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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】悪臭に対処するための抗菌組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230726BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q15/00
A61K8/89
A61P17/00 101
A61P17/10
A61K31/05
A61K31/045
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022576877
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2021064942
(87)【国際公開番号】W WO2021254790
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202021025117
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,アニンディア
(72)【発明者】
【氏名】サジ,マヤ・テレサ
(72)【発明者】
【氏名】サルガオンカー,ネハ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC471
4C083AC472
4C083AD151
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB12
4C083DD08
4C083DD11
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD28
4C083DD31
4C083DD41
4C083DD47
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE14
4C083EE18
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA11
4C206CA17
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA33
4C206MA36
4C206MA37
4C206MA42
4C206MA48
4C206MA54
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA90
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、抗菌組成物に関し、より詳細には、悪臭、特に体臭を防止または治療する方法および組成物に関する。これは、チモールまたはテルピネオールと組み合わせてアルキル置換ジヒドロキシベンゼンを含む組成物によって達成される。組成物はまた、抗座瘡利益を有すると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルキル基が2~10個の炭素原子を含むアルキル置換ジヒドロキシベンゼンと、
(ii)チモールまたはテルピネオールから選択される精油化合物と、
(iii)化粧品として許容される基剤と
を含む抗菌組成物。
【請求項2】
前記アルキル置換ジヒドロキシベンゼンが2~6個の炭素原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルキル置換ジヒドロキシベンゼンが、化学構造:
【化1】
を有するヘキシルレゾルシノールである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がチモールとテルピネオールとの混合物を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の重量基準で0.0005~10%のアルキル置換ジヒドロキシベンゼンを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の重量基準で0.001~5%の精油化合物を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化粧品として許容される基剤が、ゲル、エマルジョン、ローション、ペースト、スプレーまたはクリームを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記化粧品として許容される基剤が、水、界面活性剤またはそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記化粧品として許容される基剤が、無水である、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
スティック形態であるか、ロールオン装置から送達されるか、エアロゾル缶からまたはスプレーとして送達される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
60重量%超のエタノールを含む除菌剤の形態である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物を所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に悪臭低減を提供するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物を所望の皮膚表面に適用したときに抗座瘡利益を提供するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌組成物に関し、より詳細には、特にヒト腋窩に存在する悪臭を予防または治療する方法および組成物に関する。組成物はまた、抗座瘡利益を有すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
ヒトでは、脇の下の皮膚が細菌に固有の適所を提供する。皮膚に開口する様々な腺の分泌物を通して、環境は栄養豊富であり、独特の微生物群の受け皿となる。ヒトでは、腋窩アポクリン腺分泌物、脇の下の細菌および体臭の関連性が確立されて久しい。この関係に関する培養に基づく研究により、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)およびプロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)種が腋窩細菌叢を支配していることが分かった。より最近の培養非依存性研究では、これらの属の存在が確認され、さらに、アナエロコックス(Anaerococcus)およびペプトニフィルス(Peptoniphilus)属に属するグラム陽性嫌気性球菌(GPAC)の存在が示された。これらの研究の主な理由は、腋窩悪臭の原因となる標的細菌種を同定し、それによって、腋窩悪臭低減の利益を提供するためにそれを制御する戦略を設計することであった。
【0003】
人体の匂いはいくつかの化学物質を含むが、最も刺激性で認識可能なのはチオアルコールである。これらの分子は、脇の下に位置する腺で産生される化合物である無臭前駆体から始まる一連の化学反応によって生成される。スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)(S.hominis)と呼ばれる種類の細菌は、これらの分子を取り込み、それらを体に悪臭を与えるチオアルコールに変換するという通説がある。
【0004】
身体の悪臭は、多くの方法で対処されてきた。これらのアプローチのいくつかは、悪臭を隠すための香水の使用であるが、このアプローチは限られた時間しか利益を有さない。制汗組成物も利用可能であるが、それらは汗腺を遮断することにより、汗を通して望ましくない化学物質を排出する機構を身体から奪う。本発明者らは、悪臭の問題を解決しようとして、脇の下領域の細菌集団を制御する方法に取り組んだ。アルコールのような薬剤の使用により、皮膚上の全ての細菌を完全に根絶または最小化することが可能である。
【0005】
しかしながら、本発明者らは、皮膚に対して刺激が少ないより天然の薬剤を使用することを望む。
【0006】
したがって、本発明者らは、悪臭の問題を解決するための「自然な」解決策を提供することに取り組み始めた。本発明者らは、最終的に、特定のアルキル置換ジヒドロキシベンゼンと、チモールおよび/またはテルピネオールのような化合物との組み合わせに行き当たり、これらは相乗的に相互作用して所望の悪臭低減利益を提供する。
【0007】
国際公開第9517159号(P&G、1995年)は、抗プラーク効果を提供するために、カチオン性抗菌剤、非カチオン性抗菌剤および香味剤の組み合わせを含む抗菌剤の効率的な送達のための濃縮マウスリンスを開示している。そのような組成物は、ヘキシルレゾルシノールまたはチモールから選択される非カチオン性抗菌剤に様々な他のそのような薬剤と共に抗菌的利益を提供することが示されているが、そのような組成物がS.ホミニス(S.hominis)のような脇の下臭を引き起こす細菌に対して有効であることは開示されていない。
【0008】
そして、本発明者らは、この組成物が座瘡の対処にも有効であることをさらに見出した。
【0009】
尋常性座瘡としても知られている座瘡は、ほぼ全ての青年および成人が生涯のある時点で罹患する一般的な皮膚状態である。これは、異常な角化、過剰な皮脂産生、アンドロゲン機能、細菌増殖、および免疫過敏症を含む複雑な病因を有する。上記のプロセスの1つまたは複数は座瘡と相関しているが、1つのトリガー因子および座瘡病変の形成をもたらす事象の正確なシーケンスは完全には理解されていない。座瘡に関連している他の因子は、フリーラジカルの存在およびその後の酸化ストレスが細胞損傷をもたらすことである。座瘡は、通常、顔、首および背中のような皮脂腺が豊富な領域で発生することが観察されている。
【0010】
細菌のキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(C.acnes)、以前のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)も座瘡の発生に関与している。これは、ヒトの顔の皮膚表面に存在する重要かつ主要な細菌の1つである。C.アクネス(C.acnes)は、耐気性嫌気性生物であり、増殖が遅い棒状のグラム陽性細菌である。これは脂腺に存在し、皮膚共生微生物叢の重要な部分を構成する。C.アクネスは、周囲の皮膚組織からの皮脂および副生成物をエネルギーおよび栄養素の供給源として使用する。これはいくらかの脂肪酸放出をもたらし、それが毛包壁を刺激し、炎症を誘導し、座瘡または尋常性座瘡をもたらすことがある。尋常性座瘡は、毛嚢脂腺の慢性炎症性障害である。これは、ほぼ全ての青年が、生涯のある時点で罹患し、15~20%が中等度から重度の形態の座瘡に罹患している。
【0011】
座瘡は多くの方法で治療されてきた。ほとんどの治療は、顕著な変化が見られるまでに数週間から数ヶ月を要する。抗菌効果を有する過酸化ベンゾイルは、軽度の面皰に使用されている。非常に重篤な座瘡の場合、テトラサイクリン、エリスロマイシンおよびクリンダマイシンのような抗生物質が使用されてきた。抗生物質は、いくつかの機構によって作用すると考えられており、最も重要なのは、毛包内および毛包周囲の細菌数の減少である。それらはまた、皮脂中の白血球によって産生される刺激性化学物質を減少させ、それによって炎症反応を減少させると考えられている。しかしながら、抗生物質および他の種類の一般的な抗菌治療の欠点は、それらが多目的であり、皮膚上の細菌の大部分を死滅または阻害するのに役立つことである。
【0012】
上記で要約したように、治療のほとんどは合成化学物質の使用を含む。最近では、ますます多くの人々が「自然」または天然と同一の材料の使用を好む。この点においても、例えばレゾルシノール誘導体とチモールまたはテルピネオールから選択される精油との組み合わせを含む本発明は、座瘡の問題に対処または軽減するより自然な方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、身体の悪臭に対処するための抗菌組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、座瘡の発生の防止または低減を確保しながら、身体の悪臭に対処することを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様は、
(i)アルキル基が2~10個の炭素原子を含むアルキル置換ジヒドロキシベンゼンと、
(ii)チモールまたはテルピネオールから選択される精油化合物と、
(iii)化粧品として許容される基剤と
を含む抗菌組成物に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、第1の態様の組成物を所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に悪臭低減を提供するための第1の態様による組成物に関する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、第1の態様の組成物の所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に抗座瘡利益を提供するための第1の態様による組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者には明らかになるであろう。誤解を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「から構成される(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されたステップまたは選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、別段の指示がない限り、全てのパーセンテージは重量/重量パーセンテージである。
【0019】
実施および比較例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量もしくは反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。特に明記しない限り、「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる終点を組み合わせた全ての範囲も企図されることが理解される。
【0020】
本発明による組成物は、局所領域、例えば哺乳動物、特にヒトの皮膚および/または毛髪に選択的悪臭利益を送達するためのリーブオンまたはウォッシュオフ形式の形態であり得る。そのような組成物は、外観、クレンジング、または一般的な審美性も改善するために人体に適用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、無水基剤、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、エマルジョンまたは噴射剤であり得る局所的/化粧品的に許容される基剤と共に送達され得る。本明細書で使用される「皮膚」は、身体の任意の部分(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚、臀部および頭皮)、特に脇の下の皮膚を含むことを意味する。それは、脇の下(もしくは腋窩)または悪臭が発生する身体の任意の他の部分からの悪臭を低減するために特に有用である。所望の抗座瘡利益のために、本発明の組成物は、一般に座瘡に罹患していると見られる身体の任意の部分に適用することができる。そのような表面は、座瘡が形成される顔または身体の任意の他の部分を含む。
【0021】
本発明の抗菌組成物は、アルキル基が2~10個の炭素原子を含むアルキル置換ジヒドロキシベンゼンと、チモールまたはテルピネオールから選択される精油化合物と、化粧品として許容される基剤とを含む。
【0022】
アルキル置換ジヒドロキシベンゼンは、以下に示す一般化学構造(I)を有する。
【化1】
【0023】
式中、RはC~C10アルキル基であり、R~Rの各々はOH基またはHのいずれかであり、
式中、R~Rの少なくとも2つはOHである。RはC~C10アルキル基である。
【0024】
本発明に用いられるより好ましいアルキル置換ジヒドロキシベンゼンの構造は、
【化2】
であり、
式中、RはC~C10アルキル基であり、RおよびRはOHである。RはC~C10アルキル基である。
【0025】
好ましくは、Rは2~10個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子、最も好ましくは2、4または6個の炭素原子を含むアルキル基である。2つのヒドロキシ基は、一般に1位および3位にある。そのような化合物は、しばしば置換レゾルシノールと呼ばれる。したがって、最も好ましい化合物は、エチルレゾルシノール、ブチルレゾルシノールまたはヘキシルレゾルシノールである。4-置換レゾルシノールが最も好ましい。したがって、使用され得るレゾルシノールは、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノールまたは4-ヘキシルレゾルシノールである。本発明での使用に最も好ましい化合物は4-ヘキシルレゾルシノールである。この化合物は、以下に示す構造を有する。
【化3】
【0026】
化合物は、その同義語4-ヘキシルベンゼン-1,3-ジオールおよび4-ヘキシル-1,3-ベンゼンジオールによっても知られている。
【0027】
ヘキシルレゾルシノールは、消毒および局所麻酔特性を示すことが知られている。これは、軽微な皮膚感染症に対する局所適用、疼痛緩和のための経口溶液、および応急処置用消毒剤として使用されてきた。また、スキンケアにおける皮膚光輝剤としても使用されている。化合物はまた、抗酸化特性を有することが知られており、そのため、皮膚に均一な色調の顔色をもたらすためのスキンケア組成物または老化防止製品に使用されてきた。
【0028】
組成物は、好ましくは、組成物の重量基準で0.0005%~10%のアルキル置換ジヒドロキシベンゼンを含む。より好ましくは、組成物の0.001重量%~2重量%の範囲の量で存在する。
【0029】
本発明の組成物は、好ましくはチモールまたはテルピネオールのいずれかを含む。
【0030】
チモールの構造を以下に示す:
【化4】
【0031】
あるいは、組成物はテルピネオールを含んでもよい。テルピネオールは、好ましくは、アルファ-テルピネオール、ベータ-テルピネオール、ガンマ-テルピネオールまたはそれらの混合物から選択される。テルピネオールがアルファ-テルピネオールであることが特に好ましい。
【0032】
テルピネオール化合物の構造を以下に示す:
【化5】
【0033】
化合物チモールおよびテルピネオールは、両方とも精油化合物の種類である。それらは両方とも強い香りを有することが知られており、したがって、香料組成物に使用される。それらは両方とも抗菌活性を有することも知られている。それらは、天然に見出される薬草から抽出されてもよく、または合成的に調製されて本発明で使用されてもよい。本発明では、両方とも合成源から使用される。精油化合物は、組成物の重量の0.001%~5%、好ましくは0.005%~1%、さらに好ましくは0.005%~0.5%で含まれる。
【0034】
本発明の特に好ましい態様によれば、組成物はチモールとテルピネオールの混合物を含む。本発明の組成物に含まれていてもよい他の精油化合物は、カルバコール、(E)-2(プロパ-1-エニル)フェノール、2-プロピルフェノール、4-ペンチルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、2-ベンジルフェノール、オイゲノールまたはそれらの組み合わせである。
【0035】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、本発明において特許請求される活性成分の組み合わせが以下の理由に起因して機能すると考える。アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、例えばヘキシルレゾルシノールは、細菌の生物学的膜および細胞内タンパク質と相互作用する。両親媒性であるため、それは細菌細胞に浸透して膜の完全性を損傷し、透過性を増加させる。細胞内に入ると、それは複数の標的に作用し、細菌を死滅させる可能性がある。精油化合物、例えばチモール、モノテルペノイドは、細菌膜を不安定化する速効性抗菌剤である。合わせて、本発明者らは、本発明者らのアッセイにおいて、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン(例えば、ヘキシルレゾルシノール)および精油化合物、例えばチモールとの相乗効果を見る。本発明者らは、チモールの速効性がヘキシルレゾルシノールの浸透を助け、したがって組み合わせて強力で速効性の相乗的抗菌剤の組み合わせとして作用すると仮定する。
【0036】
本発明の組成物は、化粧品として許容される基剤を含む。化粧品として許容される基剤は、好ましくは、ゲル、エマルジョン、ローション、ペースト、スプレー、またはクリームを含む。上記の形式において、化粧品として許容される基剤は、好ましくは水、界面活性剤またはそれらの組み合わせを含む。界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤、好ましくは石鹸である。
【0037】
本発明の組成物の特に好ましい形態は、無水である化粧品として許容される基剤を含む。このような無水組成物は、特に脇の下領域での適用のための消臭製品に有用である。
【0038】
そのような組成物は、一般に、スティック形態で、またはロールオン装置から、またはエアロゾル缶から、またはスプレーとして送達される。
【0039】
組成物はまた、組成物の重量基準で60%を超えるエタノールを含む除菌剤の形態で送達され得る。
【0040】
組成物は、好ましくは無水である局所的/化粧品的に許容される基剤を含む。無水基剤とは、組成物中の含水量が5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最適には組成物に存在しないことを意味する。これを可能にするために、無水基剤は、好ましくはシリコーン化合物、アルコールまたはワックスを含む。アルコールは、使用される場合、低沸点(C~C)アルコールまたは多価アルコール、好ましくは多価アルコールであり得る。
【0041】
組成物のpHは、好ましくは3.5より高く、より好ましくは4~7の範囲である。本発明の組成物のpHは、以下の手順を使用して測定される:等量の組成物およびモデルイオン性汗(pH6.1)を混合し、正確な範囲のpH試験紙を使用してpH値を測定する。
【0042】
本発明の無水組成物は、好ましくは多価アルコールを含む。多価アルコールは、略してポリオールとも呼ばれる。本発明の多価アルコールとは、水酸基を2個以上有する化合物である。本発明の組成物に含まれ得る多価アルコールの適切な種類は、単量体ポリオール、ポリアルキレングリコールまたは糖である。好ましい単量体ポリオールはグリコール;アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール;グリセロール;またはキシリトール、より好ましくはプロピレングリコールである。
【0043】
適切なポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールである。本発明に含めるための糖は、単量体、二量体、三量体またはポリマー形態であり得る。好ましい糖としては、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース、トレイトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、アドニトール、デキストランまたはシクロデキストリンが挙げられる。これらのうち、より好ましい糖は、グルコース、フルクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、アドニトール、デキストランまたはシクロデキストリンである。
【0044】
従来の組成物に一般的に含まれる他の成分もまた、本発明の組成物に組み込まれ得る。そのような成分としては、スキンケア剤、例えば皮膚軟化剤、湿潤剤およびスキンバリアプロモーター;皮膚外観調整剤、例えば皮膚光輝剤および皮膚平滑化剤;抗菌剤、特に有機抗菌剤、および防腐剤が挙げられる。
【0045】
本発明の組成物は、大まかに言えば2つの方法のうちの1つによって、化粧品的および局所的に皮膚に適用することができる。消費者の中には、一方の方法を好む者もあれば、他方の方法を好む者もある。接触法と呼ばれることもある1つの方法では、組成物が皮膚の表面全体で拭き取られ、通過時に組成物の一部を堆積させる。非接触法と呼ばれることもある第2の方法では、組成物は、皮膚に近接して保持されたディスペンサーから、しばしば約10~20cmの面積で噴霧される。スプレーは、ポンプまたは圧搾可能な側壁など、ディスペンサーの内容物に圧力を発生させる機械的手段によって、または揮発する液化噴射剤の一部から生じる内部発生圧力によって発生させることができ、このディスペンサーは一般にエアロゾルと呼ばれる。
【0046】
広義には、2種類の接触組成物が存在し、そのうちの1つは液体であり、通常はロールオンディスペンサーを使用して塗布されるか、または場合によってはワイプ内もしくはワイプ上に吸収され、第2の接触組成物では、制汗活性物質は、ゲル化された連続相を形成する担体液体内に分布する。一変形例では、担体流体は制汗剤のための溶媒を含み、第2の変形例では、制汗剤は、油、通常は油のブレンドに懸濁した粒子状固体のままである。
【0047】
スティックまたは軟質固体組成物
ワックス、小分子ゲル化剤およびポリマーを含む多くの異なる材料が、連続油相のゲル化剤として提案されている。それらは各々それらの利点を有し、最も一般的な種類のゲル化剤の1つは、少なくともそれらの容易な入手可能性および処理の容易さのために、特に直鎖脂肪アルコールワックスゲル化剤を含むワックスを含む。ゲル化した制汗剤組成物を、皮膚を横切って皮膚と接触させて拭き取ることによって皮膚に局所的に塗布し、それによって皮膚上に薄膜を堆積させる。
【0048】
膜の性質は、使用されるゲル化剤にかなりの程度依存する。ワックス脂肪アルコールは長年にわたってゲル化剤として使用されており、ゲル化の目的に有効であるが、得られる生成物は、組成物が適用された皮膚、特に脇の下の皮膚の外観を改善するのにはむしろ効果的ではない。この問題は、改善材料、例えば、二価もしくは多価保湿剤および/またはトリグリセリド油を含むことによって解決されている。
【0049】
ロールオン
ロールオンから適用可能な液体組成物は、大まかに言えば2種類、すなわち、制汗活性物質が揮発性シリコーンなどの疎水性担体に懸濁されているものと、制汗活性物質が担体液体に溶解されているものとに分けることができる。後者の方が人気があることが判明している。主に2種類の溶解担体液体、すなわち、溶解担体流体の大部分がエタノールを含む主にアルコール性の担体と、担体液体が主に水である第2の種類とがある。前者は、エタノール自体がマイルドな殺菌剤であるため非常に人気があったが、特に組成物が塗布された表面が、シェービングまたは他の脱毛操作中に容易に生じ得るように損傷または切断されている場合、刺すように痛むため、その人気は低下した。
【0050】
アルコール製剤の代替物である第2の種類の製剤は、制汗剤の水溶液中の水不溶性または非常に難水溶性の成分の分散液を含む。本明細書では、このような組成物をエマルジョンと呼ぶ。制汗性ロールオンエマルジョンは、一般に、水溶性成分の分布を維持するために1つまたは複数の乳化剤を含む。
【0051】
エアロゾル組成物
本発明の組成物は、上記の他の成分に加えて噴射剤を含むエアロゾル組成物を通して送達されてもよい。一般に、噴射剤は、95:5から5:95のベース配合物に対する重量比で使用される。噴射剤に応じて、そのようなエアロゾル組成物では、噴射剤対ベース配合物の比は、通常、少なくとも20:80、一般に少なくとも30:70、特に少なくとも40:60であり、多くの配合物では、重量比は90:10から50:50である。70:30から90:10の比範囲が好ましいときがある。
【0052】
本明細書における噴射剤は、一般に、i)圧縮によって液化された低沸点ガス、ii)揮発性エーテル、およびiii)圧縮された非酸化性ガスの3種類のうちの1つである。
【0053】
種類i)は、好都合には、典型的には-5℃未満、しばしば-15℃未満で沸騰する低沸点材料であり、特にアルカンおよび/またはハロゲン化炭化水素である。この種類の噴射剤は、通常、エアロゾルキャニスタ内の圧力で液化され、蒸発して圧力を発生させ、組成物をキャニスタから排出する。好適なアルカンの例としては、特にプロパン、ブタンまたはイソブタンが挙げられる。第2の種類の噴射剤は、非常に揮発性のエーテルを含み、その最も広く使用されているエーテルは、これまでのところはジメチルエーテルである。この噴射剤は、有利には、噴射剤対ベース配合物の比較的低い重量比、例えば5:95程度までの低い重量比で使用することができる。これは、例えば、圧縮性/液化性アルカンガスと混合して使用することもできる。第3の種類の噴射剤は、圧縮された非酸化ガス、特に二酸化炭素または窒素を含む。ネオンのような不活性ガスは、理論的な代替案である。
【0054】
本発明の組成物がロールオン、堅い固体またはスティック形式で送達される場合、局所的に許容される基剤は、疎水性担体または水性担体を含む。そのような場合の疎水性担体は、シリコーン化合物、低沸点アルコールまたはワックスを含み得る。組成物が噴射剤を含む場合、それはエアロゾルとして送達される。
【0055】
本発明の組成物は、好ましくは芳香剤をさらに含む。芳香剤とは、心地よい香りを生成する分子、または分子群を含む組成物を意味する。組成物は、好ましくは、組成物の0.1~3重量%の芳香剤を含む。
【0056】
スキンケア組成物
本発明の組成物は、スキンケアに使用することができる。そのような場合の化粧品として許容される基剤は、液体または固体材料であり得る。典型的には、化粧品として許容される基剤は、組成物の総重量の10~99.9%、より好ましくは20~95%、最も好ましくは40~85%の範囲の量で存在する(その中に包含される全ての範囲を含む)。
【0057】
化粧品として許容される担体は水を含むことが特に好ましい。水は、好ましくは、日焼け止め組成物の総重量の30~90%、より好ましくは30~85%、最も好ましくは30~80%の量で含まれる。水に加えて、適切な担体種類としては、シリコーン、多価アルコール、炭化水素、トリグリセリドおよび増粘粉末が挙げられる。
【0058】
好ましくは水含有形式で送達される化粧品として許容される基剤には、例えば、ゲル、クリーム、ローションまたはエマルジョンの形式が含まれる。本発明のスキンケア組成物は、皮膚への局所適用に適したトナー、ローション、クリーム、ムース、スクラブ、セラムまたはゲルを含む任意の形態であり得る。組成物は、スキンローション、クリーム、口紅、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナーおよび日焼け止めローションなどのリーブオン製品、またはシャワージェルおよびトイレットバーなどのリンスオフ製品のいずれかであり得る。組成物は、スキンローションまたはクリームであることが好ましい。
【0059】
そのような形式の1つは、水含有生成物が増粘剤の使用によって増粘されてゲルを形成するものである。ローションまたはクリーム形式の水中油型エマルジョンは、組成物が好ましくは脂肪酸を含む場合である。ローションは一般に3~8重量%の脂肪酸を含有する。C12~C20脂肪酸が特に好ましく、C14~C18脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は、好ましくは実質的に(一般に約90~95%)、ステアリン酸とパルミチン酸との混合物である。ステアリン酸とパルミチン酸との重量比55:45の混合物は、ヒステリン酸(hysteric acid)として知られている。
【0060】
好ましくは、本発明の組成物は、バニシングクリームの形態で送達される。バニシングクリームは、ヒトの皮膚に塗布され擦られたときに皮膚上で見えなくなり、組成物の著しい条痕を残さないものである。脂肪酸は、石鹸と共に組成物中に存在する場合、いわゆるバニシングクリーム効果を提供する。好ましくは、リーブオン組成物は、10~30個、より好ましくは12~25個、さらにより好ましくは14~20個、さらにより好ましくは16~18個の炭素原子を有する脂肪酸を含む。組成物に使用され得る脂肪酸の例としては、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、使用され得る脂肪酸は、ステアリン酸もしくはパルミチン酸またはそれらの混合物である。本発明における脂肪酸は、好ましくは、55:45から45:55の比のステアリン酸およびパルミチン酸の実質的に(一般に約90~95%の)混合物であるヒステリン酸(hysteric acid)である。
【0061】
好ましくは、組成物は、2.25~25重量%、より好ましくは4~22重量%、さらにより好ましくは6~20重量%、さらに好ましくは8~19重量%、さらにより好ましくは10~18重量%、さらにより好ましくは12~16重量%の脂肪酸を含む。
【0062】
好ましくは、組成物は石鹸を含む。石鹸は、組成物中に脂肪酸と組み合わせて存在する場合、上述の消失効果を提供する。好ましくは、組成物中の石鹸は、一般に、組成物中に存在し得る脂肪酸のその場中和によって調製される。したがって、石鹸は、組成物中の脂肪酸の鎖長に対応する炭素鎖長を有することが好ましい。石鹸は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの使用によって脂肪酸から形成される。2つのうち、水酸化カリウムがより好ましい。したがって、石鹸は、カリウム石鹸(脂肪酸カリウム塩)であることが好ましい。
【0063】
好ましくは、組成物は、0.1~10重量%、より好ましくは0.25%~8重量%、さらにより好ましくは0.5~7重量%、さらにより好ましくは0.5~5重量%、さらにより好ましくは0.5%~3%の石鹸を含む。
【0064】
組成物は、共溶媒として作用する皮膚軟化油を含み得る。適切な皮膚軟化油としては、例えば、アルコキシル化芳香族アルコールと脂肪カルボン酸とのエステル、ポリグリコールまたはジオールと脂肪カルボン酸とのエステル、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステル、ベンジルアルコールのアルコキシル化誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化油はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。
【0065】
典型的には、そのような組成物は、日焼け止め組成物の総重量に基づいて0.01~10%、より好ましくは0.1~8%、最も好ましくは1~6%の量の共溶媒を含み、その中に包含される全ての範囲を含む。
【0066】
クリームは、組成物が一般に8~24重量%の脂肪酸を含むものである。脂肪酸の一部を中和して、組成物の1~10重量%で存在し得る石鹸を形成し得る。そのような化粧品として許容される基剤は、通常、組成物の重量の10~99.9%、好ましくは50~99%である。化粧品として許容される基剤は、水を含むことが好ましい。水は、好ましくは組成物の重量の35~90%、より好ましくは50~85%、さらに好ましくは50~80%で含まれる。
【0067】
化粧品として許容される基剤として油中水型エマルジョンも含まれ得る。そのようなエマルジョン中の化粧品として許容される基剤は、一般に、基剤の重量の5~50%、好ましくは10~30%のシリコーンエラストマーを含む。シリコーンエラストマーは、好ましくは組成物の1~15重量%で存在する。
【0068】
シリコーンエラストマーは、架橋のために線状ポリマーとは異なる。多くのシリコーンエラストマーは、ポリマー鎖に沿って反応部位を含む線状シリコーンポリマーから作製される。エラストマーは、線状ポリマーとは物理的および化学的特性が非常に異なり、エラストマーの特性は架橋の数に非常に大きく依存する。比較的少数の架橋を有するエラストマーは非常に柔らかく、相溶性溶媒の存在下で著しく膨潤する。架橋の数が増加するにつれて、エラストマーの硬度が増加し、エラストマーは溶媒の存在下でより小さい程度で膨潤する。本発明の組成物に使用するのに非常に適したシリコーンエラストマーは、Dow Corningから市販されているジメチコンクロスポリマーであるDC9045である。DC9045は、化学的には、シクロペンタシロキサン膨潤剤とジメチコンクロスポリマー(12~13%)とのブレンドである。
【0069】
膨潤剤は、最も好ましくはシリコーン流体または機能性シリコーン流体である。膨潤剤は、シリコーンエラストマーを調製する反応混合物に対して、好ましくは1:10から10:1、より好ましくは1:1から5:1の重量比の量で使用される。膨潤剤は、最も好ましくは低分子量シリコーン油であり、これは(i)低分子量の直鎖および環状揮発性メチルシロキサン、(ii)低分子量の直鎖および環状揮発性および不揮発性アルキルおよびアリールシロキサン、ならびに(iii)低分子量の直鎖および環状官能性シロキサンを含む。しかしながら、最も好ましいのは、低分子量の直鎖および環状揮発性メチルシロキサン(VMS)である。本段落における「低分子量」とは、1000~9000の分子量を有する化合物を意味する。
【0070】
本発明で使用され得る他の有用なシリコーンエラストマーブレンドは、(i)Dow Corningから入手可能なDC9027(シクロペンタシロキサン中の超高粘度ジメチコノールおよびシリコーンエラストマーのブレンド)、(ii)Dow Corningから入手可能なDC9546(高分子量シリコーンエラストマー、シクロペンタシロキサンおよび高分子量線状シリコーンポリマーのブレンド)、(iii)Dow Corningから入手可能なEL8050(イソドデカン中の高分子量ポリグリコール変性シリコーンエラストマーのブレンド)および(iv)Dow Corningから入手可能なEL8051(ネオペンタン酸イソデシル中の高分子量ポリグリコール変性シリコーンエラストマーのブレンド)として市販されている。
【0071】
このような油中水型エマルジョン組成物は、好ましくは、組成物の重量の10~70%、より好ましくは30~50%の水を含む。
【0072】
有用な日焼け防止剤、例えば無機日焼け止め剤を本発明で好ましく使用することができる。これらには、例えば、酸化亜鉛酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカ、または二酸化チタンが含まれる。好ましくは本発明による組成物に組み込まれる無機日焼け止め剤の総量は、組成物の重量の1~8%、好ましくは3~8%である。無機日焼け止め剤を含めると、本発明の必須成分に加えて、SPFにおいてさらなる相乗的利益が得られることが観察されている。本発明の組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体およびそれらの混合物から構成される群から選択されるUV-A日焼け止め剤を含み得る。好ましい実施形態では、UV-A日焼け止め剤は、ジベンゾイルメタン誘導体、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol1789の商品名で販売されている)を含むか、またはそれである。
【0073】
典型的には、本発明の日焼け止め組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~15重量%、より好ましくは0.1~10%、最も好ましくは1~5%(その中に包含される全ての範囲を含む)のUV-A日焼け止め剤を含む。
【0074】
本発明の組成物はまた、UV-B日焼け止め剤を含んでもよい。本発明の適切なUV-B日焼け止め剤は、ベンゾフェノン、アントラニレート、サリシレート、シンナメート、カンフル、ベンジリデンマロネート、トリアゾン、およびそれらの誘導体から構成される群から選択される。好ましい実施形態では、UV-B日焼け止め剤は、シンナメート誘導体、例えば、エチルヘキシルメトキシシンナメート(Parsol MCXの商品名で販売されている)を含むか、またはそれである。
【0075】
典型的には、組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1~20重量%、より好ましくは0.5~18%、最も好ましくは1~15%(その中に包含される全ての範囲を含む)のUV-B日焼け止め剤を含む。
【0076】
本発明の組成物は、皮膚光輝剤をさらに含んでもよい。皮膚光輝剤は、好ましくは、ビタミンB3化合物またはその誘導体、例えばナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミドまたは他の周知の皮膚光輝剤、例えばアロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アゼライン酸、コウジ酸、クエン酸エステル、エラグ酸、グリコール酸、緑茶抽出物、ヒドロキノン、レモン抽出物、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAのようなビタミン、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、乳酸のようなヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩、例えば乳酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。ビタミンB3化合物またはその誘導体、例えばナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミドが本発明によるより好ましい皮膚光輝剤であり、最も好ましいのはナイアシンアミドである。ナイアシンアミドは、使用される場合、好ましくは組成物の重量の0.1~10%、より好ましくは0.2~5%の範囲の量で存在する。
【0077】
本発明による組成物はまた、他の希釈剤を含んでもよい。希釈剤は、組成物が皮膚に適用されるときにそれらの分配を容易にするために、組成物中に存在する他の材料のための分散剤または担体として作用する。水以外の希釈剤には、液体または固体の皮膚軟化剤、溶媒、湿潤剤、増粘剤および粉末が含まれ得る。
【0078】
本発明の組成物は、広範囲の他の任意の成分を含むことができる。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、スキンケア産業において一般的に使用される多種多様な非限定的な化粧品および医薬成分を記載しており、これらは本発明の組成物における使用に適している。例としては、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収斂剤、芳香剤、保湿剤、乳白剤、コンディショナー、剥離剤、pH調整剤、防腐剤、天然抽出物、精油、皮膚感覚剤、皮膚鎮静剤、および皮膚治癒剤が挙げられる。
【0079】
本発明の別の態様は、組成物を所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に悪臭低減を提供するための第1の態様による組成物に関する。この方法は、好ましくは非治療的である。
【0080】
さらに別の態様によれば、本発明の組成物を所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に抗座瘡利益を提供するための第1の態様による組成物が開示される。
【0081】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例の助けを借りて説明する。
【0082】
[実施例]
[実施例A~D、1]
悪臭低減アッセイを使用して測定される悪臭に対する様々な活性物質および活性物質の組み合わせの効果:
以下の表-1に示す活性物質を、以下に記載する悪臭低減アッセイに供した:
【0083】
酢酸鉛法を用いた悪臭アッセイ:
細菌培養物の調製:
S.ホミニスは、チオール媒介性の身体の悪臭の原因となる重要な細菌であり、したがって、この研究で使用された試験生物はS.hominis ATCC 27844であった。試験生物をTSA(トリプシン大豆寒天)プレート上で一晩(22±2時間)増殖させた。生物は、元の供給源から除去されて3継代を超えなかった。細胞数は、細胞の光学密度に基づいて必要な細胞数を達成するのに十分な適切な量の生理食塩水に再懸濁することによって調整した。細胞の光学密度(620nMでのOD)を、分光光度計を使用して試験生物の細胞数に標準化した。悪臭アッセイのために生理食塩水中でODを0.2に調整することによって、1.0×10CFU/mLの最小最終懸濁液を達成した。
【0084】
酢酸鉛紙の調製:
1%酢酸鉛溶液を蒸留水中で作製した。Whatmann濾紙(ウェルプレートのウェル上に置くことができるサイズに切断)を酢酸鉛溶液に浸漬した。過剰な溶液を排出し、層気流中で30分間乾燥させた。
【0085】
活性物質ストックの調製:
アッセイを行うために活性物質のストック溶液を調製した。チモールとテルピネオールの1:1混合物を、等量の両方の材料(それぞれ10g)を秤量し、マグネチックスターラー下で4~5時間混合することによって調製した。次いで、0.5グラムの混合物を秤量し、エタノール中で100mLになるように、この混合物の0.5%ストックを調製した。ヘキシルレゾルシノールのストック溶液をエタノール中0.5%で調製し、次いで、1:10希釈を滅菌蒸留水中で行い、ヘキシルレゾルシノールの0.05%ストックを得た。
【0086】
アッセイプロトコル:
悪臭アッセイをMooreら、2003の方法から適合させ、96ウェルプレート形式に改変した。0.1%L-システイン-HClを含む100mlのトリプシン大豆ブロス(TSB)を96ウェルプレートのウェルに添加した。次いで、S.ホミニスの0.2 OD培養物20mlをウェルに添加した。活性物質を必要な濃度でストック溶液から添加し、滅菌蒸留水を添加して体積を200mlにした。アッセイは3連で行った。酢酸鉛紙をウェル上に置き、96ウェルプレートの蓋を閉じ、37℃のインキュベーターで一晩インキュベートした。インキュベーション時間後、酢酸鉛紙の暗色着色が観察された。ウェル上の領域における酢酸鉛の目に見える黒色化は、HSの存在を示した。色の強度は、反射率計を使用してL*a*b*値として記録した。初期L*a*b*値ΔEと最終L*a*b*値ΔEとの差を使用して、悪臭形成を定量化した。
【数1】
【0087】
様々な活性物質または組み合わせについて上記アッセイを使用して測定したΔEから、悪臭の割合を計算した。結果を以下の表-1にまとめる。
【0088】
【表1】
【0089】
上記の表のデータは、本発明による組成物(実施例-1)が、ヘキシルレゾルシノール単独またはチモールとテルピネオールとの組み合わせ(実施例CおよびD)によって送達される個々の値に対して相乗的であることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルキル基が2~10個の炭素原子を含むアルキル置換ジヒドロキシベンゼンと、
(ii)組成物の重量基準で0.005%~1%の、チモールまたはテルピネオールから選択される精油化合物と、
(iii)化粧品として許容される基剤と
を含み、
前記化粧品として許容される基剤が、ゲル、エマルジョン、ローション、ペースト、スプレーまたはクリームを含むか、または、
前記化粧品として許容される基剤が、シリコーン化合物、アルコールまたはワックスを含む無水である、抗菌組成物。
【請求項2】
前記アルキル置換ジヒドロキシベンゼンが2~6個の炭素原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルキル置換ジヒドロキシベンゼンが、化学構造:
【化1】
を有するヘキシルレゾルシノールである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がチモールとテルピネオールとの混合物を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の重量基準で0.0005~10%のアルキル置換ジヒドロキシベンゼンを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記基剤が無水であるとき、スティック形態であるか、ロールオン装置から送達されるか、エアロゾル缶からまたはスプレーとして送達される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記基剤が無水であるとき、60重量%超のエタノールを含む除菌剤の形態である、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物を所望の皮膚表面に適用したときに皮膚に悪臭低減を提供するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物を所望の皮膚表面に適用したときに抗座瘡利益を提供するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【国際調査報告】