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  • 特表-電極シート及びリチウムイオン電池 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】電極シート及びリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20230726BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20230726BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20230726BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M50/531
H01M4/133
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500035
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2021143038
(87)【国際公開番号】W WO2022143889
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011631163.1
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522442283
【氏名又は名称】チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スン,レイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュアンフー
(72)【発明者】
【氏名】ペン,チュン
【テーマコード(参考)】
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H043AA02
5H043BA19
5H043EA06
5H043LA02E
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050DA03
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
本発明は、電極シート及びリチウムイオン電池を提供する。本発明の第1の態様にて提供される電極シートは、集電体と、集電体の表面に順に積層して設けられた第1の活性層と第2の活性層と、を含み、ここで、第1の活性層に第1の凹溝が設けられ、第2の活性層に第2の凹溝が設けられ、集電体への第2の凹溝の垂直投影が、集電体への第1の凹溝の垂直投影を覆い、タブは、第1の凹溝に設けられ、かつ集電体と電気的に接続される。本発明にて提供される電極シートは、タブ接続位置における充電リスクを効果的に改善し、高速充電を維持する条件で、リチウムイオン電池のサイクル維持率を向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、前記集電体の表面に順に積層して設けられた第1の活性層と第2の活性層と、を含み、
ここで、前記第1の活性層に第1の凹溝が設けられ、前記第2の活性層に第2の凹溝が設けられ、前記集電体への前記第2の凹溝の垂直投影が、前記集電体への前記第1の凹溝の垂直投影を覆い、
タブは、前記第1の凹溝に設けられ、かつ前記集電体と電気的に接続される、
ことを特徴とする電極シート。
【請求項2】
前記第2の凹溝の長さは、前記第1の凹溝の長さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項3】
前記第2の凹溝の幅は、前記集電体の幅と同じである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極シート。
【請求項4】
前記第2の凹溝の長さと前記第1の凹溝の長さとの差は500mm以下である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電極シート。
【請求項5】
前記電極シートは負極シートであり、かつ前記第2の活性層における負極活物質の平均粒径が10~18μmで、黒鉛化度が86~94%である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電極シート。
【請求項6】
前記第1の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極シート。
【請求項7】
集電体への前記第1の凹溝の垂直投影の面積は、集電体におけるタブ接続領域の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電極シート。
【請求項8】
前記第1の凹溝の幅は、前記タブ接続領域の幅の1~2倍である、
ことを特徴とする請求項7に記載の電極シート。
【請求項9】
前記第1の凹溝の長さは、前記タブ接続領域の長さの1~2倍である、
ことを特徴とする請求項7に記載の電極シート。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電極シートを含む、
ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極シート及びリチウムイオン電池に関し、リチウムイオン電池技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
5G時代の絶え間ない発展に伴い、リチウムイオン電池はますます重要になり、リチウムイオン電池が、エネルギー密度が高く、急速充電レートが大きい方向に発展することも促している。現在、電極シートにおけるタブの接続位置をエッジから側面の中央部に調整することで、リチウムイオン電池のインピーダンスを低下させ、リチウムイオン電池の充電速度を向上させる。
【0003】
しかし、タブの位置が変わると、タブの周囲の電流密度が増加し、リチウムイオン電池のサイクルに伴い、リチウムイオンが析出し、リチウムイオン電池のサイクル性能が悪くなる。そこで、高速充電を維持したまま、どのようにリチウムイオン電池のサイクル性能を向上させるかがますます多く注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高速充電におけるリチウムイオン電池のサイクル性能を向上させるための電極シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様にて提供される電極シートは、集電体と、前記集電体の表面に順に積層して設けられた第1の活性層と第2の活性層と、を含み、
ここで、前記第1の活性層に第1の凹溝が設けられ、前記第2の活性層に第2の凹溝が設けられ、前記集電体への前記第2の凹溝の垂直投影が、前記集電体への前記第1の凹溝の垂直投影を覆い、
タブは、前記第1の凹溝に設けられ、かつ前記集電体と電気的に接続される。
【0006】
さらに、前記第2の凹溝の長さは、前記第1の凹溝の長さよりも大きい。
【0007】
さらに、前記第2の凹溝の幅は、前記集電体の幅と同じである。
【0008】
さらに、前記第2の凹溝の長さと前記第1の凹溝の長さとの差は500mm以下である。
【0009】
さらに、前記電極シートは負極シートであり、かつ前記第2の活性層における負極活物質の平均粒径が10~18μmで、黒鉛化度が86~94%である。
【0010】
さらに、前記第1の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度よりも大きい。
【0011】
さらに、集電体への前記第1の凹溝の垂直投影の面積は、集電体におけるタブ接続領域の面積よりも大きい。
【0012】
さらに、前記第1の凹溝の幅は、前記タブ接続領域の幅の1~2倍である。
【0013】
さらに、前記第1の凹溝の長さは、前記タブ接続領域の長さの1~2倍である。
【0014】
本発明の第2の態様にて提供されるリチウムイオン電池は、上記いずれか1項に記載の電極シートを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施は、少なくとも以下の利点を有する。
【0016】
1、本発明は、電極シートを提供し、タブの周囲の活性層の厚さを下げることで、タブ接続位置における充電リスクを効果的に改善し、高速充電を維持する条件で、リチウムイオン電池のサイクル維持率を向上させる。
【0017】
2、本発明にて提供されるリチウムイオン電池は、高速充電において、優れたサイクル性能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に必要な図面を簡単に紹介するが、以下の記述における図面は、本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができることが明らかである。
図1a】本発明の一実施例にて提供される電極シートの正面図である。
図1b】本発明の一実施例にて提供される電極シートの平面図である。
図1c】本発明の一実施例にて提供される電極シートの左側面図である。
図2a】本発明の別の実施例にて提供される電極シートの正面図である。
図2b】本発明の別の実施例にて提供される電極シートの平面図である。
図3】本発明のさらなる実施例にて提供される電極シートの平面図である。
【発明を実施するための態様】
【0019】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に記述するが、記述される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことが明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行わずに取得された他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0020】
本発明の第1の態様にて提供される電極シートは、集電体と、前記集電体の表面に順に積層して設けられた第1の活性層と第2の活性層と、を含み、
ここで、前記第1の活性層に第1の凹溝が設けられ、前記第2の活性層に第2の凹溝が設けられ、前記集電体への前記第2の凹溝の垂直投影が、前記集電体への前記第1の凹溝の垂直投影を覆い、
タブは、前記第1の凹溝に設けられ、かつ前記集電体と電気的に接続される。
【0021】
従来の電極シート設計によれば、第1の活性層及び第2の活性層の側面に、第2の活性層の上面と集電体の上面とを連通する凹溝が設けられ、これによりタブが当該凹溝に設けられ、かつ凹溝に露出した集電体と電気的に接続され、本願にて提供される電極シートは、主に、タブの周囲の活性層の厚さを下げて、タブ接続位置の充電リスクを改善し、具体的には、図1aは、本発明の一実施例にて提供される電極シートの正面図であり、図1bは、本発明の一実施例にて提供される電極シートの平面図であり、図1cは、本発明の一実施例にて提供される電極シートの左側面図であり、図1a~1cに示すように、電極シートは、集電体1と、集電体1の上面に設けられた第1の活性層2と、第1の活性層2の集電体1から遠い上面に設けられた第2の活性層3と、を含み、第1の活性層2の側面の中央位置に第1の凹溝が設けられ、第2の活性層3に第2の凹溝が設けられ、タブ4は、前記第1の凹溝に設けられ、かつ集電体1と電気的に接続され(集電体1へのタブの垂直投影と集電体1への第1の凹溝の垂直投影とが重なり合い)、集電体への第2の凹溝の垂直投影が、集電体への第1の凹溝の垂直投影を覆い、タブの周囲領域の活性層の厚さが、タブ領域から遠い活性層の厚さよりも低くなるようにし、ここで、電極シートの長さは、本分野において電極シートの長さに対する定義と同じであり、即ち、電極シートは、最長辺が電極シートの長さであり、最短辺が電極シートの高さであり、最長辺と最短辺との間の辺が電極シートの幅であり、即ち、図1aにおいて、長辺が電極シートの長さであり、短辺が電極シートの高さであり、図1bにおいて、短辺が電極シートの幅であり、長辺の値が即ち電極シートの長さであり、高辺の値が即ち電極シートの厚さであり、幅の値が即ち電極シートの幅であり、かつ、第1の凹溝及び第2の凹溝は、電極シートの長さ、幅及び厚さ方向と同じである。本発明にて提供される電極シートは、タブの周囲の活性層の厚さを下げることで、タブ接続位置における充電リスクを効果的に改善し、高速充電を維持する条件で、リチウムイオン電池のサイクル維持率を向上させる。
【0022】
図1a~1cに示す電極シート構造において、第2の活性層に第2の凹溝が設けられるため、実際の製造過程において、第2の凹溝が位置する箇所にブランク塗布を行う必要があるが、従来の塗布機器及び塗布工程では、当該塗布方式を直接実現することができないため、第2の活性層の製造効率を向上させるために、第2の凹溝の幅を広くし、それを集電体の幅と同じにすることができ、こうすると従来の塗布機器でスキップ塗布を行うことで、第2の凹溝が設けられた第2の活性層を得ることができる。
【0023】
図2aは、本発明の別の実施例にて提供される電極シートの正面図であり、図2bは、本発明の別の実施例にて提供される電極シートの平面図であり、図2a~2bに示すように、電極シートは、集電体1と、集電体1の表面に順に設けられた第1の活性層2と第2の活性層3と、を含み、第1の活性層2の側面の中央位置に第1の凹溝が設けられ、かつ第1の凹溝が集電体1の対応する領域内でタブ4に接続され、第2の活性層3に第2の凹溝が設けられ、かつ第2の凹溝の幅が集電体1の幅と同じであり、即ち、第2の凹溝により第2の活性層を左右2つの独立した部分に分割する。
【0024】
リチウムイオン電池のサイクル性能をさらに向上させるために、前記第2の凹溝の長さが前記第1の凹溝の長さよりも大きく、かつ第1の凹溝と第2の凹溝の長さについての研究により、第2の凹溝の長さが長くなるにつれて、リチウムイオン電池のサイクル性能が徐々に向上することが見出され、リチウムイオン電池のエネルギー密度とサイクル性能とを両立させるために、前記第2の凹溝の長さと前記第1の凹溝の長さとの差が500mm以下である。
【0025】
第1の凹溝の長さ及び幅は、具体的に、タブに応じて決定され、当業者は、実際の電極シートの設計及び必要性に応じて第1の凹溝の長さ及び幅を決定することができる。
【0026】
リチウムイオン電池に急速充電性能を備えさせるために、前記電極シートが負極シートである場合、前記第2の活性層における負極活物質の平均粒径は10~18μmであり、黒鉛化度は86~94%である。
【0027】
また、急速充電型黒鉛の圧密密度が限られるため、リチウムイオン電池のエネルギー密度の低下を招くことがあり、リチウムイオン電池のエネルギー密度と急速充電性能とを両立させるために、第1の活性層における負極活物質として、一般的な黒鉛を選択し、具体的には、第1の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径及び黒鉛化度よりも大きく、例えば、第2の活性層における負極活物質の平均粒径が10~18μmで、黒鉛化度が86~94%である場合、第1の活性層における負極活物質の平均粒径が12~30μmで、黒鉛化度が90~98%である。
【0028】
上記電極シートの構造によれば、負極シートの製造過程において、負極活物質を接着剤、導電剤及び増粘剤と組み合わせて第1の負極活性層スラリーを製造し得、かつそれを集電体の表面に塗布して第1の活性層を得ることができ、次に、第2の負極活性層スラリーを製造し得、第2の負極活物質を集電体から遠い第1の活性層の表面に塗布し、塗布過程において、第2の凹溝の対応する領域にブランク塗布を行う必要があり、第2の凹溝を含む第2の活性層を得、最後に、第1の活性層の側面の中央領域を洗浄して第1の凹溝を得、かつタブを第1の凹溝内に設けて当該負極シートを得、ここで、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、改質黒鉛のうちの少なくとも1種を含んでもよく、接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びスチレン-ブタジエンゴム(SBR)のうち少なくとも1種を含むことができ、導電剤は、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、導電性黒鉛、グラフェンのうちの少なくとも1種を含んでもよく、増粘剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含んでもよい。
【0029】
本発明にて提供される電極シートは、正極シートにも同様に適用され、具体的な製造方法は、負極シートを参照することができ、相違点は材料の違いであり、具体的には、集電体は、アルミニウム箔であってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムオキシリチウム、リチウムリッチマンガン系材料、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む。
【0030】
実際の製造過程において、タブと集電体との接続を容易にするために、集電体への第1の凹溝の垂直投影の面積を集電体におけるタブ接続領域の面積よりも大きくさせることができる。
【0031】
ここで、集電体におけるタブ接続領域とは、集電体へのタブの垂直投影領域を指し、図3は、本発明のさらなる実施例にて提供される電極シートの平面図であり、図3に示すように、前記集電体への第1の凹溝の垂直投影の面積は、前記集電体におけるタブ接続領域の面積よりも大きい。
【0032】
さらに、前記第1の凹溝の幅は、前記タブ接続領域の幅の1~2倍である。
【0033】
さらに、前記第1の凹溝の長さは、前記タブ接続領域の長さの1~2倍である。
【0034】
以上のように、本発明は、電極シートを提供し、タブの周囲の活性層の厚さを下げることで、タブ接続位置における充電リスクを効果的に改善し、高速充電を維持する条件で、リチウムイオン電池のサイクル維持率を向上させる。
【0035】
本発明の第2の態様は、上記いずれか1種の電極シートを含むリチウムイオン電池を提供する。
【0036】
本発明は、リチウムイオン電池を提供し、当業者は、本発明にて提供される電極シートに基づいて、従来技術に関連してリチウムイオン電池を製造し得る。本発明にて提供されるリチウムイオン電池は、高速充電において、優れたサイクル性能を備える。
【0037】
以下、具体的な実施例に関連して説明する。
実施例1
【0038】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが30mmである。
【0039】
電極シートが正極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層は、97質量部のコバルト酸リチウム、1.5質量部のPVDF及び1.5質量部のカーボンブラック導電剤を質量百分率で含み、
電極シートが負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層は、いずれも、97質量部の黒鉛、0.7質量部のカーボンブラック、1.3質量部のスチレンブタジエンゴム、及び1質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含み、ここで、第1の活性層における負極活物質は、平均粒径が18μmで、黒鉛化度が96%であり、第2の活性層における負極活物質は、平均粒径が15μmで、黒鉛化度が92%である。
実施例2
【0040】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが40mmである。
【0041】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、実施例1と同じである。
実施例3
【0042】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが50mmである。
【0043】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、実施例1と同じである。
実施例4
【0044】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが60mmである。
【0045】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、実施例1と同じである。
実施例5
【0046】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが70mmである。
【0047】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、実施例1と同じである。
実施例6
【0048】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが30mmである。
【0049】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径が15μmで、黒鉛化度が94%であることを除いて、実施例1を参照することができる。
実施例7
【0050】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが30mmである。
【0051】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径が15μmで、黒鉛化度が90%であることを除いて、実施例1を参照することができる。
実施例8
【0052】
本実施例にて提供される電極シートの正面図は図2aに示され、平面図は図3に示され、左側面図は図1cに示され、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
第1の凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmであり、
第2の凹溝は、幅が81mmで、長さが30mmである。
【0053】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、第2の活性層における負極活物質の平均粒径が10μmで、黒鉛化度が90%であることを除いて、実施例1を参照することができる。
比較例1
【0054】
本比較例にて提供される電極シートは、集電体と、第1の活性層と、第2の活性層と、を含み、第1の活性層と第2の活性層の側面の中央位置に凹溝が設けられ、ここで、
集電体は、銅箔であり、幅が81mmであり、
凹溝は、幅が25mmで、長さが10mmである。
【0055】
電極シートが正極シート又は負極シートである場合、第1の活性層及び第2の活性層の材料は、実施例1と同じである。
【0056】
本発明の実施例1~8及び比較例1にて提供される正極シート及び負極シートをセパレータ及び電解液と組み合わせてリチウムイオン電池を製造し得、かつリチウムイオン電池のサイクル容量維持率を測定した。
【0057】
ここで、正極活物質は、厦門厦タングステン新エネルギー材料有限公司から購入し、負極活物質は、上海杉杉科技有限公司から購入し、セパレータは、東莞市卓高電子科技有限公司から購入し、電解液は、シェンヂェン・キャプチェム・テクノロジー(深セン新宙邦科技股分有限公司)から購入した。
【0058】
リチウムイオン電池の性能測定方法は、以下のとおりである。
実施例1~8及び比較例1にて提供されるリチウムイオン電池に対して、25℃の条件下で2C/0.7Cの充放電サイクル測定を500サイクル行った後に、そのサイクル維持率(%)を算出し、測定結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1から分かるように、実施例1~8にて提供されるリチウムイオン電池は、いずれも、優れたサイクル容量維持率を有し、実施例1~5にて提供されるデータから分かるように、第2の凹溝の長さが増加するにつれて、リチウムイオン電池のサイクル性能がそれに応じて向上し、実施例6~8にて提供されるデータから分かるように、第2の活性層における活物質の黒鉛化度及び平均粒径が小さくなるにつれて、リチウムイオン電池のサイクル維持率が向上する。以上のように、本発明にて提供されるリチウムイオン電池は、高速充電において、優れたサイクル性能を備える。
【0061】
最後に、上記各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではなく、前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば理解されるように、それは依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を均等置換することができ、これらの修正又は置換は、相応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させない。
【0062】
本願は、2020年12月30日に中国特許庁に提出された、出願番号が202011631163.1で、出願の名称が「電極シート及びリチウムイオン電池」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0063】
1、集電体
2、第1の活性層
3、第2の活性層
4、タブ
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】