(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】人の身体的リラクゼーションのための装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20230726BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20230726BHJP
【FI】
A61L2/10
F24F8/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578837
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 IB2021056340
(87)【国際公開番号】W WO2022013770
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512069599
【氏名又は名称】ジェイケイ-ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルステンマイヤー, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA26
4C058BB06
4C058CC05
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD11
4C058DD12
4C058KK02
4C058KK11
4C058KK26
4C058KK33
(57)【要約】
本発明は、人の身体的リラクゼーションのための装置に関する。装置は、人の少なくとも一部が装置と物理的に接触する少なくとも1つの接触面(11)を備える。装置は、人をリラックスさせるために刺激を生成及び/又は遮断するための少なくとも1つのリラクゼーション手段と、200nm~230nmの波長範囲の光放射を放出して、207nm~222nmの範囲にピークを有する光放射を放射領域に供給するように設計される少なくとも1つの照明手段(13)とを更に備える。また、本発明は、前述の目的のための照明手段の使用、及び、人の身体的リラクゼーションのための装置を殺菌するための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の身体的リラクゼーションのための装置であって、
a.人の少なくとも一部が前記装置と物理的に接触する少なくとも1つの接触面(11)と、
b.人をリラックスさせるための1つの刺激/複数の刺激を生成及び/又は抑制するための少なくとも1つのリラクゼーション手段と、
c.200nm~230nmの波長範囲の光放射を放出するようになっているとともに、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射を放射領域(A、A1、A2、A3)に照射するようになっている少なくとも1つの光源(13)と、
を備える装置。
【請求項2】
前記光源が、前記放射領域(A、A1、A2、A3)を、前記放射領域内に少なくとも0.5mJ/cm
2から最大で450mJ/cm
2の、特に2mJ/cm
2~20mJ/cm
2の線量が存在するように、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射に曝露するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源が、エキシマベースのランプ、特にKr-Brエキシマ又はKr-Clエキシマランプを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記光源が、200nm~230nmのスペクトル範囲内の波長を実質的に通過させるようになっているバンドパスフィルタを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタが、230nm未満の透過範囲を有するショートパスフィルタ、特に226nm~232nmの範囲を有するエッジ、特に229nm~232nmの範囲を有するエッジを伴うショートパスフィルタである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記光源が、冷却システムを備え、特に空気によって冷却するためのフロージェネレータを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、それぞれが放射領域(A1、A2、A3)を有する複数の光源(13)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記放射領域(A、A1、A2、A3)が、前記少なくとも1つの接触面(11)を未使用状態で実質的に完全に覆うようになっている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光源(13)のための制御ユニットを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光源(13)を保持するためのキャリアを備え、特に、前記キャリアが、前記放射領域(A、A1、A2、A3)を位置合わせするための少なくとも1つのジョイントを伴う回動アームとして構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
人のリラクゼーションのための1つの刺激/複数の刺激を生成及び/又は抑制するための前記リラクゼーション装置が、マッサージテーブル、治療椅子、ドライマッサージ器、浴槽、感覚遮断及び/又は減衰カプセル、並びに、自動マッサージ器から成るグループから選択されるリラクゼーション装置である、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
換気流を生成するための換気システムと、前記換気流と流体連通して前記換気流の物理的殺菌を実行するようになっている少なくとも1つの殺菌チャンバとを更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記接触面に対する前記光源の位置を検出するようになっているセンサを更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
200nm~230nmの波長範囲の光放射を放出するように設計される少なくとも1つの光源(13)の使用であって、リラクゼーション装置の接触面が放射領域(A、A1、A2、A3)の有効範囲内で照射されるように、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射によって前記放射領域(A、A1、A2、A3)を前記リラクゼーション装置内に生成するための使用。
【請求項15】
前記放射領域を前記接触面に対して位置合わせできるように、前記リラクゼーション装置に対する機能的接続のためのキャリアが設けられる、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
人の身体的リラクゼーションのための装置を殺菌する方法であって、
a.207nm~222nmの波長範囲内にピークを有する光放射に放射領域(A、A1、A2、A3)を曝露するために、200nm~230nmの波長範囲の光放射を放出するようになっている少なくとも1つの光源(13)を用意するステップと、
b.装置の殺菌されるべき少なくとも1つの接触面が放射領域(A、A1、A2、A3)内に位置するように前記光源を配置するステップと、
c.207nm~222nmの波長範囲にピークを有する放射線にビーム領域を曝露するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記配置するステップがコントローラによって実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記配置するステップが、回動アームとして設計されるキャリアによって実行される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記配置するステップが、前記接触面に対する前記光源の検出された位置に基づいて制御ユニットによって自動的に実行される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の身体的リラクゼーションのための装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、全てが独立請求項のそれぞれの前文に係る、殺菌のためのそのような装置における光源の使用、及び、人の身体的リラクゼーションのための装置を殺菌する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2019年と2020年にSARS-CoV-2が世界的大流行した後、人々の生活には多くの制限が課されてきた。これらの制限の幾つかが特に公共空間及び社会生活における行動に関して持続的な効果も有することが益々明らかになってきている。COVID 19パンデミックからの一つの教訓が、ハイパーモバイル社会及び大都市圏の人口密度の高さにおいて世界中での疾患の拡散を防ぐことが困難であるということは間違いない。多数の社会的措置が公共空間における感染リスクを低減するのに役立つ。しかし、最後に、公的にアクセス可能な設備は感染の特定のリスクを伴い得ることがあるため、公共にアクセス可能な設備に対する人々の信頼は損なわれる。
【0004】
短期的には、公的に使用可能な設備において衛生的に非の打ちどころがない状態を常に保証するために、職員側で措置を講じることができる。しかしながら、最終的には、これは、そのような設備の運転及び保守におけるより高いコストをもたらす。公共空間内のマッサージ装置又はリラクゼーションラウンジャーなど、リラクゼーションの目的を果たす公的にアクセス可能な設備は、特に影響を受ける可能性がある。特に、公共交通のレベルが高い地域では、過度の労力を伴うことなくリラクゼーション器具の恒久的な衛生的に欠陥のないユーザ表面を保証することは殆ど不可能である。これに関連して特に影響を受け重大なのは、例えば、空港、待機エリア、都市内部エリア、及び、ショッピングセンターである。しかしながら、リラクゼーションの僅かな安らぎの必要性は、騒然とした群衆において特に高い。
【0005】
したがって、以前のユーザ又は清掃スタッフの努力を問わず、常に同じ衛生基準を満たすことから、衛生的に申し分ないことが分かり且つ消費者に高く受け入れられる人間のリラクゼーションのための装置が必要とされている。
【0006】
本発明に関して、人の身体的リラクゼーションのための装置は、特に、数人が連続して使用することができる装置を意味すると理解することができる。例えば、空港の待機エリアなどの公共空間に配置されたマッサージチェアが本発明の主題となり得る。しかしながら、例えば複数のそのような装置を有して提供する特別に装備されたリラクゼーション・ウェルネスセンターを含めることもできる。本発明の目的のために、そのような装置としては、例えば、マッサージチェア、マッサージベッド、固定式又は可動式の自動作動マッサージ器、足タブ、身体タブ、ハンドバス、例えばノイズを減衰させる環境を伴うリラクゼーションカプセル、ライトバス、スチームバス、ドライマッサージ器、及び、感覚遮断ベースのリラクゼーション装置から成るグループから選択される装置を挙げることができる。
【0007】
一般的な使用において、そのような装置は、他のユーザによるその後の使用のために主に殺菌剤によって衛生的にされる。しかしながら、これは、一方では以前のユーザが意識的に殺菌を行ない、他方では看護スタッフが必要な基準に従ってこれを行なうことを前提とする。更に、適切な殺菌剤の供給が常に利用可能でなければならない。多くの殺菌剤は、攻撃的でもあり、使用時に乾燥したり、皮膚を損傷したりする可能性がある。更に、殺菌剤の使用は、別の物体の操作を含み、これは想定し得る汚染リスクにつながる可能性がある。
【0008】
殺菌には紫外線を使用できることが知られている。この目的のために、殺菌されるべき表面又は流体は、微生物を破壊及び不活性化するUV放射線に曝露される。一般に、254nmの波長の放射線が使用される。有機化合物も分解されるようになっている場合、200nm未満の波長が使用される。そのような波長は、人に有害であることが知られている。このため、膚と有害なUV放射線との接触が可能な限り防止されるようにするべく、言及された波長範囲を伴う光源は、通常は、アクセスできない領域、例えば通気口又はフィルタ内にある。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を克服する、冒頭で述べたタイプの装置を提供することである。
【0010】
特に、衛生的な清潔性の点でユーザの受容度が高い装置を提供することを目的とする。同時に、前記装置は、好ましくは、動作において可能な限り効率的であり、更なる人的コストを伴わないべきである。
【0011】
特に好ましくは、本発明に係る解決策は、既存のリラクゼーション装置を改造し、それらを21世紀の衛生要件に適したものにするのに適している。
【0012】
これらの目的の少なくとも1つは、独立請求項の特徴部分に係る人の身体的リラクゼーションのための装置によって達成されている。
【0013】
本発明の一態様は、人の身体的リラクゼーションのための装置に関する。装置は、人の少なくとも一部が装置と物理的に接触する少なくとも1つの接触面を含む。
【0014】
本発明に関して、接触面は、例えば、横たわり面又は支持面であってもよい。本発明に係る装置の殆どにおいて、リラクゼーションを求める人は、座位又は臥位で装置に座り、そこでリラックスする治療を受ける。例えば、人の一部のみが装置と物理的に接触する、人の身体的リラクゼーションのための特別な装置を提供することもでき、これらは特に足浴又は手浴であってもよい。
【0015】
本発明に係る装置は、人をリラックスさせるための1つ以上の刺激を生成及び/又は抑制するための少なくとも1つのリラクゼーション手段を更に備える。
【0016】
本発明に関して、多種多様なリラクゼーション手段が、1つの刺激/複数の刺激を生成及び/又は抑制することによって人の身体的リラクゼーションを誘導するのに適している。その最も単純な形態において、リラクゼーション手段は、公共空間でアクセス可能で且つ短い「パワーナップ」を可能にする、単純な、例えば解剖学的に適合されたパッド付きのカウチとなり得る。そのような装置は、例えば、刺激抑制装置を更に備えてもよい。例えば、減光フード又は防音壁を設けて、リラクゼーションを求める人への聴覚刺激及び視覚刺激を低減することができる。また、本発明に係るリラクゼーション手段は、個々の筋肉群又は関節の標的化されたリラクゼーション治療に適した物理的に作動して駆動されるマッサージ要素、例えば回転要素、脈動要素、又は、振動要素を備えることもできる。本発明に係る殆どの装置において、リラクゼーション手段には、ユーザにとって可能な限り快適にリラクゼーション手段と接触するパッド又は支持体が更に設けられる。そのようなリラクゼーション手段は、当業者に知られており、必要に応じて選択して実装することができる。適切なドライマッサージ装置は、例えば、ドイツ特許出願公開第202019105636号明細書に開示される。
【0017】
特定の実施形態では、次いで、リラクゼーション手段によって接触面が少なくとも部分的に形成される。
【0018】
本発明に係る装置は、少なくとも1つの光源を更に備える。この光源は、200nm~230nmの波長範囲の光放射を放出するように構成される。この点において、光源は、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射に放射領域を曝露するように更に構成される。
【0019】
特に好ましくは、放射領域は、接触面が実質的に完全に曝露され得るように、特に、ユーザが接触面と接触していない場合に接触面が常に前述の波長範囲の光放射に曝露されるように位置合わせされ得る。接触面がユーザによって現在操作される場合、例えば、光放射もユーザに影響を及ぼす可能性がある。
【0020】
驚くべきことに、さもなければUVC放射線から予期される人皮膚への損傷は、前記波長範囲において生じないことが見出された(Longterm effects of 222 nm ultraviolet radiation C sterilizing lamps on mice susceptible to ultraviolet radiation,Yamano,Nozomi et al,Photochemistry and Photobiology,doi:10.1111/php.13269)。
【0021】
本発明の特定の利点として、接触面だけでなく、空気又は水などの放射領域に配置される流体も、殺菌放射線に曝露される。本発明に係る範囲内の前記放射線は、さもなければUVC放射線から予期されるような人の皮膚及び目にいかなる損傷も引き起こさないため、公共空間内のユーザにとって特に安全な環境を確保することができ、これは、特にパンデミック警報が強化されたときの安全性の必要性の高まりに合致する。
【0022】
したがって、本発明に係る装置は、人々に害を与えることなく公共エリアに設置することができ、連続モードで動作することができる。それらの装置は、清掃従業員の努力を問わず、ユーザによって衛生的に完全な状態で常に見出され得る。また、前記範囲内の前記UV放射線は、好ましくは、動作中に使用される少なくとも全ての表面又は接触面を常に前記UV放射線に曝露できるように選択される。動作中、それぞれの放射線を伴うUVランプをオフに切り替える又は作動し続けることができる。後者の場合、人のそれぞれの表面も殺菌され、これは更なる所望の効果となり得る。更に、人と光源との間の空気空間として画定され得る放射領域も、前記放射線に曝露されて、それを殺菌する。本発明に係る解決策は、公共空間又はフィットネスセンターでの公共アクセス可能な機器の使用に関する信頼性の向上を可能にする。
【0023】
特定の実施形態において、光源は、207~222nmの範囲に波長ピークを有し、少なくとも0.5mJ/cm2から最大で500mJ/cm2まで、特に2mJ/cm2~50mJ/cm2、非常に好ましくは約2mJ/cm2~20mJ/cm2の放射線範囲のエネルギーを有する実質的に単一エネルギーのUV放射線を放出するように構成される。
【0024】
例えば、エネルギーは、放射領域内の線量として規定されてもよく、放射領域は、光源のビーム角を含む体積を規定する。特に好ましくは、光源は、手足の長さが0.1m~2m、特に0.5m~2mの場合の所定のビーム角にわたって放射領域内の前述のエネルギーが分布されるように設計される。
【0025】
特定の実施形態において、光源は、207~220nmの範囲に波長ピークを有する実質的に単一エネルギーのUV放射線の調整可能なエネルギーを放出するように構成される。特に好ましくは、光源は、制御システムを介して放射領域内の前記エネルギーに前記光放射を供給するように設計される。例えば、エネルギーは、装置の形状、接触領域、及び/又は放射領域に基づいて当業者によって調整可能であり得る。また、対処されるべき特定の細菌に基づいてエネルギーを特に調整可能にすることができ、制御システムは、好ましくは、調整された細菌又は病原体が前記放射領域における光源のエネルギーの特定の設定を引き起こすように設計される。
【0026】
特に、光源は、207~220nmの波長範囲にピークを有するとともに放射線範囲内で少なくとも0.5mJ/cm2から最大で10mJ/cm2のエネルギーを有するUV放射線でヘモフィルス種由来の細菌を不活性化するように設計される。
【0027】
特に、光源は、207nm~220nmの波長範囲にピークを有するとともに放射領域で少なくとも0.3mJ/cm2~2mJ/cm2のエネルギーを有するUV放射線でコロナウイルス科のウイルスを不活性化するように設計される。
【0028】
特に好ましくは、光源は、222nmのピーク波長を伴う実質的に単一エネルギーのUVC放射線を放出するように構成される。
【0029】
驚くべきことに、言及したエネルギー及びそれぞれの波長範囲を用いて、曝露表面の殺菌の高い信頼性を達成することができ、同時に、言及した波長範囲におけるUVC放射線のそれぞれの無害性の利点を得ることができることが分かった。
【0030】
この理論に縛られることなく、言及された波長範囲は、皮膚表面、表皮に主に吸収されるとともに他の場所で他のUV放射線が引き起こし得るような人細胞への浸透に成功せず且つそこで望ましくない細胞損傷を引き起こさない波長であるように思われる。
【0031】
特定の実施形態では、光源がエキシマベースのランプを備える。特に、光源は準単色光源を備える。これに代えて及び/又は加えて、光源は、光源の発光スペクトルを前記範囲、特に約207nm又は222nmにピークを有する波長まで低減するための少なくとも1つのバンドパスフィルタを備える。
【0032】
特に好ましくは、光源は、クリプトン塩素又はクリプトン臭素(Kr-Cl、Kr-Br)から成るグループから選択されるエキシマ分子を伴うランプを備える。
【0033】
特定の実施形態において、光源は、207nm~230nmの範囲の波長外の波長を除去するように構成されるバンドパスフィルタを備える。すなわち、バンドパスフィルタは、226nmよりも短い波長を実質的に通過させるように設計される。本発明の目的のために、実質的に通過させることとは、対象の波長の光放射に関して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の光透過率を有することであると理解される。
【0034】
他の特定の実施形態において、光源は、230nmよりも短い波長に関して少なくとも80%の光透過率を有するショートパスフィルタを備える。特に好ましくは、ショートパスフィルタは、226~232nmの範囲にエッジを有する。他の特定の実施形態において、ショートパスフィルタは、少なくとも1つ、好ましくは2つのフィルタ層を備える干渉フィルタを有する。
【0035】
特に好ましい実施形態において、光源は、207nmのピークを有する波長、特に10%以上の相対出力で発光スペクトルが200nmよりも大きく214nm未満である、より好ましくは204nmよりも大きく210nm未満である実質的に207nmのピークを有する波長の光を実質的に放出するエキシマベースのランプを備える。
【0036】
別の特定の実施形態において、光源は、222nmのピークを有する波長、特に10%以上の相対出力で発光スペクトルが215nmよりも大きく229nm未満である、より好ましくは219nmよりも大きく225nm未満である実質的に222nmのピークを有する波長の光を実質的に放出するエキシマベースのランプを備える。
【0037】
放出される波長範囲を達成するために、クリプトン塩素又はクリプトン臭素などの適切なダイマー対が使用されてもよく、特定の実施形態では、適切なバンドパスフィルタが更に設けられてもよい。
【0038】
特定の実施形態では、本発明に係る光源が冷却システムを備える。特に好ましくは、空気による冷却をもたらすために光源にフロージェネレータが設けられる。
【0039】
特定の実施形態では、ランプと環境との間の熱交換を容易にするために熱伝導構造が設けられてもよく、特に、廃熱を放散するために表面膨張フィンが設けられてもよい。これに加えて又は代えて、ファンなどのフロージェネレータを設置することができ、このフロージェネレータは、ランプ動作からの廃熱によってもたらされる熱の蓄積を放散することができる。
【0040】
特定の実施形態において、装置は、それぞれが放射領域を有する複数の光源を備える。
【0041】
特に、アームチェア又はシートパンなどの幾何学的に複雑な構成の場合、それぞれが独自の放射領域を有し、したがって全ての接触面が照射され得るようにする幾つかの光源が設けられると有利であり得る。異なる放射領域が重なり合う場合には、例えば、特に曝露される接触面に更なる放射線を供給することが望ましい場合もある。しかしながら、一方では殺菌性能を高めるために、他方では構造上又は設計上の理由から、例えば既存の空間を特大のランプで満たすことを回避するために、複数のランプがいわば並列に設置されて同じ接触面に作用することも考えられる。
【0042】
特定の実施形態において、放射領域は、少なくとも1つの接触領域が未使用状態で実質的に完全に覆われるとともに207~222nmの範囲のピークを有する光放射に曝露可能であるように構成される。これに加えて又は代えて、放射領域は、使用中に、隣接する接触面に加えてそれを使用する人を曝露するように選択され得る。
【0043】
特定の実施形態において、光源は、約207又は約222nmの範囲にピークを有し、約4nmの半値幅を伴う、光放射を放出するように構成される。
【0044】
他の特定の実施形態において、本発明に係る光源の配置は、一方の状態を他方の状態に移行させることができるように、すなわち、光源が全体として移動可能に配置されるように設計することができる。
【0045】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、少なくとも1つの光源又は複数の光源のそれぞれのための制御ユニットを備える。制御ユニットは、例えば、放射強度、間隔、放射領域の幾何学的位置合わせをそれぞれの条件に合わせていずれの場合にも調整することができる。例えば、制御ユニットは、移動可能に配置された光源が本発明に係る装置の全ての接触面に完全な影響をもたらすそれぞれのシーケンスを実行するそれぞれのメンテナンスプログラムを実行するように設計され得る。同様に、制御ユニットは、例えば、装置が使用されているときに光源の適切な再配向を実行するように構成されてもよい。特に好ましくは、制御ユニットは、放射範囲内のエネルギーmJ/cm2が制御ユニットによって設定され得るように設計される。
【0046】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、例えば、装置の使用を検出するセンサを備える。更に、装置を使用する人の体重を検出するためのセンサが設けられてもよい。次いで、制御ユニットは、接触面に適用される放射線を身体比率又は人の検出に合わせて調整するように設計され得る。
【0047】
特定の実施形態において、本発明に係る光源は、光源を使用する人々が光源に触れるのを防止する接触保護を備える。このようにすると、光源の全体的な耐用年数を延ばすことができ、火傷の危険性を最小限に抑えることができる。最も単純な実施形態では、例えば、光源が触れられることを防止するグリッド又はガラス板を設けることができる。
【0048】
人は言及されたスペクトル内の光を知覚することができないため、それぞれの光源を有する本発明に係る装置の使用は、示された装置のリラクゼーション目的に有害ではない。
【0049】
特別な実施形態において、光源は、装置を使用する人が殆ど気付かないように設置される。この目的のために、例えば、光源を隠す適切なスクリーンを設けることができる。
【0050】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、少なくとも1つの光源を保持するためのキャリアを備える。特に好ましくは、キャリアは、接触面が実質的に完全に配置される放射領域を画定するビーム角を光源が有するように配置される。更に、放射領域内の流体、例えば水又は空気が放射線に曝露される。
【0051】
他の特定の実施形態において、キャリアは、回動アームとして設計されるとともに、光源の位置合わせをユーザ又は制御ユニットによって自動的に実行できるように、放射領域を位置合わせするための少なくとも1つのジョイントで構成され、この位置合わせは、少なくとも1つの接触面が完全に配置される放射領域を光源のビーム角が画定するようにする。
【0052】
特に好ましくは、キャリアは、本発明に係る装置に着脱可能に接続され得る。
【0053】
特定の実施形態において、支持体は、光源が接触面の反対側に配置されるように構成される。
【0054】
したがって、ドライマッサージテーブルなどの治療用カウチの特定の例では、光源がカウチ表面の反対側、すなわちマッサージ表面の上方に配置される。動作中、接触面、すなわちマッサージを受けるときに治療される人が行く横たわり面が、放射領域の曝露領域内に完全に位置するように、光源は、マッサージ表面の4つの縁部全てを実質的に完全に覆うビーム角を有する。
【0055】
特定の実施形態では、キャリアがロボットアームとして設計される。特に好ましくは、キャリアは、少なくとも4つの軸線及び4つの自由度を有するSCARAロボットとして設計される。制御ユニットとの相互作用において、そのようなロボットアームは、例えば、特定のメンテナンス及び殺菌プログラムを実行することができ、このプログラムでは、例えば、特別な装置の幾何学的形状の静的な連続曝露ではアクセスできない角及び隅が更に照射される。制御ユニットは、例えば、使用前にそのようなメンテナンスプログラムを実行するように設計され得る。これが将来のユーザの存在下で行なわれる場合、リラクゼーション装置の衛生的な欠陥のない信頼性を更に高めることができる。これに加えて又は代えて、制御ユニットは、リラクゼーション装置の使用の完了時にそのようなメンテナンスプログラムを実行するように構成されてもよい。
【0056】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、人のリラクゼーションのための刺激を生成及び/又は抑制するためのリラクゼーション手段を備える。リラクゼーション手段は、マッサージテーブル、治療用椅子、ドライマッサージ器、浴槽、感覚遮断及び/又は減衰カプセル、並びに自動マッサージ器から成るグループから選択されてもよい。
【0057】
そのような装置は、原則として当業者に知られている。ドライマッサージ器は、例えば、水の噴流が人に運動エネルギーを伝達して、マッサージ噴流と人との間に可撓性膜を配置することによってマッサージ効果を生み出す装置である。ドライマッサージ器を例えばウォーターベッドと同様に装備することができ、そのようなマッサージ器は、適切なノズルを伴う動作中にユーザの身体割合に沿って移動し、したがってSPAのマッサージノズルと同様のマッサージ効果を作り出す。
【0058】
本発明の目的のために、感覚遮断カプセル及び/又は減衰カプセルが実質的に遮音性であるカプセルとして理解され得る。更に、カプセルの内部は暗くてもよい。特別な感覚遮断カプセルは、無重力感を更に作り出す塩水浴も含む。これらのカプセルは、通常、完全に暗い。驚くべきことに、そのようなカプセルは、言及された波長範囲のUV光による殺菌がリラクゼーション効果を妨げず、人が目に見える光を生成しないため、理想的には本発明に係るシステムにより殺菌され得ることが見出された。遮音カプセルを作成するのに適した材料は、メラミンスポンジ、例えばメラミン樹脂発泡体及び/又は発泡材料などの多孔質材料である。
【0059】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、換気流を生成するための通気口を更に備える。最も単純な実施形態では、例えば、本発明に係る装置のユーザに新鮮な空気を供給するフロージェネレータを設けることができる。更に、殺菌チャンバが換気流と流体連通して設けられてもよい。殺菌チャンバは、換気流の物理的殺菌を実行するように構成されてもよい。
【0060】
この殺菌チャンバは、ユーザがアクセスできず、したがって前記ユーザが潜在的に有害な紫外線に曝露されない閉鎖系に設置することができるため、殺菌チャンバは、例えば、実質的に254nmの波長を有する単純なUV殺菌ランプに基づくことができる。
【0061】
好ましくは、殺菌されるべき空気が殺菌チャンバに出入りできるように、換気流が通過できる光トラップが殺菌チャンバの周囲に構築される。例えば、ファンをフロージェネレータとして設けることができる。
【0062】
特定の実施形態において、本発明に係る装置は、接触面に対する光源の位置を検出するように特に設計されるセンサを備える。適切なセンサは、例えば赤外線センサである。空間内の光源の向きを検出することができる加速度計又は磁力計を設けることも考えられる。装置に適合したメンテナンスプログラムは、例えば、制御ユニットと相互作用して実行することができる。本発明に係る幾何学的に移動可能な装置の場合、制御ユニットは、全ての角及び隅がメンテナンスプログラムによって処理されるようにすることができる。これは、例えば、椅子に変換され得るマッサージテーブルに関して当てはまり得る。
【0063】
追加及び/又は代替的な実施形態において、センサは、使用を検出し、それに応じて調整されたビーム角、したがってユーザによる接触面の可想定し得るカバレッジを考慮に入れる放射領域を画定するように構成される。
【0064】
特定の実施形態において、光源は、接触面が後方から、すなわち表面材料を通じて照射されるように、接触面の背後に配置される。この実施形態は、接触面が200nm~230nmの波長範囲の指定放射線を実質的に透過することを必要とする。
【0065】
本発明に係る装置は、パンデミック警報が強化されるときに、公的にアクセス可能な又は更にはリラクゼーションのための個人的な装置におけるユーザの信頼が維持されるようにする。それぞれの装置は常に衛生的に完全な状態に保つことができ、装置を洗浄するために追加の人員を必要としない。
【0066】
当業者に自明であるように、記載された全ての好ましい及び特別な実施形態は、それらが相互に排他的でない限り、本発明に係る実施形態において任意の組み合わせで実施することができる。
【0067】
本発明の他の態様は、200nm~300nmの波長範囲の光放射を放出するように構成される少なくとも1つの光源の使用であって、リラクゼーション装置の少なくとも1つの接触面が放射領域内に配置されて放射線に曝露され得るような、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射を含む放射領域をリラクゼーション装置内に生成するための使用に関する。
【0068】
この使用によれば、本明細書に開示される教示内容を考慮して適切な光源を取り付ける又は設置することができる場合、既存のリラクゼーション装置を本発明に係る装置にアップグレードすることができる。
【0069】
特定の実施形態において、本発明に係る使用は、放射領域を接触面に対して位置合わせすることができるように、リラクゼーション装置への機能的接続に適したキャリアを備える。
【0070】
特定の実施形態において、本発明に係る使用は接続インタフェースを更に備え、この場合、光源は、アップグレードされるべき装置の接触面が光源によって照射され得るようにするそれぞれのインタフェース及び制御機能を有する。したがって、インタフェースは、例えば装置による、ロボットアームであってもよいキャリアの制御を可能にし得る。
【0071】
本発明の他の態様は、人の身体的リラクゼーションのための装置を殺菌するための方法に関する。
【0072】
本方法は、少なくとも1つの光源を用意するステップを含む。光源は、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光ビームを放出するように設計される。この目的のために、光源は、放射領域を画定するビーム角を有する。この放射領域では、全てが207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光に曝露される。本発明に係る方法は、光源を配置するステップを更に含む。この目的のために、装置の殺菌されるべき接触面は、光源の放射領域内に配置されなければならない。続いて、放射領域は、指定された波長の放射線に曝露される。
【0073】
特定の実施形態において、本発明に係る方法は、207nm~222nmの波長範囲、特に207nm又は222nmの波長範囲にピークを有する光放射に放射領域が曝露され得るように、200nm~230nmの波長範囲の光放射をフィルタリングするステップを含む。特に好ましくは、フィルタリングは、バンドパスフィルタ、特に226nm~232nmの波長範囲にエッジを有するショートパスフィルタを用意するステップを含む。
【0074】
特定の実施形態では、配置するステップが制御システムによって行なわれる。この目的のために、例えば、装置に関する既知のデータに基づいてメンテナンスプログラムとして照射を行なう制御ユニットを設けることができる。この場合、照射は、例えば、装置の幾何学的特徴に合わせて調整することができる。この目的のために、放射領域が異なる接触面を異なる時間にわたって照射するように光源を移動させることができる。
【0075】
特定の実施形態では、回動アームとして構成されるキャリアによって配置が実行される。これは、前述の制御ユニットによって行なうこともできる。
【0076】
他の特定の実施形態において、光源の配置は、例えば回動アームを使用して制御ユニットによって光源を制御することによって、接触面に対する光源の検出された位置に基づいて自動的に実行される。
【0077】
本発明は、特定の典型的な実施形態及び図に関連して以下により詳細に説明されるが、これらに限定されるものではない。当業者にとって、更なる有利な実施形態は、これらの特定の典型的な実施形態の研究によってもたらされる。説明を簡単にするために、図中、同じ部分には同じ参照番号が付されている。
【0078】
本発明の典型的な実施形態は、以下の図に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図3a】既存の身体的リラクゼーション装置をアップグレードするための構成要素セットを示す。
【
図4】本発明に係る装置の他の別の実施形態を示す。
【
図6】適切なバンドパスフィルタの透過曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、本発明に係る装置の基本的な実施形態を示す。装置は、リラックスを求める人が臥位をとることができる、人の身体的リラクゼーションのための装置である。この目的のために、横たわり面として設計される接触面11が設けられる。本実施例において、横たわり面は、ヘッド領域が首で支持機能を有するように解剖学的に成形される。接触面11は、特にマッサージ面として設けることができる。
図1には示されていないが、接触面11は、例えば、カウチ本体10から接触面11に伝達される運動力をユーザに伝達することができる膜として構成することができる。したがって、カウチ本体10は、膜として構成される接触面11と共にドライマッサージ装置として形成されてもよい。
【0081】
ドライマッサージ装置は、一連の回動可能なウォーター噴流ノズルと、カウチネック本体10と膜として形成される接触面11との間に水が充填される共通空間とを備える。マッサージ噴流は、水の噴流によって身体的リラクゼーションのために装置に横たわっている人の身体の個々の領域を選択的にマッサージすることができる。膜は、プロセス中に水噴流がユーザを濡らすのを防止する。カウチ本体10内の適切なポンプが、安定した水流を供給することができる。更に、人の身体的リラクゼーションのためのそのような装置は、それぞれの水噴流の加熱及び冷却をそれぞれ行なうための加熱及び/又は冷却要素を伴って設計され得る。膜として構成される接触面は、この温度効果がユーザに作用できるようにする。
【0082】
使用時に、接触面11は、ユーザによる直接的な身体接触に晒される。身体的リラクゼーションのために示される装置を使用したい人は、接触面11上に横たわる。したがって、この面が可能な限り衛生的に欠陥がないことが重要である。この目的のために、
図1に示される装置は、放射領域Aを画定するビーム角を伴う光源13を有する。ビーム角は、接触面がヘッド端部からフット端部までの放射領域に接触面の全幅にわたって配置されてそれぞれの光放射に曝露され得るように、ランプの形状及びランプ本体内の任意の反射器によって選択及び制御される。本例では、光源は、キャリア12を介してカウチ本体10に接続される。カウチ本体10は、複数のフット9によって表面上に配置され得る。
【0083】
特定の実施形態において、フット9は、装置を移動可能にするローラを更に備えてもよい。
【0084】
本実施例において、光源は、222nmの波長でUV放射線を放出するように選択される。波長が222nmにピークを有する可能な限り狭いスペクトル内にあるようにするために、この例では、狭いスペクトルのクリプトン塩素エキシマランプが使用される。更に、ランプは、222nm外の波長を実質的に吸収するバンドパスフィルタを伴って設計される。例えば、単一又は複数のコーティングを伴う合成石英ガラス製のショートパスフィルタが適している。
【0085】
動作中、光源は連続的に作用することができる。任意の安全限界及び最大線量を設定することができる。原則として、そのような装置はいずれの場合にもそれらの使用持続時間が制限される。例えば、人のリラクゼーションのために公共空間でアクセス可能な装置は、多くの場合、それぞれのユーザが装置における特定の使用単位時間を購入する支払いシステムを備えている。好ましくは、本発明に係る装置には非接触支払いシステムが使用される。本発明に係るマッサージテーブル、例えば冒頭で説明したドライマッサージテーブル上の典型的な治療は、5~45分続く。人体及び人の目について言及された波長の低い影響、並びに、微生物に関するその有効性に起因して、それぞれの光源を使用中にオフにする必要はない。逆に、マッサージ効果に加えて、ユーザの衣服又は身体の殺菌効果も生じることが望ましい場合さえある。
【0086】
また、本実施例では、222nmにピークを有するクリプトン塩素ガスランプに空冷を設けてもよい。
【0087】
装置の本発明に係る他の実施形態が
図2に示される。
図2は、例えば、ユーザが着座した状態で吸入処理が行なわれる吸入器及びスチームフードとして用いることができる。
図2に示されるカプセルは、例えば、断熱材料などの感覚遮断材料を使用することによって、リラクゼーションカプセルとして使用することもできる。
【0088】
したがって、
図2に示される人をリラックスさせるための装置は、座面の形態の接触面11を有する。この接触面11は、フット9によって地面に配置することもできる椅子本体14に基づいている。リラクゼーションを求める人が座ることができる接触面11のヘッド領域には、ユーザの胴体の中央まで頭部及び肩を覆うように延在するフード16が設けられる。フードは、回動機構を介して開状態(図示せず)から閉状態(図示)に移行できるように、移動可能に構成され得る。これにより、人々が装置に乗ることがより容易になる。フードの内側には、所定のフードボリュームがある。フードは、回動軸線15を介して開閉することができる。図示のタイプの幾つかの装置は、フード16を機械的に開閉することができる。例えば、選択されたプログラムの後、フードを自動的に閉じ、それぞれのリラクゼーションプログラムを実行することができる。図示の装置は、様々な想定し得るリラクゼーションプログラムを有することができる。例えば、フード16は、音響発泡体などのノイズ減衰材料で裏打ち又は形成されてもよく、それにより、ノイズ減衰が内部で発生し、聴覚遮断を通じてリラクゼーションが可能である。ガイド付きメディテーションなどの適切な音楽又は音声プログラムを再生するために、フード内に付加的なスピーカを設けることも考えられる。フード16の材料は、所望のリラクゼーションのタイプに応じて、透明、不透明又は非透明であってもよい。また、蒸気及び臭気物質のための出口ノズルが設けられてもよく、これらの出口ノズルは、そのような物質をユーザの呼吸に供給することによってフード16の内部にリラックスした雰囲気を作り出す。リラクゼーションを促進することができる様々な光プログラムも考えられる。
【0089】
特定の実施形態において、例えば、フード及びフード内部は、森林のスペクトルに対応する光プログラムを再生するように構成されてもよい。同時に、葉のカサカサ音又は鳥の鳴き声などのリラックスする森林音を再生することができ、リラックスを促進する香り及び樹脂及び松脂の香りなどの物質を、出口を介してフード内に供給することができる。
【0090】
本例では、接触面11は、平面ではなく、異なる領域に分割される。したがって、それぞれが独自の放射領域A1、A2、A3を有する複数の光源13がフード上に設けられている。放射領域のリフレクタ及びランプ形状は、本質的に接触面11全体がそれぞれの放射線に曝露され得るように選択される。特に使用される領域、例えばヘッドレスト(図示せず)の領域では、2つの光源が放射領域A1、A2間に重複領域を形成して、殺菌効果を更に高めることができる。効率上の理由から、この例では、フット領域などのあまり重要でない領域では、フット領域を殺菌する放射領域A3を形成するのに、1つの光源13で十分である。
図1に係る上記の装置のように、光源13は、207nmのピークを有するスペクトルを放出することができるランプを備えるため、光源は、人によって使用されるときにこの実施形態においてもオフにされる必要はない。
【0091】
適切なバンドパスフィルタは、ピークがより特異的になり且つUV光の殺菌効果を低下させることなく身体に対するUV放射線の対応する悪影響が回避されるように、波長範囲を更に狭めることができる。本実施例では、クリプトン臭素エキシマランプを使用して、207nmのUV光波長を生成する。
【0092】
そのようなランプは、その動作モードに関して知られている(Buonanno M.,et al.207 nm UV Light-A Promising Tool for Safe Low-Cost Reduction of Surgical Site Infections.;インビトロ研究.PLoS One 8(10)、2013)。
【0093】
接触面の殺菌を更に改善し、身体的リラクゼーションのための既存の装置をアップグレードするために、
図3aは、それぞれの光源を備えるとともに身体的リラクゼーションのための装置と共にキャリアに接続され得る装置を示す。殺菌装置20は、ヘッド端部に、207nm~222nmの波長範囲にピークを有する光放射を生成することができるエキシマランプを備えるそれぞれの光源13を含む。約2-20mJ/cm
2の放射領域のエネルギーを目標とする。
【0094】
光源13は、光源ソケットに収容され、それぞれの放射円錐を制御する付加的なリフレクタスクリーン21を有する。リフレクタ21及び光源13は、ランプハウジング22に収容される。好ましくは、ランプハウジング22は、放熱を促進するための手段を備え、例えば、「プレースホルダ」22と周囲温度との間の熱交換を容易にできるリブ又はフィンを設けることができる。光源13及びそれぞれのランプソケットは、回動アームの遠位端部を形成する。また、「プレースホルダ」22の遠位端部には、光信号を検出可能なセンサ28も取り付けられる。例えば、センサは、動きを検出するように又は障害物もしくはユーザの存在を検出するように構成されてもよい。
【0095】
光学センサは、距離を測定するように構成することもできる。更に、空間内のランプヘッドの位置を検出する加速度計及び磁力計(図示せず)がランプヘッド22に設けられてもよい。ビームは、様々なジョイント24.1、24.2、24.3によって互いに接続される様々なジョイントモジュール23.1、23.2、23.3、及び23.4から形成されてもよい。ジョイントモジュール23.1、...23.4及びジョイント24.1、24.2、24.3の数は、所望の自由度及びキャリアの位置合わせ幾何学的形状によって成され得る。
【0096】
キャリアは、接続プレート26に結合されるフット要素25上に載置される。インタフェース27が、装置を制御システム及び人の身体的リラクゼーションのための装置の電源に接続できるようにする。前記装置がそれぞれの制御ユニットを有する場合、それぞれのメンテナンスプログラムは、例えば、装置の識別及び種類、並びに装置の構成を含むデータ記録により、キャリア及び殺菌アームによって実行することができ、このプログラムは、接触面全体が治療可能であるようにする。例えば、一般の人々が使用することができるリラクゼーション用の装置又は一般的な装置の到達困難な領域は、ロボットによって到達することができ、例えば、凹状のグリップ又はレバーは、ロボットアームによって具体的に対処され、光源により照射され得る。
【0097】
したがって、本実施形態は、静的接触面の静的殺菌に限定されず、リラクゼーションのための装置の使用後、使用中、又は使用前に動的殺菌を行なってもよい。この場合、センサシステムは、ロボットアームがそのようなユーザを検出して適切な安全距離を維持するという点で、メンテナンスプログラムによってユーザが意図せず影響を受けることを防止するために使用することができる。好ましくは、光源13は、接触保護によってユーザが接触しないようにされる。
【0098】
インタフェース27は、換気システムに接続されるように更に構成されてもよい。したがって、それぞれの換気流も、ロボットアームを通じて導かれ、例えば、遠位端部、すなわちロボットアームのヘッド部にあるそれぞれの排出ノズルを介して排出され得る。特に好ましくは、そのような換気システムも殺菌チャンバと共に設計される。この換気システムは、ユーザと接触していない殺菌チャンバを含むことができるため、従来の殺菌、例えば254nmの波長範囲で動作され得る。したがって、動作が安全であり、公共の場所であっても実質的に無菌状態での使用を確保する、人のリラクゼーションのための装置をもたらすことができる。
【0099】
図3bは、それぞれの遠位端部、すなわち
図3aのロボットアームのヘッド部を詳細に示す。したがって、ランプハウジング22は、それに応じて装着されるリフレクタ及び光源(
図3bには示されない)と共に、それぞれの放射領域Aを形成する。この放射領域Aは、制御ユニットがこの放射領域を使用して全ての表面の適切な殺菌を行なうことができるようにするべく、パラメータとして制御ユニットに供給され得る。実際に、制御ユニットは、光源13と殺菌されるべき接触面11との間の最大有効距離が常に維持されることを保証することができる。支持のために、センサ28は、それぞれの距離を動的に検出し、それを制御ユニットに転送することができる。
【0100】
回動可能要素23.4は、多数の自由度を可能にし、本発明に係る解決策を用いて複雑な形状でさえも本質的に独立して物体を殺菌することを可能にする。
【0101】
他の実施形態が
図4に示される。図示の装置は、フットバス装置30である。フットバス装置30は、シートバック31及びシート本体14も有し、シート本体は、既に説明した前記フット9上に載置され、したがって表面上に配置され得る。フットバス装置30の新しい特徴は、液体で満たされるフットタブ32である。シート本体14に対向する側には、下腿及びふくらはぎに液体の噴流を動力学的に適用する複数のマッサージノズル33が形成される。また、フットタブ34は2つの光源13も有する。光源は、タブ34の内部のほぼ全体が光放射に曝露され得るように配置される。
【0102】
驚くべきことに、水は、透過媒体として言及されたスペクトルにおけるそれぞれのUV光の動作モードに決して有害ではないことが分かった。これはまた、フットバス装置30に使用される水が常に無菌であるようにする。前述の実施形態によれば、光源13は、207~222nmの範囲にピークを有する波長を放出することができ、この場合、ピークを狭く保つために、一波長が選択されてもよく、又は、複数の波長の組み合わせ及びそれぞれのバンドパスフィルタが設けられてもよい。
【0103】
図5は、この場合にはネック部分46を有する着用可能なベストである、本発明に係る他の装置を示す。このネック部分46は、ユーザ41の首の筋肉に動力学的に働きかけてユーザ41のリラクゼーションを打ち消す機械的に動作するマッサージローラ43を有する。身体側(例示を目的として、ネック要素46は、この例では透明に示される)には、ネック装置46とユーザ41との間の接触面全体が殺菌され得るように、ユーザ41と回転ローラ43との間の接触面をそれぞれの放射領域A1、A2で覆う照明手段13が設けられる。
【0104】
図6は、例えば
図1に係る実施形態で使用される光源に適したフィルタの透過曲線を示す。使用されるフィルタは、例えばSiCl
4(四塩化ケイ素)で作られた二重被覆合成石英ガラスに基づくフィルタである。コーティングは、干渉フィルタとして機能し、物理的又は化学的ガス蒸着プロセスによって塗布され得る。特に好ましくは、使用されるフィルタは、透過と反射との間の鋭い移行を有する。
【0105】
図示の典型的なショートパスフィルタは、210~約230nmの範囲で90%を超える光透過率を有し、229~232nmにエッジを伴う。
【0106】
図7は、222nmの範囲にピークを有する、本発明に従って使用するために生成された波長の一例を示す。そのような波長は、
図7に関して説明したように、フィルタによりフィルタリングした後に222nmにピークを有する発光スペクトルを伴うクリプトン塩素エキシマランプを使用する場合に生成され得る。
【0107】
相対出力は本質的に222nmの範囲内であり、本例ではスペクトルの半値幅が約4nmである。
【0108】
本発明は、細菌の拡散を阻止する衛生装置を提供しながら、リラクゼーション装置に対する公衆の信頼を向上させるのに適した装置及び光源の使用、並びに前記装置を動作させる方法を開示する。
【0109】
当然のことながら、リラクゼーション装置の分野における多数の他の適用分野が、記載された典型的な実施形態に基づいて当業者には考えられる。
【国際調査報告】