(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/02 20060101AFI20230726BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20230726BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C08G18/02 020
C08G18/18
C08G18/08 090
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503079
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2020117705
(87)【国際公開番号】W WO2022061705
(87)【国際公開日】2022-03-31
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516296371
【氏名又は名称】万華化学集団股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.17, TIANSHAN ROAD, YEDA, YANTAI CITY,SHANDONG PROVINCE, CHINA.
(71)【出願人】
【識別番号】515153484
【氏名又は名称】万華化学(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】WANHUA CHEMICAL(NINGBO) CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Wanhua Industrial Garden Huandao North Road,Daxie Economic Development Zone Ningbo,Zhejiang 315812,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王暖程
(72)【発明者】
【氏名】尚永華
(72)【発明者】
【氏名】石濱
(72)【発明者】
【氏名】王玉啓
(72)【発明者】
【氏名】孫立冬
(72)【発明者】
【氏名】范偉敬
(72)【発明者】
【氏名】厳成岳
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034CA04
4J034CB03
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4J034QB13
4J034QB17
4J034RA07
4J034RA08
(57)【要約】
本発明は色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物及びその調製方法を提供し、ポリイソシアネート組成物の調製の技術分野に属する。該調製方法は、イソシアネートモノマーを触媒の存在下で重合反応させ、反応が停止した後にプレポリマーを得て、プレポリマーを分離処理及び熱処理した後に、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得て、ただし、前記ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量は、ポリイソシアネート組成物の重量に基づいて20ppm以下であることを含む。本発明は、ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量を制御することにより、得られたイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の貯蔵色度安定性が良好であり、40℃で12ヶ月間貯蔵した後の色度増加値≦10Hazenである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物であって、
ポリイソシアネート組成物の総重量に基づいて、前記ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量≦20ppmであり、前記熱分解可能なアミンはイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を調製するときに使用する触媒の分解生成物であり、
前記触媒は、好ましくは水酸化第四級アンモニウム及び/又は第四級アンモニウム塩である、ことを特徴とするポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
前記熱分解可能なアミンはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミンの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
前記触媒は、水酸化コリン、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、1-アダマンチアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムジヒドロキシド、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩、ヒドロキシプロピルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチル酢酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルオクタン酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルデカン酸アンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチル酢酸アンモニウム塩及びヒドロキシエチルトリメチルデカン酸アンモニウム塩から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド及び/又はヒドロキシプロピルトリメチルオクタン酸アンモニウム塩から選ばれる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート組成物を40℃で12ヶ月間貯蔵した後の色度増加値≦10Hazen、好ましくは≦5Hazenである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法であって、
イソシアネートモノマーを触媒の存在下で反応させ、好ましくは、前記触媒は水酸化第四級アンモニウム及び/又は第四級アンモニウム塩であるステップ(1)と、
反応が目標転化率に達した後に、系内に停止剤を加えて反応を停止させ、プレポリマーを得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物を分離処理し、反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去し、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体を得る、或いは、
ステップ(2)で得られた生成物に、分離処理及び反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去する処理を行わず、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られたポリイソシアネート組成物の粗体を高温、減圧条件下で熱処理した後に、色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得るステップ(4)とを含む、ことを特徴とする調製方法。
【請求項6】
ステップ(2)は、停止反応が終了した後に、前記プレポリマーにリン酸塩を加え続け、前記リン酸塩はリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム及びリン酸水素ナトリウムから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記リン酸塩における水素元素のモル量は触媒のモル量の50%~100%であり、
及び/又は、ステップ(2)で前記リン酸塩を加えた後に、0~30℃で10~120分間撹拌することをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ(1)における前記触媒はアルコール溶液として加え、好ましくは、アルコール溶液における前記触媒の質量濃度は0.25%~50%であり、
及び/又は、前記触媒の使用量はイソシアネートモノマーの質量の0.001%~0.1%、好ましくは0.01%~0.05%である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の調製方法。
【請求項8】
ステップ(1)に記載のイソシアネートモノマーはNCO基を含み、且つ4~20個の炭素原子を含む芳香族又は脂肪族ジイソシアネートであり、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ(2)における前記停止剤は有機酸及び/又はアシル化剤から選ばれ、好ましくはギ酸、安息香酸、ベンゾイルクロリド及びリン酸ジイソオクチルから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記停止剤の使用量は触媒のモル量の100%~150%である、ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ(3)では、ステップ(2)で得られた生成物を薄膜蒸発器に通過して分離処理し、反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去する、ことを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項11】
ステップ(4)では、前記ポリイソシアネート組成物の粗体を高温、減圧条件下で熱処理するプロセス条件は、温度90~180℃、圧力≦200Paの条件下で5~60分間処理し、好ましくは温度150~180℃、圧力≦20Paの条件下で10~30分間処理することを含む、ことを特徴とする請求項5~10のいずれか一項に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイソシアネートの技術分野に属し、特に色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ジイソシアネート系化合物は、黄変防止コーティング層及び塗料の合成において代替できない利点があり、塗料工業で広く使用されている。しかし、モノマーとしての脂肪族イソシアネートの低蒸気圧により、使用において大きな制限があるため、重合によってポリイソシアネートに転化することで、加工過程における耐性を増加させ、さらに性能に優れた製品を得るのが一般的である。
【0003】
ポリイソシアネートは耐候性、耐摩耗性、耐食性などの優れた性能を有するため、ポリイソシアネートは、塗料、接着剤、エラストマー産業、特にペンキ産業で広く使用され、さらに最も広く使用されているイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート硬化剤を含んでいる。
【0004】
米国特許US4040992、US4288586、US4419513、US673062、US6800714、US7001973などにおいて、水酸化第四級アンモニウム又は第四級アンモニウム塩を触媒として利用してイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を合成することが多数報告されている。
【0005】
下流の施工条件の多様性により、高温ベーキングの運転状況又は高温貯蔵の需要があることが多く、これはポリイソシアネート組成物の色度安定性に対してより高い要求を出している。
【0006】
これまでに公開報告された特許では、研究の方向性が、原料のジイソシアネートの品質改善、例えば、イソシアネートにおける塩素や臭素を含む不純物、例えば、加水分解塩素、一塩素化生成物、二塩素化生成物、塩化カルバモイル構造を含む生成物、臭化カルバモイル構造を含む生成物などを低減させることに集中している。
【0007】
上記のこれらの方法を用いて、調製されたポリイソシアネート組成物の色度安定性を大幅に向上させることはできるが、下流の使用の高い色度安定性のポリイソシアネートに対する需要を完全に満たすことはできず、さらに高活性のイソシアネート原料における不純物の処理プロセスも複雑であり、工業化の実現における難易度が高い。
【0008】
多くの研究によると、触媒は、ポリイソシアネート組成物の調製の重要な部分として、そのミクロ成分不純物又は残留誘導体は、調製されたポリイソシアネート誘導体の色度安定性に顕著な影響を与えることが分かった。従来技術はまた、使用される触媒を研究しており、例えば、中国特許CN110372846及びCN110790880は、それぞれ、触媒における二級アミン、二級ホスフィンの含有量を制御することにより、色度が安定したウレトジオン含有イソシアネート組成物及びTDI三量体を得る。しかしながら、その研究は有機ホスフィン系触媒及びマンニッヒ塩基系触媒のみに限定され、適用範囲がより広い水酸化第四級アンモニウム又は第四級アンモニウム塩系触媒系で調製されたポリイソシアネート組成物に対して効果的なガイダンスを欠いている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、現在、ポリイソシアネート組成物の調製方法のうち、適用範囲がより広い水酸化第四級アンモニウム又は第四級アンモニウム塩系触媒系について、色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、長周期貯蔵過程におけるイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の色度の増加の原因を系統的に研究した後に、驚くべきことに、使用された触媒における残留不純物、プロセス過程における触媒の分解、及び得られたポリイソシアネート組成物における触媒残留が、長周期貯蔵過程におけるイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の色度の増加を引き起こす主な原因であることを発見した。そのメカニズムは、触媒の調製過程、ポリイソシアネート組成物の調製過程及びポリイソシアネート組成物の貯蔵過程において、組成物に遊離アミン系化合物が導入されるか、又は遊離アミン系化合物が発生し、該遊離アミン系化合物がアミンオキシドに酸化されてさらに発色しやすいことにあり、本発明は、これに基づいて実施可能な工業化方案を提供する。
【0011】
上記の目的を実現するために、本発明で採用される技術案は次のとおりである。
本発明は、色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を提供し、該ポリイソシアネート組成物では、ポリイソシアネート組成物の総重量に基づいて、前記ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量≦20ppm(例えば、熱分解可能なアミンの含有量は15ppm、12ppm、10ppm、8ppm、6ppm、4ppm、2ppm、1ppm、0.5ppm、0.05ppm)であり、前記熱分解可能なアミンはイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を調製するときに使用する触媒の分解生成物である。
【0012】
ここでの熱分解可能なアミンとは、ポリイソシアネート組成物に存在する触媒残留物を高温条件下で熱分解、小分子気化させた後に、熱分解GC-MSを用いてテストすることにより検出した有機アミンを指す。
【0013】
ここでいうポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量は一般的に0を超えるか、又は含有量が非常に低く0に無限に近い。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい例において、前記触媒は水酸化第四級アンモニウム及び/又は第四級アンモニウム塩である。例えば、水酸化第四級アンモニウムは、水酸化コリン、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、1-アダマンチアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムジヒドロキシドから選択してもよい。例えば、第四級アンモニウム塩は、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムの有機弱酸塩(例えば、ヒドロキシプロピルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチル酢酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルオクタン酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルデカン酸アンモニウム塩)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムの有機弱酸塩(例えば、ヒドロキシエチルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチル酢酸アンモニウム塩又はヒドロキシエチルトリメチルデカン酸アンモニウム塩)から選択してもよい。
【0015】
ここでのテトラアルキルアンモニウムはテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムから選択してもよいがこれらに限定されず、ここでの有機弱酸はギ酸、酢酸、デカン酸から選択してもよいがこれらに限定されない。例えば、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩は、テトラメチルギ酸アンモニウム、テトラメチル酢酸アンモニウム、テトラメチルデカン酸アンモニウム、テトラエチルアンモニウムギ酸塩、テトラエチルアンモニウム酢酸塩又はテトラエチルアンモニウムデカン酸塩から選択してもよい。
【0016】
本発明のいくつかの例において、前記熱分解可能なアミンはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミンの1種又は複数種である。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態において、前記触媒は、水酸化コリン、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、1-アダマンチアンモニウムヒドロキシド、ヘキサメトニウムジヒドロキシド、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩(前記テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩は、好ましくはテトラメチルギ酸アンモニウム、テトラメチル酢酸アンモニウム、テトラメチルデカン酸アンモニウム、テトラエチルアンモニウムギ酸塩、テトラエチルアンモニウム酢酸塩又はテトラエチルアンモニウムデカン酸塩であってもよい)、ヒドロキシプロピルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチル酢酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルオクタン酸アンモニウム塩、ヒドロキシプロピルトリメチルデカン酸アンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチルギ酸アンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチル酢酸アンモニウム塩及びヒドロキシエチルトリメチルデカン酸アンモニウム塩から選ばれる1種又は複数種であり、より好ましくは、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド及び/又はヒドロキシプロピルトリメチルオクタン酸アンモニウム塩から選ばれる。
【0018】
本発明のいくつかの例において、前記ポリイソシアネート組成物を40℃で12ヶ月間貯蔵した後の色度増加値≦10Hazen(例えば、ポリイソシアネート組成物の色度増加値は8Hazen、6Hazen、4Hazen、1Hazen、0.5Hazen、0.1Hazen)であり、好ましくは≦5Hazenである。
【0019】
前記「色度」の意味は、GB/T3143-1982における色番号測定方法を参照可能である。ここでいう色度増加値とは、貯蔵前と貯蔵(40℃で12ヶ月間貯蔵)後のポリイソシアネート組成物の色度変化の絶対差値を指す。例えば、該色度増加値は0以上であるか、又は色度増加値が非常に低く0に無限に近い。
【0020】
本発明の他の目的は、前記色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法を提供することにある。
【0021】
上記のイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法であって、該調製方法は、
イソシアネートモノマーを触媒の存在下で反応させ、好ましくは、前記触媒は水酸化第四級アンモニウム及び/又は第四級アンモニウム塩であるステップ(1)と、
反応が目標転化率に達した後に、系内に停止剤を加えて反応を停止させ、プレポリマーを得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物を分離処理し、反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去し、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体を得る、或いは、
ステップ(2)で得られた生成物に、分離処理及び反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去する処理を行わず、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られたポリイソシアネート組成物の粗体を高温、減圧条件下で熱処理した後に、色度が安定したイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得るステップ(4)とを含む。
【0022】
本発明において、前記触媒は、本分野で広く報告されており、工業で最も広く使用されている水酸化第四級アンモニウム/第四級アンモニウム塩系触媒であってもよい。
【0023】
本発明の触媒は、純粋な物質として反応系に加えるか、又は選択可能に任意の濃度でアルコールに溶解することができる。いくつかの例において、ステップ(1)に記載の触媒はアルコール溶液として加え、いくつかの好ましい実施形態において、アルコール溶液における前記触媒の質量濃度は0.25%~50%(例えば、1%、5%、10%、20%、40%)である。
【0024】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の触媒の希釈剤として、アルコールは、一価アルコール及び/又は二価アルコールであってもよいがこれらに限定されない。好ましくは、前記アルコールは、C1~C10の脂肪族アルコール、芳香脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族フェノール、芳香脂肪族フェノール及び芳香族フェノールから選ばれる1種又は複数種である。前記一価アルコールは、好ましくは直鎖、分岐鎖、環状アルコール又はフェノールとして存在し、前記二価アルコールは、以下であってもよいがこれらに限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール及び2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。
【0025】
いくつかの例において、ステップ(1)における前記触媒の使用量はイソシアネートモノマーの質量の0.001%~0.1%(例えば、0.005%、0.01%、0.04%、0.06%、0.08%)、好ましくは0.01%~0.05%である。前記触媒をアルコール溶液として加えるときに、ここでいう触媒の使用量はアルコール溶液における触媒の溶質としての量と理解できる。
【0026】
本発明において、ステップ(1)は前記イソシアネートモノマーを原料とし、その調製方法は本発明の調製方法の実施において重要なわけではなく、ホスゲンを使用する方法、ホスゲンを使用しない方法、又は他のいずれの方法で製造されたイソシアネートモノマーを含み、また芳香族及び/又は脂肪族(脂環式を含む)の有機イソシアネートを含む。具体的には、該有機イソシアネートは、NCO基に加えて4~20個の炭素原子を含む芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートであってもよい。いくつかの例において、前記イソシアネートモノマーはNCO基を含み、且つ4~20個の炭素原子を含む芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートである。いくつかの好ましい実施形態において、前記イソシアネートモノマーは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる1種又は複数種である。
【0027】
本発明のステップ(1)は触媒の存在下で触媒反応し、いくつかの例において、ステップ(1)に記載の反応の反応温度は30~100℃(例えば、35℃、45℃、60℃、75℃、90℃)、好ましくは40~80℃である。
【0028】
いくつかの例において、ステップ(2)で反応が目標転化率に達した後に停止剤(即ち、触媒毒)を加えて該反応を停止させる。ここでの目標転化率は、例えば、系内におけるNCOの含有量を検出することにより目標転化率に対する監視を実現することができる。異なる反応系によって、目標転化率に対する要求及び範囲の限定も異なる。本発明において、ステップ(2)での反応系の目標転化率は、例えば、10~80%(例えば、20%、30%、40%、60%)であってもよい。
【0029】
いくつかの例において、ステップ(2)における前記停止剤は有機酸及び/又はアシル化剤から選ばれ、好ましくはギ酸、安息香酸、ベンゾイルクロリド及びリン酸ジイソオクチルから選ばれる1種又は複数種である。
【0030】
いくつかの例において、ステップ(2)における前記停止剤の使用量は触媒のモル量の100%~150%(例えば、110%、120%、130%、140%)である。当業者は、反応系で使用される重合触媒のタイプが異なると、停止剤の使用量も異なることを理解できる。本発明の反応系において、前記停止剤の添加量は、系内の重合触媒を失活させることを基準とする。
【0031】
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量をさらに低減させるために、反応が停止した後にプレポリマーにリン酸塩(例えば、リン酸二水素イオン及びリン酸水素イオンの1種又は複数種を含むカリウム塩又はナトリウム塩)を加えることができる。いくつかの例において、ステップ(2)は、停止反応が終了した後に、前記プレポリマーにリン酸塩を加え続け、好ましくには、前記リン酸塩はリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム及びリン酸水素ナトリウムから選ばれる1種又は複数種であることをさらに含む。
【0032】
いくつかの例において、前記リン酸塩における水素元素のモル量は触媒のモル量の50%~100%(例えば、60%、70%、80%、90%)である。
【0033】
いくつかの例において、ステップ(2)で前記リン酸塩を加えた後に、0~30℃で(例えば、5℃、10℃、15℃、20℃)10~120分間撹拌する(例えば、30min、60min、100min)。
【0034】
本発明の一実施形態において、ステップ(2)では、停止反応が終了後に、プレポリマーにリン酸二水素カリウムを添加し、その添加量は触媒のモル量の50%(即ち、リン酸二水素カリウムにおける水素元素のモル量は触媒のモル量の100%)であり、0℃の条件下で120分間十分撹拌してから濾過及び未反応のモノマーの除去などの後続のプロセス過程を行う。
【0035】
本発明のいくつかの例において、ステップ(3)では、ステップ(2)で得られた生成物を薄膜蒸発器に通過して分離処理し、反応に関与しないイソシアネートモノマーを除去する。材料を薄膜蒸発器に通過する過程において、予熱してから分離することができる。いくつかの例において、予熱の温度は50~100℃であり、いくつかの例において、分離の温度は90~180℃であり、分離の真空度は絶対圧力5~200paである。分離した後に得られたイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体において、残留モノマーの含有量はポリイソシアネート組成物の質量に基づいて、0.4wt%未満(例えば、ポリイソシアネート組成物の質量に基づいて、残留モノマー含有量は0.38wt%、0.35wt%、0.3wt%、0.2wt%、0.1wt%、0.05wt%、0.01wt%である)である。
【0036】
本発明のいくつかの例において、ステップ(4)では、前記ポリイソシアネート組成物の粗体を高温、減圧条件下で熱処理するプロセス条件は、温度90~180℃(例えば、100℃、120℃、150℃、170℃)、圧力≦200Pa(例えば、5Pa、10Pa、50Pa、100Pa、150Pa)の条件下で5~60分間処理し、好ましくは温度150~180℃、圧力≦20Paの条件下で10~30分間処理することを含む。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態において、分離した後に、ステップ(4)でイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の粗体を直接熱処理することにより、二次加熱を回避する。該処理過程において、触媒における第四級アンモニウムカチオンはホフマン脱離反応を起こし、熱分解で得られた有機アミンは負圧条件下で系内から脱離でき、これによりイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミン含有量はポリイソシアネート組成物の重量に基づいて20ppm以下とする。
【0038】
本発明に係る圧力はいずれも絶対圧力である。
【0039】
本発明では、水酸化第四級アンモニウム及び/又は第四級アンモニウム塩系触媒における残留不純物、プロセス過程で触媒の分解及びポリイソシアネート組成物における触媒残留は、長周期貯蔵過程におけるイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の色度の増加を引き起こす主な原因であることを発見し、したがって、この技術案を採用することにより、以下の有益な効果が得られる。
(1)得られたポリイソシアネート組成物を高温、減圧条件下で熱処理することにより、触媒における第四級アンモニウムカチオンはホフマン脱離反応を起こし、熱分解で得られた有機アミンは負圧条件下で系内から脱離でき、これによりポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量を20ppm以下とする、
(2)いくつかの好ましい実施形態において、反応が停止した後にプレポリマーにリン酸塩を加えることにより、ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量をさらに低減させることができ、
(3)得られたイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の貯蔵色度安定性が良好で、40℃で12ヶ月間貯蔵した後の色度増加値≦10Hazenであり、好ましい実施形態においてその色度増加値≦5Hazenに制御することができ、
(4)本発明の調製プロセスは簡単で、汎用性を有し、工業化を実現しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の特徴及び内容を詳細に理解するために、以下、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。実施例で本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明は様々な形で実現可能であり、ここで説明する実施形態により限定されるべきではないことを理解すべきである。
【0041】
主な原料の供給源について
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、Wannate(登録商標)HDI、万華化学社製、
イソホロンジイソシアネート、Wannate(登録商標)IPDI、万華化学社製、
1,3-キシリレンジイソシアネート、Wannate(登録商標)XDI、万華化学社製、
1-ヘキサノール、純度≧99%、シグマアルドリッチ社製、
2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、純度≧99%、シグマアルドリッチ社製、
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)、シグマアルドリッチ社製、
トリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩、Evonik Industries AG社製、
リン酸二水素カリウム、純度≧99%、シグマアルドリッチ社製、
リン酸水素カリウム、純度≧99%、シグマアルドリッチ社製、
リン酸ジイソオクチル、純度≧99%、シグマアルドリッチ社製、
安息香酸、純度≧99.5%、シグマアルドリッチ社製。
【0042】
検出方法について、
本発明はGB/T12009.4-1989の方法に従って、スイスMetrohm905電位差滴定装置を用いて反応系におけるNCOの含有量を測定し、
本発明はGB/T3143-1982の方法に基づいて、HACH Lange社のLICO400を用いて50mmの使い捨て長方形キュベットで製品の色番号を測定し、調製で得られた製品が固体であれば、溶媒に溶解し、溶液を調製した後に色度テストを行う必要があり、
本発明に係る動粘度はBrookField DV-I Prime粘度計で、S21ローターを用いて25℃で得て、
本発明に係る遊離(又は残留)した未反応のイソシアネートモノマーの含有量のテストは、中国国家標準GB/T18446-2009を用いて、Agilent製のAgilent GC-7890Bガスクロマトグラフィーでテストし、
本発明に係るイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量のテスト方法は、SHIMADZU(島津)社のGCMS-QP2010 Ultra熱分解-ガス-質量分析計で、外部標準法を利用して測定し、具体的な条件は次のとおりである。
熱分解装置:Frontier 2020 iD、熱分解温度:215℃、熱分解時間:60s、
ガス-質量分析計において、キャリアガス:ヘリウム、カラムヘッド圧力:48150kPa、スプリット比:25/1、40℃からプログラムで昇温し、2分間保温し、10℃/minで200℃に昇温し、4分間保温してから、25℃/minで230℃に昇温し、2分間保温し、サンプル注入口の温度は180℃である。
【0043】
主なデバイスについて、
二段薄膜蒸発器のうち、一段蒸発器の面積は0.1m2、二段蒸発器の面積は0.05m2であり、
反応釜(即ち、反応容器)は、容積が5Lであり、アンカー型攪拌翼であり、回転直径が100mmである。
【0044】
実施例1
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0045】
(1)触媒溶液の調製:6gのトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩を秤量し、14gの1-ヘキサノールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が30wt%のトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液に調製した。
【0046】
窒素雰囲気下で、3000gの最初ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を60℃に上げ、系内にトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液(30wt%、1-ヘキサノール溶液)6.0gを1滴ずつ滴下、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0047】
(2)反応液のNCO%値が38.5%に下降したときに、系内に3.3gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0048】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度80℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力80Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力10Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0049】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は150℃、熱処理の滞留時間は30min、熱処理の真空度は絶対圧力10Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリメチルアミン):18ppm
粘度:2800cP/25℃
NCO基の含有量:22.0wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.18wt%
色度:20Hazen
【0050】
実施例2
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0051】
(1)触媒溶液の調製:1gのトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩を秤量し、19gの1-ヘキサノールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が5wt%のトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液に調製した。
【0052】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を60℃に上げ、系内にトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液(5wt%、1-ヘキサノール溶液)12.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0053】
(2)反応液のNCO%値が38.7%に下降したときに、系内に0.83gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0054】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度90℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力50Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力5Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0055】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は160℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力5Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリメチルアミン):13ppm
粘度:2450cP/25℃
NCO基の含有量:21.8wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.1wt%
色度:16Hazen
【0056】
実施例3
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0057】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、22gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0058】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)8.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0059】
(2)反応液のNCO%値が38.8%に下降したときに、系内に0.7gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0060】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度170℃、一段絶対圧力120Pa、二段分離温度170℃、二段絶対圧力3Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0061】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は15min、熱処理の真空度は絶対圧力5Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリエチルアミン):5ppm
粘度:2700cP/25℃
NCO基の含有量:21.9wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.05wt%
色度:15Hazen
【0062】
実施例4
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0063】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、247gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0064】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)30.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0065】
(2)反応液のNCO%値が38.4%に下降したときに、系内に0.11gの安息香酸を添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0066】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力100Pa、二段分離温度180℃、二段絶対圧力7Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0067】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力3Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリエチルアミン):4ppm
粘度:2150cP/25℃
NCO基の含有量:21.6wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.07wt%
色度:9Hazen
【0068】
実施例5
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0069】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、247gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0070】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートIPDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)30.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0071】
(2)反応液のNCO%値が23%に下降したときに、系内に0.11gの安息香酸を添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0072】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度180℃、一段絶対圧力100Pa、二段分離温度180℃、二段絶対圧力7Paであり、未反応のIPDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0073】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のIPDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力3Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。上記で得られたポリイソシアネート組成物(固体)70gを取り、30gの酢酸ブチルに溶解し、無色透明の溶液に調製した後に色度テストを行った。
熱分解可能なアミンの含有量(トリエチルアミン):3ppm
粘度:1300cP/25℃
NCO基の含有量:12.1wt%
遊離イソホロンジイソシアネートの含有量:0.10wt%
色度:12Hazen
【0074】
実施例6
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0075】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、247gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0076】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートXDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)30.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0077】
(2)反応液のNCO%値が26%に下降したときに、系内に0.11gの安息香酸を添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0078】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力100Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力7Paであり、未反応のXDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0079】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のXDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力3Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。上記で得られたポリイソシアネート組成物(固体)75gを取り、25gの酢酸エチルに溶解し、無色透明の溶液に調製した後に色度テストを行った。
熱分解可能なアミンの含有量(トリエチルアミン):4ppm
粘度:1300cP/25℃
NCO基の含有量:14.1wt%
遊離1,3-キシリレンジイソシアネートの含有量:0.10wt%
色度:10Hazen
【0080】
実施例7
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0081】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、247gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0082】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)30.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0083】
(2)反応液のNCO%値が38.5%に下降したときに、系内に0.11gの安息香酸を添加して反応を停止させ、プレポリマーを得て、
プレポリマーに40.0mgのリン酸二水素カリウムを加え、0℃の条件下で120分間十分に撹拌してから、1μmのフィルタエレメントで濾過した。
【0084】
(3)濾過したプレポリマーを二段薄膜蒸発器で分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力100Pa、二段分離温度180℃、二段絶対圧力7Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0085】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力3Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量:未検出
粘度:2180cP/25℃
NCO基の含有量:21.7wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.08wt%
色度:8Hazen
【0086】
実施例8
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0087】
(1)触媒溶液の調製:3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(25%、メタノール溶液)を秤量し、247gの2-エチル-1,3-ヘキサンジオールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液に調製した。
【0088】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を70℃に上げ、系内に触媒溶液(0.3wt%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシドのアルコール溶液)30.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0089】
(2)反応液のNCO%値が38.5%に下降したときに、系内に0.11gの安息香酸を添加して反応を停止させ、プレポリマーを得て、
プレポリマーに54.0mgのリン酸水素カリウムを加え、30℃の条件下で15分間十分に撹拌してから、1μmのフィルタエレメントで濾過した。
【0090】
(3)濾過したプレポリマーを二段薄膜蒸発器で分離処理し、操作条件は、材料供給温度100℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力100Pa、二段分離温度180℃、二段絶対圧力7Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0091】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れ、高温、減圧条件下で熱処理し、熱処理の温度は180℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力3Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量:未検出
粘度:2200cP/25℃
NCO基の含有量:21.8wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.10wt%
色度:8Hazen
【0092】
比較例1
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0093】
(1)触媒溶液の調製:6gのトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩を秤量し、14gの1-ヘキサノールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が30wt%のトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液に調製した。
【0094】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を60℃に上げ、系内にトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液(30wt%、1-ヘキサノール溶液)6.0gを1滴ずつ滴下、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0095】
(2)反応液のNCO%値が38.6%に下降したときに、系内に3.3gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0096】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度80℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力80Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力10Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分、即ち、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリメチルアミン):63ppm
粘度:2790cP/25℃
NCO基の含有量:22.0wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.16wt%
色度:19Hazen
【0097】
比較例2
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0098】
(1)触媒溶液の調製:6gのトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩を秤量し、14gの1-ヘキサノールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が30wt%のトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液に調製した。
【0099】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を60℃に上げ、系内にトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液(30wt%、1-ヘキサノール溶液)6.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0100】
(2)反応液のNCO%値が38.5%に下降したときに、系内に3.3gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0101】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度80℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力80Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力10Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0102】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れて熱処理し、熱処理の温度は70℃、熱処理の滞留時間は20min、熱処理の真空度は絶対圧力10Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリメチルアミン):62ppm
粘度:2800cP/25℃
NCO基の含有量:22.0wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.15wt%
色度:20Hazen
【0103】
比較例3
イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の調製方法は、以下のステップを含む。
【0104】
(1)触媒溶液の調製:6gのトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩を秤量し、14gの1-ヘキサノールに溶解し、均一に混合した後に質量濃度が30wt%のトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液に調製した。
【0105】
窒素雰囲気下で、3000gの初期ジイソシアネートHDIを5Lの反応容器に加えて混合し、撹拌しながら系の温度を60℃に上げ、系内にトリメチルヒドロキシプロピルオクタン酸アンモニウム塩のアルコール溶液(30wt%、1-ヘキサノール溶液)6.0gを1滴ずつ滴下し、反応液のNCO%を追跡して測定した。
【0106】
(2)反応液のNCO%値が38.5%に下降したときに、系内に3.3gのリン酸ジイソオクチルを添加して反応を停止させ、プレポリマーを得た。
【0107】
(3)二段薄膜蒸発器を用いて、得られたプレポリマーを分離処理し、操作条件は、材料供給温度80℃、材料供給量1Kg/h、一段分離温度160℃、一段絶対圧力80Pa、二段分離温度160℃、二段絶対圧力10Paであり、未反応のHDIモノマーを除去して二段分離された重質分を得た。
【0108】
(4)ステップ(3)で得られた、未反応のHDIモノマーを除去した二段分離された重質分を負圧熱処理タンクに入れて熱処理し、熱処理の温度は150℃、熱処理の滞留時間は30min、熱処理の真空度は絶対圧力500Paであり、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物を得た。
熱分解可能なアミンの含有量(トリメチルアミン):60ppm
粘度:2820cP/25℃
NCO基の含有量:21.9wt%
遊離1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの含有量:0.18wt%
色度:23Hazen
【0109】
実施例9
実施例1~8及び比較例1で調製されたイソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物800gを、1kgのポリテトラフルオロエチレンで裏打ちしたプラスチックボトルに秤量し、N2パージした後にサンプルボトルをしっかりと密封して40℃のオーブンに入れて12ヶ月間貯蔵し、貯蔵期の考察が完了したサンプルに対して色度テストを行い、結果を下記表1に示す。
【0110】
【0111】
表1の色度安定性テストの結果から、ポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミンの含有量を低減させることにより、イソシアヌレート含有ポリイソシアネート組成物の貯蔵色番号安定性を効果的に向上させ、40℃/12ヶ月間貯蔵した後の色度増加値はいずれも10Hazen未満の範囲内に制御されることが分かった。熱処理のプロセス条件が好ましい範囲内にあると、熱処理温度が高いほど、熱処理の真空度が低くなり、熱処理後に得られた組成物における熱分解可能なアミン含有量が低くなり、貯蔵後の色番号安定性がよい。
【0112】
実施例4及び実施例7~8の試験データから、ポリイソシアネート組成物の粗体に対して高温、低真空度の熱処理を行う前に、プレポリマーにリン酸塩を加えることにより、得られたポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミン含有量をさらに低減させ、40℃/12ヶ月間貯蔵した後のサンプル色番号安定性をさらに向上させることができることが分かった。
【0113】
実施例1及び比較例1の試験データから、高温、低真空度条件下で熱処理した後に、得られたポリイソシアネート組成物における熱分解可能なアミン含有量が著しく低減し、40℃/12ヶ月間貯蔵した後のサンプル色番号安定性が著しく向上することが分かった。
【0114】
実施例1及び比較例2~3の試験データから、熱処理のプロセス条件が好ましい範囲内にあると、処理後に得られた組成物における熱分解可能なアミン含有量が低く、40℃/12ヶ月間貯蔵した後の色番号安定性がよいことを確保できることが分かった。熱処理のプロセス条件が要求を満たさないと、組成物における熱分解可能なアミン含有量の低減を実現できず、40℃/12ヶ月間貯蔵した後の色番号安定性も向上しないことが分かった。
【0115】
以上、本発明の一部の実施例を説明したが、前述の説明は例示的なものであり、網羅的ではなく、且つ開示されている各実施例に限定されない。説明された各実施例の範囲及び精神から逸脱しない場合、当業者にとって多数の修正及び変更は明らかである。
【国際調査報告】