(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】炎症の治療のために超音波刺激を用いて臓器を標的設定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20230726BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230726BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230726BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20230726BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20230726BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20230726BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20230726BHJP
A61B 5/389 20210101ALI20230726BHJP
A61B 8/08 20060101ALI20230726BHJP
A61B 5/346 20210101ALI20230726BHJP
【FI】
A61N7/00
A61B5/08
A61B5/11 200
A61B5/113
A61B5/1455
A61B8/14
A61B5/33 100
A61B5/33 210
A61B5/389
A61B8/08
A61B5/346
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501620
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021041221
(87)【国際公開番号】W WO2022011327
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523009757
【氏名又は名称】セカンドウェーブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SecondWave Systems,Inc.
【住所又は居所原語表記】2380 Commercial Boulevard State College PA 16801 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ザックス,ダニエル,ピー
(72)【発明者】
【氏名】バルドワージ,アヌジ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイマン,ジェフレイ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,カシュヤプ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,クレア
(72)【発明者】
【氏名】バジル,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ハバート,ヒョンギル
(72)【発明者】
【氏名】オレラナ,ジェラルド,ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
4C160
4C601
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038SS08
4C038VA04
4C038VB35
4C038VC09
4C127AA02
4C127BB05
4C127LL04
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ36
4C160JJ50
4C160MM32
4C601DD14
4C601DD19
4C601DE06
4C601JC09
(57)【要約】
被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るための方法は、被験者の体内の臓器の場所を求め、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む。方法は以下のように実施される、即ち、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るための方法であって、
被験者の体内の臓器の場所を求め、
着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む、方法。
【請求項2】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、
前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、
前記被験者の体と関連付けられた加速度計からのバイオセンサデータを取得することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることは、
前記加速度計からのバイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、
前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることは、
データベースの相関データに基づいて、前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、
被験者の体と関連付けられたパルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求めることは、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、
前記被験者の呼吸状態に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、
被験者の体と関連付けられた呼吸計から前記バイオセンサデータを取得することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求めることは、
前記バイオセンサデータに基づいて、前記被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、
前記被験者の体位が座っていることであり、且つ前記被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、前記着用型超音波装置を用いて、前記被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、
前記着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、
前記被験者の体と関連付けられた、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求めることは、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、
前記被験者の呼吸状態に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、
被験者の体と関連付けられた呼吸計から前記バイオセンサデータを取得することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求めることは、
前記バイオセンサデータに基づいて、前記被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、
前記被験者の体位が座っていることであり、且つ前記被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、前記着用型超音波装置を用いて、前記被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、
前記着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所の画像を非侵襲的に生成することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の肋骨の場所を検出し、
前記被験者の体内の前記肋骨の場所を避けるように、前記着用型超音波装置の出力を調整し、
前記着用型超音波装置の調整された出力に基づいて、前記被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項1に記載の方法
【請求項23】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記着用型超音波装置を用いた臓器のエラストグラフィ測定に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記着用型超音波装置を用いた臓器の超音波分解境界検出に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記着用型超音波装置を用いて、臓器と関連した血管または神経の少なくとも一方の超音波検出に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求め、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体と関連付けられた前記着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから最初のバイオセンサデータを収集し、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体内の臓器の場所の、前記最初のバイオセンサデータとの相関を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
前記被験者の体内の臓器の場所の、前記最初のバイオセンサデータとの相関をデータベースに格納することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
被験者の動きの間に被験者の体内の臓器の場所を求めることは、
被験者の体と関連付けられた前記着用型超音波装置、前記加速度計、前記パルスオキシメータ、前記呼吸計、前記EMG電極、又は前記EKG電極の少なくとも1つから追加のバイオセンサデータを収集し、
前記追加のバイオセンサデータ及び前記データベースに格納された前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求め、
求められた場所に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送ることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記臓器が脾臓である、請求項1~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るためのシステムであって、
着用型超音波装置を含み、その着用型超音波装置は、
被験者の体内の前記臓器の場所を求め、
前記被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように構成されている、システム。
【請求項31】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、
前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、
前記被験者の体と関連付けられた加速度計からのバイオセンサデータを取得するように更に構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求める際に、
前記加速度計からのバイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、
前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求める際に、
データベースの相関データに基づいて、前記バイオセンサデータと前記被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めるように更に構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、
被験者の体と関連付けられたパルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得するように更に構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求める際に、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断するように更に構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記着用型超音波装置は、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、
前記被験者の呼吸状態に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、
被験者の体と関連付けられた呼吸計から前記バイオセンサデータを取得するように更に構成されている、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求める際に、
前記バイオセンサデータに基づいて、前記被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断するように更に構成されている、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記着用型超音波装置は、前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、
前記被験者の体位が座っていることであり、且つ前記被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、前記着用型超音波装置を用いて、前記被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記着用型超音波装置は、前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、
前記着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、
前記被験者の体と関連付けられた、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得するように更に構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求める際に、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断するように更に構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記着用型超音波装置は、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、
前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、
前記被験者の呼吸状態に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、
被験者の体と関連付けられた呼吸計から前記バイオセンサデータを取得するように更に構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記着用型超音波装置は、前記バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求める際に、
前記バイオセンサデータに基づいて、前記被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断するように更に構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記着用型超音波装置は、前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、
前記被験者の体位が座っていることであり、且つ前記被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、前記着用型超音波装置を用いて、前記被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記着用型超音波装置は、前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、
前記着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項50】
前記着用型超音波装置は、前記非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所の画像を非侵襲的に生成するように更に構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記着用型超音波装置は、前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の肋骨の場所を検出し、
前記被験者の体内の前記肋骨の場所を避けるように、前記着用型超音波装置の出力を調整し、
前記着用型超音波装置の調整された出力に基づいて、前記被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項52】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記着用型超音波装置を用いた臓器のエラストグラフィ測定に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項53】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記着用型超音波装置を用いた臓器の超音波分解境界検出に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項54】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記着用型超音波装置を用いて、臓器と関連した血管または神経の少なくとも一方の超音波検出に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項55】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求め、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体と関連付けられた前記着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから最初のバイオセンサデータを収集し、
被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体内の臓器の場所の、前記最初のバイオセンサデータとの相関を生成するように更に構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項56】
前記着用型超音波装置は、前記被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
前記被験者の体内の臓器の場所の、前記最初のバイオセンサデータとの相関をデータベースに格納するように更に構成されている、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記着用型超音波装置は、被験者の動きの間に被験者の体内の臓器の場所を求める際に、
被験者の体と関連付けられた前記着用型超音波装置、前記加速度計、前記パルスオキシメータ、前記呼吸計、前記EMG電極、又は前記EKG電極の少なくとも1つから追加のバイオセンサデータを収集し、
前記追加のバイオセンサデータ及び前記データベースに格納された前記相関に基づいて、前記被験者の体内の臓器の場所を求め、
求められた場所に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送るように更に構成されている、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記臓器が脾臓である、請求項30~57の何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年7月10日に出願された米国特許出願第63/050383号に基づき且つその優先権を主張しており、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
急性炎症疾患および慢性炎症性疾患は、サイトカインを阻害する又は免疫系を抑制することにより、炎症を全身的に及び無差別に軽減する(抑える)調合薬を用いて、治療され得る。これら抗炎症薬は、関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、大腸炎、腎疾患、心臓疾患および他の炎症性疾患を治療するために使用され得る。また、これら抗炎症薬は、敗血症またはウイルスに起因して生じるような、感染症に関連した不快な症状または更に致命的な症状を治療するためにも使用され得る。しかしながら、一部の患者は、初期治療に反応しない場合があり、患者の病気を管理するために幾つかの異なる薬剤またはそれらの組み合わせを探し出す場合がある。更に、これら医薬品は、たくさんの中程度から重度の副作用と関連付けられ得る。
【0003】
発明の概要
従って、急性炎症疾患および慢性炎症性疾患を治療するための新たなシステム、方法および装置が望まれている。
【0004】
一態様は、被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るための方法を提供し、その方法は、被験者の体内の臓器の場所を求め;着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含む。
【0005】
方法の様々な態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0006】
方法の幾つかの態様において、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、被験者の体と関連付けられた加速度計からのバイオセンサデータを取得することを含むことができる。
【0007】
方法の他の態様において、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることは、加速度計からのバイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0008】
方法の特定の他の態様において、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることは、データベースの相関データに基づいて、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めることを含むことができる。
【0009】
方法の様々な態様において、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、被験者の体と関連付けられたパルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得することを含むことができる。
【0010】
方法の幾つかの態様において、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求めることは、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断することを含むことができる。
【0011】
方法の特定の態様において、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、被験者の呼吸状態に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0012】
方法の幾つかの他の態様において、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、被験者の体と関連付けられた呼吸計からバイオセンサデータを取得することを含むことができる。
【0013】
方法の他の態様において、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求めることは、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断することを含むことができる。
【0014】
方法の様々な態様において、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、被験者の体位が座っていることであり、且つ被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0015】
方法の幾つかの態様において、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0016】
方法の特定の態様において、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、被験者の体と関連付けられた、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得することを含むことができる。
【0017】
方法の幾つかの態様において、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求めることは、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断することを含むことができる。
【0018】
方法の幾つかの他の態様において、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、被験者の呼吸状態に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0019】
方法の特定の態様において、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得することは、被験者の体と関連付けられた呼吸計からバイオセンサデータを取得することを含むことができる。
【0020】
方法の様々な態様において、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求めることは、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断することを含むことができる。
【0021】
方法の特定の態様において、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、被験者の体位が座っていることであり、且つ被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0022】
方法の特定の態様において、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることは、着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0023】
方法の幾つかの態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0024】
方法の他の態様において、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所の画像を非侵襲的に生成することを含むことができる。
【0025】
方法の特定の態様において、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の肋骨の場所を検出し、被験者の体内の肋骨の場所を避けるように、着用型超音波装置の出力を調整し、着用型超音波装置の調整された出力に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0026】
方法の幾つかの態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、着用型超音波装置を用いた臓器のエラストグラフィ測定に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0027】
方法の特定の態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、着用型超音波装置を用いた臓器の超音波分解境界検出に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0028】
方法の特定の態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、着用型超音波装置を用いて、臓器と関連した血管または神経の少なくとも一方の超音波検出に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めることを含むことができる。
【0029】
方法の特定の態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求め、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体と関連付けられた着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから最初のバイオセンサデータを収集し、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体内の臓器の場所の、最初のバイオセンサデータとの相関を生成することを含むことができる。
【0030】
方法の特定の態様において、被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体内の臓器の場所の、最初のバイオセンサデータとの相関をデータベースに格納することを含むことができる。
【0031】
方法の幾つかの態様において、被験者の動きの間に被験者の体内の臓器の場所を求めることは、被験者の体と関連付けられた着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから追加のバイオセンサデータを収集し、追加のバイオセンサデータ及びデータベースに格納された相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求め、求められた場所に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送ることを含むことができる。
【0032】
方法の様々な態様において、臓器は脾臓であることができる。
【0033】
別の態様は、被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るためのシステムを提供し、そのシステムは、着用型超音波装置を含み、その着用型超音波装置は、被験者の体内の前記臓器の場所を求め;被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように構成されている。
【0034】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0035】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、被験者の体と関連付けられた加速度計からのバイオセンサデータを取得するように更に構成され得る。
【0036】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求める際に、加速度計からのバイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求め、相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0037】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求める際に、データベースの相関データに基づいて、バイオセンサデータと被験者の体内の臓器の場所との間の相関を求めるように更に構成され得る。
【0038】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、被験者の体と関連付けられたパルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得するように更に構成され得る。
【0039】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求める際に、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断するように更に構成され得る。
【0040】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、被験者の呼吸状態に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0041】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、被験者の体と関連付けられた呼吸計からバイオセンサデータを取得するように更に構成され得る。
【0042】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求める際に、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断するように更に構成され得る。
【0043】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、被験者の体位が座っていることであり、且つ被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る。
【0044】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る。
【0045】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、被験者の体と関連付けられた、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つからバイオセンサデータを取得するように更に構成され得る。
【0046】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体位を求める際に、バイオセンサデータに基づいて、被験者の体が立っているか、座っているか、動いているか、又は横になっているかを判断するように更に構成され得る。
【0047】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、臓器の動きの間に、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得し、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求め、被験者の呼吸状態に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0048】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサからのバイオセンサデータを取得する際に、被験者の体と関連付けられた呼吸計からバイオセンサデータを取得するように更に構成され得る。
【0049】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態を求める際に、バイオセンサデータに基づいて、被験者の呼吸状態が速い呼吸であるか又はゆっくりな呼吸であるかを判断するように更に構成され得る。
【0050】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、被験者の体位が座っていることであり、且つ被験者の呼吸状態がゆっくりな呼吸であるという判断に基づいて、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る。
【0051】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送る際に、着用型超音波装置を用いて、少なくとも9分間、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る。
【0052】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0053】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所の画像を非侵襲的に生成するように更に構成され得る。
【0054】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の肋骨の場所を検出し、被験者の体内の肋骨の場所を避けるように、着用型超音波装置の出力を調整し、着用型超音波装置の調整された出力に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る。
【0055】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、着用型超音波装置を用いた臓器のエラストグラフィ測定に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0056】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、着用型超音波装置を用いた臓器の超音波分解境界検出に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0057】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、着用型超音波装置を用いて、臓器と関連した血管または神経の少なくとも一方の超音波検出に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求めるように更に構成され得る。
【0058】
システムの特定の態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、非侵襲性画像診断モダリティを用いて、被験者の体内の臓器の場所を求め、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体と関連付けられた着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから最初のバイオセンサデータを収集し、被験者の体の複数の位置のそれぞれに関して、被験者の体内の臓器の場所の、最初のバイオセンサデータとの相関を生成するように更に構成され得る。
【0059】
システムの様々な態様において、着用型超音波装置は、被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体内の臓器の場所の、最初のバイオセンサデータとの相関をデータベースに格納するように更に構成され得る。
【0060】
システムの幾つかの態様において、着用型超音波装置は、被験者の動きの間に被験者の体内の臓器の場所を求める際に、被験者の体と関連付けられた着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EMG電極、又はEKG電極の少なくとも1つから追加のバイオセンサデータを収集し、追加のバイオセンサデータ及びデータベースに格納された相関に基づいて、被験者の体内の臓器の場所を求め、求められた場所に基づいて、被験者の体内の臓器に超音波エネルギーを送るように更に構成され得る、
【0061】
システムの様々な態様において、臓器は脾臓であることができる。
【0062】
開示された内容の様々な目的、特徴および利点は、開示された内容に関する以下の詳細な説明を参照して、以下の図面と関連して考察する際に、更に十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】呼吸中に脾臓が如何にして動くかを示す、脾臓の一対の重ね合わされた超音波画像を示す図である。
【0064】
【
図2】加速度計が呼吸量および呼吸数を正確に追跡することを示す、加速度計および呼吸計からの記録を示す図である。
【0065】
【
図3】脾臓の動きが加速度計により正確に測定され得ることを示すデータを示す。パネルAは、男性の通常の呼吸の検出を示し、パネルBは、男性の深呼吸の検出を示し、パネルCは、女性の通常の呼吸の検出を示し、パネルDは、女性の深呼吸の検出を示す。
【0066】
【
図4】加速度計の信号が、異なる体位のシグネチャと移行を生成することを示す図である。
【0067】
【
図5】加速度計が胴上の5つの異なる場所から呼吸運動および脾臓の動きを追跡することができることを示す図である。
【0068】
【
図6】
図5に示されたような胴上の5つの異なる場所のそれぞれと関連付けられた加速度計の記録を示し、この場合、被験者は加速度計の各位置で3回呼吸した。
【0069】
【
図7】呼吸運動および脾臓の動きを異なる向きで追跡するために、如何にして加速度計が使用され得るかを示す図である。
【0070】
【
図8】パルスオキシメトリ及び心電図記録法が、加速度計から得られたデータと一致し、呼吸状態と相関するデータを如何にして生成するかを示す図である。
【0071】
【
図9A】着用型超音波装置の位置および肋骨の検出手順を示し、被験者の胸郭上の着用型超音波装置の透視図である。
【
図9B】着用型超音波装置の位置および肋骨の検出手順を示し、脾臓S、肋骨R、及び着用型超音波装置Wの場所を示す被験者の胸部の断面図である。
【
図9C】着用型超音波装置の位置および肋骨の検出手順を示し、肋骨へ向けて超音波エネルギーを放出する着用型装置の図である。
【
図9D】着用型超音波装置の位置および肋骨の検出手順を示し、着用型装置の方へ戻るように反射されている超音波エネルギーの図である。
【
図9E】着用型超音波装置の位置および肋骨の検出手順を示し、肋骨の検出に基づいて超音波ビームを調整した後に、脾臓へ向けて超音波エネルギーを放出する着用型装置の図である。
【0072】
【
図10A】被験者の胸において、脾臓へ向けて超音波エネルギーのビームを送る着用型超音波装置を示す図である。
【
図10B】超音波エネルギーのビームを上方(矢印)へ操向する着用型超音波装置を示す図である。
【
図10C】超音波エネルギーのビームを下方(矢印)へ操向する着用型超音波装置を示す図である。
【0073】
【
図11】開示された内容の幾つかの実施形態に従って、被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るためのシステムの一例を示す図である。
【0074】
【
図12】開示された内容の幾つかの実施形態に従って、コンピューティング装置およびサーバを実現するために使用され得るハードウェアの一例を示す図である。
【0075】
【
図13】開示された内容の幾つかの実施形態に従って、被験者の臓器へ向けて超音波エネルギーを送るためのプロセスの一例を示す図である。
【0076】
【
図14】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図15】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図16】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図17】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図18】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図19】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図20】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図21】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図22】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図23】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【
図24】被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、超音波画像診断を用いて、脾臓の場所が被験者において如何にして追跡されて特徴付けられ得るかに関する例を示す図である。
【0077】
【
図25】異なる向き/位置に関連する加速度計の信号が三次元空間(即ち、x軸、y軸およびz軸)における異なる方向において脾臓の動きを追跡または予測することができることを例証するデータを示す図である。
【0078】
詳細な説明
開示された内容の幾つかの実施形態に従って、臓器(器官)に超音波エネルギーを向ける(送る)ためのメカニズム(システム、方法および媒体を含むことができる)が提供される。
【0079】
末梢神経(例えば、迷走神経)及び末端器官(即ち、神経伝導経路の末端にある器官)が多くの異なる健康問題を治療するために刺激される、生体電子工学による医学分野の研究がある。例えば、最近の研究は、侵襲的(例えば、埋め込まれた電極を介して)迷走神経の電気刺激が関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、大腸炎、腎疾患、心臓疾患、糖尿病、心肺機能蘇生(CPR)に関連した傷害、虚血再かん流傷害、敗血症、ウイルス感染などを治療することができることを示す。更に、脾臓は、迷走神経により調整される抗炎症作用を生じるための重要な要素であり得ることが示され、それは脾臓において、サイトカイン産生および炎症細胞の移動が調整され得ることである。
【0080】
それでもやはり、迷走神経を電気的に刺激することは、多くの病気を治療するために使用されているが、この手法には欠点が存在する場合がある。迷走神経は、体内の多数の臓器または構成(即ち、心臓、肺、肝臓、胃、腎臓、腸、膵臓、リンパ節、及び脾臓)に接続されており、その結果、迷走神経を電気的に刺激することは、意図されていない下流効果という結果になる可能性がある。リウマチ性関節炎を治療するために埋込み型迷走神経刺激装置を用いた1つの最近の臨床研究において、患者によって報告された副作用のリストには、倦怠感、発声困難、感覚鈍麻、目まい、吐き気、便秘、呼吸困難、及び頭痛が含まれていた。
【0081】
幾つかの生体電子工学は、体内の免疫反応を変更する又は免疫反応と相互作用するために、脾臓のような、迷走神経路の末端器官の1つを刺激するという目的で非侵襲性の超音波を使用する。迷走神経の電気刺激の間中、脾臓の超音波刺激を用いることには多くの利点がある。この非侵襲性の刺激モダリティは、電気刺激装置の埋め込みの必要がなく且つ体内の残りの臓器を刺激せずに、迷走神経の電気刺激を用いて誘発されるものと同様の抗炎症作用をもたらすことができる。脾臓の超音波刺激は、副作用を大いに軽減しながら、広範囲の病気に抗炎症療法を提供する可能性を有する。しかしながら、最も効果的な治療結果を提供するために、脾臓(又は他の意図された臓器)に又は脾臓神経の投射野内に超音波を集束させ且つ腹部の隣接する臓器または間質に集束させないことが有用である場合がある。それでもやはり、超音波を集束させることは、脾臓が人によって異なる解剖学的位置と深さ(体形、大きさ、体位、及び解剖学的変異を含むパラメータに基づいて)にあるので、困難なタスクになる可能性がある。更に、脾臓の1つの面は、横隔膜(隔壁、隔膜)に面しているので、脾臓は、一般的な呼吸中にほぼ一定に動いており、それにより脾臓の連続した標的設定が困難になる。
【0082】
本開示の様々な実施形態は、2021年5月3日に出願され、「Wearable Focused Ultrasound Phased Array Device for Neuromodulation」と題する係属中の国際出願PCT/US21/30464に開示されたような着用型装置を用いて実施されることができ、当該国際出願は、参照により全体として組み込まれる。本開示の実施形態は、説明されたような所望の内科的治療を提供するために、係属中の国際出願PCT/US21/30464に説明された1つ又は複数の実施形態と連係して使用され得る。
【0083】
本開示は、異なる被験者および体位にわたって、並びに呼吸運動および体の動きに起因した一般的な脾臓の動きの間に、臓器の標的設定のためのシステム及び方法を提供することにより、脾臓および他の臓器(例えば、肝臓、膵臓または胃)を標的設定することに関する前述の課題に対処する。幾つかの制限しない実施形態において、脾臓を首尾よく標的設定するために使用され得る多数の新規なバイオセンサのフィードバック信号およびメカニズムが本明細書に開示される。本開示の実施形態は、着用型の非侵襲性超音波治療装置に脾臓の標的設定を組み込むための多数の方法を含む。説明される実施形態は、広範囲の炎症性疾患(例えば、クローン病、敗血症、急性腎傷害、関節炎、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、大腸炎、腎臓病、心臓疾患、心肺機能蘇生(CPR)に関連した傷害、虚血再かん流傷害、敗血症、ウイルス感染、及び他の炎症性疾患)を治療するために、並びに神経調節系(例えば、インスリン放出制御による糖尿病、痛み及び関連した症状(例えば、頭蓋顔面痛、片頭痛、手根管疾患、座骨神経痛、下背部痛および上背部痛)に対する末梢神経の刺激/抑制、及び骨盤の健康障害(例えば、過活動膀胱および失禁))の治療に適用され得る。
【0084】
様々な開示された実施形態は、例示的な臓器として脾臓を使用するが、本明細書に開示された手順は一般に、腹部臓器を含む様々な臓器で使用するために適用可能であり、その理由は、様々な臓器が、脾臓に類似した方法で超音波療法によって場所を見つけられ、追跡され、及び標的設定され得るからである。脾臓のような腹部臓器は、腹腔内で臓器の或る程度の動きを可能にする筋膜によって体に取り付けられ、腹部臓器のこの動きは、被験者の動き(例えば、歩行、ランニングなど)の結果として、並びに横隔膜の動き(例えば、呼吸中)から生じる可能性がある。脾臓に関して本明細書で示されているので、他の臓器の場所と動き(例えば、腹部臓器および/または胸郭器官)は、超音波治療が施されている間に、臓器に超音波エネルギーを適切に向けるために治療前および治療中に、特徴付けられて求められ得る。また、開示された手順に対する他の変更も、胸部または腹部内の他の臓器の場所(例えば、着用型装置が胴部領域の周りの異なる場所に配置され得る)、並びに被験者の呼吸または他の動きの間に臓器の移動または動く傾向を考慮するために行われることができ、当該変更は、当業者のレベル内である。
【0085】
バイオセンサのフィードバック
【0086】
1.脾臓が呼吸中に予測可能な方法で動くことが判定されて、脾臓の動きが異なる体位および呼吸の深さの間に測定された(
図1の例を参照)。これは、吸気時に遠位で脾臓を押し動かす横隔膜に起因している(画像の右側へ、頭部は左側にあり、足は右側にある)。我々は、脾臓の超音波画像診断ビデオを分析することにより、表1に要約されたように、これらの状況に関して脾臓の動きを特徴付けることができた。脾臓は、通常の呼吸中に比べて大きな呼吸中に、はるかに大きな距離を移動する場合がある(例えば、体位に応じて、63%~142%以上)。例えば、座位において、脾臓は、通常の安静時の呼吸中に11.1mm動いたと測定されたが、大きな深呼吸中には26.9mm動いたと測定された。更に、皮膚の表面の下の脾臓の深さは、異なる体位に関して変動する場合があり、幾つかの体位において、脾臓は、吸入中により深くなった(表1を参照)。
【表1】
【0087】
2.胸に固定された加速度計センサが呼吸を追跡することができる。呼吸計測センサベルト(呼吸量を測定するために使用される)及び胸に固定された加速度計(正確な胸の動きを測定するために使用される)からの同時記録は、呼吸量と呼吸数が加速度計により記録された動きに非常に良く一致することを実証する(
図2)。
【0088】
3.胸に固定された加速度計センサは、呼吸に起因した脾臓の動きを測定することができる。脾臓の超音波画像診断が実施され、胸に固定された加速度計から同時に記録された。これは、呼吸に起因した加速度計の動きが脾臓の動きに直接的に相関していることを示した(
図3のA~D、表2~表5)。男性および女性の被験者からの合計で33回の呼吸が分析され、加速度計により求められた際の呼吸の谷から頂点までの測定値が、超音波画像診断により求められた際の息を吐くことから息を吸うことの脾臓の動きに厳密に一致した。事実上、超音波画像診断により記録された際の脾臓の動きと、加速度計により求められた際の脾臓の動き(各場合に吸気時間により示されるように)との間の平均差は、例えば0.10秒~0.18秒の範囲にわたることができ、表2~表5に示されたように、0.11秒~0.17秒の範囲にわたる標準偏差を有する。更に、脾臓の動きの時間と共に、脾臓が移動した距離(例えば、超音波画像診断を用いて測定されたような、
図1)の組み合わせ(
図3のA~D、表2~表5)は、脾臓の動きの速度を求めるために使用され、この場合、この速度は、動きの間に脾臓を正確に標的設定するために使用され得る。例えば、男性被験者の安静時の呼吸に関して、脾臓の動きの速度が9.83mm/sであると求められ、その情報は、超音波刺激中に脾臓を追跡するための手順の一部として使用され得る。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0089】
4.胸に固定された加速度計センサは、異なる体位および体位間の移行を検出することができる。
図4は、各体位が、加速度計を着用している被験者の体位を特定するために使用され得る一意の加速度測定のシグネチャと関連付けられることを示す。胸に固定された加速度計を有する人が体位を変更する場合、これらの体位のシグネチャは、検出され得る(立っている、座っている、仰向けに寝ている[背臥位]、右側に寝ている、うつぶせに寝ている[腹臥位])。脾臓の動きがこれらの体位のそれぞれに対して一意であることを示す表1からの実施形態とペアにする場合、加速度計は、体位と一意の脾臓の動きの軌跡を求めるために使用され得る。
【0090】
5.呼吸と脾臓の動きを記録するために使用され得る、胴上の加速度計の5つの配置はそれぞれ、
図5において「X」でマーキングされる。即ち、
【0091】
1)肋骨縁上の配置(胸郭の縁上)
【0092】
2)脇の配置(脾臓の上)
【0093】
3)胸筋の上
【0094】
4)下側腹部上
【0095】
5)鎖骨領域上
【0096】
図6は、胴の5つの位置のそれぞれにおいて配置された際の加速度計と関連付けられた加速度測定記録を示し、それは3回の呼吸中に記録された。呼吸は、これらの位置のそれぞれにおいて明確に検出されることができた。
【0097】
6.加速度計は、異なる向きにおいて呼吸と脾臓の動きを追跡するために使用されることができ、結果として、加速度計は、特定の向きで被験者に取り付けられる必要がない。加速度計は、垂直位置で胸に貼り付けられることができ、又は最初の垂直の向きに対して新たな角度に回転することができ、加速度計は、呼吸と脾臓の動きを正確に検出することができる。この新たな角度は、例えば脾臓の上の肋骨の角度(垂直から約45°)に一致することができ、又は中間の任意の角度であることができる(
図7)。幾つかの制限しない実施形態において、加速度計が胸上の同じ位置に固定された状態のままである限り、呼吸と脾臓の動きは、胸壁の動きの変化を分析することにより、様々な最初の向きから検出され得る。
【0098】
7.1つ又は複数の加速度計、パルスオキシメトリ及び/又は心電図検査(測定)(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)は、被験者の呼吸状態を検出するために単独で又は一緒に使用され得る(
図8)。
図8は、各心電図検査のトレースの開始時点における方形波が1mV(高さ)及び0.2s(幅)を表わす心電図検査データの8sを示す。パルスオキシメトリ及び心電図検査を用いて得られたデータは、加速度計から得られたデータに一致し、パルスオキシメトリ及び/又は心電図検査が、被験者の呼吸を監視するための加速度計(次いで、臓器の場所を求めるために使用され得る)と共に又はその代わりに使用され得ることを示す。安静時に、被験者は、低い呼吸数、低い心拍数、及び高い酸素飽和度を呈する。様々な実施形態において、この安静時の状態は、脾臓の刺激に好適であり、その理由は、呼吸数が最も少なく、脾臓の動きの頻度と距離が最小限に抑えられ、それでもなお、臓器の刺激が多数の生理学的状態において実施され得るからである。安静時に、例えば、1分当たり9.75呼吸数が加速度計を用いて検出され、パルスオキシメトリを用いて98%のSpO2が検出され、心電図検査を用いて1分当たり68拍動の心拍数が検出された。対照的に、興奮した呼吸速度の間(例えば、少し前の運動、感情の状態/精神状態、又は急性の咳/疾患により生じた)、人は、高い呼吸数、高い心拍数、及び低減された酸素飽和度を呈する。この興奮した状態は、より高い数の呼吸につながる可能性があり、脾臓の動きの頻度と距離は、増加する場合がある。運動後、1分当たり24.45呼吸数が加速度計を用いて検出され、パルスオキシメトリを用いて95%のSpO2が検出され、心電図検査(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)を用いて1分当たり122拍動の心拍数が検出された。従って、運動または他の活動に関連した脾臓の動きの変化は、超音波エネルギーを用いて臓器を刺激しようとする際に追跡されるべきである。幾つかの制限しない実施形態において、これらバイオセンサの測定基準(メトリクス)は、平均の脾臓の動きを相関させるために使用され得る。本明細書で使用される限り、用語「相関させる」及び「相関」は、様々な方法で識別されることができ且つ特定の数学関数に制限されないパラメータ間の関係を広く意味する(即ち、これら用語は、例えば相互相関または他の特定の関数に制限されない)。幾つかの制限しない実施形態において、これら測定結果は、a)脾臓追跡アルゴリズムをサポートするために使用され得る、及び/又はb)安全のための切断または効果的な脾臓の刺激として使用され得る(即ち、アルゴリズムを調整するために、増加した状態をユーザ/管理者/ソフトウェアのコントローラに戻すように報告する、及び/又はより好適な呼吸状態が達成されるまで、超音波送出システムを一時的に停止する)。
【0099】
制限しない実施形態に従って、本明細書で説明されるシステム及び方法は、呼吸運動中に超音波刺激療法で脾臓を標的設定することに関する前述の課題に対処することができる。幾つかの制限しない実施形態は、異なる被験者および体位にわたって並びに呼吸中の一般的な脾臓の動きの間に、脾臓を標的設定する方法を提供する。更に、脾臓を首尾よく標的設定するために使用され得る、多数の新規なバイオセンサのフィードバック信号およびメカニズムが開示される。幾つかの制限しない実施形態において、システムは、着用型の非侵襲性超音波治療装置に脾臓の標的設定を組み込むために開示される。
【0100】
様々な実施形態において、以下の手順の1つ又は複数は、被験者の脾臓のような臓器の場所を求める又は推定するために、及び被験者が普段の活動を普通にこなす間に当該臓器に向けて治療用超音波を送るために当該臓器の追跡を容易にするために使用されることができ、係る手順は、被験者の生物物理学的情報および人口統計学的情報に基づいて場所を推定または求め;様々な体位における呼吸運動中に及び1つ又は複数のバイオセンサが被験者に取り付けられている間に、被験者の臓器の基本的な記録に基づいて、場所を推定または求め;場合によっては機械学習を用いて、組織のタイプを特定するために組織を変位させる及びその変位を測定するために、より低い送出エネルギーの周波数での超音波反射または弾性測定/エラストグラフィ測定に基づいて、場所を推定または求め;臓器の超音波分解境界検出に基づいて場所を推定または求めることである。様々な実施形態において、1つ又は複数のバイオセンサは、加速度計、呼吸ベルト、心電図測定用リード、パルスオキシメータ、及び/又は超音波振動子(超音波トランスデューサ)を含むことができる。
【0101】
生物物理学的情報または人口統計学的情報
【0102】
制限しない実施形態に従って、被験者の身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報(年齢、性別、人種、身長、体重、肋骨の間隔、胸囲、胴囲、臓器の寸法、臓器の体表面までの距離、心拍数、呼吸数、呼吸量、既往歴または病状など)で策定された超音波刺激療法で脾臓を標的設定するための方法が本明細書に説明される。被験者の基本的データは、特定の人口集合、体位、及び呼吸状態に対して呼吸中の予想された脾臓の動きを求めるために収集された人口データに適合するように推定(外挿)され得る。被験者は、基本的身体的評価が、身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報を収集するために実施される事前のフィッティングセッションを受けることができ、及び/又は基本的な腹部超音波画像診断および超音波ビデオ記録セッション(例えば、業務用超音波画像診断装置を用いて)が、様々な体位(例えば、立っている、座っている、うつぶせで寝ている、動いている(例えば、向きを変える)など)及び様々な呼吸量における脾臓の場所、深さ、及び脾臓の呼吸運動を求めるために行われ得る。皮膚は、着用型超音波治療装置の今後の配置のために脾臓の上でマーキングされることができ(例えば、ヘナ、油性マーカーインク、又は他の耐久性マーキング材料または手段を用いて)、当該着用型超音波治療装置は、体の様々な場所に超音波エネルギーの集束された操向を提供することができる。脾臓の画像診断に基づいて、当該装置は、静止している位置の脾臓を標的設定するようにプログラミングされ得る。被験者の一意の身体特性および生物物理学特性に基づいて、当該治療は、被験者に対して一意であるように調整されることができ、動きの間に脾臓を標的設定して追跡する超音波刺激を施すことを含むことができる。また、被験者の呼吸状態および/または体位が刺激に好適でない、又は異常な生理学的状態が検出された場合に、様々なセンサを含むリアルタイムのフィードバックシステムが、当該装置の電源を一時的に切り、ユーザ/管理者/ソフトウェアのコントローラに警告することもできる。
【0103】
臓器の場所の基本的な記録
【0104】
制限しない実施形態に従って、様々な体位における呼吸運動中に、被験者の脾臓の基本的な記録で策定された超音波刺激療法で脾臓を標的設定するための方法が、本明細書に説明される。被験者は、身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報(年齢、性別、人種、身長、体重、肋骨の間隔、胸囲、胴囲、臓器の寸法、臓器の体表面までの距離、心拍数、呼吸数、呼吸量、既往歴または病状など)を収集するために基本的身体的評価が実施される事前のフィッティングセッション、及び/又は様々な体位(例えば、立っている、座っている、うつぶせで寝ている、動いている(例えば、向きを変える)など)及び様々な呼吸量における脾臓の場所、深さ、及び脾臓の呼吸運動を求めるための基本的な腹部超音波画像診断および超音波ビデオ記録セッション(例えば、業務用超音波画像診断装置を用いて)を受けることができる。皮膚は、着用型超音波治療装置の今後の配置のためにマーキングされることができ(例えば、ヘナ、油性マーカーインク、又は他の耐久性マーキング材料または手段を用いて)、当該着用型超音波治療装置は、体の様々な場所に超音波エネルギーの集束された操向を提供することができる。業務用超音波装置を用いた脾臓の基本的画像診断から、当該装置は、静止している位置の脾臓を標的設定するようにプログラミングされ得る。超音波治療装置は更に、加速度計、パルスオキシメトリ及び心電図検査(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)からのリアルタイムなデータを、被験者の基本的な超音波検査データセットと組み合わせて、組み込むようにプログラミングされることができ、本明細書で提示されたデータで示された相関、関係およびパラメータが利用される。被験者の一意の身体特性および生物物理学特性、及び脾臓が呼吸中に如何にして動くかを測定する基本的なデータセットに基づいて、当該治療は、被験者に対して特有であるように調整されることができ、動きの間に脾臓を標的設定して追跡する超音波刺激を施すことを含むことができる。例えば、頂点から谷までの加速度計の動きの時間は、呼吸周期の息の吸い込みと吐き出しとの間の脾臓の位置の最大距離から超音波ビームを操向するために使用され得る。また、加速度計の動きの傾斜(勾配)又は微分係数(導関数)も、超音波ビームの操向の速度を調整するために使用され得る。また、被験者の呼吸状態および/または体位が刺激に好適でない、又は異常な生理学的状態が検出された場合に、リアルタイムのフィードバックシステムが、当該装置の電源を一時的に切り、ユーザ/管理者/ソフトウェアのコントローラに警告することもできる。例えば、被験者が治療のために座った位置で適合された当該装置を有し、被験者が治療中に横になり始める又は立ち上がり始める場合、加速度計は、上記で示されたように、その動き及び体位の変化を検出することができ、ひいては超音波刺激条件が許容できない場合に当該装置を止めることができる。呼吸数、パルスオキシメトリ及び/又は心電図検査(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)の信号が急激過ぎる変動を示す場合、当該装置は、生理機能が各被験者に対して妥当な又は規定された範囲に戻るまで、刺激を停止することもできる。
【0105】
組織の変位を測定するための超音波反射
【0106】
制限しない実施形態に従って、より低い送出エネルギーの周波数(3MHz未満)での超音波反射または弾性測定/エラストグラフィ測定で策定された超音波刺激療法で脾臓を標的設定するための方法が本明細書に開示され、それは、組織を変位させるためにエネルギー送出を利用し、組織の変位を測定するために、より高い周波数(1~10MHz)での診断パルスエコー測定を利用し、組織のタイプ(例えば、特定の臓器が、周囲の骨、脂肪、又は筋肉組織と比べて既知の弾性測定基準を有する)を判定するために弾性を求めるための送出されたエネルギーと変位を相関させる。被験者は、身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報(年齢、性別、人種、身長、体重、肋骨の間隔、胸囲、胴囲、臓器の寸法、臓器の体表面までの距離、心拍数、呼吸数、呼吸量、既往歴または病状など)及び/又は着用型装置により検出された基本的な超音波記録、及び様々な体位(例えば、立っている、うつぶせで寝ている、動いている(例えば、向きを変える)など)及び様々な呼吸量における標準的な超音波検査画像/ビデオ(例えば、業務用超音波画像診断装置を用いて)を収集するために基本的身体的評価が実施される事前のフィッティングセッション受けることができる。超音波刺激装置は、超音波信号を送受することができる場合がある。信号は、圧電性のバルク材料(3-3モードのPZTのような)、一般に3-1モードで使用される圧電性微小超音波振動子(Piezoelectric MicromachinedUltrasonic Transducer:PMUT)、やはり一般に3-1モードで使用される容量性微小超音波振動子(Capacitive MicromachinedUltrasonic Transducer:CMUT)、又は受動的受信器として使用されるポリビニリデンフルオライド又はポリビニリデンジフロライド(PVDF)を用いて、受け取られることができる。受信のために又は送受信(パルスエコー又はピッチキャッチ)のために使用される超音波振動子は、単一の素子、又はより高い又は非常に高い解像度の能力がある多チャンネル・カウント・フェーズドアレイ振動子(探触子)であることができる。超音波周波数は、200kHz~10MHzで変化する場合がある。基本的な記録中、当該装置は、様々な体位および様々な呼吸量の間に、脾臓の反射信号を認識するように向けられ得る。超音波信号は、骨、筋肉、繊維組織、臓器(例えば、脾臓)などを含む種類豊富な組織から反射され得る。幾つかの実施形態において、超音波信号は、血管、又は臓器内または臓器の近くの、血管を有する又は血管を有さない神経/神経束を検出するために使用されることができ、この情報は、臓器の解剖学的構造に関する情報と連係して、臓器または臓器の特定の領域に対して標的設定して、超音波エネルギーを操向するために使用され得る。更に、血管の無い組織領域の検出は、臓器の境界の識別、又は腹腔の空間内の臓器の境界のすぐ外側の場所の識別を確認するために使用され得る。特定の実施形態において、造影剤および/またはマイクロバブルが、血管の超音波画像診断または他の画像診断を容易にするために、被験者の血流へ導入され得る。
【0107】
受信した超音波信号は、機械学習技術を使って及び有用な情報を集めることにより、幾つかの状況において又は特定の解剖学的標的のために詳細な画像を解明(分解)することは必ずしもできない場合があるが、受信した信号を用いた脾臓の位置の相関は、達成され得る。脾臓からの反射信号に加えて、一意の信号伝達(signaling)プロファイルが、上述されたようにセンサフィードバック信号と組み合わされた場合に、脾臓の場所と動きを十分に求めるために更に生成され得る。超音波反射信号は、呼吸運動中に脾臓を標的設定するようなリアルタイム治療中に使用され得る。脾臓の事前超音波画像診断中に、皮膚は、着用型超音波治療装置の今後の配置のために、上述されたようにマーキングされ得る。超音波治療装置は、超音波反射、加速度計、パルスオキシメトリ及び心電図検査(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)からのリアルタイムデータを、被験者の基本的な超音波検査データセットと組み合わせて、組み込むようにプログラミングされ得る。被験者の一意の身体特性と生物物理学的特性および脾臓が呼吸中に如何にして動くかを測定する基本的なデータセットに基づいて、治療は、被験者に特有であるように調整されることができ、動いている間に脾臓を標的設定して追跡する超音波刺激を施すことを含むことができる。また、被験者の呼吸状態および/または体位が刺激に好適でない、又は異常な生理学的状態が検出された場合に、リアルタイムのフィードバックシステムが、当該装置の電源を一時的に切り、ユーザ/管理者/ソフトウェアのコントローラに警告することもできる。更に、被験者が皮膚/肋骨領域上の当該装置を取り替えて、マーキングされた領域に当該装置を正確に位置合わせしない場合、当該装置は、配置の相違を考慮するようにそれ自体を再較正するために脾臓の動きの幾つかの周期(サイクル)にわたって反射信号を使用することができる。これは、脾臓に対する超音波エネルギーのビーム操向のために距離範囲をシフトするために、最初の装置配置から新たな位置合わせ不良の位置までの他のセンサデータと、反射信号を一致させることができるので、可能である。
【0108】
超音波分解境界検出
【0109】
制限しない実施形態に従って、脾臓の超音波分解境界検出で策定された超音波刺激療法で脾臓を標的設定するための方法が本明細書に説明される。被験者は、身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報(年齢、性別、人種、身長、体重、肋骨の間隔、胸囲、胴囲、臓器の寸法、臓器の体表面までの距離、心拍数、呼吸数、呼吸量、既往歴または病状など)並びに着用型装置を用いた脾臓の基本的な超音波分解境界検出、及び/又は様々な体位および様々な呼吸量における標準的な超音波検査画像/ビデオ(例えば、業務用超音波画像診断装置を用いて)を収集するために基本的身体的評価が実施される事前のフィッティングセッションを受けることができる。パルスエコー又はピッチキャッチモードでの脾臓からの約1~10MHzの周波数内の反射信号は、脾臓の位置を正確に突きとめるために使用され得る。この方法は、国際出願PCT/US21/30464に開示されたような単一の素子または多チャンネル・フェーズドアレイ超音波振動子を用いて、利用され得る。幾つかの制限しない実施形態において、二次元フェーズドアレイ超音波振動子は、合成開口画像診断技術を利用することができ、それにより個々のチャンネルは、精度を改善するために且つ信号処理を簡略化するために、所望の物体(例えば、脾臓)の画像を構築するために別個に活性化される。更に、弾性は、より高い周波数(1~10MHz)の受信振動子を有するより低い周波数(<3MHz)の振動子(トランスデューサ)を用いるエネルギー送出能力の組み合わせを利用することにより、使用され得る。弾性は、標的の組織(例えば、脾臓)に変形を生じさせると同時に、その後に変形(歪み)を求めるために標的の組織および周囲領域の変位を測定するようにエネルギー送出振動子により提供され得る、機械力を使用する。標的の臓器のおおよその弾性係数の知識と共に、測定された変位によって分割される提供された応力は、標的の臓器とその周囲の組織との間の輪郭を描くために、ひいては標的の臓器の正確な場所を見つけるために使用され得る。超音波刺激装置は、様々な体の状態において超音波分解境界検出から脾臓の縁端部を検出することにより、脾臓の場所を決定することができる場合がある。次いで、これら境界検出信号は、呼吸運動中に脾臓を標的設定するためのリアルタイム治療中に使用され得る。また、これら又は他の方法も、血管、又は臓器内または臓器の近くで血管を備える又は備えない神経束を検出するために使用されることができ、臓器または臓器の特定の領域に対して超音波エネルギーを標的設定して操向するために使用され得る。更に、血管の無い組織領域は、臓器の境界が特定される時を求めるために、又は腹腔の空間内のその境界のすぐ外側の場所を求めるために使用され得る。更に、造影剤および/またはマイクロバブルが、血管の超音波画像診断または他の画像診断を容易にするために、被験者の血流へ導入され得る。
【0110】
脾臓の事前の超音波画像診断中、皮膚は、着用型超音波治療装置の今後の配置のためにマーキングされ得る(例えば、ヘナ、油性マーカーインク、又は他の耐久性マーキング材料または手段を用いて)。超音波治療装置は、脾臓の境界検出、加速度計、パルスオキシメトリ及び心電図検査(又は筋電図検査(EMG)のような、筋肉/組織の動き又は変化に関連した体内の他のイオン的または電気的に誘発された信号)からのリアルタイム信号を、被験者の基本的な超音波検査データセットと組み合わせて、組み込むようにプログラミングされ得る。被験者の一意の身体特性および生物物理学特性、及び脾臓が呼吸中に如何にして動くかを測定する基本的なデータセットに基づいて、当該治療は、被験者に対して特有であるように調整されることができ、動きの間に脾臓を標的設定して追跡する超音波刺激を施すことを含むことができる。また、被験者の呼吸状態および/または体位が刺激に好適でない、又は異常な生理学的状態が検出された場合に、リアルタイムのフィードバックシステムが、当該装置の電源を一時的に切り、ユーザ/管理者/ソフトウェアのコントローラに警告することもできる。この画像診断方法は、当該装置により脾臓に対する超音波のビーム操向を再較正するために使用されることができ、この場合、上述された画像診断方法を用いて、この較正プロセスを更に強化することができる。
【0111】
データベース
【0112】
様々な実施形態において、上述されたような被験者の各フィッティングからのデータは、データベースへ入力され得る。データは、被験者に関する身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報、並びにフィッティング中の被験者内の臓器(例えば、脾臓)の場所に関する任意の情報を含むことができ、可能な場合は、臓器の場所の直接的な画像診断に関する情報、並びに着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、心電図測定(EKG)用電極、EMG電極、着用型フィットネス装置、或いは被験者の体またはその生理学的反応と関連付けられた他のバイオセンサ又は運動センサの1つ又は複数から得られたバイオセンサデータを含む。様々な実施形態において、胸、胃、腰または他の胴領域の拡張/収縮を測定するための呼吸計または他のセンサは、呼吸活動または体の形状または動きの他の変化を監視するためのフレキシブルな電子材料(例えば、ピエゾ抵抗材料)及び/又はテキスタイル電極を含むことができる。
【0113】
データベースは、被験者からの追加情報が追加される度に拡張されることができ、そのため、データベースは、今後の被験者のフィッティングプロセスを促進するために使用され得る。例えば、臓器の場所は、データベースの被験者の一致する特定の身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報の一部または全てに基づいて、求められ得る。この情報は、被験者の臓器の安静時の場所の直接的な画像診断のような、適合(フィッティング)している被験者から直接的に得られたデータで補足され得る。身長、体重および胴囲/胸囲のような被験者からの基本的情報と共に、データベースからの情報に基づいたこの最初の臓器場所の情報は、着用型超音波装置をプログラミングするのに十分であることができ、当該着用型超音波装置は、長時間にわたって(例えば、数時間から、数日から、数週間から、数ヶ月にわたって)及び様々な状況および体位の下で、臓器の場所を追跡して被験者の臓器に超音波エネルギーを送ることができるようになっている。
【0114】
特定の実施形態において、被験者は、人口統計学的情報(例えば、身長、体重など)及び被験者(例えば、胴領域に)に取り付けられた1つ又は複数の加速度計から得られた基本的な生物物理学的情報のみに基づいた最初の簡易フィッティングを行うことができる。様々な実施形態において、この情報は、着用型超音波装置、パルスオキシメータ、呼吸計、EKG電極、EMG電極、着用型フィットネス機器、又は被験者の体またはその生理学的応答と関連付けられた他のバイオセンサ又は運動センサからのバイオセンサデータのような、他のデータで必要に応じて補足され得る。
【0115】
幾つかの実施形態において、追加のソフトウェアが、データベースからの情報を、着用型超音波送出装置に適合されている新たな被験者の情報と一致させるために使用され得る。データベースの人工知能分析を含む様々な技術は、フィッティングプロセスに必要な時間が実質的に低減され得るように、被験者からの情報の最小限のセットに基づいて被験者の臓器の場所を正確に予測することができるシステムを開発するために使用され得る。特定の実施形態において、フィッティングプロセスの時間は、先の被験者のフィッティングからの情報のデータベースに基づく予測システムを用いて、約1~3時間から約10~20分に低減され得る。
【0116】
上述されたように、完全なフィッティング手順は、異なる体位(例えば、座っている、立っている、横たわっている、腹臥位、背臥位、動いている(例えば、向きを変える)など)並びに生理学的状態(例えば、安静時、或いは歩行または他の運動のような運動中)のような様々な状況の下で被験者からの情報の完全なセットを収集するために数時間を必要とする場合がある。幾つかの実施形態において、完全なフィッティング手順中に収集される情報は、着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EKG電極、EMG電極、着用型フィットネス機器、又は被験者の体またはその生理学的応答と関連付けられた他のバイオセンサ又は運動センサの1つ又は複数からのバイオセンサデータと共に、体位および/または生理学的状態のそれぞれにおける臓器の直接的な画像診断を含むことができる。臓器の画像診断は、着用型超音波装置(適切に装備された場合)により、及び/又は外部画像診断装置(例えば、超音波、CT、MRIなど)により、実行され得る。
【0117】
着用型超音波装置
【0118】
上述されたように、特定の実施形態において、特定の開示された実施形態を実施するために使用され得る着用型超音波装置は、2021年5月3日に出願され、「Wearable Focused Ultrasound Phased Array Device for Neuromodulation」と題する係属中の国際出願PCT/US21/30464に開示された装置を含むことができ、当該国際出願は、参照により全体として組み込まれる。他の実施形態において、他の着用型装置は、当該装置が超音波エネルギーを様々な異なるパターン及び/又は方向に送る及び操向することができる(例えば、被験者の呼吸中および他の動きの間に肋骨の場所および/または臓器の動きを考慮するために)という条件で、使用され得る。着用型装置は、単一素子または多チャンネル・フェーズドアレイ超音波振動子を含むことができる。幾つかの実施形態において、着用型装置は、二次元フェーズドアレイ超音波振動子を含むことができ、当該二次元フェーズドアレイ超音波振動子は、合成開口画像診断技術を利用することができ、それにより個々のチャンネルは、精度を改善するために且つ信号処理を簡略化するために、臓器(例えば、脾臓)の画像を構築するために別個に活性化される。特定の実施形態において、着用型装置は、上述されたような弾性測定/エラストグラフィ測定を実行するように構成され得る。
【0119】
幾つかの実施形態において、また、着用型装置は、当該装置が様々なセンサからデータを受け取り、特定の時点で臓器の場所を求めて、次いで超音波エネルギーを何処に操向するかを求めるために当該データを処理するように、プロセッサ、通信手段、データ記憶装置、及び/又はデータ処理能力も含むことができる。着用型装置は、電池式であることができ、様々なバイオセンサを含む様々な構成要素と有線通信または無線通信することができる。他の実施形態において、センサ及び他のデータは、データを処理して、超音波エネルギーを如何にして操向するかに関する現在進行中の命令を着用型装置に提供する別個の装置(例えば、独立型コントローラ又はスマートフォン)に送られる場合がある。かくして、用語「着用型超音波装置」は、装置(単数)を含むことができ、この場合、様々な構成要素および機能が単一の構成要素内に包含され得る又は幾つかの要素間に分散されることができ、それらの幾つかが被験者の体に取り付けられ得る又は被験者の体と関連付けられることができ、それらの幾つか(例えば、データ収集素子、記憶素子、及び処理素子)が被験者の体から分離している場合がある。様々な実施形態において、着用型装置は、交差つり包帯、ショルダーバッグ、胸郭バンド又は腹部ベルトの形態で被験者の体に取り付けられた又は吊された1つ又は複数の構成要素を含むことができる。
【0120】
様々な実施形態において、着用型装置は、被験者の胴部と関連付けられる(例えば、
図5及び
図9Aに示されたような)且つ幾つかの実施形態において、着用型装置自体へ集積化され得る1つ又は複数の加速度計と関連付けられ得る。着用型装置へ集積化(一体化)されていない加速度計は、有線または無線の方法で、着用型装置と、及び/又は別個の親機と通信することができる。特定の実施形態において、1つ又は複数の加速度計は、呼吸中または他の動作の間に、並びに被験者の体の全般的な位置(例えば、被験者が座っている、立っている、横になっている、動いている(例えば、向きを変える)か否かなどを判断するために)の間に、システムが被験者の胴部の動き(例えば、胸郭の伸縮)を追跡することを可能にするように、被験者の体上に配置され得る。
【0121】
本明細書で開示されたように、加速度計データは、被験者の体位のような情報を求めるために使用されることができ、次いで特定の臓器(例えば、脾臓)の場所を推定するために使用され得る異なるシグネチャを含むパターンを包含することができる。次いで、推定された臓器場所の情報は、当該臓器に超音波エネルギーを送るように着用型装置に命令するために使用され得る。臓器場所の推定は、定期的(例えば、秒毎に又は数分の1秒毎に)に更新され、超音波エネルギー方向の推定および後続の調整のリアルタイム更新に近づくことができる。
【0122】
幾つかの実施形態において、加速度計データは、着用型超音波装置自体、並びにパルスオキシメータ、呼吸計、EKG電極、EMG電極、着用型フィットネス機器、又は被験者の体またはその生理学的応答と関連付けられた他のバイオセンサ又は運動センサの1つ又は複数からのバイオセンサデータで補足され得る。着用型フィットネス機器は、被験者の体と関連付けられたフィットネスリストバンド/ウオッチ又は心拍数モニタのような装置を含むことができる。これらセンサ又は追加の測定装置は、超音波装置の一部であることができ、又は着用型超音波装置と有線通信または無線通信する、体にわたる異なる場所にあることができる。これらセンサからの追加データは、被験者の生理学的状態(例えば被験者が安静にしている又は活動中である、及び/又は速く又はゆっくり呼吸しているか否か)を判断する及び/又は確認するために使用され得る。特定の実施形態において、臓器の場所または動きを追跡することがより容易である際の、1分当たり60~80の心拍で、1分当たり8~20の呼吸のような、被験者が安静となっていて、ゆっくり呼吸している間に被験者に超音波刺激を提供することが好ましい場合がある。特定の実施形態において、超音波刺激は、被験者が安静となっていると判断される場合に提供されることができ、被験者が活発に動いている(例えば、歩いている、走っている、又は他の進行中の動作に携わっている)と判断される場合に、超音波刺激は停止される(又は開始されない)ことができる。
【0123】
最初のフィッティング手順に基づいて、着用型装置は、特定の被験者に対してプログラミングされ得る。プログラミング情報は、着用型装置自体に、及び/又は着用型装置と有線通信または無線通信する外部装置(例えば、コントローラ、スマートフォン又はコンピュータシステム)に格納され得る。プログラミングは、バイオセンサの測定値と、臓器の直接的な画像診断により求められたような及び/又は先にフィッティング(適合)された被験者からの情報のデータベースにおける情報に基づいた臓器の場所との間の相関を提供することができる。使用中、予めプログラミングされた臓器予測の相関は、臓器の超音波分解境界検出および超音波ベースの弾性測定/エラストグラフィ測定を含む、本明細書で開示された他の手順に基づいた臓器の場所の直接的な測定で補足され得る。使用される場合、臓器の場所の直接的な測定は、臓器の場所を確認するために不規則な間隔または一定の間隔(例えば、5秒毎に、10秒毎に、15秒毎に、30秒毎に、60秒毎に、又は他の間隔)で実施されることができ、直接的な測定が行われる頻度は、臓器の場所の適切な追跡を確実にするために、被験者が激しい呼吸をしている又は動き回っている場合に、増加され得る。
【0124】
肋骨の検出
【0125】
様々な実施形態において、着用型装置は、超音波振動子の近くの被験者の肋骨(単数または複数)を検出するための手順を受けることができる。
図9A~
図9Eは、脾臓の近くの被験者の胸の左側にある着用型超音波装置100の配置を示す。
図9Aは、着用型装置100の場所を示す透視図であり、
図9B~
図9Eは、幾つかある構造の中で特に、脾臓S(
図9B)及び近隣の臓器、9番目~11番目の肋骨R、及び着用型装置100の相対位置を示す横断面図である。
図9Aは、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EKG電極、EMG電極、着用型フィットネス機器または他のバイオセンサのような、被験者の体と関連付けられたバイオセンサ110、並びに外部装置120の考えられる場所を示し、当該外部装置120は、コントローラ、スマートフォン又はコンピュータシステムのような独立型装置であることができる。破線は、バイオセンサ110が着用型装置100及び/又は外部装置120の一方または双方と有線または無線の方法で通信することができることを示す。肋骨R(
図9Bに示される)は超音波エネルギーの少なくとも一部を遮断し、それ故に肋骨間の肋間腔を通じて超音波エネルギーを送ることが好ましい。これを行うために、着用型装置は、係属中の国際出願PCT/US21/30464に開示されたような肋骨検出手順を行うことができ、当該国際出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0126】
肋骨の検出を行うために、着用型装置は、組織に向けて超音波エネルギーを放出し(
図9C)、超音波エネルギーが当該組織から逆向きに反射されるか否かを検出する(
図9D)。受信された検出された反射(もしあれば)に基づいて、着用型装置は、何らかの肋骨(単数または複数)の存在と場所を特定することができ、必要ならば一対の隣接する肋骨間の肋間腔へ超音波ビームが向けられるように当該超音波ビームを調整することができる(
図9E)。対象となる臓器が脾臓である場合(
図9A~
図9Eに示されたように)、着用型装置は、被験者の左側の9番目~11番目の肋骨の近くに配置されることができ、ひいては着用型装置は、肋骨検出を受けることができ、脾臓に超音波エネルギーを提供するために、9番目の肋骨と10番目の肋骨との間で、又は10番目の肋骨と11番目の肋骨との間で超音波ビームを送るための調整を行うことができる。様々な実施形態において、被験者の特定の解剖学的構造に応じて、着用型装置は、脾臓または他の臓器(単数または複数)に超音波刺激を提供することができるように、被験者の体上の他の場所に配置される場合がある。
【0127】
特定の実施形態において、着用型装置の超音波振動子は、肋骨間の肋間腔(肋間間隙)と共に、幾つかの肋骨に及ぶ領域にわたる十分に広い範囲にわたって広がることができる(
図9A~
図9E)。この間隙量に広がることは、超音波装置が治療前に又は治療中に超音波ビームの場所および/または方向に対する調整を行うことを可能にするようにビームが放出され得る場所に関して追加の柔軟性を提供し、係る調整は、着用型装置が肋骨に対して位置を変更する場合(例えば、被験者が体位を変更することに起因して、又は着用型装置が治療セッション間で僅かに異なる位置に再び取り付けられていることに起因して)に、必要とされる場合がある。幾つかの実施形態において、着用型装置は、超音波振動子アレイ(線形アレイ又は長方形アレイの場合)が肋骨の長軸に垂直であるように被験者の胸郭上に配置されることができ、それにより振動子アレイの異なる素子は、どの素子が肋骨間の肋間腔と位置合わせされ且つどの素子が肋骨自体に直に位置合わせされるかに応じて、臓器(例えば、脾臓)を刺激するために使用されることが可能になる。様々な実施形態において、多素子超音波振動子アレイの各素子は、肋骨検出手順において並びに着用型装置により実施される他の機能中に、送信器として、検出器として、又は双方として使用され得る。
【0128】
治療用超音波の送出
【0129】
使用中、被験者の体と関連付けられた任意の追加のセンサと連動する着用型装置により、被験者は、非侵襲的および最小限の煩わしさの方法で超音波療法を受けることが可能になる。治療を開始するために、被験者は、皮膚のマーキングを用いて指定され得る、最初のフィッティング手順中に求められた場所における被験者の胸または腹部領域に着用型装置を取り付けることができる。着用型装置は、テープ(例えば、医療テープ)又は粘着性物質を用いて取り付けられることができ、或いはゴムバンド又は包帯を用いて所定位置に保持され得る。他のバイオセンサは、着用型装置へ集積化され得る、及び/又は必要に応じてテープ、粘着性物質、バンド、及び/又は包帯を同様に用いて被験者の皮膚に別個に取り付けられ得る。また、これら異なるセンサは、異なる体の領域へ埋め込まれることもでき、又は皮膚表面の真下に又は皮膚表面を貫いて最小限の侵襲的方法で配置され得る。着用型装置は、バイオセンサからの及び超音波振動子/検出器アレイからのデータを収集して処理する独立型システムであることができ、或いは着用型装置は、データの一部または全ての収集および機能の処理を実施する外部装置と通信することができる。
【0130】
当該装置および関連したセンサは、被験者が被験者の普段の活動を普通にこなすと同時に、被験者からデータを収集することができ、それにより、不便さを最小限にして、超音波療法を被験者の通常の毎日のスケジュールへ組み入れることができる。様々な実施形態において、治療用超音波は、1日当たり少なくとも1度、少なくとも9分間適用されることができ、幾つかの実施形態において、当該治療は、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも60分間、又は必要に応じて他の時間量にわたって与えられ得る。治療は、毎日、1日置きに、毎週、又は必要に応じて他の時間期間で適用され得る。治療セッションは、治療または適用の必要性に応じて、複数回連続して繰り返される、又はセッション間に休憩を備える3分間セッション又は5分間セッションのような、より短い期間で実施され得る。超音波刺激のパラメータの範囲は、例えば、2021年1月22に出願され、「Systems and Methods for Responsive Ultrasound Stimulation forImmuno-Modulation Treatment」と題する国際出願PCT/US2021/014583に開示されている通りに使用されることができ、当該国際出願は参照により本明細書に組み込まれ、これらパラメータは、100kHz~7MHzの範囲にわたる中心周波数;50マイクロ秒~2秒オン、1ミリ秒~10秒オフのパルス繰り返し率;及び25kPa~100MPaの標的領域の圧力を含むことができる。様々な実施形態において、治療を受けている被験者は、毎日または数日置きに(例えば、2、3日毎に)観察(モニター)され得る。モニタリングは、被験者の臨床転帰の改善を評価すること、或いは血液サンプルを取得することにより又は特定のセンサを用いて実施され得る被験者の血液マーカーの改善を評価することを含むことができる。評価され得るパラメータは、サイトカイン及び他の炎症または代謝マーカーを含む。超音波エネルギーの治療ビームは、臓器の異なる部分に又は異なる臓器に治療エネルギーを提供するために、異なる方向に操向され得る(
図10A~
図10C)。ビームの操向は、臓器の特定の領域を連続的に刺激する能力を可能にするが、治療セッション毎に臓器の複数の意図された領域を刺激するために各場所において数秒または数分のような逐次的方法で臓器の異なる領域を刺激するための能力も可能にする。また、ビームの操向は、肋骨間に超音波エネルギーを提供するための能力、又は標的設定された臓器領域を遮断している可能性がある他の構造を避けるための能力も可能にする。
【0131】
治療用超音波は、被験者が安静となっている時(例えば、座っている又は横になっている間)に送出され得る。被験者が安静となっている時、被験者の呼吸数が低下し、臓器の場所を追跡することがより容易になる。例えば、被験者が安静となっており且つ呼吸がよりゆっくりである際に、横隔膜(脾臓が隣接する)がよりゆっくり動いており且つその移動が方向をあまり頻繁に変更しないので、脾臓は、より容易に追跡され得る。呼吸に関連した動きに加えて、臓器の場所を追跡することは、被験者が治療期間の全体にわたって同じ位置にいる場合に、より信頼でき、その理由は、被験者が体位を変更する及び/又は動き回る際に、臓器が位置を変える場合があるからである。かくして、被験者の体と関連付けられた1つ又は複数のバイオセンサにより判定されるように、被験者が活発に体を動かしている(例えば、歩いている、走っている、又は他の進行中の動作(運動)に携わっている)と判断される、及び/又は呼吸数の上昇を有すると判断される場合に、超音波刺激は、停止され得る(又は刺激は開始されない場合がある)。
【0132】
コンピュータシステム
【0133】
図11を参照すると、開示された内容の幾つかの実施形態による、被験者の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのシステム(例えば、データ収集および処理システム)の例1100が、示される。
図11に示されたように、コンピューティング装置1110は、1つ又は複数のバイオセンサ1100からバイオセンサデータを受け取ることができる。幾つかの実施形態において、コンピューティング装置1110は、1つ又は複数のバイオセンサ1100から受け取ったバイオセンサデータに基づいて、臓器の場所を求めるために被験者1104の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのシステムの少なくとも一部を実行することができる。更に又は代案として、幾つかの実施形態において、コンピューティング装置1110は、1つ又は複数のバイオセンサ1100から受け取ったバイオセンサデータに関する情報を、通信ネットワーク1106を介してサーバ1120に伝えることができ、当該サーバ1120は、バイオセンサデータに基づいて、臓器の場所を求めるために又は臓器を刺激するために被験者1104の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのシステムの少なくとも一部を実行することができる。幾つかの係る実施形態において、サーバ1120は、臓器の場所の情報のような、被験者1104の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのシステムの出力を示す情報を、コンピューティング装置1110(及び/又は任意の他の適切なコンピューティング装置)に戻すことができる。幾つかの実施形態において、超音波エネルギーを送るために使用されていることに加えて、この情報は、ユーザ(例えば、研究者、操作者、臨床医など)に伝達および/または提示されることができ、及び/又は格納され得る(例えば、研究データベース、又は被験者と関連付けられた診療記録の一部として)。
【0134】
幾つかの実施形態において、コンピューティング装置1110及び/又はサーバ1120は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ウェアラブル・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、物理的コンピューティング装置により実行されているバーチャル・マシンなどのような、任意の適切なコンピューティング装置または装置の組み合わせであることができる。本明細書で説明されるように、被験者1104の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのシステムは、バイオセンサデータに関する情報、及び/又は臓器の場所の情報をユーザ(例えば、研究者および/または医師)に提示することができる。
【0135】
幾つかの実施形態において、通信ネットワーク1106は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせであることができる。例えば、通信ネットワーク1106は、Wi-Fiネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数の切替装置(交換器)などを含むことができる)、ピアツーピア・ネットワーク(例えば、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTEアドバンスト、WiMAXなどのような、任意の適切な規格に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、通信ネットワーク1106は、ローカルエリア・ネットワーク、広域ネットワーク、公共ネットワーク(例えば、インターネット)、私的または準私的ネットワーク(例えば、企業イントラネット又は大学イントラネット)、任意の他の適切なタイプのネットワーク、又はネットワークの任意の適切な組み合わせであることができる。
図11に示された通信リンクはそれぞれ、有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fiリンク、ブルートゥース(登録商標)リンク、セルラーリンクなどのような、任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせであることができる。
【0136】
図12は、開示された内容の幾つかの実施形態による、コンピューティング装置1110及びサーバ1120を実現するために使用され得るハードウェアの例1200を示す。
図12に示されるように、幾つかの実施形態において、コンピューティング装置1110は、プロセッサ1202、ディスプレイ1204、1つ又は複数の入力1206、1つ又は複数の通信システム1208、及び/又はメモリ1210を含むことができる。幾つかの実施形態において、プロセッサ1202は、中央処理装置、グラフィックス・プロセッシング・ユニットなどのような、任意の適切なハードウェア・プロセッサ又はプロセッサの組み合わせであることができる。幾つかの実施形態において、ディスプレイ1204は、コンピュータ用モニタ、タッチスクリーン、テレビ受像機、スマートウオッチ、スマートフォン、タブレットなどのような、任意の適切なディスプレイ装置を含むことができる。幾つかの実施形態において、入力1206は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのような、ユーザ入力を受け取るために使用され得る任意の適切な入力装置および/またはセンサを含むことができる。
【0137】
幾つかの実施形態において、通信システム1208は、通信ネットワーク1106及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して、情報を伝えるための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1208は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。幾つかの特定の例において、通信システム1208は、Wi-Fi接続、ブルートゥース(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用され得るハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0138】
幾つかの実施形態において、メモリ1210は、例えば、ディスプレイ1204を用いてコンテンツを提示するために、通信システム(単数または複数)1208を介してサーバ1120と通信するなどのために、プロセッサ1202により使用され得る命令、値などを格納するために使用され得る任意の適切な記憶装置(単数または複数)を含むことができる。メモリ1210は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1210は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数の半導体ドライブ、1つ又は複数の光学式ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、メモリ1210には、コンピューティング装置1110の動作を制御するためのコンピュータプログラムが符合化され得る。係る実施形態において、プロセッサ1202は、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、表など)を提示するために、サーバ1120からコンテンツを受け取るために、情報をサーバ1120に伝達するなどのために、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0139】
幾つかの実施形態において、サーバ1120は、プロセッサ1212、ディスプレイ1214、1つ又は複数の入力1216、1つ又は複数の通信システム1218、及び/又はメモリ1220を含むことができる。幾つかの実施形態において、プロセッサ1212は、中央処理装置、グラフィックス・プロセッシング・ユニットなどのような、任意の適切なハードウェア・プロセッサ又はプロセッサの組み合わせであることができる。幾つかの実施形態において、ディスプレイ1214は、コンピュータ用モニタ、タッチスクリーン、テレビ受像機、スマートウオッチ、スマートフォン、タブレットなどのような、任意の適切なディスプレイ装置を含むことができる。幾つかの実施形態において、入力1216は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのような、ユーザ入力を受け取るために使用され得る任意の適切な入力装置および/またはセンサを含むことができる。
【0140】
幾つかの実施形態において、通信システム1218は、通信ネットワーク1106及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して、情報を伝えるための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1218は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より特定の例において、通信システム1218は、Wi-Fi接続、ブルートゥース(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用され得るハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0141】
幾つかの実施形態において、メモリ1220は、例えば、ディスプレイ1214を用いてコンテンツを提示するために、1つ又は複数のコンピューティング装置1110とと通信するなどのために、プロセッサ1212により使用され得る命令、値などを格納するために使用され得る任意の適切な記憶装置(単数または複数)を含むことができる。メモリ1220は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1220は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数の半導体ドライブ、1つ又は複数の光学式ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、メモリ1220には、サーバ1120の動作を制御するためのサーバプログラムが符合化され得る。係る実施形態において、プロセッサ1212は、情報および/またはコンテンツ(例えば、組織同定および/または組織分類の結果、ユーザインターフェースなど)を1つ又は複数のコンピューティング装置1110に伝達するために、1つ又は複数のコンピューティング装置1110から情報および/またはコンテンツを受け取るために、1つ又は複数の装置(例えば、パーソナル・コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォンなど)から命令を受け取るなどのために、サーバプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0142】
幾つかの実施形態において、任意の適切なコンピュータ可読媒体は、本明細書で説明された機能および/またはプロセスを実行するための命令を格納するために使用され得る。例えば、幾つかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は、一時的または持続性であることができる。例えば、持続性コンピュータ可読媒体は、磁気媒体(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなど)、光学媒体(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク(登録商標)など)、半導体媒体(例えば、RAM、フラッシュメモリ、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)など)、伝送中に何らかのうわべだけの永続性を徐々に消さない又は持っている任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な有形の媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の信号、電線上の信号、導体上の信号、光ファイバ上の信号、回路上の信号、又は伝送中に何らかのうわべだけの永続性を徐々に消す又は持っていない任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な無形の媒体を含むことができる。
【0143】
幾つかの実施形態において、光信号は、フォトダイオードにより検出される。認識されるべきは、以下に限定されないが、光検出器、フォトダイオード、ライン走査および二次元カメラ、及びフォトダイオードアレイを含む任意の光電子変換装置は、この検出機能を実施するために使用され得る。
【0144】
留意されるべきは、本明細書で使用される限り、用語「メカニズム」は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の適切な組み合わせを包含することができる。
【0145】
図13は、開示された内容の幾つかの実施形態による、被験者の臓器に向けて超音波エネルギーを送るためのプロセスの一例1300を示す。
図13に示されるように、1302において、プロセス1300は、被験者の体内の臓器の場所を求めることができる。最後に、1304において、プロセス1300は、着用型超音波装置を用いて、被験者の体内の臓器の場所に超音波エネルギーを送ることができる。
【0146】
理解されるべきは、
図13のプロセスの上述されたステップは、図面に示されて説明された順番および順序に制限されない任意の順番または順序で実行または実施され得る。また、
図13のプロセスの上記ステップの幾つかは、待ち時間および処理時間を低減するために、適切である場合に実質的に同時に、又は並行して実行または実施され得る。
【0147】
例
【0148】
以下は、本手順の実施形態の制限しない例である。
【0149】
例1 異なる吸気深さを有する異なる体位において脾臓の動きを測定。
【0150】
以下の例は、被験者の様々な体位および呼吸パターンに関して、脾臓の場所が被験者において超音波画像診断を用いて如何にして追跡され得るかを例証する。これらタイプの測定は、異なる状況の下で脾臓の動きを特徴付けるために且つこれら動きをセンサ情報と相関させるために、被験者が受けることができる最初のフィッティング手順の一部であることができる。
【0151】
図14の右側は、超音波振動子が被験者の肋骨間腔に沿って向けられるように、超音波振動子の被験者上の配置に関する図であり、その結果、超音波振動子は、被験者の左脇腹に対して斜めの軸上に示される。
図14の左側に示されるように、このように配置された振動子(トランスデューサ)からの超音波画像は、被験者が呼吸している間の脾臓を通る異なる二次元スライスを視覚化することができ、この場合、C形状の暗い領域は、脾臓を通るスライスである。また、左側の超音波画像中の記号Pは、右側の配置図にも示され、被験者の体に対する画像の向きに関する情報を提供する。座っていること、背臥位、腹臥位、及び右側に横になっていることを含む様々な体位において、被験者が呼吸している間に、超音波画像ビデオが記録された。動きを分析するために、息の吸い込みと吐き出しの間のビデオ・スクリーンショットが重ね合わされ、脾臓の縁端部が双方の重なり間で追跡され、距離がデジタル的に測定された。また、複数のスクリーンショットが、体内の脾臓の形状、寸法、場所および動きの三次元レンダリングを作成するために積み重ねられ得る。
【0152】
図15は、被験者が安静となっている間に心臓の鼓動と関連した脾臓の動きに関する、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で比較的小さい量(この例において、1.7mm)だけ移動したことを示す。
【0153】
図16は、被験者が安静となっている間に呼吸と関連した脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で臀部の方へ、息の吸い込み中に11.1mm移動したことを示す。更に、被験者が座っている間に(
図16及び
図17に示されるように)、脾臓までの距離が、息の吐き出し中に8.9mmであったことが求められた。
【0154】
図17は、被験者が安静となっている間に、大きく息を吸い込むことに関連した脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で大きな息の吸い込み中に26.9mm移動したことを示す。上述されたように、被験者が座っている位置にいた間に、脾臓までの距離が、息の吐き出し中に8.9mmであったことが求められた。
【0155】
図18は、右側に横になっている間に、通常の安静時の呼吸中の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で12.1mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいる時に比べて9%大きい移動である。右側に横になっている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に15.4mmであることが求められた。
【0156】
図19は、右側に横になっている間に、大きく息を吸い込む間の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で大きく息を吸い込む間に22.9mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいて大きく息を吸い込む間の時に比べて、15%少ない移動である。右側に横になっている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に12.4mmであることが求められた。
【0157】
図20は、仰向けに寝ている(背臥位)間に、通常の安静時の呼吸中の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で18.9mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいて通常の安静時の呼吸中の時に比べて70%大きい移動である。仰向けに寝ている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に11.6mmであることが求められた。
【0158】
図21は、仰向けに寝ている(背臥位)間に、大きな息の吸い込み中の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で大きな息の吸い込み中に30.8mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいて大きな息の吸い込みの時に比べて14%大きい移動である。仰向けに寝ている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に13.2mmであることが求められた。
【0159】
図22は、うつぶせに寝ている(腹臥位)間に、安静時の通常の呼吸中の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で通常の呼吸中に8.8mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいて通常の安静時の呼吸の時に比べて21%小さい移動である。うつぶせに寝ている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に11.4mmであることが求められた。
【0160】
図23は、うつぶせに寝ている(腹臥位)間に、大きな息の吸い込み中の脾臓の動きに関して、
図14に示されたように収集されたデータを示す。データは、脾臓がこれらの状況下で大きな息の吸い込み中に21.1mm移動したことを示し、それは、被験者が座っている位置にいて大きな息の吸い込み中の時に比べて22%小さい移動である。うつぶせに寝ている間の脾臓までの距離は、息の吐き出し中に10.7mmであることが求められた。
【0161】
図24は、加速度計が標準的な垂直位置に取り付けられようと任意の角度で配置されようと、呼吸を検出することができることを例証するデータを示す。
図24の左部分は、加速度計が標準的な縦型(直立)の位置で被験者に取り付けられている際の3回の呼吸中に取得されたデータを示し、この場合、最上部のトレースはz軸であり、2番目のトレースはx軸であり、第3のトレースはy軸であり、底部のトレースは絶対和であり、下部3つのトレースはデータの視認性を改善するためにシフトされている。
図24の中央部分は、加速度計が45°回転する際の移行中に取得されたデータを示す。
図24の右部分は、加速度計が肋骨の角度に一致するように45°の角度で被験者に取り付けられた際(
図14を参照)の3回の呼吸中に取得されたデータを示す。底部のトレース(絶対和)に示されているように、データは、加速度計がどちらの向きにおいても3回の深呼吸を検出できたことを示す(3回の呼吸に対応するデータの下のブラケットにより示される)。
【0162】
図25は、異なる向き/位置に関連した加速度計信号が三次元空間(即ち、x軸、y軸およびz軸)において異なる方向で脾臓の動きを追跡または予測することができることを例証するデータを示す。加速度測定が3つ以上の軸で記録される場合、データは三次元の脾臓の動きを予測する。上側の2つのパネルは、脾臓を含む腹部領域の超音波画像(左側)、並びに一連の係る画像からの脾臓の動きの分析(右側)を示す。下側の2つのパネルは、2つの異なる加速度計軸から求められた動きと比較した、一連の画像から求められた際のx軸およびy軸における脾臓の動きを示す。これらの結果は、加速度計データが脾臓の場所と動きを全方向において、信頼できて正確な方法で追跡するために使用され得ることを示す。
【0163】
上述された例は、脾臓の位置が呼吸中に追跡されることができ、且つ呼吸のタイプ(安静時、大きな息の吸い込み)及び体位(座っている、横向きに寝ている、仰向けで寝ている、うつぶせで寝ている)の相違が測定されて考慮されることができ、呼吸が被験者の体上の加速度計の向きに無関係に、加速度計を用いて追跡され得ることを例証する。
【0164】
例2 着用型装置のフィッティング
【0165】
被験者は、着用型超音波治療装置をフィッティングするために広範な手順を受ける。当該手順は、被験者が当該装置を着用している間に超音波治療を供給するために、当該装置が被験者の日常の活動中に脾臓の場所を追跡することを可能にするのに十分なデータを収集する。
【0166】
当該情報は、身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報(年齢、性別、人種、身長、体重、肋骨の間隔、胸囲、胴囲、臓器の寸法、臓器の体表面までの距離、心拍数、呼吸数、呼吸量、既往歴または病状など)を含み、例1で示されたような、様々な体位(例えば、座っている、うつぶせで寝ている、動いている(例えば、向きを変える)など)及び様々な呼吸量における脾臓の場所、深さ、及び脾臓の呼吸運動を求めるために実施される基本的な腹部超音波画像診断および超音波ビデオ記録セッション(例えば、業務用超音波画像診断装置および/または着用型超音波装置を用いて)も含む。ビデオ記録セッション中、バイオセンサデータが、着用型超音波装置、加速度計、パルスオキシメータ、呼吸計、EKG電極、EMG電極、着用型フィットネス機器、又は被験者の体と関連付けられた他のバイオセンサの1つ又は複数から収集される。フィッティングセッションは、少なくとも1時間および場合によっては最大3時間まで必要とする。
【0167】
被験者の皮膚は、着用型超音波治療装置が治療段階中に配置される場所を示すために、脾臓の上にマーキングされる(例えば、ヘナ、油性マーカーインク、又は他の耐久性マーキング材料または手段を用いて)。
【0168】
フィッティング手順中に取得された情報に基づいて、様々な状況下にある被験者の臓器(例えば、脾臓)の動きは、識別されて特徴付けられ、バイオセンサデータと相関される。
【0169】
被験者の身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報は、基本的な腹部画像診断およびビデオ記録セッション情報およびバイオセンサデータと共に、データベースに追加される。次いで、このデータベースは、新たな被験者のデータと比較する、データベースのデータの照合(マッチング)、外挿、及び他の処理に基づいて、他の被験者のフィッティングを容易にするために使用される。
【0170】
例3 データベースの情報を用いた着用型装置のフィッティング
【0171】
被験者は、短縮されたフィッティングセッション(20分未満を費やす)で着用型超音波装置とフィッティングされる。フィッティングセッションは、異なる体位および動き(移動)の状態と関連付けられた、臓器の動きの一般的な量に関する情報を提供する他の被験者のフィッティングから得られたデータベースの情報を用いることにより、短縮される。データベースは、バイオセンサ情報と臓器の動きとの間の相関に関連する情報を取得するためにデータベースに問い合わせるために、被験者からの身体的情報、生物物理学的情報および人口統計学的情報を使用する。被験者は、着用型装置の配置を決定することに役立つように対象となる臓器(例えば、脾臓)を特定するために、制限された非侵襲性画像診断を受ける。被験者の皮膚は、着用型超音波治療装置が治療段階中に配置される場所を示すために、脾臓の上にマーキングされる(例えば、ヘナ、油性マーカーインク、又は他の耐久性マーキング材料または手段を用いて)。
【0172】
着用型装置は、バイオセンサ(例えば、加速度計)から受け取った情報に基づいて、対象となる臓器に向けて超音波エネルギーを送るために、被験者に特有であるようにプログラミングされる。当該プログラミングは、バイオセンサの測定値と、臓器の直接的な画像診断および/または以前にフィッティングされた被験者からの情報のデータベースから得られた情報によりフィッティング中に求められたような臓器場所との間の相関を提供する。
【0173】
例4 着用型装置を用いた超音波治療
【0174】
被験者は、配置のためにガイドとしてフィッティング中に付けられた皮膚マーキングを用いて、対象となる臓器(例えば、脾臓)の近くに着用型装置を取り付ける。被験者は、被験者の体と関連付けられたバイオセンサ(特に、加速度計)から受け取った入力に基づいて、検出および治療プログラムを実施するために当該装置を活性化する。被験者は、被験者の日常の活動で行動し、着用型装置(場合によっては外部装置と連係して)は、治療用超音波を被験者の臓器に適用する時を判断する。着用型装置は、被験者がゆっくり呼吸している及び/又は安静となっている(例えば、座っている)と判断する際に治療を優先的に適用する。着用型装置は、被験者が安静となっている間に、少なくとも9分間、治療用超音波を印加する。治療処置前および治療処置中、着用型装置は、超音波振動子のどの部分(単数または複数)を使用するか及び/又は臓器を刺激するためにどのビーム操向パターンを使用するかを決定するために、肋骨(単数または複数)の場所を特定するように肋骨検出手順を実施する。また、着用型装置は、超音波分解境界検出、容積測定超音波画像診断、及び臓器の超音波ベースの弾性測定/エラストグラフィ測定を含む手順に基づいて、臓器の場所の直接的な測定も行う。
【0175】
かくして、本発明は特定の実施形態および例に関連して上述されたが、本発明は必ずしもそのように制限されず、多くの他の実施形態、例、使用法、変更、並びに実施形態、例および使用法からの逸脱は、添付の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【国際調査報告】