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特表2023-533229フーリエ変換分光計及びフーリエ変換分光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】フーリエ変換分光計及びフーリエ変換分光方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/45 20060101AFI20230726BHJP
   G02B 26/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G01J3/45
G02B26/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581018
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2021051650
(87)【国際公開番号】W WO2022003345
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2010039.2
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314000752
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスター
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANCHESTER
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ウンスリー ナワポン
(72)【発明者】
【氏名】エクターメイヤー ティム
【テーマコード(参考)】
2G020
2H141
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CA12
2G020CB05
2G020CB23
2G020CC22
2G020CC23
2G020CC55
2G020CD04
2G020CD11
2G020CD22
2G020CD35
2H141MA22
2H141MB28
2H141MC06
2H141MD02
2H141MD04
2H141ME24
2H141ME25
2H141MZ03
2H141MZ16
2H141MZ18
2H141MZ25
(57)【要約】
固定ミラー11、可動ミラー12、検出器101を備えた干渉計10を備えたフーリエ変換分光計100である。ミラー11とミラー12とが互いに対して平行に配置され、光学キャビティを形成し、可動ミラー12が、光学キャビティのサイズを変化させるように、固定ミラー11に対して移動するように動作可能であり、ミラーの第1のミラーが、サンプルから受領された光14が、光学キャビティに、第1のミラーの後部を通って入るように配置されており、検出器101が、ミラーの第2のミラーの後部を通って光学キャビティを出て、かつインターフェログラムを出力する光を検出するように、配置されるとともに動作可能であり、ミラー11とミラー12とが互いから離れている。可動ミラーが、干渉計内で反射された、受領された光14に関する検出器101への少なくとも2つの経路16、31とが等しい長さである位置にあるか、またはこの位置に移動できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ミラー、可動ミラー、回路、電極、及び検出器を備えている干渉計を備えたフーリエ変換分光計であって、ミラーが互いに対して平行に配置され、光学キャビティを形成し、前記可動ミラーが、前記光学キャビティの長さを変化させるように、前記固定ミラーに対して移動するように動作可能であり、前記ミラーの第1のミラーが、受領された光が、前記第1のミラーの後部を通って前記光学キャビティに入るように配置されており、前記検出器が、前記ミラーの第2のミラーの後部を通って前記光学キャビティを出て、かつインターフェログラムを出力する光を検出するように、配置されるとともに動作可能であり、前記ミラーが互いから離れており、それにより、前記可動ミラーが、前記干渉計内で反射された、受領された光に関する前記検出器への少なくとも2つの光路が等しい長さである位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっており、前記可動ミラーと電極とが互いからある距離に配置されており、前記回路が前記可動ミラー及び前記電極に接続され、前記可動ミラーと前記電極との間に電界を印加して、前記可動ミラーを前記固定ミラーに対して移動させるように動作可能であり、前記電極が、前記可動ミラーが前記固定ミラーと前記電極との間にあるように配置されている、前記フーリエ変換分光計。
【請求項2】
前記ミラーがシリコンを含んでいる、請求項1に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項3】
前記干渉計がハウジングを備えている、請求項1または請求項2に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項4】
前記干渉計が、前記可動ミラーを前記ハウジングに接続する1つまたは複数の弾性要素を備え、前記可動ミラーが前記弾性要素上または各弾性要素上で移動可能である、請求項3に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項5】
前記弾性要素または各弾性要素が湾曲部である、請求項4に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項6】
前記電極がグラフェンを含んでいる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項7】
前記電極が石英上のグラフェンを含んでいる、請求項6に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項8】
前記ミラーが互いから離間しており、それにより、前記可動ミラーが、前記光学キャビティが20μmから45μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項9】
前記ミラーが互いから離間しており、それにより、前記可動ミラーが、前記光学キャビティが25μmから40μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている、請求項8に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項10】
前記ミラーが互いから離間しており、それにより、前記可動ミラーが、前記光学キャビティが30μmから35μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている、請求項9に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項11】
前記インターフェログラムを受領し、前記インターフェログラムにフーリエ変換を実施して、サンプルに関する光学スペクトルを取得するように、動作可能である分析ユニットを備えている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項12】
前記分析ユニットが、ゼロ次の干渉以外のある次元の干渉に関して前記フーリエ変換を実施するように動作可能である、請求項11に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項13】
前記分析ユニットが、1次の干渉に関して前記フーリエ変換を実施するように動作可能である、請求項12に記載のフーリエ変換分光計。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のフーリエ変換分光計を提供するステップと、前記干渉計の前記可動ミラーを、前記干渉計内で反射された光に関する少なくとも2つの経路が等しい長さである位置から、またはこの位置を通して移動させ、前記干渉計の前記検出器で光を検出して、サンプルに関するインターフェログラムを取得するステップと、ゼロ次の干渉以外のインターフェログラムのある次元の干渉にフーリエ変換を適用して、スペクトルを取得するステップと、を含む、フーリエ変換分光方法。
【請求項15】
1次の干渉に前記フーリエ変換を適用することを含む、請求項14に記載のフーリエ変換分光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フーリエ変換分光計及びフーリエ変換分光方法に関する。具体的には、排他的ではないが、本発明は、赤外線フーリエ変換分光計及び分光に関する。
【背景技術】
【0002】
どの分子及び/または物質も、別個の吸収スペクトルを有し、異なる波長の光を異なる範囲まで吸収する。図1は例示的な吸収スペクトルを示しており、このケースでは、ジクロロメタンのスペクトルを示している。したがって、分子及び/または物質と、その組成とを、その吸収スペクトルを取得することにより、分光を使用して判定することができる。
【0003】
分子及び/または物質と、それらの組成とを判定する能力が与えられているとすると、分光には、
食品の品質の監視(たとえば、食品の汚染または年代測定)、
環境の監視(たとえば、大気汚染または水質)、
医療上の用途(たとえば、血液の分析及び薬物検査)、及び
材料の制御、
を含む幅広い範囲の用途がある。
【0004】
しかし、多くの現在利用可能な分光計は、比較的大きくて扱いにくい、及び/または高額であり、研究所のセッティングの外でのそれらの使用を制限し、そのため、それらの有用性を制限する。研究所の外での使用のためには、一方で、費用を下げもしつつ、分光計を小型化する必要がある。理想的な分光計は、分光計を移動電子デバイスに組み込むことができるように、数ミリメートル平方のサイズまでスケールダウン可能であり、かつ、十分に安価である。
【0005】
格子と、ファブリ-ペロー干渉計と、マイケルソン干渉計との、小型化が可能な分光計の3つの主要な構成が存在する。
【0006】
格子は図2に示されている。格子に関しては、サンプル上に入射している光1が、入射角αで格子2に向けられている。格子内の異なるスリットを通過するか、反射される光は、干渉し、検出器によって検出することができる、出力角度βに依存する干渉パターン3となる。波長により、光の各波長に関するパターンの最大及び最小の位置が規定されると、検出器は、複数の波長を検出することができ、そのため、スペクトルを構築することができる。
【0007】
パターン3を十分に検出し、吸収スペクトル全体を形成するための必要な情報すべてを取得するために、検出器の幅広いアレイが必要である。さらに、パターン3は、十分な解像度を達成するように、拡がるための十分な空間が必要である。最後に、より高次の反射に起因して、格子は、限定された自由スペクトル領域を有している。これら課題は、格子を使用する分光計をどれだけ小型化できるかの限界が存在することを意味しており、また、結果としての分光計は、限定された光学的周波数レンジを有している。
【0008】
ファブリ-ペロー干渉計は図3に示されている。サンプル上に入射している光1は、第1のミラー4を通して、2つの平行なミラー4とミラー5との間に形成されたキャビティ内へと伝えられる。光1は、ミラー4とミラー5との間で反射され、キャビティサイズと共振する光1の波長のみが第2のミラー5を通して伝えられることになり、光6が次いで、検出器上に進む。ミラー4とミラー5との間の距離は変更することができ、それにより、ユーザは、光の異なる波長を通してスキャンすることができる。この方法で、分光計は、様々な波長を通して動くことができ、吸収スペクトルを構築する。
【0009】
ファブリ-ペロー干渉計を使用することに関するいくつかの課題が存在する。ファブリ-ペロー干渉計は、光の波長の水準で均等なミラー間隔を必要としている。これは製造が困難である。さらなる課題は、高次の反射が、干渉計が制限された自由スペクトル領域を有していることを意味していることである。さらに、ファブリ-ペロー干渉計は、高品質の光学的ミラー表面、通常は層状のブラッグミラーを必要としている。このことは、ファブリ-ペロー干渉計を使用する分光計が、製造が比較的高価であることと、限定された光学的周波数レンジを有していることとの両方であることを意味している。
【0010】
上述のものに加え、ブラッグミラーを構築するために、異なる材料の交互になっている層が必要である。気相のフッ化水素酸などの、標準的なマイクロ電気機械システム(MEMS)プロセッシング技術は、多くの材料には不適合であり、したがって、ファブリ-ペロー干渉計を使用する分光計をスケールダウンする際に、材料の選択が制限される。
【0011】
マイケルソン干渉計は図4に示されている。光1はビームスプリッタ7上への入射光であり、このポイントにおいて、ビームの一部が頂部のミラー8へと反射され、他の部分がビームスプリッタを通して側部ミラー9へと伝えられる。これら部分は、ビームスプリッタ7へ戻るように反射され、このビームスプリッタ7でこれら部分がふたたび結合する。側部ミラー9の位置は調整可能であり、それにより、光の1つの部分に関する光路長を変更することができ、そのため、光路差が導入される。
【0012】
マイケルソン干渉計は、フーリエ変換赤外線分光計の一部として使用される。側部ミラー9は、迅速に移動され、側部ミラー9が移動する際に検出器が記録する。側部ミラー9は、ゼロの光路差から、所望の最大の解像度まで移動されなければならないが、ゼロの光路差が下りる位置を通してミラーを移動させることが、通常はより容易である。結果として記録される出力は、フーリエ変換を介して吸収スペクトルへと変換させることができる。
【0013】
フーリエ変換赤外線分光計は、格子及びファブリ-ペローに比べ、高い信号対ノイズ比(すなわち、フェルゲットの利得)を伴って、広い波長レンジ及び高いスペクトル解像度を有している。しかし、フーリエ変換赤外線分光計を小型化することに関する課題が依然として存在する。90度回転されたビーム路は、スケールダウンされる場合には製造が困難であり、大量生産には特に困難である。このことは、十分に低減された費用で小型化された分光計を提供することが困難であることを意味している。
【0014】
さらに、引込み現象及びチューニングレンジなどの課題に起因して、MEMSを設計する場合に等しいものとすることができる2つの光路長を提供することに関わる困難性が存在する。さらに、光は、そのようなシステムに光ファイバーを介して結合及び結合解除されなければならず、システムの製造における困難性(及び関連する費用)がさらに増大する。
【0015】
上述のものに加え、多くの小型化された分光計では、コームドライブが可動ミラーを移動させるために使用されている。コームドライブを要することにより、物理デバイスのサイズ、及び関連する費用が増大する。この理由は、このコームドライブが、製造が比較的複雑であるためである。
【0016】
上述された分光計及び分光の方法に関連する問題のいくつかまたはすべてを克服することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、固定ミラー、可動ミラー、回路、電極、及び検出器を備えている干渉計を備えたフーリエ変換分光計であって、ミラーが互いに対して平行に配置され、光学キャビティを形成し、可動ミラーが、光学キャビティの長さを変化させるように、固定ミラーに対して移動するように動作可能であり、ミラーの第1のミラーが、受領された光が、第1のミラーの後部を通って光学キャビティに入るように配置されており、検出器が、ミラーの第2のミラーの後部を通って光学キャビティを出て、かつインターフェログラムを出力する光を検出するように、配置されるとともに動作可能であり、ミラーが互いから離れており、それにより、可動ミラーが、干渉計内で反射された、受領された光に関する検出器への少なくとも2つの光路が等しい長さである位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっており、可動ミラーと電極とが互いからある距離に配置されており、回路が可動ミラー及び電極に接続され、可動ミラーと電極との間に電界を印加して、可動ミラーを固定ミラーに対して移動させるように動作可能であり、電極が、可動ミラーが固定ミラーと電極との間にあるように配置されている、フーリエ変換分光計が提供される。
【0018】
本発明のフーリエ変換分光計は、これら複数の反射の干渉の、特定の高い次元の組合せにフーリエ変換を適用することができる。これら干渉は、干渉計内で反射された光の少なくとも2つの光路が等しい長さである場合に発生する。このことは、各ミラー表面において1つの反射のみが発生し、フーリエ変換が2つのゼロ次の反射ビームの干渉にのみ適用される、マイケルソン干渉計を使用するフーリエ変換分光計とは対照的である。必要とされるミラーと検出器との「インライン」の構成における、ミラーの前側から反射された2つのビームのゼロ次の干渉を測定することは不可能である。この理由は、この干渉が、反射光と、光学キャビティを通って真っ直ぐに伝えられた光との経路の差異が等しい場合に発生し、そのため、ミラー間の距離がゼロである場合に発生するためである。
【0019】
分光計は、依然としてフーリエ変換分光計である一方で、ミラーと検出器とを、互いに対して、及びサンプルからの光に対して「インライン」に配置する(分光計は、小型化が容易であり、したがって安価である)ことの利点を、関連する利点(幅広い波長レンジ、高スペクトルの解像度、及び高い信号対ノイズ比)と組み合わせる。
【0020】
ミラーは、互いから離れている場合があり、それにより、可動ミラーが、干渉計内で反射された光に関する少なくとも2つの経路が等しい長さである位置を通って移動できるようになっている。
【0021】
干渉計は、3つ以上の反射面を含む場合があり、検出器への光路上で受領された光が、2つ以上の反射面から反射されるように配置されている。
【0022】
1つまたは複数のミラーは、1つまたは複数の反射面を備えている場合がある。1つまたは複数のミラーは、2つ以上の反射面を備えている場合がある。1つまたは複数のミラーの前部または各前部は、反射面である場合がある。1つまたは複数のミラーの後部または各後部は、反射面である場合がある。各反射面は、受領された光をその前部及び/または後部から反射するように動作可能である場合がある。反射面は、2つ以上の光路上の受領された光が、1つまたは複数の同じ反射面から反射される場合があるように配置される場合がある。
【0023】
ミラーは、1つまたは複数の光路上の受領された光が、1つまたは複数のミラー内で反射するように配置される場合がある。ミラーは、1つまたは複数の光路上の受領された光が、光学キャビティ内で反射するように配置される場合がある。ミラーは、1つまたは複数の光路上の受領された光が、1つまたは複数のミラー内で周回するように配置される場合がある。ミラーは、1つまたは複数の光路上の受領された光が、光学キャビティ内で周回するように配置される場合がある。
【0024】
1つまたは複数のミラーは、その前部及び/または後部上にコーティングを有する場合がある。コーティングは、反射防止コーティングである場合がある。1つまたは複数のコーティングは、各々が1つまたは複数の反射面を備えている場合がある。1つまたは複数のコーティングは、電気絶縁体を備えている場合がある。固定ミラーは、その前部にコーティングを有する場合がある。固定ミラーは、その後部にコーティングを有する場合がある。可動ミラーは、コーティングされていない前部を有する場合がある。可動ミラーは、コーティングされていない後部を有する場合がある。
【0025】
フーリエ変換分光計は、第1のミラーの後部を通して光学キャビティ内に光を向けるように配置された光源を備えている場合がある。
【0026】
フーリエ変換分光計は、光源からの光に関して、光学キャビティに入る前にサンプルを通過するか、サンプルから反射されるように、定位置にサンプルを受領及び保持するように動作可能であるサンプルホルダを備えている場合がある。
【0027】
各ミラーはシリコンを含む場合がある。各ミラーはシリコンを構成する場合がある。
【0028】
シリコンのみからミラーを形成することにより、フーリエ変換分光計を形成するプロセスを簡略化させることができる。この理由は、たとえば、ブラッグミラーを製造する必要がないためである。
【0029】
各ミラーはフラットである場合がある。各ミラーは矩形である場合がある。第1のミラーは固定ミラーである場合がある。第2のミラーは可動ミラーである場合がある。
【0030】
干渉計はハウジングを備えている場合がある。ミラーはハウジングに接続されている場合がある。固定ミラーは、その位置がハウジングに対して固定されているように、ハウジングに接続されている場合がある。固定ミラーは、本質的にハウジングとともに形成することにより、ハウジングに接続されている場合がある。可動ミラーは、この可動ミラーがハウジングに対して移動できるように、ハウジングに接続されている場合がある。可動ミラーの動きは弾性的である場合がある。干渉計は、可動ミラーをハウジングに接続する1つまたは複数の弾性要素を備えている場合があり、可動ミラーがこの弾性要素上または各弾性要素上で移動可能である。この弾性要素または各弾性要素は、湾曲部である場合がある。この湾曲部または各湾曲部は、らせん状の湾曲部である場合がある。第2のミラーは円形である場合がある。らせん状湾曲部または各らせん状湾曲部は、円形ミラーを部分的に、または完全に囲む場合がある。4つの湾曲部が存在する場合がある。複数の湾曲部が存在する場合、各湾曲部がミラー及び/またはハウジングに接続される位置は、規則的な間隔で互いから離間している場合がある。湾曲部または各湾曲部は、ハウジングに接続される前に、ミラーを360度囲む場合がある。この湾曲部または各湾曲部は、シリコンを含む場合がある。弾性要素または各弾性要素は、シリコンで構成されている場合がある。
【0031】
フーリエ変換分光計は、インターフェログラムを受領し、インターフェログラムにフーリエ変換を実施して、サンプルに関するスペクトルを取得するように、動作可能である分析ユニットを備えている場合がある。分析ユニットは、ゼロ次以外の複数の反射の特定の高次の組合せにフーリエ変換を実施するように動作可能である場合がある。分析ユニットは、1次の干渉に関してフーリエ変換を実施するように動作可能である場合がある。スペクトルは、1μmから2.6μmの波長のレンジをカバーする場合がある。スペクトルは、可視、近赤外線、短波長赤外線、中波長赤外線、及び/または長波長赤外線の1つまたは複数、またはすべてをカバーする場合がある。
【0032】
フーリエ変換分光計は回路及び電極を備えており、回路が、可動ミラー及び電極に接続されており、可動ミラーと電極との間に電界を印加して、可動ミラーを固定ミラーに対して移動させるように動作可能である。回路は、可動ミラーと電極との間に電圧差を印加して、電界を印加するように動作可能である場合がある。電極は、可動ミラーが固定ミラーと電極との間にあるように配置されている。回路は、可動ミラーと電極との間に電圧差を印加して、電界を印加するように動作可能である場合がある。
【0033】
可動ミラーが電極と固定ミラーとの間にあるように電極を配置することにより、可動ミラーを作動させる手段(可動ミラーと電極との間の電界の印加)が、光学キャビティから切り離されている。電界が光学キャビティにわたって印加されている場合(すなわち、固定ミラーと可動ミラーとの間に印加されている場合)、可動ミラーの移動の範囲、及び光学キャビティの最小のサイズは、ミラー間のもともとの距離のおよそ3分の1に制限されることになる。可動ミラーがより近くに移動される場合、必要とされる電界のサイズは、引込みの発生に繋がる。
【0034】
記載のように電極を配置することにより、引込みは、光学キャビティの最小サイズまたは可動ミラーが移動できる範囲を制限しない。この理由は、電界がゼロである場合、可動ミラーは、固定ミラーに望ましいだけ近位にあり、また、電界が増大されると、可動ミラーが固定ミラーから離れるように移動するためである。
【0035】
電極は、可動ミラーと検出器との間に配置されている場合がある。電極は、その中を通るアパーチャを有する場合がある。検出器は、アパーチャの下方に配置されている場合がある。検出器は、アパーチャの内部に配置されている場合がある。電極は、検出器に並んで配置されている場合がある。電極と検出器とは、ベース上にともに置かれている場合がある。
【0036】
電極は2D材料を含む場合がある。2D材料は10ナノメートル未満の厚さである。2D材料は導電性である場合がある。2D材料は、透過性である場合がある。電極はグラフェンを含む場合がある。グラフェンは、導電性である場合がある。グラフェンは透過性である場合がある。電極は石英上のグラフェンを含む場合がある。電極は石英上のグラフェンを構成する場合がある。グラフェンは10ナノメートル未満の厚さを有する場合がある。
【0037】
電極をグラフェンから形成することにより、電極は、透過性であり、最終的には薄くすることができ、そのため、この電極が可動ミラーと検出器との間に配置される場合であっても、干渉計の光学的特性に影響しない。
【0038】
電極は、各ミラーに対して平行である場合がある。電極は、ハウジングのベースを形成する場合がある。壁の一部は、可動ミラーから電極まで、互いから互いにわたって延びている場合がある。
【0039】
ミラーは互いから離間している場合があり、それにより、可動ミラーが、光学キャビティの長さが20μmから45μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている。ミラーは互いから離間している場合があり、それにより、可動ミラーが、光学キャビティの長さが25μmから40μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている。ミラーは互いから離間している場合があり、それにより、可動ミラーが、光学キャビティの長さが30μmから35μmの間にある位置にあるか、またはこの位置に移動できるようになっている。
【0040】
可動ミラーは、ある線に沿って移動可能である場合がある。この線は直線である場合がある。可動ミラーは、線に沿ってのみ移動可能である場合がある。この線は、可動ミラーから垂直に延びている場合がある。この線は、可動ミラーの後部から垂直に延びている場合がある。この線は、可動ミラーの後部を始点としている場合がある。
【0041】
フーリエ変換分光計は赤外線フーリエ変換分光計である場合がある。
【0042】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のフーリエ変換分光計を備えた移動電子デバイスが提供される。
【0043】
移動電子デバイス内のフーリエ変換分光計を提供することにより、一般大衆が日々の中で分光を使用することが可能になり、分光の用途及び分光の有用性を大きく拡大する。
【0044】
移動電子デバイスは、移動電話、タブレット、またはラップトップである場合がある。
【0045】
本発明の第3の態様によれば、フーリエ変換分光計で使用するための干渉計であって、この干渉計が、固定ミラー及び可動ミラーであって、ミラーが光学キャビティを形成しており、可動ミラーが、光学キャビティのサイズを変化させるように、固定ミラーに対して移動するように動作可能である、固定ミラー及び可動ミラーと、回路及び電極であって、この回路が、可動ミラー及び電極に接続され、これら2つの間に電界を形成して、可動ミラーを固定ミラーに対して移動させるように動作可能であり、可動ミラーが固定ミラーと電極との間に配置されている、回路及び電極と、を備えている、干渉計が提供される。
【0046】
可動ミラーが電極と固定ミラーとの間にあるように電極を配置することにより、可動ミラーを作動させる手段(可動ミラーと電極との間の電界の印加)が、光学キャビティから切り離されている。したがって、引込みは、光学キャビティの最小サイズまたは可動ミラーが移動できる範囲を制限しない。この理由は、電界がゼロである場合、可動ミラーは、固定ミラーに望ましいだけ近位にあり、また、電界が増大されると、可動ミラーが固定ミラーから離れるように移動するためである。電極は、可動ミラーと検出器との間に配置されている場合がある。
【0047】
ミラーは、互いに対して平行とすることができる。
【0048】
本発明の第3の態様は、所望のように、及び/または適切であるように、第1の態様の任意の特徴のいずれかを含む場合がある。
【0049】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様の干渉計を備えたフーリエ変換分光計が提供される。
【0050】
本発明の第5の態様によれば、フーリエ変換分光計で使用するための干渉計であって、この干渉計が、ハウジング、可動ミラー、1つまたは複数の湾曲部、回路、及び電極を備え、可動ミラーがハウジングに、この湾曲部または各湾曲部を介して接続され、この湾曲部または各湾曲部上でハウジングに対して移動可能であり、回路が、可動ミラー及び電極に接続され、可動ミラーと電極との間に電界を印加して、可動ミラーを移動させるように動作可能である、干渉計が提供される。
【0051】
必要な構成は、構築がコームドライブよりもかなりシンプルである。したがって、干渉計は、製造がより容易かつ安価である。
【0052】
干渉計は、固定ミラーを備えている場合があり、固定ミラー及び可動ミラーが、光学キャビティを形成するように配置されており、可動ミラーが固定ミラーに対して移動可能である。ミラーは平行としてもよい。
【0053】
本発明の第5の態様は、所望のように、及び/または適切であるように、第1の態様の任意の特徴のいずれかを含む場合がある。
【0054】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様の干渉計を備えたフーリエ変換分光計が提供される。
【0055】
本発明の第7の態様によれば、フーリエ変換分光方法であって、干渉計の可動ミラーを、干渉計内で反射された光に関する少なくとも2つの経路が等しい長さである位置から、またはこの位置を通して移動させ、干渉計の検出器で光を検出して、サンプルに関するインターフェログラムを取得するステップと、ゼロ次の干渉以外のインターフェログラムのある次元の干渉にフーリエ変換を適用して、スペクトルを取得するステップと、を含むフーリエ変換分光方法が提供される。
【0056】
ゼロ次の干渉以外の次元の干渉にフーリエ変換を適用することにより、ゼロ次の干渉に関するインターフェログラムを提供できないが、より高い次元の干渉にインターフェログラムを提供できる干渉計のタイプを、本方法において使用することができる。そのような干渉計は、90度回転されたビームを有する必要はなく、そのため、小型化された分光計を構築することがより容易かつ安価である。
【0057】
フーリエ変換分光方法は、1次の干渉にフーリエ変換を適用する場合がある。
【0058】
フーリエ変換分光方法は、各ステップを実施するために、第1の態様のフーリエ変換分光計を使用する場合がある。
【0059】
フーリエ変換分光方法は、赤外線フーリエ変換分光方法である場合がある。スペクトルは、1μmから2.6μmの波長のレンジをカバーする場合がある。
【0060】
本発明がより明確に理解され得るために、本発明の1つまたは複数の実施形態が、添付図面を参照して、実施例としてのみ、ここで記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】ジクロロメタンの吸収スペクトルの図である。
図2】格子の構成の図である。
図3】ファブリ-ペロー干渉計の図である。
図4】マイケルソン干渉計の図である。
図5】赤外線フーリエ変換分光計の干渉計の図である。
図6】赤外線フーリエ変換分光計からの、シミュレーションされたインターフェログラムの図である。
図7】1次のサイドバーストのインターフェログラムの図である。
図8】赤外線フーリエ変換分光計によって取得された、白色光のスペクトルの図である。
図9図5の干渉計の第2の、可動ミラーの図である。
図10】第2のミラーを移動させるために必要である電極及び電圧源を含む、赤外線フーリエ変換分光計の干渉計の図である。
図11】赤外線フーリエ変換分光計の第1のミラーを形成する際の段階的プロセスを示す。
図12】赤外線フーリエ変換分光計の第2のミラーを形成する際の段階的プロセスを示す。
図13】赤外線フーリエ変換分光計を示す。
図14】赤外線フーリエ変換分光計及び従来技術の分光計による、アクリルに関して取得されたスペクトルを示す。
図15】様々な脂肪分のミルクに関して取得されたスペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図5に示すように、赤外線フーリエ変換分光計の干渉計10は、2つのミラー11、12を備えている。ミラー11とミラー12とは、互いに平行であるとともに互いに向かい合って、キャビティ13を形成している。第1のミラー11(固定ミラー)は、第2のミラー12(可動ミラー)の上方に配置されている。第2のミラー12は、ミラー11とミラー12との間のキャビティのサイズ及び距離を変更するように、第1のミラー11に向かって、及び第1のミラー11から離れるように、第1のミラー11に対して移動可能である。ミラー11、12は、2つの壁30によって形成されたハウジング内に保持されており、第1のミラー11は、本質的に壁30とともに形成され、第2のミラー12は、この第2のミラー12がこれら壁に対して移動可能であるように壁30に接続されている。
【0063】
関わっているサンプル上に入射している光14は、第1のミラー11の後部を通って伝えられる。このため、ミラー11、12、及び光学キャビティ13を通る複数の経路が存在する。光の第1の経路15は、キャビティ13を出て、第2のミラー12を通って真っ直ぐ伝えられるものであり、光14の大部分が第1の経路15を取る。しかし、光14のいくらかは、第1のミラー11及び第2のミラー12内、ならびに第1のミラー11及び第2のミラー12を通り、かつ、キャビティ13を通る、他の経路を取る。たとえば、図5に示すように、光の第2の経路16は、第2のミラー12の後部から出て、伝えられ、キャビティ13を出る前に、キャビティを形成するミラー11の前面とミラー12の前面との間で反射されて行き来する。光14のさらなる経路31は、第2のミラー12の後部を出る前に、第2のミラー12内で、後面及び前面で反射するものである。別の実施例は、キャビティ13に入り、第2のミラー12を通って真っ直ぐ伝えられる前に、第1のミラー11において前面及び後面で光が反射される経路である。
【0064】
第2のミラー12の位置は、経路31(及び、干渉計内で光が反射される他の経路)が、第2の経路16及び/または干渉計内で反射される光に関する他の経路と同じ長さを有することができ、干渉に繋がるように、調整され得る。この干渉は、0次の干渉よりも高い次元の干渉であり、インターフェログラム上の「サイドバースト」として知られている。図6に示すように、サイドバースト17、18は、第1の経路15上の光と第2の経路16上の光との間の0次の干渉19ほど強い信号ではない。しかし、1次のサイドバースト17は、スペクトルに変換されるのに十分に大きい信号であり、このことが、ミラーが互いからある距離にある場合に発生することから、スペクトルを取得するために必要なサイドバーストの完全な測定を得ることが可能である。対照的に、0次の干渉は、ギャップの距離がゼロである場合に発生する。このことは、測定が不可能である。
【0065】
使用時には、第2のミラー12の位置は、第2の経路16と第3の経路31とが等しい長さとなるギャップの距離(または、第1の経路15以外の2つの他の経路が等しい長さとなるギャップの距離)を通して移動されることになり、この距離は、本明細書の記載で示される構成に関しては、およそ35μmである。検出器101(図13に示す)は、図7に示すように、1次のサイドバースト17を取得するように、第2のミラー12が移動する間に測定する。
【0066】
第2のミラー12の変位は、レーザー干渉計、静電容量センサー、または類似のものなどの非接触距離センサーを使用して測定される。
【0067】
図13にも示されている、フーリエ変換赤外線分光計100の分析ユニット102は、次いで、取得されたインターフェログラムにフーリエ変換を実施することができ、結果として吸収スペクトルが得られる。図8は、サンプルが存在しない状態での、白色光に関する、結果としての構築されたスペクトルを示している。
【0068】
第1のミラー11及び第2のミラー12は、シリコンで構成されている。図9は、この構成において使用される第2のミラー12を示している。ミラー12は円形であり、シリコンのシート20から部分的に切り出されている。ミラー12は、ミラー12からシート20の残りの部分までらせん状になっているシリコンのストリップ21により、シート20の残りの部分に繋がったままである。このため、シート20の残りの部分は、干渉計10の壁30の一部を形成する。4つの湾曲部21が存在し、各々が、ミラー12の全周にわたってらせん状になっており、それにより、湾曲部21が外周まわりでミラー12に接続する位置が、外周に対して同じ位置であるようになっており、ここで、湾曲部21がシート20の残りの部分に接続している。外周まわりに均等に配置された4つの湾曲部21が存在する。
【0069】
湾曲部21は、シート20の残りの部分に対して第2のミラー12が上下に移動すること(すなわち、シート20の平面に対して垂直に移動すること)を可能にする。これにより、このミラーが第1のミラー11に対して移動することを可能にし、そのため、キャビティ13のギャップの距離及びサイズを変化させることを可能にする。
【0070】
図10に示すように、電極が、第2のミラー12の後面から離れて配置されており、それにより、第1のミラー11と、第2のミラー12と、電極22とが、3つの平行な平面にあるようになっており、第2のミラー12が第1のミラー11と電極22との間にある。第2のミラー12と電極22とは、第2のミラー12と電極22との間に電圧を印加することができるように接続されており、それにより、電界を形成する。らせん状の湾曲部21によって定位置に保持された円形のミラーである第2のミラー12は、電界の存在が、第2のミラー12を第1のミラー11から離れて電極22に向かうように変位させることを意味しており、変位の距離は、電界の強度に依存する。第2のミラー12は、数十μmだけ変位され得る。使用時には、電界は、電極を介して印加され、その強度は、第2のミラー12を一次のサイドバーストを通して移動させるように制御及び変化される。
【0071】
電極22は、石英上のグラフェンであり、それにより、この電極22が透過性であり、そのため、第1のミラー11と第2のミラー12との間に形成された光学キャビティ13への、最小限の影響を有するようになっている。
【0072】
図11に示すように、第1のミラー11は、2つのシリコンの層24、25を含むブロック23から形成されている。第1の層24は約500μmであり、第2の層25は約30μmから約50μmである。第1の層24と第2の層25との間には、薄い絶縁層26が挟まれている。第1の層24、第2の層25、及び絶縁層26を挟んでいるのは、窒化ケイ素の2つの薄い層27である。
【0073】
第1のミラー11を形成するためには、図11に示すように、シリコンの第2の層25の一部、及びこのシリコンの第2の層25の一部をカバーする窒化ケイ素の層27を、写真平版(窒化ケイ素の層27に関する反応性イオンエッチング、及びシリコン25のエッチングのための水酸化カリウム)を使用して切除して、絶縁層26を露出させる。第2の層26及びカバーする窒化ケイ素の層27は、切欠きセクションが正方形の断面を有し、シリコン24へ向かってスロープ状に下降するようにエッチングされている。
【0074】
結果としてのキャップ28は、第1のミラー11、キャビティ13、及び壁30の一部を形成し、シリコンの第1の層24の中間部分が第1のミラー11となっており、切欠きセクションがキャビティ13を形成し、ブロック23の残りの部分が壁30の各部を形成する。
【0075】
図12に示すように、第2のミラー12は、2つのシリコンの層33、34を含むブロック32から形成されている。第1の層33は約10μmであり、第2の層34は数百マイクロメートル、たとえば約500μmである。第1の層33と第2の層34との間には、薄い絶縁層35が挟まれている。第1の層33、第2の層34、及び絶縁層35を挟んでいるのは、窒化ケイ素の2つの薄い層36である。
【0076】
第2のミラー12に関し、図12に示すように、キャップ28が、第1のミラー11に関するキャップのように形成されている。このことが行われると、リソグラフィ、具体的には、深掘り反応性イオンエッチングが使用されて、第1の層33へのらせん状の湾曲部(図12には示されていない)をカットする。このことを行う場合、第1の層33の頂部にある窒化ケイ素の層36も、らせん状の湾曲部21の頂部から除去される。
【0077】
次のステップは、ミラー12及びらせん状の湾曲部21上の絶縁体35を、気相フッ化水素酸を使用して除去することである。このプロセスを完了するために、第1の層33の頂部から窒化ケイ素36の残りの層で、マイクロ電気機械システム(MEMS)29を形成する。第2のミラー12及びらせん状の湾曲部21以外のMEMS29のセクションは、キャップ28の各セクションとともに干渉計の壁30を形成する。
【0078】
干渉計10を形成するために、MEMS29が電極22の頂部に置かれ、MEMS29の切欠きセクションが第2のミラー12と電極22との間にある。次いで、キャップ28は、MEMS29がキャップ28と電極22との間にあり、MEMS29の切欠きセクションが第2のミラー12と電極22との間にあるように、MEMS29の頂部に置かれる。こうして、3つのすべてが定位置に固定され、検出器が電極22及び第2のミラー12の後方に配置される。光源は、前方ミラー11の後方でシステムに組み込むことができる。代替的には、システムは、外部の光源を使用するように構成することができる。
【0079】
赤外線フーリエ変換分光計10は、約1μmから約2.6μmの幅広いスペクトル領域を有し、スペクトルの解像度は約10nmまで下がり、一方、干渉計は、数十ミリメートル立方のみのサイズである(おおよそ4×4×1.5mmの寸法を有し、そのため、24mmの体積である)。したがって、赤外線フーリエ変換分光計10は、移動電話及びタブレットなどの移動電子デバイスに組み込むことができ、この移動電子デバイスに、分光計の機能を提供する。
【0080】
図14に示すように、赤外線フーリエ変換分光計100によって得られたアクリルに関するスペクトルと、従来技術の分光計によって得られた同じ材料に関するスペクトルとを隣り合わせて比較することにより、得られたスペクトルを慣習的な分光計と比較可能であり、既知のスペクトルの物質を識別するために使用することができる。
【0081】
図15によって示すように、赤外線フーリエ変換分光計100は、類似のスペクトルを有する物質同士、図に示すケースでは、異なる脂肪分を有するミルクを区別するために十分に正確である。
【0082】
1つまたは複数の実施形態が、もっぱら実施例として上述されている。多くの変形形態が、添付の特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲から逸脱することなく、可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】