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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】基材の接着接合方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20230726BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20230726BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20230726BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230726BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C09J5/00
B32B37/12
B32B7/12
C09J201/00
B29C65/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501117
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 ES2021070454
(87)【国際公開番号】W WO2022008771
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20382607.8
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【テーマコード(参考)】
4F100
4F211
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AR00B
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA07
4F100CB04
4F100CB04B
4F100EH46
4F100EH46B
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100EJ52
4F100EJ52B
4F100EJ53B
4F100EJ54B
4F100GB08
4F211AA15
4F211AD03
4F211AD06
4F211AG03
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4F211AH51
4F211TA03
4F211TC01
4F211TD11
4F211TJ11
4F211TN45
4F211TQ03
4J040JA09
4J040JB04
4J040JB07
4J040JB09
4J040LA06
4J040PA21
4J040PA32
(57)【要約】
開示されているのは基材の接着接合方法であって、それは接着剤の層(1)を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布することと、塗布された接着剤の層(1)を間に配置して第1の基材を第2の基材に配置することとを含む。この方法は更に、第1の基材を第2の基材に配置する前に、接着剤の層(1)を選択的かつ部分的に硬化させるために、放射線硬化手段(13)を接着剤の層(1)に適用することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の接着接合方法であって、
-接着剤層(1)を第1の基材及び/又は第2の基材に塗布することと、
-塗布された前記接着剤層(1)を介して、前記第1の基材を前記第2の基材に配置することと
を含み、前記方法は、前記第1の基材を前記第2の基材に配置する前に、選択的に前記接着剤層を部分的に硬化させるために、前記接着剤層(1)に放射線硬化手段(13)を適用することを含むことを特徴とする、基材の接着接合方法。
【請求項2】
前記第1の基材を前記第2の基材に配置するために、後成形手段(8;12)により、前記第1の基材の少なくとも1つの帯状部(2’、2b、2c、2d)を、前記第2の基材の少なくとも1つの輪郭(14)に後成形することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の基材の接着接合方法。
【請求項3】
前記硬化手段(13)が、前記第2の基材の少なくとも1つの輪郭での前記後成形の前及び/又は間に、前記第1の基材の少なくとも1つの帯状部(2’、2b、2c、2d)に対して適用されることを特徴とする、請求項2に記載の基材の接着接合方法。
【請求項4】
前記方法は、前記後成形手段(8;12)によって、複数のステップで、前記第1の基材の異なる帯状部(2’、2b、2c、2d)を前記第2の基材の異なる輪郭(14)に後形成することを含み、前記方法は、前記後成形の2つのステップの間で前記硬化手段(13)の少なくとも1つの追加の適用を行なうことを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項5】
前記硬化手段(13)を、後成形されない前記第1の基材の第1の帯状部(2a)に適用することを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項6】
前記硬化手段(13)の適用が、電磁放射線、特に紫外線又は赤外線、及び粒子線、特に電子を用いた粒子線からなる群から選択される放射線を、前記接着剤層(1)に適用することを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項7】
前記接着剤層(1)を前記第1の基材及び/又は前記第2の基材に塗布した直後に、前記接着剤層(1)の平滑化を行うことを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項8】
前記第1の基材は被覆材(2)であり、前記第2の基材は、前記被覆材(2)が表面に配置される被覆支持体(3)であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項9】
放射線による硬化機構に加えて追加の硬化機構を有する接着剤、特に二重硬化機構を有する接着剤を使用することを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の基材の接着接合方法。
【請求項10】
前記追加の硬化機構が空気中の湿気との反応によるものであり、前記接着剤が特に反応性PURからなることを特徴とする、請求項9に記載の基材の接着接合方法。
【請求項11】
基材の接着接合システムであって、第1の基材が被覆材(2)であり、第2の基材が、前記被覆材(2)が表面に配置される被覆支持体(3)であり、前記システムは、
前記被覆材(2)及び/又は前記被覆支持体(3)に接着剤層(1)を塗布するための塗布手段と、
前記被覆材(2)を前記被覆支持体(3)に配置するための配置手段(8;9、12)と
を含み、前記システムが、
前記接着剤層(1)を塗布するための前記塗布手段と前記配置手段(8;9、12)との間に選択的に配置された、前記接着剤層(1)を部分的に硬化させるための放射線硬化手段(13)を含むことを特徴とする、基材の接着接合システム。
【請求項12】
前記配置手段(8;9、12)は、前記被覆支持体(3)の少なくとも1つの輪郭(14)に前記被覆材(2)の少なくとも1つの帯状部(2’、2b、2c、2d)を後成形するための後成形手段(8;12)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の基材の接着接合システム。
【請求項13】
請求項1から10のいずれかに記載の方法を実施するように構成されたことを特徴とする、請求項11又は12に記載の基材の接着接合システム。
【請求項14】
請求項1から10のいずれかに記載の方法により得られることを特徴とする、基材の接着接合製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、基材の接着接合方法及びシステムであり、基材はパネルやプロファイル材などの被覆支持体と、シートや積層体などの被覆材とによって形成され、両方が接着剤によって接着され、接着製品の表面仕上げでの高い品質を提供する。このような接着製品には、シートで被覆された積層パネルやプロファイル材が含まれる。
【0002】
本発明の基材の接着接合方法及びシステムは、特に後成形が必要な基材を含む製品で必要とされる。同様に、その特徴により被覆の貼り付けの欠陥が容易に分かることができる高い光沢を有する、透明である又は同様の被覆材について、特に必要とされる。
【0003】
本発明の基材の接着接合方法及びシステムは、家具、ドア及び床用のパネル、ドア及び窓枠用のプロファイル材などの建築及び家具用の製品の製造分野での用途を有する。
【背景技術】
【0004】
積層パネル又は被覆プロファイル材を製造する産業では、被覆材及び/又は被覆される基材に塗布される接着剤が通常使用され、その後にその被覆がパネル又はプロファイル材に貼り付けられる。
【0005】
接着剤は、塗布、拡散、平滑化するために、基材に効果的に浸透などするために、液体状態であることが必要である。塗布後に、必要な接着強度を得るために、接着剤の固化と硬化が行われる(この作用が利用できる場合)。接着剤や粘着剤の硬化は、接着剤の内部架橋又は重合のプロセスである。固化は、接着剤を液体状態から固体状態に変化させるために、その蒸発や温度低下などの物理的方法の使用を含む。
【0006】
用途の種類に応じて、様々な種類の接着剤が使用される。現在、多種多様な接着剤が存在するが、そのすべてにおいて、いずれかの接着剤を選択する時に特定のパラメータを理解して考慮することが不可欠である。
【0007】
これらのパラメータの1つは接着剤の粘度であり、粘度は、その接着剤が有する変形に対する抵抗力又は流動性の能力の測定値として理解される。粘度は、接着剤の粒子の動きに対する抵抗を測定するために使用される。
【0008】
考慮すべきもう1つのパラメータは、接着剤の粘着性である。粘着性は、外部要素との粘着のグリップ力を指す。いわば、接着剤が「食いつく」ことである。それは、接着剤を構成する分子の極性、ファンデルワールス力などによって決まる。
【0009】
別のパラメータは、内部凝集力である。これは、結び付けられた接着剤の粒子を維持する接着剤自体の内部での分子間力である。内部凝集力が小さいと接着剤が流れ易いので、粘度と密接な関係がある。
【0010】
最後は、これまでのパラメータの総括としての接着剤の接着強さであり、接着される2つの基材間の接着の強さである。粘着剤又は接着剤の接着強さは、粘着性と内部凝集力での最小の値によって決まる。
【0011】
同様に、接着剤には「オープンタイム」と呼ばれる特徴があることも重要なことである。これは、塗布の始めでの液状(低粘度)と、それよりも液状でない(例えば、PVAc接着剤の場合には一定量の水が蒸発したため、熱可塑性接着剤の場合には温度が低下したため、又はその硬化が進行したため)中間点(より粘度が高い)の間で得られる最大時間で、その間は劣化したとみなされずに最終接着前の作業が行われることが可能である。
【0012】
既に述べられたように、接合の特定の必要性に応じて、上記のパラメータの値が異なる接着剤が使用される。
【0013】
いずれの接着プロセスに際しても、接着剤が液体(低粘度)であるため、初期の内部凝集力は非常に低い。したがって、例えば、水性木工ボンドは、パネルとそれに接着される積層体に「染み付く」(粘着性により)が、最初はこれらは堅く接合しておらず、接着剤がまだ乾燥していない間に分離するおそれがある(低い内部の凝集力/粘度)。接着剤が乾燥すると(又は、熱い状態で塗布される接着剤(ホットメルトなど)の場合は、冷却及び/又は硬化すると、すなわち重合すると)、固体状態及び全重合(重合機構がある場合)に到達するまで粘度が増加し、したがってその内部凝集力も増加する。接着剤の塗布からその完全固化及び完全硬化(ある場合には)まで、内部凝集力が接着剤の粘着性より小さい初期段階が存在することがある。接着剤が固化及び硬化(該当する場合には、蒸発、冷却、重合などのいずれかによって)すると、内部凝集力が粘着性よりも大きくなり、パネルと積層の間の接合での最も弱い結合は、その粘着性となる。
【0014】
特定の用途である積層及び/又は被覆においては、塗布時若しくはその塗布に近い時点で、及びある表面若しくはその一部において、接着剤を非常に均一に塗布、拡散及び/又は平滑化する優れた能力が必要であり、その後にこれらの同じ表面若しくは他の表面、又はその一部において、適切な時点での高い即時の接着強度が必要とされる。
【0015】
接着剤では、この2つの特徴が同時に起こることはない。接着剤が低粘度状態であれば、非常によく拡散/平滑化されることができるが、一方で接着剤を塗布した表面では粘着能力(粘着性)はあるものの、その粘度が上昇するまでは強い内部凝集力を有さない。また、逆に、ある程度の粘着性と高い内部凝集力(高粘度)の接着剤では、接着剤は容易に拡散/平滑化されることができない。
【0016】
後成形される可能性のある特定の被覆パネル、及び/又は特定の被覆プロファイル材が、少なくともその大きな表面において、被覆材の下に位置するまさしく接着剤の塗布により見られる欠陥なしに製造されることができなくてはならないので、これらの特徴を有する接着剤を「自由に選んで」利用できるようにするこの必要性が生じる。一部の被覆材は、この接着による欠陥を、より「隠す」か又はあまり見えないようにする。しかし、他の被覆材は、接着のいずれかの欠陥に対して非常に「敏感」であり、言い換えれば、その下にある欠陥を見えるようにする。それらはその下に有するものに対して「透明」であり、時にはそれを増大して、強めることさえある。これは、例えば、光沢のある材料(鏡のような表面仕上げの材料)や透明な材料などでの被覆の場合である。
【0017】
したがって、例えば、高い光沢を有するか又は透明である被覆シート又は積層体を備える基材の積層(積層パネルを製造するためのプロセス)又は被覆(被覆プロファイル材を製造するためのプロセス)において、基材の大きな又は透けた表面(単数又は複数)への接着剤の塗布及び/又は平滑化でのいずれの欠陥も、非常に容易に見られる。
【0018】
欠陥には様々な種類がある。最も多いのは、「接着剤の構造化」、「接着剤の帯状塗布」、基材と被覆材の間に現れる「気泡」である。次に、これらの欠陥がどのようなものであるかを簡単に説明する。
【0019】
接着剤の構造化:これは、接着剤の粘度、及び関係する要素(接着剤、塗布要素、塗布される要素)間での異なる要素の相対速度に加えて、それらの要素の表面張力の影響により、ある塗布システムによって、塗布される表面に接着剤を塗布する事実だけから生じる欠陥である。
【0020】
接着剤がローラーによってパネル材又は被覆材に塗布されると(図1参照)、接着剤は塗布点(P)で材料と接触し、材料と塗布された接着剤の層との間に接触面(C)が存在する。その接触面(C)において、接着剤は毛細管作用により材料に最初に固定されるが、接着剤の層の上面(S)もやはり毛細管力により、最初は塗布ローラーに接着される。接着剤とそれが塗布される材料との間の接触面(C)において、接着剤の層は材料の速度となり(この材料は通常、ローラー、コンベヤーベルト又は他の移動手段によって移動される)、一方で接着剤の層の上面(S)は依然としてローラーと同じ速度を有する。しかし、毛細管作用による接着剤のローラーへの固定力は、接着剤が塗布される材料への毛細管作用による付着力よりも小さい(塗布ローラーが作られる材料は非接着性である)ため、接着剤の上面(S)はローラーによって与えられる方向に進もうとするので、ローラーから離れ、山/谷形状の構造を生成する。このプロセスは、接着剤が材料に塗布される継続時間を通して繰り返される。
【0021】
上記の欠陥は、接着剤の塗布量が多いほど顕著になる。これは、接触面(C)での毛細管作用による力が上面(S)の毛細管力より大きいものの、この接着の初期状態ではその内部凝集力がまだやや弱く、そのため上面(S)がローラーから離れるまで更に伸びることが可能であり、したがって高い山/谷が形成される。
【0022】
また、「山/谷」の構造化という上記の欠陥は、塗布される接着剤がより高い粘度を有する場合にも助長される。これは、接着剤がより高い粘度を有する場合には接着剤の流動性が低下し、したがって塗布後の「自動平滑化作用」のための接着剤の能力を低下させ、接着剤をより迅速に固定させるためである。
【0023】
この「山/谷」構造の形成の欠陥は、ある被覆材を張り付けた後に、いわゆる「オレンジピール」で現れる。
【0024】
更に、基材への接着剤の塗布が塗布「リップ」によって行われる場合には、リップは静的要素であるため、接着剤の構造化作用はローラー塗布の場合よりも低くなる。リップによる塗布では、不純物や架橋した接着剤などによりリップの塗布溝(ノズルの出口)が詰まることによる、接着剤が足りない「線」の欠陥の出現がより一般的である。
【0025】
接着剤の欠陥や構造的欠陥は、通常は塗布後に接着剤を平滑化することによって修正される。ある用途において、粘度の関係で平滑化ができない場合、又は単に工程に平滑化がない場合には、既に説明したように、接着剤が少ない場合よりも多い場合の方が、接着剤の構造化が生じる可能性が高くなる。
【0026】
接着剤の帯状塗布:パネル又は被覆(接着剤が塗布される基材に依存する)での接着剤の帯状の外観からなり、その帯は、パネル又は被覆の前進方向の長手方向に直交する、より高い又はより低い単位面積当たりの重量を有する。これは、異なる送達、基材、被覆要素、コイルのブレーキなど、プロセスに関与する異なる要素の間に生じる干渉により、長手方向の前進の連続性において均一性が欠如することによって生じる。接着剤の粘度が高ければ、これらの欠陥はよりはっきりと現れ、一方で粘度が低ければ、よりよくなじむ。これが最終製品において、いわゆる「フィッシュボーン効果」として現れる。
【0027】
気泡:この欠陥は、被覆材と接着剤の間又はパネルと接着剤の間(接着剤が最初に塗布される基材に依存する)に気泡が現れることからなる。この欠陥は、主に硬い被覆材で現れる。
【0028】
現在行われているのは、塗布状態において可能な限り低い粘度を有しながら、製造中に被覆を基材に適切に固定するように、基材の配置時及び必要に応じて後成形時に基材を一体に接着して保持するために、十分な内部凝集力を提供する最小量の接着剤が使用されることである。これらの粘度は、その塗布後にこれらの接着剤の容易な平滑化を可能としないが、少なくとも、特に後成形される領域において、必要に応じてできるだけ低くして、それにより接着剤の過度の粘度又はその量によって生じる欠陥をできる限り低減することが求められている。
【0029】
当該技術分野における既存のこれらの積層体及び被覆についてのこの問題に対する別の解決策は、異なる粘度を有する(したがって、内部凝集力の異なる度合いを有する)異なる接着剤を、必要に応じて異なる領域(例えば、後成形される、したがって大きな機械的応力を受ける基材の領域、及び後成形されない、したがってより小さな機械的応力を受ける領域)に塗布することである。この解決策は、複数のディスペンサーを使用して異なる接着剤を塗布しなければならないこと、及び異なる接着剤の異なる塗布領域の境界領域において問題(干渉)がないように塗布を定めることの複雑さなどのいくつかの欠点をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
従来技術における既存の解決策は、満足のいく方法で上述の問題を軽減し、更に同時に、例えば後成形領域において、基材が互いに強く接着されることを保証することができていなかった。
【0031】
本発明は、上記の欠点を解決するための、基材の接着接合方法及びシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の基材の接着接合方法は、
-第1の基材及び/又は第2の基材に接着剤層を塗布することと、
-塗布された接着剤層を介して、第1の基材を第2の基材に配置することと
を含む。
【0033】
新たな方法では、選択的な方法でその接着剤層を部分的に硬化させるために、接着剤層に放射線硬化手段を適用することを含み、その選択的かつ部分的な硬化は、第1の基材を第2の基材に配置する前に実施される。
【0034】
本発明によれば、硬化手段によって、選択的かつ部分的な硬化が配置の前に行われる。本発明の関連では、選択的かつ部分的な硬化は、配置の前に完全な又は完結した硬化を生じることなく、選択された又は所定の硬化の程度で行われる硬化として理解される。すなわち、例えば、接着剤層は配置の前に少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%などの硬化をされることができ、これは接着剤層の材料の完全な重合に対する割合での達成される重合の程度が、それぞれ少なくとも50%又は75%であることに対応する。硬化又は重合の割合が高いほど、接着剤層の粘度、したがってその内部凝集力の上昇を促進する。このようにして、必要な粘着性を害することなく、基材を接着するのに適した接着強度を伴って接着剤層の粘度を高めることによって(例えば、接着剤にその液体状態を与える媒体を変化させる、例えば木工用ボンドやPVAcでは水を蒸発させ、熱可塑性接着剤では温度を下げることによって粘度を上昇させるようとした場合に(そこでは粘着性を害する)、起こることとは異なり)、適した内部凝集力を提供することが可能である。
【0035】
この硬化手段の適用は放射線によって行われる。言い換えれば、使用される接着剤は、放射線の適用によってその硬化又は重合が起こるように構成される。放射線は、接着される基材の配置のために、特に、連続積層体又はシートなどの被覆材とパネル又はプロファイル材などの被覆支持体の接着のために必要な工業プロセスの典型的な時間に対応して、十分に速い又は加速された硬化をもたらすために、効果的に硬化エネルギーを適用することを可能にする。これらの工程所要時間は、数秒程度であり得る。
【0036】
本発明によれば、使用される接着剤を硬化させるために、いずれの種類の放射線であっても使用されることができる。好ましくは、例えばUV又はIRのような電磁放射線、又は電子(EB、「電子ビーム」)を用いた粒子線による硬化が考えられる。
【0037】
本発明によれば、基材の配置後に、接着剤層の硬化終了が、例えば、被覆基材を通過することができる放射線を適用されることによってもなされることができることが考えられる。
【0038】
有利なことに、空気中の湿気と反応するPUR(ポリウレタン)のような遅い硬化機構の接着剤が使用される(数時間又は数日さえかかる)従来の接着接合方法に対して、本発明は、基材との粘着性及び接着強度を害することなく、配置の前に選択可能な方法で適切な粘度を提供することが可能である。
【0039】
このように、内部凝集力を高めるために、例えば、熱可塑性接着剤の場合には配置前に接着剤を冷却する(それは粘着性を損なう)ことによって粘度が上昇され、あるいは接着剤が、配置時に高い内部凝集力を提供するために初期粘度が高く、適切な粘着性を有する接着剤であるなどの従来技術とは異なり、本発明は、制御された方法で十分な内部凝集力を達成するために様々な接着剤の使用を可能にするという点で、接着接合方法に汎用性を提供する。放射線は、粘着性及び接着強度を損なわずに配置前に内部凝集力を高めるために、制御された方法で硬化を促進させることを可能にする。
【0040】
更に、接着剤は追加の硬化機構、特に配置の前及び/又は後に活性化されることができる追加の硬化機構を有してもよいことが考えられる。例えば、水分との反応による追加硬化を伴う二重硬化機構を有するPUR接着剤を使用することができる。このような接着剤の例は、Henkel社から「Dual Curing」の商品名で市販されている。本発明の目的のために、追加の硬化機構を有する他のいずれの接着剤であっても使用されることができる。これに関しては、例えば、接着剤に付加的な成分(例えば、水)を混合することによって硬化させる、蒸発によって硬化させるなどである。
【0041】
放射線硬化手段としては、例えば、放射線放出ランプ、例えば、紫外線、LED又は電気アーク放電によるランプ、赤外線によるランプ、NIRなどの使用が考えられる。追加の硬化手段としては、例えば、加湿器、蒸発器などの使用が考えられる。
【0042】
好ましくは、本発明のプロセスは、第1の基材を第2の基材に配置するために、後成形手段によって、第1の基材の少なくとも1つの帯状部を第2の基材の少なくとも1つの輪郭に後成形することを含む。
【0043】
可能な実施形態によれば、本発明の基材の接着接合方法は、第2の基材の少なくとも1つの輪郭に第1の基材の少なくとも1つの帯状部の後成形を行う前(及び/又はその間)に、その帯状部に対応する接着剤層に硬化手段を適用することを含む。
【0044】
「後成形」とは、最初の第2の基材への第1の基材の単純な配置で、第2の基材が第1の基材によって被覆されなかった第2の基材の帯状部、部分又は輪郭において、第1の基材が第2の基材を被覆するように、第2の基材の形状に第1の基材を成形する、適合させる又は結合する一連の作業として理解される。
【0045】
記載された方法によって、後成形がされるそれらの帯状部における第1の基材の接着強度を顕著に増大させることが可能である。これは、弾性的性質及び/又は形状記憶により、第1の基材が、後成形されたそれらの輪郭において第2の基材から剥がれる強い傾向を有する可能性があることを考慮すると、特に有用である。
【0046】
したがって、特に後成形領域/帯状部において、異なる接着剤/粘着剤を使用する必要はなく、接着剤を非常に低い粘度で塗布することができ、それは平滑化を、又は少なくともまさしく塗布による影響を最小限に抑えることができ、これは、特に後成形領域において、接着剤/粘着剤は硬化手段に曝されるので、低い接着強度を引き起こす問題が考えられない。
【0047】
この特徴は、接着剤の接着強度が、特に後成形がなされる時点で増強されるように、接着剤の硬化に干渉する2つの要素、すなわち、硬化手段の硬化能力と、硬化手段の適用と第2の基材への第1の基材の配置との間に経過する時間とで「果たす」ことができる。
【0048】
この方法では、後成形される領域と後成形されない領域の両方において、硬化手段を容易に適用することが可能である。
【0049】
可能な実施形態によれば、基材の接着接合方法は、後成形手段によって、第1の基材の異なる複数の帯状部を、第2の基材の異なる複数の輪郭に複数のステップで後成形することを含む。
【0050】
このような状況において、本発明の方法は、後成形の2つのステップの間に、硬化手段の少なくとも第2の適用を行うことを含むことが考えられる。
【0051】
この特徴により、硬化手段が、後成形される第1の基材の各帯状部の後成形の直前に適用され、したがって、理想的な時間、すなわちその帯状部を後成形する作業の直前に、後成形される各帯状部において理想的な接着強度を有することができる。
【0052】
上述したように、可能な実施形態によれば、基材の接着接合方法は、硬化手段を、後成形されない第1の基材の第1の帯状部に、特に後成形される第1の基材の少なくとも1つの帯状部と組み合わせて適用することを含む。
【0053】
この特徴により、後成形されない第1の基材の帯状部が非常に強固に第2の基材に固定されることが可能になることで、後成形される帯状部が、第2の基材に配置された後成形されない帯状部を強く引っ張る場合に、第1の基材と第2の基材との間の相対移動が防止される。
【0054】
上記の異なる種類の硬化手段の適用により、接着剤の接着強度が、異なる効果の程度で増強されることができ、及び/又は使用可能な様々な種類の接着剤に適合されることができる。
【0055】
好ましくは、本発明の基材の接着接合方法は、接着剤層(その全部又は一部)を、第1の基材及び/又は第2の基材へのその塗布直後に平滑化することを含む。このようにして、第2の基材に配置又は後成形された後の第1の基材の仕上がりを改善し、まさしく接着剤の塗布、例えば接着剤層の構造化に起因する欠陥の出現及び/又は知覚を防ぐことができる。
【0056】
基材の接着接合方法の可能な実施形態によれば、第1の基材は被覆材であり、第2の基材は被覆材がその表面に配置される被覆支持体である。被覆支持体は、例えば、プロファイル材又はパネルの形であることができる。被覆材は、例えば、シート又は積層体の形であることができる。
【0057】
本発明の接着接合方法によれば、積層パネルや被覆プロファイル材などの接着接合製品を得ることができる。本発明は、例えば、木材パネル、凝集体、HDF、MDF、アルミニウム板、鉄又はプラスチック、木材プロファイル材、HDF、MDF、PVC、アルミニウムなどに適用可能である。
【0058】
パネルは、実質的に平らな形状を有し、幅及び長さ(通常は幅よりも長い)が比較的大きく、一定の厚さである製品として理解される。プロファイル材は、長方形の形状を有する製品として理解され、その最大の寸法は長さであり、同様の厚さ及び幅である。積層パネルは被覆のあるパネルとして理解され、それは平らであるか、又は実質的に平らな表面に加えてその端部も被覆される場合には、後成形されることができる。被覆プロファイル材では、その被覆は一般的に後成形を行う。
【0059】
本発明は、基材の接着接合システムに関し、第1の基材が被覆材、特に積層体であり、第2の基材が被覆支持体、特にパネルであって、被覆支持体の表面に被覆材が配置される基材に適用可能である。
【0060】
その基材の接着接合システムは、被覆材及び/又は被覆支持体に接着剤層を塗布するための塗布手段と、被覆材を被覆支持体に配置するための配置手段とを含む。
【0061】
配置手段は、被覆積層体を配置するための少なくとも1つのローラーによって形成されることができ、それによりそのシートが配置ローラーによって支持体に対して押圧された時に、支持体に配置される。
【0062】
新たな方法では、本発明の基材の接着接合用システムは、接着剤層塗布手段と配置手段との間に選択的に配置された、接着剤層を部分的に硬化させるための放射線硬化手段を含む。
【0063】
好ましくは、本発明の基材物の接着接合用システムは、被覆支持体、特にパネルの少なくとも1つの輪郭に、被覆材、特に積層体の少なくとも1つの帯状部を後成形するための後成形手段を含み、そのシステムは、被覆支持体の少なくとも1つの輪郭に後成形される被覆材の少なくとも1つの帯状部に対応する接着剤層の少なくとも1つの帯状部に、硬化手段を適用するよう構成されている。
【0064】
配置手段は、被覆積層体を後成形するための少なくとも1つのローラーによって形成されることができ、それによりそのシートが後成形ローラーによって支持体に対して押圧された時に、シートは支持体に後成形される。
【0065】
同様に、好ましくは、本発明の基材の接着接合システムは、上述した基材の接着接合方法を実施するように構成されている。
【0066】
本発明はまた、上述した方法に従って得られた接着接合製品に関する。特に、接着接合製品は、被覆シートである第1の基材と、被覆シートがその表面に配置される被覆支持体である第2の基材とを含み、それらの基材が上述した方法に従って接着されている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明の少なくとも1つの実施形態の説明の一部として、以下の図が含まれる。
図1】塗布ローラーによって被覆シート又はパネルに塗布された粘着剤/接着剤層の山及び谷の形態の構造の概略図を示す。
図2a】接着剤が塗布ローラーによって連続した被覆シートに塗布され、被覆シートの接着剤層を平滑化するその後の段階がある、パネルと被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形を伴う基材の接着接合システムを示す。
図2b図2aと同様の接着接合システムを示し、ここでは塗布後に被覆シートの接着剤層を平滑化する段階がない。
図3a】接着剤がリップによって被覆シートに塗布され、被覆シートの接着剤層を平滑化するその後の段階がある、パネルと被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形を伴う基材の接着接合システムを示す。
図3b図3と同様の接着接合システムを示し、ここでは塗布後に被覆シートの接着剤層を平滑化する段階がない。
図4】接着剤がスプレーノズルによって被覆シートに塗布される、パネルと被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形を伴う基材の接着接合システムを示す。
図5図3bと同様の基材の接着接合システムを示し、ここでは異なる後成形手段の間に挿入された硬化手段がある。
図6】被覆シートの断面の略示図を示す。
図7】被覆シートが配置されるパネルの断面の略示図を示す。
図8】平滑化されていない塗布された粘着剤/接着剤層を備えた被覆シートの断面の略示図を示す。
図9】塗布されて平滑化された粘着剤/接着剤層を備えた被覆シートの断面の略示図を示す。
図10a】被覆シートに塗布された接着剤層の2つの端部帯状部の接着剤を硬化させるための硬化手段の使用の略示図を示す。
図10b図10aの被覆シートの略示図を示し、2つの端部帯状部が硬化の進んだ状態にあり、パネルと被覆シートとによって形成されるアセンブリの後成形の前に、被覆シートは接着剤層を介してパネルに配置されている。
図10c】後成形後の図10bのパネルと被覆シートのアセンブリの略示図を示す。
図11a】被覆シートに塗布された接着剤層の全体の接着剤を硬化させるための硬化手段の使用を示す略示図を示す。
図11b図11aの被覆シートの略示図であり、その接着剤層の全てが硬化の進んだ状態にあり、パネルと被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形の前に、被覆シートが接着剤層を介してパネルに配置されている。
図11c】後成形後の図11bのパネルと被覆シートのアセンブリの略示図を示す。
図12図5の断面HHの略示図を示し、接着剤を硬化させるための硬化手段の第1の適用が、被覆シートに堆積された接着剤層の第1の帯状部で見られ、接着剤層の第1の帯状部は、パネルでの配置後に後成形されない被覆シートの第1の帯状部に対応している。
図13図5の断面IIの略示図であり、接着剤を硬化させるための硬化手段の第2の適用が、被覆シートに堆積された接着剤層の2つの第2の帯状部で見られ、接着剤層の2つの第2の帯状部は、パネルでの被覆シートの配置後に後成形される被覆シートの第2の帯状部に対応している。
図14図5の断面JJの略示図であり、接着剤を硬化させるための硬化手段の第3の適用が、被覆シートに堆積された接着剤層の第3の帯状部で見られ、接着剤層の第3の帯状部は、被覆シートの第2の帯状部の後成形後に後成形される被覆シートの第3の帯状部に対応している。
図15図5の断面KKの略示図であり、接着剤を硬化させるための硬化手段の第4の適用が、被覆シートに堆積された接着剤層の第4の帯状部で見られ、接着剤層の第4の端部帯状部は、被覆シートの第3の帯状部の後成形後に後成形される被覆シートの第4の端部帯状部に対応している。
図16図5の断面LLの略示図を示し、被覆シートの第4の端部帯状部の後成形後の、パネルと被覆シートとによって形成されるアセンブリを示す。
図17】接着剤がリップによって連続した被覆シートに塗布され、また塗布ローラーによってパネルに塗布され、その後にパネルの接着剤層を平滑化する、パネルと連続した被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形を伴う基材の接着接合システムを示す。
図18】接着剤が塗布ローラーによってパネルに塗布され、その後にパネルの接着剤層を平滑化する、パネルと連続した被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形のない接着接合システムを示す。
図19】接着剤が塗布ローラーによってパネルに塗布され、その後にパネルの接着剤層を平滑化する、パネルと不連続の被覆シートによって形成されるアセンブリの後成形のない基材の接着接合システムを示す。
図20a】平滑化されていない塗布された粘着剤/接着剤層を備えたパネルの断面の略示図を示す。
図20b】塗布されて平滑化された粘着剤/接着剤層を備えたパネルの断面の略示図を示す。
図20c】硬化の進んだ状態にある塗布された粘着剤/接着剤層を備えたパネルの断面の略示図を示す。
図21a】平滑化されていない塗布された粘着剤/接着剤層を備えた被覆シートの断面の略示図を示す。
図21b】塗布されて平滑化された粘着剤/接着剤層を備えた被覆シートの断面の略示図を示す。
図21c】硬化の進んだ状態にある塗布された粘着剤/接着剤層を備えた被覆シートの断面の略示図を示す。
図22】後成形のない接合されたパネルと被覆のアセンブリの略示図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明は、上述したように、基材の接着接合方法及びシステムに関する。
【0069】
特に、接着剤(1)の構造化(図1参照)に関する上記の欠点を防ぐために、本発明のシステム及び方法は、接着剤(1)が、その塗布が欠陥を引き起こさないように十分に低い粘度で塗布されることができること、又は塗布後の効率的な平滑化を可能にすること、あるいは平滑化手段がない場合には、硬化プロセスが進みすぎて接着剤(1)の粘度が上昇し、それが接着剤層(1)のその後の平滑化又は自動平滑化作用を妨げる前に、接着剤層(1)の自動での平滑化作用を可能にすることを考える。
【0070】
このため、本発明によれば、基材の配置の前に放射線硬化手段(13)により、塗布された接着剤(1)の半硬化又は部分的な硬化が行われる。以下に記載される実施形態で使用される接着剤(1)は、二重硬化機構を有し、追加の硬化機構は水分との反応によるものであり、それにより基材が配置されると、空気中の湿気(間に入れられた接着剤層まで、配置された基材又はベース基材を通過することができる)との反応により接着剤(1)の完全硬化が起こる。この種の接着剤の例としては、Henkel社から「Dual Curing」の商品名で市販されている、水分と反応するPUR系接着剤が挙げられる。
【0071】
後述するこの種の接着剤(1)又は基材の使用は、本発明を限定的するものではない。したがって、例えば、本発明によれば、配置された基材がその放射線に対して透過性又は半透過性である場合には、接着剤層(1)の完全な硬化が、基材の配置後に放射線、特にUV電磁放射線によっても行われることができることが想定される。
【0072】
図2a及び図3aは、本発明による後成形を伴う積層パネルの製造システムの2つの実施態様を示し、そこでは塗布ローラー(4)及び添加ローラー(5)(図2a)又はリップ(6)(図3a)による接着剤(1)の塗布の後に、平滑化ローラー(7)があることが考えられている。
【0073】
図2b及び図3bは、本発明による後成形を伴う積層パネルを製造するシステムの2つの実施形態を示し、それらはそれぞれ図2a及び図3aのものと類似するが、そこでは被覆シート(2)に接着剤層(1)を塗布した後に平滑化が想定されていない。
【0074】
図4は、本発明による、図2bのものと類似の後成形を伴う基材の接着接合システムの実施形態を示すが、接着剤層(1)が、塗布ローラー(4)の代わりに接着剤スプレーノズル(15)によって塗布される。
【0075】
上記のこれらの図において、被覆シート(2)及びパネル(3)の前進方向は、ローラーの回転方向と同様に、後成形を伴う基材の接着接合システムに沿って矢印で示されている。
【0076】
特に平滑化ローラー(7)があるかどうかにかかわらず、これらの図に示される後成形を伴う基材の接着接合のためのすべてのシステムでは、パネル(3)で被覆シート(2)を後成形するための配置ローラー(9)が存在する。この配置ローラー(9)は、パネル(3)に対して被覆シート(2)(したがって接着剤層(1))に圧力を掛けることによって、被覆シート(2)とパネル(3)との間に位置する接着剤層(1)に対して一定の平滑化機能を果たすことも可能である。
【0077】
それでもやはり、配置ローラー(9)が、被覆シート(2)への接着剤層(1)の塗布から時間が経った後に作用することを考慮すると、接着剤層(1)の平滑化や自動平滑化作用が、被覆シート(2)への塗布時から、より早く開始されていることが望ましい。この理由から、被覆シート(2)に塗布される時点で粘度が非常に低い接着剤(1)を用意することが望ましい。パネル(3)に又は両方に塗布される場合も同様である。
【0078】
これらの図に示される後成形を伴う基材の接着接合のためのすべてのシステムでは、ガイドローラー(10)もあり、これは被覆シート(2)がコイル(11)からパネル(3)までその経路に維持されることを確保する。
【0079】
後成形を伴う基材の接着接合システムでは、パネル(3)での被覆シート(2)の配置後に、必要に応じてそれらの断面又は帯状部において、被覆シート(2)をパネル(3)の輪郭(14)の形状に結合して適合させるために、後成形作業を行うことが必要である。これを行うために、パネル(3)での被覆シート(2)の配置後に、パネル(3)の各断面、帯状部又は輪郭(14)の特定の形状に被覆シート(2)を適合させる後成形手段(12)(典型的には、後成形ローラー(8)及び/又はプレスからなる)が存在する。
【0080】
既に述べたように、適切な時に、接着剤層(1)を形成する接着剤(1)が適切な粘度及び内部凝集力を有することが重要である。このことは、後成形作業は、通常はパネル(3)の狭い断面又は輪郭(14)を被覆しなければならない被覆シート(2)の狭い断面又は帯状部であるので、その延びた形状(後成形前の)を回復しようとして被覆シート(2)によってもたらされる弾性力は非常に強く、したがって接着剤(1)には、後成形作業が行われるちょうどその時に高い接着強度が必要とされるため、後成形作業の際に特に重要である。
【0081】
この理由から、本発明の基材の接着接合方法は、パネル(3)の対応する帯状部、断面又は輪郭(14)に適合するようにして後成形される、被覆シート(2)の対応する帯状部に位置する接着剤層(1)のそれらの帯状部に、硬化手段(13)を適用することを見込む。
【0082】
硬化手段(13)は、赤外線(IR、NIR)を放出するための手段、紫外線(UV)放射線又は別の種類の放射線を放出するための放出手段を含むことができる。これらの硬化手段は、選択的に接着剤の部分的な硬化を行うように構成されており、選択された放射線エネルギーを接着剤層に適用することを可能にする。
【0083】
したがって、図2a、図2b、図3a、図3b、図4及び図5において、接着剤層(1)のための硬化手段(13)の適用は、被覆シート(2)に接着剤層(1)を塗布した直後であって、パネル(3)に被覆シート(2)を位置合わせして後成形する前に見られる。これらの硬化手段(13)は、パネル(3)の対応する帯状部、断面又は輪郭(14)に後成形される被覆シート(2)の特定の帯状部に位置する接着剤層(1)の全帯状部又は特定の帯状部に適用されることが可能である。このようにして、後成形される帯状部における接着剤層(1)を硬化させる作用は、後成形作業が行われなければならない時に、被覆シート(2)がパネル(3)から外れてその初期形状を回復することなしに、その帯状部又は輪郭(14)においてパネル(3)に完全に接着したままであることを可能にする粘度及び内部凝集力の理想的な特性を、接着剤層(1)のその帯状部が有するように早められる。
【0084】
同様に、図5では、基材の接着接合方法の実施形態の実施のための、後成形を伴う基材の接着接合システムの変形例を見ることができ、そこでは硬化手段(13)は、被覆シート(2)及びパネル(3)の後成形手段(12)の連続する適用の間に挿入されて適用される。このようにして、各後成形ステップで後成形される対応する帯状部での接着剤層(1)の硬化は、即時かつ正確な時間に、対応する帯状部のそれぞれの後成形直前において促進される。
【0085】
図6は、接着剤層(1)の塗布前の被覆シート(2)の断面図、例えば図2a及び図2bに示される断面GGに対応する図を示す。
【0086】
図7は、被覆シート(2)の配置前のパネル(3)の断面図、すなわち、例えば図2a及び図2bに示される断面FFに対応する図を示す。1つ以上の後成形作業によって被覆シート(2)がその後に結合されなければならない、パネル(3)の輪郭(14)が示されている。
【0087】
図8は、接着剤層(1)が直前に塗布された被覆シート(2)の断面図であり、平滑化又は自動平滑化作用がないため、山及び谷又は他の欠陥を形成する接着剤層(1)の構造化を見ることができる。この図は、例えば図2aに示される断面AAに対応する。
【0088】
図9は被覆シート(2)の断面図を示し、接着剤層(1)が既に平滑化されて若しくは自動的に平らになって、又は欠陥なく塗布されている。この図は、例えば図2a、図2b、図3a、図3b、図4及び図5に示された断面BBに対応する。
【0089】
図10aは、被覆シート(2)及び接着剤層(1)の断面図を示し、そこでは接着剤層(1)の2つの端部帯状部(2’)への硬化手段(13)の適用を見ることができる。この図は、例えば図2a、図2b、図3a、図3b及び図4に示される断面CCに対応する。
【0090】
硬化手段(13)に曝された接着剤層(1)の部分又は帯状部は、硬化手段(13)に曝されていない接着剤層の部分とは対照的に、図において暗色で示されている。
【0091】
図10bは、図10aの被覆シート(2)のパネル(3)での配置を示す。この図は、例えば図2a、図2b、図3a、図3b及び図4に示される断面DDに対応する。パネル(3)は、単純で直線的な形状を有する左端の他の輪郭(14)に比べて、湾曲した複雑な形状を備えた右側の輪郭(14)を示す。
【0092】
図10cは、パネル(3)の輪郭(14)での端部帯状部(2’)の後成形後の、図10bの被覆シート(2)を示す。この図は、例えば図2a、図2b、図3a、図3b及び図4に示される断面EEに対応する。
【0093】
図11a、図11b及び図11cは、それぞれ図10a、図10b及び図10cのものと類似する図及び断面を示すが、図11a、図11b及び図11cの場合には硬化手段(13)は、接着剤層(13)全体に適用されており、特定の帯状部のみに適用されない。
【0094】
本発明は、接着剤層(1)の表面全体に、しかし接着剤層(1)の異なる帯状部に応じて異なる程度で、硬化手段(13)を適用することも想定する。これにより、接着剤層(1)の異なる帯状部において、接着剤層(1)のその帯状部に対して後成形作業を行う必要があるか否かによって、又はその後成形作業の厳しさによって、異なる程度の粘度及び内部凝集力を得ることができる。厳しさとは、被覆されるパネル(3)の輪郭(14)の形状の複雑な、閉じた又は角のある性質として理解される。この形状がより複雑な、閉じた、又は角のあるものであるほど、被覆シート(2)がその初期形状を回復する傾向がより大きく、したがってその帯状部の接着剤層(1)がより大きな接着強度を有することがより重要である。
【0095】
時に被覆シート(2)の後成形されない帯状部に対応する接着剤層(1)の帯状部に硬化手段(13)を適用することが興味深い場合があることは、言及に値する(ちょうど上述したように)。これは、時に後成形をされない帯状部が非常に狭く、したがって、被覆シート(2)の連続的な帯状部が後成形される時に、被覆シート(2)とパネル(3)との間で、後成形されない狭い帯状部にも相対的な変位が生じるおそれがあるためである。この理由から、その帯状部におけるパネル(3)に対する被覆シート(2)の接着の強さを増大させて、被覆シート(2)とパネル(3)との間で起こり得る後の相対変位を防ぐために、後成形されないこれらの帯状部に硬化手段(13)を適用することもまた、興味深いことである。
【0096】
既に図5について記載した際に述べたように、本発明の基材の接着接合方法は、積層プロセスを通じて異なるタイミングで硬化手段(13)を適用することを見込む。
【0097】
図12は、被覆シート(2)の第1の中央の帯状部(2a)に対応する接着剤層(1)への硬化手段(13)の第1の適用を示し、その接着剤層(1)は、図13に見られるように、その後にパネル(3)の開けた領域に配置され、後成形されない。この図12の図は、図5に示される断面HHに対応する。
【0098】
図13は、図5に示される断面IIに対応する。図13は、パネル(3)のそれぞれの輪郭(14)に後成形される被覆シート(2)の第2の帯状部(2b)に対応する接着剤層(1)への、硬化手段(13)の第2の適用を示す。被覆シート(2)が後成形される輪郭(14)がパネル(3)の左端に位置し、それは直線的な形状を有する。他の輪郭(14)がパネル(3)の右側(14)に位置し、階段状の連続する段の最初の段である。
【0099】
図14は、パネル(3)に既に後成形された図13の被覆シート(2)の第2の帯状部(2b)を示す。図14は、パネル(3)のそれぞれの輪郭(14)に後成形される被覆シート(2)の第3の帯状部(2c)に対応する接着剤層(1)への、硬化手段(13)の第3の適用を示す。この図14の図は、図5に示される断面JJに対応する。
【0100】
図15は、パネル(3)に既に後成形された図14の被覆シート(2)の第3の帯状部(2c)を示す。図15は、パネル(3)のそれぞれの輪郭(14)に後成形される被覆シート(2)の第4の帯状部(2d)に対応する接着剤層(1)への、硬化手段(13)の第4の適用を示す。この図15の図は、図5に示される断面KKに対応する。
【0101】
図16は、図5のパネル(3)に完全に後成形された(対応する帯状部(2b、2c、2d)において)図5の被覆シート(2)を示す。この図16の図は、図5に示される断面LLに対応する。
【0102】
図17は、本発明による、図5に示された実施形態と類似した、後成形を伴う積層パネルの製造システムの追加の実施形態を示す。ここでは、図5とは異なり、パネル(3)での被覆シート(2)の配置の前に、パネル(3)に塗布ローラー(4)及び添加ローラー(5)によって接着剤(1)の追加塗布がまた行われることが考えられている。配置ローラー(9)による配置と、パネル(3)への接着剤(1)の塗布の間に、平滑化ローラー(7)による平滑化と、硬化手段(13)、例えば紫外線放射による半硬化が行われる。
【0103】
図18は、本発明による、積層パネルを製造するためのシステムの追加の実施形態を示し、ここでは上述の実施形態と異なり、接着剤層はシート(2)ではなく、パネル(3)にのみ塗布される。示された実施形態の例では、後成形は行われない。
【0104】
図19は、本発明による、積層パネルを製造するためのシステムの追加の実施形態を示し、ここでは上述の実施形態とは異なり、被覆シート(2)は、被覆シート(2)のスタックから不連続に、すなわちシートごとに供給される。なお、図示の実施形態の例では、後成形は行われない。
【0105】
図20a、20b、20c及び22は、先の図に示された実施形態の対応する断面MM、NN、OO及びSSにおけるパネル(3)の断面図を示す。
【0106】
図21a、図21b及び図21cは、先の図に示された実施形態の対応する断面PP、QQ及びRRにおけるシート(2)の断面図を示す。
【符号の説明】
【0107】
1 接着剤、接着剤層
2 被覆シート
2a、2b、2c、2d 帯状部
2’ 端部帯状部
3 パネル
4 塗布ローラー
5 添加ローラー
6 リップ
7 平滑化ローラー
8 後成形ローラー
9 配置ローラー
10 ガイドローラー
11 コイル
13 放射線硬化手段
14 帯状部、断面又は輪郭
15 接着剤スプレーノズル
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図20c
図21a
図21b
図21c
図22
【国際調査報告】