(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】改良された多層多孔質膜およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20230726BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20230726BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230726BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/403 Z
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/443 C
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/451
H01M50/457
H01M50/414
H01M50/403 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501164
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 US2021040395
(87)【国際公開番号】W WO2022010814
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,チャンチン,ワン
(72)【発明者】
【氏名】アンジーニ,デイビッド
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB02
5H021BB05
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE15
5H021EE21
5H021HH03
5H021HH06
(57)【要約】
【課題】本発明は、改良された多層多孔質膜およびその作製方法に関する。
【解決手段】多層膜は、2つの共押出層が異なるポリマーを含有し、2つの共押出層の1つが押出添加剤を含有する、少なくとも2つの共押出層を含む。有用な押出添加剤の例は、核形成剤または細孔形成微粒子を含み得る。また、膜の作製方法も開示される。2つの異なるポリマーを共押出するときに押出添加剤を使用することは、異なるポリマーの共押出を含むプロセス、特に、共押出非多孔質前駆体が後に延伸されて細孔を形成するプロセスに関連するいくつかの不利益を回避する。例えば、より低い透過度であること、ガーレー数を低くしにくいこと、および裂けやすいことという不利益が改良され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーAを主に含む1つの層と、
ポリマーAとは異なるポリマーBを主に含み、かつ押出添加剤も含む隣接層と、
を含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層は共押出しされる、前記押出多層微多孔質膜。
【請求項2】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと10℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項3】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと20℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項4】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと30℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項5】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと40℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項6】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと比べて10℃以上低いTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項7】
ポリマーAが、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項8】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項9】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項7に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項10】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを5℃~30℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項11】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを10℃~25℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項10に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項12】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを10℃~20℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項10に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項13】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを10℃~15℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項10に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項14】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを5℃~10℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項10に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項15】
ポリマーAを主に含む前記1つの層と、
主にポリマーAとは異なるポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層と、ならびに
主にポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層に隣接し、かつポリマーAを主に含む別の層と、
を有する、請求項1または7~9のいずれか1項に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項16】
前記膜が、キャストフィルム押出プロセスの一部として押出される、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項17】
前記膜が、インフレーションフィルム押出プロセスの一部として押出される、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項18】
前記膜が、乾式プロセス膜である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項19】
前記膜の細孔が、スリット形状、円形、実質的に円形、台形、および不規則な形状の少なくとも1つである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項20】
前記膜の細孔が、スリット形状である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項21】
前記膜の細孔が、円形または実質的に円形である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項22】
前記膜の細孔が、台形である、請求項1に記載の押出された多層微多孔質膜。
【請求項23】
前記膜の細孔が、不規則または非対称の形状である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項24】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPEが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPEが、少なくとも1つのPPと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項25】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPPが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPPが、少なくとも1つのPEと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項26】
前記押出添加剤が、有機細孔形成微粒子、無機細孔形成微粒子、および有機無機細孔形成微粒子から選択される細孔形成微粒子である、請求項24または25に記載の多孔質膜。
【請求項27】
前記細孔形成微粒子が無機細孔形成微粒子である、請求項26に記載の多孔質膜。
【請求項28】
前記無機細孔形成微粒子が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、タルク、およびそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の多孔質膜。
【請求項29】
前記細孔形成微粒子が有機細孔形成微粒子である、請求項26に記載の多孔質膜。
【請求項30】
前記細孔形成微粒子が有機無機細孔形成微粒子である、請求項26に記載の多孔質膜。
【請求項31】
前記有機無機細孔形成微粒子がポリマーコーティングされた粒子であり、前記粒子が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、タルク、およびそれらの組み合わせを含む、請求項30に記載の多孔質膜。
【請求項32】
前記細孔形成微粒子が、10ナノメートル~1ミクロンの平均粒径を有する、請求項26に記載の多孔質膜。
【請求項33】
少なくとも第一のポリマー組成物および異なる第二のポリマー組成物を共押出することを含む微多孔質膜を形成するための方法であって、
前記第二のポリマー組成物が、少なくとも2層の非多孔質前駆体を形成するために押出添加剤も含む、
前記微多孔質膜を形成するための方法。
【請求項34】
前記押出添加剤が、核形成剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記押出添加剤が、細孔形成微粒子である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記非多孔質前駆体を延伸して細孔を形成することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記非多孔質前駆体を延伸して、前記細孔形成微粒子を含まない前記2層の非多孔質前駆体の一方に細孔を形成することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
共押出温度が、前記押出添加剤を含まない前記第一のポリマー組成物にとって好適な温度である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
主にポリプロピレンを含む1つの層と、
主に高密度(HD)、高分子量(HMW)、または超高分子量(UHMW)のポリエチレンおよび押出添加剤を含む隣接層とを含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層とが共押出される、前記押出多層微多孔質膜。
【請求項40】
前記押出添加剤が核形成剤である、請求項39に記載の押出多層微多孔質膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して異なる組成を有する少なくとも2つの隣接する層を含む多層多孔質膜に関する。より具体的には、本出願は、異なる組成を有する2つの隣接する層が共押出層またはそれ以外の同時加工層である多層膜に関する。本明細書に記載の多層多孔質膜は、微多孔質、ナノ多孔質、またはマクロ多孔質であってよい。本明細書に記載の多層多孔質膜は、電池用セパレータ、織物、またはフィルタとして有用であり得る。
【0002】
また、本出願は、概して異なる組成を有する少なくとも2つの隣接する層を含む多層膜を形成するための改善された方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
2つ以上の異なる樹脂組成物の共押出は、いくつかの既知の課題を示す。例えば、結晶化温度(Tc)が10℃以上変化する2以上の樹脂組成物を共押出は、いくつかの既知の課題を示す。これらの既知の課題は、単一の加工温度が必ず選択され、しばしばその選択された温度がより大量の樹脂組成物を加工するのに好適であるという事実から生じると考えられている。しかし、この温度は、より少ない量の樹脂組成物の加工には理想的ではない。
【0004】
2以上の樹脂組成物を共押出した製品の一例はPP/PE/PP構造の共押出シャットダウンセパレータであり、PPが約165℃のTcを有するポリプロピレンを主成分とする層であることを意味し、PEが120~135℃を中心とするTcを有するポリエチレンを主成分とする層を意味する。一般的に、PP/PE/PP構造はPEよりも多くのPPを含む。結果として、この製品は、通常、いくつかのフィルムの欠陥を生じさせることがあるポリプロピレンに適した温度で共押出される。これらの理想的ではない加工条件によって生じると考えられている1つのこのような欠陥は、より低い透過度であること、または低いガーレーに到達しにくいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記の2以上の異なる樹脂組成物の共押出の課題を軽減するための方法が望まれ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある態様では、押出多層微多孔質膜が記載される。押出多層微多孔質膜は、(1)ポリマーAを主に含む1つの層と、および(2)ポリマーAよりも高いまたは低いTcを有するポリマーBを主に含み、かつ押出添加剤も含む隣接層とを含み得る。いくつかの実施形態では、押出多層微多孔質膜は、主にポリマーAを含む層と、主にポリマーBおよび押出添加剤を含む隣接層と、および主にポリマーBを含む隣接層に隣接する層を含んでよい。ポリマーBを主に含む層と隣接する層は、主にポリマーAを含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、押出微多孔質膜は、A/B、A/B/A、B/A/B、A/B/B/A、B/A/A/B、A/B/A/B、A/B/A/B/A、またはそれらの変形である構造を有してよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、ポリマーBは、ポリマーAのTcよりも少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、または少なくとも40℃低いTcを有する。例えば、このような実施形態では、ポリマーAは、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、またはポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。ポリマーBは、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含むか、それらからなるか、もしくは本質的にそれらからなっていてよく、あるいはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである。
【0008】
いくつかの異なる実施形態では、ポリマーBは、ポリマーAのTcよりも少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、または少なくとも40℃高いTcを有する。例えば、このような実施形態では、ポリマーBは、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、またはポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。ポリマーAは、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含むか、それらからなるか、もしくは本質的にそれらからなっていてよく、あるいはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである。
【0009】
例えば、いくつかの実施形態では、押出された微多孔質膜は、PP/PE、PP/PE/PP、PE/PP/PPP、PP/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、またはPE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PEから選択される層構造を含んでよい。
【0010】
上記で使用されるPPは、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを主に含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、上記で使用されるPEは、ポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを主に含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである。いくつかの実施形態では、PEは、高密度(HD)PE、超高分子量(UHMW)PE、高分子量(HMW)PE、またはそれらのブレンドであり、いくつかの実施形態では、超高分子量(UHMW)PEまたは高分子量(HMW)PEは、より低い分子量のPEとブレンドされてよい。
【0011】
押出添加剤は、いくつかの実施形態では、ポリマーBのTcを上昇または下降させる核形成剤、およびポリマーBを含む層にポリマーBを結晶化させることなく細孔を形成させるか、またはポリマーBのTcと比べて10℃よりも高いもしくは低い加工温度を用いる場合にポリマーBを含む層に細孔を形成させる細孔形成微粒子との少なくとも1つであってよい。
【0012】
いくつかの好ましい実施形態では、ポリマーBに含まれる押出添加剤は、ポリマーBのTcを約5℃~約30℃、約10℃~約25℃、約10℃~約20℃、約10~15℃、または約5~約10℃上昇させる核形成剤であってよい。
【0013】
いくつかの他の好ましい実施形態では、押出添加剤は、有機細孔形成微粒子、無機細孔形成微粒子、またはポリマーBを含む層にポリマーBを結晶化させることなく細孔を形成させるか、もしくはポリマーBのTcと比べて10℃よりも高いもしくは低い加工温度を用いる場合にポリマーBを含む層に細孔を形成させる有機-無機複合細孔形成微粒子であってよい。ポリマーBおよび粒子を含む層は、粒子延伸プロセスを用いて多孔質にさせ得る。例えば、例示的な粒子延伸プロセスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、A.Qaiss,et al.,Porosity Formation by Biaxially Stretching in Polyolefin Films Filled with Calcium Carbonate Particles,Applied Polymer Science、Vol.16、issue6、Mar.2012に開示されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、押出多層微多孔質膜は、キャストフィルム押出プロセスまたはインフレーションフィルム押出プロセスの一部として押出される。好ましい実施形態では、膜は共押出される。共押出多層製品は、2つ以上の層をともに共押出するのではなく、積層することで形成された多層製品とは異なる。例えば、共押出製品の層間接着力は、積層製品よりもはるかに高くなる。
【0015】
押出多層微多孔質膜フィルムは、好ましくは乾式プロセス膜である。
【0016】
押出多層微多孔膜は、スリット状の細孔、円形の細孔、実質的に円形の細孔、台形の細孔、および不規則な形状の細孔の少なくとも1つを有してよい。
【0017】
別の態様では、押出微多孔質膜を形成するための方法、特に本明細書に記載されているような方法が開示される。この方法は、主にポリマーAを含む第一のポリマー組成物と、ポリマーAよりも低いTcを有するポリマーBを主に含む第二のポリマー組成物とを共押出する工程を含んでよく、また、この第二のポリマー組成物は押出添加剤も含む。ポリマーA、ポリマーB、および押出添加剤は、本明細書に記載の通りである。
【0018】
この方法は、キャストフィルム押出法またはインフレーションフィルム押出法であってよい。この方法は、好ましくは乾式プロセス法であるが、湿式(溶媒、油、またはその両方を利用する)または半湿式(少量の溶媒、油、またはその両方を利用する)法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、インフレーションフィルム押出プロセスについての例示的なインフレーションフィルム押出ラインの図である。
【
図2】
図2は、キャストフィルム押出プロセスについての例示的なキャストフィルム押出ラインの図である。
【
図3】本明細書に記載の共押出フィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、電池用セパレータ、織物、フィルタ、もしくはそれに類するものとして、またはその中で使用するための改良された多孔質膜が開示される。また本明細書では、それを形成する方法も開示される。
【0021】
膜
改良された多孔質膜は、さほど限定されないが、好ましくは、共押出された少なくとも2つの隣接する層を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。少なくとも2つの隣接する共押出層の厚さは、さほど限定されず、互いにそれぞれ独立して0.1~100ミクロン変化することができる。いくつかの好ましい実施形態では、厚さは、0.1~50ミクロン、0.1~40ミクロン、0.1~30ミクロン、0.1~25ミクロン、0.1~20ミクロン、0.1~15ミクロン、0.1~10ミクロン、または0.1~5ミクロン変化してよい。多孔質膜の厚さは、約0.5ミクロン~約100ミクロン、約1~50ミクロン、約1~約40ミクロン、約1~約30ミクロン、約1~約25ミクロン、約1~約20ミクロン、約1~約15ミクロン、約1~約10ミクロン、または約1~約5ミクロンであってよい。
【0022】
本明細書に開示される発明によって形成され得る例示的な多孔質膜は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開WO2018/089748号、米国特許10,003,058号、および米国特許公開公報2018/0134024号明細書に開示されている。多孔質膜は、微多孔質、ナノ多孔質、またはマクロ多孔質であってよい。細孔の少なくとも1つの形状は、スリット形状、円形、丸みを帯びた形状、非対称形状、または台形であってよい。いくつかの好ましい実施形態では、多孔質膜は、乾式プロセス、例えば、Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスなどによって形成された多孔質膜であってよい。乾式プロセスとは、溶剤または油を使用しないプロセスである。典型的な乾式プロセスは、押出工程、アニール工程、および延伸工程を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になってよい。典型的な乾式プロセスでは、延伸工程を用いて細孔を形成するが、いくつかの実施形態では、細孔の形成は粒子を用いて促進されてよい。粒子を用いる場合、乾式粒子延伸プロセスと呼ばれることがある。典型的な乾式延伸プロセスまたは乾式粒子延伸プロセスにおける延伸工程は、機械方向(MD)、横方向(TD)への延伸、またはMDとTDの両方での延伸を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。また、延伸工程は、MDまたはTDに対して斜めに行うこともできる。いくつかの他の実施形態では、多孔質膜は、油または溶媒の使用を含む湿式または半湿式プロセスによって形成されたものであってもよい。
【0023】
少なくとも2つの隣接共押出層の一方は、第一のポリマーAを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなってよく、2つの隣接共押出層の他方は、ポリマーAとは異なるポリマーBと押出添加剤とを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。異なるとは、ポリマーBが異なる融点、結晶化温度(Tc)、粘度、メルトフローインデックス(MFI)などを有することを意味し得る。押出添加剤は、2つの隣接共押出層の共押出をより有利にし得る任意の組成物である。例えば、ポリマーAとポリマーBの結晶化温度が異なる場合、押出添加剤はその差を小さくするのに役立つ。例えば、押出添加剤をより低いTcを有するポリマー成分に添加して、より低いTcを有するポリマー成分の結晶化温度を上昇させることができる。これは、2つのポリマーのTcの差を最小化して2つのポリマーを同時に結晶化させるであろう。したがって、より好ましい適応であろう。いくつかの他の実施形態では、押出添加剤は、共押出層の1つに添加された場合、乾式粒子延伸プロセスを用いてその層に細孔を形成させ得る細孔形成微粒子であってよい。その層の結晶化がその中に細孔を形成するために必要とならず、かつその層が微粒子を含有しない層に有利な温度で共押出され得る一方で、微粒子を含む層に細孔を形成させることもできる。
【0024】
本明細書に記載されている1つのおそらく好ましい実施形態では、ポリマーBは、ポリマーAの結晶化温度(Tc)よりも少なくとも5℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、または少なくとも50℃高いまたは低い結晶化温度(Tc)を有するホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、または2つ以上の異なるポリマーのポリマーブレンドであってよい。また、ポリマーAも、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、または2つ以上の異なるホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのポリマーブレンドである。このような実施形態では、押出添加剤は、ポリマーAとポリマーBとの間の結晶化温度の差が小さくなるように、ポリマーBの結晶化温度を上昇または下降させる化合物であってよい。例えば、ポリマーAとポリマーBとの間の結晶化温度の差は、ポリマーBに添加剤を添加しなければ30℃であるが、押出添加剤を添加すればその差は10℃未満になり得る。
【0025】
1つのおそらく好ましい実施形態では、ポリマーBと押出添加剤とを含む層は、膜の外層または露出層ではなく、内層である。例えば
図3において、中間膜は、ポリマーBと押出添加剤とを含む層を、外層または露出層ではなく、内層として示す。
図3の他の2つの膜において、ポリマーBを含む層は、外層または露出層である。特定の理論に拘束されることを望まないが、外層または露出層への添加は、所望の膜の用途、例えば、電池用セパレータとして、コーティングされた電池用セパレータのベースとして、織物として、マスク、ガウン、ブランケットなどの医療用織物材料として、フィルタとして、またはそれに類する用途に応じた膜の表面特性に対して悪影響を与えることがあるため、内部層への押出添加剤の添加が好ましい場合があると考えられる。例えば、外層における押出添加剤としての核形成剤の添加は摩擦係数を増加させる可能性があり、特に、膜が電池用セパレータとして使用される場合理想的ではない。しかし、膜がハウスラップまたは屋根用下葺材として使用される場合、摩擦係数の増加は望ましいことであり得る。それは、上記ラップが家を「把持する(grip)」のを助けるか、または屋根用下葺材に「トレッド(tread)」を与えて滑りを最小化することができる。
【0026】
例えば、例示的な1つの実施形態では、ポリマーAは、約160~165℃のTcを有するポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーであってよい。また、ポリマーAは、少なくとも1つの追加のポリマーを有するポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーのブレンドであってもよい。そのブレンドは、約160~165℃のTcを有してよい。この実施形態におけるポリマーBは、約120~150℃または約120℃~135℃のTcを有するポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーであってよい。また、ポリマーBは、少なくとも1つの追加のポリマーを有するポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーのブレンドであってもよい。そのブレンドは、約120~150℃または約120℃~135℃のTcを有してよい。この実施形態では、押出添加剤は、核形成剤、またはポリエチレンのTcを5~45℃、5~40℃。5~35℃、5~30℃、5~25℃、5~20℃、5~15℃、または5~10℃上昇させることができる別の化合物であってよい。ポリエチレンに適したいくつかの核形成剤は、EntecによるCRYSTALADD(登録商標)、MillikenによるHyperform(登録商標)、またはAmfineChemical(MitsubishiCorpの一部)によるNA-11として販売されているものを含んでよい。また、この実施形態では、押出添加剤は、無機細孔形成微粒子、有機細孔形成微粒子、または無機有機複合細孔形成微粒子であってもよい。微粒子の化学組成は、乾式粒子延伸プロセスにおける細孔形成を助けるために使用可能であれば、さほど限定されない。いくつかの例示的な無機微粒子は、アルミナ、ベーマイト、タルク、硫酸バリウム、チタニア、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物の少なくとも1つを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。有機無機微粒子の例は、ポリマーコーティングされた無機粒子、例えば、ポリエチレンコーティングされた無機粒子などであり得る。粒子の大きさはさほど限定されず、ナノサイズまたはマイクロサイズであってよい。微粒子の大きさ分布は、狭くても広くてもよい。特定の理論に拘束されることを望まないが、狭いまたは制御された細孔径分布がフィルムに均一な細孔径を結果として生じさせ、かつ広い粒子径分布がよりランダムな最終的な細孔径を結果として生じさせると考えられる。より制御された細孔径は、安全性が最大の関心事である電池用セパレータにとって、より好ましい場合がある。より小さくより制御された細孔径は、リチウムデンドライトの形成および/または成長を制御する能力を向上させ、より安全な電池用セパレータを結果として生じ得る。しかし、他の用途では、より好ましくは、よりランダムな細孔径分布であり得る。
【0027】
本明細書に記載の多孔質膜は、電池用セパレータ、織物、フィルタ、またはそれに類するものとして単独で使用することができ、または少なくとも1つの追加のフィルムまたは層と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、追加の層は、多孔質膜の片面または両面に備えられたコーティングであり得る。電池用途の場合、コーティングは、セラミックコーティング、耐熱コーティング、接着性もしくは粘着性コーティング、シャットダウンコーティング、表面改質コーティング、またはそれに類するものであってよい。フィルタ用途の場合、コーティングは、膜の親水性を変化させるか、防汚性を与えるか、またはそれに類するものであってよい。織物用途の場合、コーティングは、膜の耐汚染性、防水性、強度、またはそれに類するものに影響を与えるものであってよい。いくつかの実施形態では、追加層は、織布層、不織布層、別の多孔質膜、布、またはそれに類するものであってよい。
【0028】
方法
本明細書に記載の方法はさほど限定されないが、2つ以上の異なるポリマー組成物を共押出する工程を少なくとも含むか、それからなるか、または本質的にそれからならなければならない。ポリマー組成物は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはポリマーブレンドを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなってよい。例えば、2つの異なるホモポリマーを共押出することができるか、ホモポリマーとポリマーブレンドを共押出することができるか、2つの異なるポリマーブレンドを共押出することができるか、コポリマーとターポリマーを共押出することができるか、2つの異なるコポリマーを共押出することができるか、またはそれに類することができる。2つ以上の異なる共押出ポリマー組成物の少なくとも1つは、押出添加剤を含んでよい。好ましい実施形態では、2つ以上の異なるポリマー組成物を共押出して、本明細書で上述した組成を有する少なくとも2つの隣接層を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、この方法は、アニール工程または延伸工程の少なくとも1つをさらに含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなるであろう。延伸工程は、一方向延伸、二方向延伸、または多方向延伸を含んでよい。例えば、延伸は、機械方向(MD)延伸工程および横方向(TD)延伸工程、またはMD延伸工程のみ、またはそれに類するものを含んでよい。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、Celgard(登録商標)乾式延伸プロセスなどの乾式プロセスである。乾式プロセスは、溶媒または油を使用しないが、細孔形成助剤としての微粒子、すなわち細孔形成微粒子を使用しても使用しなくてもよいプロセスである。いくつかの実施形態では、プロセスは、さまざまな量の溶媒または油を使用する湿式または半湿式プロセスであってよい。
【0031】
添付の特許請求の範囲の組成物および方法は、本明細書に記載の具体的な組成物および方法による範囲に限定されず、特許請求の範囲の数少ない態様の例示として意図しており、また機能的に同等である任意の組成物および方法が、特許請求の範囲に含まれることを意図している。本明細書に示されているものおよび記載されているものに加えて、組成物および方法の様々な変形例が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。さらに、本明細書に開示されているある代表的な組成物および方法の工程のみが具体的に説明されているが、組成物および方法の工程の他の組み合わせも、たとえ具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。このように、工程、要素、構成要素(components)、または構成成分(constituents)の組み合わせが本明細書または以下に明示的に言及されるが、工程、要素、構成要素、および構成成分の他の組み合わせも明示的に記載されていないが含まれる。本明細書で使用される用語「含む(comprising)」およびその変形は、用語「含む(including)」およびその変形と同義に使用され、オープンで非限定的な用語である。用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、さまざまな実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」および「~からなる(consisting of)」が、「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用されて、本発明のさらに具体的な実施形態を提供することができ、また、開示もされる。実施例以外に、または他に記載されている場合を除き、明細書および特許請求の範囲で使用されている成分(ingradients)の量、反応条件などを表すすべての数字は、最低限理解され、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限するものとしてではなく、有効桁数および通常の丸め手法(rounding approaches)に照らして解釈されるべきである。
【0032】
本発明は、その精神および本質的な属性から逸脱することなく他の形態で具現化することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記の明細書ではなく添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。本開示は、開示された方法およびシステムを実施するために使用可能な構成要素である。これらのおよび他の構成要素は本明細書に開示されており、また、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されるとき、これらのそれぞれの様々な個別のおよび集合的な組み合わせおよび並べ替えの特定の参照が明示的に開示されなくてもよいが、すべての方法およびシステムについて、それぞれが本明細書において具体的に考慮されて記載されることが理解される。これは、開示されている方法における工程を含むがこれに限定されない、本出願のすべての態様に当てはまる。したがって、実施可能な追加の工程がある場合、これらの追加の工程のそれぞれが、開示されている方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせによって実施できることが理解される。
【0033】
構造および方法に関する先の記述は、説明のためだけに示されている。実施例は、最良の態様を含む例示的な実施形態を開示するために、また任意の装置またはシステムを作成および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実施することを含む本発明を、いずれの当業者も実施可能にするために用いられる。これらの実施例は、網羅的であることまたは開示された正確な工程および/または形態に本発明を限定することを意図しておらず、上記の教示に照らして多くの修正および変形が可能である。本明細書に記載の特徴は、任意の組み合わせで結合されてよい。本明細書で説明する方法の工程は、物理的に可能な任意の順序で実施することができる。本発明の特許可能な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、それらの当業者が想到する他の実施例を含んでよい。このような他の実施例は、請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の文言と実質的な差がない同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあることを意図している。
【0034】
添付の特許請求の範囲の組成物および方法は、本明細書に記載の具体的な組成物および方法による範囲に限定されず、特許請求の範囲の数少ない態様の例示として意図されている。機能的に同等である任意の組成物および方法が、特許請求の範囲に含まれることを意図している。本明細書に示されているものおよび記載されているものに加えて、組成物および方法の様々な変形例が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。さらに、本明細書に開示されているある代表的な組成物および方法の工程のみが具体的に説明されているが、組成物および方法の工程の他の組み合わせも、たとえ具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。このように、工程、要素、構成要素、または構成成分の組み合わせが本明細書または以下に明示的に言及されるが、工程、要素、構成要素、および構成成分の他の組み合わせも明示的に記載されていないが含まれる。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。範囲は、本明細書において、「約(about)」もしくは「およそ(approximately)」1つの特定の値から、および/または「約」もしくは「およそ」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用することにより値が近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他方の端点との関係でも、他方の端点と無関係でも、その両方において重要であることが理解されるであろう。「任意選択的な(optional)」または「任意選択的に(optionally)」は、続いて記載される事象または状況が発生しても発生しなくてもよく、ならびにその記載がその事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含むことを意味する。
【0036】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などの単語の変形は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味し、例えば、他の添加剤、構成成分、整数、または工程を除外することを意図するものではない。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」および「~からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用され、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、また開示もされる。「例示的に(Exemplary)」または「例えば(for example)」は、「~の例(an example of)」を意味し、好適なまたは理想的な実施形態の指示を伝えることを意図するものではない。同様に、「などの(such as)」は、限定的な意味では使用されず、説明または例示の目的で使用される。
【0037】
記載されている場合を除き、明細書および特許請求の範囲で用いられている形状、寸法などを表すすべての数字は、最低限理解され、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、有効桁数および通常の丸め方法に照らして解釈されるべきである。
【0038】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、開示された発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される刊行物およびそれらが引用された資料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0039】
さらに、本明細書に例示的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素もない場合、好適に実施することができる。
【0040】
実施例1
実施例1では、PP含有層およびPE含有層は、PE含有層にとって好適な約210~220℃の代わりに、PP含有層にとって好適な温度である約240~250℃で共押出しされる。フィルムが押出された後の空気急冷は、PPを150~160℃で強制的に結晶化させる。PE含有層は、その層の結晶化温度を通常の120~130℃よりも10℃以上上昇させる核形成剤を含有する。
【0041】
実施例2
実施例2は、PEがHDPE、UHMWPE、HMWPE、またはUHMWPEおよび/もしくはHMWPEを含有するブレンドであることを除いて、実施例1と同様である。この実施形態では、PP含有層およびPE含有層のTcの間の初期差、すなわち核形成剤を添加する前の差は、実施例1よりも小さい。
【0042】
実施例3
実施例3は、PP含有層、PE含有層、およびPP含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例1と同様である。
【0043】
実施例4
実施例4は、PE含有層、PP含有層、およびPE含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例1と同様である。
【0044】
実施例5
実施例5は、PP含有層、PE含有層、およびPP含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例2と同様である。
【0045】
実施例6
実施例6は、PE含有層、PP含有層、およびPE含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例2と同様である。
【0046】
実施例1~6では、延伸を用いて各層の構造に細孔を形成する、従来の乾式延伸プロセスが使用される。
【0047】
実施例7
実施例7では、PP含有層およびPE含有層は、PP含有層にとって好適な温度で共押出しされる。PE含有層は、硫酸バリウムまたは炭酸カルシウムなどの無機微粒子を含む。層が共押出された後、共押出された層は延伸される。PE含有層では、層が延伸されるときに、粒子が細孔形成の開始を助ける。PP含有層では、層が延伸されるとき、結晶界面に沿って細孔が形成される。その微粒子は、ポリマーコーティングを有してよい。
【0048】
実施例8
実施例8は、PP含有層、PE含有層、およびPP含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例7と同様である。
【0049】
実施例9
実施例9は、PE含有層、PP含有層、およびPE含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例7と同様である。
【0050】
実施例10
実施例10は、粒子がPP含有層に添加され、層がPE含有層に好適な温度で共押出されることを除いて、実施例7と同様である。
【0051】
実施例11
実施例11は、PP含有層、PE含有層、およびPP含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例10と同様である。
【0052】
実施例12
実施例12は、PE含有層、PP含有層、およびPE含有層がこの順序で共押出されることを除いて、実施例11と同様である。
【0053】
実施例7~12では、細孔形成微粒子を含有する層の細孔は、乾式粒子延伸プロセスによって形成される。細孔形成微粒子を含有しない層の細孔は、従来の乾式延伸機構によって形成される。すべての層はともに押出されて延伸されるが、細孔が形成される機構は層によって異なる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーAを主に含む1つの層と、
ポリマーAとは異なるポリマーBを主に含み、かつ押出添加剤も含む隣接層と、
を含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層は共押出しされる、前記押出多層微多孔質膜。
【請求項2】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと10℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項3】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと比べて10℃以上低いTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項4】
ポリマーAが、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項5】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項6】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項7に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項7】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを5℃~30℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項
1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項8】
ポリマーAを主に含む前記1つの層と、
主にポリマーAとは異なるポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層と、ならびに
主にポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層に隣接し、かつポリマーAを主に含む別の層と、
を有する、請求項1または
4~
6のいずれか1項に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項9】
前記膜が、キャストフィルム押出プロセス
またはインフレーションフィルム押出プロセスの一部として押出される、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項10】
前記膜が、乾式プロセス膜である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項11】
前記膜の細孔が、スリット形状、円形、実質的に円形、台形
、不規則
、および非対称な形状の少なくとも1つである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項12】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPEが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPEが、少なくとも1つのPPと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項13】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPPが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPPが、少なくとも1つのPEと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項14】
前記押出添加剤が、有機細孔形成微粒子、無機細孔形成微粒子、および有機無機細孔形成微粒子から選択さ
れ、10ナノメートル~1ミクロンの平均粒子径を有する細孔形成微粒子である、請求項
12または
13に記載の多孔質膜。
【請求項15】
前記細孔形成微粒子が
有機無機細孔形成微粒子であ
り、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、タルク、およびそれらの組み合わせを含み、ポリマーコーティングされた粒子である、請求項
14に記載の多孔質膜。
【請求項16】
少なくとも第一のポリマー組成物および異なる第二のポリマー組成物を共押出することを含む微多孔質膜を形成するための方法であって、
前記第二のポリマー組成物が、少なくとも2層の非多孔質前駆体を形成するために押出添加剤も含
み、
前記共押出の温度が、前記押出添加剤を含まない前記第一のポリマー組成物の押出に適した温度である、
前記微多孔質膜を形成するための方法。
【請求項17】
前記押出添加剤が、核形成剤
または細孔形成微粒子である、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記非多孔質前駆体を延伸して細孔を形成することをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記押出添加剤が前記細孔形成微粒子を含み、前記非多孔質前駆体を延伸して、前記細孔形成微粒子を含まない前記2層の非多孔質前駆体の
少なくとも一方に細孔を形成することをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項20】
主にポリプロピレンを含む1つの層と、
主に高密度(HD)、高分子量(HMW)、または超高分子量(UHMW)のポリエチレンおよび
核形成剤である押出添加剤を含む隣接層を含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層とが共押出される、前記押出多層微多孔質膜。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーAを主に含む1つの層と、
ポリマーAとは異なるポリマーBを主に含み、かつ押出添加剤も含む隣接層と、
を含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層は共押出しされる、前記押出多層微多孔質膜。
【請求項2】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと10℃以上異なるTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項3】
ポリマーBが、ポリマーAのTcと比べて10℃以上低いTcを有する、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項4】
ポリマーAが、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項5】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項6】
ポリマーBが、ポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであるか、またはポリエチレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドである、請求項
4に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項7】
前記押出添加剤が、ポリマーAのTcを5℃~30℃上昇または低下させる核形成剤である、請求項
1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項8】
ポリマーAを主に含む前記1つの層と、
主にポリマーAとは異なるポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層と、ならびに
主にポリマーBおよび押出添加剤を含む前記隣接層に隣接し、かつポリマーAを主に含む別の層と、
を有する、請求項1または
4~
6のいずれか1項に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項9】
前記膜が、キャストフィルム押出プロセス
またはインフレーションフィルム押出プロセスの一部として押出される、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項10】
前記膜が、乾式プロセス膜である、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項11】
前記膜の細孔が、スリット形状、円形、実質的に円形、台形
、不規則
、および非対称な形状の少なくとも1つである、請求項1に記載の押出多層微多孔質膜。
【請求項12】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPEが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPEが、少なくとも1つのPPと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項13】
PP/PE、PP/PE/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP、またはPP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP;
PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP;
PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、またはPP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PPから選択される層構造を含む押出微多孔質膜であって、
前記層構造中、PPが、主にポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリプロピレンのホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
PEが、主にポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含む層であるか、またはポリエチレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーを含有するポリマーブレンドであり、
それぞれの構造で少なくとも1つのPPが押出添加剤を含み、かつ、
押出添加剤を含む前記少なくとも1つのPPが、少なくとも1つのPEと共押出される、
請求項1に記載の押出微多孔質膜。
【請求項14】
前記押出添加剤が、有機細孔形成微粒子、無機細孔形成微粒子、および有機無機細孔形成微粒子から選択さ
れ、10ナノメートル~1ミクロンの平均粒子径を有する細孔形成微
粒子である、請求項
12または
13に記載の多孔質膜。
【請求項15】
前記細孔形成微粒子が
有機無機細孔形成微粒子であ
り、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、タルク、およびそれらの組み合わせを含み、ポリマーコーティングされた粒子である、請求項
14に記載の多孔質膜。
【請求項16】
少なくとも第一のポリマー組成物および異なる第二のポリマー組成物を共押出することを含む微多孔質膜を形成するための方法であって、
前記第二のポリマー組成物が、少なくとも2層の非多孔質前駆体を形成するために押出添加剤も含
み、
前記共押出の温度が、前記押出添加剤を含まない前記第一のポリマー組成物の押出に適した温度である、
前記微多孔質膜を形成するための方法。
【請求項17】
前記押出添加剤が、核形成剤
または細孔形成微粒子である、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記非多孔質前駆体を延伸して細孔を形成することをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記押出添加剤が前記細孔形成微粒子を含み、前記非多孔質前駆体を延伸して、前記細孔形成微粒子を含まない前記2層の非多孔質前駆体の
少なくとも一方に細孔を形成することをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項20】
主にポリプロピレンを含む1つの層と、
主に高密度(HD)、高分子量(HMW)、または超高分子量(UHMW)のポリエチレンおよび
核形成剤である押出添加剤を含む隣接層を含む押出多層微多孔質膜であって、
前記1つの層と前記隣接層とが共押出される、前記押出多層微多孔質膜。
【国際調査報告】