(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】複数の横分岐を有する垂直雨水排水パイプにおける逆流の防止のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20230726BHJP
E04D 13/04 20060101ALI20230726BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20230726BHJP
E04D 13/068 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
E03C1/12 A
E04D13/04 D
E03C1/12 E
E03C1/122 A
E04D13/068 504A
E03C1/122 Z
E04D13/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581704
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 SG2021050390
(87)【国際公開番号】W WO2022010416
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】10202006628S
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523001164
【氏名又は名称】ファスト フロー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FAST FLOW LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴー、チュン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ギルバート
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB04
2D061AC05
2D061AC07
2D061AC10
2D061AD01
(57)【要約】
垂直パイプからの分岐のための分岐パイプ設備は、ノズルを形成する絞られた断面を垂直部分に有する前記垂直パイプに取り付けられた分岐接続部であって、前記ノズルは、前記ノズルを通過する水の速度水頭を増加させるように構成されている分岐接続部と、前記ノズルの直下に位置し、前記垂直パイプの断面積よりも大きい断面積を有している膨張チャンバと、前記膨張チャンバから突出する分岐部と、床出口と、前記分岐部を前記床出口に接続する分岐パイプと、を備える。
【選択図】
図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流入を受け入れるための床出口であって、
パイプへの接続のための差込口と、
水の流入を受け入れるための第1の開口及び空気を逃がすための第2の開口の2つの開口を有する入口であって、前記開口は前記差込口に流体連通している入口と、
を備える、床出口。
【請求項2】
前記差込口と前記開口との中間に位置するチャンバをさらに含み、前記チャンバは、前記差込口よりも大きい断面積を有する、請求項1に記載の床出口。
【請求項3】
前記チャンバは、前記パイプから空気を受け取り、前記第2の開口へと空気を逃がすように構成された上部と、前記第1の開口からの流入を受け入れ、前記流入を前記パイプへと導くように構成された下部とを含む、請求項2に記載の床出口。
【請求項4】
前記第1の開口は、前記床出口が配置された床と前記縁部が同一平面に位置するように外周縁部によって定められる、請求項1~3のいずれか一項に記載の床出口。
【請求項5】
前記第2の開口は、前記第2の開口が前記第1の開口の内側に位置するように内側縁部によって定められる、請求項4に記載の床出口。
【請求項6】
前記チャンバは、前記第2の開口から前記差込口までの導管を形成する、前記チャンバの前記上部を覆う天蓋を含む、請求項5に記載の床出口。
【請求項7】
2つのパイプの間の角度のある接続を提供するためのエルボであって、
内側半径及び外側半径を備えており、
前記内側半径はパイプの直径と比べてより大きい、エルボ。
【請求項8】
前記外側半径はパイプの直径と比べて小さい、請求項7に記載のエルボ。
【請求項9】
前記外側半径は、前記内側半径よりも小さい、請求項7に記載のエルボ。
【請求項10】
前記内側半径の2倍が、パイプの直径の0.3以上である、請求項7に記載のエルボ。
【請求項11】
前記内側半径及び前記外側半径の中心を結ぶ線に沿った前記エルボの断面積が、前記エルボが接続されるパイプの断面よりも大きい、請求項7に記載のエルボ。
【請求項12】
パイプに取り付けられる空気放出装置であって、
垂直方向を向いた内部チャンバを定めているハウジングと、
前記パイプから空気を受け入れるための前記チャンバの基部の開口部と、
受け入れた空気を逃がすための前記チャンバの上部の通気孔と、
を備えており、
前記チャンバの高さは、前記チャンバの幅以上である、空気放出装置。
【請求項13】
前記チャンバ内にトレイをさらに含み、
前記トレイは、前記チャンバを横切って水平方向に広がっており、
前記トレイは、空気が前記トレイを通過できるように構成された通気孔を含んでいる、請求項12に記載の空気放出装置。
【請求項14】
前記チャンバ内において前記トレイの上方にあるボールをさらに含み、
前記ボールは、前記基部からの水の流入時に浮き、前記上部通気孔を封止するように構成されている、請求項13に記載の空気放出装置。
【請求項15】
前記チャンバ内で前記装置上部に隣接して取り付けられた少なくとも1つのフラップをさらに含み、前記フラップは、開位置から閉位置へと動くように構成され、前記基部からの水の流入時に前記上部通気孔を封じ、前記上部通気孔を封止する、請求項12に記載の空気放出装置。
【請求項16】
垂直パイプからの分岐のための分岐パイプ設備であって、
ノズルを形成する絞られた断面を垂直部分に有する前記垂直パイプに取り付けられた分岐接続部であって、前記ノズルは、前記ノズルを通過する水の速度水頭を増加させるように構成されている分岐接続部と、
前記ノズルの直下に位置し、前記垂直パイプの断面積よりも大きい断面積を有している膨張チャンバと、
前記膨張チャンバから突出する分岐部と、
請求項1~6のいずれか一項に記載の床出口と、
前記分岐部を前記床出口に接続する分岐パイプと、
を備える、分岐パイプ設備。
【請求項17】
請求項12~15のいずれか一項に記載の空気放出装置をさらに含み、前記空気放出装置は、前記分岐部の付近に取り付けられ、前記分岐部に連通している、請求項16に記載の分岐パイプ設備。
【請求項18】
前記分岐パイプは、前記パイプを水平方向に導くための前記分岐部に近接する第1のエルボを含む、請求項16又は17に記載の分岐パイプ設備。
【請求項19】
前記分岐パイプは、前記第1のエルボと前記床出口との中間に2つの追加のエルボを含んでいる、請求項18に記載の分岐パイプ設備。
【請求項20】
前記第1のエルボ及び追加のエルボのうちの少なくとも1つは、請求項8~11に記載のエルボである、請求項18又は19に記載の分岐パイプ設備。
【請求項21】
分岐パイプにおいて空気経路と流入経路とを分離するための方法であって、
垂直パイプ内で、流れをそらし、流れを圧縮することで、前記垂直パイプ内にノズルを形成するステップと、
前記ノズルの上流に圧力流を引き起こし、前記ノズルの下流に水ジェットを生じさせて、前記分岐パイプの開口部に空気分離ゾーンを生成するステップと、
前記分岐パイプの他端に位置する出口の第1の開口に流入を受け入れ、前記出口の第2の開口から空気を逃がすステップと、
結果として、前記空気分離ゾーンから前記第2の開口までの連続的な空気経路と、前記第1の開口から前記垂直パイプまでの連続的な流入経路とを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項22】
前記分岐パイプ内の空気経路から空気放出装置へと空気を再び導くステップと、
前記空気放出装置から空気を逃がすステップと、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の開口と前記垂直パイプとの中間にある前記分岐パイプのエルボにおいて、前記流入経路を連続した曲面に沿って導くステップをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記曲面に隣接する拡大部へと空気を導くステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風雨空間のための雨水排水に関する。とくには、本発明は、高層建築物に使用されるような縦樋及び関連の分岐に関する。
【背景技術】
【0002】
多段横分岐接続部を有する雨水パイプは、横分岐を通る水の逆流のリスクを有する。このリスクは、現在の重力雨水縦樋の設計原理では、予測することがきわめて困難である。
【0003】
横分岐における逆流を引き起こす重要な因子は、以下のとおりである。
・配管内に閉じ込められた空気の放出;
・空気と水との間の明確な分離を維持することができる安全限界を超えて流量が増加するときの2相流特性の予測不可能性。
【0004】
上記の不確実性を防止するために、垂直スタックの流量を、きわめて小さい流量容量に制限しなければならない。多くの国々の雨水排水規準は、逆流の問題を防止するために、横分岐を垂直な屋根排水パイプに接続することを許可しないという原則を採用している。
【0005】
水の流れが空気の流れに影響を及ぼさないきわめて少ない流量において、逆流のリスクは存在しない。しかしながら、流れが増加するにつれて、パイプにおける水の充てん率が大きくなる。この水の流れの増加は、垂直配管の内側の空気に影響を及ぼす。下方への水の流れが増加すると、垂直パイプの上部(屋根に位置する)から、あるいはスタックのより高い部分に位置する横分岐から、追加の空気が引き込まれる可能性がある。
【0006】
開放空間へと垂直方向に排出するパイプなど、水の流れと一緒に取り込まれた空気が下方へと自由に移動し、下流端において自由に排出されることができる場合、逆流のリスクは存在しない。
【0007】
しかしながら、
・下流でパイプが水平方向に長く延びている、
・下流にエルボが存在する、
・他のスタックからの流れが合流する、又は
・パイプの排出が外部ドレンの溢れゆえに水中にある
など、パイプの下流端において空気が自由に流れ出ることができない状況において、空気が、とりわけスタックのより下方の部分において、多段横分岐接続部を通って逃げ出すことになる。
【0008】
横分岐を通って逃げ出す空気は、3つの問題を生じさせる。
・床出口(横分岐への入口を形成している)への水の効果的な流れを妨げる。
・横分岐配管を通る水の効果的な流れを妨げる。
・垂直スタック内を流れている水を横分岐を通って押し出し、したがって逆流を生じさせる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1態様は、垂直パイプからの分岐のための分岐パイプ設備を提供し、前記分岐パイプ設備は、ノズルを形成する絞られた断面を垂直部分に有する前記垂直パイプに取り付けられた分岐接続部であって、前記ノズルは、前記ノズルを通過する水の速度水頭を増加させるように構成されている分岐接続部と、前記ノズルの直下に位置し、前記垂直パイプの断面積よりも大きい断面積を有している膨張チャンバと、前記膨張チャンバから突出する分岐部と、床出口と、前記分岐部を前記床出口に接続する分岐パイプと、を備える。
【0010】
本発明の第2態様は、水の流入を受け入れるための床出口を提供し、前記床出口は、パイプへの接続のための差込口と、水の流入を受け入れるための第1の開口及び空気を逃がすための第2の開口の2つの開口を有する入口であって、前記開口は前記差込口に流体連通している入口と、を備える。
【0011】
本発明の第3態様は、2つのパイプの間の角度のある接続を提供するためのエルボを提供し、前記エルボは、内側半径及び外側半径を備えており、前記内側半径はパイプの直径と比べてより大きい。
【0012】
本発明の第4態様は、パイプに取り付けられる空気放出装置を提供し、前記空気放出装置は、垂直方向を向いた内部チャンバを定めているハウジングと、前記パイプから空気を受け入れるための前記チャンバの基部の開口部と、受け入れた空気を逃がすための前記チャンバの上部の通気孔と、を備えており、前記チャンバの高さは、前記チャンバの幅以上である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明を、本発明について考えられる構成を示している添付の図面を参照して、さらに説明することが好都合であろう。本発明について、他の構成も可能であり、したがって、添付の図面の詳細を、本発明の上述の説明の一般性を奪うものと理解してはならない。
【0014】
【
図1】段階2の流れ状態にある分岐を有する垂直パイプの立面図である。
【
図2】段階3及び4の流れ状態にある分岐を有する垂直パイプの立面図である。
【
図3】垂直パイプ及び横分岐の概略の立面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による接合部の立面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態によるエルボの等角図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による流出口の等角図である。
【
図4D】本発明の一実施形態による空気放出装置である。
【
図5】本発明の一実施形態による接合部を有する垂直パイプの概略の立面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による接合部の概略の立面図である。
【
図7A】逆流状態を被る先行技術によるエルボの概略の立面図である。
【
図7B】逆流状態を被る先行技術によるエルボの概略の立面図である。
【
図7C】逆流状態を被る先行技術によるエルボの概略の立面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるエルボの概略の立面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による流出口の概略の立面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による流出口の概略の立面図である。
【
図10A】本発明の実施形態による空気放出装置の概略の立面図である。
【
図10B】本発明の実施形態による空気放出装置の概略の立面図である。
【
図11A】本発明のいくつかの実施形態による垂直パイプ及び横分岐の種々の構成の等角図である。
【
図11B】本発明のいくつかの実施形態による垂直パイプ及び横分岐の種々の構成の等角図である。
【
図11C】本発明のいくつかの実施形態による垂直パイプ及び横分岐の種々の構成の等角図である。
【
図11D】本発明のいくつかの実施形態による垂直パイプ及び横分岐の種々の構成の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
垂直パイプに沿った流れは、(流れの増加につれて)以下の段階を経る。
・段階1:空気と水との間に明確な分離が存在するきわめて少ない流量。水は、典型的には、パイプの壁の内面に沿って流れ、環状流として説明することが可能である。
・段階2:水の流れが配管内の空気の流れに影響を及ぼす少ない流量。流れのこの段階は、追加の空気を配管へともたらし、パイプの下部に空気の蓄積を生じさせる。
・段階3:二相流段階:配管内で圧力変動が発生し、空気と水とが流れにおいて混ざり合う流量。流れの状態が、きわめて不安定で予測不可能になり得る。
・段階4:流量が、圧力が比較的安定である安定圧力流状態に達する。小さな気泡が水流と混ざり合って存在することを特徴とする。
・段階5:流れが垂直スタック内の孔全体の流れ状態に達する可能な最大流量。
【0016】
逆流の恐れは、段階2、3、4、及び5において生じる。従来からの重力設計原理は、重力システムの容量を、いかなる逆流も防止するために、段階1の流量に制限する。
【0017】
図1が、横分岐15を有する垂直パイプ10を備える縦樋設備5を示している。段階2において、空気30が、水流によって下方に運ばれる。空気圧20が高まることで、空気35が横分岐を通って側方に押し出されるという問題が生じる。逃げる空気が、パイプの壁の内面に沿って下方へと流れている水と交差し、したがって水25を横分岐へと押し込む。
【0018】
これにより、横分岐に水が溜まり、最終的には、分岐パイプを通って空気が自由に逃げ出すことができなくなる。これが生じると、空気が水を分岐パイプに沿って上流へと押し、逆流を引き起こす。
【0019】
図2は、
図1と同じ設備5を示しているが、段階3及び4を通って段階5へと進むように水流が増加している。この段階において、水流は圧力流の特性を有し、下方への水流が同伴空気を含み、2相流を呈する。分岐接続部を通る流れが大気圧よりも高い圧力を有するため、水圧によって水45が分岐接続部を通って押し出され、逆流を引き起こす。
【0020】
横分岐における空気の流れの状態は、垂直スタック内の種々の流れの状態に基づいて異なる。垂直スタックを通る流れの増加に関連して、空気の流れについて、さまざまな段階が存在する。
・段階1:水流の方向に逆らって外向きに流れる空気が最小
・段階2:水流の方向に逆らって外向きに流れる空気が最大
・段階3:水流の方向に逆らって外向きに流れる空気が最小(段階1と同様)
・段階4:空気の移動が最小である中立状態
・段階5:水流の方向に従う内向きの空気の移動
【0021】
臨界状態は、分岐パイプの段階2の流れにおいて発生し、これは、垂直パイプにおける段階2及び段階3の流れにおいて生じる。逆流に対する解決策は、分岐パイプにおいて水流の方向に逆らって外向きに流れる空気が最大である状況に対応する必要がある。
【0022】
図3は、多段横分岐接続部を有する垂直雨水排水パイプ50において、逆流の恐れのある場所を示している。
・垂直スタック55に沿った位置。
・逃げ出す空気がスタックから横分岐を通って外向きに水を押すため。
・パイプの垂直断面内の圧力の変動のため。
・垂直スタックと横分岐との間の接続点60の位置。
・流れが水平から垂直に方向を変える横分岐パイプ65に沿った位置。
・横分岐への水の入口点70(バルコニーの床出口など)の位置。
【0023】
本発明は、いくつかの態様に関し、それらの各々を、
図3において特定した位置における問題を解決するために取り入れることができる。これらの種々の態様は、必要に応じて個別に使用されてよいが、特定の用途においてシステム全体にわたる解決策が必要とされる場合に、そのような解決策を形成するように他の態様のいずれか、又はすべてと組み合わせて使用されてもよいことを、理解できるであろう。
【0024】
さまざまな場所における状況を解決するように構成されたさまざまな態様の実施形態が、
図4A~
図4Dに示される。
・
図4A:垂直パイプへのすべての横分岐の接続点に位置する逆流防止接合部75。
・
図4B:分岐パイプにおける垂直と水平との間のすべての角度変化に位置する適応型エルボ80。
・
図4C:水が分岐パイプに進入する適応型床出口85。
・
図4D:逆流防止接合部並びに分岐パイプ内の他の位置に組み込むことができる適応型空気放出装置90。
【0025】
図5が、垂直パイプを示しており、垂直パイプは、垂直パイプから延びる分岐を有している。各々の分岐は、逆流防止接合部75を含む。
【0026】
逆流防止接合部75は、
図6に示されるように、分岐134の開口部132を有するノズルレベル124を形成する絞られた断面120を含む。絞りは、圧力水頭を形成する接合部75の上方の水100、105の蓄積を生じさせる。これは、流れパターンを重力非圧力流から圧力流に変化させ、ノズルが、圧力水頭を、分岐を通過した水の高速ジェット130の形態の高い速度水頭に変換し、したがって、閉じ込められた空気を垂直方向又は水平方向の両方に分岐134を通って逃がすこと(135)を可能にする空気-水分離ゾーン125を生み出す。垂直パイプにおける大流量において、圧力ジェットは、横分岐との接続点において吸引効果を生じさせるきわめて高い速度を達成する。これにより、横分岐の流れの容量が増加する。
【0027】
より広い分離ゾーン125は、分岐134を通って大気圧にも開放されているため、水ジェットの膨張を可能にし、したがって重力に導かれる流れへの復帰を可能にする。
【0028】
すべての接続点において、ノズルは、ノズルの上方に圧力流の状態を引き起こしつつ、ノズルの下方に圧力の急変を生じさせる。これは、垂直配管における接合部の位置及び配管の高さに関係なく、すべての分岐点において生じる。したがって、垂直スタック内の流れの状態は、小さな制御された圧力流れセグメントに分割される。垂直スタック内の圧力の変動が排除される。
【0029】
これにより、システムが制御された圧力流の状態下で動作することが可能になり、段階1(きわめて流量の少ない状態)でのみ安全な従来からの解決策と比較して、はるかに大きい流量が達成される。
【0030】
空気が水流と干渉することなく横分岐パイプを通って逃げ出すことができるようにするために、横分岐における制御された水位が重要である。水流を、分岐パイプの水平部分に開放流路状態を維持するように設計する必要がある。
【0031】
水平パイプ用の従来からの重力排水パイプの設計は、パイプの断面の深さ全体の70%までの水深を許容するが、この充てん率は、空気を自由に逃がすための充分な空間を可能にしない。
【0032】
分岐パイプを通って空気を自由に排出することができる最大水深は、パイプの断面の深さ全体の50%である。
【0033】
図11A~
図11Dを参照して説明されるように、50%の深さを超える水深の場合、特別な空気放出装置90を逆流防止接合部に組み込むことができる。
【0034】
図7A~
図7Cが、逆流の結果として問題を抱える分岐パイプ設備におけるさらなる地点を示している。水流が、分岐パイプの水平部分からパイプの垂直部分へと下方に方向を変える場合、方向の変化におけるエルボ/屈曲部140の構成が、逆流の防止において重要である。
【0035】
パイプの垂直部分からの空気流145が、水平な上流部分と垂直な下流部分との間の曲がりの形状ゆえに気流の経路を横切って突出する可能性がある水流150と交差するとき、逆流の恐れが生じる。実際に、これは、水流150にとって不連続部として作用し、この地点152におけるパイプからの別離につながる。上方への空気流145が、水を後方155へと押し戻し(147、160)、曲がりの上流に水の蓄積を生じさせ、最終的には、上流へと長い距離にわたって押し戻されて逆流を引き起こし得る水の栓166を形成する。
【0036】
鋭い内側縁部152(鋭い90度プラスチック継手に典型的)を有する曲がりは、水をパイプの壁の内側から離れるようにオーバーシュートさせ、パイプの垂直部分の中心を横切る流れの突出を引き起こす傾向がある。
【0037】
図8が、適応型エルボ170によるこの問題に対する解決策を示している。エルボ上に内径172を有する曲面を有することが、連続面を提供し、したがって水流とパイプとの間の分離を防止することによって、水流190を水平パイプの下部に沿った状態に保つ役に立つ。水195は、屈曲部の内側においてパイプの壁に沿って曲がりを辿る。これにより、水流と空気流175、180、185との間の交差が防止され、流れの方向の変化において空気流を水流から分離しておくことができる。
【0038】
本発明によれば、パイプの直径の0.3倍の内側曲がり半径の2倍に対応する最小内径を有するエルボ170が、最大50%の深さの水流が空気流と交差しないことを保証するために使用される。
【0039】
エルボの外側半径における拡大部178が、空気流と水流との干渉を回避するための追加の空気空間を提供する。この目的のために、内側半径及び外側半径の中心173、174を結ぶ線171によって定められるエルボの断面積は、エルボをパイプに接続する差込口を含むエルボの上流部分及び下流部分の断面積よりも大きい。
【0040】
さらなる実施形態において、エルボの内側部分172の半径は、エルボの外側半径176よりも大きくてもよい。典型的には、先行技術のエルボは、等しい半径を有し、あるいは、場合によっては、内側半径が外側半径よりも小さい。本発明のさらなる実施形態においては、内側半径をより大きくして、水が湾曲部の付近を流れるときの分離を防止することができ、外側半径をより小さくして、空気を流し、水流から分離したままにするための追加の空間を形成することができる。したがって、形状が直角な角に倣うにつれて、外側半径は0に近づけてもよい。
【0041】
さらなる態様において、
図9A~
図9Cが、横分岐への水の入口点として使用される床出口200を示している。これは、横分岐から逃げ出す空気の出口点でもある。
【0042】
流出空気と流入水との間の衝突が、効果的な排水を妨げる可能性があり、水が出口に入り、その後に分岐パイプに入ることが、妨げられる可能性がある。
【0043】
この実施形態において、床出口200は、水平方向の差込口208を有し、この差込口は、空気が、この差込口よりも大きい断面積を有し、したがって差込口に対して拡大されたチャンバ240へと、配管の上部を移動することを保証し、前記チャンバは、上部及び下部を有する。図は、水平方向の差込口を示しているが、差込口は垂直であってもよいことに留意されたい。さらなる代替形態においては、
図8によるエルボが、前記差込口に取り付けられ、あるいは前記差込口と一体である、2つの開口214、215を有する入口が、出口200の他端に位置し、差込口に連通している。第1の開口215は、水の流入を受け入れるように配置され、第2の開口214は、パイプから空気を逃がすように配置される。パイプ断面の上部の空気は、床出口の中心に向かって導かれ、そこで、第1の開口215を通って流入する水220と干渉することなく、第2の開口214を通って逃げ出す(230)ことができる。第2の開口への入口は、天蓋210に接続された内側縁部213によって境界付けられる。第1の開口は、外周縁部205及び内側縁部213によって境界付けられる。床出口を配置するとき、水を入口へと向けるための従来からの傾斜にもかかわらず、外周縁部及び内側縁部は、床の表面と同一平面になるように配置される。したがって、出口200が受け入れる水流220は、第1の開口215を通って導かれ、チャンバ240の下部235へと導かれて、次いで、水平パイプ208へと流れる(225)ことができる。
【0044】
床出口200は、以下の2つの主要な特徴を有する。
・分岐パイプ208と床出口205との間の接続部における垂直方向に拡大された空気チャンバ240。この拡大部240は、上部の追加の上方空気空間が、中央の通気開口部に向かって空気の流れを導くことを可能にする。
・床出口の壁から中央に向かって延び、出口の中央において放出されるように空気の流れを導く延長された半円形の天蓋210。これにより、床出口から外へと放出される空気流を、床出口へと流入する水の流れから分離することができる。
【0045】
図10Aが、空気放出コンポーネント245を示している。空気放出コンポーネント245は、閉じ込められた空気の放出を容易にし、したがって分岐における逆流の問題の克服を助けるために、分岐の付近で使用されるように構成される。したがって、分岐に連通し、必ずしも真上ではないが、この分岐の垂直上方に位置する。本発明の他の態様から分離して設置されてもよいが、例えば逆流防止接合部と関連して使用される場合、空気放出コンポーネントは、接合部の接続点のすぐ近くでの直接的な空気の放出を可能にし、したがって分岐パイプを通って空気を放出する必要性を低減/除去する。これにより、分岐パイプが孔全体の状態、すなわち水100%で排水することを可能にでき、したがって排水能力が大幅に向上する。ハウジング内のチャンバは、チャンバの幅以上の高さを有することができる。また、分岐又は分岐パイプの断面積よりも大きい断面積を有することもできる。
【0046】
空気放出装置245は、上部255を有するハウジング250を含む。装置の基部に、接合部上又は接合部付近の差込口又は他の取り付け部に嵌合する開口部265が存在する。開口部265は、分岐パイプから空気を逃がすことを可能にする。空気はチャンバ285に進入し、この場合は逆円錐形プレートである中央のトレイ270を通過する。トレイ270は、中央通気口273と、トレイ270の周囲の周囲通気口271、275とを含む。トレイの円錐形の形状は、ボール277が非作動時に装置245内に据わることを可能にする。空気がチャンバ285に進入し、トレイ270を通過するとき(280)、空気は最終的に装置の上部255の通気口260を通って出て行き、したがって装置から出る。
【0047】
浮きボール277が装置内に組み込まれ、装置内の水位に基づいてボールが上昇及び下降(279)することで、装置内に水がもたらされた場合に装置が通気口260を自動的に封じることを保証する。
【0048】
図10Bが、1つ以上のフラップ274が装置の上部255に取り付けられ、開位置から閉位置へと移動(276)するように配置され、基部からの水の流入時に上部の通気口260を封じ、上部の通気口を封止する代替の構成を示している。
【0049】
ボールが一方向弁と同様のやり方で機能し、したがって、ボールを、上昇する水位の上部に浮いて通気口を封止する自由に動くディスクで置き換えることができることを、理解できるであろう。
【0050】
上述したように、本発明は、
図4A~
図4Dに挙げたような4つの別個の態様を含む。単独で使用することも可能であるが、これらのコンポーネントを一緒に使用して、分岐パイプ設備を形成してもよい。
【0051】
例えば、
図11A~
図11Dが、そのような分岐パイプ設備に使用することができる種々の組み合わせを示しており、これらの組み合わせは、空気が分岐パイプに巻き込まれることを防止するために互いに分離された連続的な空気経路及び連続的な流入経路を提供することを目的としている。
【0052】
図11A:分岐パイプに垂直落下が組み込まれた高い充てん率:
・空気放出装置310を備えた分岐接合部305と、2つのエルボ315と、床出口320とを有する分岐設備295;
【0053】
図11B:分岐パイプに垂直落下が組み込まれた低い充てん率:
・分岐接合部305と、2つのエルボ315と、床出口320とを有する分岐設備325;
【0054】
図11C:分岐パイプが逆流防止接合部に直接接続されている高い充てん率:
・空気放出装置310を備えた分岐接合部305と、床出口とを有する分岐設備330;
【0055】
図11D:分岐パイプが逆流防止接合部に直接接続されている低い充てん率:
・分岐接合部305と、床出口320とを有する分岐設備335;
【0056】
これらの分岐パイプ設備の各々は、横分岐における逆流を効果的に防止しつつ、圧力流の原理を利用して大流量を達成するためにさまざまなコンポーネントを含む。
【国際調査報告】