(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法
(51)【国際特許分類】
C09C 1/48 20060101AFI20230726BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C09C1/48
C09D17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500090
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 KR2021005982
(87)【国際公開番号】W WO2022005014
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0080726
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521036654
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ フュージョン エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソク、トン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、スン リュル
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037AA02
4J037BB14
4J037EE02
4J037EE24
4J037FF15
(57)【要約】
本発明は、導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法を開示する。本発明は、導電性炭素粉末をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させるステップを含み、前記ステップは、プラズマ処理された反応ガス(イオン化されたガス)を前記導電性炭素粉末と反応させることを特徴とし、プラズマを利用することにより、容易に導電性炭素粉末の水分散性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性炭素粉末をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させるステップを含む、ことを特徴とする導電性炭素粉末の水分散性向上方法。
【請求項2】
前記プラズマは、二酸化炭素プラズマであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性炭素粉末の水分散性向上方法。
【請求項3】
前記プラズマは、DBD(dielectric barrier discharge)プラズマであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性炭素粉末の水分散性向上方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理は、10~30分間行われることを特徴とする、請求項1に記載の導電性炭素粉末の水分散性向上方法。
【請求項5】
前記導電性炭素粉末は、グラフェン(graphene)、グラファイト(graphite)、カーボンナノチューブ(TNT)、カーボンブラック(Carbon Black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)及びデンカブラック(Denka black)の中で選択された何れか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性炭素粉末の水分散性向上方法。
【請求項6】
導電性炭素粒子をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させて、導電性炭素コロイド粉末を得る第1ステップ;及び
前記導電性炭素コロイド粉末を水系溶媒に添加して撹拌させることにより、炭素粉末コロイド溶液を製造する第2ステップ;を含む炭素粉末コロイド溶液製造方法。
【請求項7】
前記プラズマは、二酸化炭素プラズマであることを特徴とする、請求項6に記載の炭素粉末コロイド溶液製造方法。
【請求項8】
前記プラズマは、DBD(dielectric barrier discharge)プラズマであることを特徴とする、請求項6に記載の炭素粉末コロイド溶液製造方法。
【請求項9】
前記プラズマ処理は、10~30分間行われることを特徴とする、請求項6に記載の炭素粉末コロイド溶液製造方法。
【請求項10】
前記導電性炭素粉末は、グラフェン(graphene)、グラファイト(graphite)、カーボンナノチューブ(TNT)、カーボンブラック(Carbon Black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)及びデンカブラック(Denka black)の中で選択された何れか一つであることを特徴とする、請求項6に記載の炭素粉末コロイド溶液製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素プラズマを利用した導電性炭素粉末の親水性及び水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性炭素粉末は、高い導電率、耐酸化性などの優れた特性を有していて、多くの分野に応用されており、表面が親油性を有していて、非水系非極性溶媒に主に用いられている。しかしながら、2次電池電極、塗料、印刷用インクなどの分野で用いられて、水溶液とともに利用される場合には、水溶液に対する分散性が高いことがひつようであるので、粉末の親水性表面処理が必ず必要である。
【0003】
炭素粉末に対する親水処理方法は、代表的に、化学的液相処理方法がある。酢酸、窒酸及び過酸化水素などのような処理溶液に炭素粉末を浸漬して反応させることにより、水酸基やアミノ基を結合させて、表面に親水性官能基を付与する。しかしながら、このような方法は、表面処理方法が非常に厳しく、残余物を除去する精製過程、乾燥過程などの多くの工程を経なければならないため、経済的に効率的でないという短所がある。他の方法としては、オゾンガス雰囲気下で表面処理するオゾン処理方法があるが、オゾンの強い酸化特性により炭素粉末表面が変性されるという問題点がある。具体的には、純粋な100%O2(酸素)のみを用いる場合には、高濃度のオゾンが発生することになるが、発生されたオゾンと導電性炭素粉末が撹拌接触時には、表面が劣化されて、火に燃える現象(burning)が発生するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、二酸化炭素プラズマを利用することにより、簡単な工程だけでも炭素粉末の水分散性を容易に向上させることができる方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、導電性炭素粉末が安定的に分散されたコロイド溶液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一目的を達成するための導電性炭素粉末の水分散性向上方法は、従来技術に比べて、非常に容易に導電性炭素粉末の水分散性を向上させることができる新規の方法であって、導電性炭素粉末をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させる簡単な工程だけでも非常に容易に導電性炭素粉末の水分散性を向上させることができる方法である。言い換えれば、本発明は、プラズマ処理された活性ガスと反応させるだけでも導電性の炭素粉末の水分散性が顕著に向上されるという効果を奏することができる。
【0007】
本発明では、導電性炭素粉末をプラズマを発生領域に配置させて、形成されたプラズマに直接露出させて反応させるのではない、プラズマ処理されたガスを移動させて、導電性炭素粉末に露出させることにより反応させることを特徴とする。ここで、前記プラズマジェットとは、プラズマ発生領域で生成されたプラズマを大気中にジェット状に噴出させることを意味するのである。
【0008】
通常、プラズマ処理とは、プラズマ発生領域に被処理物を配置させて反応させることを意味するが、本発明でプラズマ処理は、プラズマ発生領域に炭素粉末を配置させて直接露出させるのではない、プラズマ処理されたイオン化されたガスを利用して、炭素粉末に露出させることを意味する。導電性炭素粉末をプラズマ発生領域に配置させて直接露出させて反応させることがより効果的な方法であると思われることがあるが、本出願人は実験的にプラズマ発生領域に直接露出させる場合、炭素粉末とプラズマが反応して炭素粉末に欠陷が生ずる問題点を確認した。したがって、本発明では、導電性炭素粉末の欠陥なしに非常に安定的に特性を改質させるために、プラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させる工程を利用することができる。
【0009】
本発明で用いることができる導電性炭素粉末は、炭素原子のみからなる物質であってもよい。例えば、グラフェン(graphene)、グラファイト(graphite)、カーボンナノチューブ(TNT)、カーボンブラック(Carbon Black)、ケッチェンブラック(Ketjen black)及びデンカブラック(Denka black)などであってもよい。本発明では、導電性炭素粉末の大きさや模様を制限しない。好ましくは、導電性炭素粉末は、数ナノメートル乃至数百ミクロメートルサイズの粒子であってもよいが、これより大きいか小さい大きさを有しても本発明を実行するのにおいて大きく制限されない。また、導電性炭素粉末の模様は、球形(sphere)、四面体(tetrahedron)、六面体(cube)、八面体(octahedron)などのような形状を有してもいいが、必ずこれに制限されない。
【0010】
前記プラズマは、二酸化炭素プラズマであってもよい。通常、プラズマは、酸素や窒素、水素のような物質を特定比率で混合した混合ガスを利用するが、本発明では、100%二酸化炭素プラズマを利用した場合、酸素や窒素ガスまたは混合ガスを利用した場合よりも炭素粉末の水分散性が顕著に形成されたことを確認した。混合ガスを利用した場合、炭素粉末に水分散性が形成され得るが、本発明のように、水系溶媒に分散されたコロイド状態で安定的に保持することができず、また、コロイド持続時間でも顕著な差を示した。これに関する内容は、下記の実施例と比較例を通じて詳しく敍述する。
【0011】
前記プラズマを発生する方法は、誘電体障壁放電、コロナ放電、マイクロ波放電及びアーク放電などのような方法を利用することができるが、好ましくは、誘電体障壁放電プラズマ(dielectric barrier discharge、DBD)であり得る。しかしながら、これに必ず制限されるのではない。
【0012】
前記プラズマ処理は、10~30分間行われることができる。本発明では、導電性炭素粉末の表面に変性及び欠陥などが生じない範囲内で分散性を付与可能な十分な時間であれば、前記プラズマ処理時間を制限しない。
【0013】
通常、従来の導電性炭素粉末は多くの応用分野に用いられるが、水系溶媒に分散させて応用する場合、炭素粉末の疎水性特性のため、表面処理過程を経らないと、炭素粉末が互いに凝集したり、物理的撹拌を行ってもよく分散されないという問題点があった。したがって、導電性炭素粉末の表面処理過程を必ず行わなければならない。しかしながら、表面処理過程が複雑であったり、炭素粉末が非常に容易に崩れるという問題点があった。
【0014】
本発明のコロイド製造方法は、このような問題点を解決することができる方法で、導電性炭素粒子をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させて、得られた導電性炭素コロイド粉末を水系溶媒に添加して撹拌させることにより製造する。前記プラズマと反応させて得た導電性炭素コロイド粉末は、水系溶媒に撹拌することなく添加するだけでもある程度溶媒に分散された状態を現わし、コロイド粉末と水系溶媒が盛られた密閉された容器を手で振る(Hand Shaking)簡単な撹拌を通じて、eh粉末が凝集されることなく安定的に分散されたコロイド溶液を製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係ると、二酸化炭素プラズマ処理を通じて炭素粉末に欠陥なしに安定的に炭素粉末の水分散性を向上させることができ、水系溶媒でも持続的で安定的に分散されることができて、優れた水分散性による物性で多様な分野に応用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法を説明するための図面である。
【
図2】本発明の導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法を説明するための図面である。
【
図3】本発明の実施例を説明するための図面である。
【
図4】本発明の実施例によって製造された炭素粉末を水に投入した直後の状態を撮影したイメージを示した図面である。
【
図5】本発明の実施例によって製造された炭素粉末を水に投入して物理的力を加えて撹拌させた後の状態を撮影したイメージを示した図面である。
【
図6】本発明の実施例によって製造された炭素粉末の時間による水分散性安全性特性実験結果を示した図面である。プラズマ処理された導電性炭素粉末は60分経過した後にも水で安定的に分散された状態で存在することを確認することができる。
【
図7】本発明の混合ガスプラズマを用いた比較例の水分散性特性結果を示した図面である。
【
図8】本発明の実施例によって製造された炭素粉末の層分離速度実験を説明するための図面である。
【
図9】本発明の実施例によって製造された炭素粉末の層分離速度実験結果を示すグラフである。プラズマ処理した炭素粉末の層分離速度は処理されない炭素粉末(Untreated)に比べて約3~4倍減少することを確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について詳しく説明する。本発明は多様な変更を施すことができ、様々な形態を有することができ、特定実施例を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことに理解されるべきである。各図面を説明する際において、同様の構成要素に対して同様の参照符号を用いた。
【0018】
本出願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いられたもので、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上明白に違うように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたのが存在することを指定しようとするのであって、一つまたはその以上の他の特徴やステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことに理解されるべきである。
【0019】
異なりに定義されない限り、技術的または科学的用語を含んで、ここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。通常用いられる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することに解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0020】
図1及び
図2は、本発明の導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法を説明するための図面である。
【0021】
図1及び
図2を参照すると、本発明の導電性炭素粉末の水分散性向上方法及び導電性炭素粉末のコロイド溶液製造方法は、導電性炭素粉末をプラズマジェットに露出させたり、プラズマ処理された反応ガスと反応させるステップを含むことができる。前記プラズマジェットは、プラズマ発生領域で生成されたプラズマを大気中にジェット状に噴出させることを意味し、本発明では、前記ステップで導電性炭素粉末は、発生されたプラズマに直接露出させて反応させるのではない、プラズマ処理された活性ガスと反応させることを特徴とする。プラズマ発生領域内に導電性炭素粉末を配置して直接反応させる場合、発生されたプラズマと導電性炭素粉末が反応して、炭素粉末に欠陷が生じやすい。したがって、本発明では発生されたプラズマではないプラズマ処理された反応ガスまたは活性を有するガスを利用して、導電性炭素粉末と反応させることができる。
【0022】
図1を参照すると、導電性炭素粉末をプラズマ処理された反応ガスと反応させる導電性炭素粉末プラズマ処理方法を示す。これを具体的に説明すると、まず、プラズマ生成ガスをプラズマ反応器(Plasma reactor)に注入した後にプラズマを生成させ、前記プラズマ処理された反応ガスまたはイオン化されたガスを導電性炭素粉末が配置された容器に移動させて、前記炭素粉末と反応させる。この時、反応はボルテックス回転(Vortex rotation)によって実行されることができる。
【0023】
次に、
図2を参照して導電性炭素粉末プラズマ処理の他の方法を説明する。
図2を参照すると、導電性炭素粉末をプラズマジェットに露出させることにより、炭素粉末の水分散性を向上させることができる。ここで、プラズマは誘電体障壁放電(DBD)プラズマを利用することができ、プラズマ電極(plasma electrode)は、二つの平行する金属電極で構成されることができる。前記金属電極に電流を加えると、平行する電極の間にプラズマが形成され、プラズマ処理された反応ガスまたはイオン化されたガスを炭素粉末が配置された方向に噴出させることにより、前記炭素粉末と反応させることができる。
【0024】
前記導電性炭素粉末は、形状及び大きさを特に制限しないが、前記導電性炭素粉末は数十ナノメートル大きさのレベルの粉末であり得、球状の形態であり得る。
【0025】
一方、前記プラズマは、二酸化炭素プラズマであり得る。好ましくは、前記プラズマは100%二酸化炭素プラズマであり得る。100%の二酸化炭素プラズマガスを利用する場合、窒素、酸素を含む混合ガスを利用する場合と比べて、炭素粉末の水分散性を効果的に向上させることができる。
【0026】
前記ステップの間に、二酸化炭素プラズマ処理された反応ガスはイオン化されて、CO、CO3ラジカルを生成することができ、これは導電性炭素粉末の表面と反応して、前記導電性炭素粉末の表面にC-O、C=O、C-OOHなどの親水性を表す官能基を作用させることができる。したがって、このような過程によって本発明の方法によってプラズマ処理された導電性炭素粉末は親水性を表すことができ、それにより、導電性炭素粉末の水分散性を向上させることができる。
【0027】
前記プラズマと炭素粉末の反応時間、即ち前記プラズマ処理は、約10~30分間実行されることができる。しかしながら、本発明では、導電性炭素粉末の表面に変性及び欠陥などが発生しない範囲内で導電性炭素粉末の分散性を付与可能な十分な時間であれば、前記プラズマ処理時間を制限しない。
【0028】
前記ステップを通じてプラズマ処理された炭素粉末を前記導電性炭素コロイド粉末を水系溶媒に添加して撹拌させることにより、炭素粉末コロイド溶液を製造することができる。プラズマ処理されない炭素粉末と比べて、プラズマ処理された炭素粉末を水系溶媒に添加した直後にも溶媒に分散されることはできるが、撹拌させることにより、より効果的に分散されたコロイド溶液を製造することができる。前記撹拌は、溶媒に炭素粉末を分散させることができる方法であれば、大きく制限しない。例えば、前記撹拌は、マグネットバー利用して実行したり、回転式及び垂直往復式撹拌などのような方法を利用することができる。
【0029】
本発明に係ると、プラズマを利用して従来の技術よりも簡単な方法で導電性炭素粉末に水分散性及び親水性を付与することができ、これは、導電性炭素粉末を応用する分野に効果的に応用することができる。
【0030】
以下、具体的な実施例及び比較例を通じて本発明に対してより詳しく説明する。ただ、本発明の実施例は、本発明の一部実施形態に過ぎず、本発明の範囲が下記実施例に限定されるのではない。
【0031】
実施例
【0032】
図3は、本発明の実施例を説明するための図面である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の実施例は、約30~40nmの大きさを有する導電性炭素粉末(Ketjen black、KB600 JD)を反応器に入れ、多段DBD電極を用いたプラズマ活性ガス発生装置(30Hz、0.8kW、CO
2ガス1lpm)を利用して、100%CO
2プラズマを生成した後、前記生成されたCO
2プラズマを反応チャンバに移動させて、導電性炭素粉末と約30分間反応させた。その後、反応を通じて得られた導電性炭素粉末を得た。
【0034】
前記でプラズマ処理された導電性炭素粉末の水分散性を確認するために、水に盛られた容器に粉末を添加し、比較のために、プラズマ処理されない導電性炭素粉末を水に盛られた容器に粉末を添加して、それぞれの水分散性を確認した。その結果を
図4に示した。
【0035】
図4を参照すると、それぞれの導電性炭素粉末を水に投入した直後の状態を示し、ここで、プラズマ処理されない炭素粉末(左側)は、分散されずに水の上に浮かんでいる一方、プラズマ処理された炭素粉末(右側)は、溶媒である水でよく分散されている状態を確認することができる。これを通じて、炭素粉末はCO
2プラズマ処理を通じて水分散性が向上されたことが分かる。
【0036】
その次、それぞれの炭素粉末が盛られた容器を物理的に撹拌(Hand Shaking)させた後、それぞれの水分散性を確認した。その結果を
図5に示した。
【0037】
図5を参照すると、物理的に撹拌を加えてもプラズマ処理されない炭素粉末(左側)は、水の上に浮かんでいるかまたは容易に分散されない状態を見せるが、プラズマ処理された炭素粉末(右側)は、容器の底や水の上に分散されない炭素粉末が存在せず、溶媒である水でよく分散されていることを確認することができる。
【0038】
プラズマ処理された導電性炭素粉末の時間による水分散性持続特性を確認するために、溶媒である水が盛られた容器にプラズマ処理された導電性炭素粉末を添加し、水に物理的に分散(Hand Shaking)させた後、時間(3、10、20、30、40、50及び60分)による層分離差を写真撮影した。また、比較のために、プラズマ処理しない導電性炭素粉末を前記と同じ過程を実行して層分離差を撮影し、その結果を
図6に示した。
【0039】
図6を参照すると、プラズマ処理された導電性炭素粉末は、60分経過した後にも水で安定的に分散された状態で存在することを確認することができる一方、プラズマ処理されない導電性炭素粉末は撹拌させた後にも水の上に一部炭素粉末が浮かんでいることを確認することができ、約10分経過した後には分散されていた炭素粉末が底に沈み始めることを確認することができる。約60分経過した後には、大部分の炭素粉末が水に分散されずに硝子底部分に沈むことを確認することができる。これを通じて、本発明の方法を通じて、プラズマ処理された導電性炭素粉末は、時間によって水分散性が安定的に持続される特性を有することが分かる。
【0040】
比較例
【0041】
窒素(N
2)/Air混合ガスプラズマ(N
2/airは、1/0.033Ipm、混合ガスの中で酸素の濃度は0.66%比率)を用いたことを除き、本発明の実施例と同じ工程を実行して、本発明の比較例によるプラズマ処理された炭素粉末を得た。上記で得た導電性炭素粉末の水分散性特性を確認するために、水に分散させた後、時間の経過(10及び30分)による層分離差を撮影した。その結果を
図7に示した。
【0042】
図7を参照すると、10分経過(左)及び30分経過(右)したコロイド溶液を説明すると、コロイド溶液で少量の炭素粉末のみ水に分散されているだけで、大部分が下に沈むか、水の上に浮かんでいることを確認することができる。また、前記
図6と比べて、混合ガスプラズマで処理された炭素粉末は、時間が経つにつれて層分離する速度が二酸化炭素プラズマで処理された炭素粉末の層分離速度より非常に早いことが分かる。これを通じて、混合ガスでプラズマを処理した場合には炭素粉末が水分散性を有すると見にくく、水分散性を持続的に有するとも見にくいことが分かる。
【0043】
追加的に、プラズマ処理された導電性炭素粉末の時間による光吸収度を測定して、層分離速度を具体的に確認した。比較のために、プラズマ処理されない導電性炭素粉末の層分離速度も測定した後に比較した。層分離速度を測定するために用いられた装置を
図8に示し、
図8を参照して光吸収度の測定を詳しく説明する。
【0044】
図8を参照すると、光吸収度の測定は、CO
2プラズマ処理した炭素粉末及びプラズマ処理されない炭素粉末を水にそれぞれ投入した後、時間による層分離を発光分光分析(OES、Optical Emission Spectrometer)を利用して測定した。キュベット(Cuvette)の底から約1cmの高さで550~700nm波長帯域で10個の平均値を取得して比較した。その結果を
図9に示した。
【0045】
図9を参照すると、プラズマ処理した炭素粉末の層分離速度は処理されない炭素粉末(Untreated)に比べて約3~4倍減少することを確認することができる。これを通じて、本発明の方法を利用して導電性炭素粉末を処理する場合、溶媒に分散させた後にも層が分離されず、持続的に分散されることができることが分かる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野において通常の知識を有する者は、特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解すべきである。
【国際調査報告】