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特表2023-533321高速回転圧力交換器を有する冷凍システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】高速回転圧力交換器を有する冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20230726BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230726BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
F25B9/00 A
F25B1/00 396D
F25B43/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501176
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021040199
(87)【国際公開番号】W WO2022010749
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】16/926,328
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516099646
【氏名又は名称】エナジー リカバリー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アザム ミヒール タッテ
(57)【要約】
冷凍システムには、低圧分岐および高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器が含まれる。回転圧力交換器は、高圧分岐から高圧の冷媒を受取り、低圧分岐から低圧の冷媒を受取り、かつ高圧の冷媒と低圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、回転圧力交換器からの第1の退出流は、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒を含み、回転圧力交換器からの第2の退出流は、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の形をした低圧の冷媒を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で前記冷媒を循環させるための第2の低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された蒸発器であって、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、蒸発器と;
前記冷媒の圧力を低圧から高圧へと上昇させるように構成された圧縮機またはポンプと;
前記低圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記低圧分岐から低圧の前記冷媒を受け入れ、かつ高圧の前記冷媒と低圧の前記冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の前記冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
【請求項2】
前記冷媒が二酸化炭素を含む、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記回転圧力交換器が、前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記受け入れた冷媒を、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒へと圧縮することを可能にし、かつ前記超臨界状態または前記亜臨界状態にある高圧の前記受け入れた冷媒を、前記液体と蒸気の2相混合物または前記液体状態にある低圧の冷媒へと膨張させることを可能にするように構成されている、請求項1または2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記蒸発器が前記回転圧力交換器から下流側に配置されており、前記蒸発器が、前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒を受け入れ、前記液体と蒸気の2相混合物を飽和蒸気または過熱蒸気に変換することを可能にするように構成されている。請求項3に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記低圧および高圧分岐に流体結合された前記圧縮機を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記蒸発器が、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の第1の部分を前記回転圧力交換器に提供し、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の第2の部分を前記圧縮機に提供するように構成されており、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の前記第1および第2の部分が、過熱蒸気を含む、請求項5に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記回転圧力交換器が、前記超臨界状態にある高圧の前記冷媒を、等エントロピ膨張または準等エントロピ膨張を介して、液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒へと膨張させるように構成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項8】
前記回転圧力交換器が、前記冷凍システムの冷却能力を増大させ前記圧縮機の仕事要件を削減するために、ジュールトムソン膨張弁の代りに使用される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項9】
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器であって、前記第1の蒸発器が第1の温度で動作するように構成されており、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、蒸発器と;
第1の中間圧で中を通って前記冷媒を循環させるための第1の中間圧分岐と;
前記第1の中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器であって、第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されている第2の蒸発器と;
第2の中間圧で中を通って前記冷媒を循環させるための第2の中間圧分岐であって、前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒の第1の中間圧が、前記低圧分岐および前記第2の中間圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒の前記第1の中間圧が、前記第2の蒸発器における飽和圧力に等しく、前記第2の中間圧分岐内の冷媒の前記第2の中間圧が、前記高圧分岐および前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にある、第2の中間圧分岐と;
前記第2の中間圧で動作し、前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクと;
前記第2の中間圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記第2の中間圧分岐から、前記蒸気状態、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記第2の中間圧の前記冷媒を受け入れ、かつ前記高圧の冷媒と前記第2の中間圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、前記超臨界状態または前記亜臨界状態にある前記高圧の冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記第2の中間圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
【請求項10】
前記フラッシュタンクおよび第1の蒸発器の下流側に位置設定された第1の圧縮機を含み、前記第1の圧縮機が第1の温度で動作し、前記第1の圧縮機が、前記第1の蒸発器からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を受け入れ、かつ前記第1の中間圧まで前記冷媒を加圧するように構成されている、請求項9に記載の冷凍システム。
【請求項11】
前記第1の圧縮機および第2の蒸発器の下流側に位置設定された第2の圧縮機を含み、前記第2の圧縮機が第2の温度で動作し、前記第2の圧縮機が、前記第1の圧縮機および前記第2の蒸発器の両方からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である冷媒を受け入れ、かつ前記高圧まで前記冷媒を加圧するように構成されている、請求項10に記載の冷凍システム。
【請求項12】
分離済み液体冷媒が前記低圧に達した後、前記第1の蒸発器まで流れるように、前記フラッシュタンクからの分離済み液体冷媒の流量を調節するように構成されている第1の弁を含む、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項13】
前記分離済み液体冷媒が前記第1の中間圧に達した後、前記フラッシュタンクから前記第2の蒸発器までの前記分離済み液体冷媒の流量を調節するように構成されている第2の弁を含む、請求項12に記載の冷凍システム。
【請求項14】
前記回転圧力交換器の入口への前記第2の中間圧での前記フラッシュタンクからの分離済み蒸気冷媒の流量を調節するように構成された第3の弁を含む、請求項13に記載の冷凍システム。
【請求項15】
前記冷媒が二酸化炭素を含む、請求項9ないし14のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項16】
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器であって、第1の温度で動作するように構成されており、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、第1の蒸発器と;
中を通って中間圧で前記冷媒を循環させるための中間圧分岐と;
前記中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器であって、前記第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されており、前記中間圧分岐内の前記冷媒の中間圧が、前記高圧分岐と前記低圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、前記中間圧分岐内の前記冷媒の前記中間圧が第2の蒸発器における飽和圧力に等しい、第2の蒸発器と;
前記中間圧で動作しかつ前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクと;
前記中間圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記中間圧分岐から、前記蒸気状態、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記中間圧の前記冷媒を受け入れ、かつ高圧の前記冷媒と前記中間圧の前記冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の前記冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である中間圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
【請求項17】
前記回転圧力交換器を退出する前記超臨界状態または亜臨界状態にある前記冷媒を受け入れ、前記冷媒を前記高圧まで加圧するように構成されている低差圧の圧縮機を含む、請求項16に記載の冷凍システム。
【請求項18】
前記フラッシュタンクと前記第1の蒸発器の下流側に位置設定された圧縮機を含み、前記第1の圧縮機が前記第1の温度で動作し、前記圧縮機が、前記第1の蒸発器からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を受け入れ、前記回転圧力交換器のために前記冷媒を前記中間圧まで加圧するように構成されている、請求項17に記載の冷凍システム。
【請求項19】
前記回転圧力交換器の入口までの前記中間圧にある前記フラッシュタンクからの分離済み蒸気冷媒の流量を調節するように構成されている弁を含む、請求項18に記載の冷凍システム。
【請求項20】
前記冷媒が二酸化炭素を含む、請求項16ないし19のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本節は、以下で説明されかつ/または請求されている、本発明のさまざまな態様に関連し得る技術分野のさまざまな側面を読者に紹介するように意図されたものである。この論述は、本発明のさまざまな態様をより良く理解することを促すための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。したがって、これらの供述は、かかる観点から読まれるべきものであり、先行技術の承認ではないということを理解しなければならない。
【背景技術】
【0002】
政府環境機関による施行に伴い、世界の大部分が、現在、超臨界二酸化炭素冷凍のような地球温暖化ゼロの冷凍システムへの移行を余儀なくされている。超臨界二酸化炭素システムは、ヨーロッパや北米の大部分のような比較的低温の気候においてはうまく機能するが、これらのシステムの性能係数(効率の尺度)は、周囲環境の周囲温度が高くなるにつれて低下し、結果として実施される単位冷却あたりの電気コストが高くなることから、高温気候においては欠点に直面する。これは、超臨界二酸化炭素システムが、HFC/CFCベースのシステム(およそ1,379~2,068.4kPa(200~300psi))に比べて、動作するのに必要とする圧力がはるかに大きい(およそ10,342kPa(1500psi)以上)ことに起因する。冷媒を臨界圧力より高くするために、非常に高い差圧の圧縮機が使用される。圧縮機を横切る圧力比が大きいと、より多くの電気エネルギが消費される。この問題は、より高温の周囲環境への熱の放出を可能にするために冷却装置の入口における冷媒温度を充分に高い温度まで上昇させる必要があるため、より高温の気候においては大きくなる。これは、圧縮機を横切る圧力比をさらに高く上昇させることによって行なわれ、こうして、より大きい電気が圧縮機に必要とされ、次に、実施される単位冷却あたりの電気コストが上昇する。冷凍システム(例えば、超臨界二酸化炭素冷凍システム)の効率を増大させることは、冷凍システムの操業コストを削減すると同時にその利用可能性を増大させると同時に、地球温暖化の抑制を促進し得る。
【発明の概要】
【0003】
開示対象の主題と範囲が整合するいくつかの実施形態を、以下で要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するように意図されたものではなく、むしろ、いくつかの開示対象の実施形態の簡単な要約を提供することだけを意図したものにすぎない。実際、本開示は、以下に記載の実施形態と類似するかまたはそれらと異なっていてよいさまざまな形態を包含し得る。
【0004】
一実施形態においては、冷凍システムが提供されている。冷凍システムは、中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐を含む。冷凍システムは同様に、高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器(condenser)を含み、ここで高圧分岐は、このガス冷却器または凝縮器を介して高圧で冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の冷媒は超臨界状態または亜臨界状態にある。冷凍システムはさらに、中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐を含む。冷凍システムはさらにまた、低圧分岐に沿って配置された蒸発器を含み、ここで低圧分岐は、この蒸発器を介して周囲環境から低圧の冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の冷媒は、液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である。冷凍システムはさらにまた、冷媒の圧力を低圧から高圧へと上昇させるように構成された圧縮機またはポンプを含む。冷凍システムはさらに、低圧分岐および高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器を含み、ここで回転圧力交換器は、高圧分岐から高圧の冷媒を受け入れ、低圧分岐から低圧の冷媒を受け入れ、かつ高圧の冷媒と低圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、回転圧力交換器からの第1の退出流は、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒を含み、回転圧力交換器からの第2の退出流は、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の低圧の冷媒を含んでいる。
【0005】
一実施形態においては、冷凍システムが提供されている。冷凍システムは、中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐を含む。冷凍システムは、高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器を含み、ここで高圧分岐は、このガス冷却器または凝縮器を介して高圧で冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の冷媒は超臨界状態または亜臨界状態にある。冷凍システムは同様に、中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐を含む。冷凍システムはさらにまた、低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器を含み、ここで第1の蒸発器は、第1の温度で動作するように構成されており、低圧分岐は、この蒸発器を介して周囲環境から低圧の冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の冷媒は、液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である。冷凍システムはさらに、第1の中間圧で中を通って冷媒を循環させるための第1の中間圧分岐を含む。冷凍システムはさらにまた、第1の中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器を含み、ここでこの第2の蒸発器は、第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されている。冷凍システムはさらに、第2の中間圧で中を通って冷媒を循環させるための第2の中間圧分岐を含み、ここで第1の中間圧分岐内の冷媒の第1の中間圧は、低圧分岐および第2の中間圧分岐内の冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、第1の中間圧分岐内の冷媒の第1の中間圧は、第2の蒸発器における飽和圧力に等しく、第2の中間圧分岐内の冷媒の第2の中間圧は、高圧分岐および第1の中間圧分岐内の冷媒のそれぞれの圧力の間にある。冷凍システムはさらに、第2の中間圧で動作し、液体と蒸気の2相混合物の冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクと;第2の中間圧分岐および高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器と、を含み、回転圧力交換器は、高圧分岐から高圧の冷媒を受け入れ、第2の中間圧分岐から、蒸気状態、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の第2の中間圧の冷媒を受け入れ、かつ高圧の冷媒と第2の中間圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、回転圧力交換器からの第1の退出流が、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒を含み、回転圧力交換器からの第2の退出流が、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の第2の中間圧の冷媒を含んでいる。
【0006】
一実施形態においては、冷凍システムが提供されている。冷凍システムは、中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐を含む。冷凍システムは同様に、高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器を含み、ここで高圧分岐は、このガス冷却器または凝縮器を介して高圧で冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の冷媒は超臨界状態または亜臨界状態にある。冷凍システムはさらに、中を通して低圧で冷媒を循環させるための第2の低圧分岐を含む。冷凍システムはさらにまた、低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器を含み、ここでこの第1の蒸発器は、第1の温度で動作するように構成されており、ここで低圧分岐は、この蒸発器を介して周囲環境から低圧の冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の冷媒は、液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である。冷凍システムはさらにまた、中を通って中間圧で冷媒を循環させるための中間圧分岐を含む。冷凍システムはさらにまた、中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器を含み、ここでこの第2の蒸発器は、第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されている。中間圧分岐内の冷媒の中間圧は、高圧分岐と低圧分岐内の冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、中間圧分岐内の冷媒の中間圧は、第2の蒸発器における飽和圧力に等しい。冷凍システムはさらに、中間圧で動作しかつ液体と蒸気の2相混合物の冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクを含む。冷凍システムはさらに、中間圧分岐および高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器を含み、ここでこの回転圧力交換器は、高圧分岐から高圧の冷媒を受け入れ、中間圧分岐から、蒸気状態、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の中間圧の冷媒を受け入れ、かつ高圧の冷媒と中間圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、回転圧力交換器からの第1の退出流は、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒を含み、回転圧力交換器からの第2の退出流は、液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の中間圧の冷媒を含んでいる。
【0007】
本発明のさまざまな特徴、態様および利点は、図全体を通して同様の文字が同様の部品を表わしている添付図を参照しながら以下の詳細な説明を読んだときにより良く理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、二酸化炭素の相図である。
【0009】
図2図2は、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機(LPC)を有する冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0010】
図3図3は、ジュールトムソン膨張弁を利用する冷凍システム対図2の冷凍システムにおける熱力学的プロセスを示す温度-エントロピ線図である。
【0011】
図4図4は、ジュールトムソン膨張弁を利用する冷凍システム対図2の冷凍システムにおける熱力学的プロセスの圧力-エンタルピ線図である。
【0012】
図5図5は、回転圧力交換器または回転LPCの一実施形態の分解組立斜視図である。
【0013】
図6図6は、第1の動作位置にある回転圧力交換器または回転LPCの一実施形態の分解組立斜視図である。
【0014】
図7図7は、第2の動作位置にある回転圧力交換器または回転LPCの一実施形態の分解組立斜視図である。
【0015】
図8図8は、第3の動作位置にある回転圧力交換器または回転LPCの一実施形態の分解組立斜視図である。
【0016】
図9図9は、第4の動作位置にある回転圧力交換器または回転LPCの一実施形態の分解組立斜視図である。
【0017】
図10図10は、障壁システムを有する回転子の一実施形態の分解組立図である。
【0018】
図11図11は、障壁システムを有する回転子の一実施形態の断面図である。
【0019】
図12図12は、障壁システムを有する回転子の一実施形態の断面図である。
【0020】
図13図13は、障壁システムを有する回転子の一実施形態の断面図である。
【0021】
図14図14は、図11のライン14-14に沿った障壁の一実施形態の断面図である。
【0022】
図15図15は、図11のライン14-14に沿った障壁の一実施形態の断面図である。
【0023】
図16図16は、冷却システムを有する回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機の一実施形態の断面図である。
【0024】
図17図17は、加熱システムを有する回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機の一実施形態の断面図である。
【0025】
図18図18は、スーパーマーケットの冷凍システムアーキテクチャにおける冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0026】
図19図19は、代替的なスーパーマーケットの冷凍システムアーキテクチャにおける冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0027】
図20図20は、RLPC内での原動力流体および作動流体の動きを制御する制御システムの一実施形態の概略図である。
【0028】
図21図21は、RLPC内での原動力流体および作動流体の動きを制御する制御システムの一実施形態の概略図である。
【0029】
図22A図22Aは、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機(LPC)(例えばバルクフロー圧縮機の代りに低流量、高差圧(differential pressure)(DP)のリークポンプと、低DPで高流量の循環ポンプを有するもの)を有する冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0030】
図22B図22Bは、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機(LPC)(例えばバルクフロー圧縮機の代りにリーク圧縮機を有するもの)を有する冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0031】
図23図23は、図22の冷凍システム内の熱力学的プロセスの温度-エントロピ線図である。
【0032】
図24図24は、図22の冷凍システム内の熱力学的プロセスの圧力-エンタルピ線図である。
【0033】
図25図25は、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機(LPC)(例えばバルクフロー圧縮機および追加の低DPの循環圧縮機(例えばブロワ)の代りにリーク圧縮機を有するもの)を有する冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0034】
図26図26は、(例えば膨張弁を有する)スーパーマーケットの冷凍システムアーキテクチャにおける冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【0035】
図27図27は、(例えば膨張弁を有する)代替的なスーパーマーケットの冷凍システムアーキテクチャにおける冷凍システムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の1つ以上の具体的実施形態について以下で説明する。これらの説明される実施形態は、本発明の一例にすぎない。さらに、これらの例示的実施形態の簡潔な説明を提供しようとして、実際の実装の全ての特徴が本明細書中で説明されていない可能性がある。あらゆるエンジニアリングまたはデザインプロジェクトの場合と同様に、このような何らかの実際の実装の開発においては、実装毎に変動し得る、例えばシステム関連およびビジネス関連の制約との整合性などのデベロッパの具体的最終目的を達成するために、多くの実装特異的な決断を下さなければならないということを認識すべきである。その上、このような開発努力は複雑で時間がかかる可能性があると考えられるものの、本開示のメリットを受ける当業者にとっては設計、製作および製造の日常的な仕事であると思われる、ということを認識すべきである。さらに、本明細書中で開示されている異なる実施形態の特徴は、別段の指摘が無いかぎり互いに組合せることができるものであるということを認識すべきである。
【0037】
以下の論述は、ジュールトムソン膨張弁の代りに回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機または回転液体ピストンポンプを利用する冷凍システム(例えば超臨界二酸化炭素冷凍システム)について説明している。以下で説明される通り、冷凍システムは、ジュールトムソン膨張弁を用いた場合には喪失したであろうと考えられる圧力エネルギの大部分を回収しながら、冷凍システムの冷却能力を増大させることによって、さらに効率良く動作し得る。ジュールトムソン膨張弁を回転圧力交換器で置換することで、典型的な冷凍システムでは40パーセントに及ぶ全損失を結果としてもたらす膨張弁内で発生するエネルギ破壊およびエントロピ生成の両方の一掃に起因して、効率が増大する。さらにジュールトムソン膨張弁を回転圧力交換器で置換することは、膨張弁を横断した等エンタルピ(すなわち恒常なエンタルピ)プロセスから回転圧力交換器を横断した等エントロピまたは等エントロピに近い(すなわち恒常なエントロピ)プロセスへと膨張プロセスを変更することによって、効率を増大させる。一部の実施形態において、回転圧力交換器は同様に、バルクフロー圧縮機(bulk flow compressor)の機能を置換することもできる。こうして、1つ以上の低差圧(differential pressure)(DP)の循環圧縮機(ブロワ)または循環ポンプをバルクフロー(bulk flow)高差圧の圧縮機の代りに使用すること、そして(例えば小さい圧力損失を克服するために)冷凍システム内部の流量を維持することが可能となる。これらの低DPの循環圧縮機は、バルクフロー圧縮機に比べて消費エネルギが著しく少ない(例えば10分の1以下)可能性がある。ジュールトムソン膨張弁およびバルクフロー圧縮機の両方を回転圧力交換器で置換することで、電力消費量および電気コストの削減しながら冷凍システム内の最大の非効率源のうちの2つが取り除かれる。さらに、膨張弁および/またはバルクフロー圧縮機の代りに回転圧力交換器を使用することで、他の環境(例えばより暖かい環境)における冷凍システムの利用可能性が増大し得る。より暖かい周囲温度(例えば摂氏50度)では、(圧縮機の出口において求められる圧力が著しく上昇して)圧縮機の圧力比が改変され、サイクル効率(すなわち性能係数)を最適温度(例えば摂氏35度)に比べて60パーセントも著しく低下させる。回転圧力交換器は、必要とされる圧縮機の仕事、冷凍システムの冷却能力そして冷凍システムの性能係数に対してより温かい環境温度が及ぼす悪影響を軽減する。
【0038】
動作中、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機またはポンプは、第1および第2の流体の間の圧力を完全に等化させてもさせなくてもよい。したがって、回転液体ピストン圧縮機またはポンプは、等圧でまたは実質的に等圧で動作し得る(例えば、ここで第1および第2の流体の圧力は、相互におよそ+/-1、2、3、4、5、6、7、8、9または10パーセント以内で等化する)。回転液体ピストン圧縮機またはポンプは、概して、高圧入口流と低圧入口流の間において、およそ50%、60%、70%、80%、または90%を超える効率で流体圧力を移送する装置として定義することができる。
【0039】
図1は、二酸化炭素の相図2である。相図は、温度および圧力との関係における化学系内のさまざまな相の平衡限界を表わす。図1の相図2は、温度および圧力が変化するにつれて二酸化炭素がどのように相を変化させるか(例えば、気体(蒸気)、液体、固体、超臨界)を例示している。二酸化炭素がどの時点で気体または蒸気、液体および固体として存在するかの例示に加えて、相図2は、二酸化炭素がどの時点で超臨界流体に変化するかを例示している。化合物は、その臨界点より高い圧力および温度にさらされた場合、超臨界流体となる。臨界点とは、物質の液相と気相を区別する表面張力(メニスカス)が消滅し2つの相間が区別できなくなる点である。超臨界領域内で、流体は特別な特性を示す。これらの特性には、気体が液体様の(例えば一桁分高い)密度、比熱、粘度および気体を通る音速を有することが含まれ得る。
【0040】
図2は、超臨界状態にある流体を使用する冷凍システム800(例えば超臨界二酸化炭素冷凍システム)の一実施形態の概略図である。冷凍システム800は二酸化炭素を使用するものとして説明されているが、他の冷媒も利用可能である。冷凍システム800内で膨張弁(例えばジュールトムソン膨張弁)の代りに以下で説明されるような回転圧力交換器または回転液体圧縮機802(図中PXで表示)を使用することにより、冷凍システム800は、ジュールトムソン膨張弁を用いた場合には喪失したであろうと思われる圧力エネルギの大部分を回収しながら、冷凍システム800の冷却能力を増大させることでより効率良く動作することが可能となる。いくつかの実施形態において、回転圧力交換器は、バルクフロー圧縮機の機能を置換し、こうして(著しくよりエネルギ効率の良い)1つ以上の低DPの循環圧縮機またはポンプをバルクフロー圧縮機の代りに使用することを可能にできる。例えば、超臨界二酸化炭素冷凍システムは、はるかに大きい圧力(およそ10,342kPa(1500psi)以上)で動作する必要があり、これは、圧縮機(非常に高い差圧の圧縮機)を横切って大きな圧力比を創出し、より多くの電気エネルギが消費される結果になる。膨張弁を回転圧力交換器で置換することで、回転圧力交換器内でほぼ全ての圧力降下を回収し、流量を主圧縮機に送るのではなくむしろ蒸発器から来る流量を加圧するために利用することが可能になる。したがって、圧縮機の電気需要を著しく削減または削除することができる。ジュールトムソン膨張弁および/またはバルクフロー圧縮機の代りに回転圧力交換器を使用する冷凍システム800は、スーパーマーケットの冷凍システム、加熱、換気および/または空調(HVAC)システム、天然液化ガスシステム用の冷凍、化学処理産業向けの工業用冷凍、蓄電池技術(例えば、冷凍および発電サイクルの組合せを用いた太陽または風力発電用の熱エネルギ貯蔵システムの創出)、水族館、極地住居研究システムそして、冷凍が使用される他のあらゆるシステムを含めたさまざまな利用分野において使用可能である。
【0041】
描写された通り、冷凍システム800は、高圧冷媒(例えば二酸化炭素)を循環させるための第1の流体ループ(例えば高圧分岐)804、および高圧分岐804よりも低い圧力で低圧冷媒(例えば二酸化炭素)を循環させるための第2の流体ループ(例えば低圧分岐)806を含む。第1の流体ループ804は、熱交換器808(例えばガス冷却器/凝縮器)および回転圧力交換器802を含む。熱交換器808は、高圧冷媒から周囲環境へ熱を放出する。ガス冷却器は以下では、超臨界高圧冷媒(例えば二酸化炭素)での使用について説明されているものの、いくつかの実施形態では、凝縮器を亜臨界高圧冷媒(例えば二酸化炭素)で使用することができる。冷媒についての亜臨界状態は、臨界点未満(詳細には臨界点と三重点の間)である。第2の流体ループ806は、熱交換器810(例えば蒸発器などの冷却または熱負荷)および回転圧力交換器802を含む。熱交換器810は、周囲環境から低圧冷媒中に熱を吸収する。低圧分岐806内の低圧冷媒は、液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物であってよい。流体ループ804、806は両方共、圧縮機812(例えばバルクフロー圧縮機)に対して流体結合されている。圧縮機812は(温度および圧力を上昇させることによって)、蒸発器810から受け入れた過熱された気体の二酸化炭素を、ガス冷却器808に供給される超臨界状態の二酸化炭素へと変換する。一部の実施形態においては、以下でさらに詳述するように、圧縮機812は、システム800内部の小さい圧力損失を克服し流体流(fluid flow)を維持するため、1つ以上の低DPの循環圧縮機またはポンプにより置換されてよい。概して、第1の流体ループ804に沿って、ガス冷却器808は、超臨界状態の二酸化炭素を受け入れ、その後、幾分か冷却した後(例えば高圧入口822において)回転圧力交換器802に供給する。第2の流体ループ804に沿って、蒸発器810は、回転圧力交換器802の低圧入口813に対して、過熱された気体の二酸化炭素の第1の部分を供給し、圧縮機812に対して、過熱された気体の二酸化炭素の第2の部分を供給する。回転圧力交換器802は、超臨界状態にある二酸化炭素と過熱された気体の二酸化炭素との間で、圧力を交換する。超臨界状態にある二酸化炭素は、回転圧力交換器80の内部で、2相液体/蒸気混合物へと変換され、低圧出口824から退出して、蒸発器810へと供給される。回転圧力交換器802は同様に、過熱された気体の二酸化炭素の圧力および温度を上昇させて、それを超臨界状態の二酸化炭素に変換し、この二酸化炭素は、それがガス冷却器808へと供給される高圧出口815を介して、回転圧力交換器802から退出する。図2に例示されているように、回転圧力交換器802から退出する超臨界状態にある二酸化炭素は、圧縮機812からガス冷却器808に供給された二酸化炭素と組合わされてよい。
【0042】
(例えば、ジュールトムソン膨張弁を使用する冷凍システムとの関係における)冷凍システム800内で発生する熱力学的プロセスは、図3および4を参照してより詳細に説明される。図3および4は、ジュールトムソン膨張弁を含む冷凍システムに比べた冷凍システム800の4つの主要構成要素で発生する熱力学的プロセスを示すために、それぞれ温度-エントロピ(T-S)線図814および圧力-エントロピ(P-H)線図816を例示する。点1は、圧縮機の入口818を表わす(図2参照)。点2は、圧縮機の出口820およびガス冷却器の入口820を表わす。点3は、ガス冷却器の出口822および膨張弁の入口(ジュールトムソン膨張弁を有する冷凍システム内)または回転液体圧縮機802の高圧入口822を表す。点4は、膨張弁の出口または回転液体圧縮機802の低圧出口824(図3および図4にPXとして標示)および蒸発器の入口826を表わす。図3および4に例示されているように、圧縮機812は、圧力を上昇させ、こうして、冷媒作動流体(例えば二酸化炭素)の温度を、環境よりも高い温度まで上昇させ、そこで外部のより高温の環境へと熱を放出することができる。これは、ガス冷却器808の内部で発生する。二酸化炭素が超臨界状態にあることから、温度が、超臨界二酸化炭素システムのガス冷却器808内でT-S線図上の2相ドームの内側における熱交換プロセスの大部分を通して恒常であり続けている従来の凝縮器とは異なり、相境界は存在せず、二酸化炭素は、2相ドーム828の上方にある。したがって、温度は、二酸化炭素が熱を環境へと放出するときに下降する。環境温度が高くなればなるほど、圧縮機812を横切る圧力比は大きくなり、システムの圧力も大きくなる。点3において、ガス冷却器出口830を離れる二酸化炭素はこのとき、(ジュールトムソン膨張弁を有する冷凍システム内で)膨張弁を通って進み、曲線832によって示されているように、バルブ内の恒常なエンタルピプロセス(3→4h)をたどる。P-H線図816上で、曲線832は、(それが等エンタルピプロセスであるため)真直ぐな垂直ラインである。結果として、二酸化炭素は2相ドーム828に入り、液体と気体の平衡混合物になる。液体の正確な質量分率は、4h(すなわち曲線832)が蒸発器圧力を表わす恒常圧力水平ライン834と交差する点によって決定される。2相混合物は、このとき蒸発器810を通って続き、ここで、液体二酸化炭素がさらに多くの熱を吸収し、蒸発器810の出口836において飽和蒸気となる。したがって、圧縮機818内に入る流体は、純粋な蒸気相(気相)にある。
【0043】
ここで、図2に示されているようなジュールトムソン膨張弁を置換する回転圧力交換器802を有するシステムを考慮する。図3および4に例示されているように、ガス冷却器出口830で超臨界状態にある二酸化炭素は、高圧入口ポート822において回転圧力交換器802に入り、等エントロピまたは等エントロピに近い(例えば85パーセントの等エントロピ効率)膨張を受け、2相気体-液体二酸化炭素として回転圧力交換器802の低圧出口ポート824で退出する。このプロセスは、T-SおよびP-H線図814、816上において曲線835で示されている。例示されているように、曲線835(回転圧力交換器802を用いて得られたもの)は、曲線832(膨張弁を用いて得られたもの)の左に向かって存在し、このことは、2相液体中の液体含有物の量または百分率が、膨張弁の場合(P-H線図816上の点4の位置)に比べ、回転圧力交換器802を通した膨張(P-H図816上の点4の位置)の場合の方が大きいことを意味している。液体含有量がより大きいことに起因して、冷媒(例えば二酸化炭素)の吸収能力は、蒸発器810においてより大きいものである。したがって、環境条件によって設定される同じ圧力および温度境界条件について、冷凍システム800の冷却能力は、ジュールトムソン膨張弁の代りに回転圧力交換器802が使用された場合に増大する。P-H線図816上の点4sの位置は、完全な等エントロピ膨張プロセス(例えば100パーセントの等エントロピ膨張係数)を表わす。点4における2相二酸化炭素は、次に、蒸発器810中の熱を吸収することになる(プロセス4→1)。セグメント840の長さ838(4-4で定義される)が、ジュールトムソン膨張弁を使用する典型的なもの(点1におけるエンタルピと点4hにおけるエンタルピの間の差である、セグメント長834)に比べた、回転圧力交換器802を使用するシステム800により提供される追加の冷却能力である。これが、冷凍サイクル内に回転圧力交換器802を組込むことで提供される主要な利点の1つである。
【0044】
冷凍サイクル内で回転圧力交換器802を使用することによって提供される別の利点は、過熱された気体の二酸化炭素として蒸発器80から回転圧力交換器802に入り(低圧入口813において)、破線842によって示されている通りの等エントロピまたは等エントロピに近い(例えば85パーセントの等エントロピ効率)圧縮を受ける(すなわちプロセス1→2)第2の流体流(fluid stream)を見ることで明らかになる。このプロセスは、圧縮機812の内部で発生する等エントロピプロセス1→2に類似するものである。圧縮のほぼ全てが回転圧力交換器802の内部で発生することから、いくつかの実施形態において、主圧縮機812を完全にまたは部分的に除去することが可能である。例えば、この場合、圧縮機812は、(それを横切るエンタルピ変化が非常に小さいことから)非常にわずかな仕事しか消費しない非常に小さい差圧のガスブロワまたは循環ポンプによって置換され得る。これにより、性能効率(COP)(すなわち、冷凍サイクルの効率の標準的尺度)についての以下の等式から分かるように、冷凍サイクルの効率に対する圧倒的な利点が生み出される:
【数1】
なお式中、hは、P-H線図816上の4つの点の各々におけるエンタルピである。ここで分かるように、圧縮機812によってなされた仕事(w)(すなわち圧縮機812が消費した電気)を表わす上述の等式内の分母(h-h)は、ジュールトムソン膨張弁及び圧縮機812の従来の組合せの代りに回転圧力交換器802が使用された場合に、非常に小さくなる。これにより、冷凍サイクルのCOP(すなわち効率)の極めて大きな増大を生み出すことが可能である。先に言及した第1の利点(すなわち冷却能力の増大)と組合わさったとき、点4におけるhが点4におけるhよりも低い場合、項(h-h)は、回転圧力交換器をベースとするシステムについてより大きいものとなり、こうして、冷凍サイクルのCOP(すなわち効率)はさらに増大する。
【0045】
図5は、流体の混合が最小限である状態で、第1の流体(例えば第1の流体ループ804内を循環する超臨界二酸化炭素)と第2の流体(例えば第2の流体ループ806内を循環する過熱された気体の二酸化炭素)の間で圧力および/または仕事を移送する能力を有する回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機40(回転LPC)(例えば図2中の回転圧力交換器802)の一実施形態の分解組立斜視図である。回転LPC40は、スリーブ44(例えば回転子スリーブ)および回転子46を含む、略円筒形の本体部分42を含み得る。回転LPC40は同様に、それぞれマニホルド52および54を含む2つのエンドキャップ48および50も含むことができる。マニホルド52は、それぞれの入口および出口ポート56および58を含み、一方マニホルド54は、それぞれの入口および出口ポート60および62を含む。動作中、これらの入口ポート56、60は、第1および第2の流体が回転LPC40に入って圧力を交換することを可能にし、一方、出口ポート58、62は、第1および第2の流体が次に回転LPC40から退出することを可能にする。動作中、入口ポート56は、高圧の第1の流体を受け入れることができ、圧力を交換した後、出口ポート58は、低圧の第1の流体を回転LPC40から外へ導くために使用され得る。同様にして、入口ポート60は、低圧の第2の流体を受け入れることができ、出口ポート62は、高圧の第2の流体を回転LPC40から外へ導くために使用され得る。エンドキャップ48および50は、回転子46との流体封止接触を可能にするそれぞれのマニホルド52および54の内部に配置されたそれぞれのエンドカバー64および66を含む。回転子46は、円筒形で、スリーブ44内に配置され得、これにより回転子46が軸68を中心として回転することが可能になる。回転子46は、各端部にある開口部72および74が長手方向軸68を中心として対称的に配設されている状態で、回転子46を通って実質的に長手方向に延在する複数のチャネル70を有することができる。回転子46の開口部72および74は、回転中にチャネル70が高圧の流体および低圧の流体に曝露されるような形で、エンドカバー64および66内の入口および出口アパーチャ76および78;および80および82と流体連通するように配設される。例示されているように、入口および出口アパーチャ76および78;80および82は、円弧または円のセグメント(例えばC字形)の形で設計されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態においては、センサのフィードバック(例えばタコメータまたは光学エンコーダを通して測定された毎分回転数または流量計を通して測定された体積流量率)を用いるコントローラが、回転LPC40内の第1の流体と第2の流体の間の混合の程度を制御することができ、これを用いて流体操作システムの操作性を改善することができる。例えば、回転LPC40に入る第1および第2の流体の体積流量率を変動させることで、プラントオペレータ(例えばシステムオペレータ)は、回転液体ピストン圧縮機10内部の流体混合量を制御することができる。さらに、回転子46の回転速度を変動させることで、同様に、オペレータは混合を制御することができる。混合に影響を及ぼす回転LPC40の3つの特性は、(1)回転子チャネル70のアスペクト比、(2)第1の流体と第2の流体の間の曝露持続時間、および(3)回転子チャネル70内部の第1の流体と第2の流体の間の流体障壁(例えば境界部分)の創出、である。第1に、回転子チャネル70は、概して長尺かつ幅狭であり、これにより、回転LPC40内部で流量が安定する。さらに、第1および第2の流体は、最小限の軸方向の混合で、栓流レジーム(plug flow regime)でチャネル70を通って移動されてもよい。第2にいくつかの実施形態において、回転子46の速度は第1および第2の流体間の接触を減少させる。例えば、回転子46の速度は、第1および第2の流体間の接触時間を、およそ0.15秒、0.10秒、または0.05秒未満に減少させてもよい。第3に、第1および第2の流体間の圧力交換には、回転子チャネル70の僅かな部分しか使用されない。したがって、一定体積の流体が、第1および第2の流体間の障壁としてチャネル70の中に残る。これらのメカニズム全てが、回転LPC40内での混合を制限してもよい。その上、いくつかの実施形態において、回転LPC40は、圧力移送を可能にしながら第1および第2の流体を隔離する、完全なまたは部分的な内部ピストンまたは他の障壁を用いて動作するように設計されてもよい。
【0047】
図6~9は、チャネル70が完全に1サイクル回転するにつれての回転子46内の単一の回転子チャネル70の位置の順序を例示する、回転LPC40の一実施形態の分解組立図である。図6~9は、1つの回転子チャネル70を示す回転LPC40を簡略化したものであり、チャネル70は、円形の断面形状を有するものとして示されている。他の実施形態において、回転LPC40は、同じまたは異なる断面形状(例えば円形、印形、方形、矩形、多角形など)を有する複数のチャネル70を含むことができる。したがって、図6~9は、例示を目的として簡略化されたものであり、回転LPC40の他の実施形態は、図6~9に示されたものと異なる構成を有することができる。以下で詳述するように、回転LPC40は、回転子46の内部で第1および第2の流体が互いに短時間接触できるようにすることによって、第1および第2の流体間での圧力交換を促進する。いくつかの実施形態において、この交換は、第1および第2の流体の限定的な混合を結果的にもたらす速度で、生じる。より具体的には、(チャネルがアパーチャ76に曝露された時点で直ちに)回転子チャネル70を通って進む圧力波の速度、流体の拡散速度および回転子46の回転速度は、何らかの混合が発生しているか否かそしてどの程度で発生しているかを決定づける。
【0048】
図6において、チャネル開口部72は、第1の位置にある。第1の位置で、チャネル開口部72は、エンドカバー64内のアパーチャ78ひいてはマニホルド52と流体連通状態にあり、一方反対のチャネル開口部74は、エンドカバー66内のアパーチャ82、さらにはマニホルド54と流体連通状態にある。以下で論述するように、回転子46は、矢印84によって標示されている時計回り方向に回転し得る。動作中、低圧の第2の流体86はエンドカバー66を通過し、チャネル70に入り、ここで、この流体は動的流体の境界部分90において第1の流体88と接触する。このとき、第2の流体86は、チャネル70から外へ、エンドカバー64を通って、第1の流体88を回転LPC40の外に出す。しかしながら、接触時間が短いため、第2の流体86と第1の流体88の間には、最小限の混合しか存在しない。
【0049】
図7において、チャネル70は、およそ90度の円弧を通って時計回り方向に回転している。この位置において、開口部74(例えば出口)はもはやエンドカバー66のアパーチャ80および82と流体連通状態になく、開口部72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76および78と流体連通状態にない。したがって、低圧の第2の流体86は、チャネル70の内部に一時的に格納される。
【0050】
図8において、チャネル70は、図7に示された位置からおよそ60度の円弧を通って回転している。開口部74は今や、エンドカバー66のアパーチャ80と流体連通状態にあり、チャネル70の開口部72は今や、エンドカバー64のアパーチャ76と流体連通状態にある。この位置で、高圧の第1の流体88が入り、低圧の第2の流体86を加圧して、第2の流体86を回転子チャネル70からアパーチャ80を通って外に出す。
【0051】
図9では、チャネル70は、図6に示された位置からおよそ270度の円弧を通って回転している。この位置で、開口部74はもはや、エンドカバー66のアパーチャ80および82と流体連通状態になく、開口部72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76および78と流体連通状態にない。したがって、第1の流体88はもはや加圧されず、回転子46がさらに90度回転してサイクルを再開するまで、チャネル70の内部に一時的に格納される。
【0052】
図10は、障壁システム100を有する回転子46の一実施形態の分解組立図である。以上で説明した通り、回転子46の回転は、第1および第2の流体間の圧力移送を可能にする。発電システム4内での第1の流体/原動力流体と第2の流体/超臨界流体の間の混合を阻止する目的で、回転液体ピストン圧縮機10は障壁システム100を含む。例示されているように、回転子46は、共に結合する第1の回転子区分102と第2の回転子区分104を含む。第1および第2の回転子区分102、104を有する回転子46を含めることによって、回転子46は、回転子46の内部に障壁システム100を受入れ保持することができる。例示されているように、第1の回転子区分102は、ボルト110を収容するアパーチャ108を有する端面106を含む。ボルト110は、これらのアパーチャ108を通過し、第2の回転子区分104内のアパーチャ112に入り、回転子46の第1および第2の区分102、104を結合させる。障壁システム100は、これらの回転子区分102、104の間に設置されて、障壁システム100を回転子46にしっかりと固定する。
【0053】
障壁システム100は、プレート114を含み、このプレート114に複数の障壁116が結合されている。これらの障壁116は、回転子46のチャネル70内で圧力を交換する際の第1および第2の流体間の接触/混合を阻止する折畳み可能なダイヤフラムである。以下で論述するように、これらの障壁116は、第1および第2の流体間で圧力が移送される際に膨張および収縮する。プレート114を回転子46に結合する目的で、プレート114は、第1の回転子区分102内のアパーチャ108および第2の回転子区分104内のアパーチャ112と整列する複数のアパーチャ118を含み得る。これらのアパーチャ118は、第1の回転子区分102が第2の回転子区分104に結合した時点でボルト110を収容し、プレート114の側方の動きを削減または阻止する。いくつかの実施形態において、第1の回転子区分102上のアパーチャ108、第2の回転子区分104上のアパーチャ112、およびプレート114上のアパーチャ118を、1つ以上の直径(例えば内径および外径)上に設置することができる。このようにして、第1の回転子区分102および第2の回転子区分104は、結合された時点でプレート114を均等に圧縮することができる。いくつかの実施形態において、障壁116はプレート114に結合しないかまたはプレート114によって支持されなくてもよい。むしろ、各障壁116を個別に回転子46に結合してもよい。
【0054】
例示されているように、第1の回転子区分102は長さ120を画定し、第2の回転子区分104は長さ122を画定する。長さ120および122を変更することにより、回転子46は、回転子46の長さに沿ってチャネル70内の異なる位置に障壁システム100を設置することを可能にする。このようにして、回転液体ピストン圧縮機10は、さまざまな動作条件に応えて適応され得る。例えば、なかでも2つの流体の密度および質量流量率の差および回転子46の回転速度は、圧力を交換するために回転子46のチャネル70内のどこまで第1および第2の流体が流入できるかに影響を及ぼし得る。したがって、回転子46の第1および第2の回転子区分102および104の長さ120および122を変更することで、第1および第2の流体間の圧力交換を促進する位置(例えば回転子46を通った途中)に障壁システム100を設置することが可能になる。
【0055】
いくつかの実施形態において、冷凍システム800は、回転液体ピストン圧縮機802内での混合を阻止するように、第1および第2のループ804および806内を循環する流体を変更することができる。例えば、冷凍システム800は、異なる相にある別の流体での超臨界流体の拡散および可溶性を防止し得るか、または換言すると超臨界流体との混合を阻止できるイオン流体を第1のループ804内において使用することができる。冷凍システム800内の流体の変更と、回転液体ピストン圧縮機802内での流体の混合に対する冗長な抵抗を提供する障壁システム100とを組合せて用いてもよい。
【0056】
図11は、障壁システム100を有する回転子46の一実施形態の断面図である。以上で説明した通り、障壁システム100は、プレート114および障壁116を含むことができる。これらの障壁116は、チャネル70の内部に置かれており、第1および第2の流体間の混合/接触を遮断する一方で、なおも圧力移送を可能にする。圧力移送を促進する目的で、障壁116は膨張し収縮する。図11に例示されている通り、複数の障壁116のうちの第1の障壁140は、膨張位置にある。動作中、第1の障壁140は、第1の流体142が回転子46内および第1の障壁140内に流入するにつれて膨張する。第1の障壁140は膨張するにつれて、第2の流体144を加圧して、それを回転子46外へ出す。同時に、加圧に対して備えて、第2の流体144が回転子46に入るにつれて、第2の障壁146が収縮状態になり得る。障壁116は、リブ150によって共に結合される複数のひだ148(例えば、1、2、3、4、5個以上)を含む。加圧された第1の流体142が回転子46内に流入するにつれて障壁116が体積を膨張させることができるようにするのは、これらの弾性ひだ148である。以下で論述するように、障壁116は、超臨界流体(例えば、二酸化炭素)と共に機能するための引張り強度、伸長百分率および化学的耐性を提供する1つ以上の材料でできていてよい。
【0057】
図12は、障壁システム100を有する回転子46の一実施形態の断面図である。図12に例示されているように、複数の障壁116のうちの第1の障壁140が、膨張位置にある。動作中、第1の障壁140は、第1の流体142が回転子46内および第1の障壁140内に流入するにつれて膨張する。第1の障壁140が膨張するにつれて、第1の障壁140は収縮し、第2の流体144を加圧して、それを回転子46の外へ出す。障壁116内の応力を低減するために、障壁システム100はばね160を含むことができる。ばね160は、障壁116の端部162(例えば、端部部分、端面)およびプレート114に結合し得る。動作中、ばね160は、障壁116内の圧力が上昇するにつれて伸び、障壁116は軸方向164に膨張する。ばね160は、障壁116が膨張するにつれて力を吸収することから、ばね160は障壁116の過膨張を阻止または低減することができる。ばね160は同様に、発電システム4の動作中に障壁116が繰返し膨張し収縮する障壁116の寿命を延ばすこともできる。ばねは同様に、障壁116のより制御された膨張率を提供することもできる。
【0058】
いくつかの実施形態において、ばね160は、障壁116の外部表面168に結合しかつ/または障壁116の外側に設置されることができる。他の実施形態において、ばね160は、内部表面170に結合しかつ/または障壁116の内部(すなわち障壁116の膜の内部)に設置されることもできる。さらに他の実施形態において、障壁システム100は、障壁116の外側および内側の両方にばね160を含むことができる。ばね160は同様に、プレート114に結合する代りに回転子46に結合することもできる。例えば、回転子46の第1の回転子区分102と第2の回転子区分104の間にばね160の一部分を挟み込むことによって、ばね160を支持することができる。
【0059】
図13は、障壁システム100を有する回転子46の一実施形態の断面図である。図13において、障壁システム100は、平面障壁190を含む。例示されているように、平面障壁190は、上述の障壁116のようにチャネル70内へ軸方向にではなく、チャネル70を横断して(例えば、チャネル70の長手方向軸に対し略交差する方向に)延在する。動作中、平面障壁190は、圧力移送をなおも可能にしながら、第1および第2の流体142、144の間の混合/接触を阻止する。圧力移送を促進するため、平面障壁190は圧力下で膨張し収縮する。図13に例示されている通り、複数の平面障壁190のうちの第1の平面障壁192は、膨張位置にある。第1の平面障壁192は、第1の流体142が回転子46内および第1の平面障壁192内に流入するにつれて、膨張する。第1の平面障壁192は、第1の流体142の圧力下で膨張するにつれて、第2の流体144と接触し、それを加圧して、それを回転子46外へ出す。加圧される準備のために、第2の流体144が回転子46に入るにつれて、第2の平面障壁194も同様に、同時に収縮した状態であってもよい。障壁116は、結合する複数のひだ196(例えば、1、2、3、4、5個以上)を含む。加圧された第1の流体142が回転子46内に流入するにつれて膨張し、圧力が解除された時点で収縮するのは、これらの弾性ひだ148である。
【0060】
図14は、図11のライン14-14に沿った障壁の一実施形態の断面図である。障壁116ならびに障壁190は、超臨界流体(例えば、二酸化炭素)と共に機能するための引張り強度、伸長百分率および化学的耐性を提供する1つ以上の材料でできていてよい。例えば、障壁116、190は、エチレンプロピレン、シリコーン、ニトリル、ネオプレンなどの高伸張比のエラストマ材料を含み得る。これらの材料の高伸張比能力により、障壁116、119は、第1の流体142から圧力を吸収し、それを第2の流体144に移送可能になる。いくつかの実施形態において、障壁116、119は、高伸張比特性と高強度特性を組合わせるために、高強度ファブリックの層の間に挟み込まれた高い伸張比率の材料の多数の層(例えば1、2、3、4、5個以上の層)を含むことができる。例えば、障壁116、119は、ファブリック層212に重複する2つのエラストマ層210を含むことができる。動作中、エラストマ層210は、化学的耐性ならびに高い伸張比率の能力を提供することができ、一方ファブリック層212は、障壁116、190の全体的な引張り強度を増大させることができる。
【0061】
図15は、図11のライン14-14に沿った障壁の一実施形態の断面図である。以上で説明したように、障壁116、190は、超臨界流体(例えば超臨界流体の温度および圧力)で機能するための引張り強度、伸長百分率および化学的耐性を提供する1つ以上の材料でできていてよい。いくつかの実施形態において、障壁116、119は、異なる材料の特性を組合わせるために多数の層(例えば1、2、3、4、5個以上の層)を含むことができる。例えば、障壁116、119は、ファブリック層212に重複する2つのエラストマ層210(例えばエチレンプロピレン、シリコーン、ニトリル、ネオプレンなど)を含むことができる。動作中、エラストマ層210は、化学的耐性ならびに高伸張比能力を提供することができ、一方ファブリック層212は、障壁116、190の引張り強度を増大させる。さらに、層210のうちの1つ以上が、コーティング214を含んでいてよい。コーティング214は、第1の流体および/または第2の流体との反応に耐える化学的耐性を有するコーティングであり得る。例えば、層210が、超臨界流体からこの層210を化学的に保護する最も外側の表面216上のコーティング214を含んでもよい。
【0062】
図16は、冷却システム240(すなわち熱管理システム)を有する回転液体ピストン圧縮機10(例えば回転LPC)の一実施形態の断面図である。いくつかの実施形態において、冷却システム240は、回転液体ピストン圧縮機を取り囲むマイクロチャネルで製造された熱交換器を含み得る。図1の記述の中において以上で説明された通り、流体は、温度および圧力が変化するにつれて相を変化させる。臨界点より高い圧力および温度では、流体は、超臨界流体になる。冷凍システム800は、超臨界流体の特有の特性(例えば液体様の密度および気体様の粘度)のため、冷凍目的で流体(例えば二酸化炭素)をその超臨界状態/相で使用する。冷却システム240を有する回転液体ピストン圧縮機10内の温度を制御することにより、冷却システム240は、回転液体ピストン圧縮機802の内部において超臨界流体から気相への相変化を阻止することができる。さらに、冷却システム240は同様に、超臨界流体の圧縮中に熱が生成されるにつれてのエネルギの除去を促進して、熱力学的により効率の良い圧縮様式である実質的に等温の圧縮を可能にすることもできる。以上で説明した通り、冷却システム240は、回転液体ピストン圧縮機802の壁と冷却システム240を通って循環する冷却流体との間の伝熱係数を促すために単位体積あたりの高い表面積を提供するマイクロチャネルを含むことができる。
【0063】
冷却システム240は、回転液体ピストン圧縮機ハウジング244の少なくとも一部分を取り囲む冷却ジャケット242を含む。冷却ジャケット242は、ハウジング244を包み込む複数の導管246を含んでいてよい。これらの導管246は、0.05mm~0.5mmの直径を有するマイクロ導管であってよい。マイクロ導管を含めることによって、冷却システム240は、回転液体ピストン圧縮機10内の超臨界流体の温度を制御するために冷却表面積を増大させることができる。導管246は、複数の横列(例えば1、2、3、4、5本以上)および/または複数の縦列(例えば1、2、3、4、5本以上)に配設され得る。各導管246は、全ての他の導管246に対して流体結合されてよく、または、冷却システム240は導管246のサブセットに結合することができる。例えば、1本の横列内の全ての導管246を、その横列内の他の導管246に結合するものの他の横列内の導管246には結合しないことも可能である。いくつかの実施形態において各導管246は、同じ縦列内の他の導管246には流体結合するものの、異なる縦列内の導管246には流体結合しない可能性もある。いくつかの実施形態において、導管246は、ハウジングまたはカバーリング247によって囲まれていてよい。ハウジングまたはカバーリング247は、ポリスチレン、グラスファイバウール、またはさまざまなタイプの発泡材などの、熱伝達を遮断しこれに耐える材料で作られていてよい。導管246を通る冷却流体の流量は、コントローラ248によって制御され得る。コントローラ248は、プロセッサ250およびメモリ252を含み得る。例えば、プロセッサ250は、アクチュエータ98の動作を制御するためのソフトウェアを実行するマイクロプロセッサであり得る。プロセッサ250は、多数のマイクロプロセッサ、1つ以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1つ以上の特殊用途向けマイクロプロセッサ、および/または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICS)またはそれらのいくつかの組合せを含み得る。例えば、プロセッサ250は、1つ以上の縮小命令セット(RISC)プロセッサを含み得る。
【0064】
メモリ252は、揮発性メモリ、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または不揮発性メモリ、例えば読取り専用メモリ(ROM)を含み得る。メモリ252は、さまざまな情報を記憶することができ、さまざまな目的のために使用可能である。例えば、メモリ252は、プロセッサ250が実行するためのプロセッサ実行可能命令、例えばファームウェアまたはソフトウェアを記憶することができる。メモリは、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または他の任意の光学、磁気または固体記憶媒体またはそれらの組合せを含むことができる。メモリは、データ、命令、および任意の他の好適なデータを記憶することができる。
【0065】
動作中、コントローラ248は、超臨界流体の温度および/または圧力を直接的または間接的に検出する1つ以上のセンサ254(例えば温度センサ、圧力センサ)からフィードバックを受信する。センサ254からのフィードバックを用いて、コントローラ248は、冷却流体源256(例えば冷却装置システム、空調システム)からの冷却流体の流量率を制御する。
【0066】
図17は、加熱システム280(すなわち熱管理システム)を有する回転液体ピストン圧縮機802(RLPC)の一実施形態の断面図である。動作中、加熱システム280は、回転液体ピストン圧縮機802を通って循環する流体(すなわち超臨界流体)の温度を制御することができる。温度を制御することにより、加熱システム280は、非等エントロピ膨張に起因する流体の凝縮および/またはドライアイス形成を阻止または低減することができる。
【0067】
加熱システム280は、回転液体ピストン圧縮機ハウジング244の少なくとも一部分を取り囲む加熱ジャケット282を含む。加熱ジャケット282は、ハウジング244を包み込む複数の導管またはケーブル284を含んでいてよい。これらの導管またはケーブル284は、超臨界流体の温度制御を可能にする。例えば、導管284は、超臨界流体に熱を伝達する加熱流体を搬送し得る。いくつかの実施形態において、ケーブル(単複)284(例えばコイル)は、ケーブル284の電気抵抗に起因する熱を生成する電流を搬送する。導管246は同様に、ハウジングまたはカバーリング286によって囲まれていてよい。ハウジングまたはカバーリング286は、ポリスチレン、グラスファイバウール、またはさまざまなタイプの発泡材などの、熱伝達を遮断しこれに耐える材料で作られていてよい。
【0068】
導管またはケーブル284を通る加熱流体または電流の流量は、コントローラ248によって制御される。動作中、コントローラ248は、超臨界流体の温度および/または圧力を直接的または間接的に検出する1つ以上のセンサ254(例えば温度センサ、圧力センサ)からのフィードバックを受信することができる。例えば、センサ254は、(例えば超臨界流体を格納するキャビティの内部で)超臨界流体と直接接触した状態で設置されてよい。いくつかの実施形態において、センサ254は、ハウジング244、スリーブ44、エンドカバー64、66内に設置され得る。センサ254の周りの材料が、超臨界流体の温度および/または圧力の変化に応答するにつれて、センサ254はこの変化を検知し、この変化をコントローラ248に伝達する。コントローラ248は、次にこれを、実際の超臨界流体の温度および/または圧力に相関させる。センサ254からのフィードバックを用いて、コントローラ248は、導管284を通る加熱流体源288(例えばボイラ)からの加熱流体の流量率を制御する。同様にして、加熱システム280が電気抵抗加熱システムである場合、コントローラ248は、センサ254のうちの1つ以上からのフィードバックに応答して、ケーブル284を通る電流の流量を制御することができる。
【0069】
図18および19は、従来のジュールトムソン膨張弁ベースの冷却ではなく、回転圧力交換器ベースの超臨界二酸化炭素冷凍システムを使用するスーパーマーケットシステムアーキテクチャ(architecture)300、302の2つの例を示す。第1のアーキテクチャ300(図18)では、(低圧出口305を介した)回転圧力交換器304からの2相低圧流出流(例えば二酸化炭素気体/液体混合物)は、気相と液相を分離するフラッシュタンク306を通って進む。二酸化炭素液相は、低温(例えばおよそ摂氏-20度(C))および中温(例えばおよそ-4℃)の熱負荷/蒸発器308、310(例えばそれぞれスーパーマーケットの冷凍庫セクションおよび冷蔵庫セクション)まで輸送され、ここで二酸化炭素液相は熱を奪って過熱状態となる。これは気相/液相の二相ではなくむしろ純粋に液相であることから、より大きな熱吸収(すなわち冷却)能力を有する。流量制御弁312、314が(例えばコントローラからの制御信号に応答して)、それぞれの熱負荷308、310に対する液体二酸化炭素の流量を調節することができる。冷凍庫セクション308からの過熱された二酸化炭素の蒸気は、このとき、低温圧縮機316まで進み、その後、同じ圧力で、冷蔵庫セクション310からの過熱された二酸化炭素の蒸気およびフラッシュタンク306内の気体/液体混合物から分離された分離済みの過熱された気相の二酸化炭素と再び一体化する。制御弁318(例えばフラッシュガス制御弁)が、(例えばコントローラからの制御信号に応答して)フラッシュタンク306から流れる過熱された気体の二酸化炭素の流量を調節することができる。この再度一体化した過熱された気体の二酸化炭素は、次に、低圧入口ポート320において回転圧力交換器304に入り、システム内の最高圧力(例えば、システム要件に応じておよそ10,342kPa(1500psi)またはおよそ14,479kPa(2100psi))まで圧縮され、超臨界二酸化炭素に変換される。超臨界二酸化炭素は、(高圧出口322を介して)回転圧力交換器304から退出し、最高圧力にある熱交換器324まで進み、そこで熱を環境に放出し、冷却する。一部の実施形態において、熱交換器324は、亜臨界二酸化炭素で使用される気体凝縮器である。ガス冷却器324から、超臨界二酸化炭素は、回転圧力交換器304の高圧入口326まで流れる。従来の圧縮機に比べて非常に少ないエネルギ消費量で、(回転圧力交換器304からの経路とガス冷却器324の間に示されている)小型圧縮機328(例えば低DPの循環圧縮機)を使用することによって、システム内の流体抵抗および回転圧力交換器304内の小さい差圧を克服するのに必要とされるわずかな圧力上昇を提供することができる。
【0070】
熱交換器324は、超臨界状態または亜臨界状態の二酸化炭素を高圧で循環させるため高圧分岐に沿って配置されている。低温蒸発器308および低温圧縮機316は、液体状態、気体または蒸気状態でまたは液体と蒸気の2相混合物で低圧(すなわち高圧分岐内の圧力よりも低い圧力)の二酸化炭素を循環させるため、低圧分岐に沿って配置されている。中温蒸発器310および弁314は、高圧分岐および低圧分岐内の冷媒のそれぞれの圧力の間の中間圧で冷媒を循環させる中間圧分岐に沿って配置されている。中間圧分岐内の冷媒の中間圧は、蒸発器310における飽和圧力に等しい。フラッシュタンク306から退出して回転圧力交換器304の入口320へと直接流れる冷媒は、中間圧にある。したがって、回転圧力交換器304は、中間圧分岐および高圧分岐に対し流体結合される。回転圧力交換器304は、高圧分岐から高圧の冷媒を受け入れ、中間圧分岐から蒸気状態、液体状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の形で中間圧の冷媒を受け入れ、高圧の冷媒と中間圧の冷媒の間で圧力を交換する。回転圧力交換器から、超臨界状態または亜臨界状態で高圧にある冷媒の第1の退出流、および液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の形をした中間圧にある冷媒の第2の退出流が退出する。
【0071】
第2のアーキテクチャ302(図19)においては、フラッシュタンクからの分離済みの気相の二酸化炭素のみが低圧入口320において、回転圧力交換器304を通って再度送られ、システム内で最高の圧力まで圧縮される。それぞれ冷凍庫セクション308および冷蔵庫セクション310からの過熱された気体の二酸化炭素は、低温圧縮機316および中温圧縮機330へと流れる。低温圧縮機の退出流は、中温圧縮機330に向かう前に、冷蔵庫セクション310からの過熱された気体の二酸化炭素と組合わされる。中温圧縮機の退出流量(例えば、超臨界二酸化炭素)は、回転圧力交換器304を(高圧出口322を介して)退出する超臨界二酸化炭素と組合わさり、ここで、ガス冷却器324を通って進む前にすでに圧縮済みの低温圧縮機の退出流量および中温圧縮機の退出流量(フラッシュタンク306と同じ圧力にある過熱された気体の二酸化炭素)と組合わさる。このようなアーキテクチャは、いくつかの冷凍シナリオにおいて利点を有する可能性がある。
【0072】
熱交換器324は、超臨界状態または亜臨界状態の二酸化炭素を高圧で循環させるため高圧分岐に沿って配置されている。低温蒸発器308および低温圧縮機316は、液体状態、気体または蒸気状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の形で、低圧(すなわち高圧分岐内の圧力よりも低い圧力)で二酸化炭素を循環させるため、低圧分岐に沿って配置されている。中温蒸発器310および弁314は、低圧分岐および第2の中圧分岐内の冷媒のそれぞれの圧力の間の第1の中間圧にある冷媒を循環させる第1の中間圧分岐に沿って配置されている。第2の中間圧分岐は、フラシュタンク306と回転圧力交換器304の間にある。中間圧分岐内の冷媒の第1の中間圧は、蒸発器310における飽和圧力に等しい。フラッシュタンク306から退出して回転圧力交換器304の入口320へと直接流れる冷媒は、高圧分岐および第1の中間圧分岐内のそれぞれの圧力の間の第2の中間圧にある。したがって、回転圧力交換器304は、第2の中間圧分岐および高圧分岐に対し流体結合される。回転圧力交換器304は、高圧分岐から高圧の冷媒を受け入れ、第2の中間圧分岐から蒸気状態、液体状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の形で第2の中間圧の冷媒を受け入れ、高圧の冷媒と第2の中間圧の冷媒の間で圧力を交換する。回転圧力交換器から、超臨界状態または亜臨界状態で高圧にある冷媒の第1の退出流、および液体状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物の形をした第2の中間圧にある冷媒の第2の退出流が退出する。
【0073】
図20は、回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機572内の流体(例えば超臨界二酸化炭素、過熱された気体の二酸化炭素)の動きを制御する制御システム570の一実施形態の概略図である。以上で説明した通り、回転液体ピストン圧縮機を用いて2つの流体間でエネルギを交換することができる。例えば、回転液体ピストン圧縮機572は、上述の冷凍システム内で2つの流体間でエネルギを交換するために使用可能である。流体ループ576内での過熱された気体の二酸化炭素574または2相気体/液体二酸化炭素混合物575の移送を低減しかつ/または、作動流体(すなわち過熱された二酸化炭素580)を循環させる流体ループ578に入るのを阻止する目的で、制御システム570は、作動流体580の流量率に応答して回転液体ピストン圧縮機572内への過熱された気体の二酸化炭素574の流量率を制御することができる。すなわち、過熱された気体の二酸化炭素574の流量率を制御することによって、制御システム570は、過熱された気体の二酸化炭素574が、回転液体ピストン圧縮機572を通って完全に流れて(すなわち図5に見られるチャネル70から完全に流れて)そして作動流体ループ578内へと流れるのを阻止および/または制限することができる。
【0074】
過熱された気体の二酸化炭素574の流量率を制御する目的で、制御システム570は、回転液体ピストン圧縮機572に入る過熱された気体の二酸化炭素574の量を制御する弁582を含む。センサ586および588は、過熱された気体の二酸化炭素574および作動流体580のそれぞれの流量率を検知し、流量率を標示する信号を発出する。すなわち、センサ586および588は、回転液体ピストン圧縮機572内への過熱された気体の二酸化炭素574および作動流体580のそれぞれの流量率を測定する。コントローラ584は、センサ586、588から信号を受信し処理して、過熱された気体の二酸化炭素574および作動流体580の流量率を検出する。
【0075】
検出された流量率に応答して、コントローラ584は、弁582を制御して、作動流体ループ578内への過熱された気体の二酸化炭素574の移送を阻止および/または削減する。例えば、コントローラ584がセンサ588により流量率低下を検出した場合、コントローラ584は、低下した流量率を、作動流体が回転液体ピストン圧縮機572内へ方向590でどれだけ深く入り込んだかに関連付けることができる。したがって、コントローラ584は、過熱された気体の二酸化炭素574を回転液体ピストン圧縮機572から方向592に出すことなく、作動流体580を回転液体ピストン圧縮機572から方向592に出す回転液体ピストン圧縮機572内への過熱された気体の二酸化炭素574の関連付けられた流量率を決定できる。換言すると、コントローラ584は、回転液体ピストン圧縮機572内への作動流体580の流量率が、過熱された気体の二酸化炭素574の流量率より大きくなるようにして、作動流体ループ578内への過熱された気体の二酸化炭素574の流量を阻止するように弁582を制御する。
【0076】
例示されているように、コントローラ584は、プロセッサ594およびメモリ596を含むことができる。例えば、プロセッサ594は、センサ586、588からの信号を処理し、それに応答して弁582の動作を制御するためのソフトウェアを実行するマイクロプロセッサであってよい。
【0077】
図21は、回転液体ピストン圧縮機622内の流体(例えば超臨界二酸化炭素、過熱された気体の二酸化炭素)の動きを制御する制御システム620の一実施形態の概略図である。以上で説明した通り、回転液体ピストン圧縮機またはポンプを用いて2つの流体間でエネルギを交換することができる。例えば、回転液体ピストン圧縮機622は、上述の冷凍システム内で2つの流体間でエネルギを交換するために使用可能である。流体ループ626内での過熱された気体の二酸化炭素624または2相気体/液体二酸化炭素混合物625の移送を削減しかつ/または、作動流体630(例えば過熱された二酸化炭素)を循環させる作動流体ループ628に入るのを阻止する目的で、制御システム620は、作動流体630の流量率および過熱された気体の二酸化炭素624の流量率に応答して回転液体ピストン圧縮機622内の回転子チャネル内部で二酸化炭素が軸方向に走行する距離を制御することができる。制御システム620は、回転液体ピストン圧縮機622の回転子の回転速度を減速または加速することによって駆動流体の動きを制御する。すなわち、回転速度を制御することによって、制御システム620は、過熱された気体の二酸化炭素624が、完全に回転液体ピストン圧縮機622を通って(すなわち、完全に、図5に見られるチャネル70を通って)そして作動流体ループ628内へと流れないように阻止および/または制限することができる。
【0078】
作動流体630と過熱された気体の二酸化炭素624の混合を削減する目的で、制御システム620は、モータ632を含む。モータ632は、回転子(例えば図5に見られる回転子46)の回転速度ひいては、過熱された気体の二酸化炭素624が回転子のチャネル内にどれほどの軸方向長さまで流入できるかを制御する。回転子が速く回転すればするほど、過熱された気体の二酸化炭素および作動流体が回転子のチャネル内に流入しなければならない時間は短かくなり、こうして過熱された気体の二酸化炭素/プロセス流体が占有する回転子チャネルの軸方向長さは短かくなる。同様に、回転子が低速で回転すればするほど、過熱された気体の二酸化炭素および作動流体が回転子のチャネル内に流入しなければならない時間は長くなり、こうして、過熱された気体の二酸化炭素/プロセス流体が占有する回転子チャネルの軸方向長さは長くなる。
【0079】
制御システム620は、モータを制御するための可変周波数ドライブおよび、過熱された気体の二酸化炭素624および作動流体630のそれぞれの流量率を検知し、流量率を標示する信号を発出するセンサ634および636を含んでいてよい。コントローラ638は、過熱された気体の二酸化炭素624および作動流体630の流量率を検出するための信号を受信し処理する。検出された流量率に応答して、コントローラ638は、作動流体ループ578内への過熱された気体の二酸化炭素624の移送を阻止および/または削減するためにモータ632の速度を制御するコマンド(command)を可変周波数ドライブに送る。例えば、コントローラ638が、センサ636を用いて作動流体630の流量率の低下を検出した場合、コントローラ638は、この流量率を、作動流体が回転液体ピストン圧縮機622のチャネル内へ方向640にどこまで移動したかを関連付けできる。したがって、コントローラ638は、回転液体ピストン圧縮機622から方向642に過熱された気体の二酸化炭素624を外へ出すことなく、回転液体ピストン圧縮機622から方向642に作動流体630を外へ出すモータ632の関連付けされた速度を決定することができる。
【0080】
過熱された気体の二酸化炭素に比べて作動流体の瞬間流量率が低いことに応答して、コントローラ638は、可変周波数ドライブを通してモータ632を制御し、回転液体ピストン圧縮機622の回転速度を上昇(すなわち毎分の回転数を増大)させて、回転液体ピストン圧縮機622のチャネルの内部で過熱された気体の二酸化炭素624が走行できる軸方向長さを短縮させる。同様にして、作動流体630の瞬間的流量率が、駆動流体に比べて過度に高い場合、コントローラ638は、回転液体ピストン圧縮機622の回転速度を削減して、作動流体630を回転液体ピストン圧縮機622から外に出すために回転液体ピストン圧縮機622のチャネル内へと過熱された気体の二酸化炭素624が走行する軸方向距離を増大させる。
【0081】
例示されているように、コントローラ638は、プロセッサ644およびメモリ646を含むことができる。例えば、プロセッサ644は、センサ634、636からの信号を処理し、それに応答してモータ632の動作を制御するためのソフトウェアを実行するマイクロプロセッサであってよい。
【0082】
以上で指摘したように、圧縮のほぼ全てが回転圧力交換器の内部で行われることから、一部の実施形態において、主圧縮機(例えばバルクフロー圧縮機)を完全にまたは部分的に削除することが可能である。例えば、圧縮機は、非常に低い差圧のガスブロワまたは、仕事を極めてわずかしか消費しない(それを横切るエンタルピー変化が非常にわずかであるため)循環ポンプにより置換可能である。図22Aは、(例えばバルクフロー圧縮機の代りに低流量且つ高DPのリークポンプ(leakage pump)および低DPで高流量の循環ポンプを有する)回転圧力交換器または回転液体ピストン圧縮機(LPC)902を有する冷凍システム900(例えば超臨界二酸化炭素冷凍システム)の一実施形態の概略図である。概して、冷凍システム900は図2中の冷凍システム800と類似している。
【0083】
描かれている通り、冷凍システム900は、第1の流体ループ904および第2の流体ループ906を含む。第1の流体ループ(高圧ループ)904は、ガス冷却器または凝縮器908、高圧、高流量、低DPの多相流(multi-phase)循環ポンプ909、および回転圧力交換器902の高圧側を含む。第2の流体ループ(低圧ループ)906は、蒸発器910(例えば冷却または熱負荷)、低圧、高流量、低DPの多相流循環ポンプ911および回転圧力交換器902の低圧側を含む。回転圧力交換器902は、高圧および低圧ループ904、906を流体結合する。さらに、低流量でありながら高DPで動作する多相流リークポンプ913は、低圧出口920から低圧で存在する圧力交換器902からのあらゆるリーク(leakage)を取り出し、それを、圧力交換器902の高圧入口914のすぐ上流側で、高圧ループ904内に戻す。高圧ループ904内の多相流ポンプ909は、ループ904内の小さな圧力損失を克服することにより、高圧ループ904内で必要とされる流量率の維持を保証する。ポンプ909を横切る差圧がさほど多く存在しないため、このポンプは非常にわずかなエネルギしか消費しない。この多相流ポンプ909内に入る流量は、ガス冷却器/凝縮器908の出口936からのものであり、超臨界状態、液体状態にあり得、あるいは、液体と蒸気の2相混合物であり得ると考えられる。ポンプ909を横切ってさほど大きな圧力上昇が存在しないため、ポンプ909から退出する流量は、そのとき圧力交換器902の高圧入口914に入る流入流量と同じ状態にあると考えられる。圧力変換器902の低圧出口920からの流量は、2相液体-蒸気状態または純粋な液体状態にあり得ると考えられる。
【0084】
低圧ループ906内の多相流ポンプ913は、冷媒のこのバルク低圧流量を、蒸発器910を通って循環させて圧力変換器902の低圧入口918に送る。多相流ポンプ913は同様に、それを横切る差圧(すなわち、システム内のあらゆる圧力損失を克服するのに充分なだけのもの)が極めてわずかにしか有さず、したがって、ポンプ913は、従来のバルクフロー高圧圧縮機と比べて極わずかなエネルギしか消費しない。低圧多相流ポンプ913は、蒸発器910を通って流量を循環させ、蒸発器910内で熱を獲得し、それ自体を純粋な蒸気状態またはより高い蒸気含有率の2相液体-蒸気混合物に変換する。この高蒸気含有率の流量は次に、圧力変換器902の低圧入口918に入り、高圧に加圧される。これによって、今度は、熱力学の標準的法則によって流体の温度も同様に上昇する。この高圧でより高温の流体は、その後、圧力変換器902の高圧出口922から退出する。高圧出口922から退出する流体は、超臨界状態にあり得るか、または、システムがどのように最適化されているかに応じて亜臨界状態でまたは、高い蒸気含有量を有する液体と蒸気の混合物として存在し得ると考えられる。この高圧、高温の冷媒は次に、高圧ループ904のガス冷却器/凝縮器908に入り、熱を周囲環境に放出する。熱を放出することによって、冷媒は、冷却する(超臨界状態にある場合)か、または液体状態に相を変化させる。高圧ループ904内の多相流ポンプ909は、このとき、この液体冷媒を受け入れ、それを先に説明した通り、高圧ループ904を通して循環させる。
【0085】
圧力変換器902内に内部リークが全く存在しない場合には、高圧ループ904は、恒常な高圧にとどまることになり、低圧ループ906は、恒常な低圧にとどまることになる。しかしながら、圧力変換器902の内部で高圧側から低圧側への内部リークが存在する場合には、高圧ループ904から低圧ループ906への流量の正味移動が存在すると考えられる。この移動を考慮しこのリーク流量を高圧ループ904内に圧送し戻すために、高差圧で低流量のリークポンプである第3の多相流ポンプ913が使用される。ポンプ913は、低圧で低圧ループ906内にリークするあらゆる余剰の流量を取り上げ、それを高圧ループ904へと圧送し戻して、それぞれのループ904、906内の質量平衡および圧力を維持する。低圧ループ906内で、圧力変換器902の低圧出口920と低圧多相流ポンプ911の入口の間に、三方弁915が配置されている。弁915は、流量を分割し、圧力変換器902の低圧出口920から来る余剰の流量だけを高DPの多相流ポンプ913に導くことを可能にする。ポンプ913は同様に、冷媒の圧縮可能性および圧力変換器902に入りここから離れる4つの流れの間の密度差に起因して、低圧出口920から来るあらゆる追加の流量の圧送をも可能にする。ポンプ913は同様に、低圧ループ906の圧力を恒常な低圧にそして高圧ループ904の圧力を恒常な高圧に維持するのを助ける。高圧多相流ポンプ909の出口と圧力変換器902の高圧入口94の間で、高圧ループ904内に別の三方弁917が配置される。弁917は、高DPの多相流ポンプ913に由来するリーク/余剰流量と、高圧多相流ポンプ909から来る高圧のバルク流量とを組合わせてから、圧力変換器902の高圧入口914内にそれを送ることを可能にする。多相流ポンプ913を横切る差圧は高いものであるものの、それが圧送しなければならない流量は、極わずかである(例えば、他の2つのポンプ909、911のいずれかを通って進むバルク流量のおよそ1~10パーセント)。したがって、ポンプ913のエネルギ消費量も同様に比較的低い。3つの多相流ポンプ909、911、913全てのエネルギ消費量を加算した場合、それはそれでもなお、システム内の最低圧力(すなわち蒸発器の圧力)からシステム内の最高圧力(すなわち凝縮器/ガス冷却器の圧力)まで、バルク流量全体を加圧するために使用される従来の圧縮機のエネルギ消費量よりもはるかに低いものであると思われる。これが、この構成の主要な利点である。
【0086】
図22Bは、バルク流圧縮機無しの冷凍システム923の別の実施形態を実証している。それは、圧力変換器902の低圧出口920から退出する(圧力変換器902の内部リークに起因するかまたは、先に説明した通り圧力変換器902に入るおよびこれから退出する4つの流れの圧縮可能性および密度差に起因する)あらゆる余剰流量が、バルブ低圧流量と共に蒸発器910を通って圧送され、高圧ループ904内に圧縮し戻される前に蒸気へと変換される、という点を除いて、図22Aに示されたシステム900と類似している。したがって、図22Aの高DPの低流量の多相流リークポンプ913は、図22Bに示されている通りの高DPの低流量のリーク圧縮機925によって置換される。リーク圧縮機(leakage compressor)925は、余剰流量を低圧蒸気状態から高圧蒸気状態へ、または超臨界状態へと圧縮した後で、高圧ループ904内に注入する。余剰流量のこの再注入の場所も同様に、図22A中のものに比べて異なっている。リーク圧縮機925から退出する蒸気状態または超臨界状態の冷媒は、(リーク圧縮機の出口圧力と同じ圧力にある)圧力変換器902の高圧出口922の下流側で注入される。図22Bに示されているように、低圧ループ906内のバルク流量からの余剰流量を、リーク圧縮機925を通って送る前に分割することを可能にするために、蒸発器910の下流側に三方弁927が配置される。同様にして、リーク圧縮機925から退出する高圧のリーク流量と圧力変換器922から退出する高圧のバルク流量との再組合せを可能にするため、圧力変換器902の下流側に三方弁929が配置される。この組合わされた高圧流量は、次に、先に説明した通り、ガス冷却器/凝縮器908へと進む。図22A中のものに比べたこの構成の利点は、それが、蒸発器910を通過する追加の流量(低圧出口920から来る余剰流量)に起因してサイクルに追加の熱吸収能力を提供するという点にある。一方で、このサイクルのエネルギ消費量は、リーク圧縮機925によって消費されるエネルギが多相流リークポンプ913によって消費されるエネルギよりもわずかに高くなるため、図22Aで示されたシステム900のものに比べてわずかに大きいものであると思われる。これは、冷媒が、多相流循環ポンプ913では部分的なまたは完全な液体状態で圧送されるのとは異なり、リーク圧縮機925においては完全に蒸気状態で高圧に圧縮されるからである。
【0087】
冷凍システム923内で発生する熱力学的プロセスは、図23および24を参照してさらに詳細に説明される。図23および24は、冷凍システム900の4つの主要構成要素において発生する熱力学的プロセスを示すため、それぞれ温度-エントロピ(T-S)線図926および圧力-エンタルピ(P-H)線図928を例示している。点1は、リーク圧縮機入口930を表わす(図22B参照)。点2は、リーク圧縮機出口932およびガス冷却器入口934を表わす。点3は、ガス冷却器出口936および回転圧力交換器902の高圧入口914を表わす。点4は、回転圧力交換器902の低圧出口920および蒸発器入口938を表わす。図23および24で例示されているように、リーク圧縮機932は、冷媒作動流体(例えば二酸化炭素)の圧力ひいては温度を環境よりも高い温度まで上昇させ、そこで、より高温の外部環境へと熱を放出することができる。これは、ガス冷却器908の内部で発生する。超臨界二酸化炭素システムのガス冷却器908においては、二酸化炭素が超臨界状態にあることから、相境界は存在せず、二酸化炭素は2相ドーム940の上方にある。したがって、二酸化炭素が熱を環境へと放出した時点で、温度は降下する。図23および24に例示されているように、ガス冷却器出口936における超臨界状態にある二酸化炭素は、高圧入口ポート914において回転圧力交換器902に入り、等エントロピまたは等エントロピに近い(およそ85パーセントの等エントロピ効率)膨張を受け、2相の気体-液体二酸化炭素混合物として回転圧力交換器902の低圧出口ポート920において退出する。点4にある2相の二酸化炭素は次に、蒸発器910内で熱を吸収する(プロセス4→1、恒常エンタルピプロセス)。全体として、線図926、928は、冷却能力の増大および圧縮機仕事負荷の低下に起因するサイクル効率のメリットを例示している。回転圧力交換器902内部の膨張は、等エントロピで発生することから、それは、蒸発器910から来る流体をシステム900内の全圧まで圧縮するために利用可能であるエンタルピ変化を創出する。これにより、バルクフロー圧縮機によって行なわれたはずのあらゆる仕事が著しく削減され、こうして、(著しく少ないエネルギしか消費しない)リーク圧縮機925によるその置換が可能となる。
【0088】
図25は、循環ポンプの代りに低DPの循環圧縮機を使用する冷凍システム931の概略図である。循環圧縮機は、システム900全体を通して流体流量を維持することによって、システム931内の最小圧力損失を克服する。このシステムと図22Aおよび図22Bに示されたシステム900、923の間の差異は、低圧ループ906および高圧ループ904内のバルク流量の循環が、低DPの多相流循環ポンプを使用する代りに低DPの循環圧縮機を使用して達成されることにある。同様に、これらの循環圧縮機の場所も異なっている。例えば、低圧ループ904内の循環圧縮機941(圧縮機1)は、蒸発器910が蒸気状態で冷媒を循環させるこの蒸発器の下流側に位置付けされている。同様にして、高圧ループ904内の循環圧縮機944(圧縮機2)は、圧力変換器902が超臨界状態または高圧蒸気状態で冷媒を循環させる圧力変換器の高圧出口922の下流側に位置付けされている。圧縮機3は、圧縮機925が蒸気状態で圧力変換器902から低圧ループ904に入る余剰流量(例えば圧力変換器902からのリーク流量)を取り上げ、それを高圧蒸気状態としてかまたは超臨界状態で高圧ループ904内へと圧縮し戻す、図22Bに関連して説明された高DPで低流量のリーク圧縮機925に類似している。この余剰流量は次に、ガス冷却器/凝縮器934へと進む前に、圧縮機944から来た高圧のバルク流量と組合わされる。第2の流体ループ906(例えば低圧流体ループ)に沿って配置された低DPの循環圧縮機941は、(例えば回転圧力交換器902とガス冷却器908の間で)ループ906に沿って流体流量を維持する。さらに、第1の流体ループ904(例えば高圧流体ループ)に沿って配置された低DPの循環圧縮機944は、(例えば蒸発器910と回転圧力交換器902の間で)ループ904に沿って流体流(fluid flow)を維持する。一部の実施形態において、冷凍システム931は、圧縮機925および941のみを含み得る。一部の実施形態において、冷凍システム900は、圧縮機944および941のみを含み得る。一部の実施形態において、圧縮機941、944は各々、以下でさらに詳細に指摘するように、それらを横切って、リーク圧縮機925よりも著しく低い差圧を有する。
【0089】
一部の実施形態において、(例えば図25の丸2に近くで)圧縮機925、944から退出する流量間の接合部に、三方弁が配置されている。この三方弁は、高圧分岐904内の高圧、高流量且つ低DPの循環圧縮機944とガス冷却器または凝縮器908の間に配置されており、ここで冷凍システム931の動作中、高DPで低流量のリーク圧縮機925からの第1の流量が、ガス冷却器または凝縮器908の入口934へと進む前に、高圧、高流量且つ低DPの循環圧縮機944から退出するバルク流量と組合わされる。高圧、高流量且つ低DPの循環圧縮機944は、回転圧力交換器902の高圧出口922とこの三方弁の間に配置されている。
【0090】
同様に、一部の実施形態においては、圧縮機925、941に向かって分岐する蒸発器910の下流側の接合部(例えば図25で円内の1の近く)に、別の三方弁が配置されている。この三方弁は、低圧分岐906内の蒸発器910と回転圧力交換器902の間に配置されており、ここで、冷凍システム931の動作中、蒸発器910から退出する流量の一部分が三方弁を通って、高DPで低流量のリーク圧縮機925の入口へと迂回させられ、流量の残りの部分は、回転圧力交換器902の低圧入口918へと進む。低圧、高流量且つ低DPの循環圧縮機は、この三方弁と回転圧力交換器902の低圧入口の間に配置される。
【0091】
従来の冷凍システム(すなわち、超臨界二酸化炭素冷凍システム)において、バルクフロー圧縮機は、毎分およそ113.56リットル(30ガロン)の流量率そしておよそ10,342kPa(1,500psi)の差圧で動作する。これらの動作条件を仮定すると、バルクフロー圧縮機は、およそ45,000(すなわち30×1,500psi)単位の力(すなわち行なわれた仕事または消費されたエネルギ)を必要とすると思われる。上述の冷凍システム900においては、低DPの循環圧縮機941および低DPの循環圧縮機944は(各々が、毎分およそ113.56リットル(30ガロン)の流量率そしておよそ68.9kPa(10psi)の差圧で動作すると仮定して)、各々、およそ300(すなわち30×10)単位の力を必要とすると思われる。リーク圧縮機925は(それが、およそ5.68リットル(1.5ガロン)の流量率およびおよそ10,342kPa(1,500psi)の差圧で動作すると仮定して)、およそ2,250(すなわち1.5×1,500)単位の力を必要とすると思われる。したがって、冷凍システム931内の圧縮機925、941、944は、およそ2,850単位の力を必要とすると思われる。したがって、圧縮機925、941、944は、バルクフロー圧縮機ベースのシステムに比べて、少なくとも10分の1(また、さらには最高15分の1)にエネルギ消費量を削減すると思われる。
【0092】
一部の実施形態において、冷凍システム931(リーク圧縮機925および低DPの循環圧縮機941、944のうちの1つ以上を有する)は、図18および19において上述されたスーパーマーケットのアーキテクチャにおいて使用され得る。
【0093】
図26および27は、従来のジュールトムソン膨張弁954も使用する回転圧力交換器ベースの超臨界二酸化炭素冷凍システムを使用するスーパーマーケットシステムアーキテクチャ950、952の2つの例を示している。概して、アーキテクチャは、膨張弁954の使用を除いて、図18および19中のものと類似している。さらに、アーキテクチャ950、952は、超臨界冷媒(例えば二酸化炭素)での使用のための熱交換器324としてガス冷却器を使用することに関連付けて論述されているものの、これらのアーキテクチャ950、952を、亜臨界冷媒(例えば二酸化炭素)での使用のための熱交換器324としての凝縮器と共に使用することも可能である。第1のアーキテクチャ950(図26)、(低圧出口305を介した)回転圧力交換器304からの2相低圧流出流(例えば、370psiなどの第1の中間圧にある二酸化炭素気体/液体混合物)は、気相と液相(両方共、例えば370psiでフラッシュタンクから退出する)を分離するフラッシュタンク306を通って進む。二酸化炭素液相は、低温(例えばおよそ摂氏-20℃)および中温(例えばおよそ-4℃)の熱負荷/蒸発器308、310(例えばそれぞれスーパーマーケットの冷凍庫セクションおよび冷蔵庫セクション)まで輸送され、ここで二酸化炭素液相は熱を取込み過熱状態になる。これは2相気相/液相というよりはむしろ純粋に液相であることから、より大きな熱吸収(すなわち冷却)能力を有する。二酸化炭素液相は、例えば370psiで中温蒸発器310に入り、一方、炭素液相は、流量制御弁312を通って流れた後、例えば180psiで低温蒸発器308に入る。流量制御弁312は(例えば、コントローラからの制御信号に応えて)、蒸発器308に対する液体二酸化炭素の流量を調節することができる。冷凍庫セクション308からの過熱された二酸化炭素の蒸気(180psiの低圧にある)は、次に低温圧縮機316(ここでそれは例えば370psiで退出する)へと進んだ後、冷蔵庫セクション310からの過熱された二酸化炭素の蒸気(例えば370psiにある)と、そして同じ圧力にあるフラッシュタンク306内の気体/液体混合物から分離された分離済みの過熱された気相の二酸化炭素と、再び一体化する。制御弁318(例えばフラッシュガス制御弁)が(例えばコントローラからの制御信号に応答して)、フラッシュタンク306から流れる過熱された気体の二酸化炭素の流量を調節し得る。この再度一体化された過熱された気体の二酸化炭素は、次に、低圧入口ポート320で回転圧力交換器304に入り、第2の中間圧(例えば500psi)まで圧縮される。過熱された気体の二酸化炭素は、(高圧出口322を介して)回転圧力交換器304から退出し、中温圧縮機330まで進み、ここで過熱された気体の二酸化炭素は、システム要件に応じてシステム内の最高圧力(例えば1,300psi)まで圧縮され、超臨界二酸化炭素へと変換される。超臨界二酸化炭素はその後、最高圧で熱交換器324(例えばガス冷却器)まで進み、ここで環境へ熱を放出し、冷却する。一部の実施形態において、熱交換器324は、亜臨界二酸化炭素で使用される気体凝縮器である。ガス冷却器324から、超臨界二酸化炭素(例えば1,300psiにある)は、高圧ジュールトムソン弁954を通って流れ、ここで超臨界二酸化炭素は、二酸化炭素気体/液体混合物(例えば第2の中間圧、例えば500psiにある)へと変換される。二酸化炭素気体/液体混合物は、回転圧力交換器304の高圧入口326内に流入する。
【0094】
図27中のアーキテクチャ952は、図26中のアーキテクチャ950からわずかに変動する。詳細には、図27中で描かれているように、二酸化炭素気体/液体混合物(第2の中間圧、例えば500psiにある)は、純粋な二酸化炭素気体または蒸気および液体への分離のためにフラッシュタンク306内に流入する。フラッシュタンク306からの二酸化炭素気体は、回転圧力交換器304の高圧入口326内に流入するが、一方フラッシュタンクからの二酸化炭素液体は、低温および中温蒸発器308、310内へ低圧内に流入する。圧力変換器304の低圧入口305から退出する2相気体液体CO2混合物は、中温蒸発器310と同じ圧力で退出し、中温蒸発器310および低温圧縮機316から退出する流体流(fluid stream)と組合わされた後に、圧力変換器304の低圧入口320に入る。同様に、流量制御弁314は、中温蒸発器310の上流側に配置されている。
【0095】
本発明は、さまざまな修正および変形形態を受ける可能性があるものの、図面では一例として具体的実施形態が示されており、本明細書中で説明されている。しかしながら、本発明は開示されている特定の形態に限定するべく意図されていないということを理解すべきである。むしろ、本発明は、以下の添付クレームによって定義されている本発明の精神および範囲に入る全ての修正、等価物および変形形態を網羅すべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2023-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
本発明は、さまざまな修正および変形形態を受ける可能性があるものの、図面では一例として具体的実施形態が示されており、本明細書中で説明されている。しかしながら、本発明は開示されている特定の形態に限定するべく意図されていないということを理解すべきである。むしろ、本発明は、以下の添付クレームによって定義されている本発明の精神および範囲に入る全ての修正、等価物および変形形態を網羅すべきものである。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で前記冷媒を循環させるための第2の低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された蒸発器であって、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、蒸発器と;
前記冷媒の圧力を低圧から高圧へと上昇させるように構成された圧縮機またはポンプと;
前記低圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記低圧分岐から低圧の前記冷媒を受け入れ、かつ高圧の前記冷媒と低圧の前記冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の前記冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
[態様2]
前記冷媒が二酸化炭素を含む、態様1に記載の冷凍システム。
[態様3]
前記回転圧力交換器が、前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記受け入れた冷媒を、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の冷媒へと圧縮することを可能にし、かつ前記超臨界状態または前記亜臨界状態にある高圧の前記受け入れた冷媒を、前記液体と蒸気の2相混合物または前記液体状態にある低圧の冷媒へと膨張させることを可能にするように構成されている、態様1または2に記載の冷凍システム。
[態様4]
前記蒸発器が前記回転圧力交換器から下流側に配置されており、前記蒸発器が、前記液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒を受け入れ、前記液体と蒸気の2相混合物を飽和蒸気または過熱蒸気に変換することを可能にするように構成されている。態様3に記載の冷凍システム。
[態様5]
前記低圧および高圧分岐に流体結合された前記圧縮機を含む、態様1ないし4のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
[態様6]
前記蒸発器が、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の第1の部分を前記回転圧力交換器に提供し、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の第2の部分を前記圧縮機に提供するように構成されており、前記蒸気状態にある低圧の前記冷媒の前記第1および第2の部分が、過熱蒸気を含む、態様5に記載の冷凍システム。
[態様7]
前記回転圧力交換器が、前記超臨界状態にある高圧の前記冷媒を、等エントロピ膨張または準等エントロピ膨張を介して、液体と蒸気の2相混合物である低圧の前記冷媒へと膨張させるように構成されている、態様1ないし6のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
[態様8]
前記回転圧力交換器が、前記冷凍システムの冷却能力を増大させ前記圧縮機の仕事要件を削減するために、ジュールトムソン膨張弁の代りに使用される、態様1ないし7のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
[態様9]
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器であって、前記第1の蒸発器が第1の温度で動作するように構成されており、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、蒸発器と;
第1の中間圧で中を通って前記冷媒を循環させるための第1の中間圧分岐と;
前記第1の中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器であって、第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されている第2の蒸発器と;
第2の中間圧で中を通って前記冷媒を循環させるための第2の中間圧分岐であって、前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒の第1の中間圧が、前記低圧分岐および前記第2の中間圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒の前記第1の中間圧が、前記第2の蒸発器における飽和圧力に等しく、前記第2の中間圧分岐内の冷媒の前記第2の中間圧が、前記高圧分岐および前記第1の中間圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にある、第2の中間圧分岐と;
前記第2の中間圧で動作し、前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクと;
前記第2の中間圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記第2の中間圧分岐から、前記蒸気状態、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記第2の中間圧の前記冷媒を受け入れ、かつ前記高圧の冷媒と前記第2の中間圧の冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、前記超臨界状態または前記亜臨界状態にある前記高圧の冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記第2の中間圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
[態様10]
前記フラッシュタンクおよび第1の蒸発器の下流側に位置設定された第1の圧縮機を含み、前記第1の圧縮機が第1の温度で動作し、前記第1の圧縮機が、前記第1の蒸発器からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を受け入れ、かつ前記第1の中間圧まで前記冷媒を加圧するように構成されている、態様9に記載の冷凍システム。
[態様11]
前記第1の圧縮機および第2の蒸発器の下流側に位置設定された第2の圧縮機を含み、前記第2の圧縮機が第2の温度で動作し、前記第2の圧縮機が、前記第1の圧縮機および前記第2の蒸発器の両方からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である冷媒を受け入れ、かつ前記高圧まで前記冷媒を加圧するように構成されている、態様10に記載の冷凍システム。
[態様12]
分離済み液体冷媒が前記低圧に達した後、前記第1の蒸発器まで流れるように、前記フラッシュタンクからの分離済み液体冷媒の流量を調節するように構成されている第1の弁を含む、態様9ないし11のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
[態様13]
前記分離済み液体冷媒が前記第1の中間圧に達した後、前記フラッシュタンクから前記第2の蒸発器までの前記分離済み液体冷媒の流量を調節するように構成されている第2の弁を含む、態様12に記載の冷凍システム。
[態様14]
前記回転圧力交換器の入口への前記第2の中間圧での前記フラッシュタンクからの分離済み蒸気冷媒の流量を調節するように構成された第3の弁を含む、態様13に記載の冷凍システム。
[態様15]
前記冷媒が二酸化炭素を含む、態様9ないし14のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
[態様16]
冷凍システムにおいて、
中を通して高圧で冷媒を循環させるための高圧分岐と;
前記高圧分岐に沿って配置されたガス冷却器または凝縮器であって、前記高圧分岐が前記ガス冷却器または前記凝縮器を介して高圧の前記冷媒から周囲環境に熱を放出するように構成されており、高圧の前記冷媒が超臨界状態または亜臨界状態にある、ガス冷却器または凝縮器と;
中を通して低圧で冷媒を循環させるための低圧分岐と;
前記低圧分岐に沿って配置された第1の蒸発器であって、第1の温度で動作するように構成されており、前記低圧分岐が、蒸発器を介して前記周囲環境から低圧の前記冷媒内に熱を吸収するように構成されており、低圧の前記冷媒が液体状態、蒸気状態にあるかまたは液体と蒸気の2相混合物である、第1の蒸発器と;
中を通って中間圧で前記冷媒を循環させるための中間圧分岐と;
前記中間圧分岐に沿って配置された第2の蒸発器であって、前記第1の温度よりも高い第2の温度で動作するように構成されており、前記中間圧分岐内の前記冷媒の中間圧が、前記高圧分岐と前記低圧分岐内の前記冷媒のそれぞれの圧力の間にあり、前記中間圧分岐内の前記冷媒の前記中間圧が第2の蒸発器における飽和圧力に等しい、第2の蒸発器と;
前記中間圧で動作しかつ前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を純粋な液体および純粋な蒸気へと分離するように構成されたフラッシュタンクと;
前記中間圧分岐および前記高圧分岐に流体結合された回転圧力交換器であって、前記高圧分岐から高圧の前記冷媒を受け入れ、前記中間圧分岐から、前記蒸気状態、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記中間圧の前記冷媒を受け入れ、かつ高圧の前記冷媒と前記中間圧の前記冷媒の間で圧力を交換するように構成されており、前記回転圧力交換器からの第1の退出流が、超臨界状態または亜臨界状態にある高圧の前記冷媒を含み、前記回転圧力交換器からの第2の退出流が、前記液体状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である中間圧の前記冷媒を含んでいる、回転圧力交換器と;
を含む冷凍システム。
[態様17]
前記回転圧力交換器を退出する前記超臨界状態または亜臨界状態にある前記冷媒を受け入れ、前記冷媒を前記高圧まで加圧するように構成されている低差圧の圧縮機を含む、態様16に記載の冷凍システム。
[態様18]
前記フラッシュタンクと前記第1の蒸発器の下流側に位置設定された圧縮機を含み、前記第1の圧縮機が前記第1の温度で動作し、前記圧縮機が、前記第1の蒸発器からの前記蒸気状態にあるかまたは前記液体と蒸気の2相混合物である前記冷媒を受け入れ、前記回転圧力交換器のために前記冷媒を前記中間圧まで加圧するように構成されている、態様17に記載の冷凍システム。
[態様19]
前記回転圧力交換器の入口までの前記中間圧にある前記フラッシュタンクからの分離済み蒸気冷媒の流量を調節するように構成されている弁を含む、態様18に記載の冷凍システム。
[態様20]
前記冷媒が二酸化炭素を含む、態様16ないし19のいずれか一態様に記載の冷凍システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体冷却器または凝縮器から第1の流体を受け入れるように構成された第1の入口と;
蒸発器から第2の流体を受け入れるように構成された第2の入口と;
前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成された回転子と;
液体状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の状態で前記第1の流体を出力するように構成された第1の出口と;
超臨界状態または亜臨界状態で前記第2の流体を出力するように構成されている第2の出口と;
を含回転圧力交換器
を含む冷凍システム。
【請求項2】
前記回転圧力交換器がさらに、ハウジングを含み、前記回転子または1つ以上のセンサが、前記ハウジング内に配置されている、請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記第1の入口が、前記1つ以上のセンサからのセンサデータに基づいて、第1の流量率で前記第1の流体を受け入れるためのものである、請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記第2の入口が、前記1つ以上のセンサからのセンサデータに基づいて、第2の流量率で前記第2の流体を受け入れるためのものである、請求項に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記1つ以上のセンサが、温度センサまたは圧力センサ1つ以上含む、請求項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記第1の流体および前記第2の流体が二酸化炭素である、請求項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記第2の入口がさらに、フラッシュガス制御弁を介してフラッシュタンクから前記第2の流体を受け入れるように構成されており、前記第1の入口が第1の圧力で前記第1の流体を受け入れるように構成されており、前記第2の入口が、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力で前記第2の流体を受け入れるように構成されている、請求項に記載の冷凍システム。
【請求項8】
メモリと;
前記メモリに結合されたプロセッサであって:
複数のセンサからセンサデータを受信し;
前記センサデータの少なくとも第1の部分に基づいて、気体冷却器または凝縮器から回転圧力交換器への第1の流体の第1の流量率を制御し;
前記センサデータの少なくとも第2の部分に基づいて、蒸発器から前記回転圧力交換器への第2の流体の第2の流量率を制御する;
プロセッサと;
を含むシステムであって、前記回転圧力交換器の回転子が、前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成されており前記第1の体が、液体状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の状態で前記回転圧力交換器から退出するようになっており前記第2の体が、超臨界状態または亜臨界状態で前記回転圧力交換器から退出するようになっている、システム。
【請求項9】
前記複数のセンサが、温度センサまたは圧力センサのうちの1つ以上を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つが、前記回転圧力交換器のハウジング内に配置されている、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、1つ以上の弁を介して、前記第1の流量率および前記第2の流量率を制御する、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の流体および前記第2の流体が二酸化炭素である、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサがさらに、フラッシュガス制御弁を介して、フラッシュタンクから前記回転圧力交換器への前記第2の流体の第3の流量率を制御する、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の流量率にある前記第1の流体が、第1の圧力で前記回転圧力交換器に入るようになっており、前記第2の流量率および前記第3の流量率からの前記第2の流体は、組合わさって、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力で前記回転圧力交換器に入るようになっている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
複数のセンサからセンサデータを受信するステップと;
前記センサデータの少なくとも第1の部分に基づいて、気体冷却器または凝縮器から回転圧力交換器への第1の流体の第1の流量率を制御するステップと;
前記センサデータの少なくとも第2の部分に基づいて、蒸発器から前記回転圧力交換器への第2の流体の第2の流量率を制御するステップと;
を含む方法であって、前記回転圧力交換器の回転子が、前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成されており、前記第1の流体が、液体状態でまたは液体と蒸気の2相混合物の状態で前記回転圧力交換器から退出するようになっており、前記第2の流体が、超臨界状態または亜臨界状態で前記回転圧力交換器から退出するようになっている、方法。
【請求項16】
前記複数のセンサが、温度センサまたは圧力センサのうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つが、前記回転圧力交換器のハウジング内に配置されている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の流量率および前記第2の流量率の制御が1つ以上の弁を介したものである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の流体および前記第2の流体が二酸化炭素である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
フラッシュガス制御弁を介して、フラッシュタンクから前記回転圧力交換器への前記第2の流体の第3の流量率を制御するステップをさらに含み、前記第1の流量率にある前記第1の流体が、第1の圧力で前記回転圧力交換器に入るようになっており、前記第2の流量率および前記第3の流量率からの前記第2の流体は、組合わさって、前記第1の圧力よりも小さい第2の圧力で前記回転圧力交換器に入るようになっている、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】