IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 安徽安努奇科技有限公司の特許一覧

特表2023-533379ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ
<>
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図1
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図2
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図3
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図4
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図5
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図6
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図7
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図8
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図9
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図10
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図11
  • 特表-ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/64 20060101AFI20230726BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20230726BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20230726BHJP
   H03H 7/075 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/54 Z
H03H9/17 F
H03H7/075 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503082
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2021086063
(87)【国際公開番号】W WO2022193380
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110285755.0
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120555511.5
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518385648
【氏名又は名称】安徽安努奇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI ANUKI TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2800 Chuangxin Ave, Rm 602 Flr 6 Block C Bldg J1, Hefei Innovation Industrial Park Phase II, High-Tech Industrial Development Zone, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】石 麒麟
(72)【発明者】
【氏名】左 成傑
(72)【発明者】
【氏名】何 軍
【テーマコード(参考)】
5J024
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J024AA01
5J024BA11
5J024CA08
5J024EA07
5J024KA03
5J097AA01
5J097AA29
5J097BB17
5J097CC05
5J097KK03
5J108AA07
5J108JJ01
(57)【要約】
本発明は、ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタを開示している。ノッチフィルタは、少なくとも1つのノッチフィルタリングユニットを備え、各ノッチフィルタリングユニットは、入力ポート、出力ポート、少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導性素子を備え、そのうち、少なくとも3つの共振器は、少なくとも2つの第1共振器及び少なくとも1つの第2共振器を備え、少なくとも2つの第1共振器は、互いに直列接続され、直列接続された少なくとも2つの第1共振器は、入力ポートと出力ポートとの間に直列接続され、各第2共振器の第1端は、隣り合う2つの第1共振器の間の接続点に接続され、各第2共振器の第2端は、固定電位端に接続され、各誘導性素子は、1つの第2共振器に並列接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノッチフィルタリングユニットを備え、各ノッチフィルタリングユニットは、入力ポート、出力ポート、少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導性素子を備え、
前記少なくとも3つの共振器は、少なくとも2つの第1共振器及び少なくとも1つの第2共振器を備え、
前記少なくとも2つの第1共振器は、互いに直列接続され、直列接続された前記少なくとも2つの第1共振器は、前記入力ポートと前記出力ポートとの間に直列接続され、各第2共振器の第1端は、隣り合う2つの第1共振器の間の接続点に接続され、前記各第2共振器の第2端は、固定電位端に接続され、各誘導性素子は、1つの第2共振器に並列接続される、
ノッチフィルタ。
【請求項2】
前記各ノッチフィルタリングユニットは、2つの第1共振器、1つの第2共振器及び1つの誘導性素子を備え、
前記2つの第1共振器は、1番目の第1共振器の第1端が前記入力ポートに接続され、前記1番目の第1共振器の第2端が2番目の第1共振器の第1端に接続され、前記2番目の第1共振器の第2端が前記出力ポートに接続され、前記1つの第2共振器の第1端が前記1番目の第1共振器の第2端に接続され、前記1つの第2共振器の第2端が固定電位端に接続され、前記1つの誘導性素子が前記1つの第2共振器に並列接続される、
請求項1に記載のノッチフィルタ。
【請求項3】
前記2つの第1共振器の直列共振周波数の差は、ゼロより大きく且つ前記1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項4】
前記1つの第2共振器の直列共振周波数と前記1番目の第1共振の並列共振周波数との差は、前記1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である、
請求項3に記載のノッチフィルタ。
【請求項5】
前記ノッチフィルタは、少なくとも2つのノッチフィルタリングユニットを備え、隣り合うノッチフィルタリングユニットは、1つの第1共振器を共用する、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項6】
前記誘導性素子の等価インピーダンスと、前記第1共振器及び前記第2共振器の等価インピーダンスとの和は、前記第1共振器及び前記第2共振器の等価インピーダンスより小さい、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項7】
前記誘導性素子は、インダクタンス素子を含む、
請求項6に記載のノッチフィルタ。
【請求項8】
前記共振器は、表面弾性波共振器、バルク弾性波共振器及び薄膜バルク音響共振器のうちの少なくとも1種を含む、
請求項6に記載のノッチフィルタ。
【請求項9】
少なくとも2つの請求項1~8のいずれか1項に記載のノッチフィルタを備え、前記少なくとも2つのノッチフィルタが直列接続される、
多周波ノッチフィルタ。
【請求項10】
異なるノッチフィルタにおけるノッチフィルタリングユニットの数量は、同じ又は異なる、
請求項9に記載の多周波ノッチフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年03月17日に中国専利局に出願された出願番号が202110285755.0の、中国特許出願の優先権を主張し、該出願のすべての内容を引用により本願に援用する。
【0002】
本願は、通信技術の分野に関し、例えば、ノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、スペクトル利用率に対する要求はますます高まっており、さらに情報が伝送される過程において、異なる情報の間の伝送帯域間隔はますます小さくなっている。そのため、ノッチフィルタには情報伝送のニーズを満たすために、より良いノッチ特性を有することが要求されている。
【0004】
設計者は通常、キャパシタやインダクタなどの集中定数素子を採用してノッチフィルタを形成したり、マイクロストリップライン回路を採用してノッチフィルタを形成したりするが、これらの2種類のフィルタの回路設計は、サイズが大きすぎて、小型可搬型設備への応用要求を満たすことができない。また、キャパシタやインダクタなどの集中定数素子で形成されたノッチフィルタ又はマイクロストリップライン回路で形成されたノッチフィルタは、品質係数が低く、ノッチによる損失が高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、小型携帯機器への応用ニーズを満たし、ノッチ特性を向上させ、ノッチ損失を減少させることができるように、関連技術におけるノッチフィルタの回路サイズが大きいという欠陥を解決するためのノッチフィルタ及び多周波ノッチフィルタを提供する。
【0006】
少なくとも1つのノッチフィルタリングユニットを備え、各ノッチフィルタリングユニットは、入力ポート、出力ポート、少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導性素子を備え、そのうち、少なくとも3つの共振器は、少なくとも2つの第1共振器及び少なくとも1つの第2共振器を備え、少なくとも2つの第1共振器は、互いに直列接続され、直列接続された少なくとも2つの第1共振器は、入力ポートと出力ポートとの間に直列接続され、各第2共振器の第1端は、隣り合う第1共振器の間の接続点に接続され、各第2共振器の第2端は、固定電位端に接続され、各誘導性素子は、1つの第2共振器に並列接続される、ノッチフィルタを提供している。
【0007】
少なくとも2つの上記ノッチフィルタを備え、前記少なくとも2つのノッチフィルタが直列接続される、多周波ノッチフィルタをさらに提供している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の実施例に係るノッチフィルタの構造模式図である。
図2】本願の実施例に係る単一共振器の性能模式図である。
図3】本願の実施例に係る3つの共振器が接続された性能模式図である。
図4】本願の実施例に係る単一のノッチフィルタリングユニットの性能模式図である。
図5】本願の実施例に係るノッチフィルタリングユニット共振器の性能模式図である。
図6】本願の実施例に係る他のノッチフィルタの構造模式図である。
図7】本願の実施例に係る異なるノッチフィルタの性能模式図である。
図8】本願の実施例に係る多周波ノッチフィルタの構造模式図である。
図9】本願の実施例に係る他の多周波ノッチフィルタの構造模式図である。
図10】本願の実施例に係る図9における多周波ノッチフィルタの性能模式図である。
図11】本願の実施例に係る他の多周波ノッチフィルタの構造模式図である。
図12】本願の実施例に係る図11における多周波ノッチフィルタの性能模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を説明する。
【0010】
本願の実施例はノッチフィルタの構造模式図を提供し、図1は本願の実施例に係るノッチフィルタの構造模式図である。図1に示すように、該ノッチフィルタは少なくとも1つのノッチフィルタリングユニットを備え、各ノッチフィルタリングユニットは入力ポートA、出力ポートB、少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導性素子130を備え、そのうち、少なくとも3つの共振器は、少なくとも2つの第1共振器110及び少なくとも1つの第2共振器120を備え、少なくとも2つの第1共振器110は、入力ポートAと出力ポートBとの間に直列接続され、第2共振器120の第1端は、隣り合う2つの第1共振器110の間の接続点に接続され、第2共振器120の第2端は、固定電位端に接続され、各誘導性素子130は、1つの第2共振器120に並列接続される。
【0011】
ノッチフィルタリングユニットは1つの周波数バンドで入力信号を迅速に減衰することにより、このバンドの周波数信号の通過を阻害することを達成可能なバンドストップフィルタである。そのうち、共振器は、共振周波数を発生可能であり、且つ発生した共振周波数は安定性が高く、耐干渉性が強いという特点を有する。共振器は多種の電子製品に広く応用され、周波数を制御するように構成されている。図2は本願の実施例に係る単一共振器の性能模式図であり、そのうち、横座標は共振器の周波数であり、縦座標は信号の挿入損失である。曲線200は単一共振器の性能曲線である。図2から分かるように、単一共振器のそれ自身に対する応答がノッチ特性を有する。これにより、本願は共振器のそれ自身に対する応答がノッチ特性を有することに基づいて、ノッチフィルタリングユニットが少なくとも3つの共振器を備えるように設計される。少なくとも3つの共振器は2種類に分けられてもよい。第1類は第1共振器110であり、第1共振器110は、異なる共振周波数特性を有して入力ポートAと出力ポートBとの間に直列接続される共振器を少なくとも2つ備え、且つノッチ帯域幅のニーズに応じて少なくとも2つの第1共振器110の共振周波数の重複範囲を調節可能であり、これにより、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を向上させることができる。第2類は第2共振器120であり、第2共振器120は、第1共振器110と異なる共振周波数特性を有する共振器を少なくとも1つ備え、第2共振器120の第1端が隣り合う2つの第1共振器110の間の接続点に接続され、第2共振器120の第2端が固定電位端に接続され、これにより、第2共振器120は隣り合う2つの第1共振器110の間に接続されることにより、ノッチフィルタリングユニットの抑制特性を向上させることができる。図3は本願の実施例に係る3つの共振器が接続された性能模式図であり、そのうち、横座標は共振器の周波数であり、縦座標は信号の挿入損失である。曲線301は3つの共振器が接続された性能曲線である。図2図3とを対比して分かるように、3つの共振器を採用することで、単一共振器のノッチの帯域幅及び抑制効果を改善している。誘導性素子130を第2共振器120に並列接続することで、少なくとも3つの共振器が接続された回路の損失値を調節し、つまり、第1共振器110及び第2共振器120が接続された回路の損失値を調節し、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させることができる。図4は本願の実施例に係る単一のノッチフィルタリングユニットの性能模式図であり、そのうち、横座標は共振器の周波数であり、縦座標は信号の挿入損失である。曲線302は単一のノッチフィルタリングユニットの性能曲線である。図3図4とを対比して分かるように、誘導性素子130が第2共振器120に並列接続された後に、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させる。これにより、本願は少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導子で構成されるノッチフィルタリングユニットに基づいて、共振器の共振周波数に応じて適切な帯域幅及び抑制特性を設計することができるだけでなく、ノッチフィルタの回路サイズを小さくし、ノッチの損失を減少することができる。
【0012】
例示的に、図1を参照し、ノッチフィルタリングユニットは、2つの第1共振器110、1つの第2共振器120及び1つの誘導性素子130を備え、1番目の第1共振器111の第1端が入力ポートAに接続され、1番目の第1共振器111の第2端が2番目の第1共振器112の第1端に接続され、2番目の第1共振器112の第2端が出力ポートBに接続され、第2共振器120の第1端が1番目の第1共振器111の第2端に接続され、第2共振器120の第2端が固定電位端に接続され、誘導性素子130が第2共振器120に並列接続される。
【0013】
ノッチフィルタリングユニットが備える2つの第1共振器110は入力ポートAと出力ポートBとの間に直列接続される。そのうち、1番目の第1共振器111の第1端は入力ポートAに接続され、つまり、入力ポートAはノッチフィルタリングユニットの入力ポートとされ、2番目の第1共振器112の第2端は出力ポートBに接続され、つまり、出力ポートBはノッチフィルタリングユニットの出力ポートとされる。ノッチフィルタリングユニットが備える1つの第2共振器120の第1端は1番目の第1共振器111の第2端に接続され、第2共振器120の第2端は固定電位端に接続される。そのうち、ノッチフィルタリングユニットが備える2つの第1共振110器は、異なる共振周波数を有し、且つノッチ帯域幅のニーズに応じて2つの第1共振器110の共振周波数の重複範囲を調節可能であり、これにより、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を向上させることができる。ノッチフィルタリングユニットが備える1つの第2共振器120は2つの第1共振器110の間に接続されることにより、ノッチフィルタリングユニットの抑制特性を向上させることができる。これから分かるように、3つの共振器からなるT型構造回路からなるノッチフィルタは、共振器の共振周波数特性を十分に利用し、良好なノッチ特性を有するノッチフィルタを構成しており、1つの周波数バンドで入力信号を迅速に減衰させることを実現し、そのバンドの周波数信号の通過を阻害するという目的を達成することができる。ノッチフィルタリングユニットがさらに備える誘導性素子130は回路に対して調節を行うことができ、誘導性素子130を第2共振器120に並列接続することにより、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させ、ノッチフィルタのノッチ特性を最適化する。
【0014】
好ましくは、2つの第1共振器の直列共振周波数の差は、ゼロより大きく且つ1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である。
【0015】
例示的に、図5は本願の実施例に係るノッチフィルタリングユニット共振器の性能模式図である。そのうち、横座標は共振器の周波数であり、縦座標は共振器のインピーダンス値であり、曲線101は1番目の第1共振器111の性能曲線であり、曲線102は2番目の第1共振器112の性能曲線である。各共振器の性能曲線の上極点P1は共振器の並列共振周波数を示し、下極点P2は共振器の直列共振周波数を示す。図5から分かるように、1番目の第1共振器111の直列共振周波数と2番目の第1共振器112の直列周波数とは非常に近く、2つの第1共振器110の直列共振周波数の差はゼロより大きく且つ1番目の第1共振器111のノッチ帯域幅以下であり、これにより、2つの第1共振器110の直列共振周波数は部分的に重複する。2つの第1共振器110が直列接続され、且つ2つの第1共振器110の直列共振周波数が部分的に重複すると、2つの第1共振器110の直列周波数が併さり、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を広げることができる。
【0016】
好ましくは、第2共振器の直列共振周波数と1番目の第1共振の並列共振周波数との差は、1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である。
【0017】
例示的に、図5を参照し、曲線201は第2共振器120の性能曲線である。図5から分かるように、第2共振器120の直列共振周波数は1番目の第1共振器111の並列共振周波数に近く、且つ第2共振器120の直列共振周波数は同時に2番目の第1共振器112の並列共振周波数にも近いため、第2共振器120の直列共振周波数と1番目の第1共振111の並列共振周波数との差は、1番目の第1共振器111のノッチ帯域幅以下である。これにより、第2共振器120の直列共振周波数は2つの第1共振器110の並列共振周波数に近く、且つ第2共振器120は2つの第1共振器110の間に接続されることにより、信号に対するノッチフィルタリングユニットの抑制効果を増強することができる。
【0018】
図6は本願の実施例に係る他のノッチフィルタの構造模式図であり、図6に示すように、ノッチフィルタは、少なくとも2つのノッチフィルタリングユニットを備え、隣り合うノッチフィルタリングユニットは、1つの第1共振器110を共用する。
【0019】
例示的に、ノッチフィルタは2つのノッチフィルタリングユニットを備え、2つのノッチフィルタリングユニットが1つの第1共振器110を共用する。そのうち、ノッチフィルタは3つの第1共振器110、2つの第2共振器120及び2つの誘導性素子130を備え、1番目の第1共振器111、2番目の第1共振器112及び第3の第1共振器113が入力ポートAと出力ポートBとの間に直列接続され、第2共振器121の第1端が1番目の第1共振器111の第2端に接続され、第2共振器121の第2端が接地され、第2共振器122の第1端が2番目の第1共振器112の第2端に接続され、第2共振器122の第2端が接地され、誘導性素子131が第2共振器121に並列接続され、誘導性素子132が第2共振器122に並列接続される。そのうち、ノッチ帯域幅のニーズに応じて少なくとも2つのノッチフィルタリングユニットの共振周波数の重複範囲を調節し、2つのノッチフィルタリングユニットを直列で接続することにより、2つのノッチフィルタリングユニットの共振周波数を併せることができ、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を向上させることができる。これにより、2つの共振周波数が近いノッチフィルタリングユニットからなるノッチフィルタは、共振器のノッチ特性を十分に利用し、良好なノッチ特性を有するノッチフィルタを構成し、1つの周波数バンドで入力信号を迅速に減衰させることを実現し、そのバンドの周波数信号の通過を阻害するという目的を達成することができるが、入力信号の損失が比較的大きい。この欠陥に対して、ノッチフィルタリングユニットがさらに備える誘導性素子131及び誘導性素子132は回路に対して調節を行うことができ、誘導性素子130を第2共振器120に並列接続することにより、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させ、ノッチフィルタのノッチ特性が最適化する。
【0020】
また、複数のノッチフィルタリングユニットからなるノッチフィルタは、単一のフィルタリングユニットからなるハーモニックフィルタよりもノッチ帯域幅が大きい。図7は本願の実施例に係る異なるノッチフィルタの性能模式図である。そのうち、横座標はノッチフィルタの周波数であり、縦座標は信号の挿入損失である。曲線302は単一のフィルタリングユニットからなるノッチフィルタの性能曲線であり、曲線401は2つのフィルタリングユニットからなるノッチフィルタの性能曲線であり、図から分かるように、2つのフィルタリングユニットからなるノッチフィルタは単一のフィルタリングユニットからなるノッチフィルタよりもフィルタリング帯域幅範囲が大きい。
【0021】
ノッチフィルタのノッチ帯域幅範囲は、入力信号に必要なノッチの帯域幅に基づいて設定されたものであり、他の実施例において、ノッチフィルタはノッチフィルタリングユニットの個数を調節することにより、ノッチ帯域幅を調節可能である。
【0022】
好ましくは、誘導性素子の等価インピーダンスと、第1共振器及び第2共振器の等価インピーダンスとの和は、第1共振器及び第2共振器の等価インピーダンスより小さい。
【0023】
誘導性素子は回路に対して調節を行うことができ、誘導性素子を第2共振器に並列接続して、誘導性素子の等価インピーダンスに第1共振器及び第2共振器の等価インピーダンスの大きさを調節させることにより、ノッチフィルタリングユニットのインピーダンス値全体が減少する。誘導性素子は第2共振器に並列接続されるため、オームの法則から分かるように、並列回路の抵抗値が併さるほど小さくなるという特点を有し、誘導性素子が回路の抵抗値全体を減少するように構成される。これから分かるように、誘導性素子の等価インピーダンスと、第1共振器及び第2共振器の等価インピーダンスとの和は、第1共振器及び第2共振器の等価インピーダンスより小さく、回路全体の等価抵抗値を減少して、第1共振器及び第2共振器の接続回路の損失値を調節することにより、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させる。
【0024】
例示的に、図3及び図4を参照し、図3図4とを対比して分かるように、曲線301の損失特性は曲線302の損失特性より大きく、ノッチフィルタリングユニットにインダクタンス素子が入っていないと、ノッチフィルタリングユニットの特性曲線全体が下へ平行移動し、つまり、損失が増大する。従って、誘導性素子は、ノッチフィルタ回路に対してインピーダンス調節を行い、ノッチフィルタリングユニットのインピーダンス値全体を減少させて、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させることができる。
【0025】
好ましくは、誘導性素子は、インダクタンス素子を含み、インダクタンス素子が第2共振器に並列接続される。
【0026】
低温同時焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramic、LTCC)及び表面実装部品技術に基づいて製造されたチップインダクタンス素子を採用してノッチフィルタを構成することで、ノッチフィルタのサイズが減少でき、手持ち型移動式応用設備へのニーズを満たすことができる。インダクタンス素子を第2共振器に並列接続することで、ノッチフィルタ回路に対してインピーダンス調節を行い、ノッチフィルタリングユニットのインピーダンス値全体を減少させ、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させることができる。
【0027】
好ましくは、共振器は、表面弾性波共振器、バルク弾性波共振器及び薄膜バルク音響共振器のうちの1種又は複数種を含む。
【0028】
表面弾性波共振器(Surface Acoustic Wave、SAW)は主に圧電材料の圧電特性を利用し、入出力トランスデューサを利用して電波の入力信号を機械エネルギーに変換し、処理を経た後に、機械エネルギーを電気信号に変換することにより、必要のない信号及びノイズを濾過し、受信品質を向上させるという目標を達成する。従来のインダクタ・コンデンサ(LC)フィルタより、表面弾性波共振器のほうが取付が簡単で、体積が小さい。バルク弾性波共振器は、音波が垂直方式で伝播し、音波エネルギーを圧電材料に記憶することにより、非常に高い品質を実現し、帯域外の減衰が大きく且つ極めて競争性を富んだ部品に変換することができる。薄膜バルク音響共振器(Film Bulk Acoustic Resonator、FBAR)は、高いQ値且つ小型化を実現しやすいなどの特点を有する。表面弾性波共振器、バルク弾性波共振器及び薄膜バルク音響共振器はいずれも、体積が小さく、コストが低く且つQ因子が高いという特点を有するとともに、高度な特定及び高性能へのフィルタリング要求を満たすことができる。表面弾性波共振器は比較的低い周波数(最高で2.7GHz)に適用されるが、バルク弾性波共振器及び薄膜バルク音響共振器は比較的高い周波数(2.7GHz~6GHz)に適用される。
【0029】
図8は本願の実施例に係る多周波ノッチフィルタの構造模式図であり、図8に示すように、少なくとも2つの上記実施例におけるノッチフィルタ100を備え、少なくとも2つのノッチフィルタ100が直列接続される。
【0030】
多周波ノッチフィルタは本願の任意の実施例に係るノッチフィルタを備えるため、本願の実施例に係るノッチフィルタの効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0031】
好ましくは、異なるノッチフィルタにおけるノッチフィルタリングユニットの数量は、同じ又は異なる。
【0032】
例示的に、図9は本願の実施例に係る他の多周波ノッチフィルタの構造模式図であり、そのうち、多周波ノッチフィルタは、単一のノッチフィルタリングユニットを備える2つのノッチフィルタが直列接続されることにより構成されたものであり、多周波ノッチフィルタの6つの共振器の共振周波数は異なる。図10は本願の実施例に係る図9における多周波ノッチフィルタの性能模式図であり、そのうち、横座標は多周波ノッチフィルタの周波数であり、縦座標は信号の挿入損失であり、曲線501は図9における多周波ノッチフィルタの性能曲線であり、図から分かるように、多周波ノッチフィルタのノッチ周波数は3.2及び4.9左右である。
【0033】
例示的に、図11は本願の実施例に係る他の多周波ノッチフィルタの構造模式図であり、そのうち、多周波ノッチフィルタは、単一のノッチフィルタリングユニットを備える1つのノッチフィルタと2つのノッチフィルタリングユニットを備える1つのノッチフィルタとが直列接続されることにより構成され、多周波ノッチフィルタの8つの共振器の共振周波数は異なる。図12は本願の実施例に係る図11における多周波ノッチフィルタの性能模式図であり、そのうち、横座標は多周波ノッチフィルタの周波数であり、縦座標は信号の挿入損失であり、曲線502は図11における多周波ノッチフィルタの性能曲線であり、図から分かるように、多周波ノッチフィルタのノッチ周波数は3.2及び4.9左右である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノッチフィルタリングユニットを備え、各ノッチフィルタリングユニットは、入力ポート、出力ポート、少なくとも3つの共振器及び少なくとも1つの誘導性素子を備え、
前記少なくとも3つの共振器は、少なくとも2つの第1共振器及び少なくとも1つの第2共振器を備え、
前記少なくとも2つの第1共振器は、互いに直列接続され、直列接続された前記少なくとも2つの第1共振器は、前記入力ポートと前記出力ポートとの間に直列接続され、各第2共振器の第1端は、隣り合う2つの第1共振器の間の接続点に接続され、前記各第2共振器の第2端は、固定電位端に接続され、各誘導性素子は、1つの第2共振器に並列接続される、
ノッチフィルタ。
【請求項2】
前記各ノッチフィルタリングユニットは、2つの第1共振器、1つの第2共振器及び1つの誘導性素子を備え、
前記2つの第1共振器は、1番目の第1共振器の第1端が前記入力ポートに接続され、前記1番目の第1共振器の第2端が2番目の第1共振器の第1端に接続され、前記2番目の第1共振器の第2端が前記出力ポートに接続され、前記1つの第2共振器の第1端が前記1番目の第1共振器の第2端に接続され、前記1つの第2共振器の第2端が固定電位端に接続され、前記1つの誘導性素子が前記1つの第2共振器に並列接続される、
請求項1に記載のノッチフィルタ。
【請求項3】
前記2つの第1共振器の直列共振周波数の差は、ゼロより大きく且つ前記1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項4】
前記1つの第2共振器の直列共振周波数と前記1番目の第1共振の並列共振周波数との差は、前記1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である、
請求項3に記載のノッチフィルタ。
【請求項5】
前記ノッチフィルタは、少なくとも2つのノッチフィルタリングユニットを備え、隣り合うノッチフィルタリングユニットは、1つの第1共振器を共用する、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項6】
前記誘導性素子の等価インピーダンスと、前記第1共振器及び前記第2共振器の等価インピーダンスとの和は、前記第1共振器及び前記第2共振器の等価インピーダンスより小さい、
請求項2に記載のノッチフィルタ。
【請求項7】
前記誘導性素子は、インダクタンス素子を含む、
請求項6に記載のノッチフィルタ。
【請求項8】
前記共振器は、表面弾性波共振器、バルク弾性波共振器及び薄膜バルク音響共振器のうちの少なくとも1種を含む、
請求項6に記載のノッチフィルタ。
【請求項9】
少なくとも2つの請求項1~8のいずれか1項に記載のノッチフィルタを備え、前記少なくとも2つのノッチフィルタが直列接続される、
多周波ノッチフィルタ。
【請求項10】
異なるノッチフィルタにおけるノッチフィルタリングユニットの数量は、同じ又は異なる、
請求項9に記載の多周波ノッチフィルタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
ノッチフィルタリングユニットが備える2つの第1共振器110は入力ポートAと出力ポートBとの間に直列接続される。そのうち、1番目の第1共振器111の第1端は入力ポートAに接続され、つまり、入力ポートAはノッチフィルタリングユニットの入力ポートとされ、2番目の第1共振器112の第2端は出力ポートBに接続され、つまり、出力ポートBはノッチフィルタリングユニットの出力ポートとされる。ノッチフィルタリングユニットが備える1つの第2共振器120の第1端は1番目の第1共振器111の第2端に接続され、第2共振器120の第2端は固定電位端に接続される。そのうち、ノッチフィルタリングユニットが備える2つの第1共振器110は、異なる共振周波数を有し、且つノッチ帯域幅のニーズに応じて2つの第1共振器110の共振周波数の重複範囲を調節可能であり、これにより、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を向上させることができる。ノッチフィルタリングユニットが備える1つの第2共振器120は2つの第1共振器110の間に接続されることにより、ノッチフィルタリングユニットの抑制特性を向上させることができる。これから分かるように、3つの共振器からなるT型構造回路からなるノッチフィルタは、共振器の共振周波数特性を十分に利用し、良好なノッチ特性を有するノッチフィルタを構成しており、1つの周波数バンドで入力信号を迅速に減衰させることを実現し、そのバンドの周波数信号の通過を阻害するという目的を達成することができる。ノッチフィルタリングユニットがさらに備える誘導性素子130は回路に対して調節を行うことができ、誘導性素子130を第2共振器120に並列接続することにより、ノッチフィルタリングユニットの損失値を減少させ、ノッチフィルタのノッチ特性を最適化する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
例示的に、図5は本願の実施例に係るノッチフィルタリングユニット共振器の性能模式図である。そのうち、横座標は共振器の周波数であり、縦座標は共振器のインピーダンス値であり、曲線101は1番目の第1共振器111の性能曲線であり、曲線102は2番目の第1共振器112の性能曲線である。各共振器の性能曲線の上極点P1は共振器の並列共振周波数を示し、下極点P2は共振器の直列共振周波数を示す。図5から分かるように、1番目の第1共振器111の直列共振周波数と2番目の第1共振器112の直列共振周波数とは非常に近く、2つの第1共振器110の直列共振周波数の差はゼロより大きく且つ1番目の第1共振器111のノッチ帯域幅以下であり、これにより、2つの第1共振器110の直列共振周波数は部分的に重複する。2つの第1共振器110が直列接続され、且つ2つの第1共振器110の直列共振周波数が部分的に重複すると、2つの第1共振器110の直列共振周波数が併さり、ノッチフィルタリングユニットのノッチ帯域幅を広げることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
好ましくは、第2共振器の直列共振周波数と1番目の第1共振の並列共振周波数との差は、1番目の第1共振器のノッチ帯域幅以下である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
例示的に、図5を参照し、曲線201は第2共振器120の性能曲線である。図5から分かるように、第2共振器120の直列共振周波数は1番目の第1共振器111の並列共振周波数に近く、且つ第2共振器120の直列共振周波数は同時に2番目の第1共振器112の並列共振周波数にも近いため、第2共振器120の直列共振周波数と1番目の第1共振111の並列共振周波数との差は、1番目の第1共振器111のノッチ帯域幅以下である。これにより、第2共振器120の直列共振周波数は2つの第1共振器110の並列共振周波数に近く、且つ第2共振器120は2つの第1共振器110の間に接続されることにより、信号に対するノッチフィルタリングユニットの抑制効果を増強することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
また、複数のノッチフィルタリングユニットからなるノッチフィルタは、単一のフィルタリングユニットからなるノッチフィルタよりもノッチ帯域幅が大きい。図7は本願の実施例に係る異なるノッチフィルタの性能模式図である。そのうち、横座標はノッチフィルタの周波数であり、縦座標は信号の挿入損失である。曲線302は単一のフィルタリングユニットからなるノッチフィルタの性能曲線であり、曲線401は2つのフィルタリングユニットからなるノッチフィルタの性能曲線であり、図から分かるように、2つのフィルタリングユニットからなるノッチフィルタは単一のフィルタリングユニットからなるノッチフィルタよりもフィルタリング帯域幅範囲が大きい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】