1~5:1の範囲、より好ましくは3.9:1~4.1:1の範囲にある、該方法に関する。
【0231】
実施形態(93)から(95)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(96)は、(a)による混合物において、触媒の水に対する質量比が、0.5:1~7:1の範囲、好ましくは1:1~3:1の範囲、より好ましくは1.7:1~1.8:1の範囲にある、該方法に関する。
【0232】
実施形態(93)から(96)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(97)は、(a)によって調製された混合物が、1つ以上の粘度調整剤及び/又は形成剤を更に含む、該方法に関する。
【0233】
実施形態(97)を具体化する更なる好ましい実施形態(98)は、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤が、水、アルコール、有機ポリマー、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、好ましくは、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、セルロース誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、有機ポリマーが、より好ましくは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤が、水及びカルボキシメチルセルロースを含む、該方法に関する。
【0234】
実施形態(97)又は(98)を具体化する更なる好ましい実施形態(99)は、(a)によって調製された混合物において、触媒の、1つ以上の粘度調整剤及び/又は細孔形成剤に対する質量比が、10:1~30:1の範囲、好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは19:1~21:1の範囲にある、該方法に関する。
【0235】
実施形態(93)から(99)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(100)は、(a)における混合物の調製が、混錬すること、好ましくはニーダー又はミックスマラー内で混練することを含む、該方法に関する。
【0236】
実施形態(93)から(100)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(101)は、(b)において、成形が、混合物を押し出すことを含む、該方法に関する。
【0237】
実施形態(93)から(101)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(102)は、(b)において、混合物を、ストランドに、好ましくは円形断面を有するストランドに成形する、該方法に関する。
【0238】
実施形態(102)を具体化する更なる好ましい実施形態(103)は、円形断面を有するストランドが、0.2~10mmの範囲、好ましくは0.5~5mmの範囲、より好ましくは1~3mmの範囲、より好ましくは1.5~2.5mmの範囲、より好ましくは1.9~2.1mmの範囲の直径を有する、該方法に関する。
【0239】
実施形態(93)から(103)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(104)は、(b)による成形が、成形物の前駆体をガス雰囲気中で乾燥させることを更に含む、該方法に関する。
【0240】
実施形態(104)を具体化する更なる好ましい実施形態(105)は、乾燥を、80~160℃の範囲、好ましくは100~140℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、該方法に関する。
【0241】
実施形態(104)又は(105)を具体化する更なる好ましい実施形態(106)は、ガス雰囲気が、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含み、好ましくは、ガス雰囲気が、酸素、空気、又は希薄空気である、該方法に関する。
【0242】
実施形態(93)から(106)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(107)は、(c)における焼成を、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲、より好ましくは490~510℃の範囲のガス雰囲気の温度で行う、該方法に関する。
【0243】
実施形態(93)から(107)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(108)は、(c)におけるガス雰囲気が、窒素、酸素、又はそれらの混合物を含み、好ましくは、ガス雰囲気が、酸素、空気、又は希薄空気である、該方法に関する。
【0244】
本発明の実施形態(109)は、塩化水素を塩素に酸化するための方法であって、
(A)実施形態(1)から(33)のいずれか一つに記載の触媒又は実施形態(34)から(54)のいずれか一つに記載の成形物を含む反応域を含む反応器を提供する工程、
(B)反応物ガス流を(A)から得られた反応域に通過させ(反応域に通過させた反応物ガス流が塩化水素及び酸素を含む)、該反応物ガス流を該反応域内で反応条件に供し、生成物流を該反応域から除去する(該生成物流が塩素を含む)、工程
を含む、方法に関する。
【0245】
実施形態(109)を具体化する好ましい実施形態(110)は、(A)において、実施形態(1)から(33)のいずれか一つに記載の触媒又は実施形態(34)から(54)のいずれか一つに記載の成形物が、固定床及び/又は流動床、好ましくは固定床に存在する、該方法に関する。
【0246】
実施形態(109)又は(110)を具体化する更なる好ましい実施形態(111)は、(B)において、反応条件が、300~500℃の範囲、好ましくは360~400℃の範囲、より好ましくは370~390℃の範囲の温度を含む、該方法に関する。
【0247】
実施形態(109)から(111)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(112)は、(B)において、反応条件が、0.05~2MPaの範囲、好ましくは0.1~1.5MPaの範囲、より好ましくは0.15~1MPaの範囲、より好ましくは0.2~0.8MPaの範囲、より好ましくは0.25~0.6MPaの範囲、より好ましくは0.3~0.5MPaの範囲、より好ましくは0.35~0.45MPaの範囲、より好ましくは0.3~0.4MPaの範囲の圧力を含む、該方法に関する。
【0248】
実施形態(109)から(112)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(113)は、(B)において、反応物ガス流中の塩化水素の酸素に対するモル比HCl:O2が、1:1~5:1の範囲、好ましくは1.7:1~2.3:1の範囲、より好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲にある、該方法に関する。
【0249】
実施形態(109)から(113)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(114)は、(B)において、反応物ガス流を、350~550L/(kg*h)の範囲、好ましくは420~480L/(kg*h)の範囲、より好ましくは440~460L/(kg*h)の範囲のガス毎時空間速度を有する塩化水素を含む流れによって供給する、該方法に関する。
【0250】
実施形態(109)から(114)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(115)は、(B)において、反応物ガス流が、反応物ガス流100質量%に基づいて、0.1~2.0質量%、好ましくは0.7~1.3質量%、より好ましくは0.9~1.1質量%のH2Oを含有する、該方法に関する。
【0251】
実施形態(109)から(115)のいずれか一つを具体化する更なる好ましい実施形態(116)は、(B)において、反応物ガス流を、塩化水素を含む流れによって供給し、塩化水素を、1つ以上のイソ及び/又はジイソシアネートとホスゲンとの反応から、好ましくは、メチレンジフェニルイソシアネート及び/又はトルエンジイソシアネートとホスゲンとの反応から得る、該方法に関する。
【実施例】
【0252】
実験項
本発明を以下の実施例及び参照例によって更に説明する。
【0253】
参照例1:全細孔容積の決定
全細孔容積をISO 15901-2:2006に従って決定した。
【0254】
参照例2:微細孔容積の決定
微細孔容積をISO 15901-3:2007に従って決定した。
【0255】
参照例3:吸着平均細孔幅(4V/A)の決定
吸着平均細孔幅(4V/A)をISO 15901-2:2006に従って決定した。
【0256】
参照例4:脱着平均細孔直径(4V/A)の決定
脱着平均細孔直径(4V/A)をDIN 66134:1998-02に従って決定した。
【0257】
(実施例1:触媒の調製)
WO2004/103558A1に従って調製された階層開孔構造(hierarchical open pore architecture)を有する100.0gの担体を、21.85gの硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2
*3H2O)、8.85gの硝酸セリウム六水和物(Ce(NO3)3
*6H2O)、8.4gの硝酸サマリウム六水和物(Sm(NO3)3
*6H2O)、及び8.95gの水酸化カリウム(KNO3)が200mlの蒸留水に溶解した溶液に添加した。混合物を82℃で30分間撹拌し、次いで、60℃に冷却した。その温度で、混合物を蒸発乾固した。得られた固体残渣を、更に110℃で一晩乾燥させ、続いて、500℃で5時間焼成して、108.5gの粉末を得た。得られた粉末のBET表面積を決定したところ、344m2/gであった。
【0258】
出発材料として使用される階層開気孔構造を有する担体は、79%の結晶化度、16.6質量%のAl含有量、0.42質量%のFe含有量、4.3質量%のLa含有量、23.2質量%のSi含有量、及び0.86質量%のTi含有量を有していた。BET表面積は443m2/gであり、Hg多孔度は0.61mL/gであり、担体は、203℃/0.890mmol/g、321℃/0.841mmol/g、及び588℃/0.041mmol/gの対応する酸性部位濃度(Tmax/mmol/g)を有するピークを有するNH3-TPDを示した。
【0259】
(実施例2:触媒を含む成形物の調製)
実施例1に従って調製された触媒の粉末100.0gを、コロイダルシリカ(Ludox AS-40)62.5g及びWalocelバインダー(Wolf Walsrode AG社PUFAS Werk KG社)5.0gと混合し、得られた混合物を10分間混練し、その後、蒸留水20.0mlを添加し、得られた混合物を更に20分間混練した。次いで、混練された混合物を直径2.0mmのストランドに押し出した。次いで、押出物を3℃/minの速度で120℃に加熱し、その温度で5時間保持し、次いで、2℃/minの速度で更に500℃に加熱し、その温度で5時間焼成し、焼成された押出物89.7gを得た。押し出された材料をフィルターにかけ、0.3~0.5mmの範囲の分割された画分を得て、次いで、これを反応器に入れた。BET表面積を決定したところ、289m2/gであった。
【0260】
得られた成形物は、10.5質量%のAl含有量、25.2質量%のSi含有量、4.2質量%のCu含有量、2.0質量%のCe含有量、2.0質量%のSm含有量、3.1質量%のLa含有量、及び2.7質量%のK含有量を有していた。得られた成形物のBET表面積は289m
2/gであり、全細孔容積は0.295cm
3/gであり、微細孔容積は0.10cm
3/gであり、吸着平均細孔幅(4V/A)は4.08であり、脱着平均細孔直径(4V/A)は9.78nmであった。実施例2の成形物のH
2-TPRデータを
図2に示す。
【0261】
(実施例3:触媒試験)
実施例2による押出物を370℃で試験し、100時間の安定した操作の前後で金属組成を分析した。元素分析から、使用済み触媒において9.2質量%のClが示され、これは、他のすべての元素は約9%低減しているが、モル濃度は一定に保たれていることを意味しており、これは、Cuの急速な損失がないことを示す。この理由から、実施例2による押出物の新しい新鮮なサンプルを長期安定性試験(1000時間/380℃、1.4NL/hのHCl、0.52NL/hのN
2、0.7NL/hのO
2)のために選択した。その結果を初期試験(370℃、2.8NL/hのHCl、1.04NL/hのN
2、1.4NL/hのO
2)の結果とともに
図1に示す。したがって、
図1に示される結果から分かるように、本発明による触媒は、塩素ガスにおいて高収率を示すのみならず、更には、かつより重要なことに、長期間にわたって用いられた場合に非常に予想外の安定性を示す。
【0262】
モル比HCl:O2及び空間速度の影響を調べるために、押出物を様々な条件下で更に評価した。6つの異なる条件下での実施例2による押出物の試験及び塩素における得られた収率を以下のtable(表1)に示す:
【0263】
【0264】
これらの結果は、O2吸着がおそらく律速段階であることを示す。更に、O2の分圧が高いほど、大量の塩素化による活性金属の失活が防止されるように思われる。
【0265】
[参考文献]
US4,493,902A
US5,023,220A
US5,395,809A
US5,559,067A
WO2004/103558A1
WO2017/218879A1
WO95/12454A1
EP2418016A1
【手続補正書】
【提出日】2022-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素を塩素に酸化するための触媒であって、
前記触媒が、無機担体マトリックス及びゼオライトを含み、
前記無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含んでいてもよく、
前記ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含んでいてもよく、
Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、
前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに銅及び
サマリウムが充填されており、
前記ゼオライトが前記無機担体マトリックス内に担持されている、触媒。
【請求項2】
前記無機担体マトリックスが、20~250μmの範囲に含まれる質量平均粒子直径D50を有する微小球粒子の形態にあり、前記質量平均粒子直径D50が、ISO 13317-3:2001に従って決定され、ISO 9276-2:2014に従って計算される、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記無機担体マトリックスが、0.1~2.5mL/gの範囲のHg多孔度を示し、前記Hg多孔度が、ISO 15901-1:2016に従って決定される、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記無機担体マトリックスのアンモニア温度プログラム脱着が、
150~270℃の範囲の第1のピーク、及び
270~375℃の範囲の第2のピーク
を示し、
前記第1のピークの積分が、0.3~1.5mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈し、
前記第2のピークの積分が、0.3~1.5mmol/gの範囲の酸性部位濃度を呈する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記触媒が、前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに含まれているYの、前記無機担体マトリックス及び前記ゼオライトに含まれているXに対するモル比を、YO
2:X
2O
3として計算して、0.5:1~10:1の範囲で示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトが、FAU、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、BEA、MEL、MWW、MFS、MFI、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択される骨格構造タイプを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒を含む、成形物。
【請求項8】
前記成形物が、50~600m
2/gの範囲に含まれるBET表面積を示し、前記BET表面積が、ISO 9277:2010に従って決定される、請求項7に記載の成形物。
【請求項9】
前記成形物が、0.2~0.4cm
3/gの範囲に含まれる全細孔容積を示し、前記全細孔容積が、ISO 15901-2:2006に従って決定される、請求項7又は8に記載の成形物。
【請求項10】
前記成形物の銅の充填量が、元素として計算して、かつ前記成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO
2及びX
2O
3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、2~10質量%の範囲にある、請求項7から9のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項11】
前記成形物の希土類金属の充填量が、元素として計算して、かつ前記成形物に含有されているそれぞれの酸化物YO
2及びX
2O
3として計算したY及びXの総量100質量%に基づいて、5~15質量%の範囲にある、請求項7から10のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項12】
前記成形物の水素温度プログラム還元が、
175~225℃の範囲の第1のピーク、及び
175~275℃の範囲の第2のピーク
を示し、
前記第1のピークの積分が、50~250μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈し、
前記第2のピークの積分が、225~600μmol/gの範囲の還元性部位濃度を呈する、
請求項7から11のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の塩化水素を塩素に酸化するための触媒を製造するための方法であって、前記方法が、
(i)無機担体マトリックスとゼオライトとを含む担体を提供し、前記無機担体マトリックスが、Y、Oを含み、かつ任意選択的にXを含んでいてもよく、前記ゼオライトが、その骨格構造にY及びOを含み、かつ任意選択的にその骨格構造にXを含んでいてもよく、Yが、四価元素であり、Xが、三価元素であり、前記ゼオライトが、前記無機担体マトリックス内に担持されている、工程、
(ii)前記担体を、銅との、更には
サマリウムとの1回以上のイオン交換手順に供して、触媒の前駆体を得る工程、
(iii)前記触媒の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、触媒を得る工程
を含む、方法。
【請求項14】
触媒を含む成形物を製造するための方法であって、前記方法が、
(a)水と、バインダー又はその前駆体と、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒とを含む混合物を調製する工程、
(b)(a)から得られた前記混合物を成形して、成形物の前駆体を得る工程、
(c)前記成形物の前駆体をガス雰囲気中で焼成して、成形物を得る工程
を含む、方法。
【請求項15】
塩化水素を塩素に酸化するための方法であって、
(A)請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒又は請求項7から11のいずれか一項に記載の成形物を含む反応域を含む反応器を提供する工程、
(B) 塩化水素及び酸素を含む反応物ガス流を(A)から得られた前記反応域に通過させ、前記反応物ガス流を前記反応域内で反応条件に供し、塩素を含む生成物流を前記反応域から除去する、工程
を含む、方法。
【国際調査報告】