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特表2023-533191腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させる方法
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  • 特表-腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus  spp.)の菌数を増加させる方法 図1A
  • 特表-腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus  spp.)の菌数を増加させる方法 図1B
  • 特表-腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus  spp.)の菌数を増加させる方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/015 20060101AFI20230726BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230726BHJP
   C07D 475/14 20060101ALN20230726BHJP
   C07D 307/62 20060101ALN20230726BHJP
【FI】
A61K31/015
A61K31/525
A61K31/375
A61K31/593
A61K31/197
A61P35/00
A61P1/00
A61P25/18
A61P25/00
A61P3/04
A61P1/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/06
A61P1/16
A61P31/04
A61P1/10
A61P9/00
A61P17/00
A61P25/16
A61P25/08
A61P37/04
A61P27/02
A61P37/08
A61P1/18
A61K45/00
A61P43/00 121
C07D475/14
C07D307/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578835
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021068934
(87)【国際公開番号】W WO2022008632
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20184915.5
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファム, タン‐ヴァン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン, アティークル
(72)【発明者】
【氏名】サイフェルト, ニコール
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シベスマ, ウィルバート
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA01
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA05
4C084ZA06
4C084ZA12
4C084ZA15
4C084ZA18
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA66
4C084ZA68
4C084ZA70
4C084ZA73
4C084ZA75
4C084ZA89
4C084ZB09
4C084ZB13
4C084ZB26
4C084ZB35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086CB09
4C086DA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA01
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA70
4C086ZA73
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZB09
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA04
4C206GA05
4C206GA36
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
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4C206NA05
4C206ZA01
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4C206ZA70
4C206ZA73
4C206ZA75
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4C206ZB09
4C206ZB13
4C206ZB26
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
様々な疾患を有する人々では、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数が低下している。本発明者らは、ビタミンB2及びCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン並びにビタミンB5などのビタミン/ビタミンの組合せの投与が、腸内細菌叢に栄養を直接提供するように腸に直接投与されるとき、コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の増加をもたらし得ることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物、好ましくはヒトの腸内細菌叢に直接送達するために製剤化されている、
リボフラビン及びビタミンCの組合せ、
ビタミンD3、
β-カロテン、並びに
ビタミンB5
からなる群から選択されるビタミン又はビタミンの組合せの使用において、送達時、前記ビタミン又はビタミンの組合せは、前記腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させることを特徴とする使用。
【請求項2】
前記ヒトは、結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害からなる群から選択される疾患又は有害な状態の危険性があるか又はそれを経験している人であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
プレバイオティクス、プロバイオティクス、前記腸内細菌叢を調節する他の成分及び従来の医薬品又は栄養剤の少なくとも1つとの組合せにおける、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させる方法であって、菌数を増加させるのに有効な量の、
リボフラビン及びビタミンCの組合せ、
ビタミンD3、
β-カロテン、並びに
ビタミンB5
からなる群から選択されるビタミンを、それを必要とする動物、好ましくはヒトに投与することを含む方法。
【請求項5】
前記動物は、ヒトであり、且つ結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害からなる群から選択される疾患又は状態の危険性があるか又はそれを経験している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プレバイオティクス、プロバイオティクス、前記腸内細菌叢を調節する他の成分及び従来の医薬品又は栄養剤の少なくとも1つを投与することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リボフラビン及びビタミンCの組合せ、
ビタミンD3、
β-カロテン、並びに
ビタミンB5
からなる群から選択されるビタミン又はビタミンの組合せ;及び
賦形剤
において、前記形態は、前記ビタミンが大腸に直接送達され、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の正常未満の菌数によって特徴付けられる疾患/有害な状態を経験している患者の栄養上の必要性に対処するために使用されることを特徴とする、ビタミン又はビタミンの組合せ及び賦形剤。
【請求項8】
前記疾患/有害な状態は、結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害からなる群から選択される、請求項7に記載のビタミン又はビタミンの組合せ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビタミン又はビタミンの組合せを動物、好ましくはヒトの腸に直接送達することにより、コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の腸内細菌叢の菌数を増加させる方法に関する。これは、例えば、選択されたビタミン又は組合せの遅延放出製剤を使用することによって達成され得る。好ましいビタミンは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ、ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5を含む。
【0002】
[発明の背景]
コプロコッカス属(Coprococcus)は、ヒトの腸内の常在菌である嫌気性細菌の属名であり、C.カツス(C.catus)、C.コメス(C.comes)及びC.ユウタクタス(C.eutactus)などの様々な種を含む。
【0003】
研究は、腸内におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の正常未満の量が、一見無関係に見える様々な病状及び/又は有害な状態と関連していることを示している。これらは、以下を含む:結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;コラーゲン大腸炎;特定不能の広汎性発達障害;並びに慢性膵炎。
【0004】
腸内細菌叢、特に上述の疾患/有害な状態又はこの疾患/有害な状態の1つと関連する症状を経験しているか又は経験する危険性がある個体において、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属(Coprococcus)の菌数を増加させる方法を提供することが望ましいであろう。
【0005】
[発明の詳細な説明]
多くの研究は、動物、好ましくはヒトが特定の疾患/有害な状態に罹患すると、その特定の疾患/有害な状態に罹患していない動物中に存在する菌数と比較して、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数が減少することが示している。しかし、これらのいずれの研究も、コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させ、それによりその疾患/有害な状態の症状の少なくとも1つを緩和する方法を示唆していない。本発明に従い、特定のビタミン又はビタミンの組合せを動物、好ましくはヒトの大腸に直接送達することにより、腸内細菌叢に栄養を提供し、コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の定住菌数を増加させ得ることが見出された。
【0006】
したがって、本発明は、大腸に直接送達される少なくとも1種のビタミン又はビタミンの組合せを投与することにより、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の正常未満の菌数を特徴とする疾患/有害な状態を予防する方法、その発症の危険性を低減するか若しくは発症を遅延させる方法及び/又は疾患/有害な状態を治療する方法並びに疾患/有害な状態を経験している人の栄養上の必要性を満たす方法に関する。
【0007】
腸内のコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させるのに適していることが見出されたビタミン及びビタミンの組合せは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン;並びにビタミンB5を含む。
【0008】
したがって、本発明の一態様は、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させる方法であって、菌数を増加させるのに有効な量の、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン;並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミンを、それを必要とする動物、好ましくはヒトの大腸に直接投与することを含む方法である。
【0009】
本発明の他の実施形態は、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の減少した菌数と関連する疾患/有害な状態の治療及び又は予防であって、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミンを、それを必要とする動物、好ましくはヒトに投与することを含む治療及び又は予防において、この投与は、動物の大腸に直接行われることを特徴とする治療及び又は予防である。
【0010】
本発明の他の実施形態は、コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させるのに有効な量の、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミンと、賦形剤とを含む経口送達用製剤であり、前記形態は、ビタミンが、大腸に存在する腸内細菌叢に直接送達されることを特徴とする。
【0011】
[定義]
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される場合、以下の定義が適用される。
【0012】
「コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)」は、コプロコッカス属(Coprococcus)の少なくとも1つの種を意味し、C.カツス(C.catus)、C.コメス(C.comes)及び/又はC.ユウタクタス(C.eutactus)を含み得る。
【0013】
「減少した菌数」は、個体内に存在するコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の量が、健康な人の集団に見られる量と比較して低下していることを意味する。
【0014】
本明細書において使用される「健康な」とは、ヒトを含む動物が、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の減少した菌数と関連することが知られている疾患/有害な状態を経験していないことを意味する。
【0015】
「ビタミンB2」及び「リボフラビン」という用語は、互換的に使用され、そのエステル、特にリボフラビン-5’-リン酸を含む。
【0016】
「ビタミンC」という用語は、「アスコルビン酸」と互換的に使用され、その薬理学的に許容される塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウム)及びその薬理学的に許容されるエステル(特にパルミチン酸アスコルビル)を含む。
【0017】
本明細書において使用される「ビタミンD」という用語は、ビタミンD3を意味する。ビタミンD3に替えて又はビタミンD3に加えて、25-ヒドロキシビタミンD3を好ましくは非ヒト種に使用することができる。25-ヒドロキシビタミンD3のビタミンD3に対する相対的な強度は、約40:1であり、したがって、25-ヒドロキシビタミンD3を投薬する場合、これに従って調整する必要がある。
【0018】
「β-カロテン」という用語は、β-カロテン又はプロビタミンAを指す。
【0019】
「ビタミンB5」という用語は、パントテン酸及びその薬学的に許容される塩(例えば、パントテン酸カルシウム)を意味し、その誘導体であるパントテノール又はパンテノールを含む。
【0020】
「コプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させる必要がある」動物、好ましくはヒトは、
結腸直腸癌;
腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;
多発性硬化症;
肥満/過体重状態;
過敏性腸症候群;
抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;
全般性不安障害、
抑うつ、
片頭痛;
血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);
強直性脊椎炎;
非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);
カンピロバクター感染;
子癇前症;
便秘;
潰瘍性大腸炎;
クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);
冠動脈心疾患;
皮膚炎及び湿疹;
パーキンソン病;
フェニルケトン尿症(PKU);
てんかん;免疫力低下;
視神経脊髄炎スペクトラム障害;
小児のアレルギー性疾患;
慢性膵炎;
コラーゲン大腸炎;並びに
特定不能の広汎性発達障害
からなる群から選択される少なくとも1つの疾患/有害な状態の危険性があるか又はそれを現在経験している。
【0021】
「予防」は、疾患/有害な状態に到達したことがない状況に限定されない。代わりに、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される場合、それは、疾患/有害な状態又はその症状の重症度を軽減すること;疾患/有害な状態又はその症状の発症を遅延させること;疾患/有害な状態又はその症状に早期に介入すること;及び疾患/有害な状態又は症状が発症する危険性を低減することを含み得る。
【0022】
「直接送達」とは、ビタミン及び/又はビタミンの組合せを、ビタミン及び/又はビタミンの組合せが胃及び/又は小腸で吸収されるのではなく、むしろ、ビタミン及び/又は組合せが、微生物叢がそれを利用できる遠位腸管、好ましくは大腸に存在するように投与することを意味する。これらのビタミン及び/又は組合せは、ヒトの通常の1日の栄養要求量(一般に食事及び従来のビタミン補給を通して得られるもの)の一部ではなく、それを上回る量で投与される。ヒトに使用する場合の好ましい方法は、腸管に到達するまで送達を遅延させる形態を介した方法である。非ヒト動物に好ましい送達は、送達されたビタミンの一部のみが胃で吸収され、有効用量である残部が腸管で利用できるような十分に多い用量を投与する方法を含み、好ましくはないが、この送達方法は、ヒトにも使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】インビトロ実験(A)におけるビタミン投与後のコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比である。対照と比較した24時間後の発酵上清中のコプロコッカス属(Coprococcus)の存在比のlog10倍率変化値を示す。
図1B】ヒト試験(B)におけるビタミン投与後のコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比である。ヒト試験において結腸を標的とするビタミンを投与した後の糞便中のコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比を示す。
図2】ヒト試験において結腸を標的とするビタミンを投与した後のコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比である。
【0024】
[疾患/状態/症状]
本発明の他の実施形態は、動物、好ましくはヒトの大腸の腸内細菌叢に直接送達するために製剤化されたビタミン及び/又はビタミンの組合せの使用において、送達時、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcu spp.)の菌数を増加させることを特徴とする使用である。好ましくは、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3;β-カロテン;並びにビタミンB5からなる群から選択される。
【0025】
幾つかの実施形態において、結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害からなる群から選択される疾患又は状態の危険性があるか又はそれを経験している人におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数は、リボフラビン及びビタミンCの組合せ、ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミン又はビタミンの組合せを投与することによって増加される。
【0026】
本発明の他の実施形態は、腸内細菌叢に直接送達するために製剤化されたビタミン及び/又はビタミンの組合せの非治療的使用において、送達時、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、動物、好ましくはヒトの腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させることを特徴とする非治療的使用である。好ましくは、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ、ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択される。
【0027】
本発明の他の実施形態は、直接送達用に製剤化された医薬の製造におけるビタミン及び/又はビタミンの組合せの使用において、送達時、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、動物、好ましくはヒトの腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の菌数を増加させることを特徴とする使用である。好ましくは、ビタミン及び/又はビタミンの組合せは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ、ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、このビタミン及び/又はビタミンの組合せは、リボフラビン及びビタミンCの組合せ、ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミン又はビタミンの組合せを投与することにより、結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群;抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害からなる群から選択される疾患又は状態の危険性があるか又はそれを経験している動物又はヒトにおけるコプロコッカス属菌(Coprococcusspp.)の菌数を増加させる。
【0028】
本発明の他の実施形態は、ヒトの微生物叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)を増加させることが有益となり得る疾患を有するヒトに用いるための医療用食品である。したがって、本発明の他の態様は、リボフラビン及びビタミンCの組合せ;ビタミンD3、β-カロテン並びにビタミンB5からなる群から選択されるビタミン及び/又はビタミンの組合せ及び賦形剤であり、前記形態は、ビタミンが大腸の腸内細菌叢に直接送達され、腸内細菌叢におけるコプロコッカス属菌(Coprococcus spp.)の正常未満の菌数によって特徴付けられる疾患/有害な状態を経験している患者の栄養上の必要性に対処するために使用されることを特徴とする。このような疾患又は有害な状態は、結腸直腸癌;腹痛を伴うものを含む、小児の自閉症スペクトラム障害;多発性硬化症;肥満/過体重状態;過敏性腸症候群、抑うつを伴うもの又は伴わないものの両方の炎症性腸疾患;全般性不安障害、抑うつ、片頭痛;血便(但し、癌性又は前癌性病変が存在しないもの);強直性脊椎炎;非アルコール性脂肪性肝疾患(NALFD)/非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);カンピロバクター感染;子癇前症;便秘;潰瘍性大腸炎;クローン病(及びクローン病のモノクローナル抗体治療を受けている者);冠動脈心疾患;皮膚炎及び湿疹;パーキンソン病;フェニルケトン尿症(PKU);てんかん;免疫力低下;視神経脊髄炎スペクトラム障害;小児のアレルギー性疾患;慢性膵炎;コラーゲン大腸炎;並びに特定不能の広汎性発達障害を含む。
【0029】
上述のビタミン及びビタミンの組合せは、単独の活性剤として投与され得るか、又はプレバイオティクス、プロバイオティクス、腸内細菌叢を調節する他の成分及び従来の医薬品若しくは栄養剤と組み合わせて投与され得る。
【0030】
[動物]
「動物」は、哺乳動物、家禽類、好ましくはヒトを含む。好ましい非ヒト動物は、伴侶動物であり、イヌ、ネコ及びウマを含む。農業上重要な動物の中でも、好ましい動物は、家禽類、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びウマを含む。
【0031】
[投与量]
本明細書において使用する投与量は、一般的な栄養目的で摂取される活性成分に追加されるものを意図する。代わりに、これらは、腸内細菌の腸内細菌叢環境全体に属、種及び菌株レベルで作用する。この活性剤は、ヒトを含む動物によって直接代謝されることを意図したものではない。むしろ、これらは、結腸の細菌集団によって利用されることが意図される。したがって、以下に報告する量は、動物によって通常の食餌に加えて摂取されることになるが、その放出が遅延するため、動物に直接利用されない。
【0032】
好適な1日あたりの投与量は、以下の通りである:
β-カロテン:1日あたり最大150mg。好ましくは、β-カロテンは、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.1g/L、好ましくは少なくとも0.15g/L、最も好ましくは少なくとも0.2g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.05g/L~約0.4g/L、より好ましくは約0.15g/L~約0.25g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大150mgである。他の投与量は、1日あたり約5~100mg、1日あたり25~85mg及び1日あたり10~50mgであり得る。
【0033】
ビタミンB5:1日あたり最大1500mg。好ましくは、ビタミンB5は、結腸内でのその局所濃度が少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも1.5g/L、最も好ましくは少なくとも2g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.5g/L~約4g/L、より好ましくは約1.5g/L~約2.5g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大1500mgである。
【0034】
リボフラビン:1日あたり最大200mg;好ましくは1日あたり1~85mg;より好ましくは1日あたり70~80mg。好ましくは、リボフラビンは、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、より好ましくは0.125g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.1g/L~約0.5g/L又は約0.1g/L~約0.2g/Lの範囲であり、好ましくは約0.125g/Lである。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大200mgであり得る。
【0035】
ビタミンC:1日あたり最大2000mg;好ましくは1日あたり400~600mg;より好ましくは1日あたり450~550mg。好ましくは、アスコルビン酸は、結腸内でのその局所濃度が少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、最も好ましくは少なくとも0.8g/Lとなるような量で投与される。結腸内での好ましい局所濃度は、約0.05g/L~約1.5g/L、より好ましくは約0.5g/L~約1g/L、最も好ましくは約0.8g/L~約0.9g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい投与量の1つは、最大2000mgである。
【0036】
ビタミンD3:1日あたり最大250マイクログラム;好ましくは1日あたり5~80マイクログラム;より好ましくは1日あたり15~25マイクログラム。
【0037】
ビタミン/ビタミンの組合せを大腸に直接送達する製剤の場合、投与量は、好ましくは、1日1回摂取されるが、必要に応じてより少ない用量で複数回(即ち半分の用量で1日あたり2回又は1/3の用量で1日あたり3回)摂取され得る。
【0038】
大腸に直接送達するのではなく、高用量で投与される投与量の場合、その量は、推奨用量の少なくとも約10倍又は更に20倍であり得、例えば1日の推奨用量が5mgである場合、ビタミン又は組合せを結腸に存在させるために、50mg又は100mgの量が飼料、食品又は剤形中で投与される。
【0039】
この用量の摂取を例えば少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも1ヵ月間の期間にわたって継続することが好ましい。この用量は、必要に応じて、長期間にわたり毎日摂取され得る。
【0040】
[製剤]
好適な製剤は、ビタミン/ビタミンの組合せの一部が正常に吸収されるが、残部が腸内の腸内細菌叢で有効量において利用できるような十分に高い投与量を含み得る。他の製剤は、坐剤又は注射剤などの非経口経路を介したものを含む。好ましい製剤は、経口用遅延放出製剤である。
【0041】
本明細書において使用される「遅延放出」とは、活性剤が投与直後よりも遅れて放出されることを指す。好ましくは、「遅延放出」は、経口投与後、活性剤が、大腸、好ましくは結腸に、即時放出製剤と比較して遅れて送達されることを意味する。
【0042】
「腸溶性層」は、芯物質を取り囲む層であり、芯物質は、活性剤を含み、層は、胃液に対する耐性を付与する。「腸溶性シェル」は、活性剤を取り囲むか又は封入しているシェル又はマトリックスであり、シェルは、胃液に対する耐性を付与する。代わりに、マトリックスに基づく送達系を使用することもできる。マトリックスに基づく系は、別個の被覆材料の層が存在せず、活性剤は、マトリックス中にある程度均質に分布している。更に、例えば、繊維マトリックス(酵素に応答する)に活性剤が埋め込まれており、最外層が腸溶性被覆である結腸放出系がある。
【0043】
ヒトのための好ましい実施形態において、本発明の製剤は、経口投与のための固体剤形である。この製剤は、小腸の前、好ましくは結腸の前で活性剤が放出されることを防止するための遅延放出性被覆又はシェルで任意選択的に被覆されたカプセル剤、ペレット、ビーズ、球体、小球体、錠剤、小型錠剤又は顆粒剤の形態であり得る。
【0044】
経口投与により活性剤を遅延放出させるため、特に回腸又は大腸内で標的化放出させるための被覆、シェル又はマトリックス材料は、当技術分野において知られている。これらは、特定のpHを超えると崩壊する被覆材料、消化管内で特定の滞留時間が経過した後に崩壊する被覆材料及び腸の特定の領域の微生物叢に特有の酵素に応答して崩壊する被覆材料に細分することができる。異なる種類に分類されている被覆又はシェル材料を組み合わせて使用することは、一般的である。大腸に標的化するための被覆又はシェル材料のこれらの3つの異なる種類については、例えば、Bansal et al.(Polim.Med.2014,44,2,109-118)に概説されている。本発明の一実施形態において、遅延放出性被覆は、pH依存的に崩壊する被覆材料、時間依存的に崩壊する被覆材料、腸内環境(例えば、回腸及び大腸の腸内環境)におけるトリガー酵素に応答して崩壊する被覆材料及びこれらの組合せから選択される少なくとも1つの成分を含む。
【0045】
pH依存的に崩壊する被覆材料としては、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリット酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースHP-50、HP-55又はHP-55S、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ポリ(メタクリル酸-アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L30D-55)、ポリ(メタクリル酸-メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L-100、Eudragit(登録商標)L12.5)、ポリ(メタクリル酸-メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S-100、Eudragit(登録商標)S12,5及びEudragit(登録商標)FS30D)が挙げられる。
【0046】
時間依存的に崩壊する被覆材料としては、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)RS及びエチルセルロースが挙げられる。
【0047】
大腸環境内の酵素トリガーに応答して崩壊する被覆材料としては、コンドロイチン硫酸、ペクチン、グアーガム、キトサン、イヌリン、ラクツロース、ラフィノース、スタキオース、アルギン酸塩、デキストラン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクタン、シクロデキストリン、プルラン、カラギーナン、スクレログルカン、キチン、カーデュラン、レバン、アミロペクチン、デンプン、アミロース、難消化性デンプン及びアゾ結合を切断する細菌により分解されるアゾ化合物が挙げられる。
【0048】
一実施形態において、製剤は、活性剤を含む組成物が充填された腸溶性カプセルを含む。腸溶性カプセルは、胃の酸性環境に対する耐性を付与する。例えば、ソフトゲル製剤は、活性剤を溶液で送達することができ、且つ固形剤形の利点をなおも提供することができる。ソフトゲルカプセルは、水に溶解しにくい疎水性の活性剤に特に適している。ビタミンK及びオメガ-3脂肪酸は、ソフトゲルカプセル剤として製剤化するのに好ましい。
【0049】
他の実施形態において、製剤は、(i)活性剤を含む芯物質、及び(ii)腸溶性被覆などの遅延放出性被覆を含む錠剤である。これは、ハードゲルカプセルであり得る。
【0050】
活性剤の放出は、小腸まで遅延させることができる。他の実施形態において、活性剤の放出は、遠位小腸まで遅延される。更なる他の実施形態において、活性剤の放出は、結腸まで遅延される。
【0051】
以下の非限定的な例により、本発明をよりよく説明する。
【0052】
[実施例]
[実施例1]
[インビトロ発酵試験]
[ドナー及びサンプル調製]
この回分式腸内発酵培養の開始時、以下を含む(g/l)改変栄養培地に全ての試験成分を原液から添加した:K2HPO4(2.5)、KH2PO4(10.9)、NaHCO3(2)、酵母エキス(2)、ペプトン(2)、ムチン(1)、システイン(0.5)、Tween80(2)、グルコース(2)、デンプン(2)、セロビオース(2)、NaCl(0.1)、MgSO4.7H2O(0.01)、CaCl2.6H2O(0.01)、ヘミン(0.05)、胆汁酸塩(0.5)。
【0053】
以下の化合物を、水中で調製した原液から添加した:
・β-カロテン、
・ビタミンB3、
・ビタミンB5、
・ビタミンB7、
・フルクトオリゴ糖(フルクトオリゴ糖は、陽性対照として含める)。
【0054】
各化合物を3つの異なる濃度で試験し、概要を以下の表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
微生物群集の供給源として、ヒトのドナーから採取直後に調製した糞便懸濁液を反応器に加えた。各反応器は、70mlの容量を有した。空試験以外の全ての試験を1連で実施した。培養条件は、37℃の嫌気性条件下で48時間振盪(90rpm)するものとした。
【0057】
[測定]
微生物組成:培養開始時及び24時間培養後にIlluminaシーケンシングを実施した。この技法は、遺伝子全体に可変領域及び保存領域が分散した構造を有する16S rRNA遺伝子を標的とするものである。これは、タンパク質発現において重要な役割を果たすため、保存領域は、非常に遅い進化速度によって特徴付けられる。
【0058】
適用される方法論は、16S rRNA遺伝子の2つの超可変領域(V3-V4)に及ぶプライマーを伴う。ペアエンドシーケンス手法を用いて2×250bpをシーケンシングすることにより、424bpのアンプリコンを生成する。このような断片は、より短い断片よりも多くの分類学的情報を含む。簡潔に説明すると、mothur(v.1.42.0)を使用してリードをコンティグにアセンブルし、アラインメントに基づくクオリティフィルタリングを実施し(mothurで再構成されたSILVA SEED alignment,v.123へのアラインメント)、キメラを除去し、ナイーブベイズ分類器及びSILVA NR v132を使用して帰属分類群を推定し、コンティグをOTUにクラスタリングした。真核生物、古細菌、葉緑体及びミトコンドリアに分類された配列並びに分類できなかった配列は、全て除外した。各OTUの最も存在比の大きい配列をそのOTUの代表的な配列として選択した。
【0059】
[実施例2]
[臨床試験]
[ヒト対象]
6つのビタミン群にそれぞれ12人の参加者を割り付け、24人の参加者をプラセボ群に割り付けた。96人の参加者全員が介入を完了した。以下を満たす参加者を本試験の登録適格者とする:同意説明文書を提出できること;年齢が20歳以上50歳以下であること;BMIが18.5~30Kg/m2であること;過去3ヵ月間にわたり体重が安定していること(変化率<5%);試験責任医師により健康状態が概ね良好と判断されていること;ベースライン来院前の4週間以内に栄養補助食品、プレバイオティクス、プロバイオティクス、栄養又は繊維豊富な補助食品を摂取しておらず、試験終了時までこれらの補助食品を控える意思があること;試験期間にわたりレバーの摂取を控える意思があること;試験期間にわたり各自の現時点の水準の身体活動を維持する意思があること;及び試験期間にわたり毎日IPを摂取する意思があること。以下に該当する参加者は、除外された:通常の繊維摂取量が>30g/日である;妊娠中であるか若しくは妊娠を計画している;禁止されている投薬治療を受けた;過去3ヵ月間にわたり食事内容が大きく変化したか、若しくは生活スタイルを大幅に変えることを計画している;過去60日以内に試験に参加した;又は責任医師が試験の目的に影響を及ぼすであろうと見なした病気が継続しているか若しくは既往症がある。本試験手順は、Cork Teaching Hospitals臨床研究倫理委員会により承認され(プロトコル番号:AFCRO-087)、ヘルシンキ宣言に準拠して実施した。各対象は、試験に組み込まれる前に同意説明文書を提出した。この試験は、clinical trials.govにID:NCT03668964で登録された。
【0060】
[試験設計]
本試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行試験であり、対象は、ビタミン補助剤又はプラセボのいずれかを4週間にわたり投与された。来院は、3回であった:1)スクリーニング;2)ベースライン(スクリーニングの1週間後)、及び3)追跡調査(ベースラインの4週間後)。スクリーニング来院(来院1)では、同意説明を行い、病歴聴取及び身体検査を含む適格性を評価した。適格な参加者は、1週間の導入期間に入り、極端なダイエットを控えるように指導された。参加者は、毎日eDiaryに記録し、無作為化来院の48時間前に糞便サンプルを採取した。無作為化来院前に、参加者の通常の繊維摂取量が<30g繊維/日であることを確認するために、食物摂取頻度調査票を分析した。この基準を満たさなかった参加者又は他の適格性基準を満たさなかった参加者を除外した。
【0061】
ベースライン来院(来院2)では、参加者に来院前48時間以内に採取した糞便サンプルを返却させ、適格性を評価した。適格な参加者を組み入れて無作為化番号を割り付け、7つの群の1つから4週間分の治験薬(IP)を渡した。割り付けに関して、参加者及び研究スタッフの両方が盲検化された。参加者は、GSRS及びSF-36の質問票に記入した。血液サンプルを採取し、施設内で-80℃において保管した。参加者は、極端なダイエットを控え、各自毎日eDiaryに記入し、以後4週間にわたり毎日1カプセルずつ摂取するように指導された。
【0062】
最終来院(来院3)では、参加者に、来院前48時間以内に採取した糞便サンプルを返却させた。参加者は、GSRS及びSF-36の質問票に記入した。血液サンプルを採取し、施設内で-80℃において保管した。参加者にIPを返却させ、遵守を評価した。
【0063】
[治験薬]
治験薬は、以下の通りである:
1)ビタミンA(レチノール当量(RE)250μg/日)、
2)ビタミンC(アスコルビン酸500mg/日)、
3)ビタミンB2(75mg/日)+ビタミンC(500mg/日)、
4)ビタミンD3(コレカルシフェロール60μg/日)、又は
5)微結晶セルロース200mg/日(プラセボ)。
【0064】
ビタミン類は、全てDSM Nutritional Products Ltd(Kaiseraugst、Switzerland)により提供されたものであり;プラセボは、Fagron(Waregem、Belgium)から入手した。治験薬は、結腸を標的とする送達に有効であると確認されている(Cole et al.,2002)pH依存性ポリマーであるEudragit S100(Evonik Nutrition&Care GmbH、Darmstadt、Germany)を使用して被覆したハードゼラチンカプセルとして、結腸放出形態で製剤化した(Lonza、Bornem、Belgium)。選択された用量は、過去の研究におけるビタミンの高用量の経口送達に基づき(de Vries et al.,2006;Lakoff et al.,2014;Cantarel et al.,2015;Steinert et al.,2016;Tang et al.,2016)、各ビタミンの推定腸管吸収量(Graf,1980;Basu及びDonaldson,2003;Gropper et al.,2004;Reboul,2013)を差し引いた。上限値が規定されていないビタミンB2を除いて、全ての用量を、EFSAにより発表されている上限値未満とした(https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/assets/UL_Summary_tables.pdf)。
【0065】
[測定]
糞便の微生物組成:本試験を通して回収した全ての糞便サンプルから、QIAamp DNA stool minikit(Qiagen、Crawley、United Kingdom)を使用し、先に述べられているようにビーズ破砕ステップを追加したこと及び溶解温度を95℃まで昇温したことを除いて、製造業者の指示に従って全DNAを抽出した。DNAを単離した後、Qubit High Sensitivity DNA assay(Thermo Fisher)を使用してDNAを定量した。次いで、Illumina Nextera XTキット(Illumina)を製造業者の指示に従って使用し、以下の改変を行って全メタゲノムライブラリーを調製した:第1に、タグメンテーション時間を7分間に延長し、第2に、インデックス付加及び生成物のAmpure精製後、サンプルをAgilent High Sensitivity Chip(Agilent)上で電気泳動させることによってそれぞれ個々にサイズ確認し、Qubit High Sensitivity DNA assay(Thermo Fisher)を使用して、Teagasc Sequencing Platform SOPに従って定量した。次いで、サンプルを等モル量でプールし、Illumina NextSeq 500でNextSeq 500/550 v2高出力試薬キット(300サイクル)を用いてシーケンシングを行った。全てのシーケンシングは、Teagascシーケンシング設備において、標準的なIlluminaシーケンシングプロトコルに従って実施した。納品されたFASTQ形式の生配列ファイルを以下の通り品質チェックした:SAM及びPicardツールの組合せを使用して、低品質及び重複リードを削除すると共に、トリミングを行った。Metaphlan2ソフトウェアを使用して、リードの帰属分類群を推定した。
【0066】
[結果]
[コプロコッカス属(Coprococcus)及びコプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)種の相対存在比(図1)]
[インビトロ実験(図1A)]
ビタミンB3及びB7によるコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比の明らかな増加は、見られなかった。対照的に、1倍及び5倍のβ-カロテン並びに0.2倍及び5倍のビタミンB5を投与することにより、コプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比が増加した。この増加は、プレバイオティクスであるFOSで見られた増加と同等であった。
【0067】
[ヒト試験(図1B)]
結腸を標的とするビタミンB2及びCの組合せにより、4週間後のコプロコッカス属(Coprococcus)の相対存在比がベースラインと比較して有意に(p=0.02)増加した。コプロコッカス属(Coprococcus)がビタミンA及びD3に応答して増加する更なる傾向も見られたが、ビタミンCでは、この傾向は、有意ではなかった。
【0068】
[ヒト試験(図2)]
結腸を標的としてビタミンD3を4週間にわたり送達したところ、コプロコッカス・コメス(Coprococcus comes)の相対存在比は、ベースライン(p=0.04)と比較して且つプラセボ群(p=0.028)と比較して有意に増加した。
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】