(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ペイメントレールを介した販売業者の暗号通貨受領のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20230726BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580123
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 SG2021050282
(87)【国際公開番号】W WO2021262089
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517187728
【氏名又は名称】マスターカード アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mastercard Asia/Pacific Pte.Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】スリナス ラヴィナサン
(72)【発明者】
【氏名】ドンハオ フアン
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA11
(57)【要約】
発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための方法は、販売時点情報管理装置から生じる、及び決済ネットワークを介して経路付けされる、法定決済トランザクションの承認要求を受信することと、トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座について、ブロックチェーン決済の受領を識別することと、ブロックチェーンネットワークに関連付けられた電子ウォレットの宛先アドレスを受信することと、ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンノードに新しいブロックチェーントランザクションを送信することと、ブロックチェーンノードからトランザクション識別子を受信することと、法定通貨決済トランザクションの承認応答を、販売時点情報管理装置への経路付けのために決済ネットワークに送信することと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための方法であって、
処理サーバの受信器によって、販売時点情報管理装置から生じる、及び決済ネットワークを介して経路付けされる、法定通貨決済トランザクションの承認要求を受信することであって、前記承認要求は、少なくとも、トランザクション口座番号とトランザクション額とを含む、ことと、
前記処理サーバのプロセッサによって、前記トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座について、ブロックチェーン決済の受領を識別することと、
前記処理サーバの前記受信器によって、ブロックチェーンネットワークに関連付けられた電子ウォレットの宛先アドレスを受信することと、
前記処理サーバの送信器によって、前記ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンノードに新しいブロックチェーントランザクションを送信することであって、前記新しいブロックチェーントランザクションは、少なくとも、前記宛先アドレスと、前記トランザクション額に基づく暗号通貨額と、デジタル署名と、1つ以上の未使用トランザクション出力と、を含む、ことと、
前記処理サーバの前記受信器によって、前記ブロックチェーンノードからトランザクション識別子を受信することと、
前記処理サーバの前記送信器によって、前記販売時点情報管理装置への経路付けのために、前記決済ネットワークに、前記法定通貨決済トランザクションの承認応答を送信することであって、前記承認応答は、前記法定通貨決済トランザクションの認可の標示と、前記トランザクション識別子とを含む、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記処理サーバの前記送信器によって、経路付けメッセージを取引所サーバに送信することをさらに含み、
前記宛先アドレスは、前記経路付けメッセージに応答して前記取引所サーバから受信される、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記経路付けメッセージは、前記承認要求と前記承認応答とをフォーマットする際に使用される1つ以上の規格に従ってフォーマットされる、方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の方法において、
前記経路付けメッセージに対する前記応答は、為替レートをさらに含み、
前記暗号通貨額は、前記為替レートと前記トランザクション額とに基づく、
方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法において、
前記処理サーバの前記プロセッサによって、暗号鍵ペアの秘密鍵を識別することと、
前記処理サーバの前記プロセッサによって、前記秘密鍵を使用して前記デジタル署名を生成することと、
をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法において、前記承認応答は、金融トランザクションメッセージの交換を管理する規格に従ってフォーマットされる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記規格は、ISO8583である、方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の方法において、前記トランザクション識別子は、前記規格において指定されるような、私的使用のために確保されたデータ要素に格納される、方法。
【請求項9】
発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のためのシステムであって、
決済ネットワークと、
複数のブロックチェーンノードから構成されるブロックチェーンネットワークと、
販売時点情報管理装置と、
処理サーバと、
を含み、前記処理サーバは、
前記販売時点情報管理装置から生じる、及び前記決済ネットワークを介して経路付けされる、法定通貨決済トランザクションの承認要求を受信する受信器であって、前記承認要求は、少なくとも、トランザクション口座番号とトランザクション額とを含む、受信器と、
前記トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座について、ブロックチェーン決済の受領を識別するプロセッサと、
送信器と、を含み、
前記受信器は、ブロックチェーンネットワークに関連付けられた電子ウォレットの宛先アドレスをさらに受信し、
前記送信器は、前記ブロックチェーンネットワーク内の前記複数のブロックチェーンノードのうちの1つに新しいブロックチェーントランザクションを送信し、
前記新しいブロックチェーントランザクションは、少なくとも、前記宛先アドレスと、前記トランザクション額に基づく暗号通貨額と、デジタル署名と、1つ以上の未使用トランザクション出力と、を含み、
前記受信器は、前記複数のブロックチェーンノードのうちの前記1つからトランザクション識別子を受信し、
前記送信器は、前記法定通貨決済トランザクションの承認応答を、前記販売時点情報管理装置への経路付けのために前記決済ネットワークに送信し、
前記承認応答は、前記法定通貨決済トランザクションの認可の標示と前記トランザクション識別子とを含む、
システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記処理サーバの前記送信器は、経路付けメッセージを取引所サーバに送信し、
前記宛先アドレスは、前記経路付けメッセージに応答して前記取引所サーバから受信される、
システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記経路付けメッセージは、前記承認要求と前記承認応答とをフォーマットする際に使用される1つ以上の規格に従ってフォーマットされる、システム。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載のシステムにおいて、
前記経路付けメッセージに対する前記応答は、為替レートをさらに含み、
前記暗号通貨額は、前記為替レートと前記トランザクション額とに基づく、
システム。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記処理サーバの前記プロセッサは、
暗号鍵ペアの秘密鍵を識別することと、
前記秘密鍵を使用して前記デジタル署名を生成することと、
を実行する、システム。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記承認応答は、金融トランザクションメッセージの交換を管理する規格に従ってフォーマットされる、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記規格は、ISO8583である、システム。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のシステムにおいて、前記トランザクション識別子は、前記規格において指定されるような、私的使用のために確保されたデータ要素に格納される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領に関連する。具体的には、本開示は、従来のペイメントレール(決済レール)と販売時点情報管理装置とを使用しながら、ブロックチェーントランザクションの発行体処理の使用を通して、法定通貨(fiat)トランザクションのブロックチェーントランザクションを介した決済を可能にすることに関連する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーンは、暗号通貨を用いて決済トランザクションを行う際に使用するための記憶機構として最初に作成された。ブロックチェーンを使用することは、分散化と、分散された計算と、トランザクションに関する透明性と、さらにトランザクションに関与する個人又はエンティティに関する匿名性を提供することと、などの多くの利点を提供する。結果として、多くの消費者は、トランザクションの決済方法としてブロックチェーンを使用することに関心があるかもしれない。しかしながら、従来では、販売業者は、販売業者独自のブロックチェーンウォレットを介してブロックチェーン決済を受領するのに適したコンピューティング装置とインタフェース接続される新しい販売時点情報管理装置を提供することを要求された。この高い参入障壁は、ブロックチェーン決済の受領を可能にする最小数の販売業者をもたらした。
【0003】
したがって、消費者が、伝統的な販売時点情報管理システムを利用しながら、トランザクションの決済のためにブロックチェーンを使用することを可能にすることができる技術システムが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のためのシステム及び方法の説明を提供する。法定通貨決済トランザクションは、通常通りに進めることができ、消費者は、伝統的な販売時点情報管理装置から読み取られる決済カードを提示し、承認要求はペイメントレールを介して提出される。承認要求が発行体に到着すると、発行体は、ブロックチェーンを介した決済が可能であることを識別することができ、暗号通貨取引に対する同等額の決済のためにブロックチェーントランザクションを開始することができる。トランザクションは、従来の方法を介して、販売時点情報処理装置において完了する一方で、暗号通貨取引は、適切なトランザクション額について発行体と決済する。これは、標準的な処理を使用してアクワイアラ及び販売業者と決済されることができる。その結果、決済は、消費者によって、発行体を通じて暗号通貨を介して行われ、一方で、販売業者及びアクワイアラは、標準的な装置及びシステムを使用してトランザクションに参加し、従来の法定通貨決済を受け取る。したがって、消費者は、販売業者の伝統的な販売時点情報管理装置及びシステムを利用しながら、暗号通貨を用いた法定通貨トランザクションの決済を行うことができる。これは、任意の販売業者が、既存のシステムに何ら修正を加えることなく、暗号通貨決済を受け入れることを可能にする。
【0005】
発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための方法は、処理サーバの受信器によって、販売時点情報管理装置から生じる、及び決済ネットワークを介して経路付けされる、法定通貨決済トランザクションの承認要求を受信することであって、前記承認要求は、少なくとも、トランザクション口座番号とトランザクション額とを含む、ことと、前記処理サーバのプロセッサによって、前記トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座について、ブロックチェーン決済の受領を識別することと、前記処理サーバの前記受信器によって、ブロックチェーンネットワークに関連付けられた電子ウォレットの宛先アドレスを受信することと、前記処理サーバの送信器によって、前記ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンノードに新しいブロックチェーントランザクションを送信することであって、前記新しいブロックチェーントランザクションは、少なくとも、前記宛先アドレスと、前記トランザクション額に基づく暗号通貨額と、デジタル署名と、1つ以上の未使用トランザクション出力と、を含む、ことと、前記処理サーバの前記受信器によって、前記ブロックチェーンノードからトランザクション識別子を受信することと、前記処理サーバの前記送信器によって、前記販売時点情報管理装置への経路付けのために、前記決済ネットワークに、前記法定通貨決済トランザクションの承認応答を送信することであって、前記承認応答は、前記法定通貨決済トランザクションの認可の標示と、前記トランザクション識別子とを含む、ことと、を含む。
【0006】
発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のためのシステムは、決済ネットワークと、複数のブロックチェーンノードから構成されるブロックチェーンネットワークと、販売時点情報管理装置と、処理サーバと、を含み、前記処理サーバは、前記販売時点情報管理装置から生じる、及び前記決済ネットワークを介して経路付けされる、法定通貨決済トランザクションの承認要求を受信する受信器であって、前記承認要求は、少なくとも、トランザクション口座番号とトランザクション額とを含む、受信器と、前記トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座について、ブロックチェーン決済の受領を識別するプロセッサと、送信器と、を含み、前記受信器は、ブロックチェーンネットワークに関連付けられた電子ウォレットの宛先アドレスをさらに受信し、前記送信器は、前記ブロックチェーンネットワーク内の前記複数のブロックチェーンノードのうちの1つに新しいブロックチェーントランザクションを送信し、前記新しいブロックチェーントランザクションは、少なくとも、前記宛先アドレスと、前記トランザクション額に基づく暗号通貨額と、デジタル署名と、1つ以上の未使用トランザクション出力と、を含み、前記受信器は、前記複数のブロックチェーンノードのうちの前記1つからトランザクション識別子を受信し、前記送信器は、前記法定通貨決済トランザクションの承認応答を、前記販売時点情報管理装置への経路付けのために前記決済ネットワークに送信し、前記承認応答は、前記法定通貨決済トランザクションの認可の標示と前記トランザクション識別子とを含む。
【0007】
本開示の範囲は、添付の図面と併せて読まれると、例示的な実施形態の以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的な実施形態による、従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための高位水準のシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態による、ブロックチェーン決済の受領のための
図1のシステムの処理サーバを示すブロック図である。
【
図3A】例示的な実施形態による、
図1のシステムにおいて、従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための処理を示すフロー図である。
【
図3B】例示的な実施形態による、
図1のシステムにおいて、従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための処理を示すフロー図である。
【
図4】例示的な実施形態による、従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図5】例示的な実施形態による、コンピュータシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のさらなる適用分野は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。例示的な実施形態の詳細な説明は、例示の目的のみを意図し、したがって、必ずしも本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0010】
用語集
ブロックチェーン-ブロックチェーンに基づく通貨のすべてのトランザクションの公開台帳。1つ以上のコンピューティング装置は、ブロックチェーンネットワークを含むことができる。ブロックチェーンネットワークは、ブロックチェーン内のブロックの一部として、トランザクションを処理及び記録するように構成されることができる。ブロックが完成されると、ブロックは、ブロックチェーンに追加され、トランザクション記録がそれによって更新される。多くの事例では、ブロックチェーンは、時系列順のトランザクションの台帳とすることができ、又は、ブロックチェーンネットワークによる使用に適し得る任意の他の順序で提示されることができる。ある構成では、ブロックチェーン内に記録されたトランザクションは、宛先アドレスと通貨額とを含むことができ、例えば、ブロックチェーンは、どのくらいの通貨が特定のアドレスに帰属可能であるかを記録する。ある事例では、あるトランザクションは金融であり、他のトランザクションは金融ではない、又はトランザクションは、ソースアドレス、タイムスタンプなどの追加の若しくは異なる情報を含むことができる。ある実施形態では、ブロックチェーンは、さらに又は代替的に、その操作者によってさえ、改竄及び修正に対して強化されたデータ記録の連続的に成長する一覧を維持する分散データベース内に配置される、又は配置される必要があるトランザクションの形態として、ほぼ任意の種類のデータを含むことができる。ブロックチェーンは、プルーフオブワーク(proof of work)及び/又はそれに関連付けられた任意の他の適切な検証技術を通じて、ブロックチェーンネットワークによって確認及び検証されることができる。ある場合では、所与のトランザクションに関するデータは、トランザクションデータに付加されたトランザクションの直接的に一部ではない追加のデータをさらに含むことができる。ある事例では、ブロックチェーン内にそのようなデータを含むことは、トランザクションを構成することができる。そのような事例では、ブロックチェーンは、特定のデジタル通貨、仮想通貨、法定通貨、又は他の種類の通貨に直接関連付けられないことがある。
【0011】
決済ネットワーク-所与の期間中に、数千、数百万、さらには数十億のトランザクションについて、現金代替物の使用を介して、金銭の移転のために使用されるシステム又はネットワーク。決済ネットワークは、様々な種類のトランザクションについて金銭の移転を処理するために、様々な異なるプロトコル及び手順を使用することができる。決済ネットワークを介して実行され得るトランザクションは、製品又はサービスの購入、信用購入、デビットトランザクション、資金振替、口座引き落としなどを含むことができる。決済ネットワークは、現金代替物を介してトランザクションを実行するように構成されることができる。これは、決済カード、信用状、小切手、トランザクション口座などを含むことができる。決済ネットワークとして実行するように構成されたネットワーク又はシステムの例は、Mastercard(登録商標)、VISA(登録商標)、Discover(登録商標)、American Express(登録商標)、PayPal(登録商標)などによって動作されるものを含む。本明細書における用語「決済ネットワーク」の使用は、エンティティとしての決済ネットワークと、決済ネットワークを含む機器、ハードウェア、及びソフトウェアなどの物理的決済ネットワークとの両方を指すことができる。
【0012】
トランザクション口座-当座預金口座、貯蓄口座、掛売り口座、仮想決済口座など、トランザクションに資金を提供するために使用され得る金融口座。トランザクション口座は、消費者に関連付けられることができ、消費者は、決済口座に関連付けられた任意の適切な種類のエンティティとすることができる。このエンティティは、個人、家族、会社、法人、政府のエンティティなどを含むことができる。ある事例では、トランザクション口座は、PayPal(登録商標)などによって動作される口座などの仮想とすることができる。
【0013】
決済カード-トランザクション口座に関連付けられたカード又はデータであり、関連付けられたトランザクション口座を介して金融トランザクションに資金を提供するために販売業者に提供され得る。決済カードは、クレジットカード、デビットカード、チャージカード、ストアドバリューカード、プリペイドカード、フリートカード、仮想決済番号、仮想カード番号、制御された決済番号(controlled payment number)などを含むことができる。決済カードは、販売業者に提供され得る物理的カードとすることができ、又は(例えば、スマートフォン若しくはコンピュータなどの通信装置内に格納されるような)関連付けられたトランザクション口座を表すデータとすることができる。例えば、ある事例では、決済口座番号を含むデータは、関連付けられたトランザクション口座によって資金を提供されるトランザクションの処理のための決済カードと見なされることができる。ある場合では、小切手は、適用可能な場合には、決済カードとみなされることができる。
【0014】
販売業者-消費者又は別の販売業者などの別のエンティティによる購入のために製品(例えば、商品及び/又はサービス)を提供するエンティティ。販売業者は、消費者、小売業者、卸売業者、製造業者、又は当業者には明らかであるような、購入のための製品を提供し得る任意の他の種類のエンティティとすることができる。ある事例では、販売業者は、購入のために提供される商品及び/又はサービスにおいて特別な知識を有することができる。他の事例では、販売業者は、提供される製品においていかなる特別な知識を有さない、又は必要としないとすることができる。ある実施形態では、単一のトランザクションに関与するエンティティは、販売業者と見なされることができる。ある事例では、本明細書において使用されるように、用語「販売業者」は、販売業者のエンティティの機器又は装置を指すことができる。
【0015】
発行体-受益者のために信用状又は信用限度額を設定(例えば、開設)し、信用状又は信用限度額に指定された金額に対して、受益者が振り出した為替手形を受領するエンティティ。多くの事例では、発行体は、銀行、又は信用限度額を開設することを承認された他の金融機関とすることができる。ある事例では、受益者に信用限度額を拡大することができる任意のエンティティが発行体と見なされることができる。発行体によって開設された信用限度額は、決済口座の形態で表されてもよく、決済カードの使用を介して受益者によって引き出されてもよい。また、発行体は、デビット口座、プリペイド口座、電子ウォレット口座、貯蓄口座、当座預金口座など、当業者に明らかであるような追加の種類の決済口座を消費者に提供することができ、デビットカード、プリペイドカード、現金自動支払い機カード、電子ウォレット、小切手などのような、そのような口座にアクセスし、及び/又はそのような口座を利用するための物理的又は非物理的手段を消費者に提供することができる。
【0016】
アクワイアラ(acquirer:加盟店契約会社)-販売業者に代わって決済カードトランザクションを処理することができるエンティティ。アクワイアラは、銀行、又は販売業者に代わって決済カードトランザクションを処理することを承認される他の金融機関とすることができる。多くの事例では、アクワイアラは、販売業者を受益者とする信用限度額を開設することができる。アクワイアラは、消費者(これは、発行体によって提供される信用限度額に対する受益者であり得る)が、アクワイアラにより表される販売業者と決済カードを介してトランザクションを行う場合に、発行体と資金を交換することができる。
【0017】
決済トランザクション-あるエンティティから他方のエンティティに金銭又は他の金銭的利益が交換される、2つのエンティティ間のトランザクション。決済トランザクションは、商品若しくはサービスの購入のための、負債の返済のための、又は当業者に明らかであるような任意の他の金銭的利益の交換のための資金の移転とすることができる。ある事例では、決済トランザクションは、クレジットカードトランザクションなどの決済カード及び/又は決済口座を介して資金を提供されるトランザクションを指すことができる。そのような決済トランザクションは、発行体、決済ネットワーク、及びアクワイアラを介して処理されることができる。そのような決済トランザクションを処理するための処理は、承認、バッチ処理、清算、決済、及び資金提供のうちの少なくとも1つを含むことができる。承認は、消費者による販売業者への決済詳細の提供と、販売業者からアクワイアラへのトランザクション詳細(例えば、決済詳細を含む)の提出と、トランザクションに資金を提供するために使用される消費者の決済口座の発行体との決済詳細の検証とを含むことができる。バッチ処理は、アクワイアラへの分配のために、バッチ処理における承認されたトランザクションを、他の承認されたトランザクションと共に格納することを指すことができる。清算は、処理のために、アクワイアラから決済ネットワークへのバッチ処理されたトランザクションの送信を含むことができる。決済は、発行体の受益者が関与するトランザクションのための、決済ネットワークによる発行体の引き落としを含むことができる。ある事例では、発行体は、決済ネットワークを介してアクワイアラに支払うことができる。他の事例では、発行体は、アクワイアラに直接支払うことができる。資金提供は、清算され、決済された決済トランザクションについて、アクワイアラから販売業者への決済を含むことができる。決済トランザクション処理の一部として実行される上述のステップの順序及び/又は分類化は当業者には明らかであろう。
【0018】
従来の販売時点情報管理におけるブロックチェーン決済のためのシステム
図1は、カードに基づく決済ネットワークを利用する従来の販売時点情報管理装置とトランザクションメッセージングとを使用して行われる法定通貨決済トランザクションの決済のために、ブロックチェーンを使用するシステム100を示す。
【0019】
システム100は、発行体処理サーバ102を含むことができる。これは、本明細書では「処理サーバ」102とも呼ばれる。以下でより詳細に論じられる発行体処理サーバ102は、ブロックチェーントランザクションを介してペイメントレールを通じて提出される法定通貨決済トランザクションの決済のための、本明細書では「暗号通貨(cryptocurrency)」とも呼ばれる暗号通貨(cryptographic currency)の使用を容易にするように構成されることができる。システム100において、発行体処理サーバ102に関連付けられた発行体金融機関は、消費者104にトランザクション口座を発行することができる。トランザクション口座は、法定通貨トランザクション口座とすることができる。法定通貨トランザクション口座は、関連付けられたトランザクション口座の決済詳細と共に符号化される、消費者104に発行される決済カード106の使用を介して、標準的な(例えば、法定通貨のための)電子決済トランザクションに資金を供給するために使用されることができる。消費者104は、決済カード106を販売時点情報管理装置108に提示し、従来のトランザクション処理を使用して、関連付けられたトランザクション口座を介して法定通貨決済トランザクションに資金を供給することができる。
【0020】
従来の法定通貨決済トランザクションでは、販売時点情報管理装置108が、任意の適切な方法を使用して決済カード106から決済詳細を読み取る。決済詳細は、関連付けられたトランザクション口座のトランザクション口座番号を少なくとも含むことができる。追加の決済詳細は例えば、名前、有効期限、セキュリティコード、アプリケーション暗号などを含むことができる。販売時点情報管理装置108は、決済トランザクションのための決済詳細と追加のトランザクションデータとを、アクワイアラ処理サーバ110に提供することができる。アクワイアラ処理サーバ110は、アクワイアラ金融機関と動作される、又はそれに関連付けられることができる。アクワイアラ金融機関は例えば、法定通貨決済トランザクションの一部として資金を受け取る際の使用のために、販売時点情報管理装置108の販売業者にトランザクション口座を発行する。アクワイアラ処理サーバ110は、法定通貨決済トランザクションの承認要求を生成することができる。この承認要求は、トランザクションメッセージの種類であり、これは、ペイメントレールを介した送信と、決済ネットワーク112を介した処理とのためにフォーマットされた、特別にフォーマットされたデータメッセージである。承認要求又はトランザクションメッセージは、国際標準化機構のISO8583又はISO20022規格など、金融トランザクションメッセージの交換を管理する1つ以上の規格に従ってフォーマットされることができる。承認要求は、トランザクションメッセージの種類とすることができ、その中に含まれるメッセージ種類の標示によって指定される。承認要求は、適用可能な規格において示されるようなデータを格納する複数のデータ要素を含むことができる。これは例えば、トランザクション口座番号、他の決済詳細、トランザクション額、通貨コード、トランザクション時間、トランザクション日付、販売業者識別子、販売時点情報管理識別子、製品データ、オファーデータ、報酬データ、ロイヤルティデータなどを含む。
【0021】
承認要求は、決済ネットワーク112に、それに関連付けられたペイメントレールを介して処理するために提出されることができる。ある場合では、承認要求は、ペイメントレールを介して、アクワイアラ処理サーバ110と決済ネットワーク112との間のゲートウェイプロセッサ又は他の中間エンティティを通じて経路付けされることができる。決済ネットワーク112は、口座マッピング、不正スコア付けなどのような、承認要求に関して任意の付加価値サービスを実行することができる。決済ネットワーク112は、ペイメントレールを介して発行体処理サーバ102に承認要求を経路付けすることができる。発行体処理サーバ102は、トランザクション口座番号を使用して識別されることができる。例えば、トランザクション口座番号は、その中に発行体識別番号を含むことができる。これは、決済ネットワーク112によって使用され、発行体処理サーバ102を識別することと、承認要求をそれに経路付けすることとを実行することができる。
【0022】
従来の法定通貨決済トランザクションでは、発行体処理サーバ102が、トランザクション口座番号に基づいて消費者104によって使用されるトランザクション口座を識別し、従来の方法を使用して法定通貨決済トランザクションを認可又は否認し、ペイメントレールを介して決済ネットワーク112に承認応答を返す。システム100では、発行体処理サーバ102は、トランザクション口座番号を使用してトランザクション口座を識別し、トランザクション口座が、それに関連付けられた暗号通貨を使用する、ブロックチェーンを通じた法定通貨決済トランザクションの決済に適格であることを識別することができる。システム100では、消費者104は、例えば銀行アプリケーションプログラム、発行体処理サーバ102に関連付けられたウェブページ、などを介して、トランザクション口座の発行中又は発行後などに、任意の適切な方法を使用して、発行体処理サーバ102に、ブロックチェーン決済の受領のためのトランザクション口座を登録することができる。トランザクション口座の登録の一部として、消費者104は、以下でより詳細に説明する、暗号通貨決済の際に使用するためのブロックチェーンウォレットを発行体処理サーバ102に提供することができる、又は発行体処理サーバ102に、暗号通貨決済のために発行体処理サーバ102のブロックチェーンウォレットを使用することを承認することができる。これは、法定通貨又は暗号通貨の残高を介して消費者のトランザクション口座で決済されることができる。
【0023】
ある場合では、発行体処理サーバ102は、消費者104がブロックチェーン決済の受領のために登録したと決定すると、発行体処理サーバ102は、消費者104に関連付けられたコンピューティング装置などを介して、消費者104からブロックチェーン決済の許可を要求することができる。例えば、短いメッセージサービスのメッセージが、消費者104のコンピューティング装置に送信されることができる。消費者104は、暗号通貨を通じた法定通貨決済トランザクションの決済の承認又は否認と共にそれに応答することができる。他の場合では、消費者104は、コンピューティング装置上の電子バンキングアプリケーションプログラムなどを通じて、販売時点情報管理装置108との決済トランザクションを開始する前に、ブロックチェーン決済の承認を提供することができる。
【0024】
暗号通貨を介した決済を容易にするために、発行体処理サーバ102は、法定通貨を介した決済と引き換えに、暗号通貨決済を受け入れる意思がある暗号通貨取引所を識別しなければならない。ある実施形態では、発行体処理サーバ102は、暗号通貨取引所に直接関連付けられた取引所サーバ114に連絡することができる。他の実施形態では、第三者サービスは、決済ネットワーク112によって提供され得るような、発行体処理サーバ102の適切な暗号通貨取引所を識別するように構成されることができる。そのような実施形態では、決済ネットワーク112(例えば、又は他の第三者)は、発行体処理サーバ102によって連絡されることができ、1つ以上の取引所サーバ114に連絡して、そこから為替レートとブロックチェーンアドレスとを受信することができる。為替レートは、法定通貨決済トランザクションの際に使用される法定通貨と、取引所サーバ114によって使用される暗号通貨との間の通貨交換レートとすることができる。ブロックチェーンアドレスは、取引所サーバ114によって使用される暗号通貨のトランザクションのために使用されるブロックチェーンを使用するブロックチェーントランザクションのための宛先アドレスとすることができる。次に、決済ネットワーク112は、為替レートとブロックチェーンアドレスデータとを発行体処理サーバ102に提供することができる。2つ以上の取引所サーバ114の情報が発行体処理サーバ102に提供される場合、発行体処理サーバ102は、(例えば、消費者104のための最も良好な為替レートに基づいて)使用する取引所サーバ114を選択することができる。発行体処理サーバ102が第三者サービスを利用しない場合、発行体処理サーバ102は、為替レートとブロックチェーンアドレスとを取引所サーバ114に直接問い合わせることができる。
【0025】
発行体処理サーバ102が、暗号通貨で取引する取引所サーバ114を識別すると、発行体処理サーバ102は、ブロックチェーントランザクションが実行される暗号通貨を管理するブロックチェーンネットワーク116に新しいブロックチェーントランザクションを提出することができる。ブロックチェーンネットワーク116は、複数のブロックチェーンノードから構成されることができる。各ブロックチェーンノードは、
図5に示され、以下でより詳細に論じられるようなコンピューティングシステムとすることができる。これは、ブロックチェーンの処理及び管理に関連した機能を実行するように構成され、ブロックチェーンデータ値の生成と、提案されたブロックチェーントランザクションの検証と、デジタル署名の検証と、新しいブロックの生成と、新しいブロックの検証と、ブロックチェーンの複製の保持とを含む。ある実施形態では、決済ネットワーク112は、ブロックチェーンネットワーク116の1つ以上のノードを動作させることができる。ある場合では、取引所サーバ114は、関連付けられたブロックチェーンネットワーク116内のブロックチェーンノードとすることができる。
【0026】
ブロックチェーンは、少なくとも複数のブロックから構成される分散台帳とすることができる。各ブロックは、少なくともブロックヘッダと1つ以上のデータ値とを含むことができる。各ブロックヘッダは、少なくとも、タイムスタンプと、ブロック参照値と、データ参照値とを含むことができる。タイムスタンプは、ブロックヘッダが生成された時間とすることができ、任意の適切な方法(例えば、UNIXタイムスタンプ、日時型(Date Time)など)を使用して表されることができる。ブロック参照値は、ブロックチェーン内のより前のブロックを(例えば、タイムスタンプに基づいて)参照する値とすることができる。ある実施形態では、ブロックヘッダ内のブロック参照値は、それぞれのブロックの前にごく最近追加されたブロックのブロックヘッダへの参照とすることができる。例示的な実施形態では、ブロック参照値は、ごく最近追加されたブロックのブロックヘッダのハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。データ参照値は同様に、ブロックヘッダを含むブロックに格納された1つ以上のデータ値への参照とすることができる。例示的な実施形態では、データ参照値は、1つ以上のデータ値のハッシュ化を介して生成されたハッシュ値とすることができる。例えば、ブロック参照値は、1つ以上のデータ値を使用して生成されたマークルツリーのルートとすることができる。
【0027】
各ブロックヘッダにおけるブロック参照値とデータ参照値との使用は、ブロックチェーンが不変であることをもたすことができる。何らかのデータ値の変更を試みることは、そのブロックの新しいデータ参照値の生成を必要とし、それによって、後続のブロックのブロック参照値が新たに生成されることを必要とし、さらに、後続のブロックごとに新しいブロック参照値の生成を必要とするであろう。これは、変化を永続的にするために、新しいブロックの生成及びブロックチェーンへの新しいブロックの追加の前に、ブロックチェーンネットワーク116内のすべての単一ノードにおいて実行及び更新されなければならないことになる。計算上及び通信上の制限は、不可能ではないにしても、そのような修正を非常に困難にし、したがって、ブロックチェーンを不変にすることができる。
【0028】
ある実施形態では、ブロックチェーンは、2つの異なるブロックチェーンウォレット間で行われるブロックチェーントランザクションに関する情報を格納するために使用されることができる。ブロックチェーンウォレットは、暗号鍵ペアの秘密鍵を含むことができる。暗号鍵ペアの秘密鍵は、ブロックチェーントランザクションの支払人による承認として機能するデジタル署名を生成するために使用される。デジタル署名は、暗号鍵ペアの公開鍵を使用してブロックチェーンネットワーク116によって検証されることができる。ある場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、特に秘密鍵を指すことができる。他の場合では、用語「ブロックチェーンウォレット」は、ブロックチェーントランザクションにおいて使用するための秘密鍵を格納するコンピューティング装置(例えば、発行体処理サーバ102及び取引所サーバ114)を指すことができる。例えば、各コンピューティング装置は、暗号鍵ペアのそれぞれについて独自の秘密鍵を各々有することができ、各々、ブロックチェーンネットワークに関連付けられたブロックチェーンとのトランザクションの際に使用するためのブロックチェーンウォレットとすることができる。コンピューティング装置は、ブロックチェーンウォレットを格納して利用するのに適した任意の種類の装置とすることができる。これは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートテレビ、装着可能コンピューティング装置、埋め込み型コンピューティング装置などである。
【0029】
ブロックチェーンに格納された各ブロックチェーンデータ値は、適用可能な場合、ブロックチェーントランザクション又はデータの他の記憶(storage)に対応することができる。ブロックチェーントランザクションは、少なくとも、送信者の秘密鍵を使用して生成される、通貨の送信者(例えば、発行体処理サーバ102)のデジタル署名と、受信者の公開鍵を使用して生成される通貨の受信者(例えば、取引所サーバ114)のブロックチェーンアドレスと、転送されるブロックチェーン通貨額又は格納されている他のデータと、から構成されることができる。また、あるブロックチェーントランザクションでは、トランザクションは、ブロックチェーン通貨が現在格納される(例えば、デジタル署名がそのような通貨へのアクセスを証明する)、送信者の1つ以上のブロックチェーンアドレスと、送信者によって保持される、任意の変更のための送信者の公開鍵を使用して生成されたアドレスと、を含むことができる。将来のトランザクションの際に使用され得る、暗号通貨が送信されたアドレスは、「出力」アドレスと呼ばれ、これは、各アドレスが以前のブロックチェーントランザクションの出力を捕捉するために、以前に使用されものであり、「未使用トランザクション」とも呼ばれる。これは、その通貨が未使用のままである以前のトランザクションの際にアドレスに送信された通貨があることによるものである。また、ある場合では、ブロックチェーントランザクションは、トランザクションを検証する際のエンティティによる使用のために、送信者の公開鍵を含むことができる。
【0030】
ブロックチェーントランザクションの従来の処理のために、そのようなデータは、送信者又は受信者のいずれかによって、ブロックチェーンネットワーク104内のブロックチェーンノードに提供されることができる。ノードは、送信者のウォレットの暗号鍵ペア内の公開鍵を使用してデジタル署名を検証し、また、送信者の資金へのアクセス(例えば、未使用のトランザクションがまだ消費されておらず、送信者のウォレットに関連付けられたアドレスに送信されたこと)と、トランザクションの「確認」として知られる処理とを検証し、次に、ブロックチェーントランザクションを新しいブロックに含むことができる。新しいブロックは、従来のブロックチェーン実装では、ブロックチェーンに追加される前にブロックチェーンネットワーク116内の他のノードによって検証され、ブロックチェーンネットワーク116内のブロックチェーンノードのすべてに分配されることができる。ブロックチェーンデータ値がブロックチェーントランザクションに関連されていないが、代わりに他の種類のデータの記憶に関連され得る場合、ブロックチェーンデータ値は、依然として、デジタル署名の検証を含む、又はデジタル署名の検証を伴うことができる。
【0031】
システム100では、発行体処理サーバ102は、概して取引所サーバ114のブロックチェーンウォレットへの決済のために、消費者のトランザクション口座又は発行体処理サーバ102に関連付けられたブロックチェーンウォレットから、(例えば、法定通貨決済トランザクションにおけるトランザクション額と、取引所サーバ114によって提供される為替レートとに基づく)適切な額の暗号通貨の決済について、ブロックチェーントランザクションをブロックチェーンネットワーク116内のノードに提出することができる。ブロックチェーントランザクションは、暗号通貨額と、取引所サーバ114による受信のためのブロックチェーンアドレスと、1つ以上の未使用トランザクション出力と、決済が行われているブロックチェーンウォレットの秘密鍵を使用して生成されたデジタル署名とを含むことができる。例示的な実施形態では、秘密鍵と未使用トランザクション出力とは、消費者のトランザクション口座の口座プロファイルに格納されることができ、例えば、ペイメントレールを介して発行体処理サーバ102に経路付けされた承認要求に含まれるトランザクション口座番号を使用して識別される。ブロックチェーンネットワーク116内のノードは、ブロックチェーントランザクションを受信することができ、従来の方法を使用してブロックチェーントランザクションを処理することができる。この従来の方法は、トランザクションを確認することと、ブロックチェーンネットワーク116内の他のノードによって確認され、次にブロックチェーンに追加される新しいブロックにそれを含むこととなどによる。ブロックチェーントランザクションの処理の一部として、ノードは、トランザクション識別子を識別することができる。トランザクション識別子は、ブロックチェーントランザクションの一意の値であり、ブロックチェーントランザクションの確認として発行体処理サーバ102に返信されることができる。ある実施形態では、発行体処理サーバ102は、ブロックチェーンのブロックチェーントランザクションの提示を待ち、そこからトランザクション識別子を識別することができる。
【0032】
ブロックチェーントランザクションの成功した処理の後、発行体処理サーバ102は、トランザクション識別子を取引所サーバ114に提供することなどによって、取引所サーバ114に成功した暗号通貨決済の通知を提供することができる。第三者サービスが利用される実施形態では、第三者サービス(例えば、決済ネットワーク112)は、例えば発行体処理サーバ102の代わりに、取引所サーバ114に通知を提供することができる。取引所サーバ114への暗号通貨決済の処理が成功すると、発行体処理サーバ102は、法定通貨決済トランザクションが認可されたことを示す法定通貨決済トランザクションの承認応答を決済ネットワーク112に返信することができる。承認応答は、承認応答を示すメッセージ種類の識別子を含むトランザクションメッセージとすることができる。ここで、その中に格納されたデータ要素は、法定通貨決済トランザクションの認可を示す応答コードを格納するデータ要素を含むことができる。ある場合では、ブロックチェーントランザクションのトランザクション識別子は、承認応答に含まれることができる。そのような場合、トランザクション識別子は、ISO8583におけるデータ要素123など、私的使用のために適用可能な規格で確保されたデータ要素に格納されることができる。決済ネットワーク112は、ペイメントレールを介して発行体処理サーバ102からの承認応答を受信することができ、ペイメントレールを使用して、アクワイアラ処理サーバ102に承認応答を送り返すことができる。
【0033】
アクワイアラ処理サーバ110は、承認応答を受信し、(例えば、承認応答として又はそれとは別で)法定通貨決済トランザクションが認可されたことの通知を販売時点情報管理装置108に提供することができる。次に、販売業者は、取引された商品又は役務を消費者104に提供することができる。
【0034】
法定通貨決済トランザクションの処理の完了に続いて、取引所サーバ114は、発行体処理サーバ102との決済を実行することができる。決済は、法定通貨トランザクション額を発行体処理サーバ102に提供することを含むことができる。法定通貨トランザクション額は、取引所サーバ114によって提供される為替レートを使用して、取引所サーバ114に行われた暗号通貨決済に基づく額である。暗号通貨決済が、消費者104のブロックチェーンウォレットから直接行われた場合、消費者の口座は、暗号通貨決済の結果としてトランザクションを正確に反映することができる。発行体処理サーバ102が、発行体処理サーバ102のブロックチェーンウォレットを使用した場合、発行体処理サーバ102は、適切な法定通貨トランザクション額について消費者の法定通貨トランザクション口座から引き落とすことができる。また、発行体金融機関は、金融機関間の従来の決済の一部として、アクワイアラ金融機関に法定通貨決済を提供することができる。アクワイアラ金融機関は、それに応じて、販売業者のトランザクション口座に振り込むことができる。
【0035】
その結果、決済は、暗号通貨を介する法定通貨決済トランザクションのために行われることができる一方で、販売時点情報管理装置108とアクワイアラ処理サーバ110とは、標準的な装置及びシステムを使用して法定通貨決済トランザクションの標準的な処理を実行する。したがって、決済は、決済ネットワーク112のペイメントレールを使用して、伝統的な販売時点情報管理装置108上で、及び伝統的なアクワイアラ処理サーバ110を通して、暗号通貨を使用して行われることができる。消費者104は、暗号通貨決済のために法定通貨トランザクション口座上で発行された決済カード106を自由に使用する。さらに、消費者104は、販売業者とアクワイアラとが法定通貨を介してトランザクションの決済を受け入れるので、販売業者による直接的なブロックチェーンの受領にかかわらず、すべての販売業者においてそれを行うことができる。したがって、本明細書で論じられる方法及びシステムは、販売業者又はアクワイアラが関与する必要なく、伝統的なシステム上で、消費者が暗号通貨を用いて支払うことを可能にすることによって、暗号通貨を介した決済を受け入れる販売業者及びアクワイアラの問題を解決する。
【0036】
発行体処理サーバ
図2は、システム100内の発行体処理サーバ102の一実施形態を示す。
図2に示される発行体処理サーバ102の実施形態は、例示としてのみ提供され、本明細書で論じられるような機能を実行するのに適した発行体処理サーバ102のすべての可能な構成を網羅するものではないとし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、
図5に示され、以下でより詳細に論じられるコンピュータシステム500は、発行体処理サーバ102の適切な構成とすることができる。ある場合では、決済ネットワーク112と、取引所サーバ114と、ブロックチェーンネットワーク116と、アクワイアラ処理サーバ110とは、
図2に示されるような構成要素を含み、本明細書で論じられる機能を実行するように構成されることができる。
【0037】
発行体処理サーバ102は、受信装置202を含むことができる。受信装置202は、1つ以上のネットワークプロトコルを介して1つ以上のネットワーク上でデータを受信するように構成されることができる。ある事例では、受信装置202は、決済ネットワーク112と、取引所サーバ114と、ブロックチェーンネットワーク116と、他のシステム及びエンティティとから、1つ以上の通信方法を介してデータを受信するように構成されることができる。この通信方法は、無線周波数、構内通信網、無線エリアネットワーク、セルラ通信網、Bluetooth、インターネットなどである。ある実施形態では、受信装置202は、複数の装置から構成されることができる。これは、異なるネットワークを介してデータを受信するための異なる受信装置などであり、例えば、構内通信網を介してデータを受信するための第1の受信装置と、インターネットを介してデータを受信するための第2の受信装置とである。受信装置202は、電子的に送信されたデータ信号を受信することができる。このデータは、データ信号に重ねられる、又は符号化され、受信装置202によるデータ信号の受信を介して、復号される、構文解析される、読み取られる、又は取得されることができる。ある事例では、受信装置202は、構文解析モジュールを含むことができる。構文解析モジュールは、受信されたデータ信号を構文解析して、そこに重ねられたデータを取得する。例えば、受信装置202は、パーサプログラムを含むことができる。パーサプログラムは、受信して、受信されたデータ信号を、本明細書で説明される方法及びシステムを実行するために処理装置によって実行される機能のための使用可能な入力に変換するように構成される。
【0038】
受信装置202は、決済ネットワーク112によって電子的に送信されるデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、ペイメントレールを介して送信され、法定通貨決済トランザクションの承認要求などのトランザクションメッセージ、又は為替レート及び宛先ブロックチェーンアドレスなどの暗号通貨取引に関するデータと重ね合わされる、又は符号化される。また、受信装置202は、取引所サーバ114によって電子的に送信されたデータ信号を受信するように構成されることができる。このデータ信号は、為替レート及びアドレス情報と重ねられる、又は符号化されることができる。受信装置202は、ブロックチェーンネットワーク116によって、例えば、その中に含まれるブロックチェーンノードを介して、電子的に送信されるデータ信号を受信するようにさらに構成されることができる。このデータ信号は、ブロックチェーントランザクションの処理に関するトランザクション識別子又は他のデータと重ねられる、又は符号化されることができる。
【0039】
また、発行体処理サーバ102は、通信モジュール204を含むことができる。通信モジュール204は、本明細書で論じられる機能を実行する際に使用するために、モジュールと、エンジンと、データベースと、記憶部と、発行体処理サーバ102の他の構成要素との間でデータを送信するように構成されることができる。通信モジュール204は、1つ以上の通信種別から構成されることができ、コンピューティング装置内の通信のための様々な通信方法を利用することができる。例えば、通信モジュール204は、バス、接触ピンコネクタ、電線などから構成されることができる。また、ある実施形態では、通信モジュール204は、発行体処理サーバ102の内部構成要素と、外部接続データベース、表示装置、入力装置などの発行体処理サーバ102の外部構成要素との間で通信するように構成されることができる。また、発行体処理サーバ102は、処理装置を含むことができる。処理装置は、当業者には明らかであるように、本明細書で論じられる発行体処理サーバ102の機能を実行するように構成されることができる。ある実施形態では、処理装置は、クエリモジュール214、生成モジュール216、トランザクション処理モジュール218など、処理装置の1つ以上の機能を実行するように特別に構成された複数のエンジン及び/又はモジュールを含む、及び/又はそれらから構成されることができる。本明細書で使用されるように、用語「モジュール」は、入力を受信し、入力を使用して1つ以上の処理を実行し、出力を提供するように特にプログラムされたソフトウェア又はハードウェアとすることができる。様々なモジュールによって実行される入力と、出力と、処理とは、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。
【0040】
処理サーバ102は、口座データベース206を含むことができる。口座データベース206は、適切なデータ記憶フォーマット及び方式を使用して、複数の口座プロファイル208を格納するように構成されることができる。口座データベース206は、関係データベースとすることができる。関係データベースは、その中に格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する。各口座プロファイル208は、トランザクション口座に関連したデータを格納するように構成された構造化データ集合とすることができる。口座プロファイル208は例えば、関連したトランザクション口座のトランザクション口座番号と、それに関連付けられた他の決済詳細と、ブロックチェーンウォレットデータ(例えば、暗号鍵ペアの秘密鍵及び公開鍵、未使用トランザクション出力、残高データ)と、残高、クレジット情報、報酬データなどのような、法定通貨及び暗号通貨決済トランザクションの処理の際に使用される任意の他のデータと、を含むことができる。
【0041】
発行体処理サーバ102は、クエリモジュール214を含むことができる。クエリモジュール214は、データベース上でクエリを実行して、情報を識別するように構成されることができる。クエリモジュール214は、1つ以上のデータ値又はクエリ文字列を受信することができ、発行体処理サーバ102の口座データベース206などの示されたデータベース上でそこに基づいてクエリ文字列を実行して、そこに格納された情報を識別することができる。次に、クエリモジュール214は、必要に応じて、識別された情報を、発行体処理サーバ102の適切なエンジン又はモジュールに出力することができる。クエリモジュール214は例えば、口座データベース206上でクエリを実行して、受信された承認要求に含まれるトランザクション口座番号を使用して、法定通貨決済トランザクションに関連した口座プロファイル208を識別することができ、例えば、消費者104が、ブロックチェーンを介して決済を受領したかどうか、又は残高及び信用情報に基づいて法定通貨決済トランザクションの認可若しくは否認を受領したかどうかを判定することができる。
【0042】
また、発行体処理サーバ102は、生成モジュール216を含むことができる。生成モジュール216は、本明細書で論じられる機能を実行する際に、発行体処理サーバ102による使用のためのデータを生成するように構成されることができる。生成モジュール216は、入力として命令を受信することができ、命令に基づいてデータを生成することができ、生成されたデータを発行体処理サーバ102の1つ以上のモジュールに出力することができる。例えば、生成モジュール216は、新しいトランザクションメッセージを生成し、新しいブロックチェーントランザクションのデジタル署名を生成する、新しいブロックチェーントランザクションを生成する、法定通貨トランザクション額及び為替レートに基づいて暗号通貨額を生成する、などのように構成されることができる。
【0043】
また、発行体処理サーバ102は、トランザクション処理モジュール218を含むことができる。トランザクション処理モジュール218は、法定通貨決済トランザクション及びブロックチェーントランザクションを含む決済トランザクションの処理に関連した発行体処理サーバ102の機能を実行するように構成されることができる。トランザクション処理モジュール218は例えば、信用及び残高情報などに基づいて決済トランザクションの認可又は否認を判定すること、決済トランザクションの不正スコアを判定すること、不正又は他の要因及び基準に基づいて認可又は否認を判定すること、口座マッピングを実行すること、トランザクションメッセージのための経路付け情報を識別することなどができる。
【0044】
また、発行体処理サーバ102は送信装置220を含むことができる。送信装置220は、1つ以上のネットワークプロトコルを介して1つ以上のネットワーク上でデータを送信するように構成されることができる。ある事例では、送信装置220は、1つ以上の通信方法、構内通信網、無線領域ネットワーク、セルラ通信、Bluetooth、無線周波数、インターネットなどを介して、決済ネットワーク112と、取引所サーバ114と、ブロックチェーンネットワーク116と、他のエンティティとにデータを送信するように構成されることができる。ある実施形態では、送信装置220は、複数の装置から構成されることができる。これは、異なるネットワークを介してデータを送信するための異なる送信装置などであり、例えば、構内通信網を介してデータを送信するための第1の送信装置、及びインターネットを介してデータを送信するための第2の送信装置である。送信装置220は、受信するコンピューティング装置によって構文解析され得るデータが重ねられたデータ信号を電子的に送信することができる。ある事例では、送信装置220は、データを、送信に適したデータ信号に重ねる、符号化する、又はフォーマットするための1つ以上のモジュールを含むことができる。
【0045】
送信装置220は、決済ネットワーク112にデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、決済ネットワーク112に関連付けられたペイメントレールを使用して送信され得る法定通貨決済トランザクションのために、承認応答などのトランザクションメッセージと重ねられる、又は符号化される。また、送信装置220は、決済ネットワーク112と取引所サーバ114とにデータ信号を電子的に送信するように構成されることができる。このデータ信号は、取引要求と重ねられる、又は符号化されることができる。取引要求は、為替レートとブロックチェーン宛先データとをそこから要求することができる。送信装置220は、ノードなどから、ブロックチェーンネットワーク116によって電子的に送信されるデータ信号を受信するようにさらに構成されることができる。このデータ信号は、通知と、それによって処理されるブロックチェーントランザクションに関する他のデータとに重ねられる、又は符号化されることができる。
【0046】
また、発行体処理サーバ102は、記憶部226を含むことができる。記憶部226は、公開鍵及び秘密鍵、対称鍵などの本明細書で論じられる機能を実行する際に発行体処理サーバ102による使用のためのデータを格納するように構成されることができる。記憶部226は、適切なデータフォーマット方法及び方式を使用してデータを格納するように構成されることができ、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリなどの任意の適切な種類のメモリとすることができる。記憶部226は例えば、暗号鍵及びアルゴリズムと、通信プロトコル及び規格と、データフォーマット規格及びプロトコルと、処理装置のモジュール及びアプリケーションプログラムのためのプログラムコードと、当業者には明らかであるように、本明細書で開示される機能の実行の際に発行体処理サーバ102による使用に適し得る他のデータとを含むことができる。ある実施形態では、記憶部226は、関係データベースから構成される、又はそれを含むことができる。関係データベースは、その中に格納された構造化データ集合の記憶、識別、修正、更新、アクセスなどのために構造化クエリ言語を利用する。記憶部226は例えば、暗号鍵、ソルト、ナンス、ブロックチェーンノード及びブロックチェーンネットワーク116のための通信情報、宛先生成及び検証アルゴリズム、デジタル署名生成及び検証アルゴリズム、暗号通貨為替レート、トランザクションメッセージフォーマット規格、ペイメントレール経路付けデータなどを格納するように構成されることができる。
【0047】
ブロックチェーン決済の受領のための処理
図3A及び
図3Bは、発行体処理サーバ102による処理と取引所サーバ114の使用とを通じて、従来の販売時点情報管理装置108における法定通貨決済トランザクションのブロックチェーン決済の受領のためのシステム100の処理を示す。
【0048】
ステップ302において、決済ネットワーク112は、アクワイアラ処理サーバ110から法定通貨決済トランザクションの承認要求を受信することができる。それは、決済ネットワーク112に関連付けられたペイメントレールを使用して発行体処理サーバ102に経路付けすることができる。承認要求は、特別にフォーマットされたトランザクションメッセージとすることができ、少なくとも、トランザクション口座番号と、トランザクション額と、法定通貨決済トランザクションの処理の際に使用される任意の他のトランザクションデータとを含むことができる。ステップ304において、発行体処理サーバ102の受信装置202は、承認要求を受信することができる。ステップ306において、発行体処理サーバ102のクエリモジュール214は、発行体処理サーバ102の口座データベース206上でクエリを実行し、承認要求に含まれるトランザクション口座番号を使用して、法定通貨決済トランザクションの際に使用されるトランザクション口座に関連付けられた口座プロファイル208を識別することができる。口座プロファイル208は、ブロックチェーン決済の受領の標示を含むことができる。
【0049】
ステップ308において、発行体処理サーバ102の送信装置220は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、取引情報要求を取引所サーバ114に電子的に送信することができる。ステップ310において、取引所サーバ114は、取引情報要求を受信することができる。ステップ312において、取引所サーバ114は、法定通貨と、取引所サーバ114によって利用される暗号通貨との間の取引のための為替レートと、暗号通貨のために使用されるブロックチェーンの取引所サーバのブロックチェーンウォレットの公開鍵を使用して生成され得るような目的地ブロックチェーンアドレスと、を識別することができる。ステップ314において、取引所サーバ114は、為替レート及びブロックチェーンアドレスを、発行体処理サーバ102に電子的に返送することができる。
【0050】
ステップ316において、発行体処理サーバ102の受信装置202は、為替レートとブロックチェーンアドレスとを受信することができる。ステップ318において、発行体処理サーバ102の生成モジュール216は、新しいブロックチェーントランザクションを生成することができる。ブロックチェーントランザクションは、決済が行われているブロックチェーンウォレットの(例えば、記憶部226に格納されるような発行体処理サーバ102の、又は識別された口座プロファイル208に格納されるような消費者104の)秘密鍵と、取引所サーバ114から受信されたブロックチェーンアドレスと、承認要求からのトランザクション額及び為替レートに基づく暗号通貨額とを使用して生成されたデジタル署名を含むことができる。ステップ320において、発行体処理サーバ102の送信装置220は、適切な通信ネットワーク及び方法を使用して、ブロックチェーンネットワーク116内のノードに新しいブロックチェーントランザクションを電子的に送信することができる。
【0051】
ステップ322において、発行体処理サーバ102の受信装置202は、ブロックチェーンネットワーク116内のノードからブロックチェーントランザクションのトランザクション識別子を受信することができる。これは、そこから直接送信される、又はそこから受信されたブロックチェーンデータにおいて識別される(例えば、ブロックチェーンに追加されたブロックに格納された新しいブロックチェーンデータ値において識別される)、ことができる。ステップ324において、発行体処理サーバ102の送信装置220は、法定通貨決済トランザクションの承認応答(例えば、発行体処理サーバ102の生成モジュール216又はトランザクション処理モジュール218によって生成される)を、決済ネットワーク112に、それに関連付けられたペイメントレールを使用して電子的に送信することができる。承認応答は、承認要求と同じ規格を使用してフォーマットされ、そのデータ要素に格納された応答コードを含むことができる。この応答コードは、法定通貨決済トランザクションの認可を示す。
【0052】
ステップ326において、決済ネットワーク112は、ペイメントレールを使用して発行体処理サーバ102から承認応答を受信することができる。ステップ328において、決済ネットワーク112は、アクワイアラ処理サーバ110及び任意の他の中間システムを介して、販売時点情報管理装置108に承認応答を経路付けすることができる。販売業者は、販売時点情報管理装置108からの通知に基づいて、消費者104との法定通貨決済トランザクションを完了させることができる。
【0053】
ステップ330において、取引所サーバ114は、発行体処理サーバ102から取引所サーバ114への暗号通貨額の決済のためのブロックチェーントランザクションを識別することができる。ある場合では、取引所サーバ114は、ブロックチェーントランザクションの受信者として、そのブロックチェーンアドレスの使用を識別することによって、ブロックチェーントランザクションを識別することができる。他の場合では、発行体処理サーバ102は、ブロックチェーン内のブロックチェーントランザクションを識別する際に使用するために、トランザクション識別子を取引所サーバ114に提供することができる。ステップ332において、取引所サーバ112は、暗号通貨額及び為替レートに基づく金額について、発行体処理サーバ102に対して法定通貨の決済を行うことによって、発行体処理サーバ102との決済を行うことができる。ここで、決済は、承認要求に含まれるトランザクション額とは異なることができる。ステップ334において、発行体処理サーバ102は、決済を受信することができる。ステップ336において、発行体処理サーバ102は、自身の決済をアクワイアラに行うことができる。これは、承認要求に含まれるトランザクション額についての決済とすることができる。
【0054】
従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のための例示的な方法
図4は、法定通貨決済トランザクションに関与する発行体金融機関による処理の使用を介して従来の販売時点情報管理装置で実行される法定通貨決済トランザクションの決済として、ブロックチェーン暗号通貨の受領のための方法400を示す。
【0055】
ステップ402において、販売時点情報管理装置(例えば、販売時点情報管理装置108)から生じる、及び決済ネットワーク(例えば、決済ネットワーク112)を介して経路付けされる、法定通貨決済トランザクションの承認要求は、処理サーバ(例えば、発行体処理サーバ102)の受信器(例えば、受信装置202)によって受信されることができる。承認要求は、少なくとも、トランザクション口座番号とトランザクション額とを含む。ステップ404において、ブロックチェーン決済の受領は、トランザクション口座番号に関連付けられたトランザクション口座の処理サーバのプロセッサ(例えば、クエリモジュール214)によって識別されることができる。ステップ406において、宛先アドレスは、ブロックチェーンネットワーク(例えば、ブロックチェーンネットワーク116)に関連付けられた電子ウォレットの処理サーバの受信器によって受信されることができる。
【0056】
ステップ408において、新しいブロックチェーントランザクションは、処理サーバの送信器(例えば、送信装置220)によって、ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンノードに送信されることができる。新しいブロックチェーントランザクションは、少なくとも、宛先アドレスと、トランザクション額に基づく暗号通貨額と、デジタル署名と、1つ以上の未使用トランザクション出力と、を含む。ステップ410において、トランザクション識別子は、処理サーバの受信器によって、ブロックチェーンノードから受信されることができる。ステップ412において、法定通貨決済トランザクションの承認応答は、処理サーバの送信器によって、販売時点情報管理装置への経路付けのために決済ネットワークに送信されることができる。承認応答は、法定通貨決済トランザクションの認可の標示とトランザクション識別子とを含む。
【0057】
一実施形態では、方法400は、処理サーバの送信器によって、経路付けメッセージを取引所サーバに送信することをさらに含むことができる。宛先アドレスは、経路付けメッセージに応答して取引所サーバから受信される。さらなる実施形態では、経路付けメッセージは、承認要求と承認応答とをフォーマットする際に使用される1つ以上の規格に従ってフォーマットされることができる。別のさらなる実施形態では、経路付けメッセージに対する応答は、為替レートをさらに含むことができる。暗号通貨額は、為替レートとトランザクション額とに基づくことができる。
【0058】
また、ある実施形態では、方法400は、処理サーバのプロセッサによって、暗号鍵ペアの秘密鍵を識別することと、処理サーバのプロセッサによって、秘密鍵を使用してデジタル署名を生成することと、を含むことができる。一実施形態では、承認応答は、金融トランザクションメッセージの交換を管理する規格に従ってフォーマットされることができる。さらなる実施形態では、規格はISO8583とすることができる。別のさらなる実施形態では、トランザクション識別子は、規格において指定されるような、私的使用のために確保されたデータ要素に格納されることができる。
【0059】
コンピュータシステムアーキテクチャ
図5は、本開示の実施形態又はその一部がコンピュータ可読コードとして実装されることができるコンピュータシステム500を示す。例えば、
図1の発行体処理サーバ102と、アクワイアラ処理サーバ110と、決済ネットワーク112と、取引所サーバ114と、ブロックチェーンネットワーク116とは、ハードウェア、格納された命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体、又はそれらの組み合わせを使用して、コンピュータシステム500に実装されることができ、1つ以上のコンピュータシステム又は他の処理システムに実装されることができる。ハードウェアは、
図3A、
図3B、及び
図4の方法を実施するために使用されるモジュール及び構成要素を具体化することができる。
【0060】
プログラマブルロジックが使用される場合、そのようなロジックは、実行可能ソフトウェアコードによって構成された市販の処理プラットフォーム上で実行して、特定目的のコンピュータ又は特別目的の装置(例えば、プログラマブルロジックアレイ、特定用途向け集積回路など)になることができる。当業者は、開示された主題の実施形態が、様々なコンピュータシステム構成を用いて実施され得ることを理解することができる。このコンピュータシステム構成は、マルチコアマルチプロセッサシステムと、ミニコンピュータと、メインフレームコンピュータと、分散機能を用いてリンク又はクラスタ化されたコンピュータと、仮想的に任意の装置に埋め込まれ得る汎用又は小型コンピュータとを含む。例えば、少なくとも1つのプロセッサ装置及び記憶部は、上述の実施形態を実装するために使用されることができる。
【0061】
本明細書で論じられるプロセッサユニット又は装置は、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、又はそれらの組み合わせとすることができる。プロセッサ装置は1つ以上のプロセッサ「コア」を有することができる。本明細書で論じられる用語「コンピュータプログラム媒体」、「非一時的コンピュータ可読媒体」、及び「コンピュータ使用可能媒体」は概して、有形媒体を指すために使用される。この有形媒体は例えば、取り外し可能記憶ユニット518と、取り外し可能記憶ユニット522と、ハードディスクドライブ512にインストールされたハードディスクとである。
【0062】
本開示の様々な実施形態は、この例示的なコンピュータシステム500に関して説明される。この説明を読んだ後、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータアーキテクチャを使用してどのように本開示を実施するかが当業者には明らかになるであろう。動作は連続的な処理として説明されることができるが、動作の一部は、実際には並列に、同時に、及び/又は分散環境において、単一又はマルチプロセッサ機械によるアクセスのためにローカルに又は遠隔で格納されたプログラムコードを用いて、実行されることができる。追加として、ある実施形態では、動作の順序が、開示される主題の趣旨から逸脱することなく、再構成されることができる。
【0063】
プロセッサ装置504は、本明細書で論じられる機能を実行するように特に構成された専用又は汎用プロセッサ装置とすることができる。プロセッサ装置504は、通信インフラストラクチャ506に接続されることができる。通信インフラストラクチャ506は例えば、バス、メッセージキュー、ネットワーク、マルチコアメッセージパッシング方式などである。ネットワークは、本明細書で開示されるような機能を実行するのに適した任意のネットワークとすることができる。ネットワークは、構内通信網(LAN)、広域通信網(WAN)、無線通信網(例えば、WiFi)、移動体通信網、衛星通信網、インターネット、光ファイバ、同軸ケーブル、赤外線、無線周波数(RF)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。他の適切なネットワークの種類及び構成は、当業者には明らかであろう。また、コンピュータシステム500は、主記憶部508(例えば、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリなど)を含むことができ、また、補助記憶部510を含むことができる。補助記憶部510は、ハードディスクドライブ512と、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリなどの取り外し可能記憶ドライブ514とを含むことができる。
【0064】
取り外し可能記憶ドライブ514は、周知の方法で、取り外し可能記憶ユニット518から読み取り、及び/又はそれに書き込むことができる。取り外し可能記憶ユニット518は、取り外し可能記憶ドライブ514によって読み書きされ得る取り外し可能記憶媒体を含むことができる。例えば、取り外し可能記憶ドライブ514がフロッピーディスクドライブ又はユニバーサルシリアルバスポートである場合、取り外し可能記憶ユニット518は、それぞれフロッピーディスク又はポータブルフラッシュドライブとすることができる。一実施形態では、取り外し可能記憶ユニット518は、非一時的コンピュータ可読記録媒体とすることができる。
【0065】
ある実施形態では、補助記憶部510は、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステム500に読み込むことを可能にするための代替手段、例えば、取り外し可能記憶ユニット522とインタフェース520とを含むことができる。そのような手段の例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインタフェース(例えば、ビデオゲームシステムに見られるようなもの)と、取り外し可能メモリチップ(例えば、EEPROM、PROMなど)及び関連付けられたソケットと、当業者には明らかであるような他の取り外し可能記憶ユニット522及びインタフェース520と、を含むことができる。
【0066】
コンピュータシステム500に(例えば、主記憶部508及び/又は補助記憶部510に)格納されたデータは、任意の種類の適切なコンピュータ可読媒体に格納されることができる。コンピュータ可読媒体は例えば、光学記憶装置(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイディスクなど)又は磁気テープ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)である。データは、任意の種類の適切なデータベース構成で構成されることができる。データベースは例えば、関係データベース、構造化クエリ言語(SQL)データベース、分散データベース、オブジェクトデータベースなどである。適切な構成及び記憶装置の種類は、当業者には明らかであろう。
【0067】
また、コンピュータシステム500は、通信インタフェース524を含むことができる。通信インタフェース524は、ソフトウェア及びデータがコンピュータシステム500と外部装置との間で転送されることを可能にするように構成されることができる。例示的な通信インタフェース524は、モデム、ネットワークインタフェース(例えば、イーサネットカード)、通信ポート、PCMCIAスロット及びカード、などを含むことができる。通信インタフェース524を介して転送されるソフトウェア及びデータは、電子信号、電磁信号、光信号、又は当業者には明らかであるような他の信号の形態とすることができる。信号は、通信経路526を介して伝えることができる。これは、信号を搬送するように構成されることができ、電線、ケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波数リンクなどを使用して実装されることができる。
【0068】
コンピュータシステム500は、表示インタフェース502をさらに含むことができる。表示インタフェース502は、データが、コンピュータシステム500と外部表示装置530との間で転送されることを可能にするように構成されることができる。例示的な表示インタフェース502は、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI)、デジタルビジュアルインタフェース(DVI)、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)などを含むことができる。表示装置530は、コンピュータシステム500の表示インタフェース502を介して送信されるデータを表示するための任意の適切な種類の表示装置とすることができる。これは、陰極線管(CRT)表示装置、液晶表示装置(LCD)、発光ダイオード(LED)表示装置、静電タッチ表示装置、薄膜トランジスタ(TFT)表示装置などを含む。
【0069】
コンピュータプログラム媒体及びコンピュータ使用可能媒体は、主記憶部508及び補助記憶部510などのメモリを指すことができる。これは、メモリ半導体(例えば、DRAMなど)とすることができる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム500にソフトウェアを提供するための手段とすることができる。コンピュータプログラム(例えば、コンピュータ制御ロジック)は、主記憶部508及び/又は補助記憶部510に格納されることができる。また、コンピュータプログラムは、通信インタフェース524を介して受信されることができる。そのようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム500が、本明細書で論じられるような本方法を実施することを可能にすることができる。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ装置504が、本明細書で論じられるように、
図3A、
図3B、及び
図4によって示された方法を実施することを可能にすることができる。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム500の制御装置を表すことができる。本開示がソフトウェアを使用して実装される場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納され、取り外し可能記憶ドライブ514、インタフェース520、及びハードディスクドライブ512、又は通信インタフェース524を使用してコンピュータシステム500に読み込まれることができる。
【0070】
プロセッサ装置504は、コンピュータシステム500の機能を実行するように構成された1つ以上のモジュール又はエンジンを含むことができる。モジュール又はエンジンの各々は、ハードウェアを使用して実装されることができる。ある例では、モジュール又はエンジンの各々は、主記憶部508又は補助記憶部510に格納されたプログラムコード及び/又はプログラムに対応するようなソフトウェアを利用することができる。そのような事例では、プログラムコードは、コンピュータシステム500のハードウェアによる実行の前に、プロセッサ装置504によって(例えば、コンパイルするモジュール又はエンジンによって)コンパイルされることができる。例えば、プログラムコードは、プロセッサ装置504及び/又はコンピュータシステム500の任意の追加のハードウェア構成要素による実行のために、アセンブリ言語又は機械コードなどの低水準言語に翻訳されるプログラミング言語で書かれたソースコードとすることができる。コンパイルする処理は、語彙解析と、前処理と、構文解析と、意味解析と、構文指向翻訳と、コード生成と、コード最適化と、コンピュータシステム500を制御して本明細書で開示される機能を実行するのに適した低水準言語へのプログラムコードの翻訳に適し得る任意の他の技術と、の使用を含むことができる。そのような処理の結果、コンピュータシステム500が上述の機能を実行するように一意にプログラムされた特別に構成されたコンピュータシステム500となることは、当業者には明らかであろう。
【0071】
本開示と一致する技術は、他の特徴の中でも、発行体の処理を介した従来の販売時点情報管理装置におけるブロックチェーン決済の受領のためのシステム及び方法を提供する。開示されたシステム及び方法の様々な例示的な実施形態が上述されたが、それらは、限定ではなく、例示のみを目的として提示されたことを理解されたい。それは、網羅的ではなく、開示された厳密な形態に本開示を限定しない。上記の教示に照らして、修正及び変形が可能であり、又は、修正及び変形は、本開示の実施から、広さ又は範囲から逸脱することなく、得られることができる。
【国際調査報告】