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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】高SPF皮膚クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230726BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q17/04
A61K8/46
A61Q19/10
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022573667
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2021064527
(87)【国際公開番号】W WO2021245018
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】202021023193
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】20185857.8
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バパット,モヒーニ・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ラホルカー,プラフル・グラブ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】トマール,ニキータ
(72)【発明者】
【氏名】バイドヤ,アシシュ・アナント
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB052
4C083AC122
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB01
4C083BB46
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC38
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、身体の局所表面への日焼け止め剤の堆積の増強をもたらすパーソナルクレンジング組成物に関する。組成物は、より具体的には、その中に組み込まれた日焼け止め剤が安定であり、表面への高い堆積に起因して高い日焼け止め指数(Sun Protection Factor:SPF)を提供することを確実にするようなウォッシュオフ組成物を提供する。これは、高界面活性剤含有組成物中の2つの選択された水溶性日焼け止め剤の組合わせによって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の局所表面上の日焼け止め剤の堆積を増強するためのパーソナルクレンジング組成物であって、(a)0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め剤と、
(b)0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め剤と、
(c)3~80重量%の界面活性剤と、
(d)化粧品として許容される担体と、
を含み、
前記水溶性UVA日焼け止め剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びそれらの混合物から選択され、
前記水溶性UVB日焼け止め剤は、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4及びそれらの混合物から選択され、
前記UVA日焼け止め剤及び前記UVB日焼け止め剤の水への溶解度は、25℃で10g/Lより高い、身体の局所表面上の日焼け止め剤の堆積を増強するためのパーソナルクレンジング組成物。
【請求項2】
前記UVB日焼け止め剤が、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.05~4重量%の中和剤を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記中和剤が無機又は有機アルカリである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
10~75重量%の界面活性剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ウォッシュオフ組成物から身体の局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法であって、
(a)前記表面を、好ましくは水で希釈された、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物で洗浄する工程と、
(b)前記表面を水ですすぐ工程と、
を含み、
前記日焼け止め指数は少なくとも8である、ウォッシュオフ組成物から身体の局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法。
【請求項7】
少なくとも8の日焼け止め指数を得るための、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の局所表面への日焼け止め剤の堆積の増強をもたらすパーソナルクレンジング組成物に関する。組成物は、より具体的には、その中に組み込まれた日焼け止め剤が安定であり、皮膚への高い堆積に起因して高い日焼け止め指数(Sun Protection Factor:SPF)を提供することを確実にするようなウォッシュオフ組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
太陽照射は、約5%の紫外線(UV)照射を含み、その波長は200nm~400nmである。それは更に、320~400nm(UVA)、290~320nm(UVB)及び200~290nm(UVC)の3つの領域に分類される。UVA及びUVB照射への短期間の曝露は、皮膚の発赤及び局所的な刺激を引き起こすことが知られている。継続的かつ長期の曝露は、日焼け、黒色腫及びしわの形成をもたらし得る。UV照射は毛髪に著しい損傷を引き起こすことも報告されている。したがって、人々は、UVA及びUVB照射の両方の有害な影響から皮膚及び毛髪を保護することを望む。
【0003】
UV照射の有害な影響から皮膚を防止及び/又は保護するために、クリーム、ローション又はゲルとして皮膚上に適用することができる様々な化粧品が報告されている。これらの化粧品組成物は、通常、異なる種類の有機日焼け止め剤、特に太陽光線に存在するUVA及び/又はUVB照射を吸収することができるものを含む。したがって、UVA及びUVB日焼け止め剤の両方は、通常、UV照射の全範囲にわたって保護を提供するように組み込まれる。そのようなリーブオン組成物は、人が屋外に行く前に皮膚に適用され、人が次の洗浄をするまでその上に残る。リーブオン組成物の問題は、人が外出する前にしばらく時間をかけて製品を皮膚に適用しなければならないことである。時間がかかることに加えて、リーブオン組成物は、一般に、クリーム、ローション又はゲルを通して送達される。一部の人は、製品の感覚特性が皮膚に適用されることを好まない場合がある。日焼け止め剤を皮膚に適用する別の方法は、日焼け止め剤が皮膚洗浄製品に組み込まれ、洗浄プロセスと同時に皮膚に送達される、石鹸、洗顔料又はボディウォッシュ製品のようなウォッシュオフ製品によるものである。しかしながら、ウォッシュオフ製品の主な目的が皮膚表面から汚れ及び油を除去することである場合、日焼け止め剤を皮膚に送達することは極めて困難な課題であり、それと共に、ウォッシュオフ製品中の活性物質も洗い流される可能性が高い。したがって、ウォッシュオフ製品を介した活性物質の堆積の増強は、継続的な課題である。
【0004】
本発明者らは、利用可能な日焼け止め剤の性質を理解する長年の経験を有し、界面活性剤系の界面科学の知識及び広範な実験により、ウォッシュオフ製品によって皮膚に高SPFを送達することを通してUV保護を送達する問題に対する解決策を見出す。
【0005】
欧州特許第1261688号明細書(Unilever,2001)は、良好な泡立ち(すなわち、より「油性」の日焼け止め剤を含む組成物と比較して、経時的に泡立ち劣化が最小限である)を維持しながら、高レベルの日焼け止め剤(SPF>2)を堆積させるパーソナルウォッシュ組成物を開示している。増強された堆積は、棒状組成物及び液体組成物の両方から見出され、使用される日焼け止め剤の溶解性又は非溶解性に基づく。
【0006】
本発明者らは、先行技術に開示された発明で達成できるSPFには限界があることを見出した。先行技術で教示されるようなより多量の日焼け止め剤の組込みは、堆積効力及びそれにより達成されるSPFのいかなる向上ももたらさなかった。
【0007】
本発明により、2つの異なるタイプの日焼け止め剤(一方は主にUVA保護を提供し、他方は主にUVB保護を提供する)を組み合わせて、向上した、更には相乗的なSPF利益を得ることが必要であることが決定された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1261688号明細書
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、先行技術の少なくともいくつかの欠点を取り除き、既知の技術と比較して増強されたSPFを送達するパーソナルクレンジング組成物を提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、身体の局所表面上の日焼け止め剤の堆積を増強するためのパーソナルクレンジング組成物が提供され、当該組成物は、
(a)0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め剤と、
(b)0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め剤と、
(c)3~80重量%の界面活性剤と、
(d)化粧品として許容される担体と、
を含み、
水溶性UVA日焼け止め剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びそれらの混合物から選択され、
水溶性UVB日焼け止め剤は、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4及びそれらの混合物から選択され、
当該UVA日焼け止め剤及び当該UVB日焼け止め剤の水への溶解度は、25℃で10g/Lより高い。
【0011】
本発明の第2の態様は、ウォッシュオフ組成物から局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法に関し、当該方法は、
(a)好ましくは水で希釈された、第1の態様の組成物で表面を洗浄する工程と、
(b)当該表面を水ですすぐ工程と、
を含み、
日焼け止め指数は少なくとも8である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これら及び他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者には明らかになるであろう。誤解を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程又は選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。特に明記しない限り、本明細書で使用される量は、組成物の総重量に基づく重量パーセントで表され、「重量%」と略される。
【0013】
操作例及び比較例、又は他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/又は使用を示す本明細書及び特許請求の範囲の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解される。「x~y」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記載されている場合、異なる終点を組み合わせた全ての範囲も企図されることが理解される。
【0014】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性又は冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして特許請求の範囲に見られる全ての実施形態を網羅すると見なされるべきである。本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して特徴が開示されている場合、そのような開示は、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)にも適用されると考えられるべきである。
【0015】
本明細書で使用される「パーソナルクレンジング組成物」とは、哺乳動物、特にヒトの局所表面を洗浄するための組成物を含むことを意味する。この組成物は、身体の露光部での使用に特に有用である。そのような組成物は、一般に、組成物が、表面を洗浄して油及び汚れを含まないようにするのに役立つことが知られている界面活性剤を多く含むことを意味するリンスオフタイプである。組成物は、一般に、皮膚、頭皮又は毛髪に適用される時に水で希釈することによって使用され、その後、消費者は、表面の汚れ及び油が界面活性剤溶液のミセルに確実に可溶化されるように泡を立ち上げ、次いで、表面が組成物を実質的に含まないようにするために、多量の水で身体をすすぐ。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、ゲル、シャンプー、コンディショナー又は棒状石鹸の形態であり得る。本明細書で使用される「皮膚」は、顔及び身体(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部及び頭皮)、特にその太陽に露出した部分の皮膚を含むことを意味する。本発明の組成物はまた、皮膚以外の人体の任意の他のケラチン性基質(例えば、頭皮及び毛髪)への適用にも関連し、製品は、UV保護を提供することを特に目的として製剤化され得る。本発明の特有の利点は、組成物中の界面活性剤が皮膚表面の汚れ及び油と共に洗浄及びすすぎプロセス中に実質的に除去されるが、驚くべきことに、日焼け止め剤の特定の組合わせが、それらがリンスオフ製品から一般に予想されるよりもはるかに高い量で堆積することを確実にすることが観察されたことである。増強された堆積は、高い日焼け止め指数(SPF)をもたらす。本発明による高SPFとは、8より高い、好ましくは10より高いSPFを有する組成物を意味する。本発明におけるSPFは、透過率測定技術を用いて測定される。
【0016】
本発明は、水溶性UVA日焼け止め剤、水溶性UVB日焼け止め剤、3~80重量%の界面活性剤、及び化粧品として許容される担体を含む、皮膚への日焼け止め剤の増強された堆積のパーソナルクレンジング組成物に関する。水溶性日焼け止め剤とは、UVA型であろうとUVB型であろうと、日焼け止め剤の水への溶解度が25℃で10g/L超、好ましくは50g/L超であることを意味する。
【0017】
本発明で使用するための水溶性UVB日焼け止め剤は、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA)、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、水溶性UVB日焼け止め剤はPBSAである。
【0018】
PBSAは、以下の化学構造を有する。
【化1】
【0019】
2-フェニルベンズイミダゾール5-スルホン酸
エンスリゾールとしても知られているPBSAは、Eusolex232(Merck KGaA)として市販されている。PBSAは、Neo Heliopan Hydro(Symrise製)、Parsol HS(DSM製)及びSunsafe ES(Uniproma製)の商品名でも入手可能である。
【0020】
ベンジリデンカンファースルホン酸は、以下の化学構造を有する。
【化2】
【0021】
ベンゾフェノン-4(スリソベンゾン)は、以下の化学構造を有する。
【化3】
【0022】
ベンゾフェノン-4は、UVAスクリーニング有効性及びUVBスクリーニング有効性の両方を提供することが知られている。しかしながら、本発明の目的のために、ベンゾフェノン-4は、UVB水溶性日焼け止め剤として使用される。
【0023】
本発明で使用するための水溶性UVA日焼け止め剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(Neoheliopan AP)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(TDSA)及びそれらの混合物から選択される。
【0024】
ビスジスリゾール二ナトリウムとしても知られるフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムは、以下に示す化学構造を有する。
【化4】
【0025】
これは、Neo heliopan AP(Symrise Shanghai Ltd製)又はSunsafe DPDT(Uniproma製)として市販されている。
【0026】
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(TDSA)は、以下の構造を有する。
【化5】
【0027】
これは、Ecamsuleとしても知られている。これは、L’ OrealによるMexoryl SX(US4585597)又はSunsafe TDSA(Uniproma製)として市販されている。これは、所望の利益をもたらすための親酸又はその塩として使用することができる。
【0028】
組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.25~8重量%、より好ましくは0.5~5重量%の水溶性UVA日焼け止め剤を含む。組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.25~8重量%、より好ましくは0.5~5重量%の水溶性UVB日焼け止め剤を含む。
【0029】
本発明の組成物に含めるための水溶性日焼け止め剤は、一般に酸形態で市販されている。酸形態(予備中和形態)、すなわちスルホン酸基(-SOH)を有する組成物に含まれる場合、組成物は、酸形態を塩形態に変換する中和剤を更に含み、その形態では、中和の有無にかかわらず日焼け止め剤として作用することができるMexoryl SXを除いて、日焼け止め剤として活性であることが知られている。含まれる場合、中和剤は、好ましくは組成物中に0.05~4重量%の量で含まれる。中和剤としては、無機アルカリ又は有機アルカリが好ましい。有機アルカリとしては、トリエタノールアミン又はジエタノールアミン等のアミンが好ましい。本発明者らは、無機アルカリが特に好ましいことを観察した。アルカリ金属水酸化物が好ましい。本発明の組成物中に中和剤として含めるための最も好ましい金属水酸化物は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
【0030】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、UVB日焼け止め剤のみを単独で添加しても完全な紅斑保護はもたらされず、UV保護及び単一の水溶性UVB日焼け止め活性物質の堆積は皮膚表面上の1つの濃度点で飽和し得るが、すすぎ水と洗浄表面との間のそれらの分配を決定するそれらの構造及び溶解度によって選択される日焼け止めの選択された組合わせによってこの制限を超えることができ、より高い日焼け止め堆積及びSPFの利益の向上をもたらすと考えている。
【0031】
本発明の組成物は、洗浄作用を補助する界面活性剤を含む。洗浄を可能にするために、界面活性剤は、組成物中に3~80重量%、好ましくは6~80重量%、更により好ましくは10~75重量%で含まれる。
【0032】
皮膚クレンジング組成物
界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤、例えばアルキルスルファート及び/又はエトキシル化アルキルスルファート界面活性剤である。これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物中に1~20重量%、好ましくは2~16重量%、更により好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。好ましいアルキルスルファートは、C8-18アルキルスルファート、より好ましくはC12-18アルキルスルファートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウム等の可溶化カチオンとの塩の形態である。好ましいアルキルエーテルスルファートは、式:RO(CHCHO)SO-3Mを有するものであり、式中、Rは、8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり、nは、少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウム等の可溶化カチオンである。一例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するSLESが特に好ましい。組成物は、化粧品として許容され、局所適用に適した1つ又は複数の更なるアニオン性クレンジング界面活性剤を含んでもよい。
【0033】
本発明の組成物は、好ましくは両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタイン(CAPB)を更に含む。好ましい実施形態では、組成物は0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0034】
SLES及びCAPBは、シャンプー及びボディウォッシュ組成物に使用するために組み合わされることが多い。あるいは、組成物は、棒状石鹸又は液体石鹸ボディウォッシュとして配合されてもよい。
【0035】
石鹸は、本発明の組成物のパーソナル洗浄用途に適した界面活性剤である。石鹸は、好ましくはC8-C24石鹸、より好ましくはC10-C20石鹸、最も好ましくはC12-C16石鹸である。石鹸は、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合又は三重結合を有していても、有していなくてもよい。石鹸のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであってもよい。好ましくは、石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムから選択される。より好ましくは、石鹸のカチオンはナトリウム又はカリウムである。
【0036】
石鹸は、脂肪及び/又は脂肪酸を鹸化することによって得ることができる。石鹸製造に一般的に使用される脂肪又は油は、獣脂、獣脂ステアリン、パーム油、パームステアリン、ダイズ油、魚油、ヒマシ油、米ぬか油、ヒマワリ油、ココナッツ油、ババス油、パーム核油等であり得る。上記のプロセスにおいて、脂肪酸は、ココナッツ、米ぬか、落花生、獣脂、パーム、パーム核、綿実、ダイズ、カストリウム等から選択される油/脂肪に由来する。
【0037】
典型的な脂肪酸ブレンドは、5~30%のココナッツ脂肪酸及び70~95%の脂肪酸硬化米ぬか油からなっていた。落花生、ダイズ、獣脂、パーム、パーム核等の他の適切な油/脂肪に由来する脂肪酸もまた、他の所望の割合で使用され得る。最も好ましい石鹸はラウリン酸石鹸である。石鹸は、本発明の固体形態で存在する場合、30~90重量%、好ましくは50~85重量%、より好ましくは55~75重量%の量で存在する。石鹸は、組成物の液体形態で存在する場合、0.5~20重量%、好ましくは1~10重量%で存在する。
【0038】
あるいは、界面活性剤は、1~8個のエチレンオキシドを含む、C8-C22、好ましくはC8-C16脂肪アルコールエトキシレート等の非イオン性界面活性剤であり、界面活性剤は、好ましくは、第一級アルキルスルファート、第二級アルキルスルホナート、アルキルベンゼンスルホナート、又はエトキシル化アルキルスルファートから選択される。アルキルポリグルコシド、好ましくはC6-C16の炭素鎖長を有するアルキルポリグルコシドも組成物中に存在し得る。洗浄用途の液体形態における適切な界面活性剤濃度は、一般に、0.5重量%超30重量%未満、好ましくは1~20重量%である。固体組成物において、界面活性剤は、好ましくは30~80重量%、好ましくは50~80重量%で存在する。
【0039】
本発明の組成物は、化粧品として許容される担体を含む。化粧品として許容される担体は、好ましくは化粧品として許容されるアジュバントの水溶液/分散液である。水は、一般に、本発明の組成物に含まれる。組成物が固形形態、例えば棒状石鹸の形態である場合、水の量は14~25重量%、好ましくは15~22重量%の範囲である。組成物が液体、エマルジョン又はゲル形態で製剤化される場合、含水量は、一般に50~95重量%の範囲、好ましくは60~85重量%の範囲である。
【0040】
本発明の皮膚クレンジング組成物の化粧品として許容される担体を構成するために使用され得る更なるアジュバントを以下に記載する。
【0041】
棒状石鹸組成物として作製される場合、棒状石鹸組成物は、2重量%~15重量%、好ましくは4重量%~12重量%の遊離脂肪酸を含んでいてもよい。遊離脂肪酸とは、Hに結合した炭化水素鎖及び末端カルボキシル基を含むカルボン酸を意味する。適切な脂肪酸はC8-C22脂肪酸である。好ましい脂肪酸は、C12-C18、好ましくは主に飽和直鎖脂肪酸である。しかしながら、12-ヒドロキシステアリン酸等のいくつかの不飽和脂肪酸又はヒドロキシル化飽和脂肪酸も使用することができる。
【0042】
棒状石鹸の形態では、組成物は一般に電解質を含む。本発明による電解質は、水中でイオンに実質的に解離する化合物を含む。石鹸製造プロセスに含めるのに適した電解質は、アルカリ金属塩である。好ましいアルカリ金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム及びアルカリ土類金属の他のモノ又はジ又はトリ塩が挙げられ、より好ましい電解質は塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウムであり、特に好ましい電解質は塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又はそれらの組合わせである。電解質は、好ましくは0.1~6重量%、より好ましくは0.5~6重量%、更により好ましくは0.5~5重量%、更により好ましくは0.5~3重量%、最も好ましくは1~3重量%の量で組成物中に含まれる。
【0043】
組成物は、好ましくは、多価アルコール(ポリオールとも呼ばれる)又はポリオールの混合物を含む。ポリオールは、高度に水溶性である複数のヒドロキシル基(少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ)を有する化合物を示すために本明細書で使用される用語である。グリセロール及びプロピレングリコール;ソルビトール、マンニトール、スクロース及びグルコース等の糖;加水分解デンプン、デキストリン及びマルトデキストリン等の修飾炭水化物、並びにポリアルキレングリコール、例えばポリオキシエチレングリコール(PEG)及びポリオキシプロピレングリコール(PPG)等のポリマー合成ポリオール等の比較的低分子量の短鎖ポリヒドロキシ化合物を含む多くの種類のポリオールが利用可能である。特に好ましいポリオールは、グリセロール、ソルビトール及びそれらの混合物である。最も好ましいポリオールはグリセロールである。好ましい実施形態において、本発明の棒状物は、0~8重量%、好ましくは1~7.5重量%のポリオールを含む。
【0044】
使用され得る適切なデンプン質材料としては、天然デンプン(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、タピオカ等から)、アルファ化デンプン、様々な物理的及び化学的に修飾されたデンプン及びそれらの混合物が挙げられる。天然デンプンという用語は、化学的又は物理的修飾を受けていないデンプンを意味し、生デンプン又は天然デンプンとしても知られる。生デンプンは、デンプンが部分的に又は完全にα化されるように、棒組成物を製造するプロセス中に直接又は修飾して使用され得る。
【0045】
アジュバント系は、材料の1つ又は組合わせを含む不溶性粒子を含んでいてもよい。不溶性粒子とは、固体粒子形態で存在し、個人の洗浄に適した材料を意味する。好ましくは、鉱物(例えば、無機)又は有機粒子が存在する。
【0046】
不溶性粒子は、不揃い又は顆粒状として知覚されるべきではなく、したがって、300μm未満、より好ましくは100μm未満、最も好ましくは50μm未満の粒径を有するべきである。
【0047】
好ましい無機粒状材料としては、タルク及び炭酸カルシウムが挙げられる。タルクは、層状シリケート構造及びMgSi(OH)22の組成を有するケイ酸マグネシウム鉱物材料であり、水和形態で入手可能であり得る。これは板状の形態を有し、本質的に親油性/疎水性であり、すなわち水ではなく油で濡れる。
【0048】
炭酸カルシウム又はチョークは、カルサイト、アラゴナイト及びバテライトの3つの結晶形態で存在する。方解石の天然の形態は、アラゴナイトについては菱面体又は立方状、針状又は樹状であり、バテライトについては楕円体である。
【0049】
他の任意選択の不溶性無機粒状材料の例としては、アルミナート、シリケート、ホスファート、不溶性スルファート、ボラート及び粘土(例えば、カオリン、陶土)並びにそれらの組合わせが挙げられる。
【0050】
有機粒状材料としては、不溶性多糖類、例えば高度に架橋された又は不溶化されたデンプン(例えば、コハク酸オクチル等の疎水性物質との反応によって)及びセルロース、種々のポリマー格子及び懸濁ポリマー等の合成ポリマー;不溶性石鹸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物はポリマーを含むことが好ましい。アクリラートクラスのポリマーが特に好ましい。好ましい棒状物は、0.05~5重量%のアクリラートを含む。より好ましい棒状物は、0.01~3重量%のアクリラートを含む。アクリラートポリマーの例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,798,053号に記載されているような、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマー及びコポリマーが挙げられる。他の例としては、ポリアクリラート、アクリラートコポリマー又はアルカリ膨潤性エマルジョンアクリラートコポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性コポリマー、及びアクリル酸の架橋ホモポリマーが挙げられる。このような市販のポリマーの例は、ACULYN(登録商標)、CARBOPOL(登録商標)、及びCARBOPOL(登録商標)Ultrezグレードシリーズである。
【0052】
棒状組成物は、好ましくは0.1~25重量%、好ましくは5~15重量%のこれらの鉱物又は有機粒子を含む。
【0053】
乳白剤が、パーソナルケア組成物中に存在していてもよい。乳白剤が存在する場合、クレンジング棒状物は一般に不透明である。乳白剤の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。不透明な石鹸組成物が望まれる場合に使用することができる特に好ましい乳白剤は、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム中20%溶液の形態のエチレングリコールモノ-又はジ-ステアラートである。代替の乳白剤はステアリン酸亜鉛である。
【0054】
製品は、無色透明な、すなわち透明な石鹸の形態をとることができ、この場合、乳白剤を含まない。
【0055】
本発明の好ましい棒状石鹸のpHは8~11、より好ましくは9~11である。一般に合成界面活性剤を含む液体形態の生成物は、好ましくは6~8のpHを有する。
【0056】
好ましい組成物は、最大30重量%の有益剤を更に含み得る。好ましい有益剤には、保湿剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤及び老化防止化合物が含まれる。薬剤は、棒状物を作製するプロセス中の適切な工程で添加され得る。いくつかの有益剤は、マクロドメインとして導入され得る。
【0057】
酸化防止剤、香料、ポリマー、キレート剤、着色剤、デオドラント、染料、酵素、泡ブースタ、殺菌剤、抗菌剤、泡立ち剤、真珠光沢剤、皮膚コンディショナー、安定剤又は過脂肪剤のような他の任意の成分を、本発明のプロセスにおいて適切な量で添加してもよい。好ましくは、成分は鹸化工程の後に添加される。メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホウ砂又はエチレンヒドロキシジホスホン酸(EHDP)を組成物に添加することが好ましい。
【0058】
本発明の組成物は、抗菌効果をもたらすために使用することができる。この利点をもたらすために好ましく含まれる抗菌剤には、微量作用金属又はその化合物が挙げられる。好ましい金属は、銀、銅、亜鉛、金又はアルミニウムである。銀が特に好ましい。イオン形態では、それは塩又は任意の適用可能な酸化状態の任意の化合物として存在し得る。好ましい銀化合物は、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀又はリン酸銀であり、酸化銀、硫酸銀及びクエン酸銀は、1つ又は複数の実施形態において特に関心対象である。少なくとも1つの好ましい実施形態では、銀化合物は酸化銀である。微量作用金属又はその化合物は、好ましくは組成物中に0.0001~2重量%、好ましくは0.001~1重量%で含まれる。あるいは、精油抗菌活性物質が本発明の組成物に含まれてもよい。含まれ得る好ましい精油活性物質は、テルピネオール、チモール、カルバコール、(E)-2(プロパ-1-エニル)フェノール、2-プロピルフェノール、4-ペンチルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、2-ベンジルフェノール、オイゲノール又はそれらの組合わせである。更により好ましい精油活性物質は、テルピネオール、チモール、カルバクロール又はチモールであり、最も好ましくはテルピネオール又はチモールであり、理想的には2つの組合わせである。精油活性物質は、好ましくは組成物中に0.001~1重量%、好ましくは0.01~0.5重量%で含まれる。
【0059】
ヘアケア組成物:シャンプー及びコンディショナー:
本発明の別の態様によれば、組成物は、ヘアケアのために使用され得る。毛髪洗浄及びケアのための1つの媒体はシャンプーである。本発明のシャンプー組成物は、一般に、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルスルファート及び/又はエトキシル化アルキルスルファート界面活性剤と共に製剤化される。これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは、組成物中に1~20重量%、好ましくは2~16重量%、更により好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。好ましいアルキルスルファートは、C8-18アルキルスルファート、より好ましくはC12-18アルキルスルファートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウム等の可溶化カチオンとの塩の形態である。
【0060】
好ましいアルキルエーテルスルファートは、式:RO(CHCHO)SO-3Mを有するものであり、
式中、Rは、8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり、nは、少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウム等の可溶化カチオンである。一例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0061】
好ましいエトキシル化アルキルスルファートアニオン性界面活性剤は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するSLESが特に好ましい。
【0062】
本発明によるシャンプー組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した1つ又は複数の更なるアニオン性クレンジング界面活性剤を含んでもよい。
【0063】
本発明の組成物は、好ましくは両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインを更に含む。好ましい実施形態では、組成物は0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0064】
本発明の組成物、特にシャンプーからの活性物質の堆積を増強するために、カチオン性ポリマーが一般に含まれる。本発明においても、組成物は、カチオン性ポリマーを更に0.01~2.0重量%で含むことが好ましい。カチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、主にガラクトマンナンポリマー鎖を含有する。このポリマーは、グアーがどの程度加水分解及びカチオン化されているかに応じて、様々な分子量及びカチオン置換度で利用可能である。カチオン性ポリマーは、好ましくは組成物中に0.04から0.5重量%、より好ましくは0.08から0.25重量%で存在する。
【0065】
コンディショニング効果が本発明の組成物を介してもたらされる場合、組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。典型的には、ヘアケア組成物に使用される最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油等の水不溶性油性材料、トリグリセリド及びシリコーンポリマー等の天然に存在する油である。コンディショニングの利点は、油性材料が毛髪上に堆積されてフィルムを形成することによって達成され、これにより、濡れている時に毛髪を梳きやすくし、乾燥している時に毛髪をより扱いやすくする。特に有用なコンディショニング剤は、シリコーン化合物、好ましくは不揮発性シリコーン化合物である。有利には、本明細書の組成物は、1つ又は複数のシリコーンを含み得る。シリコーンは、分散又は懸濁粒子形態で見られるコンディショニング剤である。それらは、水で毛髪をすすいだ後に残って毛髪上に堆積することを意図している。適切なシリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物が挙げられ得る。アミノシリコーンは、しばしばシャンプー組成物と配合される。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン又は第四級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用な種類は、ジメチコン/ビニル/ジメチコンクロスポリマー(例えば、Dow Corning 9040及び9041)等の架橋シリコーンエラストマーである。
【0066】
存在する組成物中のシリコーンの量は、ヘアケア組成物中、約0.1~約10重量%、好ましくは約0.1~約8重量%、より好ましくは約0.3~約5重量%の範囲であり得る。
【0067】
組成物のpHは、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0~7.0の範囲である。
【0068】
ヘアコンディショニング組成物は、通常、単独で又は混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。本発明によるコンディショナー組成物に使用するのに適したカチオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド(例えば、Akzo Nobel製のArquad 2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリド及びそれらの対応する水酸化物が挙げられる。更に好適なカチオン性界面活性剤としては、CTFA名称クオタニウム-5、クオタニウム-31及びクオタニウム-18を有する材料が挙げられる。前述の材料のいずれかの混合物も適切であり得る。本発明によるコンディショナーに使用するのに特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーに使用するための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドであり、例えばClariantからGENAMIN KDMPとして市販されている。更に別の好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0069】
組成物に使用するための最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリド、又はステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーにおいて、カチオン性界面活性剤のレベルは、一般に、0.1~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%の範囲である。
【0070】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは脂肪アルコールを更に含んでもよい。コンディショニング組成物における脂肪アルコール及びカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散されたラメラ相の形成をもたらすため、特に有利であると考えられる。
【0071】
ヘアケア組成物は、シャンプー又はコンディショナーとして送達されるかどうかにかかわらず、通常、フケ防止剤を含む。本発明の組成物に使用するための最も好ましいフケ防止剤は、亜鉛系フケ防止剤、好ましくは亜鉛ピリチオンである。本発明によるシャンプー組成物は、好ましくは追加的又は代替的に、コナゾール殺真菌剤を含む。好ましくは、コナゾール殺真菌剤は、ケトコナゾール、クリンバゾール又はそれらの混合物から選択される。アゾール殺菌剤は、好ましくは組成物中に0.01~2重量%、より好ましくは0.025~0.75重量%で含まれる。コナゾール殺真菌剤の存在は、亜鉛ピリチオンの堆積を改善すると考えられている。
【0072】
本発明はまた、ウォッシュオフ組成物から身体の局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法に関し、
(a)好ましくは水で希釈された、第1の態様の組成物で表面を洗浄する工程と、
(b)表面を水ですすぐ工程と、
を含み、
日焼け止め指数は少なくとも8である。
【0073】
好ましくは、この方法によって得られる日焼け止め指数は、少なくとも10である。
【0074】
希釈する場合、組成物の1倍~20倍量の水を用いてもよい。その後、表面を大量の水を使用してすすぎ、組成物中に界面活性剤を実質的に含まないようにしてもよい。
【0075】
第3の態様において、本発明はまた、少なくとも8、好ましくは少なくとも10の日焼け止め指数を得るための組成物の使用に関する。
【0076】
ここで、以下の非限定的な例の助けを借りて本発明を実証する。
【0077】
[実施例]
[例A~C、1、2]
相乗的SPF利益を提供するための本発明による日焼け止め剤の相互作用。
【0078】
以下の表-1に示す組成物を調製した。組成物のインビトロSPFを、以下に示す手順を用いて測定した。
【0079】
表-1に示す希釈組成物を湿潤前のビトロスキン(vitro skin)に適用した。次いで、これらのビトロスキンサンプルを製品適用直後にすすぎ落とし、乾燥のために暗室に保った。乾燥後、ビトロスキンサンプルをUV光に曝露し、Labsphere UV-2000S紫外線透過率分析器を使用して透過率スキャンを記録した。このスキャンは、所与の試料について波長(290-400nm)に応じた透過率を与える。単一のビトロスキンサンプルについて、4つの異なるスポットをスキャンした。同じことを3つのビトロスキンサンプルについて繰り返した。したがって、報告されるデータは、12回の読取りの平均である。対照としてグリセリンを広げたブランクのビトロスキンを使用して、参照透過率スキャンを得た。透過率値を使用して、機器に付属のソフトウェアを使用してSPF値に到達した。
【0080】
3つのビトロスキン試料にわたって測定された12回の読取りの平均として得られたSPF値を以下の表-1に示す。
【表1】
【0081】
上記の表-1のデータは、本発明による組成物(例1及び2)が、個々の成分単独(例A~C)によって示されるものを超える相乗的SPF値を提供することを示している。
【0082】
[例D、3]
本発明以外の組成物と比較した本発明による%UV保護
以下の表-2に示す組成物を調製した。%UV保護は、以下の手順を使用してその中の組成物について測定した。
【0083】
組成物を水で希釈し、次いで、湿潤前のビトロスキンに適用した。次いで、ビトロスキンを製品適用直後にすすぎ落とし、暗所で乾燥させるために維持した。乾燥後、ビトロスキンをUV光に曝露し、透過率スキャンを記録した。このスキャンは、所与の試料について波長(290-400nm)に応じた透過率を与える。単一のビトロスキンサンプルについて、4つの異なるスポットをスキャンした。同じことを3つのビトロスキンサンプルについて繰り返した。したがって、報告されるデータは、12回の読取りの平均である。対照としてグリセリンを広げたブランクのビトロスキンを使用して、参照透過率スキャンを得た。透過率値は、UV-2000S紫外線透過率分析器を使用して記録し、透過率データは、装置に付属のUV-2000Sアプリケーションソフトウェアを使用して抽出した。
【0084】
保護率の計算:
各ビトロスキンサンプルの保護率は、曲線下面積計算法(台形方程式を使用)によって計算した。
【表2】
【0085】
上記の表-2のデータは、UVAタイプの水溶性日焼け止め剤及びUVBタイプの水溶性日焼け止め剤の両方を含む本発明による組成物(例-3)が、同じ総日焼け止め濃度で、1つのタイプの水溶性日焼け止め剤のみを含む組成物(例-D)よりもはるかに優れていることを確認している。
【0086】
例E、F:ベンゾフェノン-4を唯一の日焼け止め剤として使用して得られたSPF
下記の表-3に示される組成物のSPFを、上記の表-1の例について記載されるように測定した。
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の局所表面上の日焼け止め剤の堆積を増強するためのパーソナルクレンジング組成物であって、(a)0.1~10重量%の水溶性UVA日焼け止め剤と、
(b)0.1~10重量%の水溶性UVB日焼け止め剤と、
(c)3~80重量%の界面活性剤と、
(d)化粧品として許容される担体と、
を含み、
前記水溶性UVA日焼け止め剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びそれらの混合物から選択され、
前記水溶性UVB日焼け止め剤は、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-4及びそれらの混合物から選択され、
前記UVA日焼け止め剤及び前記UVB日焼け止め剤の水への溶解度は、25℃で10g/Lより高い、身体の局所表面上の日焼け止め剤の堆積を増強するためのパーソナルクレンジング組成物。
【請求項2】
前記UVB日焼け止め剤が、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.05~4重量%の中和剤を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記中和剤が無機又は有機アルカリである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
10~75重量%の界面活性剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ウォッシュオフ組成物から身体の局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法であって、
(a)前記表面を、好ましくは水で希釈された、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物で洗浄する工程と、
(b)前記表面を水ですすぐ工程と、
を含み、
前記日焼け止め指数は少なくとも8である、ウォッシュオフ組成物から身体の局所表面に改善された日焼け止め指数を提供する方法。
【請求項7】
身体の局所表面に適用した場合に少なくとも8の日焼け止め指数を得るための、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】