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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】電極シート及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20230726BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230726BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230726BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20230726BHJP
   H01M 50/531 20210101ALN20230726BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M4/48
H01M4/66 A
H01M50/531
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500036
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2021143101
(87)【国際公開番号】W WO2022143904
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011628655.5
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522442283
【氏名又は名称】チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジアン
(72)【発明者】
【氏名】スン,レイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュアンフー
(72)【発明者】
【氏名】ペン,チュン
【テーマコード(参考)】
5H017
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS01
5H017DD05
5H017HH05
5H043AA03
5H043AA04
5H043BA19
5H043EA06
5H043LA21E
5H050AA02
5H050AA15
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA02
5H050DA03
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は、電極シート及び電池を提供し、電極シートは集電体と集電体の第1の表面に設けられた機能層とを含み、前記第1の表面の中央にタブがさらに設けられ、前記第1の表面の機能層はタブに近い第1の勾配領域とタブから遠い第1の通常領域とを有し、前記第1の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する。本発明は電池のレート性及び安全性などの性能を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シートであって、集電体と集電体の第1の表面に設けられた機能層とを含み、前記第1の表面の中央にタブがさらに設けられ、前記第1の表面の機能層はタブに近い第1の勾配領域とタブから遠い第1の通常領域とを有し、前記第1の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する、
ことを特徴とする電極シート。
【請求項2】
電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第1の勾配領域のタブから遠い一端の端点はcであり、第1の勾配領域のタブに近い一端の端点はdであり、cとdとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はαであり、αは10~80°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項3】
前記第1の勾配領域の幅は0.25~3mmである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極シート。
【請求項4】
前記機能層は活性材料層と、活性材料層と集電体の表面との間に位置する下塗り層とを含み、前記活性材料層は前記第1の勾配領域と第1の通常領域とを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極シート。
【請求項5】
前記下塗り層はタブに近い第2の勾配領域とタブから遠い第2の通常領域とを有し、前記第2の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極シート。
【請求項6】
電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第2の勾配領域のタブから遠い一端の端点はeであり、第2の勾配領域のタブに近い一端の端点はfであり、eとfとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はβであり、βは10~80°である、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極シート。
【請求項7】
前記活性材料層からタブまでの最小距離は前記下塗り層からタブまでの最小距離以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極シート。
【請求項8】
前記活性材料層からタブまでの最小距離はmであり、前記下塗り層からタブまでの最小距離はnであり、0≦n-m≦3mmである、
ことを特徴とする請求項4又は7に記載の電極シート。
【請求項9】
前記第1の勾配領域の表面から集電体の第1の表面までの最小距離は下塗り層の表面から集電体の第1の表面までの最大距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の電極シート。
【請求項10】
前記電極シートは正極シートであり、前記機能層は活性材料層を含み、前記活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、前記活性材料はコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムオキシリチウム、リチウムリッチマンガン系材料、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の電極シート。
【請求項11】
前記電極シートは負極シートであり、前記機能層は活性材料層を含み、前記活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、前記活性材料は黒鉛、中間相炭素微小球、軟質炭素、硬質炭素、シリコン材料、シリコン酸素材料、シリコン炭素材料、チタン酸リチウム材料のうちの少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の電極シート。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電極シートを含む、
ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極シート及び電池に関し、電池分野に属する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、スマートフォン、ノートパソコンなどの大衆消費電子製品の最も主要な電池種類であり、スマートフォンなどの大衆消費電子製品のモデルチェンジに伴い、リチウムイオン電池のエネルギー密度、充電速度及び安全性能に対する要求が高まっている。通常の構造のポーチリチウムイオン電池のタブは、電極シートの一端に溶接され、このような構造のリチウムイオン電池は内部抵抗が比較的大きく、電池の急速充電に不利であり、タブを電極シートの中央又は中央に近接した領域に溶接することは、電池の内部抵抗を効果的に低下させることができ、電池の充電速度を向上させることに有利であり、通常、集電体に機能コーティング層をコーティングした後、電極シートの中央の予め設定されたタブ位置のコーティング層を除去し、集電体を露出させた後にタブを溶接し、そして粘着紙を貼り付けて保護を行い、粘着紙はタブの上面に粘着する必要があるほか、通常、タブ周辺の露出した集電体及びタブ周辺の機能コーティング層(即ちタブに近接した機能コーティング層の領域)に粘着してタブを被覆し、タブの保護を実現する。しかし、通常の電極シート構造では、タブに近接した機能コーティング層の領域と集電体との間に高さ差があり、この高さ差は機能コーティング層の厚さと実質的に一致しており、この領域では粘着紙がタブ周辺の露出した集電体と完全に貼り合わせることができず、タブに近接した機能コーティング層領域は電解液が濃化しやすく、当該領域のリチウムイオン濃度が他の領域との差が大きすぎ、リチウムが析出しやすいなどの問題があり、電極シート及び電池の安全性及びレート性などの性能を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、タブの負極領域の保護を効果的に向上させ、リチウム析出などの問題を回避し、電極シート及び電池の安全性及びレート性などの性能を向上させることができる、電極シートを提供する。
【0004】
本発明は、上記電極シートを採用し、良好な安全性及びレート性などの性能を有する電池をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、電極シートを提供し、集電体と集電体の第1の表面に設けられた機能層とを含み、第1の表面の中央にタブがさらに設けられ、第1の表面の機能層はタブに近い第1の勾配領域とタブから遠い第1の通常領域とを有し、第1の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第1の勾配領域のタブから遠い一端の端点はcであり、第1の勾配領域のタブに近い一端の端点はdであり、cとdとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はαであり、αは10~80°である。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、上記第1の勾配領域の幅は0.25~3mmである。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、上記機能層は活性材料層と、活性材料層と集電体の表面との間に位置する下塗り層とを含み、上記活性材料層は上記第1の勾配領域と第1の通常領域とを有する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、上記下塗り層はタブに近い第2の勾配領域とタブから遠い第2の通常領域とを有し、上記第2の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第2の勾配領域のタブから遠い一端の端点はeであり、第2の勾配領域のタブに近い一端の端点はfであり、eとfとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はβであり、βは10~80°である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、上記活性材料層からタブまでの最小距離は上記下塗り層からタブまでの最小距離以下である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記活性材料層からタブまでの最小距離はmであり、上記下塗り層からタブまでの最小距離はnであり、0≦n-m≦3mmである。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、上記第1の勾配領域の表面から集電体の第1の表面までの最小距離は下塗り層の表面から集電体の第1の表面までの最大距離よりも大きい。
【0014】
本発明の別の態様は、上記電極シートを含む電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
本発明にて提供される電極シートは、タブに近接した機能層領域に勾配領域(即ち上記第1の勾配領域)を設けることにより、当該勾配領域とタブ、タブ周辺の露出した集電体の間の高さ差を低減し、粘着紙とタブ、タブ周辺の露出した集電体、勾配領域をよりよく接着させ、タブ領域に対する保護効果を向上させ、電解液の濃化及びそれに起因するリチウム析出などの問題を回避し、さらに電極シート及び電池のレート性、安全性、安定性及び使用寿命などの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の電極シートの第1の表面の断面模式図である。
図2】本発明の別の実施形態の電極シートの第1の表面の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者が本願の態様をよりよく理解するために、以下に図面を参照して本願をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の一態様において、電極シートを提供し、図1図2に示すように、当該電極シートは集電体1と集電体の第1の表面に設けられた機能層とを含み、第1の表面の中央にタブ4がさらに設けられ、第1の表面の機能層はタブ4に近い第1の勾配領域31とタブから遠い第1の通常領域32とを有し、第1の勾配領域31の厚さはタブ4に近接した方向に徐々に低下する。
【0019】
本発明にて提供される電極シートは、上記第1の勾配領域を設けることにより、粘着紙とタブ、タブ周辺の露出した集電体、タブ周辺の勾配領域の接着をより緊密にすることに有利であり、タブに対する被覆及び保護効果を向上させ、タブ付近の電解液の濃化及びそれに起因するリチウム析出などの問題を回避し、さらに電極シート及び電池のレート性、安全性、安定性及び使用寿命などの性能を向上させる。
【0020】
具体的には、本発明の電極シートは第1の表面のみに機能層を設けてもよく、第1の表面に対向する第2の表面に機能層を同時に設けてもよく(即ち集電体の正逆両面にいずれも機能層が設けられる)、具体的に実施する際には必要に応じて設定することができ、ここで、第2の表面の機能層は当該分野における通常の構造であってもよく、本発明はこれに対して特に限定せず、繰り返して説明しない。
【0021】
具体的な一実施形態では、第2の表面にも機能層が設けられ、第2の表面の機能層の厚さは第1の表面の第1の通常領域の機能層の厚さに等しく、第2の表面の機能層の厚さと第1の表面の第1の通常領域の機能層の厚さとの総和は90~120μmである。
【0022】
本発明の検討によれば、図1に示すように、電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第1の勾配領域31のタブ4から遠い一端の端点はcであり、第1の勾配領域31のタブ4に近い一端の端点はdであり、cとdとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角(以下第1の勾配角と略称する)はαであり、αは10~80°であり、例えば10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°又はこれらの任意の2つの値からなる範囲であってもよく、例えば20~80°又は20~70°などであり、電極シートのレート性及び安定性などの性能を向上させることに有利である。ここで、cは機能層の厚さ変化の臨界点(即ち第1の通常領域32と第1の勾配領域31との境界線が上記投影において形成する交点)であり、dは第1の勾配領域31(円弧面又は斜面を呈する)と機能層の厚さ方向に平行な機能層の垂直面との境界線が上記投影において形成する交点である。
【0023】
さらに、第1の勾配領域31の幅aは0.25~3mmであってもよく、さらに0.5~2.5mm又は0.5~2mm又は0.5~1.5mmであってもよく、当該幅aは第1の勾配領域31のタブから遠い一端からそのタブに近い一端までの機能層の表面が位置する平面に平行な方向における距離であり、又は、当該幅aは第1の通常領域32と第1の勾配領域31との境界線から第1の勾配領域31と機能層の厚さ方向に平行な機能層の垂直面との境界線までの機能層の表面が位置する平面に平行な方向における距離である。これに対して、aが小さすぎると(<0.25mm)、粘着紙とタブ、タブ周辺の露出した集電体、タブ周辺の機能層を含む全体界面の接着性に影響し、電極シートのレート性及び安全性などの性能改善効果に限界があり、aが大きすぎると(>3mm)、機能層の損失が比較的大きく、電極シートのエネルギー密度及び容量などの特性に影響する。
【0024】
電池の安全性などの性能をさらに向上させるために、本発明の一実施形態では、図1及び図2に示すように、機能層は活性材料層3と、活性材料層3と集電体1の表面との間に位置する下塗り層2とを含み、活性材料層3は上記第1の勾配領域31と第1の通常領域32とを有する。
【0025】
さらに、下塗り層2はタブ4に近い第2の勾配領域21とタブ4から遠い第2の通常領域22とを有し、第2の勾配領域21の厚さはタブ4に近接した方向に徐々に低下する。
【0026】
具体的には、電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第2の勾配領域21のタブ4から遠い一端の端点はeであり、第2の勾配領域21のタブ4に近い一端の端点はfであり、eとfとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はβであり(以下第2の勾配角と略称する)、βは10~80°であり、例えば10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°又はこれらの任意の2つの値からなる範囲であってもよい。ここで、eは下塗り層の厚さ変化の臨界点(即ち第2の通常領域22と第2の勾配領域21との境界線が上記投影において形成する交点)であり、fは第2の勾配領域21(円弧面又は斜面を呈する)と下塗り層の厚さ方向に平行な下塗り層の垂直面との境界線が上記投影において形成する交点である。一般的にeとcとの結線が機能層の厚さ方向と同じである(即ち、タブに近接した方向において、第1の勾配領域31と第2の勾配領域32との開始位置は同じである)ことが好ましい。
【0027】
一般に、活性材料層3からタブ4までの最小距離は下塗り層2からタブ4までの最小距離以下であり、機能層表面全体がより均質で平滑であることに有利であり、その安全性及びレート性などの性能を向上させる。
【0028】
具体的には、活性材料層3からタブ4までの最小距離はmであり、下塗り層2からタブ4までの最小距離はnであり、0≦n-m≦3mm(即ち、図1に示すように、下塗り層2のタブ4に近い一端から活性材料層3のタブ4に近い一端までの距離bは0~3mm)であり、さらに、0≦n-m≦2.5mm又は0≦n-m≦2mm又は0≦n-m≦1.5mm又は0≦n-m≦1mmであり、これに対して、n-mが小さすぎると(<0)、下塗り層のはみ出し部分は機能層表面の平坦度に影響し、かつ下塗り層は通常粘着力が比較的大きく、洗浄又は掻き落としが困難であり、電極シートの製造に影響するが、n-mが大きすぎると(>3mm)、タブに近い活性材料層領域の大部分が下塗り層から保護されず、電極シートの安全性などの性能に不利である。
【0029】
さらに検討したところ、第1の勾配領域31の表面から集電体1の第1の表面までの最小距離は下塗り層2の表面から集電体1の第1の表面までの最大距離よりも大きく、又は、集電体1の第1の表面を基準とし、第1の勾配領域31の表面の最低点は下塗り層2の上方に位置し、つまり、下塗り層に第2の勾配領域が設けられていない場合(即ち下塗り層は全て第2の通常領域からなる)、第1の勾配領域31の表面から集電体1の第1の表面までの最小距離は下塗り層2の厚さよりも大きく、下塗り層が第2の勾配領域21と第2の通常領域22とを有する場合、第1の勾配領域31の表面から集電体1の第1の表面までの最小距離は第2の通常領域22に対応する下塗り層2の厚さよりも大きい。
【0030】
本発明の下塗り層は当該分野における通常の保護機能を有する安全コーティング層であってもよく、例えば無機粒子コーティング層及び/又はポリマーコーティング層を含んでもよく、当該無機粒子コーティング層は活性材料を含有しない通常のセラミックコーティング層であってもよいし、活性材料を含有し、かつ粘着剤の含有量が上記活性材料層よりも高い活性材料層であってもよいし、又は当該セラミックコーティング層と活性材料層との混合コーティング層であってもよい。当該下塗り層と集電体との間に比較的大きな剥離力(粘着力)を有し、通常剥離力が30N/mよりも大きく、機能層の集電体への密着力を強化し、電極シートの安全性及び使用寿命などの特性を向上させることができる。
【0031】
上記下塗り層の集電体に対する剥離力は活性材料層の集電体に対する剥離力よりも大きく、具体的にはコーティング層における粘着剤の含有量を調整することによって各コーティング層の集電体に対する剥離力の調節を実現することができ、一般に、下塗り層における粘着剤の質量含有量は活性材料層における粘着剤の質量含有量の3倍以上であり、下塗り層が集電体に対するより高い剥離力を有することに有利であり、電極シートの安全性を向上させるとともに、電極シートのエネルギー密度などの特性を向上させることを両立させることができる。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態では、上記下塗り層は無機粒子コーティング層であり、その原料は無機粒子材料、導電剤及び粘着剤を含み、ここで、無機粒子材料の質量含有量が55%~96%であり、粘着剤の質量含有量が3%~40%であり、導電剤の質量含有量が1%~5%である。
【0033】
具体的には、無機粒子材料は、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケルコバルトマンガン三元材料(NCM)、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料(NCA)、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム四元材料(NCMA)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガンリチウム(LMP)、リン酸バナジウムリチウム(LVP)、マンガン酸リチウム(LMO)、リチウムリッチマンガン基、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化トリウムのうちの少なくとも1種から選ばれてもよい。
【0034】
上記活性材料層も当該分野における通常の活性材料層であってもよく、好ましい一実施形態では、当該活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、ここで、活性材料の質量含有量が93%~99%であり、粘着剤の質量含有量が0.5%~2%であり、導電剤の質量含有量が0.5%~5%である。
【0035】
具体的には、上記電極シートは正極シート又は負極シートであってもよく、例えば、一実施形態では、上記電極シートは正極シートであり、上記機能層は上記活性材料層を含み、当該活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、活性材料は具体的にはリチウム含有活性材料などの当該分野における通常の正極活性材料であってもよく、例えばコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムオキシリチウム、リチウムリッチマンガン系材料、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのうちの少なくとも1種を含んでもよく、上記集電体はアルミニウム箔などの当該分野における通常の正極集電体であってもよく、別の実施形態では、上記電極シートは負極シートであり、上記機能層は上記活性材料層を含み、当該活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、当該活性材料は具体的には黒鉛、中間相炭素微小球、軟質炭素、硬質炭素、シリコン材料、シリコン酸素材料、シリコン炭素材料、チタン酸リチウム材料などのうちの少なくとも1種を含んでもよく、上記集電体は銅箔などの当該分野における通常の負極集電体であってもよい。
【0036】
上記下塗り層及び活性材料層における粘着剤、導電剤は当該分野における通常の材料であってもよく、例えば、粘着剤はポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びスチレン-ブタジエンゴム(SBR)のうちの少なくとも1種を含んでもよく、導電剤は導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、導電性黒鉛、グラフェンのうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0037】
本発明の電極シートはグラビア塗布法、押出塗布法の当該分野における通常の方法を採用して製造されることができ、具体的に実施する際に、まずグラビア塗布法を採用して下塗り層原料を含有するスラリーを集電体の表面にコーティングし、乾燥した後、押出塗布法を採用して活性材料層を含有するスラリーをコーティングし、そして乾燥、ロールプレス処理を経た後、タブ部位のコーティング層を掻き落とし又は洗浄して除去し、タブ部位の露出した集電体にタブを溶接すると、電極シートが得られ、ここで、予め設定された第1の勾配領域及び第1の通常領域位置、勾配角などのパラメータに応じて、各領域のコーティング層の厚さを制御し、要求に合致する電極シートを得ることができる。グラビア塗布法を例に説明し、例えばグラビア塗布法を採用して集電体に下塗り層を塗布し、グラビア塗布過程で用いられるグラビアロールには、電極シート上のタブ部位を対応して形成するための予備タブ溝が設けられ、下塗り層が第2の勾配領域と第2の通常領域とからなる場合、グラビアロールに上記第2の勾配領域に対応する円弧面塗布部位が設けられ、上記第2の勾配領域を形成し、もちろん、下塗り層が第2の勾配領域を有さない場合(即ち全て第2の通常領域からなる)、上記円弧面塗布部位が設けられていないグラビアロールを採用して下塗り層のコーティング過程を行うことができる。
【0038】
本発明の別の態様は、上記電極シートを含む電池を提供する。
【0039】
本発明の電池は上記構造設計を有する正極シートを含み(即ち上記電極シートは正極シートである)、又は上記構造設計を有する負極シートを含んでもよく(即ち上記電極シートは負極シートである)、又は上記構造設計を有する正極シートと上記構造設計を有する負極シートとを同時に含んでもよい(即ち上記電極シートは正極シートと負極シートとを含む)。上記電極シートが正極シートである場合、上記電池は負極シートをさらに含み、当該負極シートは当該分野における通常の負極シートであってもよく、上記電極シートが負極シートである場合、上記電池は正極シートをさらに含み、当該正極シートも当該分野における通常の正極シートであってもよく、本発明はこれに対して特に限定しない。
【0040】
上記電池は正極シートと負極シートとの間に位置するセパレータをさらに含み、当該セパレータは正極シートと負極シートとを離隔するために用いられ、それは当該分野における通常のセパレータであってもよく、本発明はこれに対しても特に限定しない。
【0041】
具体的には、本発明の電池はリチウムイオン電池であってもよく、それは巻回型又は積層型であってもよく、好ましくは巻回型構造である。
【0042】
本発明の電池は当該分野における通常の方法に従って製造されることができ、例えば正極シート、セパレータ、負極シートを順に積み重ねた後、巻回(又は積層)してセルを形成し、そしてパッケージ、注液、化成、容量グレーディング、OCV(開回路電圧)試験などの工程を経た後、電池を製造し、これらのステップ/工程はいずれも当該分野における通常の操作であり、本発明はこれに対して特に限定せず、繰り返して説明しない。
【0043】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例に関連して本願の実施例における技術案を明確、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他の全ての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
実施例1
【0044】
(1)正極シートの製造
55wt% LFP、40wt% PVDF、5wt%導電性カーボンブラックを混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を加え、均一に撹拌した後に下塗り層スラリーを製造した。
95wt%コバルト酸リチウム、2wt%導電性カーボンブラック、1wt%カーボンナノチューブ、2wt%PVDFを混合し、NMPを加え、均一に撹拌した後に正極活性材料層スラリーを製造した。
グラビア塗布プロセスを用いて上記下塗り層スラリーを正極集電体の正逆両面にコーティングし、ここで、予め設定されたタブ領域に幅が約10mmの第1のブランク領域を残し(即ち当該領域にはスラリーをコーティングしない)、乾燥した後、押出塗布法を採用して上記正極活性材料層スラリーを正極集電体の正逆両面にコーティングし、乾燥した後、予め設定されたタブ領域の一部のコーティング層を除去し、幅が約8mmで上記第1のブランク領域の真ん中に位置する第2のブランク領域(当該領域にはスラリーをコーティングしない)を形成し、ロールプレス処理後、集電体の2つの表面にそれぞれ積層して設けられた下塗り層及び正極活性材料層を形成し、第2のブランク領域の真ん中に幅が約6mmのタブを溶接し、正極シートを得た。
ここで、予め設定された第1の勾配領域の幅及び勾配角などのパラメータに応じて、集電体のタブが設けられた第1の表面の各領域のコーティング層の厚さを制御し、集電体の第1の表面に下塗り層2と、第1の勾配領域31と第1の通常領域32とを有する正極活性材料層3とを形成し、かつ第1の通常領域32に対応する正極活性材料層3の厚さが50μmであり、第1の勾配領域31の幅a=1.5mmであり、第1の勾配角α=78°であることを満たし、下塗り層は第2の勾配領域がなく(即ち全て第2の通常領域からなる)、その厚さが3μmであり、正極活性材料層からタブまでの最小距離m=1mmであり、下塗り層からタブまでの最小距離n=2mmであった(即ち下塗り層のタブに近い一端から正極活性材料層のタブに近い一端までの距離b=n-m=1mmである)。
(2)負極シートの製造
96wt%人造黒鉛、1wt%導電性カーボンブラック、1.5wt%SBR及び1.5wt%CMCを混合し、脱イオン水を加えて均一に撹拌した後にスラリーを製造し、
上記負極スラリーを負極集電体の正逆両面にコーティングし、乾燥、ロールプレスを経た後、負極シートを得た。
(3)電池の製造
上記正極シート及び負極シートをロールプレス、分割、シート化した後、正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層して載置し、そして巻回してベアセルを形成し、さらにパッケージ、注液、化成、容量グレーディング、OCVなどの工程を経た後、リチウムイオン電池を製造した。
実施例2
【0045】
実施例は、実施例1と以下の点で異なり、
96wt% LFP、3wt% PVDF、1wt%導電性カーボンブラックを混合し、NMPを加え、均一に撹拌した後に下塗り層スラリーを製造し(即ち下塗り層の原料組成が実施例1と異なる)、製造した正極シートにおいて、第1の勾配領域の幅a=2.5mmであり、第1の勾配角α=48°であり、下塗り層は第2の勾配領域と第2の通常領域とを有し、第2の勾配角β=30°であり、タブに近接した方向において、第2の勾配領域と第1の勾配領域の開始位置は同じであり、n=3mm、n-m=2mmであり、他の条件は実施例1と同様にした。
実施例3~6
【0046】
実施例3~6は、下塗り層、正極活性材料層、第1の勾配領域/第2の勾配領域の勾配角などのパラメータが異なるという点で実施例1と異なり、具体的には表1に示すように、表1に示す相違点以外、他の条件は実施例1と同様にした。
比較例1
【0047】
当該比較例は、下塗り層がなく、正極活性材料層が第1の勾配領域を有さない(即ち全て第1の通常領域からなる)という点で実施例1と異なり、他の条件は実施例1と同様にした。
比較例2
【0048】
当該比較例は、下塗り層のタブに近い一端と正極活性層のタブに近い一端が位置合わせされ(即ちn-m=0)、かつ勾配領域がない(即ち第1の勾配角α=0°、第2の勾配角β=0°)という点で実施例1と異なる。
各実施例及び比較例の電池の性能試験
【0049】
各実施例及び比較例のリチウムイオン電池に対して充放電試験及び安全試験を行い、電池の常温充電ウィンドウ(レート性能)及び安全性能を評価し、ここで、
充放電試験方法:25℃±3℃の環境下でリチウムイオン電池をそれぞれ0.5C、1C、1.5C、2Cの充電レートで充電し、4.45Vまで充電した後に定電圧充電に変更し、カットオフ電流を0.05Cとし、電池を満充電した後に10min静置し、そして0.5Cのレートで放電し、これは1回の充放電サイクルであり、20回のサイクル後に電池が満充電され、そして解剖してタブ領域のリチウム析出状況を観察し、ここで最大リチウム析出なしレートはその常温充電ウィンドウであり、各実施例及び比較例の電池の常温充電ウィンドウを測定し、表1に示した。
安全試験方法:25℃±3℃の環境下でリチウムイオン電池を0.5C充電レートで満充電し、カットオフ電圧を4.45V、カットオフ電流を0.05Cとし、そして以下の方法に従って釘刺し試験を行い、直径3mmのタングステン鋼釘を100mm/sの速度で電池の中央位置に突き刺し、そして引き抜き、電池は当該鋼釘突き刺し過程を経て発火しなければ合格する。各実施例及び比較例の電池の満充電釘刺し合格率を測定して表1に示した。
【0050】
【表1】

*は満充電釘刺し合格率=合格した電池数と試験総電池数との比とし、実施例2の「19/20」を例に説明し、それは合計20個の電池を試験し、上記鋼釘突き刺し過程を経て発火しない電池数が19であることを表す。
【0051】
表1から分かるように、正極シート上のタブ付近領域の機能層に勾配領域が存在し、電池の充電ウィンドウを向上させることに有利であり、それにより、よりよいレート性及び安全性などの性能を有させるとともに、正極活性材料層と集電体との間に下塗り層を設けることは、電池の安全性をさらに向上させることに有利である。
【0052】
以上は、本願の実施形態について説明した。ただし、本願は上記実施形態に限定されるものではない。本願の精神と原則の範囲内で、行ったいかなる修正、等価置換、改善などは、本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0053】
本願は、2020年12月30日に中国特許庁に提出された、出願番号が202011628655.5で、出願の名称が「電極シート及び電池」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0054】
1:集電体、2:下塗り層、3:活性材料層、4:タブ、21:第2の勾配領域、22:第2の通常領域、31:第1の勾配領域、32:第1の通常領域、α:第1の勾配角、β:第2の勾配角、a:第1の勾配領域の幅、b:下塗り層のタブに近い一端から活性材料層のタブに近い一端までの距離。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
本発明は、タブの付近領域の保護を効果的に向上させ、リチウム析出などの問題を回避し、電極シート及び電池の安全性及びレート性などの性能を向上させることができる、電極シートを提供する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
具体的には、活性材料層3からタブ4までの最小距離はmであり、下塗り層2からタブ4までの最小距離はnであり、0≦n-m≦3mm(即ち、図1に示すように、下塗り層2のタブ4に近い一端から活性材料層3のタブ4に近い一端までの距離bは0~3mm)であり、さらに、0≦n-m≦2.5mm又は0≦n-m≦2mm又は0≦n-m≦1.5mm又は0≦n-m≦1mmであり、これに対して、n-mが小さすぎると(<0)、下塗り層の活性材料層で被覆されない部分は機能層表面の平坦度に影響し、かつ下塗り層は通常粘着力が比較的大きく、洗浄又は掻き落としが困難であり、電極シートの製造に影響するが、n-mが大きすぎると(>3mm)、タブに近い活性材料層領域の大部分が下塗り層から保護されず、電極シートの安全性などの性能に不利である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
具体的には、無機粒子材料は、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケルコバルトマンガン三元材料(NCM)、ニッケルコバルトアルミニウム三元材料(NCA)、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム四元材料(NCMA)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸マンガンリチウム(LMP)、リン酸バナジウムリチウム(LVP)、マンガン酸リチウム(LMO)、リチウムリッチマンガン系材料、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化トリウムのうちの少なくとも1種から選ばれてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本発明の電極シートはグラビア塗布法、押出塗布法の当該分野における通常の方法を採用して製造されることができ、具体的に実施する際に、まずグラビア塗布法を採用して下塗り層原料を含有するスラリーを集電体の表面にコーティングし、乾燥した後、押出塗布法を採用して活性材料を含有するスラリーをコーティングし、そして乾燥、ロールプレス処理を経た後、タブ部位のコーティング層を掻き落とし又は洗浄して除去し、タブ部位の露出した集電体にタブを溶接すると、電極シートが得られ、ここで、予め設定された第1の勾配領域及び第1の通常領域位置、勾配角などのパラメータに応じて、各領域のコーティング層の厚さを制御し、要求に合致する電極シートを得ることができる。グラビア塗布法を例に説明し、例えばグラビア塗布法を採用して集電体に下塗り層を塗布し、グラビア塗布過程で用いられるグラビアロールには、電極シート上のタブ部位を対応して形成するための予備タブ溝が設けられ、下塗り層が第2の勾配領域と第2の通常領域とからなる場合、グラビアロールに上記第2の勾配領域に対応する円弧面塗布部位が設けられ、上記第2の勾配領域を形成し、もちろん、下塗り層が第2の勾配領域を有さない場合(即ち全て第2の通常領域からなる)、上記円弧面塗布部位が設けられていないグラビアロールを採用して下塗り層のコーティング過程を行うことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シートであって、集電体と集電体の第1の表面に設けられた機能層とを含み、前記第1の表面の中央にタブがさらに設けられ、前記第1の表面の機能層はタブに近い第1の勾配領域とタブから遠い第1の通常領域とを有し、前記第1の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する、
ことを特徴とする電極シート。
【請求項2】
電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第1の勾配領域のタブから遠い一端の端点はcであり、第1の勾配領域のタブに近い一端の端点はdであり、cとdとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はαであり、αは10~80°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項3】
前記第1の勾配領域の幅は0.25~3mmである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極シート。
【請求項4】
前記機能層は活性材料層と、活性材料層と集電体の表面との間に位置する下塗り層とを含み、前記活性材料層は前記第1の勾配領域と第1の通常領域とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項5】
前記下塗り層はタブに近い第2の勾配領域とタブから遠い第2の通常領域とを有し、前記第2の勾配領域の厚さはタブに近接した方向に徐々に低下する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極シート。
【請求項6】
電極シートのその厚さ方向に平行な投影において、第2の勾配領域のタブから遠い一端の端点はeであり、第2の勾配領域のタブに近い一端の端点はfであり、eとfとの結線と電極シートの表面に平行な平面とのなす鋭角はβであり、βは10~80°である、
ことを特徴とする請求項5に記載の電極シート。
【請求項7】
前記活性材料層からタブまでの最小距離は前記下塗り層からタブまでの最小距離以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極シート。
【請求項8】
前記活性材料層からタブまでの最小距離はmであり、前記下塗り層からタブまでの最小距離はnであり、0≦n-m≦3mmである、
ことを特徴とする請求項に記載の電極シート。
【請求項9】
前記第1の勾配領域の表面から集電体の第1の表面までの最小距離は下塗り層の表面から集電体の第1の表面までの最大距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の電極シート。
【請求項10】
前記電極シートは正極シートであり、前記機能層は活性材料層を含み、前記活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、前記活性材料はコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム、リン酸バナジウムオキシリチウム、リチウムリッチマンガン系材料、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのうちの少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項11】
前記電極シートは負極シートであり、前記機能層は活性材料層を含み、前記活性材料層の原料は活性材料、粘着剤及び導電剤を含み、前記活性材料は黒鉛、中間相炭素微小球、軟質炭素、硬質炭素、シリコン材料、シリコン酸素材料、シリコン炭素材料、チタン酸リチウム材料のうちの少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電極シートを含む、
ことを特徴とする電池。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】