(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ジェットポンプ用のノズル装置およびジェットポンプ
(51)【国際特許分類】
F04F 5/16 20060101AFI20230726BHJP
F04F 5/24 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
F04F5/16
F04F5/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501242
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021065702
(87)【国際公開番号】W WO2022008162
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102020118330.5
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】キンティー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, ダビッド
(72)【発明者】
【氏名】ギャブリー, ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】サジャック, ミカル
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA17
3H079AA23
3H079CC03
3H079DD03
(57)【要約】
本発明は、駆動ノズルと第1吸引ノズルとを備え、第1吸引ノズルが駆動ノズルの半径方向外側に配置され、駆動ノズルを通る流体の流れが第1吸引ノズルを通る流体の流れを駆動するようにノズル装置が設計されている、ジェットポンプ用のノズル装置に関するものである。本発明は、また、対応するノズル装置を含むジェットポンプに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットポンプ用のノズル装置であって、
駆動ノズル(10)と第1吸引ノズル(1)とを備え、
該第1吸引ノズル(1)が、前記駆動ノズル(10)の半径方向外側に配置され、
前記駆動ノズル(10)を通る流体の流れが、前記第1吸引ノズル(1)を通る流体を駆動するように設計されているノズル装置。
【請求項2】
前記第1吸引ノズル(1)が、前記駆動ノズル(10)の周りに同心円状に配置され、かつ/または、前記第1吸引ノズル(1)が、軸対称の容積を備える請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記駆動ノズル(10)および前記第1吸引ノズル(1)の下流に、第1混合管(3)が設けられている請求項1または請求項2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記第1混合管(3)が、該第1混合管(3)の下流端に、第1ディフューザステージ(31)を備える請求項3に記載のノズル装置。
【請求項5】
前記第1混合管(3)の下流に、第2吸引ノズル(2)が配置され、前記第1混合管(3)を通る流体の流れが、前記第2吸引ノズル(2)を通る流体を駆動するように設計され、かつ/または、前記第2吸引ノズル(2)が、前記第1混合管(3)の周りに同心円状に配置され、かつ/または、前記第2吸引ノズル(2)が軸対称の容積を備える請求項3または請求項4に記載のノズル装置。
【請求項6】
前記第1混合管(3)および前記第2吸引ノズル(2)の下流に、第2混合管(4)が設けられている請求項5に記載のノズル装置。
【請求項7】
前記第2混合管(4)が、該第2混合管(4)の下流端に、第2ディフューザステージ(41)を備える請求項6に記載のノズル装置。
【請求項8】
第1流体が、前記駆動ノズルを通って流れ、第2流体が前記第1吸引ノズル(1)および/または第2吸引ノズル(2)を通って流れ、
前記第1流体および前記第2流体が、同じ種類の流体であるか、または、前記第1流体および前記第2流体が、異なる種類の流体である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のノズル装置。
【請求項9】
前記第1流体が気体であり、前記第2流体が気体であり、かつ/または、前記第2流体が液体である請求項8に記載のノズル装置。
【請求項10】
少なくとも1つの請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のノズル装置を備えるジェットポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ノズルと第1吸引ノズルとを備え、第1吸引ノズルが駆動ノズルの半径方向外側に配置され、駆動ノズルを通る流体の流れが第1吸引ノズルを通る流体の流れを駆動するように設計されている、ジェットポンプ用のノズル装置に関するものである。また、本発明は、対応するノズル装置を備えるジェットポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジェットポンプは、一次駆動流体の流れによって二次流体の流れを発生させるために使用される。一次駆動流体は、例えば、ポンプによって加速され、二次流体と接触するように導かれる。2つの流体の間の速度勾配および圧力勾配により、第2流体が第1流体の流れによって確実に加速される。したがって、ジェットポンプにおいて、第2流体の流れは第1流体の流れによって駆動される。
【0003】
ジェットポンプは、単段ジェットポンプとして設計されてもよく、複数のポンプステージとノズルとを備える多段ジェットポンプとして設計されてもよい。ジェットポンプの主な欠点は、一次駆動流体の高速噴流とほぼ停滞した二次流体との混合に起因する効率の低さである。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、既知のジェットポンプおよびジェットポンプノズル形状と比較して優れた効率を示す、改良されたジェットポンプおよび改良されたジェットポンプノズル形状を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に係るノズル装置、および請求項10に係るジェットポンプによって達成され、ジェットポンプは、少なくとも1つのそのようなノズル装置を備える。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明によれば、ジェットポンプ用のノズル装置が提供され、前記ノズル装置は、駆動ノズルと第1吸引ノズルとを備え、第1吸引ノズルは、駆動ノズルの半径方向外側に配置され、ノズル装置は、駆動ノズルを通る流体の流れが第1吸引ノズルを通る流体の流れを駆動するように設計されている。簡単な実施形態において、駆動ノズルの出口は、駆動ノズルの低圧かつ高速の流体の流れが第1吸引ノズルの流体と相互作用するように、第1吸引ノズルの出口に十分に近い位置に配置されてもよい。
【0007】
第1吸引ノズルは、噴流と吸引質量との間、または、駆動ノズルを通る流体の流れと第1吸引ノズルまたはさらなる吸引ノズルを通る流体の流れとの間の界面におけるせん断応力が減少するように位置決めされていてもよい。これは、上記において定義されたせん断応力が、流体粘度と速度勾配との積であるという事実に関連している。後者は、当業者に公知のジェットポンプにおいて非常に大きくなることがある。高いせん断応力は、乱流の発生につながり、その結果、一次エネルギの散逸につながり、これが、公知のジェットポンプの低効率の理由である。本発明のジェットポンプおよびノズル装置は、2つ以上の質量の流れまたは流体の流れの混合が誘導されるときに、せん断応力が低減されるため、強化されたジェットポンプ効率を提供する。
【0008】
本発明の好ましい実施形態において、ノズル装置は、第1吸引ノズルが駆動ノズルの周りに同心円状に配置され、かつ/または、第1吸引ノズルがトロイダル状の容積のような軸対称の容積を備えるように設計することができる。駆動ノズルおよび/または第1吸引ノズルは、特に、一方のノズルまたは両方のノズルの中心軸周りに、回転対称となる特徴を有するノズル壁部を備えていてもよい。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態において、ノズル装置は、第1混合管が駆動ノズルおよび第1吸引ノズルの下流に設けられるように設計することができる。第1混合管は、第1吸引ノズルの外壁に接続されてもよい。特に、第1混合管と第1吸引ノズルの外壁とは、一体で作られていてもよい。第1混合管、駆動ノズルおよび第1吸引ノズルは、互いに同軸に配置されていてもよい。
【0010】
本発明の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第1混合管が、第1混合管の下流端に第1ディフューザステージを構成するように設計することができる。第1ディフューザステージは、第1ディフューザステージのさらに上流に配置される第1混合管の部分よりも大きな横断面積を特徴としてもよい。第1混合管の第1ディフューザステージは、第1混合管の他の部分および/または駆動ノズルおよび/または第1吸引ノズルと同心円状に配置されてもよい。
【0011】
本発明の別の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第2吸引ノズルが第1混合管の下流に配置されるように設計され、ノズル装置は、第1混合管を通る流体の流れが第2吸引ノズルを通る流体を駆動するように設計され、かつ/または、第2吸引ノズルが第1混合管の周りに同心円状に配置され、かつ/または、第2吸引ノズルが軸対称の容積を備えている。第2吸引ノズルの設計および機能は、適用可能な場合には、第1吸引ノズルに関して説明したような特徴を備えていてもよい。
【0012】
特に、第2吸引ノズルは、第1混合管の低圧かつ高速の流体の流れが第2吸引ノズルの流体と相互作用し得るように、第1混合管の出口に十分に近接して配置されてもよい。第2吸引ノズルは、噴流と吸引質量または第1混合管を通る流体の流れと第2吸引ノズルを通る流体の流れとの間の界面におけるせん断応力が減少するように配置されてもよい。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第2混合管が、第1混合管および第2吸引ノズルの下流に設けられるように設計することができる。第2混合管は、第2吸引ノズルの外壁に接続されてもよい。特に、第2混合管と第2吸引ノズルの外壁とは、一体で作られていてもよい。第2混合管、第1混合管、駆動ノズル、および/または、第1および第2吸引ノズルは、互いに同軸に配置されてもよい。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第2混合管が、第2混合管の下流端に第2ディフューザステージを備えるように設計されてもよい。第2ディフューザステージは、第2ディフューザステージのさらに上流に配置される第2混合管の部分よりも大きな横断面積を特徴としてもよい。第2ディフューザステージは、第2混合管の他の部分、および/または駆動ノズル、および/または第1および/または第2吸引ノズルと同心円状に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第1流体が駆動ノズルを通って流れ、第2流体が第1および/または第2吸引ノズルを通って流れ、第1および第2流体が同じ種類の流体であり、または第1および第2流体が異なる種類の流体であるように設計されてもよい。駆動ノズルを通って流れる第1流体は、駆動流体とみなされてもよい。第1流体および第2流体は、同じ流体源から供給されてもよいし、異なる分離された流体源から供給されてもよい。
【0016】
本発明の特に好ましい実施形態において、ノズル装置は、第1流体が気体であり、第2流体が気体であり、かつ/または第2流体が液体であるように設計されてもよい。一般に、本発明のノズル設計は、液体および/または気体の任意の適切な組合せで使用されてもよい。流体の一方または両方として気体が使用される場合には、空気、燃料蒸気、燃焼ガスおよびそれらの混合物が、流体のいずれかとして選択されてもよい。
【0017】
本発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の少なくとも1つのノズル装置を備えるジェットポンプにも向けられている。ジェットポンプという用語は、ノズル装置に加えて、さらなる構成要素を備えると理解されてもよい。そのようなさらなる構成要素は、電源、圧力源、制御装置、電子接続、流体接続、1つまたは複数の流体源および/または流体導管を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更なる詳細および利点は、図に示される実施形態を参照して説明される。
【
図1】1つの駆動ノズルと2つの吸引ノズルとを備えるノズル装置である。
【
図2a】技術水準におけるノズル装置の概略図である。
【
図2b】技術水準におけるノズル装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、ジェットポンプ用のノズル装置を示す。ジェットポンプという用語は、広義に理解され、
図1に示される実際のノズル形状以外の任意のさらなる追加的な構成要素を備えていてもよい。ノズル装置は、駆動ノズル10と第1吸引ノズル1とを備え、第1吸引ノズル1は、駆動ノズル10の半径方向外側に配置され、ノズル装置は、駆動ノズル10を通る流体の流れが第1吸引ノズル1を通る流体を駆動するように設計されている。ノズル装置は、中心線Cの周りに配置されてもよい。特に、ノズル装置は、中心線Cに関して少なくとも部分的に対称であってもよい。
【0020】
第1吸引ノズル1は、駆動ノズル10の周囲に同心円状に配置されてもよい。駆動ノズル10は、円形の横断面を有し、円筒形の導管部分を備えていてもよい。これに代えてまたはこれに加えて、駆動ノズル10は、非円筒形状の導管部分を備えていてもよい。第1吸引ノズル1は、軸対称の容積または軸対称の導管部分を備えていてもよい。駆動ノズル10の導管部分は、少なくとも部分的に、第1吸引ノズル1の導管部分内に配置されていてもよい。これらの場合において、ノズル装置は、中心線Cに沿った少なくともいくつかの位置において、中心線Cを中心とする回転対称性を示していてもよい。
【0021】
これに代えて、ノズル装置は、中心線Cを含み、
図1の投影平面に対して垂直な平面について反射対称性を示してもよい。この場合には、吸引ノズル1および駆動ノズル10は、例えば、直方体またはそれに近い導管部分を備えていてもよい。さらに、ノズル装置は、上記において定義された平面について反射対称性を示さないかもしれないが、それでも、専らまたは少なくとも部分的に直方体形状の導管部分を備えていてもよい。導管部分という用語は、現在、半径方向において固体壁によって境界付けられている導管部分を指すと理解されてもよい。固体壁は、導管部分の円周方向において導管部分を完全に取り囲んでいてもよい。
【0022】
駆動ノズル10および第1吸引ノズル1の導管部分は、第1壁11によって少なくとも部分的に分離されていてもよい。第1壁11は、円錐形部分と、円錐形部分に直接接続された少なくとも1つの円筒形部分とを備えていてもよい。
【0023】
第1壁11の右端または下流端は、駆動ノズル10の出口部分とみなされてもよく、この部分において、駆動ノズル10の第1流体が第1吸引ノズル1の第2流体と出会い、第2流体が第1流体によって駆動されるように、2つの流体が互いに相互作用する。第1壁11の内側は、駆動ノズル10を完全に取り囲んでいてもよく、したがって、それ自体で駆動ノズル10の横断面積および形状を定義することができる。第1壁11の外側は、第1吸引ノズル1の内側の境界を定義していてもよい。第1壁11の内側および外側は、互いに平行またはほぼ平行である表面を備えていてもよい。特に、第1壁11は、少なくとも1つの円筒形部分、または流れ方向に沿って一定の横断面積を有する部分を備えていてもよい。これは、特に、第1壁11の最も下流側の部分または最も下流側の部分に近い部分に適用される。第1壁11のこれらの2つの側面のこの密接な位置合わせは、駆動ノズル10を通る流れの流線と第1吸引ノズル1を通る流れの流線とが、一緒に流れるとき、または、互いに出会うときに、互いに平行またはほぼ平行になることを保証している。
【0024】
駆動ノズル10の出口部分の下流には、第1混合管3が設けられている。流体の流れ方向は、ノズル装置の左側および上側にある3つの矢印によって示されている。中心線Cの周囲およびその近くにおいて、
図1における概略の流れ方向は左から右である。したがって、構成要素の下流位置は、
図1におけるノズル装置の構成要素の右側に見出される。
【0025】
したがって、第1混合管3は、駆動ノズル10および第1吸引ノズル1の下流に設けられる。混合管3の直径または横断面積は、駆動ノズル10と第1吸引ノズル1との合計体積の流れを収容することができるように選択されてもよい。
【0026】
第1混合管3は、第2壁32によって境界付けられてもよく、かつ/または、第1混合管3は、部分的または全体的に円筒形の導管部分を備えていてもよい。第1混合管3の長さは、混合管3の幅または直径の2倍~5倍になるように選択されてもよい。特に、混合管3の長さは、混合管3の幅または直径の2.5倍~4倍になるように選択されてもよい。
【0027】
第1混合管3は、第1混合管3の下流端に第1ディフューザステージ31を備えるように設計されてもよい。第1ディフューザステージ31は、第1混合管3の他の、特に上流側の部分よりも大きな横断面積、直径または幅のものであってよい。第1ディフューザステージ31は、第1混合管3の最も下流側の部分であってもよいし、最も下流側の部分に近いものであってもよい。第1混合管3および第1ディフューザステージ31は、第2壁32によって一体的に形成されていてもよい。
【0028】
第1ディフューザステージ31は、第1混合管3の下流に配置される第2吸引ノズル2に近接していてもよく、またはその一部であってもよく、ノズル装置は、第1混合管3を通る流体の流れが第2吸引ノズル2を通る流体を駆動するように設計され、かつ/または第2吸引ノズル2が第1混合管3の周りに同心円状に配置されており、かつ/または第2吸引ノズル2が内壁および外壁により境界付けられた軸対称の容積を備えていてもよい。
【0029】
図1の実施形態に示すように、本ノズル装置は、多数の吸引ノズル1,2および/または駆動ノズル10を備える1段または複数段のノズル装置であってもよい。したがって、第1混合管3の最も下流の部分、特に第1混合管3の出口部分は、第2吸引ノズル2を通る流体を駆動するための他の駆動ノズルまたは他の駆動ノズルの一部と見なされてもよい。
【0030】
第2吸引ノズル2の形状は、中心線Cの周りの回転対称性または上述の第1吸引ノズル1の反射対称性に類似した反射対称性を示すという点で、第1吸引ノズル1の形状に対応していてもよい。これに代えて、上述したような非対称の実施形態も可能である。さらに、第2吸引ノズル2を境界付ける壁、すなわち、第2吸引ノズル2の内側の第2壁32と第2吸引ノズル2の外側の他の壁とは、第2吸引ノズル2を通る流れを、第1混合管3を通る流れに密接に整列させるように配向されてもよい。特に、第2吸引ノズル2は、第2吸引ノズル2を通る流体の流れの速度ベクトルが、第1混合管3を通る流体の流れの速度ベクトルに、方向および大きさにおいて近づくように設けられてもよい。したがって、第2吸引ノズル2の境界壁は、第1混合管3を通る流れと第2吸引ノズル2を通る流れとが最小限の損失のみで一緒に混合するように、混合管3を通る流れ方向に対して平行であり、かつ/または角度付けされてもよい。
【0031】
第1混合管3および第2吸引ノズル2の下流に、第2混合管4が設けられてもよい。第2混合管4は、第2混合管4の下流端に設けられた円筒状の導管部分および/または第2ディフューザステージ41を備えていてもよい。第2混合管4の下流端は、流体導管に接続され、または接続可能であってもよい。
【0032】
ノズル装置の動作中に、駆動ノズル10には第1流体が流れ、第1吸引ノズル1および/または第2吸引ノズル2には第2流体が流れ、第1流体および第2流体は同じ種類の流体であり、または第1流体および第2流体は異なる種類の流体である。駆動ノズル10の第1流体は、吸引ノズル1,2を流れる流体を駆動し、流体は、気体および/または液体であってよい。
【0033】
第1吸引ノズル1、または2つ以上の吸引ノズル1,2は、環状の駆動ノズル10を囲む、または、少なくとも部分的にさらなる駆動ノズルを囲む、環状のノズルまたは環状に近いノズルであってもよい。駆動ノズル10は、同心円状に囲まれてもよいし、別の方法で囲まれてもよい。駆動ノズル10は、駆動空気ノズルであってもよい。ノズル装置は、内燃機関のターボチャージャと共に使用されてもよい。この場合には、ノズル装置は、例えば、燃料タンクから内燃機関へガスを送り込むためのジェットポンプの一部と見なされてもよい。
【0034】
本発明のノズルは、隣接するノズルの流速および/または流れ方向が可能な限り近似するように設計されてもよい。特に、ノズルは、駆動ノズル10を出る第1流体の流れの流れ方向および/または速度が、第1および/または第2吸引ノズル1,2を出る第2流体の流れと可能な限り近似するように設計されてもよい。
【0035】
本発明のノズル装置および対応するジェットポンプは、実質的に、少なくとも1つの追加の吸引ノズル1,2を提供し、駆動流と混合する前に吸引流の流速を増大させる。追加の吸引ノズル1,2は、少なくとも2つの流体の流れ、すなわち、第1および第2流体の流れの混合中における乱流の発生を効果的に減少させる。その結果、ポンプの動力および効率が向上する。
【0036】
動力は、駆動ノズルにおいて加速され、それに対応して高速かつ低圧の流体噴流を発生させる駆動質量流の形で対応するジェットポンプに供給される。発生した低圧は、吸引質量流をポンプまたはノズル装置内に引き込むために利用され、駆動流すなわち第1流体の流れと混合される。駆動質量流または第1流体の流れと、吸引質量流または第2流体の流れとは、流れの圧力を増加させる1つ以上のディフューザステージ31,41を通過した後にポンプまたはノズル装置から離れる。
【0037】
ジェットポンプの主な利点の1つは、可動部品を必要としないその単純な設計である。主な欠点は、高速噴流とほぼ停滞した流体との混合に起因するそのようなポンプの低効率を含んでいる。
【0038】
図2aは、当技術分野において知られている典型的なジェットポンプの流れの形態を示す概略図である。
図2bは、対応する流体の流れの簡略化して表現したものである。
図2aに示すように、高速の噴流は、典型的には非常に低い速度を有する吸引質量流を引き込む駆動ノズル10によって生成される。
【0039】
図2bは、典型的なジェットポンプの流れを理想的に表現したものである。低速の吸引質量流は、短い水平の矢印によって示されている。この流れは、長い水平の矢印によって示された高速噴流と混合される。図中の大きな速度勾配は高いせん断応力をもたらす。
図2bに示した流れは、噴流の方向、すなわち、水平方向の流れ成分のみを考慮したものである。
【0040】
噴流と吸引質量流との界面、または第1流体の流れと第2流体の流れとの界面におけるせん断応力τは、それぞれ対応する流体の流れの速度勾配に伴って増加する。後者は、2つの流体の速度の差が大きいため、通常、非常に大きくなる。高いせん断応力は乱流の発生につながり、これが一次エネルギの散逸につながり、それによって、ジェットポンプの効率が低くなる。ジェットポンプの効率を上げるには、2つの流れが混合されることによって発生するせん断応力を低減させる必要がある。噴流速度は必要なポンプ圧力によって決まるため、界面のせん断応力を低減するには、吸引流の流速を噴流方向に増加させるしかない。
【0041】
図3a,3bは、ジェットポンプの流れの形態を示し、吸引流が噴流との混合前に加速され、それによって、速度勾配を減少させている。これにより、せん断応力が減少し、乱流の発生量とエネルギの散逸量が減少する。その結果、エネルギ損失が少なくなり、ジェットポンプの効率が向上する。
図3aにおいて、ジェットポンプまたはノズル装置は、駆動ノズル10と、吸引流のための第1吸引ノズル1とを備えている。
図3bは、対応する流れを理想的に表現したものである。吸引流の速度は短い水平の矢印によって示され、噴流の流速は長い水平の矢印によって示されている。
図2bに比べ、長さの差、つまり速度の差が小さくなっていることがわかる。したがって、せん断応力は小さくなっている。上述と同様に、
図3bに示す流れは、噴流の方向、すなわち水平方向の流れ成分のみを考慮したものである。吸引ノズル1,2は、第2流体の流れが第1流体の流れに対して平行方向または非常に小さな角度で近づくように、第2流体の流れを導くように設計されてもよい。この効果を達成するために、吸引ノズル1,2は、対応する角度のついた境界を備えていてもよい。
【0042】
本発明は、特に、自動車のクランクケースおよび燃料タンクの換気に使用される。ブローバイや燃料蒸発のため、これらの部品は、現行の排気ガス規制を達成するために、対応するジェットポンプを使用して換気される必要がある。ここで、内燃機関に供給される空気は、駆動流体または第1流体として使用されてもよい。供給される空気は、例えば、ターボチャージャまたはコンプレッサからの圧縮空気であってもよい。本発明は、エンジンのアイドリングおよび全開運転時に、これらの部品を換気するための高性能な手段を提供し、その結果、低い駆動圧力および高い駆動圧力を得ることができる。同時に、本発明は、エンジンの全開時の駆動用空気または駆動流体の消費量が少ないジェットポンプを提供する。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態や特徴のいずれにも限定されるものではない。本発明は、説明した実施形態の様々な追加や変更を備えていてもよい。
【0044】
構造的な詳細、空間的な配置、および手順的なステップを含む、請求項、説明および図面から生じるすべての特徴および利点は、個別および最も多様な組合せの両方において、本発明に本質的なものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 第1吸引ノズル
2 第2吸引ノズル
3 第1混合管
4 第2混合管
10 駆動ノズル
11 第1壁
31 第1ディフューザステージ
32 第2壁
41 第2ディフューザステージ
C 中心線
【国際調査報告】