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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20230726BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230726BHJP
【FI】
H02M7/12 601D
H02M7/48 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500100
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 KR2021008272
(87)【国際公開番号】W WO2022005205
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0081981
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジホン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジホン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒジョン
【テーマコード(参考)】
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5H006CA01
5H006CA07
5H006CB01
5H006CB08
5H006CC02
5H006DB01
5H770BA15
5H770CA02
5H770CA06
(57)【要約】
本発明の実施形態によるDCリンクのDC電圧を制御する電力変換装置は、第1ダイオード、第2ダイオード、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、及び第4のスイッチング素子を含み、前記第1ダイオードのカソード端子は、前記DCリンクの正端子に連結され、前記第1ダイオードのアノード端子は、前記第1のスイッチング素子の一端及び前記第3のスイッチング素子の一端に連結され、前記第1のスイッチング素子の他端は、交流端子及び前記第2のスイッチング素子の一端に連結され、前記第2のスイッチング素子の他端は、前記第2ダイオードの一端及び前記第4のスイッチング素子の一端に連結され、前記第2ダイオードの他端は、前記DCリンクの負端子に連結され、前記第3のスイッチング素子の他端は、前記第4のスイッチング素子の他端及び前記DCリンクの中性点に連結されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCリンクのDC電圧を制御する電力変換装置において、
第1ダイオード;
第2ダイオード;
第1のスイッチング素子;
第2のスイッチング素子;
第3のスイッチング素子;及び
第4のスイッチング素子を含み、
前記第1ダイオードのカソード端子は、前記DCリンクの正端子に連結され、
前記第1ダイオードのアノード端子は、前記第1のスイッチング素子の一端及び前記第3のスイッチング素子の一端に連結され、
前記第1のスイッチング素子の他端は、交流端子及び前記第2のスイッチング素子の一端に連結され、
前記第2のスイッチング素子の他端は、前記第2ダイオードの一端及び前記第4のスイッチング素子の一端に連結され、
前記第2ダイオードの他端は、前記DCリンクの負端子に連結され、
前記第3のスイッチング素子の他端は、前記第4のスイッチング素子の他端及び前記DCリンクの中性点に連結された、
電力変換装置。
【請求項2】
前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)と、前記IGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含む、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1~第4のスイッチング素子各々のオン又はオフを制御するゲートドライバをさらに含む、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記ゲートドライバは、
前記交流端子から出力された電流が、前記第1のスイッチング素子に含まれたダイオード及び前記第1ダイオードを介して前記DCリンクの正端子に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記ゲートドライバは、
前記交流端子から出力された電流の半分が、前記第1のスイッチング素子のダイオード及び前記第3のスイッチング素子のIGBTを介して前記DCリンクの中性点に流れ、前記交流端子から出力された電流の残り半分が、前記第2のスイッチング素子のIGBT及び前記第4のスイッチング素子360のダイオードを介して前記DCリンクの中性点に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記ゲートドライバは、
前記DCリンクの負端子から出力された電流1000は、前記第2ダイオード及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子301に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記ゲートドライバは、
前記DCリンクの中性点から出力された電流の半分が、前記第2のスイッチング素子のダイオード及び前記第1のスイッチング素子のIGBTを介して前記交流端子に流れ、前記DCリンクの中性点から出力された電流の残り半分が、前記第4のスイッチング素子のIGBT及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記電力変換装置は、無停電電源供給装置に含まれて、
交流電源を直流電源に変換するANPC(Active Neutral Point Clamped)型コンバータである、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記DCリンクの正端子と中性点との間に位置した第1キャパシタと、前記中性点と前記負端子との間に位置した第2キャパシタと、をさらに含む、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor,MOSFET)と、前記MOSFETに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含む、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項11】
DCリンクのDC電圧を制御する電力変換装置において、
第1ダイオード;
第2ダイオード;
第1のスイッチング素子;
第2のスイッチング素子;
第3のスイッチング素子;及び
第4のスイッチング素子を含み、
前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)と、前記IGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含み、
前記第1ダイオードのカソード端子は、前記DCリンクの正端子に連結され、
前記第1ダイオードのアノード端子は、前記第1のスイッチング素子のコレクタ端子及び前記第3のスイッチング素子のコレクタに連結され、
前記第1のスイッチング素子のエミッタ端子は、交流端子及び前記第2のスイッチング素子のコレクタ端子に連結され、
前記第2のスイッチング素子のエミッタ端子は、前記第2ダイオードのカソード端子及び前記第4のスイッチング素子のエミッタ端子に連結され、
前記第2ダイオードのアノード端子は、前記DCリンクの負端子に連結され、
前記第3のスイッチング素子のエミッタ端子は、前記第4のスイッチング素子のコレクタ端子及び前記DCリンクの中性点に連結された、
電力変換装置。
【請求項12】
前記第1~第4のスイッチング素子各々のオン又はオフを制御するゲートドライバをさらに含む、
請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記ゲートドライバは、
前記交流端子から出力された電流が、前記第1のスイッチング素子に含まれたダイオード及び前記第1ダイオードを介して前記DCリンクの正端子に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信する、
請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記ゲートドライバは、
前記交流端子から出力された電流の半分が、前記第1のスイッチング素子のダイオード及び前記第3のスイッチング素子のIGBTを介して前記DCリンクの中性点に流れ、前記交流端子から出力された電流の残り半分が、前記第2のスイッチング素子のIGBT及び前記第4のスイッチング素子360のダイオードを介して前記DCリンクの中性点に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記ゲートドライバは、
前記DCリンクの負端子から出力された電流1000が、前記第2ダイオード及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子301に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記ゲートドライバは、
前記DCリンクの中性点から出力された電流の半分が、前記第2のスイッチング素子のダイオード及び前記第1のスイッチング素子のIGBTを介して前記交流端子に流れ、前記DCリンクの中性点から出力された電流の残り半分が、前記第4のスイッチング素子のIGBT及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信する、
請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項17】
前記電力変換装置は、無停電電源供給装置に含まれて、
交流電源を直流電源に変換するANPC(Active Neutral Point Clamped)型コンバータである、
請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項18】
前記DCリンクの正端子と中性点との間に位置した第1キャパシタと、前記中性点と前記負端子との間に位置した第2キャパシタと、をさらに含む、
請求項11に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、より詳細には、無停電電源供給装置(Uninterruptible Power Supply,UPS)に使用される電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源供給装置(Uninterruptible Power Supply,UPS)は、一定期間中、外部電源システムの中断により、負荷システムが影響を受けないようにするエネルギー保護装置である。
【0003】
すなわち、無停電電源供給装置は、停電時、バッテリーに蓄積されているエネルギーを利用して負荷に電源を供給することができる。
【0004】
無停電電源供給装置は、交流ソースから受信された交流電力を直流電力に、あるいは直流電力を交流電力に変換する電力変換装置を含む。
【0005】
電力変換装置は、複数のスイッチング素子を含み、各スイッチング素子のスイッチング周波数を制御することにより電力変換を行うことができる。
【0006】
無停電電源供給装置として使用される電力変換装置は、一般に、複数のスイッチング素子を含む。しかしながら、従来技術によれば、電力変換装置が特定のモード、例えば、交流電力を直流電力に変換するモードで動作するとき、一部のスイッチング素子は、スイッチングされない。よって、不要なスイッチング損失が発生して、電力変換装置の製造コストが増えるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、交流電力を直流電力に変換する無停電電源供給装置に使用される電力変換装置の構成を単純化することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、交流電力を直流電力に変換する無停電電源供給装置に使用される電力変換装置に含まれている一部のスイッチング素子を簡単な構成の回路に切り換えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によるDCリンクのDC電圧を制御する電力変換装置は、第1ダイオード、第2ダイオード、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、及び第4のスイッチング素子を含み、前記第1ダイオードのカソード端子は、前記DCリンクの正端子に連結され、前記第1ダイオードのアノード端子は、前記第1のスイッチング素子の一端及び前記第3のスイッチング素子の一端に連結され、前記第1のスイッチング素子の他端は、交流端子及び前記第2のスイッチング素子の一端に連結され、前記第2のスイッチング素子の他端は、前記第2ダイオードの一端及び前記第4のスイッチング素子の一端に連結され、前記第2ダイオードの他端は、前記DCリンクの負端子に連結され、前記第3のスイッチング素子の他端は、前記第4のスイッチング素子の他端及び前記DCリンクの中性点に連結されてもよい。
【0010】
前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)と、前記IGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含むことができる。
【0011】
前記電力変換装置は、前記第1~第4のスイッチング素子各々のオン又はオフを制御するゲートドライバをさらに含むことができる。
【0012】
前記ゲートドライバは、前記交流端子から出力された電流が、前記第1のスイッチング素子に含まれたダイオード及び前記第1ダイオードを介して前記DCリンクの正端子に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信することができる。
【0013】
前記ゲートドライバは、前記交流端子から出力された電流の半分が、前記第1のスイッチング素子のダイオード及び前記第3のスイッチング素子のIGBTを介して前記DCリンクの中性点に流れ、前記交流端子から出力された電流の残り半分が、前記第2のスイッチング素子のIGBT及び前記第4のスイッチング素子360のダイオードを介して前記DCリンクの中性点に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信することができる。
【0014】
前記ゲートドライバは、前記DCリンクの負端子から出力された電流1000が、前記第2ダイオード及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子301に流れるように、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子にそれぞれオフ信号を送信し、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信することができる。
【0015】
前記ゲートドライバは、前記DCリンクの中性点から出力された電流の半分が、前記第2のスイッチング素子のダイオード及び前記第1のスイッチング素子のIGBTを介して前記交流端子に流れ、前記DCリンクの中性点から出力された電流の残り半分が、前記第4のスイッチング素子のIGBT及び前記第2のスイッチング素子のダイオードを介して前記交流端子に流れるように、前記第1~第4のスイッチング素子にそれぞれオン信号を送信することができる。
【0016】
前記電力変換装置は、無停電電源供給装置に含まれて、交流電源を直流電源に変換するANPC(Active Neutral Point Clamped)型コンバータであってもよい。
【0017】
前記電力変換装置は、前記DCリンクの正端子と中性点との間に位置した第1キャパシタと、前記中性点と前記負端子との間に位置した第2キャパシタと、をさらに含むことができる。
【0018】
前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor,MOSFET)と、前記MOSFETに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含むことができる。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態によるDCリンクのDC電圧を制御する電力変換装置は、第1ダイオード、第2ダイオード、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、及び第4のスイッチング素子を含み、前記第1~第4のスイッチング素子は、それぞれ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)と、前記IGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含み、前記第1ダイオードのカソード端子は、前記DCリンクの正端子に連結され、前記第1ダイオードのアノード端子は、前記第1のスイッチング素子のコレクタ端子及び前記第3のスイッチング素子のコレクタに連結され、前記第1のスイッチング素子のエミッタ端子は、交流端子及び前記第2のスイッチング素子のコレクタ端子に連結され、前記第2のスイッチング素子のエミッタ端子は、前記第2ダイオードのカソード端子及び前記第4のスイッチング素子のエミッタ端子に連結され、前記第2ダイオードのアノード端子は、前記DCリンクの負端子に連結され、前記第3のスイッチング素子のエミッタ端子は、前記第4のスイッチング素子のコレクタ端子及び前記DCリンクの中性点に連結されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の様々な実施形態によれば、無停電電源供給装置に使用されるANPC型電力変換装置において、2つのスイッチング素子を2つのダイオードに切り替えることで電力変換装置の回路構成が単純になり得る。
【0021】
これによって、電力変換装置のスイッチング損失が減少して、電力変換装置の製造コストが大きく節減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による電力システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による第1の電力変換装置の回路図である。
図3】本発明の一実施形態による電力変換装置によってDCリンクのDC電圧を制御するとき、内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図4】本発明の一実施形態による電力変換装置によってDCリンクのDC電圧を制御するとき、内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図5】本発明の一実施形態による電力変換装置によってDCリンクのDC電圧を制御するとき、内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図6】本発明の一実施形態による電力変換装置によってDCリンクのDC電圧を制御するとき、内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図7】本発明のさらに他の実施形態による電力変換装置の回路図である。
図8】本発明の一実施形態に従ってDCリンクの電圧を制御するとき、電力変換装置の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図9】本発明の一実施形態に従ってDCリンクの電圧を制御するとき、電力変換装置の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図10】本発明の一実施形態に従ってDCリンクの電圧を制御するとき、電力変換装置の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図11】本発明の一実施形態に従ってDCリンクの電圧を制御するとき、電力変換装置の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
図12】2つのスイッチング素子を2つのダイオードに切り替えた状況を仮定して、スイッチング素子のスイッチング動作によって内部に流れる電流の変化についてシミュレーションを行った結果を説明する図面である。
図13】2つのスイッチング素子を2つのダイオードに切り替えた状況を仮定して、スイッチング素子のスイッチング動作によって内部に流れる電流の変化についてシミュレーションを行った結果を説明する図面である。
図14】2つのスイッチング素子を2つのダイオードに切り替えた状況を仮定して、スイッチング素子のスイッチング動作によって内部に流れる電流の変化についてシミュレーションを行った結果を説明する図面である。
図15】本発明の一実施形態によるANPC型電力変換装置を3相で構成した場合、電力変換システムの構成を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本明細書の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本明細書の実施形態を容易に実施することができる。本明細書を説明するにあたって、本発明に係る公知の技術に対する具体的な説明が、本明細書の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本明細書の好ましい実施形態を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示す。以下の説明で使われる構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書の作成における容易性のみを考慮して付与されているか混用されるものであって、それ自体として互いに区別される意味あるいは役割を有するものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による電力システムの構成を示すブロック図である。
【0025】
図1を参照すると、電力システム1は、交流電源供給部10、無停電電源供給装置20及び負荷30を含むことができる。
【0026】
交流電源供給部10は、無停電電源供給装置に交流電力を供給することができる。
【0027】
無停電電源供給装置20は、交流電源供給部10から供給された交流電力を負荷30に伝達することができる。
【0028】
無停電電源供給装置20は、コンバータ21、インバータ23及びバッテリー25を含むことができる。
【0029】
コンバータ21は、交流電源供給部10から受信された交流電力を直流電力に変換することができる。コンバータ21は、変換された直流電力をインバータ23に伝達することができる。
【0030】
コンバータ21は、変換された直流電力の一部をバッテリー25に充電することもできる。
【0031】
インバータ23は、コンバータ21から伝達された直流電力を交流電力に変換することができ、変換された交流電力を負荷30に供給することができる。
【0032】
無停電電源供給装置20は、交流電源供給部10と負荷30との間に位置したバイパスコンバータ(Bypass converter、不図示)をさらに含むことができる。
【0033】
無停電電源供給装置20は、停電時、バイパスコンバータを介して負荷30にエネルギーを供給することができる。無停電電源供給装置20は、停電のように、インバータ23が負荷30に電力を供給することができない場合、バイパスコンバータを介して負荷30に電力を供給することができる。
【0034】
無停電電源供給装置20は、停電時も、負荷30に電力を安定的に供給することができる。
【0035】
負荷30は、無停電電源供給装置20から交流電力を受信し、受信された交流電力に応じて動作することができる。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態による第1の電力変換装置の回路図である。
【0037】
図2に示された電力変換装置200は、図1の無停電電源供給装置20に含まれたコンバータ21の一例である。
【0038】
電力変換装置200は、ANPC(Active Neutral Point Clamped)型コンバータであってもよい。
【0039】
ANPC(Active Neutral Point Clamped)は、スイッチング素子の連結関係を示す方式の1つである。
【0040】
図2の実施形態による電力変換装置200は、AC電源をDC電源に変換することができる。
【0041】
電力変換装置200は、第1~第6のスイッチング素子210~260、第1キャパシタ203、第2キャパシタ205、及びゲートドライバ290を含むことができる。
【0042】
第1~第6のスイッチング素子210~260は、それぞれ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)と、IGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードと、を含むことができる。
【0043】
第1キャパシタ203及び第2キャパシタ205は、それぞれAC電源をDC電源に変換する過程で、脈流を直流に変換することができる。すなわち、第1キャパシタ203及び第2キャパシタ205は、それぞれ平滑回路の例であってもよい。
【0044】
ゲートドライバ290は、第1~第6のスイッチング素子210~260の動作を制御することができる。
【0045】
ゲートドライバ290は、第1~第6のスイッチング素子210~260にそれぞれオン信号又はオフ信号を印可して、スイッチング動作を制御することができる。
【0046】
ゲートドライバ290は、第1~第6のスイッチング素子210~260各々のスイッチング動作を制御するために、パルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)信号を印可することができる。
【0047】
ゲートドライバ290は、第1~第6のスイッチング素子210~260各々のゲート端子にPWM信号を印可することができる。
【0048】
第1のスイッチング素子210のコレクタ端子(C1)は、DCリンクの正端子(P)に連結される。第1のスイッチング素子210のエミッタ端子(E1)は、第2のスイッチング素子220のコレクタ端子(C2)及び第5のスイッチング素子250のコレクタ端子(C5)に連結される。
【0049】
第2のスイッチング素子220のエミッタ端子(E2)は、交流端子201及び第3のスイッチング素子230のコレクタ端子(C3)に連結される。
【0050】
第5のスイッチング素子250のエミッタ端子(E5)は、DCリンクの中性点(O)及び第6のスイッチング素子260のコレクタ端子(C6)に連結される。
【0051】
DCリンクの中性点(O)は、第1キャパシタ203の一端及び第2キャパシタ205の一端に連結される。
【0052】
第1キャパシタ203の他端は、DCリンクの正端子(P)に連結される。
【0053】
第2キャパシタ205の他端は、DCリンクの負端子(N)に連結される。
【0054】
第6のスイッチング素子260のコレクタ端子(C6)は、第3のスイッチング素子230のエミッタ端子230及び第4のスイッチング素子240のコレクタ端子(C4)に連結される。
【0055】
第4のスイッチング素子240のエミッタ端子(E4)は、DCリンクの負端子(N)に連結される。
【0056】
図2の実施形態によるANPC型電力変換装置200は、第2のスイッチング素子220及び第3のスイッチング素子230に高周波数信号を印可する高周波スイッチング方式と、第1のスイッチング素子210、第5のスイッチング素子250、第6のスイッチング素子260、及び第4のスイッチング素子240に低周波数信号を印可する低周波スイッチング方式と、を用いる。
【0057】
さらに他の例として、ANPC型電力変換装置200は、第2のスイッチング素子220及び第3のスイッチング素子230に低周波数信号を印可する低周波スイッチング方式と、第1のスイッチング素子210、第5のスイッチング素子250、第6のスイッチング素子260、及び第4のスイッチング素子240に高周波数信号を印可する高周波スイッチング方式と、を用いる。
【0058】
図3図6は、本発明の一実施形態による電力変換装置によってDCリンクのDC電圧を制御するとき、内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
【0059】
以下では、図2の電力変換装置200に基づいて図3図6の実施形態を説明する。
【0060】
図3図6において、電力変換装置200は、無停電電源供給装置に含まれて、系統から提供された交流電力を直流電力に変換するANPC型装置であってもよい。
【0061】
また、図3図6は、電力変換装置200が交流電力を直流電力に変換するとき、電力変換装置200の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
【0062】
先ず、図3を説明する。
【0063】
図3において、第1のスイッチング素子210、第2のスイッチング素子220及び第6のスイッチング素子260は、それぞれオン状態にあり、第3のスイッチング素子230、第4のスイッチング素子240及び第5のスイッチング素子250は、それぞれオフ状態にあると仮定する。
【0064】
この場合、交流端子301から出た電流300は、第2のスイッチング素子220のダイオード及び第1のスイッチング素子210のダイオードを介してDCリンクの正端子(P)に流れるようになる。
【0065】
次に、図4を説明する。
【0066】
図4において、第2のスイッチング素子220、第3のスイッチング素子230、第5のスイッチング素子250、及び第6のスイッチング素子260は、オン状態にあり、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240は、オフ状態にある。
【0067】
この場合、交流端子301から出力された電流400の半分410は、第2のスイッチング素子220のダイオード及び第5のスイッチング素子250のIGBTを介してDCリンクの中性点(O)に流れるようになる。
【0068】
また、交流端子301から出力された電流400の残り半分430は、第3のスイッチング素子230のIGBT及び第6のスイッチング素子260のダイオードを介してDCリンクの中性点(O)に流れるようになる。
【0069】
次に、図5を説明する。
【0070】
図5において、第1のスイッチング素子210、第2のスイッチング素子220及び第6のスイッチング素子260は、それぞれオフ状態にあり、第3のスイッチング素子230、第4のスイッチング素子240及び第5のスイッチング素子250は、それぞれオン状態にある。
【0071】
この場合、DCリンクの負端子(N)から出力された電流500は、第4のスイッチング素子240のダイオード及び第3のスイッチング素子230のダイオードを介して交流端子201に流れるようになる。
【0072】
次に、図6を説明する。
【0073】
図6において、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240は、それぞれオフ状態にあり、第2のスイッチング素子220、第3のスイッチング素子230、第5のスイッチング素子250、及び第6のスイッチング素子260は、それぞれオン状態にある。
【0074】
この場合、DCリンクの中性点(O)から出力された電流600の半分610は、第5のスイッチング素子250のダイオード及び第2のスイッチング素子220のIGBTを介して交流端子201に流れるようになる。
【0075】
DCリンクの中性点(O)から出力された電流600の残り半分630は、第6のスイッチング素子260のIGBT及び第3のスイッチング素子220のダイオードを介して交流端子201に流れるようになる。
【0076】
ANPC型電力変換装置200がDC電源をAC電源に変換する場合は、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240がいずれもスイッチング動作を行う。
【0077】
これに反して、ANPC型電力変換装置200がAC電源をDC電源に変換する場合、DCリンク電圧を制御するために、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240は、単にダイオードのような役割のみを行う。
【0078】
すなわち、ANPC型電力変換装置200が無停電電源供給装置に使用される場合、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240は、ダイオードの役割のみを行う。よって、IGBTといった高価な素子が使用される必要がない。
【0079】
以下では、ANPC型電力変換装置が無停電電源供給装置のコンバータとして使用される場合、スイッチング動作を行わないスイッチング素子をダイオードに切り替える方法が提供される。
【0080】
図7は、本発明のさらに他の実施形態による電力変換装置の回路図である。
【0081】
電力変換装置300は、図1に示された無停電電源供給装置20のコンバータ21の一例であり、ANPC型であってもよい。
【0082】
電力変換装置300は、第1ダイオード310、第2ダイオード320、第1~第4のスイッチング素子330~360、第1キャパシタ303、第2キャパシタ305を含むことができる。
【0083】
電力変換装置300は、第1~第4のスイッチング素子330~360の動作を制御するためのゲートドライバ390をさらに含むことができる。
【0084】
図7の実施形態による電力変換装置300と、図2の実施形態による電力変換装置200と、を比較する。
【0085】
図7では、図2の電力変換装置200の構成要素のうち第1のスイッチング素子210が、第1ダイオード310に変更されており、第4のスイッチング素子240が、第2ダイオード320に変更されている。
【0086】
第1~第4のスイッチング素子330~360は、それぞれ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Biopolar Transistor,IGBT)で構成されてもよいが、これは例示に過ぎない。
【0087】
すなわち、第1~第4のスイッチング素子330~360は、それぞれ金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor,MOSFET)で構成されてもよい。
【0088】
この場合、第1~第4のスイッチング素子330~360は、それぞれMOSFET及びMOSFETに逆並列に連結された逆並列ダイオードを含むことができる。
【0089】
第1キャパシタ303及び第2キャパシタ305は、それぞれ平滑回路の例であってもよい。
【0090】
ゲートドライバ390は、第1~第4のスイッチング素子330~360の動作を制御することができる。
【0091】
ゲートドライバ390は、第1~第4のスイッチング素子330~360にそれぞれオン信号又はオフ信号を印可して、スイッチング動作を制御することができる。
【0092】
ゲートドライバ390は、第1~第4のスイッチング素子330~360各々のスイッチング動作を制御するために、パルス幅変調(Pluse Width Modulation,PWM)信号を印可することができる。
【0093】
ゲートドライバ390は、第1~第4のスイッチング素子330~360のゲート端子にそれぞれPWM信号を印可することができる。
【0094】
ゲートドライバ390は、第1~第4のスイッチング素子330~360にそれぞれPWM信号を印可して、DCリンクのDC電圧を制御することができる。具体的に、ゲートドライバ290は、第1~第4のスイッチング素子330~360をそれぞれスイッチング制御することにより、DCリンクのDC電圧の大きさを増加させることができる。
【0095】
次に、本発明の実施形態による電力変換装置300の回路構成を説明する。
【0096】
以下では、第1~第4のスイッチング素子330~360は、それぞれIGBT及びIGBTに逆並列に連結された逆並列ダイオードを含むことができる。
【0097】
第1ダイオード310のカソード端子(D11)は、DCリンクの正端子(P)に連結される。
【0098】
第1ダイオード310のアノード端子(D12)は、第1のスイッチング素子330のコレクタ端子(C11)及び第3のスイッチング素子350のコレクタ端子(C33)に連結される。
【0099】
第1のスイッチング素子330のエミッタ端子(E11)は、交流端子301及び第2のスイッチング素子340のコレクタ端子(C22)に連結される。
【0100】
交流端子301には系統が連結されてもよい。
【0101】
第2のスイッチング素子240のエミッタ端子(E22)には、第4のスイッチング素子360のエミッタ端子(E44)及び第2ダイオード320のカソード端子(D21)が連結される。
【0102】
第2ダイオード320のアノード端子(D22)は、DCリンクの負端子(N)に連結される。
【0103】
第3のスイッチング素子350のエミッタ端子(E5)は、DCリンクの中性点(O)、第1キャパシタ303の一端、第2キャパシタの一端、及び第4のスイッチング素子360のコレクタ端子(C44)が連結される。
【0104】
第1キャパシタ303の他端には、DCリンクの正端子(P)が連結され、第2キャパシタ305の他端には、DCリンクの負端子(N)が連結される。
【0105】
電力変換装置300は、正端子(P)及び負端子(N)を介してDCリンク(不図示)と連結されてもよい。
【0106】
図7の実施形態によるANPC型電力変換装置300は、図2の実施形態によるANPC型電力変換装置200に比べて、2つのスイッチング素子の代わりに2つのダイオードを含めている。
【0107】
すなわち、図7の実施形態によれば、ANPC型電力変換装置300に含まれる2つのスイッチング素子が、2つのダイオードに切り替えられるため、スイッチング損失が減少して、電力変換装置の製造コストを節減する効果がある。
【0108】
図8図11は、本発明の一実施形態に従ってDCリンクの電圧を制御するとき、電力変換装置の内部に流れる電流の方向を説明する図面である。
【0109】
特に、図8図11は、交流電力を直流電力に変換するとき、図2の電力変換装置200の第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240をそれぞれダイオードに切り替えても、同じ電流の流れを示す過程を説明する図面である。
【0110】
図8図11において、第1のスイッチング素子330及び第2のスイッチング素子340各々のスイッチング周波数は、同一であり、第3のスイッチング素子350と第4のスイッチング素子360との間のスイッチング周波数は、同一であると仮定する。
【0111】
図8図11において、各スイッチング素子の動作は、ゲートドライバ390によって制御することができる。
【0112】
ゲートドライバ390は、DCリンクのDC電圧を制御するために、各スイッチング素子にオン信号又はオフ信号を送信することができる。
【0113】
先ず、図8を説明する。
【0114】
図8では、第1のスイッチング素子330及び第4のスイッチング素子360が、それぞれオンされた状態であり、第2のスイッチング素子340及び第3のスイッチング素子350が、それぞれオフされた状態であると仮定する。
【0115】
この場合、交流端子301から出力された電流800は、第1のスイッチング素子330各々のダイオード及び第1ダイオード310を介してDCリンクの正端子(P)に流れるようになる。
【0116】
すなわち、第1ダイオード310は、正方向の電流800を通過させ、通過した電流は、DCリンクの正端子(P)に流れるようになる。
【0117】
次に、図9を説明する。
【0118】
図9では、第1~第4のスイッチング素子330~360がいずれもオンされた状態であると仮定する。
【0119】
この場合、交流端子301から出力された電流900の半分910は、第1 スイッチング素子330のダイオード及び第3のスイッチング素子350のIGBTを介してDCリンクの中性点(O)に流れるようになる。
【0120】
交流端子301から出力された電流900の残り半分930は、第2のスイッチング素子340のIGBT及び第4のスイッチング素子360のダイオードを介してDCリンクの中性点(O)に流れるようになる。
【0121】
次に、図10を説明する。
【0122】
図10において、第1のスイッチング素子330及び第4のスイッチング素子360は、それぞれオフされた状態であり、第2のスイッチング素子340及び第3のスイッチング素子350は、それぞれオンされた状態であると仮定する。
【0123】
この場合、DCリンクの負端子(N)から出力された電流1000は、第2ダイオード320及び第2のスイッチング素子340のダイオードを介して交流端子301に流れるようになる。
【0124】
すなわち、第2ダイオード320は、電流1000を通過させ、通過した電流1000は、交流端子301に流れるようになる。
【0125】
次に、図11を説明する。
【0126】
図11において、第1~第4のスイッチング素子330~360がいずれもオンされた状態であると仮定する。
【0127】
この場合、DCリンクの中性点(O)から出力された電流1100の半分1110は、第2のスイッチング素子350のダイオード及び第1のスイッチング素子330のIGBTを介して交流端子301に流れるようになる。
【0128】
DCリンクの中性点(O)から出力された電流1100の残り半分1130は、第4のスイッチング素子360のIGBT及び第2のスイッチング素子340のダイオードを介して交流端子301に流れるようになる。
【0129】
このように、図3図6の実施形態と、図8図11の実施形態とを比較すると、2つのスイッチング素子210,240が2つのダイオード310,340に切り替えられても、電流の流れに変化ないことが分かる。
【0130】
すなわち、本発明の実施形態による電力変換装置300は、AC電源をDC電源に変換するとき、2つのスイッチング素子の代わりに2つのダイオードを使用する。よって、スイッチング損失が減少して、電力変換装置の製造コストが減少する。
【0131】
図12図14は、2つのスイッチング素子を2つのダイオードに切り替えた状況を仮定して、スイッチング素子のスイッチング動作によって内部に流れる電流の変化についてシミュレーションを行った結果を説明する図面である。
【0132】
シミュレーションの条件は、次のとおりである。
1.系統から制御されるDCリンクのDC電圧は、700Vである。
2.系統電圧は、440Vacである。
3.DCリンクの負荷は、1.85オームである。
4.DCリンクの負荷で消耗する電力は、264kwである。
5.スイッチング素子(S1)及びスイッチング素子(S4)は、ダイオードの役割として使用される。
【0133】
図12は、ANPC型電力変換装置をモデリングした回路図1200を示す。
【0134】
図12の回路図1200における電力変換装置は、第1~第6のスイッチング素子(S1~S6)を含む。
【0135】
図13は、図12の各スイッチング素子のオン/オフ状態を示すグラフと、内部電流の流れを示すグラフを示す。
【0136】
第1グラフ1301は、第1のスイッチング素子(S1)のオン/オフパターンを示す。
【0137】
第2グラフ1302は、第2のスイッチング素子(S2)のオン/オフパターンを示す。
【0138】
第3グラフ1303は、第3のスイッチング素子(S3)のオン/オフパターンを示す。
【0139】
第4グラフ1304は、第4のスイッチング素子(S4)のオン/オフパターンを示す。
【0140】
第5グラフ1305は、第5のスイッチング素子(S5)のオン/オフパターンを示す。
【0141】
第6グラフ1301は、第6のスイッチング素子(S6)のオン/オフパターンを示す。
【0142】
第7グラフ1307は、DCリンクに連結された系統の3相のうちいずれか相に流れる電流(Is)を示すグラフである。
【0143】
第8グラフ1301は、第1のスイッチング素子(S1)からDCリンクの正端子(P)に流れる電流(IP)を示すグラフである。
【0144】
第9グラフ139は、DCリンクの中性点(O)から第5、6スイッチング素子(S5,S6)側に流れる電流(Io)を示すグラフである。
【0145】
第10グラフ1310は、DCリンクの負端子(N)から第4のスイッチング素子(S4)側に流れる電流(IN)を示すグラフである。
【0146】
第11グラフ1311は、交流端子に連結されたフィルターに流れる電流(IL)を示す。
【0147】
図14は、図12及び図13のシミュレーションによる電流の方向を整理した表である。
【0148】
図14において、「+」及び「-」は、それぞれ電流の方向を示す。
【0149】
+ILは、図7において、交流端子301にILの電流が入ることを意味し、-ILは、交流端子301からILの電流が出ることを意味する。
【0150】
-Iは、DCリンクの正端子(P)又は負端子(N)にIの電流が入ることを意味し、+Iは、DCリンクの正端子(P)又は負端子(N)からIの電流が出ることを意味する。
【0151】
CASE1は、図8の実施形態に該当する結果であり、CASE2は、図9の実施形態に該当する結果で、CASE3は、図10の実施形態に該当する結果で、CASE4は、図11の実施形態に該当する結果である。
【0152】
CASE1~CASE4で示されるスイッチング動作による電流の方向は、それぞれ図3図6で示される電流の方向と一致する。
【0153】
これは、ANPC型電力変換装置において、第1のスイッチング素子(S1)及び第4のスイッチング素子(S4)をそのまま使用した場合の電流の方向は、第1のスイッチング素子(S1)及び第4のスイッチング素子(S4)をダイオードの機能に変換したシミュレーション結果と一致することを示す。
【0154】
すなわち、既存の電力変換装置200において、第1のスイッチング素子210及び第4のスイッチング素子240がそれぞれダイオードに変換された電力変換装置300を使用しても、同じ電流の流れの結果が想到し得る。
【0155】
すなわち、本発明の実施形態によれば、IGBTを利用する2つのスイッチング素子の代わりにダイオードが使用されることにより、スイッチング損失の減少及びコスト節減の効果を得ることができる。
【0156】
図15は、本発明の一実施形態によるANPC型電力変換装置を3相で構成した場合、電力変換システムの構成を説明する図面である。
【0157】
3相電力変換システム1500は、第1の電力変換装置300-1と、第2の電力変換装置300-2と、第3の電力変換装置300-3と、を含むことができる。
【0158】
第1の電力変換装置300-1、第2の電力変換装置300-2及び第3の電力変換装置300-3は、それぞれ図7に示されたANPC型電力変換装置300の構成と同様であってもよい。
【0159】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本明細書は、本明細書に開示の実施形態と図面によって限定されるものではなく、通常の技術者によって様々な変形を行うことができる。なお、本明細書の実施形態を前述しつつ、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認めるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】